説明

洗濯乾燥機

【課題】除塵性能及び耐久性に優れた洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯物3を収納する内槽7と、前記内槽7を収納する外槽4と、前記内槽7内に送風する送風ファン19と、前記送風ファン19により送風される空気を加熱するヒータ18と、前記洗濯物3から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルター20と、捕獲された前記糸くず等を除去する除塵体21を有し、前記除塵体21を、本体1内を流れる空気、例えば、乾燥運転時の乾燥風などで駆動するようにしたもので、除塵体21で防塵フィルター20に付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体21や防塵フィルター20に無理な力が加わることがないので、除塵体21や防塵フィルター20の耐久性が大幅に向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関するもので、特に、乾燥運転時に衣類から発生する糸くずなどを捕獲する防塵フィルターを備えた洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の洗濯乾燥機は、衣類を収納すると共に駆動手段で回転駆動される内槽と、前記内槽を回転自在に収納する外槽と、前記内槽の一側と他側を連通し内部に、送風機と、除湿手段と空気を加熱するヒータを有する乾燥風循環経路を備え、乾燥運転時に、送風機により、ヒーターで加熱され生成された温風を内槽内に吹き出し、衣類から水分を蒸発させ、水分を含んだ空気を除湿手段に送り、そこで除湿した後、ヒーターに送り、再び内槽内に送り込むようにして、乾燥風を循環させながら、衣類の乾燥を行なうようになっている。
【0003】
上記乾燥運転時に衣類から糸くずや埃が発生するが、これらが、除湿手段やヒーターに付着すると、除湿能力や空気の加熱能力が著しく低下するので、これを防止するために、送風機の上流側に、糸くずや埃を捕獲するための防塵フィルターが設けられている。この防塵フィルターに糸くずや埃が堆積してくると、乾燥効率が著しく低下してくるので、防塵フィルターを定期的に清掃する必要があるが、従来は、この防塵フィルターを着脱自在にして、使用者が、定期的に防塵フィルターを取り外して、掃除をするようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような方法だと、使用者が、一々防塵フィルターを取り外して掃除しなければならず、非常に面倒で、また、不衛生であった。
そこで、上記問題を解決し、防塵フィルターが自動的に清掃されるようにするために、防塵フイルターを、外槽内の洗濯水の水面より下方に位置させ、洗濯運転時の洗濯水の流れで、乾燥運転時に防塵フィルターで捕獲された糸くずや埃を洗い落とすようにしたり、乾燥運転時の空気の流れ方向と逆の方から、防塵フイルターに、循環する洗濯水や、洗濯やすすぎ運転時に給水される水を通して、糸くずや埃を洗い流すようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、同じく、防塵フイルターを、外槽内の洗濯水の水面より下方に位置させ、内槽の背面に、通常バネの付勢力で内槽の背面側に倒れており、洗濯運転時に、洗濯水の抵抗でバネの付勢力に抗して起き上がり防塵フイルターに摺接するブラシ体を設け、洗濯運転やすすぎ運転時の内槽の回転に伴い、防塵フイルターに付着した糸くずや埃を、ブラシ体で掻き取るようにした洗濯乾燥機も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−300192号公報
【特許文献2】特開平8−243292号公報
【非特許文献1】シャープ株式会社製洗濯乾燥機ES−HG91F
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に開示された洗濯乾燥機の構成では、防塵フイルターに付着した糸くずや埃を、給水や洗濯水で洗い流そうとするもので、これでは、防塵フィルターの目に絡みついた糸くずなどを確実に取り除くことができないという課題があった。
【0007】
