説明

洗濯機用防水パン

【課題】洗濯機を移動したり取り除いたりすることなく、排水トラップのメンテナンスを確実に行え、洗濯機排水ホースを洗濯機用防水パン内外へ導出入させる際に、洗濯機排水ホースの折れ曲がりや、潰れを無くし、排水作業を良好に行うことができる洗濯機用防水パンを提供する。
【解決手段】洗濯機脚部を載置する台座部14が四隅に形成され、周縁に立ち上がる防水壁16が形成された防水パン本体12と、洗濯機排水ホースを接続するホースジョイント22を介して排水管に連結される排水トラップ本体20とを備えた洗濯機用防水パン10であって、各台座部14同士のそれぞれの対向面24の両側端部に、台座部14の上端から下端に渡る窪み部26が形成され、防水壁16の各隅頂点位置から窪み部26が形成されている位置を所定の長さ超える位置までの防水壁16の厚さが、他の位置における防水壁16の厚さよりも薄く形成させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機などの排水ホースを接続連結する排水用の洗濯機用防水パン、詳しくは、排水ホースを接続連結させるために洗濯機用防水パン内外へ導出入させる際の排水ホースの潰れを防止することが可能な洗濯機用防水パンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗濯機用防水パンは、床面の排水口に取り付けられる排水トラップが設けられ、ホースジョイントを介して洗濯機の排水ホースと接続され、排水ホースから流出する廃水(汚水)を床下に配設した排水管に流し込むために用いられており、廃水は、ホースジョイントから排水トラップ内に流れ込み、排水管側へ送られ、封水カップと封水筒との封水構造によってトラップを形成して、通常の排水管に洗濯機の廃水を流す場合でも、防水と臭気の逆流を防止することができるようになっている。
【0003】
しかし、従来の洗濯機用防水パンでは、洗濯機を載置した時の状態では、防水パンに取り付けられた排水トラップは、洗濯機が邪魔になり掃除が困難であったり、洗濯機用防水パン周囲の縁の高いものは、洗濯機用防水パン自体の掃除がやりにくく、また、防水パンの底面の廃水勾配は、排水トラップ付近に向けて設けられていても排水トラップ付近に溜まったゴミ類は、手が届きにくい所にあって、掃除がしにくく、さらに、排水トラップ付近に糸くずやゴミが詰まって、防水パンに水が溜まってしまい、オーバーフローしてしまう可能性がある。
【0004】
特に、ドラム式の洗濯機であると、洗濯機自体の重量が重く、さらに、大きさも大きいため、一人では洗濯機を動かせず、排水トラップのメンテナンスが出来ないという問題がある。また、住宅の洗濯機設置スペースの縮小化に伴って、640×640mmの最小スペースの防水パンが普及してきているため、さらに排水トラップのメンテナンス作業が難しくなってきている。
【0005】
上記のような問題を解決するために、例えば特許文献1には、床面の排水口に嵌合されて床面に固定され、洗濯機脚部を載置する台座部のある防水パンと、洗濯機排水ホースを接続するホースジョイントを介して床面下に配設される排水管に連結されてトラップ機能をはたすトラップ形成体のある排水トラップ本体とを備えた洗濯機用防水パンにおいて、防水パン上に載置した洗濯機下でトラップ形成体を上方に引き抜き横倒し状態にできる隙間を形成する高さを有する台座部を側壁のある防水パンの四隅に立設すると共に、該台座部間にトラップ形成体を横倒し状態で防水パンに出入れできる円弧状の開口窪みを設け、前記台座部が、開口窪みを設けた内側面を大きなRを持った湾曲面のコーナーに形成したことを特徴とする洗濯機用防水パンが開示されている。
【0006】
上記技術によると、防水パンの点検時に重量の重たい洗濯機を移動したり取り除いたりすることなく、排水トラップのメンテナンスを確実に行え、取扱の簡易化を図ることができ、特に、洗濯機ホースの導出も台座部の湾曲面のコーナーに沿って行われるため、洗濯機ホースの折れ曲がりや、潰れもなく、排水作業が良好に行われるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−88630
