説明

治療及び診断刺激を発生するための方法及び装置

皮膚への使用及び皮膚以外での使用(医療埋め込みデバイスなど)を含む、医療、診断、及び治療に使用する電気刺激に進歩があった。新規性のあるシステムは、特に高周波(1kHz〜50,000kHz)において変調された連続的対称波形、特にFPGA又はASICチップを含むデバイスに基づく。このような電気システムを使用すると、最終的にはハンドヘルド型又は埋め込み型にできる十分に小さい安全で、小型化された医療デバイスを実現できる。低周波正弦波を合成するために、高周波対称波形が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気波形を印加することによる神経刺激及び他の生理的刺激に関するものであり、特に、かなり小型化されたデジタル/アナログ神経選択的診断又は治療用電子デバイス、及び特に、従来のデバイスよりも優れている強化された機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
神経選択刺激は、音、光、又は電気刺激を使用して人の神経系に加えることができる。神経組織のさまざまな部分集団が異なる機能(例えば、励起又は抑制)を補助するので、神経選択電気刺激を神経組織の治療励起において使用するのは有利なことである。
【0003】
特許文献に関して、
1981年12月15日に発行された「Method for transcutaneous electrical stimulation」という表題のJ.Katimsの米国特許第4,305,402号では、誘発応答刺激の所定の条件の下で被検者の実際の生物電気的特性を監視し、取得し、またコンピュータと双方向にやり取りすることにより、信号発生器を使用して監視されている実際の生物電気的特性に関係する被検者に生物電気的特性をもたらした方向で電流振幅及び周波数を修正して皮膚電気刺激を被検者に加える方法及び装置を開示している。信号発生器は、正弦波形出力を使用する。電流知覚閾値(CPT)は、さまざまな周波数で印加される非侵襲性非嫌悪性電気刺激を使用して決定される。5〜10Hz、10〜70Hz、及び70〜130Hzの周波数範囲が開示されている。
【0004】
1985年3月12日に発行された「Method and apparatus for transcutaneous electrical stimulation」という表題のJ.Katimsの米国特許第4,503,863号。
【0005】
手動式電流知覚閾値(CPT)デバイスは、特許されたKatims技術向けに開発され商業化されている。手動式CPTデバイスを使用した場合(Katimsの米国特許第4,305,402号又は4,503,863号を参照)、一対の同一CPT電極が、技師によって検査されるべき被検者の皮膚上の、互いから指定された距離のところに置かれた。電極は、一般に、一切れのテープを使って適所に保持される。導電性ゲルを含む電解質が、検査すべき皮膚と電極面との間の導電媒体として使用される。技師が、デバイスの制御装置を被検者の視野から隠す必要があったため、被検者は、デバイスの出力設定を見ることができない。次いで、技師は、被検者に、CPT刺激の強度を手動で徐々に強くしていっていることを知らせ、刺激が知覚されたら報告するよう被検者に求める。被検者が、刺激を知覚したことを報告すると、技師は、CPTデバイスの出力をオフにする。通常、被検者は、皮膚部位と接触している電極の一方若しくは両方の下又は電極の領域内で刺激の初期知覚を報告する。これは、自然に知覚された刺激でないので、被検者は、多くの場合、刺激がどのようなものかを学習する必要があり、したがって、初期知覚報告は、実際に最終的に決定されたCPTよりもけっこう高いことが多い。次いで、技師は、出力強度をランダムに選択された減分値で減少させ、被検者が刺激を知覚しなくなるまで刺激の低い強度を繰り返し提示して行く。従来技術のCPTデバイスは、刺激をオン若しくはオフにすること、又は停止(off)位置にすることを可能にする三位スイッチを備えていた。このスイッチは、スイッチを入れたときに機械的クリック音を発した。技師がつまみを回したときに、位置と位置との間でクリック音を発し、被検者に刺激がわかるようにした。技師は、被検者に、「I am now going to present you with two tests,Test A with a rest and Test B,and I would like you to tell me when you may perceive either Test A or B or whether you cannot perceive either test.」(これから、安静ありの検査Aと検査Bの2つの検査を行いますが、検査A若しくはBのいずれかを知覚できたとき、又はいずれの検査も知覚できないときに知らせて欲しい)と述べた。次いで、技師は、ランダムな順序で、CPTデバイスの出力選択つまみを真設定、安静設定、及び偽設定の間で動かし続けた。例えば、第1の2つの検査は、検査Aが真設定であった場合の順序で提示され、次の3つの検査は、検査Aが偽設定であった場合の順序で提示された。被検者の反応に基づいて、刺激の閾値上(閾値よりも高い)及び閾値下(閾値より低い)強度を提示することにより、技師は、2つの閾値上及び閾値下強度設定の間の閾値を絞り込んでゆくことができた。CPT測定の分解能は、電流強度の大電流ステップ又は小電流ステップにより閾値が決定されるかどうかに応じて技師により決定された。この手動手段を使用することで、技師は、CPTをこれらの2つの強度の間の平均値として近似することができた。この手順は、特徴的なCPTを決定するためさまざまな刺激周波数において技師により繰り返された。技師は、検査手順から決定したCPT値を手書きで記録しなければならなかった。次いで、これらのCPT値は、統計的評価を行う目的で、コンピュータ・ソフトウェア・プログラムに手入力された。
【0006】
以下は、背景情報としても述べられている。
【0007】
J.Katims,D.M.Long,L.K. Y.Ng,「Transcutaneous Nerve Stimulation:Frequency and Waveform Specificity in Humans」Appl.Neurophysiol.49:86〜91頁(1986年)。
【0008】
Katims,J.J.,Rouvelas,P.,Sadler,B.,Weseley,S.A.「Current Perception Threshold:Reproducibility and Comparison with Nerve Conduction in Evaluation of Carpal Tunnel Syndrome.Transactions of the American Society of Artificial Internal Organs」第35巻、280〜284頁、1989年。
【0009】
J.Katims,D.Taylor and S.Weseley,「Sensory Perception in Uremic Patients」ASAIO Transactions、1991年、37:M370〜M372頁。
【0010】
Katims,J.J.,Patil,A.,Rendell,M.,Rouvelas,P.,Sadler,B.,Weseley,S.A.,Bleecker,M.L.「Current Perception Threshold Screening for Carpal Tunnel Syndrome.」Archives of Environmental Health、第46巻(4):207〜212頁、1991年。
【0011】
D.Taylor,J.Wallace and J.Masdeu、「Perception of different frequencies of cranial transcutaneous electrical nerve stimulation in normal and HIV−positive individuals」Perceptual and Motor Skills、1992年、74、259〜264頁。
【0012】
1992年9月1日に発行された「Randomized double pulse stimulus and paired event analysis」という表題のYoungらの米国特許第5,143,081号。
【0013】
1998年9月15日に発行された「Digital Automated Current Perception Threshold(CPT)determination device and method」という表題のKatimsの米国特許第5,806,522号。
【0014】
1998年12月22日に発行された、手首用刺激装置の「Apparatus and methods for assessment of neuromuscular function」という表題のGozani(NeuroMetrix,Inc.)の米国特許第5,851,191号。
【0015】
2000年2月22日に発行された「Multi−functional electrical stimulation system」という表題のHerbstの米国特許第6,029,090号。
【0016】
2002年5月9日に公開されたJ.Katimsの「Nervous tissue stimulation device and method」という表題の米国特許出願第2002/0055688号では、研究対象の組織の生理学的伝導性に関して生理学的反応を記録することに干渉する、又は監視システムによるそのような記録を妨げる十分な電圧又は電気的アーチファクトを刺激を受ける組織に残さない神経選択組織刺激に対し正確に制御されるコンピュータ・プログラム可能な刺激を使用する方法を開示している。コンピュータは、刺激の波形、持続時間、及び強度を制御する。正弦波となる対称波形が、図10に示されている。5Hz及び2kHzにおける波形が、図10に示されている。
