注視点方向検出装置を有する光学装置
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、注視点方向(視線方向)を光電的に検出して動作の制御を行う様にした光学装置に関し、殊に光学的に定まる眼球を光軸と注視点方向との偏差を補正し、動作性能を大幅に改善したものである。
〔従来の技術〕
近年、電子回路やCCD等光電変換デバイスの急速な進歩、低廉化に伴ない、カメラの自動化、インテリジエント化が展開されている。たとえば自動焦点制御のカメラは、銀塩カメラ、ビデオカメラの別なく広く普及しており、また自動露出機能はほとんどのカメラが装備するに至っている。
この種の自動機能はカメラの操作性を大幅に改善し、高度な撮影技術を要せずに誰でも一定レベルの写真撮影を可能にした点で大きな進歩であったといえる。
しかし、一方では自動機能を取り入れたが故に自動機能のハード的制約から作画性を制限される場合があり、抜本的な改善が望まれている。その最も大きな問題は自動焦点調節にしても、自動露出制御にしても画面の中心部に重点的に機能する様に構成されているので、主被写体が画面中央に配置されるフレーミングが多くなることである。特に焦点合せは、主被写体にはっきりと狙いとつけなければならず、画面全体の平均という様なものは無意味であるから、自動焦点検出装置が作動する位置に主被写体を画面構成することが写真撮影の必須要件となる。
この様な作画上の制約を緩和するために通例、フオーカスロツクと呼ばれる方法が用いられている。この方法はシヤツターの半押し状態で、画面中央に主被写体を置いて自動焦点調節を行ない、合焦状態に到達すると、カメラは焦点調節機構を自動的にロツクする。次に撮影者は、シヤツターの半押し状態を継続しながら、主被写体の位置を画面内の適当な場所に変更し、フレーミングをとり直し、得心の行ったところでシヤツターをもう一度押し込みレリーズする。
類似の方法は自動露出制御の場合でも、特に被写体輝度差が激しく主被写体の最重要部分をスポツト的に測光する時に使われ、AEロツク等と呼ばれている。通例カメラは画面中心部を重点化した測光感度分布を持っており、特にスポツト的な測光モードでは画面中心部にしか感度がない。従って、最も重要な被写体部分を画面中央の測光機能で測光したのち、その測光値をシヤツターの半押し状態でメモリーしたまま、構図をとり直すのである。
この様な方法にはいくつかの基本的問題があり、作画性を保証した十分なカメラの自動機能とはなり得ていないのが実情である。その問題点を以下に列挙する。
(1)シヤツターの半押し状態を継続しながら、構図を検討するためには指先の感触の慣れが必要である。大多数のカメラ使用者はあまり頻繁にカメラを操作するほど撮影しないので、この様な習熟を要するカメラ操作は十分に使いこなすことが出来ない。
(2)被写体が被写界の奥行き方向に移動している場合には、上記操作は不可能である。自動焦点調節し、シヤツターの半押し状態で構図をとり直している間にピント位置が変化してしまうことからである。また奥行き方向ではなく、横方向にカメラと等距離を維持しつつ移動する被写体の場合でも、上記の様な段階的な操作を正確に行うには高い習熟が必要である。
(3)人間や動物等の表情、ポーズが変化する被写体では、シヤツターチヤンスは一瞬であるから、上記の様な方法では撮影者の意図する写真を撮ることができない。
(4)三脚等のよりカメラを固定した状態では、シヤツターの半押しをしながらアングル調整するという操作は事実上困難である。
以上の理由により中央の測距視野、あるいはスポツト測光機能に作画性を制約されない、新しい試みが開始されている。自動焦点調節について言うと、その主たる対策は複数個の自動焦点検出点が画面内の広い領域に存在する焦点検出装置、もしくは広い焦点検出視野の一部分を選択的に指定し、その一部分に含まれる被写体情報により自動焦点調節するカメラである。両者はともに公知であり、たとえば前者の焦点検出装置は、第18図に示した様に従来知られる焦点検出装置を、1個のカメラ内に複数個配置しても良い。後者の測距視野一部選択指定は通例、自動焦点カメラに搭載されているマイクロプロセツサの機能を用いれば容易にソフトウエアにより実現できる。
簡単に図の説明をすると第18図に於いて予定焦点面における画面フレーム141に5個の測距視野142a,142b,…,142eがあり、各視野に対して公知の焦点検出系一系列が構成されている。たとえば図で左端の測距視野142aの矩形の視野マスク開口を通過した結像光束は一体成形された複合フイールドレンズ143の左端部レンズにより変更され一対の二次結像レンズ144a1,144a2に入射する。二次結像レンズ前面には、不図示の絞りが置かれているものとする。144a1を通過した光束は光電素子(以下、光電変換素子をこの様に表記する)列145a1上に視野145aの光像を再結像する。一方、144a2を通過した光束は、光電素子列145a2上に視野142aの光像を再結像する。先述した2次結像レンズ近傍の不図示の絞りは、フイールドレンズにより撮影レンズ射出瞳に略結像される結果、上記光学系により、いわゆる瞳分割焦点検出装置が構成されている。これを5個符設し、一体製造可能な部材を構造的に一体化したものが第18図の系である。
この様な自動焦点検出系のハード構成に於て、測距点の決定方法は基本的には、次の2通りの考え方がとりうる。
(1)撮影者がカメラにピント合わせの対象とすべき測距点位置を指定する。指定入力手段はスイツチやダイヤルが既知である。
(2)カメラが測距可能な各点で被写体情報を解析し、または更に進んで測距を実行し、あらかじめ定められた基準に従い自動的に測距点を決定する。例えば、最も至近側に位置する被写体にピント合わせするものが考えられる。
上記方法はいづれも問題点があり、十分に改善された技術とはなっていない。上記(1)の撮影者がカメラに位置決定する方法は確実であるが、入力に手間がかかり自動焦点調節の本来の簡便性を損なう。通常の手持ち撮影では、位置入力をしてから自動焦点調節を行なうより、上述のフオーカスロツクの手法を用いた方が手早く撮影できる。従って、三脚使用時や、動体撮影等、測距点の位置指定が本質的なメリツトを持つ場合以外は使いづらい。
一方、カメラが焦点合わせする位置を決める方法は、撮影者の作画意図を反映しないことが多い。至近側選択の考え方はひとつの動作状態として選択することはあり得るが、この様な決め方でカメラの多様な使われ方をカバーすることは困難と思われる。
以上の理由により、撮影者の意志をマニユアル入力する考え方は確実性はあるものの煩雑になり易くまたカメラによる自動方式は画一性が強過ぎる。
わずかに、撮影者の視線をカメラが感じ測距点を決定するという着想が特開昭61−61135号等に開示されているが、視線検出の方法については説明がなされていない。
一方、眼球の光軸は、眼球の角膜や水晶体の各面を球面とみなせばその球心を結ぶことで決定できるが、実際に物を観察しているときには、網膜上の黄斑と前眼部節点を結ぶ線(視線)の延長上を注視していることになり、視軸との間に多少の偏りがある。そのため、視線方向を細かく測定し、この測定結果に基づいて精密な動作制御を行おうとする誤動作を起す懸念がある。
なお、視線方向を光電的に検出して装置の動作制御に利用する方法は、自動焦点調節装置を備えたカメラ以外に種々の観察装置の焦点調節や方向調節に適用できる。
その他、最近のカメラは自動焦点調節や自動露出機能以外の様々な機能を制御するマニユアル入力手段を有し、カメラ・ハウジングの各所にスイツチ類,表示類が分散配置されている。しかしながら、カメラを使用する頻度の少ないユーザーの場合、操作方法を忘れてしまい、カメラに設けられている機能の一部しか使われないという状態も多い様である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、誰でも確実,簡便に所望の作動を実施でき、しかも視線方向を正確に検出して精密な作動性能を可動するものである。
そしてこの目的を達成するための本発明は、物体を観察するためのファインダー光学系と、前記ファインダー光学系を覗いている眼の眼球光軸の方向を検出する検出手段と、前記検出手段の出力に前記眼球光軸の方向と前記眼の注視方向の前記偏差に当たる補正を行なって前記注視方向の情報を形成する手段を有するものである。
更に眼球光軸方向と注視点方向との偏差が個人個人によって相違することに鑑み、観察系の視野内に注視対象を表示し、注視対象の注視している観察者眼の眼球光軸方向と注視対象の方向の偏差を計測し、補正手段の補正値を決定する。
〔実施例〕
以下、図面を使って本発明の実施例を説明するものとし、第1図は一眼レフレツクスカメラに本発明を適用した第1の実施例を示している。尚、本発明は一眼レフレツクスカメラの他、撮影光路とフアインダー光路が別設されたカメラにも適用可能である。
第1図で、1は対物レンズで、便宜上、1枚レンズで示したが、実際は多数枚のレンズから構成されていることは周知の通りである。2は主ミラーで、観察状態と撮影状態に応じて撮影光路へ斜設されあるいは退去される。3はサブミラーで、主ミラー2を透過した光束を図示しないカメラ・ボデイの下方へ向けて反射させる。4aはシヤツターで、後述の感光部材の受光面を所定時間露光するのに使われる。4bは対物レンズ1内に配された絞り、4cはフオーカシングのために対物レンズ1を光軸方向へ移動させる駆動機構である。
5は感光部材で、銀塩フイルムあるいはCCDやMOS型等の固体撮像素子あるいはビテイコン等の撮像管である。但し、電子的撮像デバイスに電子的シヤツター機能を持たせれば、シヤツターは省略できる。
