説明

汚染土壌の浄化方法

【課題】 自然エネルギーを使用するため環境負荷が小さく、かつ低コストで、長期スパンで確実に汚染土壌から有害物質を除去することができる汚染土壌の浄化方法を提供する。
【解決手段】 高含水の汚染土壌の表層に少なくとも1組の電極を所定の間隔で埋設し、該電極間に通電することにより前記汚染土壌中の間隙水に溶出した有害物質を電気化学的に前記電極に向けて移動せしめて集積する第1工程と、当該汚染土壌の表層において有害物質高蓄積植物を栽培し、当該植物に有害物質を吸収させ、前記有害物質を吸収させた後に前記植物を収穫する第2工程とからなることを特徴とする汚染土壌の浄化方法。第2工程で収穫された有害物質高蓄積植物をバイオマス燃料として燃焼させることで、熱および電力を発生させるとともに、当該燃料から前記有害物質を燃焼灰の形態で分離する第3工程を含んでいてもよい。発電電力は、第1工程における電極に供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害物質を含む高含水汚染土壌の浄化方法に関し、より詳細には電気化学的方法と生物学的方法とを組み合わせた環境負荷の小さい汚染土壌の浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業活動に伴い発生した石炭灰や各種燃焼灰などの産業廃棄物は、重金属などの有害物質を含有していることから、管理型の処分場において埋め立て処分され、当該埋め立て処分跡地は有効利用されていなかった。しかし、近年、このような処分跡地の有効利用が検討されている。処分跡地を有効利用するためには、石炭灰などからなる土壌が有害物質で汚染されていないことが前提であり、有害物質で汚染された土壌(汚染土壌)は「土壌環境基準」に従って内在する有害物質を浄化することが必要である。なお、当該基準によれば、有害物質として揮発性有機化合物、重金属、農薬などが掲げられている。
【0003】
有害物質に汚染された土壌の浄化技術としては、大きく原位置浄化法と掘削除去法に分けられ、前者はさらに原位置抽出法、原位置分解法などに分類されている。原位置抽出法は、汚染土壌中の土壌ガスの吸引や地下水の揚水などの手段によって抽出した汚染土壌中の有害物質を除去して汚染土壌を浄化する方法である。この技術によれば、土壌ガスの吸引設備や揚水設備のほか、抽出したガスや地下水中の有害物質を分解したり分離する設備が必要であり、そのため設備コストおよび運転コストが大きいという問題がある。
【0004】
また、原位置分解法は、汚染土壌中の有害物質を原位置で化学的または生物学的に分解することにより当該汚染土壌を浄化する方法である。この方法は、原位置抽出法に比較するとコスト面でメリットがあるが、シアン以外の重金属には適用できないといった欠点がある。
【0005】
掘削除去法は、汚染土壌を掘削により除去し、通常、除去した土壌に対して熱処理や洗浄処理などを施す方法である。しかし、この技術は、土壌の掘削やその後の運搬のための設備を要し、そのコストもかかる上に、除去した土壌の加熱設備や洗浄設備を必要とし、これらの処理にも多大なエネルギーが必要とされ、環境負荷が非常に大きいなどの問題がある。
【0006】
現在のように、管理型処分場は広大な敷地に設けられ、汚染区域も広範にわたっている状況では、上記の原位置抽出法や掘削除去法によって汚染土壌の浄化方法を実施して汚染区域から有害物質を除去するには膨大な費用が必要であり、当該区域(土地)の価値を超過する可能性がある。そのため、安価な浄化技術の開発が望まれているが、昨今の情勢を考慮すると、当該浄化技術は環境負荷の小さいものであることが望まれる。
【0007】
一方、原位置において汚染土壌から有害物質を電気化学的に除去する技術が近年提案されている(特許文献1〜3参照)。これらの提案にかかる技術は、土壌中に埋設した少なくとも一対の正負電極間に電圧を印加することで、汚染土壌中の有害物質が溶出液を媒介として負極に向かって移動する電気浸透や電気泳動などの界面動電現象を利用するものである。この技術は、上記の掘削除去法と比較して、作業者への曝露の危険性が少ない、処理地域外への汚染物質の拡散がほとんどない、難透水性地盤にも適用できる等の利点を有している。しかし、上記各特許文献は、いずれも汚染土壌中から有害物質を溶出させ、溶出液の状態で分離することを主眼とした技術を開示するものであり、分離した溶出液の処理設備を要し、そのためのコストもかかるという問題がある。