【0017】
2004年5月4日に発行された「Magnitude programming for implantable electrical stimulator」という表題のMann(Advanced Bionics Corp.)の米国特許第6,731,986号。
【0018】
2004年12月14日に発行された「Stair step voltage actuated measurement method and apparatus」という表題のHedgecockの米国特許第6,830,550号。200Hz、250Hz、及び5Hzに対するボタンが、図6に示されている。図7、9は、非対称波形を示している。
【0019】
2005年9月1日に公開された「Nervous tissue stimulation device and method」という表題のJ.Katimsの米国特許出願第2005/192567号。
【0020】
電流知覚閾値(CPT)は、従来、一般に1から10μAの分解能で、0から10ミリアンペアまでの範囲の経皮的印加出力刺激強度を使用して決定された。20mAの出力を必要とするモデルが最近開発されているが、著しい修正ではない。述べられている電流は、電圧範囲±150Vに対するものである。
【0021】
従来のデバイスはケースに入っており、中型又は大型のスーツケースのサイズは、そのケース内で15kg(33ポンド)の重さとなっている(ケースを勘定に入れずに6.4〜8.2kg(14〜18ポンド))。15kg(33ポンド)とビッグサイズの従来の電気刺激医療デバイスは、連動しにくいことのほかに、小さなサイズが必要な用途及び使用に合わせて拡張できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の発明者は、6.4〜8.2kg(14〜18ポンド)の従来の電気刺激医療デバイスが望ましくない大きさになることを見いだした。さらに、本発明の発明者は、従来のスーツケース・サイズの電気刺激医療デバイスが必要とするバッテリ用のスペースは大きすぎること、及び/又は装置のコンポーネントとしては大きすぎることを見いだした。発明者は、バッテリのスペースを大幅に削減するか、又はスペースを除去する新規性のあるアプローチを生み出した。発明者は、さらに、従来の技術だと、ハンドヘルド型デバイス又は埋め込み型デバイスを構成するのには使用できないことに気づいた。さらに、本発明の発明者は、より安全な診断法/治療法/生理学的方法(つまり、高いエネルギーによる刺激と同じ生理学的な効能を持つ低いエネルギーの刺激)を見つけたいと考えていた。また、発明者は、悪影響の少ない刺激を発生して、治療/生理学的介入の評価又は変更に従う患者の順守意識を高めることも望んでいた。「生理学的」は、インビボ及びインビトロの両方を意味する。
【0023】
そこで、発明者は、対称高周波形に基づく新しい技術を発明した。このような新しい技術は、例えば、FPGA又はASICチップが好ましくは使用されるマイクロコントローラを組み込んだデジタル刺激装置制御装置を含む新規性のある回路及び新規性のあるデジタル制御装置において実際に具現化される。
【0024】
バッテリ充電用の電磁力を使用すると、組織刺激用のデバイスにおいて、バッテリ又はバッテリ充電器の配線接続が必要なくなる。
【0025】
発明者による新しい発見及び発明により、さらに、医療、診断、及び治療用途に電気刺激を使用する新規性のある小型化されたデバイス及び新規性のある埋め込み型デバイスがもたらされた。
【0026】
本発明の目的は、診断及び治療の両方を目的とする、また薬物療法を推奨するために使用できる電流又は電流疼痛知覚閾値のデジタル方式の自動定量及び記録を行うことである。本発明は、さらに、神経診断評価の手順を自動的に案内するためにも使用できる。
【0027】
本発明の他の目的は、患者、被検者、動物などに対する内部的用途及び外部的用途の両方に対する従来のデバイスに比べて少ない電荷を使用する治療及び/又は診断電気刺激を与えることである。
【0028】
本発明の他の目的は、低い高調波ひずみを有する高忠実度の高品質刺激を発生することである。
【0029】
本発明の他の目的は、従来の大きなデバイスに比べて等しい、又は良好な効率を有するサイズ縮小されたデバイス及びバッテリを実現することである。
【0030】
本発明のさらに他の目的は、他の方法では、例えばスペースが限られている特定の臨床的状況、医療デバイス埋め込みなどで、デバイスのサイズを縮小しない限り実施できない応用を可能にすることである。
【0031】
本発明の他の目的は、FPGA又はASICチップを使用して、生理学的な、診断に用いる、治療的な電気刺激について単一の連続波形刺激又は複数の波形刺激を発生することである。
【0032】
本発明は、さらに、より低い歪み及び/又はより高い忠実度の刺激をもたらすデジタル高周波形を発生することを目的とする。
【0033】
本発明の他の目的は、無線制御を神経刺激及び他の生理学的刺激技術に持ち込むことである。
【0034】
本発明の他の目的は、生理学的刺激を与える用途においてデバイス内のバッテリを使わずに使用可能である生理学的刺激デバイスを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
好ましい一実施例では、本発明は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)チップ又は特定用途向け集積回路(ASIC)チップ(例えば、約1kHzから50,000kHzまでの範囲内の高周波チップであるFPGA又はASICチップなど)を備える発生器システムであって、連続的対称波形(例えば、正弦波形、二相性方形波形、三角方形波形、変調された高周波合成方形波形など)である少なくとも1つの刺激(例えば、生理的選択的な生成された刺激、組織選択的な生成された刺激)を発生する発生器システムと、例えば、ハンドヘルド又はそれよりも小型である、及び/又は6.4〜8.2kg(14〜18ポンド)よりも実質的に軽い、及び/又は寸法が例えば6cm×6cm×1cmなどの15cm×15cm×10cm以下の医療デバイス、本質的に高周波FPGAチップ又は高周波ASICチップ、及びデバイスが患者又は組織に電気的に接続されたときに定電流検査を実施するために必要になるような追加のコンポーネントのみからなる医療デバイス、電源(例えば、バッテリ、インダクタンスコイルを備える電源など)を備える医療デバイス、デバイスに含まれない外部電源により電力の供給を受ける医療デバイス、生体適合化され、人又は動物などに埋め込み可能な医療デバイスなどの、少なくとも1つの生成される刺激(例えば、電気感応性組織に印加できる形態の生成される刺激、神経に印加できる形態の生成される刺激、患者に印加されたときに皮膚感覚をまったく誘発せず、及び非皮膚感覚のみを誘発する生成される刺激など)を患者又は電気感応性組織に施す際に使用される少なくとも1つの電極又は電磁石システムを含む医療デバイスを実現する。
【0036】
好ましい他の実施例では、本発明は、特定の高調波周波数と異なる少なくとも2つ又はそれ以上の異なる周波数を最大化することにより、特定の高調波周波数(例えば、生物学的に重要な特定の高調波周波数、生理学的に重要な特定の高調波周波数、生理的選択的な特定の高調波周波数(例えば、A、B、及びC神経線維の部分集団の間で神経選択的な特定の高調波周波数)、組織選択的な特定の高調波周波数など)を発生する発生器システムと、例えば、特定の高調波周波数が異なる組織タイプを刺激すること(例えば、小径の神経線維を刺激することなど)ができる医療デバイスなどの特定の高調波周波数を患者又は電気感応性組織に施すために使用される少なくとも1つの電極又は電磁石システムとを含む医療デバイスを実現する。
【0037】
本発明は、他の好ましい実施例では、電気感応性組織により受け取ることが可能な刺激を発生する、刺激(例えば、対称波形(例えば、連続的対称波形など)など)を発生する刺激発生システム、及び刺激を電気感応性組織に送達する際に使用される電極又は電磁石システムを含む小型化された、ハンドヘルド型又はそれよりも小さいサイズの医療デバイス、例えば、6.4〜8.2kg(14〜18ポンド)よりも実質的に軽い小型化された医療デバイス、ジョンソン型カウンタ又は10進カウンタ、高速半導体CMOSフリップ・フロップ・チップ、アナログ・マルチプレクサ・チップ、スイッチド・キャパシタ・フィルタ・マイクロチップ、及び表面実装0.1pファラド電解バイパス・コンデンサのうちのいずれかが存在しない医療デバイス、人又は動物に埋め込み可能な小型化された医療デバイスなどを含む小型化された医療デバイスを実現する。
【0038】
本発明は、他の好ましい実施例では、ハンドヘルド又はそれよりも小さいサイズのデバイス内で、連続的対称波形(例えば、約1kHzから50,000kHzまでの範囲内の高い周波数を有する連続的対称波形など)を持つ少なくとも1つの電気刺激を発生すること(例えば、高周波FPGAチップ又は高周波ASICチップを動作させることを含む発生する工程など)、電磁感応性組織又は患者と接触可能な電極又は電磁石システムに少なくとも1つの電気刺激を送ることを含む医療に使用可能な電気刺激を発生する方法を提示する。
【0039】
