説明

流体ディスペンサ装置

流体ディスペンサ装置であって、本体(10)と、貯蔵容器(20)と、投与開口部(5)を備えたディスペンサヘッド(100)と、前記貯蔵容器(20)に取り付けられた、ポンプまたは弁であるディスペンサ部材(30)と、を有し、前記ディスペンサ部材(30)は、ディスペンサ部材本体(31)と可動部材(35)とを有し、前記可動部材(35)は前記ディスペンサ部材(30)の駆動中に前記ディスペンサ部材本体の内部で軸方向に移動し、前記本体(10)に固定された側面駆動システム(40)を更に有し、前記側面駆動システムは、駆動要素(41)を少なくとも1つ有し、当該駆動要素(41)は、前記貯蔵容器(20)、前記ディスペンサ部材(30)、または、前記貯蔵容器(20)および前記ディスペンサ部材(30)の両方または一方に固定された要素、と係合するとともに、休止位置と駆動位置との間で移動可能であり、前記駆動要素(41)が休止位置にある時に前記ディスペンサ部材(30)は駆動されず、前記駆動要素(41)が駆動位置にある時に前記ディスペンサ部材(30)は駆動され、前記本体(10)は、少なくとも1つの前記駆動要素(41)を案内するために案内面部材(50)を少なくとも1つ有し、前記案内面部材(50)は、前記ディスペンサヘッド(100)に対して移動せず、かつ、前記ディスペンサ部材(30)の駆動中にディスペンサ部材本体(31)内で移動する可動部材(35)の移動軸に対して平行である、という流体ディスペンサ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体ディスペンサ装置に関し、より具体的に言えば、薬剤を対象とした鼻スプレー装置(nasal-spray device)に関する。
【背景技術】
【0002】
流体ディスペンサ装置は従来技術において公知である。それらは通常、流体を格納した貯蔵容器を有し、当該貯蔵容器にはディスペンサ部材(例えばポンプや弁)が組み付けられている。ディスペンサ部材は一般的に、ディスペンサヘッドによって駆動されることで、前記貯蔵容器に格納された流体を選択的に投与する。ディスペンサヘッドは、流体が噴霧される際に通る投与開口部を有する(鼻スプレー装置の場合、流体はユーザの鼻の中に噴霧される)。この種の装置の多くは、ユーザが手動で駆動する。貯蔵容器とディスペンサヘッドとを軸方向に相対移動させると、それによってディスペンサ部材は駆動される。
【0003】
しかし、この種の装置には問題点が見られる。具体的には、装置の種類が鼻スプレーである場合、装置の駆動のためにユーザが加える軸方向の力により、ディスペンサヘッドの位置がユーザの鼻孔内部でずれてしまう危険が生じるが、ディスペンサヘッドの位置がずれることで、駆動時にユーザが負傷したり、流体の投与が不完全または不適正なものとなったりするおそれがある。この問題の解消のために提案されたのが、側面駆動装置である。側面駆動装置は通常、回動可能な形で本体に取り付けられたレバーを有し、当該レバーの内側部分がディスペンサヘッドおよび貯蔵容器のうち一方と係合し、係合した方の要素を他方に対して移動させることでディスペンサ部材を駆動する、という構成になっている。
【0004】
しかし、こうした装置では、駆動時に生じる径方向の力の影響で、有効成分をユーザの鼻孔内部に噴霧するにあたって問題が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公報第2005/075105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題が生じない流体ディスペンサ装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、ユーザが負傷する危険がなく、毎回安全かつ信頼できる形で駆動されることが保証される流体ディスペンサ装置(具体的には鼻スプレー装置)を提供することを目的とする。
そして特に、本発明は、製造および組立が簡単かつ安価である流体ディスペンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の達成のために本発明が提供するのは、流体ディスペンサ装置であって、本体と、貯蔵容器と、投与開口部を備えたディスペンサヘッドと、前記貯蔵容器に取り付けられた、ポンプまたは弁であるディスペンサ部材と、を有し、前記ディスペンサ部材は、ディスペンサ部材本体と可動部材とを有し、前記可動部材は前記ディスペンサ部材の駆動中に前記ディスペンサ部材本体の内部で軸方向に移動し、前記本体に固定された側面駆動システムを更に有し、前記側面駆動システムは、駆動要素を少なくとも1つ有し、当該駆動要素は、前記貯蔵容器、前記ディスペンサ部材、または、前記貯蔵容器および前記ディスペンサ部材の両方または一方に固定された要素、と係合するとともに、休止位置と駆動位置との間で移動可能であり、前記駆動要素が休止位置にある時に前記ディスペンサ部材は駆動されず、前記駆動要素が駆動位置にある時に前記ディスペンサ部材は駆動され、前記本体は、少なくとも1つの前記駆動要素を案内するために案内面部材を少なくとも1つ有し、前記案内面部材は、前記ディスペンサヘッドに対して移動せず、かつ、前記ディスペンサ部材の駆動中にディスペンサ部材本体内で移動する可動部材の移動軸に対して平行である、という流体ディスペンサ装置である。