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている洗濯機用防水パンの構造では、石油資源の節約のための軽量化や、洗濯機用防水パン自体の製造コストを抑えることは難しく、こういった面で、さらなる改良の余地があった。本発明は、上述の課題に鑑みなされたもので、防水パンの点検時に重量の重たい洗濯機を移動したり取り除いたりすることなく、排水トラップのメンテナンスを確実に行え、取扱の簡易化を図ることができ、特に、洗濯機排水ホースを洗濯機用防水パン内外へ導出入させる際に、洗濯機排水ホースの折れ曲がりや、潰れを無くし、排水作業を良好に行うことができ、さらに、軽量化や製造コストを抑えることが可能な洗濯機用防水パンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、床面の排水口に嵌合されることで床面に固定され、洗濯機脚部を載置する台座部が四隅にそれぞれ形成されるとともに、周縁に沿って立ち上がる防水壁が形成された防水パン本体と、洗濯機排水ホースを接続するホースジョイントを介して床面下に配設される排水管に連結されることでトラップ機能を果たす排水トラップ本体とを備えた洗濯機用防水パンであって、前記各台座部それぞれの対向面には、各両側端から所定の範囲にかけて、当該台座部が形成されている前記洗濯機用防水パンの隅方向に向けて上端から下端に渡る窪み形状を呈した窪み部が形成されており、前記防水壁の前記洗濯機用防水パンの各隅頂点位置から前記台座部が形成されている範囲を所定の長さ超える位置までの厚さが、他の位置における前記防水壁の厚さよりも薄く形成されていることを特徴とする洗濯機用防水パンである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の洗濯機用防水パンであって、前記各台座部の対向面は、下端から上端にかけ、前記各台座部が形成されている前記洗濯機用防水パンの隅方向に向けて傾斜してなることを特徴としている。さらに、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の洗濯機用防水パンであって、前記台座部は、載置する洗濯機脚部のズレを防止するための、格子状の凸条が上面に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の洗濯機用防水パンによると、床面の排水口に嵌合されることで床面に固定され、洗濯機脚部を載置する台座部が四隅にそれぞれ形成されるとともに、周縁に沿って立ち上がる防水壁が形成された防水パン本体と、洗濯機排水ホースを接続するホースジョイントを介して床面下に配設される排水管に連結されることでトラップ機能を果たす排水トラップ本体とを備えた洗濯機用防水パンであって、前記各台座部それぞれの対向面には、各両側端から所定の範囲にかけて、当該台座部が形成されている前記洗濯機用防水パンの隅方向に向けて上端から下端に渡る窪み形状を呈した窪み部が形成されており、前記防水壁の前記洗濯機用防水パンの各隅頂点位置から前記台座部が形成されている範囲を所定の長さ超える位置までの厚さが、他の位置における前記防水壁の厚さよりも薄く形成されていること特徴としているため、窪み形状及び他の防水壁よりも薄く形成されている防水壁を通じて、排水ホースを洗濯機用防水パン内外へ導出入することができるため、大型の洗濯機を載置させている場合でも排水ホースの折れ曲がりや、潰れを防止することが可能となる。
【0012】
また、防水壁に特殊な形状を必要とせずに、排水ホースをスムースに導出させることができるため、洗濯機用防水パン自体の軽量化や製造コストを抑えることが可能となる。またさらに、排水ホースの導出入に必要な範囲における防水壁の厚さのみを他の防水壁の厚さよりも薄くしているため、洗濯機用防水パンの強度も保て、重量のある洗濯機を載置させても割れ等の発生を無くすことが可能である。
【0013】
