波生成装置
水媒質(3)内に設置するための、波(2)を生成するための装置(1)であって、主要な部品として、少なくとも1つの細長い波形生成部材(5)を備えている。波形生成部材(5)は、作動機構(6)によって、一定の深さで、底面(4)に対して接線方向に移動される。このため、波(2)は、波形生成部材(5)上に形成され、波形生成部材(5)にあわせて移動する。波形生成部材(5)は、エスケープ・ゾーンを有し、それ故サーフィンに適している波(2)を生成するという目的のために、変位方向(7)に対して、90°ではない角度(8)をなすように配置されている。装置のパラメータのいくつかは、生成される波(2)の難度を設定するために、調整可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーフィンに適した波を生成するための、波生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水域環境において人工的に生成される波は、それらが一連の要件を満たす場合に限って、サーフィンに適していると考えられる(すなわち、自然の波で使用されるものと同じ技法及び同じサーフボードを使用して、サーフィンすることが可能であるということである)。第1に、波は、比較的に大きなサイズである必要がある(高さの下限は0.5mであり、好ましくは1mより高い)。第2に、波は、固定点に対して移動している必要があり、その移動は、自然の波が海岸線において移動するスピードと同様のスピードで起こらなければならない(ここで、波の流れ(wave current)は−2m/sと2m/sとの間であり、この波のスピード(波の高さに比例する)は、1.5mの高さの波に関して、およそ6m/sである)。第3に、生成された波は、いわゆる「エスケープ効果(escape effect)」を示す必要がある。すなわち、波は、崩壊域(breaking area)と崩壊直前域(area about to break)とを同時に出現させなければならない。これにより、サーファーは、崩壊域から崩壊直前域へと「エスケープ」することによって、サーフィンをすることが可能となる。第4に、生成された波が移動する水域環境のエリアは、無風状態であることが重要である。すなわち、表面上に波もリップルもなく、したがって、人工の波によって生成される隆起もリップルもないことが重要である。第5に、波の間隔は、少なくとも、およそ10〜12秒である必要がある。(これにより、「孤立波」として知られている波が得られる。「孤立波」がその名称で知れわたっているのは、波と波の間で水粒子が静止するため、それに先行する波及びそれに続く波によってほとんど影響されないことによる。)このようになると、サーファーは、自分の準備のための十分な時間をとることが可能となるとともに、必要以上に長く待機することなく、次の波をつかまえることが可能となる。最後に、波は、サーファーがそれに乗ることを可能とするための、最小のスロープを有している必要がある。より緩やかなスロープを有する波に対しては、初心者のサーファーが波乗りし、より高いスロープを有する波(垂直方向を超えて、チューブの形状に崩壊している波であっても)に対しては、熟練したサーファーが波乗りすることになる。
【0003】
サーフィンに適した波生成器は、前述の特性を有する波を生成することが可能であるとともに、以下のような一連の追加的な要件を満たすことが可能でなければならない。それら要件として、エネルギー消費が適度であること、サーファーの必要に応じて異なるタイプの波を生成できること(比較的に容易且つ迅速に、波をあるタイプから他のタイプに変化させられること)、及び、常にサーファーの安全性を保証すること、各種状況のなかでも特に、サーファーが波から落下したときに波生成器の一部によってサーファーがケガを負う可能性がないことを保証すること、等がある。
【0004】
従来の波生成器としては以下のものが挙げられる。まず、圧縮空気型の波生成器システムがある。このシステムでは、水泳用のプール内に沈められた水チャンバ内に、低圧力で大量の空気を注入することによって、チャンバ内の水を水泳用のプール内に向けて上昇させ、波面を形成する。次いで、真空操作型の波生成器システムがある。このシステムでは、水泳用プールからの水がチャンバ内に吸い上げられる。このチャンバは、持ち上げられた後、開放されて、水を水泳用プールに落下させる。次いで、水圧型のシステムがある。このシステムでは、タンクを充填するように水が上方にポンプされ、その後、このタンクがすぐに空にされる。さらに、水泳用のプールの側壁の1つが動くことにより水を押し下げることによって波面が形成される、ある種の機械的なシステムもある。(この機械的なシステムの例については、文献 米国特許出願公開第20040248780A1号に見出すことが可能である)。これら全てのシステムに共通する1つの側面は、これらがサーフィン用の波を生成するために使用されたときに、これらのエネルギー効率がよくないこと、波と波の間の時間間隔が長すぎるか短すぎること(このシステムの固有周波数が、エネルギー消費を低減するために使用されている場合)、とりわけ、水泳用のプールが、波を崩壊させリップル効果を消散させるために適した海岸型の床面を有する必要があるために、これらのシステムが非常に大きな初期投資を必要とすることである。
【0005】
波形生成部材(profile)に対して水を送り出すことによって静的な波が生成される他の機械的な波生成システムが知られている。これらのシステムでは、サーファー及びサーファーのボードが運動量をもたないことを考慮すると、それに必要とされる技法は、動いている自然の波に対し発揮される実際のサーフィン技法とほとんど無関係である(喩えて言えば、静的な波の上でのサーフィンは、コンベヤベルト上で静止した自転車に乗りながらバランスを保とうとすることと同様に感じるであろう)。この技法は、異なるスポーツと見なすことさえ可能なくらいに異なっている。これらの波生成器の例については、米国特許第6716107号、米国特許第5564859号及び米国特許第5171101号に見出すことができる。
【0006】
動的な波形生成部材を有する機械的な波生成システムも知られている。これらは、動的な波形生成部材又は動的な折り畳み式の部材を備えており、これは、波を形成するために、特定の方向に水を押し出すものである。波形生成部材を有する波生成システムのなかで、波形生成部材から離れた崩壊ポイントを有する生成器システム、及び、波形生成部材の近くに崩壊ポイントを有する生成器システムが知られている。
【0007】
波形生成部材から離れた崩壊ポイントを有する生成器システムでは、波形生成部材は、波面を生成するために、ほぼ前方に水を押し出すようになっており、波が波形生成部材から離れるように移動し、比較的に長い間隔で波が崩壊するという特徴を有している。波の崩壊は、水泳用プールの床面、又はシステムを取り付けた台が建てられた岸形状(深さが減少してゆく)に起因して生じる。これらの波形生成部材は、サーフィンに適した形状となるまでに波が特定の距離を移動しなければならない状況で、水を押し出すようになっている。これは、サーファーが、波のスタート地点(波形生成部材の近く)ではサーフィンせず、波形生成部材から一定距離を経た波が崩壊する箇所でサーフィンをすることを意味する。したがって、これらのシステムは、サーファーにとって安全であり、波形生成部材が動くエリアを、サーフィン・エリアから物理的に区切ることさえ可能である。他の留意点として、これらのシステムは、波の移動過程中に波が波形生成部材から離れて高さを失ったときでさえも、波形生成部材から比較的に遠く離れた位置でなおもサーフィンできるような波を生成することが可能でなければならない。したがって、これらのシステムが、サーフィンに適した波の生成に応用された場合には、上述の他のシステムと同様に、そのエネルギー効率はよくない。さらに、これらのシステムは、非常に高額の初期投資を必要とする可能性がある。これは、いくつかの理由のなかでも特に、水泳用のプールが十分に大きくなければならず、且つ、水泳用のプールの床面が、波が正確に崩壊し且つリップルを消散することを可能とする形状(topography)を備えている必要があるということによる。このタイプのシステムの例については、WO0005464及び米国特許第3913332号に見出すことが可能である。これらの特許に見られる波形生成部材は、流体力学的なものではない(すなわち、前進するときに水に対する高い抵抗が生じる)。
【0008】
波形生成部材の近くに崩壊ポイントがある生成器システムは、波形生成部材の上部又は波形生成部材の直前で一定の高さの波が生成され、この波が波形生成部材と同じスピードで前進し波形生成部材から離されない状態で、波形生成部材が水を押し出すという事実に基づいている。これらのシステムでは、波の体積の一部が、波形生成部材それ自体によって与えられている。したがって、サーフィンに適した波を生成するために、他のシステムのように大量の水を移動する必要がない。その結果、これらのシステムは、許容することの可能なエネルギー量しか消費しないので、商用のサーフィン設備としての有益な使用に資する。
【0009】
波形生成部材の近くに崩壊ポイントを有する生成器システムは、表面波形生成システム(surface−profile system)と、深部波形生成システム(deep−profile system)とに区分けすることが可能である。表面波形生成システムでは、波形生成部材は、ほんのわずかにしか沈んでいない。その結果、前記波形生成部材上の水の膜が非常に薄く、水の表面の形状が、実際的に、波形生成部材の形状と同じになっている。したがって、凹型の、チューブ型の波を得るために、同凹部を有する波形生成部材を使用する必要がある。これらのタイプのシステムの例は、文献 米国特許出願公開第2003−0119592A1号、WO03051479A2及び米国特許第4792260号に見出すことが可能である。これらによれば、最小のエネルギー消費によって、及び、波の形状を決定する非常に特殊な形状を有するように設計された表面波形生成部材を使用することによって、理想的なサーフィン用の波が得られる。それに加えて、床面の形状及び深さは、無関係である。しかしながら、それらにおける下方の部分(いくつかの波形生成部材では、それらの上方の部分も同様である)において、提案されている波形生成部材は、その波形生成部材が前進する方向に対して垂直な表面を備えており、これは、剛体の(又は準剛体の)材料から作成されており、非常に速いスピードで動いている。これらの表面は、万が一、サーファーが波形生成部材に落下又は衝突した場合に、サーファーに対して重大な傷害を負わせる可能性がある。
【0010】
深部波形生成システムは、凹型でない波形生成部材を用いて、凹型の(チューブ型の)波を生成することが可能である。すなわち、表面波形生成システムとは異なり、深部波形生成システムでは、波の形状が、波形生成部材の形状ではなく、むしろ、波形生成部材の真下に位置している床面すなわち底面の設計及び配置によって決定される。
【0011】