6aは焦点検出装置で、例えば第2(a)に描く様に、フイールドレンズ20、多孔視野マスク21、正レンズを2枚並設した2次結像レンズ22、そして光電素子列の対が複数配列した受光デバイスが配される。第1図ではフイールドレンズはサブミラー3に近い対物レンズ1の予定結像面位置に設けられている。第2図(a)の構成の詳しい説明は特願昭62−315490号に述べられているが、まず多孔視野マスク21のスリツト21a,21b,21cは夫々測距視野を決定する。2次結像レンズ22は、例えばスリツト21aで画定された被写界像の一部を光電素子列の対23aと23b上に再結像する。またスリツト21bあるいはスリツト21cで画定された部分は光電素子列の対23cと23d又は23eと21f上に再結像される。光電素子列の各対の受光情報は電気信号として読み出され、相関演算が施されて、各スリツトで決定された測距視野内の被写体に対する対物レンズの焦点調節状態を表わす値が算出される。尚、焦点検出装置としては第18図の構成を採用することもでき、あるいは特願昭61−160824号に開示されている様な方法を利用し、通常より長い光電素子列の対を用いてこれら光電素子列を電気的に分割し、対応する分割領域同志に相当する信号を使って相関演算を施すものであっても良い。
以上により6aの焦点検出装置は撮影視野の複数の位置に対して焦点検出が可能となる。6bは露出値検出ユニットで、結像レンズを分割測光が可能な受光器を具える。結像レンズはペンタ・ダハプリズム8内の光路を介して対物レンズ1の予定結像面に配されたピント板7と受光器を共役に関係付けている。受光器の受光面は例えば第3図3図の様に分割されており、各分割された領域ごとに測定できるものとする。受光器の出力はマイクロプロセツサmpに入力されて、複数個の中心点の中心とした測光感度分布を持つ様に重み付けを変更できるものとする。
次にフアインダー光路変更用のペンタ・ダハプリズム8の射出面後方には接眼レンズ9が配され、観察者眼15によるピント板7の観察に使用される。ピント板の近傍又は一体にフレネルレンズが設けられていても良い。10は視線検出系のための光分割器で、例えば赤外光を反射するダイクロイツクミラーを使用し、ここでは接眼レンズ9中に設けられる。11は集光レンズ、12はハーフミラーの様な光分割器、13はLEDの様な照明光源で、好ましくは赤外光(および近赤外光)を発光する。赤外照明光源13を発した光束は集光レンズ11及び接眼レンズ9の後面(観察者側面)のパワーで例えば平行光としてフアインダー光路に沿って射出する。14は光電変換器で、詳しい構成は後述するが、観察者が接眼レンズ9を適正に覗いた時に接眼レンズ9の後面と集光レンズ11に関して観察者眼の前眼部、詳しくは瞳孔近傍と共役な位置にある。即ち、フアインダー光学系(8,9)のアイポイント近傍と光電変換器14を共役に配置するのが一法であって、結像倍率は1以下が好ましい。
以上の構成で、対物レンズ1を通過した結像光束は部分透過、主ミラー2に於て、フアインダー光束と焦点検出光束とに分割される。焦点検出光束は、主ミラー2を透過した後、サブミラー3により反射され、焦点検出装置6に入射する。焦点検出装置6はたとえば第2図(b)に示すピント板7の撮影画面で云えば横方向に3点の焦点検出点19L,19C,19Rを持つ。撮影時には主ミラー2は上へはね上げられ、サブミラー3は主ミラー上に積層して折りたたまれ、シャッター羽根4が開閉されることによりフイルム5が所定時間露光する。
一方、フアインダー光束はピント板7を経て、ペンタ・ダハプリズム8に入射する。但しピント板と一体あるいは別体のフレネルレンズ等が8の近傍に配設されていることもある。光束は視度調節された接眼レンズ9によりピント板7上の被写体像を、拡大投影しつつ観察者眼15に入射する。
人眼の構造は、角膜面16a,角膜後面16b,水晶体前面18a,水晶体後面18bを接合面もしくは界面とした接合レンズと見ることができ、紅彩17は水晶体前面付近にある。第4図に人眼の標準的形状と、各部の屈折率を図示した。またこれを模型眼とした1列が第5図である。
一般に、眼球光軸Xの方向と注視点方向(視線方向)Yとは一定の偏差が在る。普通、注視点方向Yは黄斑Bと前眼部節点Aを結んだ線上にある。眼球の動きを光電的に検出する場合は眼球光学系の軸対称性を利用し、眼球光軸Xを検出するのが容易であるが、注視点の方向との偏差を補正していないと高い精度を求められているときには不都合である。補正方法については後述する。
視線検出系の光路は次の通りである。赤外照明源13を発した照明光はハーフミラー12を経て、レンズ11によりある程度コリメートされ、ミラー10で反射を受けてフアインダー光路に入射する。光分割器10が被写体から来る可視域のフアインダー光を透過し、赤外領域の照明光は反射するダイクロイツクミラーであることが、フアインダーの明るさの点からも視線検出系の照明効率の点からも望ましい。ただし十分輝度の高い赤外光源を用いるならば、照明効率が低下することを見込んで設計し、NDハーフミラーで代用することは可能である。
フアインダー光路に導入された赤外照明光は接眼レンズ9の後面を通過して観察者眼球を照明する。観察者眼の位置が変動しても、照明条件が維持される様、照明光は眼球入射時において略平行光束するのが一法である。これは先のレンズ11のパワーと、接眼レンズ9の後面のパワーの全体で実現される様、各部のパワー配置を調整すること実現できる。人眼の各界面における屈折率変化は、第4図に示した通りであるので照明光は屈折率変化の大小に応じ角膜前面、水晶体前面及び後面、角膜後面の順の強さで反射される。また平行光束を入射したときの各界面の反射像の位置は、近軸追跡を行えば理解できる。これらの像はプルキンエ(Purkinje)像と称され、角膜前面から順に番号を付してプルキンエ第1像,第2像等という。第3像を除き、3個のプルキンエ像は、第3面、即ち水晶体前面の直後に集中しており、また先の屈折率変化の考察から第1像,第4像,第2像の順に強い反射像である。これらの像を形成する照明光は赤外波長域であるため、目には感じることがなく、フアインダー像観察に支障は生じない。このためには照明光波長は700nmより長いことが望ましく、更に750nm以上であれば個人差の別なく人眼は感知しない。
観察者眼による反射光は逆の経路をたどり、ミラー10、レンズ11を経てハーフミラー12により反射され光電変換器14にて受光される。反射光がフアインダー光路から分離され、光電変換器に受光されるまでの光路中に可視カツト,赤外透過フイルターが挿入されていることが望ましい。フアインダー像可視光による角膜反応光をカツトし、光信号として意味のある赤外照明光の反射のみを光電変換するためである。光電面はレンズ11と接眼レンズ9後面の全パワーで、観察者眼の水晶体前面付近すなわち瞳孔付近が結像される様な位置に置かれている。これにより、プリキンエの第1,第2,第4像が結像された状態で受光され、反射光量としては必ずしも弱くない、第3像はデフオーカスして光が拡散しているため、あまり光電変換信号に寄与しない。
本実施例視線検出装置の視軸検出の動作原理を以下に説明する。第1図装置で、赤外照明光源13を点光源とし、ピント板7上、画面中央の位置、すなわち第2図(b)の19cの位置と光学的に等価な地点から発光するように照明点光源13の位置を調整しておく、この場合観察眼球の光軸が、画面中央を通るならば眼球光軸の延長線上に照明光源があるわけであるから、既に第3図に示した様に、各プルキンエ像は眼球光軸上に一直線に点像となって並ぶ。眼球瞳孔付近を前方から見た様子は第6図R>図(a)の様になる。図で41は虹彩、42は瞳孔、43は重なったプリキンエ像である。明るく照明された虹彩は環状に観察され、暗い円形の瞳孔42の中央に各面のプルキンエ像が重なった明るいスポツトが一点観察される。一方、眼球が回転しており左右どちらか片寄った方向に眼球光軸が向いていると、照明光は眼球光軸と斜めに入射するので、各プルキンエ像は瞳孔中心から偏心した位置に移動し、かつ移動の方向,量が反射面ごとに異なるので複数個のプルキンエ像43,44等が前方から見て認められる。第6図(b)がこの状態に対応する。観察者眼が画面中央からさらに離れた位置を見れば、同第6図(c)様に、その傾向は一層強まり、また観察者眼が逆方向を見ればプルキンエ像の移動方向も反転する。これらの動きをまとめて第7図にグラフ化した。観察者眼の回転角に対し、瞳孔付近で強い反射像となる第1,第4プルキンエ像の移動量を示してある。これらプルキンエ像の動きを光電的にとらえれば、視軸の方向を検出することができる。
上記の視線検出方法では眼球の平行移動への対処が必要である。一般にカメラのフアインダー系は観察者の瞳孔が接眼レンズ開口位置に対し一定の許容領域内に存在すれば画面全体を見渡せる様に設計される。実際、この許容範囲が狭いと、カメラと瞳孔の位置関係を正確に保持しなくてはならず、極めて使い難いカメラになることが知られている。しかし視線検出装置を基準にして見ると、この許容範囲内の瞳孔の位置、従ってプルキンエ像の位置が変動しうることを意味しており、これを補償する必要がある。その方法は、ひと通りではないが、光学的な見地から実現しやすいものといて、以下の手法が考えられる。
■瞳孔中心の位置を常時検出し、瞳孔中心に対するプルキンエ像の相対変位を眼球光軸回転量に変換する。この方法は、最も直接的にやりやすいが、瞳孔の縁(つまり虹彩との境界)を確実に把えなくてはならないので、光電変換素子の見る範囲は広く必要となる。
■2個以上のプルキンエ像の相対的変位を計測する。この場合対象としては第1像と第4像の組み合せが検出しやすい。像の形成位置が近く同一像面で計測出来るし、比較的発射像が強いからである。いづれの手法を用いるにしても、観察者がピント板上で見る位置を変更することに要する眼球回転量は高々±10°〜15°程度であり、これによるプルキンエ像の変位は高々±1mm内外であるのに対し、眼球とカメラとの相対的平行移動量はその数倍の大きさで許容されるので、単純な差動センサーでは視線の動きは追えない場合がある。これに対し各数個の光電素子を集積して成る光電素子列により、観察者眼の瞳孔付近に於ける光量分布を測定し、数値的に解析することで眼球の位置や瞳孔径に影響されない視線検出装置が構成される。
第1図に図示した用途では横方向の視線移動のみ検出すれば良いので、一次元の光電素子列を用いた単純な構成を以下に示す。第8図はその方法を説明するためのもので、縦方向の検出能力を無視した結果、図の様な縦長形状の即ち縦幅が横幅の数倍以上の光電素子を配列したものとなり、眼球の縦方向の平行移動もしくは回転に対し、ほとんど不感となる。但し、光電素子の列の前に円柱レンズを接着して類似の効果を得ることもできる。
