説明

汚泥濃縮装置の操作装置および流路表示装置

【課題】初心者にとっては操作し易く、操作になれた者にとっては誤操作の抑制が図られる汚泥濃縮装置の操作装置および流路表示装置を提供する。
【解決手段】反応槽と、ドラムスクリーンと、汚泥槽と、前記槽を加減圧するための真空ポンプと、流路を切換える複数の弁と、を備える汚泥濃縮装置の操作装置100において、複数の弁をそれぞれ操作するための複数の操作レバー59L,61L,77Lと、浄化槽から前記槽へ汚泥を吸引するために操作レバー59L,61L,77Lが操作されるべき方向をそれぞれ案内する第1案内表示117a〜117cと、分離水を浄化槽へ排出するために操作レバー59L,61L,77Lが操作されるべき方向をそれぞれ案内する第2案内表示118a,〜118cと、を備える。そして、第1案内表示117a〜117cと、第2案内表示118a〜118cとは互いに異なる色で表示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化槽から汚泥を取り込んで濃縮する汚泥濃縮装置の操作装置および前記汚泥濃縮装置の流路表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭の浄化槽から汚泥を回収して汚泥処理場へ運搬するために汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車が使用されている(例えば特許文献1を参照。)。汚泥濃縮車によれば、浄化槽の汚泥(原汚泥)を取り込んで固形分の汚泥と水分の汚水とに分離し、分離した汚水を浄化槽に戻して、固形分の汚泥のみを回収して運搬することができる。このため、汚泥処理場までの運搬量を大幅に低減することができる。
【0003】
特許文献1に開示されている汚泥濃縮車によって、浄化槽内の汚泥(原汚泥)から固形分の汚泥を分離回収する場合、作業者により、浄化槽内にホースが挿入され、同文献の第3図に示される車両左後部の操作装置に配置された3〜4個のバルブ操作レバー等が操作される。このレバー操作等によって、汚泥濃縮装置内での流路が切換わり、真空ポンプの吸引力によって、浄化槽内の汚泥が汚泥槽や反応槽に吸引される。
【0004】
その後、操作装置のバルブ操作レバー等が更に操作されて、反応槽に吸引された汚泥は凝集剤と攪拌され、ゲル状に凝集した凝集汚泥が生成する。
【0005】
その後、更に操作装置のバルブ操作レバー等が操作されて、凝集反応処理が施された汚泥が汚泥槽内の上部に設置されたドラムスクリーン(汚泥分離機)に圧送される。ドラムスクリーンでは、凝集汚泥と凝集せずに残った汚水とが分離され、凝集汚泥は汚泥槽に蓄積され、分離された汚水は浄化槽に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−93591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記汚泥濃縮装置では、多数のレバー操作を要するため、初心者が操作を覚えるのに時間が掛かるという問題があった。また、操作に慣れた作業者であっても、誤操作をするおそれがあった。
【0008】
本発明は、既述の問題点に鑑みてなされたものであり、初心者にとっては操作し易く、操作になれた者にとっては誤操作の抑制が図られる汚泥濃縮装置の操作装置および流路表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置は、以下のように構成されている。
【0010】
すなわち、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置は、汚泥の凝集反応処理が施される反応槽と、凝集反応処理が施された汚泥を凝集汚泥と汚水とに分離する汚泥分離機と、前記汚泥分離機にて分離された凝集汚泥を蓄積する汚泥槽と、前記槽を加減圧するためのポンプと、流路を切換える複数の弁と、を備える汚泥濃縮装置の操作装置であって、前記複数の弁をそれぞれ操作するための複数の操作部材と、外部から前記汚泥槽又は前記反応槽へ汚泥を吸引するために前記複数の操作部材が操作されるべき方向をそれぞれ案内する第1案内表示と、前記汚泥分離機にて分離された汚水を外部へ排出するために前記複数の操作部材が操作されるべき方向をそれぞれ案内する第2案内表示と、を備えるものであり、前記第1案内表示と前記第2案内表示とが互いに異なる色で表示されていることを特徴とするものである。
【0011】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の操作装置によれば、汚泥吸引時に従うべき第1案内表示と分離水排出時に従うべき第2案内表示とが互いに異なる色で表示されていることから、初心者でも簡単に正しい操作を行うことができる。また、操作に慣れた作業者にとっては、誤操作の抑制が図られる。
【0012】
また、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置は、既述の構成において、汚泥濃縮装置における前記反応槽、前記汚泥分離機、前記汚泥槽および配管を模式的に表す絵図と前記模式的に表された配管上に配設された複数の発光体とを有する流路表示盤と、前記弁の操作状態を検出する操作状態検出手段と、前記操作状態検出手段の検出情報と該検出情報に対応付けて予め設定された発光パターンとに基づいて前記各発光体の点灯および消灯を行う発光制御手段と、を備えるものであることが望ましい。
【0013】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の操作装置によれば、弁の操作状態に応じて定まる流路が配管絵図上に表現されるよう、予め弁の操作状態の検出情報に対応付けて複数の発光パターンを設定しておくことにより、作業者は、絵図および発光体の点灯・消灯にて表現される擬似的な流路を見て、汚泥濃縮装置内で行われている処理状態を視覚的に把握することができる。また、絵図および発光体の点灯・消灯にて表現される擬似的な流路を見ながら操作することで、初心者でも比較的容易に正しい操作を行うことができ、操作に慣れた作業者にとっては、誤操作の防止が図られる。
【0014】
また、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置は、既述の構成において、前記流路表示盤は、汚泥濃縮装置における前記ポンプを模式的に表す絵図と、浄化槽を模式的に表す絵図と、を更に有するものであることが望ましい。
