説明

沈んだ船舶のタンクに収容されている汚染流体を回収するためのプラント

【課題】沈んだ船舶のタンクの中に収容されている区画に外側からアクセスすることが容易で、現存する船舶にも適用できる、沈んだ船舶のタンク内に収容されている汚染流体を回収するためのプラントと、このようなプラントのために用いられる特定の導管を提供する。
【解決手段】沈んだ船1の少なくとも1つのタンク4内に収容されている汚染流体を回収するためのプラントであって、甲板2に固定された複数の導管5を有し、各導管は、第1の端部と第2の端部とを有し、沈んだ船舶の沈んだ位置に応じて、加圧された水をタンク内に導入するための手段、又は汚染流体をこのタンクの外側に取り除くための手段を形成することができるプラントに関する。これら導管が、これら導管の第1の端部が、タンクの上部の各角の近くで開き、これら導管の第2の端部は、沈んだ船舶の内側から直接アクセス可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方では、沈んだ船舶のタンク内に収容されている汚染流体を回収するためのプラントに、他方では、このようなプラントのために用いられる特定の導管に関する。
【背景技術】
【0002】
汚染流体を輸送していた複数の船舶の最近の難破をうけて、Environmental Technological Groupの名で、発明者としてMr.DABIを指定して出願された特許出願WO 02/057131は、難破した船のタンクに収容されている汚染流体を回収するための単純で信頼性のあるシステムを提案した。
【0003】
この回収システムは、沈没した船のタンクの各々に区画を有し、この区画は、沈んだ船舶から排出されることができる複数の流れラインと浮き部材とを有している。より具体的には、各々の区画に対して、このシステムは、タンクに接続されている第1の端部と、浮き部材に接続されている第2の端部とを有している、汚染流体を排出するためのラインを有している。この第2の端部は、浮き部材が取り付けられているケーブルを用いて沈んだ船から十分に遠く離れて、引き出されることができる。各々の区画に対して、このシステムは、また、吸い込みラインと注入ラインとを有し、両者は、排出ラインに接続され、タンク内に収容されている汚染流体の水面(surface)に浮かんでいるそれぞれの第1の端部と、このタンクの底に位置している重りが設けられている第1の端部とが備えられている。最終的には、各区画に対して、このシステムは、水面の救難船から延び、一方では、排出ラインの第2の端部に押し嵌めされている第1の端部を、他方では、この救難船に設置されているポンプに接続されている第2の端部を有している接続ラインを有している。動作の際には、加圧された水が、救難船から注入ラインを介してタンクの底部内へと注入される。汚染流体は、この場合、吸い込みラインと、排出ラインと、接続ラインとを介して救難船に搬送される。
【0004】
しかしながら、この回収システムは、船舶が沈んだ場合、タンクの中に収容されている区画に外側からアクセスすることが容易ではないという点で、不都合な点を有する。他の不都合な点は、船舶が建造されている間に、タンク内にこのような区画を設置することを想像することは可能だが、それに反して、現存する船舶でそのような操作を実行することは非常に行いにくいという事実に存する。さらに、これら区画がタンクの内側に格納されるため、封止及び安全性の問題が生じうる。加えて、このシステムは、必然的に、一方では、タンクから排出ラインの第2の端部を引くことにかかわり、他方では、注入ラインの第2の端部を水面まで導くことにかかわる。この結果、接続ラインと排出ラインとの間の接続を達成するのが比較的複雑となる。結局、加圧下で導入される水の密度が汚染流体の密度よりも大きいため、注入ラインの第2の端部を重くする必要が全くない。
【0005】
したがって、特許出願FR 03.00044は、複数のタンクの区画内に加圧下の水を導入するための手段と、複数のタンクの区画の外側に汚染流体を排出するための手段と、この排出手段の1つに接続されることができる、救難船からの少なくとも1つの接続ラインとを有するプラントにおいて、各々が第1及び第2の端部を有する複数の固定されたラインを有し、これら固定されたラインは、これらラインの第1の端部が、少なくとも複数のタンクの区画の端の複数の角の各々で開いており、これらラインの第2の端部が、各々、弁に取り付けられているように、位置し、前記弁は、一方では、沈んだ船舶の喫水線(la ligne de flottaison)の上方に固定されている区画内に収容され、他方では、この沈んだ船の外部から操作されることができ、前記固定されたラインの各々は、沈んだ船舶が沈没した位置に応じて、加圧された水を、区画、又はこの区画から汚染流体を排出する手段内に導入する手段を形成することができることを特徴とするプラントを提案した。
