説明

流体ディスペンサー

【課題】 流体生成物の計量分を分配するための流体ディスペンサーを提供する。
【解決手段】 このディスペンサーは、流体生成物を収容するための収納チャンバー(57)と;流体生成物をディスペンサーから流出、分配させるための分配用出口(27)と;分配用出口を介して分配される流体生成物の計量分を提供するようにした計量チャンバー(73)であって、この計量分の提供が該計量チャンバーを収縮状態と、拡張状態との間で移動させることによりなされ、この計量チャンバーの収縮状態から拡張状態への動きにより、計量チャンバーと、収納チャンバーとを連通させ、計量分と、余剰分とからなる流体生成物の過剰量を、計量チャンバーが収納チャンバーから受理するようにしたものと;流体生成物の余剰分を計量チャンバーから放出させるようにしたブリード機構(55a、55b)とを具備してなる。前記計量チャンバーは、境界壁部(28、43)により画成され、それにより該計量チャンバーをその拡張状態と収縮状態との間で移動し得るようになっている。出口孔(33)が境界壁部に設けられ、それを介して流体生成物の計量分が計量チャンバーから分配用出口へ移送可能となっている。前記収納チャンバー、計量チャンバーおよび出口孔は直列に配列されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体生成物の計量分を分配するためのディスペンサーに係り、特定されるものではないが、特に、液状、ガス状、粉状又は局所適用(クリーム、ペーストなど)処方の薬剤などの流体薬剤の計量分を分配するためのディスペンサーに関する。本発明は更に、練り歯磨き、日焼け止めクリームローションなどの消費者健康管理の分野への適用にも関係する。
【0002】
関連出願
本願は2004年2月6日に提出された英国特許出願第0 402 693.6号に基づいて優先権を主張したものであり、その内容は参照として組み込まれている。
また、本願は、同時に出願された本出願人による下記PCT特許出願にも関連するものである。すなわち、これらPCT特許出願は、本出願人の参照符号、PB60733−A、PB60733−B、PB60733−C、PB60733−E、PB60733−G(発明の名称は全て、流体ディスペンサー)、PB60733−F(発明の名称は、計量ポンプシステム)(それぞれ、英国特許出願、第0 402 690.2号,第0 402 691.0号,第0 402 692.8号,第0 402 694.4号, 第0 402 697.7号, 第0 402 695.1号(全て、2004年2月6日出願)からの優先権に基づく)によるものであり、その内容は参照として本出願に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
計量機構を備えた流体生成物ディスペンサーは従来、知られている。1例として、医療分野において、計量投与分吸入器(MDIs)の使用が広く確立されている。このMDIにおいては、弁機構により閉塞された開口端を有するキャニスター(缶)内に流体生成物が加圧下で収容されている。この弁機構は弁体を有し、これが定量計量チャンバーを画成し、その内部を弁棒が充填位置と排出位置との間を密封状態で摺動自在となっている。この充填位置において、弁棒は、計量チャンバーをキャニスター内部と連通状態にさせるが、計量チャンバーは外部雰囲気から隔離させる。反対に、弁棒が排出位置に移動したとき、計量チャンバーは外部雰囲気と連通することになるが、キャニスター内部からは隔離させる。このようにして、流体生成物の計量分が計量チャンバーへ連続的に移送され、患者による吸入のため外部環境へ排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な分配機構を有する流体生成物用ディスペンサーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態によれば、請求項1に記載された流体ディスペンサーが提供される。
本発明の例示的特徴が他の請求項および前述の関連出願の請求項に記述されている。
本発明の他の形態および例示的特徴は、添付図面を参照として記述した以下に記載の例示のみを意図した具体例から理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1から3は本発明の流体ディスペンサー1を示すものであって、その操作上の基本的な原理は、国際特許出願、PCT/EP03/08646およびPCT/EP03/08647に記載され、かつ、請求項に規定されており、これらは、その内容全体が参照として組み込まれるものとする。
【0007】
この流体ディスペンサー1は、外側ケース3を有し、該ケースは第1および第2外側ケース部5aおよび5bからなっている。この外側ケース3は外側ケース部5aおよび5bの内面9a、9bに形成された相補的な雄型7aおよび雌型コネクター7bの係合を介して組立てられる。この特定の実施例において、雄型7aはペグ(突出棒体)であり、雌型コネクター7bはペグを摺動自在に受入れ可能な穴である。
【0008】
外側ケース3は好ましくは例えばプラスチック材料から成形により作られる。最も好ましくは、この外側ケース3はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)から作られる。
【0009】
図2Aに破線で示すように、流体ディスペンサー1の外側ケース3は、流体ディスペンサー1を操作する場合に使用者の手H内に保持される。外側ケース3を保持する使用者の手Hは、以下の記載から明らかなように流体ディスペンサー1を作動させるのにも使用される。
【0010】
外側ケース部5aおよび5bは殻形状のものであって、組立てたとき、内部チャンバー11を囲むようになっている。図1から明らかなように、例えば、外側ケース3の上端13には、外側ケース部5aおよび5bに凹部17a、17bにより画成された内部チャンバー11への通路15が形成されている。この通路15は流体ディスペンサー1の長手方向軸X−Xと同軸的に設けられ、ほぼ円形の横断面を有している。
【0011】
通路15は流体ディスペンサー1のノズル19を受入れるものであり、本実施例において、このノズル19は使用者の鼻孔内に挿入可能な形状、寸法となっている(すなわち、鼻用ノズル)。従って、この流体ディスペンサー1は鼻腔内流体ディスペンサーである。この目的のため、この特別の実施例における鼻用ノズル19は、ほぼ円形横断面と、矢線Uで示す上方向に向って横方向内側に湾曲した外側表面20を有する。
【0012】
鼻用ノズル19は好ましくは、例えば、ポリプロピレン(PP)から、例えば成形により作られる。
【0013】
図2Aおよび図3に示すように、鼻用ノズル19は長手方向軸X−Xと軸方向に整合され、流体ディスペンサー1から液体を長手方向軸X−Xに沿って上方向Uに分配させる長手方向孔21を有している。鼻用ノズル19は開口端を有するほぼ円筒状内管部23を有し、その内側周面25はノズル孔21を画成している。更に、内管部23は、流体ディスペンサー1の出口であるところのノズル孔21の上方開口部27を提供している。
【0014】
なお、鼻用ノズル19はヒトの鼻孔への挿入に適した他の形状および構造であってもよいことが理解されよう。
【0015】
一方向(逆止)ポペット出口弁30のほぼ円筒状の弁体28が、下方端31においてノズル内管部23の外側周面29に気密的に固定され、その結果、ほぼU字形の弁体28の下端壁34がノズル孔21の下方開口部32の下に配置されることになる。円筒状弁体28の下端壁34は、弁孔33を含み、出口弁制御部材35が使用時において、出口弁孔33と、ノズル孔21とを選択的に連通させるように操作され、従って、液体2の計量分(計量投与分)が、以下に更に詳述するように出口弁30を通ってノズル孔21内に流入できるようになっている。
【0016】
この出口弁制御部材35はほぼ円筒の管状ステムを有し、その上端は開口し、その下端はフランジプレートにより閉塞されている。この管状ステムには1又はそれ以上の孔40が設けられている。この管状ステムはノズル孔21の下方開口部32内に気密に摺動自在に装着されている。出口弁制御部材35は、図2Aに示すように、出口戻しバネ38(好ましくは、出口弁制御部材35と一体的に設ける)により付勢されて静止位置に移動し、このとき、出口弁制御部材35のフランジプレートが弁座36上に着座することにより弁孔33を気密に閉塞するようになっている。
【0017】
この流体ディスペンサー1の作動の間において、出口弁制御部材35は弁座36から離れて上昇し、出口弁制御部材35の管状ステム中の1又はそれ以上の孔40を介して弁孔33をノズル孔21と連通させるようになっている。これについては、特に図3を参照して以下に詳述する。
【0018】
計量弁30の部材28、35は、例えば、成形によりポリプロピレン(PP)から作ることができる。
【0019】
図1および3に示すように、例えば、弁体28は外側周面37を有し、そこに上方および下方封止リング39、41が設けられている。この上方および下方封止リング39、41は弁体28と一体的に形成されていてもよいし、あるいは別の弁部材からなるものであってもよい。
【0020】
図2Aおよび2Bと、図2Cから2Eとの比較から分かるように、ほぼU字形の摺動部材43がU字形の弁体28の外周面37に対し気密的に摺動自在に装着され、U字形の弁体28との関係で、上方位置と、下方位置との間を長手方向軸X−Xに沿って往復動するようになっている。より具体的に述べると、このU字形摺動部材43は、その内側周面47を有するほぼ円形の長手方向の側壁45を有し、この内側周面47が弁体28の上方および下方の封止リング39、41に対し気密的に摺動するようになっている。このU字形摺動部材43は更に、横方向に向って下端壁49を有し、上方位置に移動したとき、それが弁体28の下端面34と当接し(例えば、図2A、2Bおよび図2Fから図2I参照)、下方位置に移動したとき(図2Dおよび図2E)、それが弁体28の下端壁34から下方に離間するようになっている。従って、このU字形の弁体28と、U字形摺動部材43とは入れ子構造で配置されていることが理解できよう。
