説明

波形を生成するための方法および装置

本明細書では、代表的CO波形を生成するための方法を提供し、その方法は、2つ以上のCO波形を取得することと、その2つ以上のCO波形の各々に対して、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定することと、その2つ以上のCO波形の各々の1つまたは複数の形状およびスケール係数に基づき、その2つ以上のCO波形を代表する形状係数およびスケール係数の代表的な組を計算することと、その形状係数およびスケール係数の代表的な組に基づき、代表的波形を構築することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、二酸化炭素(CO)波形などの、波形を生成して表示するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波形は、一般に、波などの、媒質(例えば、固体、液体または気体媒質)内を移動する信号の形状を指す。伝搬信号の形状の直接的な視覚映像が取得できない状況では、そのような場合に移動波形とも呼ばれる波形は、時間または距離につれて変化するグラフの形状を描く。つまり、移動波形は、一連の伝搬波を示し、それぞれが異なる時間または距離を表す。
【0003】
例えばカプノグラフィーでは、カプノグラフが患者の息のサンプルを収集し、そのサンプルのリアルタイムCO濃度を(CO分圧として)感知および計算する。計算されたCOの経時的な濃度は、移動波形として適切なディスプレイに描き出される。移動波形の解像度および掃引時間は、ユーザーがディスプレイ上で呼吸周期を識別できるほどである。カプノグラフィーで取得される情報は、患者の病状を判断するために使用され得る。
【0004】
カプノグラフィーの場合、表示された移動波形の「x」軸は時間で、少なくとも2〜3の波周期が捕捉できるように、通常は十分な時間が定義される。異なる年齢群は異なる呼吸周期時間を持つため、「x」軸の長さは、年齢に応じて頻繁に変更され得る。例えば、新生児は比較的頻繁に呼吸する(通常は、1分当たりの呼吸数(BPM)が50〜80)ため、少なくとも2〜3の波周期を捕捉するために必要な時間は、大人で同数の波周期を捕捉するために必要な時間より短いであろう。
【0005】
表示された移動波形の「y」軸は、分圧単位(mmHg、kpaまたは他の単位)または容積百分率(vol.%)のいずれかで定義される。「y」軸の高さは、通常、標準呼気濃度(37mmHg)が軸の約2/3近く(例えば、50mmHg)になるように定義される。CO濃度が高くなると、これは、(例えば、100mmHgまで)高められ得る。
【0006】
波形が、呼吸周期における経時的CO濃度の変化を少なくとも最小限に表現するために、標準的な大人の呼吸速度については、少なくとも200ミリ秒(msec)毎に測定値(または点)を取得すべきであるが、50msec毎が好ましい。150BPM以下の高い呼吸速度では、50msec毎の読み取りが必須である。データ点(解像度)が多ければ多いほど、ユーザーまたはオペレータ(医師または看護師など)は、多くの特徴的形状を波形内に認めることができる。
【0007】
波形は、通常、その波形に関して臨床的に意義のある特徴だけでなく、臨床的に重要でない特徴の両方を含む。一般に、波形に関して臨床的に意味のない(重要でない)効果は、会話、動作、咳、摂食または同様のものなど、外部刺激から生じるものであり、他方、波形に関して臨床的に重要な効果は、例えば、呼吸器官および/または心臓の状態など、患者の生理的状態から生じ得る。かかる状態は、喘息、うっ血性心不全(CHF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、疼痛管理または他の医学的状態など、薬物による鎮静または治療を含む。
【0008】
各個々の波形特徴の潜在的な臨床的価値およびそれに関連する関連性に加えて、連続した波形または波形群のパターンおよび特徴ならびにその変化、変化率および他の特徴も関連し得る。連続した波形の特徴の一例は、1つまたは2つの個々の波形ではなく、連続した波形の分析中にのみ診断可能なチェインストークス呼吸に見られ得る。
【0009】
一方で、波形の周期性および再現性にも関連し得、他方では、一貫性のない行動および特徴の分散に関連し得る。時には、前述の臨床的な意義が、目覚めている患者と眠っている(鎮静状態または無意識の)患者によって異なり得る。挿管された患者では、人口呼吸器の装着および一般に患者の鎮静状態のために、波形は一般に、特に呼吸周期の期間およびディーティサイクルについて、より再現性がある。挿管されていない患者では、各波形の形状は、より散発的である。
【0010】
カプノグラフィーで生成および提示されたCO濃度の移動波形など、従来技術の移動波形の表示および有用性に関連して、いくつかの問題がある。これらの問題には、例えば、次のようなものがある:
1.既存のカプノグラフは、一連の2つまたは3つの波形を一度に表示して、それらが継続的に構築され続け、軸に同期することなく、患者の呼吸周期に関連して画面を交差する。つまり、波形は、表示されている「x」軸に対して決められた期間に呼吸速度(PR)がどのように適合するかに応じて、時には、呼吸周期の途中から「x」(時間)=0で始まったり、呼吸周期の終わり近くで始まったりし得る。この移動波形は、対象となり得る波形の特徴および変化に焦点を合わせるのを困難にする。
2.ユーザー(医師または看護師など)は、任意の時に2つまたは3つの波の比較だけをできるため、波形群または波形の組に関するパターンの認識が困難および時には不可能である。
3.生理的/臨床的に重要なパターンと人為現象にすぎないパターンとの区別を困難にする、各波形を変化させる数多くの人為現象がある。
4.波形の取り得る多数の形状に加えて、波形のスケール要因もある。スケール要因は、高さ、幅、デューティサイクルおよび同様のものを含む。特に自発呼吸の患者では、これらのスケール要因は、画面上で常に変化している、無数の可能な組み合わせとなり、それらの多くは、呼吸器の専門家によってさえまだ理解されていない。
5.生理的/臨床的に重要であり得る波形の特徴は、例えば、前述したいくつかの理由で(たとえ、ユーザーがこれらのパターンに詳しくても)、しばしば非常に小さくて容易には認識されない。
6.優勢で再発性のあるパターンと不規則で再発性のないパターンとを区別するのは困難である。
7.しかし、移動波形のリアルタイム掃引に加えて、例えばカプノグラフは、波形の傾向データ(例えば、呼気終末二酸化炭素、EtCO)および、時には、イベントまたは要求された参照に関連して過去からの波形に戻る能力も提供し、これは、数時間以前の波形さえ保存するための大規模なメモリを備えた非常に強力なコンピュータを必要とする大規模なメモリバンクを必要とする。
8.基準および/または基線と比較する能力がなければ、波形のある特徴(例えば、傾斜または他の特徴)における変化に気づくのは困難である。
【0011】
これらおよび他の問題は、呼吸周期が生じているという視覚標識を受け取るだけでなく、これらの波形の有用性に関して、看護師および医師による絶望感を生む。
【0012】
従って、従来技術において、使用可能な波形を生成する方法および装置が必要である。
【発明の概要】
【発明の効果】
【0013】
本特許出願のこの発明の概要は、「要約」よりも長い形式で、本明細書で開示する主題の概要を提供することを目的するものであり、本発明をこの発明概要で説明するいずれかの機能に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、一般に、代表的波形(例えば、CO濃度の経時的な変化の波形)の生成(あるいは、再構築)および、任意でその表示を行うための方法および装置を対象とする。いくつかの実施形態によれば、代表的波形の生成は、取得する波形の「x」秒(例えば、最後の「x」秒)、または「y」個の波形(例えば、最後の「y」個の波形)を代表する波形の生成を含み得る。結果として生じる代表的波形は、1つまたは複数の「y」個の波形から、または「x」秒間に捕捉された1つまたは複数の波形から取得された医学的に重要な情報を含み得る一方、周知の重要性を持たない再現性のないイベント、医学的に関連がないかもしくは望ましくない人為現象および/もしくは他の要因が完全に除去されているか、または抑制されている。関連のある医療情報を示しながら、重要でない情報を除去する、1つの代表的波形の生成は、かかる波形の有用度を高める。例えば、代表的波形の表示は、価値ある医療情報を失うことなく、ユーザーがより少ないデータ(継続的に進行する単一波形の連鎖の代わりに、1つの代表的波形)を取得するのを支援し得る。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、「代表的波形」という用語は、1組の波形を代表できる任意の波形を指し得る。波形の組は、所定数の波形または、所定の期間に取得された任意の数の波形を含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、波形は、2種類の係数、すなわち、形状係数およびスケール係数によって特徴付けられ得る。
【0017】
形状係数は、波形の形状もしくはパターンの特徴付けおよび/または記述を行う。形状係数は、例えば、波形の上昇を記述する非線形関数のパラメータを含み得る。波形の形状係数は、通常、患者の生理的状態を示す。例えば、波形の主要な形状係数は、換気力学などの呼吸過程に関連し得る。形状係数は、関数のパラメータまたは2進値の組(ベクトルまたはマトリクスの形式)であり得る。
【0018】
スケール係数は、波形値および/または比であり、例えば、高さ、幅、半分の高さでの幅、デューティサイクル、I:E(吸気時間呼気時間)比もしくは任意の他の値または値の組み合わせなどがある。スケール係数の特徴は、通常は、潅流、短絡、代謝、換気、呼吸および同様のものなど、一般過程および/または身体機能に関連する。
