説明

洗車機における車形検出方法および洗車方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、門型に形成された洗車機本体内に、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体に対して洗浄,乾燥等の処理を順次施す洗車機に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の洗車機では、洗浄する自動車車体の形状に応じて、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を制御している。そのため、自動車車体の形状を検出する必要がある。
【0003】自動車車体の形状を検出する手段の一例として、洗車機の上方に超音波センサーを備え、下方に向けて超音波信号を送信し、自動車車体からの反射波を受信するまでに要する時間から自動車の車高を測定し、車形を検出する方法が知られている。また、この車高データを用いた洗車方法として、例えばワゴン車の車高を検出すると、洗車機は、上面洗浄ブラシの上方への動作がワゴン車前部の急な傾斜に追従できないで車体を破損させる危険を回避するために、上面洗浄ブラシを上昇させて車体前部と上面洗浄ブラシとの接触を回避するなどの制御を行っている。
【0004】しかしながら、この車形検出方法では、単に自動車車体の高さを測定するだけなので、車高の低い普通の乗用車、車高の高いワゴン車、といった大まかな車種の判別しかできない。従って、例えば車形に合わせて上面洗浄ブラシを制御しようとしても、様々な車形の自動車に即したきめ細かな制御が行えない。
【0005】このような問題を解決するために、例えば、門型に形成された洗車機本体の、自動車に対向する側面の上下方向に、多数の光電スイッチを設け、洗車機もしくは自動車の走行に応じて一定距離周期で順次車高を測定し、洗車機もしくは自動車の走行位置に対応する車高データを記憶装置に記憶して、車形を検出する方法が知られている。また、この車高データを用いた洗車方法として、例えば上面洗浄ブラシを任意の高さに昇降保持できるよう構成し、車高データに追従させて上面洗浄ブラシを昇降制御する方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方法では、正確な車高データを得るためには、多数の光電スイッチを設ける必要がある。さらに、一定距離周期で測定した多数の車高データを記憶しておくために、容量の大きな記憶装置が必要となる。また、上面洗浄ブラシを任意の高さに昇降保持するために、複雑な装置が必要となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような問題を解決するために本発明は、門型に形成された洗車機本体内に、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車機において、特定の車高を検出する車高検出手段と、洗車機または自動車の走行位置を検出する走行位置検出手段とを設け、検出した車高と走行位置から、車体の上面の傾斜角度を計算することにより、車形を判断する。また、その車形データに基づいて、上面洗浄ブラシなどの洗車処理装置を制御する。
【0008】
【作用】これにより、多数の光電スイッチを用いることなく、また、大量の車高データを記憶する、容量の大きな記憶装置を用いることなく、車形を検出するすることができる。また、様々な車形を判別することができるので、洗車処理装置の構成を複雑にすることなく、従来洗浄ブラシを回避して洗い残しのあった車形の自動車でも、洗い残しの少ない洗車を行うことができる。
【0009】
【実施例】以下、図面を基に、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の実施例の側面図、図2は本発明の実施例の正面図である。図において、1は自動車車体を跨ぐように門型状に形成した洗車機本体で、正転逆転可能な電動機4,4により、車輪2,2を回転駆動して、レール3,3に沿って往復走行する。
【0010】5は、洗車機走行位置を検出するロータリーエンコーダーで、電動機4の出力軸に連結し、電動機4の回転方向を検出しながら単位角度回転毎にパルス信号を出力して洗車機本体1の走行位置を与えている。
【0011】6は、洗車機位置を検出する位置センサ−で、洗車機本体1下部に設けられ、レール3敷設面に固定された突起物であるドッグ7を感知してスイッチングし、洗車機本体1の位置を与えている。ドッグ7は洗車機本体の走行開始位置を与える。
