説明

泡消火設備

【課題】安全弁や流水検知装置の作動に伴う泡消火剤の排水を適切に回収して処理可能とする。
【解決手段】流水検知装置26の2次側の圧力計接続配管46から分岐された排水管62に、流水検知装置26の2次圧力が所定の安全設定圧力を超えた場合に開放して2次圧力を下げる安全弁64を設ける。安全弁64を設けた排水管62及び圧力スイッチ56を設けた流水検知配管52から排出された泡消火液を廃液タンク60に貯留し、液位検出器66により廃液タンク60の満水を検知して監視盤30などに警報信号を送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設置され火災時に泡ヘッドから消火泡を放出させて消火を行う泡消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の泡消火設備は、配管の途中に混合器を挿入し、消火水に泡原液である消火薬剤を混合して泡消火液を生成し、流水検知装置及び一斉開放弁を介して接続した開放型の泡ヘッドで泡消火液の放出を行う。一斉開放弁は感知配管に設けた火災感知ヘッドの作動で開放作動する。流水検知装置は、泡消火液の放出時の流水を検知して放出警報信号を受信機に送出する。
【0003】
このような従来の泡消火設備にあっては、夏場等に環境温度が高温となって流水検知装置よりも2次側に充填している泡消火液の圧力が上昇すると、火災感知ヘッドの暴発により泡放出の危険性があるため、2次圧上昇時に排水を行う安全弁等が配管に備えられた設備が知られている。
【0004】
また流水検知装置は内部に自重により閉鎖する逆止弁を使用しており、逆止弁の弁座に通水口を開口した流水検知配管を設け、流水検知配管はオートドリップを介して排水側に接続され、オートドリップの1次側に放出警報信号を出力する圧力スイッチを設けている。
【0005】
一斉開放弁の作動で泡ヘッドから泡消火液を放出すると、その流水により流水検知装置の逆止弁が開き、弁座に通水口を開口した流水検知配管を介して排水側に泡消火液を流し、所定時間継続して圧力スイッチに泡消火液が供給されると、圧力スイッチが作動することで、放出警報信号を送出する。
【0006】
流水検知装置に設けた逆止弁は、給水本管の圧力減に対しポンプ起動して配管内に泡消火液を補充し圧力回復を行った場合にも一時的に開放する場合があり、このときにも流水検知配管を介して圧力スイッチに供給され、一時的であるから圧力スイッチは作動しないが、流水検知配管に入った泡消火液はオートドリップを介して排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−089594号公報
【特許文献2】特開平9−122265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の泡消火設備にあっては、安全弁の開放作動、流水検知装置の流水検知作動などのために泡消火液を排水する機能が必要であるが、泡消火液をそのまま排水すると環境に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0009】
特に近年にあっては、泡消火液に使用しているペルフルオロ(オクタン−1−スルホン酸、別名「PFOS」という)又はその塩等を含むものは条約により破壊又は不可逆的に変換されるような方法で処分されることを規定しており、簡単に破棄できないという問題がある。
【0010】
本発明は、安全弁や流水検知装置の作動に伴う泡消火剤の排水を適切に回収して処理可能とする泡消火設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、火災時に泡消火液が加圧給水される配管に設けられた泡ヘッドから泡消火液を放出して消火を行う泡消火設備を対象とし、
泡消火液が加圧給水される配管内の圧力が所定の安全設定圧力を超えたときに配管内の泡消火液を排水して減圧する安全弁と、
安全弁により排水した泡消火液を貯留する廃液タンクと、
廃液タンクの貯留水位を検知して警報信号を送出する液位検出器と、
を設けたことを特徴とする。
【0012】
このとき、配管には、感知ポートの感知配管に接続した火災感知ヘッドが作動した場合の流水により作動して2次ポートに配管接続された開放型ヘッドに泡消火液を供給して散水させる一斉開放弁が接続され、