そして、請求項2記載の洗濯機用防水パンによると、請求項1記載の洗濯機用防水パンであって、前記各台座部の対向面は、下端から上端にかけ、前記各台座部が形成されている前記洗濯機用防水パンの隅方向に向けて傾斜してなることを特徴としているため、排水ホースを窪み部を通じて、よりスムースに導出入することができ、また、導出入による排水ホースの折れ曲がりや、潰れをより防止することが可能となる。さらに、請求項3記載の洗濯機用防水パンによると、請求項1又は2記載の洗濯機用防水パンであって、前記台座部は、載置する洗濯機脚部のズレを防止するための、格子状の凸条が上面に形成されていることを特徴としているため、洗濯機の安定した運転を担保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る洗濯機用防水パンの実施形態を示した図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は排水トラップを備えた状態のA−A断面図、(d)は斜視図である。
【図2】本発明に係る洗濯機用防水パンの実施形態のうち、防水パン本体の台座部近辺の平面図である。
【図3】本発明に係る洗濯機用防水パンの実施形態において、排水ホースが導出入されている状態を表したもので、(a)は、台座部近辺の正面概略図、(b)は縦断面概略図である。
【図4】本発明に係る洗濯機用防水パンの実施形態において用いられる排水トラップ本体を示し、(a)は縦断面図、(b)は一部の拡大詳細断面図、(c)は平面図、(d)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る洗濯機用防水パンの実施形態を示した図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は排水トラップを備えた状態のA−A断面図、(d)は斜視図である。また、本発明に係る洗濯機用防水パンの実施形態において用いられる排水トラップ本体を示し、(a)は縦断面図、(b)は一部の拡大詳細断面図、(c)は平面図、(d)は側面図である。
【0016】
そして、10は洗濯機用防水パン、12は防水パン本体、14は台座部、16は防水壁、18は排水口、20は排水トラップ本体、22はホースジョイント、24は各台座部の対向面、26は窪み部、28は目皿、30は目皿受、32は結束バンド、34はホース固定係止部、36は封水カップ、38は封水筒、40は案内筒、42は嵌合取付口、44は接続部、46はシール部材、48は翼片、50は流水スリット、52は外環板、54はネジ部を表している。
【0017】
本実施形態における洗濯機用防水パン10は、図1及び4に示すように、防水パン本体12の排水口18に排水トラップ本体20が装着され、床面a上に固定させることにより用いるものであり、まず、防水パン本体12の4隅においてそれぞれ形成された洗濯機の脚部を載置させるための台座部14と、防水パン本体12から溢れる汚水を外部へと漏らさないための周縁に沿って立ち上がる防水壁16と、排水トラップ本体20を装着する排水口18からなる防水パン本体12が設けられている。
【0018】
さらに、洗濯機用防水パン10には、洗濯機排水ホースbを接続するホースジョイント22を介して床面a下に配設される排水管cに連結されることでトラップ機能を果たす排水トラップ本体20が設けられている。そして、洗濯機の脚部を載置させるための台座部14の各台座部同士それぞれの対向面24は、防水壁16側の各両側端から所定の範囲にかけて、各台座部14が形成されている洗濯機用防水パン10の隅方向に向けて、上端から下端に渡って窪み形状を呈する窪み部26がそれぞれ形成されている。
【0019】
また、図2及び3に一例として示すように、窪み部26は、洗濯機排水ホースbが洗濯機用防水パン本体12の内外への通り抜けが可能な空間が生じる程度に窪み形状を呈した窪み部26が設けられているため、通り抜けさせる洗濯機排水ホースbの折れ曲がりや、潰れを無くすことができるという利点がある。本実施形態では、窪み部26は、各台座部の対向面24とともに、その下端から上端にかけ、台座部14が形成されている洗濯機用防水パン10の隅方向に向けて傾斜しているため、より一層効果が生じる。
【0020】
そして、防水壁16のうち、洗濯機用防水パン本体12の各隅頂点から台座部14が形成されている範囲を所定の長さ超える位置までの厚さが、他の防水壁16の厚さよりも薄く形成されているため、窪み部26の効果と相乗して、洗濯機排水ホースbの洗濯機用防水パン本体12の内部から外部へと通り抜けを容易にし、洗濯機排水ホースbの折れ曲がりや、潰れを防止することが可能となっているわけである。
