洗髪機
【課題】頭部を自動で洗髪するという特性を活かして、効果的なミストの噴霧を可能とする。
【解決手段】被洗髪者の頭部を収めるシンク2を備える自動洗髪機1において、シンク2に被洗髪者の頭部を収めたときに、シンク2内に密閉空間8bが形成され、かつ、この密閉空間8bに頭部が延在する構成とし、密閉空間8b内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部と、密閉空間8b内にミストを噴霧するミスト噴霧部と、を設けた。
【解決手段】被洗髪者の頭部を収めるシンク2を備える自動洗髪機1において、シンク2に被洗髪者の頭部を収めたときに、シンク2内に密閉空間8bが形成され、かつ、この密閉空間8bに頭部が延在する構成とし、密閉空間8b内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部と、密閉空間8b内にミストを噴霧するミスト噴霧部と、を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗髪者の頭部を自動で洗髪可能な洗髪機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、被洗髪者の頭部を収めるシンクの内側に、頭部に向けて洗浄水を噴射するノズルリンクを備え、このノズルリンクによって被洗髪者の頭部や髪に洗浄水を噴射することにより自動で洗髪を行えるようにした洗髪機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−236511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、美容室等において、トリートメント効果や、リラクゼーション効果を得るべく、被洗髪者の頭部にミストを噴霧することが行われている。これを踏まえ、上述したように被洗髪者の頭部を自動で洗髪する洗髪機では、頭部を自動で洗髪可能である、という特性を活かして、効果的にミストを噴霧したいとするニーズがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、頭部を自動で洗髪するという特性を活かして、効果的にミストを噴霧可能な洗髪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、被洗髪者の頭部を収めるシンクを備える洗髪機において、前記シンクに被洗髪者の頭部を収めたときに、前記シンク内に密閉空間が形成され、かつ、この密閉空間に頭部が延在する構成とし、前記密閉空間内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部と、前記密閉空間内にミストを噴霧するミスト噴霧部と、を設けたことを特徴とする。
なお、密閉空間とは、完全に密閉された空間を示すのではなく、噴射部から噴射された洗浄水が、密閉空間から外部へ漏洩しない程度の水密性が維持された空間のことを示す。
【0006】
また、本発明は、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが連動して実行されるよう、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記制御部は、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御して、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧と、を同時に実行することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記噴射部による洗浄水の噴射を伴う洗浄行程、及び、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧を伴うミスト行程、を少なくとも含む複数の行程が所定の順序で並べられたコースを実行することを指示する指示部を備え、前記制御部は、前記コースの実行が指示された場合、前記コースにおける各行程の順序に応じた所定のタイミングで、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが実行されるように、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記噴射部は、シャンプー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成され、前記コースでは、シャンプー液が混入した洗浄水の噴射を伴うシャンプー行程よりも前記ミスト行程が先になるように各行程の順序が設定されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記噴射部は、コンディショナー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成され、前記コースでは、コンディショナー液が混入した洗浄水の噴射を伴うコンディショニング行程よりも前記ミスト行程が後になるように各行程の順序が設定され、又は、前記コンディショニング行程の実行中に前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧を実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記ミスト噴霧部は、ミストを発生するミスト発生装置と、前記シンクに形成されたミスト吐出口と、前記ミスト発生装置と前記ミスト吐出口とを接続するミスト搬送管と、を備え、前記制御部は、前記ミスト発生装置を制御するミスト発生装置制御部と通信可能に接続され、このミスト発生装置制御部と連係して、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが連動して実行されるよう、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、頭部を自動で洗髪するという特性を活かして、効果的なミストの噴霧が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】自動洗髪機の斜視図である。
【図2】自動洗髪機を上から見た図である。
【図3】自動洗髪機を横から見た図である。
【図4】自動洗髪機の概略断面図である。
【図5】自動洗髪機の水の流れを概略的に示す水路図である。
【図6】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】操作パネルを示す図である。
【図8】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の動作、特に、運転コースが選択されて、選択された運転コースが実行されるまでの動作を示すフローチャートである。
【図9】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の動作、特に、スキャルプケアコースの実行時における動作を示すフローチャートである。
【図10】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の動作、特に、ミスト行程の実行時における動作を示すフローチャートである。
【図11】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の動作、特に、ヘアケアコースI又はヘアケアコースIIの実行時における動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は自動洗髪機1の斜視図であり、図2は自動洗髪機1を上から見た図である。図3は、シンク保持台3の外枠を取り外した上で自動洗髪機1を横から見た図である。図4(A)は自動洗髪機1の概略断面図であり、(B)は要部拡大図である。図5は自動洗髪機1の水の流れを概略的に示す水路図である。
本実施形態では、自動洗髪機1に、ミスト発生装置90(後述)が接続されており、これら自動洗髪機1と、ミスト発生装置90とが協働して洗髪機として機能する。
【0015】
図1〜図5に示すように、自動洗髪機1は、被洗髪者の頭部を収容するためのシンク2と、シンク2を保持するシンク保持台3と、シンク保持台3の前方に配置され、被洗髪者が座るための椅子4(図4)と、椅子4を保持する椅子保持台5(図4)とを備えている。
【0016】
シンク2は、図1〜図4に示すように、その上面に開口を有する碗状の部材である。シンク2の前側には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元を、シンク2の内側に臨ませた状態にして、被洗髪者の後頭部を支える頭部支持ネット70が配置されている。また、シンク2の前側の壁部2Aには、椅子4に座った状態で被洗髪者が仰向けで、頭部支持ネット70に後頭部を載せた状態で、首を載せることができるネック台7が配置されている。シンク2の上面の開口は、カバー8により覆うことができる。カバー8は、その後端が連結部9(図4)を介してシンク2の後端に連結されていて、連結部9を中心にして鉛直面内で回動可能となっている。洗髪時などには、カバー8を開いた状態で、椅子4に座っている被洗髪者の首をネック台7に載せた後、カバー8を閉じることにより、被洗髪者に頭部をシンク2内に収容することができる。
【0017】
図1、及び、図2に示すように、カバー8には、被洗髪者の頭部に対応して、頭部切り欠き部8aが形成されている。
図4に示すように、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた場合、頭部により頭部切り欠き部8aが塞がれ、シンク2とカバー8とで囲まれた空間に略密閉された密閉空間8b(図4)が形成され、この密閉空間8bに頭部が延在した状態となる。なお、密閉空間8bとは、完全に密閉された空間を示すのではなく、密閉空間8b内に設けられた各ノズルリンク(後述)から噴射された洗浄水が、密閉空間8bから外部へ漏洩しない程度の水密性が維持された空間のことを示す。
自動洗髪時には、密閉空間8bに設けられた各ノズルリンク(後述)から頭部に対して洗浄水が噴射されて、頭部の洗髪が行われる。その際、密閉空間8bに頭部が延在した構成であるため、各ノズルリンクから噴射された洗浄水が密閉空間8bの外部へ漏洩することを防ぎつつ、円滑な自動洗髪を実行できる。そして、本実施形態では、詳細は後述するが、密閉空間8bを利用して、好適に、被洗髪者の頭部に対して、ミストを噴霧可能な構成となっている。
なお、図示は省略したが、カバー8の頭部切り欠き部8aには、頭部切り欠き部8aと頭部との間に介在する隙間を塞ぐためのフェイスシールが設けられており、このフェイスシールにより、密閉空間8bの密閉性(水密性)がより高められている。
【0018】
シンク2内には、被洗髪者の頭部および髪に向けて洗浄水(温水、シャンプー液が混入された温水、コンディショナー液が混入された温水など)を噴射するための上ノズルリンク11及び下ノズルリンク12が配置されている。上ノズルリンク11は、被洗髪者の頭部に沿うように、図示位置で上に凸の略円弧状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が回動可能に片持ち支持されており、被洗髪者の頭部に向かって洗浄水を噴射する。
下ノズルリンク12は、被洗髪者の髪を囲うように、図示位置で左方に凸の略弓形状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が上ノズルリンク11よりも下方で回転可能に片持ち支持されている。この下ノズルリンク12は、後方に向かって洗浄水を噴射することにより、後方側に垂れ下がった被洗髪者の髪を洗浄する。
また、シンク2内には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンク80が配置されている。
【0019】
上ノズルリンク11、下ノズルリンク12、および首元用ノズルリンク80には、それぞれ複数のノズルが備えられていて、洗髪時には、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12、および首元用ノズルリンク80内に送られてきた洗浄水が各ノズルから噴射される。上ノズルリンク11、下ノズルリンク12は回動し、首元用ノズルリンク80は固定である。各ノズルから洗浄水を噴射することで、被洗髪者の頭部および髪の全体を洗浄できる。シンク2内の後側上部には、ハンドシャワー13が配置されている。ユーザー(美容院の従業員など)は、ハンドシャワー13の右方に配置されたコック14を回すことにより、ハンドシャワー13から放水する水量を調節して、手動で洗髪できる。
【0020】
図1を参照して、シンク2の後部側面100には、頭頂マッサージノズル150が設けられている。この頭頂マッサージノズル150は、頭部のマッサージを目的として、頭部支持ネット70に支持された頭部の頭頂部に対して、洗浄水を噴射するためのノズルである。
また、図1を参照して、シンク2の右側面100aには、右側頭マッサージノズル151が設けられ、シンク2の左側面100bには、左側頭マッサージノズル152が設けられている。これら側頭マッサージノズルは、頭部のマッサージを目的として、頭部支持ネット70に支持された頭部の側頭部に対して、洗浄水を噴射するためのノズルである。
頭頂マッサージノズル150や、右側頭マッサージノズル151、左側頭マッサージノズル152からは、後述するマッサージ行程や、マッサージ動作の実行時に、洗浄水が噴射され、被洗髪者の頭部がマッサージされる。
【0021】
自動洗髪機1で使用する水は、図5に示すように、機外の水道設備および給湯設備(図示せず)からミキシングバルブ15および給水管16を介して機内に供給される。ミキシングバルブ15には、水道設備から水供給部17を介して水が与えられるとともに、給湯設備から湯供給部18を介して湯が与えられる。ミキシングバルブ15は、水供給部17および湯供給部18から与えられる水および湯を混合し、温水にして給水管16に送り出すためのものである。給水管16内の途中部には、ミキシングバルブ15から送り出される温水の温度を検知するための第1サーミスター19が配置されている。第1サーミスター19の検知結果に基づいてモーター20が駆動されることにより、ミキシングバルブ15が開閉されて水と湯との混合割合が調整され、設定温度の温水が生成される。ミキシングバルブ15は、モーター20で調整される電動タイプである。モーター20は、DCモーターまたは直流電動機であり、ブラシなどを備えている。
【0022】
また、シンク2の側方には、操作パネル60(図4、図6)が設けられており、たとえば、貯湯タンク25(後述)に貯留される温水の設定温度等は、ユーザーが操作パネル60を操作することにより決定される。給水管16は、途中部(第1サーミスター19よりも下流側)からハンドシャワー用給水管21と貯湯用給水管22とに分岐している。ハンドシャワー用給水管21は、コック14によって開閉可能なハンドシャワー用バルブ23を介してハンドシャワー13に連通している。一方、貯湯用給水管22は、給湯バルブとしての貯湯バルブ24を介して貯湯タンク25内に温水を供給することができる。
【0023】
貯湯タンク25の内部には、当該貯湯タンク25に貯められている温水の水位を検知するための第1水位センサー26および第2水位センサー27が、上下方向に一定間隔を空けて配置されている。貯湯タンク25内の温水が使用されて、所定の水位に達したことが第2水位センサー27により検知された場合には、貯湯バルブ24が開かれて、貯湯タンク25内に温水が供給される。その後、貯湯タンク25内の温水が所定の最高水位に達したことが第1水位センサー26により検知されると、貯湯バルブ24が閉じられて、温水の供給が停止する。このようにして、貯湯タンク25内には、所定の水位以上に常に温水が貯められた状態となっている。
【0024】
貯湯タンク25の上部(第1水位センサー26よりも上方)には、第1水位センサー26の故障などに起因して貯湯タンク25内に最高水位以上の温水が供給された場合に、その余分な温水を貯湯タンク25の外部に溢れ出させるための溢水口28が形成されている。溢水口28から溢れ出した温水は、オーバーフロータンク29によって受けられ、このオーバーフロータンク29に連通する排水管30を通って機外に排出される。オーバーフロータンク29内にはオーバーフローセンサー31が配置され、たとえば排水管30が詰まってオーバーフロータンク29内の水位が最高水位に到達したことがオーバーフローセンサー31によって検知された場合には、自動洗髪機1の運転が停止される。
【0025】
貯湯タンク25の最下部には、一端がメインポンプ32に接続された吸込管33の他端が接続されている。メインポンプ32は、インバーター64(図6)から交流電流が供給されることにより駆動され、吸込管33を介して貯湯タンク25内の温水を吸い込むものである。吸込管33の途中には、シャンプー液が収容されたシャンプー容器34に至るシャンプー供給管35と、コンディショナー液が収容されたコンディショナー容器36に至るコンディショナー供給管37とが接続されている。シャンプー供給管35およびコンディショナー供給管37の途中部には、それぞれシャンプー用ポンプ38およびコンディショナー用ポンプ39が備えられていて、シャンプー用ポンプ38およびコンディショナー用ポンプ39の働きにより、吸込管33内を通る温水に、シャンプー液およびコンディショナー液の混入量を適度に調整することにより、メインポンプ32には、そのとき使用すべき洗浄水が汲み込まれることとなる。
なお、図5における図示は省略したが、シャンプー液やコンディショナー液等の薬剤を収容する容器は、シャンプー容器34、コンディショナー容器36の他にも複数も受けられており、複数の容器のそれぞれに、薬液が流通する供給管が接続されると共に、供給管のそれぞれに、容器に収容された薬液を、供給管を介して、吸込管33に供給するためのポンプが設けられている。
【0026】
吸込管33からメインポンプ32内に吸い込まれた洗浄水は、6つの分路を有する送水管40に送り出される。送水管40内には、フィルター41が設けられていて、その下流側の6つの分路には、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44、頭頂バルブ155、及び、側頭バルブ156の6つのバルブが設けられている。上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44、頭頂バルブ155、及び、側頭バルブ156が設けられた6つの分路には、それぞれ、分岐路46、47、75、48、158、159が延設されている。上ノズルバルブ42から延設された分岐路46の終端は上ノズルリンク11に接続され、下ノズルバルブ43から延設された分岐路47の終端は下ノズルリンク12に接続され、首元用ノズルバルブ74から延設された分岐路75の終端は首元用ノズルリンク80に接続されている。
頭頂バルブ155から延設された分岐路158の終端は、頭頂マッサージノズル150に接続され、また、側頭バルブ156から延設された分岐路159の終端は、途中で分岐し、右側頭マッサージノズル151、及び、左側頭マッサージノズル152のそれぞれに接続される。
【0027】
シンク2の底面には、当該シンク2内に水を排出するための排水口50が形成されていて、この排水口50は、下水の臭気の逆流を防止するためのシンク側排水トラップ51を介して排水管30に連通している。これにより、シンク2の排水口50から排出された水は、排水管30を通って、機外に排水されるようになっている。排水バルブ44から延設された分岐路48の終端は、シンク側排水トラップ51に接続されている。
【0028】
ここで、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、共に片持ち支持した状態で、同期して反復移動可能に構成されている。
具体的には、図4(B)を参照して、上ノズルリンク11は、回転軸Aを中心に矢印C方向に回転を開始し、図4(B)に示す頭頂位置T1から回転して、後頭位置T2に至り、そこから矢印E方向に逆回転して頭頂位置T1に戻るという反復移動が可能である。ここで、上ノズルリンク11が頭頂位置T1にある場合、上ノズルリンク11に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y1方向に洗浄水が噴射され、これにより、被洗髪者の頭頂部付近に洗浄水が噴射されることとなる。また、上ノズルリンク11が後頭位置T2にある場合、上ノズルリンク11に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y2方向に洗浄水が噴射され、これにより、被洗髪者の後頭部付近に洗浄水が噴射されることとなる。
【0029】
一方、下ノズルリンク12は、回転軸Bを中心に矢印D方向に回転を開始し、図4(B)に示す髪位置T3から回転して、首元位置T4に至り、そこから矢印F方向に逆回転して髪位置T3に戻るという反復移動が可能である。ここで、下ノズルリンク12が髪位置T3にある場合、下ノズルリンク12に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y3方向に洗浄水が噴射され、被洗髪者の垂れ下がった髪に洗浄水が噴射されることとなる。また、下ノズルリンク12が首元位置T4にある場合、下ノズルリンク12に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y4方向に洗浄水が噴射され、被洗髪者の首元付近に洗浄水が噴射されることとなる。
【0030】
本実施形態では、図示せぬ駆動機構により、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、以下のように同期して同じ方向に移動する。
すなわち、図4(B)を参照して、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置している場合、下ノズルリンク12が髪位置T3に位置する構成となっている。そして、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置し、下ノズルリンク12が髪位置T3に位置しているものとして、上ノズルリンク11が矢印C方向に回転を開始すると、下ノズルリンク12も同期して矢印D方向に回転を開始し、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至ったときに略同時に下ノズルリンク12が首元位置T4に至る。さらに、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至り、下ノズルリンク12が首元位置T4に至った後は、これらノズルリンクのそれぞれは反転して移動する。すなわち、上ノズルリンク11が後頭位置T2に、下ノズルリンク12が首元位置T4にあるとして、上ノズルリンク11が矢印Cと逆方向に回転を開始すると、下ノズルリンク12も同期して矢印Dと逆方向に回転を開始し、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に至ったときに同時に下ノズルリンク12が髪位置T3に至る。
【0031】
