説明

洗車機

【目的】 会員カード等を媒介として会員洗車を受け付ける洗車機において、洗車の度毎に洗車内容を選択し入力操作する必要がなく、効率の良い洗車作業ができる装置を提供する。
【構成】 選択入力手段において選択入力された洗車の内容を所定の条件のもとに会員毎に登録しておき、会員洗車を受け付けたときに選択入力が無いまま開始入力が有ると、前記登録しておいた内容で洗車を実行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は洗車機に関し、特に会員カード等を媒介として会員洗車を受け付け実行するタイプの洗車機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来この種の装置は、カードリーダ等において会員の照合受付を行ない、この後会員が希望する洗車コースおよび会員が乗る自動車の車種の選択入力を受け、更に開始入力を以て洗車が実行されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、会員契約者の大半は通常それぞれに決まった内容の洗車を行なうことが多く、従って洗車の際には、全く同一の入力内容にもかかわらず、毎回同じ入力操作を行なって洗車を行なわなければならなかった。しかも、会員が個々に洗車機を操作して洗車を行なうのであれば良いが、その多くは係員が仲介して操作するため、係員は洗車の度にどの様な洗車を行なうのかその会員から指示を受ける必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、カードリーダ等の会員洗車受付手段と、実行すべき洗車内容を選択入力する手段と、洗車の開始入力を行なう手段と、前記選択入力手段において選択入力された洗車の内容を所定の条件のもとに会員毎に登録する手段と、前記会員洗車受付手段において会員洗車を受け付けたとき、前記選択入力手段における選択入力が無いまま開始入力が有ると、前記登録手段で与える内容で洗車を実行するものとして、上記課題の解決をはかったものである。
【0005】
【実施例】以下、その実施例について図面を基に説明する。第1図は本発明の実施例たる洗車機の正面図で、その本体1をアーチ状に形成し、レール2・2’上を自動車を跨ぐよう往復走行して車体の洗浄を行なう、いわゆる門型洗車機を表している。本体1には、自動車の上面及び側面をブラッシングするブラシ3・4・4’や、自動車に空気を吹き付けて洗浄後の濡れた車体の乾燥を計るブロワノズル5・6・6’等が設けられている。7は本体1前面に設けられる操作パネルで、主に洗車内容の選択入力や洗車開始入力により洗車機の運転を行なう。
【0006】第2図は上記実施例の制御系を示すブロック図である。10は制御部、11は前記本体1を走行させ上記ブラシ・ノズル等を作動して洗車を行なうための電動機群の駆動回路で、操作パネル7における操作入力に応じて、制御部10では、駆動回路11へ所定のプログラムに沿って駆動命令を出力し、洗車動作の制御を行なう。
【0007】制御部10はCPU12・ROM13・RAM14及び入出力回路15から成るいわゆるマイクロコンピュータを備えており、ROM13に登録されたプログラムに沿って所定の制御動作を行なうもので、RAM14には、本例洗車機の設置店における会員個々の契約内容・洗車内容等から成るデータが記憶されている。
【0008】操作パネル7には、カードリーダ16・キー入力部17およびデータ表示部18が備えられている。カードリーダ16は、会員個々に配布された会員カード19の挿入を受け、該カード19により会員コード等のデータを読み取るもので、会員による洗車の受付を行なう。キー入力部17は、複数の洗車コースA〜Eより希望のコースを選択するコース選択キー20と、洗車に際し注意すべき特殊な形状もしくは装備を有する自動車を指定入力する車種指定キー21と、洗車の開始入力を行なうスタートキー22と、既に登録されている会員データの変更等を行なう登録キー23と、を備えている。データ表示部18は液晶ディスプレイから成り、RAM14に登録された会員データ等を表示する外に、操作パネル7における操作手順等のガイド表示を行なう。24は該データ表示部18の駆動回路である。
【0009】第3図は、前記制御部10の具体的機能を説明するブロック図である。25は会員受付部で、カードリーダ16において読み取った会員コード等のデータに基づき、前記RAM14における会員データメモリ26より、相当する会員のデータMDを読み出す。尚、この会員データMDには会員の契約内容をはじめ、その会員が通常行なう洗車コースおよび会員自動車の車種指定等の洗車内容が含まれている。27は前記キー入力部17における入力内容を受け取りストアするバッファ機能を有したキー入力受付部で、入力データKDを与える。28は会員受付部25及びキー入力受付部27より与えられる各データMD・KDに基づき実行すべき洗車の内容を設定する洗車内容設定部で、前記スタートキー22より開始入力が有った時点のキー入力データKDで与える洗車コース及び車種指定から成る洗車内容を優先して設定し、万一洗車内容がキー入力されずデータKDに特に洗車内容が指定されていなければ、会員データMDで与える洗車内容を実行データADとして与える。29は洗車内容設定部28で与える実行データADに基づき洗車を実行する洗車制御部で、実行データADを基に洗車プログラムを実行して会員の希望する内容の洗車を行なう。
【0010】第4図は前記ROM13におけるプログラムの概要を表すフローチャート図で、以下この図を基に実施例の動作を説明する。
【0011】カードリーダ16において会員カード19が挿入されると(1)、カードリーダ16ではそのカード19より会員コードを読み取り、該コードを基にRAM14の会員データメモリ26よりそのコードに相当する会員データを読み出す(2)。続いて会員データの内容をチェックし、会員の契約切れ等が無いかを確認した後(3)、チェックOKであればその会員内容を表示し(4)、チェックの結果会員として洗車受付できないと判明すればアラーム出力してカード19を返却する(5)。ステップ(4)で成される表示は、第5図に示すように、会員コードа、車輌登録ナンバーЬ、前回実行した洗車コースсと車種指定d、およびその会員による洗車実行回数eといったデータから構成され、特に車種指定dは前記車種指定キー21において入力された内容に基づいて予めROM13に登録されてある代表形状が呼び出され、その車体形状がグラフィック表示される。