【0021】
このU字形摺動部材43の長手方向の側壁45には、U字形摺動部材43の外周面53の中間部から外側に延出するようにしてコネクターフランジ51が設けられている。図2Bおよび図3に明示するように、4つの等角的に離間する移送孔55a、55b(2個のみが示されている)が、コネクターフランジ51の下方において、U字形摺動部材43の長手方向の側壁45を横方向に貫通するようにして設けられている。もちろん、この移送孔の数については、所望により増減することができる。
【0022】
この実施例において、U字形摺動部材43は、例えば成形によりプラスチックから作られている。このプラスチック材料の好ましい例はポリプロピレン(PP)である。
【0023】
ほぼ円筒状の液体収容中空容器57がU字形摺動部材43に固定され、U字形摺動部材43と共に長手方向軸X−Xに往復動するようになっている。特に、この容器57は、上端61にほぼU字形の頭部59を有する一端開口容器本体56を有し、この頭部59が、U字形摺動部材43と嵌合し、U字形摺動部材43のコネクターフランジ51と、例えば接着剤などの介在により気密的に係合、固定されている。更に、図2Bおよび図3に明示するように、この接続は、U字形摺動部材43の外周面53の下方部60(すなわち、コネクターフランジ51より下の部分)がU字形容器頭部59の内周面62から内側に横方向に離間するようにしてなされていて、これらの間に環状チャンネル64を形成している。この環状チャンネル64は上端61においてコネクターフランジ51により閉塞され、この環状チャンネル64に向けて移送孔55a、55bが開口している。
【0024】
容器本体56は更に、下端65に拡大中空ベース63を有すると共に、このベース63から容器頭部59に長手方向に延出する中空首部67を有する。封止ピストン69が容器本体ベース63内に気密的に摺動自在に装着されていて、下端部65において容器本体56を密封している。
【0025】
この実施例において、容器本体56はガラスから作られているが、もちろん、例えばプラスチック材料(例えば、ポリプロピレン(PP))などの他の不活性材料を使用することもできる。容器本体56がプラスチック材料から作られている場合は、それを超音波溶接などの溶接により、プラスチック製U字形摺動部材43のフランジ51部に接続することができる。
【0026】
この実施例において、封止ピストン69は例えば成形によりプラスチック材料、好ましくはブチルゴムから作られている。
【0027】
この特定の実施例において、容器57は液状薬剤を収容している。
【0028】
当業者にとって明らかなように、U字形摺動部材43の周りの環状チャンネル64の下端は中空首部67の内部と連通し、それにより閉塞された容器本体ベース63の内部と連通することになる。従って、容器57は摺動部材43と協動して移送孔55a、55bでのみ開口する容器内部容積71を画成することが理解されよう。なぜならば、この内部容積71は、下端65において封止ピストン69により、更に上端61においてコネクターフランジ51により閉塞されているからである。なお、便宜上、U字形摺動部材43と、容器57とのアッセンブリーをここで、“容器ユニット58”と呼ぶことにする。
【0029】
図2Cから2Eおよび図3から明らかなように、重要なことは、U字形摺動部材43と、計量弁体28の横方向の下端部34とが、それら間において、協動して汲出し計量チャンバー73を画成し、該チャンバーは、弁体28に対する容器ユニット58の摺動位置に応じて、移送孔55a、55b又はノズル孔21を閉塞し、又は選択的に開口することになる。これについては以下に更に詳述する。
【0030】
流体ディスペンサー1は十分量の液体2が充填され、それにより、最初に使用する前に、環状チャンネル64を含めて、容器内部容積71を完全に満たすものとなる。更に、流体ディスペンサーの操作は、容器内部容積71が空気を保持しない、すなわち、ヘッドスペースが存在しない状態で行われる。
【0031】
図2Aに示すように、圧縮型の戻しバネ75が容器本体ベース63に作用し、容器ユニット58を上方向Uに付勢し、外側ケース3内の上方摺動位置まで移動させ、U字形摺動部材43をU字形の弁体28に対し上方位置に配置させる。以下の記載からより明らかに理解されるように、流体ディスペンサー1は、静止状態又は非作動状態において、容器ユニット58が戻しバネ75により上方摺動位置に位置するようになっている。
【0032】
図2Aおよび図2Bに示すように、容器ユニット58の上方摺動位置はU字形摺動部材43の下端壁49が弁体28の下端壁34と当接することにより規定される(すなわち、U字形摺動部材43が弁体28に対し上方摺動位置にある場合)。従って、汲出し計量チャンバー73は、流体ディスペンサー1の静止状態においては、全く、又は殆ど全く容積を有しないことになる。更に、U字形摺動部材43が上方摺動位置にあるとき、移送孔55a、55bは、弁体28の上方封止リング39と、下方封止リング41との間に配置されることになる。更に、出口弁制御部材35は閉塞位置にある。従って、計量チャンバー73は容器57の内部71との連通が断たれ、かつ、ノズル孔21との連通も断たれている。つまり、計量チャンバー73は封鎖されている。
【0033】
このように、容器ユニット58の内部71は流体ディスペンサー1の静止状態においては、完全に閉塞されている。それにより、空気および湿気などの汚染物は、下端65においても封止ピストン69の存在により容器57の内部71に侵入することができず、また、上端61においても封止リング39と封止リング41との間の移送孔55a、55bの位置、計量チャンバー73の潰れた状態、更に出口弁制御部材35の閉塞位置により、容器57の内部71に侵入することができない。もちろん、流体ディスペンサー1の部材は流体非透過性材料から作られることが分かるであろう。
【0034】
以下に、より詳述するように、流体ディスペンサー1には手動操作機構100が備えられ、容器ユニット58を長手方向軸X−Xに沿って往復動させ、液体2の計量投与分を分配させるようになっている。
【0035】
大略的に、この手動操作機構100は容器ユニット58を、戻しバネ75の復元力に抗して矢線D方向に下方に駆動させるようになっている。そうすることにより、U字形摺動部材43が弁体28から離れ、図2Cから2Eに示すように計量チャンバー73の容積を増大させる。その結果、計量チャンバー73内に負圧又は真空が生じることになる。最終的に、移送孔55a、55bが摺動し下方封止リング41を通過し、計量チャンバー73と、容器内部71とを互いに連通させることになる。ついで、容器ユニット58の降下行程の際に計量チャンバー73内に生じた負圧のため、容器57から液体が計量チャンバー73内に吸引される。これに関連して、封止ピストン69がこの負圧の影響を受けて、容器ベース63内を上に向って摺動し、容器57の内部容積71を減少させる。この際の減少量は計量チャンバー73内に移送された液体量と等しい。従って、この計量チャンバー73内への充填に際して、容器57内の液体2の上にヘッドスペースが生じることはない。
【0036】
なお、出口弁制御部材35は、この降下行程において閉塞状態に保持され、この流体ディスペンサー1の充填モードの操作の間において、計量チャンバー73内に移送された液体2が逃げるのを防止している。
【0037】
この降下行程が完了すると、容器ユニット58は図2Eに示す下方摺動位置に置かれ、戻しバネ75は解放されて容器ユニット58を上方に駆動させ、計量チャンバー73を圧縮する。この目的のため、容器ベース63内で封止ピストン69を下方に摺動させるのに要する水圧力は、出口弁制御部材35を開口させるのに必要な力より小さいものとなる。その結果、外側ケース3内で容器ユニット58の上向きの復帰行程の初期において、計量チャンバー73内の液体2の或る割合が移送孔55a、55bを介して容器内部容積71へ逆流し、その結果、封止ピストン69は容器ベース63内において下方に摺動することになる。これは、流体ディスペンサー1のブリードモードの操作である。
【0038】
このブリードモードの操作において、封止ピストン69は新たな静止位置へと下方に移動することになる。この新たな静止位置は、充填モードの操作前の先の静止位置より上方に離間したものとなる。このブリードモードにおける容器内部容積71の増加は、容器内部容積71へ逆流した液体の量と等しい。従って、このブリードモードにおいて、容器内部容積71にヘッドスペースが生じることはない。
【0039】
上方への復元行程における容器ユニット58の中間摺動位置において(図示しない)、移送孔55a、55bは下方封止リング41と並列し、それにより閉じられることになる。この時点で、上方への復帰行程において、液体2は最早、容器57へ逆流することができない。更に、計量チャンバー73はここで流体ディスペンサー1の計量分を画成し、充填モードの操作の間において移送された液体2の計量分で満たされる。この特定の実施例において、この計量分は50μLである。しかし、もちろん、特定の用途及び/又は分配されるべき製品によっては、他の計量分を生じさせるように流体ディスペンサー1を製作することも可能である。
【0040】
容器ユニット58が中間摺動位置から上方摺動位置へ摺動するような、容器ユニット58の上方への復帰行程の最終段階において、計量チャンバー73の容積が減少し続け、その内部の液圧が増加し、出口弁制御部材35を出口弁座36から上昇させ、液体2の計量分を計量チャンバー73から汲み上げ、ノズル孔21を介してディスペンサーの流出オリフィス27から排出させるようになっている。これは、流体ディスペンサー1の分配モードの操作であり、図3に模式的に示されている。この復帰行程の終りにおいて、出口弁制御部材35が出口弁孔33を再度閉塞させる。
【0041】