【発明の効果】
【0008】
また、少なくとも1つの前記駆動要素は、駆動ストローク全体にわたって前記案内面部材と接する、丸みを付けられた接触領域を有すること、とするのが効果的である。
また、前記案内面部材は投与開口部を備えたディスペンサヘッドに固定されていること、とするのが効果的である。
また、少なくとも1つの前記駆動要素は突起部と係合し、当該突起部は、貯蔵容器、ディスペンサ部材、または、貯蔵容器またはディスペンサ部材に固定された要素に固定されていること、とするのが効果的である。
【0009】
また、少なくとも1つある前記突起部は、前記貯蔵容器に組み付けられたリングに固定されていること、とするのが効果的である。
また、前記リングはディスペンサ部材を貯蔵容器に固定するものであること、とするのが効果的である。
また、少なくとも1つの前記駆動要素は、前記突起部が挿入される穴を有し、駆動時に前記突起部を中心に回動すること、とするのが効果的である。
【0010】
また、前記側面駆動システムは、軸(A)を中心に回動するように本体に取り付けられた押圧要素を有し、少なくとも1つの前記駆動要素は、軸(B)を中心に回動するように前記押圧要素に取り付けられていること、とするのが効果的である。
また、前記押圧要素は、駆動時にユーザが押さえる押圧領域を有すること、とするのが効果的である。
【0011】
また、前記軸(A)は前記軸(B)よりも投与開口部から遠いこと、とするのが効果的である。
また、前記軸(A)は、前記軸(B)よりも投与開口部に近いこと、としても効果的である。
また、前記駆動要素は、駆動時にユーザが押さえる押圧領域を有すること、とするのが効果的である。
【0012】
また、本体は、案内面部材に対して傾斜した第2の案内面部材を有すること、とするのが効果的である。
また、前記第2の案内面部材は、少なくとも2つ、好ましくは3つの傾斜の異なる部分から成り、前記駆動要素が有する、丸みを付けられた第2の接触領域と接すること、とするのが効果的である。
【0013】
また、前記第2の案内面部材は、休止位置にある駆動要素と接する第1の部分と、駆動ストローク中の駆動要素と接する第2の部分と、駆動位置にある駆動要素と接する第3の部分とから成ること、とするのが効果的である。
また、前記第2の案内面部材は案内面部材に接続されていること、とするのが効果的である。
【0014】
また、前記第2の案内面部材は、前記駆動要素に形成された長穴によって形成されており、前記長穴の内部に、本体に固定されて駆動要素の回動軸(A)となるピンが挿入されていること、とするのが効果的である。
また、前記長穴の幅は前記ピンの幅と等しく、前記長穴の長さは前記ピンの幅を上回ること、とするのが効果的である。
【0015】
また、前記本体は、駆動時に貯蔵容器を案内する軸方向案内スリーブを有すること、とするのが効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態を休止状態において示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を駆動状態において示す概略図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を休止状態において示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を駆動状態において示す概略図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を休止状態において示す概略図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を駆動状態において示す概略図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を休止状態において示す概略図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態を駆動状態において示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明が有する上記の特徴および効果、そして他の特徴および効果については、非限定的な例として示す本発明の複数の実施の形態に関する以下の詳細な説明を、添付図面を参照しながら読むことで、更に明らかになるであろう。