好ましい他の実施例では、本発明は、ハンドヘルド型又はそれよりも小さいサイズのデバイス内で、連続的対称波形を持つ少なくとも1つの電気刺激を発生すること(例えば、約1kHzから50,000kHzまでの範囲内の高周波を持つ少なくとも1つの電気刺激を発生すること)、及び少なくとも1つは電気刺激を電気感応性組織に印加すること(例えば、刺激電極を人若しくは動物であるとしてよい患者又は電気感応性組織と接触させることを含む印加工程)を含む、電気感応性組織に電気刺激を与える方法、例えば、少なくとも1つの電気刺激を印加する工程が皮膚において実行される方法、少なくとも1つの電気刺激を印加する工程が皮膚を介さないで実行される方法、少なくとも1つの電気刺激を印加する工程が実行された結果、神経又は組織刺激が生じる方法を提示する。
【実施例】
【0040】
本発明は、さらに図を参照することで理解することができるが、本発明は、図に制限されない。
【0041】
本発明のデバイス、装置、方法、製品、及びシステム(限定はしないが、診断及び治療電気刺激を発生するための方法及び装置を含む)において、対称波形が使用される。対称波形の実施例は、例えば、正弦波形(図1Aを参照)、二相性方形波形(図1Bを参照)、三角波形(図1Cを参照)などである。図1A〜1Cに示されている対称波形は、例であって、本発明は、これに限定されない。波形に対し本発明で使用されるような「対称」は、xが0〜180度の範囲のときに点(x,y)により表される波形を、またxが180〜360度の範囲のときに点(x+180、−y)により表される波形を意味する、つまり、0〜180度までの波形は、180〜360度の範囲でも繰り返され、ただしyが180〜360度の位相において(−y)になるという点が異なる。
【0042】
好ましい波形は、連続的な対称基本波形及び関係する高調波形、つまり、特定の振幅又は周波数の正弦波形(ハーモニックスともいう)である。好ましくは、この対称波形は連続的であり、パルス間間隔が最小でないか、又は最小である。
【0043】
持続時間は、本発明のすべての実施例において連続的である必要はなく、例えば、振幅変調高周波ステップを使用して、組織、被検者などに印加する適切な周波数の波形を構成することができる。例えば、時間の経過とともに相殺される、異なる振幅の、同じ持続時間のステップを使用して、アナログ刺激のデジタル・バージョンを構成することができる。
【0044】
少なくとも1つの波形が生成される時間は、例えば、用途に応じて約0.1秒から数分の範囲内の時間である。
【0045】
本発明では、所望の電気生理学的反応を得るために電気刺激の単一波形又は複数の波形を同時に使用することができる。複数の波形を同時に使用する一実施例は、例えば、2000Hzの波形を2040Hzの波形と同時に使用することである。複数の波形が同時に使用される場合、これらは、結果として得られる総和又は差の波形が所望の周波数で最適なエネルギーを有するように使用されるべきである。
【0046】
高周波刺激を低周波変調とともに使用することで、同じ生理学的効果を少ない電荷でもたらすことが可能になる。これは、刺激を受ける被検者(人若しくは動物)又は組織への電荷暴露を少なくするために使用されるときに望ましいものである。都合のよいことに、高周波形を発生し、操作することで、特定の低周波正弦波ハーモニックスを発生し、電荷消費を最小限に抑えて、刺激の安全性を高めるとともに、システムに電力を供給するバッテリの寿命を延ばすことができる。
【0047】
本明細書の「刺激」は、興奮刺激又は抑制刺激を意味する。
【0048】
本発明では、電気刺激(対称波形を含む)が、組織に与えられる。電気刺激が人の神経系に与えられる場合、条件が満たされなければならないいくつかの因子がある。電気刺激を組織に与える場合、組織の損傷を引き起こさないように、刺激の電荷密度を最小に留める必要がある。痛みの軽減及び安全性の問題に加えて、埋め込み可能な、又は小型の医療デバイス工学技術に関して、低電荷刺激も、バッテリ電源の稼働寿命を延ばす。
【0049】
本発明では、使用される対称波形は、高周波である。本発明の発明者は、高周波形を使用することで、特定の低周波正弦波ハーモニックスを発生させ、それにより、電荷消費を最小にし、バッテリの寿命を延ばすことができることを見いだした。
【0050】
対称高周波形を発生させる際に、好ましくは、本発明は、高周波FPGAチップ又は高周波ASICチップを使用して実施される。高周波FPGA又はASICチップの好ましい一実施例は、最大約50MHzまでの通常稼働範囲を有するチップである。
【0051】
本発明の組織刺激装置デバイス用の電源は、用途に応じて選択される。都合のよいことに、いくつかの実施例では、電磁力又はバッテリ充電を使用することで、バッテリ又はバッテリ充電器の配線接続を不要にすることができ、これにより、組織刺激を行うためにデバイスが使用されているときにデバイス内のバッテリを必要としない組織刺激デバイスを実現できる。例えば、本発明の生理学的刺激装置デバイスに外部から電力を供給するためにインダクタンスコイル充電ステーションを使用することができ、これにより、刺激装置デバイスとその電源との間の配線が不要になる。変換器機構を使用することにより、電源に配線するためのバッテリが都合よく不要になるが、これは、外部電源により電力を供給されうる埋め込み可能デバイスに電力を供給するのに都合がよい。
【0052】
本発明により刺激できるものとして例えば、神経及び組織がある。都合のよいことに、神経の部分集団又は組織の部分集団は、例えば、神経線維が患者又は被検者の生体内にあり得る小径の神経線維を、神経線維に少なくとも1つの連続的な対称波形を印加することにより刺激することなどで、選択的に刺激されうる(例えば、1kHzから50,000kHzまでの範囲内の少なくとも1つの高周波を使用して生成される連続的な対称波形など)。
【0053】
本発明を具現化する刺激装置デバイスを操作するときに、好ましくは、必要な電流量は最小にされ、20mA未満の電流で済むような、小さな量である。必要な電流量は、一般に、用途に依存する。例えば、日常的臨床応用は、例えば、10mA以下の電流を必要とし、麻酔が使用される用途では、20mA以下の電流を必要としうる。
【0054】
本発明で使用される電流の種類に関して言うと、電流は直流(イオンの陽極及び陰極への移動を使用する)又は定電流(それぞれの電極において等価な電荷を使用する)でよいが、定電流が好ましい。定電流を使用するのは、生理学的に安全だからであり、また組織のインピーダンス又は抵抗の変動(発汗が生じたとき、乾燥が生じたときなどに発生する変化など)に有利な形で対応するためである。
【0055】
本発明を具現化するデバイスの電圧(バッテリがある場合とない場合)は、用途に応じてカスタマイズすることができる。例えば、いくつかの用途では、従来のトランス(ワイヤ・ラップ・トロイド)を使用するか、又はトロイドをデバイスに組み込むことができ、電圧は巻き線の数の関数として表され、また市販のサイズのものとすることができる。それとは別に、特定の電圧を供給するために、カスタマイズされたトロイドを形成することができる。それとは別に、カスタム・ラップ導電性コイルを使用することができる。ワイヤ・ラップ・トロイド又はカスタム・ラップ導電性コイルは、使用される場合、刺激装置デバイス内、又はデバイスと連動する刺激装置デバイスの外部で使用されうる。
【0056】
好ましくは、本発明は、比較的小さなサイズになるように構成された刺激装置デバイスを使用して実施される。比較的小さいサイズの重量の例としては、6.4〜8.2kg(14〜18ポンド)(0.45kg(1ポンド)以下の重量は好ましい実施例である)よりも実質的に小さい重量が挙げられる。本発明の刺激装置デバイスに対する比較的小さいサイズの寸法の例としては、15cm×15cm×10cm以下、好ましくは6cm×6cm×1cmが挙げられる。
【0057】
本発明により得られる電気刺激は、例えば、電気感応性組織、神経など、及びそれらの部分集団に加えられうる。刺激を受け取る電気感応性組織、神経などは、例えば、人、動物などの中のものとしてよい。本発明による組織刺激は、電極又は電磁石システムを皮膚を介して、又は皮膚を介さずに組織に与えることによりもたらすことができる。
【0058】
電極システムは、刺激装置電極及び散乱電極などの少なくとも2つの導体を含む。刺激装置電極を施すための配置の実施例は、例えば、膀胱、腹、肩、膵臓、腸管、胆嚢、胆汁流などである。本発明は、例えば、内部の筋肉の動き、膀胱の治療、腹の治療、糖尿病の治療のため選択的インスリン放出を引き起こすこと、他の膵臓治療などを制御するために組織に刺激を加える場合に使用することができる。
【0059】
前述の内部配置(膀胱、腹、及び肩への配置など)では、外部充電器とともに刺激装置デバイスを使用することが好ましい。分散電極を配置する実施例は、例えば、刺激される領域内の別の場所の、刺激装置電極が付けられている患者の足である。一般に、刺激装置電極は、比較的小さく、分散電極は、比較的大きい。
【0060】
電極システムの代わりに、電磁刺激を与えるために少なくとも1つの電磁石のシステムが使用できる。本発明を実施する際に使用する電磁石システムの一実施例は、電流で磁場を発生する、本発明の刺激装置デバイスの出力に電気的に接続される、手首に着けられる円形鉄製ブレスレットである。
【0061】
本発明は、例えば、診断用途、治療用途、医学的用途などで使用できる。
【0062】
本発明は、さらに実施例を参照することで理解することができるが、本発明は、実施例に制限されない。
【0063】
「比較実施例1」
Katimsの米国特許第4,305,402号、4,503,863号、及び5,806,522号で説明されている医療用電気刺激装置は、大きなラップトップ・コンピュータのサイズである。
【0064】
