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活性エネルギー線硬化性オーバープリントニス
説明

活性エネルギー線硬化性オーバープリントニス

【課題】本発明は、基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上に塗布される活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニスであって、硬化したとき、基材との密着性、光沢などオーバープリントとしての基本的性能を維持した上で、罫線割れのない活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス、オーバープリント層を設けた印刷物の製造方法、及びオーバープリント層を設けた印刷物を提供することを目的とする。
【解決手段】基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上に塗布する2層型オーバープリントニスであって、塗布する順に、第1層オーバープリントニスの硬化物のデュロメータ硬さ(日本工業規格JIS K7215に準じて測定した値)が第2層オーバープリントニスの硬化物のそれより小さいことを特徴とする活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上にオーバープリント層を設けるために用いられる活性エネルギー線硬化性オーバープリントニスに関する。
【背景技術】
【0002】
雑誌の表紙、絵本、ポスター、カレンダー等の印刷物、美装ケース等の紙器製品は、油性のオフセット印刷用インキ等で印刷した後に、印刷面の耐擦過性や耐ブロッキング性の向上、光沢の付与を目的としてオーバープリントニスが塗布されている。
オーバープリントニスはこれらの印刷物に全面又は部分的に塗布されるが、印刷されていない紙やプラスチックフィルムに直接塗布される場合もある。 印刷物表面全体に塗布されることもあり、また部分的に、模様を形成するように塗布されることもある。
このようなオーバープリントニスとしては、溶剤系、水系、酸化重合系等の種々のものが利用されてきたが、最近では、生産性の向上が要求され、特に乾燥に長時間を要する油性のオフセット印刷インキに対しては、塗布後すぐに硬化・乾燥する活性エネルギー線硬化性オーバープリントニスが開発され使用されるようになっている。
なお、紙器製品では、オーバープリント後に貼り合わせて組み立てるため、糊付け適性(糊で貼り付けることが可能な性質)が要求される。
【0003】
活性エネルギー線硬化性オーバープリントニスは紫外線照射により瞬時に硬化するため硬化被膜内に内部応力が生じやすく、後加工において罫線割れが起きやすい。 そのため、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等には、罫線割れを防ぐため、オーバープリントニスの組成を工夫している例が開示されている。
【0004】
しかしながら、これらの特許文献では、その実施例中の評価においても罫線割れを完全に防ぐことができているわけではない。 また、特許文献2及び3には光沢も改良されているとの記載はあるが、実施例ではその評価試験が行なわれていないので実際にどの程度の光沢かが不明である。
なお、特許文献4には、紫外線硬化型インキを用いる印刷層の表面上に、部分的又は全面に下刷り層が設けられ、前記印刷層および下刷り層の上にオーバープリント層が設けられ、前記下刷り層の上のオーバープリント層がハジキ現象によって凹凸模様を形成する印刷物の作製に用いられるオーバープリント層用紫外線硬化型ワニス組成物が開示されている。 ここでは、クラックの発生しにくいことを課題の一つとして入るが、下塗り層とオーバープリント層の2層を設けるのは、ハジキ現象による凸凹模様を形成するためのものであって、罫線割れ(クラック)を防ぐためのものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−263012号公報
【特許文献2】特開平8−120218号公報
【特許文献3】特開平8−120219号公報
【特許文献4】特開2007−161998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上に塗布される活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニスであって、硬化したとき、基材との密着性、光沢などオーバープリントとしての基本的性能を維持した上で、罫線割れのない活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス、オーバープリント層を設けた印刷物の製造方法、及びオーバープリント層を設けた印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上に、柔らかい硬化物を与えるニスとより硬い硬化物を与えるニスの2種類の活性エネルギー線硬化性オーバープリントニスを、この順番で塗布し、硬化させることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上に塗布する2層型オーバープリントニスであって、塗布する順に、第1層オーバープリントニスの硬化物のデュロメータ硬さ(日本工業規格JIS K7215に準じて測定した値)が第2層オーバープリントニスの硬化物のそれより小さいことを特徴とする活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニスセットである。
