流れ制限の検出のための自動制御
気道圧治療発生器を含み得る呼吸流れ制限検出機器は、部分閉塞を検出する1個以上の形状指数と患者の通気または呼吸負荷サイクルの指標とに基づく流れ制限指標(506)を決定する。形状指数はM形状化呼吸パターンおよび/またはチェア形状化呼吸パターンの存在の可能性を確認する(複数の)関数に基づく。通気の指標は、通常の患者通気未満を検出するために現在および事前の1回呼吸量の解析に基づき得る。負荷サイクル指標は、呼吸サイクル時間に関連して患者の吸気サイクル時間の増加を検出するために、現在および事前の呼吸サイクル時間に対する呼吸時間の指標の比率であってよい。流れ制限に基づく圧力セッティングは、その後に患者の検出された流れ制限条件を改良するため治療圧を調整するために使用され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、参照により開示内容が本明細書に組み込まれた2007年5月11日に出願された豪州仮特許出願第2007902561号および2007年8月17日に出願された米国仮特許出願第60/965,172号の出願日の利益を主張する。
【0002】
[発明の分野]
提案された技術は、睡眠時無呼吸低呼吸症候群(OSAHS)または閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に関連した容態等の呼吸状態の検出、診断、および/または、治療のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
1993年4月6日に発行された米国特許第5,199,424号にSullivanとLynchによって記載されているように、持続的気道陽圧(CPAP)の印加が閉塞性睡眠時無呼吸の発生を治療する手段として使用されている。患者は鼻マスクまたは鼻腔プロングを介して陽圧空気源につながれる。患者によって呼吸される空気源は大気圧より僅かに高い。持続的気道陽圧の印加は、上気道を支持および安定化し、よって、上気道閉塞の発生をなくす「空気添え木」と表現可能であるものをもたらすことがわかった。持続的気道陽圧の印加はいびきと閉塞性睡眠時無呼吸の両方を取り除くのに効果的であり、多くの場合、中枢性無呼吸および混合性無呼吸を治療するのに効果的である。
【0004】
1996年8月27日に発行された、Gruenkeに対する米国特許第5,549,106号には、混合性睡眠時無呼吸および閉塞性睡眠時無呼吸を治療するため患者の呼吸を楽にさせることを目的とする装置が開示されている。機器は、吸息の直前に患者の気道へ供給される鼻腔内空気圧を増加させ、その後に呼息努力を楽にさせるため圧力を減少させる。
【0005】
米国特許第5,245,995号において、Sullivanは、閉塞前の発作またはその他の形の呼吸疾患の早期兆候をもたらす、いびきパターンおよび異常呼吸パターンが睡眠中の吸気および呼気の圧力測定によってどのようにして検出可能であるかを検討している。特に、呼吸パラメータのパターンが監視され、CPAP圧力は、理想的には閉塞性発作およびその他の形の呼吸疾患の発生を無くすため、増加した気道圧力をもたらすように予め定義されたパターンの検出時に上昇させられる。
【0006】
1998年1月6日に発行された、米国特許第5,704,345号にBerthon−Jonesによって記載されているように、閉塞性呼吸を表す異常呼吸パターンを感知し検知する種々の手法が公知である。Berthon−Jonesは、無呼吸、いびき、および、呼吸流れ平坦化のような事象を検出することに基づく方法について記載している。治療圧力は検出された状態に応答して自動的に調整されてもよい。
【0007】
国際特許出願PCT/AU01/01948(公開番号第WO02/18002号)にWickhamによって記載されているように、流れ平坦化決定は様々の重み係数にさらに基づくことがある。重み係数は、種々のタイプの呼吸閉塞に対する感度を高めるために気流の区域に適用される。
【0008】
閉塞を検出するその他の方法もまた使用されている。たとえば、米国特許第5,490,502号および第5,803,066号において、Rapoportは、患者の気道中に流れ制限が現れないことを確実にすることを試みながら、流れ発生器からの空気の流れを最小限に抑えるために制御される陽圧を最適化する方法および装置について開示する。患者の気道への制御された陽圧は吸気流れ波形の形状から流れ制限を検出することにより調整される。圧力セッティングは、流れ制限が検出されたかどうか、および、システムによって先になされた処置に応じて、上昇、下降、または、維持される。
【0009】
米国特許第5,645,053号において、Remmersは、OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)処置の間に鼻腔圧力のレベルを最適値に自動的かつ連続的に調節するシステムについて記載する。吸気プロファイルの丸さおよび平坦さの程度といった吸気流れの時間プロファイルの形状に関連したパラメータが決定される。OSA治療は、その後に、印加圧力を自動的に再評価し、患者の咽頭気道を適切に膨脹させるために要する最小圧力を連続的に探索することによって実施される。
【0010】
OSAを治療するこのような機器の可用性にもかかわらず、ある種の睡眠時閉塞事象はある種の機器の使用によってまだ治療されていない。したがって、閉塞事象の自動検出および治療の新しい方法が望まれている。
【発明の概要】
【0011】
本技術の態様によれば、睡眠時呼吸障害または流れ制限の改良型の自動検出および/または自動治療を備える装置および方法が提供される。
【0012】
本技術の別の態様によれば、部分閉塞を表す流れ波形の、改良型の検出および/または治療が提供される。
【0013】
本技術のさらに別の態様によれば、部分閉塞または流れ制限の兆候へのより素早い応答のための装置および方法が提供される。
【0014】
本技術のさらに別の態様によれば、閉塞事象をより正確に検出するために、気道の測定または検出された二次的状態によって流れ制限波形またはその形状指数のような流れ制限または部分閉塞の指標を適正化する装置および方法が提供される。
【0015】
本技術の態様は、呼吸流れの指標を決定するステップと、呼吸流れの指標から流れ制限のパターンを表す形状指数を決定するステップと、呼吸流れの指標から通気指標または息負荷サイクル指標を決定するステップと、決定された形状指数と決定された通気指標および負荷サイクル指標の一方または両方との関数として流れ制限指標を導出するステップとを含み得る、流れ制限を検出する方法に関係している。
【0016】
ある種の実施形態では、形状指数は、平坦化の指数、「M」形状化の指数、チェア形状化および/または丸さなどの指数、または、部分閉塞を表すことがあるその他の指数でもよい。通気指標は、前の一回呼吸量に対する現在の一回呼吸量の比率のような一回呼吸量指標でもよい。息負荷サイクル指標は、息サイクル時間に対する現在の息吸気時間の比率、および、息サイクル時間に対する事前の平均息吸気時間の比率のような比率でもよい。
【0017】
これらの方法は、流れ制限検出器によって、および/または、流れ制限圧力治療機器によって実施されることがある。たとえば、これらの方法は、形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、通気指標が正常な通気未満を表すように十分に減少することの条件として圧力を増加させることなどにより、圧力治療機器の治療圧力を調整するため実施されることがある。場合によっては、治療圧力値は、形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、負荷サイクル指標の増加の条件として調整または増加されることがある。
【0018】
本技術の一実施形態では、流れ制限を検出する装置は、呼吸ガスの流れを伝達する患者インターフェイスと、患者インターフェイスと連結され、患者インターフェイスを通る呼吸ガスの流れを表す流れ信号を生成する流れセンサと、流れセンサと連結され、流れ信号を処理するコントローラとを含むことがあり、コントローラが、形状指数と、通気指標および息負荷サイクル指標の一方または両方とに基づいて流れ制限指標を導出するため、検出の方法を制御するために構成される。この装置は、コントローラが流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、本明細書中に記載されている調整のような圧力要求に従って流れ発生器を設定するために構成され得るように、コントローラおよび患者インターフェイスと連結された流れ発生器をさらに含むことがある。
【0019】
本技術の一実施形態では、流れ制限の検出のためのシステムは、呼吸ガスの流れを伝達するインターフェイス手段と、インターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの流れを表す流れ信号を生成する流れ測定手段と、流れ測定手段と連結され、流れ信号を処理する処理手段とを含むことがあり、処理手段は、形状指数と、通気指標または息負荷サイクル指標のいずれかとに基づいて流れ制限指標を導出するため、検出の方法を処理するために構成されている。このシステムは、処理手段およびインターフェイス手段と連結され、処理手段が流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するために構成されることがあるように、インターフェイス手段を通る制御された呼吸ガスの流れを生成し、圧力要求に従って流れ生成器を設定する流れ手段をさらに含むことがある。
【0020】
別の実施形態では、本技術は、呼吸流れ制限を検出する装置を制御できるようなプロセッサ読み取り可能な情報を有する情報保持媒体でもよい。プロセッサ読み取り可能な情報は、呼吸流れの指標を決定し、呼吸流れの指標から流れ制限のパターンを表す形状指数を決定し、呼吸流れの指標から通気指標および/または息負荷サイクル指標を決定し、決定された形状指数と、決定された通気指標および息負荷サイクル指標の一方または両方との関数として流れ制限指標を導出する制御命令を含むことがある。プロセッサ読み取り可能な情報は、流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、本明細書中に記載されているように圧力を調整する命令をさらに含むことがある。
【0021】
本技術の別の態様は、流れ制限の指標の関数として比例的に導出される圧力または流れ制御情報もしくは信号の生成に関連する。たとえば、コントローラまたはプロセッサは、呼吸治療機器のための圧力セッティングまたは流速セッティングを制御または決定するように構成されることがある。呼吸流れの指標に基づいて、閉塞または流れ制限の程度を表す、閉塞指標または形状指数は、装置によって決定または計算されることがある。この装置は、さらに場合によっては、呼吸流れの指標から通気の変化の程度を表す通気指標を決定することがある。治療圧力セッティングまたは流速セッティングは、(1)閉塞または流れ制限の程度、および、(2)通気の変化の程度の一方または両方の比例関数として、装置によって導出されることがある。
【0022】
本技術のさらなる実施形態は以下の開示から明白である。
【0023】
本技術は、類似した参照符号が同様の要素を参照する添付図面の図において、制限のためでなく、例示の目的で説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】最初に正常に呼吸する患者の気流、次に気道狭窄が起こっている患者の気流、最後に覚醒している患者の気流を示す図である。
【図2】「M」形状呼吸パターンによって示された閉塞が起こっている患者に関する平坦化指数を示す図である。
【図3】患者の睡眠からの覚醒を示す呼吸パターンにつながる「M」形状呼吸パターンによって示された閉塞が起こっている患者に関するマルチ息平均化の有無を問わない平坦化指数を示す図である。
【図4】流れ制限または部分閉塞の検出および/または治療のための装置のコンポーネントの実施例を示す図である。
【図5】流れ制限または部分閉塞を検出する際の検出または治療機器の適切なステップを示す図である。
【図6】シングル息平坦化形状指数に基づく変数のファジーメンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図7】m形状息形状指数に基づく変数のファジーメンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図8】通気率指数に基づく変数のファジーメンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図9】息負荷サイクル比に基づく変数のファジーメンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図10】流れ制限測定の出力メンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図11】重心法を使用する流れ制限または部分閉塞指標の決定におけるデファジー化演算の実施例を示す図である。
【図12】通気の指標に基づく流れ制限または部分閉塞指標の検出能力を修正する関数の実施例を示す図である。
【図13】同じ流れ信号から決定された、本明細書中に記載されている技術の計算流れ制限指標FFLと従来の平坦化指数のグラフ比較図である。
【図14】鼻腔流れから導出された流れ信号と、呼吸覚醒の可能性を定量化する連続RERA検出器の出力指標とを示す図である。
【図15】睡眠−目覚め−覚醒検出の指数でもよいピーク呼気流れ対平均呼気流れの比率を示す図である。
【図16】低周波いびきの中で閉塞性息の系列を記録するフィルタ処理された流れ信号およびフィルタ処理されていない流れ信号の2個の重ね合わされた流れ信号を示す図である。
【図17】気流信号をフィルタ処理するために役立つFIRフィルタ実施例の応答を示す図である。
【図18】M形状呼吸を検出する基本ベクトルB1およびB2として機能する関数の実施例をプロットする図である。
【図19】典型的なM形状化された息の流れ信号のグラフである。
【図20】単純なチェア形状化によって増強されたM形状息を示す流れ信号のグラフである。
【図21】チェア形状を有するM形状息を検出するために役立つピーク吸気流れ対平均吸気流れの比率に基づく変数のメンバーシップ関数のグラフである。
【図22】チェア形状を有するM形状息を検出するために役立つ吸気ピーク位置に基づく変数のメンバーシップ関数のグラフである。
【図23】流れ信号のグラフ、決定された平坦度指標のグラフ、および、決定されたチェア形状化指標のグラフを示す図である。
【図24】t=420において睡眠覚醒中に終了する呼吸の努力が増加している上気道抵抗が起こっている患者の流れ信号のグラフと、対応するシングル息平坦化指数のグラフである。
【図25】図24の流れ信号に基づく流れ制限指標と、通気指標と、負荷サイクル指標の実施例のグラフである。
【図26】図24の流れ信号に示された息の系列に基づく持続的閉塞指標または持続的平坦化指標のグラフである。
【図27】流れ制限指標の修正のため利用可能である重み減少係数の関数を示す図である。
【図28】呼吸流れ信号のグラフと、瞬時いびき信号のグラフと、3個のいびき指数のグラフとを表す図である。
【図29】複数のいびき指数に基づいていびきを取り扱う分類を表す図である。
【図30】正確なトリム結果および不正確なトリム結果の印が付けられたM形状息のグラフである。
【図31】M形状息を含む流れ信号対時間のグラフと、2通りの方法によって決定された吸気時間のグラフとを含む図である。
【図32】漏れ条件に応じて流れ制限の指標の重みを減少させるため役立つ関数のグラフを示す図である。
【図33】漏れ条件に基づいて流れ制限指標または部分閉塞指標(たとえば、FFL)の重みを減少させるために役立つさらなる関数の図である。
【図34】マスク圧力のレベルによって流れ制限または部分閉塞指標の重みを減少させるために適した関数のグラフである。
【図35】妨害の指標によって流れ制限または部分閉塞指標の重みを減少させるために適した関数のグラフである。
【図36】治療圧力の関数としていびき指標の重みを減少させるために適した関数のグラフである。
【図37】大息を表す通気指標に基づいていびき指標の重みを減少させるために適した関数のグラフである。
【図38】様々な患者のグループに対する正規化呼気ピーク位置のヒストグラムである。
【図39】正規化呼気ピーク位置値に基づいて流れ制限または部分閉塞指標に適用されるべき重み減少係数の関数のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
OSAを有する患者は、睡眠中に、患者の目覚めだけによって終わる無呼吸または呼吸低下が頻発する。これらの頻発する事象は、睡眠断片化、および、交感神経系の刺激の原因になる。これは、患者に対し、(自動車事故を伴う可能性がある)日中の眠気、芳しくない精神作用、記憶の不具合、鬱、および、高血圧といった重大な結果となり得る。OSAを有する患者は、大きないびきをかくこともあるため、同時に自分のパートナーの睡眠の邪魔をすることもある。OSAを有する患者の最良の治療の形態は、連結ホースおよびマスクを介して送風機(コンプレッサ)によって加えられる持続的気道陽圧(CPAP)である。陽圧は吸気中に患者の気道の狭窄を防止するので、頻発する無呼吸または低呼吸とそれらの後遺症とを防止する。
【0026】
通常、患者は、睡眠ポリグラフとして知られている記録が取り出される多数のセンサを使用して監視される2回の睡眠調査を受ける。第1の調査(治療なし)はOSAの診断を確認し、第2の調査は患者を正しい治療圧力にタイトレーションするために使用される。圧力要件は、位置、姿勢および睡眠状態の変化のために一晩の間に変化する。医者は、あらゆる偶然性をカバーする可能性がある圧力(タイトレーション圧力)を提案する。これに対する代替案は、圧力を患者の要求に適合させる自動機械であり、この療法は自動気道陽圧すなわちAPAPとして知られている。APAP療法の利点は、この療法が多様な時間スケールに亘って変化する可能性がある圧力要件に適合性がある点である。たとえば、圧力要件は、姿勢および睡眠状態に伴って夜の間に変化し、おそらくアルコール消費に伴って週末の間に変化し、療法自体の有益な効果のため数ヶ月の間に変化し、体重減少または増加のため数年の間に変化することがある。さらに、APAP機械は、典型的には必要に応じて圧力を増加させるので、患者は治療上の任意の最高値よりかなり低い快適な圧力で眠りにつくことが可能である。最後に、APAP機械は潜在的に低い圧力で作動するので、マスク漏れの影響は多少改善される傾向がある。
【0027】
APAP機械において患者圧力を自動的に設定するため使用される公知のアルゴリズムは、ResMed AutoSetと呼ばれる。全体として、AutoSet機器とそのアルゴリズムはOSA患者を治療するため優れている。ResMed AutoSetアルゴリズムは、流れ制限、いびき(可聴雑音)、および、無呼吸の3つの状況に応答する。自動圧力セッティングは、相互参照によりその内容が本明細書に明確に組み込まれる米国特許第5,704,345号にも記載されている。流れ制限は、流体流れを搬送するいわゆる「押出しチューブ」の流体力学特性である。OSAを有する患者の咽頭は、(たとえ、ベンチトップで調査されている単純なパッシブチューブではなく筋肉の押出しチューブであるとしても)押出しチューブの例である。本質的に、流れ制限は、流れを搬送する狭窄チューブ内において、(上流圧力が一定に保たれていると仮定すると)流れが下流圧力を減少させること(すなわち、流れ駆動差圧の増加)によってそれ以上増加されない状態である。狭窄上気道を有する患者において、この状態は、患者がもはや適切な通気を得られず、呼吸努力の増大が吸気流速をもはや増加させない状況と同じである。図1は、そのような患者が102で最初に正常な呼吸を行い、次に、104で気道狭窄が生じ、食堂内圧のより大きい負の偏位(呼吸努力の指標)にもかかわらず、どうしても1回呼吸量または流速を増加させられない例を示している。最終的には、患者は、気道を開き、血液−ガスの恒常性を回復するように数回の大きい息をするために106で覚醒する。
【0028】
ResMed AutoSetアルゴリズムは、患者流れを監視し、流れ制限またはいびきを検出するとき、圧力を上昇させる。通常は、無呼吸の前に流れ制限(部分閉塞と呼ばれることもある)またはいびきの期間が先行するので、無呼吸に直面することは稀である。バックアップ手段として、圧力は無呼吸が検出されたときも上昇させられる。流れの乱れが測定されない場合、圧力は緩やかに減少することが可能となり、できれば、患者が目覚めることなく眠ることを可能にさせる平衡圧力が達成される。AutoSetアルゴリズムは比例的に応答するので、このアルゴリズムが応答する条件毎にメトリックが使用される。メトリック、すなわち、流れ制限のための平坦化指数と、いびきの吸気の間に平均化された音の校正RMS指標と、検出された無呼吸の長さとが使用される。
【0029】
平坦化指数は、患者の吸気波形を使用して計算される無次元特徴(たとえば、実数)である。平坦化指数は、波形の最高部がどの程度平坦であるかを原則的に測定することを試みる。流れ制限の特徴は、下流圧力が十分に低いためにチューブを狭窄した状態に保つことができる一方で、駆動圧力の変化とは無関係に、流速がほぼ一定値に維持されることである。流れ制限呼吸を有する患者において、このことは平坦な最高部を含む吸気波形(すなわち、一定吸気流速)と同じである。
【0030】
たとえば、指数の選択された目盛に依存して、正常な呼吸は、約0.2の平坦化指数を生成する可能性があり、一方、著しく平坦化された波形は約0.1以下の平坦化指数を生成する可能性がある。APAP療法の場合、制限が典型的に設定され(たとえば、ある種の機械では0.19)、圧力は、平坦化指数が閾値を下回る程度に比例して上昇させられる。雑音の影響を低減し、特異性を高めるため、典型的な圧力セッティングアルゴリズムは、5回の息点に関する移動平均を使用することもある。5回の息平均の考え得る不利点は、平坦化がその最終的な最低点へ下がる前に5回の異常息が平均化されることを必要とするので、流れ制限の検出を減速することである。3個の発見的な重み付けは、漏れが増加するのにつれて、治療圧力が上昇するのにつれて、および、バルブライク呼吸の形跡が増加するのにつれて、平坦化のより大きな低減が必要とされる程度に平坦化が圧力の上昇を引き起こす閾値に適用される可能性がある。これらの経験則は、低下した情報(流れ信号)にもかかわらず、潜在的な圧力急上昇を阻止するために役立つ。
【0031】
平坦化指数は流れ制限の優れた指標であるが、ある種の状況を検出するために設計されている。しかし、一部の特定の実施では、一部の稀な状況を対象にしないことがわかった。以下にこのような観察が行われた分野を挙げる。
【0032】
1.5回息移動平均は流れ制限の検出を減速する。このことは図2に示されている。図2において、上側のトレースは、従来の5回息移動平均平坦化指数のプロットを示している。下側のトレースは呼吸流れの指標を示している。患者は少しずつ閉塞し始め、平坦化トレースは、5回息平均に起因して202において階段状に降下する。グラフの右側へ向かって、閉塞がより重大になり、徐々により形状が「M」になり始める。図示されているように、平坦化指数は、最終的に向きを反転し始め、閉塞の悪化に伴って減少ではなく増加する。
2.様々な吸気形状が完全に新しい形状を与えるために平均化する可能性があるので、5回息移動平均は重要性を有する可能性がある。このことは図3に示されている。図3は、302におけるいわゆるM形状の閉塞状態の息の系列であって、304における覚醒で終わり、306において一部の合理的に正常な回復息がその後に続く系列を示している。グラフに示されているように、シングル息平坦化と従来の平坦化は両方ともにM息の系列の最後で高く(前者がより素早く最大値に達する)、覚醒後に、従来の平坦化は実際に0.1未満に下がるが、その理由は息が平坦化されるからではなく、むしろ、M息が正常な息と一緒に平均化され、疑似的に平坦な形状を生成するからである。
3.平坦化指数はM息を検出するために設計されていない。実際に、平坦化指数は、M形状息が起こるとき高くなる。このことは図2および3に示されている。
4.平坦化指数は、機器の患者−ユーザの現在の通気または睡眠状態とは無関係に、圧力増加の原因になる可能性がある。
5.平坦化の重みを減少させるため適用される経験則はある種の患者に治療不足を生じさせる可能性がある。
6.平坦化指数は、流れ制限を検出するため平坦化指数を使用する任意のアルゴリズムの感度および特異性に対し重大性を有する、正常なランダム変動の影響を受ける。
【0033】
M形状息は稀である可能性があるが、流れ制限を検出し、および/または、既存の方法および機器を改良するために、さらなる方法および機器を開発することが依然として望ましい。
【0034】
図4を参照すると、本技術は、サーボ制御式送風機402のような流れ発生器を含み得る圧力送出および/または流れ制限検出機器に関連する。この機器は、典型的に、マスク406のような患者インターフェイスと、空気または呼吸ガスの流れを患者へ、および/または、患者から搬送する空気送出導管408とをさらに含む。送風機402は空気送出導管408およびマスク406と連結されていてもよい。排気ガスは排気管413を介して通気させることが可能である。場合によっては、流れセンサ404fおよび/または圧力センサ404pが利用されることもある。たとえば、マスク流れは、呼吸気流計、および、差圧トランスデューサ、または、流れ信号F(t)を導出するためにチューブまたはダクトの束を利用する機器のような類似した機器を使用して測定されることがある。同様に、マスク圧力は圧力信号Pmask(t)を導出するために圧力トランスデューサを使用して圧力孔で測定されることがある。圧力センサ404fおよび流れセンサ404pは図4において記号的に表されているだけであり、その理由は、他の構造および他の機器が流れおよび圧力を測定するために実施されてもよいことが理解されるからである。流れ信号F(t)および圧力信号Pmask(t)は、圧力要求信号Prequest(t)を導出するために1台以上のアナログ・デジタル(A/D)変換器/標本化器(図示せず)を介してコントローラまたはマイクロプロセッサ415へ送信されてもよい。
【0035】
代替的に、流れ信号f(t)および/または圧力信号Pmask(t)は、上述されているような流れセンサおよび圧力センサの有無にかかわらず、モータに供給される電流(I)と、モータの速度(S)および/または回転数(w)とを監視することにより、送風機モータに関連して推定または計算されることがある。場合によっては、送風機モータ速度はほぼ一定に保たれることがあり、マスク内の圧力変化は、マスクへの気流を可変的に迂回/通気または送出することがあるサーボバルブの開きを制御することによって実施されてもよい。さらに、その他のタイプの患者インターフェイスがマスクに代えて使用されてもよく、流れセンサおよび/または圧力センサは患者インターフェイスに関して選択的な位置で流れおよび圧力を測定してもよい。
【0036】
コントローラまたはプロセッサ415は、より詳細に本明細書中に記載されている方法またはアルゴリズムを実施するため構成され適合し、集積チップと、メモリ、および/または、その他の制御命令、データ、もしくは、情報記憶媒体とを含むことがある。たとえば、制御方法を用いてプログラムされた命令は、機器のメモリにおいて集積チップに符号化されることがあるか、または、このような命令は、適切な媒体を使用してソフトウェアまたはファームウェアとしてロードされることがある。
【0037】
このようなコントローラを用いて、装置は、送風機の速度を設定するために、または、放出バルブを用いる通気を操作するために使用され、本明細書中に詳述されている実施例に示されているような圧力送出式に関連した検出方法に基づくことがある圧力送出式を調整することにより、多くの異なる圧力治療法のため使用することが可能である。代替的に、圧力治療法は、機器が流れ制限の存在を診断、検出、および/または、定量化するために使用されることがあるように、圧力治療コンポーネントを含むことなく、機器において実施されることがある。
【0038】
部分閉塞を表す呼吸パターンを検出および/または治療するために本明細書中に提案されている方法またはアルゴリズムは、ファジー論理制御システムとしてコントローラを用いて実施することが可能である。一般に、ファジー論理は、システム挙動に関するアイデアを、制御システムのパラメータに関する実数に基づいているコンピュータコードに変換する手法である。しかし、当面の問題は、基本的に統計的パターン認識のうちの1つであり、本明細書中においてより詳しく検討されている代替案のような、その他の技法を使用して実施されることがある。したがって、以下の技術は、ファジー論理制御システムの観点から提案されているが、所望の制御入力および典型的な出力関数に基づいて制御システムに導入する他の技法が存在することが理解される。
【0039】
このために、本技術の制御システムの実施形態は、ファジー流れ制限(FFL)指標のような部分閉塞または流れ制限指標を使用する以下の一般的なアプローチに従って実施することが可能である。このような指標を使用することは、システム制御変数としての従来の平坦化指数の使用に関して上述されている観察の一部を改善することがあるアプローチである。流れ制限指標FFLは、流れ制限(または、より厳密には、部分上気道閉塞)に対するアルゴリズムの応答の感度および特異性を改良するために複数の特徴パターン認識を使用する。実施形態では、流れ制限指標FFLを用いる一般的なアプローチは以下のステップのうちの一部または全部を含むことがある。
【0040】
1.患者の呼吸流れを監視する。
2.流れ信号から吸気波形および呼気波形を抽出する。
3.波形の各成分から、または、適切な場合には、合成波形から特徴を計算する。複数の特徴がパターンを構成すると考えられることがある。
4.未加工変数からファジー入力変数を計算する。このステップは入力変数の新しい空間へのマッピングを構成する。患者の適当な集団のデータマイニングはパラメータ空間の良好な推定を可能にさせる。
5.ファジー出力を生成するためにファジー論理を使用して導出されたファジー変数を結合する。このステップは素人による直観的な理解を可能にさせる行列を使用して定式化することが可能である。
6.圧力制御アルゴリズムによって使用されるべきクリスプ値(実数)を生成するためにファジー出力を逆ファジー化する。
7.複数のソースからのファジー出力を結合する。
8.FFL結果に基づいて治療圧力を調整する。
【0041】
この方法によれば、システム実施例は、広範囲で変化する入力パラメータをファジー論理原理を用いて容易に解釈できる変数にマッピングする。たとえば、平坦化指数のような形状指数は、高平坦化、普通の平坦化、低平坦化などのようなファジー変数にマッピングされることがある。これらの変数の1つずつは、変数に関連した数学関数によって決定されるような平坦化指数の値に依存し、かつ、呼吸気流のような平坦化決定に関連した入力データに基づいて、ゼロと1との間の値を取る。同様に、その他のファジー変数は、適切な数学関数、および、決定通気と関連した入力データに基づいて、高通気、普通の通気、および、低通気などのような通気指標をマッピングすることが可能である。さらに別のファジー変数もまた、低Ti−on−Ttot、普通のTi−on−Ttot、または、高Ti−on−Ttotなどのような呼吸負荷サイクル指標(たとえば、呼吸サイクルの総時間(Ttot)に対する吸気の時間(Ti)の比率)をマッピングすることが可能である。これらの変数は、次に制御変数を生成するために使用されることがあるファジー出力にさらにマッピングされてもよい。流れ制限指標と関連したファジー出力は、たとえば、軽度、中程度、および、重度でもよく、上述された実施例のようなその他のファジー変数に基づくこともある。たとえば、ファジー論理コントローラは以下のとおりのステートメント実施例によって表現される条件を実施することがある。
