洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材及び洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機
【課題】ブラシ用毛材の毛腰を強く設定しても、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、高い洗浄性が発揮される洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材、及びそれを用いた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供する。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてあるものである。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてあるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ用毛材、及びそれを用いた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ用毛材に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、例えば、剛性度が１２００ｋｇ／ｃｍ２〜５０００ｋｇ／ｃｍ２の熱可塑性樹脂で構成された分岐形状の断面をなす発泡糸で、発泡倍率が１．１〜１．７倍であることを特徴とする回転ブラシ用発泡糸が、特公平６−２１３７１号公報に開示されてある。
【０００３】
また、密度が０．９４〜０．９６ｇ／ｃｍ３のポリエチレン９９〜７０重量部とポリプロピレン１〜３０重量部とを配合してなる洗車ブラシ毛材用樹脂組成物が、特開平６−２６１８１０号公報に開示されてある。
【０００４】
【特許文献１】 特公平６−２１３７１号公報
【特許文献２】 特開平６−２６１８１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
従来の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材は、例えば、上記の如くの特徴を有する技術が開示されてあるが、特公平６−２１３７１号公報に開示されてある技術においては、発泡倍率が１．１〜１．７倍の低発泡倍率の回転ブラシ用発泡糸である為、発泡糸の毛腰を強く設定した場合においては、被洗浄面である車体に容易に傷が付着しやすいという課題を有していた。また、発泡糸の毛腰を弱く設定すると車体に容易に傷は付着しないが、毛腰が弱い為、的確に車体に発泡糸を当接させることが困難になる。その為、洗浄性が劣り、洗浄ムラが発生するという課題も有していた。
【０００６】
また、特開平６−２６１８１０号公報に開示されてある技術においても、密度が０．９４〜０．９６ｇ／ｃｍ３のポリエチレンは、２００３年度版ＪＩＳプラスチック材料のポリエチレン成形用及び押出用材料の試験片の作り方及び諸性質の求め方のＫ６９２２−２の附属書によれば、中密度ポリエチレン、あるいは高密度ポリエチレンに分類されてある為、洗車ブラシ用毛材として使用した場合においては、硬度を低く設定することが困難であり、被洗浄面である車体に容易に傷が付着しやすいという課題を有していた。
【０００７】
本発明は、上記のような課題を解決する為になされたもので、ブラシ用毛材の毛腰を強く設定しても、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、高い洗浄性が発揮される洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材、及びそれを用いた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記目的を達成する為に、第１の課題解決手段は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてある構成としたものである。
【０００９】
また、第２の課題解決手段は、第１の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記外層部は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある構成としたものである。
【００１０】
また、第３の課題解決手段は、第１から第２の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記芯部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある構成としたものである。
【００１１】
また、第４の課題解決手段は、第１から第３の課題解決手段のブラシ用毛材において、少なくとも前記外層部あるいは前記芯部が形状復元力を有する構成としたものである。
【００１２】
また、第５の課題解決手段は、第１から第４の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面の側端部が概丸形あるいはカール形状にて形成されてある構成としたものである。
【００１３】
また、第６の課題解決手段は、第１から第５の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面に折り畳み部が形成されてある構成としたものである。
【００１４】
また、第７の課題解決手段は、第１から第６の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は膨大部と平坦部が交互に形成されてある構成としたものである。
【００１５】
また、第８の課題解決手段は、第１から第７の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は波形状にて形成されてある構成としたものである。
【００１６】
また、第９の課題解決手段は、第１から第８の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも長手方向の一端部に少なくとも先割れ部あるいはスリットのいずれかが形成されてある構成としたものである。
【００１７】
また、第１０の課題解決手段は、第１から第９の課題解決手段のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシとしたものである。
【００１８】
また、第１１の課題解決手段は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第１０の課題解決手段に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機としたものである。
【００１９】
上記第１の課題解決手段による作用は、次の通りである。すなわち、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてある為、被洗浄面に接触する外層部は芯部よりも硬度が低く、柔らかい。従って、被洗浄面にたいして柔軟にブラシ用毛材が当接するので、被洗浄面にブラシ痕等の傷が入ることが無い。また、芯部の外周面の一部又は全部は外層部により被覆されてあり、芯部は外層部よりも硬度が高く、硬いので、ブラシ用毛材としての毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰が強く設定されることから、高い洗浄性が被洗浄面に付与される。
【００２０】
また、第２の課題解決手段による作用は、前記第１の課題解決手段のブラシ用毛材における前記外層部は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある為、被洗浄面に当接する外層部は発泡化して形成されてある。その為、ブラシ用毛材は、被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散でき、被洗浄面にたいして、より柔軟に当接する。また、外層部は発泡体として形成されているので、ブラシ用毛材の軽量化が図られる。また、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂は吸水率が０％なので、ブラシ用毛材の洗車時における含水が抑えられる。また、ポリエチレン樹脂が使用されている場合には、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリプロピレン樹脂が使用されている場合には、軽量等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレン酢酸ビニル樹脂が使用されている場合には、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンメチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、耐熱性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンエチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンブチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、耐寒性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。さらに、ウレタン樹脂が使用されてある場合においては、耐摩耗性、弾力性に優れたブラシ用毛材となる。
【００２１】
また、第３の課題解決手段による作用は、前記第１から第２の課題解決手段のブラシ用毛材における前記芯部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある為、使用される材質に応じた特性がブラシ用毛材に付与される。例えば、ポリエチレン樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリプロピレン樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、軽量等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレン酢酸ビニル樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリエステル系樹脂が使用されている場合には、耐熱性、吸水率の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリアミド系樹脂が使用されている場合には、耐摩耗性、耐熱性等の特性をブラシ用毛材は有する。
【００２２】
また、第４の課題解決手段による作用は、前記第１から第３の課題解決手段のブラシ用毛材における少なくとも前記外層部あるいは前記芯部が形状復元力を有する為、ブラシ用毛材に弾力性が付与される。すなわち、ブラシ用毛材は被洗浄面に当接する際、屈曲変形して当接し、被洗浄面から離れると、屈曲変形した状態から屈曲していない元の状態に復元する。従って、ブラシ用毛材は屈曲変形したままの状態で被洗浄面に当接を続けることが無いので、屈曲変形した部分において、ブラシ用毛材が疲労屈折して毛折れ、毛切れして破断することが無い。また、当接して屈曲変形したブラシ用毛材は、弾力性を有している為、当接している間、強い毛腰が被洗浄面に付与される。
【００２３】
また、第５の課題解決手段による作用は、前記第１から第４の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材の断面の側端部が概丸形にて形成されてある場合においては、被洗浄面に角部を当接させることが無い。また、概丸形の側端部が、側端部以外の肉厚よりも大に設定されてある場合においては、側端部の毛腰を強く設定することが可能である。また、前記ブラシ用毛材の断面の側端部がカール形状にて形成されてある場合においては、被洗浄面からの衝撃力等の反力はカール形状にて吸収、分散される。
【００２４】
また、第６の課題解決手段による作用は、前記第１から第５の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材の断面に折り畳み部が形成されてある為、ブラシ用毛材は折り畳み部で、毛腰がさらに強く設定されると共に、折り畳み部の折り返し部により、被洗浄面に付着している汚れの掻き出し性能が発揮される。また、折り畳み部に、被洗浄面からの衝撃力等の反力が吸収、分散される。さらにまた、折り畳み部には、洗浄水等が一時、溜められる。
【００２５】
また、第７の課題解決手段による作用は、前記第１から第６の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材の断面は膨大部と平坦部が交互に形成されてある為、膨大部の肉厚は、平坦部の肉厚に比べて厚く形成されてある。その為、ブラシ用毛材が被洗浄面に当接した場合においては、平坦部の先端から適度に先割れが進行し、ブラシ用毛材の膨大部が被洗浄面の細かな凹凸部分に当接する。また、先割れ加工をした場合においては、前記の如く膨大部の肉厚は平坦部の肉厚に比べて厚く形成されてある為、膨大部の強度を、平坦部の強度に比べて強く設定できる。その為、膨大部の先端に比べて、平坦部の先端に容易に先割れ加工を実施できる。
【００２６】
また、第８の課題解決手段による作用は、前記第１から第７の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材の断面は波形状にて形成されてある為、波形状断面には湾曲部が形成される。その為、ブラシ用毛材の波形状の湾曲部には洗浄水の水滴等が、一時、溜められる。また、波形状断面は、湾曲部が被洗浄面に当接するので、当接した湾曲部は、被洗浄面の汚れ等を的確に除去し、汚れ等は、被洗浄面から剥離する。
【００２７】
また、第９の課題解決手段による作用は、前記第１から第８の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材は少なくとも長手方向の一端部に少なくとも先割れ部あるいはスリットのいずれかが形成されてある為、ブラシ用毛材の先割れ部、あるいはスリットが被洗浄面にたいして、先割れ部、あるいはスリットが形成されていない場合に比べて、ブラシ用毛材は、より柔軟に当接すると共に、被洗浄面の細かな凹凸部分にも当接する。
【００２８】
また、第１０の課題解決手段による作用は、第１から第９の課題解決手段のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシである為、芯部の硬度を外層部の硬度に比べて大に設定することにより、芯部は被洗浄面にたいして強い毛腰を付与する。また、外層部は被洗浄面にたいして柔軟に当接する。
【００２９】
また、第１１の課題解決手段による作用は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第１０の課題解決手段に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機である為、被洗浄面にたいして、傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる洗車機用洗浄ブラシが使用できる。その為、洗車機は、洗車機用洗浄ブラシを高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシの回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機に付与される。
【発明の効果】
