活線切分工具
【課題】伸縮棒の一端に揺動可能に電線把持部を配設して作業能率よく活線の切分を行うことができ、かつその電線把持部の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止できる活線切分工具を提供する。
【解決手段】伸縮操作可能な伸縮棒2の両端部に第1と第2の電線把持部3、4を配設した活線切分工具1であって、第1の電線把持部3に、その把持機構5を伸縮棒2の軸心方向に沿った姿勢と略90°屈曲した姿勢との間で揺動自在に伸縮棒2の一端に連結する第1の連結手段6を設けるとともに、第1の連結手段6に把持機構5の自在な揺動に制動力を付与する制動手段25を設け、第2の電線把持部7には、その把持機構5を伸縮棒2の軸心方向に沿った姿勢で伸縮棒2の他端に連結する第2の連結手段7を設けた。
【解決手段】伸縮操作可能な伸縮棒2の両端部に第1と第2の電線把持部3、4を配設した活線切分工具1であって、第1の電線把持部3に、その把持機構5を伸縮棒2の軸心方向に沿った姿勢と略90°屈曲した姿勢との間で揺動自在に伸縮棒2の一端に連結する第1の連結手段6を設けるとともに、第1の連結手段6に把持機構5の自在な揺動に制動力を付与する制動手段25を設け、第2の電線把持部7には、その把持機構5を伸縮棒2の軸心方向に沿った姿勢で伸縮棒2の他端に連結する第2の連結手段7を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱間に架設された通電状態の高圧線等の電線(通電状態の電線を活線と称する)を切断する活線切分工法に用いる活線切分工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電柱と電柱の間に架設された活線を切断する活線切分工法として、切断箇所の両側に間隔をあけた位置を一対の掴線具にて掴持し、その後これらの掴線具を引張具に接続してこの引張具にて両掴線具を引き寄せて活線の切断箇所を弛ませ、弛ませた状態で切断具で切断する活線切分工法が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記従来の活線切分工法では作業の難しい工程が多くて作業効率が悪いという問題があったため、図13に示すように、伸縮操作可能な伸縮棒52の両端に一対の掴線器53、54を取付けるとともに、一端の掴線器53は伸縮棒52に対して回動自在に連結した活線切分工具51を用い、一方の掴線器53を活線Wの切断箇所の一側部に引っ掛けた後、伸縮棒52を活線に沿わせて他方の掴線器54を切断箇所の他側部に引っ掛け、次に遠隔操作棒55にて伸縮棒52を操作して収縮させることで、両掴線器53、54にて活線Wを強く掴持するとともに両掴線器53、54を互いに接近移動させてそれらの間の活線Wを弛ませ、この弛んだ部分を切断具56にて切断する活線切分工法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−331723号公報
【特許文献2】特開2000−83309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献2に記載の活線切分工法によれば、作業能率よく活線の切分を行うことができるが、活線切分工具51の一端の掴線器53が伸縮棒52の一端に回動自在に連結されているので、活線切分工具51の作業場所への運搬時や準備作業中などに、一端の掴線器53が不用意に首振り動作して伸縮棒52や周囲の器材などに衝突し、掴線器53自体又は周囲の器材を損傷させることがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑み、伸縮棒の一端に揺動可能に電線把持部を配設して作業能率よく活線の切分を行うことができ、かつその電線把持部の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止できる活線切分工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の活線切分工具は、伸縮操作可能な伸縮棒の両端部に第1と第2の電線把持部を配設した活線切分工具であって、第1の電線把持部に、その把持機構を伸縮棒の軸心方向に沿った姿勢と略90°屈曲した姿勢との間で揺動自在に伸縮棒の一端に連結する第1の連結手段を設けるとともに、第1の連結手段に把持機構の自在な揺動に制動力を付与する制動手段を設け、第2の電線把持部には、その把持機構を伸縮棒の軸心方向に沿った姿勢で伸縮棒の他端に連結する第2の連結手段を設けたものである。
【0007】
この構成によれば、第1の電線把持部の把持機構を略90°屈曲した姿勢にして伸縮棒の他端側を持って活線の切断箇所の一側部に装着し、次に遠隔操作棒にて伸縮棒の他端側を持ち上げて伸縮棒を活線に沿わせ、第2の電線把持部の把持機構を切断箇所の他側部に装着し、その後遠隔操作棒にて伸縮棒を操作して収縮させることで、第1及び第2の電線把持部の把持機構にてそれぞれ活線が強く把持されるとともに両電線把持部が互いに接近移動してそれらの間の活線が弛み、この弛んだ部分を切断具にて切断することで作業能率よく切分工法を実施することができるとともに、第1の電線把持部の把持機構を伸縮棒の一端に揺動可能に連結する第1の連結手段に制動手段を設けているので、把持機構が不用意に首振り動作して伸縮棒や周囲の器材などに衝突し、把持機構自体や周囲の器材を損傷させる恐れが無く、把持機構の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止することができる。
【0008】