第8図に於て、瞳孔61内にて光るプルキンエの第1像62と、プルキンエ第4像63を一次元の光電素子列64(光電変換器14)で受光すると第8図(b)の様な光電出力が得られる。両側の高い出力値は虹彩を表現するものである。暗い瞳孔部の中にはプルキンエ第1像,第4像に各々対応した信号65,66が得られる。
瞳孔中心はエツジ部67,68の位置情報から得られる。最も簡単にはエツジ部に於て、虹彩部平均の半値に近い出力を生ずる画素番号をi1,i2とする瞳孔中心の位置座標はi0=(i1+i2)/2で与えられる。ブルキンエ第1像の位置は、瞳孔暗部に於て局部的に現われる最大のピークから求められるので、この位置と先の瞳孔中心との相対位置関係により、眼球の回転状況、従って、視線の方向を第7図グラフの関係から知ることが出来る。この場合、第7図の解釈は瞳孔中心がプルキンエ像移動量の原点をなすものと考えれば良い。原点のカメラに固定したものと考えるとほとんど眼球の平行移動しか求められない。プルキンエ第4像は瞳孔暗部の第2のピークとして求められ、この位置と先の第1像の位置を用いて演算しても良い。このときは瞳孔中心の位置は必ずしも知る必要はない。ただし、プルキンエ第1像と第4像とは強度が10倍以上に異なるので比較的ダイナミツクレンジの高い光電素子列を要する。
但し、瞳孔中心の代わりに黒目(角膜に覆われた部分)の縁から中心位置を検出しても同様の効果が得られる。中心の確定に黒目を利用することは、黒目の径が瞳孔と違って外界の明るさで変化しないので高精度であるが、直径が大きくなるので広い範囲を検出できる様にしておく必要がある。
第8図により明らかな様に素子の配列方向と直交する方向には不感であるが、あまり配列方向と直交する方向に縦長の光電素子で構成すると瞳の位置によっては上下方向で虹彩を拾ってしまうので、縦長にするには限度がある。従って縦長を比較的おさえた素子から成る光電素子列を数個上下方向に併設して置き、最も適当な出力を得られた配列のみにより視線検出すると、上下方向に不感であり、かつ、良好なプルキンエ像信号が常時得られる検出装置となる。また、上記、一次元方向のみの検出では照明光源を点光源でなく、スリツト状とすると更に良好な信号が得られる。この場合にはLEDで線光源を構成しても良いし、スリツトの背後に赤外透過可視遮断フイルターと白色光源を順置しても良い。
以上説明した方法を第1図光電変換器14の出力が入力されたマイクロコンピユータmcで実行し、観察者の視線方向に対応する測距位置での焦点検出値を焦点検出装置6aの出力からマイクロコンピユータmcで算出し、算出値に従って駆動機構4cを駆動して対物レンズ1をフオーカシングすることができる。
この様に、得られた視線方向により、自動焦点検出の測距点を切り替える本発明に係る視線制御されたカメラが得られる。視線の位置は連続的に求められるので、制御対象が第2図(b)の様な3点に限定されないことはもちろんである。
また、露出検出ユニツト6bの出力をマイクロコンピユータmcで信号処理し、観察者の視線方向に応じた位置に重点を置く露出条件を決定し、レリーズ操作に同期してシヤツタ4aと絞り4bの一方又は両方を設定することができる。
そして、カメラを制御する際、自動焦点検出と自動露出制御の双方で複数点測定が可能な場合でも観察者の意図に応じて一方のみを使用したり、両方同時に使用することができるものとする。また焦点検出と露出制御のほかに、フアインダー視野中にシヤツター優先,絞り優先,プログラム撮影等のモード表示を位置を変えて表示し、例えばレリーズ操作の第1段押し込みの時に視認したモード表示に応じて撮影を行うこともできる。
以下、眼球光軸方向と注視点方向との偏差を補正する方法を説明する。
偏差を補正する簡単な方法はマニユアルで補正値あるいは他の情報を入力する方法である。しかしながらこの方法の場合、別途偏差を測定しておいてそれ応じた補正量を入力するのが一法であるが、一般的には人眼の平均径な補正量を予めマイクロコンピユータに記憶させておく。第1図のIPはこれらの為の入力器で、もし予め補正量がわかっていれば、その値を入力するものとし、そうでなければフアインダーを右目で覗くか、左目で覗くかの区別を入力する。これは上述した横斑の位置が左右眼で対称になるため、偏差の方向は+又は−になるからである。大多数の人眼においては、注視点方向と眼球光軸方向との偏差は5°〜7°程度であるが、解剖学的知見として得られているので、6°に固定しても精度±1°〜2°程度の検出は可能である。
続いて個人差を考慮いた方法を説明する。接眼レンズ9を覗くと、第2図(b)に示すピント板7の測距視野マーク19C,19R,19Lが見えるが、例えば観察視野中央の測定視野マーク19Cを利用する。計測に先立って観察者(カメラの撮影者)は測距視野マーク19Cを注視し、その状態で入力器IPから計測起動信号を入力する。
視線検出系は前述した様に作用して、観察者眼の光軸を計測し、眼球光軸方向を例えば瞳孔中心に対するプルキンエ第1像の変位量、もしくはプルキンエ第1像と第4像との相対変位量として定量化する。その際、人間の視線方向はかなり変動し易いと云う生理的特性があるので一定時間内に最も高い頻度で発生した眼球光軸方向を採用するといった信号処理ソフトを用いるのも良い。
視線検出系による計測結果はマイクロコンピユータmc中の記憶素子に記憶する。
記録素子は不揮発性のEEPROM等が望ましいが、これに限ったことではなく、たとえばバツテリーバツクアツプされたRAMでも良い。この様な動作状態を設けることにより、観察者が画面中央を注視していることが確定している状況下での視軸方向が得られる。撮影のためのフレーミング時には、測定された眼球光軸の方向と、画面中央注視時の眼球光軸の方向との相対差を演算することにより画面上の注視点が求められる。数式的に表現すると、たとえば、瞳孔中心点ないし黒目中心点を基準としたプルキンエ第1像の位置をxとするとき、注視点方向XはX=k(x−x0) (1)
と表わされる。ここにx0は観察者が画面中心を注視しているときのxであり、またkは比例定数で、フアインダー系の定数を主因子として定まる。
更に、検出精度を高めるためには以下の実施例を採用するのが良い。
即ち、視線検出系検出結果と観察者の現実の注視方向とは若干の差が生ずるのが一般的である。従って、検出結果を確認し、ずれがあれば調整するのが有効であり、大きなずれであれば再検出するのが良い。
第9図(a)はピント板を描いているが、観察視野もこのように見える。71は検出結果を示す表示マークで、例えばピント板に積層して設けた液晶表示器やEL表示器、あるいは回析格子を側方から照明する光学的表示器を使って表示する。x0は適当な値にプリセツトされている。第9図(b)は液晶表示器の部分を示している。73aは液晶層で、これを一様な透明電極層73bと不連続線状に配された透明電極の層73cが挟み、更に偏光シート73dで挟んで成る。下側の透明電極層73cの電極に順次給電して表示が可能となる。
観察者はフアインダー系の接眼レンズ9を覗き、表示マーク71を観察することができるが、その際、観察視野内の図示しない所望の被写体を注視したとき、被写体と表示マーク71が重なれば検出は正確であったことになる。しかしながら、観察者の主観的注視点72の例えば被写体あるいは中央の測距マーク位置等と表示マーク71がずれていたとすれば、検出に誤差が在ったことになるから調整を行った方が良い。
なお、補正量を計測する場合、前述の例では測距マークを利用したが、表示器による表示マークを例えば画面中央に表示してこれを使用しても良く、その際、表示マークを点滅させれば注視を継続させるのに役立つ。
観察者は自己が注視点と認識する位置と、カメラが注視点として検出する位置とが一致するまで、入力器のダイヤルや、スイツチ等の手段により式(1)の定数x0を変化させる。観察者が自身の主観的視線とカメラの検出表示位置が一致していると認めればそこでx0を固定すれば良い。上記x0の入力手段はたとえば第10図(a)の様に定電圧電源の抵抗分圧で操作し、AD変換して、x0に対応づけても良いし、またはデジタル的には(b)の様にx0を収納するレジスタ81の内容を2個の相反方向のスイツチによりアツプ,ダウンしても良い。上述方法の場合には表示器を必要とするが、観察者が計測時に基準点を固視する状態を保障する必要がない点が使い易さの上でメリツトとなる。
本発明のカメラは高精度の注視点検出を行うために、眼球光方向と注視点方向のズレの個体差を補正するとをその発明内容に含んでいる。撮影者が変わると、上記ズレの量は微妙に異なるので、それに対するフールプルーフ対策として先に述べた注視点表示は有効である。カメラが撮影画面にオーバーラツプして表示する注視点表示が撮影者の主観的注視点と一致している場合にはそのまま使用し続ければ良く、使用者が変わって両者が不一致となったときに上記の補正値設定をやり直せば良い。視線検出動作時に注視点表示が現れれば、補正値設定の必要性の有無は瞬時に判断でき、また忘れることもない。
前述した様にあまり厳密な注視点位置を要しない時には、眼球光軸方向と注視点方向とのズレを個人差に依らない普遍的定数とし、回路内にたとえばマスクROMの形態等で固定してもよい。なお、この場合も、入力した注視点を表示して位置を確認することもできる。
上記の方法により検出された観察者眼の注視点位置情報に基づき、たとえば第1図(b)の3点19L,19C,19Rの一点において自動焦点調節を行ったり、また後述する様に自動露光補正を行ったりすることができる。上記方法の注視点検出は連続的にもしくは極めて細かいピツチで位置検出可能であるから動体対象が第1図の様に3点に限定されないことはもちろんである。