深部波形生成システムの例は、WO8200771、WO8404695、JP8−126732、JP62−204772、JP52−41392、JP52−30531、JP3−173586及びFR2848120に開示されている。これらにおいては、波を生成するためのシステムは、波を生成するために変形される、柔軟性のある床面上に配置された波形生成部材を使用している。これらは、概念的に言えば非常にシンプルなシステムであるが、実際には形成することが困難なものである。というのも、これらのシステムは、波の重量(1メートルの深さを有する波面は1メートルごとに1トンの重量があるということを忘れてはならない)に耐え、且つ、ユーザを危険にさらすことのない波の形状を確保するために同時に変形することが可能な柔軟性のある床面を構築するための材料及び機構を見つけることが難しいからである。
【0012】
米国特許第3802697号もまた知られており、これも、深部波形生成部材生成器システムに言及している。この生成器システムは、柔軟性のある床ではなく、固定した床を使用しており、具体的には、流体を含んだ変形しないチャネルの形態を有しており、その内部を波形生成部材が移動するようになっている。このシステムは、いくつかの欠点があると考えられる。すなわち、チャネルが存在しているために、崩壊した波の一部における水の乱流が、逃げる場所をもたず、チャネルの全幅を満たすことになるので、エスケープ効果を有する波を生成することができない。また、チャネルの壁が、波のリップルが消散するのにかかる時間を過剰に長くする。さらに、サーファーが、波から落下したときに、チャネルの壁に対して投げ出される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、移動式で、深度波形生成部材型の波生成装置であって、波形生成部材に近い崩壊ポイントを有するとともに、堅固な床面を備えた波生成装置を提供することにある。この構成では、少なくとも以下の要件が満たされている。すなわち、生成される波がサーフィンに適しており、この装置によって、自然の波と同じ性状の波を生成することが可能であり、このために、サーファーが、自分の技法又は自分の装備を変更する必要がない。また、この装置は、低レベルのエネルギー消費を呈する。さらに、この装置は、サーファーに対して最大の安全性を保証する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の目的は、水域環境に設置される波生成装置を提供することである。この波生成装置は、その主要部品として、一定の深さを以て床面に対して接線方向に(すなわち、ほぼ水平方向に)移動する少なくとも1つの水平方向に細長く延びた波形生成部材と、波形生成部材を移動させるように設計された駆動機構とを有している。水域環境及び床面に対して波形生成部材が移動することにより、この波形生成部材上に波が形成され、この波が波形生成部材とともに移動する。この波形生成部材は、実質的に細長く、変位方向に対して90°ではない角度をなしており、これにより、エスケープ・エリアを有し、そのためにサーフィンすることが可能な波を形成する。
【0015】
この波形生成部材は、この波形生成部材の前にある水の大部分を、床面から表面に向けて押し出す。このために、この波形生成部材は、好ましくは、床面から若しくは床面の近傍から、少なくとも表面まで若しくは表面のごく近くまで(、又は水の表面の上に出るまで)の間に配置されている。その結果、水が蓄積されている形状(すなわち、波の形状)は、波形生成部材の形状に依存するのではなく、静止している水の表面に対する床面の深さと、蓄積することの可能な水の高さ(すなわち、波の高さ)との間の関係に依存する。さらに、波の高さは、波形生成部材の高さ、長さ、角度及びスピードに依存する(これについては、後に詳細に説明する)。言い換えれば、波形生成部材は、水を前方及び上方に押し出すことを可能とする任意の形状をとることが可能であり、波の形状は、この波形生成部材の形状に依存することがない。
【0016】
波形生成部材は、任意の形状をとることが可能であるが、特に有利な解決法では、この波形生成部材は、波生成装置が動作しているとき(すなわち、波形生成部材が移動しているとき)にサーファーに向けられるように意図された空間又は凹部を全く有していない。これは、サーファーの安全性を高めるためである。好ましくは、この波形生成部材は、エネルギー消費を減少し、乱流の発生を最小化するために、部分的に又は全体的に流体力学的なものとなっている(前進係数に対する流体力学的抵抗が低い)。特定の実施例では、波形生成部材は、それが移動しているか静止しているかにかかわらず、一定の形状を呈することが可能である(たとえば、準剛体の波形生成部材)。他の実施例では、波形生成部材は膨張式であり、定まった形状をもたず、柔軟性を有しており、このため、それが床面に対して移動している間、この移動によって、波形生成部材は、サーファーに向けられた凹部をもたない流体力学的な形状をとる。この実施例では、円筒形で膨張式の波形生成部材が、製造に関する最も容易且つ最も安価な解決法となる。
【0017】
波の形状は、前述したファクターを好適に組み合わせることによって決定される。すなわち、第1に、静止状態にある水の表面に対する床面の深さ、第2に、波形生成部材が動いているときの、床面に対する波形生成部材の全体的な高さ、第3に、波形生成部材の長さ、第4に、変位方向に対する波形生成部材の角度、第5に、波形生成部材が移動するスピード、である。本発明の装置については、これらのファクターにおける一定の組合せを示すように、設計することも可能である(その結果、一定の形状を有する波を提供することになる)が、この装置は、1つより多くの「値の組合せ」(1つより多くのタイプの波)を示すように作成されていることが好ましい。この最後の実施例に関しては、装置は、より低い又は高い難度を有する波を選択するために、前述したファクターにおける少なくとも1つを設定することが可能にされている。さらに、本発明の装置は、また、波形生成部材が移動する方向を変更できるようにもされており、これにより、1つの移動方向においては、生じた波が、「右崩壊波」として知られているタイプの波(波に乗っているサーファーが、自分の右側に向かって進む)となる一方、反対の移動方向においては、生じた波が、「左崩壊波」として知られているタイプの波(波に乗っているサーファーが、自分の左側に向かって進む)となる。これらの目的及び他の全ての機能に関して、本発明の装置は、一連の補助部材を提示している。これらは、この明細書に添付されている図面において、詳しく記載されている。
【0018】
本発明における他の目的は、特性設定可能なサーフィン用波生成装置を提供することである。これは、この装置がタイプ及びサイズの異なる波(換言すると、さまざまな経験レベルを有するサーファー達に適した波)を生成するように設定できることを意味する。たとえば、変位方向に対して波形生成部材がなす角度は、波の難度を変更できるように設定可能であることが好ましい。(角度を小さくすると、波の難度も低くなる。)
【0019】
本発明の装置は、波形生成部材を備えた従来の波生成装置(波形生成部材の近傍に崩壊ポイントを有する装置と、波形生成部材から離れた崩壊ポイントを有する装置の双方)よりも優れた一連の利点を提供する。
【0020】
波形生成部材から離れた崩壊ポイントを有する装置に関しては、本発明の装置は、波形生成部材の近くに崩壊ポイントを有する他の装置と同様に、波が崩壊する時点及び形態を決定するために水域環境の床面が特定の形状を有することを必要としない。むしろ、波は、前述した波形生成部材のパラメータによって制御される形状で崩壊する。それに加えて、本発明の装置は、有利なことに、サーフィンに適した波を得るためのスペースを小さくすることが可能であり、波形生成部材が細長い形状であるために、この波は、波形生成部材の上部において既にサーフィンに適するようになっている。さらに、波形生成部材が好ましい流体力学的な形状を有しているために、本発明の装置は、よりよいエネルギー効率を有している。
【0021】
また、波形生成部材を用い、この波形生成部材の近くに崩壊ポイントを有するように動作する他の既知の装置との関係で言うと、本発明のサーフィン用波生成装置は、自然の波と同じ性状の波を生成しながら、サーファーのための最大限の安全性を保証することが可能である。これまで説明してきたように、凹部をもたず、好ましくは膨張式の波形生成部材を使用することは、危険性を小さくする。表面波形生成システムとは対照的に、本発明は、剛体又は準剛体の部材(波形生成部材又は基部)も、凸部、移動方向に垂直な面、又は、波の近傍にいるサーファーに対して衝突する可能性のあるエッジを備えた部材も有していない。さらに、本発明の装置は、エネルギー消費を低減するために、流体力学的な波形生成部材を有するように実現可能である。他の利点は、波形生成部材から一定の距離にある場所においても、本装置によって生成された波に乗れることである。このことは、サーファーの安全状況を改善する。波は、一定の距離を隔てていても、床面が波形生成部材に近いということのために、サーフィンに適している。このことは、波が波形生成部材から徐々に離れてゆくときに、波がそのスロープ及び最適なサーフィン形状を維持することを助けている。
【0022】
さらに、本発明は、波形生成部材が、移動のために形成されるチャネルの内部を移動する必要がないという点で、ある種の深部波形生成システムに優る利点を有している。床面に対して移動することだけが必要なのであり、この床面は、水泳用のプールや湖などに配置することが可能である。
【0023】
本発明の詳細については、添付の非限定的な図面に見出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例の斜視図である。
【図2】水によって自動的に膨張可能な波形生成部材を有する、本発明の実施例の側面図である。
【図3】図1に示した本発明の実施例の平面図である。
【図4】図1に示した本発明の実施例の側面図である。
【図5】剛体のバー及び緩いストラップを備えた、膨張式の波形生成部材の側面図である。
【図6】剛体のバー及び堅いストラップを備えた、膨張式の波形生成部材の側面図である。
【図7】二重構造の波形生成部材を備えた本発明の実施例の平面図である。
【図8】ループ状の軌道及び2つの二重構造の波形生成部材を備えた、本発明の実施例の平面図である。
【図9】線状の軌道及び単一の波形生成部材を備えた、本発明の実施例の平面図である。
【図10】その変位方向を逆向きにした状態の、図9に示した波形生成部材を示す図である。
【図11】本発明の装置における設定可能なパラメータを示す図である。
【図12】本発明の装置における設定可能なパラメータを示す図である。
【図13A】上記パラメータを調整した結果として得られる波の1つのタイプを示す図である。
【図13B】上記パラメータを調整した結果として得られる波の1つのタイプを示す図である。
【図13C】上記パラメータを調整した結果として得られる波の1つのタイプを示す図である。
【図13D】上記パラメータを調整した結果として得られる波の1つのタイプを示す図である。
【図14】本発明における他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、水域環境(3)において波(2)を生成するための装置(1)の実施例を示している。この装置(1)は、ほぼ水平の(すなわち、水域環境(3)の表面に対して均一な深さを有している)床面(4)を備えている。この床面(4)は、たとえば、湖若しくは水泳用プールの底面に構築された、実質的に平らなコンクリート・シートから、又は、湖若しくは水泳用プールの底面上における締固め盛土(compacted earth)から、又は、折り畳み式(collapsible)の水泳用プールの内部における金属シートから、形成されている。床面(4)上において、装置(1)は、実質的に細長い波形生成部材(5)を備えている。これは、床面(4)に対して、駆動機構(6)の作用によって、変位方向(7)に移動する。波形生成部材(5)が移動すると、サーフィンに適した波(2)が、その上部に形成される。