「比較実施例1A(Neurotron,Inc.社のNeurometer)」
Neurotron,Inc.のデバイスは、以下のコンポーネントを備える。
【0065】
(1)Fairchild Industries社によって製造されている医療認定カウンタ・マイクロチップと類似の4つの4ステージ8除算を行うジョンソン型カウンタ又は10進カウンタ/除算器、
【0066】
(2)2つの高度な高速半導体CMOSフリップ・フロップ・マイクロチップ(例えば、STMicroelectronics)、
【0067】
(3)Fairchild Industries社により製造されている医療認定マルチプレクサマイクロチップに類似の、1つのアナログマルチプレクサ集積回路マイクロチップ、
【0068】
(4)1つの四次スイッチド・キャパシタ・フィルタ・マイクロチップ(National Semiconductor)、
【0069】
(5)10個の表面実装0.1μファラドの電解バイパス・コンデンサ。この比較実施例1のデバイスに含まれるコンデンサは、回路基板の約25%を占有する。
【0070】
コンポーネント(1)〜(5)は、約5.74cmの回路基板スペースを必要とする。
【0071】
比較実施例1は、予想トリクル寿命が25℃で3〜5年、寸法が約151mm×134mm×84mm、全高が100mm、重量が約1.26kgである、Panasonic LC−R067R2Pなどの制御弁式鉛蓄電池により電力を供給される。
【0072】
テーブル・トップ・サイズのNeurometer(登録商標)CPTデバイスについてWebサイト上に2002〜3年頃に公開されたNeurotron,Inc.社のデータでは、正常な平均CPT値、1CPT=10マイクロアンペアに対しCPT周波数5Hz、250Hz、及び2000Hzを報告している。
【0073】
この機械は、重量が約6.46kg(14.25ポンド)であり、寸法は約39.37cm(15.5インチ)(L)、29.21cm(11.5インチ)(W)、及び12.7cm(5インチ)(H)である。この機械は、重量が約0.86kg(1.9lbs)であり、寸法が12.7cm(5インチ)(L)、12.7cm(5インチ)(W)、及び10.16cm(4インチ)(H)であり、本体ユニットとケーブルで接続されるリモート・ボックスを有する。他の特徴としては、大小のつまみ、LCDディスプレイ、内蔵LD(22.86cm(9インチ)×2.54cm(1インチ))及びLEDを備える18個のスイッチ、プリンタ、並びに4個のスイッチ及び4個のLEDを備える遠隔患者応答ボックス、さらにコネクタとして、1本の電話(TELCO 6−4)電極、1つの遠隔ボックス(TELCO 8−8)電極、1つのプリンタ用電源及びバッテリ充電器、DCコネクタ(2.1〜2.5mm)、2つのシリアル・ポートDB−9を備える。
【0074】
「発明の実施例1」
人及び動物の神経組織及び他の電気感応性組織(例えば、筋肉)は、電気刺激の高調波又はスペクトル成分を弁別し、刺激のそれらの成分に選択的に応答することができる。(Katimsの米国特許第5,806,522号、Katimsの米国特許第4,503,863号、Katimsの米国特許第4,305,402号、Katims、J.J.、Long、D.M.、Ng、L.K.Y.、「Transcutaneous Nerve Stimulation(TNS):Frequency and Waveform Specificity in Humans」、Applied Neurophysiology、第49巻:86〜91頁、1986年、Katims、J.J.、「Electrodiagnostic Functional Sensory Evaluation of the Patient with Pain:A Review of the Neuroselective Current Perception Threshold(CPT)and Pain Tolerance Threshold(PTT)」、Pain Digest、第8(5)巻、219〜230頁、1998年、Kog、K.、Furue、H.、Rashid、M.、Takaki、A.、Katafuchi、T.、Yoshimura、M.、「Selective activation of primary afferent fibers evaluated by sine−wave electrical stimulation」Molecular Pain、第1巻:13頁、2005年)
【0075】
正弦波形は、純粋な高調波刺激を表す。正弦波形電気刺激のさまざまな周波数(例えば、5Hz、100Hz、2000Hz)により、神経組織の特定の部分集団が選択的に励起される。5000Hzを超える周波数では、通常、刺激に対する直接的な電気的誘発組織応答はない。十分な強度の5000Hzの刺激が与えられる場合、電気生理学的又は感覚反応が誘発される前に、皮膚を焼く可能性がある。
【0076】
本発明は、持続時間が本発明の機能する状況を例示することを目的として典型的には1秒よりも長く、数分程度と長い電気刺激の1つ又は複数の連続波形を参照しているが、この段落では、正弦波形刺激の単一サイクル又は360度だけを参照している。ピーク振幅が1mAの360度の5Hz正弦波形は、同じ振幅の360度2000Hz正弦波形と比較して400倍の電荷を有する。それぞれの正弦波形の特性持続時間は、2000Hz及び5Hzの波形に対しそれぞれ0.5ミリ秒及び200ミリ秒である。したがって、低い電荷を有しているため、高周波刺激を使用することが好ましい。しかし、5Hzの正弦波形刺激は、小径の神経線維を選択的に励起することができ、この種の刺激は、小径の神経線維の機能を選択的に変調する必要がある場合に、治療又は診断に関して示すことができる(例えば、痛みの軽減又は震えの抑制又は神経機能不全の評価のため)。2000Hzの正弦波形は、対照的に、小口径の神経線維を刺激する能力を持たない。(Kogaら、2005年)。しかし、神経系がハーモニックスを弁別し、ハーモニックスの違いを検出する能力を利用することが可能である。例えば、5Hzの刺激が必要な場合、以下の2つの方法のうちのいずれかを用いて刺激を加えるとよい。
【0077】
(方法1)
正弦波形は、正弦波形内の時間的位置に基づいてさまざまな強度の連続ステップ又は高周波パルスからデジタル合成される。図1は0度から360度までの正弦波形を例示しており、最初の180度までは、純粋な5Hz刺激を示しており、次の180度までは、高周波パルス又はステップからなるデジタル合成正弦波形を示している。この実施例では、パルス又はステップの振幅は、正弦波の角度又は持続時間に等しい。例えば、1.0mAのピーク強度に設定されている5Hz正弦波(100ミリ秒)の最初の180°を含むパルスを考える。45°又は25ミリ秒では、パルス振幅は0.5mAであり、90°又は50ミリ秒では、パルス振幅は、1.0mAであり、135°又は75ミリ秒では、振幅は、0.5mAであり、180°又は100ミリ秒では、振幅は、0である。これらの高周波パルス又は個別ステップは、個別に示されるか、又は変調されていない強度で示された場合に、検査又は治療対象の組織を励起することができないくらい短い持続時間である可能性もある。
【0078】
人の健康な指先の皮膚約1平方cmを刺激する場合、誘発するのに約3秒間(脱分極期間又は180°=100ミリ秒)で平均0.5mAを必要とするが、同じ部位の2000Hzの正弦波刺激(脱分極期間又は180°=0.25ミリ秒)の平均閾値は、約1秒間印加されたときに2.5mAとなる。発明者は、自分の研究を通して、変調された0.25ミリ秒の正弦波パルスをパルスとパルスとの間の0.25ミリ秒(又は2000Hzの正弦波の180°)の休息期間を使用して5Hzの刺激を発生することは、5Hzの感覚の誘発において図1の正弦波の左半分に示されているような連続的5Hz脱分極として同様に効果的であると確定した。デジタル生成刺激では、連続的刺激に比べて使用する電荷量が少ない。
【0079】
本発明の重要な利点は、診断効果又は治療効力に必要な電流を最小にすることである。本発明の必要電流の削減という大きな利点により、従来デバイスに比べてバッテリ及びその他のコンポーネントの必要なサイズを著しく縮小することができ、したがって小型化を大きく進めるとともに、バッテリ寿命を延ばすことができる。
【0080】
(方法2)
神経選択又は組織選択的刺激を発生させる第2のデジタル方式の手段は、搬送周波数を伴う。例えば、2000Hzの刺激は、2005Hzの刺激とともに加えることができ、これらの2つの刺激の間の5Hzの高調波周波数の差が支配的刺激となる。
【0081】
この実施例の方法1又は2を用いることで、神経選択的高周波デジタル刺激を利用して、本発明の小型化をハンドヘルド型の挿入又は埋め込みデバイスとして実現することができる。本発明は、例えば、高周波電気刺激のハーモニックスを使用して以下のことを行う方法及び装置を実現する。
1.神経選択的刺激を発生する。
2.高電荷刺激に比べて安全で、悪影響が潜在的に少ない効果的な低電荷刺激を発生する。
3.自立型電源を備える埋め込み型又は小型のハンドヘルド型医療デバイスで電流ドレインの低い刺激を発生する。
【0082】
「発明の実施例1A」
(発明の装置)