また、上記非特許文献1の洗濯乾燥機の構成では、ブラシ体で、防塵フィルターに付着した糸くずや埃を掻き取るようにしているので、糸くずや埃の除去性能は向上するが、内槽の回転数が高いため、ブラシ体が強力に防塵フイルターに擦られることになり、ブラシ体や、防塵フイルターが早く消耗するという課題が有った。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去できると共に、耐久性にすぐれた洗濯乾燥機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯乾燥機は、洗濯物を収納する内槽と、前記内槽を収納する外槽と、前記内槽内に送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記洗濯物から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルターと、捕獲された前記糸くず等を除去する除塵体を有し、前記除塵体を、本体内を流れる空気で駆動するようにしたもので、除塵体で防塵フィルターに付着した糸くず等を自動的にかつ確実に除去できると共に、除塵体を、本体内を流れる空気、例えば、乾燥運転時の乾燥風などで駆動するので、除塵体や防塵フィルターに無理な力が加わることがなく、除塵体や防塵フィルターの耐久性が大幅に向上する。特に、除塵体を乾燥運転時の乾燥風で駆動するようにすれば、モータ等の除塵体駆動用の専用の駆動源が不要なので、洗濯乾燥機を安価に提供することができる。。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗濯乾燥機は、除塵体で、防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体を、本体内を流れる空気で駆動するので、除塵体や防塵フィルターに無理な力が加わることがなく、除塵体や防塵フィルターの耐久性が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、洗濯物を収納する内槽と、前記内槽を収納する外槽と、前記内槽内に送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記洗濯物から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルターと、捕獲された前記糸くず等を除去する除塵体を有し、前記除塵体を、本体内を流れる空気で駆動するようにしたもので、除塵体で防塵フィルターに付着した糸くず等を自動的にかつ確実に除去できると共に、除塵体を、本体内を流れる空気、例えば、乾燥運転時の乾燥風などで駆動するので、除塵体や防塵フィルターに無理な力が加わることがなく、除塵体や防塵フィルターの耐久性が大幅に向上する。特に、除塵体を乾燥運転時の乾燥風で駆動するようにすれば、モータ等の除塵体駆動用の専用の駆動源が不要なので、洗濯乾燥機を安価に提供することができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の除塵体はブラシ部材を備え、前記ブラシ部材を防塵フィルターの表面に摺接させて糸くず等を除去するようにしたもので、防塵フィルターの表面がブラシ部材で擦られるので、防塵フィルターの表面に捕獲された糸くず等を確実に除去することができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の除塵体を、本体内を流れる空気で回転駆動しながら、防塵フィルターの表面に沿って移動させるようにしたもので、防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去することができる。
【0014】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の少なくとも除塵体及び防塵フィルターを、洗濯運転時に外槽内に溜められる水内に浸漬しない部位に配したもので、除塵体で除去された糸くず等が水で濡れることが無いので、除去された糸くず等の回収が容易になる。
【0015】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の除塵体で除去された糸くず等を収納するダストボックスを着脱自在に設けたもので、除塵体で除去された糸くず等の回収、廃棄が容易になる。
【0016】
第6の発明は、特に、第1又は第2の発明の除塵体に、本体内を流れる空気を受けて回転する羽根を複数枚設けたもので、羽根により、ベルトなどの動力伝達手段を用いることなく、本体内を流れる空気で除塵体を直接回転駆動できるので、構成、組み立てが簡素化され、洗濯乾燥機を安価に提供できる。
【0017】
第7の発明は、特に、第6の発明の少なくとも除塵体及び防塵フィルターを、洗濯運転時に外槽内に溜められる水に浸かる部位に配したもので、除塵体で除去された糸くず等が、洗濯やすすぎ運転時に、水に混じり、排水時に、水と共に外部に排出されるので、除去された糸くず等の回収や廃棄操作が不要になり使用勝手が良い。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施例における洗濯乾燥機の外観斜視図、図2は、図1のA−A断面図、図3は、同洗濯乾燥機の除塵体及びそれを駆動する除塵体駆動手段の構成を示す斜視図である。