【0026】
図に示すように、実質的に細長い波形生成部材(5)は、変位方向(7)に対して、90°ではない角度(8)をなしている。その結果、波形生成部材(5)上に生成される波(2)の波面(波形生成部材(5)に平行となる)は、変位方向(7)に関して前端及び後端を有する。この構成のうち残りの部分(床面の深さ、波形生成部材の高さ、長さ及びスピード)が、波形生成部材(5)上の(好ましくは後部の)箇所、又は波形生成部材(5)の近傍の箇所において波面が崩壊するように設定されたならば、波面の一部(波面の前部)が崩壊せず泡立たない一方で、波面における他の部分(波面の後部)が崩壊して泡に覆われることになる。このタイプの波面は、サーフィンに適した自然の波と非常によく似ている。角度(8)の値は、波(2)の難度に影響を与える。すなわち、この角度が90°により近くなるほど、生成される波に乗ることがより容易になる。したがって、60°の角度(8)は、容易な波を生成する。45°の角度(8)は、平均的な難度を有する波(2)を形成する。そして、35°の角度(8)は、乗ることの困難な波(2)を生成する。したがって、本発明による1つの装置(1)では、さまざまな難度を有する波を得るために、角度(8)を調整することが可能である。
【0027】
床面(4)は開放状態である、すなわち、床面(4)は、これがチャネル形状になるように波形生成部材の後部の近くに側壁を備えているわけではない。その結果、崩壊ポイントにおいて生成される泡は、波形生成部材からその後部を介して抜け出ることが可能である。これにより、泡が波面を満たすことを防止するとともに、波面の前部を泡のない状態に保つことが可能となる。この波面における泡のない部分は、エスケープ・フェイス(escape face)として知られているが、波をサーフィンに適した状態とする。
【0028】
波形生成部材(5)は、この波形生成部材(5)が床面(4)に対して移動したときに、この波形生成部材(5)が変位方向(7)を向いた空間又は凹部を有することなく移動するように、形状設定されている。これは、上記空間及び凹部を示さない堅固な波形生成部材(5)を用いることによって、又は、移動時にそれが上記空間及び凹部を示さないように変形される、任意の形状の柔軟性のある波形生成部材(5)を用いることによって、実現することが可能である。
【0029】
特定の実施例では、波形生成部材(5)は、主に又は完全に、膨張式である。波形生成部材(5)が空気によって満たされた状態での、図1に示した実施例は、製造することが容易であり、最適に操作される。ここでは、波形生成部材(5)は、最初は、円筒形の形状を呈しており、動き始めると、水滴とほぼ同じ形状を得るまで変形する。この解決法は、波形生成部材(5)が軽く、装置(1)のエネルギー消費の低減を可能にするので、有利である。この図はまた、いかにして波形生成部材(5)が流体力学的な後部形状(18)によって補完され、それにより、より容易に水を排出すること、装置(1)の消耗を低減すること、並びに、次の波の前に水が再び静止状態になるまでに要する時間を短縮することが可能になるかを示している。他の実施例については、図2に見出すことが可能である。この図は、水で満たされた波形生成部材(5)を示している。波形生成部材(5)は、それが変位方向(7)に移動した結果として、吸水域(10)を介して波形生成部材(5)の内部に水が進入したときに、膨らむことになる。この場合、波形生成部材(5)は、好ましくは、膨張したときに飛行機又はパラグライダーの翼の形状をとるように、設計されている。吸水域(10)は、ネットなどの形状をとることが可能である。図2に示した解決法は、波形生成部材(5)を自動的に膨らませることが可能であり、これにより、装置(1)をより容易に設置及び維持することが可能になるので有利である。
【0030】
図1に示すように、波形生成部材(5)は、三角部分(13)に取り付けられている。この取り付けは、この部分(13)における3つの箇所がトラクター部品(14)及び2つのガイド部品(15)に接続され、それにより床面(4)に対して波形生成部材(5)を引っ張って案内するようにされた状態で、行われている。これらの部品(14、15)は、駆動機構(6)の一部を形成している。この駆動機構(6)は、トラクター部品(14)を牽引するケーブル(19)などの、他の部品を備えている。横方向のガイド部品(15)は、好ましくは床面(4)の真下に隠されており、波形生成部材(5)が変位方向(7)に対して90°以外の角度をなすことに起因して生じる横方向の力を吸収する。トラクター部品(14)も、好ましくは隠されており、波形生成部材(5)の駆動システムを構成している。部分(13)の存在によって、トラクター部品(14)に加えられる力が長手方向だけに向くことを保証している。
【0031】
図3及び図4は、図1の実施例を示す2つの図である。これらの図は、矢印(22)に従って、波形生成部材(5)が垂直方向に傾くことが可能であることを示している。波形生成部材(5)が傾くことが可能であるために、波形生成部材(5)は、垂直方向の力をガイド部品(15)にほとんど伝達することなく、垂直方向の釣り合いをとっている。波形生成部材(5)は、静止しているとき、その浮上能力のために、水から浮上している。波形生成部材(5)は、動いているときは、3つの個別の力、すなわち、波形生成部材(5)にかかる水の重量と、波形生成部材(5)の浮上能力によって生じる垂直方向の押し力と、及び、タン(11)及び波形生成部材(5)の真下を通過する水の圧力と、に起因して、平衡状態に達する。したがって、波の重量は、ガイド部品(15)よりも、むしろ、床面(4)によって支えられる。その結果、波形生成部材(5)が傾くことが可能であるということにより、次の2つの基本的な利点がもたらされる。第1に、波の重量を支えられるほど十分に強いガイド部品(15)を製造する必要がないということ(1.5メートルの波は、1メートルの長さ当たり5トンの重さとなり得ることに留意されたい)、第2に、波形生成部材(5)を支えることの可能な、ガイド部品(15)の上部の構成を構築する必要がないということである。
【0032】
これらの図に示した実施例では、装置(1)は、タン(11)を備えている。このタン(11)は、波形生成部材(5)が移動しているときでも、それが静止しているときでも、この波形生成部材(5)が非常に大きい自由度(振幅)で垂直方向に傾くことを可能とするものである。具体的には、図からわかるように、波形生成部材(5)は、ほぼ長方形のタン(11)における一方の側面(12)に対して接続されており、駆動機構(6)は、上記タン(11)における反対側の側面(9)に作用している。すなわち、これらは、ガイド部品(15)及びトラクター部品(14)を引っ張っている(後者は部分(13)による)。さらに、タン(11)は、ガイド部品(15)が垂直方向の力に耐える必要がないということを保証している。それは、さらに、サーファーがバランスを失ったときに、サーファーが落下することの可能なエリアを形成している。このエリアは、タン(11)の張力によって上記落下をやわらげ、且つ、サーファーが床面(4)に衝突することを防止するものである。
【0033】
図3から図6までに示すように、波形生成部材(5)は、この波形生成部材(5)が湾曲することを防止するために、剛体のバー(16)をその内部に備えることが可能である。さらに、この剛体のバー(16)は、調整可能な位置に配されており、これにより、波形生成部材(5)の形状を変更することを可能にしている。剛体のバー(16)の位置は、たとえば、ストラップ(17)によって調整することが可能である。図5及び図6に示すように、ストラップ(17)を緩めることにより、移動したときにより平らな(したがって、より低い)形状を有する波形生成部材(5)が形成され、これにより、あまり急勾配に傾斜していない波を形成することになる。しかしながら、ストラップ(17)がきつく締められている場合には、波形生成部材(5)は、移動したときに変形し、より高く立ち上がり、これにより、より急勾配に傾斜した波を形成することになる。
【0034】
図4は、波形生成部材(5)及び床面(4)上を移動する他の部材が、安全層(20)によって適宜覆われている様子を示している。この層の目的は、サーファーが挟まれる危険性を防止することにある。
【0035】
図7は、本発明における他の実施例を示している。この実施例では、装置(1)は、二重構造の波形生成部材を備えている。二重構造の波形生成部材とは、すなわち、右側崩壊波及び左側崩壊波を同時に生成することを目的として、変位方向(7)に対して異なる角度で配置された上述のタイプの2つの波形生成部材(5’、5’’)によって形成された波形生成部材である。
【0036】
駆動機構(6)に関しては、本発明は、特定の機構に限定されるわけではなく、床面(4)に対して波形生成部材(5)を移動させることの可能な、任意のタイプの機構を使用することを想定している。図8に示されている特定の実施例では、波形生成部材(5)が、閉ループとなっている経路をたどるようになっている。これは、駆動機構(6)が、1つの方向に波形生成部材(5)を移動させることが可能となっていればよいことを意味する(ただし、それは、適宜、両方向に動作するものであってもよい)。他の実施例では、図9に示すように、駆動機構(6)は、波形生成部材(5)を、2つの変位方向、すなわち、第1の変位方向(7’)、及び、この第1の方向(7’)とは反対向きの第2の方向(7’’)に移動させることが可能である。この特定の事例では、波形生成部材(5)は、線形の軌道をたどっており、この軌道の端部に到達したときに、ケーブル(19)に接続されているフック又は他の同様の部材から離脱して、別の方向の軌道で再度動き始めるように前記フックに再び接続する能力を有している。この事例で、波形生成部材(5)は、上述した形で、その変位方向が変わるたびに旋回する。図9は、また、この解決法に代えて、モーター又は駆動システムが設けられ、波形生成部材(5)が軌道の端部に到達したときに、回転の方向を逆向きにすることが可能である場合にも、実現可能である。
【0037】
駆動機構(6)が、波形生成部材(5)の変位の方向(7’、7’’)を変更することが可能である場合には、図10に示されている特に有利な解決法においては、波形生成部材(5)は、旋回して、対称的に反対側となる位置をとり、これによりその上に波(2)を継続的に生成することが可能となるように設計されている。その結果、この図からわかるように、波形生成部材(5)が第1の変位方向(7)を向いて移動している初期状態から、それが反対の変位方向(7’)に変化した場合、波形生成部材(5)は、タン(11)の側壁(9)上で旋回し、反対方向に波を生成するために適切に配置される。
【0038】
本発明の装置(1)では、図11及び図12に示されている、以下の特性のうちの少なくとも1つを、生成される波(2)の形状を変更するという目的のために、調整することが可能である。
(a)波形生成部材(5)が移動しているときの、波形生成部材(5)の高さ(B)(波形生成部材については、膨張式又はそれに類似のタイプとすることが可能であり、その形状は、それが動いているか否かに応じて変化し、また、動いている際のそのサイズも、重要なファクターとなる、ということに留意されたい)。なお、波形生成部材(5)は、動いているときに、非常に小さな距離だけ床面(4)から浮いているために、波形生成部材(5)の高さ(B)は、床面(4)に対する波形生成部材(5)の高さ(B’)と事実上同じである、ということに留意されたい。