以上の視線検出は一次元方向のみについて述べたが、一方向のみでなく、直交する2方向の視線の動きを検出するためには、正方形に近い画素を2次元に配列した光電素子列を用いれば良い。プルキンエ第1像を含む様な一次元配列を縦横各々について選び出せば、瞳孔中心を基準とした方法により、直交する2方向での視線位置が求められる。すなわち第11図の様に、観察者眼、瞳孔付近の光像が二次元配列された光電素子列上に結像されており、図中91,92の縦横配列の信号を用いれば良い。光電素子列としては既知のCCD撮像素子や、MOS型撮像素子が使用でき、またプルキンエ第1像の位置を交点として縦横に演算対象とすべき配列を選択することはマイクロコンピユータにより容易に実現できる。
本実施例の場合に於いても、眼球光軸方向と注視点方向のズレを補正する方法は基本的には同じである。すなわち、最も簡易的には人目の解剖学的データの平均値を用い、あらかじめズレ補正量を内蔵していて、検出した眼球光軸方向に対し補正を加える。注視点方向を(X,Y)とすると、X=k(x−x0) (2a)
Y=k(y−y0) (2b)
であり、ここに(x,y)は瞳孔中心もしくは黒目の中心を基準としたプルキンエ第1像の位置、(x0,y0)は観察者が画面中央を注視しているときの(x,y)である。
もう少し正確な注視点方向検出をするためには、特定の撮影者毎に、上記補正量(x0,y0)を検出する。方法的には、たとえば、画面中心を注視しているときの視軸方向の検出、または注視点検出位置表示が撮影者の主観的注視点と一致する様に補正量調整する等の先の述べた方法が使用できる。
以上の説明では、カメラの姿勢は常に固定されていることを前提としていた。視線検出装置の作動をより一般的な条件下で保証するためには、観察者眼の視軸回りに関する眼球とカメラの相対回転量を検出することが望ましい。この回転自由度に対する最も標準的な状況は、第12図の様に観察者眼の水平軸101とカメラの水平軸102とが平行している状態であるが、実際には撮影の要求に伴い第13図のごとく両者が不一致となることがしばしば起こる。最も典型的にはθ=±90°となることが多い。第12図,第13図に於いて103はペンタダハプリズムを用いた一眼レフカメラ、104はペンタダハプリズム後方のフアインダー接眼部より視野観察する観察者眼球である。第13図の眼球とカメラの相対回転の結果、注視点補正量(x0,y0)は次の変更を受ける。
上式により回転量θに応じて補正値(▲■■▼,▲■■▼)を算出し、視軸計測値から観察者眼注視点を式(2)により求めれば良い。
θを計測する一般的方法は光電的方法を用いるのが良く、たとえば目尻の様な目の一部の位置を撮像してカメラ基準座標に対し測定することで観察者眼の水平軸101を相対的に求めることができる。しかし観察者眼の水平軸が固定され、カメラの姿勢のみが変化して撮影フレームを選択することがほとんどであるので、上記θを計測する作業は大体、地球水平線に対するカメラの姿勢検出で置き換えることができる。これにはたとえば第14図の様に、おもり112に結合された摺動子113が鉛直下方を向くことを利用し、可変抵抗器111の基準と摺動子113との成す角で姿勢を検出する検出器が用いられる。図で114は摺動子の回転中心であり、また分圧された電圧の出力端子である。
他方、円環内に水銀116を封入した第15図の水銀スイツチ115を用いても良い。接点117a,117b等の隣接接点間のどこで導通するか調べることにより円環115内に封入された水銀116の所在が判別され、従って鉛直下方の方向が検出される。これら第14図,第15図等の姿勢検出器をカメラ本体に内蔵すれば、カメラの回転が判別されるので、回転量に応じ(3)式を使って視軸計測値に補正を加え、正確な注視点の検出ができる。
本発明は一眼レフカメラにその用途を限定されないことは言うまでもない。第16図は逆ガリレイ式フアインダー系に本発明を適用した例である。フアインダー光学系は基本的には凹レンズ121と凸レンズ122により構成されており、角倍率が1以下のアフオーカル系である。第12図(a)の実施例では、ブロツク状の光学部材123を正レンズと負レンズの中間に配置し、ダイクロイツクミラーもしくはハーフミラー124によりフアインダー光学系と検線検出光学系とを結合している。レンズ125は赤外照明光源127から来た光をコリメートする一方前眼部反射光を光電素子列128の受光面に結像している。126はハーフミラーである。視線検出の方法は第1図実施例と変わらない。第12図(b)は赤外照明系と検出光学系を分離配置した例である。
本発明は銀塩写真カメラのほかビデオカメラやスチルビデオカメラ等フアインダーを有するカメラ一般に好適に用いられる。特に動体を撮影する場合の多いビデオカメラでは本発明は極めて有効である。
本発明に係る視線検出系を有するカメラの用途は自動焦点調節の制御に限定されない。一般にカメラの動作方法を制御する入力手段として使用しうるものである。第17図はカメラの露出制御用測光装置の画面内測光感度分布例を図示したものである。同図(a)では画面内に5個の局所的測光点S1〜S5を配置してある。視線方向を検出することにより、これら5個の測光点の内1個を選択し、その測光出力により露出を制御するようなカメラを構成することが出来る。また第17図(b)は上記局所的測光点の外側により広範囲の測光領域P1〜P5を配してある。たとえば視線方向でS2を指定したときS2を中心に両側の測光情報を加味し
なる量Vを演算し、注視点を中心とした広がりを持った測光感度特性を持たせることが出来る。
さらにシヤツター速度の指定や絞り値の指定、パワーフオーカス,パワーズームの操作、多重露出制御、各種動作モードの切替え等カメラのあらゆる制御方法への意志入力手段として光学装置を構成することが可能である。
〔発明の効果〕
以上、説明した様に本発明によれば、前眼部反射像の位置の変位を把えることにより、また視軸の方向と注視点方向の偏差を補正することにより正しい視線の方向を検出し、自動焦点調節、自動露出制御、及びその他の動作を、撮影者の意のままにコントロールすることが可能となる。本発明は自動機能の簡便性,正確性、高速性と、手動制御の作画上の自由度とを、同時に満たす新規なカメラを提供する。本発明実施例はカメラと観察者眼との位置関係に、自由度を許容しながら高精度の視線検出を、フアインダー系に於いて行う光学的視線検出方法を明示した。
また携帯性を損なわず経済的にも可能な装置として視線検出装置をカメラ内に内蔵したカメラ構成を開示し、新規なカメラ制御の手法を示した。本発明カメラを用いることにより、高度の自動機能を撮影者の意志を正確に反映しながら駆使することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す光学断面図。第2図(a)は部分構成を示す斜視図で、第2図(b)は平面図。第3図は構成部材の平面図。第4図は人眼の説明図。第5図は模型眼の断面図。第6図(a),(b),(c)は眼の反射像を示す図。第7図はプルキンエ像の移動を示す線図。第8図(a)は反射像の検出を説明するための図で、第8図(b)は出力信号を示す図。第9図R>図(a)はピント板の平面図で、(b)は拡大断面図。第10図(a),(b)は夫々、調整器を示す図。第11図は反射像の2次元的な検出を説明するための図。第12図と第13図は夫々、カメラの姿勢変更を説明するための図。第14図と第15図は夫々、姿勢検出器を示す図。第16図(a),(b)は夫々、他実施例を示す光学断面図。第17図(a),(b)は夫々、視野を示す平面図。第18図は従来例を示す斜視図。
図中、2は主ミラー、3はサブミラー、6aは焦点検出装置、6bは露出制御用測光装置、7はピント板、8はペンタ・ダハプリズム、9は接眼レンズ、10は光分割器、11は集光レンズ、12は光分割器、13は照明光源、14は光電変換器である。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、注視点方向(視線方向)を光電的に検出して動作の制御を行う様にした光学装置に関し、殊に光学的に定まる眼球を光軸と注視点方向との偏差を補正し、動作性能を大幅に改善したものである。
〔従来の技術〕
近年、電子回路やCCD等光電変換デバイスの急速な進歩、低廉化に伴ない、カメラの自動化、インテリジエント化が展開されている。たとえば自動焦点制御のカメラは、銀塩カメラ、ビデオカメラの別なく広く普及しており、また自動露出機能はほとんどのカメラが装備するに至っている。
この種の自動機能はカメラの操作性を大幅に改善し、高度な撮影技術を要せずに誰でも一定レベルの写真撮影を可能にした点で大きな進歩であったといえる。
しかし、一方では自動機能を取り入れたが故に自動機能のハード的制約から作画性を制限される場合があり、抜本的な改善が望まれている。その最も大きな問題は自動焦点調節にしても、自動露出制御にしても画面の中心部に重点的に機能する様に構成されているので、主被写体が画面中央に配置されるフレーミングが多くなることである。特に焦点合せは、主被写体にはっきりと狙いとつけなければならず、画面全体の平均という様なものは無意味であるから、自動焦点検出装置が作動する位置に主被写体を画面構成することが写真撮影の必須要件となる。
この様な作画上の制約を緩和するために通例、フオーカスロツクと呼ばれる方法が用いられている。この方法はシヤツターの半押し状態で、画面中央に主被写体を置いて自動焦点調節を行ない、合焦状態に到達すると、カメラは焦点調節機構を自動的にロツクする。次に撮影者は、シヤツターの半押し状態を継続しながら、主被写体の位置を画面内の適当な場所に変更し、フレーミングをとり直し、得心の行ったところでシヤツターをもう一度押し込みレリーズする。
類似の方法は自動露出制御の場合でも、特に被写体輝度差が激しく主被写体の最重要部分をスポツト的に測光する時に使われ、AEロツク等と呼ばれている。通例カメラは画面中心部を重点化した測光感度分布を持っており、特にスポツト的な測光モードでは画面中心部にしか感度がない。従って、最も重要な被写体部分を画面中央の測光機能で測光したのち、その測光値をシヤツターの半押し状態でメモリーしたまま、構図をとり直すのである。
この様な方法にはいくつかの基本的問題があり、作画性を保証した十分なカメラの自動機能とはなり得ていないのが実情である。その問題点を以下に列挙する。