先ず、本発明の第1の効果的な実施の形態を示す図1、2を参照する。ここに示す流体ディスペンサ装置は本体10を有し、当該本体10の中に組み付けられた貯蔵容器20には、ユーザの鼻の中に噴霧される流体(具体的には薬剤)が格納されている。前記貯蔵容器20には、ポンプや弁などのディスペンサ部材30が、効果的な構成として固定用リング60によって組み付けられている。ディスペンサ部材は、ポンプ本体や弁本体などのディスペンサ部材本体31と、ピストン棒や弁部材などの可動部材35とを有し、当該可動部材35は、摺動可能な形で前記ディスペンサ部材本体内に設置されている。従来と同じく、前記ディスペンサ部材30は、可動部材35がディスペンサ部材本体31の内部に進入させられることで駆動される。このことは、図面には非常に概略的にしか示していないが、可動部材35は、図1、3、5、7(休止位置)ではディスペンサ部材本体の上に出ており、図2、4、6、8(駆動位置)ではディスペンサ部材本体に進入している。
【0018】
効果的な構成として、ディスペンサヘッド100は前記ディスペンサ部材30に組み付けられており、流体は、前記ディスペンサヘッド100が有する投与開口部5を通して投与される。図示した実施の形態において、ディスペンサヘッド100は装置の本体10の一部を形成する、あるいは、これに固定されている。ディスペンサヘッド100は前記本体と一体に作ってもよい。
【0019】
本装置は側面駆動システム40を有し、当該側面駆動システム40は本体10に固定されており、貯蔵容器20、ディスペンサ部材30、または、前記貯蔵容器20および前記ディスペンサ部材30の両方または一方に固定された要素(例えば、ディスペンサ部材30を貯蔵容器20に固定する固定用リング60)と係合するように作られている。これ以外の構成として、別のリングを貯蔵容器または固定用リング60に固定して、この別のリングを側面駆動システムと係合させることも可能である。
【0020】
側面駆動システム40は駆動要素41を有する。図1、2に示す実施の形態での駆動要素41は、軸Bを中心に回動するように押圧要素(presser element)42に取り付けられている。押圧要素42の方は、軸Aを中心に回動するように本体10に取り付けられている。すなわち、図1、2に示す実施の形態は、相互接続された2つの回動要素を有する。ユーザが押圧要素42を(望ましくは押圧領域420において)押さえると、押圧要素42は軸Aを中心に本体10に対して回動することになる。さらに、押圧要素42の回動によって、駆動要素41が軸Bを中心に前記押圧要素42に対して回動することになり、それによってディスペンサ部材30が駆動される。駆動要素41は突起部70と係合しており、当該突起部70については、効果的な構成として、貯蔵容器20、ディスペンサ部材30、あるいは貯蔵容器およびディスペンサ部材の両方または一方に固定された要素に固定されている。突起部70は、前記貯蔵容器に組み付けられたリング60に形成するのが効果的である。リング60は、効果的な構成として、ディスペンサ部材30を貯蔵容器に固定する働きをするものである。
【0021】
本発明では、装置の本体10が少なくとも1つの案内面部材50を有し、当該案内面部材50は、駆動ストローク中、すなわちユーザが側面駆動システム40を駆動して駆動要素41が回動している間、駆動要素41を案内する働きをする。図1、2に具体的に示すように、案内面部材50は縦方向かつ軸方向に延びている(すなわち、ディスペンサ部材30の駆動中にディスペンサ部材本体31内で移動する可動部材35の移動軸に対してほぼ平行である)。案内面部材50の面は平坦にするのが好ましい。また、案内面部材50は駆動時にディスペンサヘッドに対して移動しない。こうした構成により、案内面部材は、装置の駆動中に側面駆動システム40から加わる径方向の力を小さくする(更に言えば、解消する)働きをする。このように構成すれば、ユーザによる装置駆動時にディスペンサヘッド100の位置が鼻孔内で横方向にずれて、有効成分の全てまたは一部が不適切な形で放出されてしまう、という事態が生じる危険はなくなる。効果的な構成として、駆動要素41は、駆動ストローク全体にわたって案内面部材50と接している接触領域410を有するが、当該接触領域410の形は丸みを帯びている。そのため、案内面部材との摩擦は最小限にでき、案内面部材50の存在が側面駆動システムの駆動を妨げる形で及ぼす影響も最小限に抑制できる。
【0022】
図1、2における実施の形態では、案内面部材50はディスペンサヘッド100に固定されているが、当然のことながら、装置内により適切な場所があれば、その場所に配置すればよい。図に示すように、効果的な構成として、本体は軸方向案内スリーブ15を有し、当該軸方向案内スリーブ15は貯蔵容器20を収容し、装置の駆動中に本体内部で移動する貯蔵容器20を案内する。案内スリーブ15を配置する場所は、図に示すように、直立状態の装置における本体の底部分とするのが好ましい。
