流れる液体中の発光粒子または光散乱粒子を検出する手段
本発明は、流れる液体中の発光粒子や光散乱粒子を検出するためのプローブであって、測定されるべき液体が貫流するパイプライン路をもつ測定セルと、パイプラインの壁に設けられた少なくとも1つの透明な窓と、上記パイプライン路内の光学的に制限された光容積中の発光粒子と光散乱粒子を上記窓を経て励起する所定寸法の励起光ビームを生成する少なくとも1つの光源と、上記発光粒子や光散乱粒子からの放出光を上記窓または別の窓を経て記録する少なくとも1つの検出器とを備え、上記測定セルは、所定寸法の励起光ビームと放出光が、互いに直交するようになっており、各粒子は、上記測定容積内を液体流と平行に運動し、上記液体流は、上記励起光ビームに対して所定角度を成して流れる。本発明は、更に流れる液体中の発光粒子や光散乱粒子を検出する方法、上記プローブを使う方法、プラスチック製造プラントや廃水処理プラントなどのプラントのオンラインモニターに用いる方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプラインを流れる液体中の発光粒子または光散乱粒子を検出するためのプローブおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品の製造において、製品の品質に関する情報を早く得るために製造工程をモニターすることが非常に重要である。特に、発光粒子または蛍光粒子の数は、CD-ROM,DVDなどの光学記憶媒体や光学的構成部材や窓材料など光学的適用のための最終製品の製造においてプラスチックの適用可能性のための重要な品質要因である。
【0003】
CD-ROM中の発光粒子を検出するための方法は、従来技術で種々知られている。例えば、完成品のプラスチック顆粒は、溶融され、CDに射出成形され、発光粒子がチェックされる。更なる方法では、完成品のプラスチック顆粒は、溶解され、溶体としてフィルタを通してろ過される。最後に、濾し取られた粒子が、電子顕微鏡によって算定される。
【0004】
これらの方法は、明らかに複雑で、製造工程中にオンライン制御することができない。
【0005】
それ故、例えば製造プラントからのパイプラインを流れる液体の任意の所定測定容積中に生じる総ての発光粒子を実時間で,信頼性高く,正確に検出できる手段に対する需要がある。同時に、装置は、簡素かつ頑丈で400℃までの温度と40バールの圧力に耐えることができるように設計しなければならない。
【0006】
文献WO 2006/136147 A2には、深さが制限されたディフューザを用いて光散乱粒子を検出する装置が開示されている。この装置では、光学的に制限された測定容積中を通って進む粒子が、カメラによって検出される。この装置では,収束や発散のない均一な光で測定容積が照射され、測定容積が、深さ制限ディフューザによって深さ方向に狭く制限されているので、この容積内に流れる粒子のみを見ることができる。ディフューザに直交するようにビデオカメラが配置され、このカメラの解像度によって、ビデオカメラに直交して整列する測定容積の2次元表面のみが表示される。粒子の計数と識別は、迅速で高解像度の画像検出と評価ソフトウェアの支援による画像記憶によって可能になる。ここで、2つの画像間で測定容積の100%の交換が補償されなければならない。文献WO 2006/136147 A2では、長時間で検出された粒子を記録することは、粒子の計数と識別の信頼性がなくなるので、避けられている。
【0007】
しかし、発光粒子が放出する光は、一般に強度が低いため、検出器は、度々その検出限で動作させられる結果、比較的長時間に亘る検出で運動粒子を記録せざるを得なくなる。
【0008】
最も近い従来技術としての文献WO 2006/136147 A2から考えを進めると、本発明の目的は、粒子から放出される光と検出器のノイズを区別することができるパイプライン内の発光粒子を検出するための手段を提供することである。
【0009】
文献US 2008/0019658は、発光液体を検出する測定プローブを開示し、測定プローブの壁は、透明な貫流導波管からなる。貫流導波管の下端に1つ以上の検出器が設けられ、この検出器は、粒子が励起によって放出し,貫流導波管が集めた光を記録する。ここでは、粒子の検出はできない。
【0010】
文献JP2005-300375 Aは、流れる液体中の光散乱粒子を検出するプローブを開示し、測定セルは、測定されるべき液体が貫流するパイプライン路と、パイプラインの壁に設けられた透明窓と、窓を通る照射のための所定寸法の励起光ビームを生む少なくとも1つの光源と、パイプライン路内の光散乱粒子と、光散乱粒子からの窓を通る電磁放出(発光)を記録する少なくとも1つの検出器とを有する。しかし、測定セルは、所定寸法の励起光ビームと光散乱粒子から放出される光が互いに直交するように構成されていないので、この測定セルは、定義された焦点深さに亘る照射を可能にできない。従って、記録すべきパイプラインの画像を可能にするような画像平面が照射できない。
【0011】
文献US 6,309,886 B1は、流れる液体中の蛍光粒子を検出するプローブを開示する。このプローブでは、液体は流路の全直径を通って輸送され、この液体は、液体流に直交し,所定の焦点深さ,つまり光容積をもつ光平面が作られるように、光源を用いた照射に曝される。上記光容積を通って流れる蛍光粒子は、光ビームによって励起されて、放出する光が、予め定められた露光時間で予め定められた集積時間に亘ってCCDカメラに記録される。集積時間は、検出の感度を上げ,粒子の解像度を上げるべく、遷移時間よりも大きいか,あるいは遷移時間に釣り合う。液体は、流出路を経て除去される。この装置では、各粒子が測定容積内で液体流と平行に直線運動するように特別に考慮されていない。測定領域に亘る,とりわけ流路の縁における流れの変動を減じるための方法が、解析結果を改善するために用いられる。そのため、画像修正のための種々の方法が提案され、或いは、流路の中央部のみが検出器によって記録されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、最も近い従来技術である文献US 6,309,886 B1から出発して、本発明の目的は、発光粒子が放出する光と検出器のノイズを区別することができ、簡単な方法で全パイプラインをモニターでき、製造プラントのパラメータに適合できるパイプライン内の発光粒子を検出するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、流れる液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するためのプローブであって、次の構成要素をもつ測定セルを有するプローブによって達成される。即ち、上記測定セルは、
− 測定されるべき液体が貫流するパイプライン路と、
− パイプラインの壁に設けられた少なくとも1つの透明な窓と、
− 上記パイプライン路内の光学的に制限された測定容積中の発光粒子と光散乱粒子を上記窓を経て励起する所定寸法の励起光ビームを生成する少なくとも1つの光源と、
− 上記発光粒子,オプションとして光散乱粒子からの放出光を上記窓または別の窓を経て記録する少なくとも1つの検出器とを備え、