【0006】
特に、弁を収容している複数の区画の各々が沈んだ船舶の喫水線の上方にあるため、ROV(underwater remote operated vehicle)又はダイバーは、はるかに容易にこれらの区画にアクセスすることができ、この結果、接続と操作の作業を実行することができる。加えて、これらの区画は、船舶の甲板に固定されていることが好ましいので、これらの区画を現存する船舶に設置することは、比較的容易であり、ありうる封止と安全性の問題は、解決されている。さらに、一方で、固定されたラインの端部が、複数のタンクの横方向の区画の端の各角に開き、他方で、各固定されたラインは、その第2の端部で弁に接続されているとすると、注入ラインの端部の一方を、加圧された水が救難船から導入されることができるように、水面まで運ぶことを想像する必要はもはやない。実際、ROV、又はダイバーは、船舶の外側からアクセス可能なこれらの複数の区画に収容されている1つ以上の弁を、必要とされるように、直接、開く。したがって、この又はこれらの弁と関連している固定されたライン又は複数のラインは、入口ラインとして作用し、静水圧にある海水は、前記複数の弁を介して勢いよく流れ込み、これら固定されたラインの各々に沿って流れ、最終的に複数の横方向のタンクの区画に導入される。海水は、汚染流体よりも大きな密度を有しているので、汚染流体は、海水により複数のタンクの横方向の区画の最も高い点に向かって移動されることになる。この汚染流体は、排出ラインとして作用する、少なくとも1つの他の固定されたラインに入れられる。この排出ラインの第1の端部は、複数のタンクの横方向の区画の最も高い端の角にある。この汚染流体は、この固定されたラインに沿って関連する区画に向かって排出され、固定された排出ラインの第2の端部が接続されている接続ラインに沿って、救難船が位置している水面に向かって排出され、最後には、救難船に取り付けられているポンプを用いて接続ラインからこの救難船の複数のタンクに移動されることができる。
【0007】
それにも関わらず、このようなプラントが述べた目的に従っていたとしても、第1の不都合な点は、固定された複数のラインにより、タンクを洗浄することが困難になるという事実にある。特に、タンクは、一般に、タンクの中央に位置し、タンクを形成している複数の壁面に液体をスプレーする、モータが設けられた装置を用いて洗浄される。この場合には、固定された複数のラインは、このタンクの複数の領域をマスクする遮蔽物を形成する。加えて、固定された複数のラインの内側を洗浄することそれ自体が、比較的達成するのが難しい。この問題は、汚染化学物質であって、したがって、この汚染化学物質に関して汚染の危険が見落とすことができないことである汚染化学物質を輸送している船舶の場合に特に強く感じられる。
【0008】
さらに、適当な複数の金属のラインを組み込むことは、数多くの成形操作が必要とされることを意味し、これらの操作は、コストに関して影響を有している。加えて、最初から弁の閉鎖/開放のシステムを備えている複数の区画を体系的に組み込むことは、実行するのが高価であり、困難である。より一般的には、このタイプのプラントは、このプラントにより、汚染流体が、船舶が沈没した位置に関係なく回収されることが可能となるとすると、想定される必要がある複数のライン及び関連する区画の総数が大きいため、比較的高い全コストを有している。こうして、単純化されているにもかかわらず沈んだ船舶のほとんどの筋書きに対して解決法を提供するが、全体的な費用が比較的安いプラントを提供することができることは、望ましいであろう。
【発明の概要】
【0009】
上述の不都合な点を克服することが本発明の目的であり、この目的のために、本発明は、沈んだ船舶の少なくとも1つのタンク内に収容されている汚染流体を回収するためのプラントであって、このプラントは、前記船舶の甲板内へと固定された複数の導管を有し、各導管は、第1の端部と第2の端部とを有し、前記沈んだ船舶が沈んだ位置に応じて、加圧された水を前記タンク内に導入するための手段、又は前記汚染流体を前記タンクの外側に排出するための手段を構成することができるプラントにおいて、これら導管は、一方では、これら導管の第1の端部は、前記タンクの上部の複数の角の各々の近くに開き、他方では、これら導管の第2の端部は、前記沈んだ船舶の外側から直接アクセス可能であることを特徴とするプラントからなる。