【0015】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の操作装置によれば、更に、汚泥濃縮装置内で行われている処理状態を視覚的に把握し易くなる。
【0016】
また、本発明の汚泥濃縮装置の操作装置は、既述の構成において、前記予め設定された発光パターンでは、配管を模式的に表す絵図上に配設された発光体のうち、前記複数の弁の操作状態に応じて流路となる配管の絵図上に配設された発光体と、その他の配管の絵図上に配設された発光体との点灯・消灯状態が相違しているものであることが望ましい。
【0017】
また、前記予め設定された発光パターンでは、配管を模式的に表す絵図上に配設された発光体のうち、前記複数の弁の操作状態に応じて流路となる配管の絵図上に配設された発光体は点灯され、その他の配管の絵図上に配設された発光体は消灯されるものであることが更に望ましい。
【0018】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の操作装置によれば、更に、汚泥濃縮装置内で行われている処理状態を視覚的に把握し易くなる。
【0019】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の汚泥濃縮装置の流路表示装置は、以下のように構成されている。
【0020】
すなわち、本発明の汚泥濃縮装置の流路表示装置は、汚泥の凝集反応処理が施される反応槽と、凝集反応処理が施された汚泥を凝集汚泥と汚水とに分離する汚泥分離機と、前記汚泥分離機にて分離された凝集汚泥を蓄積する汚泥槽と、前記槽を加減圧するためのポンプと、流路を切換える複数の弁と、を備える汚泥濃縮装置の流路表示装置であって、汚泥濃縮装置における前記反応槽、前記汚泥分離機、前記汚泥槽および配管を模式的に表す絵図と、前記模式的に表された配管上に配設された複数の発光体と、前記弁の操作状態を検出する操作状態検出手段と、前記操作状態検出手段の検出情報と該検出情報に対応付けて予め設定された発光パターンとに基づいて、前記各発光体の点灯および消灯を行う発光制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0021】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の流路表示装置によれば、弁の操作状態に応じて定まる流路が配管絵図上に表現されるよう、予め弁の操作状態の検出情報に対応付けて複数の発光パターンを設定しておくことで、作業者は、絵図および発光体の点灯・消灯にて表現される擬似的な流路を見て、汚泥濃縮装置内で行われている処理状態を視覚的に把握することができる。
【0022】
また、本発明の汚泥濃縮装置の流路表示装置は、既述の構成において、汚泥濃縮装置における前記ポンプを模式的に表す絵図と、浄化槽を模式的に表す絵図と、を更に備えることが望ましい。
【0023】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の流路表示装置によれば、更に、汚泥濃縮装置内で行われている処理状態を視覚的に把握し易くなる。
【0024】
また、本発明の汚泥濃縮装置の流路表示装置は、既述の構成において、前記予め設定された発光パターンでは、配管を模式的に表す絵図上に配設された発光体のうち、前記複数の弁の操作状態に応じて流路となる配管の絵図上に配設された発光体と、その他の配管の絵図上に配設された発光体との点灯・消灯状態が相違しているものであることが望ましい。
【0025】
また、前記予め設定された発光パターンでは、配管を模式的に表す絵図上に配設された発光体のうち、前記複数の弁の操作状態に応じて流路となる配管の絵図上に配設された発光体は点灯され、その他の配管の絵図上に配設された発光体は消灯されるものであることが更に望ましい。
【0026】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置の流路表示装置によれば、更に、汚泥濃縮装置内で行われている処理状態を視覚的に把握し易くなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る汚泥濃縮装置の操作装置によれば、初心者でも簡単に操作を行うことができ、操作に慣れた作業者にとっては、誤操作をするおそれが少なくなる。
【0028】
また、本発明に係る汚泥濃縮装置の流路表示装置によれば、絵図および発光体の点灯・消灯にて表現される模擬的な流路を見て、汚泥濃縮装置内で行われている処理状態を視覚的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車の左側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の配管図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の操作装置が備える操作盤を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路表示装置(流路表示盤)を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路表示装置(流路表示盤)の点灯制御回路等を示す回路図である。
【図6】点灯制御回路が各近接センサの検出状態から点灯・消灯パターンを決定するために、参照するテーブルである。
【図7】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路表示装置(流路表示盤)を示す図であって、浄化槽から原汚泥を汚泥槽に吸引する際の流路を表現するようにLEDの点灯および消灯を行っているものである。
【図8】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路表示装置(流路表示盤)を示す図であって、浄化槽から原汚泥を反応槽に吸引する際の流路を表現するようにLEDの点灯および消灯を行っているものである。
【図9】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路表示装置(流路表示盤)を示す図であって、反応槽内で凝集反応処理を行う際の流路を表現するようにLEDの点灯および消灯を行っているものである。