ここで、例えば、上ノズルリンク11が洗浄水を噴射しつつ髪の生える向きと同じ方向へ移動する一方、下ノズルリンク12が洗浄水を噴射しつつ髪の生える向きと逆方向へ移動する等、髪の生える向きに対する上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれの移動方向が異なる場合、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれが、髪の生える向きに対してそれぞれ異なる方向から被洗髪者の頭部および髪に対して洗浄水を噴射することになり、髪がからまるという事態が生じることがある。
しかしながら、上述したように、上ノズルリンク11と、下ノズルリンク12とが同期して同じ方向に動くよう構成されているため、髪の生える向きに対する上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれの移動方向が常に一致し、髪がからまるという事態が発生することを防止することができる。
なお、本実施形態では、制御部89の制御の下、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、同期しつつ速度を変えて移動をしたり、一定の範囲移動した後一時停止したり、所定の範囲を反復移動したりなど、複雑な移動が可能である。
【0032】
図3、図4、及び、図5を参照し、本実施形態に係る自動洗髪機1は、ミスト発生装置90が接続されている。
図5に示すように、ミスト発生装置90は、ミストを発生し、シンク2内へ供給する装置であり、ミストの発生に供する温水を貯留するためのミスト用タンク90aと、このミスト用タンク90aから供給された温水からミストを生成するミスト発生部90bと、を備えている。
ミスト用タンク90aには、ミスト用タンク90aに貯留された温水を加熱するためのヒーター90cと、ミスト用タンク90aに貯留された温水の温度を検出するためのミスト用サーミスター90dと、が設けられている。
また、ミスト発生部90bには、超音波によってミスト用タンク90aから供給された温水を振動させることにより、温水を霧状にしてミストを発生させる超音波発生装置90fと、この超音波発生装置90fの働きにより発生したミストをミスト搬送管91へと送り出すためのファン90gと、を備えている。
【0033】
ミスト搬送管91は、一端が、ミスト発生装置90に接続されると共に、他端が、シンク接続部94(図3〜図5)を介してシンク2に接続されており、ミスト発生装置90において発生したミストは、このミスト搬送管91を通って、シンク2内へ供給される。
図1、図2、及び、図4に示すように、シンク2の後部側面100に、筒状のミスト吐出管101が、シンク2の内側へ向かって突出した状態で設けられ、このミスト吐出管101の端部の開口には、ミスト吐出口102が形成されている。このミスト吐出管101は、ミスト搬送管91に接続されており、ミスト発生装置90から供給されたミストは、ミスト搬送管91、及び、このミスト吐出管101を介してミスト吐出口102からシンク2の内部へ供給される。
本実施形態では、ミスト発生装置90と、ミスト吐出口102と、ミスト搬送管91とが協働して、密閉空間8b内にミストを噴霧するミスト噴霧部として機能する。
【0034】
図3〜図5に示すように、ミスト搬送管91上には、排水トラップ92が設けられている。
以下、排水トラップ92の機能と共に、ミスト搬送管91におけるミストの流れ、及び、シンク2からミスト搬送管91に流入した逆流水(後述)の流れについて説明する。
【0035】
ミスト搬送管91は、ミスト発生装置90が発生したミストをシンク2内へ供給するための配管であるため、シンク2内で洗浄に供した洗浄水等が、ミスト搬送管91に流入する場合がある。なお、以下の説明では、シンク2からミスト搬送管91に流入した洗浄水等の液体を便宜的に「逆流水」という。本実施形態では、後述する理由により、逆流水がミスト搬送管91に少なからず流入することが想定されている。
そして、逆流水がミスト搬送管91を介してミスト発生装置90本体に流入した場合、ミスト発生装置90の故障の原因となると共に、シンク2への円滑なミストの供給が阻害される原因となる。
これを踏まえ、本実施形態では、ミスト搬送管91に、下方へ向かって延びる排水トラップ入口管93が接続されている。そして、ミスト搬送管91と排水トラップ入口管93との接続部95は、シンク接続部94よりも下方に設けられ、シンク2からミスト搬送管91に流入した逆流水は、ミスト搬送管91の傾斜に従って接続部95へ向かって流れ、この接続部95において排水トラップ入口管93に流入する構成となっており、これにより、逆流水がミスト発生装置90へ至らない構成となっている。
【0036】
このように、ミスト搬送管91上に、排水トラップ入口管93を設けることにより、ミスト発生装置90に流入した逆流水がミスト発生装置90へ流入しない構成としたため、ミスト発生装置90からシンク2へ供給されるミストが、排水トラップ入口管93へ流入してしまい、円滑なミストの供給が妨げられる可能性がある。
これを踏まえ、本実施形態では、排水トラップ入口管93の下部に、いわゆるS字トラップからなる排水トラップ92が設けられている。そして、排水トラップ92には、下方へ向かってU字状に屈曲して形成された液体貯留部96が形成されており、この液体貯留部96に、排水トラップ入口管93を介して逆流水が供給され、所定の水位で絶えず液体が貯留される仕組みとなっている。この排水トラップ92の液体貯留部96において貯留された液体が栓としての役割を果たし、ミスト発生装置90からシンク2へ供給されるミストが、排水トラップ入口管93に流入することが防止され、これにより、円滑なミストの供給が妨げられることが防止されている。
【0037】
なお、ミスト搬送管91は、シンク2に供給されるミストが通る配管であるため、ミストの流通に起因して、内部にドレン水が発生するが、このミスト搬送管91の内部に発生したドレン水も、ミスト搬送管91に流入した逆流水と同様、排水トラップ入口管93を介して、排水トラップ92に供給され、これにより、ドレン水がミスト発生装置90へ流入することが防止されている。
さらに、ミスト発生装置90によるミストの発生に伴って、ミスト発生装置90の内部で発生したドレン水は、ミスト発生装置90に接続されたドレン水排出管97からミスト発生装置90の外部へ排出される構成とされ、かつ、このドレン水排出管97の他端が、排水トラップ入口管93に接続された構成とされている。これにより、ミスト発生装置90から排出されたドレン水は、適宜、排水トラップ92へ供給され、より確実に排水トラップ92における液体の貯留が行われている。
このように、本実施形態では、ドレン水を排出する専用の経路や、この経路上に設けられた電磁弁、電磁弁の制御に供する機器等を設けることなく、ドレン水の処理が可能であるため、製造コストを低減でき、かつ製造容易性を向上できる。
【0038】
排水トラップ92の出口側には、排水トラップ出口管98が接続されている。
図3〜図5に示すように、排水トラップ出口管98の他端は、上述した排水管30に接続されており、排水トラップ92の液体貯留部96において、所定の水位を超え、排水トラップ出口管98へ流入した液体は、排水トラップ出口管98を介して、排水管30へ流出し、排水管30を介して機外に排出される。つまり、ミスト搬送管91に流入した逆流水や、ミスト発生装置90によるミストの発生に伴って生じたドレン水は、既存の排水管30を介して機外へ排出される。このように、シンク2の排水管30という既存の設備を利用して、逆流水やドレン水を機外へ排出する構成としたため、新たに機外へ液体を排出する機構を設けた場合と比較して、コストの削減、及び、製造容易性の向上を図ることができる。
【0039】
ここで、本実施形態では、ミスト吐出口102は、シンク2の内側に向かって露出した状態であり、ミスト吐出口102に逆流水が流入することを防止するべく傘部を設ける等していない。これは、以下の理由による。
【0040】
すなわち、本実施形態において、ミストは、シンク2内で所定の薬用成分を含んだミストを被洗髪者の頭部に接触させることによりトリートメント効果を与え、また、香りが良く暖かいミストを頭部に接触させることにより、リラクゼーション効果を与えることを目的として、シンク2内に供給される。従って、ミストが、ある程度の暖かさを維持しつつ、ミスト吐出口102から被洗髪者の頭部に直接吹き付けられた場合に、上述した効果を最大限に奏することができると考えられる。
そして、ミスト吐出口102に対応する位置に、傘部を設けた場合、ミスト吐出口102に逆流水が流入することは防止できるものの、傘部により、ミスト吐出口102から被洗髪者の頭部に対し直接ミストが噴射されることが妨げられると共に、ミストが傘部を迂回した上で被洗髪者の頭部に吹き付けられることとなり、この迂回に起因して、ミストの温度が低下する可能性があった。
以上のことを考慮して、本実施形態では、ミスト吐出口102がシンク2内で露出した状態とされ、シンク2に収めた頭部に対してミスト吐出口102から直接ミストが噴射可能な構成となっており、これにより、トリートメント効果やリラクゼーション効果等を効果的に生じさせている。
なお、ミスト吐出口102に対応する位置に傘部を設けなかった場合、ミスト吐出口102に逆流水が多分に流入することとなるが、上述した、排水トラップ92等の機能により、ミスト発生装置90に逆流水が流入することが確実に防止されると共に、円滑なミストの供給が阻害されることが防止されている。
【0041】
さらに、本実施形態では、「筒状」のミスト吐出管101からミストが噴射される構成となっている。従って、ミストは、ある程度の指向性を持って、頭部に対して噴射されることとなり、上述したトリートメント効果や、リラクゼーション効果をさらに生じさせることができる。
特に、図1、図2に示すように、ミスト吐出口102は、シンク2の後部側面100の中央下部に設けられており、空気中で上昇する性質を有する霧状のミストを好適に仰向け姿勢の被洗髪者の頭部の全域に行き渡らせることができる。すなわち、シンク2の後部側面100の中央下部に設けられたミスト吐出口102から、仰向け姿勢の被洗髪者の後頭部付近にミストが噴射されると、ミストが上昇しつつ、頭部の形状に沿って頭部の全域に行き渡る。
また、本実施形態では、上述したように、自動洗髪中は、シンク2内において、頭部支持ネット70に被洗髪者の後頭部が支持された状態(図2、図4も併せて参照)となるが、この場合、頭部支持ネット70から髪が鉛直下方へ垂れ下がることとなる。これを踏まえ、シンク2の後部側面100の中央下部にミスト吐出口102が設けられているため、鉛直下方に垂れ下がる髪の側方からミストを噴射でき、垂れ下がる髪を含めた髪の全域へ好適にミストを行き渡らせることができる。
【0042】
図6は、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の機能的構成を示すブロック図である。
図6に示すように、自動洗髪機1は、制御部89を備えている。
制御部89は、自動洗髪機1の各部を中枢的に制御するものであり、CPUやROM、RAM、その他周辺回路を備えている。制御部89は、図示せぬ発振器が生成した基準クロックに基づいて各種の計時動作を実行可能である。
制御部89には、第1水位センサー26、第2水位センサー27、オーバーフローセンサー31、第1サーミスター19から各種検出信号が入力され、また、各種指示を行うための操作パネル60から指示に応じた操作信号が入力されるようになっている。
また、制御部89には、モーター20、貯湯バルブ24、シャンプー用ポンプ38、コンディショナー用ポンプ39、インバーター64、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、排水バルブ44、首元用ノズルバルブ74などが制御対象として接続されている。
モーター20には、ミキシングバルブ15が接続されていて、制御部89は、モーター20を駆動制御してミキシングバルブ15を開閉させることにより、給水管16へと送られる温水の温度を調節することができる。
【0043】
また、制御部89には、メインポンプ32に交流電流を供給することにより、メインポンプ32から吐出される洗浄水の吐出圧力を制御するインバーター64が接続されている。図5に示すように、メインポンプ32から吐出された洗浄水は、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、及び、首元用ノズルバルブ74を介して、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12、及び、首元用ノズルリンク80に形成されたノズルから噴射される。従って、制御部89は、インバーター64を制御することにより、各ノズルリンクのノズルから噴射される洗浄水の噴射圧力を制御することができる。
【0044】
また、制御部89には、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きを制御する駆動モーター103が接続されている。駆動モーター103は、ステッピングモーターによって構成され、制御部89から入力された駆動信号に基づいて、図示せぬ駆動機構を介して上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きを制御する。制御部89は、駆動モーター103を制御することにより、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の移動速度を変更したり、これら上ノズルリンク11、下ノズルリンク12を一時停止したりするなど、これら上ノズルリンク11、下ノズルリンク12に複雑な移動をさせることができる。
本実施形態では、制御部89や、駆動モーター103、各ノズルリンク等が協働して、密閉空間8b内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部として機能する。
【0045】
一方、図6に示すように、ミスト発生装置90は、ミスト発生装置制御部110を備えている。
ミスト発生装置制御部110は、ミスト発生装置90の各部を中枢的に制御するものであり、CPUやROM、RAMその他周辺回路を備えている。
ミスト発生装置制御部110には、ミスト用サーミスター90dから検出信号が入力される。
また、ミスト発生装置制御部110には、ヒーター90cや、超音波発生装置90f、ファン90g等が制御対象として接続されている。
【0046】
制御部89と、ミスト発生装置制御部110とは、インターフェイス部99を介して接続されており、これら制御部89と、ミスト発生装置制御部110との間で所定の通信規格に準拠した通信を行うことができる。
本実施形態では、制御部89とミスト発生装置制御部110とが協働して、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の双方を制御する。
【0047】
図7は、操作パネル60を示す図である。
図7を参照し、操作パネル60の左上に配置された電源スイッチ120は、自動洗髪機1の電源をオン/オフするスイッチである。
電源スイッチ120に右方に配置されたタンク温度調整スイッチ121は、貯湯タンク25に貯留される水の温度を設定するためのスイッチである。このタンク温度調整スイッチ121が操作されることにより設定された設定温度は、電源スイッチ120と、タンク温度調整スイッチ121との間に形成された設定温度表示パネル126に液晶表示される。制御部89は、貯湯タンク25に貯留される水の温度が設定温度となるよう、モーター20を制御して、ミキシングバルブ15の開閉状態を調整し、水と湯との混合割合を調整する。なお、貯湯タンク25内にヒーターを設け、このヒーターによって貯湯タンク25に貯留された水の温度を調整する構成としてもよい。
【0048】
電源スイッチ120の下方には、貯湯タンク25に水を貯留することを指示する給湯スイッチ122が配置され、この給湯スイッチ122の右方には、貯湯タンク25に貯留された水を排水することを指示するタンク排水スイッチ123が配置され、このタンク排水スイッチ123の右方には、貯湯タンク25に貯留された水を使い切ることを指示する使い切りスイッチ124が配置されている。また、給湯スイッチ122の下方には、吸込管33や、分岐路46、47、75、48に滞留した水(すなわち、冷めた可能性のある水)を各ノズルリンクから排出することを指示する初期排水スイッチ125が配置されている。
【0049】
初期排水スイッチ125の右方には、容器選択エリア128が形成されており、容器選択エリア128には、複数の容器選択スイッチ129が配置されている。これら容器選択スイッチ129は、後述するコース運転の実行に際し、コースに含まれる動作行程(後述)のそれぞれにおいて、シャンプー容器34、コンディショナー容器36を含む複数の容器のうち、どの容器に収容された薬液を使用するのかを指示するためのスイッチである。
【0050】
容器選択エリア128の左下方には、フルコーススイッチ130が配置されている。フルコーススイッチ130は、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるフルコースを選択するためのスイッチである。
運転コースとは、所定の動作行程が、所定の順序で並べられたものであり、1の運転コースの実行が指示された場合、この運転コースに含まれる一連の動作行程が順番通りに実行される。
動作行程には、例えば、シャンプー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部を洗髪するシャンプー行程や、コンディショナー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部をコンディショニングするコンディショニング行程、薬液を含まない洗浄水によって被洗髪者の頭部をすすぐすすぎ行程等がある。
本実施形態では、それぞれ内容が異なる複数の運転コース(フルコースや、パワフルコース、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、ヘアケアコースII等)が準備されている。
【0051】
フルコーススイッチ130の右方には、実行する動作行程として、シャンプー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部を洗髪するシャンプー行程を選択するためのスイッチであるシャンプースイッチ131が配置されており、このシャンプースイッチ131の右方には、実行する動作行程として、コンディショナー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部をコンディショニングするコンディショニング行程を選択するためのコンディショニングスイッチ132が配置されている。また、シャンプースイッチ131の下方には、実行する行程として、薬液を含まない洗浄水によって被洗髪者の頭部をすすぐすすぎ行程を選択するためのすすぎスイッチ133が配置されている。
本実施形態では、シャンプー行程、コンディショニング行程、及び、すすぎ行程のいずれかのみの実行を指示することが可能である。
また、すすぎスイッチ133の右方には、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるパワフルコースを選択するためのパワフルコーススイッチ134が配置されている。
【0052】
パワフルコーススイッチ134の右方には、デリケートスイッチ136が配置されている。デリケートスイッチ136は、髪が傷んでいる人や、髪が絡みやすい人を洗髪する場合に操作されるスイッチであり、このデリケートスイッチ136が操作された場合、髪が傷んでいる人や、髪が絡みやすい人に対応した洗い方による洗髪が実行される。
【0053】
スキャルプケアスイッチ138は、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるスキャルプケアコースを選択するためのスイッチであり、ヘアケアスイッチ139は、実行する運転コースとして、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIを選択するためのスイッチである。スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、及び、ヘアケアコースIIについては、後述する。
【0054】
これらスキャルプケアスイッチ138、及び、ヘアケアスイッチ139の下方には、髪長選択スイッチ141が配置されている。髪長選択スイッチ141は、被洗髪者の髪の長さを選択するスイッチである。本実施形態では、髪の長さが4段階に区分されており、4段階のうちのいずれかの段階を選択可能である。マイクロコンピューター92は、髪の長さに応じて、各ノズルリンクの移動を制御し、また、ノズルリンクから噴射される洗浄水の噴射圧力を制御する。
【0055】
髪長選択スイッチ141の下方には、残り時間表示パネル142が形成され、この残り時間表示パネル142の右方には、残り時間調整スイッチ143が配置されている。
残り時間表示パネル142には、運転コースが実行されている場合には、運転コースの実行が終了するまでの残り時間が表示され、1つの動作行程の実行が指示されている場合は、当該動作行程が終了するまでの残り時間が表示される。また、残り時間調整スイッチ143は、残り時間を延長し、また、短縮する際に操作されるスイッチである。
残り時間調整スイッチ143の下方には、水圧調整スイッチ144が配置されている。水圧調整スイッチ144は、各ノズルリンクから噴射される洗浄水の噴射圧力を調整するためのスイッチである。
【0056】
この水圧調整スイッチ144の下方には、スタート/ストップ指示スイッチ145が配置されている。
このスタート/ストップ指示スイッチ145は、実行する運転コースとして1つの運転コースが選択されている場合や、実行する動作行程として1つの動作行程の実行が指示された場合において、実際に運転コースの実行の開始をする際や、実際に1つの動作行程の開始を指示する際に操作されるスイッチであり、このスタート/ストップ指示スイッチ145が操作されることにより運転コースに係る動作や、1つの動作行程に係る動作の実行が開始される。また、スタート/ストップ指示スイッチ145は、運転コースに係る動作や、1の動作行程に係る動作の実行中に、当該動作を一時的に中止する際に操作されるスイッチであり、自動洗髪機1の動作中にこのスタート/ストップ指示スイッチ145が操作されると、自動洗髪機1の動作が一時的に中断され、再び、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されると、自動洗髪機1の動作が再開する。
【0057】
次いで、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90に電源が投入されてから、複数の運点コースのうちのいずれかの運転コースが選択されて、その運転コースの実行が開始されるまでにおける、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作について、フローチャートを用いて説明する。
【0058】
図8は、上記動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザーにより、ミスト発生装置90の電源が投入されると共に(ステップSA1)、自動洗髪機1の電源が投入される(ステップSA2)。
上述したように、本実施形態では、自動洗髪機1と、ミスト発生装置90とは、別体の装置であり、それぞれの装置に対して、別の電源から電力が供給されており、それぞれの装置に対して、個別に電源の投入が行われる。