(a)(低平坦化および低通気)であるならば、流れ制限は重度である。
(b)(高平坦化および高Ti−on−Ttot)であるならば、流れ制限は軽度である。
【0042】
流れ制限指標として使用することができる逆ファジー化出力は、ゼロ(流れ制限なし)と1(重度)との間で変動するように実施可能である。このようなシステムを用いて、入力空間は、実数精度を全く失うことなく、容易に解釈可能なルールを使用して非線形的な意味で分類できる。
【0043】
実際に、0から1までの連続範囲で閉塞の程度を表現するこのような流れ制限指標の精度を用いて、指標は、この指標を用いて検出された状態を取り扱うために適している応答圧力または流れ制御セッティングを導出するために比例的に実施することが可能である。たとえば、圧力調整が行われるべきであるか否かを決定するためにこのような指標と比較された筈である閾値を利用する必要なしに、指標は、呼吸治療装置のセッティングまたはこのような機器のための治療セッティングの決定において、より直接的に実施されることがある。たとえば、閉塞指標は、圧力調整量または流速調整量に直接的に適用されることがある比例関数(たとえば、指標×調整量)として役立つことがある。結果として得られる調整量はその後に呼吸治療装置の治療セッティングに適用される可能性がある。本明細書中により詳述されている技術に関して説明されているように、「FFL」指標はこのような比例治療セッティング関数としての機能を果たすように実施されることがある。
【0044】
図5にさらに示されているように、このようなシステムでは、流れ制限は、(a)ステップ502に示されている呼吸流れの指標から流れ制限のパターンを表す形状指数を決定するステップと、(b)ステップ504に示されている呼吸流れの指標から通気指標または息負荷サイクル指標を決定するステップと、(c)ステップ506に示されている決定された形状指数と、決定された通気指標または決定された呼吸サイクル指標の一方または両方との関数として、流れ制限指標を導出するステップと、を含む方法によって検出および/または量子化されることがある。このような方法を用いて、治療圧力に対し高度な調整が行われることがある。たとえば、流れ制限を治療するための増加は、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息または平坦化息の存在を表していること、および、(b)通気指標が正常な通気に満たないということを表すまで十分に減少していることの両方が決定されるならば、圧力変化が起こる可能性があるといった条件に基づくことがある。流れ制限を治療するためのさらなる増加は、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表していること、および、(b)負荷サイクル指標の増加が検出されていることの両方が決定されるならば、圧力変化が起こる可能性があるといった別の条件に基づくことがある。このような条件を用いて、適当な治療応答が、単独で利用された形状指数、通気指標、または、呼吸負荷サイクル指標が流れ制限のレベルを正確に予測しないときに現れることになる不必要な治療変化を伴わずに与えられる。
【0045】
したがって、一実施形態では、このシステムは、流れ制限指標FFLを導出するための複数個(たとえば、4個)の入力特徴の使用によって特徴付けられる。入力特徴は、(1)シングル息平坦化(SBF)形状指数、(2)M形状指数(MS)、(3)通気率(VR)のような通気指標、および/または、(4)吸気時間対全息時間の比率(Ti−on−Ttot)のような呼吸負荷サイクル指標を含むことがある。
【0046】
シングル息平坦化指数SBFとして実施される形状指数の実施形態は、好ましくは、5回息移動平均を使用せずに実行されるという点を除いて、米国特許第5,704,345号に開示されたアプローチと同様に計算してもよい。シングル息平坦化形状指数決定の実施の詳細は本明細書中のセクションAに開示されている。
【0047】
M形状の形状指数の決定の典型的な実施は本明細書中のセクションBに記載されている。M形状特徴の図示されている計算は、ゼロ(すなわち、吸気流れ波形がM形状化されていない)から1(すなわち、吸気流れ波形が確定的にM形状化されている)までの範囲で変化し得る。M形状指数は、場合によっては、単純な「チェア形状」指数のような別の形状指数によって増強されることがある。チェア形状指数(たとえば、ファジー「チェアネス」)の典型的な決定もまたセクションBに詳述されている。
【0048】
適当な通気指標の決定の実施形態は1回呼吸量計算に基づくことがある。たとえば、通気指標は、指標が通気または1回呼吸量の変化を表す可能性があるように、現在の1回呼吸量と前の1回呼吸量とを含む比率でもよい。一つの適当な実施形態では、指標は以下のとおり計算することができる通気率VRでもよい。
【0049】
1.呼吸流れの絶対値を取得し、単純なローパスフィルタ(時定数=3分)を使ってその絶対値をフィルタ処理する。
2.フィルタ出力を2で除算し、「3分間通気」を生じさせる。
3.呼吸1回呼吸量(基本的に、吸気量および呼気量の平均)を計算する。
4.1回呼吸量を息の長さで除算し、すなわち、平均息流速を生じさせ、次に、この値を3分間通気によって除算し、この息が直前の通気と一致する程度の指標を生じさせる。
【0050】
通常、VRは1前後の狭い範囲で振動する。重大な上気道閉塞の場合、VRは1より遙かに小さい値まで減少し、完全な閉塞の場合、ゼロまで減少する可能性がある。大息(覚醒時の回復息)は1より遙かに大きい(たとえば、1.5から2の)VRを有する。特定の通気率VRの計算のさらなる詳細は本明細書中のセクションGに含まれている。
【0051】
上述されているように、システムは、場合によっては、流れ制限指標FFLの導出中に呼吸負荷サイクル指標を利用することが可能である。この指標は前の負荷サイクルに対する現在の負荷サイクルの比率に基づくことがあるので、この指標は呼吸負荷サイクルの変化を表す可能性がある。呼吸負荷サイクル比TTRの計算の典型的な詳細は本明細書中のセクションGにさらに記載されている。たとえば、適当な息負荷サイクル指標はTi−on−Ttot変数の計算に基づく可能性がある。選択された変数は、ゼロ(無吸気)および1(無呼気)の(もっともらしくない)制限を有する。ベースTi−on−Ttotは患者によって変化する可能性があるので、直前の平均値に対するTi−on−Ttotの比率、すなわち、本明細書中でTi−on−Ttotの比率として表されている比率が計算される。Ti−on−Ttotの直前の平均値は、計算された各Ti−on−Ttot値を単純なローパスフィルタに入れることによって計算することが可能である。Ti−on−Ttotが直前の履歴と比較して増加するとき、TTRは1を越える。Ti−on−Ttotは0.4前後の値を有し、TTRは通常では1であり、患者が閉塞性上気道であるにもかかわらず、自分の1回呼吸量を「補償」、すなわち、増加させようとしているとき、1より大きい。
【0052】
上述されているように、これらの入力特徴は数学関数によって数個の変数にマッピングされる。よって、形状指数SBFは、たとえば、6個のファジー変数、すなわち、B_LOW_FLATTENING、EXTRA_LOW_FLATTENING、VERY_LOW_FLATTENING、LOW_FLATTENING、NORMAL_FLATTENING、および、HIGH_FLATTENINGにマッピングされる可能性がある。これらのファジーメンバーシップは、図6にグラフ化され、上にそれぞれ載せられている各変数と共に左から右の順番に提示されている、サンプル関数によって示されている。メンバーシップ関数の適用実施例として、形状指数SBFが計算され、値0.05という結果になるならば、メンバーシップ関数のそれぞれに適用されるとき、変数B_LOW_FLATTENINGは値1.0という結果になり、図6のグラフにおける他のすべてのファジー変数に対し値ゼロになる。その他の適当な関数および変数が必要に応じて選択されてもよい。
【0053】
同様に、M形状の形状指数の計算に基づくメンバーシップ関数および変数の実施例が図7に示されている。このグラフは、LOW_M−SHAPE、NORMAL_M−SHAPE、HIGH_M−SHAPE、VERY_HIGH_M−SHAPE、および、B_HIGH_M−SHAPEに対する適当な関数を示している。通気率指数の計算に基づくメンバーシップ関数および変数の実施例は図8に示されている。このグラフは、VERY_LOW_VENTILATION、LOW_VENTILATION、NORMAL_VENTILATION、HIGH_VENTILATION、および、VERY_HIGH_VENTILATIONに対する適当な関数を示している。最後に、息負荷サイクル率の計算に基づくメンバーシップ関数および変数の実施例が図9に示されている。このグラフは、Ti−on−Ttot_LOW、Ti−on−Ttot_NORMAL、Ti−on−Ttot_HIGH、Ti−on−Ttot_VERY_HIGH、および、Ti−on−Ttot_EXTRA_HIGHに対する適当な関数を示している。
【0054】
これらのマッピングされた変数の一部または全部に基づいて、システムはその後に流れ制限指標FFLの導出中に変数の組み合わせに基づくルールを適用または評価し得る。たとえば、ファジールールが事前に特定されたファジー変数に基づいて以下の表に示されている。これらの行列は部分閉塞を構成し得るものについてのアイデアを自然言語でさらに表現している。
【0055】
表A
平坦化指標および通気指標
【表1】
【0056】
表Aは、シングル息平坦化形状指数および通気率指標と関連付けられたファジー変数を用いて適用され得るファジールールの集合の概要を記載している。たとえば、平坦化形状指数のファジー変数に関する「超高」列、および、通気率指標のファジー変数に関する「低」行における太字(「軽から中」、すなわち、軽度から中程度)のルールは、次のファジールールを表現している。
【0057】
(超高平坦化および低通気)ならば、FFLは「軽度から中程度」である。
【0058】
表に示されているこのルールおよびその他のルールは評価可能であり、「AND」はファジー論理積である。各出力応答(たとえば、「軽度から中程度」)に対する共通の出力結果は、その後に、一緒にファジー論理和をとられる。たとえば、「中程度」という出力(たとえば、中程度流れ制限の指標)を有する2つのルールは、最終的な「中程度」出力を生じさせるためにファジー論理和をとられる。このことは以下の式と等価である。
【0059】
中程度=(VERY_HIGH_FLATTENING AND VERY_LOW_VENTILATION) OR (EXTRA_HIGH_FLATTENING AND LOW_VENTILATION)
【0060】
流れ制限指標の導出中におけるこれらのルールの適用に基づいて、少なくとも3つの事項、すなわち、1)平坦化重大度が増加すると共に(たとえば、形状指数が減少すると共に)、FFL指標が増加すること、2)平坦化が現れ、通気が減少している場合、FFL指標はより一層重度であること、および、3)通気が高い(たとえば、回復(大)息などが現れる)場合、平坦化形状指数への応答が調節されることが、ルール適用の実施中に明白である。
【0061】
流れ制限は(少なくとも初期的に)1回呼吸量(たとえば、通気率)の低下を伴わない場合がある。これらの場合、患者は、負荷サイクルを増加させることにより、すなわち、全吸気−呼気時間の割合として吸気時間を延ばすことにより、自分の1回呼吸量を維持する。この傾向は、本実施形態では、吸気時間の延長と共に1より大きくなる負荷サイクル指標(たとえば、TTR)を使用して測定または決定可能である。
【0062】
システムは、平坦化形状指数情報が通気指標(たとえば、VR)と結合された手法と同様の手法で、以下の表Bによって表現されたルールを使用して、平坦化形状指数情報を息負荷サイクル指標(たとえば、TTR)とさらに結合する。
【0063】
表B
平坦化および息負荷サイクル指標
【表2】
【0064】
表Aと同様に、表Bは、息負荷サイクルの指標および平坦化形状指数に基づく流れ閉塞のファジールールと対応する自然言語記述とを表現する。たとえば、「極高」列と「超高」行とにおける太字(「中から重」、すなわち、中程度から重度)のルールは次のファジールールである。
【0065】
(EXTRA_HIGH_FLATTENING AND Ti−on−Ttot_VERY_HIGH)ならば、FFLは中程度から重度である。
【0066】
このルールは、吸気呼吸パターンの波形が重度に平坦化する傾向があり、かつ、吸気が負荷サイクル指標の考慮によって中程度に延ばされるならば、流れ制限指標FFLは中程度から重度である、という事項を表現する。表Aに関して記載されているように、この表の共通出力関数に対するルールの結果はファジー論理和演算を使用して結合可能である。
【0067】
流れ制限指標が平坦化形状指数情報と、通気指標および息負荷サイクル指標の一方または両方とを使用して導出される手法と同様の手法で、流れ制限は、M形状化および/または増強M形状化検出指数の両方と、通気指標または息負荷サイクル指標の一方または両方とを使用して導出されることもある。この導出の態様は表CおよびDに示されている。
【0068】
表C
M形状化または増強M形状化および通気指標
【表3】
【0069】
表Cは、M形状化形状指数および/またはチェア形状指数に基づくファジー変数に関係する点を除いて、上記の図表と同様のルールを表現している。表中の出力関数の選択の性質から明らかであるように、ルールは一つには、患者が正常またはそれ以上の平均通気をしている場合、検出されたM形状呼吸パターンへの応答を阻止することを目的としている。したがって、流れ制限指標は、システムがある種のタイプの覚醒息、および、レム睡眠中に起こる可能性があるが、現在の流れ制限を表していない「行動的な」M形状呼吸パターンに応答しないように導出される。たとえば、表Cの最後列の最上行のエントリによって表現されたルールは、良い通気指標(たとえば、「超高」)が存在するとき、出力関数が不良「極超高」M形状指数に関連した指標に対し「ゼロ」であることを指定する。
【0070】
さらに、殆どのM形状息は、中程度から重度の閉塞性を表現し、通気減少を示す。したがって、表Cのその他のルールは、この検出されたM形状息、および、通気の減少のような低通気指標といった状況に対処するため、システムの圧力変化に対する流れ制限の検出を可能にさせる。
【0071】
表Aに関して記載されているように、この表の共通出力関数に対するルールの結果はファジー論理和演算を使用して結合可能である。
【0072】
表Dは息負荷サイクル指標に関するルールを提示する。
【0073】
表D
M形状化または増強M形状化および負荷サイクル指標
【表4】
【0074】
表Dは、息負荷サイクル指標およびM形状化および/または増強M形状化決定から導出された流れ閉塞または流れ制限の指標についての特有のファジールールと対応する自然言語記述とを表現している。本実施例では、行列は、M形状情報を(通気率ではなく)Ti−on−Ttot比率と「結合」する。行列は、息負荷サイクルが増加する傾向のもとで、M性を示す息、すなわち、M形状パターンの存在の程度に関係すると考えられることもある。この結合は、患者の通気がおおよそ「普通」であり、患者がより長い吸気を取ることにより「補償」をしている場合、息中の流れ制限を特定する。
【0075】
表Aを参照して記載されているように、この表の共通出力関数に対するルールの結果はファジー論理和演算を使用して結合可能である。
【0076】
表A、B、CおよびDに基づいて適用されたルールの結果は、その後、出力関数に適用されることがある。図10は、この結果と共に適用されることがある適当なファジー出力メンバーシップ関数を示している。出力メンバーシップ関数は、負、ゼロ、軽度、軽度から中程度、中程度、中程度から重度、および、重度を含む。
【0077】
一例として、表Dを検討する。表中の個別のファジールールが計算されると(たとえば、(EXTRA_HIGH_MSHAPE AND Ti−on−Ttot_VERY_HIGH)ならば、FFLは中程度から重度である)、出力は集められ、一緒にファジー論理和がとられる。たとえば、ファジー論理和をとる必要がある3個の中程度から重度という出力が表Dに存在する。これがすべての出力に対し行われると、図10の逆ファジー化関数に供給され、重心法が図11のようにクリスプ出力を与えるために使用されることがある。これは結果として0から1.25の間の実数をもたらす。すべての表からの個別の出力が利用できると、最高出力がFFLの値のため使用されることがある。
【0078】
直前に言及した逆ファジー化ステップにおいて単一の「クリスプ」指標を決定する際に、重心法またはその他のこのような逆ファジー化演算が実行されることがある。重心法では、出力変数のクリスプ値は、出力関数の値の重心に関連付けられた値を見つけることによって決定される。このような方法の実施例が図11に示されている。図11は、軽度=0.1、軽度から中程度=0.5、中程度=0.8の場合にファジー入力に対し計算される重心法の適用を示している。計算結果は0.61064である。当業者は本説明を勘案してクリスプ指標を計算するその他の方法を理解する。
【0079】
システムの一実施形態では、流れ制限指標はその他の潜在的な検出状態の処置を回避するように導出されることがある。たとえば、覚醒息は形状を平坦またはM形状にすることが可能であり、よって、形状指数を用いる決定に基づいて流れ制限を表す可能性があるが、息は実際には吸気時間が延びるので、患者における実際の流れ制限を表していないことがある。したがって、流れ制限指標はこのような息を制限された流れとして取り扱わないように導出されることがある。このような導出を行う一方法は、図12に示された関数と共に息負荷サイクル指標TTRを使用する組み合わせを調整するように、表A、B、CおよびDからのファジールールのファジー出力を修正することである。本質的に、負荷サイクル指標TTRの組み合わせに基づくルール(たとえば、表BおよびDのルール)から得られるファジー出力は、逆ファジー化の前に図12の関数の出力が乗じられる。したがって、通気率がおよそ1以下であるならば、各特定のルールの結果は変えられない。覚醒息の可能性の増加を示す通気率指標VRの増加に伴って、表BおよびDのルールの出力は、図12の関数実施例に応じて、かつ、乗算演算によって、通気率指標VRが1.5に接近するまで徐々に重みが減少される。その時点で、乗算演算の結果は影響を受けるルールの出力をゼロにする。
【0080】
上記の構成単位(たとえば、形状指数と、ファジーメンバーシップ関数および変数と、ファジールールなど)の基礎に基づいて、流れ制限検出システムにおける流れ制限指標FFLの実施形態の計算は、以下の典型的なステップを用いてさらに要約可能である。
【0081】
1.息は、流れ信号から吸気波形および呼気波形を表すデータを識別し抽出するために典型的な方法では患者流れ信号からフレーム化されることがある。
2.吸気波形は、場合によっては、特定のM形状を考慮するトリミング法を使用して、任意の前方ポーズを取り除かれることがある。このような方法は本明細書中のセクションFに記載されている。
3.M形状決定およびファジーチェアネス決定は、セクションBに示されている典型的な計算に基づいて行われることがある。
4.増強M形状は、場合によっては、M形状の形状指数とチェア形状指数(たとえば、ファジーチェアネス)とのファジー論理和として計算されることがある。
5.フィルタ処理されたシングル息平坦化(SBF)形状指数はセクションAに示された典型的な計算に基づいて決定されることがある。
6.通気率(VR)およびTi−on−Ttot比率(TTR)はセクションGに示された典型的な計算に基づいて決定されることがある。
7.SBF、VR、TTRおよび増強M形状は、上述された典型的なメンバーシップ関数のように変数にファジー化されることがある。
8.ファジールールはその後に、上述されているように表A、B、Cおよび/またはDの行列に従って適用されることがある。
9.息負荷サイクル指標TTRを使用する表BおよびDからのファジールールは、場合によっては、図12に関して上述された「制限覚醒息」関数によって修正されることがある。
10.各ファジールール行列は、別々に上述されているように、収集され、逆ファジー化される。
11.この結果、以下のとおりの流れ制限指標FFLを生じさせるためにすべてファジー論理和がとられたファジー出力が得られる。
FFL=ファジー論理和(SBF−VR,SBF−TTR,M−shape−VR,M−shape−TTR)
式中、SBF−VRは表Aのルールに基づく逆ファジー化結果であり、
SBF−TTRは表Bのルールに基づく逆ファジー化結果であり、
M−shape−VRは表Cのルールに基づく逆ファジー化結果であり、
M−shape−TTRは表Dのルールに基づく逆ファジー化結果である。
12.次に、ファジー持続的平坦化指標(FPF)が、場合によっては、計算され、以下の式によって流れ制限指標FFLとのファジー論理和がとられることがある。指標FPFの典型的な計算は本明細書中のセクションCに記載されている。FFL指標の調整は以下の式によって行うことが可能である。
FFL=ファジー論理和(FFL,FPF)
13.FFLは今度は、たとえば、本明細書中のセクションDに記載された計算を利用して、息フレーム化(たとえば、吸気または呼気波形の検出)が誤っている可能性があるという程度に応じて修正される。得られる不正確な息フレーム化係数は以下の式を用いてFFLが乗じられることがある。
FFL=FFL×不良息フレーム化係数
14.この最終的なFFL値は、場合によっては、たとえば、3のような長さのリングバッファ内で使用されることがあり、最終的に圧力セッティングアルゴリズムによって使用されるFFLの値は、バッファの最新のFFL値の移動平均に基づいていてもよい。この演算の適当な式は以下の式でもよい。
【数1】
【0082】
図13は、従来の平坦化指数と上記の要約のステップにより導出された流れ制限指標FFLとの間のグラフ比較図を提供する。指数および指標は下側トレースに示された同じ流れ信号に基づいている。下側トレースの流れ信号は、あるかなり正常な回復息が後に続く覚醒で終わる閉塞した息の系列と、それ以上の閉塞とを含んでいる。息は、初期的に「平坦」であり、徐々にM形状になる。上側トレースでは、従来の平坦化指数は最初に下降し、次に上昇し、最後に回復息の間に急に下降する。中間トレースの流れ制限指標FFLは、息の平坦化とM性形状の両方に起因して着実に上昇し、次に、流れ信号中の呼吸がより正常化するときにゼロまで下降する。
【0083】
流れ制限指標は圧力治療機器の制御のもとで実施されることもある。このような一実施形態では、指標は以下のいずれか1つ以上を用いて実施されることがある。
【0084】
1.流れ発生器(FG)で流速を測定する。
2.FGで圧力を測定する。
3.ステップ1の流速を使用してFGとマスクとの間の圧力低下を計算する。
4.FGにおける圧力からステップ3で計算された圧力低下を差し引いた圧力としてマスクでの圧力を計算する。
5.マスクにおける圧力を使用して、マスク内の通気口を通る流れ(時に意図的な漏れと呼ばれる)を計算する。
6.患者流れ(呼吸流れ)と意図的でない(マスクまたは口)漏れを加えた合計を生じさせるため、FGで測定された流れから通気口流れを減算する。
7.DC(意図的でない漏れ)成分を抽出するためステップ6からの信号をフィルタ処理する。
8.患者流れ(呼吸流れ)を生じさせるため、直前のステップで計算されたDC成分をステップ6において計算された流れから差し引く。
9.たとえば、本明細書中のセクションHにおいて示された方法によって、不必要な高周波を除去するために患者流れを軽くフィルタ処理する。
10.通常の方法で患者流れを使用して息をフレーム化する。
11.たとえば、本明細書中のセクションFに示された方法によって、任意の前方ポーズが吸気の前方から切り取られる。
12.完全な息(吸気+呼気)がフレーム化されると、以下の特徴を計算する。
a.息に先行する任意の無呼吸の長さ。
b.吸気いびき指数(たとえば、現在解析されている吸気の間のいびき信号の平均)。
c.たとえば、本明細書中のセクションAに示されている方法による)現在解析されている息に対する、フィルタ処理されたシングル息平坦化指数(SBF)の値。
d.たとえば、本明細書中のセクションBに示されている方法による、現在の吸気に対するM形状指数の値と現在の吸気に対するファジーチェアネスの値。M形状の値およびファジーチェアネスの値は、増強M形状特徴を生じさせるためファジー論理和をとられる。
e.本明細書中のセクションGに記載された方法による、現在解析されている息に対する通気率(VR)の値およびTi−on−Ttot比率(TTR)。
f.SBF、VR、TTRおよび増強Mを使用して詳しく上述されているようにFFLを計算する。
g.現在解析されている呼気を使用して、バルブライク漏れ率を計算する。
h.現在解析されている呼気の最後で意図的でない漏れを測定する。
i.マスク圧力のための現在のセッティング(すなわち、EPAP)を調べる。
j.現在解析されている呼気を使用して、たとえば、本明細書中のセクションKに記載された方法によって、正規化呼気ピーク位置NEPLを計算する。
k.直前のピーク妨害の値を調べる。
13.重み減少係数は以下の擬似コードのように計算される。セクションJは、利用されることがある個別の重み減少関数の実施例について記載している。
a.deweight = 1.0
b.deweight *= FFL_function_of_Leak(leak)
c.valve−like leak *= valve_like_leak_function_of_leak(leak)
d.dweight *= FFL_function_of_valve_like_leak (valve−like leak)
e.deweight *= FFL_function_of_pressure (EPAP)
f.deweight *= FFL_function_of_NEPL (NEPL)
g.deweight *= FFL_function_of_Jamming (jamming)
14.圧力上昇のため必要とされる現在の閾値(current_crit_FFL)が次に次式を使用して計算される。
Current_crit_FFL = 1.0 − deweight * (1.0 − crit_FFL)
15.未修正crit_FFLの標準値は0.05である。したがって、全部の重み減少が適用された後に、deweight=1.0であるならば、current_crit_FFL=0.05である。代替的に、deweight=0.0であるならば、current_crit_FFL=1.0である。
16.FFLと関連付けられた圧力上昇の値(FFL「モジュール」)は、今度は、計算可能であり、「予め定める」ことが可能である。
a.dp = 1.0 * (FFL − current_crit_FFL)
b.if (dp > 0.0) then
{
max_dp = (EPAP−range−max − EPAP)
if (dp > max_dp) then dp = max_dp
if (dp > 0.0) then FFL_prescription += dp
}
else
FFL_prescription = decay (FFL_prescription,Ti+Te,20)
最後のステップは、息の時間に亘って、好ましくは約20分の時定数を用いて、圧力を指数関数的に単純に減衰させるだけである。
17.今度は、いびきによる圧力上昇が計算され、「予め定められる」ことがあり、本明細書中のセクションJに示されているように個別の重み減少関数を利用することがある。
a.Current_crit_snore = Snore_function_of_Pressure (EPAP)
b.Insp_snore *= Snore_function_of_VR(VR)
c.if (Insp_snore > Current_crit_snore) then
{
dp = 1.5 * (Insp_snore − Current_crit_snore)
max_dp1 = ttot * 0.2
if (dp > max_dp1) then dp = max_dp1
max_dp2 = (EPAP_range_max − EPAP)
if (dp > max_dp2) then dp = max_dp2
if (dp > 0.0) then snore_prescription += dp
}
else snore_prescription = decay (snore_prescription,Ti+Te,20)
18.今度は、無呼吸に起因する圧力上昇が計算されることがある。
if ((apnoea_airway_closed && (apnoea_duration > 10)) then
{
Head_room = (Max_Pressure_Apnoea − EPAP)
if (head−room > 0.0) then
{
new_epap = Max_Pressure_Apnoea − head_room * exp(−ExpRiseTimeApnoea * apnoea_duration)
if (new_epap > EPAP_range_max) then
new_epap = EPAP_range_max
apnoea_prescription += (new−epap−EPAP)
}
}
else apnoea_prescription = decay (apnoea_prescription,Ti+Te,20)
19.新EPAPセッティングがその後に計算されることがある。
a.EPAP = EPAP_range_min + apnoea_prescription + snore_prescription + FFL_prescription
b.新EPAPセッティングはその後に、マスク圧力が毎秒1.0cmH2Oの最大スルーレートで新EPAP値に接近するようにFG圧力を上昇させることにより達成されることがある。同様に、治療圧力は好ましくは患者が吸気中である間に限り上昇させられる。
【0085】
本技術のさらに別の実施形態では、流れ制限指標FFLは、場合によっては、呼吸努力関連覚醒(RERA)検出器の一部として実施されることがある。1999年にAASMタスクフォースは、RERAを次のとおり定義した。
「睡眠からの覚醒をもたらす増大する呼吸努力によって特徴付けられるが、無呼吸または呼吸低下の規準を満たさない息の系列。これらの事象は以下の規準の両方を満たすことが必要である。
1.より小さい負のレベルへの突然の圧力の変化および覚醒によって終わる、徐々により大きい負になる食道内圧のパターン。
2.事象は10秒以上持続する。」
【0086】