(1)では、基材の上に、最初に柔らかい層を形成し、次いでより硬い層を形成することによって柔らかい層によって罫線割れを防止し、その上により硬い層を形成することによって光沢、耐摩擦性といったオーバープリントニスに基本的に必要とされる性能を付与することができる。
【0009】
また、本発明は、
(2) 前記第1層オーバープリントニスの硬化物のデュロメータ硬さがHDA10〜75、第2層オーバープリントニスの硬化物のデュロメータ硬さがHDA70〜100であることを特徴とする(1)記載の活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニスである。
(2)では第1層(柔らかい層)及び第2層(硬い層)のデュロメータ硬さの好ましい範囲を示している。
【0010】
また、本発明は、
(3) 前記第1層オーバープリントニスが単官能アクリルモノマーを含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス、
(4) 前記第2層オーバープリントニスがニ官能以上のアクリルモノマーを含有することを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス、
である。
(3)及び(4)では、第1層(柔らかい層)及び第2層(硬い層)のニスに好ましく用いられるモノマーの種類を定めている。ニ官能以上のモノマーのような架橋構造を形成するモノマーは主に第2層(硬い層)に用いられる。
【0011】
また、本発明は、
(5) 前記基材の上に、前記第1層オーバープリントニスを塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させた後、その上に前記第2層オーバープリントニスを塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とするオーバープリント印刷物の製造方法、
(6) 前記基材の上に、2層のオーバープリントニス層が形成された印刷物であって、前記第1層オーバープリントニスを塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させた後、その上に前記第2層オーバープリントニスを塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させたことを特徴とするオーバープリント印刷物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニスは、それを基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物に塗布し、活性エネルギー線で硬化したとき、当該基材への密着性及び光沢に優れ、罫線割れが殆ど見られないうえ、耐摩擦性や糊付け適性(糊で貼り付けることが可能な性質)に優れ、黄変及び臭気も少なく、塗工表面が平滑でピンホールがないといった特徴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0014】
本発明の2層型オーバープリントニスは、活性エネルギー線で硬化したとき、基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上に塗布する順に第1層が柔らかく、第2層がより硬い層であることを特徴としている。なお、ここでは柔らかさ・硬さの指標として、デュロメータ硬さ(日本工業規格JIS K7215に準じて測定した値)を用いている。
【0015】
本発明の本発明の2層型オーバープリントニスにおいて、第1層に用いるニスはオリゴマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、ラジカル重合開始剤及び添加剤を含有する。
【0016】
オリゴマーとしては、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマーなどが挙げられ、特にウレタンアクリレートオリゴマーが好適に用いられる。その含有量は、前記第1層のニスに対し、10〜70重量%であり、好ましくは15〜60%である。
【0017】
また、単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、フェノキシアルキルエステル、脂環式アルキルエステル、アルコキシアルキルエステルなどが挙げられ、その含有量は、前記第1層のニスに対し、10〜80重量%であり、好ましくは20〜75重量%である。
なお、硬化物の硬さ、密着性等を調整するため、第2層に用いるような二官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の四官能モノマーも適宜使用できる。
【0018】