なお、自動洗髪機1と、ミスト発生装置90とを別体の装置とすることにより、ミストを噴霧する機能が必要な自動洗髪機1に対してはミスト発生装置90を接続することにより当該機能を付加する一方、当該機能が必要ない自動洗髪機1に対してはミスト発生装置90を接続しないことにより、当該機能を付加しないようにすることができる。ミストを発生する機構は、比較的、大きな機構となる傾向があるため、上記構成により、当該機能が必要ない自動洗髪機1が不必要に大型化することを防止できる。
なお、ミストを発生するミスト発生機構を小型化した上で、自動洗髪機1に内蔵するようにしてもよいことは勿論である。
【0059】
自動洗髪機1の電源が投入されると、自動洗髪機1の制御部89は、ミスト発生装置90のミスト発生装置制御部110と所定のプロトコルに基づいた通信を行い、ミスト発生装置90の各部の状態に関する情報を取得する(ステップSA3)。ここで、ミスト発生装置90の各部の状態に関する情報とは、具体的には、ミスト発生装置90が正常にミストを発生し、発生したミストを正常に自動洗髪機1のシンク2に供給できる状態であるか否かを示す情報、及び、正常にミストの供給ができない場合は、どういう原因で正常にミストの供給ができない状況にあるのかを示す情報、である。正常にミストの供給ができない場合としては、例えば、ミスト発生装置90の電源が投入されていない場合や、ミスト用タンク90aに水が貯留されていない状態の場合、超音波発生装置90f等の各機器にエラーが発生している状態の場合等がある。
【0060】
次いで、制御部89に、実行する運転コースとして、いずれかの運転コースを選択する旨の指示が入力される(ステップSA4)。上述したように、ユーザーは、操作パネル60のフルコーススイッチ130、パワフルコーススイッチ134、スキャルプケアスイッチ138、ヘアケアスイッチ139のいずれかのスイッチを操作することにより、実行すべき運転コースを選択する。
なお、本実施形態では、フルコース、及び、パワフルコースには、ミストを噴射する動作が含まれておらず、一方、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、及び、ヘアケアコースIIには、ミストを噴射する動作が含まれている。これを踏まえ、以下の説明では、適宜、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、及び、ヘアケアコースIIを、概念的に、「ミスト連動コース」と称する。
【0061】
次いで、制御部89は、ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コース(=スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースII)であるか否かを判別する(ステップSA5)。
ステップSA4で入力された運転コースがミスト連動コースでない場合(ステップSA5:NO)、制御部89は、処理手順をステップSA9へ移行する。
【0062】
ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースである場合(ステップSA5:YES)、制御部89は、ステップSA3で取得した情報に基づいて、ミスト発生装置90が自動洗髪機1に対して正常にミストを供給できる状態にあるか否かを判別する(ステップSA6)。
ミスト発生装置90が自動洗髪機1に対して正常にミストを供給できる状態にない場合(ステップSA6:NO)、制御部89は、その旨報知する(ステップSA7)。
例えば、制御部89は、設定温度表示パネル126に、ミスト発生装置90に何らかのエラーが発生していることを示す所定の表示を行うことにより、ミスト発生装置90が正常にミストを供給できない状態にあることをユーザーに対して報知する。この場合、ユーザーは、設定温度表示パネル126の表示内容を参照することにより、ミスト発生装置90に何らかのエラーが発生していることを認識でき、この認識に基づいて、エラーを解消するための対処(例えば、ミスト発生装置90の電源が投入されていない状態の場合は、電源を投入する等の処置)を行うことができる。
一方、ステップSA6において、ミスト発生装置90が自動洗髪機1に対して正常にミストを供給できる状態である場合(ステップSA6:YES)、制御部89は、入力された運転コースを示す情報をミスト発生装置90に出力し(ステップSA8)、処理手順をステップSA9へ移す。
【0063】
ステップSA9において、制御部89は、ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースであるか否かを判別する(ステップSA10)。
ステップSA4で入力された運転コースがミスト連動コースである場合(ステップSA10:YES)、制御部89は、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたことをトリガーとして、運転開始を示す情報をミスト発生装置90に送信し(ステップSA11)、処理手順をステップSA12へ移す。
一方、ステップSA4で入力された運転コースがミスト連動コースでない場合(ステップSA10:NO)、制御部89は、処理手順をステップSA12へ移す。
【0064】
ステップSA12において、制御部89は、ステップSA4で入力された運転コースの実行を開始する。
次いで、制御部89は、ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースであるか否かを判別する(ステップSA13)。
ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースである場合、すなわち、ステップSA4で入力された運転コースが、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、及び、ヘアケアコースIIのいずれかに該当する場合(ステップSA13:YES)、制御部89は、ミスト発生装置制御部110と協働して、該当する運転コースに準じて、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の各部を制御して、当該運転コースを実行する(ステップSA14)。ステップSA14の動作については、詳述する。
一方、ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースでない場合、すなわち、ステップSA4で入力された運転コースが、フルコース、及び、パワフルコースのいずれかである場合(ステップSA13:NO)、制御部89は、該当する運転コースに準じて、自動洗髪機1の各部を制御して、当該運転コースを実行する(ステップSA15)。ステップSA15の動作の詳細については省略する。
【0065】
次いで、スキャルプケアコースの実行時における自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作の詳細についてフローチャートを用いて説明する。
【0066】
図9は、スキャルプケアコースの実行時における自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作を示すフローチャートである。
このスキャルプケアコースでは、一連の動作行程のうち、最初の動作行程、及び、最後の動作行程が、ミストの噴霧を伴うミスト行程となっている。こうすることによる効果については、後述する。
図9を参照し、まず、スキャルプケアコースの実行が開始される(ステップSB1)。
スキャルプケアコースの実行の開始は、スキャルプケアスイッチ138が操作されることにより、実行すべき運転コースとしてスキャルプケアコースが選択され、かつ、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた上で、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたことをトリガーとして行われる。
なお、上述したように、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた場合、頭部により頭部切り欠き部8aが塞がれ、シンク2とカバー8とで囲まれた空間に略密閉された密閉空間8b(図4)が形成され、この密閉空間8bに頭部が延在した状態となる。
【0067】
次いで、制御部89は、ミスト行程を開始する(ステップSB2)。すなわち、スキャルプケアコースでは、ミストの噴霧を伴うミスト行程が、最初の動作行程である。換言すれば、スキャルプケアコースでは、後述するシャンプー行程や、すすぎ行程(洗浄水の噴射を伴う行程)に先んじて、ミスト行程が実行される。
ここで、ミスト行程について詳述する。
【0068】
図10は、ミスト行程の実行時における、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作を示すフローチャートである。
図10を参照し、ミスト行程が開始されると(ステップSC1)、制御部89は、インバーター64を介してメインポンプ32を制御して、非常に弱い噴射圧力で、各ノズルリンクから、洗浄水を噴射する(ステップSC2)。この洗浄水の噴射は、ミストの噴霧が行われている間、継続して実行される。ここで、非常に弱い噴射圧力とは、各ノズルリンクから噴射される洗浄水が、シンク2に収容された頭部に届かないような噴射圧力である。また、各ノズルリンクから噴射される洗浄水の温度が、比較的高めとなるように、ミキシングバルブ15が制御されて貯湯タンク25に貯留された水の温度が制御される。
このステップSC2の動作は、以下を目的とする。
すなわち、スキャルプケアコースの開始時は、シンク2と、カバー8で囲まれた密閉空間8bの温度が低い場合もあり、また、シンク2や、カバー8の密閉空間8b側の表面温度が低い場合もある。そして、密閉空間8bの温度や、シンク2、カバー8の表面温度が低い場合において、密閉空間8b内にミストを充満させた場合、ミストの温度が低下してしまい、ミストによるトリートメント効果やリラクゼーション効果が低減する可能性がある。これを踏まえ、ステップSC2の動作は、シンク2における密閉空間8bへのミストの供給に先立って、密閉空間8bの温度や、シンク2、カバー8の表面温度を高めることを目的としている。
【0069】
ステップSC2の処理後、制御部89は、ミスト発生装置制御部110に対して、ミスト噴霧処理命令を出力する(ステップSC3)。ミスト噴霧処理命令とは、ミスト発生装置制御部110に、ミスト噴霧準備処理(後述)等の、自動洗髪機1へのミストの供給に係る一連の処理の実行の開始を指示する命令である。
【0070】
ミスト噴霧処理命令が入力されたミスト発生装置制御部110は、ミスト発生装置90の各部を制御して、ミスト噴霧準備処理を実行する(ステップSC4)。
具体的には、ミスト発生装置制御部110は、ヒーター90cを駆動することにより、ミスト用タンク90aに貯留されている水を加熱する。そして、ミスト用サーミスター90dから入力された検出値に基づいて、ミスト用タンク90aに貯留された水の温度が所定温度(例えば、75℃)に到達したことを検出すると、ミスト発生装置制御部110は、ヒーター90cの駆動を停止する。この、ミスト用タンク90aに貯留された水を所定温度に至らしめるまでの一連の動作が、ミスト噴霧準備処理に該当する。
なお、トリートメント効果や、リラクゼーション効果を効果的に発揮できるミストの温度範囲が知られており、シンク2内に供給されるミストの温度が、当該温度範囲となるように、上述した所定温度は、適切な値に定められる。
【0071】
ステップSC4におけるミスト噴霧準備処理の実行中、ミスト発生装置制御部110は、ミスト噴霧準備処理が終了したか否かを監視する(ステップSC5)。
ミスト噴霧準備処理が終了した場合(ステップSC5:YES)、ミスト発生装置制御部110は、シンク2における密閉空間8bへのミストの噴射を開始する(ステップSC6)。
具体的には、ミスト発生装置制御部110は、超音波発生装置90fを駆動して、ミスト用タンク90aから超音波発生装置90fに供給される水を超音波で振動させ、その水を霧状にすることによりミストを発生させると共に、ファン90gを駆動することにより、超音波発生装置90fが生成したミストを、ミスト搬送管91を介してシンク2における密閉空間8bへと送り込む。これにより、ミスト搬送管91、及び、このミスト吐出管101を介してミスト吐出口102からシンク2の内部へミストが供給される。
【0072】
ステップSC6におけるミストの噴射の開始と同時に、制御部89は、ミスト行程を実行する時間として予め定められた時間が終了するまでの時間をカウントダウンする。すなわち、制御部89は、ミスト行程が終了するまでの、残り時間を計時する(ステップSC7)。
なお、ミスト行程を実行すべき時間として予め定められた時間は、ミストを噴射することによるトリートメント効果や、リラクゼーション効果の達成具合と、ミストが噴射される時間との関係に応じて適切に設定され、特に、本実施形態では、少なくとも30秒以上であるものとする。
【0073】
次いで、制御部89は、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したか否かを監視しつつ(ステップSC8)、残り時間が30秒に至ったか否かを監視する(ステップSC9)。
なお、制御部89は、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したか否かを以下のようにして検出する。すなわち、ミスト発生装置制御部110は、ミスト用タンク90aに貯留された水の状態(温度や、量)や、超音波発生装置90fの動作状態等を常に監視し、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生した場合(例えば、ミスト用タンク90aに貯留された水の温度の異常上昇や、超音波発生装置90fの動作異常等)、そのことを検知できる構成とされている。そして、ミスト発生装置制御部110は、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したことを検知した場合、その旨の信号を制御部89に出力する。制御部89は、ミスト発生装置制御部110から入力された信号に基づいて、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したことを検出する。
【0074】
ステップSC8、及び、ステップSC9における監視中、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生した場合(ステップSC8:YES)、制御部89は、ミスト行程を終了する(ステップSC11)。ミスト行程の終了後は、慣らし行程が実行される(図9参照)。
なお、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したことをユーザーに報知するようにしても良い。
このように、本実施形態では、ミストの噴霧中に、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したときは、自動洗髪機1の動作を停止するのではなく、ミストの噴霧に係る処理を省略して、自動洗髪機1の動作を継続する。これは、ミストの噴霧は、後述するシャンプー行程や、コンディショニング行程と比較して、付加的な機能であり、ミストの噴霧が行われない場合であっても、比較的、被洗髪者の満足度を損なわない点を考慮したものであり、ミストの噴霧を省略した上で自動洗髪機1の動作を継続して実行することにより、運転コースの円滑な実行を担保し、よりユーザーの利便性を向上している。
なお、ミスト発生装置90に異常が生じている場合は、自動洗髪機1の動作を一時的に停止するようにしてもよい。
【0075】
ステップSC9において、残り時間が30秒に至った場合(ステップSC9:YES)、制御部89は、マッサージ動作を実行する(ステップSC12)。
このマッサージ動作は、被洗髪者に、一定のマッサージ効果を与えることを目的として行われる動作である。例えば、制御部89は、各種のバルブ等を制御して、頭頂マッサージノズル150、右側頭マッサージノズル151、及び、左側頭マッサージノズル152から洗浄水を噴射し、頭頂部、及び、右側頭部に洗浄水を噴射する。ここで、噴射される洗浄水は温水とする。このように被洗髪者の頭頂部や、側頭部に対して、集中的に温水を噴射することにより、効果的にマッサージ効果を得ることができる。
なお、各ノズルからの洗浄水の噴射に際し、間欠的に洗浄水を噴射したり、また、噴射圧力の強弱を変更しつつ噴射したりしてもよい。これらの動作を実行することにより、より高いマッサージ効果を得ることが期待できる。
【0076】
次いで、制御部89は、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したか否かを監視しつつ(ステップSC13)、残り時間がなくなった(残り時間=0秒)か否かを監視する(ステップSC14)。
ステップSC13において、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生した場合(ステップSC13:YES)、制御部89は、ミスト行程を終了する(ステップSC11)。
一方、残り時間がなくなった場合(ステップSC14:YES)、制御部89は、インバーター64や、各バルブを制御して、マッサージ動作を停止し、さらに、ミスト発生装置制御部110と協働して、ミストの噴霧を停止し(ステップSC15)、これにより、ミスト行程の実行を終了する(ステップSC11)。
【0077】
このように、本実施形態では、残り時間が30秒に至った以後は、ミストの噴霧と、マッサージ動作に伴う各ノズルリンクからの洗浄水の噴射とが同時並行的に行われる。
この動作は、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ可能な動作である。そして、ミストの噴霧と、マッサージ動作に伴うノズルリンクからの洗浄水の噴射とを同時並行的に行った場合、ミストによるリラクゼーション効果、トリートメント効果、及び、マッサージ動作によるマッサージ効果とを被洗髪者に同時に与えることができ、これら効果の達成度を相乗的に高めることが可能となる。
また、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、頭部の毛穴が開く効果があることが知られているが、本実施形態では、ミストによる頭部の毛穴の開化と、マッサージ動作に伴う頭部への洗浄水の噴射とを、同時に行うことができ、よりマッサージ効果を高めることができる。
【0078】
また、スキャルプケアコースでは、後述するシャンプー行程より先に、ミスト行程が実行される。これにより、以下の効果を奏することができる。
すなわち、上述したように、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、頭部の毛穴が開く効果があることが知られている。そして、シャンプー行程より先にミスト行程を実行し、この行程において頭部の毛穴を開いておくことにより、以後行われるシャンプー行程において、シャンプー液を含む洗浄水の噴射による毛穴の皮脂汚れの洗浄力を向上できる。
さらに、ミストの噴射により、リラクゼーション効果を被洗髪者に与えることができるが、スキャルプケアコースの前半に、このリラクゼーション効果を被洗髪者に与えることにより、スキャルプケアコースの間中、被洗髪者をリラックスさせることができる。
【0079】
さて、前掲図9を参照し、ステップSB2のミスト行程が終了した後、制御部89は、慣らし行程を実行する(ステップSB3)。
この慣らし行程は、頭部に洗浄水が噴射されることについて被洗髪者に慣れてもらい、被洗髪者をリラックスさせることを目的とした動作行程である。
慣らし行程では、例えば、制御部89は、比較的弱い噴射圧力で洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を非常に緩やかな速度で移動させる。これにより、被洗髪者に対し、あたかも人手によってゆっくりと撫でられるかのような感覚を与え、被洗髪者に安心感を与えることができる。さらに、スキャルプケアコースが開始された直後の行程である慣らし行程で、このように緩やかな速度で各ノズルリンクを移動しつつ洗浄水を噴射させることにより、被洗髪者を驚かせることなく、機械で洗髪されているという感触を払拭し、高級感を出すことができる。また、例えば、制御部89は、首元用ノズルバルブ74などを制御して、被洗髪者の首元に対し首元用ノズルリンク80から洗浄水を噴射させる。ここで、噴射される洗浄水は温水とする。このように被洗髪者の首元に温水を噴射させることにより、首元の血流が良くなり、頭部全体の緊張がほぐれることとなり、マッサージ効果の向上を図ることができる。
【0080】
次いで、制御部89は、弱洗浄行程を実行する(ステップSB4)。
この弱洗浄行程は、次の動作行程である第1シャンプー行程の前に、シャンプー液やコンディショナー液を含まない洗浄水(以下、適宜「すすぎ水」と表現する)によって、髪に付着した汚れをある程度流すための動作行程である。
この弱洗浄行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力で洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にすすぎ水を噴射し、これにより、頭部に付着した汚れをある程度流す。
【0081】
次いで、制御部89は、第1シャンプー行程を実行する(ステップSB5)。
この第1シャンプー行程は、シャンプー液を含んだ洗浄水(以下、適宜「シャンプー洗浄水」と表現する)によって被洗髪者の髪を洗髪する行程である。制御部89は、シャンプー用ポンプ38を制御して、洗浄水にシャンプー液を混入してシャンプー洗浄水を生成する。
第1シャンプー行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力でシャンプー洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にシャンプー洗浄水を噴射し、これにより、頭部の全域にシャンプー洗浄水を行き渡らせ、頭部の全域を洗髪する。
上述したように、本実施形態では、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12は、同期しつつ速度を変えて移動をしたり、一定の範囲移動した後一時停止したり、所定の範囲を反復移動したりなど、複雑な移動が可能であるため、これを利用して、頭部の所定の部分に集中的にシャンプー洗浄水が噴射されるようにしたり、各ノズルリンクを所定の範囲内で往復移動させつつ、移動させたりすることにより、頭部の洗浄の効率化、及び、頭部の洗浄効果の増大、及び、マッサージ効果の向上を実現しつつ、頭部の洗髪を行うようにしてもよい。このことは、洗浄水の噴射を伴う他の動作行程についても、同様である。
【0082】
次いで、制御部89は、第1すすぎ行程を実行する(ステップSB6)。
この第1すすぎ行程は、第1シャンプー行程において頭部に噴射され、頭部及び髪に残留するシャンプー洗浄水をすすぎ落とすための動作行程である。