明らかなように、流体ディスペンサー1の作動サイクルにより、封止ピストン69が上昇し、その上昇量が容器内部容積71を計量分だけ減少させることになる。これにより、容器内部容積71内にヘッドスペースを確実に生じさせないようにし、従って容器内部容積71内の空気の存在を確実に排除している。従って、流体ディスペンサー1の繰返し使用により、封止ピストン69は漸次、上昇し、それが容器ベース63のルーフ部66に当接するまで続けられ、その時点において分配は最早行われない。
【0042】
ブリードモードおよび分配モードのため、容器ユニット58を上方に駆動させるための戻しバネ75の使用は、流体ディスペンサー1の使用からもたらされるヒトの力の不一致を取り除くことになる。
【0043】
流体ディスペンサー1の汲み上げ力は、使用者の鼻腔への吐出に理想的な比較的小さく、均一なサイズの噴霧を生じさせるものとなっている。例えば、流体ディスペンサー1は、10−20μmの範囲の直径を有する小滴のスプレーとして計量分を分配させるように構成することができる。
【0044】
容器ユニット58を外側ケース3内で長手方向軸X−Xに沿って往復動させることにより生じる汲み上げ作用についての上記説明を注目することにより、流体ディスペンサー1の作動機構100の動作が以下の3つの連続的作用を生じさせることが分かるであろう。すなわち:
(1)充填モードを生じさせ、ここで計量チャンバー73が拡張するときに生じる負圧によって、液体2の過剰量が容器57から計量チャンバー73へ導入される。
(2)ブリードモードを生じさせ、ここで計量チャンバー73が圧縮され始められるとき、計量チャンバー73中の液体2の余剰分が容器57へ逆流され、計量チャンバー73内には計量分の液体2が残される。
(3)分配モードを生じさせ、ここで計量チャンバー73の容積が圧縮されてゼロ又は実質的にゼロとなるとき、上記計量分の液体が流体ディスペンサー1から汲出される。
【0045】
作動機構100の更なる動作の夫々が上記事象サイクルの繰返しを生じさせ、最終的に封止ピストン69が容器ベース63の屋根部66と当接することになる。この特定の実施例において、容器ベース63の内部容積71、すなわち、流体ディスペンサー1から分配される液体2の量に相当するものは、14mLである。従って、この流体ディスペンサー1は280回の繰返し動作が可能である。
【0046】
1例として、容器57は封止ピストン69を形成することにより流体ディスペンサー1に組立てられた後に、液体2で充填することができる。従って、封止ピストン69は(例えば、“septum”のような)針状物体により気密的に刺通され、この針状物体を引抜いたときに再び密閉されるようになる。このようにして、液体を封止ピストン69を介して注入することができる。この目的のため、図1から明らかなように、外側ケース構成部5a,5bはそれぞれ凹状切欠部81a,81bを備えたベース部を有し、これらは外側ケース3が組立てられたとき、外側ケースのベース部に孔が形成される。このインジェクターは、この孔を介して封止ピストン69を挿入させることができる。
【0047】
他の充填方法として、当業者に明らかなように、真空充填が存在する。
【0048】
駆動機構100について、次に図2,3を参照して説明する。この駆動機構は、外側ケース構成部5a,5bの対向側面の接合部により形成された長手方向スロット102内において外側ケース3に装着された作動レバー101を介して作動されるという意味において、レバーに基づくものであるということができる。
【0049】
作動レバー101を第1の横枢軸P1−P1を中心として枢動させるため、枢支点105で外側ケース3に枢着された下端部103が作動レバー101に備えられている。この作動レバー101は更に、内面107を有し、そこから戻し板バネ108が下方に延出している。この戻し板バネ108は好ましくは作動レバー101の一部として一体的に形成され、容器ベース63と協動して作動レバー101を外側静止位置に向けて付勢するようになっていて、この外側静止位置において、例えば図2Aに示すように外側ケース3と嵌合するようになっている。これは作動レバー101が流体ディスペンサー1の非作動状態あるいは静止状態にあることを意味している。
【0050】
図2Aから2Cに示すように、駆動機構100を作動させるため、使用者はこの流体ディスペンサー1を手Hで取り上げ、作動レバー101をその外側静止位置から外側ケース3に向けて押圧し、板バネ108の復元力に抗して作動レバー101を第1の横枢軸P1−P1を中心として枢動させる。使用者は流体ディスペンサー1を保持する手Hの指を用いて作動レバー101を内側(この例では、親指T)に向けて押圧する。この作動レバー101は、それに対する押圧力Fを解放し、又は緩めると同時に、戻し板バネ108により外側の戻り位置に戻されることになる。
【0051】
この特定の実施例において、使用者はノズル19を鼻腔の1つに挿入したのちに、作動レバー101を内側に向けて押圧することになる。
【0052】
作動レバー101の内側表面107の上端部104には、横方向に延出した駆動構造109が装着されている。この駆動構造109は作動レバー101の内側への枢動が下向きの駆動力を容器ユニット58に与え、前述のような容器ユニット58の降下行程を生じさせる。
【0053】
より具体的に述べると、駆動構造109は略U字形の外側キャリアフレーム111を有し、これが作動レバー101に枢着されていて、第2の横枢軸P2−P2(第1の横枢軸P1−P1と、略並行に延出している)を中心とする枢動を生じさせるようになっている。このU字形外側キャリアフレーム111は一対の略平行な側壁部材113a,113bを有し、これらは容器57の首部67の両側にまたがって設けられ、その第1の端部において作動レバーの表面107上の枢支点115a,115bと接続している。この外側キャリアフレーム111は更に、クロスバー部材117を有し、これが第2の端部において側壁部材113a,113bを互いに接続している。従って、このU字形外側キャリアフレーム111は容器57を囲む作動レバー101と共に、中空箱状構造を形成している。
【0054】
U字形外側キャリアフレーム111は更に、各側壁部材113a,113bの第1の端部から下方に延びた戻し板バネ119a,119bを有し、これらが作動レバー101の内面107と協動してU字形外側キャリアフレーム111を例えば図2Aに示す上方枢動位置に向けて付勢するようになっている。
【0055】
駆動構造109は更に、U字形外側キャリアフレーム111によりその内側において担持された略U字形の内側カムフレーム121を含む。この内側カムフレーム121は一対の略平行な側壁部材123a,123bを有し、これらは外側キャリアフレーム111の側壁部材113a,113bとほぼ平行になるように構成されている。これら内側カムフレームの側壁部材123a,123bにはそれぞれ外側に突出するラグ(突出部) 125a,125bがそれぞれの第1の端部に設けられている。これらラグは、隣接する外側キャリアフレームの側壁部材113a,113bの第1の端部と、第2の端部との間に形成された長手方向の摺動孔127a,127b内に受入れるようになっている。
【0056】
内側カムフレームの側壁部材123a,123bは、それぞれ翼状断面を有し、内側に突出したカム部129a,129bが設けられている。このカム部129a,129bの機能についてはその概略を更に以下に説明する。
【0057】
内側カムフレーム121は更にクロスバー部材131を有し、これが側壁部材123a,123bを第2の端部において互いに接続している。内側カムフレームのクロスバー部材131はC形クリップとして構成され、外側キャリアフレーム111のクロスバー部材117を握持し、内側カムフレーム121がクロスバー部材117を中心として枢動し得るようになっている。
【0058】
内側カムフレーム121の外側キャリアフレーム111上での枢動は、ラグに関連した摺動孔127a,127b内のラグ125a,125bの摺動により支配される。具体的に述べると、下方枢動位置と、上方枢動位置との間における外側キャリアフレーム111のクロスバー部材117を中心とする内側カムフレーム121の枢動範囲の制限は、長手方向摺動孔127a,127bの上方端及び下方端に対するラグ125a,125bの当接によりそれぞれ決定されることになる。
【0059】
これに関して図1を参照すると、内側カムフレーム121は更に戻しバネ133a,133bを有し、これらはクロスバー部材131の両端からそれぞれ上方に延出している。この内側カムフレーム121の戻しバネ133a,133bは、それぞれ隣接する外側キャリアフレームの側壁部材113a,113b上の当接面134と協動して、内側カムフレーム121をその下方枢動位置に向けて下向き方向Dに付勢している。従って、例えば、図2Aに示す流体ディスペンサー1の静止状態において、内側カムフレーム121のラグ125a,125bは外側キャリアフレーム111の摺動孔127a,127bの下端に当接した状態で保持される。
【0060】
内側カムフレーム121の機能は作動レバー101の内方への動きを、容器ユニット58に対し下向きのカム作用に変換し、それにより流体ディスペンサー1を充填モードに移行させることである。この目的のため、一対の径方向反対側のペグ状のカム従動子135a,135b(1個のみが示されている)が容器57の首部67から横方向に延出している。このカム従動子135a,135bおよび内側カムフレーム121のカム部129a,129bが協動して充填モードを表す容器ユニット58の降下行程を生じさせるようになっている。これについては以下に更に詳述する。
【0061】
流体ディスペンサー1が静止状態にあるとき、その構成部材は図2Aに示す相対位置に置かれる。特に、容器ユニット58は戻しバネ75により、その上方摺動位置において保持され、作動レバー101はその外側枢動位置において保持される。更に、外側キャリアフレーム111はその上方摺動位置に保持され、内側カムフレーム121はその下方枢動位置において保持される。
【0062】