【0010】
このようなプラントは、前記船舶に最初に組み込まれる複数の部材が、数が少なく、単純な短い複数の導管からなっているため、特に好都合である。
【0011】
特に、前記船舶が沈没した位置に応じて、この場合必要とされることは、必要に応じて、前記タンクの上部、又は底部のいずれか一方にアクセスするために、特殊装備を用いて、長い管状のニードルが、この船舶の甲板から、適当な導管を通して滑り込ませられることが全てである。
【0012】
もし、前記船舶が、程度にもよるが、そのキールを下にして沈没した場合には、この管状のニードルは、この管状のニードル内と前記特殊装備内に収容されている1セットの弁が、一旦開かれ/閉じられれば、前記タンクの最も低い点に加圧された水を搬送することができるだろう。この場合、他の複数の導管の少なくとも1つは、前記汚染流体の回収を可能とし、この目的のために、適当なセットの弁が設けられている特殊装備も用いて、救難船に接続されている回収ラインに接続される。
【0013】
もし、前記船舶が程度にもよるがその甲板を下にして沈没したならば、この管状のニードルは、前記汚染流体を回収する役割を果たし、そのために、適当なセットの弁が設けられた特殊装備を用いて、救難船に接続されている回収ラインに接続されるだろう。このような構成では、他の複数の導管の少なくとも1つは、加圧された水が、適当なセットの弁が設けられている特殊装備を用いて前記タンクの最も低い点に導入されることを可能にするだろう。
【0014】
前記船舶が沈没した配置に応じて、複数の長い管状のニードルを導入し、並びに/もしくは複数の回収ラインを接続することが好都合でありうることは、全く明らかである。
【0015】
結果として、このようなプラントは、このようなプラントが前記タンクの内側に半永久的に固定される長い部材をもはや有していないという点で注目に値する。
【0016】
加えて、従来、前記船舶の喫水線の上方に位置していた複数の区画に依存することが、これら区画が有していた機能を前記船舶が難破した場合だけに前記特殊装備に組み込むことにより、避けることも可能である。
【0017】
結局、前記船舶がその甲板を下にしてあり、前記複数の導管にアクセスすることができない場合、このようなプラントは動作することができないことは正しく、船舶が、この位置で沈没することは比較的まれであるが、それにもかかわらず、船舶が沈没する他の全ての位置が扱われることができる場合は、残っており、このことは、前記タンクの上部の複数の角の各々の近くに位置している短い4つの導管をただ用いることによりなされることができる。
【0018】
各導管が、前記船舶の甲板からアクセス可能なフランジが上に設けられていることは、好都合である。この結果、このフランジにより、前記船舶が難破した場合に、取り付けられている前記特殊装備との比較的容易な接続が可能となる。
【0019】
前記フランジが、少なくとも1つの断裂板により閉鎖されていることも、好都合である。もし、前記船舶が難破したならば、この取り付けられた特殊装備には、前記(1つの、複数の)断裂板を断裂することができる断裂部材が備えられている。選択として、各断裂板は、ほぼ円形の弱い線を有している。
また、選択として、各導管は、ほぼ管状である。
【0020】
本発明は、添付された図面を参照して以下で説明される詳細な説明の助けでよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】複数のタンクの横方向の区画を有し、本発明によるプラントが備えられている船舶の上方からの概略的な図である。
【図2】側面を下にして沈没した位置の、図1に示されている船舶の、キール部分が省かれた、概略的な斜視図である。
【図3】船舶に備えられている導管の一部分が欠けている斜視図である。
【図4】キールを下にして沈没した船舶の、汚染流体を回収する段階の間の、2つのタンクの概略的な斜視図である。
【図5】側面を下にして沈没した船舶の、汚染流体を回収する段階の間の、2つのタンクの概略的な斜視図である。
【図6】甲板を下にして沈没した船舶の、汚染流体を回収する段階の間の、2つのタンクの概略的な斜視図である。
【図7】接続点を開き、加圧された水をタンク内に導入するために、特殊装備が取り付けられる導管の概略的な断面図である。