第1すすぎ行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力ですすぎ水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にすすぎ水を噴射し、これにより、頭部及び髪に残留するシャンプー洗浄水をすすぎ落とす。
【0083】
次いで、制御部89は、第2シャンプー行程を実行する(ステップSB7)。
この第2シャンプー行程は、第1シャンプー行程、及び、第2すすぎ行程を経て、ある程度きれいになった頭部に対し、再び、洗髪を実行することにより、より確実に頭部の洗髪を行うことを目的とする動作行程である。
第2シャンプー行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力でシャンプー洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にシャンプー洗浄水を噴射し、これにより、頭部の全域にシャンプー洗浄水を行き渡らせ、頭部の全域を洗髪する。
【0084】
次いで、制御部89は、仕上げすすぎ行程を実行する(ステップSB8)。
この仕上げすすぎ行程は、第2シャンプー行程において頭部に噴射され、頭部及び髪に残留するシャンプー洗浄水をすすぎ落とすための動作行程である。
仕上げすすぎ行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力ですすぎ水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にすすぎ水を噴射し、これにより、頭部及び髪に残留するシャンプー洗浄水をすすぎ落とす。
【0085】
次いで、制御部89は、マッサージ行程を実行する(ステップSB9)。
このマッサージ動作は、被洗髪者に、一定のマッサージ効果を与えることを目的として行われる動作である。例えば、制御部89は、各種のバルブ等を制御して、頭頂マッサージノズル150、右側頭マッサージノズル151、及び、左側頭マッサージノズル152から洗浄水を噴射し、頭頂部、及び、右側頭部に洗浄水を噴射する。ここで、噴射される洗浄水は温水とする。このように被洗髪者の頭頂部や、側頭部に対して、集中的に温水を噴射することにより、効果的にマッサージ効果を得ることができる。
なお、各ノズルからの洗浄水の噴射に際し、間欠的に洗浄水を噴射したり、また、噴射圧力の強弱を変更しつつ噴射したりしてもよい。これらの動作を実行することにより、より高いマッサージ効果を得ることが期待できる。
【0086】
次いで、制御部89は、ミスト発生装置制御部110と協働して、ミストの噴霧を開始する(ステップSB10)。
【0087】
次いで、制御部89は、コンディショニング行程を実行する(ステップSB11)。
このコンディショニング行程は、被洗髪者の頭部及び髪にコンディショナー液を含む洗浄水(以下、適宜「コンディショナー洗浄水」と表現する)を噴射し、いわゆるコンディショニングを行うための行程である。
コンディショニング行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力でコンディショナー洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にコンディショナー洗浄水を噴射し、これにより、頭部の全域にコンディショナー洗浄水を行き渡らせ、頭部の全域をコンディショニングする。
【0088】
なお、ステップSB10において、ミストの噴霧が開始されているため、このコンディショニング行程は、ミストの噴霧と同時並行的に実行される。
ここで、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、髪のキューティクルが開く効果があることが知られている。そして、本実施形態では、ミストの噴霧と、コンディショニング行程が同時並行的に実行されるため、ミストによるキューティクルの開化と、コンディショナー洗浄水の頭部への噴射とを、同時に行うことができ、コンディショニングによる効果を向上できる。
なお、本実施形態では、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ、ミストの噴霧と、コンディショニング行程とを同時並行的に実行可能である。
【0089】
次いで、制御部89は、最終すすぎ行程を実行する(ステップSB12)。
この最終すすぎ行程は、コンディショニング行程において頭部に噴射され、頭部及び髪に残留するコンディショナー洗浄水を軽くすすぎ落とすための動作行程である。
最終すすぎ行程では、例えば、制御部89は、比較的弱い噴射圧力ですすぎ水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を移動させることにより、頭部及び髪の全域にすすぎ水を噴射し、これにより、頭部や髪に残るコンディショナー洗浄水を軽くすすぎ落とす。
【0090】
なお、ステップSB10において、ミストの噴霧が開始されているため、この最終すすぎ行程は、ミストの噴霧と同時並行的に実行される。
ここで、上述したように、ミストを噴霧した場合、被洗髪者をリラックスさせることができるが、最終すすぎ行程中に、ミストの噴霧を実行することにより、被洗髪者をリラックスさせつつ、最終すすぎ行程を実行することができる。なお、本実施形態では、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ、ミストの噴霧と、最終すすぎ行程とを同時並行的に実行可能である。
【0091】
次いで、制御部89は、ミストの噴霧を停止し(ステップSB13)、スキャルプケアコースの実行を終了する(ステップSB14)。
【0092】
このように、スキャルプケアコースでは、動作行程の最後にもミストの噴射が行われる。これにより、以下の効果を奏することができる。
すなわち、ミストの噴射により、リラクゼーション効果を被洗髪者に与えることができるが、スキャルプケアコースの後半にミストを噴射することにより、スキャルプケアコースを終えた被洗髪者をリラックスさせることができると共に、疲労を緩和できる。
【0093】
次いで、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行時における自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作の詳細についてフローチャートを用いて説明する。
【0094】
図11は、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行時における自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作を示すフローチャートである。
図11を参照し、まず、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行が開始される(ステップSD1)。
ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行の開始は、ヘアケアスイッチ139が操作されることにより、実行すべき運転コースとしてヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIが選択され、かつ、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた上で、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたことをトリガーとして行われる。
なお、上述したように、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた場合、頭部により頭部切り欠き部8aが塞がれ、シンク2とカバー8とで囲まれた空間に略密閉された密閉空間8b(図4)が形成され、この密閉空間8bに頭部が延在した状態となる。
【0095】
次いで、制御部89は、慣らし行程(ステップSD2)、弱洗浄行程(ステップSD3)、第1シャンプー行程(ステップSD4)、第1すすぎ行程(ステップSD5)、第2シャンプー行程(ステップSD6)、及び、仕上げすすぎ行程(ステップSD7)の各動作行程を実行する。
次いで、制御部89は、マッサージ行程の各動作行程を実行すると共に(ステップSD81)、マッサージ行程の実行の途中から、ミスト発生装置制御部110と協働して、ミストの噴霧を開始する(ステップSD82)。
【0096】
次いで、制御部89は、選択された運転コースが、ヘアケアコースIであるか、ヘアケアコースIIであるかを判別する(ステップSD9)。
選択された運転コースが、ヘアケアコースIである場合(ステップSD9:ヘアケアコースI)、制御部89は、コンディショニング行程を実行し(ステップSD11)、処理手順をステップSD14へ移行する。
このように、ヘアケアコースIでは、ミストの噴霧と、コンディショニング行程とが同時並行的に行われる。ここで、上述したように、ここで、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、髪のキューティクルが開く効果があることが知られている。そして、ヘアケアコースIでは、ミストの噴霧と、コンディショニング行程が同時並行的に実行されるため、ミストによるキューティクルの開化と、コンディショナー洗浄水の頭部への噴射とを、同時に行うことができ、コンディショニングによる効果を向上できる。
【0097】
一方、選択された運転コースが、ヘアケアコースIIである場合(ステップSD9:ヘアケアコースII)、制御部89は、自動洗髪機1の動作を一時停止する(ステップSD12)。
そして、この一時停止中に、ユーザー(この場合におけるユーザーとは、被洗髪者に対して、頭部のトリートメント等の各種サービスを提供できる人間(美容師等)を指し、自動洗髪機1を動作させる人間と別人であってもよい)は、自身の手により、被洗髪者の頭部をトリートメントし、当該トリートメントの終了後、カバー8を閉じて、スタート/ストップ指示スイッチ145を操作する(ステップSD13)。
一時停止後に、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたことをトリガーとして、制御部89は、処理手順をステップSD14へ移行する。
【0098】
ステップSD14において、制御部89は、ミスト行程を実行する。なお、このステップSD14におけるミスト行程では、図10を参照し、制御部89は、残り時間が無くなった場合であっても(ステップSC14:YES)、ステップSC15においてミストの噴霧を停止することなく、ミストの噴霧を継続して実行する。
また、図10を用いて上述したように、ステップSD14におけるミスト行程の実行中、ミスト装置に何らかのエラーが発生し、ミストの供給ができないような状況に至ったときは、ミスト行程が省略されて、次の行程である最終すすぎ行程(ステップSD15)が実行される。
【0099】
このように、ヘアケアコースIでは、コンディショニング行程の後のミスト行程が実行され、また、ヘアケアコースIIでは、人手によるトリートメントの後にミスト行程が実行される。これにより、コンディショニング行程で噴射されたコンディショナーの成分や、トリートメントにおけるトリートメント液の成分が、ミスト行程におけるミストの噴霧によるキューティクルの開化に伴って、より髪へ浸透し、コンディショニングの効果、及び、トリートメントの効果がより向上する。
【0100】
次いで制御部89は、最終すすぎ行程を実行する(ステップSD15)
なお、ステップSD14において、ミストの噴霧が停止されていないため、この最終すすぎ行程は、ミストの噴霧と同時並行的に実行される。
ここで、上述したように、ミストを噴霧した場合、被洗髪者をリラックスさせることができるが、最終すすぎ行程中に、ミストの噴霧を実行することにより、被洗髪者をリラックスさせつつ、最終すすぎ行程を実行することができる。なお、本実施形態では、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ、ミストの噴霧と、最終すすぎ行程とを同時並行的に実行可能である。
【0101】
次いで、制御部89は、ミスト発生装置制御部110と協働して、ミストの噴霧を停止し(ステップSD16)、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行を終了する(ステップSD17)。
【0102】
このように、ヘアケアコースIIでは、ミストの噴霧の直後に、ユーザー(美容師等)の手技によるトリートメントを行い、当該トリートメントの直後にミストの噴霧を行う、といった動作が可能である。一方で、ユーザー(美容師等)が、人手によってこのような動作を行うことは、困難であった。
このようにミストの噴霧と、他の動作とを連続して行うことができるのは、ミスト発生装置に接続された自動洗髪機1において、制御部89とミスト発生装置制御部110が協働してミストの噴霧を含む各種動作を実行するからこそ可能である。このことは、他の運転コースについても同様である。
【0103】
以上説明したように、本実施形態に係る自動洗髪機1は、シンク2に被洗髪者の頭部を収めたときに、シンク2内に密閉空間8bが形成され、かつ、この密閉空間8bに頭部が延在する構成となっている。そして、自動洗髪機1では、密閉空間8b内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部(本実施形態では、上述したように、制御部89や、駆動モーター103、各ノズルリンク等が協働して噴射部として機能する)と、密閉空間8b内にミストを噴霧するミスト噴霧部(本実施形態では、上述したように、ミスト発生装置90と、ミスト吐出口102と、ミスト搬送管91とが協働して、ミスト噴霧部として機能する)と、を設けられている。
これにより、密閉空間8b内で頭部に対して洗浄水を噴射することにより、頭部の洗浄を自動で行う、という自動洗髪機1の特定を利用して、効果的なミストの噴霧が可能となる。すなわち、自動洗髪機1では、各ノズルリンクから洗浄水を噴射して、被洗髪者の頭部を洗髪する、という性質上、シンク2に密閉空間8bを形成し、この密閉空間8bに被洗髪者の頭部を延在させた上で、密閉空間8b内において各ノズルリンクから洗浄水を噴射して頭部を洗髪している。そして、本実施形態では、この密閉空間8bを利用して、密閉空間8b内にミストを充満させることにより、被洗髪者の頭部に対してミストを噴霧しているため、密閉空間8bを利用して、好適に、ミストの噴霧を実現でき、かつ、被洗髪者の頭部に対して確実にミストを接触させることができる。
【0104】
また、本実施形態では、制御部89は、洗浄水の噴射と、ミストの噴霧とが連動して実行されるよう自動洗髪機1の各部を制御する。
これにより、例えば、洗浄水の噴射後にミストを噴霧したり、また、ミストを噴霧した後に洗浄水を噴射したり、といったことができ、洗浄水の噴射のタイミングとの関係で、よりミストの噴霧による効果を発揮できるようなタイミングでミストの噴霧を実行することができる。
【0105】
また、本実施形態では、制御部89は、洗浄水の頭部への噴射と、ミストの噴霧と、を同時に実行する。
より具体的には、図10を参照し、ミスト行程では、ミストの噴霧と、マッサージ動作に伴う各ノズルリンクからの洗浄水の噴射とが同時並行的に行われる。
また、図9を参照し、スキャルプケアコースでは、ミストの噴霧と、コンディショニング行程、及び、最終すすぎ行程とが同時並行的に実行される。
また、図11を参照し、ヘアケアコースIでは、ミストの噴霧と、コンディショニング行程、及び、最終すすぎ行程とが同時並行的に実行され、ヘアケアコースIIでは、ミストの噴霧と、ユーザーの手による被洗髪者へのトリートメント、及び、最終すすぎ行程とが同時並行的に実行される。
洗浄水の頭部への噴射と、ミストの噴霧との同時並行的な実行は、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ可能な動作である。
そして、ミストの噴霧と、洗浄水の噴射とを同時並行的に行った場合、上述したように、ミストによるリラクゼーション効果、トリートメント効果、及び、ミストによる毛穴の開化を利用して、効果的に、リラクゼーション効果や、トリートメント効果、洗浄効果、マッサージ効果等を被洗髪者に与えることができる。
【0106】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1は、洗浄水の噴射を伴う動作行程(例えば、第1シャンプー行程や、第1すすぎ行程、コンディショニング行程等)、及び、ミストの噴霧を伴うミスト行程、を少なくとも含む複数の行程が所定の順序で並べられた運転コース(スキャルプケアコースや、ヘアケアコースI、ヘアケアコースII)を実行することを指示する操作パネル60(指示部)を備えている。そして、制御部89は、いずれかの運転コースの実行が指示された場合、当該運転コースにおける各行程の順序に応じた所定のタイミングで、洗浄水の噴射と、ミストの噴霧とが実行されるように、自動洗髪機1の各部を制御する。
これによれば、運転コースを実行することにより、被洗髪者に対してミストの噴霧によるリラクゼーション効果や、マッサージ効果を与えつつ、洗浄水の噴射により被洗髪者の頭部を洗浄することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1は、シャンプー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成されている。そして、スキャルプケアコースでは、シャンプー液が混入した洗浄水の噴射を伴うシャンプー行程よりもミストの噴霧を伴うミスト行程が先になるように各行程の順序が設定されている。
これによれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、上述したように、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、頭部の毛穴が開く効果があることが知られている。そして、シャンプー行程より先にミスト行程を実行し、この行程において頭部の毛穴を開いておくことにより、以後行われるシャンプー行程において、シャンプー液を含む洗浄水の噴射による毛穴の皮脂汚れの洗浄力を向上できる。
【0108】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1は、コンディショナー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成されている。そして、スキャルプケアコースや、ヘアケアコースI、ヘアケアコースIIでは、コンディショナー液が混入した洗浄水の噴射を伴うコンディショニング行程の実行中にミストの噴霧を実行する。
これによれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、髪のキューティクルが開く効果があることが知られている。そして、ミストの噴霧と、コンディショニング行程とを同時並行的に実行することにより、ミストによるキューティクルの開化と、コンディショナー洗浄水の頭部への噴射とを、同時に行うこととなり、コンディショニングによる効果を向上できる。
さらに、ヘアケアコースIでは、コンディショニング行程の後のミスト行程が実行され、また、ヘアケアコースIIでは、人手によるトリートメントの後にミスト行程が実行される。これにより、コンディショニング行程で噴射されたコンディショナーの成分や、トリートメントにおけるトリートメント液の成分が、ミスト行程におけるミストの噴霧によるキューティクルの開化に伴って、より髪へ浸透し、コンディショニングの効果、及び、トリートメントの効果がより向上する。
【0109】
制御部89は、ミスト発生装置90を制御するミスト発生装置制御部110と通信可能に接続され、このミスト発生装置制御部110と連係して、洗浄水の噴射と、ミストの噴霧とが連動して実行されるよう、自動洗髪機1の各部、及び、ミスト発生装置90の各部を制御する。
これにより、自動洗髪機1と、ミスト発生装置90とが別体であっても、円滑、かつ、確実に、洗浄水の噴射と、ミストの噴霧とを連動させて実行することが可能となる。
【0110】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、自動洗髪機1は、上ノズルリンク11と下ノズルリンク12を備え、これらが協働する構成であったが、ノズルリンクの数や、形状は実施形態の例に限定されない。すなわち、シンク2を有する自動洗髪機1に広く本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 自動洗髪機
2 シンク
8b 密閉空間
11 上ノズルリンク(噴射部)
12 下ノズルリンク(噴射部)
60 操作パネル
89 制御部(噴射部)
90 ミスト発生装置(ミスト噴霧部)
91 ミスト搬送管(ミスト噴霧部)
102 ミスト吐出口(ミスト噴霧部)
103 駆動モーター(噴射部)
110 ミスト発生装置制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗髪者の頭部を自動で洗髪可能な洗髪機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、被洗髪者の頭部を収めるシンクの内側に、頭部に向けて洗浄水を噴射するノズルリンクを備え、このノズルリンクによって被洗髪者の頭部や髪に洗浄水を噴射することにより自動で洗髪を行えるようにした洗髪機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−236511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、美容室等において、トリートメント効果や、リラクゼーション効果を得るべく、被洗髪者の頭部にミストを噴霧することが行われている。これを踏まえ、上述したように被洗髪者の頭部を自動で洗髪する洗髪機では、頭部を自動で洗髪可能である、という特性を活かして、効果的にミストを噴霧したいとするニーズがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、頭部を自動で洗髪するという特性を活かして、効果的にミストを噴霧可能な洗髪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、被洗髪者の頭部を収めるシンクを備える洗髪機において、前記シンクに被洗髪者の頭部を収めたときに、前記シンク内に密閉空間が形成され、かつ、この密閉空間に頭部が延在する構成とし、前記密閉空間内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部と、前記密閉空間内にミストを噴霧するミスト噴霧部と、を設けたことを特徴とする。
なお、密閉空間とは、完全に密閉された空間を示すのではなく、噴射部から噴射された洗浄水が、密閉空間から外部へ漏洩しない程度の水密性が維持された空間のことを示す。
【0006】