(b)水が静止状態にあるときの、波形生成部材(5)の高さ(B)と、水域環境(3)の表面に対する床面(4)の深さ(A)との比(パラメータAは変化する可能性がないので、上記の関係は、通常、パラメータBを変えることによって変更される)。
(c)波形生成部材(5)の長さ(D)。
(d)波形生成部材(5)が移動するスピード。
(e)波形生成部材(5)が変位方向(7)に対してなす角度(8)。
【0039】
好ましくは、本発明の装置(1)は、以下のように構成又は構築される。
− 波形生成部材(5)の長さ(D)が、波形生成部材(5)の高さ(B)よりも、少なくとも4倍大きい。
− 波形生成部材(5)の高さ(B)と床面(4)の深さ(A)との間の比率が、1/2と3との間の範囲にある。
− 波形生成部材(5)のスピードが、波形生成部材(5)の高さ(B)と等しい高さを有する自然の波のスピードと、ほぼ等しい。
− 角度(8)は、90°と35°との間にある。
【0040】
このようにして、波(2)の高さ(C)が波形生成部材(5)の高さ(B)とほぼ等しくなっている装置(1)が得られる。以下に示す表は、波形生成部材(5)の高さ(B)と床面(4)の深さ(A)との間の比に従って得られる波(2)のタイプを詳しく示している。
【0041】
【表1】
【0042】
図12に示すように、タン(11)は、浸透性のストリップ(21)とともに配置することが可能である。この浸透性のストリップ(21)は、たとえばネットによって形成されており、異なる表面エリアを形成するために、開閉可能となっている。開いている場合に前記浸透性のストリップ(21)は、波形生成部材(5)が動いているとき、上方に向けて押し出す水が少なくされた状態で、波形生成部材(5)の真下に水の一部が進入することを防止する。波(2)の形状は、浸透性のストリップ(21)を開けたり閉じたりすることによって、変化させて、これにより、サーファーの必要に応じて、スロープの勾配を低くしたり高くしたりすることが可能である。その結果、浸透性のストリップ(21)における開放の程度を変化させることによって、上述したB/A比率を変えることによって得られる効果と同様の効果を得ることが可能となる。この代替手段は、おそらく、より容易に実行することが可能である。
【0043】
本発明は、上記の図に示した実施例とは異なる実施例を想定している。それら実施例の1つにおいては、波形生成部材(5)が、図に示した水平軸を中心としてではなく、垂直軸を中心として旋回することが可能である。他の実施例では、波形生成部材(5)は、床面(4)に対して回転することの可能なディスク上に配置されている。これにより、角度(8)を、装置(1)の構成を変更する必要なく調整することが可能である。
【0044】
さらに、波形生成部材(5)の流体力学的な性能及び他の特性を改善することを目的として、必要に応じて、図示していない他の部材を、図示した波形生成部材(5)に加えることも可能である。
【0045】
図14は、本発明による装置における、さらなる実施例を示している。この実施例では、開放された床面(4)が、20°よりも小さく傾斜した、連続的な岸(23)を備えている。この岸(23)は、より高く且つより強い波が形成されるようにするものであり、この波は、上から見ると、波形生成部材(5)よりも大きく成長している。このため、サーファーは、波形生成部材(5)の真上で波(2)に乗る必要がなく、波(2)中で波形生成部材(5)から外れた部分に乗ることが可能となる。この岸(23)は、水中に沈めることも可能であり、また、水から出すことも可能である。
【0046】
波中でサーフィンに適した部分(2)が波形生成部材(5)の真上に位置していない場合は、安全性を高めるために、本発明の装置は、波形生成部材(5)とサーフィンに適した部分(2)との間に、物的なバリア(図示せず)をさらに備えることも可能である。この物的なバリアは、コルクのチェーン(cork chain)、網、又は、サーファーが波形生成部材の進路に進入することを阻止する他の任意の部品とすることが可能である。
【0047】
さらに、図14に示した実施例において示した波形生成部材(5)は、二重構造になっている。このため、波(2)は二重構造になる一方、トラクター部品(14)は1つだけ必要とされ、また、ガイド部品(15)は不要となる。タン(11)もまた不要である。これは、トラクター(14)が牽引を行う中央前面頂部(central front vertex)に部分(13)が接続されており、部分(13)は、タン(11)を必要とすることなく垂直方向に旋回できるためである。
【0048】
図の構成に代えて、波形生成部材(5)の全体が、たとえば、飛行機の翼の形状、又は、水滴を半分にした形状などの、流体力学的な形状を有することも可能である。
【0049】
好ましくは、床面(4)は、特定の材料によって覆われている、又は、滑るように構築されるとともに、サーファーが沈むことをそれが阻止するように構築され、それにより、波から落下したサーファーが波形生成部材(5)に衝突することがないようにされる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーフィンに適した波を生成するための、波生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水域環境において人工的に生成される波は、それらが一連の要件を満たす場合に限って、サーフィンに適していると考えられる(すなわち、自然の波で使用されるものと同じ技法及び同じサーフボードを使用して、サーフィンすることが可能であるということである)。第1に、波は、比較的に大きなサイズである必要がある(高さの下限は0.5mであり、好ましくは1mより高い)。第2に、波は、固定点に対して移動している必要があり、その移動は、自然の波が海岸線において移動するスピードと同様のスピードで起こらなければならない(ここで、波の流れ(wave current)は−2m/sと2m/sとの間であり、この波のスピード(波の高さに比例する)は、1.5mの高さの波に関して、およそ6m/sである)。第3に、生成された波は、いわゆる「エスケープ効果(escape effect)」を示す必要がある。すなわち、波は、崩壊域(breaking area)と崩壊直前域(area about to break)とを同時に出現させなければならない。これにより、サーファーは、崩壊域から崩壊直前域へと「エスケープ」することによって、サーフィンをすることが可能となる。第4に、生成された波が移動する水域環境のエリアは、無風状態であることが重要である。すなわち、表面上に波もリップルもなく、したがって、人工の波によって生成される隆起もリップルもないことが重要である。第5に、波の間隔は、少なくとも、およそ10〜12秒である必要がある。(これにより、「孤立波」として知られている波が得られる。「孤立波」がその名称で知れわたっているのは、波と波の間で水粒子が静止するため、それに先行する波及びそれに続く波によってほとんど影響されないことによる。)このようになると、サーファーは、自分の準備のための十分な時間をとることが可能となるとともに、必要以上に長く待機することなく、次の波をつかまえることが可能となる。最後に、波は、サーファーがそれに乗ることを可能とするための、最小のスロープを有している必要がある。より緩やかなスロープを有する波に対しては、初心者のサーファーが波乗りし、より高いスロープを有する波(垂直方向を超えて、チューブの形状に崩壊している波であっても)に対しては、熟練したサーファーが波乗りすることになる。
【0003】
サーフィンに適した波生成器は、前述の特性を有する波を生成することが可能であるとともに、以下のような一連の追加的な要件を満たすことが可能でなければならない。それら要件として、エネルギー消費が適度であること、サーファーの必要に応じて異なるタイプの波を生成できること(比較的に容易且つ迅速に、波をあるタイプから他のタイプに変化させられること)、及び、常にサーファーの安全性を保証すること、各種状況のなかでも特に、サーファーが波から落下したときに波生成器の一部によってサーファーがケガを負う可能性がないことを保証すること、等がある。
【0004】
従来の波生成器としては以下のものが挙げられる。まず、圧縮空気型の波生成器システムがある。このシステムでは、水泳用のプール内に沈められた水チャンバ内に、低圧力で大量の空気を注入することによって、チャンバ内の水を水泳用のプール内に向けて上昇させ、波面を形成する。次いで、真空操作型の波生成器システムがある。このシステムでは、水泳用プールからの水がチャンバ内に吸い上げられる。このチャンバは、持ち上げられた後、開放されて、水を水泳用プールに落下させる。次いで、水圧型のシステムがある。このシステムでは、タンクを充填するように水が上方にポンプされ、その後、このタンクがすぐに空にされる。さらに、水泳用のプールの側壁の1つが動くことにより水を押し下げることによって波面が形成される、ある種の機械的なシステムもある。(この機械的なシステムの例については、文献 米国特許出願公開第20040248780A1号に見出すことが可能である)。これら全てのシステムに共通する1つの側面は、これらがサーフィン用の波を生成するために使用されたときに、これらのエネルギー効率がよくないこと、波と波の間の時間間隔が長すぎるか短すぎること(このシステムの固有周波数が、エネルギー消費を低減するために使用されている場合)、とりわけ、水泳用のプールが、波を崩壊させリップル効果を消散させるために適した海岸型の床面を有する必要があるために、これらのシステムが非常に大きな初期投資を必要とすることである。
【0005】
波形生成部材(profile)に対して水を送り出すことによって静的な波が生成される他の機械的な波生成システムが知られている。これらのシステムでは、サーファー及びサーファーのボードが運動量をもたないことを考慮すると、それに必要とされる技法は、動いている自然の波に対し発揮される実際のサーフィン技法とほとんど無関係である(喩えて言えば、静的な波の上でのサーフィンは、コンベヤベルト上で静止した自転車に乗りながらバランスを保とうとすることと同様に感じるであろう)。この技法は、異なるスポーツと見なすことさえ可能なくらいに異なっている。これらの波生成器の例については、米国特許第6716107号、米国特許第5564859号及び米国特許第5171101号に見出すことができる。
【0006】
動的な波形生成部材を有する機械的な波生成システムも知られている。これらは、動的な波形生成部材又は動的な折り畳み式の部材を備えており、これは、波を形成するために、特定の方向に水を押し出すものである。波形生成部材を有する波生成システムのなかで、波形生成部材から離れた崩壊ポイントを有する生成器システム、及び、波形生成部材の近くに崩壊ポイントを有する生成器システムが知られている。
【0007】
