説明

洗面化粧台

【課題】ボウル部の多様な使い方をする際に最適な位置に効果的に吐水できる。吐水方向が一定で使用者の予期しない方向に吐水されることがない。効果的に水跳ねを防止できる。
【解決手段】平面視でボウル部1内を、ボウル部1の後端部から前方に向けて形成された底部11と、底部11の前端からボウル部1の前端部に至るように形成された傾斜前内壁12とを備える。傾斜前内壁12が底部11の前端から前に行くほど上方となるように斜め前上方に向けて上り傾斜となっている。傾斜前内壁12の勾配が底部11の勾配よりも急となっている。ボウル部1の後部の左右方向の中央の上方位置に吐水部3を設け、該吐水部3の吐水方向が底部11の前端と傾斜前内壁12の後端との境界部分に略吐水の中心が向かうように斜め下方を向いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐水部を回動自在として吐水方向を変更できるようにしたものが特許文献1により知られている。この特許文献1に示された従来例は、ボウル部の後端部から前方に向けて形成された底部と、底部の前端からボウル部の前端部に至るように形成された傾斜前内壁とを備え、傾斜前内壁が底部の前端から前に行くほど上方となるように斜め前上方に向けて上り傾斜となり、該傾斜前内壁の勾配が底部の勾配よりも急となり、ボウル部の後部の上方に配置した吐水部を回動自在とし、吐水部を回動させることで、ボウル部内で被洗濯物を洗濯する際は、吐水部からの吐水方向を底部に向けた方向としたり、あるいは、洗髪する際には吐水部からの吐水方向を傾斜前内壁に向けた方向としたりすることができるようになっている。
【0003】
ところが、吐水部の回動角度を変えて吐水方向を変える上記従来例にあっては、吐水していない時、つまり、これから吐水部から吐水させて使用しようとする直前においては、吐水部の角度を見て吐水方向がどの方向になるかを判断しなければならず、使用者にはきわめて分かり難く、底部に向かって吐水すると思って吐水部から吐水させると傾斜前内壁に向かって吐水したり、あるいは、傾斜前内壁に向かって吐水すると思って吐水部から吐水させると底部に向かって吐水したりするというような事態が生じてしまって使い勝手が悪いという問題がある。
【0004】
また、底部に吐水させた場合、傾斜前内壁に吐水させた場合のいずれの場合も、同じ勾配の面に集中して吐水するため、水跳ねが生じやすいという問題がある。
【0005】
また、上記従来例にあっては、ボウル部の後部の上方に配設したミラーキャビネットの下方位置に配置した吐水部が、ミラーキャビネットよりも前方に突出した位置に位置しているので、洗髪や被洗濯物の手洗い、あるいは洗顔、ペットの洗浄等の際にミラーキャビネットよりも前方に突出した吐水部が邪魔になり、圧迫感があり、外観もよくないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3931829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、ボウル部の様々な使い方をする際に最適な位置に効果的に吐水でき、また、吐水方向が一定で使用者の予期しない方向に吐水されることがなく、また、効果的に水跳ねを防止でき、更に、ボウル部の多様な使い方をする際に吐水部が邪魔になることがない洗面化粧台を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る洗面化粧台は、平面視でボウル部1内に、ボウル部1の後端部から前方に向けて形成された底部11と、底部11の前端からボウル部1の前端部に至るように形成された傾斜前内壁12とを備え、傾斜前内壁12が底部11の前端から前に行くほど上方となるように斜め前上方に向けて上り傾斜となり、該傾斜前内壁12の勾配が底部11の勾配よりも急となり、ボウル部1の後部の左右方向の中央の上方位置に吐水部3を設け、該吐水部3の吐水方向を、底部11の前端と傾斜前内壁12の後端との境界部分に略吐水の中心が向かう斜め下方を向いた一定方向に設定して成ることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成とすることで、ボウル部1内の奥側、あるいは手前側のいずれを使用するというように様々な使い方をしても、吐水が当たる位置が前すぎたり、後ろすぎたりすることなく、常に最適な位置に効果的に吐水することができ、また、吐水方向が一定であるため使用者の予期しない方向に吐水して使用者をおどろかせることがなく、また、底部11の前端と傾斜前内壁12の後端との境界部分に向けて吐水されるため、吐水を傾斜前内壁12と底部11とに沿って分散して流して広げ、吐水の水跳ねを効果的に抑制し、また、一方の面にのみ全吐水が流れることによるボウル部1からの溢れを防止することができる。
【0010】
また、ボウル部1の後端部にボウル部1と一体に立ち上がり壁部2を上方に向けて突出し、該立ち上がり壁部2の前面部の上端に吐水部3を設け、立ち上がり壁部2の上端面にミラーキャビネット4の下面部の後端部を載設し、吐水部3をミラーキャビネット4の前端よりも後方にずれた位置に位置させることが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、底部11の前端と傾斜前内壁12の後端との境界部分に向けて吐水する吐水部3が、ミラーキャビネット4の下面の下方位置に隠れることになり、様々な使い方をしても吐水部3が邪魔にならず、圧迫感もなく、外感がよい。特に、ミラーキャビネット4に近づけて顔を洗うような場合(つまり、ボウル部1の奥行きを有効に利用して顔を洗うような場合)に吐水部3が邪魔にならず、また、この場合、吐水部3と、底部11の前端と傾斜前内壁12の後端との境界部分とを結ぶ線(つまり、吐水部3から斜め前下方に向けて流れている吐水の流れ)が、ミラーキャビネット4に近づけた顔の真下に位置するため、吐水が斜め前下方に向けて流れている部分に手を差し入れて水をすくって顔を洗うことができ、このようにボウル部1の奥行きを有効に利用して洗顔ができるので、洗顔時にボウル部1の外への水の飛散を抑制できる。
【0012】
また、底部11が略フラット面となっていることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、物を置いた際に倒れないようにでき、手洗いする場合、底部11上に安定して物を置いて手洗いすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のように、ボウル部の後部の左右方向の中央の上方位置に設けた吐水部の吐水方向を、底部の前端と傾斜前内壁の後端との境界部分に略吐水の中心が向かう斜め下方を向いた一定方向に設定しているので、吐水が当たる位置が前すぎたり、後ろすぎたりすることなく、ボウル部の多様な使い方をする際に最適な位置に効果的に吐水することができ、また、吐水方向が一定で使用者の予期しない方向に吐水されることがなくて使用者を驚かせることがなく、また、効果的に水跳ねを防止でき、吐水を境界部分から勾配の異なる傾斜前内壁側と底部側とに沿って分散して流して広げることができて、吐水の水跳ねを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一部破断面図である。
【図2】(a)は同上の斜視図であり、(b)は同上の正面図である。
【図3】同上の立ち上がり壁部の前面上端に固定吐水部を取付けた実施形態の断面図である。
【図4】同上の固定吐水部を取付けた立ち上がり部の上端面にミラーキャビネットの下面部の後端部を載置した例を示す断面図である。
【図5】同上の洗面ボウルを示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は側面図である。
【図6】同上の固定吐水部の外郭部を示し、(a)は斜視図であり、(b)は断面図であり、(c)は正面図である。
【図7】同上の立ち上がり壁部の前面上端に吐水・止水操作部を取付けた実施形態の断面図である。
【図8】同上の立ち上がり部の上端面にミラーキャビネットの下面部の後端部を載置した状態における吐水・止水操作部部分の断面図である。
