説明

沈殿処理装置

【課題】沈殿処理の処理能力及び処理効率を向上することが可能な沈殿処理装置を提供する。
【解決手段】沈殿槽2に設置される沈殿処理装置1であって、水平面に対して傾斜した複数の傾斜板を所定間隔をおいて積層した複数の傾斜板ユニット3と、各傾斜板ユニット3に被処理水wを供給する供給手段である導入管4及び複数の給水用枝管5と、を備え、傾斜板ユニット3は、沈殿槽2内の複数の領域に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿槽に設置される沈殿処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種水処理施設の設備の一つとして、被処理水の浮遊物質などを沈殿させるための沈殿槽(沈殿池)が知られている。このような沈殿槽では、被処理水を上流から下流に向かって流す間に沈殿処理を行うが、処理能力を向上させるために化学的処理が施されるほか、非特許文献1に示されるような種々の傾斜板装置を設置することが提案されている。この文献に記載の傾斜板装置では、被処理水の流れ方向周りに傾斜した複数の傾斜板を流れ方向と交差する方向に所定間隔をおいて配置している。この装置を沈殿槽に設置すると、被処理水における沈殿面積が大きくなるため、沈殿工程が短時間で済み沈殿槽の流れ方向の距離を短縮することができる。その結果、処理効率が向上する。
【非特許文献1】水道施設設計指針(2000年版)、社団法人日本水道協会、平成12年3月31日、p194−199
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような傾斜板は、有効に機能する長さが限られており、それより長くしても処理能力は向上しない。そのため、既存の沈殿槽に、傾斜板を取り付ける場合、沈殿槽の長さが傾斜板より長いと、残りのスペースが無駄になるという問題がある。そこで、傾斜板の長さを沈殿槽に合わせて長くすることも考えられるが、上述したように、有効に機能する長さは限られているので、延長した部分は機能せず、無駄になってしまう。一方、傾斜板を備えた沈殿槽を新たに建設する場合には、傾斜板が有効に機能する長さに合わせて沈殿槽の長さを設計することができるが、敷地の形状などによっては沈殿槽の形状などが制限され、傾斜板を効率的に配置できない場合がある。したがって、種々の形状の沈殿槽でも効率良く配置できるとともに、既存の沈殿槽にも設置できる傾斜板が要望されていた。
【0004】
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、沈殿処理の処理能力及び処理効率を向上することが可能な沈殿処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、沈殿槽に設置される沈殿処理装置であって、上記問題を解決するためになされたものであり、水平面に対して傾斜した複数の傾斜板を所定間隔をおいて積層した複数の傾斜板ユニットと、前記各傾斜板ユニットに被処理水を供給する供給手段と、を備え、前記傾斜板ユニットは、前記沈殿槽内の複数の領域に配置されている。
【0006】
この構成によれば、次の効果を得ることができる。傾斜板を用いた沈殿処理においては、有効に機能する傾斜板の長さが限られており、それより長くしても処理能力が向上することはないといわれている。そこで、本発明では、沈殿槽内の複数の領域に傾斜板ユニットを配置し、供給手段により各傾斜板ユニットに被処理水を供給するようにしているため、各傾斜板ユニットのサイズを適正化することで各傾斜板ユニットを有効に機能させることできる。したがって、既存の沈殿槽に設置しても沈殿槽内のスペースを無駄なく活用することが可能となる。また、新たに沈殿槽を建設する場合でも、沈殿槽に導入される被処理水を複数に分けて各傾斜板ユニットで処理しているために、種々の形状の沈殿槽にも効率的に傾斜板ユニットを配置することができ、沈殿槽の形状に自由度を持たせることを可能とする。その結果、処理効率及び処理能力を向上させることができる。
【0007】
なお、傾斜板ユニットの構成は、特には限定されず、傾斜板を上流から下流に向かって上方を向くように傾斜するように配置したり、或いは、傾斜板を上流から下流に向く軸線周りに傾斜させるように構成したり、さらには傾斜板をフィン付き傾斜板とすることもできる。
【0008】