本発明の主要な目標は、内部的用途及び外部的用途の両方に対する現在利用できるデバイスに比べて少ない電荷を使用する治療及び/又は診断電気刺激を与えることである。すぐに得られる利点としては、大型のバッテリに比べて同じか、又はそれ以上によい、効率を達成しながらより小型のバッテリを使用することができる点が挙げられる。本発明の装置は、臨床的に有用な電気刺激をもたらすだけでなく、ペン程度のサイズのものとすることができる。サイズが小さいということは、スペースが制限されているいくつかの臨床的状況において重要であるため利点である。このことは、本発明の装置が埋め込まれた医療デバイスに組み込まれるときに特に当てはまる。本発明は、従来技術のデバイスに勝る電気的効率をさらに高めるデジタル/アナログ・フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ技術を使用する。さらに、小型化されたコンデンサも使用される。デバイス特有の特注のトランス鉄心を使用できる。高周波パルスを使用して刺激を発生することにより、コンデンサのフィルタ特性及びそのサイズはあまり問題でなくなり、小型化が実現可能になる。本発明で使用される高周波パルスは、1kHzから2000Hzまでの範囲である。
【0083】
「発明の実施例1B」
この発明の実施例では、2つの電極のうちの一方は、非常に大きな分散電極(身体に内部的又は外部的に配置される)。非常に大きな分散電極を使用することで、この電極に最高の導電性(又は最低の抵抗)をもたらし、刺激装置の必要な電圧を下げて、さらに、バッテリ寿命を延ばし、電流密度分散による配置部位に発生しうる生理学的効果を低減する。この装置は、制御を目的として高速データ・リンク(例えば、Bluetooth技術)を使用できるようにされる。この装置は、最低限度の手動制御装置を備え(例えば、オン/オフ・スイッチを備えるか、さらには手動スイッチをいっさい備えすらしない)、操作者からの言葉によるコマンドに応答することができる。この装置のマイクロ回路は、表面実装基板を使用し必要サイズを最小にすることで製造することができる。
【0084】
「発明の実施例1C」
発明の実施例1の方法1は、0.25ミリ秒の休息期間の代わりに、連続的波形又は搬送周波数が使用されるように修正される。
【0085】
「発明の実施例2(搬送波)」
直径1cmの電極をそれぞれの耳の前に配置した状態で、さまざまな周波数の正弦波形電気刺激が与えられた。40Hzの周波数で、視野の周囲で点滅又はちらつく光の非皮膚感覚を誘発することができた。この非皮膚感覚には、電極の置かれている部位に電流の皮膚感覚又はチクチク感を伴った。平均して電流知覚閾値(CPT)がこの部位で5Hzの刺激のCPTの11倍を超える2000Hzの範囲内の周波数は、非皮膚感覚を誘発した。2000Hz及び2040Hzの刺激が同時に与えられたときに、被検者は、40Hzの刺激と同じだが、皮膚誘発感覚のない、非皮膚感覚を報告した。
【0086】
「発明の実施例2.1(膀胱配置など)」
この発明の実施例では、膀胱機能不全は、例えば、膀胱に装着することによりけいれん性又は痛みのある膀胱症状の患者制御治療などのために、外部電磁力源を使用して取り扱われる。
【0087】
類似の応用例は、例えば、大腸機能障害又は神経機能不全に対して、例えば神経組織機能を調節するために実施できる。
【0088】
「発明の実施例2.2(膵臓配置など)」
発明のデバイスは、インスリンを放出する膵島細胞の選択的刺激を通じて糖尿病を治療するためにインスリン放出を生じさせるように配置される。
【0089】
発明のデバイスは、さらに、さまざまな括約筋に配置することができ(例えば、オッディ、幽門、肛門など)、これにより、それぞれ胆嚢、胃、又は腸のさまざまな種類の関係する臓器機能不全を値要することができる。
【0090】
「発明の実施例2.3(骨盤痛及び他の痛み)」
本発明を使用することで、診断及び/又は治療用途について神経叢又は関係する脊髄分節又はCNS領域上に刺激を与えることにより骨盤及び他の種類の痛みを治療することができる。
【0091】
いくつかの従来のデバイスは、痛みの電気治療に使用できるが、本発明は、従来の非神経選択的刺激装置デバイスと比較して安全性及び治療効果の面で有利な神経選択的刺激装置用のより小型のデバイスを含む、優れた疼痛治療を行う。
【0092】
「発明の実施例3」
本明細書の概略回路図を示す図を参照すると、トランジスタに対するQ、集積回路に対するU、抵抗器に対するRなど、英字及び指示記号がいくつかの回路項目識別番号のプレフィックスとして使用されていることがわかる。
【0093】
図4を参照すると、この発明の実施例の装置は、アナログとデジタルの両方の回路、マイクロプロセッサ、及びASIC又はFPGAチップを含む、メイン基板102からなることがわかる。FPGAが言及されている図3、9において、ASICチップを代わりに使用することもできる。再び図4を参照すると、リモート・ハンドヘルド又はラップトップ又は類似のパーソナル・コンピュータは、技師がデバイス9を制御できるようにするソフトウェアを備え、また被検者モニタ又は被検者応答モジュールとして使用されることがわかる。
【0094】
この発明の実施例では、比較実施例1Aで必要とする大型バッテリなどを必要としない。例えば、この発明の実施例では、重さ40g、寸法34mm×17mm×45mmのサンヨー・リチウム電池タイプ2CR5などのリチウム電池を使用して電力をデバイスに供給することができる。図4に、バッテリ104が示されているが、他の実施例では、発明のデバイスは、バッテリ以外から電力の供給を受けることができる。誘導性デバイスは、電池式でも電池式でなくてもよいが、感電する危険性を減じるためライン電源では動作しえないように設計される。
【0095】
デバイス9(図1D、図2)用の電源の一実施例は、例えば、バッテリ104(図4)としての内部バッテリであり、例えば、34mm(L)×17mm(W)×45mm(H)、重量40g、6ボルトのサンヨー・リチウム電池タイプ2CR5である。これは、最新の従来技術のデバイスで現在使用されているバッテリと比較してかなり小型であり、米国特許第5,806,522号では、おおよその重量が1.26kgである151mm(L)×34mm(W)×100mm(H)のバッテリであるパナソニック鉛蓄電池LC−R067R2Pを説明している。
【0096】
内部バッテリが使用される場合、内部バッテリは、ライン電源に接続されている外部バッテリ充電器を使用するなど、さまざまな方法で充電することができる。充電器103(図4)は、例えば、市販のスタンドアロン型ユニット(例えば、日本のTamara,Inc.)である。メイン基板102上には充電器セクションもある(図4)。図4の充電器は、さらに、バッテリ充電又はデバイス電力に使用できるインダクタをも指す。
【0097】
それとは別に、内部バッテリは、電気歯ブラシ及びある種のヘルスケアデバイスを充電する一般的手段と同様に、電磁エネルギー伝送を介し、外部誘導コイルを使用して充電することができる。
【0098】
他の実施例では、発明のデバイスは、適切なエネルギー変換器機構(例えば、円形導体)をデバイスに組み込んで、内部バッテリ源及び電磁エネルギー源又は類似のエネルギー源なしで動作させることができる。
【0099】
無線エネルギー源を使用すると、医療を行うために指示されたときに発明のデバイスを体内に容易に埋め込むことができる。
【0100】
図5を参照すると、電源セクション(図5)は、バッテリ104(図4)から6ボルトの入力を受け取ることがわかる。安全機能として、電源(図5)は、小型のMOSFET 202(Ron>0.3オーム)と小型のトランス203(<5VA)を使用することで本質的に制限され、これにより、出力で利用できる電力量を制限する。これは、究極的なバックアップ安全機能を実現する。この回路の他の部分が故障した場合も、患者に害を及ぼすほどの高い電圧の電力が供給されえない。
【0101】
電源回路図(図5)は、メイン基板102(図4)のコンポーネントである。電源セクション(図5)は、6ボルト(V)のバッテリ104から必要な電圧を発生する。これは、アナログ回路用に±14V 204、デジタル回路用に+5V 205、高精度アナログ回路用に+5V及び−5V高精度電圧基準、高電圧回路用に+135V 208及び−135V 209、次いで、それぞれ135V 208、209電源となる2つの絶縁された±15V供給電力を発生し、+135V 208を中心とする+150V 210及び+120V 210、並びに−135V 209を中心とする−150V 211及び−150V 211を発生する。
【0102】
本発明の高速設計では、マイクロキャパシタを使用することにより、デバイスのサイズを大幅に縮小することができる。図5を参照すると、他の場合には210、209、209、211、及び204の近くで従来のシステムにおいて使用されるであろう10個の大型コンデンサのサイズ(高さ5.08cm(2インチ)、直径1.91cm(.75インチ))は、本発明ではマイクロコンデンサ又は小型コンデンサ、例えば、Murata(www.murata.com)により製造されているような小型コンデンサにより、都合のよいことに置き換えることができることがわかる。発振器219(図5)は、図9にも示されている。±14V 204電源は、低レベル・アナログ回路に電力を供給する+5V基準電源は、デジタル波形合成装置(図9)内の低レベル・アナログ回路に電力を供給するために使用される。電源(図5)は、さらに、オン/オフ機能も有する。実際の電力は、スイッチング・レギュレータ(図5)に送られ、リレー212に通される。リレー212は、常時給電されるCMOSフリップ/フロップ213により制御される。CMOSフリップ/フロップ213は、図2に示されているパワーオン・ボタン217の作動又は押下を検出する。
【0103】
図2において、スイッチ217は、この図に示され、「Power Switch」というラベルが付けられている外部モデルの外面に配置されているオン/オフ薄膜スイッチである。それとは別に、内部化された、又は埋め込まれたデバイスでは、外部オン/オフ・スイッチ又はLEDは不要であり、電磁通信は無線方式とすることができる。