(1)シヤツターの半押し状態を継続しながら、構図を検討するためには指先の感触の慣れが必要である。大多数のカメラ使用者はあまり頻繁にカメラを操作するほど撮影しないので、この様な習熟を要するカメラ操作は十分に使いこなすことが出来ない。
(2)被写体が被写界の奥行き方向に移動している場合には、上記操作は不可能である。自動焦点調節し、シヤツターの半押し状態で構図をとり直している間にピント位置が変化してしまうことからである。また奥行き方向ではなく、横方向にカメラと等距離を維持しつつ移動する被写体の場合でも、上記の様な段階的な操作を正確に行うには高い習熟が必要である。
(3)人間や動物等の表情、ポーズが変化する被写体では、シヤツターチヤンスは一瞬であるから、上記の様な方法では撮影者の意図する写真を撮ることができない。
(4)三脚等のよりカメラを固定した状態では、シヤツターの半押しをしながらアングル調整するという操作は事実上困難である。
以上の理由により中央の測距視野、あるいはスポツト測光機能に作画性を制約されない、新しい試みが開始されている。自動焦点調節について言うと、その主たる対策は複数個の自動焦点検出点が画面内の広い領域に存在する焦点検出装置、もしくは広い焦点検出視野の一部分を選択的に指定し、その一部分に含まれる被写体情報により自動焦点調節するカメラである。両者はともに公知であり、たとえば前者の焦点検出装置は、第18図に示した様に従来知られる焦点検出装置を、1個のカメラ内に複数個配置しても良い。後者の測距視野一部選択指定は通例、自動焦点カメラに搭載されているマイクロプロセツサの機能を用いれば容易にソフトウエアにより実現できる。
簡単に図の説明をすると第18図に於いて予定焦点面における画面フレーム141に5個の測距視野142a,142b,…,142eがあり、各視野に対して公知の焦点検出系一系列が構成されている。たとえば図で左端の測距視野142aの矩形の視野マスク開口を通過した結像光束は一体成形された複合フイールドレンズ143の左端部レンズにより変更され一対の二次結像レンズ144a1,144a2に入射する。二次結像レンズ前面には、不図示の絞りが置かれているものとする。144a1を通過した光束は光電素子(以下、光電変換素子をこの様に表記する)列145a1上に視野145aの光像を再結像する。一方、144a2を通過した光束は、光電素子列145a2上に視野142aの光像を再結像する。先述した2次結像レンズ近傍の不図示の絞りは、フイールドレンズにより撮影レンズ射出瞳に略結像される結果、上記光学系により、いわゆる瞳分割焦点検出装置が構成されている。これを5個符設し、一体製造可能な部材を構造的に一体化したものが第18図の系である。
この様な自動焦点検出系のハード構成に於て、測距点の決定方法は基本的には、次の2通りの考え方がとりうる。
(1)撮影者がカメラにピント合わせの対象とすべき測距点位置を指定する。指定入力手段はスイツチやダイヤルが既知である。
(2)カメラが測距可能な各点で被写体情報を解析し、または更に進んで測距を実行し、あらかじめ定められた基準に従い自動的に測距点を決定する。例えば、最も至近側に位置する被写体にピント合わせするものが考えられる。
上記方法はいづれも問題点があり、十分に改善された技術とはなっていない。上記(1)の撮影者がカメラに位置決定する方法は確実であるが、入力に手間がかかり自動焦点調節の本来の簡便性を損なう。通常の手持ち撮影では、位置入力をしてから自動焦点調節を行なうより、上述のフオーカスロツクの手法を用いた方が手早く撮影できる。従って、三脚使用時や、動体撮影等、測距点の位置指定が本質的なメリツトを持つ場合以外は使いづらい。
一方、カメラが焦点合わせする位置を決める方法は、撮影者の作画意図を反映しないことが多い。至近側選択の考え方はひとつの動作状態として選択することはあり得るが、この様な決め方でカメラの多様な使われ方をカバーすることは困難と思われる。
以上の理由により、撮影者の意志をマニユアル入力する考え方は確実性はあるものの煩雑になり易くまたカメラによる自動方式は画一性が強過ぎる。
わずかに、撮影者の視線をカメラが感じ測距点を決定するという着想が特開昭61−61135号等に開示されているが、視線検出の方法については説明がなされていない。
一方、眼球の光軸は、眼球の角膜や水晶体の各面を球面とみなせばその球心を結ぶことで決定できるが、実際に物を観察しているときには、網膜上の黄斑と前眼部節点を結ぶ線(視線)の延長上を注視していることになり、視軸との間に多少の偏りがある。そのため、視線方向を細かく測定し、この測定結果に基づいて精密な動作制御を行おうとする誤動作を起す懸念がある。
なお、視線方向を光電的に検出して装置の動作制御に利用する方法は、自動焦点調節装置を備えたカメラ以外に種々の観察装置の焦点調節や方向調節に適用できる。
その他、最近のカメラは自動焦点調節や自動露出機能以外の様々な機能を制御するマニユアル入力手段を有し、カメラ・ハウジングの各所にスイツチ類,表示類が分散配置されている。しかしながら、カメラを使用する頻度の少ないユーザーの場合、操作方法を忘れてしまい、カメラに設けられている機能の一部しか使われないという状態も多い様である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、誰でも確実,簡便に所望の作動を実施でき、しかも視線方向を正確に検出して精密な作動性能を可動するものである。
そしてこの目的を達成するための本発明は、物体を観察するためのファインダー光学系と、前記ファインダー光学系を覗いている眼の眼球光軸の方向を検出する検出手段と、前記検出手段の出力に前記眼球光軸の方向と前記眼の注視方向の前記偏差に当たる補正を行なって前記注視方向の情報を形成する手段を有するものである。
更に眼球光軸方向と注視点方向との偏差が個人個人によって相違することに鑑み、観察系の視野内に注視対象を表示し、注視対象の注視している観察者眼の眼球光軸方向と注視対象の方向の偏差を計測し、補正手段の補正値を決定する。
〔実施例〕
以下、図面を使って本発明の実施例を説明するものとし、第1図は一眼レフレツクスカメラに本発明を適用した第1の実施例を示している。尚、本発明は一眼レフレツクスカメラの他、撮影光路とフアインダー光路が別設されたカメラにも適用可能である。
第1図で、1は対物レンズで、便宜上、1枚レンズで示したが、実際は多数枚のレンズから構成されていることは周知の通りである。2は主ミラーで、観察状態と撮影状態に応じて撮影光路へ斜設されあるいは退去される。3はサブミラーで、主ミラー2を透過した光束を図示しないカメラ・ボデイの下方へ向けて反射させる。4aはシヤツターで、後述の感光部材の受光面を所定時間露光するのに使われる。4bは対物レンズ1内に配された絞り、4cはフオーカシングのために対物レンズ1を光軸方向へ移動させる駆動機構である。
5は感光部材で、銀塩フイルムあるいはCCDやMOS型等の固体撮像素子あるいはビテイコン等の撮像管である。但し、電子的撮像デバイスに電子的シヤツター機能を持たせれば、シヤツターは省略できる。
6aは焦点検出装置で、例えば第2(a)に描く様に、フイールドレンズ20、多孔視野マスク21、正レンズを2枚並設した2次結像レンズ22、そして光電素子列の対が複数配列した受光デバイスが配される。第1図ではフイールドレンズはサブミラー3に近い対物レンズ1の予定結像面位置に設けられている。第2図(a)の構成の詳しい説明は特願昭62−315490号に述べられているが、まず多孔視野マスク21のスリツト21a,21b,21cは夫々測距視野を決定する。2次結像レンズ22は、例えばスリツト21aで画定された被写界像の一部を光電素子列の対23aと23b上に再結像する。またスリツト21bあるいはスリツト21cで画定された部分は光電素子列の対23cと23d又は23eと21f上に再結像される。光電素子列の各対の受光情報は電気信号として読み出され、相関演算が施されて、各スリツトで決定された測距視野内の被写体に対する対物レンズの焦点調節状態を表わす値が算出される。尚、焦点検出装置としては第18図の構成を採用することもでき、あるいは特願昭61−160824号に開示されている様な方法を利用し、通常より長い光電素子列の対を用いてこれら光電素子列を電気的に分割し、対応する分割領域同志に相当する信号を使って相関演算を施すものであっても良い。
以上により6aの焦点検出装置は撮影視野の複数の位置に対して焦点検出が可能となる。6bは露出値検出ユニットで、結像レンズを分割測光が可能な受光器を具える。結像レンズはペンタ・ダハプリズム8内の光路を介して対物レンズ1の予定結像面に配されたピント板7と受光器を共役に関係付けている。受光器の受光面は例えば第3図3図の様に分割されており、各分割された領域ごとに測定できるものとする。受光器の出力はマイクロプロセツサmpに入力されて、複数個の中心点の中心とした測光感度分布を持つ様に重み付けを変更できるものとする。
次にフアインダー光路変更用のペンタ・ダハプリズム8の射出面後方には接眼レンズ9が配され、観察者眼15によるピント板7の観察に使用される。ピント板の近傍又は一体にフレネルレンズが設けられていても良い。10は視線検出系のための光分割器で、例えば赤外光を反射するダイクロイツクミラーを使用し、ここでは接眼レンズ9中に設けられる。11は集光レンズ、12はハーフミラーの様な光分割器、13はLEDの様な照明光源で、好ましくは赤外光(および近赤外光)を発光する。赤外照明光源13を発した光束は集光レンズ11及び接眼レンズ9の後面(観察者側面)のパワーで例えば平行光としてフアインダー光路に沿って射出する。14は光電変換器で、詳しい構成は後述するが、観察者が接眼レンズ9を適正に覗いた時に接眼レンズ9の後面と集光レンズ11に関して観察者眼の前眼部、詳しくは瞳孔近傍と共役な位置にある。即ち、フアインダー光学系(8,9)のアイポイント近傍と光電変換器14を共役に配置するのが一法であって、結像倍率は1以下が好ましい。