【0019】
例えば(本明細書では、形状係数とスケール係数との間の相違をより良く示すためだけに提示する)、ある波形は、「完全な」模範的(正常)な形状、正常な形状係数を示し得るが、波形の高さ(これは「スケール係数」と考えられる)が非常に低い。これは、例えば、外傷によって生じる低潅流ではなく、正常な肺機能の結果であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、代表的波形は、その代表的波形(例えば、「x」秒間または「y」個の波形に渡って取得された波形)によって代表される波形を記述する形状係数およびスケール係数の代表的な組によって特徴付けることができる。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的波形を生成する方法は、1つまたは複数の波形(「x」秒間または「y」個の波形について現実化される通り)の1つまたは複数の形状係数の決定を含み得る。その方法は、1つまたは複数の波形の1つまたは複数の形状係数の分析をさらに含み得る。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的波形を生成する方法は、1つまたは複数の波形(「x」秒間または「y」個の波形について現実化される通り)の1つまたは複数のスケール係数の決定を含み得る。その方法は、1つまたは複数の波形の1つまたは複数のスケール係数の分析をさらに含み得る。1つまたは複数の波形の1つまたは複数のスケール係数の分析は、例えば、それらの基本的な平均値の使用を含み得る。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的波形は、1つまたは複数の形状係数および1つまたは複数のスケール係数を基本的に別々に分析することによって構築され得る。スケール係数はそれらの基本的な平均値を用いることによって分析され得るが、形状係数はより複雑な数理解析(線形または非線形の関数、分類または同類のものへの適合など)を必要とし得る。形状係数およびスケール係数が、波形の2つの独立したタイプの特徴として別々に分析されている場合、結果が一緒に統合されて、1つの代表的波形を形成する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的波形は、人為現象が除去され得るが、再現性があり、および/または優勢な特徴をまだ含む。つまり、代表的波形を生成する方法は、再現性があり、および/または優勢な形状係数を提示しながら、人為現象の除去または抑制を含み得る。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的波形は、画面に沿って移動せずに、様々な位置から始まるように、呼吸周期の所定の点から始まるのが表示され得る。代表的波形は、例えば、10〜20秒毎または他の速度など、様々な所与の所定の速度で更新され得る。更新速度は、ユーザーによって定義され得るか、または、例えば、呼吸速度(RR)、患者の年齢、患者の病気または任意の他のパラメータおよび/または条件など、特定のパラメータおよび/または条件に依存し得る。更新速度は、モニタリング期間中に動的に変更され得る。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的波形は、背景波形の上に表示され得る。例えば、代表的波形は、基線波形の上に表示され得る。基線波形は、鎮静作用、薬物療法、疼痛管理、外科手術または同様のものなど、治療を開始する前に取得された波形(または波形の組)を含み得る。基線波形は、特定の時または条件(鎮静作用、薬物療法、疼痛管理、外科手術または同様のものなど)で取得された波形の代表的波形も含み得る。この提示は、ユーザーが、波形の傾向、またはかかる治療の結果であり得る波形の変化に関していくらか理解できるようにし得る。
【0027】
代表的波形は、「正常な」波形の背景の上にも表示され得る。「正常な」波形は、被験者の健康人集団の平均波形を含み得、また、例えば、年齢、性別、病歴、病状または同様のものに基づいてモニタリングされている特定の患者に基づき、さらに具体的に選択され得る。
【0028】
代表的波形は、「正常な」波形領域の上にも表示され得る。この提示は、代表的波形(これは、前述の通り、ある速度で更新され得る)がまだ正常範囲内にあるかどうかを、ユーザーが分かるようにし得る。要求に応じて、代表的波形は、この代表的波形の構築に使用された最小限および最大限の波形を定義する、第2の背景領域の上にも表示できる。背景領域は、標準偏差または、この代表的波形の構築に使用された波形のばらつきや広がりを示す他の値も示し得る。
【0029】
代表的波形は、経時的な進行および/または変化を示すために、1つまたは複数の前の代表的波形の上にも表示し得る。前の波形は、現在の代表的波形とは対照的に、それらが過去に関連することがユーザーに明らかな方法で表示され得る。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、比較分析のため、代表的波形は、基線波形(代表的な基線波形など)、過去の任意の波形もしくは代表的波形、または特定の病状(例えば、喘息など)を示し得る事前定義した波形のライブラリと比較され得る。比較に使用される波形は、自動的に選択されるか、またはユーザーにより手動で選択され得る。類似性プログラムも、比較から生じた関連性または医学的意義を示すために使用され得る。
【0031】
代表的波形の生成(または再構築)は、例えば、比較分析において、波形からの関連情報の識別を容易にし得る。対照的に、従来技術の方法では、例えば、医師が、喘息の疑いのある患者の波形を典型的な「喘息波形」と比較しても、全ての喘息患者の波形が典型的な「喘息波形の形状」を示しているわけではないので、信頼できる情報が取得できなかったであろう。喘息の疑いのある患者の代表的波形は、本発明の実施形態によれば、あるとすれば、典型的な「喘息波形の形状」を示し、従って、かかる代表的波形を典型的な「喘息波形」と比較すると、関連のある必要な情報が得られるであろう。別の例として、従来技術の方法は波形の傾斜に関連していたが、たとえ患者が実際にその問題に悩まされていても、ある傾きは問題を示し、他の傾斜は正常であり得る。本発明の実施形態によれば、患者の代表的波形は、複数の波形を代表する傾斜を示し、それ故、本当の情報が得られるであろう。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、比較分析のため、任意の数の代表的波形が、代表的波形の経時的な傾向を示すために、相互に比較され、かつ/または同時に提示され得る。例えば、ある期間に渡って取得された連続する代表的波形は、代表的波形の経時的な傾向を示すために、相互に比較され、かつ/または同時に提示され得る。別の例として、所定の期間毎(例えば、30分毎、毎時、1日または他の期間に3回)に取得された代表的波形の選択された組は、経時的な傾向を示すために、相互に比較され、かつ/または同時に提示され得る。傾向は、代表的波形の1つまたは複数の特徴の経時的な変化を示すグラフまたは表として提示され得る。パラメータ(スケール係数および/または形状係数など)の傾向も、計算されて任意で表示され得る。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、さらに計算が提供され、任意で信頼感指数(信頼水準または信頼度とも呼ばれる)が表示される。信頼感指数は、グラフまたは値として表され得、例えば、除去された人為現象の数、代表的波形を構成する形状の分散、どれくらいの平均化が実行されたか、および他の特徴と関連付けることができる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書で開示される方法は、情報の効率的な保存を可能にする。まず第1に、波形の期間および/または数が、1つの代表的波形だけによって定義でき、そして第2に、この代表的波形がいくつかの形状係数およびサイズパラメータのみによって記述できる。これは、異なる波形を全て定義するために必要な情報量を数桁(例えば、少なくとも5桁)減らす「二重の節約」と見なすことができる。従って、被験者の病歴が保存され得、基本的なモニターでさえ、病歴全体の走査も可能である。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、新しい波形がリアルタイム波形で一定の期間(例えば、10秒または任意の他の期間)検出されない場合(差し迫った無呼吸イベントの可能性があることを示す)には、被験者が無呼吸になっている間に、代表的波形を継続して示すという誤解を与える提示を防ぐために、時間カウントまたは同様の表示をその代表的波形に追加するか、またはそれを置き換えさえ得る。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的波形の任意の分析、例えば、本明細書で説明した比較分析の後に、医学的な提言が続き得る。例えば、鎮静状態の患者について、代表的波形の以前の代表的波形との比較がその患者の病状の悪化を示している場合、医学的な提言は、投薬量の低減および/または医師への連絡を含み得る。別の例として、挿管された患者について、所定の期間毎(例えば、30分毎)に取得された代表的波形の選択された組の波形が、相互に比較されて悪化の傾向を示している場合、医学上の提言は、医師への連絡、治療パラメータの変更、患者の体位の変更、呼吸パラメータの変更および他の提言を含み得る。
【0037】
代表的波形および/またはその代表的波形に関連する任意の表示は、自動的(例えば、所定の期間毎に更新される)またはユーザーの要求毎(「要求に応じて」)に生成され得る。
【0038】
本明細書で参照される「波形」という用語は、いくつかの実施形態によれば、完全な波形または波形の任意の部分セグメントまたは部分セグメントの結合を含み得る。