【0104】
図5を参照すると、フリップ/フロップ213及び関連する論理回路214は、図10に例示されている充電用ジャック215の状態を監視することがわかる。(図10は、封止又は内部化されたデバイスについてはオプションである。)充電用ジャック215内の接点の外部セットが開かれると、論理回路214は、フリップ/フロップ214をリセットし、リレー212を強制的に開き、ユニット全体9をオフにする。このシーケンスは、図6に例示されているマイクロコントローラ200によっても作動させることができ、これにより、バッテリ節電自動オフ機能を実装することができる。
【0105】
図5を参照すると、それとは別に、誘導無線電力システムも使用できることがわかる。
【0106】
図11を参照すると、追加の安全機能は、出力信号を制御する、図5に例示されている電源リレー212と別のリレー216であることがわかる。リレー216は、電源がオンになってから約1秒後にオンにされる。リレー216は、オン/オフ・スイッチ217が押され、ユニット(図4)がオフにされると即座にオフにされ、その一方で、ユニット(図4)用の実際の電力は、出力リレー216の後約1秒後にオフになる。したがって、出力リレー216は、電源がオンにされるか、又はオフにされたときに決して閉じず、これにより、デバイスがオン又はオフにしたまま電気刺激をうっかり患者218(図1に例示されている)又は組織に与えてしまうのを防ぐことができる。ライン電源充電器を使用する場合、この設計では、立ち上がりトランジェントもターンオフ・トランジェントもないことが保証される。出力リレー216は、さらに、出力グラウンドに割り込み、これにより、ユニット(図4)が正しく配線されていない壁コンセントに差し込まれている故障し、短絡している充電器103につながれ、ライブ及びグラウンドがスイッチングされ、グラウンドに接触している患者が接続されている、あり得ないが、理論的には可能な状況においても、何ら危険性はない。
【0107】
図5を参照すると、電源は、図9に例示されているような周波数発生システムにも使用される2メガヘルツの水晶振動子219に同期することがわかる。これらの周波数を発生するために、所望の出力周波数の100倍の周波数を発生するまで2メガヘルツの水晶振動子219を分割する。500Hzの信号を発生して、5Hzの正弦波を生成する。また、250Hzの正弦波を発生するために25kHzの信号を発生し、2kHzの正弦波を発生するために200kHzの信号を発生する。フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又はASICチップ100X信号(図9)は、FPGA内のスイッチド・キャパシタ・フィルタにクロックを供給し、次いでこれを100で割り、内部スイッチド・キャパシタ・フィルタ(FPGA内の)にアナログ入力を供給するために使用される。スイッチド・キャパシタ・フィルタは、分割信号から基本周波数を抽出する。この機能は、検査した後、1000よりも多いタイミング・ステップを持つように見える非常にきれいな正弦波を発生する。3つの周波数すべてが同じ経路を辿るので、振幅変動はない。さらに、それぞれの周波数は、水晶振動子にまで遡ることができるため、精度は、元の水晶振動子219の精度である。プレゼンテーションの刺激及びタイミングの持続時間は、異なる第2の水晶振動子Y101とマイクロコントローラ200により水晶振動子で制御される。次いで、図9に例示されている周波数合成セクションから生成されるアナログ信号は、マイクロコントローラ200の制御の下で増幅され、乗算デジタル/アナログ(D/A)コンバータ221(図9)に印加される。乗算D/Aコンバータ221(図9)は、14ビット・ユニットである。したがって、16,384個の個別ステップを有する。一実施例におけるデバイスは、これらのステップの最初の10,000個のステップを使用する。他の設計では、12ビットD/Aコンバータを採用でき、最初の4,000個のステップが使用される。マイクロコントローラ200は、高い精度にするために余分なステップを使用する。FPGAは、メモリ・アドレスの上位バイトを生成する。発明の一実施例では、1,000個の離散コードがユーザーに利用可能である。D/Aコンバータ221(図9)を通じて乗算し、選択された振幅を設定した後、生成される正弦波が相互コンダクタンス増幅器(図11)に供給される。相互コンダクタンス・ステージ223の第1のセクションでは、信号の半分のコピー2つを生成し、一方を高い正の電圧にレベルシフトして上げ、他方を高い負の電圧にレベルシフトして下げる。利得が約6.2である電流ミラー222を使用して、2つの半分の信号から出力電流を発生し、次いでこれらを組み合わせて出力224に出す。次いで、出力信号は、出力リレー216を通り、出力ジャック225に入る(図10)。
【0108】
図4を参照すると、通信インターフェイス回路108は、PC(101)とインターフェイスすることに関係していることがわかる。この実施例における処理は、少なくとも16キロバイトのオフチップ201メモリを使用して、図6に例示されているような8032マイクロコントローラ200により実行される。
【0109】
バッテリ電圧監視機能は、バッテリ104の電圧を測定するためにクワッド・コンパレータ231(図8)及びOPアンプ232(図8)の一セクションを使用するマイクロコントローラ200(図6)制御デュアル・スロープ積分技術である。2つのクワッド・コンパレータ233(図8)の2つのセクションが、クリッピング情報を与える。
【0110】
図12を参照すると、メイン基板は、バッテリ充電器103(図4)が存在している場合にバッテリ充電器回路を組み込んでいることがわかる。ブリッジ整流器237は、充電器入力上に設けられる。これにより、充電器103(図4)を中心正極性又は中心負極性を有する充電器103(図4)を使用することができる。さらに、Polyfuse(登録商標)電流制限器デバイス238(米国を所在地とするRaychem社により製造される)もあり、これは、ヒューズの代わりになる。充電器回路(図12)は、充電器ユニット103により生成される生の未調整電圧を受け取り、過充電する危険性を伴わずにバッテリ104に対する正確に調節された7ボルト・レベルを発生し、これによりバッテリの寿命を著しく高められる。ブリッジ整流器237及び内部レギュレータ(図12)を使用した場合も、さまざまな充電器をユニットとともに使用できる。これにより、世界のさまざまな地域で使用されているさまざまな種類の電圧を使用して動作させることができるユニットを簡単に生産できる。
【0111】
図12を参照すると、誘導コイルを備える電力供給システムが使用される場合、誘導コイルが使用されるとバッテリを伴わないことがわかる。
【0112】
図6を参照すると、マイクロコントローラ200は、図2に示されているように、ユニット9を使用する前に実行できる内蔵制御電極試験機能を備えていることがわかるが、これにより電極ケーブル19(図7)の完全性を保証し、短絡及び開回路のチェックを行う。マイクロコントローラ200は、バッテリ寿命を延ばすために、操作者が操作者設定又は既定(例えば、20分)の動作コマンドが続いた後、ユニット9を自動的にオフにする。
【0113】
図4を含む、上述の図を参照すると、使用される特定のシステム部品に応じて、適切な接続がなされること、また接続は、具体的に描かれているものに制限されないことは理解されるであろう。例えば、図4の電極出力105を参照すると、電極ケーブルに対し1つの接続を使用することができるか、又は例えば、充電器103、リモート・ボックス・コネクタ1003、マウス、及びUSBコネクタ1004に対して4つの追加のコネクタを使用できる。これらの最後の4つのコネクタは、オプションである。デバイスは、都合のよいことに、Bluetooth又はWAN又はIR又は他の無線技術に対応することができる。
【0114】
この発明の実施例のデバイスは、FPGAチップ又はASICチップは高周波で使用されるため、比較実施例のデバイスのような大型コンデンサを必要としない。したがって、この発明の実施例のデバイスは、都合のよいことに、比較実施例におけるコンデンサと比較して小型のコンデンサを使用することができる。
【0115】
高周波形を使用して刺激を発生することにより、コンデンサのフィルタ特性及びそのサイズはあまり問題でなくなり、小型化が実現可能になる。高周波形は、1kHzから50,000kHzまでの範囲である。この発明の実施例のデバイスにおける回路基板上のコンデンサの全体的なサイズ(表面積)は、比較実施例におけるコンデンサにより占有される面積の60%から80%だけ縮小される。したがって、発明の実施例2の回路基板の全体的サイズは、比較実施例と比べて大幅に縮小されるが、それはすべての表面実装コンポーネントへの関連する表面実装配線が縮小され、この配線もFPGA又はASICチップで置き換えられるからでる。
【0116】
(デジタル周波数、波形、及び持続時間精度の改善)
合成された波形が使用される。合成された波形の精度は、デバイス9内部の水晶振動子219に遡ることができる。周波数は、生物医学的応用にとっては事実上完全である、つまり、数ppmのオーダーである。波形は、スイッチド・キャパシタ・フィルタと合成されるため、波形純度は、従来の設計の場合のように、調整、較正、又はドリフトにもはや左右されなくなる。プレゼンテーションの持続時間は、類似の精度を持つマイクロコントローラ200制御シーケンスで独立した水晶振動子Y101により制御される、つまり、数ppmのオーダーである。
【0117】
(製造コストの低減及び信頼性の向上)