活性エネルギー線による硬化に用いるラジカル重合開始剤としては、光開裂型のベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α -アクリルべンゾイン等のベンゾイン系、イルガキュア9 0 7 ( BASF社製 2 -メチル-1−( 4 -メチルチオフェニル) −2 -モルホリノプロパン−1 -オン) 、イルガキュア3 6 9 ( BASF社製社製 2 -ベンジル-2 -ジメチルアミノ-1 -( 4 -モルホリノフェニル) -1 -ブタノン) 、イルガキュア6 5 1 ( BASF社製 ベンジルメチルケタール)
、イルガキュア1 8 4 ( BASF社製 1 -ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
、ダロキュア1 1 73 ( メルク社製 2 -ヒドロキシ-2 -メチル-1 -フェニルプロパン-1 -オン) 、ダロキュア1 1 1 6 ( メルク社製 1 -( 4 -イソプロピルフェニル) -2 -ヒドロキシ-2 -メチルプロパン-1 -オン) 、4 -(
2 -ヒドロキシエトキシ) フェニル-( 2 -ヒドロキシ-2 -プロピル)ケトン、Z
L I 3 3 3 1 ( チバスペシャルティケミカルズ社製4 -( 2 -アクリロイル-オキシエトキシ) フェニル-2 -ヒドロキシ-2 -プロピルケトン、ジエトキシアセトフェノン、エサキュアーK I P 1
0 0 ( ラムベルティ社製) 、ルシリンT P O ( B A S F 社製) 、B T T B ( 日本油脂(
株) 製) 、C G I 1 7 0 0 ( チバスペシャルティケミカルズ社製等が例示される。
また、水素引き抜き型のベンゾフェノン、p -メチルベンゾフェノン、p -クロルベンゾフェノン、テトラクロロベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4 -フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4 -ベンゾイル-4 ' -メチル-ジフェニルサルファイド、2 -イソプロピルチオキサントン、2 , 4 -ジメチルチオキサントン、2 , 4ジエチルチオキサントン、2 , 4 ジクロロチオキサントン、アセトフェノン等のアリールケトン系開始剤、4
, 4 ' -ビス( ジエチルアミノ) ベンゾフェノン、4 , 4 ' -ビス(
ジメチルアミノ) ベンゾフェノン、p -ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p
-ジメチルアミノアセトフェノン等のジアルキルアミノアリールケトン系開始剤、チオキサントン、キサントン系、アミノアルコール系M D A のおよびそのハロゲン置換系の多環カルボニル系開始剤等が例示される。
これらは単独または適宣組み合わせにより用いる事も出来る。これらの開始剤は第1層または第2層のニス中に0 . 1 〜 3 0 重量% の範囲で用いるが、好ましくは1
〜 1 5 重量% の範囲である。
【0019】
本発明で使用される添加剤としては、重合禁止剤、重合開始助剤、耐摩擦剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
【0020】
重合開始助剤としては、水素供与体である第3級アミン類が用いられる。 具体的にはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の脂肪族アミンや、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の芳香族アミンが挙げられ、好ましくはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノンである。
【0021】
耐摩擦剤としては、カルナバ、木ろうなどの植物系ワックス、鯨ろう、ラノリンなどの動物系ワックス、モンタンなどの石油系ワックス(以上天然ワックス)やサゾール、ポリエチレンなどの合成炭化水素ワックス等を使用することができる。
【0022】
レベリング剤及び消泡剤としては、シリコーンオイル、シリコーンアクリレートなどのシリコーン系添加剤、アクリルポリマー等のアクリル系添加剤などを使用することができる。
【0023】
本発明の2層型オーバープリントニスにおいて、第2層に用いるニスはオリゴマー、二官能以上の(メタ)アクリレートモノマー、ラジカル重合開始剤及び添加剤を含有する。
【0024】
二官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ) アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(
メタ) アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0025】
三官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等が例示される。
また、四官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が例示される。
これらニ官能以上(メタ)アクリレートのその含有量は、前記第2層のニスに対し、10〜80重量%であり、好ましくは20〜75重量%である。
【0026】
オリゴマー及びラジカル重合開始剤及び添加剤は、第1層と同様のものが適宜使用される。 また、硬化物の硬さ、密着性等を調整するため第1層で用いるような単官能モノマーが適宜使用できる。