また、本発明は、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが連動して実行されるよう、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記制御部は、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御して、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧と、を同時に実行することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記噴射部による洗浄水の噴射を伴う洗浄行程、及び、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧を伴うミスト行程、を少なくとも含む複数の行程が所定の順序で並べられたコースを実行することを指示する指示部を備え、前記制御部は、前記コースの実行が指示された場合、前記コースにおける各行程の順序に応じた所定のタイミングで、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが実行されるように、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記噴射部は、シャンプー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成され、前記コースでは、シャンプー液が混入した洗浄水の噴射を伴うシャンプー行程よりも前記ミスト行程が先になるように各行程の順序が設定されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記噴射部は、コンディショナー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成され、前記コースでは、コンディショナー液が混入した洗浄水の噴射を伴うコンディショニング行程よりも前記ミスト行程が後になるように各行程の順序が設定され、又は、前記コンディショニング行程の実行中に前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧を実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記ミスト噴霧部は、ミストを発生するミスト発生装置と、前記シンクに形成されたミスト吐出口と、前記ミスト発生装置と前記ミスト吐出口とを接続するミスト搬送管と、を備え、前記制御部は、前記ミスト発生装置を制御するミスト発生装置制御部と通信可能に接続され、このミスト発生装置制御部と連係して、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが連動して実行されるよう、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、頭部を自動で洗髪するという特性を活かして、効果的なミストの噴霧が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】自動洗髪機の斜視図である。
【図2】自動洗髪機を上から見た図である。
【図3】自動洗髪機を横から見た図である。
【図4】自動洗髪機の概略断面図である。
【図5】自動洗髪機の水の流れを概略的に示す水路図である。
【図6】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】操作パネルを示す図である。
【図8】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の動作、特に、運転コースが選択されて、選択された運転コースが実行されるまでの動作を示すフローチャートである。
【図9】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の動作、特に、スキャルプケアコースの実行時における動作を示すフローチャートである。
【図10】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の動作、特に、ミスト行程の実行時における動作を示すフローチャートである。
【図11】自動洗髪機、及び、ミスト発生装置の動作、特に、ヘアケアコースI又はヘアケアコースIIの実行時における動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は自動洗髪機1の斜視図であり、図2は自動洗髪機1を上から見た図である。図3は、シンク保持台3の外枠を取り外した上で自動洗髪機1を横から見た図である。図4(A)は自動洗髪機1の概略断面図であり、(B)は要部拡大図である。図5は自動洗髪機1の水の流れを概略的に示す水路図である。
本実施形態では、自動洗髪機1に、ミスト発生装置90(後述)が接続されており、これら自動洗髪機1と、ミスト発生装置90とが協働して洗髪機として機能する。
【0015】
図1〜図5に示すように、自動洗髪機1は、被洗髪者の頭部を収容するためのシンク2と、シンク2を保持するシンク保持台3と、シンク保持台3の前方に配置され、被洗髪者が座るための椅子4(図4)と、椅子4を保持する椅子保持台5(図4)とを備えている。
【0016】
シンク2は、図1〜図4に示すように、その上面に開口を有する碗状の部材である。シンク2の前側には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元を、シンク2の内側に臨ませた状態にして、被洗髪者の後頭部を支える頭部支持ネット70が配置されている。また、シンク2の前側の壁部2Aには、椅子4に座った状態で被洗髪者が仰向けで、頭部支持ネット70に後頭部を載せた状態で、首を載せることができるネック台7が配置されている。シンク2の上面の開口は、カバー8により覆うことができる。カバー8は、その後端が連結部9(図4)を介してシンク2の後端に連結されていて、連結部9を中心にして鉛直面内で回動可能となっている。洗髪時などには、カバー8を開いた状態で、椅子4に座っている被洗髪者の首をネック台7に載せた後、カバー8を閉じることにより、被洗髪者に頭部をシンク2内に収容することができる。
【0017】
図1、及び、図2に示すように、カバー8には、被洗髪者の頭部に対応して、頭部切り欠き部8aが形成されている。
図4に示すように、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた場合、頭部により頭部切り欠き部8aが塞がれ、シンク2とカバー8とで囲まれた空間に略密閉された密閉空間8b(図4)が形成され、この密閉空間8bに頭部が延在した状態となる。なお、密閉空間8bとは、完全に密閉された空間を示すのではなく、密閉空間8b内に設けられた各ノズルリンク(後述)から噴射された洗浄水が、密閉空間8bから外部へ漏洩しない程度の水密性が維持された空間のことを示す。
自動洗髪時には、密閉空間8bに設けられた各ノズルリンク(後述)から頭部に対して洗浄水が噴射されて、頭部の洗髪が行われる。その際、密閉空間8bに頭部が延在した構成であるため、各ノズルリンクから噴射された洗浄水が密閉空間8bの外部へ漏洩することを防ぎつつ、円滑な自動洗髪を実行できる。そして、本実施形態では、詳細は後述するが、密閉空間8bを利用して、好適に、被洗髪者の頭部に対して、ミストを噴霧可能な構成となっている。
なお、図示は省略したが、カバー8の頭部切り欠き部8aには、頭部切り欠き部8aと頭部との間に介在する隙間を塞ぐためのフェイスシールが設けられており、このフェイスシールにより、密閉空間8bの密閉性(水密性)がより高められている。
【0018】
シンク2内には、被洗髪者の頭部および髪に向けて洗浄水(温水、シャンプー液が混入された温水、コンディショナー液が混入された温水など)を噴射するための上ノズルリンク11及び下ノズルリンク12が配置されている。上ノズルリンク11は、被洗髪者の頭部に沿うように、図示位置で上に凸の略円弧状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が回動可能に片持ち支持されており、被洗髪者の頭部に向かって洗浄水を噴射する。
下ノズルリンク12は、被洗髪者の髪を囲うように、図示位置で左方に凸の略弓形状に湾曲し、所定間隔でノズルを有する管状の部材であって、その左端部が上ノズルリンク11よりも下方で回転可能に片持ち支持されている。この下ノズルリンク12は、後方に向かって洗浄水を噴射することにより、後方側に垂れ下がった被洗髪者の髪を洗浄する。
また、シンク2内には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンク80が配置されている。
【0019】
上ノズルリンク11、下ノズルリンク12、および首元用ノズルリンク80には、それぞれ複数のノズルが備えられていて、洗髪時には、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12、および首元用ノズルリンク80内に送られてきた洗浄水が各ノズルから噴射される。上ノズルリンク11、下ノズルリンク12は回動し、首元用ノズルリンク80は固定である。各ノズルから洗浄水を噴射することで、被洗髪者の頭部および髪の全体を洗浄できる。シンク2内の後側上部には、ハンドシャワー13が配置されている。ユーザー(美容院の従業員など)は、ハンドシャワー13の右方に配置されたコック14を回すことにより、ハンドシャワー13から放水する水量を調節して、手動で洗髪できる。
【0020】
図1を参照して、シンク2の後部側面100には、頭頂マッサージノズル150が設けられている。この頭頂マッサージノズル150は、頭部のマッサージを目的として、頭部支持ネット70に支持された頭部の頭頂部に対して、洗浄水を噴射するためのノズルである。
また、図1を参照して、シンク2の右側面100aには、右側頭マッサージノズル151が設けられ、シンク2の左側面100bには、左側頭マッサージノズル152が設けられている。これら側頭マッサージノズルは、頭部のマッサージを目的として、頭部支持ネット70に支持された頭部の側頭部に対して、洗浄水を噴射するためのノズルである。
頭頂マッサージノズル150や、右側頭マッサージノズル151、左側頭マッサージノズル152からは、後述するマッサージ行程や、マッサージ動作の実行時に、洗浄水が噴射され、被洗髪者の頭部がマッサージされる。
【0021】
自動洗髪機1で使用する水は、図5に示すように、機外の水道設備および給湯設備(図示せず)からミキシングバルブ15および給水管16を介して機内に供給される。ミキシングバルブ15には、水道設備から水供給部17を介して水が与えられるとともに、給湯設備から湯供給部18を介して湯が与えられる。ミキシングバルブ15は、水供給部17および湯供給部18から与えられる水および湯を混合し、温水にして給水管16に送り出すためのものである。給水管16内の途中部には、ミキシングバルブ15から送り出される温水の温度を検知するための第1サーミスター19が配置されている。第1サーミスター19の検知結果に基づいてモーター20が駆動されることにより、ミキシングバルブ15が開閉されて水と湯との混合割合が調整され、設定温度の温水が生成される。ミキシングバルブ15は、モーター20で調整される電動タイプである。モーター20は、DCモーターまたは直流電動機であり、ブラシなどを備えている。
【0022】
また、シンク2の側方には、操作パネル60(図4、図6)が設けられており、たとえば、貯湯タンク25(後述)に貯留される温水の設定温度等は、ユーザーが操作パネル60を操作することにより決定される。給水管16は、途中部(第1サーミスター19よりも下流側)からハンドシャワー用給水管21と貯湯用給水管22とに分岐している。ハンドシャワー用給水管21は、コック14によって開閉可能なハンドシャワー用バルブ23を介してハンドシャワー13に連通している。一方、貯湯用給水管22は、給湯バルブとしての貯湯バルブ24を介して貯湯タンク25内に温水を供給することができる。
【0023】
貯湯タンク25の内部には、当該貯湯タンク25に貯められている温水の水位を検知するための第1水位センサー26および第2水位センサー27が、上下方向に一定間隔を空けて配置されている。貯湯タンク25内の温水が使用されて、所定の水位に達したことが第2水位センサー27により検知された場合には、貯湯バルブ24が開かれて、貯湯タンク25内に温水が供給される。その後、貯湯タンク25内の温水が所定の最高水位に達したことが第1水位センサー26により検知されると、貯湯バルブ24が閉じられて、温水の供給が停止する。このようにして、貯湯タンク25内には、所定の水位以上に常に温水が貯められた状態となっている。
【0024】
貯湯タンク25の上部(第1水位センサー26よりも上方)には、第1水位センサー26の故障などに起因して貯湯タンク25内に最高水位以上の温水が供給された場合に、その余分な温水を貯湯タンク25の外部に溢れ出させるための溢水口28が形成されている。溢水口28から溢れ出した温水は、オーバーフロータンク29によって受けられ、このオーバーフロータンク29に連通する排水管30を通って機外に排出される。オーバーフロータンク29内にはオーバーフローセンサー31が配置され、たとえば排水管30が詰まってオーバーフロータンク29内の水位が最高水位に到達したことがオーバーフローセンサー31によって検知された場合には、自動洗髪機1の運転が停止される。
【0025】
貯湯タンク25の最下部には、一端がメインポンプ32に接続された吸込管33の他端が接続されている。メインポンプ32は、インバーター64(図6)から交流電流が供給されることにより駆動され、吸込管33を介して貯湯タンク25内の温水を吸い込むものである。吸込管33の途中には、シャンプー液が収容されたシャンプー容器34に至るシャンプー供給管35と、コンディショナー液が収容されたコンディショナー容器36に至るコンディショナー供給管37とが接続されている。シャンプー供給管35およびコンディショナー供給管37の途中部には、それぞれシャンプー用ポンプ38およびコンディショナー用ポンプ39が備えられていて、シャンプー用ポンプ38およびコンディショナー用ポンプ39の働きにより、吸込管33内を通る温水に、シャンプー液およびコンディショナー液の混入量を適度に調整することにより、メインポンプ32には、そのとき使用すべき洗浄水が汲み込まれることとなる。
なお、図5における図示は省略したが、シャンプー液やコンディショナー液等の薬剤を収容する容器は、シャンプー容器34、コンディショナー容器36の他にも複数も受けられており、複数の容器のそれぞれに、薬液が流通する供給管が接続されると共に、供給管のそれぞれに、容器に収容された薬液を、供給管を介して、吸込管33に供給するためのポンプが設けられている。
【0026】
吸込管33からメインポンプ32内に吸い込まれた洗浄水は、6つの分路を有する送水管40に送り出される。送水管40内には、フィルター41が設けられていて、その下流側の6つの分路には、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44、頭頂バルブ155、及び、側頭バルブ156の6つのバルブが設けられている。上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44、頭頂バルブ155、及び、側頭バルブ156が設けられた6つの分路には、それぞれ、分岐路46、47、75、48、158、159が延設されている。上ノズルバルブ42から延設された分岐路46の終端は上ノズルリンク11に接続され、下ノズルバルブ43から延設された分岐路47の終端は下ノズルリンク12に接続され、首元用ノズルバルブ74から延設された分岐路75の終端は首元用ノズルリンク80に接続されている。
頭頂バルブ155から延設された分岐路158の終端は、頭頂マッサージノズル150に接続され、また、側頭バルブ156から延設された分岐路159の終端は、途中で分岐し、右側頭マッサージノズル151、及び、左側頭マッサージノズル152のそれぞれに接続される。
【0027】
シンク2の底面には、当該シンク2内に水を排出するための排水口50が形成されていて、この排水口50は、下水の臭気の逆流を防止するためのシンク側排水トラップ51を介して排水管30に連通している。これにより、シンク2の排水口50から排出された水は、排水管30を通って、機外に排水されるようになっている。排水バルブ44から延設された分岐路48の終端は、シンク側排水トラップ51に接続されている。
【0028】
ここで、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、共に片持ち支持した状態で、同期して反復移動可能に構成されている。
具体的には、図4(B)を参照して、上ノズルリンク11は、回転軸Aを中心に矢印C方向に回転を開始し、図4(B)に示す頭頂位置T1から回転して、後頭位置T2に至り、そこから矢印E方向に逆回転して頭頂位置T1に戻るという反復移動が可能である。ここで、上ノズルリンク11が頭頂位置T1にある場合、上ノズルリンク11に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y1方向に洗浄水が噴射され、これにより、被洗髪者の頭頂部付近に洗浄水が噴射されることとなる。また、上ノズルリンク11が後頭位置T2にある場合、上ノズルリンク11に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y2方向に洗浄水が噴射され、これにより、被洗髪者の後頭部付近に洗浄水が噴射されることとなる。
【0029】
一方、下ノズルリンク12は、回転軸Bを中心に矢印D方向に回転を開始し、図4(B)に示す髪位置T3から回転して、首元位置T4に至り、そこから矢印F方向に逆回転して髪位置T3に戻るという反復移動が可能である。ここで、下ノズルリンク12が髪位置T3にある場合、下ノズルリンク12に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y3方向に洗浄水が噴射され、被洗髪者の垂れ下がった髪に洗浄水が噴射されることとなる。また、下ノズルリンク12が首元位置T4にある場合、下ノズルリンク12に形成された各ノズルのそれぞれから矢印Y4方向に洗浄水が噴射され、被洗髪者の首元付近に洗浄水が噴射されることとなる。
【0030】
本実施形態では、図示せぬ駆動機構により、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、以下のように同期して同じ方向に移動する。
すなわち、図4(B)を参照して、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置している場合、下ノズルリンク12が髪位置T3に位置する構成となっている。そして、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に位置し、下ノズルリンク12が髪位置T3に位置しているものとして、上ノズルリンク11が矢印C方向に回転を開始すると、下ノズルリンク12も同期して矢印D方向に回転を開始し、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至ったときに略同時に下ノズルリンク12が首元位置T4に至る。さらに、上ノズルリンク11が後頭位置T2に至り、下ノズルリンク12が首元位置T4に至った後は、これらノズルリンクのそれぞれは反転して移動する。すなわち、上ノズルリンク11が後頭位置T2に、下ノズルリンク12が首元位置T4にあるとして、上ノズルリンク11が矢印Cと逆方向に回転を開始すると、下ノズルリンク12も同期して矢印Dと逆方向に回転を開始し、上ノズルリンク11が頭頂位置T1に至ったときに同時に下ノズルリンク12が髪位置T3に至る。
【0031】
ここで、例えば、上ノズルリンク11が洗浄水を噴射しつつ髪の生える向きと同じ方向へ移動する一方、下ノズルリンク12が洗浄水を噴射しつつ髪の生える向きと逆方向へ移動する等、髪の生える向きに対する上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれの移動方向が異なる場合、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれが、髪の生える向きに対してそれぞれ異なる方向から被洗髪者の頭部および髪に対して洗浄水を噴射することになり、髪がからまるという事態が生じることがある。
しかしながら、上述したように、上ノズルリンク11と、下ノズルリンク12とが同期して同じ方向に動くよう構成されているため、髪の生える向きに対する上ノズルリンク11および下ノズルリンク12のそれぞれの移動方向が常に一致し、髪がからまるという事態が発生することを防止することができる。
なお、本実施形態では、制御部89の制御の下、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、同期しつつ速度を変えて移動をしたり、一定の範囲移動した後一時停止したり、所定の範囲を反復移動したりなど、複雑な移動が可能である。
【0032】
図3、図4、及び、図5を参照し、本実施形態に係る自動洗髪機1は、ミスト発生装置90が接続されている。
図5に示すように、ミスト発生装置90は、ミストを発生し、シンク2内へ供給する装置であり、ミストの発生に供する温水を貯留するためのミスト用タンク90aと、このミスト用タンク90aから供給された温水からミストを生成するミスト発生部90bと、を備えている。
ミスト用タンク90aには、ミスト用タンク90aに貯留された温水を加熱するためのヒーター90cと、ミスト用タンク90aに貯留された温水の温度を検出するためのミスト用サーミスター90dと、が設けられている。
また、ミスト発生部90bには、超音波によってミスト用タンク90aから供給された温水を振動させることにより、温水を霧状にしてミストを発生させる超音波発生装置90fと、この超音波発生装置90fの働きにより発生したミストをミスト搬送管91へと送り出すためのファン90gと、を備えている。
【0033】
ミスト搬送管91は、一端が、ミスト発生装置90に接続されると共に、他端が、シンク接続部94(図3〜図5)を介してシンク2に接続されており、ミスト発生装置90において発生したミストは、このミスト搬送管91を通って、シンク2内へ供給される。
図1、図2、及び、図4に示すように、シンク2の後部側面100に、筒状のミスト吐出管101が、シンク2の内側へ向かって突出した状態で設けられ、このミスト吐出管101の端部の開口には、ミスト吐出口102が形成されている。このミスト吐出管101は、ミスト搬送管91に接続されており、ミスト発生装置90から供給されたミストは、ミスト搬送管91、及び、このミスト吐出管101を介してミスト吐出口102からシンク2の内部へ供給される。
本実施形態では、ミスト発生装置90と、ミスト吐出口102と、ミスト搬送管91とが協働して、密閉空間8b内にミストを噴霧するミスト噴霧部として機能する。
【0034】
図3〜図5に示すように、ミスト搬送管91上には、排水トラップ92が設けられている。
以下、排水トラップ92の機能と共に、ミスト搬送管91におけるミストの流れ、及び、シンク2からミスト搬送管91に流入した逆流水(後述)の流れについて説明する。
【0035】
ミスト搬送管91は、ミスト発生装置90が発生したミストをシンク2内へ供給するための配管であるため、シンク2内で洗浄に供した洗浄水等が、ミスト搬送管91に流入する場合がある。なお、以下の説明では、シンク2からミスト搬送管91に流入した洗浄水等の液体を便宜的に「逆流水」という。本実施形態では、後述する理由により、逆流水がミスト搬送管91に少なからず流入することが想定されている。
そして、逆流水がミスト搬送管91を介してミスト発生装置90本体に流入した場合、ミスト発生装置90の故障の原因となると共に、シンク2への円滑なミストの供給が阻害される原因となる。