波形生成部材から離れた崩壊ポイントを有する生成器システムでは、波形生成部材は、波面を生成するために、ほぼ前方に水を押し出すようになっており、波が波形生成部材から離れるように移動し、比較的に長い間隔で波が崩壊するという特徴を有している。波の崩壊は、水泳用プールの床面、又はシステムを取り付けた台が建てられた岸形状(深さが減少してゆく)に起因して生じる。これらの波形生成部材は、サーフィンに適した形状となるまでに波が特定の距離を移動しなければならない状況で、水を押し出すようになっている。これは、サーファーが、波のスタート地点(波形生成部材の近く)ではサーフィンせず、波形生成部材から一定距離を経た波が崩壊する箇所でサーフィンをすることを意味する。したがって、これらのシステムは、サーファーにとって安全であり、波形生成部材が動くエリアを、サーフィン・エリアから物理的に区切ることさえ可能である。他の留意点として、これらのシステムは、波の移動過程中に波が波形生成部材から離れて高さを失ったときでさえも、波形生成部材から比較的に遠く離れた位置でなおもサーフィンできるような波を生成することが可能でなければならない。したがって、これらのシステムが、サーフィンに適した波の生成に応用された場合には、上述の他のシステムと同様に、そのエネルギー効率はよくない。さらに、これらのシステムは、非常に高額の初期投資を必要とする可能性がある。これは、いくつかの理由のなかでも特に、水泳用のプールが十分に大きくなければならず、且つ、水泳用のプールの床面が、波が正確に崩壊し且つリップルを消散することを可能とする形状(topography)を備えている必要があるということによる。このタイプのシステムの例については、WO0005464及び米国特許第3913332号に見出すことが可能である。これらの特許に見られる波形生成部材は、流体力学的なものではない(すなわち、前進するときに水に対する高い抵抗が生じる)。
【0008】
波形生成部材の近くに崩壊ポイントがある生成器システムは、波形生成部材の上部又は波形生成部材の直前で一定の高さの波が生成され、この波が波形生成部材と同じスピードで前進し波形生成部材から離されない状態で、波形生成部材が水を押し出すという事実に基づいている。これらのシステムでは、波の体積の一部が、波形生成部材それ自体によって与えられている。したがって、サーフィンに適した波を生成するために、他のシステムのように大量の水を移動する必要がない。その結果、これらのシステムは、許容することの可能なエネルギー量しか消費しないので、商用のサーフィン設備としての有益な使用に資する。
【0009】
波形生成部材の近くに崩壊ポイントを有する生成器システムは、表面波形生成システム(surface−profile system)と、深部波形生成システム(deep−profile system)とに区分けすることが可能である。表面波形生成システムでは、波形生成部材は、ほんのわずかにしか沈んでいない。その結果、前記波形生成部材上の水の膜が非常に薄く、水の表面の形状が、実際的に、波形生成部材の形状と同じになっている。したがって、凹型の、チューブ型の波を得るために、同凹部を有する波形生成部材を使用する必要がある。これらのタイプのシステムの例は、文献 米国特許出願公開第2003−0119592A1号、WO03051479A2及び米国特許第4792260号に見出すことが可能である。これらによれば、最小のエネルギー消費によって、及び、波の形状を決定する非常に特殊な形状を有するように設計された表面波形生成部材を使用することによって、理想的なサーフィン用の波が得られる。それに加えて、床面の形状及び深さは、無関係である。しかしながら、それらにおける下方の部分(いくつかの波形生成部材では、それらの上方の部分も同様である)において、提案されている波形生成部材は、その波形生成部材が前進する方向に対して垂直な表面を備えており、これは、剛体の(又は準剛体の)材料から作成されており、非常に速いスピードで動いている。これらの表面は、万が一、サーファーが波形生成部材に落下又は衝突した場合に、サーファーに対して重大な傷害を負わせる可能性がある。
【0010】
深部波形生成システムは、凹型でない波形生成部材を用いて、凹型の(チューブ型の)波を生成することが可能である。すなわち、表面波形生成システムとは異なり、深部波形生成システムでは、波の形状が、波形生成部材の形状ではなく、むしろ、波形生成部材の真下に位置している床面すなわち底面の設計及び配置によって決定される。
【0011】
深部波形生成システムの例は、WO8200771、WO8404695、JP8−126732、JP62−204772、JP52−41392、JP52−30531、JP3−173586及びFR2848120に開示されている。これらにおいては、波を生成するためのシステムは、波を生成するために変形される、柔軟性のある床面上に配置された波形生成部材を使用している。これらは、概念的に言えば非常にシンプルなシステムであるが、実際には形成することが困難なものである。というのも、これらのシステムは、波の重量(1メートルの深さを有する波面は1メートルごとに1トンの重量があるということを忘れてはならない)に耐え、且つ、ユーザを危険にさらすことのない波の形状を確保するために同時に変形することが可能な柔軟性のある床面を構築するための材料及び機構を見つけることが難しいからである。
【0012】
米国特許第3802697号もまた知られており、これも、深部波形生成部材生成器システムに言及している。この生成器システムは、柔軟性のある床ではなく、固定した床を使用しており、具体的には、流体を含んだ変形しないチャネルの形態を有しており、その内部を波形生成部材が移動するようになっている。このシステムは、いくつかの欠点があると考えられる。すなわち、チャネルが存在しているために、崩壊した波の一部における水の乱流が、逃げる場所をもたず、チャネルの全幅を満たすことになるので、エスケープ効果を有する波を生成することができない。また、チャネルの壁が、波のリップルが消散するのにかかる時間を過剰に長くする。さらに、サーファーが、波から落下したときに、チャネルの壁に対して投げ出される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、移動式で、深度波形生成部材型の波生成装置であって、波形生成部材に近い崩壊ポイントを有するとともに、堅固な床面を備えた波生成装置を提供することにある。この構成では、少なくとも以下の要件が満たされている。すなわち、生成される波がサーフィンに適しており、この装置によって、自然の波と同じ性状の波を生成することが可能であり、このために、サーファーが、自分の技法又は自分の装備を変更する必要がない。また、この装置は、低レベルのエネルギー消費を呈する。さらに、この装置は、サーファーに対して最大の安全性を保証する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の目的は、水域環境に設置される波生成装置を提供することである。この波生成装置は、その主要部品として、一定の深さを以て床面に対して接線方向に(すなわち、ほぼ水平方向に)移動する少なくとも1つの水平方向に細長く延びた波形生成部材と、波形生成部材を移動させるように設計された駆動機構とを有している。水域環境及び床面に対して波形生成部材が移動することにより、この波形生成部材上に波が形成され、この波が波形生成部材とともに移動する。この波形生成部材は、実質的に細長く、変位方向に対して90°ではない角度をなしており、これにより、エスケープ・エリアを有し、そのためにサーフィンすることが可能な波を形成する。
【0015】
この波形生成部材は、この波形生成部材の前にある水の大部分を、床面から表面に向けて押し出す。このために、この波形生成部材は、好ましくは、床面から若しくは床面の近傍から、少なくとも表面まで若しくは表面のごく近くまで(、又は水の表面の上に出るまで)の間に配置されている。その結果、水が蓄積されている形状(すなわち、波の形状)は、波形生成部材の形状に依存するのではなく、静止している水の表面に対する床面の深さと、蓄積することの可能な水の高さ(すなわち、波の高さ)との間の関係に依存する。さらに、波の高さは、波形生成部材の高さ、長さ、角度及びスピードに依存する(これについては、後に詳細に説明する)。言い換えれば、波形生成部材は、水を前方及び上方に押し出すことを可能とする任意の形状をとることが可能であり、波の形状は、この波形生成部材の形状に依存することがない。
【0016】
波形生成部材は、任意の形状をとることが可能であるが、特に有利な解決法では、この波形生成部材は、波生成装置が動作しているとき(すなわち、波形生成部材が移動しているとき)にサーファーに向けられるように意図された空間又は凹部を全く有していない。これは、サーファーの安全性を高めるためである。好ましくは、この波形生成部材は、エネルギー消費を減少し、乱流の発生を最小化するために、部分的に又は全体的に流体力学的なものとなっている(前進係数に対する流体力学的抵抗が低い)。特定の実施例では、波形生成部材は、それが移動しているか静止しているかにかかわらず、一定の形状を呈することが可能である(たとえば、準剛体の波形生成部材)。他の実施例では、波形生成部材は膨張式であり、定まった形状をもたず、柔軟性を有しており、このため、それが床面に対して移動している間、この移動によって、波形生成部材は、サーファーに向けられた凹部をもたない流体力学的な形状をとる。この実施例では、円筒形で膨張式の波形生成部材が、製造に関する最も容易且つ最も安価な解決法となる。
【0017】
波の形状は、前述したファクターを好適に組み合わせることによって決定される。すなわち、第1に、静止状態にある水の表面に対する床面の深さ、第2に、波形生成部材が動いているときの、床面に対する波形生成部材の全体的な高さ、第3に、波形生成部材の長さ、第4に、変位方向に対する波形生成部材の角度、第5に、波形生成部材が移動するスピード、である。本発明の装置については、これらのファクターにおける一定の組合せを示すように、設計することも可能である(その結果、一定の形状を有する波を提供することになる)が、この装置は、1つより多くの「値の組合せ」(1つより多くのタイプの波)を示すように作成されていることが好ましい。この最後の実施例に関しては、装置は、より低い又は高い難度を有する波を選択するために、前述したファクターにおける少なくとも1つを設定することが可能にされている。さらに、本発明の装置は、また、波形生成部材が移動する方向を変更できるようにもされており、これにより、1つの移動方向においては、生じた波が、「右崩壊波」として知られているタイプの波(波に乗っているサーファーが、自分の右側に向かって進む)となる一方、反対の移動方向においては、生じた波が、「左崩壊波」として知られているタイプの波(波に乗っているサーファーが、自分の左側に向かって進む)となる。これらの目的及び他の全ての機能に関して、本発明の装置は、一連の補助部材を提示している。これらは、この明細書に添付されている図面において、詳しく記載されている。
【0018】
本発明における他の目的は、特性設定可能なサーフィン用波生成装置を提供することである。これは、この装置がタイプ及びサイズの異なる波(換言すると、さまざまな経験レベルを有するサーファー達に適した波)を生成するように設定できることを意味する。たとえば、変位方向に対して波形生成部材がなす角度は、波の難度を変更できるように設定可能であることが好ましい。(角度を小さくすると、波の難度も低くなる。)
【0019】
本発明の装置は、波形生成部材を備えた従来の波生成装置(波形生成部材の近傍に崩壊ポイントを有する装置と、波形生成部材から離れた崩壊ポイントを有する装置の双方)よりも優れた一連の利点を提供する。
【0020】
