説明

汚泥濃縮装置の操作装置およびそれを備えた汚泥濃縮車

【課題】作業者の操作作業を軽減した汚泥濃縮装置の操作装置およびそれを備えた汚泥濃縮車を提供する。
【解決手段】汚泥の凝集反応処理が施される反応槽7と、凝集反応処理が施された汚泥を凝集汚泥と汚水とに分離するドラムスクリーン11と、ドラムスクリーン11にて分離された凝集汚泥を蓄積する汚泥槽8と、汚泥槽8を加減圧するための真空ポンプ52と、流路を切換える複数の弁59,61,73,77と、複数の弁59,61,73,77をそれぞれ操作するために操作盤に設けられた複数の操作部材とを備える汚泥濃縮装置の操作装置であって、複数の弁59,61,73,77のうち少なくとも一つはリモコン装置300により遠隔制御可能としたことを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化槽から汚泥を取り込んで濃縮する汚泥濃縮装置の操作装置およびそれを備えた汚泥濃縮車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭の浄化槽から汚泥を回収して汚泥処理場へ運搬するために汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車が使用されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
この汚泥濃縮車によれば、浄化槽の汚泥(原汚泥)を取り込んで固形分の汚泥と水分の汚水とに分離し、分離した汚水を浄化槽に戻して、固形分の汚泥のみを回収して運搬することができる。このため、汚泥処理場までの運搬量を大幅に低減することができる。
【0004】
特許文献1に開示されている汚泥濃縮車によって、浄化槽内の汚泥(原汚泥)から固形分の汚泥を分離回収する場合、作業者により、浄化槽内にホースが挿入され、同文献の第3図に示される車両左後部の操作装置に配置された3〜4個のバルブ操作レバー等が操作される。このレバー操作等によって、汚泥濃縮装置内での流路が切換わり、真空ポンプの吸引力によって、浄化槽内の汚泥が汚泥槽や反応槽に吸引される。
その後、操作装置のバルブ操作レバー等が更に操作されて、反応槽に吸引された汚泥は凝集剤と攪拌され、ゲル状に凝集した凝集汚泥が生成される。
【0005】
その後、更に操作装置のバルブ操作レバー等が操作されて、凝集反応処理が施された汚泥が汚泥槽内の上部に設置されたドラムスクリーン(汚泥分離機)に圧送される。ドラムスクリーンでは、凝集汚泥と凝集せずに残った汚水とが分離され、凝集汚泥は汚泥槽に蓄積され、分離された汚水は浄化槽に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−93591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記汚泥濃縮装置の操作装置およびそれを備えた汚泥濃縮車では、浄化槽の汚泥を吸引する際、汚泥濃縮装置の吸引・排出ホースを数10mと繰り出し、ホース先端を浄化槽に挿入し、作業者は浄化槽付近で作業する必要があった。一方、浄化槽の汚泥を汚泥濃縮装置の汚泥槽から反応槽へ、あるいはその逆へと切り替える時には、作業者は一旦汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車へ戻り、操作装置のバルブ操作レバーを操作した後、再び浄化槽に戻り、汚泥槽付近で作業することになり、この往復に要する作業が作業者には煩わしく、この作業を軽減する必要があった。
【0008】
本発明は、既述の問題点に鑑みてなされたものであり、作業者にとっては浄化槽から汚泥濃縮車へ移動に要する作業が、軽減できる汚泥濃縮装置の操作装置およびそれを備えた汚泥濃縮車を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置およびそれを備えた汚泥濃縮車は、以下のように構成されている。
【0010】
すなわち、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置は、汚泥の凝集反応処理が施される反応槽と、凝集反応処理が施された汚泥を凝集汚泥と汚水とに分離する汚泥分離機と、前記汚泥分離機にて分離された凝集汚泥を蓄積する汚泥槽と、前記汚泥槽を加減圧するためのポンプと、流路を切換える複数の弁と、前記複数の弁をそれぞれ操作するために操作盤に設けられた複数の操作部材とを備える汚泥濃縮装置の操作装置であって、前記複数の弁のうち少なくとも一つは遠隔制御可能としたものである。