【0039】
本明細書で参照される「患者」および「被験者」という用語は、区別しないで使われ得る。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的なCO波形を生成する方法が提供され、その方法は、2つ以上のCO波形を取得することであって、その2つ以上のCO波形の各々について1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を定義することと、その2つ以上のCO波形の各々の1つまたは複数の形状およびスケール係数に基づき、その2つ以上のCO波形を代表する形状係数およびスケール係数の代表的な組を計算することと、その形状係数およびスケール係数の代表的な組に基づき代表的波形を構築することとを含む。その2つ以上のCO波形は、完全な波形または波形の部分セグメントであり得る。
【0041】
1つまたは複数のスケール係数の決定は、正規化(例えば、1または最大値への)に基づき得る。1つまたは複数のスケール係数は、高さ、幅および同様のものを含み得る。1つまたは複数の形状係数は、2つ以上のCO波形の各々に対して最良適合関数(best fit function)のパラメータを識別することにより決定され得る。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、形状係数の代表的な組の計算は、最良適合関数のパラエータの収集および平均化(例えば、加重平均化)を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、代表的波形の構築は、平均化されたパラメータおよび規模の縮小に基づく波形の構築を含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、代表的なCO波形を生成する方法は、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定する前に、2つ以上のCO波形の各々の部分セグメント化をさらに含み得、代表的波形の構築は、その代表的波形の部分セグメントの結合をさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の形状係数の決定は、2つ以上のCO波形の各々を、独立した2値デジタルマトリクスに変換することを含み、そのマトリクスで、1の値は波形が通るデジタルマトリクス内の位置を定義し、デジタルマトリクスの他の位置はゼロ(0)を取る。1つまたは複数の形状係数の決定は、2つ以上の独立したデジタルマトリクスの各々に対して最良適合関数を識別することをさらに含み得る。
【0046】
形状係数の代表的な組の計算は、2つ以上の独立したデジタルマトリクスを合計することによる合計マトリクスの作成を含み得る。形状係数の代表的な組の計算は、合計マトリクス内で最高値を有する位置を通るデジタル経路の識別をさらに含み得る。形状係数の代表的な組の計算は、そのデジタル経路に対する最良適合関数のパラメータの識別をさらに含み得る。
【0047】
代表的波形の構築は、最良適合関数のパラメータに基づく波形の構築を含み得る。代表的波形の構築は、規模の縮小をさらに含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、その方法は、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定する前に、2つ以上のCO波形における人為現象の識別および人為現象を有する波形の除去をさらに含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、その方法は、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定する前に、2つ以上のCO波形における特有パターンの識別、および識別された場合にその特有パターンの少なくとも一部の除去をさらに含み得る。代表的波形の構築は、その除去された特有パターンおよびその任意の表現の重ね合わせ(superimposing)をさらに含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、その方法は、代表的波形を、周知の病状示す波形のライブラリと比較することをさらに含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、その方法は、代表的波形の表示をさらに含み得る。代表的波形は、呼吸周期の所定の位置から始まって表示され得る。その方法は、代表的波形を1つまたは複数の代表的波形の上に表示することをさらに含み得る。その方法は、代表的波形を基線波形の上に表示することをさらに含み得る。その方法は、代表的波形を模範的な波形の上に表示することをさらに含み得る。その方法は、代表的波形を正常範囲の指標と共に表示することをさらに含み得る。その方法は、経時的な傾向を示す複数の代表的波形の表示をさらに含み得る。多数の代表的波形は、呼吸周期における同じ所定の位置から始まって表示され得る。あるいは、多数の代表的波形は、1つの代表的波形が、別の代表的波形が終わる位置から始まるように、連続して表示され得る。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、その方法は、代表的波形を事前に選択した期間毎および/または事前に選択した波形数毎に更新することをさらに含み得る。更新速度は、測定もしくは計算されたパラメータまたはユーザーからの指示に基づき、動的に変更され得る。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、その方法は、代表的波形の信頼性を示す信頼感指数の提供をさらに含み得る。その方法は、代表的波形に関する情報の提供をさらに含み得る。その情報は、線形傾斜、非線形適合パラメータ、呼気終末二酸化炭素(EtCO)、I:E(吸気時間呼気時間)比またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、2つ以上のCO波形の取得は、被験者の呼吸の継続的なモニタリングおよび被験者からのCO波形の収集を含み得る。いくつかの実施形態によれば、その方法は、新しい波形が所定の期間検出されない場合に、無呼吸の疑いの指標を提供することをさらに含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、代表的波形を生成するための装置が提供され、その装置は、2つ以上のCO波形を取得するように適合された制御論理を含み、その2つ以上のCO波形の各々に対して1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定し、その2つ以上のCO波形の各々に対する1つまたは複数の形状およびスケール係数に基づき、その2つ以上のCO波形を代表する形状係数およびスケール係数の代表的な組を計算し、その形状およびスケール係数の代表的な組に基づき代表的波形を構築する。2つ以上のCO波形は、完全な波形または波形の部分セグメントであり得る。
【0056】
1つまたは複数のスケール係数の決定は、正規化(例えば、1または最大値への)に基づき得る。1つまたは複数のスケール係数は、高さ、幅および同様のものを含み得る。1つまたは複数の形状係数は、2つ以上のCO波形の各々に対して、最良適合関数のパラメータを識別することによって決定され得る。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、形状係数の代表的な組の計算は、最良適合関数のパラメータの収集および平均化(例えば、加重平均化)を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、代表的波形の構築は、平均化されたパラメータおよび規模の縮小に基づく波形の構築を含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、制御論理は、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定する前に、2つ以上のCO波形の各々を部分セグメント化するようにさらに適合され得、そこで、代表的波形の構築がその代表的波形の部分セグメントの結合をさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の形状係数の決定は、2つ以上のCO波形の各々を独立した2値デジタルマトリクスに変換することを含み得、そこで、1の値は、デジタルマトリクス内で波形が通る位置を定義し、デジタルマトリクス内の他の位置はゼロ(0)の値を取る。いくつかの実施形態によれば、制御論理は、2つ以上の独立したデジタルマトリクスの各々に対して最良適合関数を識別するようにさらに適合され得る。いくつかの実施形態によれば、形状係数の代表的な組の計算は、2つ以上の独立したデジタルマトリクスを合計することによる合計マトリクスの作成を含み得る。形状係数の代表的な組の計算は、合計マトリクス内で最高値を有する位置を通るデジタル経路の識別をさらに含む。形状係数の代表的な組の計算は、デジタル経路に対する最良適合関数のパラメータの識別をさらに含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、代表的波形の構築は、最良適合関数のパラメータおよび規模の縮小に基づく波形の構築を含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、制御論理は、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定する前に、2つ以上のCO波形内の人為現象を識別して、人為現象を有する波形を除去するようにさらに適合され得る。