図2Aおよび2Bを参照すると、駆動機構100を作動させるため、上述のように作動レバー101が内側に枢動される。この内側枢動動作が駆動構造109に伝達され、この駆動構造109を横方向内側に変位させる。この駆動構造109の内側への動きの最初の段階において、内側キャリアフレーム121がその外側キャリアフレーム111との関連での下方枢動位置から、上方枢動位置に移動することになる。これはカム部129a,129bがカム従動子135a,135bの上面を乗り上がることによりなされる。言い換えれば、ラグ125a,125bは摺動孔127a,127b内をその下端から上端に向って上方へ摺動することになり、それに伴って、内側カムフレームの板バネ133a,133bが圧縮されることになる。
【0063】
ラグ125a,125bが摺動孔127a,127bの上端に到達したとき、内側カムフレーム121はその上方枢動位置において“ロック”される。
【0064】
図2Cおよび2Dを参照すると、作動レバー101の更なる内側への継続的動きが駆動構造109の内方への動きの中間段階をもたらし、ここでカム部129a,129bがカム従動子135a,135bに作用し、戻しバネ75の復元力に抗して容器ユニット58を下方向Dに向けて、その下方摺動位置まで変位させる。これにより流体ディスペンサー1が充填モードに変わり、ここで計量チャンバー73が拡張し、容器57の液体2と連通することになる。
【0065】
図2Eおよび2Fを参照すると、作動レバー101の更なる継続した動きが、駆動構造109の内側への動きの最終段階を生じさせ、ここでカム部129a,129bはカム従動子135a,135bから離脱し、それにより戻しバネ75が働き、容器ユニット58をその上方摺動位置へ復帰させる。これは流体ディスペンサー1を、前述の操作のブリードモードおよび分配モードを逐次通過させ、その結果として液体2の計量分が噴霧スプレーSとして鼻用ノズル19から使用者の鼻腔へと排出させる(図2Fおよび図3参照)。ブリードモード後に計量チャンバー73が一旦封止されると計量チャンバー73内に蓄積された液圧により、出口弁制御部材35が分配モードの際にどのようにして弁座36から離れて上昇する方法を、図3が詳細に示している。矢線で示すように、これにより、液体2が出口弁孔33を通過して、更に出口弁制御部材35の側壁の周りを通過して、出口弁制御部材35中の孔40を通過して、更にノズル孔21を介して出口オリフィス27から排出されることになる。
【0066】
更に、一旦、カム部129a,129bがカム従動子135a,135bから離脱すると、内側カムフレーム121の戻し板バネ133a,133bによりラグ125a,125bが摺動孔127a,127b内を下方向に摺動自在となり、内側カムフレーム121を外側キャリアフレーム111上の下方摺動位置に復帰させることになる。これは図2Fに最も明瞭に示されている。
【0067】
図2Eに示すように、例えば、駆動構造109の内側への動きは内側カムフレーム121のクロスバー部材131と、外側ケース3の内側表面との当接により制限される。
【0068】
流体ディスペンサー1が一旦、液体の計量分を分配すると、使用者は作動レバー101に対する内側への変位力Fを取り除く、又は減少させることができ、それにより作動レバー戻し板バネ108の作用により作動レバー101をその外側静止位置に復帰させ、流体ディスペンサー1を次の使用のための準備として静止モードにリセットさせる。この順序が図2Gから2Iに示されており、駆動構造109の付随的な復帰外側への動きの最初の段階において、カム部129a,129bがカム従動子135a,135bと再係合することに留意すべきである。但し、この場合、ラグ125a,125bが摺動孔127a,127bの下端にあるため、カム部129a,129bは下方カム従動子面を乗り越えている。更に、同じ理由から、外側キャリアフレーム111は作動レバー101に対し、下方摺動位置に傾いている。
【0069】
静止状態への駆動機構100の復帰動の終りに近づいて、カム部129a,129bはカム従動子135a,135bから離脱し、それにより外側キャリアフレーム111および内側カムフレーム121をそれぞれ静止状態に復帰させる。
【0070】
この実施例において、作動レバー101、外側キャリアフレーム111および内側カムフレーム121は共に、ABSなどのプラスチック材料から、例えば成形により作られている。
【0071】
流体ディスペンサー1の改良として、容器57はバッグ構造のもので置換してもよい。このバッグ構造は同様の形式で収縮、拡張するものであり、容器57として同様に機能するために、例えばプラスチック材料などの可撓性材料から作られる。このバッグ構造の前記容器57と比較したときの利点は、内部容積の収縮、拡張のための複雑な構造を必要としない点である。
【0072】
バッグ容器157の一例が図4に示されている。なお、ここで図1から図3の容器57と同一の構成要素は同一符号で示すものとする。このバッグ容器157は、容器57のものに相当する頭部159と、首部167とを有する。このバッグ容器157の基部163は流体ディスペンサー1の流体ディスペンサー1の操作モードに従って拡張/収縮するバッグ要素から形成されている。
【0073】
図5Aおよび5Gを参照すると、これには図1から3の流体ディスペンサー1に使用される他の弁構成が示されている。なお、簡潔のため、図1から3で示した弁構成の特徴部分と同等の特徴部分は同一符号を以って参照することにする。
【0074】
図5Aおよび5Gに示すように、リリーフ入口弁150が計量チャンバー73と、容器57の内部容積71との間に配置されている。このリリーフ入口弁150は、容器57の降下行程が開始されるまでは閉じたままとなり、容器57の降下行程が開始されると、その過程で計量チャンバー73内に生じた減圧により一時的に開口される。それにより、液体2は移送孔55a−c(この場合、3個が示されている)が計量チャンバー73と連通するに至る前に計量チャンバー73に導入される。これにより移送孔55a−cが開口されるまで、容器ユニット58が計量チャンバー73内の減圧に抗して下方向Dへ移動することが容易となる。この移送孔55a−cが開口すると、液体2はそれを介して計量チャンバー73に導入されることになる。その結果、計量チャンバー73内の圧力が増加することにより、それにより入口弁150は、その閉塞位置に復帰するよう付勢される。計量チャンバー73の充填は図1から3を参照して述べたように移送孔55a−cを介して継続される。
【0075】
具体的に述べると、入口弁150はU字形摺動部材43の横方向下端壁49に入口弁開口部151を有すると共に、入口弁制御部材153を有する。この入口弁制御部材153は入口弁開口部151内に気密的に摺動自在に装着され、それにより図5Aに示す閉塞位置(すなわち、入口弁制御部材153が弁座152に着座し、入口弁開口部151を閉塞し、計量チャンバー73と、容器57の内部容積71との間の連通を防止する位置)と、図5Bに示す開口位置(すなわち、入口弁制御部材153が弁座152から離れて上昇し、入口弁開口部151を開口させ、計量チャンバー73と、容器57の内部容積71とを連通させる位置)との間を移動することができるようになっている。入口弁150は更に、戻しバネ155を有し、それにより入口弁制御部材153を閉塞位置に付勢させるようになっている。
【0076】
図5Aは入口弁制御部材153が戻しバネ155により付勢され、流体ディスペンサー1の静止位置における閉塞位置にあることを示している。駆動機構100が作動レバー101の内側への変位により作動されたとき、U字形摺動部材43が出口弁体28との関係において下方に移動し、計量チャンバー73をその収縮状態から拡張させることになる。この計量チャンバー73内に生じた減圧又は負圧により、入口弁戻しバネ155の復元力に抗して開口位置まで入口弁制御部材153が入口弁座152から上方へ離間される。計量チャンバー73内の減圧は、ついで図5Bに示すように、液体2を容器57から入口弁開口部151を通って計量チャンバー73内へ流入させる。この時点において、移送孔55a−cは下方封止リング41の下まで移動していないという点で依然として閉塞している。
【0077】
U字形摺動部材43の下方への動きが、流体ディスペンサー1の操作の充填モードの間に継続するとき、計量チャンバー73は、拡張し続け、移送孔55a−cが開口するまで液体2を入口弁150を介して吸い込み続ける。従って、図5Cに示すように、液体2をこれらを介して計量チャンバー73内に導入させることができる。更に図5Cに示すように、液体の取り込みにより計量チャンバー73内の圧力が増大すると、入口弁戻しバネ155の復元力は入口弁制御部材153を入口弁座152上に戻すように付勢し、入口弁開口部151を閉塞させる。
【0078】
ついで、U字形摺動部材43がその降下行程を完了したとき、計量チャンバー73が移送孔55a−cを介して充填される。図5Aから5Dに示すように、出口弁130は、この降下行程全体に亘って、閉じた状態に維持される。具体的に述べると、出口弁制御部材135は出口弁戻しバネ138により出口弁孔133と気密的に係合するよう付勢される(閉塞位置)。
【0079】
図5Eから5Gは、容器57の上昇行程を示している。これら図から明らかなように、入口弁150は閉じたままである。図5Fから5Gには移送孔55a−cが下方封止リング41により再び閉じられたのち、計量チャンバー73内の液圧が十分に高くなり、出口弁130を開口させ、計量チャンバー73内に収容されていた計量分の排出が可能となることを示している。より具体的には、図5Fに示すように、計量チャンバー73内に生じた液圧により、出口弁戻しバネ138の付勢力に抗して、出口弁制御部材135を出口弁孔133内において強制的に上方に摺動させ、計量チャンバー73内の液体を出口弁130を通って排出オリフィス27へと通過させる(開口位置)。図5Gに示すように、計量分の液体がいったん分配されると、出口弁戻しバネ138が出口弁制御部材135をその閉塞位置に復帰させる。
【0080】
これら出口弁制御部材135および入口弁制御部材153はポリプロピレン(PP)のようなプラスチック材料から、例えば成形により作製することができる。
