説明

洋風便器

【課題】男子放尿の着地目標を印す放尿標識を有した洋風便器であり、放尿標識に大便が付着しにくい洋風便器を開発する。
【解決手段】洋風便器1は、水洗式の便器であり、本体部2と、便座部3及び蓋5によって構成されている。本体部2は、ボール部6を構成しており、常時、一定の水位11まで水が張られている。洋風便器1では、使用者から見てボール部6の奥側であって且つ水面下の位置に放尿標識10が設けられている。放尿標識10は、外部からの光によって発光したり、電気的に発光するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水洗式の洋風便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、一般家庭に洋風便器が広く普及している。一般家庭においては一台の洋風便器で大便用と、男子の小便用を兼用する場合が多い。洋風便器を使用して男子が小便をする場合は、便器の前面側に立って用を足すこととなるが、放尿位置から外れた位置に放尿してしまうこともある。また便器内に放尿できた場合であっても、尿の着地点があるべき位置を外れ、飛沫や跳ね返りによって便座や床を汚すことがある。そこでこの問題点を解決するために、便器に放尿標識を設けた便器が知られている。この種の便器は、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平6−336754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された洋風便器1では、便器の内壁に放尿標識が設けられているので、使用者が放尿標識に向かって放尿することができる。そのため尿が適切な位置に着地し、跳ね返りや飛沫によって便座等を汚すことが少ない。しかしながら、家庭用の洋風便器は、大便用と男子の小便用を兼ねているので、放尿標識に大便が付着する場合がある。放尿標識に大便が付着すると誠に見苦しい。そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、放尿標識に大便が付着しにくい洋風便器の開発を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ボール部を有し、前記ボール部に常時一定水位の水が溜まっている水洗式の洋風便器において、男子放尿の着地目標を印す放尿標識を有し、前記放尿標識は、使用者から見てボール部の奥側であり、且つ水面下であることを特徴とする洋風便器である。本発明の洋風便器では、放尿標識が水面下に設けられている。そのため大便が接しにくく、付着しにくい。また例え大便が接したとしても、水中において放尿標識と接することとなるから、付着しにくい。さらにもし、大便が付着したとしても便を流す際に洗い流されるので、清潔さが保たれる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、放尿標識は、外部からの光によって発光するものであることを特徴とする請求項1に記載の洋風便器である。本発明で採用する放尿標識は、外部からの光によって発光するものであるから、故障が少ない。
【0006】
請求項3に記載の発明は、放尿標識は、電気的に発光するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の洋風便器である。本発明で採用する放尿標識は、電気的に発光するものであるから、明確に視認することができる。また周囲が薄暗い状況であっても使用者にとってよく見える。
【0007】
請求項4に記載の発明は、蓋又は便座のいずれかを有し、蓋又は便座のいずれかを上げることによって放尿標識が発光することを特徴とする請求項3に記載の洋風便器である。本発明の洋風便器では、蓋または便座を上げた時に限って放尿標識が発光するので、使用時に限って放尿標識を発光させることができる。
【0008】
請求項5記載の発明は、 放尿標識は、使用者の特性を識別する識別手段を有し、使用者に応じて放尿標識の発光部位が変化することを特徴とする請求項3又は4に記載の洋風便器である。本発明の洋風便器では、使用者に応じて放尿標識の発光部位が変化するので、例えば大人が使用する場合と、子供が使用する場合等に発光位置を変更することができ、尿をより適切な位置に着地させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洋風便器は、放尿標識を有しているので、尿を適切な位置に着地させることができ、便器や便所の床等を汚さない。また本発明の洋風便器では、放尿標識に大便が付着しにくく、清潔感が保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態の洋風便器の断面斜視図である。図2は、図1の洋風便器の断面図である。図3は、本発明の他の実施形態の洋風便器の断面図である。
【0011】
図1、図2において、1は本発明の洋風便器である。洋風便器1は、水洗式の便器であり、公知のそれと同様に本体部2と、便座部3及び蓋5によって構成されている。便座部3及び蓋5は、公知のそれと同様に根元部分が図示しないヒンジによって本体部2に接続されており、本体部2に対して揺動可能である。男子が小便をする際には便座部3と蓋5とははね上げられる。
【0012】