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、制御論理は、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定する前に、2つ以上のCO波形内の特有パターンを識別し、識別された場合には、特有パターンの少なくとも一部を除去するようにさらに適合され得る。代表的波形の構築は、除去された特有パターンまたはそれらの任意の表現の重ね合わせを含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、制御論理は、代表的波形を周知の病状を示す波形のライブラリと比較するようにさらに適合され得る。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、その装置は、代表的波形を表示するように適合された表示装置をさらに含み得る。代表的波形は、呼吸周期内の所定の位置から始まって表示され得る。代表的波形は、モニター上のある位置(例えば、モニターの角)に固定されるように表示され得る。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、その装置は、代表的波形を1つまたは複数の代表的波形の上に表示するように適合された表示装置をさらに含み得る。いくつかの実施形態によれば、その装置は、代表的波形を基線波形の上に表示するように適合された表示装置をさらに含み得る。いくつかの実施形態によれば、その装置は、代表的波形を模範的な波形の上に表示するように適合された表示装置をさらに含み得る。いくつかの実施形態によれば、その装置は、代表的波形を正常範囲の指標と共に表示するように適合された表示装置をさらに含み得る。いくつかの実施形態によれば、その装置は、経時的な傾向を示すために、多数の代表的波形を表示するように適合された表示装置をさらに含み得る。多数の代表的波形は、呼吸周期内の同一の所定の位置から始まって表示され得る。多数の代表的波形は、1つの代表的波形が、別の代表的波形が終わった位置から始まるように、連続して表示され得る。その表示装置は、代表的波形を事前に選択した期間毎および/または事前に選択した波形数毎に更新するように適合され得る。更新速度は、測定もしくは計算されたパラメータまたはユーザーからの指示に基づき、動的に変更され得る。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、制御論理は、代表的波形の信頼性を示す信頼感指数を提供するようにさらに適合され得る。その装置は、被験者の呼吸を継続的にモニタリングして、被験者からのCO波形を収集するようにさらに適合され得る。その装置は、新しい波形が所定の期間検出されない場合に、無呼吸の疑いの指標を提供するようにさらに適合され得る。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、代表的波形を生成するシステムが提供され、そのシステムは、2つ以上のCO波形を取得するように適合された制御論理であって、その2つ以上のCO波形の各々に対して1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定し、その2つ以上のCO波形の各々に対する1つまたは複数の形状およびスケール係数に基づき、その2つ以上のCO波形を代表する形状係数およびスケール係数の代表的な組を計算し、その形状およびスケール係数の代表的な組に基づき代表的波形を構築する制御論理と、代表的波形を表示するように適合されたモニターとを含む。
【0069】
本発明の実施形態を示す例を、本明細書に添付の図を参照して、以下で説明する。図では、2つ以上の図に出現する同一の構造、要素または部分は、一般に、それらが出現する全ての図で同じ数字のラベルが付けられている。図に示す構成要素の寸法および特徴は、一般に、便宜上および提示を明瞭にするために選択され、必ずしも縮尺通りに示されていない。図は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】「正常な」(模範的な)CO波形を概略的に示す。
【図2A】一連の連続するCO波形を含む、測定されたカプノグラムを概略的に示す。
【図2B】本発明のいくつかの実施形態に従い、図2Aに示す全ての連続するCO波形を代表する1つの代表的波形を示す。
【図3A】本発明のいくつかの実施形態に従い、互いの上に提示された一連のCO波形および、全てのCO波形を代表する代表的波形を示す。
【図3B】本発明のいくつかの実施形態に従い、図3Aの全てのCO波形を代表する代表的波形を示す。
【図4A】本発明のいくつかの実施形態に従い、健康人のCO波形の正常範囲を表す領域および代表的波形を概略的に示す。
【図4B】本発明のいくつかの実施形態に従い、健康人のCO波形の正常範囲を表す、図4Aと同一の領域、および喘息患者の代表的波形を概略的に示す。
【図5】本発明のいくつかの実施形態に従い、一連のCO波形を表す領域および代表的波形を概略的に示す。
【図6A】本発明のいくつかの実施形態に従い、代表的波形を生成(構築)する過程を示す流れ図である。
【図6B】本発明のいくつかの実施形態に従い、代表的波形を生成(構築)する過程を示す流れ図である。
【図7A】本発明のいくつかの実施形態に従い、異なった条件下で取得したCO波形を示す。
【図7B】本発明のいくつかの実施形態に従い、異なった条件下で取得したCO波形を示す。
【図7C】本発明のいくつかの実施形態に従い、異なった条件下で取得したCO波形を示す。
【図7D】本発明のいくつかの実施形態に従い、異なった条件下で取得したCO波形を示す。
【図7E】本発明のいくつかの実施形態に従い、異なった条件下で取得したCO波形を示す。
【図7F】本発明のいくつかの実施形態に従い、異なった条件下で取得したCO波形を示す。
【図8A】本発明のいくつかの実施形態に従い、CO波形を示す。
【図8B】本発明のいくつかの実施形態に従い、CO波形を示す。
【図9】本発明のいくつかの実施形態に従い、CO波形を示す。
【図10A】本発明のいくつかの実施形態に従い、CO波形を示す。
【図10B】本発明のいくつかの実施形態に従い、CO波形を示す。
【図11】本発明のいくつかの実施形態に従い、COのサンプル波形(正常なデータセットから取得)および5つの関数で推定された適合を示す。
【図12】本発明のいくつかの実施形態に従い、COのサンプル波形(喘息患者のデータセットから取得)および5つの関数で推定された適合を示す。
【図13A】本発明のいくつかの実施形態に従い、波形部分セグメントのグリッドマトリクス(20×20)表現を示す。
【図13B】本発明のいくつかの実施形態に従い、波形部分セグメントのグリッドマトリクス(20×20)表現を示す。
【図13C】本発明のいくつかの実施形態に従い、波形部分セグメントのグリッドマトリクス(20×20)表現を示す。
【図14】本発明のいくつかの実施形態に従い、2値グリッドマトリクス(20×20)上に示した図13Aの波形部分セグメントおよびその適合線を示す。
【図15】本発明のいくつかの実施形態に従い、波形部分セグメントの合計グリッドマトリクス(N=10)を示す。
【図16】本発明のいくつかの実施形態に従い、元の波形部分セグメントおよび最良適合を重ね合わせた最適経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下の説明では、本発明の様々な態様が説明される。説明の目的で、本技術の完全な理解を提供するために、具体的な構成および詳細が示される。しかし、本技術は、本明細書で説明されている具体的詳細がなくても実施され得ることも当業者には明らかであろう。さらに、本技術の説明を分かり難くしないために、周知の機能が省略され得る。
【0072】
ここで、「正常な」(模範的な)CO波形(カプノグラム)を示す図1を参照する。曲線100は、呼吸周期全体に渡って変化するCOレベルを表す。点A、B、C、D、EおよびFがカプノグラム上に描かれている。区間(A‐B)は、吸息の終わり(フェーズI)を表し、ここでCOレベルはゼロである。点Bは、呼息の始まりを表す。急激な上昇(B−C)は、呼息(フェーズII)を表す。次に、緩やかな上昇(C−D)(フェーズIII)、呼息の終わりを表す(D)の直前にピークのある平坦域が続く。ゼロまで戻る急激な下降(D−E)は、吸息(フェーズIV)を表し、新しい吸息期間(区間E−F)が続く。
【0073】
ここで、一連の21の連続するCO波形(例えば、202、204および206)を含む測定されたカプノグラム200を示す図2Aを参照する。各波形が、形状およびスケール係数の両方において他とわずかに異なっているのが見られる。従って、かかるカプノグラムから有益な情報を取得することは、とりわけ見ただけでは、不可能ではないにしても、非常に困難であり得る。図2Bは、本発明のいくつかの実施形態に従い、図2Aに示す21の連続するCO波形の全てを代表する1つの代表的波形210を概略的に示す。この代表的波形は、角(ゼロ)に固定されて、画面内を移動せず、呼吸数X毎またはY秒毎に変更できる。ユーザー(医師または看護師など)は、本発明のいくつかの実施形態に従い、代表的波形を見て、容易に情報を取得できる。本発明の範囲は、いくつかの実施形態により、代表的波形を、ディスプレイの隅など、モニターのある位置に固定できるようにする、代表的波形を表示する任意の方法に及ぶ。
【0074】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従い、一連のCO波形302の一例を示す図3A、および、図3Aの全てのCO波形302を代表する、代表的波形306を示す図3Bを参照する。図3Aから分かるように、多数のCO波形302を見て有益な情報を取得することは、単一の明瞭な代表的波形306よりも、はるかに複雑である。
【0075】