波形生成部材から離れた崩壊ポイントを有する装置に関しては、本発明の装置は、波形生成部材の近くに崩壊ポイントを有する他の装置と同様に、波が崩壊する時点及び形態を決定するために水域環境の床面が特定の形状を有することを必要としない。むしろ、波は、前述した波形生成部材のパラメータによって制御される形状で崩壊する。それに加えて、本発明の装置は、有利なことに、サーフィンに適した波を得るためのスペースを小さくすることが可能であり、波形生成部材が細長い形状であるために、この波は、波形生成部材の上部において既にサーフィンに適するようになっている。さらに、波形生成部材が好ましい流体力学的な形状を有しているために、本発明の装置は、よりよいエネルギー効率を有している。
【0021】
また、波形生成部材を用い、この波形生成部材の近くに崩壊ポイントを有するように動作する他の既知の装置との関係で言うと、本発明のサーフィン用波生成装置は、自然の波と同じ性状の波を生成しながら、サーファーのための最大限の安全性を保証することが可能である。これまで説明してきたように、凹部をもたず、好ましくは膨張式の波形生成部材を使用することは、危険性を小さくする。表面波形生成システムとは対照的に、本発明は、剛体又は準剛体の部材(波形生成部材又は基部)も、凸部、移動方向に垂直な面、又は、波の近傍にいるサーファーに対して衝突する可能性のあるエッジを備えた部材も有していない。さらに、本発明の装置は、エネルギー消費を低減するために、流体力学的な波形生成部材を有するように実現可能である。他の利点は、波形生成部材から一定の距離にある場所においても、本装置によって生成された波に乗れることである。このことは、サーファーの安全状況を改善する。波は、一定の距離を隔てていても、床面が波形生成部材に近いということのために、サーフィンに適している。このことは、波が波形生成部材から徐々に離れてゆくときに、波がそのスロープ及び最適なサーフィン形状を維持することを助けている。
【0022】
さらに、本発明は、波形生成部材が、移動のために形成されるチャネルの内部を移動する必要がないという点で、ある種の深部波形生成システムに優る利点を有している。床面に対して移動することだけが必要なのであり、この床面は、水泳用のプールや湖などに配置することが可能である。
【0023】
本発明の詳細については、添付の非限定的な図面に見出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例の斜視図である。
【図2】水によって自動的に膨張可能な波形生成部材を有する、本発明の実施例の側面図である。
【図3】図1に示した本発明の実施例の平面図である。
【図4】図1に示した本発明の実施例の側面図である。
【図5】剛体のバー及び緩いストラップを備えた、膨張式の波形生成部材の側面図である。
【図6】剛体のバー及び堅いストラップを備えた、膨張式の波形生成部材の側面図である。
【図7】二重構造の波形生成部材を備えた本発明の実施例の平面図である。
【図8】ループ状の軌道及び2つの二重構造の波形生成部材を備えた、本発明の実施例の平面図である。
【図9】線状の軌道及び単一の波形生成部材を備えた、本発明の実施例の平面図である。
【図10】その変位方向を逆向きにした状態の、図9に示した波形生成部材を示す図である。
【図11】本発明の装置における設定可能なパラメータを示す図である。
【図12】本発明の装置における設定可能なパラメータを示す図である。
【図13A】上記パラメータを調整した結果として得られる波の1つのタイプを示す図である。
【図13B】上記パラメータを調整した結果として得られる波の1つのタイプを示す図である。
【図13C】上記パラメータを調整した結果として得られる波の1つのタイプを示す図である。
【図13D】上記パラメータを調整した結果として得られる波の1つのタイプを示す図である。
【図14】本発明における他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、水域環境(3)において波(2)を生成するための装置(1)の実施例を示している。この装置(1)は、ほぼ水平の(すなわち、水域環境(3)の表面に対して均一な深さを有している)床面(4)を備えている。この床面(4)は、たとえば、湖若しくは水泳用プールの底面に構築された、実質的に平らなコンクリート・シートから、又は、湖若しくは水泳用プールの底面上における締固め盛土(compacted earth)から、又は、折り畳み式(collapsible)の水泳用プールの内部における金属シートから、形成されている。床面(4)上において、装置(1)は、実質的に細長い波形生成部材(5)を備えている。これは、床面(4)に対して、駆動機構(6)の作用によって、変位方向(7)に移動する。波形生成部材(5)が移動すると、サーフィンに適した波(2)が、その上部に形成される。
【0026】
図に示すように、実質的に細長い波形生成部材(5)は、変位方向(7)に対して、90°ではない角度(8)をなしている。その結果、波形生成部材(5)上に生成される波(2)の波面(波形生成部材(5)に平行となる)は、変位方向(7)に関して前端及び後端を有する。この構成のうち残りの部分(床面の深さ、波形生成部材の高さ、長さ及びスピード)が、波形生成部材(5)上の(好ましくは後部の)箇所、又は波形生成部材(5)の近傍の箇所において波面が崩壊するように設定されたならば、波面の一部(波面の前部)が崩壊せず泡立たない一方で、波面における他の部分(波面の後部)が崩壊して泡に覆われることになる。このタイプの波面は、サーフィンに適した自然の波と非常によく似ている。角度(8)の値は、波(2)の難度に影響を与える。すなわち、この角度が90°により近くなるほど、生成される波に乗ることがより容易になる。したがって、60°の角度(8)は、容易な波を生成する。45°の角度(8)は、平均的な難度を有する波(2)を形成する。そして、35°の角度(8)は、乗ることの困難な波(2)を生成する。したがって、本発明による1つの装置(1)では、さまざまな難度を有する波を得るために、角度(8)を調整することが可能である。
【0027】
床面(4)は開放状態である、すなわち、床面(4)は、これがチャネル形状になるように波形生成部材の後部の近くに側壁を備えているわけではない。その結果、崩壊ポイントにおいて生成される泡は、波形生成部材からその後部を介して抜け出ることが可能である。これにより、泡が波面を満たすことを防止するとともに、波面の前部を泡のない状態に保つことが可能となる。この波面における泡のない部分は、エスケープ・フェイス(escape face)として知られているが、波をサーフィンに適した状態とする。
【0028】
波形生成部材(5)は、この波形生成部材(5)が床面(4)に対して移動したときに、この波形生成部材(5)が変位方向(7)を向いた空間又は凹部を有することなく移動するように、形状設定されている。これは、上記空間及び凹部を示さない堅固な波形生成部材(5)を用いることによって、又は、移動時にそれが上記空間及び凹部を示さないように変形される、任意の形状の柔軟性のある波形生成部材(5)を用いることによって、実現することが可能である。
【0029】
特定の実施例では、波形生成部材(5)は、主に又は完全に、膨張式である。波形生成部材(5)が空気によって満たされた状態での、図1に示した実施例は、製造することが容易であり、最適に操作される。ここでは、波形生成部材(5)は、最初は、円筒形の形状を呈しており、動き始めると、水滴とほぼ同じ形状を得るまで変形する。この解決法は、波形生成部材(5)が軽く、装置(1)のエネルギー消費の低減を可能にするので、有利である。この図はまた、いかにして波形生成部材(5)が流体力学的な後部形状(18)によって補完され、それにより、より容易に水を排出すること、装置(1)の消耗を低減すること、並びに、次の波の前に水が再び静止状態になるまでに要する時間を短縮することが可能になるかを示している。他の実施例については、図2に見出すことが可能である。この図は、水で満たされた波形生成部材(5)を示している。波形生成部材(5)は、それが変位方向(7)に移動した結果として、吸水域(10)を介して波形生成部材(5)の内部に水が進入したときに、膨らむことになる。この場合、波形生成部材(5)は、好ましくは、膨張したときに飛行機又はパラグライダーの翼の形状をとるように、設計されている。吸水域(10)は、ネットなどの形状をとることが可能である。図2に示した解決法は、波形生成部材(5)を自動的に膨らませることが可能であり、これにより、装置(1)をより容易に設置及び維持することが可能になるので有利である。
【0030】
図1に示すように、波形生成部材(5)は、三角部分(13)に取り付けられている。この取り付けは、この部分(13)における3つの箇所がトラクター部品(14)及び2つのガイド部品(15)に接続され、それにより床面(4)に対して波形生成部材(5)を引っ張って案内するようにされた状態で、行われている。これらの部品(14、15)は、駆動機構(6)の一部を形成している。この駆動機構(6)は、トラクター部品(14)を牽引するケーブル(19)などの、他の部品を備えている。横方向のガイド部品(15)は、好ましくは床面(4)の真下に隠されており、波形生成部材(5)が変位方向(7)に対して90°以外の角度をなすことに起因して生じる横方向の力を吸収する。トラクター部品(14)も、好ましくは隠されており、波形生成部材(5)の駆動システムを構成している。部分(13)の存在によって、トラクター部品(14)に加えられる力が長手方向だけに向くことを保証している。
【0031】
図3及び図4は、図1の実施例を示す2つの図である。これらの図は、矢印(22)に従って、波形生成部材(5)が垂直方向に傾くことが可能であることを示している。波形生成部材(5)が傾くことが可能であるために、波形生成部材(5)は、垂直方向の力をガイド部品(15)にほとんど伝達することなく、垂直方向の釣り合いをとっている。波形生成部材(5)は、静止しているとき、その浮上能力のために、水から浮上している。波形生成部材(5)は、動いているときは、3つの個別の力、すなわち、波形生成部材(5)にかかる水の重量と、波形生成部材(5)の浮上能力によって生じる垂直方向の押し力と、及び、タン(11)及び波形生成部材(5)の真下を通過する水の圧力と、に起因して、平衡状態に達する。したがって、波の重量は、ガイド部品(15)よりも、むしろ、床面(4)によって支えられる。その結果、波形生成部材(5)が傾くことが可能であるということにより、次の2つの基本的な利点がもたらされる。第1に、波の重量を支えられるほど十分に強いガイド部品(15)を製造する必要がないということ(1.5メートルの波は、1メートルの長さ当たり5トンの重さとなり得ることに留意されたい)、第2に、波形生成部材(5)を支えることの可能な、ガイド部品(15)の上部の構成を構築する必要がないということである。
【0032】
これらの図に示した実施例では、装置(1)は、タン(11)を備えている。このタン(11)は、波形生成部材(5)が移動しているときでも、それが静止しているときでも、この波形生成部材(5)が非常に大きい自由度(振幅)で垂直方向に傾くことを可能とするものである。具体的には、図からわかるように、波形生成部材(5)は、ほぼ長方形のタン(11)における一方の側面(12)に対して接続されており、駆動機構(6)は、上記タン(11)における反対側の側面(9)に作用している。すなわち、これらは、ガイド部品(15)及びトラクター部品(14)を引っ張っている(後者は部分(13)による)。さらに、タン(11)は、ガイド部品(15)が垂直方向の力に耐える必要がないということを保証している。それは、さらに、サーファーがバランスを失ったときに、サーファーが落下することの可能なエリアを形成している。このエリアは、タン(11)の張力によって上記落下をやわらげ、且つ、サーファーが床面(4)に衝突することを防止するものである。