【0011】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の操作装置によれば、前記複数の弁をそれぞれ操作するための複数の操作部材のうち一つでも遠隔制御することにより、作業者は何度も浄化槽と汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車の間を往復する必要がなくなる。
【0012】
また、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置は、浄化槽の汚泥を汚泥槽あるいは反応槽に切換可能な吸引通路切換弁を遠隔制御可能とすることが望ましい。
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の操作装置によれば、前記吸引通路切換弁を遠隔可能としているから、作業者は何度も浄化槽と汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車の間を往復する必要がなくなる。
【0013】
また、本発明の吸引通路切換弁は、前記操作盤に設けられた吸引通路切換スイッチで操作あるいは作業者が携帯可能なリモコン装置で遠隔操作可能であることが望ましい。
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の操作装置によれば、前記吸引通路切換弁を遠隔可能としているから、作業者は何度も浄化槽と汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車の間を往復する必要がなくなる。
【0014】
また、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置を車両のシャーシフレーム上のサブフレーム後方に搭載できることが望ましい。
かかる構成を備える汚泥濃縮車は、浄化槽から処理場への往復運搬回数を減らすことができ、さらに作業者の作業効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る汚泥濃縮装置の操作装置によれば、前記複数の弁をそれぞれ操作するための複数の操作部材のうち一つでも遠隔制御可能とすることにより、浄化槽と汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車の間を何度も往復する必要がなくなり、作業者にとって効率よく作業できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車の左側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の配管図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の操作装置が備える操作盤を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路を示す図であって、浄化槽から原汚泥を汚泥槽に吸引する際の流路を表現するものである。
【図5】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路を示す図であって、浄化槽から原汚泥を反応槽に吸引する際の流路を表現するものである。
【図6】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路を示す図であって、反応槽内で凝集反応処理を行う際の流路を表現するものである。
【図7】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路を示す図であって、反応槽から凝集反応処理を施した汚泥をドラムスクリーンで固形分の汚泥と汚水とに分離し、分離水を浄化槽に戻す際の流路を表現するものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、汚泥濃縮装置Aを搭載した汚泥濃縮車1の左側面図である。
【0018】
汚泥濃縮車1では、車両2のシャーシフレーム3上にサブフレーム4を設置し、そのサブフレーム4上にタンク5を搭載している。タンク5内は隔壁6によって2槽に隔離されており、隔壁6の前方が反応槽7、隔壁6の後方が汚泥槽8となっている。
【0019】
タンク5の上部にはホースリール9が設置されている。このホースリール9は長尺(例えば60m)のホースである吸引・排出ホース10を巻出し巻取り可能に収容している。 汚泥槽8内の上部には、ドラムスクリーン11が設置されている。
【0020】