【0019】
図1〜3において、本実施例における洗濯乾燥機の洗濯乾燥機本体1(以下「本体1」という)の外郭2は、横断面が略四角形で筒状に形成されたボデー2aと、ボデー2aの下部開口を覆う底板2bと、ボデー2aの上部開口を覆うと共に洗濯物3を投入するための投入口2cを有する上カバー2dから構成されている。外郭2内には、外槽4が、サスペンション5で懸垂防振支持され、その外槽4内に、洗濯物3を収納すると共に底部に攪拌翼6を有する内槽7が回転自在に収納されている。8は、上カバー2dに配された投入口2cを開閉する蓋である。
【0020】
内槽7の上端には、円環状の流体バランサー9が、側壁には、内槽7内と、内槽7と外槽4との間の空間を連通する多数の孔10がそれぞれ設けられている。外槽4の下方には、第1の駆動源12が設けられ、その第1の駆動源12の回転動力は、二軸構成の回転軸13並びに図示しないクラッチ機構により、内槽7と、攪拌翼6に切換え自在に伝達されるようになっている。
【0021】
外槽4の底部に設けた開口部4aには、洗濯後の洗濯水或いは、すすぎ後のすすぎ水を外部に排出するための排水ダクト14が接続され、その排水ダクト14の途中には、開閉弁15が設けられている。
【0022】
排水ダクト14の途中で、開閉弁15より上方に位置する部分より、乾燥運転時に、乾燥用の空気を循環させるための乾燥用空気循環ダクト16が分岐接続され、その乾燥用空気循環ダクト16の他端には、上方より内槽7内に向かって開口する開口部16aが設けられている。
【0023】
乾燥用空気循環ダクト16の内部には、乾燥運転時の乾燥風に含まれる湿気を取り除くための除湿用熱交換器17が設けられ、更に、開口部16aより、上方に、空気を加熱する加熱手段となるヒータ18と、内槽7内に向かって空気を吹き出すための送風手段となる送風ファン19と、断面が下方に向かって円弧状で、乾燥運転時に洗濯物3から発生する糸くずなどを捕獲する防塵フィルター20と、防塵フィルター20の内面に摺接しながら、防塵フィルター20で捕獲された糸くずなどを除去する除塵体21と、乾燥用空気循環ダクト16内を流れる空気で回転するタービンファン22が順に配されている。
【0024】
25は、除塵体21とタービンファン22との間に張架され、タービンファン22の回転動力を除塵体21に伝達するためのベルトである。
図3に示すように、タービンファン22は、軸体22aと、軸体22aの外周長手方向に且つ放射状に設けた複数毎の羽根22bから構成されている。本実施例では、羽根22bは、ベルト25の一端が軸体22aの中央部にかけられるように、ベルト25の幅より少し大きめの隙間Gを確保して左右に、且つ、同一幅寸法で分割されて設けられている。
【0025】
除塵体21は、軸体21aと、軸体21aの外周に施され、防塵フィルター20に付着した糸くずなどを掻き取るブラシ部材21bから構成され、ブラシ部材21bの中央には、ベルト25を引っ掛けるための溝部21cが環状に設けられている。
【0026】
タービンファン22の軸体22a及び除塵体21の軸体21aのそれぞれの両端は、図3に示すように、間をおいて、一対の支持片26で回転自在に支持されている。タービンファン22の軸体22aの両端は、特に図示しないが、さらに、乾燥空気循環ダクト16の内壁に回転自在に軸支されている。
【0027】
本実施例では、断面円弧状の防塵フィルター20の内側の半径寸法を、軸体22aの回転中心から、除塵体21のブラシ部材21bの最も遠い外周面との距離Lと略同一又は、距離Lより若干小さめに設定している。
【0028】
27は、モーター28で回転駆動される円板で、その円板27の外周の一部と一方の支持片26の下部とは、回動自在のリンク片29で連結されている。
上記構成により、モータ28を運転すると、タービンファン22の軸体22aの回転中心を中心として、除塵体21のブラシ部材21bを、防塵フィルター20の内面に摺接させながら、振り子のように往復移動させることができる。
【0029】
乾燥空気循環ダクト16のタービンファン22の上流側近傍には、壁16bが設けられ、その壁16bの一部に空気を絞るための空気絞り開口16cが設けられている。この空気絞り開口16cは、スリット状で、その開口幅は、タービンファン22の左右の羽根22bの全幅Wと略同一で、しかも、タービンファン22の下半分に対向して設けられている。
【0030】
乾燥空気循環ダクト16の防塵フィルター20取り付け部近傍側部には、ダストボックス31を出し入れ自在に収納するダストボックス収納室32が設けられ、このダストボックス収納室32と乾燥空気循環ダクト16内とは、開口部33により連通しており、この開口部33の下縁と、防塵フィルター20の端部の上面と、ダストボックス31の防塵フィルター20側側面の上端とは、略同一線上に位置するように配置されている。