これを踏まえ、本実施形態では、ミスト搬送管91に、下方へ向かって延びる排水トラップ入口管93が接続されている。そして、ミスト搬送管91と排水トラップ入口管93との接続部95は、シンク接続部94よりも下方に設けられ、シンク2からミスト搬送管91に流入した逆流水は、ミスト搬送管91の傾斜に従って接続部95へ向かって流れ、この接続部95において排水トラップ入口管93に流入する構成となっており、これにより、逆流水がミスト発生装置90へ至らない構成となっている。
【0036】
このように、ミスト搬送管91上に、排水トラップ入口管93を設けることにより、ミスト発生装置90に流入した逆流水がミスト発生装置90へ流入しない構成としたため、ミスト発生装置90からシンク2へ供給されるミストが、排水トラップ入口管93へ流入してしまい、円滑なミストの供給が妨げられる可能性がある。
これを踏まえ、本実施形態では、排水トラップ入口管93の下部に、いわゆるS字トラップからなる排水トラップ92が設けられている。そして、排水トラップ92には、下方へ向かってU字状に屈曲して形成された液体貯留部96が形成されており、この液体貯留部96に、排水トラップ入口管93を介して逆流水が供給され、所定の水位で絶えず液体が貯留される仕組みとなっている。この排水トラップ92の液体貯留部96において貯留された液体が栓としての役割を果たし、ミスト発生装置90からシンク2へ供給されるミストが、排水トラップ入口管93に流入することが防止され、これにより、円滑なミストの供給が妨げられることが防止されている。
【0037】
なお、ミスト搬送管91は、シンク2に供給されるミストが通る配管であるため、ミストの流通に起因して、内部にドレン水が発生するが、このミスト搬送管91の内部に発生したドレン水も、ミスト搬送管91に流入した逆流水と同様、排水トラップ入口管93を介して、排水トラップ92に供給され、これにより、ドレン水がミスト発生装置90へ流入することが防止されている。
さらに、ミスト発生装置90によるミストの発生に伴って、ミスト発生装置90の内部で発生したドレン水は、ミスト発生装置90に接続されたドレン水排出管97からミスト発生装置90の外部へ排出される構成とされ、かつ、このドレン水排出管97の他端が、排水トラップ入口管93に接続された構成とされている。これにより、ミスト発生装置90から排出されたドレン水は、適宜、排水トラップ92へ供給され、より確実に排水トラップ92における液体の貯留が行われている。
このように、本実施形態では、ドレン水を排出する専用の経路や、この経路上に設けられた電磁弁、電磁弁の制御に供する機器等を設けることなく、ドレン水の処理が可能であるため、製造コストを低減でき、かつ製造容易性を向上できる。
【0038】
排水トラップ92の出口側には、排水トラップ出口管98が接続されている。
図3〜図5に示すように、排水トラップ出口管98の他端は、上述した排水管30に接続されており、排水トラップ92の液体貯留部96において、所定の水位を超え、排水トラップ出口管98へ流入した液体は、排水トラップ出口管98を介して、排水管30へ流出し、排水管30を介して機外に排出される。つまり、ミスト搬送管91に流入した逆流水や、ミスト発生装置90によるミストの発生に伴って生じたドレン水は、既存の排水管30を介して機外へ排出される。このように、シンク2の排水管30という既存の設備を利用して、逆流水やドレン水を機外へ排出する構成としたため、新たに機外へ液体を排出する機構を設けた場合と比較して、コストの削減、及び、製造容易性の向上を図ることができる。
【0039】
ここで、本実施形態では、ミスト吐出口102は、シンク2の内側に向かって露出した状態であり、ミスト吐出口102に逆流水が流入することを防止するべく傘部を設ける等していない。これは、以下の理由による。
【0040】
すなわち、本実施形態において、ミストは、シンク2内で所定の薬用成分を含んだミストを被洗髪者の頭部に接触させることによりトリートメント効果を与え、また、香りが良く暖かいミストを頭部に接触させることにより、リラクゼーション効果を与えることを目的として、シンク2内に供給される。従って、ミストが、ある程度の暖かさを維持しつつ、ミスト吐出口102から被洗髪者の頭部に直接吹き付けられた場合に、上述した効果を最大限に奏することができると考えられる。
そして、ミスト吐出口102に対応する位置に、傘部を設けた場合、ミスト吐出口102に逆流水が流入することは防止できるものの、傘部により、ミスト吐出口102から被洗髪者の頭部に対し直接ミストが噴射されることが妨げられると共に、ミストが傘部を迂回した上で被洗髪者の頭部に吹き付けられることとなり、この迂回に起因して、ミストの温度が低下する可能性があった。
以上のことを考慮して、本実施形態では、ミスト吐出口102がシンク2内で露出した状態とされ、シンク2に収めた頭部に対してミスト吐出口102から直接ミストが噴射可能な構成となっており、これにより、トリートメント効果やリラクゼーション効果等を効果的に生じさせている。
なお、ミスト吐出口102に対応する位置に傘部を設けなかった場合、ミスト吐出口102に逆流水が多分に流入することとなるが、上述した、排水トラップ92等の機能により、ミスト発生装置90に逆流水が流入することが確実に防止されると共に、円滑なミストの供給が阻害されることが防止されている。
【0041】
さらに、本実施形態では、「筒状」のミスト吐出管101からミストが噴射される構成となっている。従って、ミストは、ある程度の指向性を持って、頭部に対して噴射されることとなり、上述したトリートメント効果や、リラクゼーション効果をさらに生じさせることができる。
特に、図1、図2に示すように、ミスト吐出口102は、シンク2の後部側面100の中央下部に設けられており、空気中で上昇する性質を有する霧状のミストを好適に仰向け姿勢の被洗髪者の頭部の全域に行き渡らせることができる。すなわち、シンク2の後部側面100の中央下部に設けられたミスト吐出口102から、仰向け姿勢の被洗髪者の後頭部付近にミストが噴射されると、ミストが上昇しつつ、頭部の形状に沿って頭部の全域に行き渡る。
また、本実施形態では、上述したように、自動洗髪中は、シンク2内において、頭部支持ネット70に被洗髪者の後頭部が支持された状態(図2、図4も併せて参照)となるが、この場合、頭部支持ネット70から髪が鉛直下方へ垂れ下がることとなる。これを踏まえ、シンク2の後部側面100の中央下部にミスト吐出口102が設けられているため、鉛直下方に垂れ下がる髪の側方からミストを噴射でき、垂れ下がる髪を含めた髪の全域へ好適にミストを行き渡らせることができる。
【0042】
図6は、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の機能的構成を示すブロック図である。
図6に示すように、自動洗髪機1は、制御部89を備えている。
制御部89は、自動洗髪機1の各部を中枢的に制御するものであり、CPUやROM、RAM、その他周辺回路を備えている。制御部89は、図示せぬ発振器が生成した基準クロックに基づいて各種の計時動作を実行可能である。
制御部89には、第1水位センサー26、第2水位センサー27、オーバーフローセンサー31、第1サーミスター19から各種検出信号が入力され、また、各種指示を行うための操作パネル60から指示に応じた操作信号が入力されるようになっている。
また、制御部89には、モーター20、貯湯バルブ24、シャンプー用ポンプ38、コンディショナー用ポンプ39、インバーター64、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、排水バルブ44、首元用ノズルバルブ74などが制御対象として接続されている。
モーター20には、ミキシングバルブ15が接続されていて、制御部89は、モーター20を駆動制御してミキシングバルブ15を開閉させることにより、給水管16へと送られる温水の温度を調節することができる。
【0043】
また、制御部89には、メインポンプ32に交流電流を供給することにより、メインポンプ32から吐出される洗浄水の吐出圧力を制御するインバーター64が接続されている。図5に示すように、メインポンプ32から吐出された洗浄水は、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、及び、首元用ノズルバルブ74を介して、上ノズルリンク11、下ノズルリンク12、及び、首元用ノズルリンク80に形成されたノズルから噴射される。従って、制御部89は、インバーター64を制御することにより、各ノズルリンクのノズルから噴射される洗浄水の噴射圧力を制御することができる。
【0044】
また、制御部89には、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きを制御する駆動モーター103が接続されている。駆動モーター103は、ステッピングモーターによって構成され、制御部89から入力された駆動信号に基づいて、図示せぬ駆動機構を介して上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動きを制御する。制御部89は、駆動モーター103を制御することにより、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の移動速度を変更したり、これら上ノズルリンク11、下ノズルリンク12を一時停止したりするなど、これら上ノズルリンク11、下ノズルリンク12に複雑な移動をさせることができる。
本実施形態では、制御部89や、駆動モーター103、各ノズルリンク等が協働して、密閉空間8b内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部として機能する。
【0045】
一方、図6に示すように、ミスト発生装置90は、ミスト発生装置制御部110を備えている。
ミスト発生装置制御部110は、ミスト発生装置90の各部を中枢的に制御するものであり、CPUやROM、RAMその他周辺回路を備えている。
ミスト発生装置制御部110には、ミスト用サーミスター90dから検出信号が入力される。
また、ミスト発生装置制御部110には、ヒーター90cや、超音波発生装置90f、ファン90g等が制御対象として接続されている。
【0046】
制御部89と、ミスト発生装置制御部110とは、インターフェイス部99を介して接続されており、これら制御部89と、ミスト発生装置制御部110との間で所定の通信規格に準拠した通信を行うことができる。
本実施形態では、制御部89とミスト発生装置制御部110とが協働して、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の双方を制御する。
【0047】
図7は、操作パネル60を示す図である。
図7を参照し、操作パネル60の左上に配置された電源スイッチ120は、自動洗髪機1の電源をオン/オフするスイッチである。
電源スイッチ120に右方に配置されたタンク温度調整スイッチ121は、貯湯タンク25に貯留される水の温度を設定するためのスイッチである。このタンク温度調整スイッチ121が操作されることにより設定された設定温度は、電源スイッチ120と、タンク温度調整スイッチ121との間に形成された設定温度表示パネル126に液晶表示される。制御部89は、貯湯タンク25に貯留される水の温度が設定温度となるよう、モーター20を制御して、ミキシングバルブ15の開閉状態を調整し、水と湯との混合割合を調整する。なお、貯湯タンク25内にヒーターを設け、このヒーターによって貯湯タンク25に貯留された水の温度を調整する構成としてもよい。
【0048】
電源スイッチ120の下方には、貯湯タンク25に水を貯留することを指示する給湯スイッチ122が配置され、この給湯スイッチ122の右方には、貯湯タンク25に貯留された水を排水することを指示するタンク排水スイッチ123が配置され、このタンク排水スイッチ123の右方には、貯湯タンク25に貯留された水を使い切ることを指示する使い切りスイッチ124が配置されている。また、給湯スイッチ122の下方には、吸込管33や、分岐路46、47、75、48に滞留した水(すなわち、冷めた可能性のある水)を各ノズルリンクから排出することを指示する初期排水スイッチ125が配置されている。
【0049】
初期排水スイッチ125の右方には、容器選択エリア128が形成されており、容器選択エリア128には、複数の容器選択スイッチ129が配置されている。これら容器選択スイッチ129は、後述するコース運転の実行に際し、コースに含まれる動作行程(後述)のそれぞれにおいて、シャンプー容器34、コンディショナー容器36を含む複数の容器のうち、どの容器に収容された薬液を使用するのかを指示するためのスイッチである。
【0050】
容器選択エリア128の左下方には、フルコーススイッチ130が配置されている。フルコーススイッチ130は、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるフルコースを選択するためのスイッチである。
運転コースとは、所定の動作行程が、所定の順序で並べられたものであり、1の運転コースの実行が指示された場合、この運転コースに含まれる一連の動作行程が順番通りに実行される。
動作行程には、例えば、シャンプー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部を洗髪するシャンプー行程や、コンディショナー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部をコンディショニングするコンディショニング行程、薬液を含まない洗浄水によって被洗髪者の頭部をすすぐすすぎ行程等がある。
本実施形態では、それぞれ内容が異なる複数の運転コース(フルコースや、パワフルコース、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、ヘアケアコースII等)が準備されている。
【0051】
フルコーススイッチ130の右方には、実行する動作行程として、シャンプー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部を洗髪するシャンプー行程を選択するためのスイッチであるシャンプースイッチ131が配置されており、このシャンプースイッチ131の右方には、実行する動作行程として、コンディショナー液を含んだ洗浄水によって被洗髪者の頭部をコンディショニングするコンディショニング行程を選択するためのコンディショニングスイッチ132が配置されている。また、シャンプースイッチ131の下方には、実行する行程として、薬液を含まない洗浄水によって被洗髪者の頭部をすすぐすすぎ行程を選択するためのすすぎスイッチ133が配置されている。
本実施形態では、シャンプー行程、コンディショニング行程、及び、すすぎ行程のいずれかのみの実行を指示することが可能である。
また、すすぎスイッチ133の右方には、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるパワフルコースを選択するためのパワフルコーススイッチ134が配置されている。
【0052】
パワフルコーススイッチ134の右方には、デリケートスイッチ136が配置されている。デリケートスイッチ136は、髪が傷んでいる人や、髪が絡みやすい人を洗髪する場合に操作されるスイッチであり、このデリケートスイッチ136が操作された場合、髪が傷んでいる人や、髪が絡みやすい人に対応した洗い方による洗髪が実行される。
【0053】
スキャルプケアスイッチ138は、実行する運転コースとして、運転コースの1つであるスキャルプケアコースを選択するためのスイッチであり、ヘアケアスイッチ139は、実行する運転コースとして、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIを選択するためのスイッチである。スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、及び、ヘアケアコースIIについては、後述する。
【0054】
これらスキャルプケアスイッチ138、及び、ヘアケアスイッチ139の下方には、髪長選択スイッチ141が配置されている。髪長選択スイッチ141は、被洗髪者の髪の長さを選択するスイッチである。本実施形態では、髪の長さが4段階に区分されており、4段階のうちのいずれかの段階を選択可能である。マイクロコンピューター92は、髪の長さに応じて、各ノズルリンクの移動を制御し、また、ノズルリンクから噴射される洗浄水の噴射圧力を制御する。
【0055】
髪長選択スイッチ141の下方には、残り時間表示パネル142が形成され、この残り時間表示パネル142の右方には、残り時間調整スイッチ143が配置されている。
残り時間表示パネル142には、運転コースが実行されている場合には、運転コースの実行が終了するまでの残り時間が表示され、1つの動作行程の実行が指示されている場合は、当該動作行程が終了するまでの残り時間が表示される。また、残り時間調整スイッチ143は、残り時間を延長し、また、短縮する際に操作されるスイッチである。
残り時間調整スイッチ143の下方には、水圧調整スイッチ144が配置されている。水圧調整スイッチ144は、各ノズルリンクから噴射される洗浄水の噴射圧力を調整するためのスイッチである。
【0056】
この水圧調整スイッチ144の下方には、スタート/ストップ指示スイッチ145が配置されている。
このスタート/ストップ指示スイッチ145は、実行する運転コースとして1つの運転コースが選択されている場合や、実行する動作行程として1つの動作行程の実行が指示された場合において、実際に運転コースの実行の開始をする際や、実際に1つの動作行程の開始を指示する際に操作されるスイッチであり、このスタート/ストップ指示スイッチ145が操作されることにより運転コースに係る動作や、1つの動作行程に係る動作の実行が開始される。また、スタート/ストップ指示スイッチ145は、運転コースに係る動作や、1の動作行程に係る動作の実行中に、当該動作を一時的に中止する際に操作されるスイッチであり、自動洗髪機1の動作中にこのスタート/ストップ指示スイッチ145が操作されると、自動洗髪機1の動作が一時的に中断され、再び、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されると、自動洗髪機1の動作が再開する。
【0057】
次いで、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90に電源が投入されてから、複数の運点コースのうちのいずれかの運転コースが選択されて、その運転コースの実行が開始されるまでにおける、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作について、フローチャートを用いて説明する。
【0058】
図8は、上記動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザーにより、ミスト発生装置90の電源が投入されると共に(ステップSA1)、自動洗髪機1の電源が投入される(ステップSA2)。
上述したように、本実施形態では、自動洗髪機1と、ミスト発生装置90とは、別体の装置であり、それぞれの装置に対して、別の電源から電力が供給されており、それぞれの装置に対して、個別に電源の投入が行われる。
なお、自動洗髪機1と、ミスト発生装置90とを別体の装置とすることにより、ミストを噴霧する機能が必要な自動洗髪機1に対してはミスト発生装置90を接続することにより当該機能を付加する一方、当該機能が必要ない自動洗髪機1に対してはミスト発生装置90を接続しないことにより、当該機能を付加しないようにすることができる。ミストを発生する機構は、比較的、大きな機構となる傾向があるため、上記構成により、当該機能が必要ない自動洗髪機1が不必要に大型化することを防止できる。
なお、ミストを発生するミスト発生機構を小型化した上で、自動洗髪機1に内蔵するようにしてもよいことは勿論である。
【0059】
自動洗髪機1の電源が投入されると、自動洗髪機1の制御部89は、ミスト発生装置90のミスト発生装置制御部110と所定のプロトコルに基づいた通信を行い、ミスト発生装置90の各部の状態に関する情報を取得する(ステップSA3)。ここで、ミスト発生装置90の各部の状態に関する情報とは、具体的には、ミスト発生装置90が正常にミストを発生し、発生したミストを正常に自動洗髪機1のシンク2に供給できる状態であるか否かを示す情報、及び、正常にミストの供給ができない場合は、どういう原因で正常にミストの供給ができない状況にあるのかを示す情報、である。正常にミストの供給ができない場合としては、例えば、ミスト発生装置90の電源が投入されていない場合や、ミスト用タンク90aに水が貯留されていない状態の場合、超音波発生装置90f等の各機器にエラーが発生している状態の場合等がある。
【0060】
次いで、制御部89に、実行する運転コースとして、いずれかの運転コースを選択する旨の指示が入力される(ステップSA4)。上述したように、ユーザーは、操作パネル60のフルコーススイッチ130、パワフルコーススイッチ134、スキャルプケアスイッチ138、ヘアケアスイッチ139のいずれかのスイッチを操作することにより、実行すべき運転コースを選択する。
なお、本実施形態では、フルコース、及び、パワフルコースには、ミストを噴射する動作が含まれておらず、一方、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、及び、ヘアケアコースIIには、ミストを噴射する動作が含まれている。これを踏まえ、以下の説明では、適宜、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、及び、ヘアケアコースIIを、概念的に、「ミスト連動コース」と称する。
【0061】
次いで、制御部89は、ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コース(=スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースII)であるか否かを判別する(ステップSA5)。
ステップSA4で入力された運転コースがミスト連動コースでない場合(ステップSA5:NO)、制御部89は、処理手順をステップSA9へ移行する。
【0062】
ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースである場合(ステップSA5:YES)、制御部89は、ステップSA3で取得した情報に基づいて、ミスト発生装置90が自動洗髪機1に対して正常にミストを供給できる状態にあるか否かを判別する(ステップSA6)。
ミスト発生装置90が自動洗髪機1に対して正常にミストを供給できる状態にない場合(ステップSA6:NO)、制御部89は、その旨報知する(ステップSA7)。
例えば、制御部89は、設定温度表示パネル126に、ミスト発生装置90に何らかのエラーが発生していることを示す所定の表示を行うことにより、ミスト発生装置90が正常にミストを供給できない状態にあることをユーザーに対して報知する。この場合、ユーザーは、設定温度表示パネル126の表示内容を参照することにより、ミスト発生装置90に何らかのエラーが発生していることを認識でき、この認識に基づいて、エラーを解消するための対処(例えば、ミスト発生装置90の電源が投入されていない状態の場合は、電源を投入する等の処置)を行うことができる。