ドラムスクリーン11は、凝集反応処理が施された汚泥を固形分の凝集汚泥と水分の汚水とに分離する汚泥分離機であり、圧送されてくる汚泥をその回転ドラム式濾過器によって、凝集汚泥と汚水とに分離する。濾過器上に残った凝集汚泥は、斜め下方に排出され、汚泥槽8内に蓄積される。一方、濾過器を通過して落下する汚水は、汚水容器に受け止められ、同容器内に設置された水中ポンプによって、外部(浄化槽等)へ圧送される。なお、ドラムスクリーン11では、浄化槽から直接吸引した原汚泥(凝集反応処理が施されていない汚泥)を固形分の汚泥と水分の汚水とに分離することもできる。
【0021】
タンク5の左前側には凝集液を収容した凝集タンク12が設置され、タンク5の後方にはホースハンガ13が設置されている。ホースハンガ13には、近距離での作業に使用する短尺(例えば10m)の吸引・排出ホース14等が巻き掛けられている。前記長尺の吸引・排出ホース10と短尺の吸引・排出ホース14とは、汚泥濃縮車1の駐車位置から浄化槽までの距離に応じて使い分けられる。
【0022】
上記汚泥濃縮車1が搭載する汚泥濃縮装置Aの配管構成について図2の配管図に基づいて説明する。
【0023】
符号51は汚泥濃縮車1の走行用エンジンの動力を取り出す動力取出装置(PTO)、符号52は動力取出装置(PTO)51によって駆動される真空ポンプである。PTO51は、真空ポンプ52のほかに、油圧ポンプOPを駆動している。油圧ポンプOPは、その吐出側に接続されたオイルモータMを回転駆動する。このオイルモータMの出力軸には、ドラムスクリーン11の回転軸が連結されており、ドラムスクリーン11にオイルモータMの回転駆動力が伝達されるようになっている。Tは油タンクであり、その内部の油は、油圧ポンプOPに吸上げられ、オイルモータMを経た後、戻される。
【0024】
真空ポンプ52の吐出側には、吐出側配管53が接続されており、真空ポンプ52の吸込側には、吸込側配管54が接続されている。吸込側配管54の途中位置には、逆流防止用のチェック弁55が設けられている。吐出側配管53および吸込側配管54は、それぞれ反応槽7に接続された反応槽吸引加圧管57および大気に通じる吸排気管58と連通可能なように吸排切換弁59に接続されている。
【0025】
吸排切換弁59は、3位置4ポートの切換弁からなり、切換位置(a)に切換えられると、吐出側配管53と吸排気管58とが連通するとともに、吸込側配管54と反応槽吸引加圧管57とが連通する。吸排切換弁59が切換位置(b)に切換えられると、吐出側配管53と吸込側配管54とが連通するとともに、反応槽吸引加圧管57と吸排気管58とが連通する。吸排切換弁59が切換位置(c)に切換えられると、吐出側配管53と反応槽吸引加圧管57とが連通するとともに、吸込側配管54と吸排気管58とが連通する。
【0026】
この反応槽吸引加圧管57には、タンク5側から順に、タンク5(反応槽7)内の水位のオーバフローを防止するためのフロート弁64、オーバーフローセフティ弁65が介設されている。また、反応槽吸引加圧管57の途中位置には、大気に通じるリリーフ管66が接続されており、このリリーフ管66には、リリーフ弁67が介設されている。
【0027】
また、反応槽吸引加圧管57の途中位置(リリーフ管66よりタンク5側)には、分岐管62の一端が接続されている。分岐管62の他端は、エア切換弁61の所定ポートに接続されており、このエア切換弁61によって、汚泥槽8に接続された汚泥槽吸引加圧管60と連通可能となっている。
【0028】
エア切換弁61は3位置3ポートの切換弁からなり、エア切換弁61が切換位置(a)に切換えられると、分岐管62と汚泥槽吸引加圧管60とが連通する。エア切換弁61が切換位置(b)に切換えられると、分岐管62および汚泥槽吸引加圧管60が大気に通じる。エア切換弁61が切換位置(c)に切換えられると、分岐管62が閉塞されるとともに、汚泥槽吸引加圧管60が大気に通じる。
【0029】
なお、吸排気管58にはその管路を開閉可能な大気開放弁69が設けられており、この大気開放弁69と上記吸排切換弁59との間に一方向可変絞り弁70の一方のポートが接続されている。上記一方向可変絞り弁70の他方のポートは大気開放状態となっている。
符号72は槽連絡管であり、その一端部は反応槽7の底部に接続され、その他端部は吸引通路切換弁73の所定ポートに接続されている。
【0030】
符号74は第1汚泥水供給管であり、その一端部はタンク5の汚泥槽8の上部(下方にドラムスクリーン11が存在しない場所)に接続され、その他端部は吸引通路切換弁73の所定ポートに接続されている。
【0031】
符号75は第2汚泥水供給管であり、その一端部はタンク5の汚泥槽8内のドラムスクリーン11に接続され、その他端部は後述する汚泥処理切換弁77の所定ポートに接続されている。
