説明

油入電気機器の乾燥方法

【課題】油入電気機器の機器中身を乾燥させ、絶縁特性および絶縁寿命を向上させることのできる油入電気機器の乾燥方法を提供する。
【解決手段】タンク1内の鉱油5aを抜油し、代わりに飽和水分量の高いエステル油等5bを注油する。エステル油等5bを絶縁油循環装置16を利用して加熱循環させることにより、機器中身2の絶縁物中の水分をエステル油等5b側へ移行させる。その後、エステル油等5bを抜油して、先に抜油して脱気および濾過処理した鉱油を注油し直す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油入電気機器の機器中身を乾燥させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器等の油入電気機器が過負荷運用に耐えられるか否かは、油入電気機器内に充填される絶縁油中のガス分析を行うことにより判断される。油中ガス分析の結果、絶縁油中に判定規準より多く可燃ガスが発生していた場合は、油入電気機器は過負荷運用に耐えられないと判断される。
【0003】
また、絶縁油中に可燃ガスが発生していない場合であっても、機器中身を構成する絶縁物中の水分量が許容値を越える場合は過負荷運用ができないと判断される。絶縁物中の水分量は絶縁油中の水分量を測定することにより推定される。
【0004】
そして、絶縁物である絶縁紙中の水分量が1%未満であれば、過負荷運用が可能であると判断され、絶縁紙中の水分量が1%以上であれば過負荷運用は不可能であると判断される。過負荷運用が不可能であると判断された場合は、機器中身の絶縁物を脱水処理することにより、絶縁紙中の水分量が1%未満となるように調節することが必要である。
【0005】
前記脱水処理としては、機器中身を完成させた状態で、機器中身を構成する巻線に通電することにより発生するジュール熱を利用して、機器中身を加熱乾燥する方法が知られている。
【0006】
この加熱方法によれば、巻線の近傍部分の乾燥を短時間で実現することができる利点を有する反面、巻線から離れた部分にはジュール熱が及び難く、巻線の近傍部分と離れた部分の間で乾燥ムラが生じる欠点があった。
【0007】
この問題を解消するために、機器中身の水分を絶縁油へ移動させることにより乾燥させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−12118号公報
【0009】
この方法によれば、加熱した機器中身をタンク内に収納し、保温された絶縁油中に浸すことによって、機器中身の水分の蒸気圧が絶縁油側より大幅に高いことを利用して、機器中身の水分を比較的短時間のうちに絶縁油側へ移動させ、機器中身をムラなく乾燥させることができる。
【0010】
また、乾燥処理後に機器中身を速やかに新たな絶縁油で浸すことにより、乾燥処理後の機器中身の吸湿を抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
然るに、上記特許文献1記載の乾燥方法は、あらかじめ、機器中身の巻線に通電して巻線の温度を100℃以上にし、かつ、絶縁油をタンク内に注入するに際して絶縁油を40℃〜50℃程度に保温しておかなければならず、また、タンク内に絶縁油を注入した後も、引き続き巻線に通電して機器中身を高温状態に保つことにより、絶縁油への水分の移動作用の低下を抑える必要があり、非常に手間と時間がかかるという欠点があった。
【0012】
また、タンク内に注油する絶縁油は通常鉱油であり、飽和水分量が小さいため、機器中身から絶縁油への水分の移行速度が遅く移行量も少ない。また、機器中身の乾燥は機器の停止状態で行わなければならず、停電可能な時間の制約により必然的に乾燥時間にも限界がある。
【0013】
さらに、機器中身を構成するプレスボード中の水分はほとんど除去することができず、上記乾燥方法を実践した後、所定時間経過後に絶縁油中の水分量を測定した場合、上記乾燥処理を行う前と同程度の油中水分量となってしまう欠点があった。
【0014】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するために、機器中身からの水分の移動に飽和水分量の高い絶縁油を使用し、かつ、当該絶縁油を熱油循環させることにより、効率的に機器中身の乾燥をムラなく行うことのできる油入電気機器の乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の発明は、油入電気機器の絶縁油として使用される鉱油を抜油した後、鉱油と比較して飽和水分量の高い絶縁油を注油し、該飽和水分量の高い絶縁油を熱油循環させることにより、機器中身の絶縁物中の水分を当該飽和水分量の高い絶縁油に移行させて機器中身を乾燥させることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、油入電気機器の絶縁油として使用される鉱油を抜油した後、鉱油と比較して飽和水分量の高い絶縁油を注油し、該飽和水分量の高い絶縁油を熱油循環させることにより、機器中身の絶縁物中の水分を当該飽和水分量の高い絶縁油に移行させ、抜油した鉱油を脱気処理および濾過工程を経て清浄化した後、再度、飽和水分量の高い絶縁油と鉱油を