ここで、図4Aを参照すると、それは、本発明のいくつかの実施形態に従い、健康人のCO波形の正常範囲を表す領域402および健康人の代表的波形406(最近の16呼吸から構築)を概略的に示す。図4Bは、本発明のいくつかの実施形態に従い、健康人のCO波形の正常範囲を表す、同一の領域402、および喘息患者(最近の16呼吸から再構築)の代表的波形408を概略的に示す。かかる提示により、ユーザーは、代表的波形406は十分に正常範囲内であるが、一方、(喘息患者の)代表的波形408は正常範囲内でないことが明確に理解できる。また、例えば、(喘息患者の)代表的波形408は、(健康人の)代表的波形406と比較すると、低くて、図1で点Cとして定義された「肩状部」が丸い。
【0076】
ここで、図5を参照すると、それは、本発明のいくつかの実施形態に従い、健康人の一連のCO波形の「模範的な」全体位置を表す領域502の背景の上に提示された、喘息患者の最近の3つの代表的波形506、508および510(それぞれ16呼吸毎に計算された)を概略的に示す。図5から分かるように、領域502の背景上の代表的波形506、508および510を見ると、いかなるユーザーにも、代表的波形506、508および510を示す患者の呼吸能力が正常ではないことが明確である。さらに、506、508および510などの代表的波形は、ユーザーが患者の病状の経時的な変化を見ることができる傾向を提示し得る。
【0077】
領域502など、健康人の一連のCO波形の「模範的な」(正常な)全体位置を表す領域は、波形の集合(図3Aに見られる通り)として、または任意の他の方法で、正常範囲の上限および下限を示す2本の線としても提示され得ることに留意されたい。
【0078】
〔代表的波形の生成(構築)〕
ここで、図6Aを参照すると、それは、本発明のいくつかの実施形態に従い、代表的波形の生成(構築)過程を要約する流れ図60を示す。ステップ62は、2つ以上の波形の取得を含む。説明のために、流れ図60は、2つ波形(WF1およびWF2)に言及しているが、例えば、5〜20の波形、一定の期間(10〜60秒など)に検出された波形数または任意の他の波形数など、任意の波形数が適用され得ることに留意されたい。ステップ64は、2つ以上の波形の各々に対する1つまたは複数のスケール係数(ScF)および1つまたは複数の形状係数(ShF)の決定を含む。ステップ66は、2つ以上の波形の各々の1つまたは複数の形状およびスケール係数に基づく、2つ以上の波形(WF1およびWF2)を代表する形状係数およびスケール係数の代表的な組(Rep)の計算を含む。ステップ68は、形状係数およびスケール係数の代表的な組に基づく代表的波形(Rep WF)の構築を含む。
【0079】
ここで、図6Bを参照すると、それは、本発明のいくつかの実施形態に従い、代表的波形の生成(構築)過程をさらに詳細に説明する流れ図600を示す。波形を取得すると、最初のステップ602はセグメント化を含む。セグメント化は、分析する単一の呼吸周期(波形)の定義(始まりと終わり)を含む。基本仮定は、健康人から受け取るであろう予測される波形は、5つの識別される段階(すなわち、A−B、B−C、C−D、D−EおよびE−F)が認められる、空中ぶらんこに似た(quasi−trapeze)形状(図1を参照)である、ということであり得る。いくつかの実施形態によれば、受け取った波形にこれらのはっきりとした段階の1つがなければ、臨床的、生理学的意義を持つ形状のない呼吸と見なされて、使用されない。
【0080】
ステップ604は、人為現象の識別を含む。波形を変化させて、生理学的に重要なパターンと重要でないパターンとの区別を困難にする多くの人為現象がある。人為現象は、いくつかの実施形態によれば、臨床的価値のない波形の区間として定義され得る。多くの場合、人為現象は、病状から生じるものではなく、とりわけ、呼吸および心臓生理学から生じるものでない。人為現象の例には、会話、咳、飲食によって生じるノッチおよびスパイク、携帯電話、コンピュータまたは同様のものなど、電化製品による干渉を含み得る。これらの人為現象は通常、非反復的である。
【0081】
波形に対する他の変化は、移動、横臥、着座、姿勢の変化および同様のものなど、通常の活動によって生じ得る。これらは、任意で、人為現象として扱われ得るが、波形の様々な変形としても扱われて、まだ「容認可能な」データと見なされ得る。
【0082】
波形に変化をもたらし得る別の影響は、被験者に送達される、Oなどの気体による呼吸サンプルの希釈である。この種類の影響は通常、繰り返して、波形を変化させる。
【0083】
本明細書では、本発明のいくつかの実施形態に従い、人為現象の影響を除去または減少させる方法が開示されている。人為現象は、病気および健康な患者の両方に関する対照研究を用いて識別されている事前定義したパターンに基づいて識別され得る。それらの人為現象は、よりアドホックな出現、形状および波形内の位置によってさらに識別され得る。
【0084】
患者の活動およびO流入の波形への影響の例が、図7A〜図7Fに見られ、これらはそれぞれ、着座、仰臥、摂食、会話、O流入の受け入れおよび咳嗽中に取得された患者の波形を示す。図7A〜図7Fを見ると、必要および重要な情報を隠し得る人為現象のマスキング効果によって、ユーザーが有益な情報を失い得ることが分かる。いくつかの実施形態によれば、測定可能な量の人為現象を有する呼吸周期(波形)が識別されて、代表的波形の再構築に使用される波形の組から除去され得る。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、人為現象を定義するために、明確に定義されて分類された人為現象(図7C、図7Dおよび図7Fに関して説明した活動など)から成るデータセットが生成され得る。いくつかの実施形態によれば、人為現象と正常な波形特徴とを区別する特徴は、とりわけ、くぼみ(dip)の傾向および深さ、ならびに関数への適合(例えば、上昇の間、ある閾値より大きいくぼみの存在および傾向ならびに、例えば、平均平方誤差(mse:Mean Square Error)などの関数への適合度の測定)である。例えば、人為現象の数学的定義は、上昇もしくは平坦域中に5mmHgより大きいくぼみまたは2より大きい対数関数のmseを持つ波形を含み得る。下降中のくぼみは、通常、酸素流の付加によって頻繁に生じるため、人為現象とは見なされない。図8A〜図8Bは、本発明のいくつかの実施形態による、CO波形を示す。深さが約8mmHgの上昇中のくぼみ802が、図8AのCO波形800に見られる。それぞれが深さ1および20mmHgの2つの下降中のくぼみ812および814が、図8BのCO波形810に見られる。図8AのCO波形800の上昇中のくぼみ802は、頻繁に起こる(反復的)イベントでなければ、人為現象を表し得る。
【0086】
図9は、そのうちのいくつか(矢印の下の波形)が重要な人為現象を有する、一連の波形を示す。重要な人為現象を有する波形は、さらなる分析(次のステップ、ステップ604を参照)から除外され得る。
【0087】
図6Bの流れ図600を再度参照すると、人為現象を識別した(ステップ604)後の次のステップは、人為現象を有する波形の除去を含むステップ606である。いくつかの実施形態によれば、これらの波形は、さらなる分析のために使用されない。このステップの後、波形から、前述した通り、医学的および生理学的状態から生じていない人為現象が取り除かれる(または、少なくとも本質的に除去される)。
【0088】
ステップ608は、一般に、臨床的有意性を有する、特有パターン(特徴)の識別を含む。これら特有パターンは、通常は、基本的に空中ぶらんこに似た形状を有する、標準波形上に重ね合わされた繰り返しパターンである。いくつかの実施形態によれば、「繰り返しパターン」という用語は、波形のX%に繰り返されるパターンを参照し得、ここで、X%は、10%以上、20%以上、30〜50%以上であるか、またはXは、モニタリング前もしくはモニタリング中に一定であるかもしくは変化し得る任意の他のパーセントであり得る。これら特有パターンは、臨床研究中に分かった事前定義したパターンに基づいて分析される際に、臨床情報を提供し得る。図10Aおよび図10Bは、いくつかの実施形態によれば、一見したところでは生理学的状態から生じた、再発する明確に定義された特有パターンを有する波形を示す。
【0089】
図6Bの流れ図600を再度参照すると、特有パターンの識別(ステップ608)の後の次のステップは、(繰り返し発生する)特有パターンの除去を含む、ステップ610である。いくつかの実施形態によれば、これら特有パターンは、標準的な波の形状(標準/正常波形)から分離されるが、後の段階の波形の再構築過程(ステップ652)で戻される。
【0090】
ステップ611は任意で、波形の部分セグメント化を含む。前述した通り、セグメント化(ステップ602)は、分析する単一の呼吸周期(波形)の定義(始まりと終わり)を含む。部分セグメント化(ステップ611)は、波形の「段階」の定義を含む。前述の通り、基本仮定は、健康人から受け取るであろう予測される波形は、5つの識別される段階(すなわち、A−B、B−C、C−D、D−EおよびE−F)が認められる、空中ぶらんこに似た形状(図1を参照)である、ということであり得る。波形は、1(全く分割しない)、2、3、またはそれ以上など、任意の数の段階に分割できる。例えば、本明細書に示す通り、いくつかの実施形態によれば、波形は、2つの部分セグメントに部分セグメント化される。第1段階(部分セグメント)は、上昇(図1の区間B−C)および平坦域(図1の区間C−D)の両方を含み、CO段階の増加に関連する。第2段階(部分セグメント)は、下降(図1の区間D−E)およびそれに続く新しい吸息期間(図1の区間E−F)を含む、COの減少に関連する。これら2つの段階(部分セグメント)は、基本的に、呼息の終わりまでの呼息の始まりと、呼息の次の始まりまでの吸息の始まりとを区別する。
【0091】
任意のステップ611が適用された場合には、波形の各部分セグメントに対して別々に、または部分セグメントの結合に対して、流れ図600の次のステップが実行され得る。任意のステップ611が適用されなかった場合には、波形の始まりから終わりまで波形全体(単一の呼吸周期)に対して、流れ図600の次のステップが実行され得る。
