説明

洋風便器装置

【課題】水洗手段による水洗を所定の条件に従って自動的に行い、ボウル面やボウル部の溜水内、該溜水の喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制する洋風便器装置を提供する。
【解決手段】ボウル部11内を水洗する水洗手段40と、該水洗手段の作動がなされる毎に経過時間を計測し、該経過時間が予め定められた所定の基準経過時間を超えたときには、前記水洗手段を作動する制御手段36とを備えた構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋風便器装置に関し、詳しくは、水洗手段を制御する機能を備えた洋風便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、洋風便器装置は、種々の装置を備えたものが提供されており、例えば、人体の在、不在を検知する人体検知センサからの信号に基づいて、便蓋の開閉を自動で行う便蓋自動開閉機構を備えたものや、該人体検知センサからの信号に基づいて、水洗給水システムを自動的に作動してボウル部内に排泄された汚物を自動洗浄する機能を備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、そのような自動洗浄装置を備えた便器装置が提案されている。
このものでは、人体検知センサユニットを、ロータンクが内蔵されたケースの側部上端に設け、該人体検知センサユニットにより使用者の在、不在を検知して、便蓋や便座を自動的に開閉し、使用者の不在を検知すると、自動洗浄を行いボウル部内に排泄された汚物を水洗用水とともに、ボウル部底部の排水口より排水する構成とされている。
【0004】
ところで、洋風便器装置においては、前記したような自動洗浄を行う便器装置の他に、便器本体側部に付設されている水洗レバー、あるいはリモコンの水洗ボタンなどの操作により水洗給水システムを作動させる構成としたものもある。
【特許文献1】特開2006−204381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
頻繁に便器の使用がなされて、前記したように水洗給水システムの作動が頻繁になされ、ボウル部の水洗、すなわちボウル部の給排水が頻繁になされる場合は、問題とはならないが、長期的に使用がなされない場合は、ボウル部の溜水の入れ換えが行われず、該溜水内や該溜水の喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖の恐れや、ボウル面などに付着し、残存している排泄物等に起因するボウル面での細菌やカビの発生、繁殖の恐れがあった。
【0006】
本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、その目的は、水洗手段による水洗を所定の条件に従って自動的に行い、ボウル面やボウル部の溜水内、該溜水の喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制する洋風便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の洋風便器装置は、ボウル部内を水洗する水洗手段と、該水洗手段の作動がなされる毎に経過時間を計測し、該経過時間が予め定められた所定の基準経過時間を超えたときには、前記水洗手段を作動する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2では、請求項1において、トイレ室内の室温を検知する温度検知手段を更に備えており、前記基準経過時間は、第1の基準経過時間と、該第1の基準経過時間よりも大きい第2の基準経過時間とを組み合わせて定義され、前記制御手段は、前記経過時間が、前記第1の基準経過時間を超える前に、前記温度検知手段の計測値が予め定められた閾値以上となったときには、前記第1の基準経過時間を超えたときに前記水洗手段を作動させる一方、前記経過時間が、前記温度検知手段の計測値が前記閾値を超えないままで前記第1の基準経過時間を超えたときには、前記第2の基準経過時間を超えたときに前記水洗手段を作動させることを特徴とする。
【0009】
請求項3では、請求項1または2において、人体の在、不在を検知する人体検知手段を更に備えており、前記制御手段は、人体の在を検知したときには、前記経過時間の計測をリセットすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1乃至3に記載の洋風便器装置によれば、水洗手段の作動がなされる毎に経過時間を計測し、該経過時間が予め定められた所定の基準経過時間を超えたときには、前記水洗手段を作動する構成としているので、長期的に使用がなされない場合でも、前記経過時間が前記所定の基準経過時間を超えたときに該水洗手段が作動され、ボウル面やボウル部の溜水内、該溜水の喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制することができる。