【0008】
また、いわゆるファイトレメディエーションと呼ばれる環境修復技術に関する研究が進められている(例えば、特許文献4参照)。この技術は、有害物質を含有する汚染土壌を培土として有害物質高蓄積植物を栽培し、当該植物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して土壌中の有害物質を当該植物に吸収させることで、汚染土壌から有害物質を除去するものである。例えば、稲によるカドミウムの除去、シダによる砒素の除去、タバコや馬鈴薯によるダイオキシン類の除去などが研究されており、商業化が進められている。この技術は、環境負荷が非常に小さい点で優れるが、現在のところ、上記研究は、有害物質を高濃度で蓄積可能な植物および当該植物が適用可能な有害物質を特定する点を主眼とするものであり、有害物質を蓄積した植物の処理などについてさらに省資源や環境負荷の軽減が可能な循環型システムなどの観点からは十分な検討がされていないのが現状である。
【0009】
【特許文献1】特開平5−59716号公報
【特許文献2】特開平8−281247号公報
【特許文献3】特開2003−311256号公報
【特許文献4】特開2005−199209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、自然エネルギーを使用するため環境負荷が小さく、かつ低コストであり、長期スパンで確実に汚染土壌から有害物質を除去することができる汚染土壌の浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的のもと鋭意検討を重ねた結果、従来公知の電気化学的方法とファイトレメディエーション技術とを組み合わせ、上記汚染土壌中の有害物質を植物中に蓄積させ、当該高濃度の有害物質を蓄積した植物を収穫することで、汚染土壌の浄化が可能であり、その結果長期スパンで自然エネルギーを用いた環境負荷の小さい汚染土壌の浄化方法が確立できるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、高含水の汚染土壌の表層に少なくとも1組の電極を所定の間隔で埋設し、該電極間に通電することにより前記汚染土壌中の間隙水に溶出した有害物質を電気化学的に前記電極に向けて移動せしめて集積する第1工程と、当該汚染土壌の表層において有害物質高蓄積植物を栽培し、当該植物に有害物質を吸収させ、前記有害物質を吸収させた後に前記植物を収穫する第2工程とからなることを特徴とする汚染土壌の浄化方法によって上記課題を解決する。
【0013】
本発明においては、第2工程で収穫された有害物質高蓄積植物をバイオマス燃料として燃焼させることで、熱および電力を発生させるとともに、当該燃料から前記有害物質を燃焼灰の形態で分離する第3工程を含んでいてもよい。上記の発電電力は、第1工程における上記少なくとも1組の電極に供給することができる。この燃焼により、上記植物が吸収した二酸化炭素を大気中に排出するので、大気中の二酸化炭素の存在量を増加させず、また得られる電力を第1工程で有効に使用できるので、さらに環境負荷を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電気化学的処理および生物学的処理を組み合わせることで有害物質を含有する汚染土壌を原位置において浄化することができ、しかも、多大なエネルギーを必要とせず、また自然エネルギーを有効に利用することができ、環境負荷を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の対象となる有害物質で汚染された土壌としては、例えば、農地、工業用地、市街地、住宅地などの土壌のほか、周壁および底面が遮水構造とされた管理型処分場などの産業廃棄物処分場などに埋め立て処分された土壌などが挙げられる。特に、汚染土壌が管理型処分場に埋め立て処分された重金属を含有する石炭灰である場合には、該石炭灰が吸水性および保水性に優れることから、植物の生育環境として適しており、本発明の浄化方法を好適に実施できる。
【0016】