また、制動手段が、伸縮棒の一端の連結軸に揺動不可に結合される連結板と、把持機構から延出されて把持機構と一体に揺動する取付レバーと、連結板と取付レバーとの間に介在されて取付レバーの揺動に伴って連結板に圧接した状態で摺動する摺動部材とから成ると、シンプルな構成で作用の安定性が高く、かつ摺動部材の連結板に対する圧接力の調整にて適切な制動力に容易に調整することができる。
【0009】
また、第1の連結手段が、伸縮棒の一端の連結軸にその軸心方向及び相互に平行に形成された複数の当接面に接する複数の連結板と、連結軸と連結板を貫通して形成された連結穴に挿脱自在に挿入されて連結軸と連結板を連結する連結ピンと、連結軸にその軸心方向に平行かつ当接面に垂直で相互に平行に形成された一対の側端面に対して係合可能に連結板に設けられた係合部材とを備え、連結ピンが、連結穴から突出した先端部が折り曲げ可能でかつ折り曲げた状態でスライド可能に構成されていると、伸縮棒の一端の連結軸に、連結板とその係合部材を係合配置して連結穴に連結ピンを挿入し、その先端部を折り曲げてスライドさせることで、確実にかつ連結板の回動を阻止した状態で連結することができ、かつ連結ピンを抜き取って連結軸から連結板とその係合部材を引き出すことで、簡単に第1の連結手段を分解して第1の電線把持部を伸縮棒から取り外すことができ、活線切分工具の運搬及び作業時におけるハンドリング性を向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の活線切分工具によれば、伸縮棒の両端に電線把持部を配設した構成によって作業能率よく切分工法を実施することができ、かつ伸縮棒の一端の第1の電線把持部において、伸縮棒の一端に把持機構を揺動可能に連結する第1の連結手段に制動手段を設けているので、把持機構が不用意に首振り動作して伸縮棒や周囲の器材などに衝突し、把持機構自体や周囲の器材を損傷させる恐れが無く、把持機構の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る活線切分工具の一実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
【0012】
活線切分工具1は、図1に示すように、伸縮操作可能な伸縮棒2の一端に第1の電線把持部3が、伸縮棒2の他端に第2の電線把持部4が装着されている。第1の電線把持部3は、その把持機構5が実線で示すように伸縮棒2の軸心方向に伸びた姿勢と破線で示すように略90°屈曲した姿勢との間で矢印の如く首振り可能に第1の連結手段6にて伸縮棒2の一端に連結されている。第2の電線把持部4は、その把持機構5が伸縮棒2の軸心方向に伸びた姿勢で第2の連結手段7にて伸縮棒2の他端に連結されている。
【0013】
伸縮棒2は、その他端側の本体部8と本体部8に対して一端側に出退可能に装着された伸縮部9とを備え、本体部8の他端部に配設された回転操作部10に遠隔操作棒(図示せず)の先端を係合させて回転操作することで、本体部8に内蔵された送りねじ機構(図示せず)にて伸縮部9が出退するように構成されている。
【0014】
伸縮棒2の一端から適当間隔の位置で伸縮部9の外周に第1の電線支持具11が装着固定され、伸縮棒2の他端から適当間隔の位置で本体部8の外周に第2の電線支持具12が装着固定されている。第1の電線支持具11は、上方の開口から電線を押し入れて電線を支持し、第2の電線支持具12は、一側方の開口から電線を押し入れて電線を支持するように構成されている。
【0015】
第1の電線把持部3の把持機構5は、図2に示すように、伸縮棒2の一端に向けて他端側に長く延出された取付レバー13と、取付レバー13の一端部に互いに適当間隔あけて一端が回動自在に枢支された2本の揺動レバー14a、14bと、揺動レバー14a、14bの他端が回動自在に枢支された装着部材15とを備え、取付レバー13と2本の揺動レバー14a、14bと装着部材15にて四つ棒平行リンク機構が構成されている。2本の揺動レバー14a、14bは、装着部材15の枢支部から他端側に向けて倒立L字状に延出する延長レバー部16a、16bを有し、それらの先端が把持部材17に回動自在に枢支されている。装着部材15は、電線を受ける受片15aを上縁部一側に突出形成した断面形状が略倒立L字状の部材にて構成され、受片15aの先端縁に電線の抜け出しを防止する抜出防止板18が取付ボルト18a回りに上下に開閉操作可能に取付けられている。かくして、装着部材15の受片15aを電線上に載せて把持機構5を電線に装着した状態で、取付レバー13を伸縮棒2の他端側に移動させると、揺動レバー14a、14bが回動し、それに伴って延長レバー部16a、16bが上方に向けて回動し、把持部材17が上方に平行移動して受片15aと把持部材17との間で電線が強く把持される。
【0016】
また、本実施形態の把持機構5では、一方の揺動レバー14aに、揺動レバー14aの本体と延長レバー部16aの間を斜め下方に延出する補助延長レバー部19が設けられ、その先端部19aと装着部材15に配設された支軸ピン15bとの間に、揺動レバー14aの回動に伴うそれらの間の距離変化を許容するとともに、操作環20aを回転操作することで固定するロック手段20が設けられ、受片15aと把持部材17との間で電線を把持した状態でロックすることで、電線の振れ等によって取付レバー13が瞬間的に伸縮棒2の一端側に移動しても電線の把持が不測に解除されることがないように構成されている。
【0017】
第1の電線把持部3の第1の連結手段6は、図5〜図7に連結状態を示すように、取付レバー13の他端部の両側に配設された一対の連結板21と、伸縮棒2の一端に設けられた連結軸22と、これら取付レバー13と連結板21と連結軸22を貫通して形成された連結穴23に挿脱自在に挿入されてそれらを連結する連結ピン24にて構成されている。また、この第1の連結手段6には、取付レバー13の自在な揺動に制動力を付与するため、取付レバー13と一対の連結板21との間に制動手段25が配設されている。
