活性種生成装置および空気調和機の室内機
【課題】放出口の大きさや放出方向を、活性種を生成する活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定できるようにする。
【解決手段】活性種生成装置60は、空気内において活性種を生成する活性種生成部61と、活性種生成部61を通過した空気が供給される供給口65aと、供給口65aから供給された空気を拡散して放出する放出口66aとを有する活性種放出部62とを備えている。
【解決手段】活性種生成装置60は、空気内において活性種を生成する活性種生成部61と、活性種生成部61を通過した空気が供給される供給口65aと、供給口65aから供給された空気を拡散して放出する放出口66aとを有する活性種放出部62とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性種生成装置およびこれを備えた空気調和機の室内機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電等を利用して電子やラジカル等の活性種を生成する活性種生成装置が知られている。活性種は、空気中に含まれる有害成分や臭気成分を分解する能力を有しており、この活性種生成装置は、空気の清浄化のために、例えば空気調和機の室内機に設けられている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の室内機は、放電により活性種を生成する放電ユニットを備えている。この放電ユニットは、空気の流通孔が複数形成された絶縁カバーと、この絶縁カバー内に配置される放電針および対向電極板とを有している。この放電ユニットは、熱交換器およびファンの上流側に配置されている。ファンの駆動により、流通孔から絶縁カバー内に空気が流入し、この空気は別の流通孔からケーシング内の空間に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−234330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の放電ユニットの場合、空気の放出口(流通孔)の大きさは、放電ユニットの大きさ(絶縁カバーの大きさ)に制限されるため、活性種を広範囲に均一に放出させることが困難であった。また、放電ユニットからの空気の放出方向も、放電ユニットの大きさや形状等に制限される。放電ユニットを大きくした場合には、放出口の大きさや放出方向を比較的自由に設定することができるが、放電ユニットの設置スペースを確保することが困難となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、放出口の大きさや放出方向を、活性種を生成する活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる活性種生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明に係る活性種生成装置は、空気内において活性種を生成する活性種生成部と、前記活性種生成部を通過した空気が供給される供給口と、前記供給口から供給された空気を拡散して放出する放出口とを有する活性種放出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
この活性種生成装置では、活性種生成部内の空気を一旦活性種放出部に流入させて拡散させてから放出するため、放出口の大きさや放出方向を、活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる。
【0009】
第2の発明に係る活性種生成装置は、第1の発明において、前記放出口の開口面積は、前記供給口の開口面積よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
この活性種生成装置では、活性種生成部から供給口を介して活性種放出部に供給された空気を、供給口よりも開口面積の大きい放出口から放出するため、活性種生成部から直接空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0011】
第3の発明に係る活性種生成装置は、第1または第2の発明において、前記活性種放出部の前記放出口は、複数の孔で構成されていることを特徴とする。
【0012】
この活性種生成装置では、活性種放出部は複数の孔から空気を放出するため、1つの孔から空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0013】
第4の発明に係る活性種生成装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記活性種放出部の前記供給口と前記放出口とが、互いに対向しない面に設けられていることを特徴とする。
【0014】
この活性種生成装置では、活性種生成部から活性種放出部に流入する空気の流れ方向とは異なる方向に、活性種放出部から空気を放出することができる。
【0015】
第5の発明に係る活性種生成装置は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記活性種放出部の前記放出口の開口率は、前記供給口からの距離に応じて増加することを特徴とする。
【0016】
この活性種生成装置では、活性種放出部の放出口のうち供給口に近い部分での空気の放出量と、供給口に遠い部分での空気の排出量との差を低減することができる。
【0017】
第6の発明に係る活性種生成装置は、第5の発明において、前記活性種放出部からの空気の放出量は、前記供給口からの距離にかかわらずほぼ一定であることを特徴とする。
【0018】
この活性種生成装置では、活性種放出部から空気を均一に放出できる。
【0019】
第7の発明に係る活性種生成装置は、第1〜第6のいずれかの発明において、前記活性種生成部に供給される前の空気が通過するフィルタを備えることを特徴とする。
【0020】
この活性種生成装置では、活性種生成部に流入する前に空気中の埃等をフィルタによって除去するため、活性種生成部に埃等が付着して活性種を生成する能力が低下するのを防止できる。
【0021】
第8の発明に係る活性種生成装置は、第1〜第7のいずれかの発明において、前記活性種放出部の奥行きは、前記活性種生成部の奥行きより小さいことを特徴とする。
【0022】
この活性種生成装置では、活性種放出部は奥行きが小さいため、設置スペースを確保しやすい。
【0023】
第9の発明に係る空気調和機の室内機は、第1〜第8のいずれかの発明に係る活性部生成装置を備えることを特徴とする。
【0024】
この空気調和機の室内機では、第1〜第8の発明に係る活性部生成装置と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0026】
第1の発明では、活性種生成部内の空気を一旦活性種放出部に流入させて拡散させてから放出するため、放出口の大きさや放出方向を、活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる。
【0027】
第2の発明では、活性種生成部から供給口を介して活性種放出部に供給された空気を、供給口よりも開口面積の大きい放出口から放出するため、活性種生成部から直接空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0028】
第3の発明では、活性種放出部は複数の孔から空気を放出するため、1つの孔から空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0029】
第4の発明では、活性種生成部から活性種放出部に流入する空気の流れ方向とは異なる方向に、活性種放出部から空気を放出することができる。
【0030】
第5の発明では、活性種放出部の放出口のうち供給口に近い部分での空気の放出量と、供給口に遠い部分での空気の排出量との差を低減することができる。
【0031】
第6の発明では、活性種放出部から空気を均一に放出できる。
【0032】
第7の発明では、活性種生成部に流入する前に空気中の埃等をフィルタによって除去するため、活性種生成部に埃等が付着して活性種を生成する能力が低下するのを防止できる。
【0033】
第8の発明では、活性種放出部は奥行きが小さいため、設置スペースを確保しやすい。
【0034】
第9の発明では、第1〜第8の発明に係る活性部生成装置と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機の斜視図である。
【図2】前面パネルが開いた状態の室内機の斜視図である。
【図3】前面パネルが開いた状態の室内機を略前方から視た斜視図である。
【図4】図3のA−A線に沿った断面図である。
【図5】前面パネルと2つの脱臭フィルタユニットのうちの一方を取り外した状態の室内機の斜視図である。
【図6】前面パネルと清掃ユニットと防塵フィルタユニットとを取り外した状態の室内機の斜視図である。
【図7】グリルの分解斜視図である。
【図8】グリルの部分拡大図である。
【図9】図3のB−B線に沿った部分拡大断面である。
【図10】図3のC−C線に沿った部分拡大断面である。
【図11】(a)はストリーマ放電ユニット(活性種生成装置)の一部を示す図であり、(b)は(a)を下方から視た図であり、(c)は(a)のD−D線に沿った断面図であり、(d)は(a)のE−E線に沿った断面図である。
【図12】ストリーマ放電部(活性種生成部)の分解斜視図である。
【図13】(a)はストリーマ放電部(活性種生成部)の構成部品を示す図であり、(b)は(a)のG−G線に沿った断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る室内機に適用される活性種放出部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機1について説明する。
【0037】
<室内機1の概略構成>
図1に示すように、本実施形態の室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に据え付けられるものである。室内機1は、図示しない室外機と共に空気調和機を構成しており、室内の冷暖房を行う。なお、以下の説明において、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図1に示す左右方向を単に「左右方向」と称する。
【0038】
図2および図4に示すように、室内機1は、グリル11とグリル11に対して開閉可能に設けられる前面パネル12とからなるケーシング10と、ケーシング10内に収容される本体部20、2つの防塵フィルタユニット30、清掃ユニット40、2つの脱臭フィルタユニット50、およびストリーマ放電ユニット(活性種生成装置)60を備えている。本体部20は、内部にファン21と熱交換器22とを収容するとともに、電装品ユニット23を備えている。また、図4および図9に示すように、室内機1は、ケーシング10に形成された吸込口13aと吹出口13bとを連通させる主流路2と、ケーシング10に形成された補助吸込口3から吸い込まれた空気を主流路2に導く補助流路4(4a〜4e)(図4、図9、図10参照)を有している。なお、図3に示す矢印は、補助流路4の空気の流れを示している。