上記測定セルは、上記所定寸法の励起光ビームと放出光が、互いに直交するようになっており、各粒子は、上記測定容積内を液体流と平行に直線的に運動し、上記液体流は、上記励起光ビームに対して所定角度を成して流れ、上記液体流と上記検出器と上記光源は、1つの平面内に在る(図1,3,6b)。本発明によれば、上記検出器は、集積時間を制御するための要素とのインターフェイスを有し、このインターフェイスは、試料容積の寸法を入力し、流速を入力し、集積時間を計算し,制御する役割を果たし、検出器は、粒子が流入速度で光容積を通り抜けるのに要する時間に亘って発光粒子によって発せられた光を記録する。
【0014】
本発明の更なる実施形態では,粒子は、比較的長い検出時間にわたって,つまり連続的に記録されることができ、粒子は、流れる液体中で動き続ける。
【0015】
本発明の更なる実施形態では、検出器は、集積時間に亘ってこの集積時間に加算された一連の画像を記録する。一連の画像に亘って粒子を追跡するには、1つの粒子を識別できるようにより光に敏感なカメラを必要とするが、識別が本質的に容易なため、特にプリズム窓をもつプローブの場合、粒子が1回以上計数されないことになる。さらに、この方法は、ノイズを低減できるという利点がある。
【0016】
各粒子は、方向性のある流れを持ち、比較的長い検出時間に亘って光点または方向を持った光跡として記録できて、信頼性ある画像解析が可能になる。
【0017】
プローブの構造に起因する上記各粒子の方向性のある流れにより、複雑な較正や画像の修正は、不要になる。
【0018】
従って、本発明の第1の目的は、流れる液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するためのプローブであって、次の構成要素をもつ測定セルを有するプローブによって達成される。即ち、上記測定セルは、
− 測定されるべき液体が貫流するパイプライン路と、
− パイプラインの壁に設けられた少なくとも1つの透明な窓と、
− 上記パイプライン路内の光学的に制限された光容積中の発光粒子と光散乱粒子を上記窓を経て励起する所定寸法の励起光ビームを生成する少なくとも1つの光源と、
− 上記発光粒子,オプションとして光散乱粒子からの放出光を上記窓または別の窓を経て記録する少なくとも1つの検出器と、
− 試料容積の寸法を入力し、流速を入力し、粒子が流入速度で光容積を通り抜けるのに要する時間である集積時間を計算し,制御するのに役立つとともに、集積時間を制御するための要素とを備え、
上記測定セルは、上記所定寸法の励起光ビームと放出光が、互いに直交するようになっており、各粒子は、上記測定容積内を液体流と平行に運動し、上記液体流は、上記励起光ビームに対して所定角度を成して流れ、上記液体流と上記検出器と上記光源は、1つの平面内にあり、上記検出器は、上記集積時間を制御するための要素とのインターフェイスを有して、計算された集積時間に亘って発光粒子から放出される光を記録できるようになっている。
【0019】
励起光に対する粒子流が成す所定角度は、45〜135°の範囲内であるのが好ましい。発光粒子の発光強度に基づく確実な識別を可能にするため、発光強度は、集積時間と称される特定の時間に亘って加算される。集積時間は、粒子が一定の流速で試料容積を流れ抜けるに要する時間として定義される。本発明では、検出器は、それ故,集積時間を制御するための要素とのインターフェイスを有して、粒子が特定の流速で試料容積を流れ抜けるに要する時間に亘って発光粒子の放出光を検出器が記録するようになっている。集積時間を制御するための要素は、一般にコンピュータの一部である。
【0020】
直径が0.5〜50mm、好ましくは4〜30mmのパイプラインは、本発明による装置で制御される。ここで、検出の分解能は、パイプラインの直径が増加するほど減少する点に注目すべきである。従って、光源と検出器は、パイプラインの直径に適合させられるか、分解能の損失が、光分解能で高感度のカメラおよびレーザ光源やキセノンランプなどの適切な手段を用いて補償されなければならない。
【0021】
一般にパイプラインは、金属からなるが、パイプラインの材料は任意でよい。
【0022】
発光粒子の励起に用いる光源は、一般に、励起フィルタと組み合わせたキセノンランプ、適切な発光波長をもつレーザまたは高出力LEDである。
【0023】
発光粒子は、400〜500nm波長の光ビームを用いて励起される。
【0024】
光源によって作られた励起光は、パイプライン壁に設けられた窓を経て、パイプライン路の全パイプライン直径に亘って注入される。励起光ビームの寸法は、光学的に制限された測定容積を画定する。同様に、全パイプライン直径は、検出器によって記録される。ここでの格別な利点は、パイプラインの小部分(測定容積)の画像記録によって、パイプライン中の全内容が徐々にカバーできることである。必要なら、励起光ビームの幾何学形状は、円筒状レンズや導波路断面コンバータの助けで整えることができる。
【0025】
一般に、発光粒子の放出光に対する所定寸法の励起光ビームの直交配置は、光源と検出器の直交配置によって補償される。これに代えて、各光ビーム相互の必要な配置は、プリズムまたはミラーによっても達成できる。
【0026】
本発明によるプローブの第1の実施形態では、パイプライン路を励起光で照らすための透明窓(照射窓)と、検出器によって放出光を記録するための透明窓(検出窓)は、パイプライン壁に設けられる。この第1の実施形態(図1)では、パイプラインは、90°で屈曲している。照射窓は、屈曲部より上流のパイプラインの片側に配置され、検出窓は、屈曲部の直ぐ下流のパイプラインにパイプライン路の下部に全体に亘って開いて、向かってくる液体流を記録するように配置される。この実施形態は、流れを流れの方向に対して0°の固定角度で観察でき、粒子が集積時間の間じゅう励起光に直交する方向へ直線移動するならば、各粒子を1つの点として対応して検出できるという格別な利点がある。
【0027】
本発明のこの実施形態では、光容積が検出器の焦点深度領域の最大で2倍であれば、励起光ビームが、一般に100μm〜10mmの厚さ、好ましくは150μm〜3mmの厚さに焦点を集めることができるという利点がある。測定容積が焦点深さ領域よりも大きい場合は、最早粒子を正確に測定できない。要求が複数の検出イベントの1つだけであるなら、測定容積は可能な限り多くの光を集めるに充分であれば足る。
【0028】
パイプラインの角度は、ベントの上流のパイプライン内であっても液体流の方向に影響を及ぼすので、測定セルが、粒子の層流を測定容積内で妨げることなく,つまり測定容積内にデッドスペースを作らずに一定速度で直線的に支えるような形状であるのが有利である。この目的のため、種々の手段が個々または互いに組み合わせて用いられる。
【0029】
例えば、パイプライン路と同一平面を成してパイプラインの壁に窓ガラスを設けるのが好ましい。窓の形状は任意だが、一般に直径2〜100mmの円形である。これに代えて、サファイアまたは水晶ガラスでプローブを作ってパイプラインに取り付けることもできる。
【0030】
プラスチック製造プラントへの適用性のため、窓は、400℃までの温度と1〜250バールの圧力の溶融物の流れに耐えられなければならない。窓は、一般にサファイアまたは水晶カラス,格別な強度の観点から好ましくはサファイアからなり、厚さが10mmで、例えば文献DE 10201541 A1に記載のように円錐形である。ガラス−金属製シールによる圧力のため、窓要素は、パイプライン壁にパイプライン路と同一平面を成して設けることができる(図3)。
【0031】