入れ替えることにより、機器中身を乾燥させることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2の何れかに記載の発明において、前記飽和水分量の高い絶縁油は、エステル油又はシリコーン油であることを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の発明において、前記飽和水分量の高い絶縁油は、熱油循環に先立ち、加熱手段によって粘度を鉱油相当の粘度まで低下させることにより、熱油循環において効率的な乾燥を実現することを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の発明において、前記鉱油又は飽和水分量の高い絶縁油の抜油に際し、油入電気機器内に乾燥剤を介して乾燥空気を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、油入電気機器から絶縁油として使用される鉱油を抜油した後、鉱油と比較して飽和水分量の高い絶縁油を注油して熱循環させることにより、油入電気機器の機器中身を構成する絶縁物中の水分を短時間で当該飽和水分量の高い絶縁油側へ良好に移行させることができ、機器中身の絶縁物から水分を除去しこれをムラなく乾燥させることができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、油入電気機器から抜油した鉱油を脱気処理および濾過工程を経ることにより確実に清浄化することにより、油入電気機器に注油した飽和水分量の高い絶縁油を抜油した後、再度、油入電気機器内に注油することにより、一旦、抜油した鉱油を再利用することができる。
【0022】
また、請求項2記載の発明によれば、油入電気機器の機器中身を乾燥させた後は、エステル油等から鉱油に再度入れ換えることにより、粘度が高く熱膨張率が大きなエステル油等によって、油入電気機器の運転中に冷却性が低下したり、温度の上昇に伴いコンサベータの隔膜を破損することを確実に防止することができる。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、飽和水分量の高い絶縁油として入手が容易なエステル油又はシリコーン油を利用し、また、当該エステル油等が鉱油と混和した場合であっても油入電気機器の電気的特性に与える影響を排除することができる。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、熱油循環に先立ち、飽和水分量の高い絶縁油を加熱することにより、当該絶縁油の粘度を鉱油相当の粘度まで低下させることができ、油入電気機器の機器中身を構成する絶縁物から絶縁油への水分の移行および脱気を促進することができる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、油入電気機器から鉱油又はエステル油等を抜油するに際して、乾燥剤を介して乾燥空気を油入電気機器内部に供給することにより、油入電気機器内の絶縁油を湿気を含んだ空気に接触させることなく、乾燥空気の供給圧力を利用して良好に抜油することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の乾燥方法を適用する油入電気機器の正面図である。
【図2】(a)は前記油入電気機器から絶縁油を抜油する工程を説明する図であり、(b)前記油入電気機器へ絶縁油を注油する工程を説明する図である。
【図3】本発明の乾燥方法による熱油循環を説明する図である。
【図4】本発明の乾燥方法による乾燥時間と絶縁紙中の水分量の関係を表すグラフである。
【図5】前記絶縁油の抜油作業を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図5を用いて説明する。図1は本発明に係る乾燥方法を適用する油入電気機器の一例を示す正面図である。図1において、Aは油入変圧器であり、1は油入変圧器Aのタンクを示している。
【0028】
2はタンク1内に収納した鉄心3や巻線4を組み立ててなる変圧器本体(以下、機器中身という)である。
【0029】
5はタンク1内に注油した絶縁油であり、6はタンク1の上部に設置され、内装する隔膜7によって、空気が直接、タンク1内の絶縁油5と接触することを阻止し、絶縁油5や機器中身2を構成する絶縁物が、空気中の水分と接触して酸化したり、電気特性が低下することを防止するコンサベータを示している。
【0030】
8はコンサベータ6の上部に通気管9を介して取り付けられる吸湿呼吸器であり、コンサベータ6およびタンク1内の絶縁油5や隔膜9の劣化を防止している。
【0031】
以上のように構成された油入変圧器Aにおいて、当該機器Aの使用が継続された場合、機器中身2を構成する絶縁紙等の絶縁物が水の発生を伴いながら劣化していく。発生した水は絶縁油5側へ殆ど移行することなく絶縁物中に留まる。
【0032】
絶縁物中に留まる水は、絶縁物の劣化を促進し、更に絶縁物の劣化を進展させる。絶縁物の劣化が進展し、絶縁物中の水が増加することは、過負荷運転時のボイド(空隙)が発生し、絶縁破壊に至る部分放電のリスクが高まることとなる。
【0033】