【0011】
請求項2では、トイレ室内の室温を検知する温度検知手段を更に備え、前記基準経過時間を、第1の基準経過時間と、該第1の基準経過時間よりも大きい第2の基準経過時間とを組み合わせて定義し、前記経過時間が、前記第1の基準経過時間を超える前に、前記温度検知手段の計測値が予め定められた閾値以上となったときには、前記第1の基準経過時間を超えたときに前記水洗手段を作動させる一方、前記経過時間が、前記温度検知手段の計測値が前記閾値を超えないままで前記第1の基準経過時間を超えたときには、前記第2の基準経過時間を超えたときに前記水洗手段を作動させる構成としているので、効果的にボウル面やボウル部の溜水内、該溜水の喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制することができる。
すなわち、高温時には低温時よりも頻繁に水洗手段の作動がなされるように前記第1の基準経過時間を第2の基準経過時間よりも短く設定することで、特に細菌やカビの発生、繁殖が活発となる高温時に頻繁に水洗手段の作動がなされるので、効果的にボウル面やボウル部の溜水内、該溜水の喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制できる一方、低温時には高温時よりも頻繁に水洗手段の作動がなされないように設定することで、節水効果が得られる。
【0012】
請求項3では、人体の在、不在を検知する人体検知手段を更に備え、人体の在を検知したときには、前記経過時間の計測をリセットする構成としているので、使用者が使用している際に、前記経過時間が前記所定時間を超えたときにも水洗手段の作動がなされないので、使用者の意図に反して使用中に水洗手段が作動されることなく、快適に便器の使用ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至図3は、第1実施形態に係る洋風便器装置を示し、図1は、本実施形態の洋風便器装置を示す概略平面図、図2は、本実施形態に係る洋風便器装置の内部構成を示すブロック図、図3は、本実施形態に係る洋風便器装置で実行される自動水洗の基本動作の一例を示すフローチャートである。
【0014】
図1に示す洋風便器装置Aでは、便器本体10の後部に水洗タンクを備えていない、水道配管直結方式、いわゆるタンクレスタイプのものを図示しているが、水洗タンクを備えたものにも本発明の適用が可能である。
図例の便器本体10は、ボウル部11の上端に周設されたリム部12と、ボウル部11の外周に形設されたスカート部(不図示)と、後述する各種装置や制御手段、水洗手段を内蔵する便蓋・便座設置部13と、便蓋・便座設置部13に回動自在に支持された便蓋14及び便座(不図示)と、該スカート部の後方にボウル部11底部の排水口15から汚物や水洗用水を排出する際に作動させるトラップ部(不図示)などを内包するサイドカバー(不図示)などを備えている。
尚、図1において、便器本体10の後方から導出された16は、トラップ部の作動により排出されたボウル部11内の汚物、排水を排出するための排水管である。
【0015】
便蓋・便座設置部13は、硬質の樹脂材で成形された下ケースと、下ケースに結合される上ケースと、下ケースと上ケース内に配設され、各種装置や水洗手段、制御手段から構成される装置ユニット30とで構成されている。
装置ユニット30は、人体の局部を洗浄するおしり洗浄ノズル31aやビデ洗浄ノズル31bを備えた局部洗浄装置31、人体の局部を乾燥する乾燥装置32、ボウル部内の空気を脱臭する脱臭装置33、リム部12への水洗用水を給水する水洗手段を構成する水洗給水ユニット40、トイレ室内に配設された後記する便器用リモートコントローラ20との各種信号の送受信を無線により可能にする赤外線送受信部(不図示)、人体の在、不在を検知する人体検知センサ34、便座への着座の有無を検知する着座センサ(不図示)、便蓋14及び便座の開閉駆動を行う便蓋・便座開閉駆動機構(不図示)、トイレ室内の室温を検知する温度検知手段を構成する室温サーミスタ35、前記各種装置を制御する制御手段を構成し、後記するCPU36などを備える制御基板37から構成されている。
【0016】
水洗給水ユニット40は、トイレ室内壁から導出された水道管41が止水栓41aを介して、便器本体10の側壁(サイドカバーの側壁)から導入されて、便蓋・便座設置部13内に形成された給水路42と、給水路42から分岐部43を介して、分岐した便器用給水路44と局部洗浄用給水路45とを有している。
便器用給水路44は、一端が給水用電磁弁46を介して分岐部43と連結されており、他端が水洗用水を給水するリム部12へ向けて開口する吐出口44aを形成している。
