説明

沈め釣り用浮き

【課題】従来の浮きは、急流や激流において、浮きに抵抗が掛かったり、ラインが止まって浮きに抵抗が掛かれば、左右の横ブレや、尻ブレを起こしたり、流れに負けて浮き上がっていた。
【解決手段】浮きを沈めるために、角度の違う潜行板を数種類用意して、急流や激流において、状況に適した潜行板を選び、浮きに取り付けて潜行板の角度で浮きを沈めて、棚を探れるようにした。そのうえ、浮きの上部に平面Bを設けたことで、その平面Bに潮の抵抗を受けて押えられ浮き上がりを防止する。流れの上層に落ち着く為そのままの使用も可能である。さらに、潮の状況に応じて潜行板を取り付けた場合に、浮きに設けた平面Bで、潜行をスム−ズに補助する機能を有する浮きである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はつり用浮きで沈め釣りに関する浮きである。
【背景技術】
【0002】
従来は、マキエに合わせて浮きを沈めていき、ツケエとマキエを同調させる沈め釣りで、潮の流れが緩いときや、普通の流れのときは、ラインや浮きに掛かる潮の抵抗が弱いため、マキエの沈下速度にあわせた浮力調整だけで沈め釣りが可能であるが、急流や激流においては、潮の抵抗が強くて浮きが浮き上がっていた。そのため、ラインに掛かる抵抗に負けないようにかなりの錘で浮きを調整して、ラインの操作で沈め釣りをしていた。そのライン操作で、抵抗を強く掛けたり、ラインを止めたりすれば、潮の抵抗がラインや浮きに掛かりすぎて、浮きが左右に横ブレしたり、尻ブレを起こしたり、また、すぐに浮き上がったりして安定せず、浮きの動きがツケエに作用してマキエとの同調が出来ず、思い通りの沈め釣りができない問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、急流や激流において、マキエの沈下速度にツケエを同調させるライン操作で、ラインに抵抗を掛けすぎたり、止めたりした場合に、浮きが左右に横ブレしたり、尻ブレしたり、浮き上がったりしないように浮きを安定させて、色んな状況の変化に対応して、ツケエとマキエを同調させた沈め釣りが、一個の浮きで出来ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そして、本発明は上記目的を達成するために、両側に、軸線に直角に端面(X)を設けて浮き本体(A)を形成し、浮き本体(A)の端面(X)間の芯を貫いて横通穴(H)を設け、その浮き本体(A)の側面中央に、浮力調整用の雄ネジを有するボルト(4)を設け、分銅錘(5)と角度の異なる潜行板(C)と重さの異なる基錘(6)をそれぞれ複数用意し、複数の分銅錘(5)および潜行板(C)および基錘(6)の中から選ばれた、適当な分銅錘(5)および潜行板(C)をボルト(4)に取り付け、そのボルト(4)に螺合する雌ネジ(61)を有する基錘(6)を取り付けて、分銅錘(5)と潜行板(C)を固設した釣り用浮きである。
【0005】
第2の課題解決手段は、前記浮き本体(A)側面に設けたボルト(4)の反対側側面に、一方の端面(X)から他方の端面(X)にかけて、横通穴(H)に平行か又は前下がりの平面(B)を、潜行補助手段として設けた請求項1記載の釣り用浮き(A1)である。
【0006】
第三の課題解決手段は、両側に、軸線に直角に端面(X)を設けて浮き本体(A)を形成し、浮き本体(A)の端面(X)間の芯を貫いて横通穴(H)を設け、その浮き本体(A)の側面中央に、浮力調整用の雄ネジを有するボルト(4)を設け、そのボルト(4)を設けた浮き本体(A)の 反対側側面に、一方の端面(X)から他方の端面(X)にかけて、横通穴(H)に平行か又は前下がりの平面(B)を設け、分銅錘(5)と角度の異なる潜行板(C)と重さの異なる基錘(6)をそれぞれ複数用意し、複数の分銅錘(5)および潜行板(C)および基錘(6)の中から選ばれた、適当な分銅錘(5)および潜行板(C)をボルト(4)に取り付け、そのボルト(4)に螺合する雌ネジ(61)を有する基錘(6) を取り付けて、分銅錘(5)と潜行板(C)を固設した釣り用浮きである。
【0007】
第一の課題による作用は、浮きA側面に設けたボルト4に、複数の分銅錘5と潜行板Cを取り付け、そのボルトに基錘6を取り付けて、分銅錘5と潜行板Cを固設した浮きで、浮き本体Aの外部に基錘6を取り付けたことで、横通穴Hを有する従来の浮きの中では、低重心で安定性に優れ、急流や激流に於いて潜行板Cを取り付けて浮きを沈める場合に、ラインの操作で、ラインや浮きに抵抗が強く掛かっても左右の横ブレがなく、浮き上がりを防止して、一定の棚に落ち着く効果を発揮する。
【0008】
また、第二の課題解決手段による作用は次のとおりである。