【図9】同上の立ち上がり壁部の前面上端に可動吐水部を取付けた実施形態の断面図である。
【図10】同上の可動吐水部を取付けた立ち上がり部の上端面にミラーキャビネットの下面部の後端部を載置した例を示す断面図である。
【図11】同上の可動吐水部のシャワーヘッドを示し、(a)は斜視図であり、(b)は断面図であり、(c)は下面図である。
【図12】(a)は同上の固定吐水部からボウル部への吐水方向を示す説明のための断面図であり、(b)は可動吐水部からボウル部への吐水方向を示す説明のための断面図である。
【図13】(a)は同上の直流吐水の場合の吐水方向を示す説明のための断面図であり、(b)はシャワー吐水の場合の吐水方向を示す説明のための断面図である。
【図14】同上のミラーキャビネットの上部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0017】
洗面化粧台5は、図1、図2に示すように、洗面キャビネット6と、ミラーキャビネット4とを組み合わせて構成してある。
【0018】
洗面キャビネット6は下部キャビネット7の上開口部に洗面ボウル8を載設して取付けることで構成してある。
【0019】
洗面ボウル8は図5に示すように合成樹脂や陶器成の一体成形物で、ボウル部1の後端部にボウル部1と一体に立ち上がり壁部2を上方に向けて突出することで構成してある。
【0020】
ボウル部1は、上面の前端部、左右端部がそれぞれ巾の狭い平面視コ字状をした外周縁部9となっており、平面視で上記外周縁部9と立ち上がり壁部2に囲まれた部分が下方に凹設してあり、該凹設部10は、平面視で底部11となる領域と、傾斜前内壁12となる領域と、棚部13となる領域とに区分けされる。
【0021】
底部11となる領域は凹設部10の過半を占めるもので、凹設部10の中央部の全巾及び後部の左右隅部分を除く部分に底部11が形成され、この底部11の後端部の左右方向の中間部に排水部14を設け、更に、この底部11は僅かに排水部14側に向けて下り傾斜しているが、物を置いた際に倒れないように略フラットとなっている。
【0022】
凹設部10の前部は左右方向の全巾にわたって上記略フラットとなった底部11の前端から始まって外周縁部9の前端部にかけて前に行くほど上となるように上り傾斜した傾斜前内壁12となっていている。
【0023】
棚部13は凹設部10の後部の左右両側の隅部に設けられて平面視略直角三角形状をしており、棚部13の上面は外周縁部9よりも少し下方に下がった位置となっていて濡れた小物を載置することができるようになっている。
【0024】
凹設部10の後内壁15は底部11の後端縁及び棚部13の後端縁から上方に垂直に突出してあって、少なくとも前面が垂直面となっている。
【0025】
立ち上がり壁部2はボウル部1の後端部から左右方向の全巾にわたって上方に向けて一体に突出してあり、立ち上がり壁部2の前面は垂直面で上記ボウル部1の凹設部10の後内壁15の前面と面一に連続している。ここで、後内壁15の前面を上ほど僅かに後ろとなるように僅かに後傾の面としてもよく、この場合は、立ち上がり壁部2の前面も僅かに後傾の面として立ち上がり壁部2の前面と後内壁15の前面と面一に連続させる。
【0026】
立ち上がり壁部2の背面部には下方及び背方に開口する凹所16が設けてあり、立ち上がり壁部2の上端面は水平面となっていて後述のミラーキャビネット4の下面部の後端部を載設する部分となっている。
【0027】
立ち上がり壁部2の前面部の上端には吐水部3が前方に突出するように設けられる。この吐水部3の上端は立ち上がり壁部2の上端面と同一高さ又は僅かに低い位置に位置させてある。
【0028】
吐水部3としては、立ち上がり壁部2の前面上端に固定される固定吐水部3aと、立ち上がり壁部2の前面上端から前方に引き出し自在となった可動吐水部3bとがある。
【0029】
可動吐水部3bとしては例えばシャワーホース17の先端に設けたシャワーヘッド18を挙げることができる。
【0030】
図3には立ち上がり壁部2の前面部の上端に固定吐水部3aを取付けた例が示してあり、立ち上がり壁部2の上端に設けた孔22部分に固定吐水部3aを立ち上がり壁部2の前面部の上端より前方に突出するように取付けてあり、この固定吐水部3aには立ち上がり壁部2の背面部の凹所16に配設された配管が接続される。