【0012】8は車体上面に沿って上下する上面洗浄ブラシ、9は車体側面に沿って開閉する側面洗浄ブラシ、10,11は散水ノズル、12は上面乾燥ノズル、13は側面乾燥ノズルで、洗車機本体1の往復走行に伴って、車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車処理装置を構成する。
【0013】投光器14a,15a,16a,17a、受光器14b,15b,16b,17bは光電スイッチで、洗車機で洗浄する自動車車体の高さを検出する。地上からh1の高さに設けられた14a,14bは車両下部を、地上からh2の高さに設けられた15a,15bは普通車ルーフ位置を、地上からh3の高さに設けられた16a,16bはワゴン車ルーフ位置を検出し、本発明の自動車車高検出手段を構成する。地上からh4の高さに設けられた17a,17bは、洗車機では洗車できない高さの自動車車高を検出する。洗車機は、洗車不可能な車高の自動車の場合、洗車の受付を禁止したり、洗車中に洗車不可能な車高を検出したときは、洗車機および洗車処理装置を停止させ、洗車を中止する。高さh1,h2,h3,h4は、それぞれの目的に適合するように、適宜定められる。
【0014】図3は、上面洗浄ブラシの構成を示す説明図である。上面洗浄ブラシ8は、ブラシアーム18,18の一端にその両側を支持され、ブラシアーム18,18の揺動に従って上下動する。ブラシアーム18,18に一体に設けられた支軸19,19は、門型フレーム1の内方両側に固定される軸受20,20により支持されている。支軸19の一方には、エアシリンダ21が連結され、上面洗浄ブラシ8は、エアシリンダ21の作動に伴い上昇する。エアシリンダ21の作動が解かれると、上面洗浄ブラシ8は重力バランスにより下降し、この状態で自動車車体に接触すると、ブラシアーム18,18が上方に揺動して、上面洗浄ブラシ8は自動車車体上面をなぞるように移動する。
【0015】一方のブラシアーム18には、上面洗浄ブラシ8を支持する側と支軸19に対して反対の側に、上面洗浄ブラシ8を駆動する正逆回転可能なモータ22が取り付けられている。なお、図示しないが、このブラシアーム18内には、上面洗浄ブラシ8およびモータ22のそれぞれと連結するスプロケットと、この両スプロケットに掛け渡されたチェーンとが備えられている。他方のブラシアーム18には、やはり上面洗浄ブラシ8を支持する側と反対の側に、ウエイト23が取り付けられており、上面洗浄ブラシ8の揺動負荷を軽くしている。
【0016】図4は実施例の制御系を示すブロック図である。24はマイクロコンピューターで、演算処理を行うCPU25、プログラム及び各種データを記憶するメモリ26、及び入出力インターフェース27より成り、入出力インターフェース27には、走行位置検出用ロータリーエンコーダー5、位置センサー6、電動機4,4、上面洗浄ブラシ昇降用エアシリンダー21、上面洗浄ブラシ回転用モータ22、側面洗浄ブラシ9、散水ノズル10,11、上面乾燥ノズル12、側面乾燥ノズル13、車高測定用光電スイッチ14a,14b,15a,15b,16a,16b,17a,17bが接続される。
【0017】次に、実施例の動作について説明する。図5R>5および図6は、本発明による車形の検出方法により、洗浄する自動車車体の前部形状を検出する方法を示す説明図である。図5は自動車がボンネット部を持つ乗用車の場合を、図6は自動車がボンネット部の無いワゴン車の場合を示す。
【0018】図5(a)に示すように、洗車機本体1が洗車開始位置にあるとき、自動車Aが所定の停止位置に停止する。洗車を開始し、洗車機本体1が図5(b)に示す位置に達したとき、車両下部を検出する光電スイッチが、投光器14aと受光器14b間を車体によって遮光され、車体を検出する。洗車機は、この時の洗車機本体1の位置Y1をメモリ26に記憶する。洗車が進み、洗車機本体1が図5(c)に示す位置まで達したとき、普通車ルーフ位置を検出する光電スイッチ15a,15bが車体を検出する。洗車機は、この時の洗車機本体1の位置Y2を記憶する。
【0019】このとき、光電スイッチ14a,14bの高さh1と光電スイッチ15a,15bとの高さh2との間隔haと、位置Y1と位置Y2との距離Laより、車体前部の形状を示す傾斜角θ1は、数1に示す計算式より求められる。
【0020】
【数1】