【0018】
制動手段25は、図2、図3に示すように、取付レバー13の連結穴23から適当距離の位置に、軸ボルト26を取付レバー13の両面から突出するように貫通配置して両面からナット27にて締結固定し、連結板21には、軸ボルト26が貫通するように連結穴23を中心とする円弧状の長穴28を形成し、両連結板21の両面にそれぞれ摺動自在に当接するように摺動部材としての平座金29と圧接力付与手段としての皿ばね30とを軸ボルト26に外嵌させて配置するとともに、軸ボルト26に両端から平座金31を介してロックナット32を螺合して皿ばね30を圧縮させるように締結することで、皿ばね30の圧縮反力で平座金29を連結板21の両面に圧接させ、制動力を作用させるように構成されている。なお、円弧状の長穴28は取付レバー13の揺動範囲に対応して略90°の角度範囲に形成されている。
【0019】
連結軸22には、図4(a)、(b)に示すように、その軸心方向及び相互に平行な一対の当接面33が形成され、また連結軸22の当接面33、33間の中央部に取付レバー13の他端部を挿入配置するスリット34が形成されており、図7に示すように、一対の連結板21を一対の当接面33を外側から挟むように配置するとともに、スリット34内に取付レバー13の他端部を挿入配置した状態で、それらに形成されている連結穴23に連結ピン24を挿通することで連結板21及び取付レバー13を連結軸22に連結するように構成されている。
【0020】
また、連結軸22には、その軸心方向に平行かつ当接面33に垂直で相互に平行に形成された一対の側端面35が形成され、図6(a)、(b)に示すように、一対の連結板21からこれらの側端面35の外側の他端部に向けて延出片36が延出され、その先端に側端面35に係合する係合部材としての係合ローラ37が設けられている。かくして、図5〜図7に示すように、一対の連結板21を連結軸22の一対の当接面33の外側に当接させて配置するとともに、係合ローラ37を連結軸22の一対の側端面35に係合させて連結穴23に連結ピン24を挿入することで、連結板21の連結ピン24回りの回動が係合ローラ37にて防止された状態で連結板21と連結軸22が連結ピン24にて連結される。一方、取付レバー13の他端部は連結ピン24にてその回りに回動自在に連結軸22に連結され、かつ上記制動手段25にてその回動に制動力が付与されている。
【0021】
連結ピン24は、図7、図8に示すように、摘み頭部38を有するととともに、連結穴23から突出する先端部40が結合ピン39回りに回動可能に連結されて先端部40を折り曲げ可能に構成され、さらにその先端部40に結合ピン39がスライド自在に係合する長穴41が設けられて先端部40を折り曲げた状態でスライド可能に構成されている。かくして、連結穴23に連結ピン24を挿通し、図7に実線で示し、図8に仮想線で示すように、突出した先端部40を折り曲げてスライドさせることで連結ピン24の不用意な抜け出しを防止することができる。なお、先端部40を含めて連結ピン24が真っ直ぐな状態と、先端部40をスライドさせた状態で、それぞれ先端部40を一定以上の外力で解除可能に係止するため、連結ピン24における先端部40に対向する部位に突出付勢部材42が設けられるとともに、先端部40に上記2つの状態のときに突出付勢部材42が嵌入係合する係合凹部43a、43bが形成されている。
【0022】
次に、以上の構成の活線切分工具1を用いて活線切分工法を実施する工程を図9〜図12を参照して説明する。まず、図9に示すように、伸縮棒2の一端の第1の電線把持部3を伸縮棒2に対して略直角に屈曲させた状態で、伸縮棒2の他端側を支持して伸縮棒2の一端の第1の電線把持部3を電線Wに近寄せ、第1の電線把持部3の把持機構5を電線Wに引っ掛けて装着する。次に、図10に示すように、伸縮棒2の他端の回転操作部10に遠隔操作棒44の先端を係合させて、伸縮棒2を電線Wに沿わせるように伸縮棒2の他端側を持ち上げるとともに、その過程で第1の電線支持具11内にその上部の開口から電線Wを押し込んで第1の電線支持具11にて電線Wが支持される状態にする。次に、図11に示すように、電線Wが第2の電線支持具12の側部に対向するように伸縮棒2を位置させた後伸縮棒2を横移動させて第2の電線支持具12内にその一側の開口から電線Wを押し込んで第2の電線支持具12にて電線Wが支持される状態にする。次に、図12に示すように、第2の電線把持部4の把持機構5を電線Wに引っ掛けて装着する。その後、遠隔操作棒44にて回転操作部10を回転操作して伸縮棒2を収縮させることで、第1及び第2の電線把持部3、4の把持機構5、5にてそれぞれ電線Wが強固に把持された後、両電線把持部3、4が互いに引き寄せられることで、それらの間の電線Wが弛ませられ、その弛んだ部分で遠隔切断具にて切断することで、電線Wが切分けられる。また、電線Wの切断端部はそれぞれ第1と第2の電線支持具11、12にて支持され、不用意に移動することがなく、作業性良く活線切分工法を実施することができる。
【0023】
このように活栓切分工法を実施した後は、伸縮棒2を伸長させることで、第1及び第2の電線把持部3、4による電線Wの把持を解除して電線Wから活線切分工具1を取り外す。その後、他の作業場所に運搬する場合には、連結ピン24を抜き出すという簡単な作業にて第1の連結手段6と伸縮棒2の一端の連結軸22が分解されて、伸縮棒2から第1の電線把持部3を取り外すことができ、また詳細な説明は省略したが、第2の連結手段7においても同様にその連結ピンを抜き出すという簡単な作業にて第2の連結手段7と伸縮棒2が分解されて伸縮棒2から第2の電線把持部4を取り外すことができるので、活線切分工具1をコンパクトに分解して容易に運搬することができる。また、作業場所で活線切分工具1を組み立てるときには、第1の連結手段6の連結板21と取付レバー13の他端部を連結軸22の所定位置にセットして連結ピン24を挿入するだけで、第1の連結手段6と伸縮棒2の一端の連結軸22とを簡単に作業性良く連結することができ、第2の連結手段7と伸縮棒2の他端においても同様に簡単に作業性良く連結することができ、上記活栓切分工法を速やかに実施することができる。