局部洗浄用給水路45は、一端が局部洗浄用電磁弁47を介して分岐部43と連結されており、他端が加熱手段(不図示)を備えた温水タンク48を介して局部洗浄装置31の各ノズルに連結されている。
【0017】
室温サーミスタ35は、NTCやPTCなどの感温素子からなる公知のサーミスタであり、本実施形態では、便蓋・便座設置部13の各種装置から離間した位置の便器本体10の側壁近くの便蓋・便座設置部13内に配設されており、測定したトイレ室内の室温を適宜、後記するCPU36へ送信する構成としている。
尚、温度検知手段としては、トイレ室内の温度の計測が可能で、計測値をCPU36に送信できるものであればどのようなものでもよく、また、配設箇所も図例のものに限られずトイレ室内の温度の計測が可能な箇所であればどこでもよい。
【0018】
また、本実施形態に係る洋風便器装置Aは、トイレ室内壁に配設され、便器本体10と各種信号を送受信する便器用リモートコントローラ20を備えている。
便器用リモートコントローラ20は、便器本体10との各種信号の送受信を無線により可能にするリモコン側赤外線送受信部(不図示)を備え、上面には、便座を開駆動するための便座開駆動ボタン21と、水洗給水システム40を作動し、水洗を行うための水洗大ボタン22及び水洗小ボタン23とが配設されており、前面には、前記した各種装置の作動、設定を行うための各種操作ボタン(不図示)が配設されている。
【0019】
CPU36は、制御手段を構成し、便蓋・便座設置部13内の一内側壁に配設されており、前記した各種装置と信号線を介して各種信号の送受信を行い、各種装置を制御するとともに、水洗給水ユニット40の作動がなされる毎に経過時間を計測するクロックタイマ36a、後記する閾値や所定の基準経過時間を記憶する記憶部36bを備え(図2参照)、後記するように所定の態様で、水洗給水ユニット40を作動させる。
【0020】
水洗給水ユニット40の作動をCPU36で検知するには、給水用電磁弁46の開閉動作、あるいは使用者の水洗大ボタン22、水洗小ボタン23の押下げ操作を検知する構成として、水洗給水ユニット40の作動を検知する毎にクロックタイマ36aを起動し、経過時間を計測する構成としてもよい。
【0021】
前記のように構成された洋風便器装置Aでは、人体検知センサ34が、人体の在、すなわち、トイレ室内への使用者の入室を検知すると、便蓋・便座開閉駆動機構を作動し、便蓋を開駆動し、着座センサが、着座を検知すると脱臭装置33を作動し、ボウル部11内に臨む吸気口からボウル部11内の空気を吸い込み脱臭する。
使用者が便器用リモートコントローラ20の局部洗浄装置作動ボタン(不図示)を押下げると、局部洗浄装置31を作動し、リム部12の後方側壁に開口しボウル部11内に臨むノズル出入口から作動ボタンに応じたノズル31a、31bを突き出し、洗浄水を噴出させる。
【0022】
また、使用者が便器用リモートコントローラ20の乾燥装置作動ボタン(不図示)を押下げると、乾燥装置32を作動し、リム部12の後方側壁に開口しボウル部11内に臨む温風吐出口からボウル部11内へ加熱手段(不図示)で加熱された温風を吐出し、人体の局部を乾燥する構成としている。
さらに、人体検知センサ34が人体の不在を検知すると、脱臭装置33の作動を停止し、所定時間経過後、あるいは使用者の水洗大ボタン23、水洗小ボタン22の押下げ操作に従い水洗給水ユニット40を作動し、リム部12への給水を行い、ボウル面を洗浄し、トラップ部を排出状態に作動してボウル部11内に排泄された汚物の排出を行う。
また、排水後は、トラップ部を通常状態に戻してボウル部11内の溜水Wが常時、所定水位となるような構成としている。
尚、局部洗浄装置31、乾燥装置32、脱臭装置33、トラップ部などの各種装置や各種センサの具体的構成は省略するが、公知のものが適用可能である。
【0023】
次に、前記のように構成された洋風便器装置AにおけるCPU36の制御による自動水洗の基本動作を図3のフローチャートに基づいて説明する。
CPU36では、経過時間が記憶部36bに格納された所定の基準経過時間、すなわち本実施形態では、所定の基準経過時間として組み合わせて定義された第1の基準経過時間(T1)、第2の基準経過時間(T2)を超えたかどうか、室温サーミスタ35の計測値が予め定められた閾値を超えたかどうかを常に監視している。
尚、以下の基本動作の説明では、閾値を20度、第1の基準経過時間を24時間(T1)、第1の基準経過時間よりも大きい第2の基準経過時間を48時間(T2)として説明する。
【0024】
まず、水洗給水ユニット40の作動を検知すると、あるいは初期設定後、クロックタイマ36aを起動し、経過時間を計測するとともに、室温サーミスタ35で計測された室温が適宜、CPU36に送信される(ステップ100)。