安全弁は一斉開放弁から伸びる感知配管に備える。
また本発明の別の形態にあっては、
火災時に泡消火液が加圧給水される配管に設けられた泡ヘッドから泡消火液を放出して消火を行う泡消火設備を対象とし、
配管内の流水時に泡消火液を放出警報検知部に導入し放出警報信号を送出する流水検知装置と、
放出警報検知部に導入した泡消火液を排水する排水部と
排水部から排水した泡消火液を貯留する廃液タンクと、
廃液タンクの貯留水位を検知して警報信号を送出する液位検出器と、
を設けたことを特徴とする。
【0013】
ここで本発明は、更に、流水検知装置よりも二次側に配管内の圧力が所定の安全設定圧力を超えたときに配管内の泡消火液を前記排水部へ排水して減圧する安全弁を備え、
安全弁の作動時に排水する泡消火液を前記廃液タンクに貯留することを特徴とする。
【0014】
また、流水検知装置に備えた配管内の水圧を監視する圧力計に泡消火液を導入する圧力計接続配管に安全弁を備え、安全弁の作動時に前記排水管を介して前記廃液タンクに貯留する。
【0015】
また、泡ヘッドよりも末端側の配管から分岐された分岐管を安全弁を介して流水検知装置の排水部に接続し、安全弁が所定の安全設定圧力を超えたときに排水部を介して廃液タンクへ排水する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、火災時の流水検知装置の開作動、配管内の圧力上昇による安全弁の作動、給水本管の圧力減を回復させるためのポンプ起動に伴う流水検知装置の一時的な開作動などにより排水側に泡消火液が流れた場合、排水された泡消火液は廃液タンクに貯留され、排水設備などに泡消火液をそのまま流すことがないため、環境汚染を確実に防止し、廃液タンクに貯留された泡消火液を回収して条約に規定された必要な処理を施すことができる。
【0017】
また廃液タンクには液位検出器が設けられており、排出された泡消火液の満水あるいは液量を検知して警報信号を送出することで、受信機等で警報表示が行われ、廃液タンクの管理を適切に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による泡消火設備の実施形態を示した説明図
【図2】図1の流水検知装置を取り出して構造を示した説明図
【図3】図1の流水検知装置に設けた圧力計接続配管の構造を取り出して示した説明図
【図4】本発明による泡消火設備の他の実施形態を示した説明図
【図5】本発明による泡消火設備の他の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明による泡消火設備を示した説明図である。図1において、建物の地下階などのポンプ室に消火ポンプ10が設置され、モータ12により駆動される。モータ12はポンプ制御盤14により始動、停止の運転制御を受ける。消火ポンプ10はモータ12により駆動され、水源水槽15からの消火用水を吸入し、建物の高さ方向に配置した給水本管16に加圧消火用水を供給する。
【0020】
消火ポンプ10を起動するため圧力タンク25が設けられる。圧力タンク25は給水本管16に接続され、配管内の加圧消火用水を導入して内部の空気を圧縮している。圧力タンク25には圧力スイッチ28が設けられ、圧力スイッチ28は給水本管16の管内圧力が規定圧力以下に低下する減圧を検出してポンプ制御盤14に圧力低下検出信号を出力し、これによりモータ12を駆動して消火ポンプ10を起動するようにしている。
【0021】
給水本管16には混合器20が設けられ、混合器20に対しては原液タンク18から泡消火剤として例えば水成膜消火剤などの原液が供給されて混合される。原液タンク18は、タンク内に配置した隔膜の一方に原液を入れ、隔膜の他方に給水配管16から加圧消火用水を導入することにより原液を加圧して混合器20に供給する。
【0022】
混合器20の2次側の給水本管16からは分岐管22が消火対象区画、例えば建物の駐車場などに引き出されている。分岐管22の分岐部分には制水弁24に続いて流水検知装置26が設けられている。流水検知装置26は分岐管22にヘッドからの散水に伴う流動が生じると、この流動により弁体を開動作して放出警報信号を監視盤30に出力する。
【0023】