【0024】
以上の構成の活栓切分工具1によれば、第1の電線把持部3の把持機構5を伸縮棒2の一端に揺動可能としていることで、上記のように作業能率良く活線切分工法を実施することができるとともに、第1の電線把持部3の把持機構5を伸縮棒2の一端に揺動可能に連結する第1の連結手段6に制動手段25を設けたことで、把持機構5が不用意に首振り動作して伸縮棒2や周囲の器材などに衝突し、把持機構5自体や周囲の器材を損傷させる恐れが無く、把持機構5の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止することができる。
【0025】
また、制動手段25を、伸縮棒2の一端の連結軸22に揺動不可に連結板21を結合するとともに、この連結板21と把持機構5から延出されて把持機構4と一体に揺動する取付レバー13との間に、取付レバー13の揺動に伴って連結板21に圧接した状態で摺動する摺動部材としての平座金29と圧接力を付与する皿ばね30を配設した構成としているので、シンプルな構成で作用の安定した制動作用を得ることができ、かつ平座金29の連結板21に対する圧接力をロックナット34の締め付けにて調整することができ、適切な制動力に容易に調整することができる。
【0026】
また、上記第1の連結手段6の構成により、伸縮棒2の一端の連結軸22に、連結板21とその係合ローラ37を係合配置して連結穴23に連結ピン24を挿入し、その先端部40を折り曲げてスライドさせることで、確実にかつ連結板21の回動を阻止した状態で連結することができ、かつ連結ピン21を抜き取って連結軸22から連結板21とその係合ローラ37を引き出すことで、簡単に第1の連結手段6を分解して第1の電線把持部3を伸縮棒2から取り外すことができ、活線切分工具1の運搬及び作業時におけるハンドリング性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の活線切分工具は、伸縮棒の両端に電線把持部を配設した構成によって作業能率よく切分工法を実施することができ、かつ伸縮棒の一端の第1の電線把持部においては、把持機構を伸縮棒の一端に揺動可能に連結する第1の連結手段に制動手段を設けているので、把持機構が不用意に首振り動作して伸縮棒や周囲の器材などに衝突し、把持機構自体や周囲の器材を損傷させる恐れが無く、把持機構の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止することができるので、活線切分工法に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態の活線切分工具の正面図。
【図2】同活線切分工具における第1の電線把持部の正面図。
【図3】同活線切分工具の第1の連結手段における制動手段の縦断平面図。
【図4】同活線切分工具の伸縮棒の一端の連結軸を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図5】同活線切分工具の第1の電線把持部を伸縮棒の一端に連結した状態の正面図。
【図6】同活線切分工具の第1の連結手段の連結状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視図。
【図7】同活線切分工具の第1の連結手段の連結状態を示す横断平面図。
【図8】同活線切分工具の連結ピンの構成を示し、(a)は縦断正面図、(b)は平面図。
【図9】同活線切分工具の第1の電線把持部を電線に取り付ける工程を示す正面図。
【図10】同活線切分工具の第1の電線支持具に電線を挿入する工程を示す正面図。
【図11】同活線切分工具の第2の電線支持具に電線を挿入する工程を示す正面図。
【図12】同活線切分工具の第2の電線把持部を電線に取り付ける工程を示す正面図。
【図13】従来例の活線切分工具による活線切分工程を示す正面図。
【符号の説明】
【0029】
1 活線切分工具
2 伸縮棒
3 第1の電線把持部
4 第2の電線把持部
5 把持機構
6 第1の連結手段
7 第2の連結手段
13 取付レバー
21 連結板
22 連結軸
23 連結穴
24 連結ピン
25 制動手段
29 平座金(摺動部材)
30 ばね座金(圧接力付与手段)
33 当接面
35 側端面
37 係合ローラ(係合部材)
40 先端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱間に架設された通電状態の高圧線等の電線(通電状態の電線を活線と称する)を切断する活線切分工法に用いる活線切分工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電柱と電柱の間に架設された活線を切断する活線切分工法として、切断箇所の両側に間隔をあけた位置を一対の掴線具にて掴持し、その後これらの掴線具を引張具に接続してこの引張具にて両掴線具を引き寄せて活線の切断箇所を弛ませ、弛ませた状態で切断具で切断する活線切分工法が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記従来の活線切分工法では作業の難しい工程が多くて作業効率が悪いという問題があったため、図13に示すように、伸縮操作可能な伸縮棒52の両端に一対の掴線器53、54を取付けるとともに、一端の掴線器53は伸縮棒52に対して回動自在に連結した活線切分工具51を用い、一方の掴線器53を活線Wの切断箇所の一側部に引っ掛けた後、伸縮棒52を活線に沿わせて他方の掴線器54を切断箇所の他側部に引っ掛け、次に遠隔操作棒55にて伸縮棒52を操作して収縮させることで、両掴線器53、54にて活線Wを強く掴持するとともに両掴線器53、54を互いに接近移動させてそれらの間の活線Wを弛ませ、この弛んだ部分を切断具56にて切断する活線切分工法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−331723号公報