【図8】接続点を開き、加圧された水をタンク内に導入するために、特殊装備が取り付けられる導管の概略的な断面図である。
【図9】接続点を開き、加圧された水をタンク内に導入するために、特殊装備が取り付けられる導管の概略的な断面図である。
【図10】接続点を開き、汚染流体を回収するために、特殊装備が取り付けられる導管の概略的な断面図である。
【図11】接続点を開き、汚染流体を回収するために、特殊装備が取り付けられる導管の概略的な断面図である。
【図12】接続点を開き、汚染流体を回収するために、特殊装備が取り付けられる導管の概略的な断面図である。
【図13】本発明の変形実施形態で用いられる他のタイプのタンクの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、汚染流体30を収容している横向きで平行六面体の5つの区画3(tranches)のタンク4を覆っている甲板2を有している船舶1の上方からの概略図である。
【0023】
図4乃至図6により具体的に示されているように、各タンク4は、甲板2を通過し、各々がこのタンク4の4つの上部コーナのうちの1つに第1の端開口部を備えている、4つの短い導管5を有している。
【0024】
より具体的には、図3に示されているように、各導管5は、上部でフランジ7の形態で終了し、このフランジは、円形の弱い線(ligne de faiblesse)9を備えている断裂板(disque frangible)8により、そして、保護プレート10により連続して閉じられている。この断裂板8は、例えば、フランジ7の全周囲に位置している複数のボルト40を用いて、フランジ7に固定され、保護プレート10は、例えば、断裂板8の全周囲に位置している複数のボルト11を用いて断裂板8に固定され、これらボルト40は、これらボルト11からおよそ30°だけ角度がずらされている。したがって、フランジ7と、断裂板8と、保護プレート10とから形成されている組立体は、船舶1の外側からアクセス可能な第2の端部を形成している。
【0025】
好ましい実施形態によると、ナット(図示されていない)を端部に取り付けることができるように、各々がフランジ7から突出しているシャンクを有している複数のボルト40が設けられていてもよい。この場合、このような構成により、断裂板8と保護プレート10とから形成されているサブ組立体を単に前記ナットをねじ取ることによりフランジ7から取外すことが可能となる。
【0026】
船舶1が沈み、海13の底12にある場合、救難船14は、この船舶の位置を場所を見つけて、この船舶1のほぼ垂直上方に配置されることができる。
【0027】
図4から船舶1は、そのキールを接させて沈没し(e’choue’)、海の底12は、ほぼ水平であることを推測することが可能である。図4に概略的に示されているように、長い管状のニードル15が、タンク4の最も低い点に達するように、各タンク4の複数の導管5の1つを介して導入されている。さらに、救難船14に接続されている回収ライン16が、このタンク4の最上部部分と連通するように、他の導管5に接続されている。複数の管状のニードル15並びに/もしくは複数の回収ライン16を同一のタンク4で用いることできることを明確に理解しなければならない。
【0028】
より具体的には、図7乃至9に示されているように、管状のニードル15を、以下のように関連された導管5内へと挿入することができる。まず、ダイバー又は水中用ロボットが、保護プレート10を取外す。次に、水中用ロボットが、第1のセットのクランプ用顎器(図示されていない)を用いてフランジ7に開いた第1の弁に接続する。そして、特殊装備19が、第2のセットのクランプ用顎器(図示されていない)を用いて、水中用ロボットによりこの第1の弁17に固定される。この特殊装備19は、図7に示されているように、始めは引き込まれた位置にある、モータの設けられた断裂部材20を有している。
【0029】
そして、図8に示されているように、この断裂部材20は、作動されて、一度開いた第1の弁17を通過すると、断裂板8をその弱い線9に沿って断裂させる。この断裂部材20は、それから前記引き込まれた位置に持ち上げられて第1の弁17が閉じられる。したがって、導管15は、もう一度封止され、加圧された水を直接タンク4に入らせることなく、特殊装備19の接続を解除することが可能である。
【0030】