【0031】
固定吐水部3aの外郭部19は図6に示すように外郭部19は前端部を除いて縦断面が四角形状をしており、また、外郭部19の上面は全面が水平上面20となっており、外郭部19は下面は前端部を除いて前にいくほど上となるように上り傾斜した傾斜面となっており、外郭部19の前端部が斜め前下方を向く吐出先端部21となっており、吐出先端部は突出方向に対して鉛直な断面形状が円形をしている。この吐出先端部21の下端は外郭部19の後端の下端よりも上方に位置している。
【0032】
固定吐水部3aの外郭部19の水平上面20は立ち上がり壁部2の上面と同じ高さとなっている。
【0033】
斜め前下方を向いた吐出先端部21の先端面に吐出口27が設けてあって、この吐出口27から斜め前下方に向けて吐水するようになっている。
【0034】
吐出口27から斜め前方に向けて吐水する吐水方向は、図1、図12(a)の一点鎖線で示すように、ボウル部1の凹設部10の底部11の前端と上り傾斜した傾斜前内壁12の後端との境界部分に吐水の中心が向かうように設定してあり、このように吐出口27から出た吐水が凹設部10の勾配の異なる2つの面の境界部分に当たることで、吐水を傾斜前内壁12と底部11とに沿って分散して流して広げることができ、これにより、吐水の水跳ねを効果的に抑制することができると共に、一方の面にのみ全吐水が流れることによる凹設部10からの溢れを防止することができるようになっている。
【0035】
図9には立ち上がり壁部2の前面部の上端に可動吐水部3bを取付けた例が示してある。立ち上がり壁部2の上端に設けた孔22部分に筒状をしたホースホルダー23が装着してあり、ホースホルダー23には立ち上がり壁部2の背面部の凹所16内に配置したホースチューブ24の先端が接続してある。ホースチューブ24内には変形性を有するシャワーホース17が移動自在に挿通してあり、シャワーホース17の一端部はホースホルダー23から前方に引き出されその先端部に可動吐水部3bであるシャワーヘッド18が接続してあり、また、シャワーホース17の他端は上記凹所16又は下部キャビネット7内に配置した給水用の配管に接続してあり、シャワーヘッド18の後端はホースホルダー23に着脱自在となっており、シャワーヘッド18を手で掴んで引き出すことが可能で、また、シャワーヘッド18の後端部をホースホルダー23の前面側に位置させた状態でホースホルダー23に保持手段55により一定位置に位置決めして保持することができるようになっている。保持手段55は図9に示すように、ホースホルダー23の前端部の嵌め込み部55aと、シャワーヘッド18の後端部の被嵌め込み部55bのいずれか一方に係止凹部55cを設けると共に他方に係止突起55dを設け、嵌め込み部55aに被嵌め込み部55bを着脱自在に嵌め込むと共に係止突起55dを係止凹部55cに弾性的に着脱自在に係止することにより構成してある。
【0036】
そして、上記のようにシャワーヘッド18を手指で掴んで手前に引くことで、上記保持手段55による保持を解除することができ、このようにシャワーヘッド18を保持状態から引き出し自在とすることを可能とするためシャワーホース17は途中に余裕を持たせて弛ませてある。
【0037】
ホースホルダー23の立ち上がり壁部2の前面から突出した部分は縦断面四角形状をしており、また、図11に示すように、シャワーヘッド18は後部が縦断面略四角形状をした四角筒部25となっており、シャワーヘッド18の前部が上記四角筒部25の前端から前下方に向けて傾斜した傾斜筒部26とし、傾斜筒部26は横幅が四角筒部25の横幅よりも広く且つ断面円形に形成してある。上記ホースホルダー23の立ち上がり壁部2の前面から突出した部分の上面及びシャワーヘッド18の上面は水平上面20となっており、図9に示すように、シャワーヘッド18の後端部をホースホルダー23の前面側に位置させて保持した状態でシャワーヘッド18の水平上面20とホースホルダー23の水平上面20とが略面一となるようになっており、この水平上面20は立ち上がり壁部2の上端面よりも僅かに低い位置に位置している。この場合水平上面20から立ち上がり壁部2の上端面までの寸法は、立ち上がり壁部2の上端面に後述のようにミラーキャビネット4の下面部後端を載置した状態で、シャワーヘッド18を手指で掴んで引き出すことができるように、シャワーヘッド18の水平上面20とミラーキャビネット4の下面部との間に手指が差し込むことができる寸法となっている。
