説明

法面ブロック用吊り具

【課題】法面の勾配に合わせてブロックを吊り上げた状態のまま敷設できて、施工効率を向上できる安価な吊り具を提供する。
【解決手段】クレーンで吊り上げられる吊りフレーム1を、H形鋼2・3を十字状に組み付けて形成し、その吊りフレーム1の十字状の先端四箇所に、法面ブロックBを敷設する法面の勾配に対応した長さで吊りワイヤー11・12・13を吊り下げてなる法面ブロック用吊り具。具体的には、吊りワイヤー11・12・13は、法面ブロックBの周囲四面に突出した吊り部RにシャックルSを介して掛けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面に敷設する法面ブロック用の吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
法面に敷設する法面ブロック用の吊り具として、特許文献1や特許文献2に提案されるものがある。
【0003】
特許文献1の吊り具は、ブロックの側面の挿通孔に差込まれる差込み部材を内面に備える長尺な本体と、その本体の上面に立設され、吊上げワイヤーが掛止される左右一対の第1支柱と、その第1支柱に対し回動自在に支持される第1回動部材と、その第1回動部材の先端に水平支持されるブロック支持バーと、本体の上面に立設され、第2回動部材を回動自在に支持する第2支柱と、第2回動部材の先端に設けられ、ブロック支持バーのロック用穴に挿入可能なロックピンとを具備する構成である。
【0004】
特許文献2の吊り具は、ブロックの上面の凹または凸の形状に密着するベースプレートを下部に設け、その上方にクランク形アームとこれに回動自在にピン結合されたL字形アームが設けられた2段アーム構成になっていて、ベースプレート上に揺動自在にピン接合され、上方に立ち上がった揺動リンクの先端にピンが設けられている。そして、L字形アームの上部に平行して設けられたリンク状プレートの下辺に半円形切欠き列が設けられていて、揺動リンク先端のピンが半円切欠きのいずれかと揺動自在に結合している。また、クランク形アームの下方に下がった先端部に取り付けられたリンクが、ブロック側面に接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−222411号公報
【特許文献2】特開平8−119570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1や特許文献2のように従来の吊り具は、部品点数が多く構成が複雑で高価になるにも拘わらず、法面の勾配に合わせてブロックを吊り上げた状態のまま敷設することは不可能であった。
【0007】
本発明の課題は、法面の勾配に合わせてブロックを吊り上げた状態のまま敷設できて、施工効率を向上できる安価な吊り具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、クレーンで吊り上げられる吊りフレームを、H形鋼を十字状に組み付けて形成し、その吊りフレームの十字状の先端四箇所に、法面ブロックを敷設する法面の勾配に対応した長さで吊りワイヤーを吊り下げてなる法面ブロック用吊り具を特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の法面ブロック用吊り具であって、前記吊りワイヤーは、前記法面ブロックの周囲四面に突出した吊り部にシャックルを介して掛けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、法面の勾配に合わせて法面ブロックを吊り上げた状態のまま敷設できて、施工効率を向上することができ、しかも、安価に法面ブロック用吊り具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した法面ブロック用吊り具の一実施形態の構成を示すもので、法面ブロックを吊り上げて法面に敷設する作業を見上げる位置で示した斜視図である。
【図2】吊り上げ状態の法面ブロック用吊り具及び法面ブロックの側面図である。
【図3】吊りフレームの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した法面ブロック用吊り具の一実施形態の構成として法面ブロックBを吊り上げて法面Gに敷設する作業を見上げる位置で示したもので、図中、1は吊りフレーム、11・12・13は吊りワイヤー、Fはクレーンのフック、Wは玉掛けワイヤー、Xは横梁ブロック、Yは縦梁ブロックである。