【0021】この角度θ1が所定の角度より小さかったとき、洗車機は自動車Aがボンネット部を持つ乗用車であると判断する。図6に示すワゴン車の場合も同様であり、求められた角度θ1が所定の角度より大きかったとき、洗車機は自動車Aがワゴン車であると判断する。角度θ1の大小の判断の基準となる角度は、一般的な車体の形状より適宜定められる。
【0022】この結果を用いて洗車処理装置を制御する一例として、上面洗浄ブラシを制御する方法を説明すると、自動車がボンネット部を持つ乗用車のときは、洗車機は上面洗浄ブラシ8が車体に沿って上下動できるものと判断して、上面洗浄ブラシ8を回避動作させることなく自動車Aを洗浄する。また、自動車がワゴン車のときは、洗車機は上面洗浄ブラシ8を車体に沿わせて上下動させると、上面洗浄ブラシ8が車体の傾斜に追従できずに車体を破損させる恐れがあると判断して、上面洗浄ブラシ昇降用エアシリンダ21を作動させ、上面洗浄ブラシ8を上昇させて、上面洗浄ブラシ8と車体前部との接触を避けて自動車Aを洗浄する。
【0023】図7および図8は、本発明による車形の検出方法により、洗浄する自動車車体の後部形状を検出する方法、および検出した形状に応じて洗車を行う方法を示す説明図である。図7は自動車がトランク部を持つ乗用車の場合を、図8は自動車がトランク部を持たないバン型車の場合を示す。
【0024】洗車中に、洗車機が図7(a)に示す位置に達したとき、普通車ルーフ位置を検出する光電スイッチが、投光器15aと受光器15b間の車体による遮光を解かれて、車体を検出しなくなる。洗車機は、この時の洗車機本体1の位置Y3をメモリ26に記憶する。洗車が進み、洗車機が図7(b)に示す位置まで達したとき、車両下部を検出する光電スイッチ14a,14bが車体を検出しなくなる。洗車機は、この時の洗車機本体1の位置Y4を記憶する。
【0025】このとき、光電スイッチ14a,14bの高さh1と光電スイッチ15a,15bの高さh2との間隔haと、位置Y3と位置Y4との距離Lbより、車体後部の形状を示す傾斜角θ2は、数2で示す計算式で求められる。
【0026】
【数2】


【0027】この角度θ2が所定の角度より小さかったとき、洗車機は、自動車Aがトランク部を持つ乗用車であると判断する。図8に示すバン型車の場合も同様であり、求められた角度θ2が所定の角度より大きかったとき、洗車機は、自動車Aがトランク部を持たないバン型車であると判断する。角度θ2の大小の判断の基準となる角度は、一般的な車体の形状より適宜定められる。
【0028】自動車Aがトランク部を持つ乗用車である場合は、復工程において、上面洗浄ブラシ8を自動車車体に沿わせて上下動させて洗浄できるので、図7(c)に示すように、洗車機は上面洗浄ブラシ8を下降させて車体に沿わせたまま洗車を行う。自動車Aがトランク部を持たないバン型車である場合は、復工程において、上面洗浄ブラシ8を自動車車体に沿わせて上下動させて洗浄できるものの、洗車機が高速で走行する場合には、上面洗浄ブラシ8が車体の傾斜に追従できずに車体を破損する恐れがあるので、洗車機は図8(c)に示すように、車体の後部の特定区間Rの間、走行速度を落として走行し、上面洗浄ブラシ8が車体の傾斜に追従して上下動できるようにする。
【0029】なお、図9に示すように、車体後部の傾斜角度θ2がさらに急な自動車の場合には、復工程において上面洗浄ブラシ8を自動車車体に沿わせて上下動させて洗車することができないので、図9(a)あるいは図9R>9(b)に示すように、洗車機は車体後部において上面洗浄ブラシ8を上昇させて、車体後部と上面洗浄ブラシとの接触を回避して洗車を行う。
【0030】図10および図11は、本発明による車形の検出方法により、洗浄する自動車車体が車体前部の傾斜の急なワゴン車であるか、車体前部の傾斜の緩やかなワゴン車であるかを検出する方法、および検出した形状に応じて洗車を行う方法を示す説明図である。図10は自動車が車体前部の傾斜の急なワゴン車の場合を、図11R>1は車体前部の傾斜の緩やかなワゴン車の場合を示す。
【0031】洗車中に、洗車機が図10(a)に示す位置に達したとき、普通車ルーフ位置を検出する光電スイッチが、投光器15aと受光器15b間を車体によって遮光され、車体を検出する。洗車機は、この時の洗車機本体1の位置Y5をメモリ26に記憶する。洗車が進み、洗車機本体1が図10(b)に示す位置まで達したとき、ワゴン車ルーフ位置を検出する光電スイッチ16a,16bが車体を検出する。洗車機は、この時の洗車機本体1の位置Y6を記憶する。
【0032】このとき、光電スイッチ15a,15bの高さh2と光電スイッチ16a,16bの高さh3との間隔hbと、位置Y5と位置Y6との距離Lcより、車体前部の形状を示す傾斜角θ3は、数3で示す計算式で求められる。