【0032】
符号76は汚水還流管であり、その一端部はドラムスクリーン11の水中ポンプ11aの吐出口に接続されており、その他端部は後述する汚泥処理切換弁77の所定ポートに接続されている。
【0033】
符号78は、原汚泥吸引管であり、その一端部はその管路を開閉可能な長尺ホース開閉弁79を介して長尺の吸引・排出ホース10に接続されている。一方、原汚泥吸引管78の他端部は汚泥処理切換弁77の所定ポートに接続されている。また、原汚泥吸引管78の途中位置より、分岐管78aが分岐している。この分岐管78aは、その管路を開閉可能な短尺ホース開閉弁80を介して短尺の吸引・排出ホース14に接続可能とされている。
【0034】
槽連絡管72、第1汚泥水供給管74、第2汚泥水供給管75、汚水還流管76および原汚泥吸引管78は、連繋管90によって互いに接続された吸引通路切換弁73および汚泥処理切換弁77によって、互いに連通可能となっている。
【0035】
上記吸引通路切換弁73は、3位置3ポートの切換弁からなり、後に説明する操作盤110の吸引通路切換スイッチ73Sあるいはリモコン装置300の吸引通路切換用押しボタンスイッチ301の操作により、弁駆動モータ73aを駆動して切換位置(a)に切換えられると、槽連絡管72が閉塞されるとともに、第1汚泥水供給管74と連繋管90が連通される。また、前述のように弁駆動モータ73aを駆動して吸引通路切換弁73が切換位置(b)に切換えられると、第1汚泥水供給管74が閉塞されるとともに、槽連絡管72と連繋管90とが連通される。さらに、前記弁駆動モータ73aを駆動して吸引通路切換弁73が切換位置(c)に切換えられると、槽連絡管72と第1汚泥水供給管74とが連通されるとともに、連繋管90が閉塞される。
【0036】
また、汚泥処理切換弁77が切換位置(a)に切換えられると、第2汚泥水供給管75と汚水還流管76とが連通されるとともに、原汚泥吸引管78と連繋管90とが連通される。汚泥処理切換弁77が切換位置(b)に切換えられると、汚水還流管76と原汚泥吸引管78とが連通されるとともに、第2汚泥水供給管75と連繋管90とが連通される。
【0037】
凝集タンク12は、反応槽7を貫通して設けられた凝集液注入管84を介して反応槽7の底部に通じている。凝集液注入管84の途中位置には、管路を開閉するための開閉弁85が設けられている。さらに、凝集液注入管84の開閉弁85より反応槽7側に、大気に通じる大気吸引管86が接続され、この大気吸引管86にも管路を開閉するための開閉弁87が設けられている。
タンク5の後底部には、汚泥槽8から蓄積された汚泥を排出するための排出管88およびその管路を開閉するための開閉弁89が設けられている。
【0038】
前記吸引通路切換弁73を遠隔制御可能なリモコン装置300は、通常運転席2内に設けられており、適宜作業者が持ち出して浄化槽付近で吸引通路切換弁73を遠隔制御できる。リモコン装置300の操作面300aに設けた押しボタンスイッチ301を押すと、吸引通路切換弁73は切換位置(a)に切り替えられ、押しボタンスイッチ302を押すと、吸引通路切換弁73は切換位置(b)に切り替えられ、押しボタンスイッチ303を押すと、吸引通路切換弁73は切換位置(c)切り替えられる。
【0039】
次に、汚泥濃縮装置Aの操作装置100について図3に基づいて説明する。汚泥濃縮装置Aの操作装置100は、シャーシフレーム3上のサブフレーム4後方に設けられ、車両後方に面した操作盤110内に、汚泥濃縮装置Aにおける流路を切換える各種弁を操作する操作部材としての切換レバー59L,61L,77L,79Lおよび切換スイッチ73Sを備えている。
【0040】
符号59Lは、吸排切換弁59を切換操作するための吸排操作レバーである。符号61Lは、エア切換弁61を切換操作するためのエア切換レバーである。符号73Sは、吸引通路切換弁73を弁駆動モータ73aで切換操作するための吸引通路切換スイッチである。符号77Lは、汚泥処理切換弁77を切換操作するための汚泥処理レバーである。符号79Lは、長尺ホース開閉弁79を開閉操作するためのホースリール開閉レバーである。
<原汚泥吸引作業1>
【0041】
浄化槽Sから汚泥槽8へ原汚泥を吸引する場合、吸引・排出ホース10をホースリール9から巻き出し、その先端を浄化槽Sの嫌気槽S’へ挿入する。長尺の吸引・排出ホース10に代えて短尺の吸引・排出ホース14を使用することもできる。
【0042】
嫌気槽S’内では、通常、上から順に、スカム200、中間水201および沈殿汚泥202で3層を形成している(図2参照)。各層のタンク5内への吸引作業は、上層のスカム200、中間層の中間水201、下層の沈殿汚泥202の順に行われる。