【0027】
本発明のオーバープリントニスは、第1層用、第2層用とも、前記した成分を混合、場合によっては加熱混合して製造され、その粘度は塗工方法により適宜選択される。
【0028】
また、本発明の印刷物は、基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上にグラビアロールコーター、オフセットグラビアロールコーター、フレキソロールコーター等を用いて第1層のオーバープリントニスを印刷或いは塗工し、活性エネルギー線を照射・硬化させた後、第2層のオーバープリントニスを印刷或いは塗工し、活性エネルギー線を照射・硬化させることにより作製される。
【0029】
本発明のオーバープリントニスは、紙、プラスチックフィルム、油性オフセット印刷物、UVオフセット印刷物などの基材に幅広く使用できる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
[使用材料]
本発明で用いた材料を表1〜6にまとめた。 なお、以下の実施例及び比較例では、材料名を表1〜6に記載の略称で表記する。 すなわち、表1の材料はA1〜A3、表2の材料はB1、B2、表3の材料はC1〜C3、表4の材料はD1、D2、表5の材料はE1〜E3、表6の材料はF1〜F3と略記する。 また、重量部は部、重量%は%で表記する。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【0038】
[オーバープリント印刷物の作製]
表7に示す各組成物を撹拌混合して(必要な場合は加熱する)、オーバープリントニスを調製した。
紙(北越マリコート(北越製紙コートボール))に油性オフセットインキを印刷した印刷物に、上記で調製した第1層となるオーバープリントニスをバーコーター#3で塗工した。 この塗工物を、12m/minのコンベヤーにのせ、コンベヤーの上部5cmの距離にある140mJ/cm2の強度を有する高圧水銀灯オゾンタイプ(フュージョンUVシステムズジャパン株式会社、F300S UVランプシステム)1灯の下を通過させ、これを2回繰り返した。
さらに、第2層となるオーバープリントニスをバーコーター#4で塗工し、同様の手法で硬化させてオーバープリント印刷物を作成した。
なお、1層のみの塗工の場合は、バーコーター#4で塗工し、同様の手法で硬化させた。
【0039】
【表7】

【0040】
[評価方法]
(1)デュロメータ硬さ
表7のオーバープリントニス組成物の夫々から光重合開始剤とその他の添加剤を除いた組成物3gに、光重合開始剤としてIrg819(BASF社製)0.015gを添加した混合物を、ガラス板の上に内径2.5cm高さ1cmのガラス製リングを置くことにより形成したガラス容器内に注入し、当該容器を12m/minのコンベヤーにのせ、コンベヤーの上部5cmの距離にある140mJ/cm2の強度を有する高圧水銀灯オゾンタイプ(フュージョンUVシステムズジャパン株式会社、F300S UVランプシステム)1灯の下を通過させ、これを6回繰り返した。
以上により得られた硬化物の同じものを2枚重ねて6mm以上の厚さとし、日本工業規格JIS K7215に準じてデュロメータ硬さを測定した。
なお、硬化条件を設定するにあたり、重合開始剤の種類と量、紫外線の強度と照射回数を変化させてデュロメータ硬さを測定し、その結果を基に、上記の条件であれば完全硬化したものと判断し、上記の方法を採用した。
【0041】
[オーバープリント印刷物の作製]で得られたオーバープリント印刷物について、下記記載の方法により(2)罫線割れ、(3)密着性、(4)光沢、(5)耐摩擦性、(6)糊付け適性、(7)臭気、(8)黄変度、(9)レベリング、について評価した。
【0042】
(2)罫線割れ
罫線プレートを評価対象物(紙)にあてがって、上から一定の力を加え、紙に凹凸をつけ、谷折りと山折りを1回ずつ行い、断面を観察する。
○: 谷折りと山折りを1回ずつ行ってもクラックが全く生じないか、極めて少ない。
△: 谷折りと山折りを1回ずつ行うと、クラックを生じ、触れると一部ニスが剥離する。
×: 谷折りと山折りを1回ずつ行うと、クラックを生じ、触れると大部分のニスが剥離するか、谷折りのみでクラックを生じる。
【0043】
(3)密着性
オーバープリント印刷物を1日放置後、セロハン粘着テープ(ニチバン(株)製 CT405AP−18)を印刷面に押し付けた後、そのセロハン粘着テープを剥がしたとき、テープ側にインキがほとんど取られていないか、一部が取られた場合を○、半分以上取られた場合を△、ほとんど取られた場合を×として評価した。
【0044】
(4)光沢
オーバープリント印刷物を1日放置後、ハンディ光度計(HG-268、スガ試験機(株)製)を用いて、5回測定した。その平均値を算出し、以下のように評価した。
○: 85以上
△: 80〜85未満
×: 80未満
【0045】
(5)耐摩擦性試験
オーバープリント印刷物を1日放置後、学振式堅牢度試験機(染色堅ろう度摩擦試験機FR−2、スガ試験機(株)製)を用いて、JIS−P8136に準じて、上質紙を摩擦用紙とし、500g加重で300回往復後の、摩擦面の変化を目視にて以下のように3段階で評価した。
○: 変化がないか、僅かにキズが認められる。
△: 一部(50%未満)に剥離が認められる。