【0039】
この室内機1においては、ファン21の駆動により、吸込口13aと補助吸込口3とから室内の空気がケーシング10内に吸い込まれる。吸込口13aから吸い込まれた空気は、防塵フィルタユニット30を通過した後、直接または脱臭フィルタユニット50を通過してから、熱交換器22とファン21とを通過して、ケーシング10の下部に形成された吹出口13bから室内に吹き出される(図4参照)。また、補助吸込口3からケーシング10内に吸い込まれた空気は、ストリーマ放電ユニット60を通過した後(図3の矢印参照)、防塵フィルタユニット30と脱臭フィルタユニット50と熱交換器22とファン21とを順に通過して吹出口13bから室内に吹き出される(図4参照)。
【0040】
<室内機1の構成要素>
[ケーシング10]
図4等に示すように、ケーシング10は、後方が開口した略直方体状の箱状に形成されたグリル11と、グリル11の前面を覆う前面パネル12とから構成されている。
【0041】
(グリル11)
グリル11は、本体部20を覆うように、本体部20に取り付けられている。図7に示すように、グリル11は、グリル本体13と、取付部63と、蓋部66とを有する。取付部63および蓋部66は、ストリーマ放電ユニット60の一部を兼ねている。
【0042】
図4および図5等に示すように、グリル本体13の天井部には、吸込口13aが形成されている。図4および図7等に示すように、グリル本体13の下部には、吹出口13bが形成されている。吹出口13bは、左右方向に長い矩形状の開口である。
【0043】
図4および図7等に示すように、グリル本体13は、前面の上側略半分に、開口部13cを有している。この開口部13cの内側には、防塵フィルタユニット30の前端部と清掃ユニット40とが配置されている。また、開口部13cの下方には、左右方向に細長い矩形状の2つの挿入口13dが、左右に並んで形成されている。図5等に示すように、この挿入口13dから脱臭フィルタユニット50が本体部20内に挿入されている。
【0044】
図7等に示すように、2つの挿入口13dの下方には、収容部13eと凹部65が左右に並んで形成されている。収容部13eは、室内機1の長手方向の中央より左側に形成されており、凹部65は、室内機1の長手方向のほぼ中央に形成されている。図9等に示すように、収容部13e内には取付部63が配置され、この取付部63内にはストリーマ放電ユニット60のストリーマ放電部61が配置されている。また、凹部65の前側には、凹部65を覆うように蓋部66が配置されている。
【0045】
図6に示すように、グリル本体13の前面には、3つのネジ用凹部17a、17b、17cが形成されている。図8に示すように、ネジ用凹部17aは、その奥面に孔を有しており、この孔に挿通されるネジによってグリル本体13は本体部20に取り付けられている。ネジ用凹部17b、17cもネジ用凹部17aと同様の形状であって、グリル本体13を本体部20にネジ止めするために設けられている。
【0046】
図3に示すように、グリル本体13の前面の下端部には、4つのフック係合部18a、18b、18c、18dが略左右方向に並んで形成されている。このフック係合部18a〜18dには、前面パネル12の裏面に形成されたフック12a〜12dが係合されており、前面パネル12を閉状態に保持している。フック係合部18a、18b、18dは、それぞれ、グリル本体13の前面の下端部において、左端、左右方向の略中央、右端に形成されている。フック係合部18cは、フック係合部18bとフック係合部18dとの略中央に形成されている。そのため、ストリーマ放電部61を挟んで隣接するフック係合部18a、18bの離間距離は、フック係合部18b、18cの離間距離、および、フック係合部18c、18dの離間距離のいずれよりも大きい。
【0047】
(前面パネル12)
図2に示すように、前面パネル12は、グリル11の前側に配置され、その左右両端の上端部が、グリル11に対して回転可能に取り付けられている。これにより、前面パネル12は、グリル11に対して開閉可能となっている。前面パネル12の裏面の下端部には、4つのフック12a〜12dが形成されている。
【0048】
図4、図9および図10に示すように、前面パネル12の下端部は、グリル11の前面に密着しておらず、両者の間には隙間が形成されている。この隙間のうち、ストリーマ放電部61の下方の部分(図9および図10に表れている部分)が、補助吸込口3を構成している。また、前面パネル12は、プラスチックで形成されており、そのため、フック12a〜12dとフック係合部18a〜18dとが係合した状態では、隣接する2つのフック間において前方に膨らむように若干たわむ。補助吸込口3を挟んで隣接するフック12a、12bの離間距離は、フック12b、12cの離間距離、および、フック12c、12dの離間距離のいずれよりも大きいため、前面パネル12において補助吸込口3を構成する部分のたわみ量は、前面パネル12の下端部の他の部分よりも大きい。したがって、補助吸込口3は、前面パネル12の下端部とグリル11の前面との隙間のうち補助吸込口3に対応しない部分よりも広くなっている。
【0049】
また、図4に示すように、前面パネル12の裏面とこれに対向する面(グリル11の前面、脱臭フィルタユニット50の前面、および清掃ユニット40の前面)との間には、隙間が形成されている。この隙間の一部が、補助流路4の一部を構成している。具体的には、図9および図10に示すように、グリル11の前面のうち収容部13eの下方の部分と、前面パネル12の裏面との隙間が、第1流路4aを構成している。また、図4に示すように、蓋部66(活性種放出部62)の前面、2つの脱臭フィルタユニット50の前面のうち蓋部66の上方の部分、および、清掃ユニット40の前面のうち蓋部66の上方の部分と、前面パネル12の裏面との隙間が、第5流路4eを構成している。
【0050】
[本体部20]
図4に示すように、本体部20には、グリル11に形成された吸込口13aと吹出口13bとを連通させる主流路2が形成されている。主流路2の吹出口13b近傍には、水平羽根20bが設けられている。水平羽根20bは、吹出口13bから吹き出される空気流の上下方向の風向きを変更すると共に、吹出口13bの開閉を行う。
【0051】
主流路2にはファン21と熱交換器22が配置されている。ファン21は、軸流ファン21と呼ばれるものであって、その軸方向が左右方向に沿うように配置されている。ファン21は、上前方の空気を吸い込んで、下後方に吹き出すようになっている。熱交換器22は、ファン21の上方と前方を取り囲むように配置されている。また、本体部20の下部の前側部分には、電装品ユニット23が配置されている。電装品ユニット23は、ストリーマ放電ユニット60の活性種放出部62の後方に位置している。また、この電装品ユニット23の左側には、ストリーマ放電部61が配置されている。
【0052】
[防塵フィルタユニット30]
図4および図5に示すように、2つの防塵フィルタユニット30は、グリル11内の吸込口13aに近接する位置に左右に並んで配置されている。防塵フィルタユニット30は、前面パネル12を開いた状態で、開口部13cから本体部20内に挿脱可能となっている。
【0053】
防塵フィルタユニット30は、防塵フィルタ31と、フレーム32とから構成されている。防塵フィルタ31は、通過する空気中に含まれる比較的大きな埃等を捕捉するためのものであって、合成樹脂製の網で構成されている。防塵フィルタ31は、環状に形成されており、フレーム32は、この環状の防塵フィルタ31を内側から保持するように構成されている。フレーム32は、防塵フィルタ31の前端部を下斜め方向に傾斜させるように形成されている。また、フレーム32は、防塵フィルタ31の内側の前端に配置されたピニオン32aを有する。このピニオン32aは、本体部20に設けられたモータ(図示省略)によって回転駆動される。
【0054】
[清掃ユニット40]
清掃ユニット40は、防塵フィルタ31を掃除するためのものである。図4に示すように、清掃ユニット40は、防塵フィルタ31の前端部の下方に配置されており、前面パネル12を開いた状態で、開口部13cからグリル11および本体部20に対して着脱可能となっている。清掃ユニット40は、左右方向に延在する回転ブラシ41と、回転ブラシ41についた埃を掻き出すための櫛42と、この櫛42の前方に近接して設けられ、左右方向に延在して回転する圧縮ローラ43と、圧縮ローラ43と櫛42との間で圧縮された埃が収納されるダストボックス44とを備えている。
【0055】
防塵フィルタユニット30のピニオン32aを回転させると、防塵フィルタ31は、清掃ユニット40の回転ブラシ41に表面が当接した状態で回転する。これにより、防塵フィルタ31に付着した埃等は、回転ブラシ41により取り除かれる。取り除かれた埃等は、圧縮ローラ43により圧縮されてダストボックス44に収納される。
【0056】
[脱臭フィルタユニット50]
図4に示すように、脱臭フィルタユニット50は、脱臭フィルタ51と、フレーム52とから構成されている。脱臭フィルタユニット50は、前面パネル12を開いた状態で、挿入口13dから本体部20内に挿入されている。脱臭フィルタ51は、防塵フィルタ31の前端部と対向するように、防塵フィルタ31の前端部と熱交換器22との間に位置している。
【0057】
脱臭フィルタ51は、例えばハニカム構造の基材の表面に吸着剤とプラズマ触媒とを担持させたものである。吸着剤は、空気中の臭気成分や有害成分を吸着するものであって、具体的には、ゼオライトや活性炭が用いられる。プラズマ触媒は、ストリーマ放電部61で生成した活性種を活性化させて、有害成分や臭気成分の分解を促進させるものであって、具体的には、マンガン系触媒や貴金属系触媒などが用いられる。
【0058】
[ストリーマ放電ユニット60]
図4等に示すように、ストリーマ放電ユニット(活性種生成装置)60は、主流路2から外れた位置に、前面パネル12の裏面と対向するように配置されている。ストリーマ放電ユニット60は、ストリーマ放電部(活性種生成部)61と、活性種放出部62と、取付部63と、補助防塵フィルタ64とを有している。
【0059】
(取付部63および補助防塵フィルタ64)
上述したように、取付部63は、グリル11の構成部品の1つであって、グリル本体13に形成された収容部13e内に配置されている。収容部13eは、後方に凹んだ形状に形成されている。取付部63は、前方が開口した略直方体状の箱状に形成されている。この取付部63内には、ストリーマ放電部61が着脱可能に配置されている。図9および図11等に示すように、取付部63の下壁63aには、補助吸込口3から吸い込まれた空気をストリーマ放電部61に流入させるための流入口63bが形成されている。図11に示すように、取付部63の右壁63cの前端部には、矩形状の切欠部63dが形成されている。この切欠部63dは、ストリーマ放電部61内の空気を流出させる流出口となっている。図11および図10に示すように、取付部63の後壁63eには、2つの貫通孔63fが形成されている。この2つの貫通孔63fには、ストリーマ放電部61の後述する2つの接続突起61a、61bが挿通されている。