図9に示されているように、管状のニードル15の端部をそれから導管5内に挿入することができる。一端第1の弁17が開かれれば、この管状のニードル15をタンク4の中へ完全に導入することが可能とされる。この管状のニードル15には、それ自身、最初は閉じられている第2の弁21が備えられている。結果として、この管状のニードル15をタンク4内へと挿入する工程の間には、加圧された水は、タンク4内に入ることができない。
【0031】
一旦、管状のニードル15がタンク4の最も低い点に達するように、正しく導入されると、それから、回収ライン16が、図10と図11とに示されているように、関連する導管5に接続される。
【0032】
これを行うためには、前のように、まずダイバー又は水中用ロボットが、保護プレート10を取外す。次に、水中用ロボットは、開いた第1の弁17を、第1のセットのクランプ用顎器(図示されていない)を介してフランジ7に接続する。それから、特殊装備24が、第2のセットのクランプ用顎器を用いて、水中用ロボットにより第1の弁17内に固定される。この特殊装備24は、回収ライン16に直接接続され、図10に示されているように、最初は引き込まれた位置にある、モータの設けられた断裂部材20を有している。図11に示されているように、それから、この断裂部材20は、開かれた第1の弁17を通過して、断裂板8をその弱い線9に沿って断裂するように作動される。この断裂部材20は、それから、前記引き込まれた位置へと持ち上げ戻される。
【0033】
それから必要とされることは、管状のニードル15の第2の弁21が、加圧された水がタンク4の最も低い部分に入るように開かれることが全てであり、このことにより、汚染流体30は回収ライン16に沿って上昇させられる。
【0034】
変形例として、断裂部材20が断裂板8を断裂し、その引き込まれた位置に戻った後に初めて、回収ライン16を特別装備24に接続するという決定をすることもできる。
【0035】
図5に概略的に示されている筋書きでは、船舶1は、その2つの側面の一方を下にして沈没している。最小限の時間で最大限の量の汚染流体30を回収するために、この場合、回収ライン又は複数の回収ライン16をタンク4の最も高い点にある導管又は複数の導管5に接続することは、極めて好都合である。
【0036】
図6からは、船舶1は、程度の差はあるが、その甲板2を下にして沈没しており、海の底12は、ほぼ水平であることを推測することが可能である。図6に概略的に示されているように、長い管状のニードル15は、各タンク4の導管5の1つに、タンクの最も高い点に達するように導入されている。さらに、救難船14に接続されている回収ライン16は、この管状のニードル15に接続されている。複数のセットの中空のニードル15/回収ライン16を同一のタンク4のために用いることができることを明確に理解できなければならない。
【0037】
前のように、管状のニードル15は、以下のように、関連する導管5内に挿入されることができる。まず、ダイバー又は水中用ロボットが、保護プレート10を取外す。次に、水中用ロボットは、開かれた第1の弁17を、第1のセットのクランプ用顎器(図示されていない)を介して、フランジ7に接続する。それから、特殊装備19が、第2のセットのクランプ用顎器(図示されていない)を用いて、水中用ロボットにより第1の弁に接続される。この特殊装備19は、最初は引き込まれた位置にある、モータの設けられた断裂部材20を有している。この断裂部材20は、それから、開かれた第1の弁17を通過して、断裂板8をその弱い線9に沿って断裂するように作動される。この断裂部材20は、それから、前記引き込まれた位置へと持ち上げ戻され、それから、第1の弁17が閉じられる。この結果、導管5は、もう一度封止され、加圧された水を直接タンク4内に導入させることなく、特殊装備19の接続を解除することが可能である。
【0038】
それから、管状のニードル15の端部を導管5内に挿入することができる。この管状のニードル15は、一旦第1の弁17が開かれれば、タンク4内に完全に導入されることが可能である。この管状のニードル15それ自身には、最初は閉じられている第2の弁21が備えられている。結果として、中空のニードル15をタンク4内に挿入する工程の間には、加圧された水は、タンク4に入ることができない。
【0039】
関連する回収ライン16を、それから、図12に概略的に示されているように、管状のニードル15に接続することが可能である。変形実施形態は、この中空のニードル15が対応する導管5に挿入される前でさえも、関連した回収ライン16に接続された管状のニードル15を使用することにありうる。
【0040】