【0092】
ステップ612は、「スケール係数」の識別およびスケーリングを含む。前述の通り、スケール係数は、例えば、高さ、幅、デューティサイクル、曲線下面積または任意の他のパラメータもしくはパラメータの組み合わせなど、波形の値を指す。スケーリングは、例えば、正規化を含み得る。正規化は、例えば、COの最大値が常に1になるように、COをその最大値で割ることによる、CO値の正規化を含み得る。
【0093】
代表的波形の生成(構築)過程を記述する、流れ図600の次のステップは、波形の「形状係数」の処理に関する。前述の通り、形状係数は、波形の形状に関連するか、および/またはそれを記述する任意のパラメータを指す。例えば、非線形関数のパラメータは、波形で描かれる通りに、上昇または呼息段階全体を記述する。波形の形状係数は、通常、患者の生理学的状態を示す。例えば、波形の優勢な形状係数は、換気力学など、呼吸過程に関連し得る。この段階で、流れ図600は2つに分かれ得る。本発明のいくつかの実施形態によれば、代表的波形の構築は、「最良適合」の数学的手法(ステップ614)および/またはデジタル化(デジタル手法)(ステップ616)に基づき得る。
【0094】
〔第1選択肢(ステップ614)〕
「最良適合」の数学的手法(ステップ614)は、所定の波形または波形の部分セグメント(例えば、2つの部分セグメント波形の1つまたは2の部分セグメントなど)を記述する(適合する)所定の事前定義した関数に基づく初期の特性抽出を含み得る(前述で開示の通り、第1部分セグメントは、上昇(図1の区間B−C)および平坦域(図1の区間C−D)を含み、COの減少に関連し得、第2部分セグメントは、下降(図1の区間D−E)およびそれに続く新しい吸息期間(図1の区間E−F)を含み、COの減少に関連し得る)。「最良適合」を適用するため、「関数への適合」または限られた最良適合可能性を有する参照テーブルなど、最良適合の任意の周知の数学的手法が使用され得る。代表的波形の構築は、例えば、所定の限られた数の可能な事前定義した形状(「最も近い」に基づく)からの選択により、または、この目的用に事前定義した関数を用いて、代表値の「本当の」数値計算により、実現できる。両方の選択肢の混合も使用できる、つまり、まず、「本当の」代表値を計算した後、その最良適合を探す。
【0095】
各波形(および代表的波形も)は、一緒に波形を構築する、それらのパラメータ(形状係数)を持つ1組の関数および他のパラメータ(スケール係数)によってこのように定義できる。それ故、最近の「x」秒間に取得された波形または取得した「y」個の波形が、2〜3の所定のパラメータ(形状係数およびスケール係数)を定義するだけで、記憶できる。
【0096】
ここで、図11を参照すると、それは、サンプル波形1102(正常なデータセットから取得)および5つの関数で推定された適合を示す。図12も参照すると、それは、サンプル波形1202(喘息患者のデータセットから取得)および5つの関数で推定された適合を示す。図11および図12の各々では、各波形の第1部分セグメントだけが、「関数に適合」して示されているが、もちろん、第2部分セグメントも任意の数の関数に適合するように処理され得る。各波形は、任意の数の部分セグメントに分割でき、各部分セグメントまたは部分セグメントの結合は、その中から最良適合(例えば、波形の曲線に最も近い関数)が選択され得る、任意の数の関数に適合するよう処理され得ることにも留意されたい。
【0097】
図11および図12に示す関数は、次のとおりである(関数名は任意):
1‐ログ:
【数1】

2−GLC(一般化ロジスティック曲線):
【数2】

3−フェルフルスト(Verhulst)
【数3】

式中、
【数4】

【数5】

4−ワイブルCDF(WeibullCDF):
【数6】

【数7】

式中、
【数8】

【0098】
任意の他の関数または関数の組み合わせを使用し得ること、および本明細書で提示する5つの関数は例示的な関数にすぎないことに留意されたい。
【0099】
図6Bの流れ図600を再度参照すると、次のステップは、関数の収集を含む、ステップ620である。このステップは、各波形を記述する関数のパラメータの収集を含む。
【0100】
次のステップ、ステップ622は、「y」個の波形または「x」秒間に取得した波形に関して、これらのパラメータの平均化(および/または、算術平均、幾何平均、積分、中央値または任意の冪平均など、任意の線形または非線形の数学的方法/関数の使用)を含む。パラメータの平均化および/または任意の線形もしくは非線形の数学的方法/関数の使用は、例えば、最も優勢な、または再現する、最も代表的なパラメータの計算を可能にする。平均化は、加重平均の使用を含み得る。さらに、平均から離れているパラメータを持つ波形は、除去されるかまたは低い重みを付けて使用され得る。
【0101】
このステップでは、代表的な正規化波形または代表的な正規化波形の部分セグメント(ステップ611など、波形が最初に部分セグメント化されている場合)のパラメータが得られる。
【0102】
前述の通り、波形の形状の所定の限られたリストを使用することもでき、また、数学を使用して、測定された波形に最も近い所定の波形の形状を見つけることもできる。このように、より簡単で迅速な計算のために、事前定義された可能な波の限られたリストを使用することが可能である。
【0103】
次のステップ、ステップ650は、規模の縮小および代表的な正規化波形の部分セグメントの結合を含む(該当する場合)。正規化に使用されたパラメータも平均化されて、その代表的な正規化波形を、その作成に使用された本当の波形を代表するサイズに戻すのに使用され得る。このステップで、ステップ610で除去された繰り返し起こる特有パターンがまだ欠けている代表的波形が得られる。
【0104】
次のステップ、ステップ652は、このように、以前に除去された(例えば、ステップ610で)任意の繰り返し起こるか、または優勢な特有パターンを、代表的波形に追加(重ね合わせ)することを含む。これら特有パターンは、保存され、メモリ内に保存された事前定義した形状から再構築され得るが、それらのサイズは、収集された波形に基づいて定義される。このステップで、最終的な代表的波形654が得られる。
【0105】
任意のステップ656は、最終的な代表的波形の、周知の病状(例えば、典型的な異常波形)を示す波形のライブラリとの比較を含み得る。これにより、診断、重症度および/または医学的な提言の提供が容易になり得る。
【0106】
〔第2選択肢(ステップ616)〕
図6Bの流れ図600のステップ610に戻ると、ステップ614(「最良適合」の数学的手法)を続行する代わりに(または場合によっては、それに加えて)、デジタル手法(ステップ616(デジタル化))が選択され得る。このステップは、正規化波形を個別に定義するために、低解像度のデジタルマトリクスの作成を含む。そのマトリクスは、例えば、「1」の値が波の通る位置を定義し、他の位置は「0」の、20×20または50×50のマトリクスであり得る。
【0107】
図6Bの流れ図600のステップ616は、例えば、波形の部分セグメント1302、1304、1306それぞれの2値グリッドマトリクス(20×20)表現を示す、図13A、図13Bおよび図13Cによって説明できる。図13A、図13B、図13Cおよび図13Dの波形部分セグメントは、呼吸波形全体の上昇(呼息)部分であるが、任意の他の部分セグメントまたは部分セグメントの組み合わせであり得る。図13A、図13B、図13Cおよび図13Dの各々で、波形部分セグメント1302、1304、1306および1308のそれぞれが、グリッドマトリクス(20×20平方として示されているが、もちろん、程度の差はあるが、それは必要な解像度によって変わり、正方形の数が多ければ多いほど解像度が高まる)上に置かれている。1302、1304、1306または1308の波形部分セグメントが通る全ての正方形は1の値を取り、他方、1302、1304、1306または1308の波形部分セグメントが通らない正方形はゼロ(0)の値を取る。
【0108】
図6Bの流れ図600のステップ616の後、2つの選択肢、選択肢A(図6Bの流れ図600のステップ630)および選択肢B(図6Bの流れ図600のステップ640)が可能である。
【0109】
選択肢A(図6Bの流れ図600のステップ630)
ステップ630は、単独のグリッドマトリクスと事前選択した波形の関数(関数バンク/データベース)との比較を含む。このステップで、1組の事前定義した関数が収集される。これらの選択された関数は分離した波形を最も良く記述する。代表的な正規化波形または代表的な正規化波形セグメントが、その後、その組を構築する波形の数学的積分および/または重み付けに基づき(ステップ622に進むことにより)、見つかる。
【0110】
図14は、図13Aの2値グリッドマトリクス(20×20)上の波形部分セグメント1302およびその適合線1402(1組の事前選択した波形の関数、関数バンク/データベースから)を示す。適合線1402は、1の値(そこを、1302の波形部分セグメントが通る)を受け取るグリッドマトリクスの正方形を最も良く記述する(適合する)。この例の適合線1402は、データベースからの20位で、信頼水準0.84である。
【0111】
選択肢B(図6Bの流れ図600のステップ640)
図6Bの流れ図600のステップ640は、重ね合わせたデジタル化マトリックスを形成するために、デジタル化マトリクスの数学的結合(合計)の実行を含む。この場合も、範囲外の波形が除去され得る。
【0112】
重ね合わせた(合計した)デジタル化マトリクスの形成後(ステップ640)、ステップ642は、最良経路の発見、または言い換えれば、最多数のマトリクスによって取られた(波形を代表する)最も優勢なデジタル経路の発見を含む。このステップは、また、以前は関心を向けられなかった人為現象の除去を促進する。