本発明の汚染土壌の浄化方法において浄化可能な有害物質には、無機化合物と有機化合物とがある。前者の具体例としては、ホウ素、カドミウム、コバルト、クロム、銅、水銀、ニッケル、鉛、セレンなどの金属(重金属);セシウム、ウラニウム、重水素、ストロンチウムなどの放射性物質;砒素、クロム酸塩、フッ素、ナトリウム、アンモニアなどが挙げられる。また、後者の具体例としては、TCE、PCE、PCB、ピレン、MTBEなどの塩素物;DNT、TNT、RDXなどの爆発性物質;BTEX、TPHなどの石油系有機化合物;PCP、PAHsなどの木材防腐剤;アトラジン、ベンダゾン、DDT、2,4−Tなどの農薬、殺虫剤などが挙げられる。これらのうち、本発明の浄化方法は、重金属の浄化に好適に使用できる。
【0017】
以下、図1を参照して本発明の汚染土壌の浄化方法をより詳細に説明する。図1は、火力発電所で発生し、埋め立て処分された石炭灰1を汚染土壌として、その処分跡地2に本発明の汚染土壌の浄化方法を実施する場合の概略フロー図を示している。
【0018】
図1に示すように、本発明の汚染土壌の浄化方法は、3つの工程から構成される。第1工程は、電気化学的手法を用いて処分跡地2における石炭灰1中の重金属をその表層に集積させる工程であり、所定の間隔で石炭灰1中に埋設された少なくとも1組の電極間に通電することで、電極間に存在する土壌中の溶出液に含まれる有害物質を液相の状態で上記電極向けて移動させるいわゆる電気浸透作用、電気泳動作用または電気移動作用などを利用した従来公知の電気化学的処理を行うものである。
【0019】
この第1工程は、石炭灰1中の重金属を石炭灰1の間隙に存在する溶出液を媒体として電極に向けて移動させるものであり、当該石炭灰1はこれに埋設した電極間に通電することにより少なくとも電気的導通を確保できる程度に含水している高含水の状態であることが必要である。好ましくは、石炭灰1は、その飽和帯が地表面に近接し、飽和含水率に近い程度か、またはそれ以上に含水しているのがよい。石炭灰1が乾燥しており、電気的導通が確保できない場合には、石炭灰1の表面から給水する必要がある。給水としては、通常の水道水、工業用水などを使用できるが、土壌pHなどの性状を考慮して、例えば酸、電解質若しくはキレート剤などの水溶液を使用することもできる。給水は、例えば石炭灰1の表面から直接散水するなどの方法によって行うことができる。
【0020】
この第1工程において使用される電極の形状は特に限定されず、例えば板状、棒状または管状などから適宜選択できる。電極の長さは、上記石炭灰1中の飽和帯に少なくともその先端が達する程度であれば特に限定されないが、後述の第2工程で石炭灰1の表層に栽培される植物の根圏よりも深い位置にその先端が達する程度の長さがあることが好ましい。
【0021】
電極は、通常、少なくとも1組が石炭灰1中へ鉛直に埋設されるが、当該方向に限られず、例えば鉛直方向から所定の角度となるように埋設することもできる。複数対の電極を石炭灰1の表層に埋設する場合、電極を同一直線上に配置するなど規則的に配列することができる。なお、上記「1組」とは、陽極と陰極とがいずれも1本の場合のみならず、1本の陽極に対して複数本の陰極を配置する場合および複数本の陽極に対して1本の陰極を配置する場合をも含む意味で使用している。
【0022】
このように配列した電極間に電圧を印加し、陽極、陰極間に通電させる。その際の電圧値および電流値は、除去しようとする有害物質によって適宜変更して設定できる。通常、有害物質が6価クロムなどの重金属の場合、電気泳動作用によれば40〜60Vおよび6〜3A程度、電気浸透作用によれば50Vおよび10〜20A程度とされる。また、鉛や砒素の場合、電気移動作用によれば、0.1A程度の電流が電極間に流れるように設定される。なお、電圧は直流、交流のいずれであってもよい。電極間に通電すると、電気浸透作用により土壌中の水分が陽極側から陰極側に移動する電気浸透現象が生じる。この現象によって、陽極近傍の石炭灰1中の含水率が低下することが生じうるが、その含水率が低くなると、重金属の移動速度が低下し、除去能力が低下することとなるので、必要に応じて陽極側の表層に給水することが好ましい。また、電極間の石炭灰1のpHが中性域またはそれ以上の場合には、pH調整剤溶液などを散水し、土壌pHを低下させ、難溶性の重金属のイオン化を促進する効果も期待できる。
【0023】
第2工程では、第1工程で有害物質が表層に集積された石炭灰1の表層において、これを培土として有害物質高蓄積植物を栽培し、当該植物に有害物質を吸収させ、石炭灰1中の有害物質濃度を低減させる。これにより、石炭灰1からの有害物質の除去が可能となる。
【0024】