【0033】
図3から図6までに示すように、波形生成部材(5)は、この波形生成部材(5)が湾曲することを防止するために、剛体のバー(16)をその内部に備えることが可能である。さらに、この剛体のバー(16)は、調整可能な位置に配されており、これにより、波形生成部材(5)の形状を変更することを可能にしている。剛体のバー(16)の位置は、たとえば、ストラップ(17)によって調整することが可能である。図5及び図6に示すように、ストラップ(17)を緩めることにより、移動したときにより平らな(したがって、より低い)形状を有する波形生成部材(5)が形成され、これにより、あまり急勾配に傾斜していない波を形成することになる。しかしながら、ストラップ(17)がきつく締められている場合には、波形生成部材(5)は、移動したときに変形し、より高く立ち上がり、これにより、より急勾配に傾斜した波を形成することになる。
【0034】
図4は、波形生成部材(5)及び床面(4)上を移動する他の部材が、安全層(20)によって適宜覆われている様子を示している。この層の目的は、サーファーが挟まれる危険性を防止することにある。
【0035】
図7は、本発明における他の実施例を示している。この実施例では、装置(1)は、二重構造の波形生成部材を備えている。二重構造の波形生成部材とは、すなわち、右側崩壊波及び左側崩壊波を同時に生成することを目的として、変位方向(7)に対して異なる角度で配置された上述のタイプの2つの波形生成部材(5’、5’’)によって形成された波形生成部材である。
【0036】
駆動機構(6)に関しては、本発明は、特定の機構に限定されるわけではなく、床面(4)に対して波形生成部材(5)を移動させることの可能な、任意のタイプの機構を使用することを想定している。図8に示されている特定の実施例では、波形生成部材(5)が、閉ループとなっている経路をたどるようになっている。これは、駆動機構(6)が、1つの方向に波形生成部材(5)を移動させることが可能となっていればよいことを意味する(ただし、それは、適宜、両方向に動作するものであってもよい)。他の実施例では、図9に示すように、駆動機構(6)は、波形生成部材(5)を、2つの変位方向、すなわち、第1の変位方向(7’)、及び、この第1の方向(7’)とは反対向きの第2の方向(7’’)に移動させることが可能である。この特定の事例では、波形生成部材(5)は、線形の軌道をたどっており、この軌道の端部に到達したときに、ケーブル(19)に接続されているフック又は他の同様の部材から離脱して、別の方向の軌道で再度動き始めるように前記フックに再び接続する能力を有している。この事例で、波形生成部材(5)は、上述した形で、その変位方向が変わるたびに旋回する。図9は、また、この解決法に代えて、モーター又は駆動システムが設けられ、波形生成部材(5)が軌道の端部に到達したときに、回転の方向を逆向きにすることが可能である場合にも、実現可能である。
【0037】
駆動機構(6)が、波形生成部材(5)の変位の方向(7’、7’’)を変更することが可能である場合には、図10に示されている特に有利な解決法においては、波形生成部材(5)は、旋回して、対称的に反対側となる位置をとり、これによりその上に波(2)を継続的に生成することが可能となるように設計されている。その結果、この図からわかるように、波形生成部材(5)が第1の変位方向(7)を向いて移動している初期状態から、それが反対の変位方向(7’)に変化した場合、波形生成部材(5)は、タン(11)の側壁(9)上で旋回し、反対方向に波を生成するために適切に配置される。
【0038】
本発明の装置(1)では、図11及び図12に示されている、以下の特性のうちの少なくとも1つを、生成される波(2)の形状を変更するという目的のために、調整することが可能である。
(a)波形生成部材(5)が移動しているときの、波形生成部材(5)の高さ(B)(波形生成部材については、膨張式又はそれに類似のタイプとすることが可能であり、その形状は、それが動いているか否かに応じて変化し、また、動いている際のそのサイズも、重要なファクターとなる、ということに留意されたい)。なお、波形生成部材(5)は、動いているときに、非常に小さな距離だけ床面(4)から浮いているために、波形生成部材(5)の高さ(B)は、床面(4)に対する波形生成部材(5)の高さ(B’)と事実上同じである、ということに留意されたい。
(b)水が静止状態にあるときの、波形生成部材(5)の高さ(B)と、水域環境(3)の表面に対する床面(4)の深さ(A)との比(パラメータAは変化する可能性がないので、上記の関係は、通常、パラメータBを変えることによって変更される)。
(c)波形生成部材(5)の長さ(D)。
(d)波形生成部材(5)が移動するスピード。
(e)波形生成部材(5)が変位方向(7)に対してなす角度(8)。
【0039】
好ましくは、本発明の装置(1)は、以下のように構成又は構築される。
− 波形生成部材(5)の長さ(D)が、波形生成部材(5)の高さ(B)よりも、少なくとも4倍大きい。
− 波形生成部材(5)の高さ(B)と床面(4)の深さ(A)との間の比率が、1/2と3との間の範囲にある。
− 波形生成部材(5)のスピードが、波形生成部材(5)の高さ(B)と等しい高さを有する自然の波のスピードと、ほぼ等しい。
− 角度(8)は、90°と35°との間にある。
【0040】
このようにして、波(2)の高さ(C)が波形生成部材(5)の高さ(B)とほぼ等しくなっている装置(1)が得られる。以下に示す表は、波形生成部材(5)の高さ(B)と床面(4)の深さ(A)との間の比に従って得られる波(2)のタイプを詳しく示している。
【0041】
【表1】
【0042】
図12に示すように、タン(11)は、浸透性のストリップ(21)とともに配置することが可能である。この浸透性のストリップ(21)は、たとえばネットによって形成されており、異なる表面エリアを形成するために、開閉可能となっている。開いている場合に前記浸透性のストリップ(21)は、波形生成部材(5)が動いているとき、上方に向けて押し出す水が少なくされた状態で、波形生成部材(5)の真下に水の一部が進入することを防止する。波(2)の形状は、浸透性のストリップ(21)を開けたり閉じたりすることによって、変化させて、これにより、サーファーの必要に応じて、スロープの勾配を低くしたり高くしたりすることが可能である。その結果、浸透性のストリップ(21)における開放の程度を変化させることによって、上述したB/A比率を変えることによって得られる効果と同様の効果を得ることが可能となる。この代替手段は、おそらく、より容易に実行することが可能である。
【0043】
本発明は、上記の図に示した実施例とは異なる実施例を想定している。それら実施例の1つにおいては、波形生成部材(5)が、図に示した水平軸を中心としてではなく、垂直軸を中心として旋回することが可能である。他の実施例では、波形生成部材(5)は、床面(4)に対して回転することの可能なディスク上に配置されている。これにより、角度(8)を、装置(1)の構成を変更する必要なく調整することが可能である。
【0044】
さらに、波形生成部材(5)の流体力学的な性能及び他の特性を改善することを目的として、必要に応じて、図示していない他の部材を、図示した波形生成部材(5)に加えることも可能である。
【0045】
図14は、本発明による装置における、さらなる実施例を示している。この実施例では、開放された床面(4)が、20°よりも小さく傾斜した、連続的な岸(23)を備えている。この岸(23)は、より高く且つより強い波が形成されるようにするものであり、この波は、上から見ると、波形生成部材(5)よりも大きく成長している。このため、サーファーは、波形生成部材(5)の真上で波(2)に乗る必要がなく、波(2)中で波形生成部材(5)から外れた部分に乗ることが可能となる。この岸(23)は、水中に沈めることも可能であり、また、水から出すことも可能である。
【0046】
波中でサーフィンに適した部分(2)が波形生成部材(5)の真上に位置していない場合は、安全性を高めるために、本発明の装置は、波形生成部材(5)とサーフィンに適した部分(2)との間に、物的なバリア(図示せず)をさらに備えることも可能である。この物的なバリアは、コルクのチェーン(cork chain)、網、又は、サーファーが波形生成部材の進路に進入することを阻止する他の任意の部品とすることが可能である。
【0047】
さらに、図14に示した実施例において示した波形生成部材(5)は、二重構造になっている。このため、波(2)は二重構造になる一方、トラクター部品(14)は1つだけ必要とされ、また、ガイド部品(15)は不要となる。タン(11)もまた不要である。これは、トラクター(14)が牽引を行う中央前面頂部(central front vertex)に部分(13)が接続されており、部分(13)は、タン(11)を必要とすることなく垂直方向に旋回できるためである。
【0048】
図の構成に代えて、波形生成部材(5)の全体が、たとえば、飛行機の翼の形状、又は、水滴を半分にした形状などの、流体力学的な形状を有することも可能である。
【0049】
好ましくは、床面(4)は、特定の材料によって覆われている、又は、滑るように構築されるとともに、サーファーが沈むことをそれが阻止するように構築され、それにより、波から落下したサーファーが波形生成部材(5)に衝突することがないようにされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域環境(3)において波(2)を生成するための波生成装置(1)において、
前記水域環境(3)の表面に対して実質的に均一な深さを有する、開放された床面(4)と、
前記床面(4)上にあり、前記床面(4)にほぼ隣接しつつ、前記床面(4)から一定の距離をとっている、少なくとも1つの実質的に細長い波形生成部材(5)であって、この波形生成部材(5)の高さ(B)と前記床面(4)の深さ(A)との比が、1/2と3との間にある、波形生成部材(5)と、
前記波形生成部材(5)上に波(2)が形成されるように、ほぼ水平の変位方向(7)に向けて前記床面(4)に対して前記波形生成部材(5)を移動させる駆動機構(6)と、を備えており、
前記波形生成部材(5)が、前記変位方向(7)に対して、90°以外の角度(8)をなしていることを特徴とする、波生成装置(1)。
【請求項2】
前記波形生成部材(5)の高さ(B)と前記床面(4)の深さ(A)との比が、1/2と1との間にある、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項3】
前記波形生成部材(5)の高さ(B)と前記床面(4)の深さ(A)との比が、1と3との間にある、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項4】
前記波形生成部材(5)が、実質的に柔軟性を有しており、前記装置(1)が移動しているときに変形することが可能である、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項5】