【特許文献2】特開2000−83309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献2に記載の活線切分工法によれば、作業能率よく活線の切分を行うことができるが、活線切分工具51の一端の掴線器53が伸縮棒52の一端に回動自在に連結されているので、活線切分工具51の作業場所への運搬時や準備作業中などに、一端の掴線器53が不用意に首振り動作して伸縮棒52や周囲の器材などに衝突し、掴線器53自体又は周囲の器材を損傷させることがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑み、伸縮棒の一端に揺動可能に電線把持部を配設して作業能率よく活線の切分を行うことができ、かつその電線把持部の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止できる活線切分工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の活線切分工具は、伸縮操作可能な伸縮棒の両端部に第1と第2の電線把持部を配設した活線切分工具であって、第1の電線把持部に、その把持機構を伸縮棒の軸心方向に沿った姿勢と略90°屈曲した姿勢との間で揺動自在に伸縮棒の一端に連結する第1の連結手段を設けるとともに、第1の連結手段に把持機構の自在な揺動に制動力を付与する制動手段を設け、第2の電線把持部には、その把持機構を伸縮棒の軸心方向に沿った姿勢で伸縮棒の他端に連結する第2の連結手段を設けたものである。
【0007】
この構成によれば、第1の電線把持部の把持機構を略90°屈曲した姿勢にして伸縮棒の他端側を持って活線の切断箇所の一側部に装着し、次に遠隔操作棒にて伸縮棒の他端側を持ち上げて伸縮棒を活線に沿わせ、第2の電線把持部の把持機構を切断箇所の他側部に装着し、その後遠隔操作棒にて伸縮棒を操作して収縮させることで、第1及び第2の電線把持部の把持機構にてそれぞれ活線が強く把持されるとともに両電線把持部が互いに接近移動してそれらの間の活線が弛み、この弛んだ部分を切断具にて切断することで作業能率よく切分工法を実施することができるとともに、第1の電線把持部の把持機構を伸縮棒の一端に揺動可能に連結する第1の連結手段に制動手段を設けているので、把持機構が不用意に首振り動作して伸縮棒や周囲の器材などに衝突し、把持機構自体や周囲の器材を損傷させる恐れが無く、把持機構の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止することができる。
【0008】
また、制動手段が、伸縮棒の一端の連結軸に揺動不可に結合される連結板と、把持機構から延出されて把持機構と一体に揺動する取付レバーと、連結板と取付レバーとの間に介在されて取付レバーの揺動に伴って連結板に圧接した状態で摺動する摺動部材とから成ると、シンプルな構成で作用の安定性が高く、かつ摺動部材の連結板に対する圧接力の調整にて適切な制動力に容易に調整することができる。
【0009】
また、第1の連結手段が、伸縮棒の一端の連結軸にその軸心方向及び相互に平行に形成された複数の当接面に接する複数の連結板と、連結軸と連結板を貫通して形成された連結穴に挿脱自在に挿入されて連結軸と連結板を連結する連結ピンと、連結軸にその軸心方向に平行かつ当接面に垂直で相互に平行に形成された一対の側端面に対して係合可能に連結板に設けられた係合部材とを備え、連結ピンが、連結穴から突出した先端部が折り曲げ可能でかつ折り曲げた状態でスライド可能に構成されていると、伸縮棒の一端の連結軸に、連結板とその係合部材を係合配置して連結穴に連結ピンを挿入し、その先端部を折り曲げてスライドさせることで、確実にかつ連結板の回動を阻止した状態で連結することができ、かつ連結ピンを抜き取って連結軸から連結板とその係合部材を引き出すことで、簡単に第1の連結手段を分解して第1の電線把持部を伸縮棒から取り外すことができ、活線切分工具の運搬及び作業時におけるハンドリング性を向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の活線切分工具によれば、伸縮棒の両端に電線把持部を配設した構成によって作業能率よく切分工法を実施することができ、かつ伸縮棒の一端の第1の電線把持部において、伸縮棒の一端に把持機構を揺動可能に連結する第1の連結手段に制動手段を設けているので、把持機構が不用意に首振り動作して伸縮棒や周囲の器材などに衝突し、把持機構自体や周囲の器材を損傷させる恐れが無く、把持機構の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る活線切分工具の一実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
【0012】
活線切分工具1は、図1に示すように、伸縮操作可能な伸縮棒2の一端に第1の電線把持部3が、伸縮棒2の他端に第2の電線把持部4が装着されている。第1の電線把持部3は、その把持機構5が実線で示すように伸縮棒2の軸心方向に伸びた姿勢と破線で示すように略90°屈曲した姿勢との間で矢印の如く首振り可能に第1の連結手段6にて伸縮棒2の一端に連結されている。第2の電線把持部4は、その把持機構5が伸縮棒2の軸心方向に伸びた姿勢で第2の連結手段7にて伸縮棒2の他端に連結されている。
【0013】