照射窓の中心から検出窓の表面までの距離dは、粒子の最適流れのためパイプラインの寸法に適合しているのが好ましい(図4)。適用分野に応じて、距離dは、測定領域内での層流を最適化するため、試料液体の流速および粘度に適合させるのが有利である。
【0032】
パイプライン内の90°角におけるデッドスペースができるだけ少なくかつ小さくなるように検出窓を構成することができる。この目的のため、検出窓の構成は、例えば図5に示すように適合させることができる。
【0033】
本発明によるプローブの第2の実施形態では、各光ビームに必要な相互配置は、プリズムを用いて達成される。この場合、測定セルは、一般にパイプライン縁に位置させてパイプライン壁に挿入される単一の窓を有する(図5,6)。これに代えて、サファイアまたは水晶ガラスから適切なプリズム形状をもつプローブを作って、パイプラインに取り付けることができる。
【0034】
この格別な実施形態は、液体が妨げられずに窓を通って流れるという利点をもつ。光源と検出器の配置およびプリズムの幾何学形状と光学的特性が、励起光と放出光の適切な相互直交配置を補償するという利点がある。流れ方向に対して好ましくは45°〜135°の固定角度で観察が行われる。この実施形態では、粒子は指向性の線として記録される。
【0035】
プリズム構成の場合、励起光ビームの厚さは、パイプラインの直径よりも薄いのが好ましい。5mm以下,好ましくは150μm〜3mmの厚さが有利であるが、厚さは、流路の直径に依存する。例えば、光ビーム厚さが1mm以下の場合、直径5mmの流路が好ましい。測定容積が、焦点深度領域よりも大きい場合は、粒子は最早正確に測定できない。要求が複数の検出イベントの1つだけであるなら、測定容積は可能な限り多くの光を集めるに充分であれば足る。
【0036】
上記第1および第2の実施形態では、測定セル内の温度を貫流する液体の温度が一定になるように加熱要素で直接制御するのが有利である。一般に、加熱要素は、加熱路または電気ヒータを介する微量油加熱である。
【0037】
本発明では、検出器は、発光粒子によって放出される波長500〜700nmの光の強度を通常記録することができる。光散乱粒子によって放出される光の強度を検出器が記録する場合、これは通常、励起波長で行われてきた。必要なら、この波長範囲を選択的に検出するために発光フィルタが用いられる。また、発光粒子を検出する検出器と光散乱粒子を検出する検出器を組み合わせて複数の検出器を用いることも可能である(図10)。
【0038】
可能な検出器は、例えば、CCDカメラ, CMOSカメラ, 増幅器カメラ, フォトマルチプライヤー, フォトセルなどである。適切なカメラは、検出波長範囲(500〜700nm)内で十分に光感受性があるカメラである。例えば、AVT(Allied Vision Technologies)社のStingrayカメラ(画像周波数はモードに応じて9〜84fps)が用いられる。カメラの利点は、粒子の発光強度のみならず粒子の表面を検出できることである。
【0039】
本発明によれば、光源が流路の試料容積を連続的または集積時間に亘って照射し、流れ通る粒子を励起する。
【0040】
一般に、集積時間は、試料容積の寸法および流速に適合している。
【0041】
検出器は、流路内からの放出光を集積時間に亘って記録し、その情報を通常はコンピュータの一部である画像分析ユニットに送信する。
【0042】
画像材料は、一般に図7のフローチャートに従って解析され、データが算定され、出力される。
【0043】
本発明の他の目的は、プローブを通って流れる液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するための方法であって、本発明の方法は、次の各ステップを含む。即ち、
− 光容積の寸法を入力し、流速を入力し、粒子が所定流速で光容積を流れ抜けるに要する時間で定義される集積時間を制御するための要素で集積時間を計算し、
− 上記光容積を画定すべく、光源によって光励起し、
− 検出器によって光放出を上記集積時間に亘って検出し、
− 画像解析ユニットによって検出データを解析し、
− 粒子の数、粒子の寸法分布、単位体積または単位重量当たりの粒子の強度分布、特定時間に亘る発光粒子の集合画像の少なくとも1つを出力する
各ステップである。
【0044】
本発明の更に他の目的は、本発明によるプローブの使用、特にプラスチックプラントや廃水処理プラントなどの製造プラントをオンラインでモニターする方法である。
【0045】
図1,3〜6は、本発明による装置の可能な実施形態を示すが、これらは本発明を限定するものではない。
【0046】
図2,7,11は、本発明による方法の順序および上記画像解析ユニットにおける画像解析の順序を示すが、これらは本発明を限定するものではない。
【0047】
一連の画像が集積時間に亘って記録されると、画像は、画像解析ユニットによる画像解析の前に加算され、図7の手順に従って解析が続けられる。この場合、画像は、加算された画像である。これに代えて、画像解析ユニットは、図11の手順に従って画像解析を行い、画像解析の一部として加算を行う。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態によるプローブを示す図である。
【図2】図2は、工程を示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1の実施形態を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態において距離dの最適化を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態における窓の変形例を示す図である。
【図6a】図6aは、プリズムをもつ第2の実施形態の側面図である。
【図6b】図6bは、プリズムをもつ第2の実施形態の平面図である。
【図7】図7は、上記実施形態の画像解析ユニットにおける画像解析の手順を示すフローチャートであり、粒子は、集積時間に等しい比較的長い検出時間に亘って記録される。
【図8】図8は、徐々に溶解する試料1グラム当たりに含まれる蛍光粒子の数を示す図である。
【図9】図9は、6時間に亘る蛍光粒子の集合画像を示す図である。
【図10】図10は、発光粒子と蛍光粒子を同時に検出するためのプローブを示す図である。
【図11】図11は、実施形態の画像解析ユニットにおける画像解析の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
直径8mmの流路をもつパイプラインは、角度90°で屈曲している。屈曲部から上流のパイプラインの片側の壁に照射窓が加工され、屈曲部の直ぐ下流のパイプライン流路の下部に全体に亘って開いて,向かってくる液体流を記録するように検出窓が加工されている。
【0050】
照射窓の中心から検出窓の表面までの距離dは、14mmであった。
【0051】
上記照射窓と検出窓は、直径9mmの円形であった。各窓には、厚さ10mmのサファイアで作られた円錐状の窓ガラスが、ガラス−金属 シール(図3)による圧力でパイプライン流路と同一平面を成して夫々取り付けられた。
【0052】
このプローブは、ポリカーボネート製造システムの温度300℃の溶融ポリカーボネートが流速6m/min.で流れるパイプラインに取り付けられる。
【0053】