【００３０】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材は、外層部の硬度よりも大の硬度に設定された芯部により、ブラシ用毛材の毛腰が保持されると共に、芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてある外層部が、柔軟に被洗浄面にたいして当接することができるので、ブラシ用毛材の毛腰を強く設定した場合においても、被洗浄面である車体にたいして、強い毛腰にて当接させることができると共に、車体に傷を付着させることが無く、被洗浄面に付着している汚れを除去して高い洗浄性を発揮することができる非常に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３１】
第１の発明は、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてある為、被洗浄面に当接する外層部は芯部よりも硬度が低く、柔らかい。従って、被洗浄面にたいして柔軟にブラシ用毛材が当接するので、被洗浄面にブラシ痕等の傷が入ることが無い。また、芯部の外周面の一部又は全部は外層部により被覆されてあり、芯部は外層部よりも硬度が高く、硬いので、ブラシ用毛材としての毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰が強く設定される。その為、ブラシ用毛材の毛腰を強く設定しても、被洗浄面に当接する外層部は芯部よりも柔らかいので、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、外層部よりも硬い芯部によりブラシ用毛材の毛腰が強く設定できるので、ブラシ用毛材は高い洗浄性を発揮することができる。
【００３２】
第２の発明は、前記外層部は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある為、被洗浄面に当接する外層部は発泡化して形成されてある。その為、ブラシ用毛材は、被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散でき、被洗浄面にたいして、より柔軟に当接する。また、外層部は発泡体として形成されているので、ブラシ用毛材の軽量化を図ることができる。その為、ブラシ用毛材を被洗浄面にたいして深く押し込んで当接させても、被洗浄面である車体に傷が入ることが無い。さらに、発泡体に形成されている外層部が被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散することから、ブラシ用毛材が座屈等により破断することが無く、ブラシ用毛材は高い耐久性を有することができる。また、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂は吸水率が０％なので、ブラシ用毛材の洗車時における含水が抑えられる。その為、冬場にブラシ用毛材が凍結することが無く、凍結して硬くなったブラシ用毛材が車体に当接することが無いので、車体の傷付きによる損傷を防ぐことができ、傷付き防止効果が一段と向上する。また、ポリエチレン樹脂が使用されている場合には、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリプロピレン樹脂が使用されている場合には、軽量等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレン酢酸ビニル樹脂が使用されている場合には、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンメチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、耐熱性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンエチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンブチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、耐寒性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。さらに、ウレタン樹脂が使用されてある場合においては、耐摩耗性、弾力性に優れたブラシ用毛材となる。その為、前記材質を１種類、あるいは複数組み合わせて用いることにより、使用目的に応じたブラシ用毛材を提供することができる。
【００３３】
第３の発明は、前記芯部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある為、使用される材質に応じた特性がブラシ用毛材に付与される。例えば、ポリエチレン樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリプロピレン樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、軽量等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレン酢酸ビニル樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリエステル系樹脂が使用されている場合には、耐熱性、吸水率の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリアミド系樹脂が使用されている場合には、耐摩耗性、耐熱性等の特性をブラシ用毛材は有する。その為、前記材質を１種類、あるいは複数組み合わせて用いることにより、使用目的に応じたブラシ用毛材の提供が可能となる。
【００３４】
第４の発明は、少なくとも前記外層部あるいは前記芯部が形状復元力を有する為、ブラシ用毛材に弾力性が付与される。すなわち、ブラシ用毛材は被洗浄面に当接する際、屈曲変形して当接し、被洗浄面から離れると、屈曲変形した状態から屈曲していない元の状態に復元する。従って、ブラシ用毛材は屈曲変形したままの状態で被洗浄面に当接を続けることが無いので、屈曲変形した部分において、ブラシ用毛材が疲労屈折して毛折れ、毛切れして破断することが無い。その為、ブラシ用毛材の耐久性が飛躍的に向上する。また、当接して屈曲変形したブラシ用毛材は、弾力性を有している為、当接している間、強い毛腰が被洗浄面に付与されるので、洗浄性の向上が図られる。
【００３５】
第５の発明は、前記ブラシ用毛材の断面の側端部が概丸形にて形成されてある場合においては、被洗浄面に角部を当接させることが無い。その為、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、より安全性の高いブラシ用毛材を提供することができる。また、概丸形の側端部が、側端部以外の肉厚よりも大に設定されてある場合においては、側端部の毛腰を強く設定することが可能であるので、被洗浄面である車体に傷を付着させること無く、洗浄性が向上する。また、前記ブラシ用毛材の断面の側端部がカール形状にて形成されてある場合においては、被洗浄面からの衝撃力等の反力はカール形状にて吸収、分散される。その為、ブラシ用毛材の毛折れ、毛切れが抑制され、ブラシ用毛材の耐久性が向上する。
【００３６】
第６の発明は、前記ブラシ用毛材の断面に折り畳み部が形成されてある為、ブラシ用毛材は折り畳み部で、毛腰がさらに強く設定されると共に、折り畳み部の折り返し部により、被洗浄面に付着している汚れの掻き出し性能が発揮される。その為、洗浄性の向上を図ることができる。また、折り畳み部に、被洗浄面からの衝撃力等の反力が吸収、分散される為、ブラシ用毛材の毛折れ、毛切れが無く、ブラシ用毛材の耐久性の向上が図られる。さらにまた、折り畳み部には、洗浄水等が一時、溜められる。
【００３７】
第７の発明は、前記ブラシ用毛材の断面は膨大部と平坦部が交互に形成されてある為、膨大部の肉厚は、平坦部の肉厚に比べて厚く形成されてある。その為、ブラシ用毛材が被洗浄面に当接した場合においては、平坦部の先端から適度に先割れが進行し、ブラシ用毛材の膨大部が被洗浄面の細かな凹凸部分に当接する。その為、洗浄性が一段と向上する。また、先割れ加工をした場合においては、前記の如く膨大部の肉厚は平坦部の肉厚に比べて厚く形成されてある為、膨大部の強度を、平坦部の強度に比べて強く設定できる。その為、膨大部の先端に比べて、平坦部の先端に容易に先割れ加工を実施できる。
【００３８】
第８の発明は、前記ブラシ用毛材の断面は波形状にて形成されてある為、波形状断面には湾曲部が形成される。その為、ブラシ用毛材の波形状の湾曲部には洗浄水の水滴等が、一時、溜められる。また、波形状断面は、湾曲部が被洗浄面に当接するので、当接した湾曲部は、被洗浄面の汚れ等を的確に除去し、汚れ等は、被洗浄面から剥離する。その為、洗浄性を大幅に向上させることが可能となる。
【００３９】
第９の発明は、前記ブラシ用毛材は少なくとも長手方向の一端部に少なくとも先割れ部あるいはスリットのいずれかが形成されてある為、ブラシ用毛材の先割れ部、あるいはスリットが被洗浄面にたいして、先割れ部、あるいはスリットが形成されていない場合に比べて、ブラシ用毛材は、より柔軟に当接すると共に、被洗浄面の細かな凹凸部分にも当接する。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、飛躍的に洗浄性を向上させることができる。
【００４０】
第１０の発明は、第１から第９の発明のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシである為、芯部の硬度を外層部の硬度に比べて大に設定することにより、芯部は被洗浄面にたいして強い毛腰を付与する。また、外層部は被洗浄面にたいして柔軟に当接する。その為、被洗浄面である車体にたいする傷付きが無く、且つ高い洗浄性を兼ね備えた洗車機用洗浄ブラシを提供することができる。
【００４１】
第１１の発明は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第１０の発明に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機である為、被洗浄面にたいして、傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる洗車機用洗浄ブラシが使用できる。その為、洗車機は、洗車機用洗浄ブラシを高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシの回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機を提供することができる。
【００４２】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例１】
【００４３】
図１から図４にて実施例１を示す。図１は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を前面側から見た斜視図である。図１において、１はブラシ用毛材、２は外層部、４は先割れ部、５は湾曲部である。図２は、図１のブラシ用毛材の断面図である。図２において、３は芯部、７は側端部である。図３は、図１のブラシ用毛材の他の実施の形態のブラシ用毛材の正面図である。図３において、６はスリットである。図４は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材の断面図である。図４（Ａ）において、３１はブラシ用毛材、３２は外層部、３３は芯部、３５は湾曲部、３７は側端部である。図４（Ｂ）において、４１はブラシ用毛材、４２は外層部、４３は芯部、４５は湾曲部、４８は折り畳み部、４９は折り返し部である。
【００４４】
ブラシ用毛材１は、図１、及び図２の如く、芯部３が外層部２にて、芯部３の外周面の全周を被覆されてある長尺形状にて形成されてあると共に、断面は概丸形の側端部７、及び湾曲部５を有する波形状にて形成されてある。また、長手方向の両端部には、先割れ部４が形成されてある。また、ブラシ用毛材１は、先割れ部４の替わりに、図３の如く、スリット６を形成して使用しても差し支えない。ブラシ用毛材１は、先割れ部４、あるいはスリット６を形成することにより、被洗浄面の細かな凹凸部分にたいして、先割れ部４、あるいはスリット６が柔軟に当接し、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、被洗浄面に付着している汚れを、先割れ部４、あるいはスリット６により掻き出して除去することができる。さらにまた、ブラシ用毛材１は、スリット６を形成すると共に、スリット６の先端部に先割れ部４を形成する形態も採用できる。前記の形態を採用した場合には、ブラシ用毛材１は、先端部に近づく程、毛腰が柔らかくなる為、被洗浄面に傷が付くことを防止、あるいは抑制することができる。また、ブラシ用毛材１は、湾曲部５を有する為、洗車時に湾曲部５に水等を一時、溜めることができ、洗車時における保水性を高めることができる。さらに、断面の側端部７は、角部の無い概丸形である為、被洗浄面にたいする傷の付着を抑えることができる。
【００４５】
また、ブラシ用毛材１の詳細形状、寸法については、外層部２、及び芯部３の材質の選定、湾曲部５の形状等により、最適な形状、寸法が設定可能である。例えば、芯部３の材質として低密度ポリエチレン樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾性体、外層部２の材質としてエチレン酢酸ビニル樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾力性を有する発泡体を採用した場合においては、ブラシ用毛材１の幅方向の長さは０．５ｍｍから３０ｍｍ、湾曲部５の上部頂点から下部底点までにおける厚みは０．５ｍｍから３ｍｍで、より好適には幅方向の長さは１ｍｍから１５ｍｍ、湾曲部５の上部頂点から下部底点までにおける厚みは０．７ｍｍから１．５ｍｍが望ましい。幅方向の長さや湾曲部５の上部頂点から下部底点までにおける厚みが０．５ｍｍより小であると、被洗浄面に付着した汚れを除去する為に必要とされるブラシ用毛材１の強度に比べて、強度が小になる場合があると共に、耐久性が劣化する場合がある。また、幅方向の長さが３０ｍｍより大であると被洗浄面の細部にまでブラシ用毛材１が当接すること無く、洗い残しが発生して、洗浄性が劣る場合がある。また、湾曲部５の上部頂点から下部底点までにおける厚みが３ｍｍより大であると、被洗浄面に付着した汚れを除去する為に必要とされるブラシ用毛材１の強度に比べて、強度が大になる為、被洗浄面に傷を付ける場合がある。
【００４６】
外層部２は、エチレン酢酸ビニル樹脂を発泡化すると共に、発泡の際に、発泡剤に架橋剤を添加して、エチレン酢酸ビニル樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾力性を有する発泡体にて構成されてある。前記の如く、エチレン酢酸ビニル樹脂等の樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾力性を有する発泡体は、一般的には架橋発泡体と呼ばれている。外層部２の発泡倍率は、被洗浄面に傷を付けないという目的から２倍から１５倍が好ましく、２．５倍から１２倍にて調整されるのがより好ましい。発泡倍率が２倍未満の場合には、硬すぎて被洗浄面に傷を付けることになり、１５倍より大の場合には、摩擦抵抗が大きくなり、洗車時の洗浄音が大きくなると共に、被洗浄面にたいして傷を付けやすくなる。なお、外層部２に用いられる材質としては、前記エチレン酢酸ビニル樹脂の他、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂を使用することもでき、前記の如くの材質は、単独で用いられても併用されても良い。
【００４７】
また、前記発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、４，４−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の熱分解型発泡剤が好適に用いられ、前記材質１は単独で用いられても併用されても構わない。