【0012】会員カード受付の後、キー入力部17における入力待ちとなり、スタートキー22により開始入力される(11)までの間に、ステップ(6)においてコース選択キー20および車種指定キー21による洗車内容の指定入力があれば、洗車実行データとしてその指定入力されたデータがセットされ(7)、指定入力が無ければ前記ステツプ(2)で読み出された会員データで与える通常の洗車内容が実行データとしてセットさる(8)。このうち、ステップ(6)で洗車内容の指定入力があった場合は、ステップ(7)に引き続き、前記登録キー23による登録命令の入力があるか(9)、もしくはステップ(1)で受け付けた会員カードによる洗車が初めてであるか(10)を確認し、いずれかに該当する場合は、フラグFに1をセットする(11)。尚、ステップ(10)の確認は、会員データにおける洗車内容の登録の有無、もしくは過去の洗車回数を参照してなされる。
【0013】こうして洗車データがセットされ、ステップ(11)において開始入力があると洗車ルーチン(13)に入り、ステップ(7)または(8)でセットされた洗車データに基づいて、所要の洗車動作が実行される。洗車ルーチン(13)を終了すると、前記フラグFをチェックし(14)、F=1であれば洗車ルーチン(13)で実行した洗車内用を、会員データとして前記会員データメモリ26へ更新登録する(15)。この後、会員データの洗車実行回数の集計や会員契約の変更(会員として契約した洗車の回数もしくは点数の減算)を必要に応じて行ない(16)、最後にカードリーダ16に挿入されていた会員カード19を吐き出して返却を行ない(17)、リタンする。
【0014】以上のように、会員カード挿入により会員受付が成され、以後スタートキー22が押されるまでに、洗車内容の指定入力が有れば、その入力された内容の洗車を実行し、内容入力が無ければ、会員データとして記憶されている洗車内容に基づき洗車が実行される。従って、会員が通常と同様な洗車を希望するときは、会員カードを挿入した後、スタートキー22を押せば自動的に希望の洗車が実行され、通常と異なる洗車を行なうときはコース選択キー20及び車種指定キー21において洗車内容を入力すれば、入力通りの通常と異なる洗車ができる。また、会員データとして登録されている洗車内容を変更したいときは、変更内容をキー入力した後、登録キー23を押して洗車を実行すれば良い。一方、会員として初めて洗車するときは、実行した洗車内容が会員データとして自動的に記憶され、次回の洗車からは特に内容の指定入力をすることなく同じ洗車を行なうことができる。
【0015】洗車ルーチン(13)で行なわれる洗車は、実行データとしてステップ(7)または(8)で与えられる洗車内容、すなわち前記コース選択キー20で与えるA〜Eの洗車コースと、車種指定キー21で与えられる自動車の特殊形状又は装備によって異なるが、洗車コースは本体1が往復走行する回数や速度、またワックスがけ工程の有無等によって区分されており、車種指定に対してはその形状・装備に応じた前記ブラシやブロワノズルの安全な動作を行なうよう区分されている。すなわち、車種指定がタクシーであれば、自動車天部のタクシ表示灯にブラシが接触して破損してしまわないよう、上面のブラシ3及びブロワノズル5を回避動作させ、ドアミラーであれば、ドアミラーを破損しないようその部分において側面のブラシ4・4’を回避動作させるといったように、その車種指定に適応した動作を行なう。
【0016】尚、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、本願の特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、種々実施態様が考えられる。例えば、会員データとして登録される洗車内容は、洗車実行毎にその回に実行した内容に更新されるものとし、洗車内容の指定がないまま開始される洗車は、常に前回実行した通りの内容で行なわれるようにしても良い。こうすれば、上記実施例のように登録キー23を特に備えなくても、洗車内容が自動的に更新できる。また、会員カードに一定以上の記憶容量があれば、登録すべき洗車コースおよび車種といったデータを会員カード側に記録するようにしてもよい。
【0017】
【発明の効果】この発明は以上のように構成され、会員が通常と同様な洗車を行なう場合は、カードリーダに会員カードを挿入する等して会員の受付を行なった後に洗車の開始入力を行なうだけで良く、従来のように洗車の度毎に洗車内容を選択し入力操作する必要がない。また洗車機の操作を行なう係員もその度に会員客から指示を受けることなく洗車を行なうことができ、効率の良い作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の正面図。
【図2】実施例の制御系を示すブロック図。
【図3】実施例制御部の機能を説明するブロック図。
【図4】実施例のプログラムの概要を示すフローチャート図。
【図5】実施例の表示部における表示例。
【符号の説明】
1 洗車機本体
7 操作パネル
10 記録手段および制御手段を含む制御部
16 会員受付手段たるカードリーダ
17 選択入力手段たるキー入力部
18 表示手段たるデータ表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カードリーダ等の会員洗車受付手段と、実行すべき洗車内容を選択入力する手段と、洗車の開始入力を行なう手段と、前記選択入力手段において選択入力された洗車の内容を所定の条件のもとに会員毎に登録する手段と、前記会員洗車受付手段において会員洗車を受け付けたとき、前記選択入力手段における選択入力が無いまま開始入力が有ると、前記登録手段で与える内容で洗車を実行するよう制御する手段とを備えたことを特徴とする洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開平7−47932
【公開日】平成7年(1995)2月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−53199
【出願変更の表示】実願昭62−24890の変更
【出願日】昭和62年(1987)2月20日
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)