【0081】
上述の流体ディスペンサー1は、外部環境からの汚染から液体2を保護する密閉システムから高精度の投与を可能にするものである。例えば、逆止め出口弁30,130は空気の侵入を防止するものである。更に、容器の内部容積71はこの出口弁30,130により排出オリフィス27から隔離され、出口弁孔33の閉塞は流体ディスペンサー1の静止状態におけるU字形摺動部材43によりなされる。従って、液体は保存剤無添加が可能となり、これは液体が薬品の場合に特に有益である。
【0082】
流体ディスペンサー1は、浸漬チューブの使用を要することなく機能することができ、更にドレインバックも生じない。
【0083】
この流体ディスペンサー1の他の利点として、特に制限されるものではないが、以下のことを挙げることができる。
* 例えば、国際特許出願、PCT/EP03/08646およびPCT/EP03/08647に開示されているディスペンサーと比較して、インライン(直列)構造のために小型となる。
* 使用者は作動レバー101を単一方向に動かすだけで完全な作動サイクルを生じさせることができる。
【0084】
本発明の流体ディスペンサーが、医薬用ディスペンサーの場合、例えば鼻腔用医薬ディスペンサーの場合、その医薬の投与は、軽度又は重度の急性又は慢性症状のため、又は予防用処置のために行うものとすることができる。
【0085】
従って、適当な薬剤の例として、以下のものから選択することができる。すなわち、鎮痛薬(例えばコデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、モルヒネ);狭心症用製剤(例えばジルチアゼン);抗アレルギー製剤(例えばクロモグリケート(例えばナトリウム塩として)、ケトチフェン、又はネドクロミル(例えばナトリウム塩として));抗感染薬(例えばセファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホナミド、テトラサイクリン、ペンタミジン);抗ヒスタミン剤(例えばメタピリレン);抗炎症薬(ベクロメタゾン(例えばジプロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(例えばプロピオン酸エステルとして)、フルニゾリド、ブデゾニド、ロフレポニド、モメタゾン(例えばフロ酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン、(例えばアセトニドとして)、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニロキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イル)エステル又は6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル);鎮咳薬(例えばノスカピン);気管支拡張薬(アルブテロール(例えば遊離塩基又は硫酸塩として)、サルメトロール(例えばキシナホエートとして)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例えば臭化水素酸塩として)、ホルモテロール(例えばフマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフィリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例えば酢酸塩として)、レプロテロール(例えば塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例えば硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロール、又は、4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2(3H)−ベンゾチアゾロン);PDE4インヒビター阻害剤(例えばシロミラスト、又はロフルミラスト);ロイコトリエン拮抗薬(例えばモンテルカスト、プランルカスト、又はザフィルルカスト);アデノシン2a作動薬、例えば2R,3R,4S,5R)−2−[6−アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾール−5−イル)−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(例えばマレイン酸塩として);α4インテグリン阻害剤(例えば、(2S)−3−[4−({[4−(アミノカルボニル)−1−ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]−2−[((2S)−4−メチル−2−{[2−(2−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノニル)アミノ]プロパノン酸(例えば遊離酸又はカリウム塩として));利尿薬(例えばアミロリド);抗コリン作用薬(例えばイプラトロピウム(例えば臭化物として)、チオトロピウム、アトロピン、オキシトロピウム);ホルモン(例えばコルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン);キサンチン(例えばアミノフィリン、コリンテオフィリナート、リシンテオフィリナート、又はテオフィリン);治療タンパクおよびペプチド(例えばインシュリン、又はグルカゴン)などである。当業者に明らかなように、もし適当であれば、これらの薬剤は塩の形(例えば、アルカリ金属塩又はアミン塩)又はエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、あるいは溶媒和物(水和物)として使用し、これら薬剤の活性及び/又は安定性を最適化したり、及び/又は噴射剤中への薬剤の溶解を抑制するようにしてもよい。
【0086】
好ましくは、この薬剤は、喘息、鼻炎などの炎症又は病気の治療のための抗炎症性化合物からなるものである。
【0087】
例えば、この薬剤は抗炎症特性を有するグルココルチコイド化合物であってもよい。このグルココルチコイド化合物の一例は、6α,9α−ジフルオロ−17α−(1−オキソプロピオニロキシ)−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フルチカゾン・プロピオナート)である。他の適当なグルココルチコイド化合物の例は、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルである。更なる適当なグルココルチコイド化合物の例は、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルである。
【0088】
他の適当な抗炎症用化合物としては、NSAIDs(例えば、PDE4阻害剤)、ロイコトリエン拮抗薬、iNOS阻害剤、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤、ベータ−2インテグリン拮抗薬、アデノシン2a作動薬が含まれる。
【0089】
これらの薬剤は任意の適当な流体製剤、特に溶液(例えば水溶液)の製剤、懸濁液の製剤として調剤することができ、これらは適宜、薬理学的に許容し得る添加成分を含んでいてもよい。これら製剤に、保存剤を含めることもできるが、この流体ディスペンサーの密閉システムではその必要性を否定するものである。
これら薬剤は2又はそれ以上の種類の薬剤を組合わせてもよい。
【0090】
ここに開示した流体ディスペンサーは、例えば、季節的および四季を通じての鼻炎などの鼻腔の炎症及び/又はアレルギー性疾患の治療、並びに喘息、COPDおよび皮膚炎など他の局所的炎症の治療のための流体薬剤処方を分配するのに適している。
【0091】
適当な投与レジメは、患者に対し鼻孔を清浄にしたのち、鼻を介してゆっくりと吸気させることである。この吸気の間において、この処方したものを一方の鼻孔に適用し、その際、他方の鼻孔を手で押圧する。この手法を次に他方の鼻孔に対し繰り返す。典型的な例として、片方の鼻孔について1回又は2回の吸気を、上記手法により1日3回以下、理想的には毎日1回投与する。各投与において薬剤活性成分を5μg、50μg、100μg、200μg又は250μg吐出させる。正確な投与量については、当業者にとって公知であり、若しくは容易に確かめることができるものである。
【0092】
当業者にとって明らかなように、本発明は図面を参照して説明した上述の具体例に限定されるものではなく、添付した請求の範囲から逸脱することなく、他の様相を採用すべく変化させることができる。例えば、本発明の流体ディスペンサーは手持ち式のもの、あるいは手で操作されるものに限定されるものではない。更に、先に概説したように、この流体ディスペンサーは、異なる流体生成物、薬剤又は非薬剤の任意の数を吐出させるのに使用することができる。更に、この流体ディスペンサーは装置ユニットの内部構成部分を形成するように構築し、この装置ユニットの他の構成部に流体の計量分を移送させるようにしてもよい。例えば、そのユニットは、この流体ディスペンサーを含む分配装置ユニットであって、計量分がこの分配装置ユニット内の搬送手段に送られ、その流体生成物計量分をこのユニットから周囲環境へ排出させるためにこのユニットの排出口へ移送させるようにしてもよい。この搬送手段は流体の状態を変化させるべく、振動手段、例えばメッシュを有するものでも良い。その場合、流体の計量分がエアゾール又は霧に変換され、ついで排出口から外に向けて排出される。この振動部は、例えば、圧電素子又はメッシュであってもよい。
【0093】
最後に、疑いを避けるため、請求の範囲中の参照符号は純粋に説明のためのものであり、請求項の範囲を限定することを意図したものではないこと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明による手により握持、操作される鼻腔用流体ディスペンサーであって、1回の操作サイクル当り1投与量で、複数の計量投与分の流体を投薬すべく操作されるよう構成された流体ディスペンサーを示す分解斜視図。