このような危険を回避するため、本発明に係る乾燥方法は適用されるものである。以下、本発明に係る油入電気機器の乾燥方法について説明する。まず、図1に示すように、油入変圧器Aのタンク1の下部に取り付けられたバルブ(以下、抜油バルブという)10を開放し、タンク1内に充填されている絶縁油(鉱油)5aを抜油する。
【0034】
このとき、タンク1内の鉱油5aは抜油バルブ10の開放直後こそ、その自重によって抜油バルブ10を介してタンク1外へ抜油されるが、抜油に伴いタンク1内が負圧となることによって、その自重によっても抜油バルブ10からタンク1外へ抜油されなくなる。
【0035】
そこで、タンク1の上部に設けた給油バルブ11に乾燥空気や窒素を高圧で供給するガス供給装置12を接続し、これら高圧ガスをタンク1内へ供給することにより、供給ガスの圧力を利用して鉱油5aをタンク1内から抜油バルブ10を介してタンク1外へ効率的に抜油する。
【0036】
前述の如く、乾燥空気や窒素をタンク1内に供給するのは、タンク1内の鉱油5aが空気中の水分と接触することを防止するためである。
【0037】
抜油バルブ10を介して抜油された鉱油5aは、図2(a)に示す脱気処理装置13によって脱気および濾過処理され、清浄化した状態で鉱油貯油タンク14内に貯油される。次に、予めエステル油やシリコーン油といった飽和水分量の高い絶縁油(以下、エステル油等という)5bを貯留した乾燥用絶縁油貯油タンク15を、同図(b)に示すように、図1のガス供給装置12に換えて、油入変圧器Aの給油バルブ11を介して接続する。
【0038】
そして、当該タンク15からエステル油等5bを油入変圧器Aのタンク1内に注油する。タンク1内にエステル油等5bが注油されたら、タンク15とタンク1の接続状態を解除し、つづいて、図3に示す絶縁油循環装置16をタンク1に接続する。
【0039】
絶縁油循環装置16は、タンク1内のエステル油等5bを通油管17を介して循環させるものであり、内部にエステル油等5bを加熱する図示しないヒータを備えて構成されている。そして、当該ヒータによってエステル油等5bを所定の温度に加熱しながら通油管17を介してタンク1内を熱油循環させる。
【0040】
エステル油等5bは、ヒータによって所定温度に加熱されることにより、その粘度が鉱油相当の粘度まで上昇し、機器中身2を構成する絶縁物からエステル油等5b側への水分移行、つまり乾燥処理を促進することができる。当該エステル油等5bは前述したように、鉱油5aと比較してその飽和水分量が遥かに高いので、機器中身2に使用されている絶縁紙等の絶縁物中に発生する水をエステル油等5b側へ良好に移行させることができる。
【0041】
これにより、機器中身2をムラなく短時間で乾燥させることができ、また、過負荷時のボイド(空隙)発生の危険を減少させることができる。
【0042】
次に、タンク1と絶縁油循環装置16の接続を解除し、図1に示す抜油バルブ10から水を移行させたエステル油等5bを抜油する。このとき、前述した鉱油5aをタンク1から抜油する場合と同様、ガス供給装置12を給油バルブ11に接続して、当該装置12からタンク1内に乾燥空気や窒素等の高圧ガスを供給することにより、抜油バルブ10を介してタンク1内からエステル油等5bを抜油する。
【0043】
抜油されたエステル油等5bは、図2(a)に示すように、脱気処理装置13によって脱気処理され、乾燥用絶縁油貯油タンク15内に保管される。
【0044】
一方、先に脱気処理され鉱油貯油タンク14内に貯油された鉱油5aは、当該鉱油貯油タンク14を同図(b)に示すようにタンク1の給油バルブ11に接続し、油入変圧器Aのタンク1内に戻される。
【0045】
タンク1内の絶縁油5を機器中身2から水分を移行させたエステル油等5bから再度鉱油5aに戻すのは、エステル油等5bと鉱油5a間の粘度等の特性の相違により、変圧器Aの冷却が不十分となることを防止し、運転温度の上昇によって変圧器Aを構成する絶縁物の劣化が促進したり、ポンプ等の機械系部品に悪影響を及ぼすことを確実に阻止するためである。
【0046】
以上の乾燥方法を適用することにより、経年劣化によって水分が発生した絶縁物を含む機器中身2を良好に乾燥させることが可能となる。この結果、過負荷運転時のボイド(空隙)の発生を確実に抑制し、絶縁破壊に至る部分放電のリスクを解消することができる。
【0047】
ここで、タンク1内に注油するエステル油等5bの水分量は、50[ppm]以下が望ましいが、200[ppm]までなら充分に上述の熱油循環に利用することが可能である。
【0048】
図4は本発明の乾燥方法を適用した紙中水分量と絶縁油中の水分量の推移を示すグラフである。この図から明らかなように、乾燥時間の経過とともに絶縁紙中の水分量が減少していき、これとは逆に、エステル油中の水分量が増加している。このことは、当該乾燥方法により、絶縁紙中の水分が確実にエステル油等5b側に移行したことを示している。
【0049】
図5はタンク1内から鉱油5aやエステル油等5bを抜油バルブ10を介して抜油する場合の他の実施例を示すものである。前述の如く、タンク1内から鉱油5aやエステル油等5bを抜油する場合、図1に示すように、乾燥空気や窒素等を高圧ガス供給装置12からタンク1内に供給することにより、良好に絶縁油5をタンク1から抜油することができる。