本発明で使用される有害物質高蓄積植物は、大量の有害物質を植物体内で蓄積、輸送でき、毒性に耐性を有する植物である。好ましくは、成長が早く、根を広範囲に伸展させ、そこから吸収した有害物質を茎葉部分に移動させ、当該部分に蓄積する植物であることが好ましい。有害物質高蓄積植物は、有害物質の種類に応じて使い分けることができる。
【0025】
有害物質が重金属の場合には、これまでの研究の結果、約400種類の植物に蓄積能があることが判明している。例えば、アブラナ科、ヒルガオ科サツマイモ属,マメ科ゲンゲ属,ヤマモガシ科マカダミア属およびアカネ科などの品種があり、具体的には、ヨウシュヤマゴボウ、ナズナ、ブタクサ、マリーゴールド、ブライダルベール、ヘビノネゴザなどがよく知られている。有害物質が放射性物質の場合、近年研究が進められ、放射性物質の吸収、蓄積効果が認められているアブラナ科、アカザ科の植物、ヤナギ、ヒマワリ、トウモロコシまたはこれらの近縁種などが挙げられる。有害物質が外来性有機汚染物質、例えば、農薬、TCE、石油、TNT、PAHs、PCP、PCBsなどの場合、これらの分解作用を有するイネ、カヤツリグサ科などが挙げられる。石油(PAH)に対してはトウモロコシやクローバなど、ディーゼル油や原油に対してはイタリアンライグラス、フェポット、フェスキュなど、木材防腐剤に対してはペレニアルライグラスなど、PCBやTNTに対してはピレンイネ科、イネ科・マメ科植物、メドーブロムグラスなど、石油系化合物に対してはバミュ−ダグラスなど、ディーゼル油に対してはペレニアルライグラスなどが挙げられる。これらは、汚染土壌から除去すべき有害物質の種類に応じて単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0026】
また、本発明においては、有害物質高蓄積植物として、有害物質を吸収し、当該有害物質に対して耐性を備えるように遺伝子を組み換えた植物も好適に使用できる。例えば、上記例示の植物から所定の遺伝子を単離し、当該単離した遺伝子を組み込んだ同種または異種の植物などが挙げられる。
【0027】
上記の植物は、石炭灰1の表層に適切な時期に播種してそのまま生育させてもよく、予め生育させた苗や植物体などを当該表層に移植してもよい。また、従前よりこの埋め立て処分跡地に生息する植物をそのまま用いてもよい。播種や移植は、従来公知の方法によって行うことができる。
【0028】
本発明においては、有害物質高蓄積植物とともに、有害物質の吸収を補助する物質を併用してもよい。例えば、ゼオライトなどの粘土鉱物を好適に使用できる。また、石炭灰やその加工品、特に造粒品は、吸水性および保水性に非常に優れ、有害物質を溶出水とともに取り込むことができるので、これらをこの目的で用いてもよい。これら有害物質の吸収を補助する物質は、処分跡地2(特には電極周辺)の表面または地中に対して公知の方法で撒布、埋設などされる。
【0029】
上記の第1工程および第2工程は、この順で実施してもよく、同時に並行して行うこともできる。後者の場合、上記電極の配置によって少なくとも1組の電極を埋め立て処分跡地の表層に所定の配置で埋設するとともに、有害物質高蓄積植物の種子を当該表層にまいて栽培することができる。また、埋め立て処分跡地を例えば2つの区画に分け、一方の区画で第1工程を実施するとともに、他方で第2工程を実施し、生育した植物を収穫した後に上記一方の区画で第2工程を、他方で第1工程を実施してもよい。上記跡地をさらに複数の区画に分け、各区画で同様に第1工程、第2工程を交互に行うようにしてもよい。
【0030】
所定の期間経過後に、有害物質を吸収した植物は収穫され、その後、乾燥される。収穫や乾燥の方法については特に限定されず、従来公知の方法を適宜選択できる。これによって、高含水の汚染土壌中に含有されている有害物質を除去して当該汚染土壌を浄化することが可能となる。この浄化された土壌や当該土壌の埋め立て地などは、有効利用が可能となる。
【0031】
この工程は、低コストであると同時に、太陽エネルギーを利用しており、二酸化炭素を増加させないので、環境負荷がほとんどなく、汚染土壌の拡散の防止や緑化等に有効である。特に低濃度・広範囲な土壌汚染浄化に適応可能になり、適用範囲が有機性、無機性、放射性汚染物質など非常に幅広いことも利点である。
【0032】
また、第3工程は、第2工程で収穫され、乾燥された植物に対して必要な場合には粉砕などの処理を行った後、これを燃料(以下では、このように処理された燃料を「バイオマス燃料」と呼ぶこととする。)としてバイオマス発電を行い、電気(図1では、発電電力と記載している。)および熱を得るものである。使用される粉砕設備としては特に限定されず、植物の形態などを考慮して、効率的な粉砕処理が可能な設備を選択できる。また、必要な場合には、乾燥した植物を加圧成形などにより塊状に成形するなどの処理を行うこともできる。