【0038】
傾斜筒部26の先端面には吐出口27が設けてあって、この吐出口27から斜め前下方に向けて吐水するようになっており、図12(b)に示すようにシャワーヘッド18をホースホルダー23の前面側に保持させた状態において、図12(b)の一点鎖線で示すように吐出口27からの吐水方向は、ボウル部1の凹設部10の底部11の前端と上り傾斜した傾斜前内壁12の後端との境界部分に吐水の中心が向かうように設定してあって、吐水を傾斜前内壁12と底部11とに沿って分散して流して広げ、吐水の水跳ねを効果的に抑制し、また、一方の面にのみ全吐水が流れることによる凹設部10からの溢れを防止することができるようになっている。
【0039】
ここで、上記した固定吐水部3a、可動吐水部3bのいずれにおいても、直流吐水とシャワー吐水との切り替えができるようになった構造のものを用いることができる。
【0040】
この場合、図13(a)に示す直流吐水の際、図13(b)に示すシャワー吐水の際のいずれの際も、前述のように吐水部3(固定吐水部3a又は可動吐水部3b)から斜め前下方に向けた吐水の中心が底部11の前端と上り傾斜した傾斜前内壁12の後端との略境界部分に向かうようになっている。なお、図13に示す実施形態では可動吐水部3bの例で説明しているが、固定吐水部3aにおいても同様である。また、吐水部3において直流吐水とシャワー吐水との切り替えを行うには例えば、吐水部3の前端部を回転操作することにより切り換えることができる。
【0041】
ところで、上記のように、いずれの実施形態においても吐水部3(固定吐水部3a又は可動吐水部3b)からの吐水方向が底部11の前端と傾斜前内壁12の後端との境界部分に略吐水の中心が向かうように斜め下方を向いているので、ボウル部1内の奥側、あるいは手前側のいずれを使用するというように多様な使い方をしても、吐水のボウル部1に当たる位置が前すぎたり、後ろすぎたりすることなく、常に最適な位置に効果的に吐水することができ、また、吐水方向が一定であるため使用者の予期しない方向に吐水して使用者をおどろかせることがない。
【0042】
また、図7に示すように立ち上がり壁部2の前面部の上端には更に吐水・止水操作部2Aが設けてある。この吐水・止水操作部2Aは、立ち上がり壁部2の前面上端部に取付けた操作部本体50と、立ち上がり壁部2の前面側において操作部本体50に被せた外郭ケース51と、外郭ケース51の前面側に配置して上端部を操作部本体50の前端部に取付けた操作レバー52とで構成してあり、操作レバー52を操作することで吐出口27に連通する水路に設けた弁(図示せず)を操作して吐出口27からの吐水、止水、吐水時における流量調整、及び湯温調整を行うようになっており、実施形態では操作レバー52を前後方向に回動することで、吐水、止水と、吐水時における流量調整を行い、操作レバー52を左右方向に回動することで湯温調整を行うようになっている。
【0043】
上記外郭ケース51は上面が水平上面20、両側面が垂直面、下面が半円状をしており、水平上面20は立ち上がり壁部2の上端面と同一高さとなっている。また、操作レバー52の下端部は外郭ケース51の前面の下端より下方に突出している。
【0044】
また、立ち上がり壁部2の前面から操作レバー52の前端までの寸法は、立ち上がり壁部2の前面から吐水部3の前端までの寸法と同じか短い寸法となっている。
【0045】
ミラーキャビネット4の上部に照明部30を設けてある。このミラーキャビネット4は、キャビネット本体28の上端部を除く大部分が収納用キャビネット部28aとなっており、上端部が照明用キャビネット部28bとなっており、このキャビネット本体28は合成樹脂の一体成形により形成してある。収納用キャビネット部28aの前面部にはミラー32が開閉自在に取付けてあり、また、照明用キャビネット部30の前面部には照明カバー33が取付けてある。