【0050】
しかし、本実施例は、乾燥空気や窒素を用いる代わりに、吸湿剤の収容容器18を介して空気を高圧ガス供給装置12よりタンク1内に供給するものである。高圧ガス供給装置12から供給された空気は吸湿剤の収容容器18により空気中の水分が当該収容容器18内に収容されるシリカゲル等の吸湿剤によって確実に吸湿されて乾燥空気を生成し、タンク1内に供給されることとなる。
【0051】
この結果、図1に示す第1実施例と同様、タンク1内に充填する鉱油5aやエステル油等5bは、空気中の水分と接触することなく、タンク1内に供給される乾燥空気の圧力を利用して、タンク1下部に取り付けた抜油バルブ10を介して、確実にタンク1外へ抜油することができる。
【0052】
なお、抜油された絶縁油5が図2(a)に示す脱気処理装置13によって脱気処理され、鉱油貯油タンク14或いは乾燥用絶縁油貯油タンク15内に貯油されることは第1実施例と同様である。
【0053】
また、本発明の乾燥方法においては、鉱油5aやエステル油等5bをタンク1から抜油するに際し、充分な時間をかけて抜油することに留意する。鉱油5aとエステル油等5bがタンク1内に残存した状態で注油した場合、鉱油5aとエステル油等5bが混和して粘度等の物理特性が混合比率に応じて変化するため、これを防止する必要があるからである。したがって、抜油時間を充分確保することにより、当該混和を避け、絶縁油の性状変化を極力抑制することが重要である。
【0054】
なお、上記実施例では、コンサベータ6を備えた密封式の油入電気機器A(図1,5参照)を例にとり説明したが、本発明の乾燥方法はこれに限定することなく、所謂、開放型の油入電気機器や、密封式の油入電気機器であっても窒素封入式やゴム袋式の油入電気機器についても利用可能であることは当然である。
【0055】
以上説明したように、本発明の油入電気機器の乾燥方法によれば、油入電気機器を新たに製造する場合は、機器中身を確実に乾燥させて、変圧器の絶縁特性および絶縁寿命を向上させることができる。
【0056】
また、経年劣化によって電気機器の機器中身の絶縁物中に水分が発生した場合には、機器中身を確実に乾燥させて、過負荷時のボイド(空隙)の発生を抑制し、絶縁破壊に至る部分放電のリスクを解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
油入電気機器の機器中身を乾燥させ、絶縁特性および絶縁寿命を向上させることのできる油入電気機器の乾燥に利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 タンク
2 機器中身
3 鉄心
4 巻線
5 絶縁油
5a 鉱油
5b エステル油等
6 コンサベータ
7 隔膜
8 吸湿呼吸器
9 通気管
10 抜油バルブ
11 給油バルブ
12 高圧ガス供給装置
13 脱気処理装置
14 鉱油貯油タンク
15 乾燥用絶縁油貯油タンク
16 絶縁油循環装置
17 通油管
18 吸湿剤の収容容器
A 油入変圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油入電気機器の絶縁油として使用される鉱油を抜油した後、鉱油と比較して飽和水分量の高い絶縁油を注油し、該飽和水分量の高い絶縁油を熱油循環させることにより、機器中身の絶縁物中の水分を当該飽和水分量の高い絶縁油に移行させて機器中身を乾燥させることを特徴とする油入電気機器の乾燥方法。
【請求項2】
油入電気機器の絶縁油として使用される鉱油を抜油した後、鉱油と比較して飽和水分量の高い絶縁油を注油し、該飽和水分量の高い絶縁油を熱油循環させることにより、機器中身の絶縁物中の水分を当該飽和水分量の高い絶縁油に移行させ、抜油した鉱油を脱気処理および濾過工程を経て清浄化した後、再度、飽和水分量の高い絶縁油と鉱油を入れ替えることにより、機器中身を乾燥させることを特徴とする油入電気機器の乾燥方法。
【請求項3】
前記飽和水分量の高い絶縁油は、エステル油又はシリコーン油であることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の油入電気機器の乾燥方法。
【請求項4】
前記飽和水分量の高い絶縁油は、熱油循環に先立ち、加熱手段によって粘度を鉱油相当の粘度まで低下させることにより、熱油循環において効率的な乾燥を実現することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の油入電気機器の乾燥方法。
【請求項5】
前記鉱油又は飽和水分量の高い絶縁油の抜油に際し、油入電気機器内に乾燥剤を介して乾燥空気を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の油入電気機器の乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−23262(P2012−23262A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161343(P2010−161343)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)