伸縮棒2は、その他端側の本体部8と本体部8に対して一端側に出退可能に装着された伸縮部9とを備え、本体部8の他端部に配設された回転操作部10に遠隔操作棒(図示せず)の先端を係合させて回転操作することで、本体部8に内蔵された送りねじ機構(図示せず)にて伸縮部9が出退するように構成されている。
【0014】
伸縮棒2の一端から適当間隔の位置で伸縮部9の外周に第1の電線支持具11が装着固定され、伸縮棒2の他端から適当間隔の位置で本体部8の外周に第2の電線支持具12が装着固定されている。第1の電線支持具11は、上方の開口から電線を押し入れて電線を支持し、第2の電線支持具12は、一側方の開口から電線を押し入れて電線を支持するように構成されている。
【0015】
第1の電線把持部3の把持機構5は、図2に示すように、伸縮棒2の一端に向けて他端側に長く延出された取付レバー13と、取付レバー13の一端部に互いに適当間隔あけて一端が回動自在に枢支された2本の揺動レバー14a、14bと、揺動レバー14a、14bの他端が回動自在に枢支された装着部材15とを備え、取付レバー13と2本の揺動レバー14a、14bと装着部材15にて四つ棒平行リンク機構が構成されている。2本の揺動レバー14a、14bは、装着部材15の枢支部から他端側に向けて倒立L字状に延出する延長レバー部16a、16bを有し、それらの先端が把持部材17に回動自在に枢支されている。装着部材15は、電線を受ける受片15aを上縁部一側に突出形成した断面形状が略倒立L字状の部材にて構成され、受片15aの先端縁に電線の抜け出しを防止する抜出防止板18が取付ボルト18a回りに上下に開閉操作可能に取付けられている。かくして、装着部材15の受片15aを電線上に載せて把持機構5を電線に装着した状態で、取付レバー13を伸縮棒2の他端側に移動させると、揺動レバー14a、14bが回動し、それに伴って延長レバー部16a、16bが上方に向けて回動し、把持部材17が上方に平行移動して受片15aと把持部材17との間で電線が強く把持される。
【0016】
また、本実施形態の把持機構5では、一方の揺動レバー14aに、揺動レバー14aの本体と延長レバー部16aの間を斜め下方に延出する補助延長レバー部19が設けられ、その先端部19aと装着部材15に配設された支軸ピン15bとの間に、揺動レバー14aの回動に伴うそれらの間の距離変化を許容するとともに、操作環20aを回転操作することで固定するロック手段20が設けられ、受片15aと把持部材17との間で電線を把持した状態でロックすることで、電線の振れ等によって取付レバー13が瞬間的に伸縮棒2の一端側に移動しても電線の把持が不測に解除されることがないように構成されている。
【0017】
第1の電線把持部3の第1の連結手段6は、図5〜図7に連結状態を示すように、取付レバー13の他端部の両側に配設された一対の連結板21と、伸縮棒2の一端に設けられた連結軸22と、これら取付レバー13と連結板21と連結軸22を貫通して形成された連結穴23に挿脱自在に挿入されてそれらを連結する連結ピン24にて構成されている。また、この第1の連結手段6には、取付レバー13の自在な揺動に制動力を付与するため、取付レバー13と一対の連結板21との間に制動手段25が配設されている。
【0018】
制動手段25は、図2、図3に示すように、取付レバー13の連結穴23から適当距離の位置に、軸ボルト26を取付レバー13の両面から突出するように貫通配置して両面からナット27にて締結固定し、連結板21には、軸ボルト26が貫通するように連結穴23を中心とする円弧状の長穴28を形成し、両連結板21の両面にそれぞれ摺動自在に当接するように摺動部材としての平座金29と圧接力付与手段としての皿ばね30とを軸ボルト26に外嵌させて配置するとともに、軸ボルト26に両端から平座金31を介してロックナット32を螺合して皿ばね30を圧縮させるように締結することで、皿ばね30の圧縮反力で平座金29を連結板21の両面に圧接させ、制動力を作用させるように構成されている。なお、円弧状の長穴28は取付レバー13の揺動範囲に対応して略90°の角度範囲に形成されている。
【0019】
連結軸22には、図4(a)、(b)に示すように、その軸心方向及び相互に平行な一対の当接面33が形成され、また連結軸22の当接面33、33間の中央部に取付レバー13の他端部を挿入配置するスリット34が形成されており、図7に示すように、一対の連結板21を一対の当接面33を外側から挟むように配置するとともに、スリット34内に取付レバー13の他端部を挿入配置した状態で、それらに形成されている連結穴23に連結ピン24を挿通することで連結板21及び取付レバー13を連結軸22に連結するように構成されている。
【0020】
また、連結軸22には、その軸心方向に平行かつ当接面33に垂直で相互に平行に形成された一対の側端面35が形成され、図6(a)、(b)に示すように、一対の連結板21からこれらの側端面35の外側の他端部に向けて延出片36が延出され、その先端に側端面35に係合する係合部材としての係合ローラ37が設けられている。かくして、図5〜図7に示すように、一対の連結板21を連結軸22の一対の当接面33の外側に当接させて配置するとともに、係合ローラ37を連結軸22の一対の側端面35に係合させて連結穴23に連結ピン24を挿入することで、連結板21の連結ピン24回りの回動が係合ローラ37にて防止された状態で連結板21と連結軸22が連結ピン24にて連結される。一方、取付レバー13の他端部は連結ピン24にてその回りに回動自在に連結軸22に連結され、かつ上記制動手段25にてその回動に制動力が付与されている。
【0021】