【0031】
また、開口部33及びダストボックス31のそれぞれの奥行き寸法は、タービンファン22の左右の羽根22bの全幅Wと略同一になるように設定している。
【0032】
以上のように構成された本実施例における洗濯乾燥機の動作、作用について以下に説明する。なお、洗濯、すすぎ、脱水の各運転については、従来の一般的な洗濯乾燥機と同一なので説明を省略する。
【0033】
次に、本実施例における本体1の乾燥運転について説明する。
乾燥運転開始に当たり、排水ダクト14の途中に設けた開閉弁15は閉じておく。そして乾燥運転を開始すると、第1の駆動源12、ヒータ18、送風ファン19、モータ28に通電される。
【0034】
第1の駆動源12に通電されると、最初に攪拌翼6が正逆に回転して、前の脱水工程時に内槽7の内壁に張り付いた洗濯物3が引き剥がされる。次に、攪拌翼6を正逆方向に交互に強力に回転させて洗濯物3を放り投げるように攪拌する。
【0035】
その間に、送風ファン19が回転すると、外槽4内の湿った空気が、外槽4の底部に設けた開口部4aを通って、乾燥空気循環ダクト16に流入し、除湿用熱交換器17で除湿され、乾いた空気が、空気絞り開口16cを通って、ビーム状になって、タービンファン22の羽根22bに当たり、それにより、タービンファン22が回転し、その動力がベルト25を介して、除塵体21に伝達され、除塵体21が回転する。空気は、さらに防塵フィルター20を通過し、そこで洗濯物3から発生した糸くずなどが捕獲され、綺麗になった空気は、ヒータ18で加熱されて温風となって、開口部16aより、内槽7内に向かって吹き出される。
【0036】
そして、温風が、攪拌翼6の回転によって、繰り返し放り投げられ落下する洗濯物3に吹き付けられることにより、洗濯物3の水分が蒸発する。蒸発した水分は、空気と共に、内槽7の周壁に設けた孔10を通って、内槽7と外槽4との間の空間にながれ、再び、開口部4aを通って乾燥空気循環ダクト16に流入し、除湿用熱交換器17で除湿される。
この動作が繰り返されることにより、洗濯物3が次第に乾燥していく。
【0037】
本実施例では、図2に示すように、タービンファン22の上流側に空気絞り開口16cを配するとともに、ビーム状に絞られ流速が大きい空気が、タービンファン22の下半分に当たるようにしているので、タービンファン22は、時計方向に回転すると共に、同時に除塵体21も時計方向に回転する。これにより、防塵フィルター20上の糸くず等は、常に左側に掻き出される。そして、モータ28の運転により、回転する除塵体21が防塵フィルター20上で左右に移動する際に、効率よく左側に糸くず等が掃き寄せられ、開口部33を通して左側に設けダストボックス31内に落下し、回収される。
【0038】
以上の動作を所定時間繰り返して、乾燥運転が終了する。
ダストボックス31内に堆積した糸くず等を廃棄するときは、本体1の外郭2の側部に設けた取り出し口34より、ダストボックス31を引き出すことで、簡単に行うことができる。
【0039】
以上のように、本実施例における洗濯乾燥機によれば、防塵フィルター20に付着した糸くず等を除去するための除塵体21を、乾燥運転時の乾燥風など、本体1内を流れる空気で駆動するようにしたので、防塵フィルター20に付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体21や防塵フィルター20に無理な力が加わることがないので、除塵体21や防塵フィルター20の耐久性が大幅に向上する。特に、本実施例では、乾燥運転時に送風ファン19によって生成される乾燥風で除塵体21を駆動するようにしているので、モータ等の除塵体21を回転駆動するための専用の駆動源が不要になり、安価な洗濯乾燥機洗を提供することが出来る。
【0040】
また、除塵体21のブラシ部材21bを、防塵フィルター20の表面に摺接させて糸くず等を除去するようにしたので、防塵フィルター20の表面がブラシ部材21bで擦られ、防塵フィルター20の表面に捕獲された糸くず等を確実に除去することができる。
【0041】
更に、空気で回転駆動される除塵体21を、防塵フィルター20の表面に沿って移動させるようにしたので、防塵フィルター20に付着した糸くず等を確実に除去することができる。
【0042】
また、上記実施例では、除塵体21及び防塵フィルター20を、乾燥空気循環ダクト16の上部に設けた開口部16aより上方に、すなわち、洗濯運転時に、外槽4内に溜められる水内に浸漬しない部位に配したので、除塵体21で除去された糸くず等が水で濡れることが無く、除去された糸くず等の回収がきわめて容易で、しかも衛生的である。