このことと平行して、特殊装備19が、タンク4の他の複数の導管5の少なくとも1つに固定される。それから、この特殊装備19は、断裂板8を断裂させる課題を有している。上述したように、導管5に取り付けられている第1の弁17があることは、最終的には、所望のときまで加圧された水がタンク4に入ることが可能ではないことを意味している。この弁17が開かれた場合には、水がタンク4内に勢いよく入り、汚染流体30は、このタンクから、管状のニードル15それから関連したライン16を介して、抜き出される。
【0041】
他のタイプのタンク104が、図13に示されている。これは、全ての種類の商船、例えば、オイルタンカー、ばら積み貨物船、コンテナ船、フェリーボートなど、に見ることができる、長方形の底の平行六面体のタンクである。このタイプのタンク104は、推進燃料のために、また、セトリングタンクで一般に用いられている。この長方形の長辺の長さは、ほぼ10乃至40メートルの間で変わりうる。この長方形の短辺の長さは、常に5メートルより短く、各短辺の2つの角に2つの導管を取り付けるのに十分な間隔が与えられていない。しかしながら、このような構成では、タンク104の4つの角に取り付けることを最初に目的とした4つよりもむしろただ2つの中央の導管105を設置することが可能である。
【0042】
本発明は、複数の特定の実施形態とともに説明されてきたが、本発明がそれらの実施形態に限定されないことは全く明らかであり、本発明は、本発明の範囲に入る、説明された手段の全ての技術的な等価物とこれらの組合せとを含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈んだ船舶(1)の少なくとも1つのタンク(4)内に収容されている汚染流体(30)を回収するためのプラントであって、このプラントは、前記船舶の甲板(2)内へと固定された複数の導管(5)を具備し、各導管は、第1の端部と第2の端部とを有し、前記沈んだ船舶が沈んだ位置に応じて、加圧された水を前記タンク内に導入するための手段、又は前記汚染流体を前記タンクの外側に排出するための手段を構成することができるプラントにおいて、これら導管は、一方では、これら導管の第1の端部は、前記タンクの上部の複数の角の各々の近くで開き、他方では、これら導管の第2の端部は、前記沈んだ船舶の外側から直接アクセス可能であることを特徴とするプラント。
【請求項2】
各導管は、前記船舶(1)の甲板(2)からアクセス可能なフランジ(7)が上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
前記フランジ(7)は、断裂板(8)により閉鎖されていることを特徴とする請求項2に記載のプラント。
【請求項4】
前記断裂板(8)は、ほぼ円形の弱い線(9)を有していることを特徴とする請求項3に記載のプラント。
【請求項5】
前記断裂板(8)は、取外し可能な保護プレート(10)により覆われていることを特徴とする請求項3又は4に記載のプラント。
【請求項6】
前記保護プレート(10)は、前記断裂板(8)にボルト止めされることを特徴とする請求項5に記載のプラント。
【請求項7】
各導管(5)は、ほぼ管状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載のプラント。
【請求項8】
フランジ(7)が、上に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1に記載のプラントのための導管(5)。
【請求項9】
前記フランジ(7)は、少なくとも1つの断裂板(8)により閉鎖されていることを特徴とする請求項8に記載の導管(5)。
【請求項10】
少なくとも1つの取外し可能な保護プレート(10)により覆われることを特徴とする請求項8又は9に記載の導管(5)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−236595(P2012−236595A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−152316(P2012−152316)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2007−542030(P2007−542030)の分割
【原出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(507171731)