【0060】
図9および図11等に示すように、取付部63は、流入口63bの左右両端部の前方に、前面パネル12とほぼ直交する方向に延在する2つのガイドレール63gを有する。このガイドレール63gと取付部63の下壁63aとの間に、矩形板状であって、防塵フィルタ31と同様の合成樹脂製の網を有する補助防塵フィルタ64が保持されている。つまり、補助防塵フィルタ64は、流入口63bの前に配置されている。補助防塵フィルタ64は、ストリーマ放電部61が取付部63から取り外された状態において、取付部63に着脱可能となっている。また、図8および図9等に示すように、この補助防塵フィルタ64と収容部13eの下壁との間には隙間(第2流路)4bが形成されている。第2流路4bは、補助流路4の一部を構成している。
【0061】
(ストリーマ放電部61)
図12に示すように、ストリーマ放電部61は、絶縁性合成樹脂で形成された筐体部71および蓋部72と、筐体部71と蓋部72で囲まれた空間内に配置される放電電極板81、放電針82および対向電極板85と、放電電極板81に電気的に接続される接続板83と、対向電極板85に電気的に接続される接続板86とを有している。
【0062】
図9および図12等に示すように、筐体部71は、前方が開口した直方体状の略箱状に形成されている。筐体部71の前方の開口は、略矩形状に形成された蓋部72で覆われている。筐体部71内の空間(第3流路)4cは、補助流路4の一部を構成している。
【0063】
筐体部71の下壁71aには、補助吸込口3から吸い込まれた空気を筐体部71内に流入させる流入口71bが形成されている。図12に示すように、筐体部71の右壁71cの前端部には、矩形状の切欠部71dが形成されている。この切欠部71dは、筐体部71内の空気を流出させる流出口となっている。
【0064】
図9および図13等に示すように、筐体部71は、後壁71eから前方(詳細には、後壁71eに対して垂直方向)に突出する4本の電極板支持柱74〜77を有している。電極板支持柱74〜77は、略左右方向に並んで配置されている。内側の2本の電極板支持柱75、76の後壁71eからの突出長さは、互いに同じである。外側の2本の電極板支持柱74、77の後壁71eからの突出長さは、互いに同じであって、電極板支持柱75、76よりも長い。電極板支持柱74〜77には、ネジ孔74a〜77aが形成されている。電極板支持柱75、77には、ネジ孔75a、77aの下方に、貫通孔75b、77bが形成されている。貫通孔75b、77bは、筐体部71の後壁71eを貫通している。また、筐体部71は、後壁71eから後方(詳細には、後壁71eに対して垂直方向)に突出する2本の補強部78、79を有する。補強部78、79は、それぞれ、貫通孔75b、77bの内面のうち上側の部分と連続するように形成されている。
【0065】
図12に示すように、放電電極板81は、細長い矩形状の金属板であって、その長手方向の両端部が電極板支持柱75、76の前端にネジ84で固定されている。図9および図10に示すように、放電電極板81は、筐体部71の後壁71eと平行(前面パネル12と平行)であって、左右方向に延在している。また、図12に示すように。放電電極板81は、ネジ84が挿通される孔の下方に、接続板83が挿通される貫通孔81aを有している。
【0066】
また、図9および図12等に示すように、放電電極板81には、前方に向かって突出する2つの放電針保持部81bが、左右に並んで形成されている。放電針保持部81bは、筐体部71の下壁71aと平行である。放電針保持部81bの前端部は折り返されており、この折り返し部分に放電針82が挟み込まれている。放電針82は、左右方向に延在しており、両端部が放電針保持部81bから突出している。放電針82は、線径が例えば0.2mmのタングステン線で構成されている。
【0067】
図12に示すように、接続板83は、一端が垂直に折り曲げられた細長い略矩形状の金属板である。図10に示すように、接続板83は、放電電極板81の貫通孔81aと電極板支持柱75の貫通孔75bに挿通されているとともに、垂直に折り曲げられた前記一端部(前端部)が、放電電極板81と共にネジ84で電極板支持柱75に固定されている。接続板83の後側略半分は、補強部78に沿って配置されている。接続板83の後端部には、下方に突出するように折り曲げられた屈曲部83aが形成されている。
【0068】
図12に示すように、対向電極板85は、放電電極板81よりも大きい矩形状の金属板であって、その長手方向の両端部が電極板支持柱74、77の前端にネジ87で固定されている。図9および図10に示すように、対向電極板85は、放電電極板81の前方に、放電電極板81と平行に配置されている。また、図12に示すように、対向電極板85は、ネジ87が挿通される孔の下方に、接続板86が挿通される貫通孔85aを有している。
【0069】
図12に示すように、接続板86は、接続板83とほぼ同様の形状の金属板であって、その長手方向長さが接続板83よりも長い。接続板86は、対向電極板85の貫通孔85aと電極板支持柱77の貫通孔77bに挿通されているとともに、垂直に折り曲げられた一端部(前端部)が、対向電極板85と共にネジ87で電極支持柱77に固定されている。接続板86の後端部には、接続板83の屈曲部83aと同様の形状の屈曲部86aが形成されている。
【0070】
図10に示すように、接続板83のうち後壁71eから後方に突出している部分と、補強部78とを合わせて、接続突起61aとする。接続突起61aは、取付部63の貫通孔63fを貫通し、その先端部が、本体部20に設けられた本体接続板20cと挟持ブロック20dとの間に挿抜可能に配置されている。また、接続板86のうち後壁71eから後方に突出している部分と、補強部79とを合わせて、接続突起61bとする。図示は省略するが、接続突起61bは、接続突起61aと同様に、取付部63の貫通孔63fを貫通し、その先端部が、本体部20に設けられた本体接続板20cと挟持ブロック20dとの間に挿抜可能に配置されている。したがって、ストリーマ放電部61は、グリル11の取付部63に着脱可能に保持されていると共に、本体部20に着脱可能に装着されている。
【0071】
ここで、本体部20に設けられた本体接続板20cおよび挟持ブロック20dについて説明する。
本体接続板20cは、180度折り曲げられた金属板であって、左右方向に並んで2つ配置されている。2つの本体接続板20cは、それぞれ、接続板83、86と接触して電気的に接続されている。接続板83に電気的に接続される本体接続板20cは、電装品ユニット23内の電源部の正極側に接続されている。また、接続板86に電気的に接続される本体接続板20cは、電源部の負極側(アース側)に接続されている。挟持ブロック20dは、2つの本体接続板20cの上方に配置されている。本体接続板20cと挟持ブロック20dとの間に接続突起61aが配置されている状態では、本体接続板20cと接続板83の屈曲部83aは、互いに押圧されて弾性変形しているため、接続突起61aは、本体接続板20cと挟持ブロック20dとの間で挟持されている。接続突起61bについても同様である。
【0072】
ストリーマ放電部61においては、放電針82に電圧が印加されると、放電針82の両端から対向電極板85に向かってストリーマ放電が発生し、これにより、低温プラズマが生成される。この低温プラズマによって、高速電子、イオン、水酸化ラジカル、励起酸素分子などの活性種が生成される。これらの活性種は、アンモニア類や、アルデヒド類、窒素酸化物等の小さな有機分子からなる空気中の有害成分や臭気成分を分解する能力を有する。
【0073】
(活性種放出部62)
図4に示すように、活性種放出部62は、凹部65とこの凹部65を覆う蓋部66とから構成されており、吸込口13aの長手方向の中央に対して両側にわたって形成されている。図7に示すように、凹部65は、前側と左側とが開口した略直方体状の箱状に形成されている。凹部65内の空間(第4流路4d)は、補助流路4の一部を構成している。凹部65の左側の開口は、ストリーマ放電部61の切欠部71dから(取付部63の切欠部63dを介して)流出した空気を凹部65内に供給する供給口65aとなっている。また、凹部65の左右方向略中央の下部にはフック係合部18bが設けられており、凹部65はこのフック係合部18bを取り囲むように形成されている。凹部65は、その奥行き(グリル11の前面に直交する方向の長さ)が収容部13eよりも短く、その幅(前面パネル12に沿った略上下方向長さ)は収容部13eより若干大きい。
【0074】
蓋部66は、左右方向に細長い略矩形状の板部材である。蓋部66には、複数の円形孔66aが形成されている。この複数の円形孔66aが、凹部65内の空気を放出させる放出口となっている。複数の円形孔66aの全開口面積は、供給口65aの開口面積よりも大きい。複数の円形孔66aは、全て同じ大きさであって、フック係合部18bが設けられている範囲を除いて上下方向および左右方向に等間隔に均等に配置されている。
【0075】
<補助流路4>
補助流路4は、前面パネル12の裏面とグリル11との隙間で構成される第1流路4aと(図9参照)、収容部13eの内壁と補助防塵フィルタ64との隙間で構成される第2流路4b(図9参照)と、ストリーマ放電部61内の第3流路4c(図9参照)と、活性種放出部62内の第4流路4d(図4参照)と、活性種放出部62の前面およびその上側の面と、前面パネル12の裏面との隙間で構成される第5流路4e(図4参照)で構成されている。補助吸込口3から吸い込まれた空気は、第1流路4a、第2流路4b、第3流路4c、第4流路4d、第5流路4eを順に通って、主流路2における防塵フィルタ31の上流側に送られる(図3中、矢印で示した空気の流れ参照)。
【0076】
<室内機1の動作>
次に、室内機1の動作について説明する。
ファン21を駆動させることにより、吸込口13aと、前面パネル12の下端とグリル11との隙間とから室内の空気がケーシング10内に吸い込まれる。
【0077】
吸込口13aから吸い込まれた空気は、まず、防塵フィルタ31を通過する。このとき、空気に含まれる比較的大きな埃等が除去される。防塵フィルタ31を通過した空気の一部は、脱臭フィルタ51を通過する。このとき、空気に含まれる有害成分や臭気成分が除去されて脱臭および除菌される。その後、空気は熱交換器22を通過して熱交換されてから、ファン21を通過して吹出口13bから吹き出される。
【0078】