照射窓の手前に、空洞が設けられ、市販のキセノンランプ(Drello社製Drelloscope 255)が励起フィルタ(LOT Oriel社製 HQ450/100 M-2P)と一緒に設けられた。光ビームの励起波長は、励起フィルタの助けで400〜500nmに設定された。光ビームは、上記空洞によって平均直径2mmに焦点を絞られた。
【0054】
検出窓の手前に、記録する波長域を550〜650nmに制限するための蛍光フィルタ(LOT Oriel社製 HQ600/10M-2P)およびビームスプリッタ(LOT Oriel社製 530DCXRU)と組み合わせてカメラ(AVT社製 StingrayF-033B 画像周波数は58fpsまで)が設けられた。カメラは、励起光に対して垂直に配置されて、パイプライン路の全直径を記録できる。
【0055】
カメラのインターフェイスは、いずれもコンピュータの構成要素である集積時間を制御するための要素と画像分析ユニットに接続された。
【0056】
集積時間を制御するための要素に、試料容積(2mm)と流速が入力された。20分の集積時間が計算された。光源は、試料容積を波長400〜500nmの光で連続的に照射した。
【0057】
カメラは、550〜650nmの検出波長において、集積時間を制御する要素で制御される集積時間に亘って試料容積の画像を記録した。
【0058】
記録されたデータは、カメラから画像解析ユニットに送られ、画像解析ユニットによって図7の手順に従って処理された。
【0059】
図8,9は、データ処理後に可能な出力を示している。
【符号の説明】
【0060】
1 光源
2 検出器
2a 発光粒子を検出する検出器
2b 光散乱粒子を検出する検出器
3 パイプライン路
4 パイプライン壁
5 励起光ビーム
6 放出光
7 窓ガラス
8 ガラス−金属 シール
9 空洞
10 プリズム
11 530nmダイクロイックミラー
12 400〜500nm励起フィルタ
13 550〜650nm蛍光フィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプラインを流れる液体中の発光粒子または光散乱粒子を検出するためのプローブおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品の製造において、製品の品質に関する情報を早く得るために製造工程をモニターすることが非常に重要である。特に、発光粒子または蛍光粒子の数は、CD-ROM,DVDなどの光学記憶媒体や光学的構成部材や窓材料など光学的適用のための最終製品の製造においてプラスチックの適用可能性のための重要な品質要因である。
【0003】
CD-ROM中の発光粒子を検出するための方法は、従来技術で種々知られている。例えば、完成品のプラスチック顆粒は、溶融され、CDに射出成形され、発光粒子がチェックされる。更なる方法では、完成品のプラスチック顆粒は、溶解され、溶体としてフィルタを通してろ過される。最後に、濾し取られた粒子が、電子顕微鏡によって算定される。
【0004】
これらの方法は、明らかに複雑で、製造工程中にオンライン制御することができない。
【0005】
それ故、例えば製造プラントからのパイプラインを流れる液体の任意の所定測定容積中に生じる総ての発光粒子を実時間で,信頼性高く,正確に検出できる手段に対する需要がある。同時に、装置は、簡素かつ頑丈で400℃までの温度と40バールの圧力に耐えることができるように設計しなければならない。
【0006】
文献WO 2006/136147 A2には、深さが制限されたディフューザを用いて光散乱粒子を検出する装置が開示されている。この装置では、光学的に制限された測定容積中を通って進む粒子が、カメラによって検出される。この装置では,収束や発散のない均一な光で測定容積が照射され、測定容積が、深さ制限ディフューザによって深さ方向に狭く制限されているので、この容積内に流れる粒子のみを見ることができる。ディフューザに直交するようにビデオカメラが配置され、このカメラの解像度によって、ビデオカメラに直交して整列する測定容積の2次元表面のみが表示される。粒子の計数と識別は、迅速で高解像度の画像検出と評価ソフトウェアの支援による画像記憶によって可能になる。ここで、2つの画像間で測定容積の100%の交換が補償されなければならない。文献WO 2006/136147 A2では、長時間で検出された粒子を記録することは、粒子の計数と識別の信頼性がなくなるので、避けられている。
【0007】
しかし、発光粒子が放出する光は、一般に強度が低いため、検出器は、度々その検出限で動作させられる結果、比較的長時間に亘る検出で運動粒子を記録せざるを得なくなる。
【0008】
最も近い従来技術としての文献WO 2006/136147 A2から考えを進めると、本発明の目的は、粒子から放出される光と検出器のノイズを区別することができるパイプライン内の発光粒子を検出するための手段を提供することである。
【0009】
文献US 2008/0019658は、発光液体を検出する測定プローブを開示し、測定プローブの壁は、透明な貫流導波管からなる。貫流導波管の下端に1つ以上の検出器が設けられ、この検出器は、粒子が励起によって放出し,貫流導波管が集めた光を記録する。ここでは、粒子の検出はできない。
【0010】
文献JP2005-300375 Aは、流れる液体中の光散乱粒子を検出するプローブを開示し、測定セルは、測定されるべき液体が貫流するパイプライン路と、パイプラインの壁に設けられた透明窓と、窓を通る照射のための所定寸法の励起光ビームを生む少なくとも1つの光源と、パイプライン路内の光散乱粒子と、光散乱粒子からの窓を通る電磁放出(発光)を記録する少なくとも1つの検出器とを有する。しかし、測定セルは、所定寸法の励起光ビームと光散乱粒子から放出される光が互いに直交するように構成されていないので、この測定セルは、定義された焦点深さに亘る照射を可能にできない。従って、記録すべきパイプラインの画像を可能にするような画像平面が照射できない。
【0011】
文献US 6,309,886 B1は、流れる液体中の蛍光粒子を検出するプローブを開示する。このプローブでは、液体は流路の全直径を通って輸送され、この液体は、液体流に直交し,所定の焦点深さ,つまり光容積をもつ光平面が作られるように、光源を用いた照射に曝される。上記光容積を通って流れる蛍光粒子は、光ビームによって励起されて、放出する光が、予め定められた露光時間で予め定められた集積時間に亘ってCCDカメラに記録される。集積時間は、検出の感度を上げ,粒子の解像度を上げるべく、遷移時間よりも大きいか,あるいは遷移時間に釣り合う。液体は、流出路を経て除去される。この装置では、各粒子が測定容積内で液体流と平行に直線運動するように特別に考慮されていない。測定領域に亘る,とりわけ流路の縁における流れの変動を減じるための方法が、解析結果を改善するために用いられる。そのため、画像修正のための種々の方法が提案され、或いは、流路の中央部のみが検出器によって記録されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、最も近い従来技術である文献US 6,309,886 B1から出発して、本発明の目的は、発光粒子が放出する光と検出器のノイズを区別することができ、簡単な方法で全パイプラインをモニターでき、製造プラントのパラメータに適合できるパイプライン内の発光粒子を検出するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、流れる液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するためのプローブであって、次の構成要素をもつ測定セルを有するプローブによって達成される。即ち、上記測定セルは、