【0033】
【数3】


【0034】この角度θ3が所定の角度より大きかったとき、洗車機は、自動車Aが車両前部の傾斜の急なワゴン車であると判断する。図11に示す車両前部の傾斜の緩やかなワゴン車の場合も同様であり、求められた角度θ3が所定の角度より小さかったとき、洗車機は、自動車Aが車両前部の傾斜の緩やかなワゴン車であると判断する。角度θ3の大小の判断の基準となる角度は、一般的な車体の形状より適宜定められる。
【0035】車体前部の傾斜の急なワゴン車である場合は、洗車機は上面洗浄ブラシ8が車体前面の傾斜に沿って上方に動くことができず、車体を損傷する恐れがあると判断して、図10(c)に示すように、上面洗浄ブラシ昇降用エアシリンダ21を動作させて上面洗浄ブラシ8を上昇させ、車体前部と上面洗浄ブラシ8との接触を避けて洗車を行う。また、車体前部の傾斜の緩やかなワゴン車である場合は、洗車機は上面洗浄ブラシ8が車体前面の傾斜に沿って上方に動くことができると判断して、図11(c)に示すように、上面洗浄ブラシ昇降用エアシリンダ21の動作を解除し、上面洗浄ブラシ8を下降させて、車体前部と上面洗浄ブラシ8を接触させて洗車を行う。
【0036】なお、図12に示すように、車両下部を検出する光電スイッチ14a,14bが車体を検出した位置と、普通車ルーフ位置を検出する光電スイッチ15a,15bが車体を検出した位置より求められた角度θ1が所定値より小さく、かつ、普通車ルーフ位置を検出する光電スイッチ15a,15bが車体を検出した位置と、ワゴン車ルーフ位置を検出する光電スイッチ16a,16bが車体を検出した位置より求められた角度θ3も所定値より小さかったとき、洗車機は上面洗浄ブラシがワゴン車の前部の傾斜面に従って上方に動けるものと判断し、車体前部と上面洗浄ブラシを接触させて洗車を行う。
【0037】図13は、本発明による車形の検出方法により、洗浄する自動車がワゴン車であり、ワゴン車であることを検出するワゴン車ルーフ位置の高さがワゴン車の前部では検出され、後部では検出されない形状のときの洗車動作を示す説明図である。
【0038】ワゴン車の洗車では、車体の後面の傾斜面を上面洗浄ブラシで洗浄しようとすると、上面洗浄ブラシがかなりの高さから落下することになり、上面洗浄ブラシが反動で車体後面に衝突するなどの恐れがあるため、自動車の屋根の後端で上面洗浄ブラシを上昇させ、車体との接触を回避している。ところが、車体の形状によっては、車体前部ではワゴン車の高さを検出し、車体後部ではワゴン車の高さを検出しないような自動車もある。この時、洗車機は自動車の屋根の後端よりかなり前方の位置でワゴン車ルーフ位置を検出し、その時点で屋根の後端と判断して上面洗浄ブラシを上昇させると、洗い残しが生じることとなる。
【0039】通常のワゴン車の洗車では、図13(a)に示す位置Y7において、ワゴン車ルーフ位置を検出する光電スイッチが、投光器16aと受光器16b間の車体による遮光を解かれて、車体を検出しなくなる。洗車機は位置Y7をメモリ26に記憶する。
【0040】このとき、ワゴン車であると判断する傾斜角度θ4と、光電スイッチ14a,14bの高さh1と光電スイッチ16a,16bの高さh3との間隔hcと、位置Y7とから、車体後部の位置Y8は、数4で示す計算式で求められる。
【0041】
【数4】


【0042】Y8の位置より手前で車体下部を検出する光電スイッチ14a,14bが車体を検出しなくなれば、洗車機は通常のワゴン車であると判断し、上面洗浄ブラシ8が位置Y7に達したとき、上面洗浄ブラシ昇降用エアシリンダ21を作動させて、車体後部と上面洗浄ブラシ8との接触を回避して、洗車を行う。なお、ワゴン車であると判断する基準となる角度θ4は、一般的な車体の形状より適宜定められる。
【0043】図13(b)に示すように、ワゴン車であることを検出するワゴン車ルーフ位置の高さがワゴン車の前部では検出され、後部では検出されない形状のワゴン車の洗車では、同様にして求められた位置Y8では、車体下部を検出する光電スイッチ14a,14bが車体を検出している。この場合、上面洗浄ブラシ8が位置7に達したときに上面洗浄ブラシ8を上昇させると、洗い残しが生じる。このため、洗車機は自動車の屋根の後端部の位置を補正する必要があると判断し、図13(c)に示すように、車体下部を検出する光電スイッチ14a,14bが車体を検出しなくなる位置Y9から所定の距離B離れた位置を屋根の後端部として、上面洗浄ブラシ8がその位置に達したとき、上面洗浄ブラシ昇降用エアシリンダ21を作動させて、上面洗浄ブラシ8を上昇させる。これにより、上面洗浄ブラシ8を屋根の後端まで接触させて洗浄できるので、洗い残しを防ぐことができる。