【0113】
次のステップ644は、重ね合わせた(合計した)デジタル化マトリクスに対する最良適合関数の(1組の事前選択した波形の関数、関数バンク/データベースからの)発見を含む。これは、計算を加速し、データ保存を最小化する。
【0114】
図6Bの流れ図600のステップ640〜640の例が、図15および図16に見られる。
【0115】
図15は、波形部分セグメント(呼吸波形全体の上昇部分)の合計したグリッドマトリクスをN=10(ここで、Nは波形部分セグメントの数)で示す。陰影は、マトリクスの各正方形を通ったグリッド上の波形の数を示す。星印は、最適経路を表す。
【0116】
図16は、元の(正規化された)波形部分セグメント1602および最良適合1604(1組の事前選択した波形の関数、関数バンク/データベースから)を重ねた最適経路を示す。
【0117】
図6Bの流れ図600を再度参照すると、ステップ644の次のステップは、前述の通り、規模の縮小および代表的な正規化波形部分セグメントの結合(該当する場合)を含む、ステップ650である。
【0118】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で開示する方法は、代表的波形の特徴パラメータのみを記憶し、要求に応じて波形を再構築するドライバを使用することにより、大量の履歴および/または多数の波形データの記憶を可能にする。メモリを節約するこの圧縮方法は、代表的波形全体の経時的なスクロール、基線またはイベントへの戻り、最後の「z」分または任意の他の期間もしくは波形数との比較を可能にし得る。
【0119】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で開示する方法のいずれも、代表的波形がどのように優勢であるかを測定し得る、信頼感指数(グラフまたは値)をさらに提供し得る。この信頼水準は、存在した人為現象の数および/または代表的波形を構築するデータの分散に基づき得る。いくつかの実施形態によれば、本明細書で開示する方法のいずれも、1つまたは複数の所与の重要なスケール係数パラメータ(例えば、高さ、幅またはI:E(吸気時間呼気時間)比)の分散(グラフまたは値)の測定をさらに提供し得る。
【0120】
本出願の説明および特許請求の範囲において、語「包含する(comprise)」「含む(include)」「有する(have)」の各々、およびそれらの語形は、必ずしも、その語が関連し得るリスト内の要素に限定されない。
【0121】
本発明は、その実施形態の種々の詳細な説明を用いて記述されているが、それらは例として提供され、本発明の範囲を制限することを意図するものでない。記載されている実施形態は、様々な特徴を包含し得るが、それらの全てが本発明の全ての実施形態で必要とされるわけではない。本発明のいくつかの実施形態は、いくつかの特徴、または特徴の可能な組み合わせのみを利用する。説明されている本発明の実施形態の変形例および説明された実施形態で言及された特徴の異なる組み合わせを包含する本発明の実施形態を、当業者は思い付くであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限され、その特許請求の範囲はかかる変形例および組み合わせの全てを含むように解釈されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1組のCO波形を代表する単一の代表的CO波形を生成する方法であって、
1組の2つ以上のCO波形を取得することと、
前記2つ以上のCO波形の各々に対して、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定することと、
前記2つ以上のCO波形の各々の前記1つまたは複数の形状およびスケール係数に基づき、前記2つ以上のCO波形を代表する形状およびスケール係数の代表的な組を計算することと、
形状およびスケール係数の前記代表的な組に基づき、単一の代表的CO波形を構築することと、を含む方法。
【請求項2】
前記2つ以上のCO波形が波形の部分セグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つまたは複数のスケール係数の前記決定が正規化に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の形状係数が、前記2つ以上のCO波形の各々に対して最良適合関数のパラメータを識別することにより決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
形状係数の前記代表的な組の計算が、前記最良適合関数の前記パラメータの収集および平均化を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記単一の代表的CO波形の構築が、前記平均化されたパラメータおよび規模の縮小に基づく波形の構築を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
1つまたは複数のスケールおよび形状係数を決定する前に、前記2つ以上のCO波形の各々の部分セグメント化をさらに含む方法であって、前記単一の代表的CO波形の構築が前記部分セグメントの結合をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の形状係数の決定が、前記2つ以上のCO波形の各々の道立した2値デジタルマトリクスへの変換を含み、1の値が、前記波形が通る前記デジタルマトリクス内の位置を定義し、前記デジタルマトリクス内のその他の位置がゼロ(0)の値によって定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の形状係数が、前記2つ以上の独立したデジタルマトリクスの各々に対して最良適合関数を識別することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
形状係数の前記代表的な組の計算が、前記2つ以上の独立したデジタルマトリクスを合計することにより合計マトリクスを作成することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
形状係数の前記代表的な組の計算が、前記合計マトリクス内で最高値を有する位置を通る前記デジタル経路を識別することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
形状係数の前記代表的な組の計算が、前記デジタル経路に対して最良適合関数のパラメータを識別することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記単一の代表的CO波形の構築が、前記最良適合関数の前記パラメータおよび規模の縮小に基づき波形を構築することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数のスケールおよび形状係数を決定する前に、前記2つ以上のCO波内の人為現象を識別することと、人為現象を有する波形を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数のスケールおよび形状係数を決定する前に、前記2つ以上のCO波形で特有パターンを識別することと、識別された場合には、前記特有パターンの少なくとも一部を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
単一の代表的波形の構築が、前記除去された特有パターンまたはそのいずれかの表現を重ね合わせることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記単一の代表的CO波形を、周知の病状を示す波形のライブラリと比較することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記単一の代表的CO波形を表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記単一の代表的CO波形が、呼吸周期の所定の位置から始まるのが表示される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記単一の代表的CO波形を、1つまたは複数の以前に生成された代表的CO波形の上に表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記単一の代表的CO波形を、基線波形の上に表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記単一の代表的CO波形を、模範的な波形の上に表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記単一の代表的CO波形を、正常範囲の指標と共に表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
経時的な傾向を示すために、多数の単一の代表的CO波形を表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記多数の単一の代表的CO波形が、前記呼吸周期の同じ所定の位置から始まるのが表示される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