【0046】
ミラー32は閉じた状態で収納用キャビネット部28aに設けた前方に開口した収納部を覆っており、ミラー32を回動して開くことで、収納部を開口することができる。
【0047】
照明用キャビネット部28bには図14に示すように前方に開口する照明用収納部35が設けてあって、該照明用収納部35にランプ36を含む照明器具本体が収納される。該ランプ36はミラー32の前面よりも後方にずれた位置に位置している。照明用収納部35の前面には照明カバー33が着脱自在に取付けられ、該照明カバー33の前面がミラー32の前面と面一となっている。
【0048】
照明カバー33は図14に示すように、キャビネット本体28の前面部に着脱自在に取付けるカバー本体38と、カバー本体38に対して着脱自在に取付ける透明板39とで構成してある。
【0049】
カバー本体38は全体が不透明で、図14に示すように前面部の上部が前面上部カバー部40となり、前面部の下部が下開口部41となっており、下開口部41の背部が斜め前下方に向けて下り傾斜した傾斜面部42となっており、前面上部カバー部40の下端部と傾斜面部42との間が中開口部43となっており、また、前面部の上端縁、左右側端縁、下端縁から背方に向けて上横片44a、左右側片44b、下横片44cよりなる外周枠部44が一体に突設してあり、外周枠部44の後端部に設けた係止部45をキャビネット本体28の前面部に設けた被係止部46に着脱自在に係止することで、カバー本体38をキャビネット本体28に着脱自在に取付けてある。
【0050】
透明板39はカバー本体38の上記中開口部43部分に着脱自在に取付けるようになっており、透明板39に設けた係合部47をカバー本体38に設けた被係合部49に着脱自在に係合するようになっている。
【0051】
透明板39を中開口部43に取付けた状態で中開口部43を透明板39で覆うようになっており、更に、取付け状態で透明板39は後側程下となるように斜め後下方に下り傾斜した姿勢に取付けられる。
【0052】
この斜め後下方に下り傾斜した透明板39の上方位置に上記ランプ36が位置するようになっており、ランプ36からの光は透明板39を介して下開口部41から斜め前下方に向けて照射されることになる。
【0053】
ここで、ランプ36から照射された光の一部は透明板39を通過して下開口部41から直接下開口部41から斜め前下方に向けて照射され、また、他の一部の光は透明板39を通過して傾斜面部42に反射されて下開口部41から前方又は斜め前下方に照射され、更に、他の一部の光は不透明の前面上部カバー部40、上横片44aに反射され、反射された光が透明板39を通過して、傾斜面部42に反射されて下開口部41から前方又は斜め前下方に照射され、これにより、主として図14のイで示す範囲で斜め前下方に照射されてミラー32の前方位置を照らすようになっている。
【0054】
したがって、照明カバー33がミラー32と面一となっていても、本発明においては照明カバー33の斜め前下方であるミラー32の前方位置を照明できることになる。
【0055】
上記の構成のミラーキャビネット4は下端面部(キャビネット本体28)の後端を、図1乃至図3に示すように、洗面キャビネット6の上部に設けた洗面ボウル8の後端部に一体に突設した立ち上がり壁部2の上端面に載設して、ミラーキャビネット4のキャビネット本体28の背面部を建物の壁に固定する。
【0056】
このようにミラーキャビネット4は下端面部の後端を立ち上がり壁部2の上端面に載設した状態で、立ち上がり壁部2の前面部の上端に設けた吐水部3(固定吐水部3a、可動吐水部3b)は、立ち上がり壁部2とミラーキャビネット4の下面部とのなすコーナ部分に位置することになり、また、吐水部3の前端(固定吐水部3aの前端、可動吐水部3bをホースホルダー23の前面側に位置させて保持した状態における可動吐水部3bの前端)はミラーキャビネット4の前端よりも後方にずれて後退して位置している。