【図2A】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図2A−2】図2Aに示す流体ディスペンサーの一部を拡大して示す縦断面図。
【図2B】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図2C】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図2D】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図2E】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図2F】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図2G】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図2H】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図2I】流体ディスペンサーの縦断面図であって、流体の計量分を分配するための完全な操作サイクルを逐一的に示す図。
【図3】図2F中の領域Iを拡大して示す断面図であって、操作の分配モードにおける流体ディスペンサーの出口弁の開口部を示す図。
【図4】流体ディスペンサーで使用される容器の他の例、すなわち、バッグタイプのものを模式的に示す図。
【図5A】流体ディスペンサーに使用される他の弁機構の代表例を模式的に示す断面図であって、流体ディスペンサーの操作サイクルにおける入口および出口弁制御部材の動きを逐一的に示す図。
【図5B】流体ディスペンサーに使用される他の弁機構の代表例を模式的に示す断面図であって、流体ディスペンサーの操作サイクルにおける入口および出口弁制御部材の動きを逐一的に示す図。
【図5C】流体ディスペンサーに使用される他の弁機構の代表例を模式的に示す断面図であって、流体ディスペンサーの操作サイクルにおける入口および出口弁制御部材の動きを逐一的に示す図。
【図5D】流体ディスペンサーに使用される他の弁機構の代表例を模式的に示す断面図であって、流体ディスペンサーの操作サイクルにおける入口および出口弁制御部材の動きを逐一的に示す図。
【図5E】流体ディスペンサーに使用される他の弁機構の代表例を模式的に示す断面図であって、流体ディスペンサーの操作サイクルにおける入口および出口弁制御部材の動きを逐一的に示す図。
【図5F】流体ディスペンサーに使用される他の弁機構の代表例を模式的に示す断面図であって、流体ディスペンサーの操作サイクルにおける入口および出口弁制御部材の動きを逐一的に示す図。
【図5G】流体ディスペンサーに使用される他の弁機構の代表例を模式的に示す断面図であって、流体ディスペンサーの操作サイクルにおける入口および出口弁制御部材の動きを逐一的に示す図。
【符号の説明】
【0095】
1:流体ディスペンサー,3:外側ケース,5a:第1外側ケース部,5b:第2外側ケース部,7a:雄型コネクター,7b:雌型コネクター,11:内部チャンバー,15:通路,17a、17b:凹部,19:ノズル,21:長手方向孔,23:円筒状内管部,25:内側周面,27:出口オリフィス,28:円筒状弁体,30:出口弁,31:下方端,32:下方開口部,33:弁孔,34:下端面,35:出口弁制御部材,36:弁座,39:上方封止リング,40:孔,41:下方封止リング,43:U字形摺動部材,45:側壁,47:内側周面,55a−c:移送孔,58:容器ユニット,63:容器ベース,64:環状チャンネル,66:ルーフ部,69:封止ピストン,71:容器内部容積,73:計量チャンバー,81a,81b:凹状切欠部,100:駆動機構,101:作動レバー,102:長手方向スロット,105:枢支点,108:戻し板バネ,111:外側キャリアフレーム,125a,125b:ラグ,127a,127b:摺動孔,129a,129b:カム部,150:リリーフ入口弁,157:バッグ容器,159:頭部,167:首部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体生成物(2)の計量分を分配するための流体ディスペンサー(1)であって:該ディスペンサーは、
(a)前記流体生成物を収容するための収納チャンバー(57)と;
(b)前記ディスペンサーから分配可能な前記流体生成物が通過する分配用出口(27)と;
(c)該分配用出口を介して分配される前記流体生成物の計量分を提供するようにした計量チャンバー(73)であって、前記計量分の提供が前記計量チャンバーを収縮状態(図2A)と、拡張状態(図2D)との間で移動させることによりなされ、該計量チャンバーの収縮状態から拡張状態への動きにより、前記計量チャンバーと前記収納チャンバーとを連通させ、前記計量チャンバーが、計量分と余剰分とからなる前記流体生成物の過剰量を、前記収納チャンバーから受入れ可能にした計量チャンバーと;
(d)前記流体生成物の余剰分を前記計量チャンバーから放出させるようにしたブリード機構(55a、55b)と;
を具備してなり;
(e)前記計量チャンバーが、境界壁部(28、43)により画成され;
(f)出口孔(33)が前記境界壁部に設けられ、それを介して前記流体生成物の計量分が前記計量チャンバーから前記分配用出口へ移送可能となっており;
(g)前記収納チャンバー、前記計量チャンバーおよび前記出口孔が直列に配列されている;
ことを特徴とするディスペンサー。
【請求項2】
前記計量チャンバーの境界壁部が前記ディスペンサー内に移動自在に装着された第1の部分を有し、それにより前記計量チャンバーを拡張状態と収縮状態との間で移動可能にした請求項1記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記計量チャンバーと前記収納チャンバーとを連通させる少なくとも1つの移送孔が境界壁部に設けられ、前記計量チャンバーが拡張状態と収縮状態との間で移動することにより、少なくとも1つの移送孔が選択的に開口、閉塞されるようになっている請求項1又は2記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記移送孔が前記第1の部分に存在する請求項2又は3記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記移送孔が、前記計量チャンバーがその拡張状態と収縮状態との間の中間状態にあるときに閉塞されるようになっている請求項3又は4記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記計量チャンバーが前記中間状態にあるときの前記計量分に相当する、又は実質的に前記計量分に相当する容積を、該計量チャンバーが有している請求項5記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記移送孔は、前記計量チャンバーが中間状態と収縮状態との間に移動したとき閉塞され、その中間状態と拡張状態との間に移動したとき開口されるようになっている請求項5又は6記載のディスペンサー。
【請求項8】
前記境界壁部が第2の部分を有し、前記第1の部分が該第2の部分との関係で移動することにより前記計量チャンバーがその拡張状態と、収縮状態との間を移動可能となっている請求項1から7のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項9】
前記第2の部分がディスペンサー内において静止状態となっている請求項8記載のディスペンサー。
【請求項10】
前記第2の部分が前記移送孔を選択的に開口ないし閉塞させるのに使用されるようになっている請求項3〜7又は8又は9記載のディスペンサー。
【請求項11】
前記計量チャンバーの境界壁部の第2の部分に出口孔が設けられている請求項8から10のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項12】
前記計量チャンバーの境界壁部の第1の部分および前記収納チャンバーが、前記ディスペンサーに移動自在に装着された容器ユニットにより提供されている請求項2又は請求項2に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項13】
前記容器ユニットが、前記計量チャンバーへの充填および前記計量チャンバーからの内容物排出のためのポンプ機構として操作するように使用されるようになっている請求項12記載のディスペンサー。
【請求項14】
前記計量チャンバーの収縮状態から拡張状態への動きにより前記計量チャンバーと前記収納チャンバーとの間に圧力差を生じさせ、それにより液体製品の過剰量を前記計量チャンバー内に導入させるようにした請求項1から13のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項15】
前記計量チャンバーの前記拡張状態から前記収縮状態への動きにより前記流体生成物の計量分を前記計量チャンバーから汲出すようにした請求項1から14のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項16】
前記計量チャンバーが、その異なる状態間を繰返し変動自在となっていて、それにより流体生成物の計量分を繰返し分配するようにした請求項1から15のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項17】
更に弁機構を有し、該弁機構が使用時において、前記ブリード機構が前記流体生成物の余剰分を前記計量チャンバーから流出させるまで、分配用出口を閉じたままの状態に維持するようになっている請求項1から16のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項18】