1つの代表的波形が、別の代表的波形が終わる位置から始まるように、前記多数の単一の代表的CO波形が連続して表示される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記単一の代表的CO波形を、事前選択した期間および/または事前選択した波形数毎に更新することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記更新の速度を、測定または計算されたパラメータ、もしくはユーザーからの指示に基づき、動的に変更することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記単一の代表的CO波形の信頼性を示す信頼感指数を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記単一の代表的CO波形に関する情報を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記情報が、線形傾斜、非線形適合パラメータ、呼気終末二酸化炭素(EtCO)およびI:E(吸気時間呼気時間)比から成るグループから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
2つ以上のCO波形の取得が、被験者の呼吸の継続的なモニタリングおよび被験者からのCO波形の収集を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
新しい波形が所定の期間に検出されない場合に無呼吸の疑いの指標を提供することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
CO波形の組を代表する単一の代表的CO波形を生成するための装置であって、
1組の2つ以上のCO波形を取得し、
前記2つ以上のCO波形の各々に対して1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定し、
前記2つ以上のCO波形の各々の前記1つまたは複数の形状およびスケール係数に基づき、前記2つ以上のCO波形を代表する形状およびスケール係数の代表的な組を計算して、
形状およびスケール係数の前記代表的な組に基づき単一の代表的CO波形を構築するように構成された制御論理を備える装置。
【請求項35】
前記2つ以上のCO波形が波形の部分セグメントである、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
1つまたは複数のスケール係数の前記決定が正規化に基づく、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記1つまたは複数の形状係数が、前記2つ以上のCO波形の各々に対して、最良適合関数のパラメータを識別することにより決定される、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
形状係数の前記代表的な組の計算が、前記最良適合関数の前記パラメータの収集および平均化を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記単一の代表的CO波形の構築が、前記平均化されたパラメータおよび規模の縮小に基づく波形の構築を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記制御論理が、前記1つまたは複数のスケールおよび形状係数を決定する前に、前記2つ以上のCO波形の各々を部分セグメント化するようにさらに構成され、前記単一の代表的CO波形の構築が前記部分セグメントの結合をさらに含む、請求項34に記載の装置。
【請求項41】
前記1つまたは複数の形状係数の決定が、前記2つ以上のCO波形の各々を独立した2値デジタルマトリクスに変換することを含み、1の値が、前記波形が通る前記デジタルマトリクス内の位置を定義し、前記デジタルマトリクスの他の位置がゼロ(0)の値で定義される、請求項34に記載の装置。
【請求項42】
前記制御論理が、前記2つ以上の独立したデジタルマトリクスの各々に対して最良適合関数を識別するようにさらに構成された、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
形状係数の前記代表的な組の計算が、前記2つ以上の独立したデジタルマトリクスを合計することによる合計マトリクスの作成を含む、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
形状係数の前記代表的な組の計算が、前記合計マトリクス内で前記最高値を有する位置を通る前記デジタル経路の識別をさらに含む、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
形状係数の前記代表的な組の計算が、前記デジタル経路に対する最良適合関数のパラメータの識別をさらに含む、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記単一の代表的CO波形の構築が、前記最良適合関数の前記パラメータおよび規模の縮小に基づく波形の構築を含む、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記制御論理が、1つまたは複数のスケールおよび形状係数を決定する前に、前記2つ以上のCO波形内の人為現象を識別し、人為現象を有する波形を除去するようにさらに構成されている、請求項41に記載の装置。
【請求項48】
前記制御論理が、1つまたは複数のスケールおよび形状係数を決定する前に、前記2つ以上のCO波形内の特有パターンを識別し、識別された場合には、前記特有パターンの少なくとも一部を除去するようにさらに構成されている、請求項41に記載の装置。
【請求項49】
単一の代表的CO波形の構築が、前記除去された特有パターンまたはそのいずれかの表現を重ね合わせることをさらに含む、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記制御論理が、前記単一の代表的CO波形を、周知の病状を示す波形のライブラリと比較するようにさらに適合されている、請求項41に記載の装置。
【請求項51】
前記代表的波形を表示するように構成された表示装置を備える、請求項41に記載の装置。
【請求項52】
前記単一の代表的CO波形が、前記呼吸周期の所定の位置から始まるのが表示される、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記単一の代表的CO波形が、1つまたは複数の以前に生成された代表的CO波形の上に表示されるように構成された表示装置をさらに備える、請求項41に記載の装置。
【請求項54】
前記単一の代表的CO波形が、基線波形の上に表示されるように構成された表示装置をさらに備える、請求項41に記載の装置。
【請求項55】
前記単一の代表的CO波形が、模範的な波形の上に表示されるように構成された表示装置をさらに備える、請求項41に記載の装置。
【請求項56】
前記単一の代表的CO波形が、前記正常範囲の指標と共に表示されるように構成された表示装置をさらに備える、請求項41に記載の装置。
【請求項57】
経時的な傾向を示すために、多数の単一の代表的CO波形が表示されるように構成された表示装置をさらに備える、請求項41に記載の装置。
【請求項58】
前記多数の単一の代表的CO波形が、前記呼吸周期内の同じ所定の位置から始まるのが表示される、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
ある単一の代表的CO波形が、別の単一の代表的CO波形が終わる位置から始まるように、前記多数の単一の代表的CO波形が連続して表示される、請求項57に記載の装置。
【請求項60】
前記単一の代表的CO波形を、事前選択した期間および/または事前選択した波形数毎に更新するように適合された表示装置をさらに備える、請求項41に記載の装置。
【請求項61】
前記制御論理が、測定または計算されたパラメータ、もしくはユーザーからの指示に基づき、前記更新の速度を動的に変更するようにさらに構成されている、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
前記制御論理が、前記単一の代表的CO波形の前記信頼性を示す信頼感指数を提供するようにさらに構成されている、請求項41に記載の装置。
【請求項63】
被験者の呼吸を連続してモニタリングし、前記被験者から前記CO波形を収集するようにさらに構成されている、請求項41に記載の装置。
【請求項64】
前記制御論理が、新しい波形が所定の期間に検出されない場合に、無呼吸の疑いの指標を提供するようにさらに構成されている、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
1組のCO波形を代表する単一の代表的波形を生成するためのシステムであって、
1組の2つ以上のCO波形を取得し、
前記2つ以上のCO波形の各々に対して、1つまたは複数のスケール係数および1つまたは複数の形状係数を決定し、
前記2つ以上のCO波形の各々の前記1つまたは複数の形状およびスケール係数に基づき、前記2つ以上のCO波形を代表する形状およびスケール係数の代表的な組を計算して、
形状およびスケール係数の前記代表的な組に基づき、単一の代表的CO波形を構築するように適合された制御論理と、
前記単一の代表的CO波形を表示するように構成されたモニターと
を備えるシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−531244(P2012−531244A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516973(P2012−516973)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000630
【国際公開番号】WO2010/150239
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510313005)オリディオン メディカル 1987 リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ORIDION MEDICAL 1987 LTD.
【Fターム(参考)】