【0043】
更に、除塵体21で除去された糸くず等を収納するダストボックス31を、本体1の外郭2に設けた取り出し口34を通して着脱自在に設けたので、除塵体21で除去された糸くず等の回収、廃棄作業、メンテナンスが容易である。
【0044】
また、上記実施例では、タービンファン22の回転中心位置を固定し、断面円弧状の防塵フィルター20の表面に、除塵体21を振り子のように左右に移動させて、糸くず等を除去するようにしているが、防塵フィルターを円筒状に形成し、その円筒状の防塵フィルターの内周面に沿って除塵体を回転移動させて防塵フィルターの内周面に付着した糸くず等を除去するようにしてもよい。
【0045】
また、断面円弧状の防塵フィルターの代わりに、平坦な防塵フィルターを設け、タービンファンと除塵体とを一体で、上記防塵フイルター上で移動させるようにしても良い。
【0046】
(実施例2)
図4は、本発明の第2の実施例における洗濯乾燥機の断面図、図5は、図4のB−B断面図、図6(a)は、同洗濯乾燥機の外槽の防塵フィルター取り付け部の平面図、(b)は、図6(a)のC−C断面図である。
【0047】
図4〜6において、本実施例における洗濯乾燥機の洗濯乾燥機本体40(以下「本体40」という)は、前面に洗濯物3を投入するための第1の投入口41aを有する外箱41と、外箱41内に一対のダンパー42で弾性支持されると共に前部に開口43aを有する有底円筒形状の外槽43と、外槽43内に回転自在に設けられ、前部に洗濯物5を投入するための第2の投入口44aを有すると共に、洗濯物3を収容する有底円筒形状の内槽44と、外槽43の後壁43bに取り付けられると共に、モータなどからなり内槽44を回転駆動する駆動源45と、第1の投入口41aを開閉する扉46と、外槽43の後壁43bの下部に位置し、洗濯運転時に洗濯液に浸かる領域に設けられた吸入口43cと、吸入口43cに設けられ、乾燥運転時に洗濯物3から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルター47と、防塵フィルター47に回転自在に取着されると共に、防塵フィルター47で捕獲された糸くず等を除去する除塵体48、防塵フィルター47の背後に配され送風手段となる送風ファン49と、送風ファン49を収納するファン室50と、モータなどからなり送風ファン49を回転駆動する第2の駆動源51と、一端に、内槽44の第2の投入口44aに対向する吹き出し口54aを有し、他端がファン室50に連通する通風路54と、通風路54に配されファン室50から送り出される空気を加熱する加熱手段55と、外槽43の内壁と内槽44の外壁との間で、洗濯運転時に洗濯液に浸かる領域に配され外槽43内の空気を除湿する除湿用熱交換器56と、内槽44の外壁と除湿用熱交換器56との間に配され、送風ファン49が回転したときに、外槽43内の空気を除湿用熱交換器56に沿って、外槽43の後壁43bに設けた吸入口43cに導くためのガイド壁57と、外槽43の下部に接続され、外槽43内の水や洗濯液等を外部に排水するための排水ダクト58と、排水ダクト58の途中に配された排水弁59とを備えている。
【0048】
除塵体48は、防塵フィルター47に回転自在に取着されるハブ48aと、ハブ48aの外周に一体に形成された複数毎の羽根48bと、各羽根48bの後縁48cに垂下形成された溝部48dと、上端が溝部48dに挿入され、他端が防塵フィルター47の表面に摺接するブラシ部材48eから構成されている。
【0049】
内槽44の回転中心軸は、水平方向に対して5°〜30°の角度で、後部が下になるように傾斜しており、内槽44の第2の投入口44aは、外槽43の開口43aと対向して設けられている。内槽44の周壁には多数の孔60が設けられ、空気や、液体が内槽44の内外間で自由に移動できるようになっている。内槽44の内壁には、内槽44が回転したときに、洗濯物3を持ち上げ、落下させるためのバッフル61が、周方向に120°間隔で3ヶ所に、内槽44の中心方向に向かって突出して設けられている。
【0050】
外箱41の上部には、開閉自在の蓋(図示せず)を有し洗剤などを収納する洗剤容器62と、上端が水道管(図示せず)に接続され、他端が洗剤容器62に接続されると共に、途中に給水弁63を有する給水管64が設けられている。65は、洗剤容器62と外槽43を連通する接続管で、この接続管65を通して、洗剤と共に水道水を外槽43内に供給するようになっている。
【0051】
外箱41の前面上部に、本実施例における本体40の運転を操作するための操作パネル66が設けられ、その裏側に、本体40の動作を制御する制御回路67が設けられている。
【0052】