【図10】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置の流路表示装置(流路表示盤)を示す図であって、反応槽から凝集反応処理を施した汚泥をドラムスクリーンで固形分の汚泥と汚水とに分離し、分離水を浄化槽に戻す際の流路を表現するようにLEDの点灯および消灯を行っているものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、汚泥濃縮装置Aを搭載した汚泥濃縮車1の左側面図である。
【0031】
汚泥濃縮車1では、車両2のシャーシフレーム3上にサブフレーム4を設置し、そのサブフレーム4上にタンク5を搭載している。タンク5内は隔壁6によって2槽に隔離されており、隔壁6の前方が反応槽7、隔壁6の後方が汚泥槽8となっている。
【0032】
タンク5の上部にはホースリール9が設置されている。このホースリール9は長尺(例えば60m)のホースである吸引・排出ホース10を巻出し巻取り可能に収容している。
【0033】
汚泥槽8内の上部には、ドラムスクリーン11が設置されている。ドラムスクリーン11は、凝集反応処理が施された汚泥を固形分の凝集汚泥と水分の汚水とに分離する汚泥分離機であり、圧送されてくる汚泥をその回転ドラム式濾過器によって、凝集汚泥と汚水とに分離する。濾過器上に残った凝集汚泥は、斜め下方に排出され、汚泥槽8内に蓄積される。一方、濾過器を通過して落下する汚水は、汚水容器に受け止められ、同容器内に設置された水中ポンプによって、外部(浄化槽等)へ圧送される。なお、ドラムスクリーン11では、浄化槽から直接吸引した原汚泥(凝集反応処理が施されていない汚泥)を固形分の汚泥と水分の汚水とに分離することもできる。
【0034】
タンク5の左前側には凝集液を収容した凝集タンク12が設置され、タンク5の後方にはホースハンガ13が設置されている。ホースハンガ13には、近距離での作業に使用する短尺(例えば10m)の吸引・排出ホース14等が巻き掛けられている。前記長尺の吸引・排出ホース10と短尺の吸引・排出ホース14とは、汚泥濃縮車1の駐車位置から浄化槽までの距離に応じて使い分けられる。
【0035】
[汚泥濃縮装置の配管構成]
上記汚泥濃縮車1が搭載する汚泥濃縮装置Aの配管構成について図2の配管図に基づいて説明する。
【0036】
符号51は汚泥濃縮車1の走行用エンジンの動力を取り出す動力取出装置(PTO)、符号52は動力取出装置(PTO)51によって駆動される真空ポンプである。
【0037】
PTO51は、真空ポンプ52のほかに、油圧ポンプOPを駆動している。油圧ポンプOPは、その吐出側に接続されたオイルモータMを回転駆動する。このオイルモータMの出力軸には、ドラムスクリーン11の回転軸が連結されており、ドラムスクリーン11にオイルモータMの回転駆動力が伝達されるようになっている。Tは油タンクであり、その内部の油は、油圧ポンプOPに吸上げられ、オイルモータMを経た後、戻される。
【0038】
真空ポンプ52の吐出側には、吐出側配管53が接続されており、真空ポンプ52の吸込側には、吸込側配管54が接続されている。吸込側配管54の途中位置には、逆流防止用のチェック弁55が設けられている。
【0039】
吐出側配管53および吸込側配管54は、それぞれ反応槽7に接続された反応槽吸引加圧管57および大気に通じる吸排気管58と連通可能なように吸排切換弁59に接続されている。
【0040】
吸排切換弁59は、3位置4ポートの切換弁からなり、切換位置aに切換えられると、吐出側配管53と吸排気管58とが連通するとともに、吸込側配管54と反応槽吸引加圧管57とが連通する。吸排切換弁59が切換位置bに切換えられると、吐出側配管53と吸込側配管54とが連通するとともに、反応槽吸引加圧管57と吸排気管58とが連通する。吸排切換弁59が切換位置cに切換えられると、吐出側配管53と反応槽吸引加圧管57とが連通するとともに、吸込側配管54と吸排気管58とが連通する。
【0041】
この反応槽吸引加圧管57には、タンク5側から順に、タンク5(反応槽7)内の水位のオーバフローを防止するためのフロート弁64、オーバーフローセフティ弁65が介設されている。また、反応槽吸引加圧管57の途中位置には、大気に通じるリリーフ管66が接続されており、このリリーフ管66には、リリーフ弁67が介設されている。
【0042】
また、反応槽吸引加圧管57の途中位置(リリーフ管66よりタンク5側)には、分岐管62の一端が接続されている。分岐管62の他端は、エア切換弁61の所定ポートに接続されており、このエア切換弁61によって、汚泥槽8に接続された汚泥槽吸引加圧管60と連通可能となっている。
【0043】
エア切換弁61は3位置3ポートの切換弁からなり、エア切換弁61が切換位置aに切換えられると、分岐管62と汚泥槽吸引加圧管60とが連通する。エア切換弁61が切換位置bに切換えられると、分岐管62および汚泥槽吸引加圧管60が大気に通じる。エア切換弁61が切換位置cに切換えられると、分岐管62が閉塞されるとともに、汚泥槽吸引加圧管60が大気に通じる。
【0044】
なお、吸排気管58にはその管路を開閉可能な大気開放弁69が設けられており、この大気開放弁69と上記吸排切換弁59との間に一方向可変絞り弁70の一方のポートが接続されている。上記一方向可変絞り弁70の他方のポートは大気開放状態となっている。
【0045】
符号72は槽連絡管であり、その一端部は反応槽7の底部に接続され、その他端部は吸引通路切換弁73の所定ポートに接続されている。
【0046】
符号74は第1汚泥水供給管であり、その一端部はタンク5の汚泥槽8の上部(下方にドラムスクリーン11が存在しない場所)に接続され、その他端部は吸引通路切換弁73の所定ポートに接続されている。
【0047】
符号75は第2汚泥水供給管であり、その一端部はタンク5の汚泥槽8内のドラムスクリーン11に接続され、その他端部は後述する汚泥処理切換弁77の所定ポートに接続されている。
【0048】
符号76は汚水還流管であり、その一端部はドラムスクリーン11の水中ポンプ11aの吐出口に接続されており、その他端部は後述する汚泥処理切換弁77の所定ポートに接続されている。
【0049】
符号78は、原汚泥吸引管であり、その一端部はその管路を開閉可能な長尺ホース開閉弁79を介して長尺の吸引・排出ホース10に接続されている。一方、原汚泥吸引管78の他端部は汚泥処理切換弁77の所定ポートに接続されている。また、原汚泥吸引管78の途中位置より、分岐管78aが分岐している。この分岐管78aは、その管路を開閉可能な短尺ホース開閉弁80を介して短尺の吸引・排出ホース14に接続可能とされている。