− 測定されるべき液体が貫流するパイプライン路と、
− パイプラインの壁に設けられた少なくとも1つの透明な窓と、
− 上記パイプライン路内の光学的に制限された測定容積中の発光粒子と光散乱粒子を上記窓を経て励起する所定寸法の励起光ビームを生成する少なくとも1つの光源と、
− 上記発光粒子,オプションとして光散乱粒子からの放出光を上記窓または別の窓を経て記録する少なくとも1つの検出器とを備え、
上記測定セルは、上記所定寸法の励起光ビームと放出光が、互いに直交するようになっており、各粒子は、上記測定容積内を液体流と平行に直線的に運動し、上記液体流は、上記励起光ビームに対して所定角度を成して流れ、上記液体流と上記検出器と上記光源は、1つの平面内に在る(図1,3,6b)。本発明によれば、上記検出器は、集積時間を制御するための要素とのインターフェイスを有し、このインターフェイスは、試料容積の寸法を入力し、流速を入力し、集積時間を計算し,制御する役割を果たし、検出器は、粒子が流入速度で光容積を通り抜けるのに要する時間に亘って発光粒子によって発せられた光を記録する。
【0014】
本発明の更なる実施形態では,粒子は、比較的長い検出時間にわたって,つまり連続的に記録されることができ、粒子は、流れる液体中で動き続ける。
【0015】
本発明の更なる実施形態では、検出器は、集積時間に亘ってこの集積時間に加算された一連の画像を記録する。一連の画像に亘って粒子を追跡するには、1つの粒子を識別できるようにより光に敏感なカメラを必要とするが、識別が本質的に容易なため、特にプリズム窓をもつプローブの場合、粒子が1回以上計数されないことになる。さらに、この方法は、ノイズを低減できるという利点がある。
【0016】
各粒子は、方向性のある流れを持ち、比較的長い検出時間に亘って光点または方向を持った光跡として記録できて、信頼性ある画像解析が可能になる。
【0017】
プローブの構造に起因する上記各粒子の方向性のある流れにより、複雑な較正や画像の修正は、不要になる。
【0018】
従って、本発明の第1の目的は、流れる液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するためのプローブであって、次の構成要素をもつ測定セルを有するプローブによって達成される。即ち、上記測定セルは、
− 測定されるべき液体が貫流するパイプライン路と、
− パイプラインの壁に設けられた少なくとも1つの透明な窓と、
− 上記パイプライン路内の光学的に制限された光容積中の発光粒子と光散乱粒子を上記窓を経て励起する所定寸法の励起光ビームを生成する少なくとも1つの光源と、
− 上記発光粒子,オプションとして光散乱粒子からの放出光を上記窓または別の窓を経て記録する少なくとも1つの検出器と、
− 試料容積の寸法を入力し、流速を入力し、粒子が流入速度で光容積を通り抜けるのに要する時間である集積時間を計算し,制御するのに役立つとともに、集積時間を制御するための要素とを備え、
上記測定セルは、上記所定寸法の励起光ビームと放出光が、互いに直交するようになっており、各粒子は、上記測定容積内を液体流と平行に運動し、上記液体流は、上記励起光ビームに対して所定角度を成して流れ、上記液体流と上記検出器と上記光源は、1つの平面内にあり、上記検出器は、上記集積時間を制御するための要素とのインターフェイスを有して、計算された集積時間に亘って発光粒子から放出される光を記録できるようになっている。
【0019】
励起光に対する粒子流が成す所定角度は、45〜135°の範囲内であるのが好ましい。発光粒子の発光強度に基づく確実な識別を可能にするため、発光強度は、集積時間と称される特定の時間に亘って加算される。集積時間は、粒子が一定の流速で試料容積を流れ抜けるに要する時間として定義される。本発明では、検出器は、それ故,集積時間を制御するための要素とのインターフェイスを有して、粒子が特定の流速で試料容積を流れ抜けるに要する時間に亘って発光粒子の放出光を検出器が記録するようになっている。集積時間を制御するための要素は、一般にコンピュータの一部である。
【0020】
直径が0.5〜50mm、好ましくは4〜30mmのパイプラインは、本発明による装置で制御される。ここで、検出の分解能は、パイプラインの直径が増加するほど減少する点に注目すべきである。従って、光源と検出器は、パイプラインの直径に適合させられるか、分解能の損失が、光分解能で高感度のカメラおよびレーザ光源やキセノンランプなどの適切な手段を用いて補償されなければならない。
【0021】
一般にパイプラインは、金属からなるが、パイプラインの材料は任意でよい。
【0022】
発光粒子の励起に用いる光源は、一般に、励起フィルタと組み合わせたキセノンランプ、適切な発光波長をもつレーザまたは高出力LEDである。
【0023】
発光粒子は、400〜500nm波長の光ビームを用いて励起される。
【0024】
光源によって作られた励起光は、パイプライン壁に設けられた窓を経て、パイプライン路の全パイプライン直径に亘って注入される。励起光ビームの寸法は、光学的に制限された測定容積を画定する。同様に、全パイプライン直径は、検出器によって記録される。ここでの格別な利点は、パイプラインの小部分(測定容積)の画像記録によって、パイプライン中の全内容が徐々にカバーできることである。必要なら、励起光ビームの幾何学形状は、円筒状レンズや導波路断面コンバータの助けで整えることができる。
【0025】
一般に、発光粒子の放出光に対する所定寸法の励起光ビームの直交配置は、光源と検出器の直交配置によって補償される。これに代えて、各光ビーム相互の必要な配置は、プリズムまたはミラーによっても達成できる。
【0026】
本発明によるプローブの第1の実施形態では、パイプライン路を励起光で照らすための透明窓(照射窓)と、検出器によって放出光を記録するための透明窓(検出窓)は、パイプライン壁に設けられる。この第1の実施形態(図1)では、パイプラインは、90°で屈曲している。照射窓は、屈曲部より上流のパイプラインの片側に配置され、検出窓は、屈曲部の直ぐ下流のパイプラインにパイプライン路の下部に全体に亘って開いて、向かってくる液体流を記録するように配置される。この実施形態は、流れを流れの方向に対して0°の固定角度で観察でき、粒子が集積時間の間じゅう励起光に直交する方向へ直線移動するならば、各粒子を1つの点として対応して検出できるという格別な利点がある。
【0027】
本発明のこの実施形態では、光容積が検出器の焦点深度領域の最大で2倍であれば、励起光ビームが、一般に100μm〜10mmの厚さ、好ましくは150μm〜3mmの厚さに焦点を集めることができるという利点がある。測定容積が焦点深さ領域よりも大きい場合は、最早粒子を正確に測定できない。要求が複数の検出イベントの1つだけであるなら、測定容積は可能な限り多くの光を集めるに充分であれば足る。
【0028】
パイプラインの角度は、ベントの上流のパイプライン内であっても液体流の方向に影響を及ぼすので、測定セルが、粒子の層流を測定容積内で妨げることなく,つまり測定容積内にデッドスペースを作らずに一定速度で直線的に支えるような形状であるのが有利である。この目的のため、種々の手段が個々または互いに組み合わせて用いられる。