流水検知装置26の2次側の分岐管22には制水弁32に続いて一斉開放弁34が設けられる。一斉開放弁34は感知ポートに感知配管40を接続しており、感知配管40には火災感知ヘッド42を接続し、また感知配管40の末端には手動起動弁44が設けられている。一斉開放弁34の2次ポートには制水弁35を介して配管36が接続され、配管36に開放型の泡ヘッド38を接続している。
【0024】
一斉開放弁34は火災のない通常監視時は泡ヘッド38を設けている2次ポート側への流路を閉じており、火災時に感知配管40に設けた火災感知ヘッド42が作動して加圧消火用水を放出すると開位置に作動して泡ヘッド38から最初は加圧消火水を放出させ、その後、泡消火液による泡放出とする。
【0025】
流水検知装置26の2次側からは圧力計接続配管46が取り出され、そこに仕切弁48を介して2次側圧力を表示する圧力計50を接続している。また流水検知装置20からは流水検知配管52が引き出されてオートドリップを備えた排水弁54に接続されており、流水検知配管52には放出警報信号を送出する圧力スイッチ56が分岐接続されている。
【0026】
流水検知装置26の近傍には廃液タンク60が配置される。廃液タンク60に対しては排水弁54からの排水管58が引き込まれている。また圧力計50を接続した圧力計接続配管46から分岐された排水管62も廃液タンク60に引き込まれ、排水管62の途中には安全弁(リリーフ弁)64が設けられている。
【0027】
安全弁64は流水検知装置26の2次側の圧力が加わっており、環境温度が高くなって2次側配管内の圧力が上昇し、所定の安全設定圧を超えた場合に安全弁64が開作動して排水することで、2次側圧力を減圧させる。
【0028】
図2は図1に示した流水検知装置を取り出した構造の一例を示した説明図である。図2において、流水検知装置26は、弁ボディ70の下側に1次側となる流入口72を形成し、上側に2次側となる流出口74を形成している。流入口72に対しては消火ポンプや補助加圧ポンプを備えた加圧送水装置からの加圧水が給水される。2次側となる流出口74は一斉開放弁に対する配管が接続されている。
【0029】
弁ボディ70の内部には逆止弁構造の弁体76が開閉自在に組み込まれている。通常時、流水検知装置26の流入口72の1次側と流出口74の2次側の圧力はほぼ同圧であることから、弁体76は自重により、及び弁体76の1次側と2次側の面積差による閉鎖方向へ働く力により図示の弁シート78に閉じた閉鎖位置となっている。弁シート78の内部には通水口80が開口され、通水口80から流水検知配管52によって、排水弁54側に設けているオートドリップ82に通水する経路が設けられている。弁体76が閉鎖位置にあるときには弁シート78と弁体76の接触により通水口80は閉鎖されている。
【0030】
流水検知配管52は途中で分岐され、信号停止弁84を介して圧力スイッチ56を接続している。圧力スイッチ56は、火災感知ヘッドの作動に基づく一斉開放弁の開作動による流水で弁体76が開放した際に、通水口80から流れ込む水量がオートドリップ82による所定の設定排水量を上回ったときに1次側に圧力を発生して圧力スイッチ56を作動し、遅延タイマの作動により所定時間継続して流水を検知した後に放出警報信号を送出する。
【0031】
排水弁54は、流水検知装置26の作動テストの際に開放操作することで2次側に流水を発生させ、弁体76を開放作動させる。なお、オートドリップ82はオリフィスとしても良い。
【0032】
図3は図1の流水検知装置から取り出した圧力計接続配管の構造を示した説明図である。図3において、流水検知装置26の2次側に接続された圧力計接続配管46の端部にはコック48aにより開閉操作する仕切弁48が接続され、仕切弁48の2次側にアダプタ86を介して圧力計50を接続している。
【0033】
アダプタ86は上下のポートと横方向の分岐ポートを備え、内部にT形のオリフィス流路88を形成している。オリフィス流路88の分岐側には安全弁64が組み込まれている。安全弁64はオリフィス流路88の出口開口にボール弁体64aを配置してバネ48bにより閉鎖側に付勢しており、バネ64bで決まる所定の安全弁設定圧を越える2次側圧力を受けると安全弁64が開き、オリフィス流路88により減圧した泡消火剤を排水管62に排水する。
【0034】
このような安全弁64及びオリフィス流路88を一体に組み込んだアダプタ86を使用することで、廃液タンクに対する流水検知装置2次側の圧力上昇を抑制する排水系統の構成を簡単にして組付けを容易にし、また設置スペースが低減できる。