【0023】
図3、4は第2の実施の形態をしている。図1、2に示す実施の形態との主な相違点は、単一の回動要素(すなわち駆動要素41)から成る側面駆動システム40を用いることである。従って、本例では、装置の駆動にあたってユーザが押さえる押圧領域420は、駆動要素41に設けられている。軸方向案内面部材50について、そして、駆動要素41が貯蔵容器およびディスペンサ部材で成るユニットと係合して駆動を実現する方法については、図1、2を参照しながら説明したのと同様である。しかしながら、この第2の実施の形態における駆動要素41が、駆動ストローク全体にわたって軸方向案内面部材50との継続的な接触状態を確実に維持するためには、駆動要素41を自身の回動軸Aに対して多少移動できる構成にする必要がある。
【0024】
これは、駆動要素41に長穴417を形成し、本体10に固定されて回動軸Aを規定するピン16が前記長穴417に挿入されるように駆動要素41を組み付ける、という構成で実現するのが効果的である。そして、この長穴については、図3、4に示すように、直立状態の装置において見た場合には傾斜している。当該長穴の長さおよび幅を前記ピン16と比べると、長さはピンを上回る一方、幅はほぼ等しく(わずかながら大きく)なっている。これにより、軸Aを中心にして回動する駆動要素41を、傾斜した長穴に沿って摺動させることができる。
【0025】
つまり、案内面部材50に対して傾斜した第2の案内面部材550が、長穴417の内面部分によって形成されている。第2の案内面部材550の形状および傾斜角度は、案内面部材50と係合する駆動要素41の丸みを付けた接触領域410の形状に応じて決める。ここで目的となっているのは、案内面部材50に継続して圧力(thrust)が加わるようにして、駆動時に装置本体に径方向に作用する力を小さくすること(更に言えば、解消すること)である。
【0026】
図5、6は、本発明の第3の実施の形態を示す。この第3の実施の形態における回動式の側面駆動システム40は、単一の駆動要素41で成り、当該駆動要素41が押圧領域420を備え、図5に示す矢印の方向にユーザが押圧領域420を押さえることで装置が駆動される。本実施の形態における案内面部材50は、ディスペンサヘッドに固定されているのではなく、3つの部分510、520、530で形成された第2の案内面部材を介して、本体10の別の部分に接続されている。そうして本例では、駆動要素41のピボット軸を形成するのはピン70であり、当該ピン70は、貯蔵容器20、ディスペンサ部材30、貯蔵容器およびディスペンサ部材の両方または一方に固定された要素のうち少なくとも1つに固定されている。従って、駆動要素41は、丸みを付けた形状の接触領域410で軸方向の案内面部材50(すなわち、図に示す直立状態における縦方向に延びた案内面部材)と接すると共に、第2の接触領域415において第2の案内面部材とも接している。第2の接触領域415についても、丸みを付けた形状とするのが好ましい。
【0027】
図5、6の実施の形態をより厳密に見ていくと、第2の案内面部材が有する第1の部分510は、図5に示す直立状態の装置において、ほぼ水平方向に延びている。第1の部分510が駆動要素41と接する状態になるのは、装置が休止状態にある時となる。第1の部分510の先には、第2の部分520が、第1の部分510に対して角度を成す方向に延びている。第2の部分520が駆動要素41と接する状態になるのは、装置の駆動ストロークが実行されている間である。そして最後に、第3の部分530が、第2の部分520と軸方向の案内面部材50との間をつないでいる。第3の部分530が駆動要素41と接する状態になるのは、装置が駆動状態になった時である。当然のことながら、このようにお互いに対して傾斜した3つの部分を有する、という第2の案内面部材の特別な形状は必須ではなく、案内面部材50に対して傾斜した単一の部分によって第2の案内面部材を形成することも考えられる。ここで目的となるのは、やはり、駆動時に側面駆動システムから加わる径方向の力を確実に小さくすること(更に言えば、解消すること)である。
【0028】
図7、8は本発明の第4の実施の形態を示す。本実施の形態における側面駆動システム40は、図1、2を参照しながら説明した第1の実施の形態と同様に、お互いに対して回動するように取り付けられた2つの要素を有する。留意すべき点として、図7、8は装置の一部のみ示している。側面駆動システム40は駆動要素41を有し、当該駆動要素41は、一方では突起部70を介してディスペンサ部材30、貯蔵容器20、または、貯蔵容器およびディスペンサ部材の両方または一方に固定された要素(固定用リング60など)と係合する。
【0029】