上記供給手段は、種々の構成をとることができるが、例えば、沈殿槽における被処理水の供給源から前記各傾斜板ユニットへ延びる導入管と、導入管と連通し、傾斜板ユニットにおける被処理水の導入部を覆うように配置され、導入部を向く多数の給水孔が形成された給水部とで構成することができる。このように、傾斜板ユニットの導入部を覆うように給水部を配置し、この給水部に多数の給水孔を形成することにより、整流効果を得ることができるので、供給手段から傾斜板へ被処理水を一様に分布させて供給することができる。その結果、沈殿効果を向上させることができる。ここで、各給水孔の大きさや数などを調整することで、傾斜板ユニットへ供給される被処理水の供給量や流速などを調整でき、ひいては、処理槽内の被処理水の流れを調整することができる。
【0009】
上記給水部は、例えば、次のように構成することができる。すなわち、給水部を、平行に並ぶ複数の枝管で構成し、各枝管の外周面に給水孔を形成したものを用いることかできる。
【0010】
また、上記装置において、傾斜板ユニットを通過した被処理水を流入し、沈殿槽の外部へ排出する排出手段をさらに設けることができる。こうすることで、処理後の被処理水を効率的に沈殿槽の外部に排出することができる。
【0011】
上記排出手段は、種々の構成をとることができるが、例えば、各傾斜板ユニットから沈殿槽の外部へ延びる導出管と、導出管と連通し、傾斜板ユニットにおける被処理水の排出部を覆うように配置され、排出部を向く多数の流出孔が形成された流出部とで構成することができる。このように、傾斜板ユニットの排出部を覆うようにこの流出部に多数の流出孔を形成することにより、整流効果を得ることができるので、傾斜板ユニットからの被処理水を一様に分布させて排出させることができる。その結果、沈殿効果を向上させることができる。ここで、各流出孔の大きさや数などを調整することで、傾斜板ユニットから排出される被処理水の流入量や流速などを調整でき、ひいては、処理槽内の被処理水の流れを調整することができる。
【0012】
上記流出部は、例えば平行に並ぶ複数の枝管で構成されており、枝管の外周面に流出孔を形成したものを用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る沈殿処理装置によれば、沈殿処理の処理能力及び処理効率を大きく向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る沈殿処理装置の実施形態について図1〜4を参照しつつ説明する。図1は本実施形態による沈殿処理装置1が沈殿槽2に設置されたときの平面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は給水用枝管5と流出用枝管8を詳細に示した斜視図である。なお、以下の説明では、図1及び図2の左右方向を「長さ方向」、左側を「上流側」、及び右側を「下流側」と、図1の上下方向を「幅方向」と、図3の左右方向を「幅方向」と称し、これを基準に説明していく。
【0015】
図1及び2に示すように、本実施形態に係る沈殿処理装置1は水処理を行う沈殿槽2内に設置されている。まず、沈殿槽について説明する。この沈殿槽2は、平面視矩形状であり、長さ方向に延びる側壁23と幅方向に延びる側壁と底面25とで画定されている。沈殿槽2の上流側の端部には、例えば各家庭や工場などから排出された被処理水wが流入する供給室(供給源)21が形成されている。一方、下流側の端部には、処理後の水が送られる排出室22が形成されている。排出室22には堰部26が形成されており、排出室22に溜められた被処理水wの内、堰部26を超えた水が沈殿槽2の外部へと流出する。また、図示を省略するが、沈殿槽2の底面25には沈殿処理装置1によって沈殿した沈殿物を掻き寄せるための掻寄機が設置されている。
【0016】
次に、沈殿処理装置1について説明する。本実施形態に係る沈殿処理装置1は、沈殿槽2内に配置される4つの傾斜板ユニット3、すなわち上流側から下流側に所定間隔をおいて並ぶ第1、第2、第3及び第4傾斜板ユニット3a,3b,3c,3dを備えている。そして、供給室21と各傾斜板ユニット3の間には、被処理水wを導入する導水ユニット6が設けられている。また、各傾斜板ユニット3と排出室22との間には、各傾斜板ユニット3で処理された水を排出する排水ユニット9が設けられている。なお、各傾斜板ユニット3の長さは、被処理水wを沈殿処理するのに必要なだけのサイズとしている。
【0017】
図3に示すように、各傾斜板ユニット3は、長さ方向周りに傾斜した複数の傾斜板31で構成されている。より詳細に説明すると、この傾斜板ユニット3は、上下方向に並ぶ4つの段で構成されており、各段では、一方向に傾斜した複数の傾斜板31が幅方向に所定間隔をおいて並んでいる。そして、各段の傾斜板は、傾斜の方向が互い違いになるように配置されており、隣接する各段の傾斜板3の端部同士が近接するよう配置されている。これにより、各段の傾斜板31間の隙間34が、上下方向に連通している。また、図1及び図4に示すように、各傾斜板ユニット3の上流側又は下流側の端面が、被処理水wが流入する導入面(導入部)32、または被処理水wが排出される排出面(排出部)33を構成している。