【0035】
次に図1の泡消火設備の動作を説明する。図1の泡消火設備にあっては、設備の使用開始時に原液タンク18に対する加圧消火用水の給水弁の閉鎖による原液の供給停止状態で消火ポンプ10を運転し、給水本管16及び分岐管22に加圧消火用水を充填しており、加圧消火用水は一斉開放弁34の1次側及び手動起動弁44までの感知配管40まで充填される。なお、最初から混合器20で原液を混合した泡消火液を充填しておいても良い。
【0036】
火災により火災感知ヘッド42が作動すると感知配管40を介して一斉開放弁34が開作動し、2次ポート側に接続した配管36から泡ヘッド38に加圧消火用水を供給する。一斉開放弁34が開放して泡ヘッド38から消火用水が放出されると、流水検知装置26が作動し、圧力スイッチ26から所定の遅延時間後に放出警報信号が監視盤30に送出され、火災警報が出力される。
【0037】
一斉開放弁34の開放による圧力低下は分岐管22を介して給水本管16の管内圧力を下げ、規定圧力以下に低下すると圧力タンク25の圧力スイッチ28が作動してポンプ制御盤14に圧力低下検出信号を出力してモータ12を駆動し、消火ポンプ10を始動する。
【0038】
消火ポンプ10の始動により給水本管16に継続的に加圧消火用水が供給されると、原液タンク18の加圧により原液を押し出して混合器18で消火用水と所定比率で混合して泡消火液を生成し、分岐管22の流水検知装置26から開放状態にある一斉開放弁34を通って泡ヘッド38に供給され、消火泡を放出する。
【0039】
流水検知装置26の作動は、図2に示すように、一斉開放弁34の開放による流水で弁体76が開き、弁シート78の通水口80から流水検知配管52を通ってオートドリップ82に消火用水が流れ、通水口80から流れ込む水量がオートドリップ82による設定排水量を上回ったときに圧力スイッチ56を作動し、遅延タイマの作動により所定時間後に放出警報信号を送出する。この状態でオートドリップ78を通過した消火用水およびその後に流れる泡消火液は、排水管58を通って図1に示す廃液タンク60に流れ込んで貯留され、環境汚染は起きない。
【0040】
廃液タンク60の貯留量は液位検出器66で監視されており、所定の満水レベルもしくは所定の警報レベルに達すると液位検出器66から満水を示す警報信号が監視盤30に出力され、貯留している泡消火液の廃液処理を促す。
【0041】
液位検出器66で検出する満水レベルは、満水警報が出されてから回収作業を行うまでの時間的な余裕を確保するため、廃液タンク60の最大貯留量の例えば80%に達したことを検出して満水を示す警報信号を出力する。
【0042】
廃液タンク60に設けた液位検出器66からの警報信号により監視盤30で満水警報が出た場合には、タンク底部の配管に設けた仕切弁68を開いて回収容器に回収し、廃棄のために必要な処理を行なう。
【0043】
次に通常状態で設置場所の温度が高くなって流水検知装置の2次側圧力が上昇した場合の動作を説明する。環境温度が高くなると流水検知装置26の2次側配管内に充填している加圧消火用水の熱膨張により圧力が上昇し、そのままにしていると火災感知ヘッド42が暴発し、泡放射の危険性がある。そこで流水検知装置26に設けた圧力計50を接続した圧力計接続配管48から分岐した排水管62に安全弁64を設けており、2次側圧力が所定の安全設定圧を越えると安全弁64が開いて廃液タンク60に消火用水を流して減圧し、火災感知ヘッド42の暴発による泡放出を防止する。
【0044】
この場合にも安全弁64の開作動で流出した消火用水又は泡消火剤は排水管58を通って廃液タンク60に流れ込み、環境汚染は起きない。
【0045】
次に給水本管の減圧によりポンプ起動を行った場合の動作を説明する。通常状態で配管系の漏水等により管内圧力の減圧が発生すると、給水本管16に接続している圧力タンク25の圧力が低下し、規定圧力以下に低下を検出するとポンプ制御盤14に圧力低下検出信号を出力し、これによりモータ12を駆動して消火ポンプ10を起動して減圧した圧力の回復を図る。
【0046】