駆動要素41はまた、本発明の案内面部材50と接する。そうして、駆動要素41は、図7、8に概略的に示す中間押圧要素42に回動可能な形で取り付けられており、中間押圧要素42の方は、ピボット軸Aを中心に回動する形で本体に取り付けられている。ユーザが押圧要素42を押さえると、前記押圧要素は軸Aを中心に回動し、それによって駆動要素41が軸Bを中心に回動することで装置が駆動される。こうした駆動の形は、図1、2における駆動の形と原理の点で類似している。しかし、本実施の形態では、軸Aが軸Bよりも投与開口部5に近い(これに対し、図1、2の第1の実施の形態では、軸Aは軸Bよりも投与開口部5から遠い)。図7、8に示す実施の形態での駆動要素41は、押圧要素42より低い位置から突起部70と係合して装置を駆動する。
【0030】
これまでに述べた各種の実施の形態において、駆動要素41は、それが係合する突起部70を中心に回動する。こうした突起部70と係合する場合、駆動要素41は、前記突起部70を挿入するように配置された穴を有することで、前記突起部を中心に回動できる、という構成にするのが好ましい。当然のことながら、変形例として、駆動要素41が何らかの別の形で、貯蔵容器の一部、ディスペンサ部材の一部、または、貯蔵容器およびディスペンサ部材の両方または一方に固定された要素の一部と係合する構成を考えることも可能である。その場合は、例えば、何らかの適当な形状加工部を下から押すか、または、カム面を用いることで、側面駆動システム40が横方向に駆動されている間にディスペンサ部材30を軸方向に移動させることができる。
【0031】
また、留意すべき点として、本発明の軸方向案内壁は、側面駆動システムでなく軸方向駆動システム(例えば、ユーザが軸方向に駆動することが可能な従来型の鼻スプレー駆動装置)と共に用いることも可能である。こうした用法の場合、案内壁が駆動ストローク中の駆動要素を案内することで、ユーザの加える力が完全に軸方向ではなかった場合に生じる危険のある「傾き」やずれを防ぐことができる。つまり、ポンプの詰まり、漏れの発生、ドーズの不完全な投与につながる駆動不良の危険が、案内壁の存在によって回避される。
【0032】
なお、当業者であれば、本発明の添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱しない形で、上記以外の変更を考案することも可能であろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ディスペンサ装置であって、
本体(10)と、
貯蔵容器(20)と、
投与開口部(5)を備えたディスペンサヘッド(100)と、
前記貯蔵容器(20)に取り付けられた、ポンプまたは弁であるディスペンサ部材(30)と、を有し、
前記ディスペンサ部材(30)は、ディスペンサ部材本体(31)と可動部材(35)とを有し、前記可動部材(35)は前記ディスペンサ部材(30)の駆動中に前記ディスペンサ部材本体の内部で軸方向に移動し、
前記本体(10)に固定された側面駆動システム(40)を更に有し、前記側面駆動システムは、駆動要素(41)を少なくとも1つ有し、当該駆動要素(41)は、前記貯蔵容器(20)、前記ディスペンサ部材(30)、または、前記貯蔵容器(20)および前記ディスペンサ部材(30)の両方または一方に固定された要素、と係合するとともに、休止位置と駆動位置との間で移動可能であり、前記駆動要素(41)が休止位置にある時に前記ディスペンサ部材(30)は駆動されず、前記駆動要素(41)が駆動位置にある時に前記ディスペンサ部材(30)は駆動され、
前記本体(10)は、少なくとも1つの前記駆動要素(41)を案内するために案内面部材(50)を少なくとも1つ有し、前記案内面部材(50)は、前記ディスペンサヘッド(100)に対して移動せず、かつ、前記ディスペンサ部材(30)の駆動中にディスペンサ部材本体(31)内で移動する可動部材(35)の移動軸に対して平行であること、
を特徴とする流体ディスペンサ装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記駆動要素(41)は、駆動ストローク全体にわたって前記案内面部材(50)と接する、丸みを付けられた接触領域(410)を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項3】
前記案内面部材(50)は投与開口部(5)を備えたディスペンサヘッドに固定されていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記駆動要素(41)は突起部(70)と係合し、当該突起部(70)は、貯蔵容器(20)、ディスペンサ部材(30)、または、貯蔵容器またはディスペンサ部材に固定された要素に固定されていること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項5】
少なくとも1つある前記突起部(70)は、前記貯蔵容器(20)に組み付けられたリング(60)に固定されていること、