【0050】
槽連絡管72、第1汚泥水供給管74、第2汚泥水供給管75、汚水還流管76および原汚泥吸引管78は、連繋管90によって互いに接続された吸引通路切換弁73および汚泥処理切換弁77によって、互いに連通可能となっている。
【0051】
上記吸引通路切換弁73は、3位置3ポートの切換弁からなり、切換位置aに切換えられると、槽連絡管72が閉塞されるとともに、第1汚泥水供給管74と連繋管90が連通される。吸引通路切換弁73が切換位置bに切換えられると、第1汚泥水供給管74が閉塞されるとともに、槽連絡管72と連繋管90とが連通される。また、吸引通路切換弁73が切換位置cに切換えられると、槽連絡管72と第1汚泥水供給管74とが連通されるとともに、連繋管90が閉塞される。
【0052】
また、汚泥処理切換弁77が切換位置aに切換えられると、第2汚泥水供給管75と汚水還流管76とが連通されるとともに、原汚泥吸引管78と連繋管90とが連通される。汚泥処理切換弁77が切換位置bに切換えられると、汚水還流管76と原汚泥吸引管78とが連通されるとともに、第2汚泥水供給管75と連繋管90とが連通される。
【0053】
凝集タンク12は、反応槽7を貫通して設けられた凝集液注入管84を介して反応槽7の底部に通じている。凝集液注入管84の途中位置には、管路を開閉するための開閉弁85が設けられている。さらに、凝集液注入管84の開閉弁85より反応室7側に、大気に通じる大気吸引管86が接続され、この大気吸引管86にも管路を開閉するための開閉弁87が設けられている。
【0054】
上記開閉弁85および開閉弁87には、開状態を検出する近接センサ85−1,87−1がそれぞれ設けられている。
【0055】
タンク5の後底部には、汚泥槽8から蓄積された汚泥を排出するための排出管88およびその管路を開閉するための開閉弁89が設けられている。
【0056】
[汚泥濃縮装置の操作装置]
次に、汚泥濃縮装置Aの操作装置100について図3に基づいて説明する。汚泥濃縮装置Aの操作装置100は、車両後方に面した操作盤110内に、汚泥濃縮装置Aにおける流路を切換える各種弁を操作する操作レバー(操作部材)59L,61L,73L,77L,79L、流路表示盤(流路表示装置)116等を備えている。
【0057】
符号59Lは、吸排切換弁59を切換操作するための吸排操作レバーである。符号61Lは、エア切換弁61を切換操作するためのエア切換レバーである。符号73Lは、吸引通路切換弁73を切換操作するための吸引通路切換レバーである。符号77Lは、汚泥処理切換弁77を切換操作するための汚泥処理レバーである。符号79Lは、長尺ホース開閉弁79を開閉操作するためのホースリール開閉レバーである。
【0058】
操作盤110上には、外部(例えば浄化槽S)から汚泥槽8又は反応槽7へ汚泥を吸引するために汚泥処理レバー77L、エア切換レバー61Lおよび吸排操作レバー59Lの各レバーが切換操作されるべき方向をそれぞれ案内する操作案内表示(第1案内表示)117a〜117cが設けられている。図3に示す操作盤110では、操作案内表示117aとして、反応槽7と汚泥槽8とを連結することを意味する「タンク連結」という赤色文字が記されている。また、操作案内表示117bとして、外部からタンク5内に汚泥を吸引することを意味する「汚泥吸引」という赤色文字が記されている。また、操作案内表示117cとして、タンク5内の空気を真空ポンプ51にて吸引することを意味する「吸引」という赤色文字が記されている。
【0059】
また、操作盤110上には、汚泥槽8又は反応槽7から外部(例えば浄化槽S)へ分離水を排出するために、汚泥処理レバー77L、エア切換レバー61Lおよび吸排気操作レバー59Lの各レバーが切換操作されるべき方向をそれぞれ案内する操作案内表示(第2案内表示)118a〜118cが設けられている。図3に示す操作盤110では、操作案内表示118aとして、反応槽7だけを吸引、加圧の対象とすることを意味する「凝集反応タンク単独」という青色文字が記されている。また、操作案内表示118bとして、タンク5内から分離水を外部(例えば浄化槽S)に排出することを意味する「分離水排出」という青色文字が記されている。また、操作案内表示118cとして、タンク5内を真空ポンプ51にて加圧することを意味する「加圧」という青色文字が記されている。
【0060】
本実施形態では、操作案内表示(第1案内表示)117a〜117cには赤色を、操作案内表示(第2案内表示)118a〜118cには青色を採用しているが、これらの表示色は、互いに識別可能に相違していればよく、採用する色は赤色および青色に限定されない。また、操作案内表示117a〜117c,118a〜118cとして、文字の代わりに、図形、記号等を採用してもよい。
【0061】
また、操作盤110上には、吸排切換弁59、エア切換弁61、吸引通路切換弁73および汚泥処理切換弁77の各操作状態(切換状態)を検出するために、吸排操作レバー59L、エア切換レバー61L、吸引通路切換レバー73Lおよび汚泥処理レバー77Lの位置をそれぞれ検出する近接センサが各2個設置されている。
【0062】
具体的には、吸排切換弁59が切換位置aとなる吸排操作レバー59Lの操作位置には、近接センサ59−1が設置され、吸排切換弁59が切換位置cとなる吸排操作レバー59Lの操作位置には、近接センサ59−2が設置されている。
【0063】
また、エア切換弁61が切換位置aとなるエア切換レバー61Lの操作位置には、近接センサ61−1が設置され、エア切換弁61が切換位置cとなるエア切換レバー61Lの操作位置には、近接センサ61−2が設置されている。
【0064】
また、吸引通路切換弁73が切換位置aとなる吸引通路切換レバー73Lの操作位置には、近接センサ73−1が、吸引通路切換弁73が切換位置bとなる吸引通路切換レバー73Lの操作位置には、近接センサ73−2が設置されている。
【0065】
また、汚泥処理切換弁77が切換位置aとなる汚泥処理レバー77Lの操作位置には、近接センサ77−1が、汚泥処理切換弁77が切換位置bとなる汚泥処理レバー77Lの操作位置には、近接センサ77−2が設置されている。
【0066】