【0013】
図示のように、法面Gには、法面ブロックBの敷設に先立って横梁ブロックX及び縦梁ブロックYが敷設されている。なお、法面ブロックBの周囲四面中央の四箇所には、吊り部としてのリングRがそれぞれ突出して備えられている。
【0014】
そして、法面ブロック用吊り具は、法面ブロックBの縦横の大きさにほぼ対応した十字状の吊りフレーム1と四本の吊りワイヤー11・12・13とから構成される。十字状の吊りフレーム1は、図略のクレーンのフックFに二本の玉掛けワイヤーWを介して吊り下げられる。
【0015】
吊りフレーム1は、図2及び図3に示すように、H形鋼2・3を十字状に組み付けて溶接により一体化して、その上下面の中央部に十字状の補強板4をそれぞれ重ねて溶接したものである。この吊りフレーム1の十字状の一直線上に対向して位置する先端上面の二箇所に、プレートによる吊り部6を溶接により一体化して備える。この上面二箇所の吊り部6には、シャックルSをそれぞれ接続しておく。
【0016】
また、吊りフレーム1の十字状の先端下面の四箇所に、プレートによる吊り部7を溶接により一体化して備える。この下面四箇所の吊り部7には、シャックルSを介して、玉掛けワイヤーによる吊りワイヤー11・12・13がそれぞれ接続されている。
【0017】
ここで、四本の吊りワイヤー11・12・13は、法面ブロックBを敷設する法面Gの勾配に対応して予め、吊りワイヤー11を最も短く調節し、その一直線上に対向して位置する吊りワイヤー13を最も長く調節して、それらと直交方向で一直線上に対向して位置する吊りワイヤー12を中間の長さに調節しておく。
【0018】
このように、吊りフレーム1の十字状の先端下面にそれぞれ吊り下げた四本の玉掛けワイヤーによる吊りワイヤー11・12・13の下端部には、シャックルSをそれぞれ接続しておく。
【0019】
以上の構成による法面ブロック用吊り具の吊りフレーム1の十字状の一直線上に対向して位置する先端上面の二箇所の吊り部6のシャックルSに、クレーンのフックFに吊り下げられた二本の玉掛けワイヤーWの下端部をそれぞれ接続する。
【0020】
そして、吊りフレーム1の十字状の先端下面にそれぞれ吊り下げた四本の玉掛けワイヤーによる吊りワイヤー11・12・13の下端部のシャックルSを、法面ブロックBの周囲四面中央のリングRにそれぞれ接続する。
【0021】
その後、クレーンによる吊り上げ運転を行うと、図2に示したように、法面ブロックBは、敷設する法面Gの勾配に対応して傾斜した姿勢で吊り上げられた状態になる。
【0022】
従って、図1に示したように、敷設する法面Gの勾配に対応して傾斜した姿勢で法面ブロックBを吊り上げた状態のまま敷設できて、施工効率を向上することができる。
しかも、H形鋼2・3を十字状に組み付けて溶接した吊りフレーム1に、市販品の四本の玉掛けワイヤーによる吊りワイヤー11・12・13とシャックルSを組み付ける構成なので、法面ブロック用吊り具を安価に提供することができる。
【0023】
なお、以上の実施形態の他、各部の形状など具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
1 吊りフレーム
2 H形鋼
3 H形鋼
4 補強板
6 吊り部
7 吊り部
11 吊りワイヤー
12 吊りワイヤー
13 吊りワイヤー
B 法面ブロック
G 法面
F クレーンのフック
R 吊り部
S シャックル
W 玉掛けワイヤー
X 横梁ブロック
Y 縦梁ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンで吊り上げられる吊りフレームを、H形鋼を十字状に組み付けて形成し、
その吊りフレームの十字状の先端四箇所に、法面ブロックを敷設する法面の勾配に対応した長さで吊りワイヤーを吊り下げてなることを特徴とする法面ブロック用吊り具。
【請求項2】
前記吊りワイヤーは、前記法面ブロックの周囲四面に突出した吊り部にシャックルを介して掛けられることを特徴とする請求項1に記載の法面ブロック用吊り具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−190665(P2011−190665A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60186(P2010−60186)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【Fターム(参考)】