この給水本管16の減圧に対するポンプ起動が行われると、図2に示した流水検知装置26の弁体76が一時的に開く場合があり、通水口80からオートドリップ82に消火用水が流れるが、弁体76の開作動が一時的なため、通水口80からの水量はオートドリップ82の設定排水量より少なく、このため圧力スイッチ56は作動せず、放出警報信号の送出はない。オートドリップ82を通って排水された消火用水は廃液タンク60に流れ込み、そのまま下水設備などに排水することがなく、環境汚染を確実に防止できる。
【0047】
図4は本発明による泡消火設備の他の実施形態を示した説明図である。図4において、本実施形態の泡消火設備は、流水検知装置26の2次側の圧力上昇を減圧する配管系統として、感知配管40の末端に設けた手動起動弁44の1次側に仕切弁90を設け、仕切弁90と手動起動弁44の間の配管に排水管92を分岐接続し、排水管92は流水検知装置26側に配置した廃液タンク26に引き込まれ、排水管92の途中には安全弁64を設けている。仕切弁90は通常状態で開位置にあり、排水管92に2次側圧力を加えている。
なお、それ以外の構成及び動作は図1の実施形態と同じである。
【0048】
このように感知配管40の末端側から排水管92を分岐し、安全弁64を介して廃液タンク60に引き込むことで、管内圧力による影響を受けやすい火災感知ヘッド42に近い位置に安全弁64を配置して圧力上昇に対する排水動作の応答性を高め、火災感知ヘッド42の暴発を確実に防止できる。
【0049】
図5は本発明による泡消火設備の他の実施形態を示した説明図である。図5において、本実施形態の泡消火設備は、廃液タンクを流水検知装置26の近傍に設置する第1廃液タンク60−1と感知配管40の末端側に設置する第2廃液タンク60−2とに分けたことを特徴とする。
【0050】
即ち、第1廃液タンク60−1には流水検知装置20の排水弁54からの排水管58を引き込み、第1液位検出器66−1を設けて満水を監視している。第2廃液タンク60−2には、感知配管40の末端に設けた仕切弁90と手動起動弁44の間の配管に分岐接続した排水管94を引き込んでおり、排水管94の途中には安全弁64を設けている。第2廃液タンク60−2にも第2液位検出器66−2が設けられ、満水を監視している。なお、それ以外の構成及び動作は図1の実施形態と同じである。
【0051】
このように流水検知装置20側と感知配管40の末端側に分けて第1廃液タンク60−1と第2廃液タンク60−2を設けたことで、それぞれ場所での排水量に見合った容量の廃液タンクとすることができ、各廃液タンクを図1及び図4の実施形態に比べ小型化することができる。
【0052】
例えば流水検知装置26側の第1廃液タンク60−1は、火災時に流水検知装置20が開動作したときの排水と、給水本管16の減圧回復のポンプ起動による一時的な開動作にわによる排水を貯留することから、比較的大きな容量のタンクとする。これに対し感知配管末端側の第2廃液タンク60−2は、流水検知装置20の2次側圧力の上昇を防ぐ排水を貯留するものであり、安全弁64が作動するような圧力上昇となる高温環境は夏場に限定され、その頻度も低いことが予想されることから、比較的小さな容量のタンクとすれば良い。
【0053】
また、既設の消火設備に対しても、廃液タンクの設置と液位検出器関連の配線を追加するだけで容易に本発明を実施することができる。
【0054】
なお、上記実施形態においては、液位検出器は1つのレベルのみを監視するようにしているが、これに限らず複数のレベルを監視して満水よりも前の段階で注意警報を行うなどしても良い。また上記のような電気的導通による水位監視以外に音波や廃液タンクの重量等で警報水位を監視しても良い。
【0055】
また、上記の実施形態においては一斉開放弁の二次側に火災感知ヘッドを備える感知配管を備え、感知配管の開放で泡ヘッド38から泡消火液を放出するようにしているが、これに限らず、泡ヘッド38を閉鎖型とし、一斉開放弁及び感知配管を備えずに、分岐管22に接続した閉鎖型泡ヘッドが火災の熱で作動した時に泡消火液を放射する消火設備においても適用できる。この場合は泡ヘッドが接続される流水検知装置よりも二次側の分岐管22に安全弁を備えて、分岐管の圧力が所定圧に上昇したときに安全弁が作動して廃液タンクに排水するようにしてもよい。このとき安全弁からの排水は流水検知装置からの排水を貯水する廃液タンク60と兼用しても良いし、それぞれ廃液タンクを備えても良い。
【0056】