【0033】
このバイオマス燃料の燃焼設備としては、例えばこれを直接燃焼可能なボイラーが挙げられる。石炭焚ボイラーにおいてこのバイオマス燃料を燃焼させる場合、石炭燃料とともに混焼してもよい。得られる熱や蒸気は、別の用途に使用できる。このように、直接燃焼可能なボイラーを用いて上記バイオマス燃料を燃焼処分した場合、植物が光合成によって吸収した二酸化炭素を大気中に排出するだけであるので、大気中の二酸化炭素存在量を増加させない。また、バイオマス燃料を石炭燃料と混焼する場合、石炭燃料使用量をバイオマス燃料混合量分低減できるので、その低減分大気中の二酸化炭素量の増加を抑えることができる。
【0034】
得られた発電電力10は、電力系統に送電することができる。また、適宜直流に変換して蓄電するなどして第1工程における少なくとも1組の電極へ給電することができる(図1符号11参照)。後者の場合、電力需要量が低下する深夜の時間帯に給電することで、電力需要の平準化にも貢献しうる。
【0035】
バイオマス燃料中の有害物質が例えば重金属である場合、当該燃料の燃焼によって発生した燃焼灰については含有する重金属を分別抽出するか、または不溶化処理を行い処分することができる。有害物質は、この汚染土壌の量よりも極少量である燃焼灰中に高濃度にて含有されるため、濃縮減容が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の被処理土壌の浄化方法の実施形態の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0037】
1 石炭灰
2 石炭灰処分場の未利用跡地
3 第1工程(電気化学的処理工程)
4 第2工程(ファイトレメディエーション工程)
5 第2工程(植物の収穫)
6 第3工程(バイオマス発電工程)
8 焼却灰


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高含水の汚染土壌の表層に少なくとも1組の電極を所定の間隔で埋設し、該電極間に通電することにより前記汚染土壌中の間隙水に溶出した有害物質を電気化学的に前記電極に向けて移動せしめて集積する第1工程と、当該汚染土壌の表層において有害物質高蓄積植物を栽培し、当該植物に有害物質を吸収させ、前記有害物質を吸収させた後に前記植物を収穫する第2工程とからなることを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
【請求項2】
さらに前記収穫された植物をバイオマス燃料として燃焼させて電力および熱を発生させる第3工程を備える請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項3】
前記電力は、前記第1工程の少なくとも1組の電極に供給される請求項1または2に記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項4】
前記第2工程において、前記有害物質高蓄積植物とともに、有害物質の吸収能を有する物質を併用する請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項5】
前記汚染土壌は、埋め立て跡地に蓄積されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項6】
前記有害物質が重金属である請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。


【図1】
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【公開番号】特開2007−289897(P2007−289897A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122837(P2006−122837)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(595095629)中電環境テクノス株式会社 (44)
【出願人】(591260672)中電技術コンサルタント株式会社 (58)
【Fターム(参考)】