洋風便器1の本体部2は、公知のそれと同様にボール部6を構成されており、常時、一定の水位11まで水が張られている。すなわち洋風便器1の排水路には、トラップ部7が設けられ、上下落差のある水路を構成している。従ってトラップ部7の水路の頂端部8の位置まで水が溜まる構成となっている。
【0013】
そして本発明の洋風便器1では、使用者から見てボール部の奥側であって且つ水面下の位置に放尿標識10が設けられている。前記した様にトラップ部7の水路の頂端部8の位置まで水が溜まる構成となっているので、放尿標識10の高さは、トラップ部7の水路の頂端部8よりも下である。放尿標識10は、男子が放尿する際の望ましい着地目標を印す目印である。放尿が放尿標識10に命中すれば、跳ね返りや飛沫が床にこぼれることは少ない。
【0014】
放尿標識10の形状は任意であり、点印や三角印、四角印の様な幾何学模様、昆虫や花、動物の様な生物の図形、自動車や建物等の物の図形、マンガのキャラクター、人の顔等が考えられる。また放尿標識10は、タイルや金属で出来た標識をはめ込んだり、塗料で描いたものでもよいが、推奨される放尿標識10は、外部からの光を受けて発光するものや、電気的に発光するものである。
【0015】
外部からの光を受けて発光する放尿標識10としては、外部から受ける光を反射して発光するものや、外部から受けた光を集光して特定の面や部位が輝く物がある。また電気的に発光するものとしては、発光ダイオードで利用したものがある。電気的に発光する放尿標識10を採用する場合には、便座部3や蓋5にスイッチ機能を付加し、便座部3や蓋5が撥ね上げられると放尿標識10が発光する様な構造とすることも考えられる。また光センサー等のセンサーを利用して人が洋風便器1の前に立ったことを検知し、この人検知センサーの信号に応じて放尿標識10を発光させてもよい。
【0016】
さらに進歩させて、使用者が大人か子供かという様な使用者の特性を識別する識別手段を有し、使用者に応じて識別標識の発光部位を変化させてもよい。例えば図3に示す洋風便器20の様に、識別標識を複数設け、使用者に応じて発光位置を変化させる。洋風便器20で採用する放尿標識21は、3個の発光部材22,23,24を有し、これらが高さ方向に位置を変えて並べられている。発光部材22,23,24が取り付けられた部位は、ボール部6の奥壁であり、いずれも水面下である。
【0017】
また使用者の特性を識別する識別手段として、例えば体重計が採用可能である。即ち使用者の立ち位置近傍の床に、体重検知装置を内蔵させ、使用者の体重を測定する。そして日本人の体重と身長との相関データから放尿される角度を想定し、推奨される着地点の発光部材を発光させる。また使用者の足の位置を検知し、使用者の開脚の程度に応じて放尿される角度を想定し、推奨される着地点の発光部材を発光させてもよい。
【0018】
本実施形態の洋風便器1,20を使用した男子は、放尿標識10,21に向かって放尿するから、飛沫等が便器から散ることが少なく、便器や便所の床面が清潔に保たれる。また放尿標識10,21が水中にあるから、大便が落下する際に大便が放尿標識10,21接触しにくく、汚れにくい。もし、大便が付着したとしても便を流す際に洗い流されるので、放尿標識10,21の清潔さが保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の洋風便器の断面斜視図である。
【図2】図1の洋風便器の断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態の洋風便器の断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1,20 洋風便器
2 本体部
3 便座部
5 蓋
6 ボール部
7 トラップ部
8 頂端部
10 放尿標識
11 水位
21 放尿標識
22,23,24 発光部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール部を有し、前記ボール部に常時一定水位の水が溜まっている水洗式の洋風便器において、男子放尿の着地目標を印す放尿標識を有し、前記放尿標識は、使用者から見てボール部の奥側であり、且つ水面下であることを特徴とする洋風便器。
【請求項2】
放尿標識は、外部からの光によって発光するものであることを特徴とする請求項1に記載の洋風便器。
【請求項3】
放尿標識は、電気的に発光するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の洋風便器。
【請求項4】
蓋又は便座のいずれかを有し、蓋又は便座のいずれかを上げることによって放尿標識が発光することを特徴とする請求項3に記載の洋風便器。
【請求項5】
放尿標識は、使用者の特性を識別する識別手段を有し、使用者に応じて放尿標識の発光部位が変化することを特徴とする請求項3又は4に記載の洋風便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−224550(P2007−224550A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45162(P2006−45162)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】