【0029】
例えば、パイプライン路と同一平面を成してパイプラインの壁に窓ガラスを設けるのが好ましい。窓の形状は任意だが、一般に直径2〜100mmの円形である。これに代えて、サファイアまたは水晶ガラスでプローブを作ってパイプラインに取り付けることもできる。
【0030】
プラスチック製造プラントへの適用性のため、窓は、400℃までの温度と1〜250バールの圧力の溶融物の流れに耐えられなければならない。窓は、一般にサファイアまたは水晶カラス,格別な強度の観点から好ましくはサファイアからなり、厚さが10mmで、例えば文献DE 10201541 A1に記載のように円錐形である。ガラス−金属製シールによる圧力のため、窓要素は、パイプライン壁にパイプライン路と同一平面を成して設けることができる(図3)。
【0031】
照射窓の中心から検出窓の表面までの距離dは、粒子の最適流れのためパイプラインの寸法に適合しているのが好ましい(図4)。適用分野に応じて、距離dは、測定領域内での層流を最適化するため、試料液体の流速および粘度に適合させるのが有利である。
【0032】
パイプライン内の90°角におけるデッドスペースができるだけ少なくかつ小さくなるように検出窓を構成することができる。この目的のため、検出窓の構成は、例えば図5に示すように適合させることができる。
【0033】
本発明によるプローブの第2の実施形態では、各光ビームに必要な相互配置は、プリズムを用いて達成される。この場合、測定セルは、一般にパイプライン縁に位置させてパイプライン壁に挿入される単一の窓を有する(図5,6)。これに代えて、サファイアまたは水晶ガラスから適切なプリズム形状をもつプローブを作って、パイプラインに取り付けることができる。
【0034】
この格別な実施形態は、液体が妨げられずに窓を通って流れるという利点をもつ。光源と検出器の配置およびプリズムの幾何学形状と光学的特性が、励起光と放出光の適切な相互直交配置を補償するという利点がある。流れ方向に対して好ましくは45°〜135°の固定角度で観察が行われる。この実施形態では、粒子は指向性の線として記録される。
【0035】
プリズム構成の場合、励起光ビームの厚さは、パイプラインの直径よりも薄いのが好ましい。5mm以下,好ましくは150μm〜3mmの厚さが有利であるが、厚さは、流路の直径に依存する。例えば、光ビーム厚さが1mm以下の場合、直径5mmの流路が好ましい。測定容積が、焦点深度領域よりも大きい場合は、粒子は最早正確に測定できない。要求が複数の検出イベントの1つだけであるなら、測定容積は可能な限り多くの光を集めるに充分であれば足る。
【0036】
上記第1および第2の実施形態では、測定セル内の温度を貫流する液体の温度が一定になるように加熱要素で直接制御するのが有利である。一般に、加熱要素は、加熱路または電気ヒータを介する微量油加熱である。
【0037】
本発明では、検出器は、発光粒子によって放出される波長500〜700nmの光の強度を通常記録することができる。光散乱粒子によって放出される光の強度を検出器が記録する場合、これは通常、励起波長で行われてきた。必要なら、この波長範囲を選択的に検出するために発光フィルタが用いられる。また、発光粒子を検出する検出器と光散乱粒子を検出する検出器を組み合わせて複数の検出器を用いることも可能である(図10)。
【0038】
可能な検出器は、例えば、CCDカメラ, CMOSカメラ, 増幅器カメラ, フォトマルチプライヤー, フォトセルなどである。適切なカメラは、検出波長範囲(500〜700nm)内で十分に光感受性があるカメラである。例えば、AVT(Allied Vision Technologies)社のStingrayカメラ(画像周波数はモードに応じて9〜84fps)が用いられる。カメラの利点は、粒子の発光強度のみならず粒子の表面を検出できることである。
【0039】
本発明によれば、光源が流路の試料容積を連続的または集積時間に亘って照射し、流れ通る粒子を励起する。
【0040】
一般に、集積時間は、試料容積の寸法および流速に適合している。
【0041】
検出器は、流路内からの放出光を集積時間に亘って記録し、その情報を通常はコンピュータの一部である画像分析ユニットに送信する。
【0042】
画像材料は、一般に図7のフローチャートに従って解析され、データが算定され、出力される。
【0043】
本発明の他の目的は、プローブを通って流れる液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するための方法であって、本発明の方法は、次の各ステップを含む。即ち、
− 光容積の寸法を入力し、流速を入力し、粒子が所定流速で光容積を流れ抜けるに要する時間で定義される集積時間を制御するための要素で集積時間を計算し、
− 上記光容積を画定すべく、光源によって光励起し、
− 検出器によって光放出を上記集積時間に亘って検出し、
− 画像解析ユニットによって検出データを解析し、
− 粒子の数、粒子の寸法分布、単位体積または単位重量当たりの粒子の強度分布、特定時間に亘る発光粒子の集合画像の少なくとも1つを出力する
各ステップである。
【0044】
本発明の更に他の目的は、本発明によるプローブの使用、特にプラスチックプラントや廃水処理プラントなどの製造プラントをオンラインでモニターする方法である。
【0045】
図1,3〜6は、本発明による装置の可能な実施形態を示すが、これらは本発明を限定するものではない。
【0046】
図2,7,11は、本発明による方法の順序および上記画像解析ユニットにおける画像解析の順序を示すが、これらは本発明を限定するものではない。
【0047】
一連の画像が集積時間に亘って記録されると、画像は、画像解析ユニットによる画像解析の前に加算され、図7の手順に従って解析が続けられる。この場合、画像は、加算された画像である。これに代えて、画像解析ユニットは、図11の手順に従って画像解析を行い、画像解析の一部として加算を行う。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態によるプローブを示す図である。
【図2】図2は、工程を示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1の実施形態を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態において距離dの最適化を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態における窓の変形例を示す図である。
【図6a】図6aは、プリズムをもつ第2の実施形態の側面図である。
【図6b】図6bは、プリズムをもつ第2の実施形態の平面図である。
【図7】図7は、上記実施形態の画像解析ユニットにおける画像解析の手順を示すフローチャートであり、粒子は、集積時間に等しい比較的長い検出時間に亘って記録される。
【図8】図8は、徐々に溶解する試料1グラム当たりに含まれる蛍光粒子の数を示す図である。
【図9】図9は、6時間に亘る蛍光粒子の集合画像を示す図である。
【図10】図10は、発光粒子と蛍光粒子を同時に検出するためのプローブを示す図である。