図9に示すように、前面パネル12の下端とグリル11との隙間のうち、ストリーマ放電部61の下方の部分、即ち、補助吸込口3から吸い込まれた空気は、第1流路4aを通って、第2流路4bに流入した後、補助防塵フィルタ64を通過してストリーマ放電部61(第3流路4c)に流入する。なお、補助防塵フィルタ64を通過する際に、空気に含まれる比較的大きな埃等が除去される。
【0079】
ストリーマ放電部61内では、放電針82と対向電極板85との間でストリーマ放電が生じ、これにより、活性種が生成される。この活性種によって、空気中の有害成分や臭気成分が分解される。
【0080】
ストリーマ放電部61内の空気は、供給口65aから活性種放出部62(第4流路4d)に流入し、活性種放出部62内で拡散されてから、複数の円形孔66aから前面パネル12の裏面に向かって放出される。
【0081】
図4に示すように、複数の円形孔66aから放出された空気は、第5流路4eを通って、主流路2における防塵フィルタ31の上流側に導かれる。そして、この空気は防塵フィルタ31と脱臭フィルタ51とを通過した後、熱交換器22とファン21を通過して、吹出口13bから吹き出される。
【0082】
ストリーマ放電ユニット60から放出された空気が脱臭フィルタ51を通過する際、空気に含まれる活性種は、プラズマ触媒によって活性化されると共に、脱臭フィルタ51に吸着された有害成分や臭気成分を分解する。これにより、脱臭フィルタ51は吸着性能が再生される。
また、ストリーマ放電ユニット60から放出された空気は、第5流路4eによって主流路2に導かれているため、主流路2内の空気に含まれる有害成分や臭気成分を活性種で分解することができる。
【0083】
<本実施形態の室内機1の特徴>
本実施形態では、ストリーマ放電ユニット60は、ストリーマ放電部61内の空気を直接ケーシング10内に放出せず、一旦活性種放出部62に流入させて拡散させてからケーシング10内に放出するため、放出口の大きさや放出方向を、ストリーマ放電部61の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる。
【0084】
本実施形態では、ストリーマ放電部61から供給口65aを介して活性種放出部62に供給された空気を、供給口65aよりも開口面積の大きい放出口(複数の円形孔66a)から放出するため、ストリーマ放電部61から直接空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0085】
本実施形態では、活性種放出部62は、複数の円形孔66aから空気を放出するため、1つの孔から空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0086】
本実施形態では、活性種放出部62は、供給口65aと放出口(複数の円形孔66a)とが、互いに対向しない面に設けられているため、ストリーマ放電部61から活性種放出部62に流入する空気の流れ方向とは異なる方向に、活性種放出部62から空気を放出することができる。
【0087】
また、活性種放出部62を設けずに、ストリーマ放電部61内の空気を直接ケーシング10内に放出させる場合、活性種を主流路2の左右両側に均等に送るためには、ストリーマ放電部61を室内機1の長手方向中央の位置に配置することが好ましいが、この位置には通常、電装品ユニットが配置されているため、ストリーマ放電部61の設置スペースを確保することは困難である。したがって、活性種を主流路2の左右両側に均等に送ることは難しい。
本実施形態では、ストリーマ放電ユニット60は活性種放出部62を有するため、ストリーマ放電部61の設置位置は、室内機1の長手方向中央でなくてもよいため、設置スペースを確保しやすい。また、活性種放出部62は、ストリーマ放電部61よりも奥行きが小さいため、設置スペースを容易に確保できる。
【0088】
また、活性種放出部62は、吸込口13aの長手方向中央に対して両側にわたって配置されているため、活性種放出部62から放出された空気は、主流路2における吸込口13aの長手方向の一端側だけに送られるのではなく、吸込口13aの長手方向中央に対する両側部分に送られる。そのため、活性種を含む空気を、2つの脱臭フィルタ51にほぼ均等に送ることができる。
さらに、本実施形態では、活性種放出部62は、室内機1の長手方向のほぼ中央に配置されているため、活性種を含む空気を、2つの脱臭フィルタ51により均等に送ることができる。
【0089】
本実施形態では、ストリーマ放電部61に供給される前の空気中の埃等を補助防塵フィルタ64によって除去しているため、ストリーマ放電部61に埃が付着して活性種を生成する能力が低下するのを防止できる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。なお、後述する変更形態は、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0091】
上記実施形態では、ストリーマ放電ユニット60は、前面パネル12の裏面に対向する位置に配置されているが、ストリーマ放電ユニット60の配置位置はこれに限定されない。例えば、グリル11内における主流路2から外れた位置にストリーマ放電ユニット60を配置してもよい。また、例えば、補助吸込口3と補助流路4を設けず、主流路2にストリーマ放電ユニット60を配置してもよい。具体的には、防塵フィルタ31と脱臭フィルタ51との間にストリーマ放電ユニット60を配置してもよい。
【0092】
上記実施形態では、活性種放出部62の蓋部66に形成されている複数の円形孔66a(放出口)の開口率は一定であるが、活性種放出部62の放出口の開口率は、供給口65aからの距離に応じて増加するように構成されていてもよい。この構成によると、放出口のうち供給口65aに近い部分での空気の放出量と、供給口65aに遠い部分での空気の排出量との差を低減することができる。また、放出口の開口率を調整することによって、放出口からの空気の放出量を、供給口65aからの距離にかかわらずほぼ一定にすることが好ましい。これにより、活性種放出部62から空気を均一に放出することができる。
【0093】
例えば図14(a)に示す蓋部166のように、供給口65aから離れた部分における複数の円形孔166a2の配置間隔が、供給口65aに近い部分における複数の円形孔166a1の配置間隔より狭くなっていてもよい。また、複数の円形孔の配置間隔が、供給口65aから離れるにつれて徐々に狭くなっていてもよい。
【0094】
また、例えば図14(b)に示す蓋部266のように、供給口65aから離れた部分における円形孔266a2の大きさが、供給口65aに近い部分における円形孔266a1の大きさより大きくなっていてもよい。また、複数の円形孔の大きさが、供給口65aから離れるにつれて徐々に大きくなっていてもよい。
【0095】
また、例えば図14(c)に示す蓋部366のように、供給口65aから離れた部分における円形孔366a2の上下方向の配列数が、供給口65aに近い部分における円形孔366a1の上下方向の配列数より多くなっていてもよい。また、円形孔の上下方向の配列数が、供給口65aから離れるにつれて徐々に多くなっていてもよい。
【0096】
また、活性種放出部62の蓋部66に設けられる放出口の構成は、複数の円形孔に限定されるものではない。
【0097】
例えば図14(d)に示す蓋部466のように、放出口が、上下方向に並んで配置された左右方向に延在する複数のスリット466aで構成されていてもよい。なお、図14(d)では、4本のスリット466aは、その開口率が、供給口65aからの距離に応じて増加するように形成されているが、開口率が一定となるように形成されていてもよい。
【0098】
また、例えば図14(e)に示す蓋部566のように、放出口が、網目状または格子状の開口566aで構成されていてもよい。なお、図14(e)では、網目状または格子状の開口は、その開口率が、供給口65aからの距離に応じて増加するように形成されているが、開口率が一定となるように形成されていてもよい。
【0099】
上記実施形態では、活性種放出部62の数は1つであるが、1つのストリーマ放電部に対して2つ以上の活性種放出部を設けてもよい。この場合、2つの活性種放出部は、吸入口13aの長手方向中央に対して両側に配置されることが好ましい。
【0100】
上記実施形態では、ストリーマ放電によって活性種を生成したが、グロー放電やバリア放電で活性種を生成してもよく、また、光触媒に紫外線を照射することで活性種を生成してもよい。
【0101】
上記実施形態では、本発明の活性種生成装置を、壁据付型の室内機に本発明を適用した一例を説明したが、本発明は、床置型の室内機に適用してもよい。また、本発明の活性種生成装置は、室内機以外の装置(例えば、空気清浄機)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明を利用すれば、活性種生成装置における放出口の大きさや放出方向を、活性種を生成する活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 室内機
60 ストリーマ放電ユニット(活性種生成装置)
61 ストリーマ放電部(活性種生成部)
62 活性種放出部
65a 供給口
66a 円形孔(放出口)
63 取付部
64 補助防塵フィルタ(フィルタ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性種生成装置およびこれを備えた空気調和機の室内機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電等を利用して電子やラジカル等の活性種を生成する活性種生成装置が知られている。活性種は、空気中に含まれる有害成分や臭気成分を分解する能力を有しており、この活性種生成装置は、空気の清浄化のために、例えば空気調和機の室内機に設けられている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の室内機は、放電により活性種を生成する放電ユニットを備えている。この放電ユニットは、空気の流通孔が複数形成された絶縁カバーと、この絶縁カバー内に配置される放電針および対向電極板とを有している。この放電ユニットは、熱交換器およびファンの上流側に配置されている。ファンの駆動により、流通孔から絶縁カバー内に空気が流入し、この空気は別の流通孔からケーシング内の空間に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−234330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の放電ユニットの場合、空気の放出口(流通孔)の大きさは、放電ユニットの大きさ(絶縁カバーの大きさ)に制限されるため、活性種を広範囲に均一に放出させることが困難であった。また、放電ユニットからの空気の放出方向も、放電ユニットの大きさや形状等に制限される。放電ユニットを大きくした場合には、放出口の大きさや放出方向を比較的自由に設定することができるが、放電ユニットの設置スペースを確保することが困難となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、放出口の大きさや放出方向を、活性種を生成する活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる活性種生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明に係る活性種生成装置は、空気内において活性種を生成する活性種生成部と、前記活性種生成部を通過した空気が供給される供給口と、前記供給口から供給された空気を拡散して放出する放出口とを有する活性種放出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
