説明

流体処理方法および装置

【課題】導管内部でバクテリアを殺しかつ懸濁固体物質の凝集を起こさせるために、流体、特に水性流体を処理する方法および装置を提供する。
【解決手段】導管10に沿って間隔を開けた位置で導管を取り囲んで導管に搭載されるようになされた導磁材料の第1および第2のコア要素11、12と、処理されるべき流体内に導管に沿って間隔を開けた位置から延びるそれぞれの電磁場を発生させるために、前記コア要素内に無線周波数磁束を形成するための手段とを備え、導管内の流体を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部でバクテリアを殺しかつ懸濁固体物質(suspended solid matter)の凝集を起こさせるために、導管内で流体、特に水性流体を処理する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的処理は、通常、水供給システム、加熱システム等々でバクテリアを殺し、かつ/または懸濁固体の凝集を起こさせるために使用される。例えば、バクテリアを殺すために塩素ガスを水の中に導入しその中に溶解させることができ、溶解した塩素の濃度は監視されバクテリア致死レベルに維持される。オゾンもこの目的のために使用されてきており、流れる流体中に導入され、その後それがその機能を果たしたとき取り除かれる。水をUV光で照射することによって処理できることも知られており、高周波電磁場をこの目的のために使用することができることも提案されてきている。凝集は本質的に化学的処理によって達成されてきた。
【0003】
概して殺菌および凝集目的のための改善された流体処理を提供することが本発明の目的である。
【0004】
本発明の一態様によれば、導管に沿って間隔を開けた位置で導管を取り囲んで導管に搭載されるようになされた導磁材料の第1および第2のコア要素と、処理されるべき流体内に導管に沿って間隔を開けた位置から延びるそれぞれの電磁場を発生させるために、前記コア要素内に無線周波数磁束を形成するための手段とを備える、導管内に収容される流体を処理するための装置が提供される。
【0005】
コア要素内に無線周波数磁束を形成するための手段は、コア要素が内部を通過するそれぞれのコイルを備えることができ、そのコイルは無線周波数電気信号によって付勢される(energised)。
【0006】
この電気信号は矩形波形または正弦波形であることができ、または可能性として他の波形も使用することができる。
【0007】
このコア要素はフェライト材料のものであることができ、パイプなどの導管に側面から(すなわち、導管の端部から導管の上に配置する必要なしに)それらを適用できるように、閉じたリング形態から開くことが可能なようにすることができる。
【0008】
コア要素に加えられる信号の周波数は、互いに同じであることも、互いに異なることもできる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、導管を取り囲みかつ導管の縦方向に互いに間隔を開けた導磁材料のコア要素を設けるステップと、前記コア要素内に無線周波数磁束を形成させ、それによって導管に沿った間隔の開いた位置のところで生じる無線周波数フィールドを導管内の流体内に形成させるステップとを含む、導管内を流れる流体の処理方法が提供される。
【0010】
この方法による導管内の流体処理は、導管内のバクテリアを殺し、藻を含む流体内に懸濁する微粒子の凝集を起こさせるのに効果的である。
【0011】
この方法は、そのような凝集した懸濁微粒子を取り除くために、フィールドによる処理ステップに引き続き流体をろ過するステップをさらに含むことができる。
【0012】
次に本発明を例示の目的で添付の図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
最初に図1を参照すると、水を搬送するためのパイプ10の形態での導管を示す。パイプ10はプラスチックまたは銅パイプであることができる。導管を取り囲んで、かつ導管に沿って互いに間隔を開けて全体的に11、12に示される第1および第2のコア要素が存在し、それらは互いに同一または実質的に同一であり、したがって、そのうちの1つのみ詳細に説明する。このコア要素11は、好ましくは適切なフェライト材料である導磁材料から作られており、それぞれのケーシング部分内に格納されるそのような材料の多数の個々の要素を備え、それらの要素は図面で13、14、15、16および17に示されて見え、18、19、20のところに見える内部を通過する固定具によって要素の挿入端部部分のところで互いに連結される。このコア要素は、それぞれ別の固定具22、23によって要素15、16に連結される最終要素21によって完結する。固定具22および/または固定具23は、導管21上に横方向に(すなわち、導管の端部から摺動させることによって導管上に配置する必要なしに)配置することができるように、コア要素をその閉じたリングの形態から開くことができるようにするために、例えば、取外し可能なねじで分離可能にすることができる。
【0014】
電導体の主コイルはコア要素21に伴うハウジング24内に配設され、このコイルはコア要素を取り囲む。これは、信号発生器ユニット26内に収容される無線周波数信号発生器に線25によって接続される。同様に、信号発生器ユニット26はコア要素12の対応する主コイルに線27によって接続される。
【0015】
信号発生器26によって発生し、導管10を取り囲む磁気コア要素11、12の主コイルに加えられる電気信号は、無線周波数信号であり、正弦波、矩形波、または任意の他の適切な波形状であることができる。それらは、例えば欧州特許第493559号または第720588号に開示されるような、連続減少信号(successive diminishing signal)であることもできる。2つのコア要素に加えられる信号の周波数は、互いに同じであることも互いに異なることもでき、例えば、導管10内の水の流れの通常方向を考慮して下流側にあるコア要素に加えられる信号の周波数は、上流側コア要素の周波数より低くすることができる。
【0016】