経過時間がT1を超える前に、室温サーミスタ35の計測値が20度以上となったときには、経過時間がT1を超えたときに水洗給水ユニット40を作動させる(ステップ101、107、108、104)。
一方、室温サーミスタ35の計測値が20度を超えずに経過時間がT1を超えたときには、経過時間がT2を超えたときに水洗給水ユニット40を作動させる(ステップ101、107、103、104)。
また、CPU36では、前記したように水洗給水ユニット40の作動がなされると、クロックタイマ36aをリセットし、再起動して、再度、前記動作を繰り返す(ステップ102、105、106、109、104、100)。
【0025】
すなわち、前記基本動作では、水洗給水ユニット40の作動がなされない状態で24時間(T1)以内に室温が20度を一度でも超えると、経過時間が24時間(T1)を超えたときに、水洗給水ユニット40を作動させる一方、室温が20度未満、かつ水洗給水ユニット40の作動がなされない状態が24時間(T1)以上継続すると、水洗給水ユニット40の作動がなされない状態で経過時間が48時間(T2)を超えたときに水洗給水ユニット40を作動させる態様としている。
【0026】
前記構成、基本動作によれば、長期的に使用がなされない場合、すなわち水洗給水ユニット40の作動が長期的になされない場合でも、前記したように水洗給水ユニット40が作動され、ボウル面やボウル部11の溜水W内、溜水Wの喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制することができる。
また、本実施形態では、室温の閾値と、該閾値以上、未満に応じて第1、第2の基準経過時間(T1、T2)を設定して、室温に応じて水洗給水ユニット40の作動がなされる時間を可変する構成としているので、効果的にボウル面やボウル部11の溜水W内、溜水Wの喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制することができる。
すなわち、高温時には低温時よりも頻繁に水洗給水ユニット40の作動がなされるように第1の基準経過時間(T1)を第2の基準経過時間(T2)よりも短く設定することで、特に細菌やカビの発生、繁殖が活発となる高温時に頻繁に水洗給水ユニット40の作動がなされるので、効果的にボウル面やボウル部11の溜水W内、溜水Wの喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制できる一方、低温時には高温時よりも頻繁に水洗給水ユニット40の作動がなされないように設定することで、節水効果が得られる。
【0027】
尚、前記した基本動作において、前記した人体検知センサ34により、人体の在、不在を検知、すなわち使用者のトイレ室内への入室を検知して、人体の在を検知したときには、経過時間の計測をリセットする態様としてもよい。
すなわち、ステップ102、105、106、109において人体の在を検知するとクロックタイマ36aをリセットし、再起動して、再度、前記動作を繰り返す態様としてもよい。
これによれば、使用者が使用している際に、経過時間が第1の基準経過時間(T1)、第2の基準経過時間(T2)を超えたときにも水洗給水ユニット40の作動がなされないので、使用者の意図に反して使用中に水洗給水ユニット40が作動されることなく、快適に便器の使用ができる。
【0028】
尚、前記した閾値及び第1、第2の基準経過時間は、前記したものに限られず、細菌やカビの発生や繁殖条件を阻害し抑止可能な閾値としての室温条件、及びそれらに応じた所定の基準経過時間を適宜、設定すればよい。
【0029】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明に係る洋風便器装置の第2実施形態で実行される自動水洗の基本動作の一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、第1実施形態にて適用した室温サーミスタ35は必須のものではなく、それ以外の構成は図1及び図2に基づいて説明した第1実施形態と同様であるため説明を省略し、自動水洗の基本動作を以下に説明する。
尚、以下の基本動作の説明では、予め定められた所定の基準経過時間を24時間として説明する。
【0030】
まず、水洗給水ユニット40の作動を検知すると、あるいは初期設定後、クロックタイマ36aを起動し、経過時間を計測し、経過時間が24時間を超えたときには、水洗給水ユニット40を作動する(ステップ200〜202)。
また、CPU36では、前記したように水洗給水ユニット40の作動がなされると、クロックタイマ36aをリセットし、再起動して、再度、前記動作を繰り返す(ステップ202、203、200)。
【0031】