前記波形生成部材(5)が、実質的に膨張式である、請求項4に記載の波生成装置(1)。
【請求項6】
前記波形生成部材(5)が、空気によって膨張される、請求項5に記載の波生成装置(1)。
【請求項7】
前記波形生成部材(5)が、前記床面(4)に対して移動するときに水によって満たされ、前記波形生成部材(5)が吸水域(10)を備えている、請求項5に記載の波生成装置(1)。
【請求項8】
前記波形生成部材(5)が、その内部における調整可能な位置に剛体のバー(16)を備えており、これにより、前記波形生成部材(5)の形状を変更することが可能である、請求項4に記載の波生成装置(1)。
【請求項9】
前記波形生成部材(5)が部分(13)に接続されており、この部分(13)に、前記床面(4)に対して前記波形生成部材(5)を引っ張るトラクター部品(14)が接続されている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項10】
前記波形生成部材(5)が、三角部分(13)に取り付けられており、前記三角部分(13)の3つの頂点が、前記床面(4)に対して前記波形生成部材(5)を引っ張り案内するための、トラクター部品(14)及び2つのガイド部品(15)に接続されている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項11】
前記波形生成部材(5)が垂直方向に傾くことが可能となるように、前記波形生成部材(5)が、前記駆動機構(6)に接続されている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項12】
前記波形生成部材(5)が、ほぼ長方形のタン(11)の一方の側面(12)に接続されており、前記タン(11)の反対側の側面には前記駆動機構(6)が作用し、それにより、前記波形生成部材(5)が垂直方向に傾くことが可能となる、請求項11に記載の波生成装置(1)。
【請求項13】
前記タン(11)が、調整可能な表面を有する浸透性のストリップ(21)を備えている、請求項12に記載の波生成装置(1)。
【請求項14】
前記波形生成部材(5)が、流体力学的な後部形状(18)を備えている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項15】
前記波形生成部材(5)の全体が、流体力学的な形状を有している、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項16】
前記駆動機構(6)が、2つの変位方向、すなわち、第1の変位方向(7)、及び、この第1の変位方向(7)とは反対向きの第2の方向(7)に向けて前記波形生成部材(5)を移動させることが可能である、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項17】
前記駆動機構(6)が、前記波形生成部材(5)の移動方向を前記第1の変位方向(7)から前記第2の方向に変えたときに、又はその逆に変えたときに、前記波形生成部材(5)の上に波(2)が継続して生成されるように、前記波形生成部材(5)が旋回するようになっている、請求項16に記載の波生成装置(1)。
【請求項18】
前記波形生成部材(5)が移動しているときの前記波形生成部材(5)の高さ(B)、
水が静止状態にあるときの、前記波形生成部材(5)の高さ(B)と、前記水域環境(3)の表面に対する前記床面(4)の深さ(A)との比、
前記波形生成部材(5)の長さ(D)、
前記波形生成部材(5)が移動するスピード、及び、
前記波形生成部材(5)が前記変位方向(7)に対してなす前記角度(8)、
という特性のうち少なくとも1つを調整することを可能にする、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項19】
前記開放された床面(4)が、20°よりも小さく傾斜している岸(23)を備えている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項20】
前記波形生成部材(5)と前記波(2)におけるサーフィンに適した部分との間に、物的なバリアをさらに備えている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項1】
水域環境(3)において波(2)を生成するための波生成装置(1)において、
前記水域環境(3)の表面に対して実質的に均一な深さを有する、開放された床面(4)と、
前記床面(4)上にあり、前記床面(4)にほぼ隣接しつつ、前記床面(4)から一定の距離をとっている、少なくとも1つの実質的に細長い波形生成部材(5)であって、この波形生成部材(5)の高さ(B)と前記床面(4)の深さ(A)との比が、1/2と3との間にある、波形生成部材(5)と、
前記波形生成部材(5)上に波(2)が形成されるように、ほぼ水平の変位方向(7)に向けて前記床面(4)に対して前記波形生成部材(5)を移動させる駆動機構(6)と、を備えており、
前記波形生成部材(5)が、前記変位方向(7)に対して、90°以外の角度(8)をなしていることを特徴とする、波生成装置(1)。
【請求項2】
前記波形生成部材(5)の高さ(B)と前記床面(4)の深さ(A)との比が、1/2と1との間にある、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項3】
前記波形生成部材(5)の高さ(B)と前記床面(4)の深さ(A)との比が、1と3との間にある、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項4】
前記波形生成部材(5)が、実質的に柔軟性を有しており、前記装置(1)が移動しているときに変形することが可能である、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項5】
前記波形生成部材(5)が、実質的に膨張式である、請求項4に記載の波生成装置(1)。
【請求項6】
前記波形生成部材(5)が、空気によって膨張される、請求項5に記載の波生成装置(1)。
【請求項7】
前記波形生成部材(5)が、前記床面(4)に対して移動するときに水によって満たされ、前記波形生成部材(5)が吸水域(10)を備えている、請求項5に記載の波生成装置(1)。
【請求項8】
前記波形生成部材(5)が、その内部における調整可能な位置に剛体のバー(16)を備えており、これにより、前記波形生成部材(5)の形状を変更することが可能である、請求項4に記載の波生成装置(1)。
【請求項9】
前記波形生成部材(5)が部分(13)に接続されており、この部分(13)に、前記床面(4)に対して前記波形生成部材(5)を引っ張るトラクター部品(14)が接続されている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項10】
前記波形生成部材(5)が、三角部分(13)に取り付けられており、前記三角部分(13)の3つの頂点が、前記床面(4)に対して前記波形生成部材(5)を引っ張り案内するための、トラクター部品(14)及び2つのガイド部品(15)に接続されている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項11】
前記波形生成部材(5)が垂直方向に傾くことが可能となるように、前記波形生成部材(5)が、前記駆動機構(6)に接続されている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項12】
前記波形生成部材(5)が、ほぼ長方形のタン(11)の一方の側面(12)に接続されており、前記タン(11)の反対側の側面には前記駆動機構(6)が作用し、それにより、前記波形生成部材(5)が垂直方向に傾くことが可能となる、請求項11に記載の波生成装置(1)。
【請求項13】
前記タン(11)が、調整可能な表面を有する浸透性のストリップ(21)を備えている、請求項12に記載の波生成装置(1)。
【請求項14】
前記波形生成部材(5)が、流体力学的な後部形状(18)を備えている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項15】
前記波形生成部材(5)の全体が、流体力学的な形状を有している、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項16】
前記駆動機構(6)が、2つの変位方向、すなわち、第1の変位方向(7)、及び、この第1の変位方向(7)とは反対向きの第2の方向(7)に向けて前記波形生成部材(5)を移動させることが可能である、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項17】
前記駆動機構(6)が、前記波形生成部材(5)の移動方向を前記第1の変位方向(7)から前記第2の方向に変えたときに、又はその逆に変えたときに、前記波形生成部材(5)の上に波(2)が継続して生成されるように、前記波形生成部材(5)が旋回するようになっている、請求項16に記載の波生成装置(1)。
【請求項18】
前記波形生成部材(5)が移動しているときの前記波形生成部材(5)の高さ(B)、
水が静止状態にあるときの、前記波形生成部材(5)の高さ(B)と、前記水域環境(3)の表面に対する前記床面(4)の深さ(A)との比、
前記波形生成部材(5)の長さ(D)、
前記波形生成部材(5)が移動するスピード、及び、
前記波形生成部材(5)が前記変位方向(7)に対してなす前記角度(8)、
という特性のうち少なくとも1つを調整することを可能にする、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項19】
前記開放された床面(4)が、20°よりも小さく傾斜している岸(23)を備えている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【請求項20】
前記波形生成部材(5)と前記波(2)におけるサーフィンに適した部分との間に、物的なバリアをさらに備えている、請求項1に記載の波生成装置(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【公表番号】特表2010−518931(P2010−518931A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550298(P2009−550298)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/ES2008/000089
【国際公開番号】WO2008/102035
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509236243)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/ES2008/000089
【国際公開番号】WO2008/102035
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509236243)
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