【0057】
したがって、洗面化粧台5の前方に立っている使用者(この場合、使用者の顔の位置がミラー32に対向した位置となっている)からは、立ち上がり壁部2とミラーキャビネット4の下面部とのなすコーナ部分に位置し且つミラーキャビネット4の前端よりも後方にずれて位置している吐水部3が、ミラーキャビネット4の下端に隠れて目立ち難くなり、外観がすっきりしてよくなる。
【0058】
しかも、本発明にあっては、底部11の前端と傾斜前内壁12の後端との境界部分に向けて吐水する吐水部3が、ミラーキャビネット4の下面の下方位置に隠れることになり、ボウル部1を様々な使い方、例えば、洗髪をしたり、ボウル部で衣類等を手洗いしたり、ペットを洗ったりする際に吐水部3が邪魔にならず、使い勝手がよくなる。特に、ミラーキャビネット4に近づけて顔を洗うような場合(つまり、ボウル部1の奥行きを有効に利用して顔を洗うような場合)に吐水部3が邪魔にならず、また、この場合、吐水部3と、底部11の前端と傾斜前内壁12の後端との境界部分とを結ぶ線(つまり、吐水部3から斜め前下方に向けて流れている吐水の流れ)が、ミラーキャビネット4に近づけた顔の真下に位置するため、吐水が斜め前下方に向けて流れている部分に手を差し入れて水をすくって顔を洗うことができ、このようにボウル部1の奥行きを有効に利用して洗顔ができるので、洗顔時にボウル部1の外への水の飛散を抑制できる。
【0059】
また、立ち上がり壁部2の前面部の上端に設けた吐水・止水操作部2Aの突出基部である外郭ケース51も立ち上がり壁部2とミラーキャビネット4の下面部とのなすコーナ部分に位置し且つミラーキャビネット4の前端よりも後方にずれて位置しており、したがって、洗面化粧台5の前方に立っている使用者(この場合、使用者の顔の位置がミラー32に対向した位置となっている)からは、外郭ケース51がミラーキャビネット4の下端に隠れて目立ち難くなり、圧迫感がなく、この点でも外観がすっきりしてよくなる。
【0060】
ここで、吐水部3が固定吐水部3aの場合、図4、図8に示すように、固定吐水部3aの水平上面20及び吐水・止水操作部2Aの外郭ケース51の水平上面20がそれぞれはミラーキャビネット4の下面部に隙間なく当接するようになっており、ミラーキャビネット4の下面部の後端部を立ち上がり壁部2の上端面に載置してミラーキャビネット4のキャビネット本体28の背面部を建物の壁に固定する際に、ミラーキャビネット4の下面部の後端部を立ち上がり壁部2の上端面に載置する際に同時に固定吐水部3aの水平上面20及び、吐水・止水操作部2Aの外郭ケース51の水平上面20にもミラーキャビネット4の下面部を載置することができ、ミラーキャビネット4の下面部を安定して位置決めした状態で支持することができ、この位置決め支持した状態でミラーキャビネット4のキャビネット本体28の背面部を建物の壁に固定することができる。
【0061】
また、固定吐水部3aの水平上面20及び吐水・止水操作部2Aの外郭ケース51の水平上面20がそれぞれはミラーキャビネット4の下面部に隙間なく当接することで、水平上面20とミラーキャビネット4の下面部との間に隙間が生じることがなく、この部分に埃等が溜まることがなく、狭い隙間に溜まった埃を掃除する必要がなく、また、掃除するとしても縦面となった両側面と下面とを掃除するだけでよいので、掃除も簡単となる。
【0062】
ところで、キャビネット本体28は合成樹脂の成形品により構成してあるが、成形誤差等によりキャビネット本体28の下面部が成形誤差により多少波打っていたり、傾いたりすることがある。したがって、立ち上がり壁部2の上端面にミラーキャビネット4の下面部を載置した際に上記固定吐水部3aの水平上面20及び、吐水・止水操作部2Aの外郭ケース51の水平上面20がミラーキャビネット4の下面に隙間なく密接しないことがある。この点を考慮して図3、図7に示すように水平上面20に弾性シート53を設け、該弾性シート53を介して水平上面20を図4、図8に示すようにミラーキャビネット4の下面に隙間なく密接するようにしてもよい。
【0063】