すなはち、(図1参照)、請求項1記載の、浮きA側面に設けたボルト4の反対側側面に、一方の端面Xからもう一方の端面Xに掛けて平面Bを設けたことで、(図4、5参照)ライン操作で浮きに抵抗が掛かれば、浮きの端面Xと基錘6に潮の抵抗を受けて、浮きA1がしり上がりになり浮きの平面Bに傾斜が生じる。
そのため、その平面Bが受ける潮の流れで、浮きが押えられ流れの上層に落ち着いて、浮き上がりを防止する事が出来る。
【発明の効果】
【0009】

本発明は、横通穴を有する浮きA本体の外側に、分銅錘と潜行板を基錘で動かぬように固設した浮きである。錘内蔵型の浮きではなく、浮き本体の外側に錘を突出して取り付けたことで、従来の浮きより低重心で安定性に優れ、急流や激流において、沈め釣りのライン操作で、潮の抵抗を強く掛けたりラインを止めたりした場合に、左右に横ブレする事も無く、潜行板の角度に合った一定の棚に浮きが沈み落ち着くため、釣りの状況に適した潜行板を選び、安定した沈め釣りを提供できる。
【0010】
また、本発明の請求項2記載の浮きは、請求項1記載の浮き側面に設けたボルトの反対側側面に、一方の端面からもう一方の端面に掛けて、横通穴に平行か又は前下がりの平面を設けたものである。
そこで、ライン操作で浮きに抵抗が掛かれば、浮きの端面Xと基錘6に抵抗が掛かり、浮きがしり上がりになり平面に傾斜が生じる。その平面が受ける潮の流れで浮きが押えられて、流れの上層に落ち着いて浮き上がりを防止する。 そのため、浮きはそのまま使用できるが、
さらに、請求項3記載の潜行板を取り付けた場合に、潜行をスム−ズに補助する効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0012】
第一実施例は、急流や激流の沈め釣りにおいて、(図1参照)、潮の抵抗を受ける端面Xを有し、横通穴Hを設けた浮きAに、分銅錘5および角度の違う潜行板Cおよび重さの異なる基錘6を複数用意した中から、 浮き本体Aの側面中央に設けたボルト4に、マキエの沈下速度に合わせるため、適当な分銅錘5を取り付けて浮力の微調整をし、そのうえ、(図3参照)釣りの状況に合った適当な潜行板Cを選びボルト4に取り付け、さらに、適当な基錘6を選びボルト4に取り付けて、分銅錘5と潜行板Cを動かぬように固設した沈め釣り用の浮きAである。
【0013】
そこで、(図2,3参照)、潜行板Cは角度の違うものを数種類用意し、ライン操作で潮の抵抗が掛かると、潜行板Cの角度が浅ければ浅い棚、深ければ深い棚に沈み落ち着くため、急流や激流において、釣りの状況に適した潜行板Cを選び浮きAに取り付けて浮きを沈め、棚を探る沈め釣りを提供できる。
【0014】
又、(図1参照)、基錘6を浮きのボルト4に取り付けて外部に突出して設けたことで、浮きAが低重心になり安定して横ブレを防ぎ、さらには、沈め釣りで浮きの端面Xと共に潮の抵抗を受けてラインを引っ張り、仕掛けに張りをつくる役目をする。そのため、仕掛けに張りが生まれ魚の当たりが直接手元に来て当たりが取りやすい。
そのうえ、基錘6は、潮の流れに適した沈め釣りをするために、浮力の基礎調整をするものである。そこで、重さの異なる基錘を複数用意した中から、流れが緩やかな場合は軽い基錘6で、速い場合はラインに掛かる潮の抵抗で浮きが浮き上がりやすいため、重い基錘6で基礎調整をして沈め釣りをする。なお、微調整は分銅錘5でする。
【0015】
(図1参照)分銅錘5は、基錘6で浮きを基礎調整したあとに、浮きの微調整をするものである。又、分銅錘5は、浮きのボルト4より若干大きめの穴を設けたワッシャ−状の錘で、その大きさや厚みで重さを区別したものである、そこで、同じ重さおよび重さの異なる分銅錘を複数用意して、釣りの状況に合わせて微調整をして使用する。
【0016】
第二実施例は、(図1参照)、請求項1記載の、浮き本体Aの側面に設けたボルト4の反対側側面に、一方の端面Xからもう一方の端面Xに掛けて、(図4参照)、図面において横通穴Hに平行か又は前下がりの平面Bを、浮きの上部に潜行補助手段として設けた沈め釣り用の浮きA1である。
そのため、(図6参照)、急流や激流においてのライン操作で、浮きに抵抗を強く掛けたり止めたりした場合に、浮きA1の端面Xと基錘6に潮の抵抗を受けて、浮きが尻あがりの状態になり、平面Bに傾斜が生じる。
その平面Bが潮の流れを受けて浮きが押えられ、浮き上がりを防止して上層の流れに沈み落ち着くため、沈め釣りにこのまま使用できる。
【0017】
第三実施例は、(図4、参照)、図において、浮きがスム−ズに潜行するように潜行補助手段として、浮きAの上部に潮の抵抗を受ける平面Bを設けて浮きA1を形成し、その浮きA1のボルト4に複数の分銅錘5を取り付けて、マキエの沈下速度に合わせて浮力微調整をして、(図1、2参照、)、角度の違う潜行板Cおよび重さの異なる基錘6を数種類用意した中から、(図5参照)、適当な潜行板Cを選びボルト4に取り付け、さらに、そのボルトに適当な基錘6を選んで取り付けて、分銅錘5と潜行板Cを動かぬように基錘6で固設した沈め釣り用の浮きA1である。