この活性種生成装置では、活性種生成部内の空気を一旦活性種放出部に流入させて拡散させてから放出するため、放出口の大きさや放出方向を、活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる。
【0009】
第2の発明に係る活性種生成装置は、第1の発明において、前記放出口の開口面積は、前記供給口の開口面積よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
この活性種生成装置では、活性種生成部から供給口を介して活性種放出部に供給された空気を、供給口よりも開口面積の大きい放出口から放出するため、活性種生成部から直接空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0011】
第3の発明に係る活性種生成装置は、第1または第2の発明において、前記活性種放出部の前記放出口は、複数の孔で構成されていることを特徴とする。
【0012】
この活性種生成装置では、活性種放出部は複数の孔から空気を放出するため、1つの孔から空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0013】
第4の発明に係る活性種生成装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記活性種放出部の前記供給口と前記放出口とが、互いに対向しない面に設けられていることを特徴とする。
【0014】
この活性種生成装置では、活性種生成部から活性種放出部に流入する空気の流れ方向とは異なる方向に、活性種放出部から空気を放出することができる。
【0015】
第5の発明に係る活性種生成装置は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記活性種放出部の前記放出口の開口率は、前記供給口からの距離に応じて増加することを特徴とする。
【0016】
この活性種生成装置では、活性種放出部の放出口のうち供給口に近い部分での空気の放出量と、供給口に遠い部分での空気の排出量との差を低減することができる。
【0017】
第6の発明に係る活性種生成装置は、第5の発明において、前記活性種放出部からの空気の放出量は、前記供給口からの距離にかかわらずほぼ一定であることを特徴とする。
【0018】
この活性種生成装置では、活性種放出部から空気を均一に放出できる。
【0019】
第7の発明に係る活性種生成装置は、第1〜第6のいずれかの発明において、前記活性種生成部に供給される前の空気が通過するフィルタを備えることを特徴とする。
【0020】
この活性種生成装置では、活性種生成部に流入する前に空気中の埃等をフィルタによって除去するため、活性種生成部に埃等が付着して活性種を生成する能力が低下するのを防止できる。
【0021】
第8の発明に係る活性種生成装置は、第1〜第7のいずれかの発明において、前記活性種放出部の奥行きは、前記活性種生成部の奥行きより小さいことを特徴とする。
【0022】
この活性種生成装置では、活性種放出部は奥行きが小さいため、設置スペースを確保しやすい。
【0023】
第9の発明に係る空気調和機の室内機は、第1〜第8のいずれかの発明に係る活性部生成装置を備えることを特徴とする。
【0024】
この空気調和機の室内機では、第1〜第8の発明に係る活性部生成装置と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0026】
第1の発明では、活性種生成部内の空気を一旦活性種放出部に流入させて拡散させてから放出するため、放出口の大きさや放出方向を、活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる。
【0027】
第2の発明では、活性種生成部から供給口を介して活性種放出部に供給された空気を、供給口よりも開口面積の大きい放出口から放出するため、活性種生成部から直接空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0028】
第3の発明では、活性種放出部は複数の孔から空気を放出するため、1つの孔から空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0029】
第4の発明では、活性種生成部から活性種放出部に流入する空気の流れ方向とは異なる方向に、活性種放出部から空気を放出することができる。
【0030】
第5の発明では、活性種放出部の放出口のうち供給口に近い部分での空気の放出量と、供給口に遠い部分での空気の排出量との差を低減することができる。
【0031】
第6の発明では、活性種放出部から空気を均一に放出できる。
【0032】
第7の発明では、活性種生成部に流入する前に空気中の埃等をフィルタによって除去するため、活性種生成部に埃等が付着して活性種を生成する能力が低下するのを防止できる。
【0033】
第8の発明では、活性種放出部は奥行きが小さいため、設置スペースを確保しやすい。
【0034】
第9の発明では、第1〜第8の発明に係る活性部生成装置と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機の斜視図である。
【図2】前面パネルが開いた状態の室内機の斜視図である。
【図3】前面パネルが開いた状態の室内機を略前方から視た斜視図である。
【図4】図3のA−A線に沿った断面図である。
【図5】前面パネルと2つの脱臭フィルタユニットのうちの一方を取り外した状態の室内機の斜視図である。
【図6】前面パネルと清掃ユニットと防塵フィルタユニットとを取り外した状態の室内機の斜視図である。
【図7】グリルの分解斜視図である。
【図8】グリルの部分拡大図である。
【図9】図3のB−B線に沿った部分拡大断面である。
【図10】図3のC−C線に沿った部分拡大断面である。
【図11】(a)はストリーマ放電ユニット(活性種生成装置)の一部を示す図であり、(b)は(a)を下方から視た図であり、(c)は(a)のD−D線に沿った断面図であり、(d)は(a)のE−E線に沿った断面図である。
【図12】ストリーマ放電部(活性種生成部)の分解斜視図である。
【図13】(a)はストリーマ放電部(活性種生成部)の構成部品を示す図であり、(b)は(a)のG−G線に沿った断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る室内機に適用される活性種放出部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機1について説明する。
【0037】
<室内機1の概略構成>
図1に示すように、本実施形態の室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に据え付けられるものである。室内機1は、図示しない室外機と共に空気調和機を構成しており、室内の冷暖房を行う。なお、以下の説明において、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図1に示す左右方向を単に「左右方向」と称する。
【0038】
図2および図4に示すように、室内機1は、グリル11とグリル11に対して開閉可能に設けられる前面パネル12とからなるケーシング10と、ケーシング10内に収容される本体部20、2つの防塵フィルタユニット30、清掃ユニット40、2つの脱臭フィルタユニット50、およびストリーマ放電ユニット(活性種生成装置)60を備えている。本体部20は、内部にファン21と熱交換器22とを収容するとともに、電装品ユニット23を備えている。また、図4および図9に示すように、室内機1は、ケーシング10に形成された吸込口13aと吹出口13bとを連通させる主流路2と、ケーシング10に形成された補助吸込口3から吸い込まれた空気を主流路2に導く補助流路4(4a〜4e)(図4、図9、図10参照)を有している。なお、図3に示す矢印は、補助流路4の空気の流れを示している。
【0039】
この室内機1においては、ファン21の駆動により、吸込口13aと補助吸込口3とから室内の空気がケーシング10内に吸い込まれる。吸込口13aから吸い込まれた空気は、防塵フィルタユニット30を通過した後、直接または脱臭フィルタユニット50を通過してから、熱交換器22とファン21とを通過して、ケーシング10の下部に形成された吹出口13bから室内に吹き出される(図4参照)。また、補助吸込口3からケーシング10内に吸い込まれた空気は、ストリーマ放電ユニット60を通過した後(図3の矢印参照)、防塵フィルタユニット30と脱臭フィルタユニット50と熱交換器22とファン21とを順に通過して吹出口13bから室内に吹き出される(図4参照)。
【0040】
<室内機1の構成要素>
[ケーシング10]
図4等に示すように、ケーシング10は、後方が開口した略直方体状の箱状に形成されたグリル11と、グリル11の前面を覆う前面パネル12とから構成されている。
【0041】
(グリル11)
グリル11は、本体部20を覆うように、本体部20に取り付けられている。図7に示すように、グリル11は、グリル本体13と、取付部63と、蓋部66とを有する。取付部63および蓋部66は、ストリーマ放電ユニット60の一部を兼ねている。
【0042】
図4および図5等に示すように、グリル本体13の天井部には、吸込口13aが形成されている。図4および図7等に示すように、グリル本体13の下部には、吹出口13bが形成されている。吹出口13bは、左右方向に長い矩形状の開口である。
【0043】
図4および図7等に示すように、グリル本体13は、前面の上側略半分に、開口部13cを有している。この開口部13cの内側には、防塵フィルタユニット30の前端部と清掃ユニット40とが配置されている。また、開口部13cの下方には、左右方向に細長い矩形状の2つの挿入口13dが、左右に並んで形成されている。図5等に示すように、この挿入口13dから脱臭フィルタユニット50が本体部20内に挿入されている。
【0044】
図7等に示すように、2つの挿入口13dの下方には、収容部13eと凹部65が左右に並んで形成されている。収容部13eは、室内機1の長手方向の中央より左側に形成されており、凹部65は、室内機1の長手方向のほぼ中央に形成されている。図9等に示すように、収容部13e内には取付部63が配置され、この取付部63内にはストリーマ放電ユニット60のストリーマ放電部61が配置されている。また、凹部65の前側には、凹部65を覆うように蓋部66が配置されている。