発明の装置の製造コストが従来のデバイスと比較して低減されたいくつかの領域がある。主要領域では、FPGA又はASIC(図4)を使用する。以前の技術は、実施するのに労働集約性が高く、費用がかかっていた。
【0118】
この発明の実施例の発明の医療デバイスを使用することで、他の方法だと回路基板のかなりのスペースを占有する比較実施例1Aのコンポーネント(1)から(5)が必要なくなるということが重要であり、また都合がよい。この実施例によるFPGAベース又はASICベースのデバイスを使用すると、比較実施例1Aの信号発生回路を500%以上小型化することができる。比較実施例1Aのコンポーネント(1)〜(5)を避けると、約5.74cmの回路基板スペースが復元され、FPGAマイクロチップを使用すると、わずか1cmの回路基板スペースがあればよく、正味の利得は、本発明を使用することによる4.74cmの回路基板スペースとなる。
【0119】
さらに、刺激を発生するための従来の技術(比較実施例1)と比べた場合のFPGA又はASICマイクロチップの必要な電圧は、電圧消費において約50%以上効率がよい。この特徴は、デバイスの設計を容易にし、また比較実施例1に比べて必要なバッテリ及び他のコンポーネントのサイズを縮小でき、またバッテリ寿命を延ばせるという点で有利である。
【0120】
FPGAを使用して正弦波刺激波形を発生する他の利点は、波形の高調波ひずみ(デジタル雑音)が従来技術(比較実施例1)に比べて小さいという点にある。従来技術は、100ステップの最大デジタル・レートの正弦波形を発生し、180度の波形を発生することに制限されている。本発明のFPGAでは、1000倍以上高速の波形発生速度を使用することができる(例えば、波形を合成する際に100,000ステップ)。
【0121】
「実施例3A(発明の実施例3の発明のデバイスの動作)」
発明の実施例3のデバイスが、患者(被検者)に接続される。電気的試験のために、患者との接点源は2つ必要である。
【0122】
コンピュータ制御される発明の実施例3の装置は、試験又は関係するデバイス・モード選択のためPC 101(図4)の制御パネル上のスイッチを押すことでデバイスの操作者により決定されるさまざまな出力モードで機能することができる。これらのさまざまな動作モードの実施例は、以下のとおりである。
【0123】
図1Dを参照すると、初始動時の動作モードなど発明のシステムの動作がわかる。リモート・モジュール又はPC 101は、操作者107及び被検者218により使用される。PC 101の寸法は、約9cm×6cm×1.5cmである。この発明の実施例における発明のデバイス9(図1D)の寸法は、約5cm×5cm×2cmのハンドヘルド・サイズである。寸法は、用途に固有の構成に応じて変化しうる。それとは別に、別の追加PCを使用できる。
【0124】
技師107(図1D)が電源ボタン217(図2)を押し、デバイス9(図1D、2)をオンにした後、リモート・ハンドヘルド・パーソナル・コンピュータ(PC)101のディスプレイには、デバイスのメーカーを識別するなどの表示情報、並びにデバイス及び典型的な表示画面及び神経選択的感覚神経伝導デバイスに関連する動作モードの制御装置の識別に関する関連情報が表示される。技師107は、PC(101)から動作モードを選択することができる。
【0125】
PC 101を介した被検者制御。PC 101又はテスターからの評価を実施する際に命令を受け取った後、被検者218(図1D)は、PC 101のディスプレイで随伴する強度アライメント選択とともに検査を選択する。ディスプレイは、典型的には、タッチセンサ方式であり、PC 101は、内蔵ビデオCAM、マイクロホン、及びスピーカーを備えることができる。この被検者制御アライメント手順は、PC 101を使用して被検者219により実施される。被検者218は、電気刺激が電極と接触している身体部位から知覚されるまでPCディスプレイ画面101上にラベルが貼られているスイッチを押したままにする命令を受け取るか、又は視覚的及び/又は聴覚的合図を受け取り、PC 101のディスプレイ上の命令及び仮想ボタンに関連づけられている命令に従う。それとは別に、PCデバイス101のスピーカーから、音声命令を発することができるか、又はPCデバイス101に組み込まれているか、若しくは取り付けられているマイクロホンを使用して、患者の音声又は聴覚応答を監視することができる。さらに、機能的磁気共鳴映像法又はポジトロン放出型断層撮影法を使用して脳反応を含む他の種類の生理学的尺度を監視することができる。さらに、それとは別に、電気刺激に対する生理学的反応を測定するために生理学的監視などと関連して本発明を使用して生理学的尺度を確認することができる。これは、例えば外科手術に術中に行うように組み込むことができ、これにより難治性疼痛及び脊髄空洞症などの神経生理学的な病気を患っている患者の感覚機能を評価する。標準化されたこの種の電気刺激に対する末梢神経細胞応答を監視しているときに医師が得る情報は、予後を目的として、またどの神経組織が病的であるかについて外科医を導く際に生検を目的として、アブレーションを目的として、及び薬品治療を目的として、さらには電気刺激を行う際に治療応用を目的として有益である。
【0126】
「発明の実施例4」
この実施例の発明の機械は、約0.09〜2.72kg(0.2〜6ポンド)の重量を有し、約15.24cm(6インチ)(L)、15.24cm(6インチ)(W)、2.54cm(1インチ)(H)の寸法を有するか、又は7.62cm(3インチ)×7.62cm(3インチ)×5.08cm(2インチ)の立方体若しくは長円体である。この実施例の機械は1つのスイッチを有し、機械的又は電気的に作動させることができる。USB用コネクタ1つ、電話用コネクタ(TELCO 6−4)1つ、リモート・ボックス用コネクタ(TELCO 8−8)1つ、充電器用コネクタ(CDコネクタ2.1〜2.5mm)1つ、マウス用(ADB)コネクタはオプションである。内部バッテリは、オプションである。
【0127】
パワーオンLEDは、対象とする用途に応じて、オプションである。例えば、機械を埋め込む場合、タッチ・ターンオン・ボタンは必要なくなる。オン/オフ・スイッチを組み込むのが好ましい。例えば、スイッチ217は、図2に示され、「Power Switch」というラベルが付けられている外部モデルの外面に配置されているオン/オフ薄膜スイッチであってよい。
【0128】
この機械は、Bluetooth接続、又は例えば、802.11−G(WAN)又は他のワイド・エリア・ネットワークを含む他の適切な接続を介して、ラップトップ・コンピュータハンドヘルドPCと連携するように設計されている。Hewlett Packard社のタッチセンサ式スクリーンを使用して、患者(被検者)がタッチする仮想ボタンを備えるようにできる。PCは、リモート・ボックスと同じものでよいか、又はリモート・ボックスから離れていてもよい。
【0129】
この機械は、コネクタについて光分離を磁気分離で置き換えることができる。少ない基板スペースを利用するためには、磁気分離を使用するのが好ましい。
【0130】
この機械は、バッテリ充電器の代わりに誘導コイルを使用することができる。
【0131】
この機械は、従来のトランス又は巻き線誘導コイルではなく、カスタム形状の線巻きトロイドを使用することができる。
【0132】
本発明は、好ましい実施例に関して説明されているが、当業者であれば、付属の請求項の精神及び範囲内で修正とともに実施できることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の実施例1Aの方法1において説明されているような正弦波形を示す図である。
【図1A】本発明で使用する例示的な対称波形である、正弦波形を示す図である。
【図1B】本発明で使用する例示的な対称波形である、二相性方形波形を示す図である。
【図1C】本発明で使用する例示的な対称波形である、三角波形を示す図である。
【図1D】無線技術を介して刺激装置と通信するハンドヘルド型パーソナル・コンピュータ(PC)を介して被検者がデバイスを操作する、電極が被検者の指に接続される本発明のシステムの一実施例を示す図である。
【図2】一実施例における本発明の装置を示す図である。
【図3】本発明の一実施例において使用することができるピン接続を示すフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又はASICチップの図である。
【図4】本発明の一実施例における電気刺激システムのブロック図である。
【図5】本発明の一実施例において使用することができる電源の概略図である。
【図6】本発明のシステムの一実施例において使用可能なマイクロコントローラ・セクションの概略図である。
【図7】本発明を使用する一実施例において被検者の手の甲に配置されている刺激電極を例示する図である。
【図8】本発明のシステムの一実施例において使用することができるバッテリ・インテグレータ及びクリッピング検出回路の電源の概略図である。
【図9】本発明の一実施例において使用することができるデジタル波形合成装置の概略図である。
【図10】例示的な発明デバイスの例示的なバックパネルを示す図である。
【図11】本発明の一実施例において使用することができる出力段の概略図である。
【図12】本発明の一実施例において使用することができるバッテリ充電器回路の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)チップ又は特定用途向け集積回路(ASIC)チップを備え、連続的対称波形である少なくとも1つの刺激を発生する発生器システムと、
前記少なくとも1つの発生した刺激を患者又は電磁感応性組織に与える際に使用する少なくとも1つの電極又は電磁石システムとを備えた医療デバイス。
【請求項2】