【0044】なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の設計変更を行うことができる。例えば、図14に示すように、普通車ルーフ位置を検出する光電スイッチ15a,15bと、ワゴン車ルーフ位置を検出する光電スイッチ16a,16bの間に、光電スイッチ28a,28bを追加することにより、フロントガラスの傾斜角度をもう1段階細かく検出することができる。これにより、例えば洗浄する自動車がジープ型の自動車の場合、傾斜の急なフロントガラス部でトップブラシを回避して洗浄することができる。
【0045】洗車中に、洗車機が図14(a)の位置に達したとき、追加した光電スイッチが、投光器28aと受光器28b(図示しない)間を車体によって遮光され、車体を検出する。洗車機は、この時の位置Y10をメモリ26に記憶する。洗車が進み、ワゴン車ルーフ位置を検出する光電スイッチ16a,16bが車体を検出する。洗車機は、この時の位置Y11をメモリ26に記憶する。
【0046】このとき、光電スイッチ16a,16bと光電スイッチ28との間隔hdと、位置Y10と位置Y11との距離Leより、フロントガラス部の傾斜角度θ5は、数5で示す計算式で求められる。
【0047】
【数5】


【0048】この角度θ5が所定の角度より大きかったとき、洗車機はフロントガラス部の傾斜の急なジープタイプ車であると判断する。角度θ5の大小の判断の基準となる角度は、一般的な車体の形状より適宜定められる。
【0049】ジープタイプ車と判断したときは、図14(c)に示すように、洗車機は、上面洗浄ブラシ8がフロントガラス部の傾斜に沿って上方に動作することができないと判断し、上面洗浄ブラシ8を上昇させ、フロントガラス部と上面洗浄ブラシ8の接触を回避して、洗車を行う。
【0050】また、実施例の洗車方法では、上面洗浄ブラシの制御について説明したが、上面乾燥ノズルやその他の洗車処理装置も、本発明の車形検出方法により検出した車形データに基づいて制御できる。
【0051】
【発明の効果】以上のように本発明は、門型に形成された洗車機本体内に、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車機において、特定の車高を検出する車高検出手段と、洗車機本体または自動車の走行位置を検出する走行位置検出手段とを設け、検出した車高と走行位置から車体の上面の傾斜角度を計算することにより車形を判断し、検出した車形に応じて洗車装置を制御する。
【0052】これにより、多数の光電スイッチを用いることなく、車高データを記憶する記憶装置を大量に用いることなく、車形を検出するすることができる。また、様々な車形を判別することができるので、従来洗浄ブラシを回避して洗い残しのあった車形の自動車でも、洗い残しの少ない洗車を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の側面説明図である。
【図2】本発明の実施例の正面説明図である。
【図3】本発明の実施例の上面洗浄ブラシの構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例の制御系を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例の動作説明図である。
【図6】本発明の実施例の動作説明図である。
【図7】本発明の実施例の動作説明図である。
【図8】本発明の実施例の動作説明図である。
【図9】本発明の実施例の動作説明図である。
【図10】本発明の実施例の動作説明図である。
【図11】本発明の実施例の動作説明図である。
【図12】本発明の実施例の動作説明図である。
【図13】本発明の実施例の動作説明図である。
【図14】本発明の他の実施例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 洗車機本体
8 上面洗浄ブラシ
14a,14b 車体下部検出用光電スイッチ
15a,15b 普通車ルーフ位置検出用光電スイッチ
16a,16b ワゴン車ルーフ位置検出用光電スイッチ
17a,17b 洗車不可車高検出用光電スイッチ
21 上面洗浄ブラシ昇降用エアシリンダ