以上の構成で、対物レンズ1を通過した結像光束は部分透過、主ミラー2に於て、フアインダー光束と焦点検出光束とに分割される。焦点検出光束は、主ミラー2を透過した後、サブミラー3により反射され、焦点検出装置6に入射する。焦点検出装置6はたとえば第2図(b)に示すピント板7の撮影画面で云えば横方向に3点の焦点検出点19L,19C,19Rを持つ。撮影時には主ミラー2は上へはね上げられ、サブミラー3は主ミラー上に積層して折りたたまれ、シャッター羽根4が開閉されることによりフイルム5が所定時間露光する。
一方、フアインダー光束はピント板7を経て、ペンタ・ダハプリズム8に入射する。但しピント板と一体あるいは別体のフレネルレンズ等が8の近傍に配設されていることもある。光束は視度調節された接眼レンズ9によりピント板7上の被写体像を、拡大投影しつつ観察者眼15に入射する。
人眼の構造は、角膜面16a,角膜後面16b,水晶体前面18a,水晶体後面18bを接合面もしくは界面とした接合レンズと見ることができ、紅彩17は水晶体前面付近にある。第4図に人眼の標準的形状と、各部の屈折率を図示した。またこれを模型眼とした1列が第5図である。
一般に、眼球光軸Xの方向と注視点方向(視線方向)Yとは一定の偏差が在る。普通、注視点方向Yは黄斑Bと前眼部節点Aを結んだ線上にある。眼球の動きを光電的に検出する場合は眼球光学系の軸対称性を利用し、眼球光軸Xを検出するのが容易であるが、注視点の方向との偏差を補正していないと高い精度を求められているときには不都合である。補正方法については後述する。
視線検出系の光路は次の通りである。赤外照明源13を発した照明光はハーフミラー12を経て、レンズ11によりある程度コリメートされ、ミラー10で反射を受けてフアインダー光路に入射する。光分割器10が被写体から来る可視域のフアインダー光を透過し、赤外領域の照明光は反射するダイクロイツクミラーであることが、フアインダーの明るさの点からも視線検出系の照明効率の点からも望ましい。ただし十分輝度の高い赤外光源を用いるならば、照明効率が低下することを見込んで設計し、NDハーフミラーで代用することは可能である。
フアインダー光路に導入された赤外照明光は接眼レンズ9の後面を通過して観察者眼球を照明する。観察者眼の位置が変動しても、照明条件が維持される様、照明光は眼球入射時において略平行光束するのが一法である。これは先のレンズ11のパワーと、接眼レンズ9の後面のパワーの全体で実現される様、各部のパワー配置を調整すること実現できる。人眼の各界面における屈折率変化は、第4図に示した通りであるので照明光は屈折率変化の大小に応じ角膜前面、水晶体前面及び後面、角膜後面の順の強さで反射される。また平行光束を入射したときの各界面の反射像の位置は、近軸追跡を行えば理解できる。これらの像はプルキンエ(Purkinje)像と称され、角膜前面から順に番号を付してプルキンエ第1像,第2像等という。第3像を除き、3個のプルキンエ像は、第3面、即ち水晶体前面の直後に集中しており、また先の屈折率変化の考察から第1像,第4像,第2像の順に強い反射像である。これらの像を形成する照明光は赤外波長域であるため、目には感じることがなく、フアインダー像観察に支障は生じない。このためには照明光波長は700nmより長いことが望ましく、更に750nm以上であれば個人差の別なく人眼は感知しない。
観察者眼による反射光は逆の経路をたどり、ミラー10、レンズ11を経てハーフミラー12により反射され光電変換器14にて受光される。反射光がフアインダー光路から分離され、光電変換器に受光されるまでの光路中に可視カツト,赤外透過フイルターが挿入されていることが望ましい。フアインダー像可視光による角膜反応光をカツトし、光信号として意味のある赤外照明光の反射のみを光電変換するためである。光電面はレンズ11と接眼レンズ9後面の全パワーで、観察者眼の水晶体前面付近すなわち瞳孔付近が結像される様な位置に置かれている。これにより、プリキンエの第1,第2,第4像が結像された状態で受光され、反射光量としては必ずしも弱くない、第3像はデフオーカスして光が拡散しているため、あまり光電変換信号に寄与しない。
本実施例視線検出装置の視軸検出の動作原理を以下に説明する。第1図装置で、赤外照明光源13を点光源とし、ピント板7上、画面中央の位置、すなわち第2図(b)の19cの位置と光学的に等価な地点から発光するように照明点光源13の位置を調整しておく、この場合観察眼球の光軸が、画面中央を通るならば眼球光軸の延長線上に照明光源があるわけであるから、既に第3図に示した様に、各プルキンエ像は眼球光軸上に一直線に点像となって並ぶ。眼球瞳孔付近を前方から見た様子は第6図R>図(a)の様になる。図で41は虹彩、42は瞳孔、43は重なったプリキンエ像である。明るく照明された虹彩は環状に観察され、暗い円形の瞳孔42の中央に各面のプルキンエ像が重なった明るいスポツトが一点観察される。一方、眼球が回転しており左右どちらか片寄った方向に眼球光軸が向いていると、照明光は眼球光軸と斜めに入射するので、各プルキンエ像は瞳孔中心から偏心した位置に移動し、かつ移動の方向,量が反射面ごとに異なるので複数個のプルキンエ像43,44等が前方から見て認められる。第6図(b)がこの状態に対応する。観察者眼が画面中央からさらに離れた位置を見れば、同第6図(c)様に、その傾向は一層強まり、また観察者眼が逆方向を見ればプルキンエ像の移動方向も反転する。これらの動きをまとめて第7図にグラフ化した。観察者眼の回転角に対し、瞳孔付近で強い反射像となる第1,第4プルキンエ像の移動量を示してある。これらプルキンエ像の動きを光電的にとらえれば、視軸の方向を検出することができる。
上記の視線検出方法では眼球の平行移動への対処が必要である。一般にカメラのフアインダー系は観察者の瞳孔が接眼レンズ開口位置に対し一定の許容領域内に存在すれば画面全体を見渡せる様に設計される。実際、この許容範囲が狭いと、カメラと瞳孔の位置関係を正確に保持しなくてはならず、極めて使い難いカメラになることが知られている。しかし視線検出装置を基準にして見ると、この許容範囲内の瞳孔の位置、従ってプルキンエ像の位置が変動しうることを意味しており、これを補償する必要がある。その方法は、ひと通りではないが、光学的な見地から実現しやすいものといて、以下の手法が考えられる。
第1図に図示した用途では横方向の視線移動のみ検出すれば良いので、一次元の光電素子列を用いた単純な構成を以下に示す。第8図はその方法を説明するためのもので、縦方向の検出能力を無視した結果、図の様な縦長形状の即ち縦幅が横幅の数倍以上の光電素子を配列したものとなり、眼球の縦方向の平行移動もしくは回転に対し、ほとんど不感となる。但し、光電素子の列の前に円柱レンズを接着して類似の効果を得ることもできる。
第8図に於て、瞳孔61内にて光るプルキンエの第1像62と、プルキンエ第4像63を一次元の光電素子列64(光電変換器14)で受光すると第8図(b)の様な光電出力が得られる。両側の高い出力値は虹彩を表現するものである。暗い瞳孔部の中にはプルキンエ第1像,第4像に各々対応した信号65,66が得られる。
瞳孔中心はエツジ部67,68の位置情報から得られる。最も簡単にはエツジ部に於て、虹彩部平均の半値に近い出力を生ずる画素番号をi1,i2とする瞳孔中心の位置座標はi0=(i1+i2)/2で与えられる。ブルキンエ第1像の位置は、瞳孔暗部に於て局部的に現われる最大のピークから求められるので、この位置と先の瞳孔中心との相対位置関係により、眼球の回転状況、従って、視線の方向を第7図グラフの関係から知ることが出来る。この場合、第7図の解釈は瞳孔中心がプルキンエ像移動量の原点をなすものと考えれば良い。原点のカメラに固定したものと考えるとほとんど眼球の平行移動しか求められない。プルキンエ第4像は瞳孔暗部の第2のピークとして求められ、この位置と先の第1像の位置を用いて演算しても良い。このときは瞳孔中心の位置は必ずしも知る必要はない。ただし、プルキンエ第1像と第4像とは強度が10倍以上に異なるので比較的ダイナミツクレンジの高い光電素子列を要する。
但し、瞳孔中心の代わりに黒目(角膜に覆われた部分)の縁から中心位置を検出しても同様の効果が得られる。中心の確定に黒目を利用することは、黒目の径が瞳孔と違って外界の明るさで変化しないので高精度であるが、直径が大きくなるので広い範囲を検出できる様にしておく必要がある。
第8図により明らかな様に素子の配列方向と直交する方向には不感であるが、あまり配列方向と直交する方向に縦長の光電素子で構成すると瞳の位置によっては上下方向で虹彩を拾ってしまうので、縦長にするには限度がある。従って縦長を比較的おさえた素子から成る光電素子列を数個上下方向に併設して置き、最も適当な出力を得られた配列のみにより視線検出すると、上下方向に不感であり、かつ、良好なプルキンエ像信号が常時得られる検出装置となる。また、上記、一次元方向のみの検出では照明光源を点光源でなく、スリツト状とすると更に良好な信号が得られる。この場合にはLEDで線光源を構成しても良いし、スリツトの背後に赤外透過可視遮断フイルターと白色光源を順置しても良い。
以上説明した方法を第1図光電変換器14の出力が入力されたマイクロコンピユータmcで実行し、観察者の視線方向に対応する測距位置での焦点検出値を焦点検出装置6aの出力からマイクロコンピユータmcで算出し、算出値に従って駆動機構4cを駆動して対物レンズ1をフオーカシングすることができる。
この様に、得られた視線方向により、自動焦点検出の測距点を切り替える本発明に係る視線制御されたカメラが得られる。視線の位置は連続的に求められるので、制御対象が第2図(b)の様な3点に限定されないことはもちろんである。
また、露出検出ユニツト6bの出力をマイクロコンピユータmcで信号処理し、観察者の視線方向に応じた位置に重点を置く露出条件を決定し、レリーズ操作に同期してシヤツタ4aと絞り4bの一方又は両方を設定することができる。