【0018】
また、請求項1記載の浮き本体Aの形状は、尻ブレを解消するため、浮きに沿う流れが乱流を起こさず、層流に近い流れになるように、浮きを先細りにせず平行にした円柱、楕円柱、角柱、変形柱や、又は、先太りにした載頭錐体(載頭状の円錐、楕円錐、角錐や変形錐体)など、これらに類する形状を使用し、尻ブレを無くした。その他の形状では、球形、樽形、なども使用する。
【0019】
そして、請求項2、3記載の浮き本体A1の形状は、前記請求項1記載の浮きAと同形状の、円柱、楕円柱、角柱、変形柱又は、先太り形状の載頭錐体(載頭状の円錐、楕円錐、角錐、変形錐体など)や、これらに類する形状の浮きに、(図4参照)、図面において、上記それぞれ形状をした浮きAの上部に、横通穴Hに平行か又は前下がりに、潮の抵抗を受ける平面Bを設けた浮きA1である。
【0020】
又、浮きAや浮きA1の材質は、桐、バルサ、硬質発泡材、やその他、軽い材質を使用し、ボルト4、分銅錘5、基錘6は、鉄、真鍮、ステンレス、鉛、合金、アルミ、等を使用する。
【0021】
さらに、(図2参照)、潜行板Cは、潮の抵抗を受ける為の板状のもので、浮きのボルト4に取り付けるため、その中央にボルト4の径より若干大きめの穴を設け、プラスチック(アセチル、セルロ−ス系)、スチレン(ポリスチレン等)や石油溶剤系樹脂に類するものや、アルミなど、その他、潮の抵抗に負けない軽くて強い材質のものを使用する。
また、潜行板Cの形状は、角形、円盤形、楕円形、長方形やこれらに類する形状に、(図2、3参照)平板のままや、前下がりのへの字形や、前下がりでしり上がりのS字形に角度をつけて数種類用意した中から、状況に適した潜行板を選んで使用する。その他に、潜行板Cは上記それぞれの浮きA、A1のボルト4に取り付けて、浮き本体に潜行板を接着して使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】浮きAの分解図。
【図2】潜行板の種類。
【図3】浮きAに角度の違う潜行板を取り付けた図。
【図4】平面Bを有する浮きA1
【図5】平面Bを有する浮きA1に潜行板Cを取り付けた図。
【図6】浮きA1が、潮の流れに押えられる図
【符号の説明】
【0023】
A、 浮き本体
A1 平面Bを有する浮き
B、 平面
C、 潜行板
C1、 ボルト取り付け用穴
X、 端面
H、 横通穴
4、 ボルト
5、 分銅錘
51、 ボルト取り付け用穴
6、 基錘
61、 ボルト用雌ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に、軸線に直角に端面(X)を設けて浮き本体(A)を形成し、浮き本体(A)の端面(X)間の芯を貫いて横通穴(H)を設け、その浮き本体(A)の側面中央に、浮力調整用の雄ネジを有するボルト(4)を設け、分銅錘(5)と角度の異なる潜行板(C)と重さの異なる基錘(6)をそれぞれ複数用意し、複数の分銅錘(5)および潜行板(C)および基錘(6)の中から選ばれた、適当な分銅錘(5)および潜行板(C)をボルト(4)に取り付け、そのボルト(4)に螺合する雌ネジ(61)を有する基錘(6)を取り付けて、分銅錘(5)と潜行板(C)を固設した釣り用浮き。
【請求項2】
前記浮き本体(A)側面に設けたボルト(4)の反対側側面に、一方の端面(X)から他方の端面(X)にかけて、横通穴(H)に平行か又は前下がりの平面(B)を、潜行補助手段として設けた請求項1記載の釣り用浮き(A1)。
【請求項3】
両側に、軸線に直角に端面(X)を設けて浮き本体(A)を形成し、浮き本体(A)の端面(X)間の芯を貫いて横通穴(H)を設け、その浮き本体(A)の側面中央に、浮力調整用の雄ネジを有するボルト(4)を設け、そのボルト(4)を設けた浮き本体(A)の 反対側側面に、一方の端面(X)から他方の端面(X)にかけて、横通穴(H)に平行か又は前下がりの平面(B)を設け、分銅錘(5)と角度の異なる潜行板(C)と重さの異なる基錘(6)をそれぞれ複数用意し、複数の分銅錘(5)および潜行板(C)および基錘(6)の中から選ばれた、適当な分銅錘(5)および潜行板(C)をボルト(4)に取り付け、そのボルト(4)に螺合する雌ネジ(61)を有する基錘(6) を取り付けて、分銅錘(5)と潜行板(C)を固設した釣り用浮き。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−92902(P2008−92902A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280846(P2006−280846)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(597169834)
【Fターム(参考)】