上記で説明した信号の磁気コア要素への付加は、導管内の水中にコア要素から生じる無線周波数フィールドを形成させる。図2は、信号発生器ユニット26に接続するコア要素11、12を周囲に有する導管10を概略的に示す。導管10内の水の流れの方向は矢印50によって示され、コア要素11がゼロの平均電圧の周りを交互に正および負に動く矩形波または他の波形などの信号によって付勢される場合、内部で水中の微粒子およびバクテリアが交互に正および負に荷電される多数のゾーンをコア要素の下流側の水中に生じさせると考えることができる。図2に51に示すような、導管10の長さの方向でのそのような各ゾーンの寸法は、導管内で流れる水の速度によって決まる。例えば、100kHzの信号周波数および10m/秒の水流の速度に対して、そのような各ゾーンは導管の長さの方向で0.05mmの長さであろう。したがって、コア要素11の下流側52のところに示されるような微粒子およびバクテリアは、52、53で示すように正または負に荷電されるであろう。水中のバクテリアまたは懸濁微粒子などの微粒子が電荷を取得するとき、バクテリアに隣接する水分子は、純水の層がバクテリアを取り囲むようにそれ自体向きを定めかつ位置決めする。この結果は、バクテリアの細胞膜が膜の内側および外側の溶質の異なる濃度により決まる浸透圧に曝され、それが最終的にはバクテリアの膜の破裂および死を生じさせることになる。
【0017】
バクテリアの積みこまれた水が導管内を流れるとき、バクテリアが遭遇する第1のコア要素によって形成されるフィールド(field)に起因する浸透圧効果がバクテリアを殺すのに十分でない場合がある可能性がある。この場合、後続のコア要素によって形成されるフィールドが荷電されたバクテリアの激しい移動を生じさせ、それがバクテリアを破壊するであろう。
【0018】
上記で説明したように、導管内の水中の微粒子およびバクテリア上の電荷は、懸濁固体微粒子の凝集も生じさせ、荷電されたバクテリアも凝集物内に捕えられる。第2のコア要素12の下流側に、凝集微粒子およびバクテリアが54に示されている。そのような凝集微粒子はろ過によって取り除くことができる。
【0019】
上記で説明したような水処理は、水供給システム、例えば冷水供給システムまたは温水供給システムで行うことができる。温水供給システムに関して、例えば病院の加熱システムは、システム内のバクテリアの破壊を確実にするために水を60℃またはそれより高く加熱するように設計される。どのようなスケール堆積物(scale deposit)も、それより下の温度に達することでは、バクテリアが効果的に消滅させられないことを示す可能性がある。しかしながら、自己清掃フィルタ(self cleaning filter)と共に循環温水システム内に上記で説明した装置を設置することは、システムから凝集した微粒子および死んだバクテリアを取り除くのに効果的である。この装置は、システム内でのスケール形成を減少させるまたはなくすのにも効果的である。
【0020】
次に図面の図3を参照すると、本発明が適用される冷水供給システムを示す。これは、分配ループ31に繋がる主冷水供給パイプ30を示す。このループ31は、上記で説明したような第1の装置32、別のそのような装置33、ポンプ34およびフィルタ35を含む。ループ31上の点36、37間に冷水を消費者に供給するための多数の出口38が存在する。
【0021】
ポンプ34は、2つの処理装置32、33を通過させてループ31内で水を循環させ、他方フィルタ35が凝集された固体物質を捕える。このフィルタは、蓄積した凝集物質が例えばバック・フラッシュ(back−flushing)および除去された物質の廃棄によって定期的に取り除かれる自己清掃フィルタとすることができる。
【0022】
次に図面の図4を参照すると、本発明の温水システムへの適用を示す。このシステムは、上記で説明したような処理装置41を備える冷水供給パイプ40を含む。これが水を加熱するために互いに平行に接続された2つの液体加熱器42、43に冷水を供給する。温水供給ループ44は、上記で説明したような第1および第2の処理装置45、46、ポンプ47およびフィルタ48を含み、ポンプ47は液体加熱器42、43を含むループ44を通り温水を循環させる。このループからの多数の出口が49に示されている。
【0023】
この明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、用語「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」およびそれの変形は、特定された複数の特徴、ステップまたは整数が含まれていることを意味する。この用語は、他の特徴、ステップまたは構成部品の存在を除外すると解釈されるべきではない。
【0024】
前述の説明、または添付の特許請求の範囲、または添付の図面で開示され、それらの特定の形態で表現されるか、あるいは開示された機能、または開示された結果を達成するための方法または工程を実行するための手段の観点から表現された特徴は、必要に応じて、別々に、またはそのような特徴の任意の組合せで、本発明をその様々な形態で実現させるために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】水搬送パイプなどの導管に適用される、本発明による装置の概略図である。
【図2】図1に示す本発明の動作の仕方を概略的に示す図である。
【図3】本発明の適用される冷水システムの一部分の概略図である。
【図4】本発明の適用される温水システムの一部分の概略図である

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の水を処理する供給パイプ装置(32,33,41,45,46)を備えた水供給装置を含む水供給システムであって、
前記供給パイプ装置は、
パイプに沿って間隔を置いた位置において、前記パイプを囲むように配置された導磁材料から成る第1及び第2のコア要素(11,12)と、
前記コア要素内に無線周波数磁束を形成するための手段(24−29)であって、前記パイプに沿って間隔を置いた位置から延び、水中にそれぞれ電磁場発生させるための手段(24−29)と、
を備えて成る、
水供給システムにおいて、
前記供給パイプは、パイプ機構(31,44)の閉ループと、この閉ループのまわりの水の循環のためのポンプ(34,47)を備え、
前記処理装置(32,33,45,46)は、閉ループに形成されたことを特徴とする水供給システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−210628(P2012−210628A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134815(P2012−134815)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2007−547627(P2007−547627)の分割
【原出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(507303169)ハイドロパス、ホウルディングス、リミティド (4)
【Fターム(参考)】