【0021】
また、台座部14の上面に、載置される洗濯機の脚部のズレを防止するための凸条を形成させておくと、洗濯機の安定した運転を担保することが可能となるため、非常に好ましい。
【0022】
本実施形態における洗濯機用防水パン10では、図4に一例として示すように、洗濯機用防水パン本体12に装着する排水トラップ本体20には、目皿受30を介して、排水孔のある目皿28が備えられ、この目皿28にホースジョイント22を設けて、洗濯機排水ホースbが接続されるという構成となっている。
【0023】
また、ホースジョイント22には、洗濯機排水ホースbをナイロンバンド等の結束バンド32によってバンド掛け止めできるホース固定係止部34が設けられており、洗濯機排水ホースbが躍ったり、外れたりすることがないような構成となっている。
【0024】
そして、排水トラップ本体20には、トラップ機能を果たす封水カップ36と、封水カップ36に流水用の間隔をあけて嵌挿され、下端開口部で連通する封水筒38と、さらに、封水筒38に流水用の間隔をあけて嵌挿され、封水カップ36に載置される案内筒40とからなるトラップ形成体が挿脱自在に備えられており、さらに、トラップ形成体に洗濯機排水ホースbが接続されるホースジョイント22のある目皿28を介して目皿受30が着脱自在にねじ込み、あるいは、嵌合されている。
【0025】
また、洗濯機用防水パン10は、床面a上に固着するための縁部の適宜の複数箇所に床面取付孔(図示せず)が設けられており、また、底面中央の一側部に片寄せた位置に排水トラップ本体20の嵌合取付口42が略正方形、長方形あるいは、円形の形態に形成されている。
【0026】
そして、排水トラップ本体20は、排水管cを連結することができる配水管の接続部44が一体形成されており、さらに、パッキンのシール部材46を介して、洗濯機用防水パン本体12の嵌合取付口42に嵌着固定させる構成となっている。
【0027】
また、排水トラップ本体20や、トラップ形成体の封水カップ36、封水筒38、案内筒40等は、目視可能な無色透明或いは、黄色、赤色、青色等の顔料によって着色した有色透明又は半透明の合成樹脂(例えば、ABS樹脂、PP樹脂)等によって内部を透視できる構成とすることがメンテナンス上好ましい。
【0028】
続いて、封水カップ36には、目皿受30に挿脱自在に嵌挿される有底筒体であって、底面に流水用の隙間を形成できる翼片48を所定間隔をあけて立設し、且つ、筒体上部周側面にオーバーフロー孔となる流水スリット50を周方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0029】
また、封水カップ36内に流水用の間隔をあけて嵌挿される封水筒38も封水カップ36に嵌挿されるテーパー筒部を有しており、且つ、目皿受30に嵌合されるフランジを有する中空筒体で、この中空筒体の下端開口部に案内筒40の外周に突設した消泡用リブが挿入される構成となっている。
【0030】
さらに、案内筒40は、両端開口でホースジョイント22に接続される側の内周面にホースジョイント係止部の段差部分が形成された中空体となっており、この中空体の下端開口の筒体下端外周に外環板52が突設され、この外環板52に所定間隔をあけて筒体外周に消泡用リブの翼片48を設けるとともに、封水カップ36の内底面に立設される翼片上に載置させることで、封水筒38との間に流水用の隙間をあける構成とすることがより好ましい。
【0031】
またさらに、排水トラップ本体20と目皿受30との間に、また、封水カップ36と封水筒38のフランジとの間に、リング状のスリップパッキン及び平パッキンのシール部材46を介在させて、目皿受30を排水トラップ本体20に、さらに、目皿28を目皿受30に嵌着させることによって、排水トラップ本体20の漏水防止を図ることができるようになる。
【0032】
次に、排水トラップ本体20は、各部材が耐衝撃性、耐腐食性及び耐熱性等に優れたABS樹脂等で形成され、排水口を覆い、洗濯機用防水パン本体12に固着され、目皿28は、ネジによって固着できる複数の取付孔が周方向に間隔をおいて穿設されている。また、目皿28を嵌合保持する目皿受30には、外周にネジ部54が備えられており、排水トラップ本体20のネジ部に着脱自在に螺合され保持できるようになっている。
