説明

洗浄ノズル装置

【課題】 水圧式の温水洗浄便座に設けられた洗浄ノズルの洗浄範囲を簡易な構成により拡大する。
【解決手段】 一定の水圧を加えることにより洗浄位置に移動可能な洗浄ノズル(1)を収納するシリンダー(2)が下部において軸支され、シリンダーの後端が偏心軸(3)を介してノズル可変用モーター(4)の回転軸(5)に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、洗浄ノズル装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、水圧式の温水洗浄便座に設けられた洗浄ノズルの洗浄範囲を簡易な構成により拡大することのできる洗浄ノズル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体の局部を温水で洗浄する温水洗浄便座が普及している。この温水洗浄便座については、洗浄範囲を拡大し、洗浄力を高めるための工夫が種々なされている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−60088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一定の水圧を加えることにより、洗浄ノズルを洗浄位置に移動させる、いわゆる水圧式の温水洗浄便座では、洗浄ノズルによる洗浄範囲の拡大を図るためには、上記特許文献1にも記載されているように、洗浄ノズルを収納し、移動の際のガイドともなるシリンダーを動かさなければ、洗浄ノズルの洗浄位置を可変とすることができない。
【0004】
そこで、上記特許文献1記載の人体局部洗浄装置では、縦駆動モーターと横駆動モーターとを配備し、これらモーターの駆動を回転パターン設定器にしたがい回転制御部で制御するという方式が採用されている。
【0005】
しかしながら、この方式は、装置構成が複雑であることが指摘される。
【0006】
この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水圧式の温水洗浄便座に設けられた洗浄ノズルの洗浄範囲を簡易な構成により拡大することのできる洗浄ノズル装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、一定の水圧を加えることにより洗浄位置に移動可能な洗浄ノズルを収納するシリンダーが下部において軸支され、シリンダーの後端が偏心軸を介してノズル可変用モーターの回転軸に接続されていることを特徴とする洗浄ノズル装置を提供する。
【0008】
この出願の発明は、第2には、上記第1の洗浄ノズル装置において、シリンダーの後端から後方に第1の偏心軸が突設され、第2の偏心軸および第3の偏心軸が前後に突設された偏心板の第2の偏心軸に前記第1の偏心軸が結合され、第3の偏心軸にノズル可変用モーターの回転軸が結合されている洗浄ノズル装置を提供する。
【0009】
この出願の発明は、第3には、上記第1または第2の洗浄ノズル装置において、シリンダーは上下左右に可動するように軸支されている洗浄ノズル装置を提供する。
【0010】
この出願の発明は、第4には、上記第1または第2の洗浄ノズル装置において、シリンダーは上下に回動自在に軸支されている洗浄ノズル装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
この出願の発明の第1から第4のいずれの洗浄ノズル装置によっても、水圧式の温水洗浄便座における洗浄ノズルの洗浄範囲の拡大が簡易な構成により実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に沿ってこの出願の発明の洗浄ノズル装置についてさらに詳しく説明する。
【0013】
図1は、この出願の発明の洗浄ノズル装置の一実施形態を示した要部斜視図である。
【0014】
図1に示したように、この出願の発明の洗浄ノズル装置では、一定の水圧を加えることにより洗浄位置に移動可能な洗浄ノズル(1)を収納するシリンダー(2)が下部において軸支され、シリンダー(2)の後端が偏心軸(3)を介してノズル可変用モーター(4)の回転軸(5)に接続されている。
【0015】
偏心軸(3)の構成は、具体的には、以下のとおりとすることができる。
【0016】
すなわち、シリンダー(2)の後端から後方に第1の偏心軸(31)を突設し、第2の偏心軸(32)および第3の偏心軸(33)が前後に突設された偏心板(34)を用い、その第2の偏心軸(32)にシリンダー(2)側に設けられた第1の偏心軸(31)を結合させ、第3の偏心軸(33)にノズル可変用モーター(4)の回転軸(5)を結合させる。
