説明

洋式便器

【課題】有効に収納できる衣類の支持構造が設けられた洋式便器を提供する。
【解決手段】便器本体1の前面2には、使用者が用便時に降ろすズボン等の衣類を支持するための引掛かり片3が備えられていて、この引掛かり片3は、便器本体1の前面2に設けられた収納凹部4に収納できるようになっていることを特徴としている。又、引掛かり片3は、便器本体1に設けられた軸部を軸にして回動させることで、収納凹部4に対し出し入れされるようになっており、収納した状態では、引掛かり片3の外表面と便器本体1の前面2とが略面一に連続するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、使用者が用便時に降ろすズボン等の衣類を支持する構造が設けられた洋式便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開平10−52383号公報(特許文献1)に示されるように、使用者が用便時に降ろすズボン等の衣類を支持する構造が設けられた洋式便器は知られている。この洋式便器は図3に示すように、便器本体71の前面に回転ピン72が設けられており、この回転ピン72にズボン等の衣類を載せるための衣類受具73が便器本体71とは別体として取り付けられている。この衣類受け具73は回転ピン72を軸にして回動するものであり、用便後には水を貯めるボール部74に収納することができる。
【特許文献1】特開平10−52383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例である洋式便器にあっては、衣類受具73をボール部74に収納するため、ボール部74に流した水が飛び散ることで衣類受具73を汚すことがある。又、汚物を受けるボール部74に衣類受具73を収納することは、使用者に不快感を与えることになる。更に、衣類受具73をボール部74から取り出さないと便器を使用できないため、衣類受具73を必要としない場合は無駄な作業を強いられることとなる。
【0004】
又、衣類受具73をボール部74に収納せずに、便器本体71の前方に設けたままにしておくことも可能であるが、この場合は、衣類受具73に埃等が溜まりやすくなったり、衣類受具73が邪魔になったりという問題が生じる。
【0005】
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、有効に収納できる衣類の支持構造が設けられた洋式便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、便器本体の前面には、使用者が用便時に降ろすズボン等の衣類を支持するための引掛かり片が備えられていて、この引掛かり片は、便器本体の前面に設けられた収納凹部に収納できるようになっていることを特徴としている。
【0007】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の洋式便器において、引掛かり片を収納凹部に収納した状態で、引掛かり片の外表面と便器本体の前面とが略面一に連続することを特徴としている。
【0008】
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の洋式便器において、引掛かり片は、便器本体に設けられた軸部を軸にして回動させることで、収納凹部に対し出し入れされるようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本願請求項1記載の発明の洋式便器においては、引掛かり片を備えることで、使用者が用便時に降ろすズボン等の衣類を支持できるため、衣類が床に触れて汚れることで不衛生になるのを防ぐことができる。
【0010】
又、引掛かり片は便器本体の前面に設けられた収納凹部に収納できるため、埃が溜まったり、水が飛び散ったりして汚れることがなく、快適に利用することができる。更に、この洋式便器は引掛かり片を収納したままでも使用可能なため、引掛かり片を必要としない場合においても、特別な作業を強いられることなく使用することができる。
【0011】
又、本願請求項2記載の発明の洋式便器においては、収納時において、引掛かり片の外表面と便器本体の前面とが略面一に連続するため、便器本体の外観を悪くすることなくコンパクトに引掛かり片を収納することができる。
【0012】
又、本願請求項3記載の発明の洋式便器においては、便器本体に軸部を設けているため、引掛かり片は、軸部を軸にして回動させることで容易に収納凹部に対して出し入れすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1、2は、本願請求項1〜3に対応した一実施形態である洋式便器を示している。この洋式便器は、便器本体1の前面2に、使用者が用便時に降ろすズボン等の衣類を支持するための引掛かり片3が備えられていて、この引掛かり片3は、便器本体1の前面2に設けられた収納凹部4に収納できるようになっている。又、引掛かり片3は、便器本体1に設けられた軸部5を軸にして回動させることで、収納凹部4に対し出し入れされるようになっており、収納した状態では、引掛かり片3の外表面33と便器本体1の前面2とが略面一に連続するようになっている。