【0033】
さらに、ホースジョイント22は、エラストマー等の軟性樹脂からなるエルボを用い、このホースジョイント22を目皿28或いはパッキンホルダーで排水トラップ本体20に締め付ける形態とすることもできる。また、ホースジョイント22に接続される案内筒40に相対するフランジ部が押しつけられるような構成としても、水密を保った状態で強固に接続させることが可能となる。
【0034】
なお、封水筒38は、軽量性、耐熱性に優れたABS、PP樹脂等を用い、上部をカップ状の円錐筒形に成形され、その内面上部に補強リブが設けられている。また、中央部に案内筒40が備えられ、そして、封水カップ36の内周に嵌装保持させた状態で用いられる。このような構成となっているため、排水の流れに溜まりや、衝突を無くし、より良い排水の流れをもたらすことが可能となる。
【0035】
排水トラップ本体20は、トラップ形成体を構成するために、封水カップ36の貯留水中に浸かる筒状の封水筒38によるトラップ機構を備えているが、ホースジョイント22を経て案内筒40に入った汚水は、案内筒40の周方向ほぼ全周に渡って広く開いた開放型の下端開口から、封水カップ36に導入され、さらに、下底部に流水用隙間を形成する翼片によって誘導され、封水カップ36の湾曲側壁に沿って、上向流で流過して上部の流出スリット50からオーバーフローして噴出されるといった構成となっている。
【0036】
また、目皿28から流入する漏れ水は、案内筒40の外周を伝って、下端開口から外周を流れる上向流に巻き込み誘引混合され、流出スリット50からオーバーフローして噴出され、排水トラップ本体20の接続部44に連結された排水管cに排出される。その際、排水トラップ本体20内に封水筒38で構成される空間周辺を中心に強い乱れを伴う反転流を形成することになり、封水筒38内壁付近の流速は激しく外周方向に誘導され、洗剤等の管壁への付着を防げることができる。
【0037】
また、管路流の閉塞現象や、ゴミ詰まり現象の発生も押させることもできる。さらに、案内筒40に消泡用リブが形成されているため、貯留水の泡立ちを防ぎ、目皿28より逆流噴出することなく、洗濯機用排水トラップ10を衛生的に使用することができるようになる。
【0038】
ホースジョイント22と、案内筒40との固定用の目皿28又はパッキンホルダーは、中央に案内筒40の嵌合孔を有する中空板又は円筒体からなり、旋回操作用のすべり防止の凹凸面を外側に設け、また、目皿28又は排水トラップ本体20に設けた凸状係合部或いはネジ部を嵌合させるガイド凹溝又はネジ部が備えられており、排水トラップ本体20に封水カップ36及び封水筒38を嵌入した後、案内筒40を接続して、ホースジョイント22の一端開口を連結させ、目皿28又はパッキンホルダーを装着させれば、封水カップ36及び封水筒38からなるトラップ形成体を排水トラップ本体20内に容易に組み入れセットし、また、分解取り外しが可能となる。
【0039】
排水トラップ本体20を洗濯機用防水パン本体12に備える際には、例えば、横引きの接続部44のある排水トラップ本体20では、トラップ機能を果たす案内筒40と封水筒38及び封水カップ36とからなるトラップ形成体を排水トラップ本体20に挿脱自在に備え、且つ、排水ホース取付用のホースジョイント22のある目皿28を着脱自在にねじ込み或いは、嵌合により配設させるようにすることが好ましい。
【0040】
また、洗濯機用防水パン本体12の嵌合取付口42は、目皿28により覆われていて、これを取り外せば、案内筒40と封水筒38及び封水カップ36とを取り除くことができ、そして、排水管cを高圧洗浄等の清掃も容易に行え、さらに、洗濯機排水ホースbのホースジョイント22も目皿28に回転自在に連結して、洗濯機排水ホースbとの取扱を簡易にすることもできる。
【0041】
なお、洗濯機排水ホースbは、必要に応じて蛇腹部を介してホース固定バンドの結束バンド32によってホースジョイント22に嵌挿入状態を維持出来るようにしても良く、また、排水トラップ本体20、封水カップ36、封水筒38及び案内筒40をABS樹脂やPP樹脂等の合成樹脂で一体成型させれば、錆びることがなく、清潔性を維持することができ、取扱いが極めて容易なものとなる。