また、流水検知装置の弁体等の構造は上記実施形態に限らず、配管内の流水を検知して放出警報信号を出力できる装置であれば良い。圧力スイッチの構成も所定時間流水状態が継続した時に放出警報信号を出力できる放出警報出力部として構成であれば特に限定されない。
【0057】
上記実施形態においては、流水検知装置側及び分岐管末端側の両方から発生する排水を廃液タンクで貯留する構成としているが、必ずしも二箇所以上の排水を貯留する例に限るものではなく、二次側配管の圧力上昇を監視する必要がない場合、もしくは流水検知装置の流水検知が泡消火液を排水せず検知する装置である場合は、泡消火液を排水する設備の箇所にだけ廃液タンクを備えるようにすればよい。
【0058】
また、廃液タンクは流水検知装置の付近に流水検知装置毎あるいは末端試験装置毎に配置してもよく、ポンプ室や監視盤30の置かれた位置に一括して廃液を貯留するための廃液タンクを用意しても良い。
【0059】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、また上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0060】
26:流水検知装置
30:監視盤
34:一斉開放弁
38:泡ヘッド
40:感知配管
42:感知ヘッド
46:圧力計接続配管
50:圧力計
56:圧力スイッチ
58,62,92,94:排水管
60:廃液タンク
60−1:第1廃液タンク
60−2:第2廃液タンク
64:安全弁
66:液位検出器
66−1:第1液位検出器
66−2:第2液位検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災時に泡消火液が加圧給水される配管に設けられた泡ヘッドから泡消火液を放出して消火を行う泡消火設備において、
泡消火液が加圧給水される配管内の圧力が所定の安全設定圧力を超えたときに配管内の泡消火液を排水して減圧する安全弁と、
前記安全弁により排水した泡消火液を貯留する廃液タンクと、
前記廃液タンクの貯留水位を検知して警報信号を送出する液位検出器と、
を設けたことを特徴とする泡消火設備。
【請求項2】
請求項1記載の泡消火設備において、
前記配管には、感知ポートの感知配管に接続した火災感知ヘッドが作動した場合の流水により作動して2次ポートに配管接続された開放型ヘッドに泡消火液を供給して散水させる一斉開放弁が接続され、
前記安全弁は前記一斉開放弁から伸びる感知配管に備えたことを特徴とする泡消火設備。
【請求項3】
火災時に泡消火液が加圧給水される配管に設けられた泡ヘッドから泡消火液を放出して消火を行う泡消火設備において、
前記配管内の流水時に泡消火液を放出警報検知部に導入し放出警報信号を送出する流水検知装置と、
前記放出警報検知部に導入した泡消火液を排水する排水部と
前記排水部から排水した泡消火液を貯留する廃液タンクと、
前記廃液タンクの貯留水位を検知して警報信号を送出する液位検出器と、
を設けたことを特徴とする泡消火設備。
【請求項4】
請求項3記載の泡消火設備において、
更に、前記流水検知装置よりも二次側に前記配管内の圧力が所定の安全設定圧力を超えたときに配管内の泡消火液を前記排水部へ排水して減圧する安全弁を備え、
前記安全弁の作動時に排水する泡消火液を前記廃液タンクに貯留することを特徴とする泡消火設備。
【請求項5】
請求項4記載の泡消火設備において、
前記流水検知装置に備えた配管内の水圧を監視する圧力計に泡消火液を導入する圧力計接続配管に前記安全弁を備え、前記安全弁の作動時に前記排水管を介して前記廃液タンクに貯留することを特徴とする泡消火設備。
【請求項6】
請求項4記載の泡消火設備において、
前記泡ヘッドよりも末端側の前記配管から分岐された分岐管を前記安全弁を介して前記流水検知装置の前記排水部に接続し、前記安全弁が所定の安全設定圧力を超えたときに前記排水部を介して前記廃液タンクへ排水することを特徴とする泡消火設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−95897(P2012−95897A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247243(P2010−247243)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】