説明

洋風便器装置

【課題】便器本体に溜水した際に、溜水の水位面に汚れが滞留して、付着しにくい構造とした洋風便器装置を提供する。
【解決手段】便器本体2に溜水するボウル部3を備える洋風便器装置1において、ボウル部3の溜水4内で泡粒8を発生させるバブル発生装置10を備えており、溜水4内で直接、泡粒8を発生させることで溜水4の水位面41を変動させて、汚れが滞留して付着することがないようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗式の洋風便器装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水洗式の洋風便器装置で溜水内に泡粒を供給するものは、たとえば下記特許文献1に示すようなものが存在する。
また、本出願人は、特願2005−216380号において、以下の構成の洋風便器装置を提案している。
図4に示すように、洋風便器装置100は、便座110と便蓋120を有し、上面が開口したボウル部300を備えた便器本体200と、ボウル部300に洗浄水を供給させる洗浄水供給装置600と、微細泡粒を洗浄水に供給する微細泡粒発生装置700とを有している。
【0003】
便器本体200は、上端面前部にボウル部300に通じるリム部900を形成しており、上端面の後部にはロータンク604や、使用者の局部を洗浄する温水洗浄装置などを載置可能にする載置面800が形成されており、ボウル部300の上方開口縁にはリム部900が形成されており、ボウル部300の排水部分にはトラップ装置500が設けられ、トラップ装置500を乗り越えない程度に溜水400が貯留されている。
【0004】
また、洗浄水供給装置600は、水道水などの洗浄水を一旦ロータンク604内に溜め、その所定水量を洗浄水流路601を介して吐水部602からボウル部300に放流させており、洗浄水は、ボウル部300内に直接吐出されたり、リム部900を介してボウル部300の周囲からボウル部300内に吐出されるようになっている。なお、603は、水道管からロータンク内への洗浄水を供給、停止するための洗浄水供給弁を示す。
【0005】
一方の微細泡粒発生装置700は、ロータンク604内へ供給する洗浄水に気体を混入させて気体混合洗浄水を得る気体混入部701と、気体混入部701から洗浄水が逆流することを防止する逆止弁702と、水道管からロータンク604内へ洗浄水を圧送するエアポンプ703と、ロータンク604と兼用して構成され、エアポンプ703で圧送された気体混合洗浄水の泡粒を高圧下で洗浄水に溶解させて気体溶解洗浄水を得る溶解タンク704と、気体溶解洗浄水内の気体を析出させて微細泡粒を発生させて微細泡粒含有洗浄水を得る析出部705とを備える。
【0006】
このような便器装置では、ロータンク604内の洗浄水をボウル部300に流し込めば、微細泡粒含有洗浄水としてボウル部300に流れるので、大量の微細泡粒が便器表面へ衝突して破裂することにより、ボウル部300内面の汚れを剥離させることができる。また、微細泡粒界面が有する吸着特性により汚れへ吸着して剥離させて浮上分離させたり、微細泡粒表面が負に帯電することによって汚染物質に静電吸着して微細泡粒で包むことができ、ボウル部300の洗浄効果を発揮することができる。
【特許文献1】特開2004−270163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の洋風便器装置では、予め微細泡粒発生装置によって得た洗浄水を、適宜、ボウル部内に流し込んで、溜水に微細泡粒を供給しているので、上記したように、気体混入部、逆止弁、エアポンプ、溶解タンク、析出部、ロータンクを便器本体に備える必要があり、構造が複雑となり、便器本体が大型化してしまい、トイレスペースを広く確保する必要があった。
【0008】
また、このような洋風便器装置では、便器を使用していない間も、ボウル部に溜水しているので、溜水をそのまま放置しておけば、ボウル部の内面は、溜水の水位面に水垢や、排出されなかった汚物が滞留して汚れが付着してしまうが、そのための対策は何らされていなかった。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮して提案されるものであり、便器本体の溜水に泡粒を発生させる構成を簡易に実現して、ボウル部の洗浄効果を確保するとともに、溜水の水位面に汚れが付着することを防止できる洋風便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1では、ボウル部の溜水内で泡粒を発生させるバブル発生装置を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項2では、バブル発生装置は、発生したエアーをボウル部の底面に設けたエア吐出孔より放出することを特徴とする。
【0012】
請求項3では、便器本体は、ボウル部の溜水内に洗浄剤を注入させる洗浄剤注入装置を更に備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4では、バブル発生装置は、エアー供給管を通じてエアー吐出孔に接続されており、該エアー供給管の途中には、ボウル部の溜水の逆流を防止する逆止弁を介設していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,2によれば、ボウル部の内部に泡粒を供給する泡供給装置を備えているので、洗浄水に泡粒を混入させることなく、溜水内で泡粒を直接発生させて溜水をかき乱すことで溜水面を変動させることで、ボウル部内面の溜水の水位面に汚物や水垢が滞って付着することを防止できる。
また、溜水で泡粒を発生させるため、新たに洗浄水を流し込む必要がなく、水道代を節約することができる。更に、溜水で発生している泡粒があるので、排泄時に、溜水がはねかえってくることを防止できる。
【0015】
請求項3によれば、便器本体には、ボウル部の溜水内に洗浄剤を注入させる洗浄剤注入装置を備えるので、泡粒によりかき乱されて運動を続ける溜水によって洗浄剤の泡沫が形成でき、より洗浄効果を発揮できる。
請求項4では、エアー供給孔に接続されるエアー供給管の途中には、逆止弁を介設しているので、エアー供給孔から、ボウル内の溜水が逆流することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の洋風便器装置の外観例を示す斜視図である。図2は、このような洋風便器装置の縦断面構造を示す図である。