流路表示盤116は、操作盤110上にビス109にて取り付けられている。流路表示盤116は、浄化槽S並びに汚泥濃縮装置Aの真空ポンプ52、反応槽7、ドラムスクリーン11、汚泥槽8、エア切換弁61、吸引通路切換弁73、汚泥処理切換弁77を模式的に表す絵図を有している。すなわち、図4に示すように、流路表示盤116には、浄化槽絵図AS、真空ポンプ絵図A52、反応槽絵図A7、ドラムスクリーン絵図A11、汚泥槽絵図A8、エア切換弁絵図A61、吸引通路切換弁絵図A73、汚泥処理切換弁絵図A77が描かれている。
【0067】
さらに、流路表示盤116には、汚泥濃縮装置Aの各配管を模式的に表す絵図として、吸引・排出ホース絵図A10、第2汚泥水供給管絵図A75、汚水還流管絵図A76、槽連絡管絵図A72、第1汚泥水供給管絵図A74、汚泥槽吸引加圧管絵図A60、反応槽吸引加圧管絵図A57、分岐管絵図A62、凝集液注入管絵図A84、大気吸引管絵図A86等が描かれている。
【0068】
なお、本実施形態においては、汚泥濃縮装置Aの各部に対応する絵図は、「〜絵図」と称し、図面において、汚泥濃縮装置Aの各部の符号の頭に「A」を付した符号を用いている。但し、吸排切換弁59、吐出側配管53、吸込側配管54、吸込側配管54等に対応する絵図は、簡略化のために省略している。
【0069】
上記各配管絵図および各切換弁絵図上には、発光体としてのLED(発光ダイオード)120が所定間隔をおいて多数配設されている。LED120としては例えば赤色LEDが使用される。
【0070】
図5に示すように、流路表示盤116上に設けられたLED120−1〜LED120−n(nは使用されているLED120の数)の点灯および消灯を制御する点灯制御回路121は、近接センサ59−1,59−2,61−1,61−2,73−1,73−2,77−1,77−2,85−1,87−1からの出力信号に基づいて、各LED120−1〜LED120−nの点灯・消灯を制御する。点灯制御回路121は、そのROM121aに、上記各近接センサからの出力信号に対応付けた点灯・消灯パターン(発光パターン)を記憶しており、この点灯・消灯パターンに従って各LED120−1〜LED120−nの点灯および消灯を行う。
【0071】
上記ROM121aに記憶されている点灯・消灯パターンについて、図6に示すテーブルおよび図7〜図10に示す流路表示盤116に基づいて説明する。なお、図7〜図10では、点灯しているLED120を黒丸で表現し、消灯しているLED120を白丸で表現している。
【0072】
本実施形態では、後述する何れの点灯・消灯パターンにおいても、弁の操作状態に応じて流路となる配管を模式的に表す配管絵図上に配設されたLED120が点灯され、その他の配管絵図上に配設されたLEDが消灯されるものとなっている。
【0073】
ROM121aに記録された点灯・消灯パターンによって実行される流路表示盤116上での各LEDの点灯および消灯は、図7〜図10に示すようなものである。図6のテーブルは、ROM121aに格納されており、点灯制御回路121が各近接センサの検出状態から点灯・消灯パターンを決定する際に参照するものである。同テーブルの各列L1〜L4は、4通りの各近接センサの検出状態を示している。すなわち、各列L1〜L4の何れかの検出状態が満たされれば、点灯制御回路121は、これらの検出状態にそれぞれ対応付けた点灯・消灯パターンに従って各LED120の点灯および消灯を実行する。一方、各列L1〜L4の何れの検出状態も満たされなければ、点灯制御回路121は、全てのLED120を消灯する。
【0074】
例えば、点灯制御回路121が近接センサ59−1,61−1,73−1,77−1のON状態を検出し、近接センサ59−2,61−2,73−2,77−2,85−1,87−1のOFF状態を検出すると、図6のテーブルの列L1の検出状態が満たされる。すると、点灯制御回路121は、図7に示すように、吸引・排出ホース絵図A10、連繋管絵図A90、第1汚泥水供給管絵図A74、汚泥槽吸引加圧管絵図A60、分岐管絵図A62、反応槽吸引加圧管絵図A57およびエア切換弁絵図A61上のLED120を点灯し、汚泥処理切換弁絵図A77および吸引通路切換弁絵図A73上のLED120の一部も図示するように点灯する。つまり、汚泥処理切換弁絵図A77上のLED120については、図7に示すように、吸引・排出ホース絵図A10上で点灯するLED120と、連繋管絵図A90上で点灯するLED120とが連続して見えるように、点灯および消灯が行われる。また、吸引通路切換弁絵図A73上のLED120については、同図に示すように、連繋管絵図A90上で点灯するLED120と第1汚泥水供給管絵図A74上で点灯するLED120とが連続して見えるように、点灯および消灯が行われる。なお、点灯制御回路121は、第2汚泥水供給管絵図A75、汚水還流管絵図A76、槽連絡管絵図A72、凝集液注入管絵図A84および大気吸引管絵図A86上のLED120ついては消灯する。
【0075】
また、点灯制御回路121が近接センサ59−1,61−1,73−2,77−1のON状態を検出し、近接センサ59−2,61−2,73−1,77−2,85−1,87−1のOFF状態を検出すると、図6のテーブルの列L2の検出状態が満たされる。すると、点灯制御回路121は、図8に示すように、吸引・排出ホース絵図A10、連繋管絵図A90、槽連絡管絵図A72、反応槽吸引加圧管絵図A57、汚泥槽吸引加圧管絵図A60、分岐管絵図A62およびエア切換弁絵図A61上のLED120を点灯し、汚泥処理切換弁絵図A77および吸引通路切換弁絵図A73上のLED120の一部も図示するように点灯する。つまり、汚泥処理切換弁絵図A77上のLED120については、図8に示すように、吸引・排出ホース絵図A10上で点灯するLED120と、連繋管絵図A90上で点灯するLED120とが連続して見えるように、点灯および消灯が行われる。また、吸引通路切換弁絵図A73上のLED120については、同図に示すように、連繋管絵図A90上で点灯するLED120と槽連絡管絵図A72上で点灯するLED120とが連続して見えるように、点灯および消灯が行われる。なお、点灯制御回路121は、第2汚泥水供給管絵図A75、汚水還流管絵図A76、第1汚泥水供給管絵図A74、凝集液注入管絵図A84および大気吸引管絵図A86上のLED120については消灯する。
【0076】