一方、ステップSA6において、ミスト発生装置90が自動洗髪機1に対して正常にミストを供給できる状態である場合(ステップSA6:YES)、制御部89は、入力された運転コースを示す情報をミスト発生装置90に出力し(ステップSA8)、処理手順をステップSA9へ移す。
【0063】
ステップSA9において、制御部89は、ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースであるか否かを判別する(ステップSA10)。
ステップSA4で入力された運転コースがミスト連動コースである場合(ステップSA10:YES)、制御部89は、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたことをトリガーとして、運転開始を示す情報をミスト発生装置90に送信し(ステップSA11)、処理手順をステップSA12へ移す。
一方、ステップSA4で入力された運転コースがミスト連動コースでない場合(ステップSA10:NO)、制御部89は、処理手順をステップSA12へ移す。
【0064】
ステップSA12において、制御部89は、ステップSA4で入力された運転コースの実行を開始する。
次いで、制御部89は、ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースであるか否かを判別する(ステップSA13)。
ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースである場合、すなわち、ステップSA4で入力された運転コースが、スキャルプケアコース、ヘアケアコースI、及び、ヘアケアコースIIのいずれかに該当する場合(ステップSA13:YES)、制御部89は、ミスト発生装置制御部110と協働して、該当する運転コースに準じて、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の各部を制御して、当該運転コースを実行する(ステップSA14)。ステップSA14の動作については、詳述する。
一方、ステップSA4で入力された運転コースが、ミスト連動コースでない場合、すなわち、ステップSA4で入力された運転コースが、フルコース、及び、パワフルコースのいずれかである場合(ステップSA13:NO)、制御部89は、該当する運転コースに準じて、自動洗髪機1の各部を制御して、当該運転コースを実行する(ステップSA15)。ステップSA15の動作の詳細については省略する。
【0065】
次いで、スキャルプケアコースの実行時における自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作の詳細についてフローチャートを用いて説明する。
【0066】
図9は、スキャルプケアコースの実行時における自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作を示すフローチャートである。
このスキャルプケアコースでは、一連の動作行程のうち、最初の動作行程、及び、最後の動作行程が、ミストの噴霧を伴うミスト行程となっている。こうすることによる効果については、後述する。
図9を参照し、まず、スキャルプケアコースの実行が開始される(ステップSB1)。
スキャルプケアコースの実行の開始は、スキャルプケアスイッチ138が操作されることにより、実行すべき運転コースとしてスキャルプケアコースが選択され、かつ、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた上で、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたことをトリガーとして行われる。
なお、上述したように、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた場合、頭部により頭部切り欠き部8aが塞がれ、シンク2とカバー8とで囲まれた空間に略密閉された密閉空間8b(図4)が形成され、この密閉空間8bに頭部が延在した状態となる。
【0067】
次いで、制御部89は、ミスト行程を開始する(ステップSB2)。すなわち、スキャルプケアコースでは、ミストの噴霧を伴うミスト行程が、最初の動作行程である。換言すれば、スキャルプケアコースでは、後述するシャンプー行程や、すすぎ行程(洗浄水の噴射を伴う行程)に先んじて、ミスト行程が実行される。
ここで、ミスト行程について詳述する。
【0068】
図10は、ミスト行程の実行時における、自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作を示すフローチャートである。
図10を参照し、ミスト行程が開始されると(ステップSC1)、制御部89は、インバーター64を介してメインポンプ32を制御して、非常に弱い噴射圧力で、各ノズルリンクから、洗浄水を噴射する(ステップSC2)。この洗浄水の噴射は、ミストの噴霧が行われている間、継続して実行される。ここで、非常に弱い噴射圧力とは、各ノズルリンクから噴射される洗浄水が、シンク2に収容された頭部に届かないような噴射圧力である。また、各ノズルリンクから噴射される洗浄水の温度が、比較的高めとなるように、ミキシングバルブ15が制御されて貯湯タンク25に貯留された水の温度が制御される。
このステップSC2の動作は、以下を目的とする。
すなわち、スキャルプケアコースの開始時は、シンク2と、カバー8で囲まれた密閉空間8bの温度が低い場合もあり、また、シンク2や、カバー8の密閉空間8b側の表面温度が低い場合もある。そして、密閉空間8bの温度や、シンク2、カバー8の表面温度が低い場合において、密閉空間8b内にミストを充満させた場合、ミストの温度が低下してしまい、ミストによるトリートメント効果やリラクゼーション効果が低減する可能性がある。これを踏まえ、ステップSC2の動作は、シンク2における密閉空間8bへのミストの供給に先立って、密閉空間8bの温度や、シンク2、カバー8の表面温度を高めることを目的としている。
【0069】
ステップSC2の処理後、制御部89は、ミスト発生装置制御部110に対して、ミスト噴霧処理命令を出力する(ステップSC3)。ミスト噴霧処理命令とは、ミスト発生装置制御部110に、ミスト噴霧準備処理(後述)等の、自動洗髪機1へのミストの供給に係る一連の処理の実行の開始を指示する命令である。
【0070】
ミスト噴霧処理命令が入力されたミスト発生装置制御部110は、ミスト発生装置90の各部を制御して、ミスト噴霧準備処理を実行する(ステップSC4)。
具体的には、ミスト発生装置制御部110は、ヒーター90cを駆動することにより、ミスト用タンク90aに貯留されている水を加熱する。そして、ミスト用サーミスター90dから入力された検出値に基づいて、ミスト用タンク90aに貯留された水の温度が所定温度(例えば、75℃)に到達したことを検出すると、ミスト発生装置制御部110は、ヒーター90cの駆動を停止する。この、ミスト用タンク90aに貯留された水を所定温度に至らしめるまでの一連の動作が、ミスト噴霧準備処理に該当する。
なお、トリートメント効果や、リラクゼーション効果を効果的に発揮できるミストの温度範囲が知られており、シンク2内に供給されるミストの温度が、当該温度範囲となるように、上述した所定温度は、適切な値に定められる。
【0071】
ステップSC4におけるミスト噴霧準備処理の実行中、ミスト発生装置制御部110は、ミスト噴霧準備処理が終了したか否かを監視する(ステップSC5)。
ミスト噴霧準備処理が終了した場合(ステップSC5:YES)、ミスト発生装置制御部110は、シンク2における密閉空間8bへのミストの噴射を開始する(ステップSC6)。
具体的には、ミスト発生装置制御部110は、超音波発生装置90fを駆動して、ミスト用タンク90aから超音波発生装置90fに供給される水を超音波で振動させ、その水を霧状にすることによりミストを発生させると共に、ファン90gを駆動することにより、超音波発生装置90fが生成したミストを、ミスト搬送管91を介してシンク2における密閉空間8bへと送り込む。これにより、ミスト搬送管91、及び、このミスト吐出管101を介してミスト吐出口102からシンク2の内部へミストが供給される。
【0072】
ステップSC6におけるミストの噴射の開始と同時に、制御部89は、ミスト行程を実行する時間として予め定められた時間が終了するまでの時間をカウントダウンする。すなわち、制御部89は、ミスト行程が終了するまでの、残り時間を計時する(ステップSC7)。
なお、ミスト行程を実行すべき時間として予め定められた時間は、ミストを噴射することによるトリートメント効果や、リラクゼーション効果の達成具合と、ミストが噴射される時間との関係に応じて適切に設定され、特に、本実施形態では、少なくとも30秒以上であるものとする。
【0073】
次いで、制御部89は、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したか否かを監視しつつ(ステップSC8)、残り時間が30秒に至ったか否かを監視する(ステップSC9)。
なお、制御部89は、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したか否かを以下のようにして検出する。すなわち、ミスト発生装置制御部110は、ミスト用タンク90aに貯留された水の状態(温度や、量)や、超音波発生装置90fの動作状態等を常に監視し、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生した場合(例えば、ミスト用タンク90aに貯留された水の温度の異常上昇や、超音波発生装置90fの動作異常等)、そのことを検知できる構成とされている。そして、ミスト発生装置制御部110は、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したことを検知した場合、その旨の信号を制御部89に出力する。制御部89は、ミスト発生装置制御部110から入力された信号に基づいて、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したことを検出する。
【0074】
ステップSC8、及び、ステップSC9における監視中、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生した場合(ステップSC8:YES)、制御部89は、ミスト行程を終了する(ステップSC11)。ミスト行程の終了後は、慣らし行程が実行される(図9参照)。
なお、ミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したことをユーザーに報知するようにしても良い。
このように、本実施形態では、ミストの噴霧中に、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したときは、自動洗髪機1の動作を停止するのではなく、ミストの噴霧に係る処理を省略して、自動洗髪機1の動作を継続する。これは、ミストの噴霧は、後述するシャンプー行程や、コンディショニング行程と比較して、付加的な機能であり、ミストの噴霧が行われない場合であっても、比較的、被洗髪者の満足度を損なわない点を考慮したものであり、ミストの噴霧を省略した上で自動洗髪機1の動作を継続して実行することにより、運転コースの円滑な実行を担保し、よりユーザーの利便性を向上している。
なお、ミスト発生装置90に異常が生じている場合は、自動洗髪機1の動作を一時的に停止するようにしてもよい。
【0075】
ステップSC9において、残り時間が30秒に至った場合(ステップSC9:YES)、制御部89は、マッサージ動作を実行する(ステップSC12)。
このマッサージ動作は、被洗髪者に、一定のマッサージ効果を与えることを目的として行われる動作である。例えば、制御部89は、各種のバルブ等を制御して、頭頂マッサージノズル150、右側頭マッサージノズル151、及び、左側頭マッサージノズル152から洗浄水を噴射し、頭頂部、及び、右側頭部に洗浄水を噴射する。ここで、噴射される洗浄水は温水とする。このように被洗髪者の頭頂部や、側頭部に対して、集中的に温水を噴射することにより、効果的にマッサージ効果を得ることができる。
なお、各ノズルからの洗浄水の噴射に際し、間欠的に洗浄水を噴射したり、また、噴射圧力の強弱を変更しつつ噴射したりしてもよい。これらの動作を実行することにより、より高いマッサージ効果を得ることが期待できる。
【0076】
次いで、制御部89は、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生したか否かを監視しつつ(ステップSC13)、残り時間がなくなった(残り時間=0秒)か否かを監視する(ステップSC14)。
ステップSC13において、ミスト発生装置90にミストの噴霧の実行が継続できないような異常が発生した場合(ステップSC13:YES)、制御部89は、ミスト行程を終了する(ステップSC11)。
一方、残り時間がなくなった場合(ステップSC14:YES)、制御部89は、インバーター64や、各バルブを制御して、マッサージ動作を停止し、さらに、ミスト発生装置制御部110と協働して、ミストの噴霧を停止し(ステップSC15)、これにより、ミスト行程の実行を終了する(ステップSC11)。
【0077】
このように、本実施形態では、残り時間が30秒に至った以後は、ミストの噴霧と、マッサージ動作に伴う各ノズルリンクからの洗浄水の噴射とが同時並行的に行われる。
この動作は、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ可能な動作である。そして、ミストの噴霧と、マッサージ動作に伴うノズルリンクからの洗浄水の噴射とを同時並行的に行った場合、ミストによるリラクゼーション効果、トリートメント効果、及び、マッサージ動作によるマッサージ効果とを被洗髪者に同時に与えることができ、これら効果の達成度を相乗的に高めることが可能となる。
また、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、頭部の毛穴が開く効果があることが知られているが、本実施形態では、ミストによる頭部の毛穴の開化と、マッサージ動作に伴う頭部への洗浄水の噴射とを、同時に行うことができ、よりマッサージ効果を高めることができる。
【0078】
また、スキャルプケアコースでは、後述するシャンプー行程より先に、ミスト行程が実行される。これにより、以下の効果を奏することができる。
すなわち、上述したように、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、頭部の毛穴が開く効果があることが知られている。そして、シャンプー行程より先にミスト行程を実行し、この行程において頭部の毛穴を開いておくことにより、以後行われるシャンプー行程において、シャンプー液を含む洗浄水の噴射による毛穴の皮脂汚れの洗浄力を向上できる。
さらに、ミストの噴射により、リラクゼーション効果を被洗髪者に与えることができるが、スキャルプケアコースの前半に、このリラクゼーション効果を被洗髪者に与えることにより、スキャルプケアコースの間中、被洗髪者をリラックスさせることができる。
【0079】
さて、前掲図9を参照し、ステップSB2のミスト行程が終了した後、制御部89は、慣らし行程を実行する(ステップSB3)。
この慣らし行程は、頭部に洗浄水が噴射されることについて被洗髪者に慣れてもらい、被洗髪者をリラックスさせることを目的とした動作行程である。
慣らし行程では、例えば、制御部89は、比較的弱い噴射圧力で洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を非常に緩やかな速度で移動させる。これにより、被洗髪者に対し、あたかも人手によってゆっくりと撫でられるかのような感覚を与え、被洗髪者に安心感を与えることができる。さらに、スキャルプケアコースが開始された直後の行程である慣らし行程で、このように緩やかな速度で各ノズルリンクを移動しつつ洗浄水を噴射させることにより、被洗髪者を驚かせることなく、機械で洗髪されているという感触を払拭し、高級感を出すことができる。また、例えば、制御部89は、首元用ノズルバルブ74などを制御して、被洗髪者の首元に対し首元用ノズルリンク80から洗浄水を噴射させる。ここで、噴射される洗浄水は温水とする。このように被洗髪者の首元に温水を噴射させることにより、首元の血流が良くなり、頭部全体の緊張がほぐれることとなり、マッサージ効果の向上を図ることができる。
【0080】
次いで、制御部89は、弱洗浄行程を実行する(ステップSB4)。
この弱洗浄行程は、次の動作行程である第1シャンプー行程の前に、シャンプー液やコンディショナー液を含まない洗浄水(以下、適宜「すすぎ水」と表現する)によって、髪に付着した汚れをある程度流すための動作行程である。
この弱洗浄行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力で洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にすすぎ水を噴射し、これにより、頭部に付着した汚れをある程度流す。
【0081】
次いで、制御部89は、第1シャンプー行程を実行する(ステップSB5)。
この第1シャンプー行程は、シャンプー液を含んだ洗浄水(以下、適宜「シャンプー洗浄水」と表現する)によって被洗髪者の髪を洗髪する行程である。制御部89は、シャンプー用ポンプ38を制御して、洗浄水にシャンプー液を混入してシャンプー洗浄水を生成する。
第1シャンプー行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力でシャンプー洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にシャンプー洗浄水を噴射し、これにより、頭部の全域にシャンプー洗浄水を行き渡らせ、頭部の全域を洗髪する。
上述したように、本実施形態では、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12は、同期しつつ速度を変えて移動をしたり、一定の範囲移動した後一時停止したり、所定の範囲を反復移動したりなど、複雑な移動が可能であるため、これを利用して、頭部の所定の部分に集中的にシャンプー洗浄水が噴射されるようにしたり、各ノズルリンクを所定の範囲内で往復移動させつつ、移動させたりすることにより、頭部の洗浄の効率化、及び、頭部の洗浄効果の増大、及び、マッサージ効果の向上を実現しつつ、頭部の洗髪を行うようにしてもよい。このことは、洗浄水の噴射を伴う他の動作行程についても、同様である。
【0082】
次いで、制御部89は、第1すすぎ行程を実行する(ステップSB6)。
この第1すすぎ行程は、第1シャンプー行程において頭部に噴射され、頭部及び髪に残留するシャンプー洗浄水をすすぎ落とすための動作行程である。
第1すすぎ行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力ですすぎ水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にすすぎ水を噴射し、これにより、頭部及び髪に残留するシャンプー洗浄水をすすぎ落とす。
【0083】
次いで、制御部89は、第2シャンプー行程を実行する(ステップSB7)。
この第2シャンプー行程は、第1シャンプー行程、及び、第2すすぎ行程を経て、ある程度きれいになった頭部に対し、再び、洗髪を実行することにより、より確実に頭部の洗髪を行うことを目的とする動作行程である。
第2シャンプー行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力でシャンプー洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にシャンプー洗浄水を噴射し、これにより、頭部の全域にシャンプー洗浄水を行き渡らせ、頭部の全域を洗髪する。
【0084】
次いで、制御部89は、仕上げすすぎ行程を実行する(ステップSB8)。
この仕上げすすぎ行程は、第2シャンプー行程において頭部に噴射され、頭部及び髪に残留するシャンプー洗浄水をすすぎ落とすための動作行程である。
仕上げすすぎ行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力ですすぎ水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にすすぎ水を噴射し、これにより、頭部及び髪に残留するシャンプー洗浄水をすすぎ落とす。
【0085】
次いで、制御部89は、マッサージ行程を実行する(ステップSB9)。
このマッサージ動作は、被洗髪者に、一定のマッサージ効果を与えることを目的として行われる動作である。例えば、制御部89は、各種のバルブ等を制御して、頭頂マッサージノズル150、右側頭マッサージノズル151、及び、左側頭マッサージノズル152から洗浄水を噴射し、頭頂部、及び、右側頭部に洗浄水を噴射する。ここで、噴射される洗浄水は温水とする。このように被洗髪者の頭頂部や、側頭部に対して、集中的に温水を噴射することにより、効果的にマッサージ効果を得ることができる。
なお、各ノズルからの洗浄水の噴射に際し、間欠的に洗浄水を噴射したり、また、噴射圧力の強弱を変更しつつ噴射したりしてもよい。これらの動作を実行することにより、より高いマッサージ効果を得ることが期待できる。
【0086】
次いで、制御部89は、ミスト発生装置制御部110と協働して、ミストの噴霧を開始する(ステップSB10)。
【0087】
次いで、制御部89は、コンディショニング行程を実行する(ステップSB11)。
このコンディショニング行程は、被洗髪者の頭部及び髪にコンディショナー液を含む洗浄水(以下、適宜「コンディショナー洗浄水」と表現する)を噴射し、いわゆるコンディショニングを行うための行程である。
コンディショニング行程では、例えば、制御部89は、ある程度強い噴射圧力でコンディショナー洗浄水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12をある程度早い速度で移動させることにより、頭部及び髪の全域にコンディショナー洗浄水を噴射し、これにより、頭部の全域にコンディショナー洗浄水を行き渡らせ、頭部の全域をコンディショニングする。
【0088】
なお、ステップSB10において、ミストの噴霧が開始されているため、このコンディショニング行程は、ミストの噴霧と同時並行的に実行される。
ここで、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、髪のキューティクルが開く効果があることが知られている。そして、本実施形態では、ミストの噴霧と、コンディショニング行程が同時並行的に実行されるため、ミストによるキューティクルの開化と、コンディショナー洗浄水の頭部への噴射とを、同時に行うことができ、コンディショニングによる効果を向上できる。
なお、本実施形態では、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ、ミストの噴霧と、コンディショニング行程とを同時並行的に実行可能である。
【0089】
次いで、制御部89は、最終すすぎ行程を実行する(ステップSB12)。
この最終すすぎ行程は、コンディショニング行程において頭部に噴射され、頭部及び髪に残留するコンディショナー洗浄水を軽くすすぎ落とすための動作行程である。