連結ピン24は、図7、図8に示すように、摘み頭部38を有するととともに、連結穴23から突出する先端部40が結合ピン39回りに回動可能に連結されて先端部40を折り曲げ可能に構成され、さらにその先端部40に結合ピン39がスライド自在に係合する長穴41が設けられて先端部40を折り曲げた状態でスライド可能に構成されている。かくして、連結穴23に連結ピン24を挿通し、図7に実線で示し、図8に仮想線で示すように、突出した先端部40を折り曲げてスライドさせることで連結ピン24の不用意な抜け出しを防止することができる。なお、先端部40を含めて連結ピン24が真っ直ぐな状態と、先端部40をスライドさせた状態で、それぞれ先端部40を一定以上の外力で解除可能に係止するため、連結ピン24における先端部40に対向する部位に突出付勢部材42が設けられるとともに、先端部40に上記2つの状態のときに突出付勢部材42が嵌入係合する係合凹部43a、43bが形成されている。
【0022】
次に、以上の構成の活線切分工具1を用いて活線切分工法を実施する工程を図9〜図12を参照して説明する。まず、図9に示すように、伸縮棒2の一端の第1の電線把持部3を伸縮棒2に対して略直角に屈曲させた状態で、伸縮棒2の他端側を支持して伸縮棒2の一端の第1の電線把持部3を電線Wに近寄せ、第1の電線把持部3の把持機構5を電線Wに引っ掛けて装着する。次に、図10に示すように、伸縮棒2の他端の回転操作部10に遠隔操作棒44の先端を係合させて、伸縮棒2を電線Wに沿わせるように伸縮棒2の他端側を持ち上げるとともに、その過程で第1の電線支持具11内にその上部の開口から電線Wを押し込んで第1の電線支持具11にて電線Wが支持される状態にする。次に、図11に示すように、電線Wが第2の電線支持具12の側部に対向するように伸縮棒2を位置させた後伸縮棒2を横移動させて第2の電線支持具12内にその一側の開口から電線Wを押し込んで第2の電線支持具12にて電線Wが支持される状態にする。次に、図12に示すように、第2の電線把持部4の把持機構5を電線Wに引っ掛けて装着する。その後、遠隔操作棒44にて回転操作部10を回転操作して伸縮棒2を収縮させることで、第1及び第2の電線把持部3、4の把持機構5、5にてそれぞれ電線Wが強固に把持された後、両電線把持部3、4が互いに引き寄せられることで、それらの間の電線Wが弛ませられ、その弛んだ部分で遠隔切断具にて切断することで、電線Wが切分けられる。また、電線Wの切断端部はそれぞれ第1と第2の電線支持具11、12にて支持され、不用意に移動することがなく、作業性良く活線切分工法を実施することができる。
【0023】
このように活栓切分工法を実施した後は、伸縮棒2を伸長させることで、第1及び第2の電線把持部3、4による電線Wの把持を解除して電線Wから活線切分工具1を取り外す。その後、他の作業場所に運搬する場合には、連結ピン24を抜き出すという簡単な作業にて第1の連結手段6と伸縮棒2の一端の連結軸22が分解されて、伸縮棒2から第1の電線把持部3を取り外すことができ、また詳細な説明は省略したが、第2の連結手段7においても同様にその連結ピンを抜き出すという簡単な作業にて第2の連結手段7と伸縮棒2が分解されて伸縮棒2から第2の電線把持部4を取り外すことができるので、活線切分工具1をコンパクトに分解して容易に運搬することができる。また、作業場所で活線切分工具1を組み立てるときには、第1の連結手段6の連結板21と取付レバー13の他端部を連結軸22の所定位置にセットして連結ピン24を挿入するだけで、第1の連結手段6と伸縮棒2の一端の連結軸22とを簡単に作業性良く連結することができ、第2の連結手段7と伸縮棒2の他端においても同様に簡単に作業性良く連結することができ、上記活栓切分工法を速やかに実施することができる。
【0024】
以上の構成の活栓切分工具1によれば、第1の電線把持部3の把持機構5を伸縮棒2の一端に揺動可能としていることで、上記のように作業能率良く活線切分工法を実施することができるとともに、第1の電線把持部3の把持機構5を伸縮棒2の一端に揺動可能に連結する第1の連結手段6に制動手段25を設けたことで、把持機構5が不用意に首振り動作して伸縮棒2や周囲の器材などに衝突し、把持機構5自体や周囲の器材を損傷させる恐れが無く、把持機構5の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止することができる。
【0025】
また、制動手段25を、伸縮棒2の一端の連結軸22に揺動不可に連結板21を結合するとともに、この連結板21と把持機構5から延出されて把持機構4と一体に揺動する取付レバー13との間に、取付レバー13の揺動に伴って連結板21に圧接した状態で摺動する摺動部材としての平座金29と圧接力を付与する皿ばね30を配設した構成としているので、シンプルな構成で作用の安定した制動作用を得ることができ、かつ平座金29の連結板21に対する圧接力をロックナット34の締め付けにて調整することができ、適切な制動力に容易に調整することができる。
【0026】
また、上記第1の連結手段6の構成により、伸縮棒2の一端の連結軸22に、連結板21とその係合ローラ37を係合配置して連結穴23に連結ピン24を挿入し、その先端部40を折り曲げてスライドさせることで、確実にかつ連結板21の回動を阻止した状態で連結することができ、かつ連結ピン21を抜き取って連結軸22から連結板21とその係合ローラ37を引き出すことで、簡単に第1の連結手段6を分解して第1の電線把持部3を伸縮棒2から取り外すことができ、活線切分工具1の運搬及び作業時におけるハンドリング性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の活線切分工具は、伸縮棒の両端に電線把持部を配設した構成によって作業能率よく切分工法を実施することができ、かつ伸縮棒の一端の第1の電線把持部においては、把持機構を伸縮棒の一端に揺動可能に連結する第1の連結手段に制動手段を設けているので、把持機構が不用意に首振り動作して伸縮棒や周囲の器材などに衝突し、把持機構自体や周囲の器材を損傷させる恐れが無く、把持機構の不用意な首振り動作によるトラブルの発生を防止することができるので、活線切分工法に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態の活線切分工具の正面図。