2000年に、ニューヨーク大学薬学部で行われ、Sleep,vol.23,No.6,p/763−771に発表された研究「Non−Invasive Detection of Respiratory Effort−Related Arousals(RERAs)by a Nasal Cannula/Pressure Transducer System」は、鼻腔カニューレ/圧力トランスデューサシステムがRERAの検出に適切であり、かつ、信頼できることを実証した。
【0087】
本明細書中に記載されている技術を利用することにより、RERA検出器は、流れ発生器から得られた現実の流れ信号に基づくことがある。たとえば、上述されたいずれかの方法による流れ制限指標は流れ信号に基づいて決定されることがある。覚醒の指標は、したがって、流れ制限指標の関数および通気の増加の指標のさらなる関数として導出されることがある。
【0088】
よって、一実施形態では、RERA検出器は以下の方法に基づくことがある。
直前の流れ制限があり(たとえば、FFLが0より大(FFL>0)である)、
通気ステップ変更が後に続くならば(たとえば、大息)、RERAが検出される。
【0089】
好ましくは、指標は、実験データに基づく閾値の調整が行われ得るように連続変数として実施される。これは、情報の損失を生じさせる各入力パラメータに関するブール閾値の代案であることがある)。下記のアルゴリズムが使用され得る。
【0090】
1.ローリングバッファ中の3個の最新のFFL値を追跡する。
2.3個の最新の通気率を追跡する(VRは平均1回呼吸量対現在の3分間通気の比率である)。
3.3個の最新FFL値を合計し、結果を範囲[0.0:1.0]に制限する。
4.2個の最新VR差を計算する(すなわち、VRn−VRn−1およびVRn−VRn−2)。
5.ステップ4の最大値を取得し、同時にこの最大値をゼロ以上の値に制限する。
6.RERA結果を生じさせるためステップ3の結果にステップ5の結果を乗算する。
7.ステップ6の結果はこの結果の平方根をとることにより正規化されることがある。
8.ステップ7の結果が閾値を上回るならば、RERAが記録されるような閾値が設定されることがある。
9.RERAとして記録された息の間に閾値より低いRERAスコアを有する(複数個の)息が存在する。
10.UARSの極端な場合には覚醒と覚醒との間に3個の検出可能な息しか存在しないので、バッファサイズは3として選択される。
【0091】
図14に示されるように、下側信号は本方法に基づく連続的なRERA検出器指標を表現している。下側トレースは、流れ信号を表す上側トレースの覚醒に基づく呼吸努力関連覚醒の検出を示している。
【0092】
RERA検出器は呼吸妨害指数の一部としてさらに実施されることがある。RERA検出器は診断モードにおいて次式によってRDI(呼吸妨害指数を計算するためさらに使用されることがある。
RDI=RERAs+無呼吸+1時間当たりの呼吸低下
【0093】
代替的に、RERAsは、治療の有効性の兆候として治療機器によって報告されることがある。最終的に、本明細書中に記載されているRERA指数は、治療アルゴリズムへの入力として使用されることがある。たとえば、RERA指数は、1時間当たりのようなある種の時間フレームに亘って決定されることがあり、その結果は圧力を上昇させる流れ制限指数の閾値(または利得)を設定するために「外側ループコントローラ」において使用されることがある。外側ループコントローラの実施例は、ResMed株式会社に譲渡され、参照により開示内容が本明細書に組み込まれたWO2005/051470(PCT/AU2004/001652)に記載されている。
【0094】
ピーク呼気流れ対平均呼気流れの比率は、睡眠−目覚め−覚醒検出の別のタイプの指数として使用されることがある。ピーク呼気流れ対平均呼気流れの比率は、睡眠−目覚め/覚醒検出の一部でもよい。図15は、目覚め標準を二つの睡眠データセットと比較するヒストグラムを含む。目覚め息は、「平坦化」する傾向があり、すなわち、ピークは値に関して平均により接近する。0.5のような閾値を比率と比較することにより、RERAが検出されると考えられることがある。
【0095】
セクションA − シングル息平坦化
シングル息平坦化指数の一実施形態は以下のとおり次の方法によって計算されることがある。
【0096】
1.息をフレーム化する。
2.息の吸気部分を抽出する。
3.必要に応じて任意の後方ポーズまたは前方ポーズを切り取る。
4.N点(通常はN=65)の標準的な格子の上で結果として得られる吸気を補間する。
5.息面積がユニティベース長で1に正規化されるように係数によって点yの値を除算する。
6.点のミドルハーフの1からの差のrms値を計算する。
【0097】
平坦化を計算するため使用される流れ信号は(特に)「患者流れ」と呼ばれることがある。この流れ信号は、「10Hz」フィルタのようなフィルタによる未加工流れ信号のフィルタ処理の結果である可能性があるが、フィルタタイプは変化してもよい。フィルタは、好ましくは、乱流およびいびきによって引き起こされるような不要な信号内容を低減する。フィルタは心臓性内容を僅かに減衰させることもある。フィルタは、一方でゼロ交差点の正確な検出と他方で不要な信号の拒絶との間のトレードオフである。たとえば、フィルタがすべての心臓振動を拒絶するためより積極的にされるならば、息検出は不正確にされる可能性がある。しかし、息検出が完了すると、さらなるフィルタ処理が必要に応じて行われることがある。
【0098】
場合によっては、フィルタ処理されたシングル息平坦化は以下のとおり決定されることがある。
【0099】
1.未加工流れが患者流れを与えるように通常の方式でフィルタ処理される。
2.患者流れが従来通り息をフレーム化するため使用される。
3.患者流れが不要な信号成分をさらに減衰させるFIRフィルタへ連続的に供給される。
4.FIRフィルタは周波数に関して一定の位相遅延を有するので、単にフィルタの遅延を考慮することによって平坦化計算のため必要とされる点を選ぶことが可能である。
5.平坦化を通常の方式で計算する。
【0100】
図16は、通常の平坦化の計算が(この場合に)低周波いびきによる悪影響を受けている可能性がある閉塞性息の系列を記録する2個の重ね合わされた流れ信号を示している。一方の信号は、いびきが明らかに認められないようにフィルタ処理される(そして、遅延補償される)。フィルタ処理された信号は、いびきが明らかに認められる別の信号に基づく計算と比較して、信号息に基づいて計算された平坦化の適切に低い値を与える。
【0101】
図16の図示された信号では、最後の息は、(フィルタ処理されていない信号に基づく)0.21、および、(フィルタ処理された信号に基づく)0.13のように計算された従来の平坦化値を有する。後者の値は要求された圧力上昇を示しているが、前者は圧力上昇を表していない。このようなフィルタ処理の代替案として、従来の5息点に関する平均化もまたこのフィルタ処理された結果を、著しい応答遅延を犠牲にして、達成することがある。
【0102】
使用される典型的な(そして、計算集約的でない)フィルタは、ボックスカーFIRフィルタである。長さ12のボックスカーフィルタは、50Hzのサンプリング周波数において図17に示された応答を有する。各吸気のミドルハーフの信号に対しそもそも関心があるならば、フィルタのインパルス応答は重要でない。
【0103】
セクションB − M形状指数および増強M形状
M形状指数のような閉塞指標を決定する適当な方法は以下のアルゴリズムを用いて達成されることがある。この指数は、「M」形状化息パターンの存在を検出する。このような指数は、「u」形状化息パターンの標識であると一般に考えられることもある。閉塞指標は、付加的な閉塞指標によって増強または修正されることもある。たとえば、本明細書中により詳しく記載されているように、閉塞性の指数は、「M」形状指数のような第1の閉塞指標と、「h」またはチェア形状指数のような第2の閉塞指標との関数として導出されることがある。
【0104】
たとえば、一部の実施形態では、各吸気は、N=65のようなN点の格子の上で補間される可能性がある。本実施形態では、2つの基本関数が次のとおり計算される。
t=i/(N−1) 式中、iは0からN−1まで変化する。
B1=sin(πt)
B2=sin(3πt)
これらの基本関数は、その後に、M形状化指数のすべてのその後の計算と共に使用するため記憶される可能性がある。
【0105】
各吸気はその後に抽出され、N点の格子の上で補間される。2個の係数がその後に以下のとおり計算される。
F1=sum(B1・fs)
F2=sum(B2・fs)
式中、fsは補間された吸気点を表し、・は点乗積演算子を表す。
【0106】
最終的な形状値は正規化によって次のとおり得られる。
【数2】
【0107】
この形状係数はその後にゼロ(純粋に正弦波)と1(超M形状化)との間で変化するように制限される。図18は基本ベクトルB1およびB2としての役目を果たす適当な関数をプロットしている。
【0108】
典型的なM形状化息の流れ信号は図19のグラフにプロットされている。上記の方法に基づいて、プロットされた息の計算は以下のとおりである。
F1=4.6082
F2=2.6538
形状指数=0.50
典型的な非流れ制限息は約0.2に過ぎないM形状指数を有する可能性がある。
【0109】
上述されているように、M形状息はシンプルチェア形状化によって増強されることがある。このことは、増強された形状を生成する流れ制限を有する流れ信号をプロットする図20に示されている。図20に示された流れ制限吸気(t=0からほぼt=2秒まで)は、典型的な「チェア」形状を有する。このような吸気は、2つの特徴、すなわち、1)ピーク吸気流れ対平均吸気流れの高い比率、および、2)0(図20に示されているように左側が背部のチェア)または1(図示されていない右側が背部のチェア)のいずれかに近い正規化ピーク位置によって特徴付けられることがある。一実施形態では、これらの指数は以下のとおり計算され得る。
正規化吸気ピーク位置(NormPeakLoc):
【数3】
【0110】
式中、
t0は吸気開始の時点であり、
tendは吸気終了の時点であり、
tpeakはピーク吸気流速の時点である。
ピーク吸気流れ対平均吸気流れの比率(RPMIF):
RPMIF=Qpeak/Q’
式中、
Qpeakは吸気中の最大流速であり、
Q’は吸気の間の平均流速である。
【0111】
安眠中に、普通の吸気は、およそ0.5の正規化ピーク位置と、1.35のピーク吸気流れ対平均吸気流れの比率とを有する。「チェアネス」を測定するため、ファジー化されたこれらの特徴が図21および22のグラフに基づいて利用される。上記式の結果がそれぞれのグラフの数学関数に適用される。
【0112】
これらのファジー変数が一旦計算されると、最終的なファジーチェアネス指数はファジーとして計算され、その結果は以下のとおりである。
ファジーチェアネス=ファジー論理積(ファジーピーク対平均,ファジーピーク位置)
【0113】
この決定に基づいて、図20の吸気は0.82のファジーチェアネスを有する。ファジーチェアネス特徴のスケーリングは、ファジーチェアネス特徴が結合形状指数のためM形状特徴と直接的にファジー論理和可能であるようなスケーリングである。およそ0.3より高いファジーチェアネスは流れ制限を意味する。ファジーチェアネスは、日本語では、「吸気ピーク対吸気平均の比率が高く、かつ、ピーク吸気流れ位置が吸気の開始または終了に近いならば、吸気はチェア形状化される。」のように記載される。図23には、SBF指数がほぼ0.2未満であるように吸気形状が初期に平坦である典型的な流れ系列が示されている。しかし、形状は、SBF指数(SB平坦化)がおよそ0.2より高く、しかし、ファジーチェアネスまたはチェア形状指数がおよそ0.3より高くなる程度に、チェア形状化を変える。
【0114】
セクションC − 持続的平坦化
概要が上述された流れ制限指標FFLの実施例は、適時性のある形式で高感度および高特異性の両方を伴って流れ制限に反応するように設計されているが、上気道抵抗の増加に起因して覚醒を妨げることができない場合がある。増加した呼吸努力がt=420における睡眠からの覚醒(上側パネルの大息)で終わる、上気道抵抗に見舞われている患者の図24に示されたトレースを検討する。図24の下側パネルはシングル息平坦化指数を示している。
【0115】
図25は、FFL流れ制限指標が本系列において圧力の上昇をもたらさなかった理由を示している。患者は、全息時間(たとえば、およそ1のTTR)の関数として自分の吸気時間を延ばすことなく、自分の1回呼吸量(たとえば、およそ1のVR)を維持している。したがって、低い値を達成するシングル息平坦化指数にもかかわらず、FFL流れ制限指標は圧力を適切に上昇させるために必要なレベルに達しない。
【0116】
この状況に対処するため、システムは、場合によっては、別の閉塞指標を導入することがある。たとえば、第1の閉塞指標は、平坦化指数のような第2の閉塞指標をフィルタ処理することにより導出されることがある。これは、装置に、過去の閉塞に関連したある種の履歴的な値を与える可能性がある。場合によっては、履歴値は、履歴またはフィルタ処理された閉塞指標が連続的または持続的な過去の閉塞の標識であるように、普通の呼吸(たとえば、非閉塞)が実現されるならば、リセットされることがある。
【0117】
たとえば、「ファジー持続的平坦化」が実施されることがある。名前が表しているように、このファジー持続的平坦化指標は、平坦化指数の一貫して低い値に原則的に応答する。この指標はさらに、流れ制限指標FFLを妨害することなく、そして、患者を過剰に治療することがないように、FFL流れ制限指標に関連して緩やかに応答するように実施される。したがって、システムは、好ましくは、以下の方式でシングル息平坦化指数をフィルタ処理する。
【0118】
単純な1次自己回帰デジタルフィルタが式、
Yn=yn−1+G(xn−yn−1)
の一つとして使用可能であり、式中、Gはフィルタの利得である。5回息の長さの2倍の速さの時定数が定められることがある。したがって、たとえば、初期的に、息は4秒の長さであると考えられる場合、
時定数=τ=5×4/2=10
である。息は長さが4秒でない可能性があることを考慮するため、息検出アルゴリズムが、検出された直前の5回の息の平均として決定可能である現在の呼吸率(RR、1分当たりの呼吸回数)を取得するため使用されてもよい。このことは、
τ=5×60/2RR
として与えられる適応時定数として実施することが可能である。したがって、RRが、一般的なRRである可能性がある毎分15回の息であるならば、時定数を計算すると従来どおりに10になる。
【0119】
フィルタの適当な利得は単純に、
G=1/τ
によって与えられる。
【0120】
フィルタ処理されるべき値は(フィルタ処理された)シングル息平坦化指数である。擬似値がフィルタ処理プロセスに悪影響を与えることを防止するため、システムは、場合によっては、入力値の「最高点制限」を行うことがある。よって、値は、最高点制限された平坦化(HLF)指数として以下のとおり決定されることがある。
(SBF指数>0.3)であるならば、
HLF=0.3
さもなければ、HLF=SBF指数。
【0121】
フィルタの出力は、持続的平坦化指数(PF)であり、初期的に治療に影響を与えないように、PF=1のように任意の高い値に初期化することが可能である。
【0122】
フィルタの別の特徴は、以下のとおり、PFの現在値より大きい値の入力に対する利得と異なる利得がPFの現在値未満の入力に対し使用されることである。
HLF<PF ならば、
PF=PF+G(HLF−PF)
さもなければ、
PF=PF+3*G(HLF−PF)
この非対称性は、フィルタが任意の持続的に低い入力に向かって緩やかに低下するが、比較的素早くリセットすることを意味している。このことは、流れ制限指標FFLより短い時間フレームの間に一貫して低い平坦化の値だけに対して応答があるように、雑音閾値を改善するために役立つ。
【0123】
次に、PFの値は、以下のとおり、合理的な値から外れることが防止される。
(PF>0.2) ならば、
PF=0.2
さもなければ、 PF=PF
【0124】
最後に、PFは、たとえば、次式を使用することにより、ファジー変数であるファジー持続的平坦化(FPF)にマッピングされることがある。
FPF=(PF>0.19ならば、0.0、さもなければ、(0.19−PF)/(0.19−0.05))
図26は図24に示された息と同じ系列に対するFPFの応答を示している。
【0125】
セクションD − 不良息フレーム化
場合によっては、息検出アルゴリズムは息を不正確にフレーム化することがあり、または、患者の咳または飲み込みは、気道の現在状態に関する情報をほとんど提供しない息の原因となる。選択的な経験則が、吸気時間に基づいて関連している可能性がない息の重みを減少させるため使用されることがある。よって、導出された閉塞指標は、不正確にフレーム化された息を表す息パターンが検出されるならば、調整されることがある。たとえば、図27は、流れ制限指標(たとえば、FFL)によって乗じられる可能性がある重み減少係数のための関数を示している。非現実的に長い(Ti>2.5秒)または短い(Ti<0.7秒)と判定された息は徐々に重みが減少される。
【0126】
セクションE − いびきエントロピー
従来、いびきは、閉塞性の指標であると考えることができる校正吸気いびき指数を使用して測定されている。図28は、患者の睡眠中に捕捉された典型的ないびきの系列を示している。上側パネルは、呼吸流速を表し、中央パネルは瞬時いびき(たとえば、着目中の周波数域における音響パワーの指標)を表し、下側パネルは3個のいびき指数を表している。校正吸気いびき指数(図28において「いびき指数」という名前が付けられている)は以下のとおり計算される。
吸気は呼吸流れ信号を使用してフレーム化される。
瞬時いびき信号は現在条件(たとえば、設定圧力、タービン速度など)に起因する背景雑音を考慮するため調整される。
いびき指数は、各吸気の間の瞬時いびき信号の平均(すなわち、おおよそ吸気毎の平均音響パワー)として計算される。
【0127】
この技術は、測定されたいびき指数に比例してマスク圧力を上昇させることによっていびきを治療するため使用されるとき信頼できる。しかし、この技術は、校正定数が流れ発生器とマスクの組み合わせ毎に測定され、装置の不揮発性メモリに記憶されることを必要とする。このような校正は時間がかかり、したがって、コスト高であり、経時変化の影響を受けることがある。
【0128】
Matthew Alderおよびその他の者は、PCT出願第PCT/AU2007/000002号において、代替的な、図28ではデルタいびきという名前が付けられた、デルタいびきが、吸気中の瞬時いびき信号の平均から呼気中の瞬時いびき信号の平均を差し引いた差として計算されることを教示する。このデルタいびきは、本質的に、背景雑音源が吸気と呼気との間で殆ど変化しないことを仮定する自己校正指標である。しかし、この仮定が常に正しいということはない。
【0129】
別の代替的な方法では、吸気いびきエントロピー方法が実施される。一実施例では、この閉塞性の指標は、いびきに関連した周波数域(たとえば、30から300Hz)における呼吸流れの指標をフィルタ処理することにより決定される。この周波数域でのフィルタ処理された信号のパワーすなわちエネルギーの大きさは、その後に、パワー信号がある種の吸気形状を表しているか、または、単にランダム雑音であるかどうかを評価するため時間の関数として調べられる。たとえば、シャノンエントロピー関数が使用されてもよい。エネルギー信号がランダム情報または雑音に過ぎないことを関数が示すならば、本当のいびきが起こっていない可能性があるので、いびき指数は調整されるか、または、重みを減少され得る。
【0130】
このような方法は吸気中に瞬時いびき信号に含まれている情報を使用する。このような指標は校正も必要としない。たとえば、閉塞指標は以下のとおり計算されることがある。
着目中の吸気に対する瞬時いびき値を含む長さnのベクトルSを組み立てる。
n<2、または、n>任意の大きい値、であるならば、中止し、ゼロを返す。
いびきベクトルの下限を減算し、1を加算する。
S=S−min(S)+1
面積Aを計算する。
【数4】
【0131】
Aが任意の非常に小さい値より小さいならば、中止し、ゼロを返す。
いびきベクトルを正規化する。
S=S/A
正規化いびきベクトルのシャノンエントロピー(se)を計算する。
【数5】
【0132】
場合によっては、結果は吸気いびき指数を近似するため以下のとおり拡縮される。
吸気いびきエントロピー=10.0*se
【0133】
デルタいびきといびきエントロピーの両方が図28の下側パネルにプロットされている。図示されているように、「いびきエントロピー」トレースは、低い平均いびき値(t=100)を有する鋭いいびきを捕捉する傾向がある。デルタいびきといびきエントロピーの両方の賢明な組み合わせは、殆どすべての事例においていびきを正確に分類することがわかった。図29のグラフは一つのこのような並びを表している。プロットされたラインによって表示されている分類器は、「デルタいびきが正であるならば対処し、そうではなくデルタいびきが負であるならば、対処すべき負のデルタいびきに伴って徐々に高くなるいびきエントロピーを必要とする。」と記載することができる。
【0134】
セクションF − 改良型前方ポーズトリム
ある種の圧力治療装置は「前方ポーズトリム」として知られている機能を含む。この機能は、ピークを検出し、吸気の開始を表すことになる適切なゼロ交差まで後方へ外挿することにより、前の呼気から引き続いている任意の呼気ポーズを除去するように現在フレーム化された吸気の前方を切り取るため設計されていた。この機能は図30に示されているように、M形状化息に関して役に立たない可能性がある。図30は、(2番目のピークに関する)不正確なトリムと(前方ピークに関する)正確なトリムとを表している。
【0135】
この方法は、M形状息を用いて補助することができる吸気のピークが見つかる場所に境界を設定するように修正可能である。よって、M形状化息の場合、吸気の開始は、吸気の範囲内の境界に基づいて息の吸気部分の2番目のピークではなく1番目のピークからの外挿によって決定される。たとえば、この境界は以下のとおり計算されることがある。
【0136】
1.吸気の合計を計算する。
【数6】
2.以下のとおり吸気中の時点tlimを見つける。
【数7】
3.[t0:tlim]の範囲内で吸気のピークを見つける。
4.現在の前方ポーズトリムアルゴリズムを進める。
【0137】
図31のプロットは、息の回数が図30に示された息と類似している流れ信号中の流れ制限呼吸の系列を示している。図31の上側パネルは、時間に対してプロットされた流速を表し、下側パネルは前方ポーズトリムが適用された状態での計算吸気時間(Ti)を表している。現行アルゴリズムの結果および新アルゴリズム(「補正済み」Ti)の結果の両方が示されている。現行アルゴリズムはある種の息を半分に切り取り、人為的かつ不正確に低い値のTiをもたらすことが分かる。新アルゴリズムは一貫した形式で「前方ポーズトリム」を実施する。
【0138】
セクションG − 通気指標および負荷サイクル指標
(1)通気率(VR)の計算
通気率(VR)のような通気指標は、直前の中期通気(V3)に対する現在息に関する通気の比率として決定されることがある。本実施例では、中期は、3分の時定数τを有するフィルタを使用してフィルタ処理された通気指標でもよい。しかし、その他の時定数が適当であることもある。使用されるフィルタは単純な1次自己回帰フィルタでもよい。フィルタの時定数はかなり長いので、フィルタはゼロから立ち上がるためにある程度の時間を要する。指標は、したがって、時間[t0:3×τ]の間に合理的な通気値とフィルタ出力との間で緩やかに変化する。VRは次のとおり計算することが可能である。
【0139】
1.フィルタの利得を
G=1/fsτ
に設定する。式中、fsはサンプリング周波数であり、τは秒単位のフィルタの時定数である。たとえば、サンプリング周波数が50Hzであり、時定数が3分であるならば、Gは、
G=1/(50×180)
によって計算される。
2.フィルタを、0.2リットル/秒のような合理的な通気値に初期化する。
3.全流れから、任意のマスク漏れが差し引かれた通気口流れを差し引いた、適切にフィルタ処理された患者呼吸流れ(Qp)を計算する。
4.中期通気を計算する。
V3=V3+G(Qp−V3)
5.移行期間0<t≦3τの間に
V3=(3τ−t)/3τ×0.2+t/3τ×V3
6.通常の方式で息をフレーム化する。
7.吸気が確認されると、以下の計算をする。
吸気体積:Vi
吸気時間:Ti
平均吸気流速:
【数8】
通気率の吸気成分:
【数9】
8.呼気が確認されると、以下の計算をする。
呼気体積:Ve
呼気時間:Te
平均呼気流速:
【数10】
通気率の呼気成分:
【数11】
9.以下のとおりVRを計算する。
VR=(VRiTi+VReTe)/(Ti+Te)
【0140】
(2)負荷サイクル指標(たとえば、TTR)の計算
負荷サイクル指標は上述されているように閉塞性の指標を導出するため導入されることがある。たとえば、呼吸流れの指標から、呼吸流れの指標の関数としての、呼吸サイクルの持続時間に対する呼吸サイクルの吸気部分の持続時間の第2の比率である。同様に、時間的に第1の指標の後に続き得る第2のこのような指標が決定されることがある。閉塞性の指標は、その後に、第1の比率および第2の比率の関数として導出されることがある。
【0141】
Ti−on−Ttot率(TTR)のような適当な負荷サイクル指標は、直前の中期Ti−on−Ttot値に対する現在(息)Ti−on−Ttot値の比率として決定されることがある。中期は5分間時定数またはその他の適当な時定数を用いてフィルタ処理することにより決定することが可能である。フィルタは、単純な1次自己回帰フィルタでもよい。TTRは以下のとおり計算されることがある。
【0142】
1.フィルタの利得を
G=1/fsτ
に設定する。式中、fsはサンプリング周波数であり、τは秒単位のフィルタの時定数である。たとえば、サンプリング周波数が0.25Hz(概算の息周波数)であり、時定数が5分であるならば、Gは、
G=1/((1/4)×300)
によって計算される。
2.フィルタを、0.4のような合理的な値に初期化する。
3.全流れから、任意のマスク漏れが差し引かれた通気口流れを差し引いた、適切にフィルタ処理された患者呼吸流れ(Qp)を計算する。
4.中期Ti−on−Ttotを以下のとおり計算する。
TiTtot(5)=TiTtot(5)+G(TiTtot−TiTtot(5))
【0143】
TTRを以下のとおり計算する。
TTR=TiTtot/TiTtot5
【0144】
セクションH − 重み減少関数
図32および33にグラフ化された関数は、流れ制限(たとえば、FFL)の指標またはいびきの指標の影響の重みを減少させるため使用することが可能である。この関数は、圧力上昇を引き起こすために超える必要がある指標(たとえば、FFLまたはいびき)の閾値を増加させるために適用することが可能である。たとえば、重み減少関数はバルブライク漏れ率に関連することがある。バルブライク漏れ指標は、その値が0と5との間で変化するように通例的な方式で計算することが可能である。実際には漏れが起こっていないときに擬似バルブライク漏れが圧力上昇を妨げることを防止するため、システムは完全な漏れが存在しない程度までバルブライク漏れ値の重みを減少させるように実施される。したがって、バルブライク漏れに起因する重み減少を決定するアルゴリズムは以下のとおりである。
【0145】
1.直前の吸気からバルブライク漏れを計算する。
2.完全な漏れの値(呼気終了時の値)を決定する。
3.バルブライク漏れの値に、図32の左側のグラフによって示される関数のような完全な漏れの関数の出力を乗じる。たとえば、完全な漏れが0.025未満(<)であるならば、バルブライク漏れはゼロに設定される。代替的に、完全な漏れが0.05より大(>)であるならば、バルブライク漏れの値は変化がなく、0.025と0.05との間の区間で、バルブライク漏れの値は直線的に減少する。
4.重み減少係数を出力するため、図32の右側のグラフに示されている関数のような漏れの関数と共にバルブライク漏れの値を使用する。たとえば、4未満(<)である値に対し、出力は1であり、5より大きい(>)値に対し、出力はゼロである。4と5の間の区間で、出力は1からゼロまで直線的に減少する。
【0146】
漏れ(たとえば、L/s)に基づく流れ制限指標(たとえば、FFL)の重み減少は、図33のグラフに示された関数を使用して行うことが可能である。0.5未満(<)の漏れの値に対し、重み減少はなく、出力は1である。0.7より大きい(>)漏れの値に対し、完全な重み減少があり、出力はゼロである。0.5から0.6の漏れの値に対し、1から0までの出力の直線的な減少がある。
【0147】
cmH2O単位のマスクCPAPのレベルのような圧力による流れ制限指標の重み減少は、図34にグラフ化された実施例のような関数を使用して実現されることもある。実施例では、10cmH2O未満の圧力レベルに対し、重み減少はなく、15cmH2Oより高い圧力に対し、部分的な重み減少があり、出力は0.8である。10と15との間の圧力に対し、1から0.8までの出力の直線的な減少がある。出力はその後に流れ制限の指標によって乗じられることがある。
【0148】
最後に、流れ制限または閉塞性の指標の影響は妨害の増加に伴って重みが減少する可能性がある。妨害は、現在吸気または呼気が非常に長く続けられるファジー範囲のような指標である。たとえば、妨害は、参照により開示内容が本明細書に組み込まれた米国特許第6,484,719号に記載された方法によって決定されることがある。高妨害は、たとえば、患者が自分の口を開いたとき、または、患者がベッドに移り、顔に接したマスク位置を変更するときに、漏れの過渡的な変化を表す。妨害のレベルが高いとき、流れ推定は正確でなく、漏れ定数が流れ推定の改良に役立つように低減される可能性がある。低減が行われている間、事象が落ち着くまで圧力上昇を回避するのが賢明である。圧力上昇の回避は図35の関数実施例によって実現可能である。妨害が0.25に達するとき、システムは、指標が0.5の妨害レベルで完全に重み減少されるまで、重み減少を開始できる。関数の出力は、重み減少を達成するため、流れ制限の指標によって乗じられることがある。
【0149】
同様に、いびきの指標はシステムの種々の条件に基づいて重みが減少させられることがある。たとえば、いびきの値は、図36に示された圧力の関数によって重みが減少させられることがある。この重み減少は、圧力上昇を生じさせる目的のためのいびき指標に対するシステムの感度を低下させる。よって、治療圧力の上昇のため必要とされるいびきの値は圧力が増加するのに伴って増加する。
【0150】
吸気いびき指数は、「大息」の指標のような通気の指標によって重みが減少される可能性もある。大息は、多くの場合に、達成される高いピーク流れに単純に起因して雑音を引き起こす。図37の関数実施例を利用して、通気は、通気指標が大息であるとみなされるかどうかに依存して重み減少出力係数を発生させるため利用されることがある。たとえば、通気率(VR)のような通気指標は大息の指標として使用されることがある。1より大きい(>)VRの値は、中期通気より大きい息を示していると解釈されることがある。1.2未満(<)のVRの値に対し、システムは任意のいびきの指標の重みを減少させることを避けることがあり、1.5より大きい(>)VRの値に対し、システムはいびきの影響の重みを完全に減少させることがある。1.2と1.5との間のVRの値に対し、出力重み減少係数は1からゼロまで直線的に減少することがある。
【0151】