また、点灯制御回路121が近接センサ59−1,61−2,73−1,77−1,85−1,87−1のON状態を検出し、近接センサ59−2,61−1,73−2,77−2のOFF状態を検出すると、図6のテーブルの列L3の検出状態が満たされる。すると、点灯制御回路121は、図9に示すように、凝集液注入管絵図A84、大気吸引管絵図A86および反応槽吸引加圧管絵図A57上のLED120を点灯し、その他のLED120を消灯する。
【0077】
また、点灯制御回路121が近接センサ59−2,61−2,73−2,77−2のON状態を検出し、近接センサ59−1,61−1,73−1,77−1,85−1,87−1のOFF状態を検出すると、図6のテーブルの列L4の検出状態が満たされる。すると、点灯制御回路121は、図10に示すように、吸引・排出ホース絵図A10、汚水還流管絵図A76、第2汚泥水供給管絵図A75、連繋管絵図A90、槽連絡管絵図A72および反応槽吸引加圧管絵図A57上のLED120を点灯し、汚泥処理切換弁絵図A77および吸引通路切換弁絵図A73上のLED120の一部も図示するように点灯する。つまり、図10では、吸引・排出ホース絵図A10上で点灯するLED120と、汚水還流管絵図A76上で点灯するLED120とが連続して見え、且つ、第2汚泥水供給管絵図A75上で点灯するLED120と、連繋管絵図A90上で点灯するLED120とが連続して見えるように、汚泥処理切換弁絵図A77上のLED120の点灯および消灯が行われる。
【0078】
また、連繋管絵図A90上で点灯するLED120と槽連絡管絵図A72上で点灯するLED120とが連続して見えるように、吸引通路切換弁絵図A73上のLED120の点灯および消灯が行われる。点灯制御回路121は、その他のLED120については消灯する。
【0079】
[作業手順およびLED点灯・消灯動作]
以下、上記構成を備える汚泥濃縮車1により浄化槽Sの清掃処理を行う際の作業手順および流路表示盤116におけるLED120の点灯・消灯動作について説明する。
【0080】
<原汚泥吸引作業1>
浄化槽Sから汚泥槽8へ原汚泥を吸引する場合、吸引・排出ホース10をホースリール9から巻き出し、その先端を浄化槽Sの嫌気槽S’へ挿入する。長尺の吸引・排出ホース10に代えて短尺の吸引・排出ホース14を使用することもできる。
【0081】
嫌気槽S’内では、通常、上から順に、スカム200、中間水201および沈殿汚泥202で3層を形成している(図2参照)。各層のタンク5内への吸引作業は、上層のスカム200、中間層の中間水201、下層の沈殿汚泥202の順に行われる。
【0082】
上層のスカム200は、比較的固形分の占める割合が高いため、ドラムスクリーン11を通さずに直接汚泥槽8内に吸引回収する。この吸引回収を行うため、吸引・排出ホース10の先端を嫌気槽S’内のスカム200に挿入し、真空ポンプ52を駆動する。更に、図3に示す、吸排操作レバー59Lを赤色の第1案内表示117cの方に操作することで吸排切換弁59を切換位置aとし、汚泥処理レバー77Lを同じく赤色の第1案内表示117bの方に操作することで汚泥処理切換弁77を切換位置aとし、吸引通路切換レバー73Lを下方に操作することで、吸引通路切換弁73を切換位置aとし、エア切換レバー61Lを赤色の第1案内表示117aの方に操作することで、エア切換弁61を切換位置aとし、ホースリール開閉レバー79Lを下方向に操作することで、長尺ホース開閉弁79を開放する。なお、大気開放弁69、短尺ホース開閉弁80、開閉弁85,87,89は閉鎖されている。
【0083】
なお、浄化槽Sからタンク5(汚泥槽8)へ汚泥を吸引するために吸引吸排操作レバー59L、エア切換レバー61Lおよび汚泥処理レバー77Lが操作されるべき方向を案内する3つの第1案内表示が何れも赤色で表示されており、第2案内表示の色(青色)と異なるため、上記レバー59L,61L,77Lの操作については、初心者でも簡単に行うことができる。また、操作に慣れた作業者にとっては、誤操作をするおそれが少なくなる。
【0084】
上記各種レバー等の操作がなされると、真空ポンプ52の吸込側と汚泥槽8とが連通して、汚泥槽8が減圧される。減圧される汚泥槽8と吸引・排出ホース10の先端側も連通するため、吸引・排出ホース10の先端部から汚泥槽8内にドラムスクリーン11を介さずにスカム200が吸引回収される。
【0085】
このとき、図6のテーブルの列L1の検出状態が満たされるため、点灯制御回路121は、図7に示すように、吸引・排出ホース絵図A10、連繋管絵図A90、第1汚泥水供給管絵図A74、汚泥槽吸引加圧管絵図A60、分岐管絵図A62、反応槽吸引加圧管絵図A57およびエア切換弁絵図A61上のLED120を点灯し、汚泥処理切換弁絵図A77および吸引通路切換弁絵図A73上のLED120の一部を点灯し、その他のLED120は消灯する。
【0086】
このように、LED120の点灯・消灯が行われることで、流路表示盤116を見ながら作業を行う作業者は、浄化槽Sから原汚泥(スカム200)が吸引排出ホース10を通じて汚泥槽8内に吸引回収されるとともに、汚泥槽8が真空ポンプ52によって減圧されることを視覚的に把握することができる。
【0087】
<原汚泥吸引作業2>
スカム200の汚泥槽8への吸引回収が完了した後、中間水201をタンク5内へ吸引する。中間水201は、比較的水分の占める割合が高いため、反応槽7へ吸引する。この吸引を行うため、上記状態より、吸引・排出ホース10の先端を嫌気槽S’内の中間水201に挿入する。そして、吸引通路切換レバー73Lを左方に操作することで、吸引通路切換弁73を切換位置bに切換える。これにより近接センサ73−1がONからOFFに変化するとともに、近接センサ73−2がOFFからONに変化する。
【0088】
上記レバー操作がなされると、減圧された反応槽7と吸引・排出ホース10の先端側が連通されるため、吸引・排出ホース10の先端部から反応槽7内に中間水201が吸引回収される。
【0089】
このとき、図6のテーブルの列L2の検出状態が満たされるため、点灯制御回路121は、図8に示すように、吸引・排出ホース絵図A10、連繋管絵図A90、槽連絡管絵図A72、反応槽吸引加圧管絵図A57、汚泥槽吸引加圧管絵図A60、分岐管絵図A62およびエア切換弁絵図A61上のLED120を点灯し、汚泥処理切換弁絵図A77および吸引通路切換弁絵図A73上のLED120の一部も点灯し、その他のLED120は消灯する。
【0090】
このように、LED120の点灯・消灯が行われることで、流路表示盤116を見ながら作業を行う作業者は、浄化槽Sから原汚泥(中間水201)が吸引排出ホース10を通じて反応槽7内に吸引されるとともに、反応槽7が真空ポンプ52によって減圧されることを視覚的に把握することができる。