前記構成、基本動作によれば、簡易な構成により長期的に使用がなされない場合、すなわち水洗給水ユニット40の作動が長期的になされない場合でも、前記したように水洗給水ユニット40が作動され、ボウル面やボウル部11の溜水W内、溜水Wの喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制することができる。
尚、第1実施形態と同様、人体検知センサ34により、人体の在、不在を検知、すなわち使用者のトイレ室内への入室を検知して、検知したときには、経過時間の計測をリセットする態様としてもよい。
【0032】
また、本実施形態では所定の基準経過時間を24時間として説明したが、これに限られず、例えば、冬期モード、梅雨期モード、夏期モードなど季節に応じたモード設定が可能な構成とし、それぞれのモードに応じて所定の基準経過時間を予めCPU36の記憶部36aに記憶させる構成とし、使用者の操作によりモード設定する構成としてもよい。
この場合、特に細菌やカビが発生、繁殖し易い梅雨期モードや夏期モードでは、所定の基準経過時間を短く設定し、水洗給水ユニット40を頻繁に作動することが好ましく、例えば、冬期モードでは、所定の基準経過時間を48時間、梅雨期モードや夏期モードでは、所定の基準経過時間を24時間などとして設定してもよい。
これにより、季節に応じて設定された条件で水洗給水ユニット40の作動がなされるので、特に細菌やカビの発生、繁殖が活発となる梅雨期や夏期に頻繁に水洗給水ユニット40の作動がなされて、効果的にボウル面やボウル部11の溜水W内、溜水Wの喫水面付近での細菌やカビの発生、繁殖を抑制できる一方、冬期には梅雨期や夏期よりも頻繁に水洗給水ユニット40の作動がなされないように設定することで、節水効果が得られる。
【0033】
さらに、前記各実施形態、本発明に係る他の実施形態において、前記自動水洗時、すなわち前記したような所定の条件に従って水洗給水ユニット40を作動させる際には、大水洗ではなく、小水洗とすることが好ましい。これにより節水効果が得られる。
さらにまた、大水洗、小水洗の作動による給水よりも少水量、例えば、少なくともボウル部11の溜水Wの入れ換えが可能となる水量を給水する自動水洗モードを大水洗、小水洗とは別に設定してもよい。これによれば、更なる節水効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る洋風便器装置の実施形態の一例を模式的に示す概略平面図である。
【図2】本発明に係る洋風便器装置の同実施形態における内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る洋風便器装置の同実施形態で実行される自動水洗の基本動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る洋風便器装置の他の実施形態で実行される自動水洗の基本動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
11 ボウル部
34 人体検知センサ(人体検知手段)
35 室温サーミスタ(温度検知手段)
36 CPU(制御手段)
40 水洗給水ユニット(水洗手段)
A 洋風便器装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部内を水洗する水洗手段と、該水洗手段の作動がなされる毎に経過時間を計測し、該経過時間が予め定められた所定の基準経過時間を超えたときには、前記水洗手段を作動する制御手段とを備えたことを特徴とする洋風便器装置。
【請求項2】
請求項1において、
トイレ室内の室温を検知する温度検知手段を更に備えており、
前記基準経過時間は、第1の基準経過時間と、該第1の基準経過時間よりも大きい第2の基準経過時間とを組み合わせて定義され、
前記制御手段は、前記経過時間が、前記第1の基準経過時間を超える前に、前記温度検知手段の計測値が予め定められた閾値以上となったときには、前記第1の基準経過時間を超えたときに前記水洗手段を作動させる一方、
前記経過時間が、前記温度検知手段の計測値が前記閾値を超えないままで前記第1の基準経過時間を超えたときには、前記第2の基準経過時間を超えたときに前記水洗手段を作動させることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
人体の在、不在を検知する人体検知手段を更に備えており、
前記制御手段は、人体の在を検知したときには、前記経過時間の計測をリセットすることを特徴とする洋風便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−138365(P2008−138365A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322741(P2006−322741)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】