【図11】図11は、実施形態の画像解析ユニットにおける画像解析の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
直径8mmの流路をもつパイプラインは、角度90°で屈曲している。屈曲部から上流のパイプラインの片側の壁に照射窓が加工され、屈曲部の直ぐ下流のパイプライン流路の下部に全体に亘って開いて,向かってくる液体流を記録するように検出窓が加工されている。
【0050】
照射窓の中心から検出窓の表面までの距離dは、14mmであった。
【0051】
上記照射窓と検出窓は、直径9mmの円形であった。各窓には、厚さ10mmのサファイアで作られた円錐状の窓ガラスが、ガラス−金属 シール(図3)による圧力でパイプライン流路と同一平面を成して夫々取り付けられた。
【0052】
このプローブは、ポリカーボネート製造システムの温度300℃の溶融ポリカーボネートが流速6m/min.で流れるパイプラインに取り付けられる。
【0053】
照射窓の手前に、空洞が設けられ、市販のキセノンランプ(Drello社製Drelloscope 255)が励起フィルタ(LOT Oriel社製 HQ450/100 M-2P)と一緒に設けられた。光ビームの励起波長は、励起フィルタの助けで400〜500nmに設定された。光ビームは、上記空洞によって平均直径2mmに焦点を絞られた。
【0054】
検出窓の手前に、記録する波長域を550〜650nmに制限するための蛍光フィルタ(LOT Oriel社製 HQ600/10M-2P)およびビームスプリッタ(LOT Oriel社製 530DCXRU)と組み合わせてカメラ(AVT社製 StingrayF-033B 画像周波数は58fpsまで)が設けられた。カメラは、励起光に対して垂直に配置されて、パイプライン路の全直径を記録できる。
【0055】
カメラのインターフェイスは、いずれもコンピュータの構成要素である集積時間を制御するための要素と画像分析ユニットに接続された。
【0056】
集積時間を制御するための要素に、試料容積(2mm)と流速が入力された。20分の集積時間が計算された。光源は、試料容積を波長400〜500nmの光で連続的に照射した。
【0057】
カメラは、550〜650nmの検出波長において、集積時間を制御する要素で制御される集積時間に亘って試料容積の画像を記録した。
【0058】
記録されたデータは、カメラから画像解析ユニットに送られ、画像解析ユニットによって図7の手順に従って処理された。
【0059】
図8,9は、データ処理後に可能な出力を示している。
【符号の説明】
【0060】
1 光源
2 検出器
2a 発光粒子を検出する検出器
2b 光散乱粒子を検出する検出器
3 パイプライン路
4 パイプライン壁
5 励起光ビーム
6 放出光
7 窓ガラス
8 ガラス−金属 シール
9 空洞
10 プリズム
11 530nmダイクロイックミラー
12 400〜500nm励起フィルタ
13 550〜650nm蛍光フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れる液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するための測定セルを有するプローブにおいて、上記測定セルは、
− 測定されるべき液体が貫流するパイプライン路と、
− パイプラインの壁に設けられた少なくとも1つの透明な窓と、
− 上記パイプライン路内の光学的に制限された光容積中の発光粒子と光散乱粒子を上記窓を経て励起する所定寸法の励起光ビームを生成する少なくとも1つの光源と、
− 上記発光粒子,オプションとして光散乱粒子からの放出光を上記窓または別の窓を経て記録する少なくとも1つの検出器と、
− 試料容積の寸法を入力し、流速を入力し、粒子が流入速度で光容積を通り抜けるのに要する時間である集積時間を計算し,制御するのに役立つとともに、集積時間を制御するための要素とを備え、
上記測定セルでは、上記所定寸法の励起光ビームと発光粒子または散乱光粒子から放出される光が、互いに直交するようになっており、各粒子は、上記測定容積内を液体流と平行に運動し、上記液体流は、上記励起光ビームに対して所定角度を成して流れ、上記液体流と上記検出器と上記光源は、1つの平面内にあり、上記検出器は、上記集積時間を制御するための要素とのインターフェイスを有して、計算された集積時間に亘って発光粒子から放出される光を記録できるようになっていることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブにおいて、上記励起光ビームに対して粒子の流れが成す上記所定角度は、45°〜135°であることを特徴とするプローブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプローブにおいて、上記励起光ビームは、パイプライン路の全パイプライン直径に亘って照射することを特徴とするプローブ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のプローブにおいて、上記パイプラインは、90°の角度で屈曲し、屈曲部より上流のパイプラインの片側を照射するための透明の照射窓と、上記検出器によって放出光を記録するため屈曲部の直ぐ下流のパイプラインに設けられた検出窓を有し、この検出窓はパイプライン路の下部に全体に亘って開いており、上記検出器は向かってくる液体流を記録するようになっていることを特徴とするプローブ。
【請求項5】
請求項4に記載のプローブにおいて、上記照射窓の中心から検出窓の表面までの距離dは、粒子の最適流れのために上記パイプラインの寸法に適合していることを特徴とするプローブ。
【請求項6】
請求項4または5に記載のプローブにおいて、上記光容積は、対象の焦点深度領域の最大で2倍であることを特徴とするプローブ。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のプローブにおいて、上記測定セルは、上記パイプライン縁に位置させてパイプライン壁に挿入され,窓ガラスとしてプリズムをもつ単一の窓を有し、上記プリズムが、放出光に対する励起光の直交配置を補償することを特徴とするプローブ。
【請求項8】
請求項7に記載のプローブにおいて、上記励起光ビームの厚さは、5mm以下であることを特徴とするプローブ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載のプローブにおいて、発光粒子のための検出器と光散乱粒子のための検出器を有することを特徴とするプローブ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載のプローブを貫流する液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するための方法において次の各ステップ、即ち、
a. 試料容積の寸法を入力し、パイプライン中の流速を入力し、粒子が所定流速で光容積を流れ抜けるに要する時間で定義される集積時間を制御するための要素において集積時間を計算し、
b. 上記光容積を画定すべく、光源によってパイプラインの全直径に亘って光を励起し、
c. 検出器によってパイプラインの全直径に亘る光放出を上記集積時間に亘って検出し、
d. 画像解析ユニットによって検出データを解析し、