×: 多くの部分(50%以上)に剥離が見られる。
【0046】
(6)糊付け適性
オーバープリント印刷物を1日放置後、エマルジョン接着剤(日栄加工社製;AV−650N)をバーコーター#8で塗工し、接着剤塗工面同士が接着するように折り曲げて、板にはさみ、その上から1Kgの重しをのせ1日放置した。この接着面を剥離しようとしたとき、紙剥けするものを○とし、紙剥けしないものは×とした。
【0047】
(7)臭気
オーバープリント印刷物についてパネラー3名がその臭いを嗅いで、臭いの強いものを1、臭いの弱いものを2、臭いの殆ど感じられないものを3として評価し、その平均値を評価点とし以下の基準で評価した。
○: 評価点が2.3以上
△: 評価点が2.3未満2.0以上
×: 評価点が2.0未満
【0048】
(8)黄変度
オーバープリント印刷物を色差計(X−Rite株式会社、X−Rite 938 Spectrodensitometer)で測定し、基材の印刷されていない部分のオーバープリント前と比べた黄変度ΔEにより評価した。
○: 0<ΔE≦3
△: 3<ΔE≦5
×: 5<ΔE
【0049】
(9)レベリング
上記[オーバープリント印刷物の作製]により作製したオーバープリント印刷物(方法1)及びグラビア校正機により作製したオーバープリント印刷物(方法2)の表面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○: 方法1でハジキがでず、方法2でハジキがでないか、ごく一部にハジキがでたもの。
△: 方法1でごく一部にハジキがでたもの。
×: 方法1で、ハジキがでたもの。
【0050】
[実施例及び比較例]
表7の各オーバープリントニス組成物を表8及び表9の組合わせで使用し、上記[オーバープリント印刷物の作製]に従ってオーバープリント印刷物を作成した。 これらの各オーバープリント印刷物に対し、前記(2)〜(8)の評価を実施し、その結果を表8に記載した。
【0051】
【表8】

【0052】
【表9】

【0053】
表8から、油性オフセット印刷物の上に、オーバープリント層としてデュロメータ硬さの柔らかい層と硬い層とを、この順番で形成したオーバープリント印刷物は、密着性及び光沢に優れ、罫線割れが殆ど見られないうえ、耐摩擦性や糊付け適性に優れ、硬化させたとき黄変が少なく、臭気も少なく、塗工表面が平滑なことが分かる。
一方、表9から、一層のみのオーバープリントニスである従来品(比較例1及び2)では、罫線割れや糊付け適性に問題を残している。また、デュロメータ硬さの硬いもの同士の組合せ(比較例10〜11)、柔らかいもののみ(比較例3)、硬いもののみ(比較例4)のオーバープリントニスでは、オーバープリントとしての基本的性能に欠けるものしか得られない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材となる紙、プラスチックフィルム又はそれらに印刷した印刷物の上に塗布する2層型オーバープリントニスであって、塗布する順に、第1層オーバープリントニスの硬化物のデュロメータ硬さ(日本工業規格JIS K7215に準じて測定した値)が第2層オーバープリントニスの硬化物のそれより小さいことを特徴とする活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス。
【請求項2】
前記第1層オーバープリントニスの硬化物のデュロメータ硬さがHDA10〜75、第2層オーバープリントニスの硬化物のデュロメータ硬さがHDA70〜100であることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス。
【請求項3】
前記第1層オーバープリントニスが単官能アクリルモノマーを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス。
【請求項4】
前記第2層オーバープリントニスがニ官能以上のアクリルモノマーを含有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性2層型オーバープリントニス。
【請求項5】
前記基材の上に、前記第1層オーバープリントニスを塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させた後、その上に前記第2層オーバープリントニスを塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とするオーバープリント印刷物の製造方法。
【請求項6】
前記基材の上に、2層のオーバープリントニス層が形成された印刷物であって、前記第1層オーバープリントニスを塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させた後、その上に前記第2層オーバープリントニスを塗工し、活性エネルギー線を照射して硬化させたことを特徴とするオーバープリント印刷物。

【公開番号】特開2013−35976(P2013−35976A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174554(P2011−174554)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】