24 洗車機を制御するマイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 門型に形成された洗車機本体内に、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車機において、少なくとも車体下部,普通車ルーフ位置,ワゴン車ルーフ位置の車高を検出する車高検出手段と、洗車機または自動車の走行位置を検出する走行位置検出手段とを設け、検出した車高と走行位置から、車体の上面の傾斜角度を計算することにより、車形を判断することを特徴とする、洗車機における車形検出方法。
【請求項2】 門型に形成された洗車機本体内に、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車機において、特定の車高を検出する車高検出手段と、洗車機または自動車の走行位置を検出する走行位置検出手段とを設け、検出した車高と走行位置から、車体の上面の傾斜角度を計算することにより車形を判断し、検出した車体が前部の傾斜の急なワゴン車であれば、車体前部で上面洗浄ブラシを回避させ、前部の傾斜の緩やかなワゴン車であれば、車体前部で上面洗浄ブラシを回避させないことを特徴とする、洗車機における洗車方法。
【請求項3】 門型に形成された洗車機本体内に、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車機において、特定の車高を検出する車高検出手段と、洗車機または自動車の走行位置を検出する走行位置検出手段とを設け、検出した車高と走行位置から、車体の上面の傾斜角度を計算することにより車形を判断し、検出した車体後部の傾斜が緩やかなときは、復工程において上面洗浄ブラシを車体に沿わせて洗浄し、車体後部の傾斜がやや急なときは、上面洗浄ブラシを車体に沿わせると共に走行速度を低下させて洗浄し、車体後部の傾斜が急なときは、上面洗浄ブラシを上昇させて車体との接触を回避することを特徴とする、洗車機における洗車方法。
【請求項4】 門型に形成された洗車機本体内に、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車機において、特定の車高を検出する車高検出手段と、洗車機または自動車の走行位置を検出する走行位置検出手段とを設け、検出した車高と走行位置から、車体の上面の傾斜角度を計算することにより車形を判断し、検出した車体がワゴン車であるとき、検出した車体後部の傾斜が緩やかなときは、ワゴン車車体後端部を屋根後端部とみなし、上面洗浄ブラシを制御することを特徴とする、洗車機における洗車方法。
【請求項5】 門型に形成された洗車機本体内に、ブラシ,散水ノズル,ブロア等の洗車処理装置を備え、洗車機本体または自動車の走行に伴い、自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車機において、特定の車高を検出する車高検出手段と、洗車機または自動車の走行位置を検出する走行位置検出手段とを設け、検出した車高と走行位置から、車体の上面の傾斜角度を計算することにより車形を判断し、検出した車体がフロントガラス部の傾斜の急なジープ型車であれば、フロントガラス部で上面洗浄ブラシを回避させることを特徴とする、洗車機における洗車方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図12】
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【図4】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【特許番号】特許第3488755号(P3488755)
【登録日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【発行日】平成16年1月19日(2004.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−333976
【出願日】平成6年12月15日(1994.12.15)
【公開番号】特開平8−169316
【公開日】平成8年7月2日(1996.7.2)
【審査請求日】平成13年2月15日(2001.2.15)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【参考文献】
【文献】特開 平4−24152(JP,A)
【文献】特開 平6−115411(JP,A)
【文献】特開 平6−273134(JP,A)
【文献】特開 平7−165026(JP,A)
【文献】実開 平4−23558(JP,U)