【0045】
図6に示すように、グリル本体13の前面には、3つのネジ用凹部17a、17b、17cが形成されている。図8に示すように、ネジ用凹部17aは、その奥面に孔を有しており、この孔に挿通されるネジによってグリル本体13は本体部20に取り付けられている。ネジ用凹部17b、17cもネジ用凹部17aと同様の形状であって、グリル本体13を本体部20にネジ止めするために設けられている。
【0046】
図3に示すように、グリル本体13の前面の下端部には、4つのフック係合部18a、18b、18c、18dが略左右方向に並んで形成されている。このフック係合部18a〜18dには、前面パネル12の裏面に形成されたフック12a〜12dが係合されており、前面パネル12を閉状態に保持している。フック係合部18a、18b、18dは、それぞれ、グリル本体13の前面の下端部において、左端、左右方向の略中央、右端に形成されている。フック係合部18cは、フック係合部18bとフック係合部18dとの略中央に形成されている。そのため、ストリーマ放電部61を挟んで隣接するフック係合部18a、18bの離間距離は、フック係合部18b、18cの離間距離、および、フック係合部18c、18dの離間距離のいずれよりも大きい。
【0047】
(前面パネル12)
図2に示すように、前面パネル12は、グリル11の前側に配置され、その左右両端の上端部が、グリル11に対して回転可能に取り付けられている。これにより、前面パネル12は、グリル11に対して開閉可能となっている。前面パネル12の裏面の下端部には、4つのフック12a〜12dが形成されている。
【0048】
図4、図9および図10に示すように、前面パネル12の下端部は、グリル11の前面に密着しておらず、両者の間には隙間が形成されている。この隙間のうち、ストリーマ放電部61の下方の部分(図9および図10に表れている部分)が、補助吸込口3を構成している。また、前面パネル12は、プラスチックで形成されており、そのため、フック12a〜12dとフック係合部18a〜18dとが係合した状態では、隣接する2つのフック間において前方に膨らむように若干たわむ。補助吸込口3を挟んで隣接するフック12a、12bの離間距離は、フック12b、12cの離間距離、および、フック12c、12dの離間距離のいずれよりも大きいため、前面パネル12において補助吸込口3を構成する部分のたわみ量は、前面パネル12の下端部の他の部分よりも大きい。したがって、補助吸込口3は、前面パネル12の下端部とグリル11の前面との隙間のうち補助吸込口3に対応しない部分よりも広くなっている。
【0049】
また、図4に示すように、前面パネル12の裏面とこれに対向する面(グリル11の前面、脱臭フィルタユニット50の前面、および清掃ユニット40の前面)との間には、隙間が形成されている。この隙間の一部が、補助流路4の一部を構成している。具体的には、図9および図10に示すように、グリル11の前面のうち収容部13eの下方の部分と、前面パネル12の裏面との隙間が、第1流路4aを構成している。また、図4に示すように、蓋部66(活性種放出部62)の前面、2つの脱臭フィルタユニット50の前面のうち蓋部66の上方の部分、および、清掃ユニット40の前面のうち蓋部66の上方の部分と、前面パネル12の裏面との隙間が、第5流路4eを構成している。
【0050】
[本体部20]
図4に示すように、本体部20には、グリル11に形成された吸込口13aと吹出口13bとを連通させる主流路2が形成されている。主流路2の吹出口13b近傍には、水平羽根20bが設けられている。水平羽根20bは、吹出口13bから吹き出される空気流の上下方向の風向きを変更すると共に、吹出口13bの開閉を行う。
【0051】
主流路2にはファン21と熱交換器22が配置されている。ファン21は、軸流ファン21と呼ばれるものであって、その軸方向が左右方向に沿うように配置されている。ファン21は、上前方の空気を吸い込んで、下後方に吹き出すようになっている。熱交換器22は、ファン21の上方と前方を取り囲むように配置されている。また、本体部20の下部の前側部分には、電装品ユニット23が配置されている。電装品ユニット23は、ストリーマ放電ユニット60の活性種放出部62の後方に位置している。また、この電装品ユニット23の左側には、ストリーマ放電部61が配置されている。
【0052】
[防塵フィルタユニット30]
図4および図5に示すように、2つの防塵フィルタユニット30は、グリル11内の吸込口13aに近接する位置に左右に並んで配置されている。防塵フィルタユニット30は、前面パネル12を開いた状態で、開口部13cから本体部20内に挿脱可能となっている。
【0053】
防塵フィルタユニット30は、防塵フィルタ31と、フレーム32とから構成されている。防塵フィルタ31は、通過する空気中に含まれる比較的大きな埃等を捕捉するためのものであって、合成樹脂製の網で構成されている。防塵フィルタ31は、環状に形成されており、フレーム32は、この環状の防塵フィルタ31を内側から保持するように構成されている。フレーム32は、防塵フィルタ31の前端部を下斜め方向に傾斜させるように形成されている。また、フレーム32は、防塵フィルタ31の内側の前端に配置されたピニオン32aを有する。このピニオン32aは、本体部20に設けられたモータ(図示省略)によって回転駆動される。
【0054】
[清掃ユニット40]
清掃ユニット40は、防塵フィルタ31を掃除するためのものである。図4に示すように、清掃ユニット40は、防塵フィルタ31の前端部の下方に配置されており、前面パネル12を開いた状態で、開口部13cからグリル11および本体部20に対して着脱可能となっている。清掃ユニット40は、左右方向に延在する回転ブラシ41と、回転ブラシ41についた埃を掻き出すための櫛42と、この櫛42の前方に近接して設けられ、左右方向に延在して回転する圧縮ローラ43と、圧縮ローラ43と櫛42との間で圧縮された埃が収納されるダストボックス44とを備えている。
【0055】
防塵フィルタユニット30のピニオン32aを回転させると、防塵フィルタ31は、清掃ユニット40の回転ブラシ41に表面が当接した状態で回転する。これにより、防塵フィルタ31に付着した埃等は、回転ブラシ41により取り除かれる。取り除かれた埃等は、圧縮ローラ43により圧縮されてダストボックス44に収納される。
【0056】
[脱臭フィルタユニット50]
図4に示すように、脱臭フィルタユニット50は、脱臭フィルタ51と、フレーム52とから構成されている。脱臭フィルタユニット50は、前面パネル12を開いた状態で、挿入口13dから本体部20内に挿入されている。脱臭フィルタ51は、防塵フィルタ31の前端部と対向するように、防塵フィルタ31の前端部と熱交換器22との間に位置している。
【0057】
脱臭フィルタ51は、例えばハニカム構造の基材の表面に吸着剤とプラズマ触媒とを担持させたものである。吸着剤は、空気中の臭気成分や有害成分を吸着するものであって、具体的には、ゼオライトや活性炭が用いられる。プラズマ触媒は、ストリーマ放電部61で生成した活性種を活性化させて、有害成分や臭気成分の分解を促進させるものであって、具体的には、マンガン系触媒や貴金属系触媒などが用いられる。
【0058】
[ストリーマ放電ユニット60]
図4等に示すように、ストリーマ放電ユニット(活性種生成装置)60は、主流路2から外れた位置に、前面パネル12の裏面と対向するように配置されている。ストリーマ放電ユニット60は、ストリーマ放電部(活性種生成部)61と、活性種放出部62と、取付部63と、補助防塵フィルタ64とを有している。
【0059】
(取付部63および補助防塵フィルタ64)
上述したように、取付部63は、グリル11の構成部品の1つであって、グリル本体13に形成された収容部13e内に配置されている。収容部13eは、後方に凹んだ形状に形成されている。取付部63は、前方が開口した略直方体状の箱状に形成されている。この取付部63内には、ストリーマ放電部61が着脱可能に配置されている。図9および図11等に示すように、取付部63の下壁63aには、補助吸込口3から吸い込まれた空気をストリーマ放電部61に流入させるための流入口63bが形成されている。図11に示すように、取付部63の右壁63cの前端部には、矩形状の切欠部63dが形成されている。この切欠部63dは、ストリーマ放電部61内の空気を流出させる流出口となっている。図11および図10に示すように、取付部63の後壁63eには、2つの貫通孔63fが形成されている。この2つの貫通孔63fには、ストリーマ放電部61の後述する2つの接続突起61a、61bが挿通されている。
【0060】
図9および図11等に示すように、取付部63は、流入口63bの左右両端部の前方に、前面パネル12とほぼ直交する方向に延在する2つのガイドレール63gを有する。このガイドレール63gと取付部63の下壁63aとの間に、矩形板状であって、防塵フィルタ31と同様の合成樹脂製の網を有する補助防塵フィルタ64が保持されている。つまり、補助防塵フィルタ64は、流入口63bの前に配置されている。補助防塵フィルタ64は、ストリーマ放電部61が取付部63から取り外された状態において、取付部63に着脱可能となっている。また、図8および図9等に示すように、この補助防塵フィルタ64と収容部13eの下壁との間には隙間(第2流路)4bが形成されている。第2流路4bは、補助流路4の一部を構成している。
【0061】
(ストリーマ放電部61)
図12に示すように、ストリーマ放電部61は、絶縁性合成樹脂で形成された筐体部71および蓋部72と、筐体部71と蓋部72で囲まれた空間内に配置される放電電極板81、放電針82および対向電極板85と、放電電極板81に電気的に接続される接続板83と、対向電極板85に電気的に接続される接続板86とを有している。
【0062】
図9および図12等に示すように、筐体部71は、前方が開口した直方体状の略箱状に形成されている。筐体部71の前方の開口は、略矩形状に形成された蓋部72で覆われている。筐体部71内の空間(第3流路)4cは、補助流路4の一部を構成している。
【0063】
筐体部71の下壁71aには、補助吸込口3から吸い込まれた空気を筐体部71内に流入させる流入口71bが形成されている。図12に示すように、筐体部71の右壁71cの前端部には、矩形状の切欠部71dが形成されている。この切欠部71dは、筐体部71内の空気を流出させる流出口となっている。
【0064】