漏れ値、圧力、妨害および/または通気指標に基づいて流れ制限またはいびきの影響を修正するその他の計算もまた利用されることがある。
【0152】
セクションI 正規化呼気ピーク位置
正規化呼気ピーク位置(NEPL)は、睡眠または閉塞性睡眠流れ波形から目覚め、覚醒、または、重大な口漏れのようなその他の不自然な、非日常的な、もしくは、認知できない事象を表す波形への移行の優れた標識である。よって、本技術の装置は、ピーク呼気流れに基づいて覚醒の指標を導入することがある。たとえば、呼吸サイクルの呼気部分の範囲内でのピーク呼気流れまたは正規化ピーク呼気流れの位置に依存して、覚醒が評価されることがある。このような実施形態では、呼気部分の時間は範囲によって定義されることがあり、定義された範囲内でのピークの出現は覚醒を表す指数を定義する。この指数は、呼気ピークが呼吸サイクルの後半の時間部分または呼気部分の範囲中に出現するならば、覚醒を表すことがある。
【0153】
このような指数は以下のとおり計算されることがある。
【0154】
1.息をフレーム化する。
2.各息の呼気部分を分離する。
3.ピーク呼気流れが出現した時点を見つける。
4.呼気の始まりからピークまでの時間を全呼気時間で除算し、たとえば、指数は[0.0:1.0]の範囲に入る。
【0155】
通常は、患者が睡眠中に、NEPLはゼロから0.3までの範囲に位置している。たとえば、NEPLに対応する3つのデータセットの比較を表す図38のヒストグラムを検討する。
(1)エッセン−治療中のOSA患者
(2)コンコード−徐々に増量されている患者
(3)アウェイク−ResMedから入手可能であるAutoSet Sprit気道圧力機器で呼吸中の人。
【0156】
図38の右側のグラフは、アウェイク呼吸者が、少ない回数の息を行う睡眠中の患者より遙かに多数回の0.5より多い(>)息を行うことを示している。よって、システムは、流れ制限指標に基づく、睡眠に関する非日常的な、不自然、または、予期しない事象のための重み減少関数を用いて実施することが可能である。計算または決定された正規化吸気ピーク位置値に基づく適当な関数は図39のグラフに示されている。この関数は、息がさらに不自然に、非日常的に、または、認知できない状態に(たとえば、異様に)なるとき、治療圧力の上昇を引き起こすために必要とされる流れ制限指標の強度を増大させるために使用される。
【0157】
以上の説明と添付図面とにおいて、特定の用語および図面記号は本技術の完全な理解をもたらすために示されている。一部の事例では、用語および記号は、本技術を実施するために必要とされない特定の詳細を意味することがある。さらに、本明細書中の技術は、特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本技術の原理および用途の単なる例であることが理解されるべきである。したがって、多数の変更が例示的な実施形態に対して行われ、その他の仕組みが本技術の精神および範囲から逸脱することなく考え出され得ることが理解されるべきである。
【0158】
たとえば、望ましい流れ制限検出および/または治療システムは、各吸気を獲得し、重要な周波数情報を維持するために必要とされる点と同数の点からなる格子の上で補間するような、パターン認識のためのその他の技法に基づくことがあり得る。たとえば、各吸気は65点の格子の上で補間されることがある。大きな学習データの集合が、臨床評価に基づいて記録され得る様々なタイプの閉塞状態の波形を用いて構築されることがある。これらの波形は、必要に応じて、軽度、中程度、重度、または、その他の同様のカテゴリーのようなカテゴリーに予め分類されることがある。各波形の65点は、その後に、学習のため(ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシーン、または、その他のような)分類器に入力されることがあり、遺伝的アルゴリズムに基づくアルゴリズムのような適切なアルゴリズムを使用して、任意の境界が閉塞の種々のカテゴリーの間の65次元空間内に定義される可能性がある。このようなシステムは、その後に、分類器のメトリックと対照して患者において測定され、患者の治療のための制御システムにおいて使用される吸気波形を分類する能力を持つ。
【0159】
このアプローチと共に考慮すべき潜在的な問題点は以下のとおりである。
【0160】
1.「次元の困りもの」は、次元の関数としてのハイパーボリュームの指数関数的な増大を指している。換言すると、入力空間の次元数が増加するのにつれて、その空間を「覆う」ために必要とされる学習ベクトルの個数が指数関数的に十分に増加する。65次元を覆うことは、この技術の速度に関する問題を提示し得る。
2.閉塞に関する(そして、程度に関する)波形の事前の分類は厄介であり、かつ、おそらく高い観察者間変動がある。「ラウンドアップ」のような波形変化を観察するためのCPAP圧力の上昇がない場合、閉塞が実際に存在するかどうかを決定することは困難である。努力の信頼できる指標、たとえば、食道内圧は、検出問題に役立つ可能性があるが、決定の際にこのようなデータを分類する課題は依然として扱いにくい可能性がある。たとえば、レム睡眠は様々の、予期しない波形を生成する可能性がある。
3.学習フェーズは「有意な」数値リソースと多数のプロセッササイクルとを必要とする。
4.結果として得られる分類器は、誰にとっても解釈することが難しく、(たとえば、ニューラルネットワークを使用するならば、結局何個のニューロンになるかに依存して)組み込みシステムにおいて動かすことが数値集約的である可能性がある。
5.結果として得られる分類器を試験するためには、分類器に地球上のすべての人の睡眠研究を供給する必要がある可能性がある。
【0161】
しかし、システムの複雑性を低減する1つの方式は、システムに供給される情報を「関心がある」情報だけに制限することである。平坦化指数のような特有の特徴の計算はまさにこの制限を行い、信号の圧縮の形式として機能する。
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、参照により開示内容が本明細書に組み込まれた2007年5月11日に出願された豪州仮特許出願第2007902561号および2007年8月17日に出願された米国仮特許出願第60/965,172号の出願日の利益を主張する。
【0002】
[発明の分野]
提案された技術は、睡眠時無呼吸低呼吸症候群(OSAHS)または閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に関連した容態等の呼吸状態の検出、診断、および/または、治療のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
1993年4月6日に発行された米国特許第5,199,424号にSullivanとLynchによって記載されているように、持続的気道陽圧(CPAP)の印加が閉塞性睡眠時無呼吸の発生を治療する手段として使用されている。患者は鼻マスクまたは鼻腔プロングを介して陽圧空気源につながれる。患者によって呼吸される空気源は大気圧より僅かに高い。持続的気道陽圧の印加は、上気道を支持および安定化し、よって、上気道閉塞の発生をなくす「空気添え木」と表現可能であるものをもたらすことがわかった。持続的気道陽圧の印加はいびきと閉塞性睡眠時無呼吸の両方を取り除くのに効果的であり、多くの場合、中枢性無呼吸および混合性無呼吸を治療するのに効果的である。
【0004】
1996年8月27日に発行された、Gruenkeに対する米国特許第5,549,106号には、混合性睡眠時無呼吸および閉塞性睡眠時無呼吸を治療するため患者の呼吸を楽にさせることを目的とする装置が開示されている。機器は、吸息の直前に患者の気道へ供給される鼻腔内空気圧を増加させ、その後に呼息努力を楽にさせるため圧力を減少させる。
【0005】
米国特許第5,245,995号において、Sullivanは、閉塞前の発作またはその他の形の呼吸疾患の早期兆候をもたらす、いびきパターンおよび異常呼吸パターンが睡眠中の吸気および呼気の圧力測定によってどのようにして検出可能であるかを検討している。特に、呼吸パラメータのパターンが監視され、CPAP圧力は、理想的には閉塞性発作およびその他の形の呼吸疾患の発生を無くすため、増加した気道圧力をもたらすように予め定義されたパターンの検出時に上昇させられる。
【0006】
1998年1月6日に発行された、米国特許第5,704,345号にBerthon−Jonesによって記載されているように、閉塞性呼吸を表す異常呼吸パターンを感知し検知する種々の手法が公知である。Berthon−Jonesは、無呼吸、いびき、および、呼吸流れ平坦化のような事象を検出することに基づく方法について記載している。治療圧力は検出された状態に応答して自動的に調整されてもよい。
【0007】
国際特許出願PCT/AU01/01948(公開番号第WO02/18002号)にWickhamによって記載されているように、流れ平坦化決定は様々の重み係数にさらに基づくことがある。重み係数は、種々のタイプの呼吸閉塞に対する感度を高めるために気流の区域に適用される。
【0008】
閉塞を検出するその他の方法もまた使用されている。たとえば、米国特許第5,490,502号および第5,803,066号において、Rapoportは、患者の気道中に流れ制限が現れないことを確実にすることを試みながら、流れ発生器からの空気の流れを最小限に抑えるために制御される陽圧を最適化する方法および装置について開示する。患者の気道への制御された陽圧は吸気流れ波形の形状から流れ制限を検出することにより調整される。圧力セッティングは、流れ制限が検出されたかどうか、および、システムによって先になされた処置に応じて、上昇、下降、または、維持される。
【0009】
米国特許第5,645,053号において、Remmersは、OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)処置の間に鼻腔圧力のレベルを最適値に自動的かつ連続的に調節するシステムについて記載する。吸気プロファイルの丸さおよび平坦さの程度といった吸気流れの時間プロファイルの形状に関連したパラメータが決定される。OSA治療は、その後に、印加圧力を自動的に再評価し、患者の咽頭気道を適切に膨脹させるために要する最小圧力を連続的に探索することによって実施される。
【0010】
OSAを治療するこのような機器の可用性にもかかわらず、ある種の睡眠時閉塞事象はある種の機器の使用によってまだ治療されていない。したがって、閉塞事象の自動検出および治療の新しい方法が望まれている。
【発明の概要】
【0011】
本技術の態様によれば、睡眠時呼吸障害または流れ制限の改良型の自動検出および/または自動治療を備える装置および方法が提供される。
【0012】
本技術の別の態様によれば、部分閉塞を表す流れ波形の、改良型の検出および/または治療が提供される。
【0013】
本技術のさらに別の態様によれば、部分閉塞または流れ制限の兆候へのより素早い応答のための装置および方法が提供される。
【0014】
本技術のさらに別の態様によれば、閉塞事象をより正確に検出するために、気道の測定または検出された二次的状態によって流れ制限波形またはその形状指数のような流れ制限または部分閉塞の指標を適正化する装置および方法が提供される。
【0015】
本技術の態様は、呼吸流れの指標を決定するステップと、呼吸流れの指標から流れ制限のパターンを表す形状指数を決定するステップと、呼吸流れの指標から通気指標または息負荷サイクル指標を決定するステップと、決定された形状指数と決定された通気指標および負荷サイクル指標の一方または両方との関数として流れ制限指標を導出するステップとを含み得る、流れ制限を検出する方法に関係している。
【0016】
ある種の実施形態では、形状指数は、平坦化の指数、「M」形状化の指数、チェア形状化および/または丸さなどの指数、または、部分閉塞を表すことがあるその他の指数でもよい。通気指標は、前の一回呼吸量に対する現在の一回呼吸量の比率のような一回呼吸量指標でもよい。息負荷サイクル指標は、息サイクル時間に対する現在の息吸気時間の比率、および、息サイクル時間に対する事前の平均息吸気時間の比率のような比率でもよい。
【0017】
これらの方法は、流れ制限検出器によって、および/または、流れ制限圧力治療機器によって実施されることがある。たとえば、これらの方法は、形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、通気指標が正常な通気未満を表すように十分に減少することの条件として圧力を増加させることなどにより、圧力治療機器の治療圧力を調整するため実施されることがある。場合によっては、治療圧力値は、形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、負荷サイクル指標の増加の条件として調整または増加されることがある。
【0018】
本技術の一実施形態では、流れ制限を検出する装置は、呼吸ガスの流れを伝達する患者インターフェイスと、患者インターフェイスと連結され、患者インターフェイスを通る呼吸ガスの流れを表す流れ信号を生成する流れセンサと、流れセンサと連結され、流れ信号を処理するコントローラとを含むことがあり、コントローラが、形状指数と、通気指標および息負荷サイクル指標の一方または両方とに基づいて流れ制限指標を導出するため、検出の方法を制御するために構成される。この装置は、コントローラが流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、本明細書中に記載されている調整のような圧力要求に従って流れ発生器を設定するために構成され得るように、コントローラおよび患者インターフェイスと連結された流れ発生器をさらに含むことがある。
【0019】
本技術の一実施形態では、流れ制限の検出のためのシステムは、呼吸ガスの流れを伝達するインターフェイス手段と、インターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの流れを表す流れ信号を生成する流れ測定手段と、流れ測定手段と連結され、流れ信号を処理する処理手段とを含むことがあり、処理手段は、形状指数と、通気指標または息負荷サイクル指標のいずれかとに基づいて流れ制限指標を導出するため、検出の方法を処理するために構成されている。このシステムは、処理手段およびインターフェイス手段と連結され、処理手段が流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するために構成されることがあるように、インターフェイス手段を通る制御された呼吸ガスの流れを生成し、圧力要求に従って流れ生成器を設定する流れ手段をさらに含むことがある。
【0020】
別の実施形態では、本技術は、呼吸流れ制限を検出する装置を制御できるようなプロセッサ読み取り可能な情報を有する情報保持媒体でもよい。プロセッサ読み取り可能な情報は、呼吸流れの指標を決定し、呼吸流れの指標から流れ制限のパターンを表す形状指数を決定し、呼吸流れの指標から通気指標および/または息負荷サイクル指標を決定し、決定された形状指数と、決定された通気指標および息負荷サイクル指標の一方または両方との関数として流れ制限指標を導出する制御命令を含むことがある。プロセッサ読み取り可能な情報は、流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、本明細書中に記載されているように圧力を調整する命令をさらに含むことがある。
【0021】
本技術の別の態様は、流れ制限の指標の関数として比例的に導出される圧力または流れ制御情報もしくは信号の生成に関連する。たとえば、コントローラまたはプロセッサは、呼吸治療機器のための圧力セッティングまたは流速セッティングを制御または決定するように構成されることがある。呼吸流れの指標に基づいて、閉塞または流れ制限の程度を表す、閉塞指標または形状指数は、装置によって決定または計算されることがある。この装置は、さらに場合によっては、呼吸流れの指標から通気の変化の程度を表す通気指標を決定することがある。治療圧力セッティングまたは流速セッティングは、(1)閉塞または流れ制限の程度、および、(2)通気の変化の程度の一方または両方の比例関数として、装置によって導出されることがある。
【0022】
本技術のさらなる実施形態は以下の開示から明白である。
【0023】
本技術は、類似した参照符号が同様の要素を参照する添付図面の図において、制限のためでなく、例示の目的で説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】最初に正常に呼吸する患者の気流、次に気道狭窄が起こっている患者の気流、最後に覚醒している患者の気流を示す図である。
【図2】「M」形状呼吸パターンによって示された閉塞が起こっている患者に関する平坦化指数を示す図である。
【図3】患者の睡眠からの覚醒を示す呼吸パターンにつながる「M」形状呼吸パターンによって示された閉塞が起こっている患者に関するマルチ息平均化の有無を問わない平坦化指数を示す図である。
【図4】流れ制限または部分閉塞の検出および/または治療のための装置のコンポーネントの実施例を示す図である。
【図5】流れ制限または部分閉塞を検出する際の検出または治療機器の適切なステップを示す図である。
【図6】シングル息平坦化形状指数に基づく変数のファジーメンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図7】m形状息形状指数に基づく変数のファジーメンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図8】通気率指数に基づく変数のファジーメンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図9】息負荷サイクル比に基づく変数のファジーメンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図10】流れ制限測定の出力メンバーシップ関数の実施例を示す図である。
【図11】重心法を使用する流れ制限または部分閉塞指標の決定におけるデファジー化演算の実施例を示す図である。
【図12】通気の指標に基づく流れ制限または部分閉塞指標の検出能力を修正する関数の実施例を示す図である。
【図13】同じ流れ信号から決定された、本明細書中に記載されている技術の計算流れ制限指標FFLと従来の平坦化指数のグラフ比較図である。
【図14】鼻腔流れから導出された流れ信号と、呼吸覚醒の可能性を定量化する連続RERA検出器の出力指標とを示す図である。
【図15】睡眠−目覚め−覚醒検出の指数でもよいピーク呼気流れ対平均呼気流れの比率を示す図である。
【図16】低周波いびきの中で閉塞性息の系列を記録するフィルタ処理された流れ信号およびフィルタ処理されていない流れ信号の2個の重ね合わされた流れ信号を示す図である。
【図17】気流信号をフィルタ処理するために役立つFIRフィルタ実施例の応答を示す図である。
【図18】M形状呼吸を検出する基本ベクトルB1およびB2として機能する関数の実施例をプロットする図である。
【図19】典型的なM形状化された息の流れ信号のグラフである。
【図20】単純なチェア形状化によって増強されたM形状息を示す流れ信号のグラフである。
【図21】チェア形状を有するM形状息を検出するために役立つピーク吸気流れ対平均吸気流れの比率に基づく変数のメンバーシップ関数のグラフである。
【図22】チェア形状を有するM形状息を検出するために役立つ吸気ピーク位置に基づく変数のメンバーシップ関数のグラフである。
【図23】流れ信号のグラフ、決定された平坦度指標のグラフ、および、決定されたチェア形状化指標のグラフを示す図である。
【図24】t=420において睡眠覚醒中に終了する呼吸の努力が増加している上気道抵抗が起こっている患者の流れ信号のグラフと、対応するシングル息平坦化指数のグラフである。
【図25】図24の流れ信号に基づく流れ制限指標と、通気指標と、負荷サイクル指標の実施例のグラフである。
【図26】図24の流れ信号に示された息の系列に基づく持続的閉塞指標または持続的平坦化指標のグラフである。
【図27】流れ制限指標の修正のため利用可能である重み減少係数の関数を示す図である。
【図28】呼吸流れ信号のグラフと、瞬時いびき信号のグラフと、3個のいびき指数のグラフとを表す図である。
【図29】複数のいびき指数に基づいていびきを取り扱う分類を表す図である。
【図30】正確なトリム結果および不正確なトリム結果の印が付けられたM形状息のグラフである。
【図31】M形状息を含む流れ信号対時間のグラフと、2通りの方法によって決定された吸気時間のグラフとを含む図である。
【図32】漏れ条件に応じて流れ制限の指標の重みを減少させるため役立つ関数のグラフを示す図である。
【図33】漏れ条件に基づいて流れ制限指標または部分閉塞指標(たとえば、FFL)の重みを減少させるために役立つさらなる関数の図である。
【図34】マスク圧力のレベルによって流れ制限または部分閉塞指標の重みを減少させるために適した関数のグラフである。
【図35】妨害の指標によって流れ制限または部分閉塞指標の重みを減少させるために適した関数のグラフである。
【図36】治療圧力の関数としていびき指標の重みを減少させるために適した関数のグラフである。
【図37】大息を表す通気指標に基づいていびき指標の重みを減少させるために適した関数のグラフである。
【図38】様々な患者のグループに対する正規化呼気ピーク位置のヒストグラムである。
【図39】正規化呼気ピーク位置値に基づいて流れ制限または部分閉塞指標に適用されるべき重み減少係数の関数のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
OSAを有する患者は、睡眠中に、患者の目覚めだけによって終わる無呼吸または呼吸低下が頻発する。これらの頻発する事象は、睡眠断片化、および、交感神経系の刺激の原因になる。これは、患者に対し、(自動車事故を伴う可能性がある)日中の眠気、芳しくない精神作用、記憶の不具合、鬱、および、高血圧といった重大な結果となり得る。OSAを有する患者は、大きないびきをかくこともあるため、同時に自分のパートナーの睡眠の邪魔をすることもある。OSAを有する患者の最良の治療の形態は、連結ホースおよびマスクを介して送風機(コンプレッサ)によって加えられる持続的気道陽圧(CPAP)である。陽圧は吸気中に患者の気道の狭窄を防止するので、頻発する無呼吸または低呼吸とそれらの後遺症とを防止する。
【0026】
通常、患者は、睡眠ポリグラフとして知られている記録が取り出される多数のセンサを使用して監視される2回の睡眠調査を受ける。第1の調査(治療なし)はOSAの診断を確認し、第2の調査は患者を正しい治療圧力にタイトレーションするために使用される。圧力要件は、位置、姿勢および睡眠状態の変化のために一晩の間に変化する。医者は、あらゆる偶然性をカバーする可能性がある圧力(タイトレーション圧力)を提案する。これに対する代替案は、圧力を患者の要求に適合させる自動機械であり、この療法は自動気道陽圧すなわちAPAPとして知られている。APAP療法の利点は、この療法が多様な時間スケールに亘って変化する可能性がある圧力要件に適合性がある点である。たとえば、圧力要件は、姿勢および睡眠状態に伴って夜の間に変化し、おそらくアルコール消費に伴って週末の間に変化し、療法自体の有益な効果のため数ヶ月の間に変化し、体重減少または増加のため数年の間に変化することがある。さらに、APAP機械は、典型的には必要に応じて圧力を増加させるので、患者は治療上の任意の最高値よりかなり低い快適な圧力で眠りにつくことが可能である。最後に、APAP機械は潜在的に低い圧力で作動するので、マスク漏れの影響は多少改善される傾向がある。
【0027】
APAP機械において患者圧力を自動的に設定するため使用される公知のアルゴリズムは、ResMed AutoSetと呼ばれる。全体として、AutoSet機器とそのアルゴリズムはOSA患者を治療するため優れている。ResMed AutoSetアルゴリズムは、流れ制限、いびき(可聴雑音)、および、無呼吸の3つの状況に応答する。自動圧力セッティングは、相互参照によりその内容が本明細書に明確に組み込まれる米国特許第5,704,345号にも記載されている。流れ制限は、流体流れを搬送するいわゆる「押出しチューブ」の流体力学特性である。OSAを有する患者の咽頭は、(たとえ、ベンチトップで調査されている単純なパッシブチューブではなく筋肉の押出しチューブであるとしても)押出しチューブの例である。本質的に、流れ制限は、流れを搬送する狭窄チューブ内において、(上流圧力が一定に保たれていると仮定すると)流れが下流圧力を減少させること(すなわち、流れ駆動差圧の増加)によってそれ以上増加されない状態である。狭窄上気道を有する患者において、この状態は、患者がもはや適切な通気を得られず、呼吸努力の増大が吸気流速をもはや増加させない状況と同じである。図1は、そのような患者が102で最初に正常な呼吸を行い、次に、104で気道狭窄が生じ、食堂内圧のより大きい負の偏位(呼吸努力の指標)にもかかわらず、どうしても1回呼吸量または流速を増加させられない例を示している。最終的には、患者は、気道を開き、血液−ガスの恒常性を回復するように数回の大きい息をするために106で覚醒する。
【0028】
ResMed AutoSetアルゴリズムは、患者流れを監視し、流れ制限またはいびきを検出するとき、圧力を上昇させる。通常は、無呼吸の前に流れ制限(部分閉塞と呼ばれることもある)またはいびきの期間が先行するので、無呼吸に直面することは稀である。バックアップ手段として、圧力は無呼吸が検出されたときも上昇させられる。流れの乱れが測定されない場合、圧力は緩やかに減少することが可能となり、できれば、患者が目覚めることなく眠ることを可能にさせる平衡圧力が達成される。AutoSetアルゴリズムは比例的に応答するので、このアルゴリズムが応答する条件毎にメトリックが使用される。メトリック、すなわち、流れ制限のための平坦化指数と、いびきの吸気の間に平均化された音の校正RMS指標と、検出された無呼吸の長さとが使用される。
【0029】
平坦化指数は、患者の吸気波形を使用して計算される無次元特徴(たとえば、実数)である。平坦化指数は、波形の最高部がどの程度平坦であるかを原則的に測定することを試みる。流れ制限の特徴は、下流圧力が十分に低いためにチューブを狭窄した状態に保つことができる一方で、駆動圧力の変化とは無関係に、流速がほぼ一定値に維持されることである。流れ制限呼吸を有する患者において、このことは平坦な最高部を含む吸気波形(すなわち、一定吸気流速)と同じである。
【0030】
たとえば、指数の選択された目盛に依存して、正常な呼吸は、約0.2の平坦化指数を生成する可能性があり、一方、著しく平坦化された波形は約0.1以下の平坦化指数を生成する可能性がある。APAP療法の場合、制限が典型的に設定され(たとえば、ある種の機械では0.19)、圧力は、平坦化指数が閾値を下回る程度に比例して上昇させられる。雑音の影響を低減し、特異性を高めるため、典型的な圧力セッティングアルゴリズムは、5回の息点に関する移動平均を使用することもある。5回の息平均の考え得る不利点は、平坦化がその最終的な最低点へ下がる前に5回の異常息が平均化されることを必要とするので、流れ制限の検出を減速することである。3個の発見的な重み付けは、漏れが増加するのにつれて、治療圧力が上昇するのにつれて、および、バルブライク呼吸の形跡が増加するのにつれて、平坦化のより大きな低減が必要とされる程度に平坦化が圧力の上昇を引き起こす閾値に適用される可能性がある。これらの経験則は、低下した情報(流れ信号)にもかかわらず、潜在的な圧力急上昇を阻止するために役立つ。
【0031】
平坦化指数は流れ制限の優れた指標であるが、ある種の状況を検出するために設計されている。しかし、一部の特定の実施では、一部の稀な状況を対象にしないことがわかった。以下にこのような観察が行われた分野を挙げる。
【0032】
1.5回息移動平均は流れ制限の検出を減速する。このことは図2に示されている。図2において、上側のトレースは、従来の5回息移動平均平坦化指数のプロットを示している。下側のトレースは呼吸流れの指標を示している。患者は少しずつ閉塞し始め、平坦化トレースは、5回息平均に起因して202において階段状に降下する。グラフの右側へ向かって、閉塞がより重大になり、徐々により形状が「M」になり始める。図示されているように、平坦化指数は、最終的に向きを反転し始め、閉塞の悪化に伴って減少ではなく増加する。
2.様々な吸気形状が完全に新しい形状を与えるために平均化する可能性があるので、5回息移動平均は重要性を有する可能性がある。このことは図3に示されている。図3は、302におけるいわゆるM形状の閉塞状態の息の系列であって、304における覚醒で終わり、306において一部の合理的に正常な回復息がその後に続く系列を示している。グラフに示されているように、シングル息平坦化と従来の平坦化は両方ともにM息の系列の最後で高く(前者がより素早く最大値に達する)、覚醒後に、従来の平坦化は実際に0.1未満に下がるが、その理由は息が平坦化されるからではなく、むしろ、M息が正常な息と一緒に平均化され、疑似的に平坦な形状を生成するからである。
3.平坦化指数はM息を検出するために設計されていない。実際に、平坦化指数は、M形状息が起こるとき高くなる。このことは図2および3に示されている。
4.平坦化指数は、機器の患者−ユーザの現在の通気または睡眠状態とは無関係に、圧力増加の原因になる可能性がある。
5.平坦化の重みを減少させるため適用される経験則はある種の患者に治療不足を生じさせる可能性がある。
6.平坦化指数は、流れ制限を検出するため平坦化指数を使用する任意のアルゴリズムの感度および特異性に対し重大性を有する、正常なランダム変動の影響を受ける。
【0033】
M形状息は稀である可能性があるが、流れ制限を検出し、および/または、既存の方法および機器を改良するために、さらなる方法および機器を開発することが依然として望ましい。
【0034】
図4を参照すると、本技術は、サーボ制御式送風機402のような流れ発生器を含み得る圧力送出および/または流れ制限検出機器に関連する。この機器は、典型的に、マスク406のような患者インターフェイスと、空気または呼吸ガスの流れを患者へ、および/または、患者から搬送する空気送出導管408とをさらに含む。送風機402は空気送出導管408およびマスク406と連結されていてもよい。排気ガスは排気管413を介して通気させることが可能である。場合によっては、流れセンサ404fおよび/または圧力センサ404pが利用されることもある。たとえば、マスク流れは、呼吸気流計、および、差圧トランスデューサ、または、流れ信号F(t)を導出するためにチューブまたはダクトの束を利用する機器のような類似した機器を使用して測定されることがある。同様に、マスク圧力は圧力信号Pmask(t)を導出するために圧力トランスデューサを使用して圧力孔で測定されることがある。圧力センサ404fおよび流れセンサ404pは図4において記号的に表されているだけであり、その理由は、他の構造および他の機器が流れおよび圧力を測定するために実施されてもよいことが理解されるからである。流れ信号F(t)および圧力信号Pmask(t)は、圧力要求信号Prequest(t)を導出するために1台以上のアナログ・デジタル(A/D)変換器/標本化器(図示せず)を介してコントローラまたはマイクロプロセッサ415へ送信されてもよい。
【0035】