e. 粒子の数、粒子の寸法分布、単位体積または単位重量当たりの粒子の強度分布、特定時間に亘る発光粒子または光散乱粒子の集合画像の少なくとも1つを出力する各ステップを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、上記光励起と放出光の検出は、パイプラインの全直径にわたって行われる方法。
【請求項12】
請求項11または12に記載の方法において、上記検出器は、高解像度で高光感受性のカメラである方法。
【請求項13】
請求項13に記載の方法において、粒子は、比較的長い検出時間に亘って連続的に記録される方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、上記検出器は、上記集積時間に亘って徐々に加算された一連の画像を記憶する方法。
【請求項15】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載のプローブまたは請求項11乃至14のいずれか1つに記載の方法を、プラスチック製造プラントまたは廃水処理プラントなどの製造プラントのオンラインモニターに用いる方法。
【請求項1】
流れる液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するための測定セルを有するプローブにおいて、上記測定セルは、
− 測定されるべき液体が貫流するパイプライン路と、
− パイプラインの壁に設けられた少なくとも1つの透明な窓と、
− 上記パイプライン路内の光学的に制限された光容積中の発光粒子と光散乱粒子を上記窓を経て励起する所定寸法の励起光ビームを生成する少なくとも1つの光源と、
− 上記発光粒子,オプションとして光散乱粒子からの放出光を上記窓または別の窓を経て記録する少なくとも1つの検出器と、
− 試料容積の寸法を入力し、流速を入力し、粒子が流入速度で光容積を通り抜けるのに要する時間である集積時間を計算し,制御するのに役立つとともに、集積時間を制御するための要素とを備え、
上記測定セルでは、上記所定寸法の励起光ビームと発光粒子または散乱光粒子から放出される光が、互いに直交するようになっており、各粒子は、上記測定容積内を液体流と平行に運動し、上記液体流は、上記励起光ビームに対して所定角度を成して流れ、上記液体流と上記検出器と上記光源は、1つの平面内にあり、上記検出器は、上記集積時間を制御するための要素とのインターフェイスを有して、計算された集積時間に亘って発光粒子から放出される光を記録できるようになっていることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブにおいて、上記励起光ビームに対して粒子の流れが成す上記所定角度は、45°〜135°であることを特徴とするプローブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプローブにおいて、上記励起光ビームは、パイプライン路の全パイプライン直径に亘って照射することを特徴とするプローブ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のプローブにおいて、上記パイプラインは、90°の角度で屈曲し、屈曲部より上流のパイプラインの片側を照射するための透明の照射窓と、上記検出器によって放出光を記録するため屈曲部の直ぐ下流のパイプラインに設けられた検出窓を有し、この検出窓はパイプライン路の下部に全体に亘って開いており、上記検出器は向かってくる液体流を記録するようになっていることを特徴とするプローブ。
【請求項5】
請求項4に記載のプローブにおいて、上記照射窓の中心から検出窓の表面までの距離dは、粒子の最適流れのために上記パイプラインの寸法に適合していることを特徴とするプローブ。
【請求項6】
請求項4または5に記載のプローブにおいて、上記光容積は、対象の焦点深度領域の最大で2倍であることを特徴とするプローブ。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のプローブにおいて、上記測定セルは、上記パイプライン縁に位置させてパイプライン壁に挿入され,窓ガラスとしてプリズムをもつ単一の窓を有し、上記プリズムが、放出光に対する励起光の直交配置を補償することを特徴とするプローブ。
【請求項8】
請求項7に記載のプローブにおいて、上記励起光ビームの厚さは、5mm以下であることを特徴とするプローブ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載のプローブにおいて、発光粒子のための検出器と光散乱粒子のための検出器を有することを特徴とするプローブ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載のプローブを貫流する液体中の発光粒子,オプションとして光散乱粒子を検出するための方法において次の各ステップ、即ち、
a. 試料容積の寸法を入力し、パイプライン中の流速を入力し、粒子が所定流速で光容積を流れ抜けるに要する時間で定義される集積時間を制御するための要素において集積時間を計算し、
b. 上記光容積を画定すべく、光源によってパイプラインの全直径に亘って光を励起し、
c. 検出器によってパイプラインの全直径に亘る光放出を上記集積時間に亘って検出し、
d. 画像解析ユニットによって検出データを解析し、
e. 粒子の数、粒子の寸法分布、単位体積または単位重量当たりの粒子の強度分布、特定時間に亘る発光粒子または光散乱粒子の集合画像の少なくとも1つを出力する各ステップを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、上記光励起と放出光の検出は、パイプラインの全直径にわたって行われる方法。
【請求項12】
請求項11または12に記載の方法において、上記検出器は、高解像度で高光感受性のカメラである方法。
【請求項13】
請求項13に記載の方法において、粒子は、比較的長い検出時間に亘って連続的に記録される方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、上記検出器は、上記集積時間に亘って徐々に加算された一連の画像を記憶する方法。
【請求項15】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載のプローブまたは請求項11乃至14のいずれか1つに記載の方法を、プラスチック製造プラントまたは廃水処理プラントなどの製造プラントのオンラインモニターに用いる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−513789(P2013−513789A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542498(P2012−542498)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068998
【国際公開番号】WO2011/069976
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068998
【国際公開番号】WO2011/069976
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
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