そして、カメラを制御する際、自動焦点検出と自動露出制御の双方で複数点測定が可能な場合でも観察者の意図に応じて一方のみを使用したり、両方同時に使用することができるものとする。また焦点検出と露出制御のほかに、フアインダー視野中にシヤツター優先,絞り優先,プログラム撮影等のモード表示を位置を変えて表示し、例えばレリーズ操作の第1段押し込みの時に視認したモード表示に応じて撮影を行うこともできる。
以下、眼球光軸方向と注視点方向との偏差を補正する方法を説明する。
偏差を補正する簡単な方法はマニユアルで補正値あるいは他の情報を入力する方法である。しかしながらこの方法の場合、別途偏差を測定しておいてそれ応じた補正量を入力するのが一法であるが、一般的には人眼の平均径な補正量を予めマイクロコンピユータに記憶させておく。第1図のIPはこれらの為の入力器で、もし予め補正量がわかっていれば、その値を入力するものとし、そうでなければフアインダーを右目で覗くか、左目で覗くかの区別を入力する。これは上述した横斑の位置が左右眼で対称になるため、偏差の方向は+又は−になるからである。大多数の人眼においては、注視点方向と眼球光軸方向との偏差は5°〜7°程度であるが、解剖学的知見として得られているので、6°に固定しても精度±1°〜2°程度の検出は可能である。
続いて個人差を考慮いた方法を説明する。接眼レンズ9を覗くと、第2図(b)に示すピント板7の測距視野マーク19C,19R,19Lが見えるが、例えば観察視野中央の測定視野マーク19Cを利用する。計測に先立って観察者(カメラの撮影者)は測距視野マーク19Cを注視し、その状態で入力器IPから計測起動信号を入力する。
視線検出系は前述した様に作用して、観察者眼の光軸を計測し、眼球光軸方向を例えば瞳孔中心に対するプルキンエ第1像の変位量、もしくはプルキンエ第1像と第4像との相対変位量として定量化する。その際、人間の視線方向はかなり変動し易いと云う生理的特性があるので一定時間内に最も高い頻度で発生した眼球光軸方向を採用するといった信号処理ソフトを用いるのも良い。
視線検出系による計測結果はマイクロコンピユータmc中の記憶素子に記憶する。
記録素子は不揮発性のEEPROM等が望ましいが、これに限ったことではなく、たとえばバツテリーバツクアツプされたRAMでも良い。この様な動作状態を設けることにより、観察者が画面中央を注視していることが確定している状況下での視軸方向が得られる。撮影のためのフレーミング時には、測定された眼球光軸の方向と、画面中央注視時の眼球光軸の方向との相対差を演算することにより画面上の注視点が求められる。数式的に表現すると、たとえば、瞳孔中心点ないし黒目中心点を基準としたプルキンエ第1像の位置をxとするとき、注視点方向XはX=k(x−x0) (1)
と表わされる。ここにx0は観察者が画面中心を注視しているときのxであり、またkは比例定数で、フアインダー系の定数を主因子として定まる。
更に、検出精度を高めるためには以下の実施例を採用するのが良い。
即ち、視線検出系検出結果と観察者の現実の注視方向とは若干の差が生ずるのが一般的である。従って、検出結果を確認し、ずれがあれば調整するのが有効であり、大きなずれであれば再検出するのが良い。
第9図(a)はピント板を描いているが、観察視野もこのように見える。71は検出結果を示す表示マークで、例えばピント板に積層して設けた液晶表示器やEL表示器、あるいは回析格子を側方から照明する光学的表示器を使って表示する。x0は適当な値にプリセツトされている。第9図(b)は液晶表示器の部分を示している。73aは液晶層で、これを一様な透明電極層73bと不連続線状に配された透明電極の層73cが挟み、更に偏光シート73dで挟んで成る。下側の透明電極層73cの電極に順次給電して表示が可能となる。
観察者はフアインダー系の接眼レンズ9を覗き、表示マーク71を観察することができるが、その際、観察視野内の図示しない所望の被写体を注視したとき、被写体と表示マーク71が重なれば検出は正確であったことになる。しかしながら、観察者の主観的注視点72の例えば被写体あるいは中央の測距マーク位置等と表示マーク71がずれていたとすれば、検出に誤差が在ったことになるから調整を行った方が良い。
なお、補正量を計測する場合、前述の例では測距マークを利用したが、表示器による表示マークを例えば画面中央に表示してこれを使用しても良く、その際、表示マークを点滅させれば注視を継続させるのに役立つ。
観察者は自己が注視点と認識する位置と、カメラが注視点として検出する位置とが一致するまで、入力器のダイヤルや、スイツチ等の手段により式(1)の定数x0を変化させる。観察者が自身の主観的視線とカメラの検出表示位置が一致していると認めればそこでx0を固定すれば良い。上記x0の入力手段はたとえば第10図(a)の様に定電圧電源の抵抗分圧で操作し、AD変換して、x0に対応づけても良いし、またはデジタル的には(b)の様にx0を収納するレジスタ81の内容を2個の相反方向のスイツチによりアツプ,ダウンしても良い。上述方法の場合には表示器を必要とするが、観察者が計測時に基準点を固視する状態を保障する必要がない点が使い易さの上でメリツトとなる。
本発明のカメラは高精度の注視点検出を行うために、眼球光方向と注視点方向のズレの個体差を補正するとをその発明内容に含んでいる。撮影者が変わると、上記ズレの量は微妙に異なるので、それに対するフールプルーフ対策として先に述べた注視点表示は有効である。カメラが撮影画面にオーバーラツプして表示する注視点表示が撮影者の主観的注視点と一致している場合にはそのまま使用し続ければ良く、使用者が変わって両者が不一致となったときに上記の補正値設定をやり直せば良い。視線検出動作時に注視点表示が現れれば、補正値設定の必要性の有無は瞬時に判断でき、また忘れることもない。
前述した様にあまり厳密な注視点位置を要しない時には、眼球光軸方向と注視点方向とのズレを個人差に依らない普遍的定数とし、回路内にたとえばマスクROMの形態等で固定してもよい。なお、この場合も、入力した注視点を表示して位置を確認することもできる。
上記の方法により検出された観察者眼の注視点位置情報に基づき、たとえば第1図(b)の3点19L,19C,19Rの一点において自動焦点調節を行ったり、また後述する様に自動露光補正を行ったりすることができる。上記方法の注視点検出は連続的にもしくは極めて細かいピツチで位置検出可能であるから動体対象が第1図の様に3点に限定されないことはもちろんである。
以上の視線検出は一次元方向のみについて述べたが、一方向のみでなく、直交する2方向の視線の動きを検出するためには、正方形に近い画素を2次元に配列した光電素子列を用いれば良い。プルキンエ第1像を含む様な一次元配列を縦横各々について選び出せば、瞳孔中心を基準とした方法により、直交する2方向での視線位置が求められる。すなわち第11図の様に、観察者眼、瞳孔付近の光像が二次元配列された光電素子列上に結像されており、図中91,92の縦横配列の信号を用いれば良い。光電素子列としては既知のCCD撮像素子や、MOS型撮像素子が使用でき、またプルキンエ第1像の位置を交点として縦横に演算対象とすべき配列を選択することはマイクロコンピユータにより容易に実現できる。
本実施例の場合に於いても、眼球光軸方向と注視点方向のズレを補正する方法は基本的には同じである。すなわち、最も簡易的には人目の解剖学的データの平均値を用い、あらかじめズレ補正量を内蔵していて、検出した眼球光軸方向に対し補正を加える。注視点方向を(X,Y)とすると、X=k(x−x0) (2a)
Y=k(y−y0) (2b)
であり、ここに(x,y)は瞳孔中心もしくは黒目の中心を基準としたプルキンエ第1像の位置、(x0,y0)は観察者が画面中央を注視しているときの(x,y)である。
もう少し正確な注視点方向検出をするためには、特定の撮影者毎に、上記補正量(x0,y0)を検出する。方法的には、たとえば、画面中心を注視しているときの視軸方向の検出、または注視点検出位置表示が撮影者の主観的注視点と一致する様に補正量調整する等の先の述べた方法が使用できる。
以上の説明では、カメラの姿勢は常に固定されていることを前提としていた。視線検出装置の作動をより一般的な条件下で保証するためには、観察者眼の視軸回りに関する眼球とカメラの相対回転量を検出することが望ましい。この回転自由度に対する最も標準的な状況は、第12図の様に観察者眼の水平軸101とカメラの水平軸102とが平行している状態であるが、実際には撮影の要求に伴い第13図のごとく両者が不一致となることがしばしば起こる。最も典型的にはθ=±90°となることが多い。第12図,第13図に於いて103はペンタダハプリズムを用いた一眼レフカメラ、104はペンタダハプリズム後方のフアインダー接眼部より視野観察する観察者眼球である。第13図の眼球とカメラの相対回転の結果、注視点補正量(x0,y0)は次の変更を受ける。
上式により回転量θに応じて補正値(▲
θを計測する一般的方法は光電的方法を用いるのが良く、たとえば目尻の様な目の一部の位置を撮像してカメラ基準座標に対し測定することで観察者眼の水平軸101を相対的に求めることができる。しかし観察者眼の水平軸が固定され、カメラの姿勢のみが変化して撮影フレームを選択することがほとんどであるので、上記θを計測する作業は大体、地球水平線に対するカメラの姿勢検出で置き換えることができる。これにはたとえば第14図の様に、おもり112に結合された摺動子113が鉛直下方を向くことを利用し、可変抵抗器111の基準と摺動子113との成す角で姿勢を検出する検出器が用いられる。図で114は摺動子の回転中心であり、また分圧された電圧の出力端子である。
他方、円環内に水銀116を封入した第15図の水銀スイツチ115を用いても良い。接点117a,117b等の隣接接点間のどこで導通するか調べることにより円環115内に封入された水銀116の所在が判別され、従って鉛直下方の方向が検出される。これら第14図,第15図等の姿勢検出器をカメラ本体に内蔵すれば、カメラの回転が判別されるので、回転量に応じ(3)式を使って視軸計測値に補正を加え、正確な注視点の検出ができる。