前記FPGAチップ又はASICチップは、約1kHzから50,000kHzの範囲内の高周波を使用するチップである請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記対称波形は、正弦波である請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記デバイスは、ハンドヘルド型又はそれよりも小さく、及び/又は重さは実質的に14.97kg(33ポンド)未満であり、寸法は、15cm×15cm×10cm以下である請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記デバイスの動作時に、必要な電流量は、20mA未満である請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
本質的に、
前記高周波FPGAチップ又は前記高周波ASICチップ、及び前記デバイスが、患者又は組織に電気的に接続されたときに定電流試験を実行するのに必要な追加のコンポーネントのみからなる請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
電源を備える請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記電源は、バッテリである請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
誘導コイルにより電力を供給される請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記デバイスに含まれない外部電源により電力を供給される請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの発生した刺激は、電磁感応性組織に適用できる形態のものである請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記電磁感応性組織は、人又は動物の体内にある請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
生体適合性を持ち、患者体内に埋め込み可能な請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記発生した少なくとも1つの刺激は、患者に印加されたときに、皮膚感覚を誘発せず、非皮膚感覚のみを誘発する請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
少なくとも1つの波形は、約1秒から数分までの範囲の時間の間に生成される請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記発生した刺激は、神経選択的又は組織選択的である請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
特定の高調波を、前記特定の高調波周波数と異なる少なくとも2つ又はそれ以上異なる周波数を最大にすることにより発生させる発生器システムと、
前記特定の高調波周波数を患者又は電磁感応性組織に与える際に使用する少なくとも1つの電極又は電磁石システムとを備えた医療デバイス。
【請求項18】
前記特定の高調波周波数は、神経選択的又は組織選択的である請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記特定の高調波周波数は、A、B、及びC神経線維からなる群から選択された神経線維の部分集団のうちから選択される請求項18に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記特定の高調波周波数は、異なる種類の組織を選択的に刺激することができる請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項21】
電気感応性組織により受け取ることが可能な刺激を発生するための小型化された医療デバイスであって、
刺激を発生する刺激発生システムと、
前記刺激を電気感応性組織に送達する際に使用される電極又は電磁石システムとを備え、
前記デバイスは、ハンドヘルド又はそれよりも小さいサイズである小型化された医療デバイス。
【請求項22】
前記刺激は、連続的対称波形である請求項21に記載の小型化されたデバイス。
【請求項23】
前記デバイスは、重量が実質的に14.97kg(33ポンド)未満である請求項21に記載の小型化された医療デバイス。
【請求項24】
前記装置は、人又は動物の体内に埋め込み可能である請求項21に記載の小型化された医療デバイス。
【請求項25】
医療に使用可能な電気刺激を発生する方法であって、
ハンドヘルド型又はそれよりも小さいサイズのデバイス内で、連続的対称波形を持つ少なくとも1つの電気刺激を発生し、約1kHzから50,000kHzまでの範囲内の高周波を有することと、
電磁感応性組織又は患者と接触可能な電極又は電磁石システムに前記少なくとも1つの電気刺激を送ることを含む方法。
【請求項26】
前記発生する工程は、高周波FPGAチップ又は高周波ASICチップを動作させることを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
電気感応性組織を電気的に刺激する方法であって、
ハンドヘルド型又はそれよりも小さいサイズのデバイス内で、連続的対称波形を有する少なくとも1つの電気刺激を発生することと、
前記少なくとも1つの電気刺激を電気感応性組織に印加することとを含む方法。
【請求項28】
最高50,000kHzまでの範囲内の波形を発生することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1kHzから50,000kHzまでの範囲内の波形を発生することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記印加する工程は、刺激を与える電極を、人若しくは動物、又は電気感応性組織としてよい患者に接触させることを含む請求項27に記載の電気刺激法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの電気刺激を印加する工程は、皮膚において実行される請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの電気刺激を印加する工程は、皮膚以外において実行される請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの電気刺激を印加する工程は、約0.1秒から数分までの範囲の時間の間に実行される請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの電気刺激を印加する工程の結果、神経又は組織の刺激が生じる請求項27に記載の方法。
【請求項35】
パーソナル・コンピュータ上の仮想スイッチを介して制御可能であり、前記仮想スイッチと前記パーソナル・コンピュータは、前記デバイスから分離されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項36】
無線インターフェイスを備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項37】
前記無線インターフェイスは、Bluetooth無線インターフェイス、WAN無線インターフェイス、802.11−G(WAN)無線インターフェイス、及び赤外線からなる群から選択される請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
安全のため電荷密度を最小にする工程を含む請求項27に記載の方法。
【請求項39】
ワイヤ・ラップ・トロイド又はカスタム・ラップ導電性コイルを備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項40】
前記デバイス自体には含まれていない外部ワイヤ・ラップ・トロイド又は前記デバイス自体には含まれていないカスタム・ラップ導電性コイルと連携する請求項1に記載のデバイス。
【請求項41】
前記組織に前記刺激を印加する工程は、内部の筋肉の動き、膀胱の治療、腹の治療、糖尿病の治療のため選択的インスリン放出を引き起こすこと、他の膵臓治療、及び疼痛処理を制御することからなる群から選択された1つに対する工程である請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記デバイス内にバッテリを備えない請求項1に記載のデバイス。
【請求項43】
少なくとも1つのコンデンサを備え、前記デバイス内のどのコンデンサも、マイクロチップ・コンデンサである請求項1に記載のデバイス。
【請求項44】
戻り電極、皮膚分散電極、又はそれらの組み合わせである少なくとも1つの他の電極を備える請求項17に記載のデバイス。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−504258(P2009−504258A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526129(P2008−526129)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/030862
【国際公開番号】WO2007/019491
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(508039928)
【Fターム(参考)】