【0043】
図4に示すように、上層のスカム200は、比較的固形分の占める割合が高いため、ドラムスクリーン11を通さずに直接汚泥槽8内に吸引回収する。この吸引回収を行うため、吸引・排出ホース10の先端を嫌気槽S’内のスカム200に挿入し、真空ポンプ52を駆動する。
【0044】
更に、図3に示す、吸排操作レバー59Lを操作することで吸排切換弁59を切換位置(a)とし、汚泥処理レバー77Lを操作することで汚泥処理切換弁77を切換位置(a)とし、吸引通路切換スイッチ73Sを下方向に操作することで、吸引通路切換弁73を弁駆動モータ73aで切換位置(a)とし、エア切換レバー61Lを操作することで、エア切換弁61を切換位置(a)とし、ホースリール開閉レバー79Lを下方向に操作することで、長尺ホース開閉弁79を開放する。なお、大気開放弁69、短尺ホース開閉弁80、開閉弁85,87,89は閉鎖されている。
【0045】
上記各種レバー等の操作がなされると、真空ポンプ52の吸込側と汚泥槽8とが連通して、汚泥槽8が減圧される。減圧される汚泥槽8と吸引・排出ホース10の先端側も連通するため、吸引・排出ホース10の先端部から汚泥槽8内にドラムスクリーン11を介さずにスカム200が吸引回収される。
<原汚泥吸引作業2>
【0046】
スカム200の汚泥槽8への吸引回収が完了した後、図5に示すように、中間水201をタンク5内へ吸引する。中間水201は、比較的水分の占める割合が高いため、反応槽7へ吸引する。この吸引を行うため、上記状態より、吸引・排出ホース10の先端を嫌気槽S’内の中間水201に挿入する。そして、今度は作業者が携帯しているリモコン装置300の押しボタンスイッチ302を押すことで、吸引通路切換弁73を切換位置(b)に切換える。
【0047】
上記レバー操作がなされると、減圧された反応槽7と吸引・排出ホース10の先端側が連通されるため、吸引・排出ホース10の先端部から反応槽7内に中間水201が吸引回収される。
【0048】
もちろん作業者は、汚泥濃縮車1に戻り、操作装置100の吸引通路切換スイッチ73Sを上方向に操作することで、吸引通路切換弁73を切換位置(b)に切換えることも可能であるが、その分作業者は移動しなければならず、作業効率を悪くすることになる。
<原汚泥吸引作業3>
【0049】
中間水201の反応槽7への吸引が完了した後、沈殿汚泥202をタンク5内へ吸引する。沈殿汚泥202は、比較的固形分の占める割合が高いため、ドラムスクリーン11を介さずに、直接汚泥槽8内に吸引回収する。この吸引回収を行うため、上記状態より、吸引・排出ホース10の先端を嫌気槽S’内の沈殿汚泥202に挿入し、作業者は浄化槽付近で再びリモコン装置300の押しボタンスイッチ301を押すと、吸引通路切換弁73を切換位置(a)に切換えることができる。上記スイッチ操作がなされると、再び真空ポンプ52の吸込側と汚泥槽8とが連通し、汚泥槽8が減圧される。また、減圧される汚泥槽8と吸引・排出ホース10の先端側も連通するため、吸引・排出ホース10の先端部から汚泥槽8内に沈殿汚泥202が吸引回収される。
【0050】
もちろん作業者は、汚泥濃縮車1に戻り、操作装置100の吸引通路切換スイッチ73Sを下方向に操作することで、吸引通路切換弁73を切換位置(a)に切換えることも可能であるが、その分作業者は移動しなければならず、作業効率を悪くすることになる。
<凝集反応処理>
【0051】
沈殿汚泥202の汚泥槽8への吸引回収が完了した後、作業者は汚泥濃縮車に戻り、操作装置100を操作して、図6に示すように、反応槽7内に吸引した中間水201に対して凝集反応処理を施す。
【0052】
この凝集反応処理を行うため、上記状態より、エア切換レバー61Lを操作することで、エア切換弁61を切換位置(c)に切換え、閉鎖している開閉弁85,87を開放し、ホースリール開閉レバー79Lを右方に操作することで、開放している長尺ホース開閉弁79を閉鎖する。
【0053】
すると、反応槽7が減圧されて、凝集タンク12側より空気混ざりの凝集液が反応槽7内の中間水201に混入され、バブリングによる攪拌作用によって、凝集反応が均一に促進される。やがて、反応槽7内の中間水201からゲル状の凝集汚泥(2次汚泥)が生成される。
<分離水排出作業>
【0054】
つぎに、図7に示すように、反応槽7内で生成された上記2次汚泥と凝集せずに残った2次汚水とからなる2次汚泥水をドラムスクリーン11へ圧送する。この処理を行うため、上記状態より、吸排操作レバー59Lを操作することで、吸排切換弁59を切換位置(c)とし、吸引通路切換スイッチ73Sを上方向に操作することで、吸引通路切換弁73を切換位置(b)とし、汚泥処理レバー77Lを操作することで、汚泥処理切換弁77を切換位置(b)とする。