代替的に、流れ信号f(t)および/または圧力信号Pmask(t)は、上述されているような流れセンサおよび圧力センサの有無にかかわらず、モータに供給される電流(I)と、モータの速度(S)および/または回転数(w)とを監視することにより、送風機モータに関連して推定または計算されることがある。場合によっては、送風機モータ速度はほぼ一定に保たれることがあり、マスク内の圧力変化は、マスクへの気流を可変的に迂回/通気または送出することがあるサーボバルブの開きを制御することによって実施されてもよい。さらに、その他のタイプの患者インターフェイスがマスクに代えて使用されてもよく、流れセンサおよび/または圧力センサは患者インターフェイスに関して選択的な位置で流れおよび圧力を測定してもよい。
【0036】
コントローラまたはプロセッサ415は、より詳細に本明細書中に記載されている方法またはアルゴリズムを実施するため構成され適合し、集積チップと、メモリ、および/または、その他の制御命令、データ、もしくは、情報記憶媒体とを含むことがある。たとえば、制御方法を用いてプログラムされた命令は、機器のメモリにおいて集積チップに符号化されることがあるか、または、このような命令は、適切な媒体を使用してソフトウェアまたはファームウェアとしてロードされることがある。
【0037】
このようなコントローラを用いて、装置は、送風機の速度を設定するために、または、放出バルブを用いる通気を操作するために使用され、本明細書中に詳述されている実施例に示されているような圧力送出式に関連した検出方法に基づくことがある圧力送出式を調整することにより、多くの異なる圧力治療法のため使用することが可能である。代替的に、圧力治療法は、機器が流れ制限の存在を診断、検出、および/または、定量化するために使用されることがあるように、圧力治療コンポーネントを含むことなく、機器において実施されることがある。
【0038】
部分閉塞を表す呼吸パターンを検出および/または治療するために本明細書中に提案されている方法またはアルゴリズムは、ファジー論理制御システムとしてコントローラを用いて実施することが可能である。一般に、ファジー論理は、システム挙動に関するアイデアを、制御システムのパラメータに関する実数に基づいているコンピュータコードに変換する手法である。しかし、当面の問題は、基本的に統計的パターン認識のうちの1つであり、本明細書中においてより詳しく検討されている代替案のような、その他の技法を使用して実施されることがある。したがって、以下の技術は、ファジー論理制御システムの観点から提案されているが、所望の制御入力および典型的な出力関数に基づいて制御システムに導入する他の技法が存在することが理解される。
【0039】
このために、本技術の制御システムの実施形態は、ファジー流れ制限(FFL)指標のような部分閉塞または流れ制限指標を使用する以下の一般的なアプローチに従って実施することが可能である。このような指標を使用することは、システム制御変数としての従来の平坦化指数の使用に関して上述されている観察の一部を改善することがあるアプローチである。流れ制限指標FFLは、流れ制限(または、より厳密には、部分上気道閉塞)に対するアルゴリズムの応答の感度および特異性を改良するために複数の特徴パターン認識を使用する。実施形態では、流れ制限指標FFLを用いる一般的なアプローチは以下のステップのうちの一部または全部を含むことがある。
【0040】
1.患者の呼吸流れを監視する。
2.流れ信号から吸気波形および呼気波形を抽出する。
3.波形の各成分から、または、適切な場合には、合成波形から特徴を計算する。複数の特徴がパターンを構成すると考えられることがある。
4.未加工変数からファジー入力変数を計算する。このステップは入力変数の新しい空間へのマッピングを構成する。患者の適当な集団のデータマイニングはパラメータ空間の良好な推定を可能にさせる。
5.ファジー出力を生成するためにファジー論理を使用して導出されたファジー変数を結合する。このステップは素人による直観的な理解を可能にさせる行列を使用して定式化することが可能である。
6.圧力制御アルゴリズムによって使用されるべきクリスプ値(実数)を生成するためにファジー出力を逆ファジー化する。
7.複数のソースからのファジー出力を結合する。
8.FFL結果に基づいて治療圧力を調整する。
【0041】
この方法によれば、システム実施例は、広範囲で変化する入力パラメータをファジー論理原理を用いて容易に解釈できる変数にマッピングする。たとえば、平坦化指数のような形状指数は、高平坦化、普通の平坦化、低平坦化などのようなファジー変数にマッピングされることがある。これらの変数の1つずつは、変数に関連した数学関数によって決定されるような平坦化指数の値に依存し、かつ、呼吸気流のような平坦化決定に関連した入力データに基づいて、ゼロと1との間の値を取る。同様に、その他のファジー変数は、適切な数学関数、および、決定通気と関連した入力データに基づいて、高通気、普通の通気、および、低通気などのような通気指標をマッピングすることが可能である。さらに別のファジー変数もまた、低Ti−on−Ttot、普通のTi−on−Ttot、または、高Ti−on−Ttotなどのような呼吸負荷サイクル指標(たとえば、呼吸サイクルの総時間(Ttot)に対する吸気の時間(Ti)の比率)をマッピングすることが可能である。これらの変数は、次に制御変数を生成するために使用されることがあるファジー出力にさらにマッピングされてもよい。流れ制限指標と関連したファジー出力は、たとえば、軽度、中程度、および、重度でもよく、上述された実施例のようなその他のファジー変数に基づくこともある。たとえば、ファジー論理コントローラは以下のとおりのステートメント実施例によって表現される条件を実施することがある。
(a)(低平坦化および低通気)であるならば、流れ制限は重度である。
(b)(高平坦化および高Ti−on−Ttot)であるならば、流れ制限は軽度である。
【0042】
流れ制限指標として使用することができる逆ファジー化出力は、ゼロ(流れ制限なし)と1(重度)との間で変動するように実施可能である。このようなシステムを用いて、入力空間は、実数精度を全く失うことなく、容易に解釈可能なルールを使用して非線形的な意味で分類できる。
【0043】
実際に、0から1までの連続範囲で閉塞の程度を表現するこのような流れ制限指標の精度を用いて、指標は、この指標を用いて検出された状態を取り扱うために適している応答圧力または流れ制御セッティングを導出するために比例的に実施することが可能である。たとえば、圧力調整が行われるべきであるか否かを決定するためにこのような指標と比較された筈である閾値を利用する必要なしに、指標は、呼吸治療装置のセッティングまたはこのような機器のための治療セッティングの決定において、より直接的に実施されることがある。たとえば、閉塞指標は、圧力調整量または流速調整量に直接的に適用されることがある比例関数(たとえば、指標×調整量)として役立つことがある。結果として得られる調整量はその後に呼吸治療装置の治療セッティングに適用される可能性がある。本明細書中により詳述されている技術に関して説明されているように、「FFL」指標はこのような比例治療セッティング関数としての機能を果たすように実施されることがある。
【0044】
図5にさらに示されているように、このようなシステムでは、流れ制限は、(a)ステップ502に示されている呼吸流れの指標から流れ制限のパターンを表す形状指数を決定するステップと、(b)ステップ504に示されている呼吸流れの指標から通気指標または息負荷サイクル指標を決定するステップと、(c)ステップ506に示されている決定された形状指数と、決定された通気指標または決定された呼吸サイクル指標の一方または両方との関数として、流れ制限指標を導出するステップと、を含む方法によって検出および/または量子化されることがある。このような方法を用いて、治療圧力に対し高度な調整が行われることがある。たとえば、流れ制限を治療するための増加は、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息または平坦化息の存在を表していること、および、(b)通気指標が正常な通気に満たないということを表すまで十分に減少していることの両方が決定されるならば、圧力変化が起こる可能性があるといった条件に基づくことがある。流れ制限を治療するためのさらなる増加は、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表していること、および、(b)負荷サイクル指標の増加が検出されていることの両方が決定されるならば、圧力変化が起こる可能性があるといった別の条件に基づくことがある。このような条件を用いて、適当な治療応答が、単独で利用された形状指数、通気指標、または、呼吸負荷サイクル指標が流れ制限のレベルを正確に予測しないときに現れることになる不必要な治療変化を伴わずに与えられる。
【0045】
したがって、一実施形態では、このシステムは、流れ制限指標FFLを導出するための複数個(たとえば、4個)の入力特徴の使用によって特徴付けられる。入力特徴は、(1)シングル息平坦化(SBF)形状指数、(2)M形状指数(MS)、(3)通気率(VR)のような通気指標、および/または、(4)吸気時間対全息時間の比率(Ti−on−Ttot)のような呼吸負荷サイクル指標を含むことがある。
【0046】
シングル息平坦化指数SBFとして実施される形状指数の実施形態は、好ましくは、5回息移動平均を使用せずに実行されるという点を除いて、米国特許第5,704,345号に開示されたアプローチと同様に計算してもよい。シングル息平坦化形状指数決定の実施の詳細は本明細書中のセクションAに開示されている。
【0047】
M形状の形状指数の決定の典型的な実施は本明細書中のセクションBに記載されている。M形状特徴の図示されている計算は、ゼロ(すなわち、吸気流れ波形がM形状化されていない)から1(すなわち、吸気流れ波形が確定的にM形状化されている)までの範囲で変化し得る。M形状指数は、場合によっては、単純な「チェア形状」指数のような別の形状指数によって増強されることがある。チェア形状指数(たとえば、ファジー「チェアネス」)の典型的な決定もまたセクションBに詳述されている。
【0048】
適当な通気指標の決定の実施形態は1回呼吸量計算に基づくことがある。たとえば、通気指標は、指標が通気または1回呼吸量の変化を表す可能性があるように、現在の1回呼吸量と前の1回呼吸量とを含む比率でもよい。一つの適当な実施形態では、指標は以下のとおり計算することができる通気率VRでもよい。
【0049】
1.呼吸流れの絶対値を取得し、単純なローパスフィルタ(時定数=3分)を使ってその絶対値をフィルタ処理する。
2.フィルタ出力を2で除算し、「3分間通気」を生じさせる。
3.呼吸1回呼吸量(基本的に、吸気量および呼気量の平均)を計算する。
4.1回呼吸量を息の長さで除算し、すなわち、平均息流速を生じさせ、次に、この値を3分間通気によって除算し、この息が直前の通気と一致する程度の指標を生じさせる。
【0050】
通常、VRは1前後の狭い範囲で振動する。重大な上気道閉塞の場合、VRは1より遙かに小さい値まで減少し、完全な閉塞の場合、ゼロまで減少する可能性がある。大息(覚醒時の回復息)は1より遙かに大きい(たとえば、1.5から2の)VRを有する。特定の通気率VRの計算のさらなる詳細は本明細書中のセクションGに含まれている。
【0051】
上述されているように、システムは、場合によっては、流れ制限指標FFLの導出中に呼吸負荷サイクル指標を利用することが可能である。この指標は前の負荷サイクルに対する現在の負荷サイクルの比率に基づくことがあるので、この指標は呼吸負荷サイクルの変化を表す可能性がある。呼吸負荷サイクル比TTRの計算の典型的な詳細は本明細書中のセクションGにさらに記載されている。たとえば、適当な息負荷サイクル指標はTi−on−Ttot変数の計算に基づく可能性がある。選択された変数は、ゼロ(無吸気)および1(無呼気)の(もっともらしくない)制限を有する。ベースTi−on−Ttotは患者によって変化する可能性があるので、直前の平均値に対するTi−on−Ttotの比率、すなわち、本明細書中でTi−on−Ttotの比率として表されている比率が計算される。Ti−on−Ttotの直前の平均値は、計算された各Ti−on−Ttot値を単純なローパスフィルタに入れることによって計算することが可能である。Ti−on−Ttotが直前の履歴と比較して増加するとき、TTRは1を越える。Ti−on−Ttotは0.4前後の値を有し、TTRは通常では1であり、患者が閉塞性上気道であるにもかかわらず、自分の1回呼吸量を「補償」、すなわち、増加させようとしているとき、1より大きい。
【0052】
上述されているように、これらの入力特徴は数学関数によって数個の変数にマッピングされる。よって、形状指数SBFは、たとえば、6個のファジー変数、すなわち、B_LOW_FLATTENING、EXTRA_LOW_FLATTENING、VERY_LOW_FLATTENING、LOW_FLATTENING、NORMAL_FLATTENING、および、HIGH_FLATTENINGにマッピングされる可能性がある。これらのファジーメンバーシップは、図6にグラフ化され、上にそれぞれ載せられている各変数と共に左から右の順番に提示されている、サンプル関数によって示されている。メンバーシップ関数の適用実施例として、形状指数SBFが計算され、値0.05という結果になるならば、メンバーシップ関数のそれぞれに適用されるとき、変数B_LOW_FLATTENINGは値1.0という結果になり、図6のグラフにおける他のすべてのファジー変数に対し値ゼロになる。その他の適当な関数および変数が必要に応じて選択されてもよい。
【0053】
同様に、M形状の形状指数の計算に基づくメンバーシップ関数および変数の実施例が図7に示されている。このグラフは、LOW_M−SHAPE、NORMAL_M−SHAPE、HIGH_M−SHAPE、VERY_HIGH_M−SHAPE、および、B_HIGH_M−SHAPEに対する適当な関数を示している。通気率指数の計算に基づくメンバーシップ関数および変数の実施例は図8に示されている。このグラフは、VERY_LOW_VENTILATION、LOW_VENTILATION、NORMAL_VENTILATION、HIGH_VENTILATION、および、VERY_HIGH_VENTILATIONに対する適当な関数を示している。最後に、息負荷サイクル率の計算に基づくメンバーシップ関数および変数の実施例が図9に示されている。このグラフは、Ti−on−Ttot_LOW、Ti−on−Ttot_NORMAL、Ti−on−Ttot_HIGH、Ti−on−Ttot_VERY_HIGH、および、Ti−on−Ttot_EXTRA_HIGHに対する適当な関数を示している。
【0054】
これらのマッピングされた変数の一部または全部に基づいて、システムはその後に流れ制限指標FFLの導出中に変数の組み合わせに基づくルールを適用または評価し得る。たとえば、ファジールールが事前に特定されたファジー変数に基づいて以下の表に示されている。これらの行列は部分閉塞を構成し得るものについてのアイデアを自然言語でさらに表現している。
【0055】
表A
平坦化指標および通気指標
【表1】
【0056】
表Aは、シングル息平坦化形状指数および通気率指標と関連付けられたファジー変数を用いて適用され得るファジールールの集合の概要を記載している。たとえば、平坦化形状指数のファジー変数に関する「超高」列、および、通気率指標のファジー変数に関する「低」行における太字(「軽から中」、すなわち、軽度から中程度)のルールは、次のファジールールを表現している。
【0057】
(超高平坦化および低通気)ならば、FFLは「軽度から中程度」である。
【0058】
表に示されているこのルールおよびその他のルールは評価可能であり、「AND」はファジー論理積である。各出力応答(たとえば、「軽度から中程度」)に対する共通の出力結果は、その後に、一緒にファジー論理和をとられる。たとえば、「中程度」という出力(たとえば、中程度流れ制限の指標)を有する2つのルールは、最終的な「中程度」出力を生じさせるためにファジー論理和をとられる。このことは以下の式と等価である。
【0059】
中程度=(VERY_HIGH_FLATTENING AND VERY_LOW_VENTILATION) OR (EXTRA_HIGH_FLATTENING AND LOW_VENTILATION)
【0060】
流れ制限指標の導出中におけるこれらのルールの適用に基づいて、少なくとも3つの事項、すなわち、1)平坦化重大度が増加すると共に(たとえば、形状指数が減少すると共に)、FFL指標が増加すること、2)平坦化が現れ、通気が減少している場合、FFL指標はより一層重度であること、および、3)通気が高い(たとえば、回復(大)息などが現れる)場合、平坦化形状指数への応答が調節されることが、ルール適用の実施中に明白である。
【0061】
流れ制限は(少なくとも初期的に)1回呼吸量(たとえば、通気率)の低下を伴わない場合がある。これらの場合、患者は、負荷サイクルを増加させることにより、すなわち、全吸気−呼気時間の割合として吸気時間を延ばすことにより、自分の1回呼吸量を維持する。この傾向は、本実施形態では、吸気時間の延長と共に1より大きくなる負荷サイクル指標(たとえば、TTR)を使用して測定または決定可能である。
【0062】
システムは、平坦化形状指数情報が通気指標(たとえば、VR)と結合された手法と同様の手法で、以下の表Bによって表現されたルールを使用して、平坦化形状指数情報を息負荷サイクル指標(たとえば、TTR)とさらに結合する。
【0063】
表B
平坦化および息負荷サイクル指標
【表2】
【0064】
表Aと同様に、表Bは、息負荷サイクルの指標および平坦化形状指数に基づく流れ閉塞のファジールールと対応する自然言語記述とを表現する。たとえば、「極高」列と「超高」行とにおける太字(「中から重」、すなわち、中程度から重度)のルールは次のファジールールである。
【0065】
(EXTRA_HIGH_FLATTENING AND Ti−on−Ttot_VERY_HIGH)ならば、FFLは中程度から重度である。
【0066】
このルールは、吸気呼吸パターンの波形が重度に平坦化する傾向があり、かつ、吸気が負荷サイクル指標の考慮によって中程度に延ばされるならば、流れ制限指標FFLは中程度から重度である、という事項を表現する。表Aに関して記載されているように、この表の共通出力関数に対するルールの結果はファジー論理和演算を使用して結合可能である。
【0067】
流れ制限指標が平坦化形状指数情報と、通気指標および息負荷サイクル指標の一方または両方とを使用して導出される手法と同様の手法で、流れ制限は、M形状化および/または増強M形状化検出指数の両方と、通気指標または息負荷サイクル指標の一方または両方とを使用して導出されることもある。この導出の態様は表CおよびDに示されている。
【0068】
表C
M形状化または増強M形状化および通気指標
【表3】
【0069】
表Cは、M形状化形状指数および/またはチェア形状指数に基づくファジー変数に関係する点を除いて、上記の図表と同様のルールを表現している。表中の出力関数の選択の性質から明らかであるように、ルールは一つには、患者が正常またはそれ以上の平均通気をしている場合、検出されたM形状呼吸パターンへの応答を阻止することを目的としている。したがって、流れ制限指標は、システムがある種のタイプの覚醒息、および、レム睡眠中に起こる可能性があるが、現在の流れ制限を表していない「行動的な」M形状呼吸パターンに応答しないように導出される。たとえば、表Cの最後列の最上行のエントリによって表現されたルールは、良い通気指標(たとえば、「超高」)が存在するとき、出力関数が不良「極超高」M形状指数に関連した指標に対し「ゼロ」であることを指定する。
【0070】
さらに、殆どのM形状息は、中程度から重度の閉塞性を表現し、通気減少を示す。したがって、表Cのその他のルールは、この検出されたM形状息、および、通気の減少のような低通気指標といった状況に対処するため、システムの圧力変化に対する流れ制限の検出を可能にさせる。
【0071】
表Aに関して記載されているように、この表の共通出力関数に対するルールの結果はファジー論理和演算を使用して結合可能である。
【0072】
表Dは息負荷サイクル指標に関するルールを提示する。
【0073】
表D
M形状化または増強M形状化および負荷サイクル指標
【表4】
【0074】
表Dは、息負荷サイクル指標およびM形状化および/または増強M形状化決定から導出された流れ閉塞または流れ制限の指標についての特有のファジールールと対応する自然言語記述とを表現している。本実施例では、行列は、M形状情報を(通気率ではなく)Ti−on−Ttot比率と「結合」する。行列は、息負荷サイクルが増加する傾向のもとで、M性を示す息、すなわち、M形状パターンの存在の程度に関係すると考えられることもある。この結合は、患者の通気がおおよそ「普通」であり、患者がより長い吸気を取ることにより「補償」をしている場合、息中の流れ制限を特定する。
【0075】
表Aを参照して記載されているように、この表の共通出力関数に対するルールの結果はファジー論理和演算を使用して結合可能である。
【0076】
表A、B、CおよびDに基づいて適用されたルールの結果は、その後、出力関数に適用されることがある。図10は、この結果と共に適用されることがある適当なファジー出力メンバーシップ関数を示している。出力メンバーシップ関数は、負、ゼロ、軽度、軽度から中程度、中程度、中程度から重度、および、重度を含む。
【0077】
一例として、表Dを検討する。表中の個別のファジールールが計算されると(たとえば、(EXTRA_HIGH_MSHAPE AND Ti−on−Ttot_VERY_HIGH)ならば、FFLは中程度から重度である)、出力は集められ、一緒にファジー論理和がとられる。たとえば、ファジー論理和をとる必要がある3個の中程度から重度という出力が表Dに存在する。これがすべての出力に対し行われると、図10の逆ファジー化関数に供給され、重心法が図11のようにクリスプ出力を与えるために使用されることがある。これは結果として0から1.25の間の実数をもたらす。すべての表からの個別の出力が利用できると、最高出力がFFLの値のため使用されることがある。
【0078】
直前に言及した逆ファジー化ステップにおいて単一の「クリスプ」指標を決定する際に、重心法またはその他のこのような逆ファジー化演算が実行されることがある。重心法では、出力変数のクリスプ値は、出力関数の値の重心に関連付けられた値を見つけることによって決定される。このような方法の実施例が図11に示されている。図11は、軽度=0.1、軽度から中程度=0.5、中程度=0.8の場合にファジー入力に対し計算される重心法の適用を示している。計算結果は0.61064である。当業者は本説明を勘案してクリスプ指標を計算するその他の方法を理解する。
【0079】
システムの一実施形態では、流れ制限指標はその他の潜在的な検出状態の処置を回避するように導出されることがある。たとえば、覚醒息は形状を平坦またはM形状にすることが可能であり、よって、形状指数を用いる決定に基づいて流れ制限を表す可能性があるが、息は実際には吸気時間が延びるので、患者における実際の流れ制限を表していないことがある。したがって、流れ制限指標はこのような息を制限された流れとして取り扱わないように導出されることがある。このような導出を行う一方法は、図12に示された関数と共に息負荷サイクル指標TTRを使用する組み合わせを調整するように、表A、B、CおよびDからのファジールールのファジー出力を修正することである。本質的に、負荷サイクル指標TTRの組み合わせに基づくルール(たとえば、表BおよびDのルール)から得られるファジー出力は、逆ファジー化の前に図12の関数の出力が乗じられる。したがって、通気率がおよそ1以下であるならば、各特定のルールの結果は変えられない。覚醒息の可能性の増加を示す通気率指標VRの増加に伴って、表BおよびDのルールの出力は、図12の関数実施例に応じて、かつ、乗算演算によって、通気率指標VRが1.5に接近するまで徐々に重みが減少される。その時点で、乗算演算の結果は影響を受けるルールの出力をゼロにする。
【0080】
上記の構成単位(たとえば、形状指数と、ファジーメンバーシップ関数および変数と、ファジールールなど)の基礎に基づいて、流れ制限検出システムにおける流れ制限指標FFLの実施形態の計算は、以下の典型的なステップを用いてさらに要約可能である。
【0081】
1.息は、流れ信号から吸気波形および呼気波形を表すデータを識別し抽出するために典型的な方法では患者流れ信号からフレーム化されることがある。
2.吸気波形は、場合によっては、特定のM形状を考慮するトリミング法を使用して、任意の前方ポーズを取り除かれることがある。このような方法は本明細書中のセクションFに記載されている。
3.M形状決定およびファジーチェアネス決定は、セクションBに示されている典型的な計算に基づいて行われることがある。
4.増強M形状は、場合によっては、M形状の形状指数とチェア形状指数(たとえば、ファジーチェアネス)とのファジー論理和として計算されることがある。
5.フィルタ処理されたシングル息平坦化(SBF)形状指数はセクションAに示された典型的な計算に基づいて決定されることがある。
6.通気率(VR)およびTi−on−Ttot比率(TTR)はセクションGに示された典型的な計算に基づいて決定されることがある。
7.SBF、VR、TTRおよび増強M形状は、上述された典型的なメンバーシップ関数のように変数にファジー化されることがある。
8.ファジールールはその後に、上述されているように表A、B、Cおよび/またはDの行列に従って適用されることがある。
9.息負荷サイクル指標TTRを使用する表BおよびDからのファジールールは、場合によっては、図12に関して上述された「制限覚醒息」関数によって修正されることがある。
10.各ファジールール行列は、別々に上述されているように、収集され、逆ファジー化される。
11.この結果、以下のとおりの流れ制限指標FFLを生じさせるためにすべてファジー論理和がとられたファジー出力が得られる。
FFL=ファジー論理和(SBF−VR,SBF−TTR,M−shape−VR,M−shape−TTR)
式中、SBF−VRは表Aのルールに基づく逆ファジー化結果であり、
SBF−TTRは表Bのルールに基づく逆ファジー化結果であり、
M−shape−VRは表Cのルールに基づく逆ファジー化結果であり、
M−shape−TTRは表Dのルールに基づく逆ファジー化結果である。
12.次に、ファジー持続的平坦化指標(FPF)が、場合によっては、計算され、以下の式によって流れ制限指標FFLとのファジー論理和がとられることがある。指標FPFの典型的な計算は本明細書中のセクションCに記載されている。FFL指標の調整は以下の式によって行うことが可能である。
FFL=ファジー論理和(FFL,FPF)
13.FFLは今度は、たとえば、本明細書中のセクションDに記載された計算を利用して、息フレーム化(たとえば、吸気または呼気波形の検出)が誤っている可能性があるという程度に応じて修正される。得られる不正確な息フレーム化係数は以下の式を用いてFFLが乗じられることがある。
FFL=FFL×不良息フレーム化係数
14.この最終的なFFL値は、場合によっては、たとえば、3のような長さのリングバッファ内で使用されることがあり、最終的に圧力セッティングアルゴリズムによって使用されるFFLの値は、バッファの最新のFFL値の移動平均に基づいていてもよい。この演算の適当な式は以下の式でもよい。
【数1】
【0082】
図13は、従来の平坦化指数と上記の要約のステップにより導出された流れ制限指標FFLとの間のグラフ比較図を提供する。指数および指標は下側トレースに示された同じ流れ信号に基づいている。下側トレースの流れ信号は、あるかなり正常な回復息が後に続く覚醒で終わる閉塞した息の系列と、それ以上の閉塞とを含んでいる。息は、初期的に「平坦」であり、徐々にM形状になる。上側トレースでは、従来の平坦化指数は最初に下降し、次に上昇し、最後に回復息の間に急に下降する。中間トレースの流れ制限指標FFLは、息の平坦化とM性形状の両方に起因して着実に上昇し、次に、流れ信号中の呼吸がより正常化するときにゼロまで下降する。
【0083】
流れ制限指標は圧力治療機器の制御のもとで実施されることもある。このような一実施形態では、指標は以下のいずれか1つ以上を用いて実施されることがある。
【0084】
1.流れ発生器(FG)で流速を測定する。
2.FGで圧力を測定する。
3.ステップ1の流速を使用してFGとマスクとの間の圧力低下を計算する。
4.FGにおける圧力からステップ3で計算された圧力低下を差し引いた圧力としてマスクでの圧力を計算する。
5.マスクにおける圧力を使用して、マスク内の通気口を通る流れ(時に意図的な漏れと呼ばれる)を計算する。
6.患者流れ(呼吸流れ)と意図的でない(マスクまたは口)漏れを加えた合計を生じさせるため、FGで測定された流れから通気口流れを減算する。
7.DC(意図的でない漏れ)成分を抽出するためステップ6からの信号をフィルタ処理する。
8.患者流れ(呼吸流れ)を生じさせるため、直前のステップで計算されたDC成分をステップ6において計算された流れから差し引く。
9.たとえば、本明細書中のセクションHにおいて示された方法によって、不必要な高周波を除去するために患者流れを軽くフィルタ処理する。
10.通常の方法で患者流れを使用して息をフレーム化する。
11.たとえば、本明細書中のセクションFに示された方法によって、任意の前方ポーズが吸気の前方から切り取られる。
12.完全な息(吸気+呼気)がフレーム化されると、以下の特徴を計算する。
a.息に先行する任意の無呼吸の長さ。
b.吸気いびき指数(たとえば、現在解析されている吸気の間のいびき信号の平均)。
c.たとえば、本明細書中のセクションAに示されている方法による)現在解析されている息に対する、フィルタ処理されたシングル息平坦化指数(SBF)の値。
d.たとえば、本明細書中のセクションBに示されている方法による、現在の吸気に対するM形状指数の値と現在の吸気に対するファジーチェアネスの値。M形状の値およびファジーチェアネスの値は、増強M形状特徴を生じさせるためファジー論理和をとられる。
e.本明細書中のセクションGに記載された方法による、現在解析されている息に対する通気率(VR)の値およびTi−on−Ttot比率(TTR)。
f.SBF、VR、TTRおよび増強Mを使用して詳しく上述されているようにFFLを計算する。
g.現在解析されている呼気を使用して、バルブライク漏れ率を計算する。
h.現在解析されている呼気の最後で意図的でない漏れを測定する。
i.マスク圧力のための現在のセッティング(すなわち、EPAP)を調べる。
j.現在解析されている呼気を使用して、たとえば、本明細書中のセクションKに記載された方法によって、正規化呼気ピーク位置NEPLを計算する。
k.直前のピーク妨害の値を調べる。
13.重み減少係数は以下の擬似コードのように計算される。セクションJは、利用されることがある個別の重み減少関数の実施例について記載している。
a.deweight = 1.0
b.deweight *= FFL_function_of_Leak(leak)
c.valve−like leak *= valve_like_leak_function_of_leak(leak)
d.dweight *= FFL_function_of_valve_like_leak (valve−like leak)
e.deweight *= FFL_function_of_pressure (EPAP)
f.deweight *= FFL_function_of_NEPL (NEPL)
g.deweight *= FFL_function_of_Jamming (jamming)
14.圧力上昇のため必要とされる現在の閾値(current_crit_FFL)が次に次式を使用して計算される。
Current_crit_FFL = 1.0 − deweight * (1.0 − crit_FFL)
15.未修正crit_FFLの標準値は0.05である。したがって、全部の重み減少が適用された後に、deweight=1.0であるならば、current_crit_FFL=0.05である。代替的に、deweight=0.0であるならば、current_crit_FFL=1.0である。
16.FFLと関連付けられた圧力上昇の値(FFL「モジュール」)は、今度は、計算可能であり、「予め定める」ことが可能である。
a.dp = 1.0 * (FFL − current_crit_FFL)
b.if (dp > 0.0) then
{
max_dp = (EPAP−range−max − EPAP)
if (dp > max_dp) then dp = max_dp
if (dp > 0.0) then FFL_prescription += dp
}
else
FFL_prescription = decay (FFL_prescription,Ti+Te,20)
最後のステップは、息の時間に亘って、好ましくは約20分の時定数を用いて、圧力を指数関数的に単純に減衰させるだけである。
17.今度は、いびきによる圧力上昇が計算され、「予め定められる」ことがあり、本明細書中のセクションJに示されているように個別の重み減少関数を利用することがある。
a.Current_crit_snore = Snore_function_of_Pressure (EPAP)
b.Insp_snore *= Snore_function_of_VR(VR)
c.if (Insp_snore > Current_crit_snore) then
{
dp = 1.5 * (Insp_snore − Current_crit_snore)
max_dp1 = ttot * 0.2
if (dp > max_dp1) then dp = max_dp1
max_dp2 = (EPAP_range_max − EPAP)
if (dp > max_dp2) then dp = max_dp2
if (dp > 0.0) then snore_prescription += dp
}
else snore_prescription = decay (snore_prescription,Ti+Te,20)
18.今度は、無呼吸に起因する圧力上昇が計算されることがある。
if ((apnoea_airway_closed && (apnoea_duration > 10)) then
{
Head_room = (Max_Pressure_Apnoea − EPAP)
if (head−room > 0.0) then
{
new_epap = Max_Pressure_Apnoea − head_room * exp(−ExpRiseTimeApnoea * apnoea_duration)
if (new_epap > EPAP_range_max) then
new_epap = EPAP_range_max
apnoea_prescription += (new−epap−EPAP)
}
}
else apnoea_prescription = decay (apnoea_prescription,Ti+Te,20)
19.新EPAPセッティングがその後に計算されることがある。
a.EPAP = EPAP_range_min + apnoea_prescription + snore_prescription + FFL_prescription
b.新EPAPセッティングはその後に、マスク圧力が毎秒1.0cmH2Oの最大スルーレートで新EPAP値に接近するようにFG圧力を上昇させることにより達成されることがある。同様に、治療圧力は好ましくは患者が吸気中である間に限り上昇させられる。
【0085】
本技術のさらに別の実施形態では、流れ制限指標FFLは、場合によっては、呼吸努力関連覚醒(RERA)検出器の一部として実施されることがある。1999年にAASMタスクフォースは、RERAを次のとおり定義した。
「睡眠からの覚醒をもたらす増大する呼吸努力によって特徴付けられるが、無呼吸または呼吸低下の規準を満たさない息の系列。これらの事象は以下の規準の両方を満たすことが必要である。
1.より小さい負のレベルへの突然の圧力の変化および覚醒によって終わる、徐々により大きい負になる食道内圧のパターン。
2.事象は10秒以上持続する。」
【0086】
2000年に、ニューヨーク大学薬学部で行われ、Sleep,vol.23,No.6,p/763−771に発表された研究「Non−Invasive Detection of Respiratory Effort−Related Arousals(RERAs)by a Nasal Cannula/Pressure Transducer System」は、鼻腔カニューレ/圧力トランスデューサシステムがRERAの検出に適切であり、かつ、信頼できることを実証した。
【0087】
本明細書中に記載されている技術を利用することにより、RERA検出器は、流れ発生器から得られた現実の流れ信号に基づくことがある。たとえば、上述されたいずれかの方法による流れ制限指標は流れ信号に基づいて決定されることがある。覚醒の指標は、したがって、流れ制限指標の関数および通気の増加の指標のさらなる関数として導出されることがある。
【0088】
よって、一実施形態では、RERA検出器は以下の方法に基づくことがある。
直前の流れ制限があり(たとえば、FFLが0より大(FFL>0)である)、
通気ステップ変更が後に続くならば(たとえば、大息)、RERAが検出される。
【0089】
好ましくは、指標は、実験データに基づく閾値の調整が行われ得るように連続変数として実施される。これは、情報の損失を生じさせる各入力パラメータに関するブール閾値の代案であることがある)。下記のアルゴリズムが使用され得る。
【0090】
1.ローリングバッファ中の3個の最新のFFL値を追跡する。
2.3個の最新の通気率を追跡する(VRは平均1回呼吸量対現在の3分間通気の比率である)。
3.3個の最新FFL値を合計し、結果を範囲[0.0:1.0]に制限する。
4.2個の最新VR差を計算する(すなわち、VRn−VRn−1およびVRn−VRn−2)。
5.ステップ4の最大値を取得し、同時にこの最大値をゼロ以上の値に制限する。
6.RERA結果を生じさせるためステップ3の結果にステップ5の結果を乗算する。
7.ステップ6の結果はこの結果の平方根をとることにより正規化されることがある。
8.ステップ7の結果が閾値を上回るならば、RERAが記録されるような閾値が設定されることがある。
9.RERAとして記録された息の間に閾値より低いRERAスコアを有する(複数個の)息が存在する。
10.UARSの極端な場合には覚醒と覚醒との間に3個の検出可能な息しか存在しないので、バッファサイズは3として選択される。
【0091】
図14に示されるように、下側信号は本方法に基づく連続的なRERA検出器指標を表現している。下側トレースは、流れ信号を表す上側トレースの覚醒に基づく呼吸努力関連覚醒の検出を示している。
【0092】
RERA検出器は呼吸妨害指数の一部としてさらに実施されることがある。RERA検出器は診断モードにおいて次式によってRDI(呼吸妨害指数を計算するためさらに使用されることがある。
RDI=RERAs+無呼吸+1時間当たりの呼吸低下
【0093】
代替的に、RERAsは、治療の有効性の兆候として治療機器によって報告されることがある。最終的に、本明細書中に記載されているRERA指数は、治療アルゴリズムへの入力として使用されることがある。たとえば、RERA指数は、1時間当たりのようなある種の時間フレームに亘って決定されることがあり、その結果は圧力を上昇させる流れ制限指数の閾値(または利得)を設定するために「外側ループコントローラ」において使用されることがある。外側ループコントローラの実施例は、ResMed株式会社に譲渡され、参照により開示内容が本明細書に組み込まれたWO2005/051470(PCT/AU2004/001652)に記載されている。
【0094】
ピーク呼気流れ対平均呼気流れの比率は、睡眠−目覚め−覚醒検出の別のタイプの指数として使用されることがある。ピーク呼気流れ対平均呼気流れの比率は、睡眠−目覚め/覚醒検出の一部でもよい。図15は、目覚め標準を二つの睡眠データセットと比較するヒストグラムを含む。目覚め息は、「平坦化」する傾向があり、すなわち、ピークは値に関して平均により接近する。0.5のような閾値を比率と比較することにより、RERAが検出されると考えられることがある。
【0095】
セクションA − シングル息平坦化
シングル息平坦化指数の一実施形態は以下のとおり次の方法によって計算されることがある。
【0096】
1.息をフレーム化する。
2.息の吸気部分を抽出する。
3.必要に応じて任意の後方ポーズまたは前方ポーズを切り取る。
4.N点(通常はN=65)の標準的な格子の上で結果として得られる吸気を補間する。
5.息面積がユニティベース長で1に正規化されるように係数によって点yの値を除算する。
6.点のミドルハーフの1からの差のrms値を計算する。
【0097】
平坦化を計算するため使用される流れ信号は(特に)「患者流れ」と呼ばれることがある。この流れ信号は、「10Hz」フィルタのようなフィルタによる未加工流れ信号のフィルタ処理の結果である可能性があるが、フィルタタイプは変化してもよい。フィルタは、好ましくは、乱流およびいびきによって引き起こされるような不要な信号内容を低減する。フィルタは心臓性内容を僅かに減衰させることもある。フィルタは、一方でゼロ交差点の正確な検出と他方で不要な信号の拒絶との間のトレードオフである。たとえば、フィルタがすべての心臓振動を拒絶するためより積極的にされるならば、息検出は不正確にされる可能性がある。しかし、息検出が完了すると、さらなるフィルタ処理が必要に応じて行われることがある。
【0098】
場合によっては、フィルタ処理されたシングル息平坦化は以下のとおり決定されることがある。
【0099】
1.未加工流れが患者流れを与えるように通常の方式でフィルタ処理される。
2.患者流れが従来通り息をフレーム化するため使用される。
3.患者流れが不要な信号成分をさらに減衰させるFIRフィルタへ連続的に供給される。
4.FIRフィルタは周波数に関して一定の位相遅延を有するので、単にフィルタの遅延を考慮することによって平坦化計算のため必要とされる点を選ぶことが可能である。
5.平坦化を通常の方式で計算する。
【0100】
図16は、通常の平坦化の計算が(この場合に)低周波いびきによる悪影響を受けている可能性がある閉塞性息の系列を記録する2個の重ね合わされた流れ信号を示している。一方の信号は、いびきが明らかに認められないようにフィルタ処理される(そして、遅延補償される)。フィルタ処理された信号は、いびきが明らかに認められる別の信号に基づく計算と比較して、信号息に基づいて計算された平坦化の適切に低い値を与える。
【0101】
図16の図示された信号では、最後の息は、(フィルタ処理されていない信号に基づく)0.21、および、(フィルタ処理された信号に基づく)0.13のように計算された従来の平坦化値を有する。後者の値は要求された圧力上昇を示しているが、前者は圧力上昇を表していない。このようなフィルタ処理の代替案として、従来の5息点に関する平均化もまたこのフィルタ処理された結果を、著しい応答遅延を犠牲にして、達成することがある。
【0102】
使用される典型的な(そして、計算集約的でない)フィルタは、ボックスカーFIRフィルタである。長さ12のボックスカーフィルタは、50Hzのサンプリング周波数において図17に示された応答を有する。各吸気のミドルハーフの信号に対しそもそも関心があるならば、フィルタのインパルス応答は重要でない。
【0103】
セクションB − M形状指数および増強M形状
M形状指数のような閉塞指標を決定する適当な方法は以下のアルゴリズムを用いて達成されることがある。この指数は、「M」形状化息パターンの存在を検出する。このような指数は、「u」形状化息パターンの標識であると一般に考えられることもある。閉塞指標は、付加的な閉塞指標によって増強または修正されることもある。たとえば、本明細書中により詳しく記載されているように、閉塞性の指数は、「M」形状指数のような第1の閉塞指標と、「h」またはチェア形状指数のような第2の閉塞指標との関数として導出されることがある。
【0104】
たとえば、一部の実施形態では、各吸気は、N=65のようなN点の格子の上で補間される可能性がある。本実施形態では、2つの基本関数が次のとおり計算される。
t=i/(N−1) 式中、iは0からN−1まで変化する。
B1=sin(πt)
B2=sin(3πt)
これらの基本関数は、その後に、M形状化指数のすべてのその後の計算と共に使用するため記憶される可能性がある。
【0105】
各吸気はその後に抽出され、N点の格子の上で補間される。2個の係数がその後に以下のとおり計算される。
F1=sum(B1・fs)
F2=sum(B2・fs)
式中、fsは補間された吸気点を表し、・は点乗積演算子を表す。
【0106】
最終的な形状値は正規化によって次のとおり得られる。
【数2】
【0107】
この形状係数はその後にゼロ(純粋に正弦波)と1(超M形状化)との間で変化するように制限される。図18は基本ベクトルB1およびB2としての役目を果たす適当な関数をプロットしている。
【0108】
典型的なM形状化息の流れ信号は図19のグラフにプロットされている。上記の方法に基づいて、プロットされた息の計算は以下のとおりである。
F1=4.6082
F2=2.6538
形状指数=0.50
典型的な非流れ制限息は約0.2に過ぎないM形状指数を有する可能性がある。
【0109】
上述されているように、M形状息はシンプルチェア形状化によって増強されることがある。このことは、増強された形状を生成する流れ制限を有する流れ信号をプロットする図20に示されている。図20に示された流れ制限吸気(t=0からほぼt=2秒まで)は、典型的な「チェア」形状を有する。このような吸気は、2つの特徴、すなわち、1)ピーク吸気流れ対平均吸気流れの高い比率、および、2)0(図20に示されているように左側が背部のチェア)または1(図示されていない右側が背部のチェア)のいずれかに近い正規化ピーク位置によって特徴付けられることがある。一実施形態では、これらの指数は以下のとおり計算され得る。
正規化吸気ピーク位置(NormPeakLoc):
【数3】
【0110】
式中、
t0は吸気開始の時点であり、
tendは吸気終了の時点であり、
tpeakはピーク吸気流速の時点である。
ピーク吸気流れ対平均吸気流れの比率(RPMIF):
RPMIF=Qpeak/Q’
式中、
Qpeakは吸気中の最大流速であり、
Q’は吸気の間の平均流速である。
【0111】
安眠中に、普通の吸気は、およそ0.5の正規化ピーク位置と、1.35のピーク吸気流れ対平均吸気流れの比率とを有する。「チェアネス」を測定するため、ファジー化されたこれらの特徴が図21および22のグラフに基づいて利用される。上記式の結果がそれぞれのグラフの数学関数に適用される。
【0112】
これらのファジー変数が一旦計算されると、最終的なファジーチェアネス指数はファジーとして計算され、その結果は以下のとおりである。
ファジーチェアネス=ファジー論理積(ファジーピーク対平均,ファジーピーク位置)
【0113】
この決定に基づいて、図20の吸気は0.82のファジーチェアネスを有する。ファジーチェアネス特徴のスケーリングは、ファジーチェアネス特徴が結合形状指数のためM形状特徴と直接的にファジー論理和可能であるようなスケーリングである。およそ0.3より高いファジーチェアネスは流れ制限を意味する。ファジーチェアネスは、日本語では、「吸気ピーク対吸気平均の比率が高く、かつ、ピーク吸気流れ位置が吸気の開始または終了に近いならば、吸気はチェア形状化される。」のように記載される。図23には、SBF指数がほぼ0.2未満であるように吸気形状が初期に平坦である典型的な流れ系列が示されている。しかし、形状は、SBF指数(SB平坦化)がおよそ0.2より高く、しかし、ファジーチェアネスまたはチェア形状指数がおよそ0.3より高くなる程度に、チェア形状化を変える。
【0114】
セクションC − 持続的平坦化
概要が上述された流れ制限指標FFLの実施例は、適時性のある形式で高感度および高特異性の両方を伴って流れ制限に反応するように設計されているが、上気道抵抗の増加に起因して覚醒を妨げることができない場合がある。増加した呼吸努力がt=420における睡眠からの覚醒(上側パネルの大息)で終わる、上気道抵抗に見舞われている患者の図24に示されたトレースを検討する。図24の下側パネルはシングル息平坦化指数を示している。
【0115】
図25は、FFL流れ制限指標が本系列において圧力の上昇をもたらさなかった理由を示している。患者は、全息時間(たとえば、およそ1のTTR)の関数として自分の吸気時間を延ばすことなく、自分の1回呼吸量(たとえば、およそ1のVR)を維持している。したがって、低い値を達成するシングル息平坦化指数にもかかわらず、FFL流れ制限指標は圧力を適切に上昇させるために必要なレベルに達しない。
【0116】
この状況に対処するため、システムは、場合によっては、別の閉塞指標を導入することがある。たとえば、第1の閉塞指標は、平坦化指数のような第2の閉塞指標をフィルタ処理することにより導出されることがある。これは、装置に、過去の閉塞に関連したある種の履歴的な値を与える可能性がある。場合によっては、履歴値は、履歴またはフィルタ処理された閉塞指標が連続的または持続的な過去の閉塞の標識であるように、普通の呼吸(たとえば、非閉塞)が実現されるならば、リセットされることがある。
【0117】
たとえば、「ファジー持続的平坦化」が実施されることがある。名前が表しているように、このファジー持続的平坦化指標は、平坦化指数の一貫して低い値に原則的に応答する。この指標はさらに、流れ制限指標FFLを妨害することなく、そして、患者を過剰に治療することがないように、FFL流れ制限指標に関連して緩やかに応答するように実施される。したがって、システムは、好ましくは、以下の方式でシングル息平坦化指数をフィルタ処理する。
【0118】
単純な1次自己回帰デジタルフィルタが式、
Yn=yn−1+G(xn−yn−1)
の一つとして使用可能であり、式中、Gはフィルタの利得である。5回息の長さの2倍の速さの時定数が定められることがある。したがって、たとえば、初期的に、息は4秒の長さであると考えられる場合、
時定数=τ=5×4/2=10
である。息は長さが4秒でない可能性があることを考慮するため、息検出アルゴリズムが、検出された直前の5回の息の平均として決定可能である現在の呼吸率(RR、1分当たりの呼吸回数)を取得するため使用されてもよい。このことは、
τ=5×60/2RR
として与えられる適応時定数として実施することが可能である。したがって、RRが、一般的なRRである可能性がある毎分15回の息であるならば、時定数を計算すると従来どおりに10になる。
【0119】
フィルタの適当な利得は単純に、
G=1/τ
によって与えられる。
【0120】
フィルタ処理されるべき値は(フィルタ処理された)シングル息平坦化指数である。擬似値がフィルタ処理プロセスに悪影響を与えることを防止するため、システムは、場合によっては、入力値の「最高点制限」を行うことがある。よって、値は、最高点制限された平坦化(HLF)指数として以下のとおり決定されることがある。
(SBF指数>0.3)であるならば、
HLF=0.3
さもなければ、HLF=SBF指数。
【0121】
フィルタの出力は、持続的平坦化指数(PF)であり、初期的に治療に影響を与えないように、PF=1のように任意の高い値に初期化することが可能である。
【0122】
フィルタの別の特徴は、以下のとおり、PFの現在値より大きい値の入力に対する利得と異なる利得がPFの現在値未満の入力に対し使用されることである。
HLF<PF ならば、
PF=PF+G(HLF−PF)
さもなければ、
PF=PF+3*G(HLF−PF)
この非対称性は、フィルタが任意の持続的に低い入力に向かって緩やかに低下するが、比較的素早くリセットすることを意味している。このことは、流れ制限指標FFLより短い時間フレームの間に一貫して低い平坦化の値だけに対して応答があるように、雑音閾値を改善するために役立つ。
【0123】
次に、PFの値は、以下のとおり、合理的な値から外れることが防止される。
(PF>0.2) ならば、
PF=0.2
さもなければ、 PF=PF
【0124】
最後に、PFは、たとえば、次式を使用することにより、ファジー変数であるファジー持続的平坦化(FPF)にマッピングされることがある。
FPF=(PF>0.19ならば、0.0、さもなければ、(0.19−PF)/(0.19−0.05))
図26は図24に示された息と同じ系列に対するFPFの応答を示している。
【0125】
セクションD − 不良息フレーム化
場合によっては、息検出アルゴリズムは息を不正確にフレーム化することがあり、または、患者の咳または飲み込みは、気道の現在状態に関する情報をほとんど提供しない息の原因となる。選択的な経験則が、吸気時間に基づいて関連している可能性がない息の重みを減少させるため使用されることがある。よって、導出された閉塞指標は、不正確にフレーム化された息を表す息パターンが検出されるならば、調整されることがある。たとえば、図27は、流れ制限指標(たとえば、FFL)によって乗じられる可能性がある重み減少係数のための関数を示している。非現実的に長い(Ti>2.5秒)または短い(Ti<0.7秒)と判定された息は徐々に重みが減少される。
【0126】
セクションE − いびきエントロピー
従来、いびきは、閉塞性の指標であると考えることができる校正吸気いびき指数を使用して測定されている。図28は、患者の睡眠中に捕捉された典型的ないびきの系列を示している。上側パネルは、呼吸流速を表し、中央パネルは瞬時いびき(たとえば、着目中の周波数域における音響パワーの指標)を表し、下側パネルは3個のいびき指数を表している。校正吸気いびき指数(図28において「いびき指数」という名前が付けられている)は以下のとおり計算される。
吸気は呼吸流れ信号を使用してフレーム化される。
瞬時いびき信号は現在条件(たとえば、設定圧力、タービン速度など)に起因する背景雑音を考慮するため調整される。
いびき指数は、各吸気の間の瞬時いびき信号の平均(すなわち、おおよそ吸気毎の平均音響パワー)として計算される。
【0127】
この技術は、測定されたいびき指数に比例してマスク圧力を上昇させることによっていびきを治療するため使用されるとき信頼できる。しかし、この技術は、校正定数が流れ発生器とマスクの組み合わせ毎に測定され、装置の不揮発性メモリに記憶されることを必要とする。このような校正は時間がかかり、したがって、コスト高であり、経時変化の影響を受けることがある。
【0128】
Matthew Alderおよびその他の者は、PCT出願第PCT/AU2007/000002号において、代替的な、図28ではデルタいびきという名前が付けられた、デルタいびきが、吸気中の瞬時いびき信号の平均から呼気中の瞬時いびき信号の平均を差し引いた差として計算されることを教示する。このデルタいびきは、本質的に、背景雑音源が吸気と呼気との間で殆ど変化しないことを仮定する自己校正指標である。しかし、この仮定が常に正しいということはない。
【0129】
別の代替的な方法では、吸気いびきエントロピー方法が実施される。一実施例では、この閉塞性の指標は、いびきに関連した周波数域(たとえば、30から300Hz)における呼吸流れの指標をフィルタ処理することにより決定される。この周波数域でのフィルタ処理された信号のパワーすなわちエネルギーの大きさは、その後に、パワー信号がある種の吸気形状を表しているか、または、単にランダム雑音であるかどうかを評価するため時間の関数として調べられる。たとえば、シャノンエントロピー関数が使用されてもよい。エネルギー信号がランダム情報または雑音に過ぎないことを関数が示すならば、本当のいびきが起こっていない可能性があるので、いびき指数は調整されるか、または、重みを減少され得る。
【0130】
このような方法は吸気中に瞬時いびき信号に含まれている情報を使用する。このような指標は校正も必要としない。たとえば、閉塞指標は以下のとおり計算されることがある。
着目中の吸気に対する瞬時いびき値を含む長さnのベクトルSを組み立てる。
n<2、または、n>任意の大きい値、であるならば、中止し、ゼロを返す。
いびきベクトルの下限を減算し、1を加算する。
S=S−min(S)+1
面積Aを計算する。
【数4】
【0131】
Aが任意の非常に小さい値より小さいならば、中止し、ゼロを返す。
いびきベクトルを正規化する。
S=S/A
正規化いびきベクトルのシャノンエントロピー(se)を計算する。
【数5】
【0132】
場合によっては、結果は吸気いびき指数を近似するため以下のとおり拡縮される。
吸気いびきエントロピー=10.0*se
【0133】
デルタいびきといびきエントロピーの両方が図28の下側パネルにプロットされている。図示されているように、「いびきエントロピー」トレースは、低い平均いびき値(t=100)を有する鋭いいびきを捕捉する傾向がある。デルタいびきといびきエントロピーの両方の賢明な組み合わせは、殆どすべての事例においていびきを正確に分類することがわかった。図29のグラフは一つのこのような並びを表している。プロットされたラインによって表示されている分類器は、「デルタいびきが正であるならば対処し、そうではなくデルタいびきが負であるならば、対処すべき負のデルタいびきに伴って徐々に高くなるいびきエントロピーを必要とする。」と記載することができる。
【0134】
セクションF − 改良型前方ポーズトリム
ある種の圧力治療装置は「前方ポーズトリム」として知られている機能を含む。この機能は、ピークを検出し、吸気の開始を表すことになる適切なゼロ交差まで後方へ外挿することにより、前の呼気から引き続いている任意の呼気ポーズを除去するように現在フレーム化された吸気の前方を切り取るため設計されていた。この機能は図30に示されているように、M形状化息に関して役に立たない可能性がある。図30は、(2番目のピークに関する)不正確なトリムと(前方ピークに関する)正確なトリムとを表している。
【0135】
この方法は、M形状息を用いて補助することができる吸気のピークが見つかる場所に境界を設定するように修正可能である。よって、M形状化息の場合、吸気の開始は、吸気の範囲内の境界に基づいて息の吸気部分の2番目のピークではなく1番目のピークからの外挿によって決定される。たとえば、この境界は以下のとおり計算されることがある。
【0136】
1.吸気の合計を計算する。
【数6】
2.以下のとおり吸気中の時点tlimを見つける。
【数7】
3.[t0:tlim]の範囲内で吸気のピークを見つける。
4.現在の前方ポーズトリムアルゴリズムを進める。
【0137】
図31のプロットは、息の回数が図30に示された息と類似している流れ信号中の流れ制限呼吸の系列を示している。図31の上側パネルは、時間に対してプロットされた流速を表し、下側パネルは前方ポーズトリムが適用された状態での計算吸気時間(Ti)を表している。現行アルゴリズムの結果および新アルゴリズム(「補正済み」Ti)の結果の両方が示されている。現行アルゴリズムはある種の息を半分に切り取り、人為的かつ不正確に低い値のTiをもたらすことが分かる。新アルゴリズムは一貫した形式で「前方ポーズトリム」を実施する。
【0138】
セクションG − 通気指標および負荷サイクル指標
(1)通気率(VR)の計算
通気率(VR)のような通気指標は、直前の中期通気(V3)に対する現在息に関する通気の比率として決定されることがある。本実施例では、中期は、3分の時定数τを有するフィルタを使用してフィルタ処理された通気指標でもよい。しかし、その他の時定数が適当であることもある。使用されるフィルタは単純な1次自己回帰フィルタでもよい。フィルタの時定数はかなり長いので、フィルタはゼロから立ち上がるためにある程度の時間を要する。指標は、したがって、時間[t0:3×τ]の間に合理的な通気値とフィルタ出力との間で緩やかに変化する。VRは次のとおり計算することが可能である。
【0139】
1.フィルタの利得を
G=1/fsτ
に設定する。式中、fsはサンプリング周波数であり、τは秒単位のフィルタの時定数である。たとえば、サンプリング周波数が50Hzであり、時定数が3分であるならば、Gは、
G=1/(50×180)
によって計算される。
2.フィルタを、0.2リットル/秒のような合理的な通気値に初期化する。
3.全流れから、任意のマスク漏れが差し引かれた通気口流れを差し引いた、適切にフィルタ処理された患者呼吸流れ(Qp)を計算する。
4.中期通気を計算する。
V3=V3+G(Qp−V3)
5.移行期間0<t≦3τの間に
V3=(3τ−t)/3τ×0.2+t/3τ×V3
6.通常の方式で息をフレーム化する。
7.吸気が確認されると、以下の計算をする。
吸気体積:Vi
吸気時間:Ti
平均吸気流速:
【数8】
通気率の吸気成分:
【数9】
8.呼気が確認されると、以下の計算をする。
呼気体積:Ve
呼気時間:Te
平均呼気流速:
【数10】
通気率の呼気成分:
【数11】
9.以下のとおりVRを計算する。
VR=(VRiTi+VReTe)/(Ti+Te)
【0140】
(2)負荷サイクル指標(たとえば、TTR)の計算
負荷サイクル指標は上述されているように閉塞性の指標を導出するため導入されることがある。たとえば、呼吸流れの指標から、呼吸流れの指標の関数としての、呼吸サイクルの持続時間に対する呼吸サイクルの吸気部分の持続時間の第2の比率である。同様に、時間的に第1の指標の後に続き得る第2のこのような指標が決定されることがある。閉塞性の指標は、その後に、第1の比率および第2の比率の関数として導出されることがある。
【0141】
Ti−on−Ttot率(TTR)のような適当な負荷サイクル指標は、直前の中期Ti−on−Ttot値に対する現在(息)Ti−on−Ttot値の比率として決定されることがある。中期は5分間時定数またはその他の適当な時定数を用いてフィルタ処理することにより決定することが可能である。フィルタは、単純な1次自己回帰フィルタでもよい。TTRは以下のとおり計算されることがある。
【0142】
1.フィルタの利得を
G=1/fsτ
に設定する。式中、fsはサンプリング周波数であり、τは秒単位のフィルタの時定数である。たとえば、サンプリング周波数が0.25Hz(概算の息周波数)であり、時定数が5分であるならば、Gは、
G=1/((1/4)×300)
によって計算される。
2.フィルタを、0.4のような合理的な値に初期化する。
3.全流れから、任意のマスク漏れが差し引かれた通気口流れを差し引いた、適切にフィルタ処理された患者呼吸流れ(Qp)を計算する。
4.中期Ti−on−Ttotを以下のとおり計算する。
TiTtot(5)=TiTtot(5)+G(TiTtot−TiTtot(5))
【0143】
TTRを以下のとおり計算する。
TTR=TiTtot/TiTtot5
【0144】
セクションH − 重み減少関数
図32および33にグラフ化された関数は、流れ制限(たとえば、FFL)の指標またはいびきの指標の影響の重みを減少させるため使用することが可能である。この関数は、圧力上昇を引き起こすために超える必要がある指標(たとえば、FFLまたはいびき)の閾値を増加させるために適用することが可能である。たとえば、重み減少関数はバルブライク漏れ率に関連することがある。バルブライク漏れ指標は、その値が0と5との間で変化するように通例的な方式で計算することが可能である。実際には漏れが起こっていないときに擬似バルブライク漏れが圧力上昇を妨げることを防止するため、システムは完全な漏れが存在しない程度までバルブライク漏れ値の重みを減少させるように実施される。したがって、バルブライク漏れに起因する重み減少を決定するアルゴリズムは以下のとおりである。
【0145】
1.直前の吸気からバルブライク漏れを計算する。
2.完全な漏れの値(呼気終了時の値)を決定する。
3.バルブライク漏れの値に、図32の左側のグラフによって示される関数のような完全な漏れの関数の出力を乗じる。たとえば、完全な漏れが0.025未満(<)であるならば、バルブライク漏れはゼロに設定される。代替的に、完全な漏れが0.05より大(>)であるならば、バルブライク漏れの値は変化がなく、0.025と0.05との間の区間で、バルブライク漏れの値は直線的に減少する。
4.重み減少係数を出力するため、図32の右側のグラフに示されている関数のような漏れの関数と共にバルブライク漏れの値を使用する。たとえば、4未満(<)である値に対し、出力は1であり、5より大きい(>)値に対し、出力はゼロである。4と5の間の区間で、出力は1からゼロまで直線的に減少する。
【0146】
漏れ(たとえば、L/s)に基づく流れ制限指標(たとえば、FFL)の重み減少は、図33のグラフに示された関数を使用して行うことが可能である。0.5未満(<)の漏れの値に対し、重み減少はなく、出力は1である。0.7より大きい(>)漏れの値に対し、完全な重み減少があり、出力はゼロである。0.5から0.6の漏れの値に対し、1から0までの出力の直線的な減少がある。
【0147】
cmH2O単位のマスクCPAPのレベルのような圧力による流れ制限指標の重み減少は、図34にグラフ化された実施例のような関数を使用して実現されることもある。実施例では、10cmH2O未満の圧力レベルに対し、重み減少はなく、15cmH2Oより高い圧力に対し、部分的な重み減少があり、出力は0.8である。10と15との間の圧力に対し、1から0.8までの出力の直線的な減少がある。出力はその後に流れ制限の指標によって乗じられることがある。
【0148】
最後に、流れ制限または閉塞性の指標の影響は妨害の増加に伴って重みが減少する可能性がある。妨害は、現在吸気または呼気が非常に長く続けられるファジー範囲のような指標である。たとえば、妨害は、参照により開示内容が本明細書に組み込まれた米国特許第6,484,719号に記載された方法によって決定されることがある。高妨害は、たとえば、患者が自分の口を開いたとき、または、患者がベッドに移り、顔に接したマスク位置を変更するときに、漏れの過渡的な変化を表す。妨害のレベルが高いとき、流れ推定は正確でなく、漏れ定数が流れ推定の改良に役立つように低減される可能性がある。低減が行われている間、事象が落ち着くまで圧力上昇を回避するのが賢明である。圧力上昇の回避は図35の関数実施例によって実現可能である。妨害が0.25に達するとき、システムは、指標が0.5の妨害レベルで完全に重み減少されるまで、重み減少を開始できる。関数の出力は、重み減少を達成するため、流れ制限の指標によって乗じられることがある。
【0149】
同様に、いびきの指標はシステムの種々の条件に基づいて重みが減少させられることがある。たとえば、いびきの値は、図36に示された圧力の関数によって重みが減少させられることがある。この重み減少は、圧力上昇を生じさせる目的のためのいびき指標に対するシステムの感度を低下させる。よって、治療圧力の上昇のため必要とされるいびきの値は圧力が増加するのに伴って増加する。
【0150】
吸気いびき指数は、「大息」の指標のような通気の指標によって重みが減少される可能性もある。大息は、多くの場合に、達成される高いピーク流れに単純に起因して雑音を引き起こす。図37の関数実施例を利用して、通気は、通気指標が大息であるとみなされるかどうかに依存して重み減少出力係数を発生させるため利用されることがある。たとえば、通気率(VR)のような通気指標は大息の指標として使用されることがある。1より大きい(>)VRの値は、中期通気より大きい息を示していると解釈されることがある。1.2未満(<)のVRの値に対し、システムは任意のいびきの指標の重みを減少させることを避けることがあり、1.5より大きい(>)VRの値に対し、システムはいびきの影響の重みを完全に減少させることがある。1.2と1.5との間のVRの値に対し、出力重み減少係数は1からゼロまで直線的に減少することがある。
【0151】
漏れ値、圧力、妨害および/または通気指標に基づいて流れ制限またはいびきの影響を修正するその他の計算もまた利用されることがある。
【0152】
セクションI 正規化呼気ピーク位置
正規化呼気ピーク位置(NEPL)は、睡眠または閉塞性睡眠流れ波形から目覚め、覚醒、または、重大な口漏れのようなその他の不自然な、非日常的な、もしくは、認知できない事象を表す波形への移行の優れた標識である。よって、本技術の装置は、ピーク呼気流れに基づいて覚醒の指標を導入することがある。たとえば、呼吸サイクルの呼気部分の範囲内でのピーク呼気流れまたは正規化ピーク呼気流れの位置に依存して、覚醒が評価されることがある。このような実施形態では、呼気部分の時間は範囲によって定義されることがあり、定義された範囲内でのピークの出現は覚醒を表す指数を定義する。この指数は、呼気ピークが呼吸サイクルの後半の時間部分または呼気部分の範囲中に出現するならば、覚醒を表すことがある。
【0153】
このような指数は以下のとおり計算されることがある。
【0154】
1.息をフレーム化する。
2.各息の呼気部分を分離する。
3.ピーク呼気流れが出現した時点を見つける。
4.呼気の始まりからピークまでの時間を全呼気時間で除算し、たとえば、指数は[0.0:1.0]の範囲に入る。
【0155】
通常は、患者が睡眠中に、NEPLはゼロから0.3までの範囲に位置している。たとえば、NEPLに対応する3つのデータセットの比較を表す図38のヒストグラムを検討する。
(1)エッセン−治療中のOSA患者
(2)コンコード−徐々に増量されている患者
(3)アウェイク−ResMedから入手可能であるAutoSet Sprit気道圧力機器で呼吸中の人。
【0156】
図38の右側のグラフは、アウェイク呼吸者が、少ない回数の息を行う睡眠中の患者より遙かに多数回の0.5より多い(>)息を行うことを示している。よって、システムは、流れ制限指標に基づく、睡眠に関する非日常的な、不自然、または、予期しない事象のための重み減少関数を用いて実施することが可能である。計算または決定された正規化吸気ピーク位置値に基づく適当な関数は図39のグラフに示されている。この関数は、息がさらに不自然に、非日常的に、または、認知できない状態に(たとえば、異様に)なるとき、治療圧力の上昇を引き起こすために必要とされる流れ制限指標の強度を増大させるために使用される。
【0157】
以上の説明と添付図面とにおいて、特定の用語および図面記号は本技術の完全な理解をもたらすために示されている。一部の事例では、用語および記号は、本技術を実施するために必要とされない特定の詳細を意味することがある。さらに、本明細書中の技術は、特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本技術の原理および用途の単なる例であることが理解されるべきである。したがって、多数の変更が例示的な実施形態に対して行われ、その他の仕組みが本技術の精神および範囲から逸脱することなく考え出され得ることが理解されるべきである。
【0158】
たとえば、望ましい流れ制限検出および/または治療システムは、各吸気を獲得し、重要な周波数情報を維持するために必要とされる点と同数の点からなる格子の上で補間するような、パターン認識のためのその他の技法に基づくことがあり得る。たとえば、各吸気は65点の格子の上で補間されることがある。大きな学習データの集合が、臨床評価に基づいて記録され得る様々なタイプの閉塞状態の波形を用いて構築されることがある。これらの波形は、必要に応じて、軽度、中程度、重度、または、その他の同様のカテゴリーのようなカテゴリーに予め分類されることがある。各波形の65点は、その後に、学習のため(ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシーン、または、その他のような)分類器に入力されることがあり、遺伝的アルゴリズムに基づくアルゴリズムのような適切なアルゴリズムを使用して、任意の境界が閉塞の種々のカテゴリーの間の65次元空間内に定義される可能性がある。このようなシステムは、その後に、分類器のメトリックと対照して患者において測定され、患者の治療のための制御システムにおいて使用される吸気波形を分類する能力を持つ。
【0159】
このアプローチと共に考慮すべき潜在的な問題点は以下のとおりである。
【0160】
1.「次元の困りもの」は、次元の関数としてのハイパーボリュームの指数関数的な増大を指している。換言すると、入力空間の次元数が増加するのにつれて、その空間を「覆う」ために必要とされる学習ベクトルの個数が指数関数的に十分に増加する。65次元を覆うことは、この技術の速度に関する問題を提示し得る。
2.閉塞に関する(そして、程度に関する)波形の事前の分類は厄介であり、かつ、おそらく高い観察者間変動がある。「ラウンドアップ」のような波形変化を観察するためのCPAP圧力の上昇がない場合、閉塞が実際に存在するかどうかを決定することは困難である。努力の信頼できる指標、たとえば、食道内圧は、検出問題に役立つ可能性があるが、決定の際にこのようなデータを分類する課題は依然として扱いにくい可能性がある。たとえば、レム睡眠は様々の、予期しない波形を生成する可能性がある。
3.学習フェーズは「有意な」数値リソースと多数のプロセッササイクルとを必要とする。
4.結果として得られる分類器は、誰にとっても解釈することが難しく、(たとえば、ニューラルネットワークを使用するならば、結局何個のニューロンになるかに依存して)組み込みシステムにおいて動かすことが数値集約的である可能性がある。
5.結果として得られる分類器を試験するためには、分類器に地球上のすべての人の睡眠研究を供給する必要がある可能性がある。
【0161】
しかし、システムの複雑性を低減する1つの方式は、システムに供給される情報を「関心がある」情報だけに制限することである。平坦化指数のような特有の特徴の計算はまさにこの制限を行い、信号の圧縮の形式として機能する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分閉塞を検出する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞のパターンを表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から通気指標を決定するステップと、
決定された形状指数および決定された通気指標の関数として流れ制限指標を導出するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
通気指標が現在の1回呼吸量と事前の1回呼吸量とを含む比率である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するステップをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
事前の圧力要求値が、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)通気指標が通常の通気未満を表すために十分に減少することの条件として増加される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
呼吸流れの指標から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数を決定するステップをさらに備え、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
部分閉塞を検出する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞のパターンを表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から負荷サイクル指標を決定するステップと、
決定された形状指数および決定された負荷サイクル指標の関数として流れ制限指標を導出するステップと、
を備える、方法。
【請求項8】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
負荷サイクル指標が、サイクル時間に対する現在の息吸気時間の比率とサイクル時間に対する事前の平均息吸気時間の比率とを含む比率である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
事前の圧力要求値が、形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、負荷サイクル指標の増加の条件として増加される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
呼吸流れの指標から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数を決定するステップをさらに備え、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
部分閉塞を検出する装置であって、
呼吸ガスの流れを伝達する患者インターフェイスと、
患者インターフェイスと連結され、患者インターフェイスを通る呼吸ガスの流れ流量を表す流れ信号を生成する流れセンサと、
流れセンサと連結され、流れ信号を処理するコントローラと、
を備え、
コントローラが、
(a)流れ信号からの部分閉塞のパターンを表す形状指数の決定と、
(b)流れ信号からの通気指標の決定と、
(c)決定された形状指数および決定された通気指標の関数としての流れ制限指標の導出と、
を制御するように構成されている、装置。
【請求項14】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
通気指標が現在の1回呼吸量および事前の1回呼吸量を含む比率である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
コントローラおよび患者インターフェイスと連結された流れ発生器をさらに備え、
コントローラが、(a)流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、(b)圧力要求に応じて流れ発生器を設定するようにさらに構成されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項17】
コントローラが、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)通気指標が通常の通気未満を表すために十分に減少することの条件として事前の圧力要求値を増加させる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
コントローラが、流れ信号から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数の決定を制御するようにさらに構成され、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
部分閉塞を検出する装置であって、
呼吸ガスの流れを伝達する患者インターフェイスと、
患者インターフェイスと連結され、患者インターフェイスを通る呼吸ガスの流れを表す流れ信号を生成する流れセンサと、
流れセンサと連結され、流れ信号を処理するコントローラと、
を備え、
コントローラが、
流れ信号からの部分閉塞のパターンを表す形状指数の決定と、
流れ信号からの負荷サイクル指標の決定と、
決定された形状指数および決定された負荷サイクル指標の関数としての流れ制限指標の導出と、
を制御するように構成されている、装置。
【請求項20】
部分閉塞のパターンがM形状流れ量検出関数である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
負荷サイクル指標が、現在の息吸気時間対サイクル時間の比率と事前の平均息吸気時間対サイクル時間の比率とを含む比率である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
コントローラおよび患者インターフェイスと連結された流れ発生器をさらに備え、
コントローラが、(a)流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、(b)圧力要求に応じて流れ発生器を設定するようにさらに構成されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項23】
コントローラが、(a)形状指数が流れ信号中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)負荷サイクル指標の増加の条件として事前の圧力要求値を増加させる、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
コントローラが、流れ信号から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数の決定を制御するようにさらに構成され、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項19に記載の装置。
【請求項25】
部分閉塞の検出のためのシステムであって、
呼吸ガスの流れを伝達するインターフェイス手段と、
インターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの流れを表す流れ信号を生成する流れ測定手段と、
流れ測定手段と連結され、流れ信号を処理する処理手段と、
を備え、
処理手段が、
(a)流れ信号からの部分閉塞のパターンを表す形状指数の決定と、
(b)流れ信号からの通気指標の決定と、
(c)決定された形状指数および決定された通気指標の関数としての流れ制限指標の導出と、
を処理するように構成されている、システム。
【請求項26】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
通気指標が現在の1回呼吸量および事前の1回呼吸量を含む比率である、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
処理手段およびインターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの制御された流れを生成する流れ手段をさらに備え、
処理手段が、(a)流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、(b)圧力要求に応じて流れ発生器を設定するためにさらに構成されている、
請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
処理手段が、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)通気指標が通常の通気未満を表すために十分に減少することの条件として事前の圧力要求値を増加させる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
コントローラが、流れ信号から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数の決定を制御するようにさらに構成され、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
部分閉塞の検出のためのシステムであって、
呼吸ガスの流れを伝達するインターフェイス手段と、
インターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの呼吸流れを表す流れ信号を生成する流れ測定手段と、
流れ測定手段と連結され、流れ信号を処理する処理手段と、
を備え、
処理手段が、
流れ信号からの部分閉塞のパターンを表す形状指数の決定と、
流れ信号からの負荷サイクル指標の決定と、
決定された形状指数および決定された負荷サイクル指標の関数としての流れ制限指標の導出と、
を制御するように構成されている、システム。
【請求項32】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
負荷サイクル指標が、現在の息吸気時間対サイクル時間の比率と事前の平均息吸気時間対サイクル時間の比率とを含む比率である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
処理手段およびインターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの制御された流れを生成する流れ手段をさらに備え、
処理手段が、(a)流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、(b)圧力要求に応じて流れ発生器を設定するようにさらに構成されている、
請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
処理手段が、(a)形状指数が流れ信号中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)負荷サイクル指標の増加の条件として事前の圧力要求値を増加させるようにさらに構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
処理手段が、流れ信号から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数の決定を制御処理するようにさらに構成され、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項19に記載の装置。
【請求項37】
呼吸部分閉塞を検出する装置を制御するためのプロセッサ読み取り可能な情報を有する情報保持媒体であって、プロセッサ読み取り可能な情報が、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞のパターンを表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から通気指標を決定するステップと、
決定された形状指数および決定された通気指標の関数として流れ制限指標を導出するステップと、
を備える、情報保持媒体。
【請求項38】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項37に記載の情報保持媒体。
【請求項39】
通気指標が現在の1回呼吸量と事前の1回呼吸量とを含む比率である、請求項38に記載の情報保持媒体。
【請求項40】
プロセッサ読み取り可能な情報が流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するステップをさらに備える、請求項37に記載の情報保持媒体。
【請求項41】
事前の圧力要求値が、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)通気指標が通常の通気未満を表すために十分に減少することの条件として増加される、請求項40に記載の情報保持媒体。
【請求項42】
プロセッサ読み取り可能な情報が、呼吸流れの指標から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数を決定するステップをさらに備え、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項37に記載の情報保持媒体。
【請求項43】
呼吸部分閉塞を検出する装置を制御するためのプロセッサ読み取り可能な情報を有する情報保持媒体であって、プロセッサ読み取り可能な情報が、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞のパターンを表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から負荷サイクル指標を決定するステップと、
決定された形状指数および決定された負荷サイクル指標の関数として流れ制限指標を導出するステップと、
を備える、情報保持媒体。
【請求項44】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項43に記載の情報保持媒体。
【請求項45】
負荷サイクル指標が、サイクル時間に対する現在の息吸気時間の比率とサイクル時間に対する事前の平均息吸気時間の比率とを含む比率である、請求項44に記載の情報保持媒体。
【請求項46】
プロセッサ読み取り可能な情報が流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するステップをさらに備える、請求項43に記載の情報保持媒体。
【請求項47】
事前の圧力要求値が、形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、負荷サイクル指標の増加の条件として増加される、請求項46に記載の情報保持媒体。
【請求項48】
プロセッサ読み取り可能な情報が、呼吸流れの指標から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数を決定するステップをさらに備え、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項43に記載の情報保持媒体。
【請求項49】
呼吸治療機器の治療セッティングを決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞の程度を表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から通気の変化の程度を表す通気指標を決定するステップと、
部分閉塞の程度および通気の変化の程度の両方の比例関数として治療セッティングを計算するステップと、
を備える、方法。
【請求項50】
形状指数が1回から3回までの息の範囲内の複数の息から決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
形状指数がM形状息指数である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
治療セッティングが自動漸増呼吸治療機器を設定するために適用される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
呼吸治療のためのセッティングを決定する装置であって、
呼吸流れの指標を決定するセンサと、
(a)呼吸流れの指標から部分閉塞の程度を表す形状指数を決定し、(b)呼吸流れの指標から通気の変化の程度を表す通気指標を決定し、(c)部分閉塞の程度および通気の変化の程度の両方の比例関数として治療セッティングを導出するように構成されたプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項54】
形状指数が1回から3回までの息の範囲内の複数の息からプロセッサによって決定される、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
形状指数がM形状指数である、請求項53に記載の装置。
【請求項56】
呼吸圧力治療を患者インターフェイスに与えるように構成された流れ発生器をさらに備える装置であって、
プロセッサが治療セッティング時に患者インターフェイスへの治療を制御するように構成され、
装置が自動タイトレーション呼吸治療機器を備える、
請求項53に記載の装置。
【請求項57】
呼吸治療のための治療セッティングを決定する装置であって、
呼吸流れの指標を決定する手段と、
呼吸流れの指標から部分閉塞の程度を表す形状指数を決定する手段と、
呼吸流れの指標から通気の変化の程度を表す通気指標を決定する手段と、
部分閉塞の程度および通気の変化の程度の両方の比例関数として治療セッティングを導出する手段と、
を備える、装置。
【請求項58】
形状指数が1回から3回までの息の範囲内の複数の息からプロセッサによって決定される、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
導出された治療セッティングに応答して患者への呼吸圧力治療を生成し提供する手段をさらに備える装置であって、前記装置は自動タイトレーション呼吸治療機器を備える、請求項57に記載の装置。
【請求項60】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、治療の変化を決定する方法であって、
呼吸流れの指標から部分閉塞の程度の第1の指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から呼吸パラメータの第2の指標を決定するステップと、
呼吸パラメータによって部分閉塞の程度を適正にするため第2の指標を用いて第1の指標を調節するステップと、
を備える、方法。
【請求項61】
不正確にフレーム化された息を表す息パターンの検出時に調節された第1の指標を調整するステップをさらに備える、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
調節された第1の指標の比例関数として治療セッティングを生成するステップをさらに備える、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
第1の指標が形状指数である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
第2の指標が呼吸サイクルの持続時間に対する呼吸サイクルの吸気部分の持続時間の比率の変化の程度を表す、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
第2の指標が吸息と呼息の相対的な持続時間の関数である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
ピーク流れの関数として調節された第1の指標を調整するステップをさらに備える、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
ピーク流れがピーク呼気流れ位置である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
第1の指標がシングル息から決定された形状指数である、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
形状指数がシングル息平坦化の指数である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
息フレーム化が患者のいびきに関連した周波数を除去するフィルタ処理より前に実行される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
平坦化が患者のいびきに関連した周波数を除去するフィルタ処理より前に決定される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、機器によって供給されるべき治療圧力の変化を自動的に決定する方法であって、
患者吸気努力が患者吸気流れと相関する程度の第1の指標を決定するステップと、
患者通気の第2の指標を決定するステップと、
前記第1の指標および第2の指標の第1の関数となるように治療圧力の変化を決定するステップと、
を備える、方法。
【請求項73】
前記第1の指標が部分閉塞の指数である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
患者通気の前記第2の指標が、患者通気が適切である程度の指標である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の指標が吸息と呼息の相対的な持続時間の指標である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から第1の部分閉塞指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から第2の部分閉塞指標を決定するステップと、
第1の部分閉塞指標および第2の部分閉塞指標の関数として第3の部分閉塞指標を決定するステップと、
を備える、方法。
【請求項77】
第1の閉塞指標がM形状息パターンを表す指数である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
第2の閉塞指標がチェア形状息パターンを表す指数である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から第1の部分閉塞指標を決定するステップと、
部分閉塞の履歴的な標識を導出するため第1の部分閉塞指標をフィルタ処理するステップと、
呼吸流れの指標から非閉塞息パターンの検出時にフィルタ処理をリセットするステップと、
を備える、方法。
【請求項80】
第1の部分閉塞指標が平坦化指数である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
いびきを表す周波数域において呼吸流れの指標をフィルタ処理するステップと、
パワー信号が雑音を表しているかどうかを評価するために時間の関数として周波数域のパワーの大きさを解析するステップと、
を備える、方法。
【請求項82】
解析するステップが、シャノンエントロピー関数を周波数域のパワーの大きさに適用するステップを備える、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、吸気の開始を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れから第1のピークを検出するステップと、
第1のピークの関数として呼吸サイクルの開始を決定するステップと、
を備え、
第1のピークの検出が呼吸サイクル中の第2のピークの検出を回避するため制限されている、方法。
【請求項84】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標の関数として呼吸サイクルの持続時間に対する呼吸サイクル中の吸気部分の持続時間の第1の比率を決定するステップと、
呼吸流れの関数として呼吸サイクルの持続時間に対する呼吸サイクル中の吸気部分の持続時間の第2の比率を決定するステップと、
第1の比率および第2の比率の関数として部分閉塞の指標を導出するステップと、
を備える、方法。
【請求項85】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞の指標を決定するステップと、
呼吸流れから、漏れの過渡的な変化を表す指標である妨害の指標を決定するステップと、
妨害の指標の関数として部分閉塞の指標を調整するステップと、
を備える、方法。
【請求項86】
部分閉塞の指標がM形状パターン息の検出の関数である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、覚醒の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標の呼気部分のピーク指標を決定するステップと、
ピーク指標の関数として覚醒の指標を決定するステップと、
を備える、方法。
【請求項88】
ピーク指標の関数が呼気部分の範囲内の位置の関数である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
ピーク指標が呼吸流れの指標の呼気部分の後半時間部分に現れるならば、覚醒の指標が覚醒を表す、請求項88に記載の方法。
【請求項1】
部分閉塞を検出する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞のパターンを表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から通気指標を決定するステップと、
決定された形状指数および決定された通気指標の関数として流れ制限指標を導出するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
通気指標が現在の1回呼吸量と事前の1回呼吸量とを含む比率である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するステップをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
事前の圧力要求値が、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)通気指標が通常の通気未満を表すために十分に減少することの条件として増加される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
呼吸流れの指標から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数を決定するステップをさらに備え、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
部分閉塞を検出する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞のパターンを表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から負荷サイクル指標を決定するステップと、
決定された形状指数および決定された負荷サイクル指標の関数として流れ制限指標を導出するステップと、
を備える、方法。
【請求項8】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
負荷サイクル指標が、サイクル時間に対する現在の息吸気時間の比率とサイクル時間に対する事前の平均息吸気時間の比率とを含む比率である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
事前の圧力要求値が、形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、負荷サイクル指標の増加の条件として増加される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
呼吸流れの指標から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数を決定するステップをさらに備え、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
部分閉塞を検出する装置であって、
呼吸ガスの流れを伝達する患者インターフェイスと、
患者インターフェイスと連結され、患者インターフェイスを通る呼吸ガスの流れ流量を表す流れ信号を生成する流れセンサと、
流れセンサと連結され、流れ信号を処理するコントローラと、
を備え、
コントローラが、
(a)流れ信号からの部分閉塞のパターンを表す形状指数の決定と、
(b)流れ信号からの通気指標の決定と、
(c)決定された形状指数および決定された通気指標の関数としての流れ制限指標の導出と、
を制御するように構成されている、装置。
【請求項14】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
通気指標が現在の1回呼吸量および事前の1回呼吸量を含む比率である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
コントローラおよび患者インターフェイスと連結された流れ発生器をさらに備え、
コントローラが、(a)流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、(b)圧力要求に応じて流れ発生器を設定するようにさらに構成されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項17】
コントローラが、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)通気指標が通常の通気未満を表すために十分に減少することの条件として事前の圧力要求値を増加させる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
コントローラが、流れ信号から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数の決定を制御するようにさらに構成され、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
部分閉塞を検出する装置であって、
呼吸ガスの流れを伝達する患者インターフェイスと、
患者インターフェイスと連結され、患者インターフェイスを通る呼吸ガスの流れを表す流れ信号を生成する流れセンサと、
流れセンサと連結され、流れ信号を処理するコントローラと、
を備え、
コントローラが、
流れ信号からの部分閉塞のパターンを表す形状指数の決定と、
流れ信号からの負荷サイクル指標の決定と、
決定された形状指数および決定された負荷サイクル指標の関数としての流れ制限指標の導出と、
を制御するように構成されている、装置。
【請求項20】
部分閉塞のパターンがM形状流れ量検出関数である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
負荷サイクル指標が、現在の息吸気時間対サイクル時間の比率と事前の平均息吸気時間対サイクル時間の比率とを含む比率である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
コントローラおよび患者インターフェイスと連結された流れ発生器をさらに備え、
コントローラが、(a)流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、(b)圧力要求に応じて流れ発生器を設定するようにさらに構成されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項23】
コントローラが、(a)形状指数が流れ信号中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)負荷サイクル指標の増加の条件として事前の圧力要求値を増加させる、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
コントローラが、流れ信号から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数の決定を制御するようにさらに構成され、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項19に記載の装置。
【請求項25】
部分閉塞の検出のためのシステムであって、
呼吸ガスの流れを伝達するインターフェイス手段と、
インターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの流れを表す流れ信号を生成する流れ測定手段と、
流れ測定手段と連結され、流れ信号を処理する処理手段と、
を備え、
処理手段が、
(a)流れ信号からの部分閉塞のパターンを表す形状指数の決定と、
(b)流れ信号からの通気指標の決定と、
(c)決定された形状指数および決定された通気指標の関数としての流れ制限指標の導出と、
を処理するように構成されている、システム。
【請求項26】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
通気指標が現在の1回呼吸量および事前の1回呼吸量を含む比率である、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
処理手段およびインターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの制御された流れを生成する流れ手段をさらに備え、
処理手段が、(a)流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、(b)圧力要求に応じて流れ発生器を設定するためにさらに構成されている、
請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
処理手段が、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)通気指標が通常の通気未満を表すために十分に減少することの条件として事前の圧力要求値を増加させる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
コントローラが、流れ信号から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数の決定を制御するようにさらに構成され、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
部分閉塞の検出のためのシステムであって、
呼吸ガスの流れを伝達するインターフェイス手段と、
インターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの呼吸流れを表す流れ信号を生成する流れ測定手段と、
流れ測定手段と連結され、流れ信号を処理する処理手段と、
を備え、
処理手段が、
流れ信号からの部分閉塞のパターンを表す形状指数の決定と、
流れ信号からの負荷サイクル指標の決定と、
決定された形状指数および決定された負荷サイクル指標の関数としての流れ制限指標の導出と、
を制御するように構成されている、システム。
【請求項32】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
負荷サイクル指標が、現在の息吸気時間対サイクル時間の比率と事前の平均息吸気時間対サイクル時間の比率とを含む比率である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
処理手段およびインターフェイス手段と連結され、インターフェイス手段を通る呼吸ガスの制御された流れを生成する流れ手段をさらに備え、
処理手段が、(a)流れ制限指標の関数として圧力要求を計算し、(b)圧力要求に応じて流れ発生器を設定するようにさらに構成されている、
請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
処理手段が、(a)形状指数が流れ信号中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)負荷サイクル指標の増加の条件として事前の圧力要求値を増加させるようにさらに構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
処理手段が、流れ信号から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数の決定を制御処理するようにさらに構成され、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項19に記載の装置。
【請求項37】
呼吸部分閉塞を検出する装置を制御するためのプロセッサ読み取り可能な情報を有する情報保持媒体であって、プロセッサ読み取り可能な情報が、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞のパターンを表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から通気指標を決定するステップと、
決定された形状指数および決定された通気指標の関数として流れ制限指標を導出するステップと、
を備える、情報保持媒体。
【請求項38】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項37に記載の情報保持媒体。
【請求項39】
通気指標が現在の1回呼吸量と事前の1回呼吸量とを含む比率である、請求項38に記載の情報保持媒体。
【請求項40】
プロセッサ読み取り可能な情報が流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するステップをさらに備える、請求項37に記載の情報保持媒体。
【請求項41】
事前の圧力要求値が、(a)形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、(b)通気指標が通常の通気未満を表すために十分に減少することの条件として増加される、請求項40に記載の情報保持媒体。
【請求項42】
プロセッサ読み取り可能な情報が、呼吸流れの指標から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数を決定するステップをさらに備え、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項37に記載の情報保持媒体。
【請求項43】
呼吸部分閉塞を検出する装置を制御するためのプロセッサ読み取り可能な情報を有する情報保持媒体であって、プロセッサ読み取り可能な情報が、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞のパターンを表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から負荷サイクル指標を決定するステップと、
決定された形状指数および決定された負荷サイクル指標の関数として流れ制限指標を導出するステップと、
を備える、情報保持媒体。
【請求項44】
部分閉塞のパターンがM形状流れ検出関数である、請求項43に記載の情報保持媒体。
【請求項45】
負荷サイクル指標が、サイクル時間に対する現在の息吸気時間の比率とサイクル時間に対する事前の平均息吸気時間の比率とを含む比率である、請求項44に記載の情報保持媒体。
【請求項46】
プロセッサ読み取り可能な情報が流れ制限指標の関数として圧力要求を計算するステップをさらに備える、請求項43に記載の情報保持媒体。
【請求項47】
事前の圧力要求値が、形状指数が呼吸気流中のM形状息の存在を表すこと、および、負荷サイクル指標の増加の条件として増加される、請求項46に記載の情報保持媒体。
【請求項48】
プロセッサ読み取り可能な情報が、呼吸流れの指標から決定された部分閉塞のチェアパターンを表す第2の形状指数を決定するステップをさらに備え、導出された流れ制限指標が第2の形状指数のさらなる関数である、請求項43に記載の情報保持媒体。
【請求項49】
呼吸治療機器の治療セッティングを決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞の程度を表す形状指数を決定するステップと、
呼吸流れの指標から通気の変化の程度を表す通気指標を決定するステップと、
部分閉塞の程度および通気の変化の程度の両方の比例関数として治療セッティングを計算するステップと、
を備える、方法。
【請求項50】
形状指数が1回から3回までの息の範囲内の複数の息から決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
形状指数がM形状息指数である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
治療セッティングが自動漸増呼吸治療機器を設定するために適用される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
呼吸治療のためのセッティングを決定する装置であって、
呼吸流れの指標を決定するセンサと、
(a)呼吸流れの指標から部分閉塞の程度を表す形状指数を決定し、(b)呼吸流れの指標から通気の変化の程度を表す通気指標を決定し、(c)部分閉塞の程度および通気の変化の程度の両方の比例関数として治療セッティングを導出するように構成されたプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項54】
形状指数が1回から3回までの息の範囲内の複数の息からプロセッサによって決定される、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
形状指数がM形状指数である、請求項53に記載の装置。
【請求項56】
呼吸圧力治療を患者インターフェイスに与えるように構成された流れ発生器をさらに備える装置であって、
プロセッサが治療セッティング時に患者インターフェイスへの治療を制御するように構成され、
装置が自動タイトレーション呼吸治療機器を備える、
請求項53に記載の装置。
【請求項57】
呼吸治療のための治療セッティングを決定する装置であって、
呼吸流れの指標を決定する手段と、
呼吸流れの指標から部分閉塞の程度を表す形状指数を決定する手段と、
呼吸流れの指標から通気の変化の程度を表す通気指標を決定する手段と、
部分閉塞の程度および通気の変化の程度の両方の比例関数として治療セッティングを導出する手段と、
を備える、装置。
【請求項58】
形状指数が1回から3回までの息の範囲内の複数の息からプロセッサによって決定される、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
導出された治療セッティングに応答して患者への呼吸圧力治療を生成し提供する手段をさらに備える装置であって、前記装置は自動タイトレーション呼吸治療機器を備える、請求項57に記載の装置。
【請求項60】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、治療の変化を決定する方法であって、
呼吸流れの指標から部分閉塞の程度の第1の指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から呼吸パラメータの第2の指標を決定するステップと、
呼吸パラメータによって部分閉塞の程度を適正にするため第2の指標を用いて第1の指標を調節するステップと、
を備える、方法。
【請求項61】
不正確にフレーム化された息を表す息パターンの検出時に調節された第1の指標を調整するステップをさらに備える、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
調節された第1の指標の比例関数として治療セッティングを生成するステップをさらに備える、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
第1の指標が形状指数である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
第2の指標が呼吸サイクルの持続時間に対する呼吸サイクルの吸気部分の持続時間の比率の変化の程度を表す、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
第2の指標が吸息と呼息の相対的な持続時間の関数である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
ピーク流れの関数として調節された第1の指標を調整するステップをさらに備える、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
ピーク流れがピーク呼気流れ位置である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
第1の指標がシングル息から決定された形状指数である、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
形状指数がシングル息平坦化の指数である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
息フレーム化が患者のいびきに関連した周波数を除去するフィルタ処理より前に実行される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
平坦化が患者のいびきに関連した周波数を除去するフィルタ処理より前に決定される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、機器によって供給されるべき治療圧力の変化を自動的に決定する方法であって、
患者吸気努力が患者吸気流れと相関する程度の第1の指標を決定するステップと、
患者通気の第2の指標を決定するステップと、
前記第1の指標および第2の指標の第1の関数となるように治療圧力の変化を決定するステップと、
を備える、方法。
【請求項73】
前記第1の指標が部分閉塞の指数である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
患者通気の前記第2の指標が、患者通気が適切である程度の指標である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の指標が吸息と呼息の相対的な持続時間の指標である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から第1の部分閉塞指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から第2の部分閉塞指標を決定するステップと、
第1の部分閉塞指標および第2の部分閉塞指標の関数として第3の部分閉塞指標を決定するステップと、
を備える、方法。
【請求項77】
第1の閉塞指標がM形状息パターンを表す指数である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
第2の閉塞指標がチェア形状息パターンを表す指数である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から第1の部分閉塞指標を決定するステップと、
部分閉塞の履歴的な標識を導出するため第1の部分閉塞指標をフィルタ処理するステップと、
呼吸流れの指標から非閉塞息パターンの検出時にフィルタ処理をリセットするステップと、
を備える、方法。
【請求項80】
第1の部分閉塞指標が平坦化指数である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
いびきを表す周波数域において呼吸流れの指標をフィルタ処理するステップと、
パワー信号が雑音を表しているかどうかを評価するために時間の関数として周波数域のパワーの大きさを解析するステップと、
を備える、方法。
【請求項82】
解析するステップが、シャノンエントロピー関数を周波数域のパワーの大きさに適用するステップを備える、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、吸気の開始を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れから第1のピークを検出するステップと、
第1のピークの関数として呼吸サイクルの開始を決定するステップと、
を備え、
第1のピークの検出が呼吸サイクル中の第2のピークの検出を回避するため制限されている、方法。
【請求項84】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標の関数として呼吸サイクルの持続時間に対する呼吸サイクル中の吸気部分の持続時間の第1の比率を決定するステップと、
呼吸流れの関数として呼吸サイクルの持続時間に対する呼吸サイクル中の吸気部分の持続時間の第2の比率を決定するステップと、
第1の比率および第2の比率の関数として部分閉塞の指標を導出するステップと、
を備える、方法。
【請求項85】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、患者の気道の部分閉塞の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標から部分閉塞の指標を決定するステップと、
呼吸流れから、漏れの過渡的な変化を表す指標である妨害の指標を決定するステップと、
妨害の指標の関数として部分閉塞の指標を調整するステップと、
を備える、方法。
【請求項86】
部分閉塞の指標がM形状パターン息の検出の関数である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
睡眠呼吸障害を治療する機器において、覚醒の指標を自動的に決定する方法であって、
呼吸流れの指標を決定するステップと、
呼吸流れの指標の呼気部分のピーク指標を決定するステップと、
ピーク指標の関数として覚醒の指標を決定するステップと、
を備える、方法。
【請求項88】
ピーク指標の関数が呼気部分の範囲内の位置の関数である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
ピーク指標が呼吸流れの指標の呼気部分の後半時間部分に現れるならば、覚醒の指標が覚醒を表す、請求項88に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公表番号】特表2010−526568(P2010−526568A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506776(P2010−506776)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000647
【国際公開番号】WO2008/138040
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000647
【国際公開番号】WO2008/138040
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD
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