【0018】
被処理水w中の浮遊物質は、被処理水wの流れに伴って傾斜板31上に沈殿していくが、上記のような傾斜板ユニット3を設置することで、沈殿面積が大きくなる。その結果、沈殿能力が向上するため、浮遊物質を沈殿処理するために必要な被処理水wが流れる距離を短くすることができる。また、傾斜板31間の隙間34は、上下方向に連通しているため、傾斜板31上に沈殿した浮遊物質は、この隙間34を伝って沈殿槽2の底面25に落下し、堆積していく。なお、傾斜板ユニットとしてはこの他にも幅方向周りに傾斜して複数枚積層されたものなど種々の傾斜板ユニットを使用することができる。
【0019】
続いて、導水ユニット6について説明する。本実施形態に係る導水ユニットは、2つの導入管4と、各導入管4に連結されている給水用枝管5とで構成されている。各導入管4、つまり第1導入管4aと第2導入管4bは、供給室21から側壁23に沿って長さ方向に延びる本管部41と、その先端から幅方向全体に延びる案内管部42とで構成され、全体として平面視はL字状に形成されている。第1導入管4aは、供給室21から沈殿槽2の底面25に沿って配置されており、その本管部41aは第1及び第2傾斜板ユニット3a,3bとの間の位置まで延び、これらの間に案内管部42aが延びている。一方、第2導入管4bは、第1導入管4aの本管部41aの上方を通り、それより下流側では底面25に沿って第3及び第4傾斜板ユニット3c,3dの間まで延びている。そして、これら傾斜板ユニットの間に案内管部42bが延びている。
【0020】
図1及び2に示すように、第1導入管4aの案内管部42aからは複数の第1給水用枝管5aが幅方向に所定間隔をおいて直列し、鉛直方向に上方に向かって平行に延びている。同様に、第2導入管4bの案内管部42bからも複数の第2給水用枝管5bが延びている。このように給水用枝管5が形成されることで、図4に示すように、複数の給水用枝管5は傾斜板ユニット3の導入面32を覆うようになっており、給水用枝管5と傾斜板ユニット3の導入面32とは実質的に平行となっている。なお、第1給水用枝管5aが第1傾斜板ユニット3aの導入面32aと第2傾斜板ユニット3bの導入面32bとを覆い、第2給水用枝管5bが第3傾斜板ユニット3cの導入面32cと第4傾斜板ユニット3dの導入面32dとを覆うように配置されている。
【0021】
ここで、第1導入管4aから延びる給水用枝管5aと第2導入管4bから延びる第2給水用枝管5bとはともに5本ずつであるが、各第1給水用枝管5aに比べ各第2給水用枝管5bの径を大きくしている。これは、第2給水用枝管5bの方が供給室21からの距離が長くその分第2給水用枝管5bまで第2導入管4b内を流れる被処理水wのエネルギー損失が大きくなるので、このエネルギー損失を補填するためである。これにより、各給水用枝管5から給水される被処理水wの量や流速などを調整して処理槽2内全体の流れを一様とすることができる。また、この他にも、給水用枝管5の数や導入管4の径を調整したり、後述する給水用枝管5の給水孔51の径や数などを調整したりすることなどで、処理槽2内の流れを制御することができる。
【0022】
図4に示すように、各給水用枝管5には、傾斜板ユニット3の導入面32を向く多数の給水孔51が形成されている。ここで、例えば、第1給水用枝管5aでは、第1傾斜板ユニット3aの導入面32aに対向する側と、傾斜板ユニット3bの導入面32bに対向する側との両側の外周面に多数の給水孔51が形成されている。本実施形態では、給水孔51は給水用枝管5の軸方向に所定間隔をおいて2列形成されている。
【0023】
上述したように、傾斜板ユニット3を通過して沈殿処理された被処理水wは、排水ユニット9により、排出室22に案内される。
【0024】
排水ユニット9は、3つの導出管7と、各導出管7に連結されている流出用枝管8とで構成されている。3つの導出管7、つまり第1、第2及び第3導出管7a,7b,7cは各傾斜板ユニット3から排出室22まで延びている。各導出管7は、傾斜板ユニット3の幅方向に沿って幅方向全体に延びる案内管部72と、側壁23に沿って排出室22まで長さ方向に延びる本管部71とを有し、全体の平面視はL字状となっている。第1導出管7aの案内管部72aは沈殿槽2の供給室21と第1傾斜板ユニット3aとの間で幅方向に延びており、第2導出管7bの案内管部72bは第2傾斜板ユニット3bと第3傾斜板ユニット3cとの間で延びている。そして、第3導出管7cの案内管部72cは第4傾斜板ユニット3dと沈殿槽2の排出部22との間で、幅方向に延びている。一方、第1導出管7aの本管部71aは、第2導入管4bの本管部41bの上方に配置され、それより下流では底面25に沿って配置されている。また、第2導出管7bの本管部71bは、第1導出管7aの本管部71aの上方に沿って排出室22まで延びており、第3導出管7cの本管部71cは、第2導出管7bの本管部71bの上方で排出室22まで延びている。
【0025】
図1及び図2に示すように、第1導出管7aの案内管部72aからは複数の第1流出用枝管8aが,第2導出管7bの案内管部72bからは複数の第2流出用枝管8bが,導出管7cの案内管部72cからは複数の第3流出用枝管8cが、幅方向に所定間隔をおいて直列しており、それぞれ鉛直方向に下方に向かって平行に延びている。
【0026】
図4に示すように、このように流出用枝管8が形成されることで、複数の流出用枝管8が傾斜板ユニット3の排出面33を覆うようになっており、流出用枝管8と排出面33とは実質的に平行となっている。なお、第1流出用枝管8aが第1傾斜板ユニット3aの排出面33aを覆い、第2流出用枝管8bが第2傾斜板ユニット3bの排出面33bと第3傾斜板ユニット3cの排出面33cとを覆い、第3流出用枝管8cが第4傾斜板ユニット3dの排出面33dを覆うように配置されている。
【0027】
図1に示すように、第2流出用枝管8bには第2傾斜板ユニット3b及び第3傾斜板ユニット3cの両側から被処理水wが流入してくるために、第2流出用枝管8bは第1流出用枝管8a及び第3流出用枝管8cに比べてその本数を多くし、またその径を大きくしている。同様の理由で、第2流出用枝管8bに連結する第2導出管7bは、第1導出管7a及び第3導出管7cに比べてその径を大きくしている。また、第1流出用枝管8aと第3流出用枝管8cとでは沈殿槽2の外部へ繋がる排出室22までの距離が異なるため、被処理水wの導出管7でのエネルギー損失の差が生じる。これを補填するため流出用枝管8aの本数を流出用枝管8cに比べて多くしている。この他にも、後述する流出用枝管8の流出孔81の数や径などを調整することで、各流出用枝管8から流入する被処理水wの量や流速などを調整して沈殿槽2内の被処理水wの流れが一様となるよう制御することができる。
【0028】
図4に示すように、各流出用枝管8は、給水用枝管5とほぼ同一の構成を有しており、対向する傾斜板ユニット3の排出面33に向けて、多数の流出孔81が形成されている。
【0029】
以上のように構成された沈殿処理装置1での沈殿処理について説明する。
【0030】
まず、図1及び2に示すように、下水道管などで供給室21まで送られてきた被処理水wが第1導入管4a及び第2導入管4b内に流れ込む。第1導入管4aに流れ込んだ被処理水wは第1給水用枝管5aへ送られ、第2導入管4bに流れ込んだ被処理水wが第2給水用枝管5bに送られる。
【0031】
第1給水用枝管5aに送られた被処理水wは、第1給水用枝管5aの給水孔51から第1傾斜板ユニット3aの導入面32aと第2傾斜板ユニット3bの導入面32bとへ供給される。同様に第2給水用枝管5bの給水孔51からは、第3傾斜板ユニット3cの導入面32cと第4傾斜板ユニット3dの導入面32dとへ被処理水wが供給される。ここで、給水用枝管5には多数の給水孔51が形成されているため、整流効果を奏し、傾斜板ユニット3に一様の流れの被処理水wを供給することができる。
【0032】
各傾斜板ユニット3に供給された被処理水wは、傾斜板ユニット3を通過する間に、その被処理水w中の浮遊物質が傾斜板ユニット3の各傾斜板31に沈殿し、傾斜板31を伝って沈殿槽2の底面25まで落下する。こうして、沈殿槽2の底面に堆積した沈殿物は、掻寄機などで沈殿槽2の外部へ排出される。
【0033】
各傾斜板ユニット3で浮遊物質が取り除かれて沈殿処理が完了した被処理水wは、排出面33から流出孔81を介して流出用枝管8内に流入する。より詳細には、第1流出用枝管8aの流出孔81へ第1傾斜板ユニット3aを通過した被処理水wが流入する。また、第2流出用枝管8bの流出孔81へは第2及び第3傾斜板ユニット3b及び3cを通過した被処理水wが流入する。そして、第3流出用枝管8cの流出孔81へ第4傾斜板ユニット3dを通過した被処理水wが流入する。各流出用枝管8に流入した被処理水wは、導出管7を経て排出室22に送られる。そして、排出室22に送られた被処理水2は堰部26を越えて沈殿槽2の外部へ排出される。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、沈殿槽2内の複数の領域に傾斜板ユニット3を配置し、供給ユニットにより各傾斜板ユニット3に被処理水wを供給するようにしているため、傾斜板ユニット3のサイズを適正化して傾斜板ユニット3を有効に機能させることができ、ひいては沈殿槽2内のスペースを無駄なく活用することが可能となる。その結果、処理効率及び処理能力を向上させることができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、上記実施形態では、導入管4の案内管部42は幅方向に延びているが、鉛直方向に延びていてもよく、その鉛直方向に延びた案内管部42から複数の給水用枝管5を幅方向に延ばすことができる。同様に、複数の流出用枝管8も鉛直方向に延ばした案内管部72から幅方向に延ばすことができる。また、複数の給水用枝管5の代わりに、図5に示すように、一つの給水用壁部材15とすることができる。
【0037】
また、導入管4は、各本管部41a,41bに対してそれぞれ案内管部42a,42bを形成しているが、本管部41を一本にしてその本管部41に複数の案内管部42a,42bを連結させてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、4つの傾斜板ユニット3を設けているが、これに限定されるものではない。つまり、上記実施形態では、沈殿槽を長さ方向に4つに区切ったときに、各傾斜板ユニットにおける機能しない部分が少なくなるようにしているが、傾斜板ユニットの数は、沈殿槽の長さと、傾斜板ユニットの機能する長さ等を考慮して決めることができる。また、この観点から、沈殿槽2内への傾斜板ユニット3の配置としては、上記実施形態のように直列に配置したもの以外にも、例えば図6に示すような幅広型の沈殿槽2に対しては傾斜板ユニット3を並列に配置するなど、沈殿槽2の形状と、傾斜板ユニットの機能に合わせて種々の配置をとることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、各傾斜板ユニット3を4つの段で構成しているが、この段を増減させても構わず、例えば1段とすることもできるなど、種々の傾斜板ユニットを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る沈殿処理装置の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図1の給水用枝管と流出用枝管を中心に示した斜視図である。
【図5】本発明に係る沈殿処理装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る沈殿処理装置の他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 沈殿処理装置
2 沈殿槽
21 供給室(供給源)
3 傾斜板ユニット
31 傾斜板
32 導入面(導入部)
33 排出面(排出部)
4 導入管
5 給水用枝管(給水部)
51 給水孔
6 導水ユニット(供給手段)
7 導出管
8 流出用枝管(流出部)
81 流出孔
9 排水ユニット(排出手段)
w 被処理水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿槽に設置される沈殿処理装置であって、
水平面に対して傾斜した複数の傾斜板を所定間隔をおいて積層した複数の傾斜板ユニットと、
前記各傾斜板ユニットに被処理水を供給する供給手段と、を備え、
前記傾斜板ユニットは、前記沈殿槽内の複数の領域に配置されている、沈殿処理装置。
【請求項2】
前記供給手段は、
沈殿槽における被処理水の供給源から前記各傾斜板ユニットへ延びる導入管と、
前記導入管と連通し、前記傾斜板ユニットにおける被処理水の導入部を覆うように配置され、前記導入部を向く多数の給水孔が形成された給水部と、を有している、請求項1に記載の沈殿処理装置。
【請求項3】
前記給水部は、平行に並ぶ複数の枝管で構成されており、前記枝管の外周面に前記給水孔が形成されている、請求項2に記載の沈殿処理装置。
【請求項4】
前記傾斜板ユニットを通過した被処理水を流入し、沈殿槽の外部へ排出する排出手段をさらに備えている、請求項1から3のいずれかに記載の沈殿処理装置。
【請求項5】
前記排出手段は、
前記各傾斜板ユニットから沈殿槽の外部側へ延びる導出管と、
前記導出管と連通し、前記傾斜板ユニットにおける被処理水の排出部を覆うように配置され、前記排出部を向く多数の流出孔が形成された流出部と、を有している、請求項4に記載の沈殿処理装置。
【請求項6】
前記流出部は、平行に並ぶ複数の枝管で構成されており、前記枝管の外周面に前記流出孔が形成されている、請求項5に記載の沈殿処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−307480(P2007−307480A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138967(P2006−138967)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(591030499)大阪市 (64)