【００４８】
また、前記架橋剤としては、従来から発泡体に弾力性を付与する目的で製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジクミルパーオキサイド、２，５−ジメチル−２，５−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキセン、１，３−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物が好適に用いられ、前記材質は単独で用いられても併用されても差し支えない。
【００４９】
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等の樹脂にたいして弾力性を付与する方法は、上記の如くの共有架橋構造を形成する方法以外にも、エチレン−αオレフィン共重合体エラストマー、エチレン−αオレフィン架橋共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブロック共重合体エラストマー等の熱可塑性エラストマーを配合する一般的に、ポリマーアロイと呼ばれている方法を用いることもできる。また、ポリエチレンアイオノマー樹脂等のイオン架橋構造を有する樹脂を用いることにより、弾力性を付与することもできる。
【００５０】
芯部３は、低密度ポリエチレン樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾性体にて構成されてある。芯部３の材質としては、前記低密度ポリエチレンの他、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン６１０、ナイロン６１２、ナイロン１１、ナイロン１２、ナイロン４６等のポリアミド系樹脂を単独、あるいは併用して形成することもできる。また、共有架橋構造を形成する架橋剤には、前記の如くのジクミルパーオキサイド、２，５−ジメチル−２，５−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキセン、１，３−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物を用いることができる。
【００５１】
次に、ブラシ用毛材１の製造方法について説明する。ブラシ用毛材１は、外層部２を形成するエチレン酢酸ビニル樹脂に、あらかじめ発泡剤、及び架橋剤を混入しておき、一方、芯部３を形成する低密度ポリエチレン樹脂に架橋剤を配合しておき、押出機（図示せず）の先端に取り付けられた口金を通して外層部２、及び芯部３を同時に押し出す。押し出し後、加熱しながら延伸機にて長手方向に延伸をかけ、延伸後、アニーリングと呼ばれる工程にて冷却固化させることにより形成される。ところで、一般的には、樹脂の成形技術には、溶融成形、固層成形、注型成形、射出成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等があるが、前記の如くの製造方法は、溶融成形の一種の押出成形と呼ばれている。
【００５２】
また、長手方向に延伸させる上記の如くの方法は、一軸延伸と呼ばれている。一軸延伸とは、一方向にのみ延伸応力をかける加工方法であり、延伸方向にたいして平行の方向は、分子配向が起こるので、引張強さが著しく向上するが、延伸方向にたいして直角の方向は、引張強さが向上しない為、延伸方向にたいして平行の方向に、裂けやすくなるという性質を有している。その為、ブラシ用毛材１は、先割れ部４を形成することが可能となる。なお、分子配向とは、線状分子が溶融または固体状態において、外力の作用により、一定方向に配列することである。また、先割れ部４の形成方法は、ブラシ用毛材１の両側先端部の所定長さを、所定回転速度の分割刃やカッターを有する細分割加工機にて細分割加工することにより形成される。
【００５３】
また、ブラシ用毛材１に、上記の如くの延伸をかけない場合においては、分子配向が起こらないので、ブラシ用毛材１に先割れ部４を形成し難いが、カッター等を用いてスリット６を形成することができる。
【００５４】
次に、ブラシ用毛材３１について説明する。ブラシ用毛材３１は、図４（Ａ）の如く、外層部３２は芯部３３の外周面に全周に渡って被覆されてあると共に、湾曲部３５を有し、側端部３７はカール形状にて形成されている。ブラシ用毛材３１の側端部３７には、角部が形成されて無い為、ブラシ用毛材３１は、被洗浄面に当接する際に、被洗浄面に傷を付けることが無い。また、ブラシ用毛材３１は、洗車時に湾曲部３５に水等を溜めることができ、洗車時における保水性を高めることができる。
【００５５】
次に、ブラシ用毛材４１について説明する。ブラシ用毛材４１は、図４（Ｂ）の如く、外層部４２は芯部４３に全周に渡って被覆されてあると共に、湾曲部４５を有し、概Ｕ字形の折り返し部４９が形成されてあると共に、折り畳み部４８が形成された断面を有する長尺形状にて構成されてある。その為、ブラシ用毛材４１は折り畳み部４８において、外層部４２と芯部４３が多層に重ね合わされているので、折り畳み部４８が形成されて無いブラシ用毛材１、３１に比べて、毛腰がさらに強く設定されると共に、被洗浄面からの衝撃力等の反力を、より多く吸収、分散できる。その為、洗浄残りが発生することが無く、傷を付着させることが無い。また、折り返し部４９は角部の無い概Ｕ字形にて形成されてある為、被洗浄面に折り返し部４９を当接させることにより、被洗浄面に付着している汚れを、被洗浄面に傷を付着させること無く、掻き出すことができる。さらに、洗車時に湾曲部４５、及び折り返し部４９の内側に洗浄水等を一時、溜めることができるので、洗車時に保水性を高めることが可能である。
【００５６】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材１の動作、作用は下記の通りである。
【００５７】
ブラシ用毛材１を構成する外層部２は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部２の材質としてエチレン酢酸ビニル樹脂が使用されてある為、被洗浄面に接触する外層部２は発泡化されてある。その為、ブラシ用毛材１は、被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散でき、被洗浄面にたいして、より柔軟に当接すると共に、ブラシ用毛材１は軽量化を図ることができる。その為、ブラシ用毛材１を被洗浄面にたいして深く押し込んで当接させても、被洗浄面である車体に傷が入ることが無い。さらに、発泡体に形成されている外層部２が被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散することから、ブラシ用毛材１が座屈等により破断することが無く、ブラシ用毛材１は高い耐久性を有することができる。また、エチレン酢酸ビニル樹脂は吸水率が０％なので、ブラシ用毛材１の洗車時における含水が抑えられる。その為、冬場にブラシ用毛材１が凍結することが無く、凍結して硬くなったブラシ用毛材１が車体に当接することが無いので、車体の傷付きによる損傷を防ぐことができ、傷付き防止効果が一段と向上する。
【００５８】
また、ブラシ用毛材１を構成する芯部３の材質として、外層部２よりも硬度が大の低密度ポリエチレン樹脂が使用されてある為、ブラシ用毛材１は、前記材質の有する毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして、芯部３の有する毛腰を付与できる。また、芯部３には、低密度ポリエチレン樹脂が使用されてある為、吸水率が０％、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材１は有する。
【００５９】
また、前記外層部２と前記芯部３は形状復元力を有する為、ブラシ用毛材１に弾力性が付与される。すなわち、ブラシ用毛材１は被洗浄面に当接する際、屈曲変形して当接した後、被洗浄面から離れると、屈曲変形した状態から屈曲していない元の状態に復元する。従って、ブラシ用毛材１は、屈曲変形したままの状態で被洗浄面に当接を続けることが無いので、屈曲変形した部分において、ブラシ用毛材１が疲労屈折して毛折れ、毛切れして破断することが無い。その為、ブラシ用毛材１の耐久性が飛躍的に向上する。
【００６０】
また、前記ブラシ用毛材１の断面の側端部７は、概丸形にて形成されてある為、側端部７は角部が無いことから、被洗浄面にたいする傷の付着を抑えることができる。
【００６１】
また、前記ブラシ用毛材１の断面は波形状にて形成されてある為、波形状断面には湾曲部５が形成される。その為、ブラシ用毛材１の波形状の湾曲部５には洗浄水の水滴等を一時、溜められる。また、波形状断面は、湾曲部５が被洗浄面に当接するので、当接した湾曲部５は、被洗浄面の汚れ等を的確に除去し、剥離する。その為、洗浄性を大幅に向上させることが可能となる。
【００６２】
また、前記ブラシ用毛材１は、長手方向の両端部に先割れ部４あるいはスリット６を有する為、ブラシ用毛材１の先割れ部４、あるいはスリット６が被洗浄面にたいして、先割れ部４、あるいはスリット６が形成されていない場合に比べて、ブラシ用毛材１は、より柔軟に当接すると共に、被洗浄面の細かな凹凸部分にも当接する。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、飛躍的に洗浄性を向上させることができる。
【００６３】
また、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材３１の動作、作用は下記の通りである。
【００６４】
前記ブラシ用毛材３１の断面の側端部３７は、カール形状にて形成されてある為、側端部３７は角部が無いことから、被洗浄面に傷を付けることが無い。その為、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、高い洗浄性を有するブラシ用毛材３１を提供することができる。また、カール形状に加えられた被洗浄面からの衝撃力等の反力は、カール形状にて吸収、分散される。
【００６５】
また、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材４１の動作、作用は下記の通りである。
【００６６】
前記ブラシ用毛材４１の断面は、折り畳み部４８が形成されてある為、ブラシ用毛材４１は折り畳み部４８で、毛腰がさらに強く設定されると共に、折り畳み部４８の折り返し部４９により、被洗浄面に付着している汚れの掻き出し性能が発揮される。その為、洗浄性の向上を図ることができる。
【実施例２】
【００６７】
図５から図８にて実施例２を示す。図５は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を前面側から見た斜視図である。図５において、５１はブラシ用毛材、５２は外層部、５４は先割れ部、５５は溝部、５７は膨大部、５８は平坦部である。図６は、図５のブラシ用毛材の断面図である。図６において、５３は芯部である。図７は、図５のブラシ用毛材の他の実施の形態のブラシ用毛材の平面図である。図７において、５６はスリットである。図８は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材の断面図である。図８（Ａ）において、７１はブラシ用毛材、７２は外層部、７３は芯部である。図８（Ｂ）において、８１はブラシ用毛材、８２は外層部、８３は芯部である。
【００６８】
ブラシ用毛材５１は、図５、及び図６の如く、長尺形状に形成されてあると共に、外層部５２が芯部５３の外周面を全周に渡って被覆し、断面形状は膨大部５７、及び平坦部５８が交互に形成されてあり、膨大部５７の間にある平坦部５８により、ブラシ用毛材５１の長手方向にたいして溝部５５が形成されてある。また、ブラシ用毛材５１の長手方向の両端部には、先割れ部５４が形成されてある。また、ブラシ用毛材５１は、先割れ部５４の替わりに、図７の如く、スリット５６を形成して使用することもできる。さらにまた、ブラシ用毛材５１は、スリット５６を形成すると共に、スリット５６にて分割されたブラシ用毛材５１の先端部に、先割れ部５４が形成されてある形態も採用できる。ブラシ用毛材５１は、先割れ部５４、あるいはスリット５６を形成することにより、被洗浄面の細かな凹凸部分にたいして、先割れ部５４、あるいはスリット５６が柔軟に当接し、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、被洗浄面に付着している汚れを、先割れ部５４、あるいはスリット５６により掻き出して除去することができる。また、ブラシ用毛材５１は、溝部５５を有する為、洗車時に溝部５５に洗浄水等を一時、溜めることができる。その為、洗車時における保水性を高めることができ、洗浄性の向上が図られる。
【００６９】
また、ブラシ用毛材５１の断面は、膨大部５７の肉厚が平坦部５８の肉厚に比べて厚く形成されてあると共に、膨大部５７と平坦部５８が交互に形成されてある為、ブラシ用毛材５１が被洗浄面に当接すると、膨大部５７が被洗浄面に当接する。また、ブラシ用毛材５１の膨大部５７が、先割れ部５４、あるいはスリット５６と共に、被洗浄面の細かな凹凸部分に当接する。また、ブラシ用毛材５１は、平坦部５８の先割れが、膨大部５７の先割れよりも早く進行する。
【００７０】
外層部５２の材質としては、ウレタン樹脂が使用されてあると共に、芯部５３の材質としては、低密度ポリエチレン樹脂が使用されてあり、芯部５３は外層部５２の硬度よりも大の硬度を有する。その為、ブラシ用毛材５１は、被洗浄面に当接する外層部５２が芯部５３よりも硬度が低く、柔らかいので、被洗浄面にたいして柔軟にブラシ用毛材５１が当接し、被洗浄面にブラシ痕等の傷が入ることを防ぐことができる。また、外層部５２に使用されているウレタン樹脂は耐摩耗性、弾力性に優れているので、被洗浄面に長期間、当接してもブラシ用毛材５１が疲労屈折、あるいは摩耗することが無く、ブラシ用毛材５１の耐久性が高まる。外層部５２に使用されているウレタン樹脂は、芯部５３に使用されている低密度ポリエチレン樹脂よりも硬度が低ければ、発泡化して使用しても良いし、非発泡で使用しても良い。
【００７１】
外層部５２の材質は、上記の如くのウレタン樹脂の他、ポリオレフィン系樹脂を用いることもできる。ポリオレフィン系樹脂とは、分子中に二重結合を２個以上持つ脂肪族不飽和炭化水素のことであり、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等を挙げることができる。前記の如くのポリオレフィン系樹脂は、吸水率が０％なので、ブラシ用毛材５１が洗車時に含水することが無い。また、ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、ウレタン樹脂に比べて、弾力性が低い為、発泡化させて用いることが望ましい。さらに、前記ポリオレフィン系樹脂に、架橋剤を配合してポリオレフィン系樹脂の分子間に共有架橋構造を導入したり、前記ポリオレフィ系樹脂にエチレン−αオレフィン共重合体エラストマー、エチレン−αオレフィン架橋共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブロック共重合体エラストマー等の熱可塑性エラストマーを配合する一般的に、ポリマーアロイと呼ばれている方法を用いることにより、ブラシ用毛剤５１に、一段と強固な弾力性を付与して用いることもできる。
【００７２】
芯部５３は、外層部５２よりも高い硬度である為、芯部５３により、ブラシ用毛材５１の毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰が強く設定される。その為、ブラシ用毛材５１の洗浄性を高めることが可能となる。また、芯部５３は、膨大部５７の内部の肉厚が平坦部５８の内部の肉厚に比べて厚く形成されてある為、平坦部５８よりも毛腰の強い膨大部５７を、被洗浄面に叩き付けて当接させることができる。その為、被洗浄面に強固に付着している汚れであっても、容易に剥離させることができる。
【００７３】
次に、ブラシ用毛材７１について説明する。ブラシ用毛材７１は、図８（Ａ）の如く、外層部７２が芯部７３の両端部と中央部を被覆してなる長尺形状であり、芯部７３の硬度は、外層部７２の硬度より大に設定されてある。その為、芯部７３は、ブラシ用毛材７１の毛腰を保持すると共に、被洗浄面にたいして毛腰を強く設定できる。また、ブラシ用毛材７１は、芯部７３よりも低い硬度を有する外層部７２が芯部７３の両端部と中央部に形成されてある為、芯部７３が被洗浄面に当接することを防止できる。また、ブラシ用毛材７１は、概丸形の外層部７２が被洗浄面を当接することにより、汚れを外層部７２にて掻き出すようにして剥離させることができる。さらに、ブラシ用毛材７１は、外層部７２が芯部７３の外周面の全周に渡って被覆して形成されていないので、外層部７２に使用する材料の削減を図ることができ、外層部５２が芯部５３の外周面の全周に渡って被覆して形成されているブラシ用毛材５１に比べて、より安価なブラシ用毛材７１を提供することができる。
【００７４】
次に、ブラシ用毛材８１について説明する。ブラシ用毛材８１は、図８（Ｂ）の如く、外層部８２が芯部８３の下面を全周に渡って被覆して形成されてある。ブラシ用毛材８１は、被洗浄面にたいして外層部８２及び芯部８３を当接させることができる為、外層部８２及び芯部８３として使用される材質の有する洗浄性、耐久性等の各種性能を被洗浄面に付与できる。
【００７５】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材５１の動作、作用は下記の通りである。
【００７６】
前記ブラシ用毛材５１は、外層部５２、及び芯部５３を有し、前記芯部５３は前記外層部５２の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部５２の材質としてウレタン樹脂が使用されてあり、前記外層部５２は前記芯部５３の外周面を全周に渡って被覆して形成されてある為、被洗浄面に当接する外層部５２は芯部５３よりも硬度が低く、柔らかい。従って、被洗浄面にたいして柔軟にブラシ用毛材５１が当接するので、被洗浄面にブラシ痕等の傷が入ることが無い。また、芯部５３の外周面は外層部５２により被覆されてあり、芯部５３は外層部５２よりも硬度が高く、硬いので、ブラシ用毛材５１としての毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰を強く設定することができる。その為、ブラシ用毛材５１の毛腰を強く設定した場合においても、被洗浄面に当接する外層部５２は芯部５３よりも柔らかいので、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、外層部５２よりも硬い芯部５３によりブラシ用毛材５１の毛腰を強く設定できるので、ブラシ用毛材５１は高い洗浄性を発揮することができる。さらに、外層部５２にウレタン樹脂が使用されてあるので、耐摩耗性、弾力性に優れたブラシ用毛材５１となる。
【００７７】
また、前記ブラシ用毛材５１の断面は膨大部５７と平坦部５８が交互に形成されてある為、ブラシ用毛材５１が被洗浄面に当接すると、膨大部５７が被洗浄面に当接する。また、ブラシ用毛材５１の膨大部５７が、先割れ部５４、あるいはスリット５６と共に、被洗浄面の細かな凹凸部分に当接する。また、ブラシ用毛材５１は、平坦部５８の先割れが、膨大部５７の先割れよりも早く進行する。また、ブラシ用毛材５１は、平坦部５８に比べて肉厚の厚い膨大部５７を被洗浄面に当接できる為、被洗浄面に強固に付着している汚れであっても、膨大部５７により擦るようにして汚れを剥離させることができる。さらにまた、剥離した汚れ及び洗浄水等は溝部５５に一時、溜まることができる為、被洗浄面に汚れが再付着することが無く、迅速に洗浄することができる。その為、洗浄性が一段と向上する。
【００７８】
また、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材７１、８１の動作、作用は下記の通りである。
【００７９】
ブラシ用毛材７１、８１は、芯部７３、８３の外周面の一部が、外層部７２、８２により被覆されてあり、芯部７３、８３は外層部７２、８２よりも硬度が大であるので、ブラシ用毛材７１、８１としての毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰を強く設定できる。その為、ブラシ用毛材７１、８１の毛腰を強く設定した場合においても、被洗浄面に当接する外層部７２、８２は、芯部７３、８３よりも柔らかいので、被洗浄面である車体に傷を付けることが無い。またブラシ用毛材７１、８１は、外層部７２、８２よりも硬い芯部７３、８３によりブラシ用毛材７１、８１の毛腰を強く設定できるので、ブラシ用毛材７１、８１は高い洗浄性を発揮することができる。また、ブラシ用毛材８１は、異なる材質の外層部８２、及び芯部８３を被洗浄面に当接させることができる。その為、使用目的に応じて、外層部８２、及び芯部８３の材質を選定することにより、最適の洗浄性を発揮することができる。
【００８０】
なお、ブラシ用毛材の形状は、上記の如くの断面を有する長尺形状に限らず、断面形状が概丸形、三角形、四角形、六角形等の多角形状、あるいはＭ形、Ｈ形、ノコギリ形、十字形、三日月形等でも構わない。
【実施例３】
【００８１】
図９、及び図１０にて実施例３を示す。図９は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図９において、１はブラシ用毛材、９１は洗車機用洗浄ブラシ、９２は台座、９４は止め金具、９５はチャンネルブラシである。図１０は、図９のチャンネルブラシの拡大断面図である。図１０において、９８は帯状体、９９は芯線である。
【００８２】
洗車機用洗浄ブラシ９１は、図９の如く、台座９２、止め金具９４、及びチャンネルブラシ９５より構成されてある。台座９２は、略円筒形状からなり、外周の両端部には、止め金具９４が組み付けられて形成されてある。また、チャンネルブラシ９５は、図１０の如く、ブラシ用毛材１を、芯線９９、及び概Ｕ字断面を有する帯状体９８にて折り込んだ後、図９の如く、台座９２の外周の周りに捩りを加えて螺旋状に形成されてあり、止め金具９４にて固定されてある。
【００８３】
なお、ブラシ構造に関しては、特に限定されるものではなく、上記の如くの構造以外にも、使用目的に応じて、適時、設定することができる。例えば、台座９２の外周面に、ブラシ用毛材１を植え付ける植毛穴を設け、植毛穴にたいしてブラシ用毛材１をステープルで挟み付け、ブラシ用毛材１を二つ折りにして、植毛穴の底面にたいして打ち込み、ブラシ用毛材１を台座９２に固定する丸線型ブラシ、あるいは植毛穴にたいしてブラシ用毛材１を薄い平板で押さえ込み、ブラシ用毛材１を二つ折りにして、植毛穴の内周面に嵌合するように植毛穴の底面にたいして前記平板を打ち込み、ブラシ用毛材１を台座９２に固定する平線型ブラシ、あるいは植毛穴にたいしてブラシ用毛材１をナイロン等の引き込み線で押さえ込み、ブラシ用毛材１を二つ折りにして、前記引き込み線を台座９２の内周面に這わせて、ブラシ用毛材１を台座９２に固定する引き込み型ブラシ等も採用できる。なお、前記の如くの植毛穴は、台座９２の外周面に等分間隔で設けても良いし、千鳥状に設けても良い。植毛穴の穴径は、ブラシ用毛材１の植毛量に応じて、適時、設定される。さらにまた、ブラシ用毛材１の長手方向の中央部を折り込むと共に、リベット等にて台座９２に固定する形態、あるいは台座９２の外周部に溝部を形成後、溝部に止め金具にてブラシ用毛材１を固定する形態、あるいは溝部にブラシ用毛材１を折り込んだチャンネルブラシ９５を挿入して固定する形態も採用できる。
【００８４】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材１を配した洗車機用洗浄ブラシ９１の動作、作用は下記の通りである。
【００８５】
洗車機用洗浄ブラシ９１は、洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材１を配している為、被洗浄面に直接、当接しないブラシ用毛材１の芯部３においてブラシ用毛材１の毛腰を強く設定し、芯部３より柔軟な外層部２が被洗浄面に当接する。従って、被洗浄面に傷を付けることが無く、且つ強い毛腰にて高い洗浄性を被洗浄面にたいして付与することができる。その為、被洗浄面である車体にたいする傷付きが無く、且つ高い洗浄性を兼ね備えた洗車機用洗浄ブラシ９１を提供することができる。
【実施例４】
【００８６】
図１１にて実施例４を示す。図１１は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。図１１において、９１は洗車機用洗浄ブラシ、１００は洗車機、１０２は駆動源、１０３はノズル、１０４は乾燥機である。
【００８７】
洗車機１００は、図１１の如く、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシ９１が搭載されてあり、前記洗車機用洗浄ブラシ９１は駆動源１０２により回転される。ノズル１０３からは、被洗浄面にたいして、洗浄剤、及び水が散布され、洗車機用洗浄ブラシ９１により、洗浄され、洗浄後は洗車機１００の乾燥手段である乾燥機１０４により被洗浄面が乾燥される。
【００８８】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシ９１を搭載した洗車機１００の動作、作用は下記の通りである。
【００８９】
洗車機１００は、被洗浄面に傷を付けること無く、高い洗浄性を有する洗車機用洗浄ブラシ９１が搭載されてあるので、被洗浄面にたいして、傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる洗車機用洗浄ブラシ９１が使用できる。その為、洗車機１００は、洗車機用洗浄ブラシ９１を高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシ９１の回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機１００に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機１００を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【００９０】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材及び洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機は、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機、及び洗車機に搭載されてある洗車機用洗浄ブラシ、及び洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材として使用する。
【図面の簡単な説明】
【００９１】
【図１】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を前面側から見た斜視図
【図２】 図１のブラシ用毛材の断面図
【図３】 図１のブラシ用毛材の他の実施の形態のブラシ用毛材の平面図
【図４】 本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材の断面図
【図５】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を前面側から見た斜視図
【図６】 図５のブラシ用毛材の断面図
【図７】 図５のブラシ用毛材の他の実施の形態のブラシ用毛材の平面図
【図８】 本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材の断面図
【図９】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図
【図１０】 図９のチャンネルブラシの拡大断面図
【図１１】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図
【符号の説明】
【００９２】
１、３１、４１、５１、７１、８１ ブラシ用毛材
２、３２、４２、５２、７２、８２ 外層部
３、３３、４３、５３、７３、８３ 芯部
４、５４ 先割れ部
５、３５、４５ 湾曲部
６、５６ スリット
７、３７ 側端部
４８ 折り畳み部
４９ 折り返し部
５５ 溝部
５７ 膨大部
５８ 平坦部
９１ 洗車機用洗浄ブラシ
９２ 台座
９４ 止め金具
９５ チャンネルブラシ
９８ 帯状体
９９ 芯線
１００ 洗車機
１０２ 駆動源
１０３ ノズル
１０４ 乾燥機
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ用毛材、及びそれを用いた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ用毛材に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、例えば、剛性度が１２００ｋｇ／ｃｍ２〜５０００ｋｇ／ｃｍ２の熱可塑性樹脂で構成された分岐形状の断面をなす発泡糸で、発泡倍率が１．１〜１．７倍であることを特徴とする回転ブラシ用発泡糸が、特公平６−２１３７１号公報に開示されてある。
【０００３】
また、密度が０．９４〜０．９６ｇ／ｃｍ３のポリエチレン９９〜７０重量部とポリプロピレン１〜３０重量部とを配合してなる洗車ブラシ毛材用樹脂組成物が、特開平６−２６１８１０号公報に開示されてある。
【０００４】
【特許文献１】 特公平６−２１３７１号公報
【特許文献２】 特開平６−２６１８１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
従来の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材は、例えば、上記の如くの特徴を有する技術が開示されてあるが、特公平６−２１３７１号公報に開示されてある技術においては、発泡倍率が１．１〜１．７倍の低発泡倍率の回転ブラシ用発泡糸である為、発泡糸の毛腰を強く設定した場合においては、被洗浄面である車体に容易に傷が付着しやすいという課題を有していた。また、発泡糸の毛腰を弱く設定すると車体に容易に傷は付着しないが、毛腰が弱い為、的確に車体に発泡糸を当接させることが困難になる。その為、洗浄性が劣り、洗浄ムラが発生するという課題も有していた。
【０００６】
また、特開平６−２６１８１０号公報に開示されてある技術においても、密度が０．９４〜０．９６ｇ／ｃｍ３のポリエチレンは、２００３年度版ＪＩＳプラスチック材料のポリエチレン成形用及び押出用材料の試験片の作り方及び諸性質の求め方のＫ６９２２−２の附属書によれば、中密度ポリエチレン、あるいは高密度ポリエチレンに分類されてある為、洗車ブラシ用毛材として使用した場合においては、硬度を低く設定することが困難であり、被洗浄面である車体に容易に傷が付着しやすいという課題を有していた。
【０００７】
本発明は、上記のような課題を解決する為になされたもので、ブラシ用毛材の毛腰を強く設定しても、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、高い洗浄性が発揮される洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材、及びそれを用いた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記目的を達成する為に、第１の課題解決手段は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてある構成としたものである。
【０００９】
また、第２の課題解決手段は、第１の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記外層部は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある構成としたものである。
【００１０】
また、第３の課題解決手段は、第１から第２の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記芯部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある構成としたものである。
【００１１】
また、第４の課題解決手段は、第１から第３の課題解決手段のブラシ用毛材において、少なくとも前記外層部あるいは前記芯部が形状復元力を有する構成としたものである。
【００１２】
また、第５の課題解決手段は、第１から第４の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面の側端部が概丸形あるいはカール形状にて形成されてある構成としたものである。
【００１３】
また、第６の課題解決手段は、第１から第５の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面に折り畳み部が形成されてある構成としたものである。
【００１４】
また、第７の課題解決手段は、第１から第６の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は膨大部と平坦部が交互に形成されてある構成としたものである。
【００１５】
また、第８の課題解決手段は、第１から第７の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は波形状にて形成されてある構成としたものである。
【００１６】
また、第９の課題解決手段は、第１から第８の課題解決手段のブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも長手方向の一端部に少なくとも先割れ部あるいはスリットのいずれかが形成されてある構成としたものである。
【００１７】
また、第１０の課題解決手段は、第１から第９の課題解決手段のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシとしたものである。
【００１８】
また、第１１の課題解決手段は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第１０の課題解決手段に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機としたものである。
【００１９】
上記第１の課題解決手段による作用は、次の通りである。すなわち、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてある為、被洗浄面に接触する外層部は芯部よりも硬度が低く、柔らかい。従って、被洗浄面にたいして柔軟にブラシ用毛材が当接するので、被洗浄面にブラシ痕等の傷が入ることが無い。また、芯部の外周面の一部又は全部は外層部により被覆されてあり、芯部は外層部よりも硬度が高く、硬いので、ブラシ用毛材としての毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰が強く設定されることから、高い洗浄性が被洗浄面に付与される。
【００２０】
また、第２の課題解決手段による作用は、前記第１の課題解決手段のブラシ用毛材における前記外層部は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある為、被洗浄面に当接する外層部は発泡化して形成されてある。その為、ブラシ用毛材は、被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散でき、被洗浄面にたいして、より柔軟に当接する。また、外層部は発泡体として形成されているので、ブラシ用毛材の軽量化が図られる。また、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂は吸水率が０％なので、ブラシ用毛材の洗車時における含水が抑えられる。また、ポリエチレン樹脂が使用されている場合には、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリプロピレン樹脂が使用されている場合には、軽量等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレン酢酸ビニル樹脂が使用されている場合には、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンメチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、耐熱性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンエチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンブチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、耐寒性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。さらに、ウレタン樹脂が使用されてある場合においては、耐摩耗性、弾力性に優れたブラシ用毛材となる。
【００２１】
また、第３の課題解決手段による作用は、前記第１から第２の課題解決手段のブラシ用毛材における前記芯部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある為、使用される材質に応じた特性がブラシ用毛材に付与される。例えば、ポリエチレン樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリプロピレン樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、軽量等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレン酢酸ビニル樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリエステル系樹脂が使用されている場合には、耐熱性、吸水率の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリアミド系樹脂が使用されている場合には、耐摩耗性、耐熱性等の特性をブラシ用毛材は有する。
【００２２】
また、第４の課題解決手段による作用は、前記第１から第３の課題解決手段のブラシ用毛材における少なくとも前記外層部あるいは前記芯部が形状復元力を有する為、ブラシ用毛材に弾力性が付与される。すなわち、ブラシ用毛材は被洗浄面に当接する際、屈曲変形して当接し、被洗浄面から離れると、屈曲変形した状態から屈曲していない元の状態に復元する。従って、ブラシ用毛材は屈曲変形したままの状態で被洗浄面に当接を続けることが無いので、屈曲変形した部分において、ブラシ用毛材が疲労屈折して毛折れ、毛切れして破断することが無い。また、当接して屈曲変形したブラシ用毛材は、弾力性を有している為、当接している間、強い毛腰が被洗浄面に付与される。
【００２３】
また、第５の課題解決手段による作用は、前記第１から第４の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材の断面の側端部が概丸形にて形成されてある場合においては、被洗浄面に角部を当接させることが無い。また、概丸形の側端部が、側端部以外の肉厚よりも大に設定されてある場合においては、側端部の毛腰を強く設定することが可能である。また、前記ブラシ用毛材の断面の側端部がカール形状にて形成されてある場合においては、被洗浄面からの衝撃力等の反力はカール形状にて吸収、分散される。
【００２４】
また、第６の課題解決手段による作用は、前記第１から第５の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材の断面に折り畳み部が形成されてある為、ブラシ用毛材は折り畳み部で、毛腰がさらに強く設定されると共に、折り畳み部の折り返し部により、被洗浄面に付着している汚れの掻き出し性能が発揮される。また、折り畳み部に、被洗浄面からの衝撃力等の反力が吸収、分散される。さらにまた、折り畳み部には、洗浄水等が一時、溜められる。
【００２５】
また、第７の課題解決手段による作用は、前記第１から第６の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材の断面は膨大部と平坦部が交互に形成されてある為、膨大部の肉厚は、平坦部の肉厚に比べて厚く形成されてある。その為、ブラシ用毛材が被洗浄面に当接した場合においては、平坦部の先端から適度に先割れが進行し、ブラシ用毛材の膨大部が被洗浄面の細かな凹凸部分に当接する。また、先割れ加工をした場合においては、前記の如く膨大部の肉厚は平坦部の肉厚に比べて厚く形成されてある為、膨大部の強度を、平坦部の強度に比べて強く設定できる。その為、膨大部の先端に比べて、平坦部の先端に容易に先割れ加工を実施できる。
【００２６】
また、第８の課題解決手段による作用は、前記第１から第７の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材の断面は波形状にて形成されてある為、波形状断面には湾曲部が形成される。その為、ブラシ用毛材の波形状の湾曲部には洗浄水の水滴等が、一時、溜められる。また、波形状断面は、湾曲部が被洗浄面に当接するので、当接した湾曲部は、被洗浄面の汚れ等を的確に除去し、汚れ等は、被洗浄面から剥離する。
【００２７】
また、第９の課題解決手段による作用は、前記第１から第８の課題解決手段のブラシ用毛材における前記ブラシ用毛材は少なくとも長手方向の一端部に少なくとも先割れ部あるいはスリットのいずれかが形成されてある為、ブラシ用毛材の先割れ部、あるいはスリットが被洗浄面にたいして、先割れ部、あるいはスリットが形成されていない場合に比べて、ブラシ用毛材は、より柔軟に当接すると共に、被洗浄面の細かな凹凸部分にも当接する。
【００２８】
また、第１０の課題解決手段による作用は、第１から第９の課題解決手段のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシである為、芯部の硬度を外層部の硬度に比べて大に設定することにより、芯部は被洗浄面にたいして強い毛腰を付与する。また、外層部は被洗浄面にたいして柔軟に当接する。
【００２９】
また、第１１の課題解決手段による作用は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第１０の課題解決手段に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機である為、被洗浄面にたいして、傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる洗車機用洗浄ブラシが使用できる。その為、洗車機は、洗車機用洗浄ブラシを高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシの回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機に付与される。
【発明の効果】
【００３０】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材は、外層部の硬度よりも大の硬度に設定された芯部により、ブラシ用毛材の毛腰が保持されると共に、芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてある外層部が、柔軟に被洗浄面にたいして当接することができるので、ブラシ用毛材の毛腰を強く設定した場合においても、被洗浄面である車体にたいして、強い毛腰にて当接させることができると共に、車体に傷を付着させることが無く、被洗浄面に付着している汚れを除去して高い洗浄性を発揮することができる非常に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３１】
第１の発明は、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてある為、被洗浄面に当接する外層部は芯部よりも硬度が低く、柔らかい。従って、被洗浄面にたいして柔軟にブラシ用毛材が当接するので、被洗浄面にブラシ痕等の傷が入ることが無い。また、芯部の外周面の一部又は全部は外層部により被覆されてあり、芯部は外層部よりも硬度が高く、硬いので、ブラシ用毛材としての毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰が強く設定される。その為、ブラシ用毛材の毛腰を強く設定しても、被洗浄面に当接する外層部は芯部よりも柔らかいので、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、外層部よりも硬い芯部によりブラシ用毛材の毛腰が強く設定できるので、ブラシ用毛材は高い洗浄性を発揮することができる。
【００３２】
第２の発明は、前記外層部は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある為、被洗浄面に当接する外層部は発泡化して形成されてある。その為、ブラシ用毛材は、被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散でき、被洗浄面にたいして、より柔軟に当接する。また、外層部は発泡体として形成されているので、ブラシ用毛材の軽量化を図ることができる。その為、ブラシ用毛材を被洗浄面にたいして深く押し込んで当接させても、被洗浄面である車体に傷が入ることが無い。さらに、発泡体に形成されている外層部が被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散することから、ブラシ用毛材が座屈等により破断することが無く、ブラシ用毛材は高い耐久性を有することができる。また、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂は吸水率が０％なので、ブラシ用毛材の洗車時における含水が抑えられる。その為、冬場にブラシ用毛材が凍結することが無く、凍結して硬くなったブラシ用毛材が車体に当接することが無いので、車体の傷付きによる損傷を防ぐことができ、傷付き防止効果が一段と向上する。また、ポリエチレン樹脂が使用されている場合には、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリプロピレン樹脂が使用されている場合には、軽量等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレン酢酸ビニル樹脂が使用されている場合には、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンメチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、耐熱性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンエチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレンブチルアクリレート樹脂が使用されている場合には、耐寒性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。さらに、ウレタン樹脂が使用されてある場合においては、耐摩耗性、弾力性に優れたブラシ用毛材となる。その為、前記材質を１種類、あるいは複数組み合わせて用いることにより、使用目的に応じたブラシ用毛材を提供することができる。
【００３３】
第３の発明は、前記芯部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてある為、使用される材質に応じた特性がブラシ用毛材に付与される。例えば、ポリエチレン樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリプロピレン樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、軽量等の特性をブラシ用毛材は有する。また、エチレン酢酸ビニル樹脂が使用されている場合には、吸水率が０％、柔軟性の高さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリエステル系樹脂が使用されている場合には、耐熱性、吸水率の低さ等の特性をブラシ用毛材は有する。また、ポリアミド系樹脂が使用されている場合には、耐摩耗性、耐熱性等の特性をブラシ用毛材は有する。その為、前記材質を１種類、あるいは複数組み合わせて用いることにより、使用目的に応じたブラシ用毛材の提供が可能となる。
【００３４】
第４の発明は、少なくとも前記外層部あるいは前記芯部が形状復元力を有する為、ブラシ用毛材に弾力性が付与される。すなわち、ブラシ用毛材は被洗浄面に当接する際、屈曲変形して当接し、被洗浄面から離れると、屈曲変形した状態から屈曲していない元の状態に復元する。従って、ブラシ用毛材は屈曲変形したままの状態で被洗浄面に当接を続けることが無いので、屈曲変形した部分において、ブラシ用毛材が疲労屈折して毛折れ、毛切れして破断することが無い。その為、ブラシ用毛材の耐久性が飛躍的に向上する。また、当接して屈曲変形したブラシ用毛材は、弾力性を有している為、当接している間、強い毛腰が被洗浄面に付与されるので、洗浄性の向上が図られる。
【００３５】
第５の発明は、前記ブラシ用毛材の断面の側端部が概丸形にて形成されてある場合においては、被洗浄面に角部を当接させることが無い。その為、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、より安全性の高いブラシ用毛材を提供することができる。また、概丸形の側端部が、側端部以外の肉厚よりも大に設定されてある場合においては、側端部の毛腰を強く設定することが可能であるので、被洗浄面である車体に傷を付着させること無く、洗浄性が向上する。また、前記ブラシ用毛材の断面の側端部がカール形状にて形成されてある場合においては、被洗浄面からの衝撃力等の反力はカール形状にて吸収、分散される。その為、ブラシ用毛材の毛折れ、毛切れが抑制され、ブラシ用毛材の耐久性が向上する。
【００３６】
第６の発明は、前記ブラシ用毛材の断面に折り畳み部が形成されてある為、ブラシ用毛材は折り畳み部で、毛腰がさらに強く設定されると共に、折り畳み部の折り返し部により、被洗浄面に付着している汚れの掻き出し性能が発揮される。その為、洗浄性の向上を図ることができる。また、折り畳み部に、被洗浄面からの衝撃力等の反力が吸収、分散される為、ブラシ用毛材の毛折れ、毛切れが無く、ブラシ用毛材の耐久性の向上が図られる。さらにまた、折り畳み部には、洗浄水等が一時、溜められる。
【００３７】
第７の発明は、前記ブラシ用毛材の断面は膨大部と平坦部が交互に形成されてある為、膨大部の肉厚は、平坦部の肉厚に比べて厚く形成されてある。その為、ブラシ用毛材が被洗浄面に当接した場合においては、平坦部の先端から適度に先割れが進行し、ブラシ用毛材の膨大部が被洗浄面の細かな凹凸部分に当接する。その為、洗浄性が一段と向上する。また、先割れ加工をした場合においては、前記の如く膨大部の肉厚は平坦部の肉厚に比べて厚く形成されてある為、膨大部の強度を、平坦部の強度に比べて強く設定できる。その為、膨大部の先端に比べて、平坦部の先端に容易に先割れ加工を実施できる。
【００３８】
第８の発明は、前記ブラシ用毛材の断面は波形状にて形成されてある為、波形状断面には湾曲部が形成される。その為、ブラシ用毛材の波形状の湾曲部には洗浄水の水滴等が、一時、溜められる。また、波形状断面は、湾曲部が被洗浄面に当接するので、当接した湾曲部は、被洗浄面の汚れ等を的確に除去し、汚れ等は、被洗浄面から剥離する。その為、洗浄性を大幅に向上させることが可能となる。
【００３９】
第９の発明は、前記ブラシ用毛材は少なくとも長手方向の一端部に少なくとも先割れ部あるいはスリットのいずれかが形成されてある為、ブラシ用毛材の先割れ部、あるいはスリットが被洗浄面にたいして、先割れ部、あるいはスリットが形成されていない場合に比べて、ブラシ用毛材は、より柔軟に当接すると共に、被洗浄面の細かな凹凸部分にも当接する。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、飛躍的に洗浄性を向上させることができる。
【００４０】
第１０の発明は、第１から第９の発明のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシである為、芯部の硬度を外層部の硬度に比べて大に設定することにより、芯部は被洗浄面にたいして強い毛腰を付与する。また、外層部は被洗浄面にたいして柔軟に当接する。その為、被洗浄面である車体にたいする傷付きが無く、且つ高い洗浄性を兼ね備えた洗車機用洗浄ブラシを提供することができる。
【００４１】
第１１の発明は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第１０の発明に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機である為、被洗浄面にたいして、傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる洗車機用洗浄ブラシが使用できる。その為、洗車機は、洗車機用洗浄ブラシを高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシの回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機を提供することができる。
【００４２】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例１】
【００４３】
図１から図４にて実施例１を示す。図１は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を前面側から見た斜視図である。図１において、１はブラシ用毛材、２は外層部、４は先割れ部、５は湾曲部である。図２は、図１のブラシ用毛材の断面図である。図２において、３は芯部、７は側端部である。図３は、図１のブラシ用毛材の他の実施の形態のブラシ用毛材の正面図である。図３において、６はスリットである。図４は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材の断面図である。図４（Ａ）において、３１はブラシ用毛材、３２は外層部、３３は芯部、３５は湾曲部、３７は側端部である。図４（Ｂ）において、４１はブラシ用毛材、４２は外層部、４３は芯部、４５は湾曲部、４８は折り畳み部、４９は折り返し部である。
【００４４】
ブラシ用毛材１は、図１、及び図２の如く、芯部３が外層部２にて、芯部３の外周面の全周を被覆されてある長尺形状にて形成されてあると共に、断面は概丸形の側端部７、及び湾曲部５を有する波形状にて形成されてある。また、長手方向の両端部には、先割れ部４が形成されてある。また、ブラシ用毛材１は、先割れ部４の替わりに、図３の如く、スリット６を形成して使用しても差し支えない。ブラシ用毛材１は、先割れ部４、あるいはスリット６を形成することにより、被洗浄面の細かな凹凸部分にたいして、先割れ部４、あるいはスリット６が柔軟に当接し、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、被洗浄面に付着している汚れを、先割れ部４、あるいはスリット６により掻き出して除去することができる。さらにまた、ブラシ用毛材１は、スリット６を形成すると共に、スリット６の先端部に先割れ部４を形成する形態も採用できる。前記の形態を採用した場合には、ブラシ用毛材１は、先端部に近づく程、毛腰が柔らかくなる為、被洗浄面に傷が付くことを防止、あるいは抑制することができる。また、ブラシ用毛材１は、湾曲部５を有する為、洗車時に湾曲部５に水等を一時、溜めることができ、洗車時における保水性を高めることができる。さらに、断面の側端部７は、角部の無い概丸形である為、被洗浄面にたいする傷の付着を抑えることができる。
【００４５】
また、ブラシ用毛材１の詳細形状、寸法については、外層部２、及び芯部３の材質の選定、湾曲部５の形状等により、最適な形状、寸法が設定可能である。例えば、芯部３の材質として低密度ポリエチレン樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾性体、外層部２の材質としてエチレン酢酸ビニル樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾力性を有する発泡体を採用した場合においては、ブラシ用毛材１の幅方向の長さは０．５ｍｍから３０ｍｍ、湾曲部５の上部頂点から下部底点までにおける厚みは０．５ｍｍから３ｍｍで、より好適には幅方向の長さは１ｍｍから１５ｍｍ、湾曲部５の上部頂点から下部底点までにおける厚みは０．７ｍｍから１．５ｍｍが望ましい。幅方向の長さや湾曲部５の上部頂点から下部底点までにおける厚みが０．５ｍｍより小であると、被洗浄面に付着した汚れを除去する為に必要とされるブラシ用毛材１の強度に比べて、強度が小になる場合があると共に、耐久性が劣化する場合がある。また、幅方向の長さが３０ｍｍより大であると被洗浄面の細部にまでブラシ用毛材１が当接すること無く、洗い残しが発生して、洗浄性が劣る場合がある。また、湾曲部５の上部頂点から下部底点までにおける厚みが３ｍｍより大であると、被洗浄面に付着した汚れを除去する為に必要とされるブラシ用毛材１の強度に比べて、強度が大になる為、被洗浄面に傷を付ける場合がある。
【００４６】
外層部２は、エチレン酢酸ビニル樹脂を発泡化すると共に、発泡の際に、発泡剤に架橋剤を添加して、エチレン酢酸ビニル樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾力性を有する発泡体にて構成されてある。前記の如く、エチレン酢酸ビニル樹脂等の樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾力性を有する発泡体は、一般的には架橋発泡体と呼ばれている。外層部２の発泡倍率は、被洗浄面に傷を付けないという目的から２倍から１５倍が好ましく、２．５倍から１２倍にて調整されるのがより好ましい。発泡倍率が２倍未満の場合には、硬すぎて被洗浄面に傷を付けることになり、１５倍より大の場合には、摩擦抵抗が大きくなり、洗車時の洗浄音が大きくなると共に、被洗浄面にたいして傷を付けやすくなる。なお、外層部２に用いられる材質としては、前記エチレン酢酸ビニル樹脂の他、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂を使用することもでき、前記の如くの材質は、単独で用いられても併用されても良い。
【００４７】
また、前記発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、４，４−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の熱分解型発泡剤が好適に用いられ、前記材質１は単独で用いられても併用されても構わない。
【００４８】
また、前記架橋剤としては、従来から発泡体に弾力性を付与する目的で製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジクミルパーオキサイド、２，５−ジメチル−２，５−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキセン、１，３−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物が好適に用いられ、前記材質は単独で用いられても併用されても差し支えない。
【００４９】
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等の樹脂にたいして弾力性を付与する方法は、上記の如くの共有架橋構造を形成する方法以外にも、エチレン−αオレフィン共重合体エラストマー、エチレン−αオレフィン架橋共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブロック共重合体エラストマー等の熱可塑性エラストマーを配合する一般的に、ポリマーアロイと呼ばれている方法を用いることもできる。また、ポリエチレンアイオノマー樹脂等のイオン架橋構造を有する樹脂を用いることにより、弾力性を付与することもできる。
【００５０】
芯部３は、低密度ポリエチレン樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された弾性体にて構成されてある。芯部３の材質としては、前記低密度ポリエチレンの他、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン６１０、ナイロン６１２、ナイロン１１、ナイロン１２、ナイロン４６等のポリアミド系樹脂を単独、あるいは併用して形成することもできる。また、共有架橋構造を形成する架橋剤には、前記の如くのジクミルパーオキサイド、２，５−ジメチル−２，５−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキセン、１，３−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物を用いることができる。
【００５１】
次に、ブラシ用毛材１の製造方法について説明する。ブラシ用毛材１は、外層部２を形成するエチレン酢酸ビニル樹脂に、あらかじめ発泡剤、及び架橋剤を混入しておき、一方、芯部３を形成する低密度ポリエチレン樹脂に架橋剤を配合しておき、押出機（図示せず）の先端に取り付けられた口金を通して外層部２、及び芯部３を同時に押し出す。押し出し後、加熱しながら延伸機にて長手方向に延伸をかけ、延伸後、アニーリングと呼ばれる工程にて冷却固化させることにより形成される。ところで、一般的には、樹脂の成形技術には、溶融成形、固層成形、注型成形、射出成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等があるが、前記の如くの製造方法は、溶融成形の一種の押出成形と呼ばれている。
【００５２】
また、長手方向に延伸させる上記の如くの方法は、一軸延伸と呼ばれている。一軸延伸とは、一方向にのみ延伸応力をかける加工方法であり、延伸方向にたいして平行の方向は、分子配向が起こるので、引張強さが著しく向上するが、延伸方向にたいして直角の方向は、引張強さが向上しない為、延伸方向にたいして平行の方向に、裂けやすくなるという性質を有している。その為、ブラシ用毛材１は、先割れ部４を形成することが可能となる。なお、分子配向とは、線状分子が溶融または固体状態において、外力の作用により、一定方向に配列することである。また、先割れ部４の形成方法は、ブラシ用毛材１の両側先端部の所定長さを、所定回転速度の分割刃やカッターを有する細分割加工機にて細分割加工することにより形成される。
【００５３】
また、ブラシ用毛材１に、上記の如くの延伸をかけない場合においては、分子配向が起こらないので、ブラシ用毛材１に先割れ部４を形成し難いが、カッター等を用いてスリット６を形成することができる。
【００５４】
次に、ブラシ用毛材３１について説明する。ブラシ用毛材３１は、図４（Ａ）の如く、外層部３２は芯部３３の外周面に全周に渡って被覆されてあると共に、湾曲部３５を有し、側端部３７はカール形状にて形成されている。ブラシ用毛材３１の側端部３７には、角部が形成されて無い為、ブラシ用毛材３１は、被洗浄面に当接する際に、被洗浄面に傷を付けることが無い。また、ブラシ用毛材３１は、洗車時に湾曲部３５に水等を溜めることができ、洗車時における保水性を高めることができる。
【００５５】
次に、ブラシ用毛材４１について説明する。ブラシ用毛材４１は、図４（Ｂ）の如く、外層部４２は芯部４３に全周に渡って被覆されてあると共に、湾曲部４５を有し、概Ｕ字形の折り返し部４９が形成されてあると共に、折り畳み部４８が形成された断面を有する長尺形状にて構成されてある。その為、ブラシ用毛材４１は折り畳み部４８において、外層部４２と芯部４３が多層に重ね合わされているので、折り畳み部４８が形成されて無いブラシ用毛材１、３１に比べて、毛腰がさらに強く設定されると共に、被洗浄面からの衝撃力等の反力を、より多く吸収、分散できる。その為、洗浄残りが発生することが無く、傷を付着させることが無い。また、折り返し部４９は角部の無い概Ｕ字形にて形成されてある為、被洗浄面に折り返し部４９を当接させることにより、被洗浄面に付着している汚れを、被洗浄面に傷を付着させること無く、掻き出すことができる。さらに、洗車時に湾曲部４５、及び折り返し部４９の内側に洗浄水等を一時、溜めることができるので、洗車時に保水性を高めることが可能である。
【００５６】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材１の動作、作用は下記の通りである。
【００５７】
ブラシ用毛材１を構成する外層部２は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部２の材質としてエチレン酢酸ビニル樹脂が使用されてある為、被洗浄面に接触する外層部２は発泡化されてある。その為、ブラシ用毛材１は、被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散でき、被洗浄面にたいして、より柔軟に当接すると共に、ブラシ用毛材１は軽量化を図ることができる。その為、ブラシ用毛材１を被洗浄面にたいして深く押し込んで当接させても、被洗浄面である車体に傷が入ることが無い。さらに、発泡体に形成されている外層部２が被洗浄面からの衝撃力等の反力を吸収、分散することから、ブラシ用毛材１が座屈等により破断することが無く、ブラシ用毛材１は高い耐久性を有することができる。また、エチレン酢酸ビニル樹脂は吸水率が０％なので、ブラシ用毛材１の洗車時における含水が抑えられる。その為、冬場にブラシ用毛材１が凍結することが無く、凍結して硬くなったブラシ用毛材１が車体に当接することが無いので、車体の傷付きによる損傷を防ぐことができ、傷付き防止効果が一段と向上する。
【００５８】
また、ブラシ用毛材１を構成する芯部３の材質として、外層部２よりも硬度が大の低密度ポリエチレン樹脂が使用されてある為、ブラシ用毛材１は、前記材質の有する毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして、芯部３の有する毛腰を付与できる。また、芯部３には、低密度ポリエチレン樹脂が使用されてある為、吸水率が０％、価格の低さ等の特性をブラシ用毛材１は有する。
【００５９】
また、前記外層部２と前記芯部３は形状復元力を有する為、ブラシ用毛材１に弾力性が付与される。すなわち、ブラシ用毛材１は被洗浄面に当接する際、屈曲変形して当接した後、被洗浄面から離れると、屈曲変形した状態から屈曲していない元の状態に復元する。従って、ブラシ用毛材１は、屈曲変形したままの状態で被洗浄面に当接を続けることが無いので、屈曲変形した部分において、ブラシ用毛材１が疲労屈折して毛折れ、毛切れして破断することが無い。その為、ブラシ用毛材１の耐久性が飛躍的に向上する。
【００６０】
また、前記ブラシ用毛材１の断面の側端部７は、概丸形にて形成されてある為、側端部７は角部が無いことから、被洗浄面にたいする傷の付着を抑えることができる。
【００６１】
また、前記ブラシ用毛材１の断面は波形状にて形成されてある為、波形状断面には湾曲部５が形成される。その為、ブラシ用毛材１の波形状の湾曲部５には洗浄水の水滴等を一時、溜められる。また、波形状断面は、湾曲部５が被洗浄面に当接するので、当接した湾曲部５は、被洗浄面の汚れ等を的確に除去し、剥離する。その為、洗浄性を大幅に向上させることが可能となる。
【００６２】
また、前記ブラシ用毛材１は、長手方向の両端部に先割れ部４あるいはスリット６を有する為、ブラシ用毛材１の先割れ部４、あるいはスリット６が被洗浄面にたいして、先割れ部４、あるいはスリット６が形成されていない場合に比べて、ブラシ用毛材１は、より柔軟に当接すると共に、被洗浄面の細かな凹凸部分にも当接する。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、飛躍的に洗浄性を向上させることができる。
【００６３】
また、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材３１の動作、作用は下記の通りである。
【００６４】
前記ブラシ用毛材３１の断面の側端部３７は、カール形状にて形成されてある為、側端部３７は角部が無いことから、被洗浄面に傷を付けることが無い。その為、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、高い洗浄性を有するブラシ用毛材３１を提供することができる。また、カール形状に加えられた被洗浄面からの衝撃力等の反力は、カール形状にて吸収、分散される。
【００６５】
また、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材４１の動作、作用は下記の通りである。
【００６６】
前記ブラシ用毛材４１の断面は、折り畳み部４８が形成されてある為、ブラシ用毛材４１は折り畳み部４８で、毛腰がさらに強く設定されると共に、折り畳み部４８の折り返し部４９により、被洗浄面に付着している汚れの掻き出し性能が発揮される。その為、洗浄性の向上を図ることができる。
【実施例２】
【００６７】
図５から図８にて実施例２を示す。図５は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を前面側から見た斜視図である。図５において、５１はブラシ用毛材、５２は外層部、５４は先割れ部、５５は溝部、５７は膨大部、５８は平坦部である。図６は、図５のブラシ用毛材の断面図である。図６において、５３は芯部である。図７は、図５のブラシ用毛材の他の実施の形態のブラシ用毛材の平面図である。図７において、５６はスリットである。図８は、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材の断面図である。図８（Ａ）において、７１はブラシ用毛材、７２は外層部、７３は芯部である。図８（Ｂ）において、８１はブラシ用毛材、８２は外層部、８３は芯部である。
【００６８】
ブラシ用毛材５１は、図５、及び図６の如く、長尺形状に形成されてあると共に、外層部５２が芯部５３の外周面を全周に渡って被覆し、断面形状は膨大部５７、及び平坦部５８が交互に形成されてあり、膨大部５７の間にある平坦部５８により、ブラシ用毛材５１の長手方向にたいして溝部５５が形成されてある。また、ブラシ用毛材５１の長手方向の両端部には、先割れ部５４が形成されてある。また、ブラシ用毛材５１は、先割れ部５４の替わりに、図７の如く、スリット５６を形成して使用することもできる。さらにまた、ブラシ用毛材５１は、スリット５６を形成すると共に、スリット５６にて分割されたブラシ用毛材５１の先端部に、先割れ部５４が形成されてある形態も採用できる。ブラシ用毛材５１は、先割れ部５４、あるいはスリット５６を形成することにより、被洗浄面の細かな凹凸部分にたいして、先割れ部５４、あるいはスリット５６が柔軟に当接し、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、被洗浄面に付着している汚れを、先割れ部５４、あるいはスリット５６により掻き出して除去することができる。また、ブラシ用毛材５１は、溝部５５を有する為、洗車時に溝部５５に洗浄水等を一時、溜めることができる。その為、洗車時における保水性を高めることができ、洗浄性の向上が図られる。
【００６９】
また、ブラシ用毛材５１の断面は、膨大部５７の肉厚が平坦部５８の肉厚に比べて厚く形成されてあると共に、膨大部５７と平坦部５８が交互に形成されてある為、ブラシ用毛材５１が被洗浄面に当接すると、膨大部５７が被洗浄面に当接する。また、ブラシ用毛材５１の膨大部５７が、先割れ部５４、あるいはスリット５６と共に、被洗浄面の細かな凹凸部分に当接する。また、ブラシ用毛材５１は、平坦部５８の先割れが、膨大部５７の先割れよりも早く進行する。
【００７０】
外層部５２の材質としては、ウレタン樹脂が使用されてあると共に、芯部５３の材質としては、低密度ポリエチレン樹脂が使用されてあり、芯部５３は外層部５２の硬度よりも大の硬度を有する。その為、ブラシ用毛材５１は、被洗浄面に当接する外層部５２が芯部５３よりも硬度が低く、柔らかいので、被洗浄面にたいして柔軟にブラシ用毛材５１が当接し、被洗浄面にブラシ痕等の傷が入ることを防ぐことができる。また、外層部５２に使用されているウレタン樹脂は耐摩耗性、弾力性に優れているので、被洗浄面に長期間、当接してもブラシ用毛材５１が疲労屈折、あるいは摩耗することが無く、ブラシ用毛材５１の耐久性が高まる。外層部５２に使用されているウレタン樹脂は、芯部５３に使用されている低密度ポリエチレン樹脂よりも硬度が低ければ、発泡化して使用しても良いし、非発泡で使用しても良い。
【００７１】
外層部５２の材質は、上記の如くのウレタン樹脂の他、ポリオレフィン系樹脂を用いることもできる。ポリオレフィン系樹脂とは、分子中に二重結合を２個以上持つ脂肪族不飽和炭化水素のことであり、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等を挙げることができる。前記の如くのポリオレフィン系樹脂は、吸水率が０％なので、ブラシ用毛材５１が洗車時に含水することが無い。また、ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、ウレタン樹脂に比べて、弾力性が低い為、発泡化させて用いることが望ましい。さらに、前記ポリオレフィン系樹脂に、架橋剤を配合してポリオレフィン系樹脂の分子間に共有架橋構造を導入したり、前記ポリオレフィ系樹脂にエチレン−αオレフィン共重合体エラストマー、エチレン−αオレフィン架橋共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブロック共重合体エラストマー等の熱可塑性エラストマーを配合する一般的に、ポリマーアロイと呼ばれている方法を用いることにより、ブラシ用毛剤５１に、一段と強固な弾力性を付与して用いることもできる。
【００７２】
芯部５３は、外層部５２よりも高い硬度である為、芯部５３により、ブラシ用毛材５１の毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰が強く設定される。その為、ブラシ用毛材５１の洗浄性を高めることが可能となる。また、芯部５３は、膨大部５７の内部の肉厚が平坦部５８の内部の肉厚に比べて厚く形成されてある為、平坦部５８よりも毛腰の強い膨大部５７を、被洗浄面に叩き付けて当接させることができる。その為、被洗浄面に強固に付着している汚れであっても、容易に剥離させることができる。
【００７３】
次に、ブラシ用毛材７１について説明する。ブラシ用毛材７１は、図８（Ａ）の如く、外層部７２が芯部７３の両端部と中央部を被覆してなる長尺形状であり、芯部７３の硬度は、外層部７２の硬度より大に設定されてある。その為、芯部７３は、ブラシ用毛材７１の毛腰を保持すると共に、被洗浄面にたいして毛腰を強く設定できる。また、ブラシ用毛材７１は、芯部７３よりも低い硬度を有する外層部７２が芯部７３の両端部と中央部に形成されてある為、芯部７３が被洗浄面に当接することを防止できる。また、ブラシ用毛材７１は、概丸形の外層部７２が被洗浄面を当接することにより、汚れを外層部７２にて掻き出すようにして剥離させることができる。さらに、ブラシ用毛材７１は、外層部７２が芯部７３の外周面の全周に渡って被覆して形成されていないので、外層部７２に使用する材料の削減を図ることができ、外層部５２が芯部５３の外周面の全周に渡って被覆して形成されているブラシ用毛材５１に比べて、より安価なブラシ用毛材７１を提供することができる。
【００７４】
次に、ブラシ用毛材８１について説明する。ブラシ用毛材８１は、図８（Ｂ）の如く、外層部８２が芯部８３の下面を全周に渡って被覆して形成されてある。ブラシ用毛材８１は、被洗浄面にたいして外層部８２及び芯部８３を当接させることができる為、外層部８２及び芯部８３として使用される材質の有する洗浄性、耐久性等の各種性能を被洗浄面に付与できる。
【００７５】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材５１の動作、作用は下記の通りである。
【００７６】
前記ブラシ用毛材５１は、外層部５２、及び芯部５３を有し、前記芯部５３は前記外層部５２の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部５２の材質としてウレタン樹脂が使用されてあり、前記外層部５２は前記芯部５３の外周面を全周に渡って被覆して形成されてある為、被洗浄面に当接する外層部５２は芯部５３よりも硬度が低く、柔らかい。従って、被洗浄面にたいして柔軟にブラシ用毛材５１が当接するので、被洗浄面にブラシ痕等の傷が入ることが無い。また、芯部５３の外周面は外層部５２により被覆されてあり、芯部５３は外層部５２よりも硬度が高く、硬いので、ブラシ用毛材５１としての毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰を強く設定することができる。その為、ブラシ用毛材５１の毛腰を強く設定した場合においても、被洗浄面に当接する外層部５２は芯部５３よりも柔らかいので、被洗浄面である車体に傷を付けることが無く、外層部５２よりも硬い芯部５３によりブラシ用毛材５１の毛腰を強く設定できるので、ブラシ用毛材５１は高い洗浄性を発揮することができる。さらに、外層部５２にウレタン樹脂が使用されてあるので、耐摩耗性、弾力性に優れたブラシ用毛材５１となる。
【００７７】
また、前記ブラシ用毛材５１の断面は膨大部５７と平坦部５８が交互に形成されてある為、ブラシ用毛材５１が被洗浄面に当接すると、膨大部５７が被洗浄面に当接する。また、ブラシ用毛材５１の膨大部５７が、先割れ部５４、あるいはスリット５６と共に、被洗浄面の細かな凹凸部分に当接する。また、ブラシ用毛材５１は、平坦部５８の先割れが、膨大部５７の先割れよりも早く進行する。また、ブラシ用毛材５１は、平坦部５８に比べて肉厚の厚い膨大部５７を被洗浄面に当接できる為、被洗浄面に強固に付着している汚れであっても、膨大部５７により擦るようにして汚れを剥離させることができる。さらにまた、剥離した汚れ及び洗浄水等は溝部５５に一時、溜まることができる為、被洗浄面に汚れが再付着することが無く、迅速に洗浄することができる。その為、洗浄性が一段と向上する。
【００７８】
また、本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材７１、８１の動作、作用は下記の通りである。
【００７９】
ブラシ用毛材７１、８１は、芯部７３、８３の外周面の一部が、外層部７２、８２により被覆されてあり、芯部７３、８３は外層部７２、８２よりも硬度が大であるので、ブラシ用毛材７１、８１としての毛腰が保持されると共に、被洗浄面にたいして毛腰を強く設定できる。その為、ブラシ用毛材７１、８１の毛腰を強く設定した場合においても、被洗浄面に当接する外層部７２、８２は、芯部７３、８３よりも柔らかいので、被洗浄面である車体に傷を付けることが無い。またブラシ用毛材７１、８１は、外層部７２、８２よりも硬い芯部７３、８３によりブラシ用毛材７１、８１の毛腰を強く設定できるので、ブラシ用毛材７１、８１は高い洗浄性を発揮することができる。また、ブラシ用毛材８１は、異なる材質の外層部８２、及び芯部８３を被洗浄面に当接させることができる。その為、使用目的に応じて、外層部８２、及び芯部８３の材質を選定することにより、最適の洗浄性を発揮することができる。
【００８０】
なお、ブラシ用毛材の形状は、上記の如くの断面を有する長尺形状に限らず、断面形状が概丸形、三角形、四角形、六角形等の多角形状、あるいはＭ形、Ｈ形、ノコギリ形、十字形、三日月形等でも構わない。
【実施例３】
【００８１】
図９、及び図１０にて実施例３を示す。図９は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図である。図９において、１はブラシ用毛材、９１は洗車機用洗浄ブラシ、９２は台座、９４は止め金具、９５はチャンネルブラシである。図１０は、図９のチャンネルブラシの拡大断面図である。図１０において、９８は帯状体、９９は芯線である。
【００８２】
洗車機用洗浄ブラシ９１は、図９の如く、台座９２、止め金具９４、及びチャンネルブラシ９５より構成されてある。台座９２は、略円筒形状からなり、外周の両端部には、止め金具９４が組み付けられて形成されてある。また、チャンネルブラシ９５は、図１０の如く、ブラシ用毛材１を、芯線９９、及び概Ｕ字断面を有する帯状体９８にて折り込んだ後、図９の如く、台座９２の外周の周りに捩りを加えて螺旋状に形成されてあり、止め金具９４にて固定されてある。
【００８３】
なお、ブラシ構造に関しては、特に限定されるものではなく、上記の如くの構造以外にも、使用目的に応じて、適時、設定することができる。例えば、台座９２の外周面に、ブラシ用毛材１を植え付ける植毛穴を設け、植毛穴にたいしてブラシ用毛材１をステープルで挟み付け、ブラシ用毛材１を二つ折りにして、植毛穴の底面にたいして打ち込み、ブラシ用毛材１を台座９２に固定する丸線型ブラシ、あるいは植毛穴にたいしてブラシ用毛材１を薄い平板で押さえ込み、ブラシ用毛材１を二つ折りにして、植毛穴の内周面に嵌合するように植毛穴の底面にたいして前記平板を打ち込み、ブラシ用毛材１を台座９２に固定する平線型ブラシ、あるいは植毛穴にたいしてブラシ用毛材１をナイロン等の引き込み線で押さえ込み、ブラシ用毛材１を二つ折りにして、前記引き込み線を台座９２の内周面に這わせて、ブラシ用毛材１を台座９２に固定する引き込み型ブラシ等も採用できる。なお、前記の如くの植毛穴は、台座９２の外周面に等分間隔で設けても良いし、千鳥状に設けても良い。植毛穴の穴径は、ブラシ用毛材１の植毛量に応じて、適時、設定される。さらにまた、ブラシ用毛材１の長手方向の中央部を折り込むと共に、リベット等にて台座９２に固定する形態、あるいは台座９２の外周部に溝部を形成後、溝部に止め金具にてブラシ用毛材１を固定する形態、あるいは溝部にブラシ用毛材１を折り込んだチャンネルブラシ９５を挿入して固定する形態も採用できる。
【００８４】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材１を配した洗車機用洗浄ブラシ９１の動作、作用は下記の通りである。
【００８５】
洗車機用洗浄ブラシ９１は、洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材１を配している為、被洗浄面に直接、当接しないブラシ用毛材１の芯部３においてブラシ用毛材１の毛腰を強く設定し、芯部３より柔軟な外層部２が被洗浄面に当接する。従って、被洗浄面に傷を付けることが無く、且つ強い毛腰にて高い洗浄性を被洗浄面にたいして付与することができる。その為、被洗浄面である車体にたいする傷付きが無く、且つ高い洗浄性を兼ね備えた洗車機用洗浄ブラシ９１を提供することができる。
【実施例４】
【００８６】
図１１にて実施例４を示す。図１１は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。図１１において、９１は洗車機用洗浄ブラシ、１００は洗車機、１０２は駆動源、１０３はノズル、１０４は乾燥機である。
【００８７】
洗車機１００は、図１１の如く、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシ９１が搭載されてあり、前記洗車機用洗浄ブラシ９１は駆動源１０２により回転される。ノズル１０３からは、被洗浄面にたいして、洗浄剤、及び水が散布され、洗車機用洗浄ブラシ９１により、洗浄され、洗浄後は洗車機１００の乾燥手段である乾燥機１０４により被洗浄面が乾燥される。
【００８８】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシ９１を搭載した洗車機１００の動作、作用は下記の通りである。
【００８９】
洗車機１００は、被洗浄面に傷を付けること無く、高い洗浄性を有する洗車機用洗浄ブラシ９１が搭載されてあるので、被洗浄面にたいして、傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる洗車機用洗浄ブラシ９１が使用できる。その為、洗車機１００は、洗車機用洗浄ブラシ９１を高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシ９１の回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機１００に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けること無く、非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機１００を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【００９０】
本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材及び洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機は、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機、及び洗車機に搭載されてある洗車機用洗浄ブラシ、及び洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材として使用する。
【図面の簡単な説明】
【００９１】
【図１】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を前面側から見た斜視図
【図２】 図１のブラシ用毛材の断面図
【図３】 図１のブラシ用毛材の他の実施の形態のブラシ用毛材の平面図
【図４】 本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材の断面図
【図５】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を前面側から見た斜視図
【図６】 図５のブラシ用毛材の断面図
【図７】 図５のブラシ用毛材の他の実施の形態のブラシ用毛材の平面図
【図８】 本発明の他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材の断面図
【図９】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図
【図１０】 図９のチャンネルブラシの拡大断面図
【図１１】 本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図
【符号の説明】
【００９２】
１、３１、４１、５１、７１、８１ ブラシ用毛材
２、３２、４２、５２、７２、８２ 外層部
３、３３、４３、５３、７３、８３ 芯部
４、５４ 先割れ部
５、３５、４５ 湾曲部
６、５６ スリット
７、３７ 側端部
４８ 折り畳み部
４９ 折り返し部
５５ 溝部
５７ 膨大部
５８ 平坦部
９１ 洗車機用洗浄ブラシ
９２ 台座
９４ 止め金具
９５ チャンネルブラシ
９８ 帯状体
９９ 芯線
１００ 洗車機
１０２ 駆動源
１０３ ノズル
１０４ 乾燥機
【特許請求の範囲】
【請求項１】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項２】
請求項１記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記外層部は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項３】
請求項１から２記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記芯部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項４】
請求項１から３記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、少なくとも前記外層部あるいは前記芯部が形状復元力を有することを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項５】
請求項１から４記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面の側端部が概丸形あるいはカール形状にて形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項６】
請求項１から５記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面に折り畳み部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項７】
請求項１から６記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は膨大部と平坦部が交互に形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項８】
請求項１から７記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は波形状にて形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項９】
請求項１から８記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも長手方向の一端部に少なくとも先割れ部あるいはスリットのいずれかが形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項１０】
請求項１から９のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項１１】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項１０記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。
【請求項１】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも外層部及び芯部を有し、前記芯部は前記外層部の硬度よりも大の硬度を有すると共に、前記外層部は前記芯部の外周面の一部又は全部を被覆して形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項２】
請求項１記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記外層部は発泡体にて形成されてあると共に、前記外層部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンメチルアクリレート樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンブチルアクリレート樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項３】
請求項１から２記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記芯部の材質としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の内、少なくとも１種類以上の前記材質が使用されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項４】
請求項１から３記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、少なくとも前記外層部あるいは前記芯部が形状復元力を有することを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項５】
請求項１から４記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面の側端部が概丸形あるいはカール形状にて形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項６】
請求項１から５記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面に折り畳み部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項７】
請求項１から６記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は膨大部と平坦部が交互に形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項８】
請求項１から７記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材の断面は波形状にて形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項９】
請求項１から８記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は少なくとも長手方向の一端部に少なくとも先割れ部あるいはスリットのいずれかが形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材。
【請求項１０】
請求項１から９のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシのブラシ用毛材を配した洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項１１】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項１０記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００７−２４４８１５（Ｐ２００７−２４４８１５Ａ）
【公開日】平成１９年９月２７日（２００７．９．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１０８００５（Ｐ２００６−１０８００５）
【出願日】平成１８年３月１３日（２００６．３．１３）
【出願人】（３９１０４４７９７）株式会社コーワ (283)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年９月２７日（２００７．９．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月１３日（２００６．３．１３）
【出願人】（３９１０４４７９７）株式会社コーワ (283)
【Ｆターム（参考）】
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