図9および図13等に示すように、筐体部71は、後壁71eから前方(詳細には、後壁71eに対して垂直方向)に突出する4本の電極板支持柱74〜77を有している。電極板支持柱74〜77は、略左右方向に並んで配置されている。内側の2本の電極板支持柱75、76の後壁71eからの突出長さは、互いに同じである。外側の2本の電極板支持柱74、77の後壁71eからの突出長さは、互いに同じであって、電極板支持柱75、76よりも長い。電極板支持柱74〜77には、ネジ孔74a〜77aが形成されている。電極板支持柱75、77には、ネジ孔75a、77aの下方に、貫通孔75b、77bが形成されている。貫通孔75b、77bは、筐体部71の後壁71eを貫通している。また、筐体部71は、後壁71eから後方(詳細には、後壁71eに対して垂直方向)に突出する2本の補強部78、79を有する。補強部78、79は、それぞれ、貫通孔75b、77bの内面のうち上側の部分と連続するように形成されている。
【0065】
図12に示すように、放電電極板81は、細長い矩形状の金属板であって、その長手方向の両端部が電極板支持柱75、76の前端にネジ84で固定されている。図9および図10に示すように、放電電極板81は、筐体部71の後壁71eと平行(前面パネル12と平行)であって、左右方向に延在している。また、図12に示すように。放電電極板81は、ネジ84が挿通される孔の下方に、接続板83が挿通される貫通孔81aを有している。
【0066】
また、図9および図12等に示すように、放電電極板81には、前方に向かって突出する2つの放電針保持部81bが、左右に並んで形成されている。放電針保持部81bは、筐体部71の下壁71aと平行である。放電針保持部81bの前端部は折り返されており、この折り返し部分に放電針82が挟み込まれている。放電針82は、左右方向に延在しており、両端部が放電針保持部81bから突出している。放電針82は、線径が例えば0.2mmのタングステン線で構成されている。
【0067】
図12に示すように、接続板83は、一端が垂直に折り曲げられた細長い略矩形状の金属板である。図10に示すように、接続板83は、放電電極板81の貫通孔81aと電極板支持柱75の貫通孔75bに挿通されているとともに、垂直に折り曲げられた前記一端部(前端部)が、放電電極板81と共にネジ84で電極板支持柱75に固定されている。接続板83の後側略半分は、補強部78に沿って配置されている。接続板83の後端部には、下方に突出するように折り曲げられた屈曲部83aが形成されている。
【0068】
図12に示すように、対向電極板85は、放電電極板81よりも大きい矩形状の金属板であって、その長手方向の両端部が電極板支持柱74、77の前端にネジ87で固定されている。図9および図10に示すように、対向電極板85は、放電電極板81の前方に、放電電極板81と平行に配置されている。また、図12に示すように、対向電極板85は、ネジ87が挿通される孔の下方に、接続板86が挿通される貫通孔85aを有している。
【0069】
図12に示すように、接続板86は、接続板83とほぼ同様の形状の金属板であって、その長手方向長さが接続板83よりも長い。接続板86は、対向電極板85の貫通孔85aと電極板支持柱77の貫通孔77bに挿通されているとともに、垂直に折り曲げられた一端部(前端部)が、対向電極板85と共にネジ87で電極支持柱77に固定されている。接続板86の後端部には、接続板83の屈曲部83aと同様の形状の屈曲部86aが形成されている。
【0070】
図10に示すように、接続板83のうち後壁71eから後方に突出している部分と、補強部78とを合わせて、接続突起61aとする。接続突起61aは、取付部63の貫通孔63fを貫通し、その先端部が、本体部20に設けられた本体接続板20cと挟持ブロック20dとの間に挿抜可能に配置されている。また、接続板86のうち後壁71eから後方に突出している部分と、補強部79とを合わせて、接続突起61bとする。図示は省略するが、接続突起61bは、接続突起61aと同様に、取付部63の貫通孔63fを貫通し、その先端部が、本体部20に設けられた本体接続板20cと挟持ブロック20dとの間に挿抜可能に配置されている。したがって、ストリーマ放電部61は、グリル11の取付部63に着脱可能に保持されていると共に、本体部20に着脱可能に装着されている。
【0071】
ここで、本体部20に設けられた本体接続板20cおよび挟持ブロック20dについて説明する。
本体接続板20cは、180度折り曲げられた金属板であって、左右方向に並んで2つ配置されている。2つの本体接続板20cは、それぞれ、接続板83、86と接触して電気的に接続されている。接続板83に電気的に接続される本体接続板20cは、電装品ユニット23内の電源部の正極側に接続されている。また、接続板86に電気的に接続される本体接続板20cは、電源部の負極側(アース側)に接続されている。挟持ブロック20dは、2つの本体接続板20cの上方に配置されている。本体接続板20cと挟持ブロック20dとの間に接続突起61aが配置されている状態では、本体接続板20cと接続板83の屈曲部83aは、互いに押圧されて弾性変形しているため、接続突起61aは、本体接続板20cと挟持ブロック20dとの間で挟持されている。接続突起61bについても同様である。
【0072】
ストリーマ放電部61においては、放電針82に電圧が印加されると、放電針82の両端から対向電極板85に向かってストリーマ放電が発生し、これにより、低温プラズマが生成される。この低温プラズマによって、高速電子、イオン、水酸化ラジカル、励起酸素分子などの活性種が生成される。これらの活性種は、アンモニア類や、アルデヒド類、窒素酸化物等の小さな有機分子からなる空気中の有害成分や臭気成分を分解する能力を有する。
【0073】
(活性種放出部62)
図4に示すように、活性種放出部62は、凹部65とこの凹部65を覆う蓋部66とから構成されており、吸込口13aの長手方向の中央に対して両側にわたって形成されている。図7に示すように、凹部65は、前側と左側とが開口した略直方体状の箱状に形成されている。凹部65内の空間(第4流路4d)は、補助流路4の一部を構成している。凹部65の左側の開口は、ストリーマ放電部61の切欠部71dから(取付部63の切欠部63dを介して)流出した空気を凹部65内に供給する供給口65aとなっている。また、凹部65の左右方向略中央の下部にはフック係合部18bが設けられており、凹部65はこのフック係合部18bを取り囲むように形成されている。凹部65は、その奥行き(グリル11の前面に直交する方向の長さ)が収容部13eよりも短く、その幅(前面パネル12に沿った略上下方向長さ)は収容部13eより若干大きい。
【0074】
蓋部66は、左右方向に細長い略矩形状の板部材である。蓋部66には、複数の円形孔66aが形成されている。この複数の円形孔66aが、凹部65内の空気を放出させる放出口となっている。複数の円形孔66aの全開口面積は、供給口65aの開口面積よりも大きい。複数の円形孔66aは、全て同じ大きさであって、フック係合部18bが設けられている範囲を除いて上下方向および左右方向に等間隔に均等に配置されている。
【0075】
<補助流路4>
補助流路4は、前面パネル12の裏面とグリル11との隙間で構成される第1流路4aと(図9参照)、収容部13eの内壁と補助防塵フィルタ64との隙間で構成される第2流路4b(図9参照)と、ストリーマ放電部61内の第3流路4c(図9参照)と、活性種放出部62内の第4流路4d(図4参照)と、活性種放出部62の前面およびその上側の面と、前面パネル12の裏面との隙間で構成される第5流路4e(図4参照)で構成されている。補助吸込口3から吸い込まれた空気は、第1流路4a、第2流路4b、第3流路4c、第4流路4d、第5流路4eを順に通って、主流路2における防塵フィルタ31の上流側に送られる(図3中、矢印で示した空気の流れ参照)。
【0076】
<室内機1の動作>
次に、室内機1の動作について説明する。
ファン21を駆動させることにより、吸込口13aと、前面パネル12の下端とグリル11との隙間とから室内の空気がケーシング10内に吸い込まれる。
【0077】
吸込口13aから吸い込まれた空気は、まず、防塵フィルタ31を通過する。このとき、空気に含まれる比較的大きな埃等が除去される。防塵フィルタ31を通過した空気の一部は、脱臭フィルタ51を通過する。このとき、空気に含まれる有害成分や臭気成分が除去されて脱臭および除菌される。その後、空気は熱交換器22を通過して熱交換されてから、ファン21を通過して吹出口13bから吹き出される。
【0078】
図9に示すように、前面パネル12の下端とグリル11との隙間のうち、ストリーマ放電部61の下方の部分、即ち、補助吸込口3から吸い込まれた空気は、第1流路4aを通って、第2流路4bに流入した後、補助防塵フィルタ64を通過してストリーマ放電部61(第3流路4c)に流入する。なお、補助防塵フィルタ64を通過する際に、空気に含まれる比較的大きな埃等が除去される。
【0079】
ストリーマ放電部61内では、放電針82と対向電極板85との間でストリーマ放電が生じ、これにより、活性種が生成される。この活性種によって、空気中の有害成分や臭気成分が分解される。
【0080】
ストリーマ放電部61内の空気は、供給口65aから活性種放出部62(第4流路4d)に流入し、活性種放出部62内で拡散されてから、複数の円形孔66aから前面パネル12の裏面に向かって放出される。
【0081】
図4に示すように、複数の円形孔66aから放出された空気は、第5流路4eを通って、主流路2における防塵フィルタ31の上流側に導かれる。そして、この空気は防塵フィルタ31と脱臭フィルタ51とを通過した後、熱交換器22とファン21を通過して、吹出口13bから吹き出される。
【0082】
ストリーマ放電ユニット60から放出された空気が脱臭フィルタ51を通過する際、空気に含まれる活性種は、プラズマ触媒によって活性化されると共に、脱臭フィルタ51に吸着された有害成分や臭気成分を分解する。これにより、脱臭フィルタ51は吸着性能が再生される。
また、ストリーマ放電ユニット60から放出された空気は、第5流路4eによって主流路2に導かれているため、主流路2内の空気に含まれる有害成分や臭気成分を活性種で分解することができる。
【0083】
<本実施形態の室内機1の特徴>
本実施形態では、ストリーマ放電ユニット60は、ストリーマ放電部61内の空気を直接ケーシング10内に放出せず、一旦活性種放出部62に流入させて拡散させてからケーシング10内に放出するため、放出口の大きさや放出方向を、ストリーマ放電部61の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる。
【0084】
本実施形態では、ストリーマ放電部61から供給口65aを介して活性種放出部62に供給された空気を、供給口65aよりも開口面積の大きい放出口(複数の円形孔66a)から放出するため、ストリーマ放電部61から直接空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0085】
本実施形態では、活性種放出部62は、複数の円形孔66aから空気を放出するため、1つの孔から空気を放出する場合に比べて、広範囲に空気を放出することができる。
【0086】