最終すすぎ行程では、例えば、制御部89は、比較的弱い噴射圧力ですすぎ水を噴射させつつ、上ノズルリンク11、及び、下ノズルリンク12を移動させることにより、頭部及び髪の全域にすすぎ水を噴射し、これにより、頭部や髪に残るコンディショナー洗浄水を軽くすすぎ落とす。
【0090】
なお、ステップSB10において、ミストの噴霧が開始されているため、この最終すすぎ行程は、ミストの噴霧と同時並行的に実行される。
ここで、上述したように、ミストを噴霧した場合、被洗髪者をリラックスさせることができるが、最終すすぎ行程中に、ミストの噴霧を実行することにより、被洗髪者をリラックスさせつつ、最終すすぎ行程を実行することができる。なお、本実施形態では、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ、ミストの噴霧と、最終すすぎ行程とを同時並行的に実行可能である。
【0091】
次いで、制御部89は、ミストの噴霧を停止し(ステップSB13)、スキャルプケアコースの実行を終了する(ステップSB14)。
【0092】
このように、スキャルプケアコースでは、動作行程の最後にもミストの噴射が行われる。これにより、以下の効果を奏することができる。
すなわち、ミストの噴射により、リラクゼーション効果を被洗髪者に与えることができるが、スキャルプケアコースの後半にミストを噴射することにより、スキャルプケアコースを終えた被洗髪者をリラックスさせることができると共に、疲労を緩和できる。
【0093】
次いで、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行時における自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作の詳細についてフローチャートを用いて説明する。
【0094】
図11は、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行時における自動洗髪機1、及び、ミスト発生装置90の動作を示すフローチャートである。
図11を参照し、まず、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行が開始される(ステップSD1)。
ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行の開始は、ヘアケアスイッチ139が操作されることにより、実行すべき運転コースとしてヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIが選択され、かつ、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた上で、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたことをトリガーとして行われる。
なお、上述したように、シンク2内に被洗髪者の頭部を収容した状態でカバー8が閉じられた場合、頭部により頭部切り欠き部8aが塞がれ、シンク2とカバー8とで囲まれた空間に略密閉された密閉空間8b(図4)が形成され、この密閉空間8bに頭部が延在した状態となる。
【0095】
次いで、制御部89は、慣らし行程(ステップSD2)、弱洗浄行程(ステップSD3)、第1シャンプー行程(ステップSD4)、第1すすぎ行程(ステップSD5)、第2シャンプー行程(ステップSD6)、及び、仕上げすすぎ行程(ステップSD7)の各動作行程を実行する。
次いで、制御部89は、マッサージ行程の各動作行程を実行すると共に(ステップSD81)、マッサージ行程の実行の途中から、ミスト発生装置制御部110と協働して、ミストの噴霧を開始する(ステップSD82)。
【0096】
次いで、制御部89は、選択された運転コースが、ヘアケアコースIであるか、ヘアケアコースIIであるかを判別する(ステップSD9)。
選択された運転コースが、ヘアケアコースIである場合(ステップSD9:ヘアケアコースI)、制御部89は、コンディショニング行程を実行し(ステップSD11)、処理手順をステップSD14へ移行する。
このように、ヘアケアコースIでは、ミストの噴霧と、コンディショニング行程とが同時並行的に行われる。ここで、上述したように、ここで、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、髪のキューティクルが開く効果があることが知られている。そして、ヘアケアコースIでは、ミストの噴霧と、コンディショニング行程が同時並行的に実行されるため、ミストによるキューティクルの開化と、コンディショナー洗浄水の頭部への噴射とを、同時に行うことができ、コンディショニングによる効果を向上できる。
【0097】
一方、選択された運転コースが、ヘアケアコースIIである場合(ステップSD9:ヘアケアコースII)、制御部89は、自動洗髪機1の動作を一時停止する(ステップSD12)。
そして、この一時停止中に、ユーザー(この場合におけるユーザーとは、被洗髪者に対して、頭部のトリートメント等の各種サービスを提供できる人間(美容師等)を指し、自動洗髪機1を動作させる人間と別人であってもよい)は、自身の手により、被洗髪者の頭部をトリートメントし、当該トリートメントの終了後、カバー8を閉じて、スタート/ストップ指示スイッチ145を操作する(ステップSD13)。
一時停止後に、スタート/ストップ指示スイッチ145が操作されたことをトリガーとして、制御部89は、処理手順をステップSD14へ移行する。
【0098】
ステップSD14において、制御部89は、ミスト行程を実行する。なお、このステップSD14におけるミスト行程では、図10を参照し、制御部89は、残り時間が無くなった場合であっても(ステップSC14:YES)、ステップSC15においてミストの噴霧を停止することなく、ミストの噴霧を継続して実行する。
また、図10を用いて上述したように、ステップSD14におけるミスト行程の実行中、ミスト装置に何らかのエラーが発生し、ミストの供給ができないような状況に至ったときは、ミスト行程が省略されて、次の行程である最終すすぎ行程(ステップSD15)が実行される。
【0099】
このように、ヘアケアコースIでは、コンディショニング行程の後のミスト行程が実行され、また、ヘアケアコースIIでは、人手によるトリートメントの後にミスト行程が実行される。これにより、コンディショニング行程で噴射されたコンディショナーの成分や、トリートメントにおけるトリートメント液の成分が、ミスト行程におけるミストの噴霧によるキューティクルの開化に伴って、より髪へ浸透し、コンディショニングの効果、及び、トリートメントの効果がより向上する。
【0100】
次いで制御部89は、最終すすぎ行程を実行する(ステップSD15)
なお、ステップSD14において、ミストの噴霧が停止されていないため、この最終すすぎ行程は、ミストの噴霧と同時並行的に実行される。
ここで、上述したように、ミストを噴霧した場合、被洗髪者をリラックスさせることができるが、最終すすぎ行程中に、ミストの噴霧を実行することにより、被洗髪者をリラックスさせつつ、最終すすぎ行程を実行することができる。なお、本実施形態では、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ、ミストの噴霧と、最終すすぎ行程とを同時並行的に実行可能である。
【0101】
次いで、制御部89は、ミスト発生装置制御部110と協働して、ミストの噴霧を停止し(ステップSD16)、ヘアケアコースI、又は、ヘアケアコースIIの実行を終了する(ステップSD17)。
【0102】
このように、ヘアケアコースIIでは、ミストの噴霧の直後に、ユーザー(美容師等)の手技によるトリートメントを行い、当該トリートメントの直後にミストの噴霧を行う、といった動作が可能である。一方で、ユーザー(美容師等)が、人手によってこのような動作を行うことは、困難であった。
このようにミストの噴霧と、他の動作とを連続して行うことができるのは、ミスト発生装置に接続された自動洗髪機1において、制御部89とミスト発生装置制御部110が協働してミストの噴霧を含む各種動作を実行するからこそ可能である。このことは、他の運転コースについても同様である。
【0103】
以上説明したように、本実施形態に係る自動洗髪機1は、シンク2に被洗髪者の頭部を収めたときに、シンク2内に密閉空間8bが形成され、かつ、この密閉空間8bに頭部が延在する構成となっている。そして、自動洗髪機1では、密閉空間8b内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部(本実施形態では、上述したように、制御部89や、駆動モーター103、各ノズルリンク等が協働して噴射部として機能する)と、密閉空間8b内にミストを噴霧するミスト噴霧部(本実施形態では、上述したように、ミスト発生装置90と、ミスト吐出口102と、ミスト搬送管91とが協働して、ミスト噴霧部として機能する)と、を設けられている。
これにより、密閉空間8b内で頭部に対して洗浄水を噴射することにより、頭部の洗浄を自動で行う、という自動洗髪機1の特定を利用して、効果的なミストの噴霧が可能となる。すなわち、自動洗髪機1では、各ノズルリンクから洗浄水を噴射して、被洗髪者の頭部を洗髪する、という性質上、シンク2に密閉空間8bを形成し、この密閉空間8bに被洗髪者の頭部を延在させた上で、密閉空間8b内において各ノズルリンクから洗浄水を噴射して頭部を洗髪している。そして、本実施形態では、この密閉空間8bを利用して、密閉空間8b内にミストを充満させることにより、被洗髪者の頭部に対してミストを噴霧しているため、密閉空間8bを利用して、好適に、ミストの噴霧を実現でき、かつ、被洗髪者の頭部に対して確実にミストを接触させることができる。
【0104】
また、本実施形態では、制御部89は、洗浄水の噴射と、ミストの噴霧とが連動して実行されるよう自動洗髪機1の各部を制御する。
これにより、例えば、洗浄水の噴射後にミストを噴霧したり、また、ミストを噴霧した後に洗浄水を噴射したり、といったことができ、洗浄水の噴射のタイミングとの関係で、よりミストの噴霧による効果を発揮できるようなタイミングでミストの噴霧を実行することができる。
【0105】
また、本実施形態では、制御部89は、洗浄水の頭部への噴射と、ミストの噴霧と、を同時に実行する。
より具体的には、図10を参照し、ミスト行程では、ミストの噴霧と、マッサージ動作に伴う各ノズルリンクからの洗浄水の噴射とが同時並行的に行われる。
また、図9を参照し、スキャルプケアコースでは、ミストの噴霧と、コンディショニング行程、及び、最終すすぎ行程とが同時並行的に実行される。
また、図11を参照し、ヘアケアコースIでは、ミストの噴霧と、コンディショニング行程、及び、最終すすぎ行程とが同時並行的に実行され、ヘアケアコースIIでは、ミストの噴霧と、ユーザーの手による被洗髪者へのトリートメント、及び、最終すすぎ行程とが同時並行的に実行される。
洗浄水の頭部への噴射と、ミストの噴霧との同時並行的な実行は、シンク2における密閉空間8bに頭部が延在し、この密閉空間8bにおいて頭部に対して各ノズルリンクから洗浄水を噴射し、また、この密閉空間8b内でミストを噴霧する構成としたからこそ可能な動作である。
そして、ミストの噴霧と、洗浄水の噴射とを同時並行的に行った場合、上述したように、ミストによるリラクゼーション効果、トリートメント効果、及び、ミストによる毛穴の開化を利用して、効果的に、リラクゼーション効果や、トリートメント効果、洗浄効果、マッサージ効果等を被洗髪者に与えることができる。
【0106】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1は、洗浄水の噴射を伴う動作行程(例えば、第1シャンプー行程や、第1すすぎ行程、コンディショニング行程等)、及び、ミストの噴霧を伴うミスト行程、を少なくとも含む複数の行程が所定の順序で並べられた運転コース(スキャルプケアコースや、ヘアケアコースI、ヘアケアコースII)を実行することを指示する操作パネル60(指示部)を備えている。そして、制御部89は、いずれかの運転コースの実行が指示された場合、当該運転コースにおける各行程の順序に応じた所定のタイミングで、洗浄水の噴射と、ミストの噴霧とが実行されるように、自動洗髪機1の各部を制御する。
これによれば、運転コースを実行することにより、被洗髪者に対してミストの噴霧によるリラクゼーション効果や、マッサージ効果を与えつつ、洗浄水の噴射により被洗髪者の頭部を洗浄することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1は、シャンプー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成されている。そして、スキャルプケアコースでは、シャンプー液が混入した洗浄水の噴射を伴うシャンプー行程よりもミストの噴霧を伴うミスト行程が先になるように各行程の順序が設定されている。
これによれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、上述したように、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、頭部の毛穴が開く効果があることが知られている。そして、シャンプー行程より先にミスト行程を実行し、この行程において頭部の毛穴を開いておくことにより、以後行われるシャンプー行程において、シャンプー液を含む洗浄水の噴射による毛穴の皮脂汚れの洗浄力を向上できる。
【0108】
また、本実施形態に係る自動洗髪機1は、コンディショナー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成されている。そして、スキャルプケアコースや、ヘアケアコースI、ヘアケアコースIIでは、コンディショナー液が混入した洗浄水の噴射を伴うコンディショニング行程の実行中にミストの噴霧を実行する。
これによれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、ミストを被洗髪者の頭部に噴霧した場合、髪のキューティクルが開く効果があることが知られている。そして、ミストの噴霧と、コンディショニング行程とを同時並行的に実行することにより、ミストによるキューティクルの開化と、コンディショナー洗浄水の頭部への噴射とを、同時に行うこととなり、コンディショニングによる効果を向上できる。
さらに、ヘアケアコースIでは、コンディショニング行程の後のミスト行程が実行され、また、ヘアケアコースIIでは、人手によるトリートメントの後にミスト行程が実行される。これにより、コンディショニング行程で噴射されたコンディショナーの成分や、トリートメントにおけるトリートメント液の成分が、ミスト行程におけるミストの噴霧によるキューティクルの開化に伴って、より髪へ浸透し、コンディショニングの効果、及び、トリートメントの効果がより向上する。
【0109】
制御部89は、ミスト発生装置90を制御するミスト発生装置制御部110と通信可能に接続され、このミスト発生装置制御部110と連係して、洗浄水の噴射と、ミストの噴霧とが連動して実行されるよう、自動洗髪機1の各部、及び、ミスト発生装置90の各部を制御する。
これにより、自動洗髪機1と、ミスト発生装置90とが別体であっても、円滑、かつ、確実に、洗浄水の噴射と、ミストの噴霧とを連動させて実行することが可能となる。
【0110】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、自動洗髪機1は、上ノズルリンク11と下ノズルリンク12を備え、これらが協働する構成であったが、ノズルリンクの数や、形状は実施形態の例に限定されない。すなわち、シンク2を有する自動洗髪機1に広く本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 自動洗髪機
2 シンク
8b 密閉空間
11 上ノズルリンク(噴射部)
12 下ノズルリンク(噴射部)
60 操作パネル
89 制御部(噴射部)
90 ミスト発生装置(ミスト噴霧部)
91 ミスト搬送管(ミスト噴霧部)
102 ミスト吐出口(ミスト噴霧部)
103 駆動モーター(噴射部)
110 ミスト発生装置制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗髪者の頭部を収めるシンクを備える洗髪機において、
前記シンクに被洗髪者の頭部を収めたときに、前記シンク内に密閉空間が形成され、かつ、この密閉空間に頭部が延在する構成とし、
前記密閉空間内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部と、前記密閉空間内にミストを噴霧するミスト噴霧部と、を設けたことを特徴とする洗髪機。
【請求項2】
前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが連動して実行されるよう、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする請求項1に記載の洗髪機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御して、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧と、を同時に実行することを特徴とする請求項2に記載の洗髪機。
【請求項4】
前記噴射部による洗浄水の噴射を伴う洗浄行程、及び、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧を伴うミスト行程、を少なくとも含む複数の行程が所定の順序で並べられたコースを実行することを指示する指示部を備え、
前記制御部は、
前記コースの実行が指示された場合、前記コースにおける各行程の順序に応じた所定のタイミングで、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが実行されるように、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の洗髪機。
【請求項5】
前記噴射部は、シャンプー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成され、
前記コースでは、シャンプー液が混入した洗浄水の噴射を伴うシャンプー行程よりも前記ミスト行程が先になるように各行程の順序が設定されることを特徴とする請求項4に記載の洗髪機。
【請求項6】
前記噴射部は、コンディショナー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成され、
前記コースでは、コンディショナー液が混入した洗浄水の噴射を伴うコンディショニング行程よりも前記ミスト行程が後になるように各行程の順序が設定され、又は、前記コンディショニング行程の実行中に前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の洗髪機。
【請求項7】
前記ミスト噴霧部は、ミストを発生するミスト発生装置と、前記シンクに形成されたミスト吐出口と、前記ミスト発生装置と前記ミスト吐出口とを接続するミスト搬送管と、を備え、
前記制御部は、
前記ミスト発生装置を制御するミスト発生装置制御部と通信可能に接続され、このミスト発生装置制御部と連係して、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが連動して実行されるよう、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の洗髪機。
【請求項1】
被洗髪者の頭部を収めるシンクを備える洗髪機において、
前記シンクに被洗髪者の頭部を収めたときに、前記シンク内に密閉空間が形成され、かつ、この密閉空間に頭部が延在する構成とし、
前記密閉空間内に延在する頭部に向けて洗浄水を噴射する噴射部と、前記密閉空間内にミストを噴霧するミスト噴霧部と、を設けたことを特徴とする洗髪機。
【請求項2】
前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが連動して実行されるよう、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする請求項1に記載の洗髪機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御して、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧と、を同時に実行することを特徴とする請求項2に記載の洗髪機。
【請求項4】
前記噴射部による洗浄水の噴射を伴う洗浄行程、及び、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧を伴うミスト行程、を少なくとも含む複数の行程が所定の順序で並べられたコースを実行することを指示する指示部を備え、
前記制御部は、
前記コースの実行が指示された場合、前記コースにおける各行程の順序に応じた所定のタイミングで、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが実行されるように、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の洗髪機。
【請求項5】
前記噴射部は、シャンプー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成され、
前記コースでは、シャンプー液が混入した洗浄水の噴射を伴うシャンプー行程よりも前記ミスト行程が先になるように各行程の順序が設定されることを特徴とする請求項4に記載の洗髪機。
【請求項6】
前記噴射部は、コンディショナー液が混入した洗浄水を噴射可能に構成され、
前記コースでは、コンディショナー液が混入した洗浄水の噴射を伴うコンディショニング行程よりも前記ミスト行程が後になるように各行程の順序が設定され、又は、前記コンディショニング行程の実行中に前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の洗髪機。
【請求項7】
前記ミスト噴霧部は、ミストを発生するミスト発生装置と、前記シンクに形成されたミスト吐出口と、前記ミスト発生装置と前記ミスト吐出口とを接続するミスト搬送管と、を備え、
前記制御部は、
前記ミスト発生装置を制御するミスト発生装置制御部と通信可能に接続され、このミスト発生装置制御部と連係して、前記噴射部による洗浄水の噴射と、前記ミスト噴霧部によるミストの噴霧とが連動して実行されるよう、前記噴射部と、前記ミスト噴霧部とを制御することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の洗髪機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−24330(P2012−24330A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165777(P2010−165777)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】
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