外箱41の第1の投入口41aの開口縁と、外槽43の開口43aの開口縁は、ゴムや軟質樹脂等の弾性体から成るドアパッキン68で連結され、扉46を閉じたときには、外槽43内の液体が外槽43外に漏れるのを防止している。
【0053】
以上のように構成された本実施例における洗濯乾燥機の動作、作用は、以下の通りである。
扉46を開けて洗濯物3を内槽44に投入し、蓋を開けて洗剤容器62に所定量の洗剤を投入し、操作パネル66を操作して、所定の洗濯コースを選択し、運転開始スイッチ(図示せず)を押すと、制御回路67が、給水弁63を開き、水道水が給水管64を通って、洗剤容器62に供給され、そこで洗剤と混合しながら、接続管65を通って外槽43内に供給される。外槽43内の洗濯水(水道水と洗剤が混合したもの)が、所定の高さに達すると図示しない液位センサーがそれを検知し、その検知信号が、制御回路67に送られ、給水弁63が閉じられ、同時に駆動源45に通電されて内槽44が回転し、洗濯物3がバッフル61で持ち上げられ、落下する動作を繰り返しながら洗濯運転が行なわれる。
【0054】
洗濯運転が終了すると、制御回路67が、開閉弁59を開き、外槽43内の汚れた洗濯水を、排水ダクト58を通して、外部に排出する。
洗濯水の排水が完了すると、引き続き、内槽44を高速回転させて脱水運転が行なわれ、それが終了すると、開閉弁59を閉じ、給水弁63を再び開いて水道水を外槽43内に供給し、液位が所定の高さに達すると、給水弁63が閉じられ、駆動源45の駆動により内槽44が回転し、すすぎ運転が行なわれる。すすぎ運転が終了すると、開閉弁59が開けられて、すすぎ水が外部に排出され、その後、開閉弁59を開けた状態で、内槽44を高速回転させて脱水運転が行なわれる。すすぎ、脱水運転は、予め定められた運転シーケンスにより、もう1回若しくは2回繰り返される。
【0055】
次に、乾燥運転について、説明する。
洗濯、すすぎ、脱水の各運転が終了すると、乾燥運転に移り、制御回路67の動作により、駆動源45、加熱手段55、第2の駆動源51に通電される。第2の駆動源51への通電により、送風ファン49が回転し、外槽43内の湿った空気がガイド壁57により、除湿用熱交換器56に沿って吸引され、そこで、除湿され、乾いた空気が、除塵体48の羽根48bに当たりながら、防塵フィルター47を通ってファン室50に入る。
【0056】
乾いた空気が、防塵フィルター47を通過する際に、洗濯物3から発生した糸くず等が、そこで捕獲される。
また、空気が除塵体48の羽根48bに当たることにより、除塵体48に回転トルク(図6の例では、反時計方向に回転するトルク)が加わり、除塵体48が回転し、それに伴い、防塵フィルター47に摺接するブラシ部材48eが、防塵フィルター47で捕獲された糸くず等を除去する。
【0057】
ファン室50に流入した空気は、通風路54に至りそこで、加熱手段55で加熱され、温風となって、通風路54の出口、すなわち吹き出し口54aより、内槽44内に向かって吹き出される。そして、温風が、内槽44の回転によって、持ち上げられ、落下する洗濯物3に吹き付けられることにより、洗濯物3の水分が蒸発する。蒸発した水分は、空気と共に、内槽44の周壁に設けた孔60を通って、再び、除湿用熱交換器56に沿って吸引され、そこで、除湿される。この動作が繰り返されることにより、洗濯物3が次第に乾燥していく。この乾燥運転が所定時間続いた後、乾燥運転が終了し、全ての運転が終了する。
【0058】
なお、乾燥運転の後半で、加熱手段55への通電を停止し、徐々に洗濯物3の温度を下げるようにすれば、乾燥後の洗濯物3の取り出し、取り扱いを容易にすることもできる。
【0059】
ところで、衣類などの洗濯物3の乾燥時には、糸くずや埃が発生するが、本実施例では、送風ファン49の上流側に設けた防塵フィルター47で糸くずや埃を捕獲するので、それらが、加熱手段55や除湿用熱交換器56に付着して加熱効率や、除湿効率を低下させることが無い。
【0060】
糸くず等が防塵フィルター47に堆積してくると、空気の流れが悪くなり乾燥効率が著しく低下するが、本実施例では、乾燥運転時に、内部を流れる空気によって回転する除塵体48のブラシ部材48eにより、防塵フィルター47上の糸くず等が絶えず除去されるので、防塵フィルター47に糸くず等が堆積し続けることが無く、洗濯物3の乾燥効率を低下させることが無い。
【0061】
以上のように、本実施例における洗濯乾燥機によれば、除塵体48に、洗濯乾燥機40内を流れる空気、本実施例では、送風ファン49によって吸引される空気を受けて回転する羽根48bを複数枚設けたことにより、ベルトなどの動力伝達手段を用いることなく、除塵体48を、本体1内を流れる空気で直接回転駆動できるので、構成、組み立てが簡素化され、洗濯乾燥機を安価に提供できる。
【0062】