【0091】
<原汚泥吸引作業3>
中間水201の反応槽7への吸引が完了した後、沈殿汚泥202をタンク5内へ吸引する。沈殿汚泥202は、比較的固形分の占める割合が高いため、ドラムスクリーン11を介さずに、直接汚泥槽8内に吸引回収する。この吸引回収を行うため、上記状態より、吸引・排出ホース10の先端を嫌気槽S’内の沈殿汚泥202に挿入し、再び吸引通路切換レバー73Lを下方向に戻すことで、吸引通路切換弁73を切換位置aに切換える。これにより近接センサ73−1がOFFからONに変化するとともに、近接センサ73−2がONからOFFに変化する。
【0092】
上記レバー操作がなされると、再び真空ポンプ52の吸込側と汚泥槽8とが連通し、汚泥槽8が減圧される。また、減圧される汚泥槽8と吸引・排出ホース10の先端側も連通するため、吸引・排出ホース10の先端部から汚泥槽8内に沈殿汚泥202が吸引回収される。
【0093】
このとき、図6のテーブルの列L1の検出状態が満たされるため、点灯制御回路121は、図7に示すように、LED120の点灯・消灯を行う。
【0094】
このように、LED120の点灯・消灯が行われることで、流路表示盤116を見ながら作業を行う作業者は、浄化槽Sから原汚泥(沈殿汚泥202)が吸引排出ホース10を通じて汚泥槽8内に吸引回収されるとともに、汚泥槽8が真空ポンプ52によって減圧されることを視覚的に把握することができる。
【0095】
<凝集反応処理>
沈殿汚泥202の汚泥槽8への吸引回収が完了した後、反応槽7内に吸引した中間水201に対して凝集反応処理を施す。この凝集反応処理を行うため、上記状態より、エア切換レバー61Lを青色の第2案内表示118aの方へ操作することで、エア切換弁61を切換位置cに切換え、閉鎖している開閉弁85,87を開放し、ホースリール開閉レバー79Lを右方に操作することで、開放している長尺ホース開閉弁79を閉鎖する。すると、反応槽7が減圧されて、凝集タンク12側より空気混ざりの凝集液が反応槽7内の中間水201に混入され、バブリングによる攪拌作用によって、凝集反応が均一に促進される。やがて、反応槽7内の中間水201からゲル状の凝集汚泥(2次汚泥)が生成される。
【0096】
このとき、図6のテーブルの列L3の検出状態が満たされるため、点灯制御回路121は、図9に示すように、凝集液注入管絵図A84、大気吸引管絵図A86および反応槽吸引加圧管絵図A57上のLED120を点灯し、その他のLED120を消灯する。
【0097】
この場合、流路表示盤116を見ながら作業を行う作業者は、反応槽7が真空ポンプ52によって減圧され、凝集タンク12から凝集剤が反応槽7内に供給されて、反応槽7内で凝集反応処理が行われていることを視覚的に把握することができる。
【0098】
<分離水排出作業>
つぎに、反応槽7内で生成された上記2次汚泥と凝集せずに残った2次汚水とからなる2次汚泥水をドラムスクリーン11へ圧送する。この処理を行うため、上記状態より、吸排操作レバー59Lを青色の第2案内表示118cの方に操作することで、吸排切換弁59を切換位置cとし、吸引通路切換レバー73Lを左方に操作することで、吸引通路切換弁73を切換位置bとし、汚泥処理レバー77Lを青色の第2案内表示118bの方に操作することで、汚泥処理切換弁77を切換位置bとする。また、エア切換レバー61Lは、青色の第2案内表示118aの方へ操作した状態を維持することで、エア切換弁61を切換位置cに保持し、ホースリール開閉レバー79Lを下方に操作することで、長尺ホース開閉弁79を開放する。また、開放されている開閉弁85,87は閉鎖する。すると、反応槽7内の2次汚泥水は、槽連絡管72、吸引通路切換弁73、連繋管90、汚泥処理切換弁77、第2汚泥水供給管75を通じてドラムスクリーン11に圧送される。この2次汚泥水は、ドラムスクリーン11において2次汚泥(ゲル状の凝集汚泥)と凝集せずに残った2次汚水(分離水)とに分離され、2次汚泥は、ドラムスクリーン11から排出されて汚泥槽8内に蓄積される。一方、2次汚水(分離水)は水中ポンプ11aによって、汚水還流管76、汚泥処理切換弁77、原汚泥吸引管78および吸引・排出ホース10を通じて、浄化槽Sへ圧送される。
【0099】
なお、ドラムスクリーン11にて分離された分離水(汚水)を浄化槽Sへ排出するために吸引吸排操作レバー59L、エア切換レバー61Lおよび汚泥処理レバー77Lが操作されるべき方向を案内する3つの第2案内表示が何れも青色で表示されており、第1案内表示の色(赤色)と異なるため、上記レバー59L,61L,77Lの操作については、初心者でも簡単に行うことができる。また、操作に慣れた作業者にとっては、誤操作をするおそれが少なくなる。
【0100】
このとき、図6のテーブルの列L4の検出状態が満たされるため、点灯制御回路121は、図10に示すように、吸引・排出ホース絵図A10、汚水還流管絵図A76、第2汚泥水供給管絵図A75、連繋管絵図A90、槽連絡管絵図A72および反応槽吸引加圧管絵図A57上のLED120を点灯し、汚泥処理切換弁絵図A77および吸引通路切換弁絵図A73上のLED120の一部も点灯し、その他のLED120を消灯する。
【0101】
このように、LED120の点灯・消灯が行われることで、流路表示盤116を見ながら作業を行う作業者は、真空ポンプ52によって反応槽7が加圧され、反応槽7内の凝集反応処理が施された汚泥水がドラムスクリーン11に圧送され、更にドラムスクリーン11によって分離された分離水が浄化槽Sに戻されることを視覚的に把握することができる。
【0102】
分離水の戻し作業が完了した後は、真空ポンプ52およびドラムスクリーン11の駆動を停止し、開放した長尺ホース開閉弁79等を閉鎖して、汚泥濃縮車1を処分場まで移動させる。
【0103】
<濃縮汚泥排出作業>
処分場では、開閉弁89に短尺の吸引・排出ホース14を接続し、各種の操作レバーを操作して、吸排切換弁59を切換位置cとし、エア切換弁71を切換位置aとし、吸引通路切換弁73を切換位置cとし、汚泥処理切換弁77を切換位置aとし、開閉弁89を開放して、真空ポンプ52を駆動する。すると、汚泥槽8内が加圧されて、汚泥槽8内に蓄積されている濃縮汚泥が排出管88、短尺の吸引・排出ホース14を通じて処分場に排出される。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、多数のレバー操作を要する汚泥濃縮装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