本実施形態では、活性種放出部62は、供給口65aと放出口(複数の円形孔66a)とが、互いに対向しない面に設けられているため、ストリーマ放電部61から活性種放出部62に流入する空気の流れ方向とは異なる方向に、活性種放出部62から空気を放出することができる。
【0087】
また、活性種放出部62を設けずに、ストリーマ放電部61内の空気を直接ケーシング10内に放出させる場合、活性種を主流路2の左右両側に均等に送るためには、ストリーマ放電部61を室内機1の長手方向中央の位置に配置することが好ましいが、この位置には通常、電装品ユニットが配置されているため、ストリーマ放電部61の設置スペースを確保することは困難である。したがって、活性種を主流路2の左右両側に均等に送ることは難しい。
本実施形態では、ストリーマ放電ユニット60は活性種放出部62を有するため、ストリーマ放電部61の設置位置は、室内機1の長手方向中央でなくてもよいため、設置スペースを確保しやすい。また、活性種放出部62は、ストリーマ放電部61よりも奥行きが小さいため、設置スペースを容易に確保できる。
【0088】
また、活性種放出部62は、吸込口13aの長手方向中央に対して両側にわたって配置されているため、活性種放出部62から放出された空気は、主流路2における吸込口13aの長手方向の一端側だけに送られるのではなく、吸込口13aの長手方向中央に対する両側部分に送られる。そのため、活性種を含む空気を、2つの脱臭フィルタ51にほぼ均等に送ることができる。
さらに、本実施形態では、活性種放出部62は、室内機1の長手方向のほぼ中央に配置されているため、活性種を含む空気を、2つの脱臭フィルタ51により均等に送ることができる。
【0089】
本実施形態では、ストリーマ放電部61に供給される前の空気中の埃等を補助防塵フィルタ64によって除去しているため、ストリーマ放電部61に埃が付着して活性種を生成する能力が低下するのを防止できる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。なお、後述する変更形態は、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0091】
上記実施形態では、ストリーマ放電ユニット60は、前面パネル12の裏面に対向する位置に配置されているが、ストリーマ放電ユニット60の配置位置はこれに限定されない。例えば、グリル11内における主流路2から外れた位置にストリーマ放電ユニット60を配置してもよい。また、例えば、補助吸込口3と補助流路4を設けず、主流路2にストリーマ放電ユニット60を配置してもよい。具体的には、防塵フィルタ31と脱臭フィルタ51との間にストリーマ放電ユニット60を配置してもよい。
【0092】
上記実施形態では、活性種放出部62の蓋部66に形成されている複数の円形孔66a(放出口)の開口率は一定であるが、活性種放出部62の放出口の開口率は、供給口65aからの距離に応じて増加するように構成されていてもよい。この構成によると、放出口のうち供給口65aに近い部分での空気の放出量と、供給口65aに遠い部分での空気の排出量との差を低減することができる。また、放出口の開口率を調整することによって、放出口からの空気の放出量を、供給口65aからの距離にかかわらずほぼ一定にすることが好ましい。これにより、活性種放出部62から空気を均一に放出することができる。
【0093】
例えば図14(a)に示す蓋部166のように、供給口65aから離れた部分における複数の円形孔166a2の配置間隔が、供給口65aに近い部分における複数の円形孔166a1の配置間隔より狭くなっていてもよい。また、複数の円形孔の配置間隔が、供給口65aから離れるにつれて徐々に狭くなっていてもよい。
【0094】
また、例えば図14(b)に示す蓋部266のように、供給口65aから離れた部分における円形孔266a2の大きさが、供給口65aに近い部分における円形孔266a1の大きさより大きくなっていてもよい。また、複数の円形孔の大きさが、供給口65aから離れるにつれて徐々に大きくなっていてもよい。
【0095】
また、例えば図14(c)に示す蓋部366のように、供給口65aから離れた部分における円形孔366a2の上下方向の配列数が、供給口65aに近い部分における円形孔366a1の上下方向の配列数より多くなっていてもよい。また、円形孔の上下方向の配列数が、供給口65aから離れるにつれて徐々に多くなっていてもよい。
【0096】
また、活性種放出部62の蓋部66に設けられる放出口の構成は、複数の円形孔に限定されるものではない。
【0097】
例えば図14(d)に示す蓋部466のように、放出口が、上下方向に並んで配置された左右方向に延在する複数のスリット466aで構成されていてもよい。なお、図14(d)では、4本のスリット466aは、その開口率が、供給口65aからの距離に応じて増加するように形成されているが、開口率が一定となるように形成されていてもよい。
【0098】
また、例えば図14(e)に示す蓋部566のように、放出口が、網目状または格子状の開口566aで構成されていてもよい。なお、図14(e)では、網目状または格子状の開口は、その開口率が、供給口65aからの距離に応じて増加するように形成されているが、開口率が一定となるように形成されていてもよい。
【0099】
上記実施形態では、活性種放出部62の数は1つであるが、1つのストリーマ放電部に対して2つ以上の活性種放出部を設けてもよい。この場合、2つの活性種放出部は、吸入口13aの長手方向中央に対して両側に配置されることが好ましい。
【0100】
上記実施形態では、ストリーマ放電によって活性種を生成したが、グロー放電やバリア放電で活性種を生成してもよく、また、光触媒に紫外線を照射することで活性種を生成してもよい。
【0101】
上記実施形態では、本発明の活性種生成装置を、壁据付型の室内機に本発明を適用した一例を説明したが、本発明は、床置型の室内機に適用してもよい。また、本発明の活性種生成装置は、室内機以外の装置(例えば、空気清浄機)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明を利用すれば、活性種生成装置における放出口の大きさや放出方向を、活性種を生成する活性種生成部の形状および配置位置に係わらず自由に設定することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 室内機
60 ストリーマ放電ユニット(活性種生成装置)
61 ストリーマ放電部(活性種生成部)
62 活性種放出部
65a 供給口
66a 円形孔(放出口)
63 取付部
64 補助防塵フィルタ(フィルタ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気内において活性種を生成する活性種生成部と、
前記活性種生成部を通過した空気が供給される供給口と、前記供給口から供給された空気を拡散して放出する放出口とを有する活性種放出部とを備えることを特徴とする活性種生成装置。
【請求項2】
前記放出口の開口面積は、前記供給口の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の活性種生成装置。
【請求項3】
前記活性種放出部の前記放出口は、複数の孔で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の活性種生成装置。
【請求項4】
前記活性種放出部の前記供給口と前記放出口とが、互いに対向しない面に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性種生成装置。
【請求項5】
前記活性種放出部の前記放出口の開口率は、前記供給口からの距離に応じて増加することを特徴とする請求項1〜4に記載の活性部生成装置。
【請求項6】
前記活性種放出部からの空気の放出量は、前記供給口からの距離にかかわらずほぼ一定であることを特徴とする請求項5に記載の活性種生成装置。
【請求項7】
前記活性種生成部に供給される前の空気が通過するフィルタを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の活性種生成装置。
【請求項8】
前記活性種放出部の奥行きは、前記活性種生成部の奥行きより小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の活性部生成装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の活性部生成装置を備えることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項1】
空気内において活性種を生成する活性種生成部と、
前記活性種生成部を通過した空気が供給される供給口と、前記供給口から供給された空気を拡散して放出する放出口とを有する活性種放出部とを備えることを特徴とする活性種生成装置。
【請求項2】
前記放出口の開口面積は、前記供給口の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の活性種生成装置。
【請求項3】
前記活性種放出部の前記放出口は、複数の孔で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の活性種生成装置。
【請求項4】
前記活性種放出部の前記供給口と前記放出口とが、互いに対向しない面に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性種生成装置。
【請求項5】
前記活性種放出部の前記放出口の開口率は、前記供給口からの距離に応じて増加することを特徴とする請求項1〜4に記載の活性部生成装置。
【請求項6】
前記活性種放出部からの空気の放出量は、前記供給口からの距離にかかわらずほぼ一定であることを特徴とする請求項5に記載の活性種生成装置。
【請求項7】
前記活性種生成部に供給される前の空気が通過するフィルタを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の活性種生成装置。
【請求項8】
前記活性種放出部の奥行きは、前記活性種生成部の奥行きより小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の活性部生成装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の活性部生成装置を備えることを特徴とする空気調和機の室内機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−52779(P2012−52779A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197982(P2010−197982)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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