このような構造の本発明の洋風便器装置1は、上面が開口したボウル部3を備えたスカート式の便器本体2にはリム部9が形成され、リム部9の上に便座11を下ろして使用者が着座するようになっている。なお、12は便蓋を示している。
便器本体2の上端面の前部にはボウル部3が開口し、図2に示したトラップ装置5を越えない水量の溜水4が溜められるようになっている。なお、41は溜水4の水位面である。
【0018】
便器本体2には、図示しない洗浄水供給装置が備えられており、ボウル部3内に洗浄水を流し込むことにより、ボウル部3の内面に排泄物などを付着し難くできる。
ボウル部3の底部には、エアーを放出するエアー吐出孔15が形成されており、ここから溜水4内にエアーを供給して泡粒8を発生させる。
また、ボウル部3の内側面には、溜水4に洗浄剤を混入するための洗浄剤混入孔17を形成している。
【0019】
便器本体2の内部には、溜水4に泡粒8を発生させ、溜水4をかき乱すためのバブル発生装置10を備えている。このバブル発生装置10は、ここでは、エアー送気装置10で構成されており、ここからエアー供給管13が導出されており、その先端にエアー吐出孔15を設けており、エアー供給管13には溜水4が逆流することを防止する逆止弁11を介設している。
エアー送気装置10は、エアフィルター18、吸気管14を通じて吸気し、エアー供給管13を通じてエアー吐出孔15より加圧したエアーを、ボウル部3の溜水4内に放出する。
【0020】
また、便器本体2の内部には、例えば界面活性剤で構成した洗浄剤が予め充填されて、洗浄剤注入管19を通じて洗浄剤注入孔17より注入する洗浄剤注入装置16を備えている。
【0021】
このような構成によれば、エアー送気装置10を作動させて、エア吐出孔15よりエアーを溜水4内に放出させれば、溜水4内で泡粒8が発生し、溜水4をかき乱して溜水の水位面41を変動させることができるので、ボウル部3溜水4の水位面41に汚物や水垢が滞って付着するのを防止できる。
また、同時に洗浄剤注入装置16から洗浄剤を溜水4内に注入させると、溜水4は泡粒8によってかき乱されながら、その内部で洗浄剤の泡沫を形成するので、より洗浄効果をアップできる。
【0022】
更に、溜水4で発生した泡粒8は、比重の相違により溜水4の水位面に浮き上がるので、水位面41に汚物や水垢を付着しがたく出来、付着している場合には、それらを除去する効果もある。
【0023】
エアー供給、洗浄剤注入は、使用前、使用後など、使用者が図示しないスイッチの操作により手動で行う他、定期的に自動で行うなどの自動制御にすれば、利便にできる。センサ手段を付加接続して、使用者の入室時、退出時などに行ってもよい。
【0024】
図3は、本発明の洋風便器装置の他例を示す縦断面構造図である。
図1,2に示した洋風便器装置1では、サイホン式のトラップ装置5を用いているが、この洋風便器装置1Aは、スカート部を設けておらず、便器本体2の内部にボウル部3を設け、ターントラップ式のトラップ装置5Aを備えている。このような洋風便器装置1Aでは、トラップ装置5Aは、蛇腹構造により屈曲柔軟性を有するトラップホース51と、トラップホース51の先端に取り付けられる終端部材52とを備えており、終端部材52には、図示しないモータの駆動により回転される回転軸部54の回転を伝えるアーム部材53を連結している。
【0025】
このようなターントラップ式のトラップ装置5Aを用いた洋風便器装置1Aでは、ボウル部3内に溜水しているときには、トラップホース51は、上向きになっているが、排水時に、図示しない電磁弁を開くと、洗浄水を、洗浄水流路61、吐水部62を通じて、ボウル部3の内面に流す。
これと同時に、トラップ装置5Aは、モータの駆動により回転軸部54が矢印方向に回転するので、回転軸部54の回転がアーム部材53に伝達されて、回転軸部54を中心に矢印方向に回転する。すると、アーム部材53に取り付けた終端部材52がトラップホース51を下向き位置に向けるので、ボウル部3に溜まった溜水4は、トラップホース51を収容した空間55を通じて、これに連通された不図示の排水路に排出され、溜水4の排出後は、アーム部材53を逆方向に回転させてトラップホース51を元の上向き位置に復帰させた状態で再び、ボウル部3内に溜水するようにしている。
なお、バブル発生装置、その関連部品については、図1、図2の場合と同じ符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の洋風便器装置の外観例を示す斜視図
【図2】洋風便器装置の縦断面構造を示す図
【図3】本発明の洋風便器装置の他例の縦断面構造図
【図4】従来の洋風便器装置の構成を示す縦断面図
【符号の説明】
【0027】
1,1A 洋風便器装置
2 便器本体
3 ボウル部
4 溜水
41 その水位面
10 バブル発生装置(エアー送気装置)
11 逆止弁
13 エアー供給管
15 エアー吐出孔
16 洗浄剤注入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に溜水するボウル部を備える洋風便器装置において、
上記ボウル部の溜水内で泡粒を発生させるバブル発生装置を備えていることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記バブル発生装置は、発生したエアーを上記ボウル部の底面に設けたエアー吐出孔より放出することを特徴とする洋風便器装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記便器本体は、上記ボウル部の溜水内に洗浄剤を注入させる洗浄剤注入装置を更に備えていることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
上記バブル発生装置は、エアー供給管を通じて上記エアー吐出孔に接続されており、該エアー供給管の途中には、上記ボウル部の溜水の逆流を防止する逆止弁を介設していることを特徴とする洋風便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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