【0055】
また、エア切換レバー61Lは、操作した状態を維持することで、エア切換弁61を切換位置(c)に保持し、ホースリール開閉レバー79Lを下方に操作することで、長尺ホース開閉弁79を開放する。また、開放されている開閉弁85,87は閉鎖する。
【0056】
すると、反応槽7内の2次汚泥水は、槽連絡管72、吸引通路切換弁73、連繋管90、汚泥処理切換弁77、第2汚泥水供給管75を通じてドラムスクリーン11に圧送される。この2次汚泥水は、ドラムスクリーン11において2次汚泥(ゲル状の凝集汚泥)と凝集せずに残った2次汚水(分離水)とに分離され、2次汚泥は、ドラムスクリーン11から排出されて汚泥槽8内に蓄積される。
【0057】
一方、2次汚水(分離水)は水中ポンプ11aによって、汚水還流管76、汚泥処理切換弁77、原汚泥吸引管78および吸引・排出ホース10を通じて、浄化槽Sへ圧送される。
【0058】
分離水の戻し作業が完了した後は、真空ポンプ52およびドラムスクリーン11の駆動を停止し、開放した長尺ホース開閉弁79等を閉鎖して、汚泥濃縮車1を処分場まで移動させる。
<濃縮汚泥排出作業>
【0059】
処分場では、開閉弁89に短尺の吸引・排出ホース14を接続し、各種の操作レバーを操作して、吸排切換弁59を切換位置(c)とし、エア切換弁71を切換位置(a)とし、吸引通路切換弁73を切換位置(c)とし、汚泥処理切換弁77を切換位置(a)とし、開閉弁89を開放して、真空ポンプ52を駆動する。すると、汚泥槽8内が加圧されて、汚泥槽8内に蓄積されている濃縮汚泥が排出管88、短尺の吸引・排出ホース14を通じて処分場に排出される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、多数のレバーやスイッチ操作を要する汚泥濃縮装置の操作装置およびそれを備えた汚泥濃縮車に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
A・・・・・汚泥濃縮装置
S・・・・・浄化槽(外部)
1・・・・・汚泥濃縮車
7・・・・・反応槽
8・・・・・汚泥槽
11・・・・ドラムスクリーン(汚泥分離機)
52・・・・真空ポンプ(ポンプ)
59・・・・吸排切換弁
59L・・・吸排操作レバー(操作部材)
61・・・・エア切換弁
61L・・・エア切換レバー(操作部材)
73・・・・吸引通路切換弁
73S・・・吸引通路切換スイッチ(操作部材)
77・・・・汚泥処理切換弁
77L・・・汚泥処理レバー(操作部材)
110・・・操作盤
300・・・リモコン装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥の凝集反応処理が施される反応槽と、
凝集反応処理が施された汚泥を凝集汚泥と汚水とに分離する汚泥分離機と、
前記汚泥分離機にて分離された凝集汚泥を蓄積する汚泥槽と、
前記汚泥槽を加減圧するためのポンプと、
流路を切換える複数の弁と、
前記複数の弁をそれぞれ操作するために操作盤に設けられた複数の操作部材と、
を備える汚泥濃縮装置の操作装置であって、
前記複数の弁のうち少なくとも一つは遠隔制御可能としたことを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の汚泥濃縮装置の操作装置において、
浄化槽の汚泥を汚泥槽あるいは反応槽に切換可能な吸引通路切換弁を遠隔制御可能としたことを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。
【請求項3】
請求項2の吸引通路切換弁は、
前記操作盤に設けられた吸引通路切換スイッチで操作あるいは作業者が携帯可能なリモコン装置で遠隔操作可能であることを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の汚泥濃縮装置の操作装置は、
車両のシャーシフレーム上のサブフレーム後方に搭載可能であることを特徴とする汚泥濃縮車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−62611(P2011−62611A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213689(P2009−213689)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】