を特徴とする請求項4に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項6】
前記リング(60)はディスペンサ部材(30)を貯蔵容器(20)に固定するものであること、
を特徴とする請求項5に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記駆動要素(41)は、前記突起部(70)が挿入される穴を有し、駆動時に前記突起部(70)を中心に回動すること、
を特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項8】
前記側面駆動システム(40)は、軸(A)を中心に回動するように本体(10)に取り付けられた押圧要素(42)を有し、少なくとも1つの前記駆動要素(41)は、軸(B)を中心に回動するように前記押圧要素(42)に取り付けられていること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項9】
前記押圧要素(42)は、駆動時にユーザが押さえる押圧領域(420)を有すること、
を特徴とする請求項8に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項10】
前記軸(A)は前記軸(B)よりも投与開口部(5)から遠いこと、
を特徴とする請求項8または9に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項11】
前記軸(A)は、前記軸(B)よりも投与開口部(5)に近いこと、
を特徴とする請求項8または9に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項12】
前記駆動要素(41)は、駆動時にユーザが押さえる押圧領域(420)を有すること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項13】
本体(10)は、案内面部材(50)に対して傾斜した第2の案内面部材(510,520,530;550)を有すること、
を特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項14】
前記第2の案内面部材は、少なくとも2つ、好ましくは3つの傾斜の異なる部分(510,520,530)から成り、前記駆動要素(41)が有する、丸みを付けられた第2の接触領域(415)と接すること、
を特徴とする請求項13に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項15】
前記第2の案内面部材は、休止位置にある駆動要素(41)と接する第1の部分(510)と、駆動ストローク中の駆動要素(41)と接する第2の部分(520)と、駆動位置にある駆動要素(41)と接する第3の部分(530)とから成ること、
を特徴とする請求項14に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項16】
前記第2の案内面部材(510,520,530)は案内面部材(50)に接続されていること、
を特徴とする請求項15に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項17】
前記第2の案内面部材(550)は、前記駆動要素(41)に形成された長穴(417)によって形成されており、前記長穴(417)の内部に、本体に固定されて駆動要素(41)の回動軸(A)となるピン(16)が挿入されていること、
を特徴とする請求項13に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項18】
前記長穴(417)の幅は前記ピン(16)の幅と等しく、前記長穴(417)の長さは前記ピン(16)の幅を上回ること、
を特徴とする請求項17に記載の流体ディスペンサ装置。
【請求項19】
前記本体は、駆動時に貯蔵容器(20)を案内する軸方向案内スリーブ(15)を有すること、
を特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の流体ディスペンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−524230(P2011−524230A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514096(P2011−514096)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051137
【国際公開番号】WO2009/153513
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)