【0042】
また、洗濯機用防水パン本体12に排水トラップ本体20を取り付けるには、床面aに設けられた排水トラップ本体20の排水管cの管径を確認し、排水トラップ本体20の接続部44に排水管cを接続固着する。次に、洗濯機用防水パン本体12に排水トラップ本体20を固着し、目皿受30を嵌入し、トラップ機能を果たす封水カップ36、封水筒38及び案内筒40を排水トラップ本体20に嵌入保持させれば良い。
【0043】
そして、案内筒40にホースジョイント22を挿入接続し、目皿受30にホースジョイント22のある目皿28を定着させ、ホースジョイント22の他端開口のホース受けパイプに洗濯機排水ホースbを挿入接続させれば、洗濯機用防水パン10の施工作業を終えることができる。このような構成によると、洗濯機排水ホースbから汚水が流れてくると、この汚水は、ホースジョイント22から案内筒40、封水筒38及び封水カップ36からなるトラップ形成体を経由し、流出スリット50より排水管cに流出することになる。
【0044】
また、目皿受30を洗濯機用防水パン本体12から外し、目皿受30に嵌合されている目皿28を外せば、トラップ機能を果たす封水カップ36、封水筒38及び案内筒40からなるトラップ形成体を排水トラップ本体20から取り出すことができるため、内部の清掃や点検も簡便に行うことができるようになる。なお、本実施形態では、上記の排水トラップ本体の構成としているが、本発明は、これに限定されるものではなく、あくまで一例であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
10 洗濯機用防水パン
12 防水パン本体
14 台座部
16 防水壁
18 排水口
20 排水トラップ本体
22 ホースジョイント
24 各台座部の対向面
26 窪み部
28 目皿
30 目皿受
32 結束バンド
34 ホース固定係止部
36 封水カップ
38 封水筒
40 案内筒
42 嵌合取付口
44 接続部
46 シール部材
48 翼片
50 流水スリット
52 外環板
54 ネジ部
a 床面
b 洗濯機排水ホース
c 排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面の排水口に嵌合されることで床面に固定され、洗濯機脚部を載置する台座部が四隅にそれぞれ形成されるとともに、周縁に沿って立ち上がる防水壁が形成された防水パン本体と、洗濯機排水ホースを接続するホースジョイントを介して床面下に配設される排水管に連結されることでトラップ機能を果たす排水トラップ本体とを備えた洗濯機用防水パンであって、
前記各台座部それぞれの対向面には、各両側端から所定の範囲にかけて、当該台座部が形成されている前記洗濯機用防水パンの隅方向に向けて上端から下端に渡る窪み形状を呈した窪み部が形成されており、
前記防水壁の前記洗濯機用防水パンの各隅頂点位置から前記台座部が形成されている範囲を所定の長さ超える位置までの厚さが、他の位置における前記防水壁の厚さよりも薄く形成されていること
を特徴とする洗濯機用防水パン。
【請求項2】
前記各台座部の対向面は、下端から上端にかけ、前記各台座部が形成されている前記洗濯機用防水パンの隅方向に向けて傾斜してなることを特徴とする請求項1記載の洗濯機用防水パン。
【請求項3】
前記台座部は、載置する洗濯機脚部のズレを防止するための、格子状の凸条が上面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機用防水パン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−104186(P2013−104186A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247115(P2011−247115)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(592139887)株式会社テクノテック (26)
【Fターム(参考)】