【図2】同活線切分工具における第1の電線把持部の正面図。
【図3】同活線切分工具の第1の連結手段における制動手段の縦断平面図。
【図4】同活線切分工具の伸縮棒の一端の連結軸を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図5】同活線切分工具の第1の電線把持部を伸縮棒の一端に連結した状態の正面図。
【図6】同活線切分工具の第1の連結手段の連結状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視図。
【図7】同活線切分工具の第1の連結手段の連結状態を示す横断平面図。
【図8】同活線切分工具の連結ピンの構成を示し、(a)は縦断正面図、(b)は平面図。
【図9】同活線切分工具の第1の電線把持部を電線に取り付ける工程を示す正面図。
【図10】同活線切分工具の第1の電線支持具に電線を挿入する工程を示す正面図。
【図11】同活線切分工具の第2の電線支持具に電線を挿入する工程を示す正面図。
【図12】同活線切分工具の第2の電線把持部を電線に取り付ける工程を示す正面図。
【図13】従来例の活線切分工具による活線切分工程を示す正面図。
【符号の説明】
【0029】
1 活線切分工具
2 伸縮棒
3 第1の電線把持部
4 第2の電線把持部
5 把持機構
6 第1の連結手段
7 第2の連結手段
13 取付レバー
21 連結板
22 連結軸
23 連結穴
24 連結ピン
25 制動手段
29 平座金(摺動部材)
30 ばね座金(圧接力付与手段)
33 当接面
35 側端面
37 係合ローラ(係合部材)
40 先端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮操作可能な伸縮棒の両端部に第1と第2の電線把持部を配設した活線切分工具であって、第1の電線把持部に、その把持機構を伸縮棒の軸心方向に沿った姿勢と略90°屈曲した姿勢との間で揺動自在に伸縮棒の一端に連結する第1の連結手段を設けるとともに、第1の連結手段に把持機構の自在な揺動に制動力を付与する制動手段を設け、第2の電線把持部には、その把持機構を伸縮棒の軸心方向に沿った姿勢で伸縮棒の他端に連結する第2の連結手段を設けたことを特徴とする活線切分工具。
【請求項2】
制動手段は、伸縮棒の一端の連結軸に揺動不可に結合される連結板と、把持機構から延出されて把持機構と一体に揺動する取付レバーと、連結板と取付レバーとの間に介在されて取付レバーの揺動に伴って連結板に圧接した状態で摺動する摺動部材とから成ることを特徴とする請求項1記載の活線切分工具。
【請求項3】
第1の連結手段は、伸縮棒の一端の連結軸にその軸心方向及び相互に平行に形成された複数の当接面に接する複数の連結板と、連結軸と連結板を貫通して形成された連結穴に挿脱自在に挿入されて連結軸と連結板を連結する連結ピンと、連結軸にその軸心方向に平行かつ当接面に垂直で相互に平行に形成された一対の側端面に対して係合可能に連結板に設けられた係合部材とを備え、連結ピンは、連結穴から突出した先端部が折り曲げ可能でかつ折り曲げた状態でスライド可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の活線切分工具。
【請求項1】
伸縮操作可能な伸縮棒の両端部に第1と第2の電線把持部を配設した活線切分工具であって、第1の電線把持部に、その把持機構を伸縮棒の軸心方向に沿った姿勢と略90°屈曲した姿勢との間で揺動自在に伸縮棒の一端に連結する第1の連結手段を設けるとともに、第1の連結手段に把持機構の自在な揺動に制動力を付与する制動手段を設け、第2の電線把持部には、その把持機構を伸縮棒の軸心方向に沿った姿勢で伸縮棒の他端に連結する第2の連結手段を設けたことを特徴とする活線切分工具。
【請求項2】
制動手段は、伸縮棒の一端の連結軸に揺動不可に結合される連結板と、把持機構から延出されて把持機構と一体に揺動する取付レバーと、連結板と取付レバーとの間に介在されて取付レバーの揺動に伴って連結板に圧接した状態で摺動する摺動部材とから成ることを特徴とする請求項1記載の活線切分工具。
【請求項3】
第1の連結手段は、伸縮棒の一端の連結軸にその軸心方向及び相互に平行に形成された複数の当接面に接する複数の連結板と、連結軸と連結板を貫通して形成された連結穴に挿脱自在に挿入されて連結軸と連結板を連結する連結ピンと、連結軸にその軸心方向に平行かつ当接面に垂直で相互に平行に形成された一対の側端面に対して係合可能に連結板に設けられた係合部材とを備え、連結ピンは、連結穴から突出した先端部が折り曲げ可能でかつ折り曲げた状態でスライド可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の活線切分工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−88256(P2010−88256A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256997(P2008−256997)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(591083772)株式会社永木精機 (65)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(591083772)株式会社永木精機 (65)
[ Back to top ]