一方、吐水部3が可動吐水部3bの場合、吐水・止水操作部2Aの外郭ケース51の水平上面20は前述のようにミラーキャビネット4の下面部の後端部に当接するが、図10に示すように、ミラーキャビネット4の下面と可動吐水部3bの水平上面20との間には隙間が形成される。しかしながら、この隙間は手指を差し入れることができる程度の僅かな隙間であるため、外部から殆ど見えないようになっていると共に、可動吐水部3bは引き出しに支障がないという条件下で最大限立ち上がり壁部2の前面の上端に位置するように取付けることができる。
【0064】
可動吐水部3を後退させて後端をホースホルダー23に着脱自在に取付けた状態で使用できるのは勿論、可動吐水部3を手指で掴んで手前に引き出して使用することもできる。この場合、可動吐水部3であるシャワーヘッド18の前部の傾斜筒部26を手で掴んで手前に引き出すのであるが、この時、手指の一部を可動吐水部3の水平上面20とミラーキャビネット4の下面との間に差し込むことも可能で、したがって、しっかりとシャワーヘッド18の前部の傾斜筒部26を手で掴んで引き出すことができる。しかも傾斜筒部26の横幅が四角筒部25の横幅よりも広く且つ断面円形に形成してあるので、確実に傾斜筒部26を掴むことができる。
【0065】
上記のように、立ち上がり壁部2を上方に向けて突出し、該立ち上がり壁部2の前面部の上端に吐水部3を設け、該吐水部3の上端を立ち上がり壁部2の上端面と同一高さ又は僅かに低い位置に位置させてあるので、立ち上がり壁部2の前面の上下方向の下部、場合によっては中央部が水跳ね(吐水部3からの吐水が物に当たって飛び散ることによる水跳ね、あるいは、顔を手で洗っている時などに手から水が飛び散ることによる水跳ね)により濡れることがあっても、立ち上がり壁部2の前面の下部や中央部の濡れた部分を拭く際に立ち上がり壁部2の前面に設けた吐水部3に邪魔されることなく拭き取ることができる。また、吐水部が水跳ねにより濡れ難くて汚れが付着しにくくなり、したがって、吐水部3の掃除をする頻度が少なくてよくなる。
【符号の説明】
【0066】
1 ボウル部
2 立ち上がり壁部
3 吐水部
4 ミラーキャビネット
11 底部
12 傾斜前内壁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視でボウル部内に、ボウル部の後端部から前方に向けて形成された底部と、底部の前端からボウル部の前端部に至るように形成された傾斜前内壁とを備え、傾斜前内壁が底部の前端から前に行くほど上方となるように斜め前上方に向けて上り傾斜となり、該傾斜前内壁の勾配が底部の勾配よりも急となり、ボウル部の後部の左右方向の中央の上方位置に吐水部を設け、該吐水部の吐水方向を、底部の前端と傾斜前内壁の後端との境界部分に略吐水の中心が向かう斜め下方を向いた一定方向に設定して成ることを特徴とする洗面化粧台。
【請求項2】
ボウル部の後端部にボウル部と一体に立ち上がり壁部を上方に向けて突出し、該立ち上がり壁部の前面部の上端に吐水部を設け、立ち上がり壁部の上端面にミラーキャビネットの下面部の後端部を載設し、吐水部をミラーキャビネットの前端よりも後方にずれた位置に位置させて成ることを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台。
【請求項3】
底部が略フラット面となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の洗面化粧台。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−45416(P2012−45416A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238740(P2011−238740)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2007−248114(P2007−248114)の分割
【原出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)