【0014】
以下、この実施形態の洋式便器を、より具体的詳細に説明する。図1、2に示された洋式便器は、水を溜めるボール部6が設けられた便器本体1に、便座、便蓋等が取り付けられた一般的な洋式便器である。便器本体1の前面2には、収納凹部4と、収納凹部4に収まる状態で軸部5とが設けられており、軸部5には引掛かり片3が取り付けられている。又、便器本体1はセラミックス、合成樹脂等の材料で形成されている。
【0015】
引掛かり片3は、板部31と、板部31の内表面34における上端付近に設けられた突起部32とからなり、板部31は便器本体1と同じ材料で形成されており、突起部32は金属で形成されている。又、板部31の側面には軸部5が貫通しており、軸部5を軸にして回動させることで、引掛かり片3を収納凹部4に対して出し入れできるようになっている。具体的には、収納時において、板部31における軸部5より下側の外表面33を押し込むことで引掛かり片3を突出させ、突出した状態で、板部31における軸部5より上側の外表面33を押し上げることで引掛かり片3を収納する。
【0016】
収納凹部4は、断面から見て、引掛かり片3の上側部分が収まる長方形部分と、この長方形部分の底辺に接続して、引掛かり片3の下側部分が回動するスペースとなる扇形部分とが便器本体1の前面2から切り取られた形で設けられている。引掛かり片3が突出した状態において、板部31の下方は、収納凹部4における扇形部分が切り取られて形成された下向き表面42に接触しており、この下向き表面42がストッパーとなることで引掛かり片3は保持されている。
【0017】
又、収納凹部4の表面における上側部分は磁石41で形成されており、収納時に、この磁石41で形成された部分に突起部32の先端がくっつくことで引掛かり片3は保持される。又、この収納時において、引掛かり片3は、板部31の外表面33と便器本体1の前面2とが略面一に連続した状態で保持されている。なお、ここでは突起部32を磁石41にくっつく鉄のような金属として形成し、収納凹部4側に磁石41を設けているが、突起部32を磁石41として形成し、収納凹部4側に金属を設ける、或いは、両者とも磁石41としてもよい。
【0018】
したがって、この実施形態の洋式便器においては、引掛かり片3を備えることで、使用者が用便時に降ろすズボン等の衣類を支持できるため、衣類が床に触れて汚れることで不衛生になるのを防ぐことができる。又、引掛かり片3には突起部32が設けられているため、ズボン等の衣類を突起部32に引掛けることで安定して支持することができる。
【0019】
又、引掛かり片3は便器本体1の前面2に設けられた収納凹部4に収納できるため、埃が溜まったり、水が飛び散ったりして汚れることがなく、快適に利用することができる。又、収納時において、引掛かり片3の外表面33と便器本体1の前面2とが略面一に連続するため、便器本体1の外観を悪くすることなくコンパクトに引掛かり片3を収納することができる。更に、この洋式便器は引掛かり片3を収納したままでも使用可能なため、引掛かり片3を必要としない場合においても、特別な作業を強いられることなく使用することができる。
【0020】
又、便器本体1に軸部5を設けているため、引掛かり片3は、軸部5を軸にして回動させることで容易に収納凹部4に対して出し入れすることができる。
【0021】
又、突起部32が磁石41にくっつく金属で形成され、収納凹部4の表面における上側部分は磁石41で形成されているため、収納時に磁石41と突起部32とをくっつけることで、容易に引掛かり片3を収納凹部4内に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明の一実施形態である洋式便器を示す斜視図。
【図2】同様式便器における引掛かり片の回動状態を示す断面図。
【図3】従来例である洋式便器を示す断面図。
【符号の説明】
【0023】
1 便器本体
2 前面
3 引掛かり片
31板部
32突起部
33外表面
34内表面
4 収納凹部
5 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の前面には、使用者が用便時に降ろすズボン等の衣類を支持するための引掛かり片が備えられていて、この引掛かり片は、便器本体の前面に設けられた収納凹部に収納できるようになっていることを特徴とする洋式便器。
【請求項2】
引掛かり片を収納凹部に収納した状態で、引掛かり片の外表面と便器本体の前面とが略面一に連続することを特徴とする請求項1記載の洋式便器。
【請求項3】
引掛かり片は、便器本体に設けられた軸部を軸にして回動させることで、収納凹部に対し出し入れされるようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の洋式便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−197934(P2007−197934A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15319(P2006−15319)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】