【0017】
たとえば、このような構成とすることのできる偏心軸(3)を介してシリンダー(2)の後端がノズル可変用モーター(4)の回転軸(5)に接続されたこの出願の発明の洗浄ノズル装置では、ノズル可変用モーター(4)の回転が偏心軸(3)により偏心回転に変換される。偏心回転力はシリンダー(2)の後端に加えられ、シリンダー(2)は軸支の方式に応じた動き方をする。その結果、洗浄ノズル(1)がシリンダー(2)とともに動き、洗浄位置が変化し、洗浄ノズル(1)の洗浄範囲(6)が拡大する。
【0018】
以上から明らかなように、この出願の発明の洗浄ノズル装置では、洗浄ノズル(1)の洗浄範囲(6)の拡大が簡易な構成により実現されている。
【0019】
図1に示したように、シリンダー(2)の下部での軸支については、ユニバーサルジョイント(7)等の上下左右に可動する方式とすることができる。この場合、偏心軸(3)による図1図中に示した矢印方向の偏心回転により、シリンダー(2)は同図図中の矢印方向に偏心回転し、洗浄ノズル(1)の洗浄範囲(6)が略円もしくは略楕円状に広がる。
【0020】
なお、軸支手段の配置箇所は、温水洗浄便座の構造により可変であり、適所を選択することができる。たとえば、温水洗浄便座のケース等とすることができる。
【0021】
また、この出願の発明の洗浄ノズル装置では、図2に示したように、シリンダー(2)の下部での軸支を上下に回動自在とする方式とすると、偏心軸(3)による偏心回転によりシリンダー(2)は上下方向に回動し、洗浄ノズル(1)も上下に回動するため、洗浄範囲(6)は縦長となる。
【0022】
このようにシリンダー(2)を上下に回動させる軸支方式としては、図2図中の円内に拡大して示したような構成をたとえば採用することができる。
【0023】
すなわち、シリンダー(2)の下部に2枚の垂下片(8)を一定の間隔で対向させて配設する。垂下片(8)には後方に向けて開口する鉤型の係止溝(9)が形成されている。そして、温水洗浄便座のケース等に立設することができ、左右に突出部(10)を備えた支持片(11)を垂下片(8)の間に後方より割り込ませた後、前方に移動させ、突出部(10)を係止溝(9)に係止させる。このような構成により、シリンダー(2)は、左右方向の移動が不能とされ、上下方向の回動が可能となる。
【0024】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。偏心軸の構成および構造、シリンダーの下部を軸支する方式等の細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この出願の発明の洗浄ノズル装置の一実施形態を示した要部斜視図である。
【図2】この出願の発明の洗浄ノズル装置の別の実施形態を示した要部斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 洗浄ノズル
2 シリンダー
3 偏心軸
31 第1の偏心軸
32 第2の偏心軸
33 第3の偏心軸
34 偏心板
4 ノズル可変用モーター
5 回転軸
6 洗浄範囲
7 ユニバーサルジョイント
8 垂下片
9 係止溝
10 突出部
11 支持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の水圧を加えることにより洗浄位置に移動可能な洗浄ノズルを収納するシリンダーが下部において軸支され、シリンダーの後端が偏心軸を介してノズル可変用モーターの回転軸に接続されていることを特徴とする洗浄ノズル装置。
【請求項2】
シリンダーの後端から後方に第1の偏心軸が突設され、第2の偏心軸および第3の偏心軸が前後に突設された偏心板の第2の偏心軸に前記第1の偏心軸が結合され、第3の偏心軸にノズル可変用モーターの回転軸が結合されている請求項1記載の洗浄ノズル装置。
【請求項3】
シリンダーは上下左右に可動するように軸支されている請求項1または2記載の洗浄ノズル装置。
【請求項4】
シリンダーは上下に回動自在に軸支されている請求項1または2記載の洗浄ノズル装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−9265(P2006−9265A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183776(P2004−183776)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】