また、少なくとも除塵体48及び防塵フィルター47を、洗濯運転時に外槽43内に溜められる水に浸かる部位に配したので、除塵体48で除去された糸くず等が、洗濯やすすぎ運転時に、水に混じり、排水時に、水と共に外部に排出されるので、除去された糸くず等の回収や廃棄操作が不要になり使用勝手が良い。
【0063】
また、本実施例では、図4に示すように、防塵フィルター47が、外槽43の後壁43bに、すなわち斜めに立てたような状態で設置されているので、除塵体48で掻き取られた糸くず等は、外槽43の底部に落下し、除塵体48で掻き取られた糸くず等が防塵フィルター47に再付着しにくくなり、防塵フィルター47を常に最良の状態に維持することができる。
【0064】
なお、上記実施例では、除湿用熱交換器56と加熱手段55を、外槽43内の底部に上下に設けたが、その上下関係を逆にしても良く、或いは、外槽43内の底部に左右に並べて設けても良く、更には、除湿用熱交換器56と加熱手段55のいずれか一方又は両方を外槽43の外に配してもかまわない。また、除湿用熱交換器56と加熱手段55の配置は、除湿性能、加熱性能、相互の熱的影響、スペース等を考慮して適宜決めると良い。
【0065】
尚、上記第1、第2の実施例では、除塵体21、48を、送風ファン19、49によって生成される乾燥風で駆動するようにしたが、本発明は、特にそれに限定されるものではなく、他のファン、場合によっては専用のファンで流される空気で駆動するようにしても、何ら差し支えないものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明にかかる洗濯乾燥機は、除塵体で防塵フィルターに付着した糸くず等を確実に除去できると共に、除塵体、防塵フィルターの耐久性が向上するので、各種洗濯乾燥機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施例における洗濯乾燥機の外観斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】同洗濯乾燥機の除塵体及びそれを駆動する除塵体駆動手段の構成を示す斜視図
【図4】本発明の第2の実施例における洗濯乾燥機の断面図
【図5】図4のB−B断面図
【図6】(a)同洗濯乾燥機の外槽の防塵フィルター取り付け部の平面図、(b)図6(a)のC−C断面図
【符号の説明】
【0068】
1、40 洗濯乾燥機本体(本体)
3 洗濯物
4、43 外槽
7、44 内槽
18 ヒータ(加熱手段)
19、49 送風ファン(送風手段)
20、47 防塵フィルター
21、48 除塵体
55 加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収納する内槽と、前記内槽を収納する外槽と、前記内槽内に送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記洗濯物から発生する糸くず等を捕獲する防塵フィルターと、捕獲された前記糸くず等を除去する除塵体を有し、前記除塵体を、本体内を流れる空気で駆動するようにした洗濯乾燥機。
【請求項2】
除塵体はブラシ部材を備え、前記ブラシ部材を防塵フィルターの表面に摺接させて糸くず等を除去するようにした請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
除塵体を、本体内を流れる空気で回転駆動しながら、防塵フィルターの表面に沿って移動させるようにした請求項1又は2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
少なくとも除塵体及び防塵フィルターを、洗濯運転時に外槽内に溜められる水内に浸漬しない部位に配した請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
除塵体で除去された糸くず等を収納するダストボックスを着脱自在に設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
除塵体に、本体内を流れる空気を受けて回転する羽根を複数枚設けた請求項1又は2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項7】
少なくとも除塵体及び防塵フィルターを、洗濯運転時に外槽内に溜められる水に浸かる部位に配した請求項6に記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−264190(P2008−264190A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111059(P2007−111059)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】