A・・・・・汚泥濃縮装置
AS・・・・浄化槽絵図
A7・・・・反応槽絵図
A8・・・・汚泥槽絵図
A10,A57,A62,A72,A74〜A76,A84,A86,A90・・・・・・・・・・・配管絵図
A11・・・ドラムスクリーン絵図(汚泥分離機絵図)
A52・・・ポンプ絵図
S・・・・・浄化槽(外部)
7・・・・・反応槽
8・・・・・汚泥槽
11・・・・ドラムスクリーン(汚泥分離機)
52・・・・真空ポンプ(ポンプ)
59・・・・吸排切換弁
59L・・・吸排操作レバー(操作部材)
59−1,59−2,61−1,61−2,73−1,73−2,77−1,77−2・・・・・・・近接センサ(操作状態検出手段)
61・・・・エア切換弁
61L・・・エア切換レバー(操作部材)
73・・・・吸引通路切換弁
73L・・・吸引通路切換レバー(操作部材)
77・・・・汚泥処理切換弁
77L・・・汚泥処理レバー(操作部材)
110・・・操作盤
116・・・流路表示盤(流路表示装置)
117a〜117b・・・第1案内表示
118a〜118b・・・第2案内表示
120・・・LED(発光体)
121・・・点灯制御回路(発光制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥の凝集反応処理が施される反応槽と、凝集反応処理が施された汚泥を凝集汚泥と汚水とに分離する汚泥分離機と、前記汚泥分離機にて分離された凝集汚泥を蓄積する汚泥槽と、前記槽を加減圧するためのポンプと、流路を切換える複数の弁と、を備える汚泥濃縮装置の操作装置であって、
前記複数の弁をそれぞれ操作するための複数の操作部材と、
外部から前記汚泥槽又は前記反応槽へ汚泥を吸引するために前記複数の操作部材が操作されるべき方向をそれぞれ案内する第1案内表示と、
前記汚泥分離機にて分離された汚水を外部へ排出するために前記複数の操作部材が操作されるべき方向をそれぞれ案内する第2案内表示と、
を備え、
前記第1案内表示と前記第2案内表示とが互いに異なる色で表示されていることを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の汚泥濃縮装置の操作装置において、
汚泥濃縮装置における前記反応槽、前記汚泥分離機、前記汚泥槽および配管を模式的に表す絵図と前記模式的に表された配管上に配設された複数の発光体とを有する流路表示盤と、
前記弁の操作状態を検出する操作状態検出手段と、
前記操作状態検出手段の検出情報と該検出情報に対応付けて予め設定された発光パターンとに基づいて、前記各発光体の点灯および消灯を行う発光制御手段と、
を備えることを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の汚泥濃縮装置の操作装置において、
前記流路表示盤は、汚泥濃縮装置における前記ポンプを模式的に表す絵図と、浄化槽を模式的に表す絵図と、を更に有することを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の汚泥濃縮装置の操作装置において、
前記予め設定された発光パターンでは、配管を模式的に表す絵図上に配設された発光体のうち、前記複数の弁の操作状態に応じて流路となる配管の絵図上に配設された発光体と、その他の配管の絵図上に配設された発光体との点灯・消灯状態が相違していることを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の汚泥濃縮装置の操作装置において、
前記予め設定された発光パターンでは、配管を模式的に表す絵図上に配設された発光体のうち、前記複数の弁の操作状態に応じて流路となる配管の絵図上に配設された発光体は点灯され、その他の配管の絵図上に配設された発光体は消灯されることを特徴とする汚泥濃縮装置の操作装置。
【請求項6】
汚泥の凝集反応処理が施される反応槽と、凝集反応処理が施された汚泥を凝集汚泥と汚水とに分離する汚泥分離機と、前記汚泥分離機にて分離された凝集汚泥を蓄積する汚泥槽と、前記槽を加減圧するためのポンプと、流路を切換える複数の弁と、を備える汚泥濃縮装置の流路表示装置であって、
汚泥濃縮装置における前記反応槽、前記汚泥分離機、前記汚泥槽および配管を模式的に表す絵図と、
前記模式的に表された配管上に配設された複数の発光体と、
前記弁の操作状態を検出する操作状態検出手段と、
前記操作状態検出手段の検出情報と該検出情報に対応付けて予め設定された発光パターンとに基づいて、前記各発光体の点灯および消灯を行う発光制御手段と、
を備えることを特徴とする汚泥濃縮装置の流路表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の汚泥濃縮装置の流路表示装置において、
汚泥濃縮装置における前記ポンプを模式的に表す絵図と、
浄化槽を模式的に表す絵図と、
を更に備えることを特徴とする汚泥濃縮装置の流路表示装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の汚泥濃縮装置の流路表示装置において、
前記予め設定された発光パターンでは、配管を模式的に表す絵図上に配設された発光体のうち、前記複数の弁の操作状態に応じて流路となる配管の絵図上に配設された発光体と、その他の配管の絵図上に配設された発光体との点灯・消灯状態が相違していることを特徴とする汚泥濃縮装置の流路表示装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の汚泥濃縮装置の流路表示装置において、
前記予め設定された発光パターンでは、配管を模式的に表す絵図上に配設された発光体のうち、前記複数の弁の操作状態に応じて流路となる配管の絵図上に配設された発光体は点灯され、その他の配管の絵図上に配設された発光体は消灯されることを特徴とする汚泥濃縮装置の流路表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−214317(P2010−214317A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65699(P2009−65699)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】