本発明は一眼レフカメラにその用途を限定されないことは言うまでもない。第16図は逆ガリレイ式フアインダー系に本発明を適用した例である。フアインダー光学系は基本的には凹レンズ121と凸レンズ122により構成されており、角倍率が1以下のアフオーカル系である。第12図(a)の実施例では、ブロツク状の光学部材123を正レンズと負レンズの中間に配置し、ダイクロイツクミラーもしくはハーフミラー124によりフアインダー光学系と検線検出光学系とを結合している。レンズ125は赤外照明光源127から来た光をコリメートする一方前眼部反射光を光電素子列128の受光面に結像している。126はハーフミラーである。視線検出の方法は第1図実施例と変わらない。第12図(b)は赤外照明系と検出光学系を分離配置した例である。
本発明は銀塩写真カメラのほかビデオカメラやスチルビデオカメラ等フアインダーを有するカメラ一般に好適に用いられる。特に動体を撮影する場合の多いビデオカメラでは本発明は極めて有効である。
本発明に係る視線検出系を有するカメラの用途は自動焦点調節の制御に限定されない。一般にカメラの動作方法を制御する入力手段として使用しうるものである。第17図はカメラの露出制御用測光装置の画面内測光感度分布例を図示したものである。同図(a)では画面内に5個の局所的測光点S1〜S5を配置してある。視線方向を検出することにより、これら5個の測光点の内1個を選択し、その測光出力により露出を制御するようなカメラを構成することが出来る。また第17図(b)は上記局所的測光点の外側により広範囲の測光領域P1〜P5を配してある。たとえば視線方向でS2を指定したときS2を中心に両側の測光情報を加味し
なる量Vを演算し、注視点を中心とした広がりを持った測光感度特性を持たせることが出来る。
さらにシヤツター速度の指定や絞り値の指定、パワーフオーカス,パワーズームの操作、多重露出制御、各種動作モードの切替え等カメラのあらゆる制御方法への意志入力手段として光学装置を構成することが可能である。
〔発明の効果〕
以上、説明した様に本発明によれば、前眼部反射像の位置の変位を把えることにより、また視軸の方向と注視点方向の偏差を補正することにより正しい視線の方向を検出し、自動焦点調節、自動露出制御、及びその他の動作を、撮影者の意のままにコントロールすることが可能となる。本発明は自動機能の簡便性,正確性、高速性と、手動制御の作画上の自由度とを、同時に満たす新規なカメラを提供する。本発明実施例はカメラと観察者眼との位置関係に、自由度を許容しながら高精度の視線検出を、フアインダー系に於いて行う光学的視線検出方法を明示した。
また携帯性を損なわず経済的にも可能な装置として視線検出装置をカメラ内に内蔵したカメラ構成を開示し、新規なカメラ制御の手法を示した。本発明カメラを用いることにより、高度の自動機能を撮影者の意志を正確に反映しながら駆使することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す光学断面図。第2図(a)は部分構成を示す斜視図で、第2図(b)は平面図。第3図は構成部材の平面図。第4図は人眼の説明図。第5図は模型眼の断面図。第6図(a),(b),(c)は眼の反射像を示す図。第7図はプルキンエ像の移動を示す線図。第8図(a)は反射像の検出を説明するための図で、第8図(b)は出力信号を示す図。第9図R>図(a)はピント板の平面図で、(b)は拡大断面図。第10図(a),(b)は夫々、調整器を示す図。第11図は反射像の2次元的な検出を説明するための図。第12図と第13図は夫々、カメラの姿勢変更を説明するための図。第14図と第15図は夫々、姿勢検出器を示す図。第16図(a),(b)は夫々、他実施例を示す光学断面図。第17図(a),(b)は夫々、視野を示す平面図。第18図は従来例を示す斜視図。
図中、2は主ミラー、3はサブミラー、6aは焦点検出装置、6bは露出制御用測光装置、7はピント板、8はペンタ・ダハプリズム、9は接眼レンズ、10は光分割器、11は集光レンズ、12は光分割器、13は照明光源、14は光電変換器である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】物体を観察するためのファインダー光学系と、前記ファインダー光学系を覗いている眼の眼球光軸の方向を検出する検出手段と、前記検出手段の出力に眼球光軸の方向と注視点方向の偏差に当たる補正を行なって前記眼の注視点方向の情報を形成する手段を有することを特徴とする注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項2】物体を観察するためのファインダー光学系と、前記ファインダー光学系を覗いている眼の眼球光軸の方向を検出する検出手段と、前記ファインダの視野内に注視対象を表示する表示手段と、前記眼が前記注視対象を注視した時の前記検出手段の出力を用いて眼球光軸の方向と注視点方向の偏差を検出しておき、前記検出手段の出力に前記偏差に当たる補正を行なって前記眼の注視点方向の情報を出力する補正手段とを有することを特徴とする注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項3】前記表示手段が、前記補正手段から出力された情報に基づいて前記眼の注視点を表示する手段を有することを特徴とする特許請求の範囲第(2)項記載の注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項4】前記表示手段が前記注視対象の位置に前記注視点に表示するように前記補正手段の前記偏差に当たる補正のための補正値を調整する手段を有することを特徴とする特許請求の範囲第(3)項記載の注視点方向検出装置を備える光学装置。
【請求項5】前記補正手段は、前記補正のための補正値をEEPROMに記憶することを特徴とする特許請求の範囲第(2)項記載の注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項6】前記表示手段は前記注視対象を点滅表示することを特徴とする特許請求の範囲第(2)項記載の注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項1】物体を観察するためのファインダー光学系と、前記ファインダー光学系を覗いている眼の眼球光軸の方向を検出する検出手段と、前記検出手段の出力に眼球光軸の方向と注視点方向の偏差に当たる補正を行なって前記眼の注視点方向の情報を形成する手段を有することを特徴とする注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項2】物体を観察するためのファインダー光学系と、前記ファインダー光学系を覗いている眼の眼球光軸の方向を検出する検出手段と、前記ファインダの視野内に注視対象を表示する表示手段と、前記眼が前記注視対象を注視した時の前記検出手段の出力を用いて眼球光軸の方向と注視点方向の偏差を検出しておき、前記検出手段の出力に前記偏差に当たる補正を行なって前記眼の注視点方向の情報を出力する補正手段とを有することを特徴とする注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項3】前記表示手段が、前記補正手段から出力された情報に基づいて前記眼の注視点を表示する手段を有することを特徴とする特許請求の範囲第(2)項記載の注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項4】前記表示手段が前記注視対象の位置に前記注視点に表示するように前記補正手段の前記偏差に当たる補正のための補正値を調整する手段を有することを特徴とする特許請求の範囲第(3)項記載の注視点方向検出装置を備える光学装置。
【請求項5】前記補正手段は、前記補正のための補正値をEEPROMに記憶することを特徴とする特許請求の範囲第(2)項記載の注視点方向検出装置を有する光学装置。
【請求項6】前記表示手段は前記注視対象を点滅表示することを特徴とする特許請求の範囲第(2)項記載の注視点方向検出装置を有する光学装置。
【第1図】
【第2図】
【第3図】
【第4図】
【第6図】
【第5図】
【第7図】
【第8図】
【第9図】
【第10図】
【第11図】
【第12図】
【第13図】
【第14図】
【第15図】
【第16図】
【第17図】
【第18図】
【第2図】
【第3図】
【第4図】
【第6図】
【第5図】
【第7図】
【第8図】
【第9図】
【第10図】
【第11図】
【第12図】
【第13図】
【第14図】
【第15図】
【第16図】
【第17図】
【第18図】
【特許番号】第2763296号
【登録日】平成10年(1998)3月27日
【発行日】平成10年(1998)6月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−105298
【出願日】昭和63年(1988)4月26日
【公開番号】特開平1−274736
【公開日】平成1年(1989)11月2日
【審査請求日】平成6年(1994)7月1日
【出願人】(999999999)キヤノン株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭63−94232(JP,A)
【文献】特開 昭63−54145(JP,A)
【文献】特公 平1−190177(JP,B2)
【登録日】平成10年(1998)3月27日
【発行日】平成10年(1998)6月11日
【国際特許分類】
【出願日】昭和63年(1988)4月26日
【公開番号】特開平1−274736
【公開日】平成1年(1989)11月2日
【審査請求日】平成6年(1994)7月1日
【出願人】(999999999)キヤノン株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭63−94232(JP,A)
【文献】特開 昭63−54145(JP,A)
【文献】特公 平1−190177(JP,B2)
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