前記弁機構が、前記計量チャンバーが収縮状態に移動するとき前記分配用出口を開口させるようになっており、前記収縮状態が達成されたとき前記分配用出口が再び閉じるようになっている請求項17記載のディスペンサー。
【請求項19】
出口孔に弁機構を更に有し、該弁機構が液体製品の計量分のみを前記分配用出口に移送させるようになっている請求項1から16のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項20】
前記弁機構が、前記ブリード機構が前記流体生成物の余剰分をそこから流出させたのち、前記計量チャンバーが収縮状態に移動するとき以外は前記出口孔を閉塞するよう構成されている請求項19記載のディスペンサー。
【請求項21】
前記弁機構が逆止め弁機構である請求項17から20のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項22】
前記分配用出口がディスペンサーのノズル内にある請求項1から21のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項23】
前記ノズルが吸い口又は鼻用ノズルとして構成されている請求項22記載のディスペンサー。
【請求項24】
前記ブリード機構が、使用時において、前記計量チャンバー内の前記流体生成物の余剰分を前記収納チャンバーに流出させるようになっている請求項1から23のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項25】
前記ブリード機構が、使用時において、前記流体生成物の余剰分を移送孔を介して前記収納チャンバーに流出させるようになっている請求項3に従属する場合の請求項24記載のディスペンサー。
【請求項26】
前記収納チャンバーが、前記計量チャンバーに移送された過剰量の流体に応答して拡張状態から収縮状態に移動するようになっている請求項1から25のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項27】
前記収納チャンバーが、そこに逆流された余剰分に応答して拡張状態に復帰するようになっている請求項24又は25に従属する場合の請求項26記載のディスペンサー。
【請求項28】
前記収納チャンバーが、
(i)前記計量チャンバーの収縮状態から拡張状態への動きにより前記計量チャンバーに移送された過剰量の流体に応答して、拡張状態から収縮状態へ移動し、
(ii)前記計量チャンバー拡張状態から収縮状態への動きにより前記収納チャンバーに逆流された前記余剰分の流体に応答して、拡張状態に復帰するようになっており;
前記弁機構が、前記収納チャンバーをその拡張状態に戻すのに要する圧力よりも大きい開口圧閾値を有し、それにより該弁機構が流体生成物の余剰分を流出させる間において閉じたままの状態に維持されるようにしたことを特徴とする請求項17から21のいずれかに従属する場合の請求項25記載のディスペンサー。
【請求項29】
使用時において、前記流体生成物の過剰量を前記計量チャンバーに移送する前の収納チャンバーの拡張状態の容積が、前記余剰分の収納チャンバーへの再循環後の拡張状態の容積よりも大きいことを特徴とする請求項27又は28記載のディスペンサー。
【請求項30】
前記収納チャンバーが、前記計量チャンバーの拡張状態と、収縮状態との間の動きにより生じた圧力により拡張状態と、収縮状態との間で変動するようになっている請求項26から29のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項31】
前記収納チャンバーが、第1の部分と、第2の部分とを有する境界壁を有し、これら部分が相互との関係で移動自在になっていて、該収納チャンバーを拡張状態又は収縮状態にさせるようになっている請求項26から30のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項32】
前記移送孔が収納チャンバーの境界壁の前記第1の部分内に設けられ、前記収納チャンバーの境界壁の前記第2の部分が該移送孔から離間している請求項3に従属する場合の請求項31記載のディスペンサー。
【請求項33】
使用時において、前記収納チャンバーの境界壁の前記第2の部分の前記移送孔からの離間の大きさが前記計量チャンバーの拡張状態と収縮状態との間の各サイクルの動きの後に減少するようになっている請求項32記載のディスペンサー。
【請求項34】
前記収納チャンバーの境界壁の前記第2の部分が、該収納チャンバーの境界壁の前記第1の部分上に摺動自在に装着されている請求項31から33のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項35】
前記収納チャンバーの境界壁の前記第2の部分が、該収納チャンバーの境界壁の前記第1の部分上に気密的に摺動自在に装着されている該収納チャンバーの末端壁部を表している請求項34記載のディスペンサー。
【請求項36】
前記収納チャンバーの境界壁の前記第1の部分が、前記計量チャンバーの境界壁の前記第1の部分を含むものである請求項2に従属する場合の請求項31から35のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項37】
前記容器ユニットが、ディスペンサー内において並進可能に設けられている請求項12又は請求項12に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項38】
軸を有し、該軸に沿って前記収納チャンバーおよび前記計量チャンバーが配置されている請求項1から37のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項39】
前記軸上に移動自在に前記容器ユニットが装着されている請求項37又は38記載のディスペンサー。
【請求項40】
前記軸上に前記出口孔が配置されている請求項38又は39記載のディスペンサー。
【請求項41】
前記軸上に前記分配用出口が配置されている請求項38、39又は40記載のディスペンサー。
【請求項42】
前記出口孔および前記分配用出口がディスペンサーの軸方向通路の対向端部に設けられている請求項41記載のディスペンサー。
【請求項43】
前記ノズルが、前記収納チャンバー、前記計量チャンバーおよび前記出口孔と、直列構造で設けられている請求項22又は請求項22に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項44】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1の部分が前記計量チャンバーの境界壁の前記第2の部分上に摺動自在に設けられている請求項2又は請求項2に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項45】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1の部分が前記計量チャンバーの境界壁の前記第2の部分上に気密的に摺動自在に設けられている請求項8に従属する請求項44記載のディスペンサー。
【請求項46】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1の部分が、前記計量チャンバーの軸方向に配向された側の少なくとも一部を表している請求項38から42、又は44又は45のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項47】
前記移送孔が前記計量チャンバーの軸方向に配向された側に設けられている請求項3に従属する場合の請求項46記載のディスペンサー。
【請求項48】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1の部分が、前記計量チャンバーの可動末端壁を具現化している請求項2又は請求項2に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項49】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1の部分が、略U字形をなしている請求項2又は請求項2に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項50】
前記計量チャンバーの末端壁がU字形の基部により具現化され、該計量チャンバーの側壁がU字形のリムにより具現化されている請求項46、48又は49記載のディスペンサー。
【請求項51】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第2の部分が、軸方向に配向した面を有する構造により具現化され、該軸方向配向面上に前記計量チャンバーの側面が摺動自在に装着されている請求項8に従属する場合の請求項46、47又は50記載のディスペンサー。
【請求項52】
前記構造の軸方向配向面が外側表面である請求項51記載のディスペンサー。
【請求項53】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第2の部分が前記計量チャンバーの末端壁を表している請求項8又は請求項8に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項54】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第2の部分が略U字形の構造により具現化されている請求項8又は請求項8に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項55】
前記U字形構造の基部が前記計量チャンバーの末端壁面を表し、該U字形構造のリムが軸方向配向面を表している請求項7に従属する場合の請求項51、52、53又は54記載のディスペンサー。
【請求項56】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1の部分が、前記容器ユニットの外側表面内において雌型窪みとして形成されている請求項12又は請求項12に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項57】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第2の部分が、雄型突起として形成され、該突起が前記雌型窪み内に挿入されるようになっている請求項8に従属する場合の請求項56記載のディスペンサー。
【請求項58】
前記窪みが前記収納チャンバー内に延出している請求項56又は57記載のディスペンサー。
【請求項59】
前記窪みが前記収納チャンバーにより囲まれている請求項58記載のディスペンサー。
【請求項60】
前記計量チャンバーが前記収納チャンバーの少なくとも一部により囲まれている請求項1から59のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項61】
前記収納チャンバーの少なくとも一部が前記計量チャンバーと同軸に配置されている請求項60記載のディスペンサー。
【請求項62】
前記計量チャンバーがその収縮状態にあるとき、前記計量チャンバーの容積がゼロ又は実質的にゼロである請求項1から61のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項63】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1および第2の部分が収縮状態において接触するようになっている請求項8に従属する場合の請求項62記載のディスペンサー。
【請求項64】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1および第2の部分が相補的形状をなしている請求項63記載のディスペンサー。
【請求項65】
前記第1および第2の部分が収縮状態において入れ子式に重なるようになっている請求項63又は64記載のディスペンサー。
【請求項66】
前記計量チャンバーの境界壁の前記第1の部分が、該計量チャンバーの収縮状態において出口孔を閉じるようになっている請求項2又は請求項2に従属するいずれかの請求項に記載のディスペンサー。
【請求項67】
手持ち式のものである請求項1から66のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項68】
前記計量チャンバーのその異なる状態間の動きを駆動するための手動駆動機構を更に有する請求項1から67のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項69】
前記手動駆動機構が手動による係合可能な駆動部材を有し、前記容器ユニットを移動させるべく前記駆動部材が容器ユニットに操作自在に結合し、それにより前記計量チャンバーがその異なる状態間のサイクルを完了させるようになっている請求項12に従属する場合の請求項68記載のディスペンサー。
【請求項70】
前記手動駆動機構が手動による係合可能な駆動部材を有し、該駆動部材がディスペンサー上に移動自在に装着され、該駆動部材の動きが前記計量チャンバーの異なる状態間の動きの完全なサイクルを生じさせるようになっている請求項68記載のディスペンサー。
【請求項71】
前記駆動部材の単一方向への動きが前記計量チャンバーの異なる状態間の動きの完全なサイクルを生じさせるようになっている請求項69又は70記載のディスペンサー。
【請求項72】
前記単一方向がディスペンサーとの関係で内側である請求項71記載のディスペンサー。
【請求項73】
前記駆動部材が外側方向に付勢されている請求項72記載のディスペンサー。
【請求項74】
前記駆動部材がトリガー部材である請求項69から73のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項75】
前記駆動部材がディスペンサー上に枢着されている請求項69から74のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項76】
前記分配用出口がディスペンサーの上端に位置し、前記駆動部材がディスペンサーの側面に装着されている請求項69から75のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項77】
前記駆動部材が、その下端に枢支点を有する請求項75又は76記載のディスペンサー。
【請求項78】
前記計量チャンバーが収縮状態にある静止状態を有する請求項1から77のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項79】
静止状態において、前記容器ユニットがディスペンサー内における静止位置に配置され、前記手動駆動機構により容器ユニットが1つのサイクルを通過するよう駆動され、このサイクルは静止位置で開始され、かつ、終了し、更にプライミング位置を通過し、この位置で前記計量チャンバーが該駆動機構の操作により拡張状態をとるようになっていることを特徴とする請求項12に従属する場合の請求項68又は78記載のディスペンサー。
【請求項80】
前記駆動機構が容器ユニットを静止位置に付勢する請求項79記載のディスペンサー。
【請求項81】
前記収容チャンバー内に液体製品を収容してなる請求項1から80のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項82】
前記流体生成物が液体、粘性製品、粉体、気体から選択されるものである請求項81記載のディスペンサー。
【請求項83】
前記流体生成物が薬剤である請求項81又は82記載のディスペンサー。
【請求項84】
前記流体生成物が保存剤無添加のものである請求項81、82又は83記載のディスペンサー。
【請求項85】
前記ブリード機構が、前記計量チャンバーの拡張状態から収縮状態への動きにより、流体生成物の余剰分を該計量チャンバーから流出させるようになっている請求項1から84のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項86】
前記計量チャンバーが入口孔を有し、該入口孔を介して該計量チャンバーおよび前記収納チャンバーが互いに連通するようになっており、更に、入口弁機構が設けられており、該入口弁機構が前記入口孔と連動して前記入口孔を選択的に開口および閉塞させるようになっており、前記計量チャンバーがその収縮状態から拡張状態に移動したとき前記入口弁機構が前記入口孔を開口させるようになっている請求項1から85のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項87】
前記入口弁機構が逆止め弁である請求項86記載のディスペンサー。
【請求項88】
前記圧力差により、前記入口弁機構が前記入口孔を開口させるようになっている請求項14に従属する場合の請求項86又は87記載のディスペンサー。
【請求項89】
前記入口弁機構が付勢機構を有し、それにより該入口弁機構を付勢して前記位置口孔を閉塞させるようになっている請求項86、87又は88記載のディスペンサー。
【請求項90】
前記入口弁機構が、前記計量チャンバーの収縮状態から拡張状態への動きの初期段階において、前記入口孔を開口させるようになっている請求項86から89のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項91】
前記計量チャンバーの収縮状態から拡張状態への動きにより、前記入口孔の開口時において、開口した前記入口孔が、前記流体生成物が前記収納チャンバーから前記計量チャンバーへ導入される唯一の流路である請求項86から90のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項92】
前記分配用出口が該装置ユニットの分配用出口であり、使用時に、分配用出口を介して流体生成物の計量分を外部環境に分配するようになっている請求項1から91のいずれかに記載のディスペンサーを有する分配ユニット。
【請求項93】
前記分配用出口が該装置ユニットの内部出口であり、使用時に、該内部出口を介して流体生成物の計量分を該装置ユニット内に分配するようになっている請求項1から91のいずれかに記載のディスペンサーを有する装置ユニット。
【請求項94】
更に、前記装置ユニットの周りの外部環境に開口する分配用出口と、前記内部出口を介して分配された前記流体生成物を前記分配用出口を介して外部環境に搬送する手段とを具備してなる請求項93記載の装置ユニット。
【請求項95】
前記搬送手段が前記流体生成物の状態を変化させるようになっている請求項94記載の装置ユニット。
【請求項96】
前記搬送手段が振動素子を有し、前記ディスペンサーにより分配された液体をエアゾール化するようにした請求項94又は95記載の装置ユニット。
【請求項97】
前記振動素子が圧電素子である請求項96記載の装置ユニット。
【請求項98】
図1から3、図1から4、図1から3および5、又は図1から5を参照して実質的に記載され、又はこれら図に示されている流体ディスペンサー。

【図1】
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【図2A】
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【図2A−2】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【公表番号】特表2007−520298(P2007−520298A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551927(P2006−551927)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000414
【国際公開番号】WO2005/075104
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain