説明

流体噴射装置、及び、流体噴射方法

【課題】複数のノズル列から噴射する流体噴射装置において、流体の塗布ムラを抑制する。
【解決手段】複数のノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記第1ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された第2ノズル列と、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の前記所定方向におけるずれ量から決定される第1のデータであって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第1のデータを記憶するメモリーと、前記第1のデータに基づいて定められる前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させる制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置、及び、流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体(例えば紙や布など)を搬送方向に搬送するとともにヘッドから流体を噴射する流体噴射装置が知られている。この流体噴射装置の一例として、インク滴を媒体に噴射することで画像の印刷を行うインクジェットプリンターがある。インクジェットプリンターでは、1度に印刷できる領域を増やすため、複数のノズル列を並べて配置することが行われている。複数のノズル列を並べて印刷を行う場合、ノズル列毎にインクの噴射特性が異なると、各ノズル列の形成した画像の画質がそれぞれ異なってしまい、ノズル列とノズル列との繋ぎ目で画質の違いが目立ってしまう。
【0003】
そこで、ノズル列とノズル列とを重複させて配置させることによって、画質の違いが目立ちにくいようにする方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−285434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のノズル列を装置に取り付ける際に、取付け位置に誤差が生じることがある。このようなことがあると、ノズル列とノズル列との繋ぎ目で画質が劣化するおそれがある。
【0006】
特に、ブラックインクを噴射するブラックインクノズル列と各色カラーインク(例えばKCMY)を噴射するカラーインクノズル列とを有する所謂カラープリンターでは画質の劣化が目立ちやすい。例えば、ブラックインクを噴射する場合にノズル列とノズル列との繋ぎ目部分においてスジ状の濃淡が生じることや、各色カラーインクを噴射する場合に色同士のずれや混色が生じることによる塗布ムラが目立ちやすくなる。
【0007】
本発明では、複数の異なる流体を複数のノズル列から噴射する流体噴射装置において、流体の塗布ムラを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、(A)第1の流体を噴射する複数のノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、(B)前記第1の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された第2ノズル列と、(C)前記第1の流体とは異なる第2の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第3ノズル列と、(D)前記第2の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ前記第3ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された第4ノズル列と、(E)前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の前記所定方向におけるずれ量から決定される第1のデータであって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第1のデータと、前記第3ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第1基準ノズル列と前記第3ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、及び、前記第4ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第2基準ノズル列と前記第4ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、から決定される第2のデータであって、前記第3ノズル列及び前記第4ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第2のデータと、をそれぞれ記憶するメモリーと、(F)前記第1のデータに基づいて定められる前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させ、前記第2のデータに基づいて定められる前記第3ノズル列と前記第4ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させる制御部と、(G)を備える流体噴射装置である。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】用語の意味を説明する図である。
【図2】全体構成のブロック図である。
【図3】プリンター1の搬送処理とドット形成処理を説明するための斜視図である。
【図4】ヘッドユニット40の下面における複数のヘッドの配列の説明図である。
【図5】各ヘッドのノズルの配置の説明図である。
【図6】ドットの形成の様子の説明図である。
【図7】図7A及び図7Bは、2つのブラック(K)ノズル列に紙幅方向の取付誤差がある場合の、ヘッド間の繋ぎ目におけるドット形成の様子を表す図である。
【図8】異なる2色のインクのノズル列間に紙幅方向の取付誤差がある場合の、ドット形成位置のずれ量について説明する図である。
【図9】図9A及び図9Bは、ヘッド間の繋ぎ目を基準として重複ノズルの処理を行なった場合のドット形成の様子の説明図である。
【図10】インクドットが着弾する位置(列)を基準として重複ノズルの処理を行なった場合のドット形成の様子の説明図である。
【図11】第1実施形態の処理の流れのフロー図である。
【図12】テストパターンの説明図である。
【図13】図12のAの部分について拡大した図である。
【図14】罫線位置のデータからノズル列のずれ量を算出する方法について説明する図である。
【図15】図14から算出される罫線間距離の結果をまとめた表である。
【図16】平均罫線間距離の結果をまとめた表である。
【図17】ヘッド41AのKノズル列に対するヘッド42BのKノズル列の相対位置の説明図である。
【図18】第1実施形態における重複ノズルの設定について具体的に説明する図である。
【図19】第2実施形態における重複ノズルの設定について具体的に説明する図である。
【図20】第3実施形態における重複ノズルの設定について具体的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
(A)第1の流体を噴射する複数のノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、(B)前記第1の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された第2ノズル列と、(C)前記第1の流体とは異なる第2の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第3ノズル列と、(D)前記第2の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ前記第3ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された第4ノズル列と、(E)前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の前記所定方向におけるずれ量から決定される第1のデータであって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第1のデータと、前記第3ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第1基準ノズル列と前記第3ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、及び、前記第4ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第2基準ノズル列と前記第4ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、から決定される第2のデータであって、前記第3ノズル列及び前記第4ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第2のデータと、をそれぞれ記憶するメモリーと、(F)前記第1のデータに基づいて定められる前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させ、前記第2のデータに基づいて定められる前記第3ノズル列と前記第4ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させる制御部と、(G)を備える流体噴射装置。
このような流体噴射装置によれば、複数の異なる流体を複数のノズル列から噴射する際に、流体の塗布ムラを抑制することができる。
【0012】
かかる流体噴射装置であって、前記第3ノズル列は、前記所定方向と交差する交差方向において前記第1ノズル列と対応する位置に配置され、前記第4ノズル列は、前記所定方向と交差する交差方向において前記第2ノズル列と対応する位置に配置され、前記第1基準ノズル列が前記第1ノズル列であり、前記第2基準ノズル列が前記第2ノズル列であることが望ましい。
このような流体噴射装置によれば、第1ノズル列(または第2ノズル列)から噴射される流体(例えばブラックインク)と、第3ノズル列(または第4ノズル列)から噴射される流体(例えばマゼンタインク)の着弾位置がずれることを抑制することができる。すなわち、異なる流体の着弾位置のずれによって生じる塗布ムラを抑制しやすくなる。
【0013】
かかる流体噴射装置であって、前記第1の流体及び前記第2の流体とは異なる第3の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する交差方向において前記第3ノズル列と対応する位置に配置される第5ノズル列と、前記第3の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する交差方向において前記第4ノズル列と対応する位置に配置される第6ノズル列と、を備え、前記第3ノズル列と前記第5ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、及び、前記第4ノズル列と前記第6ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、から決定される第3のデータであって、前記第5ノズル列及び前記第6ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第3のデータが前記メモリーに記憶され、前記制御部は、前記第3のデータに基づいて決定された前記第5ノズル列と前記第6ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させることが望ましい。
このような流体噴射装置によれば、第3ノズル列(または第4ノズル列)から噴射される流体(例えばマゼンタインク)と、第5ノズル列(または第6ノズル列)から噴射される流体(例えばシアンインク)の着弾位置がずれることを抑制することができる。これにより、異なる流体同士の着弾位置のずれによって生じる塗布ムラをさらに抑制しやすくなる。
【0014】
また、(A)複数のノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列から第1の流体を噴射することと、(B)前記第1ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列から、前記第1の流体を噴射することと、(C)複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第3ノズル列から、前記第1の流体とは異なる第2の流体を噴射することと、(D)前記第3ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第4ノズル列から、前記第2の流体を噴射することと、(E)前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の前記所定方向におけるずれ量から決定される第1のデータであって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第1のデータ、に基づいて定められる前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させることと、(F)前記第3ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第1基準ノズル列と前記第3ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、及び、前記第4ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第2基準ノズル列と前記第4ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、から決定される第2のデータであって、前記第3ノズル列及び前記第4ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第2のデータ、に基づいて定められる前記第3ノズル列と前記第4ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させることと、(G)を備える流体噴射方法が明らかとなる。
【0015】
===用語の説明===
まず、本実施形態を説明する際に用いられる用語の意味を説明する。図1は、用語の説明図である。
「画像データ」とは、2次元画像を示すデータである。後述する実施形態では、256階調の画像データや、4階調の画像データなどがある。プリンターが4階調でドットの形成(大ドット・中ドット・小ドット・ドット無し)を制御する場合、4階調の画像データは、印刷画像を構成するドットの形成状態を示すことになる。
「印刷画像」とは、媒体(例えば紙)の上に印刷された画像である。インクジェットプリンターの印刷画像は、紙上に形成された無数のドットから構成されている。
【0016】
「画素」とは、画像を構成する最小単位である。この画素が2次元的に配置されることによって画像が構成される。主に、画像データ上の画素を意味する。
「画素列」とは、画像データ上において所定方向に並ぶ画素の列である。図に示すように、n番目の画素列のことを「第n画素列」と呼ぶ。
【0017】
「ラスタライン」とは、ヘッドと紙とが相対移動する方向(移動方向)に並ぶドットの列である。後述の実施形態のようなラインプリンターの場合、「ラスタライン」は、紙の搬送方向に並ぶドットの列を意味する。一方、キャリッジに搭載されたヘッドによって印刷するシリアルプリンターの場合、「ラスタライン」は、キャリッジの移動方向に並ぶドットの列を意味する。移動方向と垂直な方向に多数のラスタラインが並ぶことによって、印刷画像が構成されることになる。図に示すように、n番目の位置にあるラスタラインのことを「第nラスタライン」と呼ぶ。
【0018】
「画素データ」とは、画素の階調値を示すデータである。画像データは多数の画素データから構成されていることになる。「画素データ」のことを「画素の階調値」と言うこともある。4階調の画像データの場合、各画素データは、2ビットデータになり、ある画素のドット形成状態(大ドット・中ドット・小ドット・ドット無し)を示すことになる。
【0019】
「画素領域」とは、画像データ上の画素に対応した紙上の領域である。例えば、画像データの解像度が180×180dpiの場合、「画素領域」は、1辺が1/180インチの正方形状の領域になる。
「列領域」とは、画素列に対応した紙上の領域である。例えば、画像データの解像度が180×180dpiの場合、列領域は、1/180インチ幅の細長い領域になる。図中の右下には、列領域が示されている。「列領域」は、ラスタラインの形成目標位置でもある。図に示すように、n番目の位置にある列領域のことを「第n列領域」と呼ぶ。第n列領域は第nラスタラインの形成目標位置になる。
【0020】
ところで、図1の右下では、画素領域とドットとの位置関係が示されている。この図では、各ドットは、それぞれ対応する画素領域に形成されている。但し、ヘッドの取付誤差やインクの飛行曲がりの影響などによって、ドットが対応する画素領域に形成されないことがある。このような状況を説明する必要があるため、本明細書では、「ラスタライン」、「画素領域」等の意味や関係を上記の内容に沿って説明している。但し、「画像データ」や「画素」等の一般的な用語の意味は、上記の説明だけでなく、通常の技術常識に沿って適宜解釈して良い。
【0021】
===第1実施形態===
<全体構成>
図2は、全体構成のブロック図である。図3は、プリンター1の搬送処理とドット形成処理を説明するための斜視図である。
【0022】
コンピューター110はプリンター1とスキャナー120が接続されている。コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、コンピューター110に印刷データを生成させ、この印刷データをプリンター1へ送信させることができる。また、コンピューター110にはスキャナードライバがインストールされている。スキャナードライバは、スキャナー120にセットされた原稿をスキャナー120に読み取らせ、スキャナー120から画像データを取得することができる。
【0023】
プリンター1は、搬送ユニット20、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0024】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、上流側ローラー22A及び下流側ローラー22Bと、ベルト24とを有する。不図示の搬送モータが回転すると、上流側ローラー22A及び下流側ローラー22Bが回転し、ベルト24が回転する。給紙された紙Sは、ベルト24によって、印刷可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。ベルト24が紙Sを搬送することによって、紙Sがヘッドユニット40に対して搬送方向に移動する。印刷可能な領域を通過した紙Sは、ベルト24によって外部へ排紙される。なお、搬送中の紙Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されている。
【0025】
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを吐出(噴射ともいう)するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41及びヘッド42を有する。ヘッドユニット40は、搬送中の紙Sに対してインクを吐出することによって、紙Sにドットを形成し、画像を紙Sに印刷する。本実施形態のプリンター1はラインプリンターであり、ヘッドユニット40は紙幅分のドットを一度に形成することができる。
なお、ヘッドユニット40を構成するヘッドの詳細については、後で説明する。
【0026】
検出器群50には、上流側ローラー22Aの回転量を検出するロータリー式エンコーダ(不図示)などが含まれる。このロータリー式エンコーダの検出結果に基づいて、紙Sの搬送量を検出することができる。
【0027】
コントローラー60は、プリンター1の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0028】
<ヘッドユニット40の構成>
図4は、ヘッドユニット40の下面における複数のヘッドの配列の説明図である。ヘッドユニット40はヘッド41及びヘッド42を有する。ヘッド41とヘッド42の構成はほぼ同様である。ヘッド41及び42はそれぞれ複数の端尺ヘッドを有する。例えば、ヘッド41は搬送方向上流側に短尺ヘッド41A,41C,…を、搬送方向下流側に短尺ヘッド41B,41D,…を有する。短尺ヘッド41Bは、紙幅方向に関して短尺ヘッド41Aと41Cとの間に位置するように配置されている。同様に、短尺ヘッド41Cは、紙幅方向に関して短尺ヘッド41Bと41Dとの間に位置するように配置されている。つまり、ヘッド41は、紙幅方向に沿って複数の短尺ヘッドを千鳥列状に配置して構成されている。以下、説明の簡略化のため、図中の上の3個の短尺ヘッド(41A、41B、41C)によってヘッド41が構成されているものとする。また、「短尺ヘッド41A、41B、41C、…」を、単に「ヘッド41A、41B、41C、…」と呼ぶ。
ヘッド42の構成はヘッド41の構成と同様である(図4参照)。
【0029】
図5は、各ヘッドのノズルの配置の説明図である。各ヘッド(短尺ヘッド)には、搬送方向に2個のノズル列が並んでいる。搬送方向上流側に位置するヘッド41では、ブラック(K)ノズル列、シアン(C)ノズル列が搬送方向上流側から順に並び、搬送方向下流側に位置するヘッド42では、マゼンタ(M)ノズル列、イエロー(Y)ノズル列が搬送方向上流側から順に並んでいる。
各ノズル列は、インクを吐出するノズルを360個ずつ備えている。各ノズル列の360個のノズルは、紙幅方向に沿って、一定のノズルピッチ(ここでは1/360インチ)で並んでいる。以下の説明では、各ノズル列の360個のノズルについて、図中の上から順に、ノズル♯1、ノズル♯2、・・・、ノズル♯360と呼ぶことにする。
【0030】
ヘッド41Aのノズル♯359及びノズル♯360は、ヘッド41Bのノズル♯1及びノズル♯2と紙幅方向に並ぶように配置される。同様に、ヘッド41Bのノズル♯359及びノズル♯360は、ヘッド41Cのノズル♯1及びノズル♯2と紙幅方向に並ぶように配置される。言い換えると、紙幅方向に隣接する2個の短尺ヘッド(例えばヘッド41Aとヘッド41B)のそれぞれの2個のノズルは、重複するように配置される。このように重複してノズルを配置することによって、印刷画像上でヘッドの繋ぎ目が目立たないようにできる。
また、ヘッド41とヘッド42とは搬送方向の対応する位置に配置されている。例えば、ヘッド41Aのブラック(K)ノズル#1とヘッド42Aのマゼンタ(M)ノズル#1とは紙幅方向に関して同じ位置であり、搬送方向に関してずれた位置に配置される。また、ヘッド41Bのシアン(C)ノズル#1とヘッド42Bのマゼンタ(M)ノズル#1とは紙幅方向に関して同じ位置であり、搬送方向に関してずれた位置に配置される。これにより、KCMYの各色インクを用いたカラー画像が印刷される。
【0031】
<理想的な状態でのドットの形成>
次に、ドットの形成について説明する。ここでは、各ヘッドが設計通りに取り付けられており、理想的な状態でドットが形成されるものとして説明を行う。なお、ブラック(K)ノズル列によるドットの形成ついて説明するが、他の色のノズル列によるドットの形成についても同様である。
【0032】
図6は、ドットの形成の様子の説明図である。図中央では、ヘッド41Aのノズルを丸印で示し、ヘッド41Bのノズルを四角印で示している。なお、紙幅方向に重複するノズル(ヘッド41Aのノズル♯359及びノズル♯360と、ヘッド41Bのノズル♯1及びノズル♯2)にはハッチングを施している。図右側では、ヘッド41Aのノズルによって形成されるドットを黒丸印で示し、ヘッド41Bのノズルで形成されるドットを黒四角印で示している。
【0033】
まず、第356列領域へのドットの形成について説明する。コントローラー60は、コンピューター110から印刷データを受信すると、ヘッド41Aのノズル♯356に対して、印刷データの中の画像データ(4階調)の第356画素列を対応付ける。そして、コントローラー60は、ノズル♯356に対応するピエゾ素子等の圧電素子(不図示)を第356画素列の画素データ(4階調)に応じて駆動し、ノズル♯356からインクを吐出させる。ノズル♯356から吐出されたインクは、(ここでは理想的な状態でドットが形成されるので、)紙上の第356列領域の各画素領域に着弾し、第356列領域に第356ラスタラインが形成される。このため、第356ラスタライン(ブラックのラスタライン)は、1個のノズルによって形成される。
なお、第357列領域、第358列領域、第361列領域〜第363列領域へのドットの形成においても、第356列領域と同様に、コントローラー60は、それぞれ対応する1個のノズルによってラスタラインを形成する。
【0034】
次に、第359列領域へのドットの形成について説明する。コントローラー60は、ヘッド41のノズル♯359及びヘッド41Bのノズル♯1に対して、印刷データの中の画像データ(4階調)の第359画素列を対応付ける。つまり、1個の画素列に対して、2個のノズルを対応付ける。ここでは、コントローラー60は、第359画素列の奇数番目の画素データをヘッド41Aのノズル♯359に対応付け、偶数番目の画素データをヘッド41Bのノズル♯1に対応付ける。
【0035】
そして、コントローラー60は、ヘッド41Aのノズル♯359に対応するピエゾ素子(不図示)を第359画素列の奇数番目の画素データ(4階調)に応じて駆動し、ノズル♯359からインクを吐出させる。また、コントローラー60は、ヘッド41Bのノズル♯1に対応するピエゾ素子(不図示)を第359画素列の偶数番目の画素データに応じて駆動し、ノズル♯1からインクを吐出させる。ヘッド41Aのノズル♯359から吐出されたインクは、(ここでは理想的な状態でドットが形成されるので、)紙上の第359画素列の奇数番目の各画素領域に着弾する。また、ヘッド41Bのノズル♯1から吐出されたインクは、(ここでは理想的な状態でドットが形成されるので、)紙上の第359列領域の偶数番目の各画素領域に着弾する。つまり、ヘッド41Aのノズル♯359によって1ドットおきにドットが形成され、これらのドットの間を補完するように、ヘッド41Bのノズル♯1によって1ドットおきにドットが形成される。これにより、第359列領域に2個のノズルによって第359ラスタライン(ブラックのラスタライン)が形成される。
なお、第360列領域へのドットの形成においても、第359列領域と同様に、コントローラー60は、対応する2個のノズルによって第360ラスタラインを形成する。
【0036】
上記の通り、ハッチングの施されていないノズル(例えばヘッド41Aのノズル♯356)は、各列領域の各画素にドットを形成する。一方、ハッチングの施されたノズル(例えばヘッド41Aのノズル♯359)は、ハッチングの施されていないノズルと比較すると、半分のドットしか形成しない。このように、他のノズルと搬送方向に並んで配置されており、通常のノズルと比べて少ない数のドットしか形成しないノズルのことを、以下の説明では「重複ノズル」と呼ぶことにする。図6において、「重複ノズル」は、ハッチングの施されたノズルである。
【0037】
<ヘッド取付誤差のある状態でのドットの形成(補正をしない場合)>
理想的な状態でドットが形成された場合について上記で説明したが、実際には回転方向や並進方向(紙幅方向に平行な方向)ヘッドの取付誤差が生じるため、理想的な状態でドットが形成されないことがある。また、紙が斜行や蛇行しながら搬送されたり、インクがノズルから曲がって吐出されたりすることによっても、理想的な状態でドットが形成されないことがある。ここでは、ヘッドに取付誤差がある場合について説明する。
【0038】
(A)ヘッド間の繋ぎ目のずれについて
図7A及び図7Bは、2つのブラック(K)ノズル列に紙幅方向の取付誤差がある場合の、ヘッド間の繋ぎ目におけるドット形成の様子を表す図である。図中の左側に、ヘッド41Aとヘッド41Bのそれぞれのブラックノズル列の位置関係が示されている。図7Aでは、図6(取付誤差が無い場合)の2個のノズル列の位置関係と比較すると、ヘッド41Bのブラックノズル列が、ヘッド41Aのブラックノズル列に対して、図中の上側に位置している。この結果、2個のノズル列の紙幅方向の重複範囲が広くなる。
【0039】
そして、紙幅方向の取付誤差が大きい場合、図に示すように、ヘッド41Bの各ノズルが、本来ドットを形成する列領域よりも上の列領域にドットを形成するようになってしまう。例えば、ヘッド41Bのノズル♯1は、第359列領域よりも第358列領域に近い位置にドットを形成する。
【0040】
図中の右側に、紙上に形成されるドットの様子が示されている。図中の左側に示された位置関係のノズルが、図6の場合と同様にインクを吐出すると、第358列領域と第360列領域に形成されるドットが多くなり、印刷画像の中のこの列領域に相当する部分に濃い縞模様(濃いスジ、インクの塗布ムラ)が形成されてしまう。
【0041】
一方、図7Bでは、図6(取付誤差が無い場合)の2個のノズル列の位置関係と比較すると、ヘッド41Bのブラックノズル列が、ヘッド41Aのブラックノズル列に対して、図中の下側に位置している。この結果、2個のノズル列の紙幅方向の重複範囲が狭くなる。
【0042】
そして、紙幅方向の取付誤差が大きい場合、図に示すように、ヘッド41Bの各ノズルが、本来ドットを形成する列領域よりも下の列領域にドットを形成するようになってしまう。例えば、ヘッド41Bのノズル♯1は、第359列領域よりも第360領域に近い位置にドットを形成する。
【0043】
図中の右側に、紙上に形成されるドットの様子が示されている。図中の左側に示された位置関係のノズルが、図6の場合と同様にインクを吐出すると、第359列領域と第361列領域に形成されるドットが少なくなり、印刷画像の中のこの列領域に相当する部分に淡い縞模様(淡いスジ、インクの塗布ムラ)が形成されてしまう。
【0044】
このように、ヘッド間のブラックノズル列で紙幅方向の取付誤差がある場合、ヘッド41Aとヘッド41Bの繋ぎ目に相当する部分において、縞模様が発生する。
【0045】
特に、ブラックインクを用いてバーコードを印刷する場合、ヘッド間の繋ぎ目部分においてバーコードの太さや間隔が変化すると、当該バーコードは正確な情報を表示しなくなる為、バーコードとして機能しなくなるおそれがある。
【0046】
(B)ドット形成位置のずれについて
図8は、異なる2色のインクのノズル列間に紙幅方向の取付誤差がある場合の、ドット形成位置のずれ量について説明する図である。図8では、ヘッド41A〜41Cのシアン(C)ノズル列に対して、ヘッド42A〜42Cのマゼンタ(M)ノズル列の紙幅方向の位置がずれている場合を表している。また、各ノズルに付される#はノズル番号を示し、#の後の( )内の数字はそのノズルが担当する列領域の番号を示している。
【0047】
ある列領域に搬送方向に沿ったブルーの罫線を印刷する場合、紙幅方向の同じ位置にあるノズルからシアン(C)及びマゼンタ(M)のインクを噴射することによって印刷を行う。例えば図8において、第180列領域にブルーの罫線を印刷したい場合、ヘッド41Aの#180ノズルからシアン(C)インクを噴射し、ヘッド42Aの#180ノズルからマゼンタ(M)インクを噴射する。ここで、ヘッド41Aの#180ノズル及びヘッド42Aの#180ノズルは紙幅方向の同じ位置にあるので(紙幅方向のずれが無いので)、当該2つのノズルからそれぞれインクを噴射することにより、印刷データで指示されたとおりのブルーの罫線が第180列領域に印刷される。
【0048】
次に、第538列領域に同じくブルーの罫線を印刷する場合、ヘッド41Bの#180ノズル及びヘッド42Bの#180ノズルからそれぞれインクが噴射される。しかし、図8のようにヘッド42Bに紙幅方向の取付誤差があり、#180ノズルの位置が図8の上側にずれていた場合、ドットの形成位置も紙幅方向にずれる。図8ではGap1だけずれが発生している。この場合、ヘッド41Bから噴射されたシアンインクドット(図の丸印)と、ヘッド42Bから噴射されたマゼンタインクドット(図の三角印)との着弾位置がずれることにより、印刷される線は印刷データで指示されたブルーとは色味の異なる色になる。つまり、色ずれ等が発生する。
【0049】
次に、第896列領域に同じくブルーの罫線を印刷する場合、ヘッド41Cの#180ノズル及びヘッド42Cの#180ノズルからそれぞれインクが噴射される。しかし、ヘッド42Cにも紙幅方向の取付誤差が生じていた場合、ヘッド42Bのずれ量とヘッド42Cのずれ量とが累積することにより、ヘッド41Cとヘッド42Cとの紙幅方向のずれ量はさらに大きくなるおそれがある。図8では、ヘッド41Cの#180ノズルとヘッド42Cの#180ノズルとの紙幅方向のずれ量はGap2(Gap2>Gap1)となる。このようにずれ量が大きくなると、ブルーの罫線を1本印刷しようとしても、実際にはシアン(C)の罫線(図の丸印)とマゼンタ(M)の罫線(図の三角印)とが2本印刷されたように見えてしまう。また、他の色のインクドットと混ざることにより混色等が発生するおそれがある。
【0050】
このように、ヘッド間で紙幅方向の取付誤差があり、カラーインクノズル列同士の紙幅方向の位置がずれる場合、ドットが形成される位置(列領域)がずれることにより、当該ずれ量の大きさに応じて色ずれや混色等の問題が発生する。
【0051】
<本実施形態の概要>
本実施形態の理解を容易にするために、本実施形態の処理の詳細な説明の前に、本実施形態で行なわれる重複ノズルの処理の概要について説明する。
【0052】
(A)ヘッド間の繋ぎ目基準の処理
まず、ヘッド間の繋ぎ目において生じるずれに着目し、繋ぎ目部分の濃淡を抑制するための処理(以下、「繋ぎ目基準」の処理とも呼ぶ)について説明する。図9A及び図9Bは、本実施形態のヘッド間の繋ぎ目を基準として重複ノズルの処理を行なった場合のドット形成の様子の説明図である。なお、繋ぎ目基準の処理はブラック(K)ノズル列について行なわれる。
【0053】
繋ぎ目基準の処理では、ヘッド41AのKノズル列とヘッド41BのKノズル列との相対的な位置関係がノズルピッチの半分以上ずれている場合に、重複ノズルの設定が変更される。例えば、2個のノズル列の紙幅方向の重複範囲が広くなるようにノズル列がずれていれば、重複ノズルが増えるように設定される。一方、2個のノズル列の紙幅方向の重複範囲が狭くなるようにノズル列がずれていれば、重複ノズルが減るように設定される。
【0054】
その結果、2個のブラックノズル列の相対的な位置関係が図7Aのような場合、図9Aに示すようにヘッド41Aのノズル♯358及びヘッド41Bのノズル♯3が重複ノズルになるように、設定が変更される。この結果、図9Aに示すように、第358列領域及び第360列領域(図7Aではドットが多く形成された列領域)のドットの数が多くならずに済み、印刷画像の中に濃い縞模様が発生することを抑制できる。
【0055】
同様に、2個のブラックノズル列の相対的な位置関係が図7Bのような場合、図9Bに示すようにヘッド41Aのノズル♯359及びヘッド41Bのノズル♯2を重複ノズルから外すように、設定が変更される。この結果、図9Bに示すように、第359列領域及び第361列領域(図7Bではドットが少なく形成された列領域)のドットの数が少なくならずに済み、印刷画像の中に淡い縞模様が発生することを抑制できる。
【0056】
(B)列基準の処理
次に、カラーインクドットの列領域毎の着弾位置のずれに着目し、色ずれや混色を抑制するための処理(以下、「列基準」の処理とも呼ぶ)について説明する。図10は、本実施形態でインクドットが着弾する位置(列)を基準として重複ノズルの処理を行なった場合のドット形成の様子の説明図である。なお、列基準の処理はブラック(K)以外のカラーノズル列(プリンター1においてはCMY)について行なわれる。
列基準の処理では、搬送方向の対応する位置にある2つのヘッド間の相対的な位置関係に基づいて、両ヘッドがノズルピッチの半分以上ずれている場合に、重複ノズルの設定が変更さる。例えば、あるノズル列Aに対して、搬送方向の対応する位置にあるノズル列Bの紙幅方向の重複範囲が広くなるようにノズル列がずれていれば、重複ノズルが増えるように設定される。一方、当該2個のノズル列の紙幅方向の重複範囲が狭くなるようにノズル列がずれていれば、重複ノズルが減るように設定される。
【0057】
図10において、ヘッド41AのCノズル列とヘッド41Aと搬送方向の対応する位置にあるヘッド42AのMノズル列の紙幅方向のずれ量はゼロである。次に、ヘッド41BのCノズル列に対して、ヘッド41Bと搬送方向の対応する位置にあるヘッド42BのMノズル列は0.5ノズル以上1.5ノズル未満のずれが生じている(図8においてGap1)。つまり、紙幅方向の重複範囲が1ノズル分広くなるようにノズル列がずれている。そこで、ヘッド42Bの各ノズルが担当する列領域が紙幅方向に一ノズル分ずつ移動(シフト)して、第358列領域にはヘッド42Bの#181ノズルからマゼンタ(M)インクが噴射されるようにする。詳細については後述するが、このノズル列のシフト量の変更に伴って、重複ノズルの設定が変更される。図10においては、着色されたノズルによって示されるように、ヘッド41Aのノズル♯358及びヘッド42Bのノズル♯3が重複ノズルになるよう、設定が変更される。これにより、第358列領域におけるマゼンタインクドットの着弾位置のずれ量は図8のGap1よりも少なくなる。
【0058】
同様に、図10において、ヘッド41CのCノズル列に対して、ヘッド41Cと搬送方向の対応する位置にあるヘッド42CのMノズル列は図8においてGap2だけずれが生じている。そこで、ヘッド42Cの各ノズルが担当する列領域が紙幅方向に二ノズル分ずつ移動(シフト)して、第896列領域にはヘッド42Cの#182ノズルからマゼンタ(M)インクが噴射されるようにする。このノズル列のシフト量の変更に伴って、重複ノズルの設定が変更される。図10において着色されたノズルによって示されるように、ヘッド42Bのノズル♯358及びヘッド41Cのノズル♯3がさらに重複ノズルになるように設定が変更される。これにより、第896列領域におけるマゼンタインクドットの着弾位置のずれ量は図8のGap2よりも少なくなる。なお、図10の例ではCノズル列を基準としてMノズル列の位置ずれを検出していたが、Kノズルやその他のノズル列を基準としてもよい。
【0059】
このように重複ノズルの設定を変更することで、カラーインクドット同士の紙幅方向における着弾位置のずれが小さくなり、色ずれや混色の発生を抑制することができる。
【0060】
<本実施形態の処理>
図11は、本実施形態の処理の流れのフロー図である。ここでは、プリンタードライバーが、図中の各処理を、コンピューター110に実行させたり、印刷データ等の制御データをプリンター1に送信することによってプリンター1に実行させたりする。但し、プリンター1がプリンタードライバーの機能を備え、スキャナー120の機能も備えていれば(プリンター1が複合機であれば)、プリンター1だけで図中の各処理を実行することも可能である。
なお、この処理は、プリンター1の製造後、出荷前の検査段階にて行われる。
【0061】
(S101:テストパターンの印刷)
まず、コントローラー60は、紙にテストパターンを印刷する(S101)。コントローラー60は、搬送ユニット20に紙を搬送方向に搬送させつつ、ヘッドユニット40にノズルからインクを吐出させることによって、紙にテストパターンを印刷する。
【0062】
図12は、テストパターンの説明図である。図13は、図12のAの部分について拡大した図である。テストパターンは、第1パターンP1と、第2パターンP2と、第3パターンP3とを有する。第1パターンP1はヘッド41A(42A)及び41B(42B)の繋ぎ目の位置において、搬送方向に沿ってKCMYの各色インクによって形成される罫線の集合である。同様に、第2パターンP2は、ヘッド41B(42B)及び41C(42C)の繋ぎ目の位置、第3パターンP3は、ヘッド41C(42C)及び41D(42D)の繋ぎ目の位置に形成される(図12参照)。なお、紙幅方向配置されるに短尺ヘッドの数が増える場合は、それに応じて印刷されるパターンの数も多くなる。P1、P2、P3のパターンの構成は基本的に同一である。
【0063】
また、テストパターンには、後の工程(S102)でテストパターンをスキャナー等にセットして読み取る(スキャンする)際に、セット方向の誤りを防止し、また、該テストパターンをスキャナーの原点に合わせてセットするための基準となるスキャン用目印が印刷される。図12の例では、テストパターンの四隅の位置にそれぞれ三角形のマークを印刷している。4つのマークのうち、読み取り時の原点となる位置のマークを着色することにより(図では黒塗り)、スキャナーにセットする際の基準位置を明確にしている。
【0064】
また、印刷に用いられるインクの種類や印刷解像度等の各種印刷条件を表示する固体識別IDが印刷される。
【0065】
図13は第1パターンP1の一部分を拡大した図である。図のように、各パターンはKCMYの各色インクで、搬送方向に沿った罫線が紙幅方向に間隔hで配置されるように形成される。当該罫線群は、印刷データ上では幅hの間隔で等間隔に形成される。しかし、実際にはヘッドの取付誤差等によるずれが生じるため、実際に印刷されたテストパターンの罫線間距離(紙幅方向)を測定することによって、ノズル位置(ヘッド位置)のずれを算出することができる。
【0066】
なお、テストパターンが紙に印刷される場合、温度の変化によって紙が伸縮すると正確な罫線間距離を測定することができなくなる。そこで、媒体(紙)の線膨張係数を考慮して、罫線間隔の読み取り範囲の最大幅を決めておく。図13では紙幅方向の最大読み取り範囲をHとして罫線間隔を読み取るようにする。これにより、温度の変化による測定誤差の影響が所定の範囲内におさまるようにする。
【0067】
また、パターンを形成する罫線は搬送方向に沿って印刷されるため、搬送時に蛇行等が生じると罫線が曲がって印刷されるおそれがある。そこで、各罫線を搬送方向に沿って複数の区間に分割し、各区間について罫線間距離の読み取りを行ない、それぞれの区間における測定値を平均化する。図では搬送方向の長さがLとなる区間毎に測定が行なわれる。すなわち、図13の区間1に含まれる罫線群の罫線間距離を測定し、次に区間2に含まれる罫線群の罫線間距離を測定する、といったように、搬送方向の所定区間毎に罫線間距離の読み取りを行なう。これにより、蛇行等が発生したとしてもその影響が測定結果に表れにくくなる。なお、Lの長さは安定的に罫線を認識することができる最小長さを考慮して決定される。
【0068】
また、1本の罫線が同じノズルによって形成される場合、当該ノズルに不具合が生じていた場合(例えばインク噴射時に飛行曲がりが発生する場合等)、そのノズルによって形成された罫線から測定されたデータは、他のノズルに対して大きな誤差を含むデータとなる。このような飛行曲がり等の影響を小さくするために、1つのノズルではなく複数のノズルによって罫線を形成させるようにすることが望ましい。そこで、本実施形態では、上述の区間毎に異なるノズルを用いて罫線を印刷する。例えば、ある罫線を印刷する際に、区間1では#285ノズルを用い、区間2では#284ノズルを用い、区間3では#286ノズルを用いる。他の罫線についても同様に区間毎にノズルをずらしながら印刷する。上述のように、本実施形態では区間毎に罫線間距離が測定されため、区間毎にノズルのずらし方を揃えておけば、罫線間距離はどの区間でも大きくずれることは無い。したがって、異なるノズルを用いて罫線が印刷されるのであっても問題は生じにくい。
【0069】
また、図13のように罫線間隔hにてKCMYの罫線を1枚のテストパターンとして印刷することで、S101の作業工程に要する時間を短縮することができる。例えば、各色毎に1枚ずつテストパターンを印刷する場合には、4枚分のテストパターンを印刷する必要が生じる。しかし、本実施形態では、1回の印刷でS101の工程が終了する。なお、1枚のテストパターンに必要な本数の罫線を印刷するため、罫線間の間隔hは可能な限り小さくすることが望ましい。本実施形態では、ヘッド41及びヘッド42の紙幅方向取付位置のアライメント誤差を考慮して、最大誤差が生じた場合であっても紙幅方向における罫線同士の位置関係が入れ替わることが無いように(例えば、KとCの罫線位置が入れ替わるようなことが無いように)間隔hが決定される。
【0070】
(S102:テストパターンの読み取り)
次に、コンピューター110は、テストパターンの画像をスキャナー120に読み取らせる。スキャナー120は、コンピューター110のスキャナードライバーからの指示に従って、テストパターンの画像を読み取り、読取結果である画像データをコンピューター110に送信する。スキャナー120の読取解像度は、ノズルピッチの4倍以上に設定される。例えば、2880dpi(ノズルピッチの8倍)等の解像度と設定される。
コンピューター110は、スキャナーから取得した画像データに対して2値化処理を行う。但し、スキャナー120から送信される画像データが既に2値化されていれば、2値化処理は不要である。
【0071】
(S103:罫線位置の測定)
次に、コンピューター110は、S102で読み取られた画像データを解析してテストの各罫線の紙幅方向の位置を測定する。罫線位置の測定は、画像データ中の各罫線の紙幅方向の重心位置を求めることによって行われる。重心位置は、測定対象となる罫線について、搬送方向の画素列毎に平均濃度を算出し、そのうち最高濃度を示す画素の紙幅方向位置が、当該罫線の重心位置とされる。罫線位置の測定は、全てのパターン(図12の例では、第1パターンP1、第2パターンP2、第3パターンP3)について行われる。
【0072】
(S104:ノズル列の相対ずれ量の算出)
S103にて算出された罫線位置のデータを用いて、それぞれのノズル列の相対ずれ量を算出する。図14は、罫線位置のデータからノズル列のずれ量を算出する方法について説明する図である。図の各罫線(Lk1,Lc1,Lm1,Ly1,……,Ly4)は上述の図13で示されるテストパターンの区間1の部分の拡大図である。Lkはブラック(K)の罫線を、Lcはシアン(C)の罫線を、Lmはマゼンタ(M)の罫線を、Lyはイエロー(Y)の罫線を表している。
【0073】
まず、ヘッド41AのKノズル列によって形成される罫線の位置を基準罫線位置として、他のノズル列よって形成される罫線との間隔を算出する。図14に示される罫線のうち、Lk1及びLk2はヘッド41AのKノズル列中の所定ノズルによって形成された罫線であるので、これらを基準罫線と考える。例えば、ヘッド41AのKノズル列によって形成される罫線とヘッド41AのCノズル列によって形成される罫線との間隔を算出する場合は、Lk1とLc1との距離(LC1)及びLk2とLc2との距離(LC3)が算出される。同様に、ヘッド41AのKノズル列によって形成される罫線とヘッド42BのYノズル列によって形成される罫線との間隔を算出する場合は、Lk1とLy3との距離(LY2)及びLk2とLy4との距離(LY4)が算出される。
【0074】
なお、これらの罫線間距離を算出する際には、図13に示される紙幅方向の距離H以下となるように罫線の組み合わせが選択される。上述のように、熱膨張等による誤差の影響を小さくするためである。したがって、ヘッド41AのKノズル列によって形成される罫線とヘッド42BのYノズル列によって形成される罫線との間隔を算出する場合に、Lk1とLy4との距離(>H)は算出対象外となる。
【0075】
図15は、図14から算出される罫線間距離の結果をまとめた表である。ヘッド41A、41B、42A、42Bに含まれる罫線について、ヘッド41AのKノズルによって形成される罫線を基準とした場合の罫線間の距離(ノズル列間の距離)が算出される。なお、Kノズル列による罫線を基準としたため、ヘッド41AのKノズル列とヘッド41AのKノズル列との間隔は0である。
【0076】
ここで、図14ではテストパターンP1のうち、区間1についてのみを表している。そこで、他の区間(区間2、区間3、…、区間n)についても同様に罫線間の距離を算出する。そして、その平均を求めることにより、テストパターンP1を読み取ったデータから平均罫線間距離が算出される。
【0077】
また、この動作をテストパターンP1、P2、P3について繰り返す。P2の測定では41BのKノズル列の位置を基準とし、P3の測定では41CのKノズル列の位置を基準として平均罫線間距離が算出される。
【0078】
図16に、平均罫線間距離の結果をまとめた表を示す。図16では、ヘッド間の繋ぎ目毎へに、Kノズル列を基準とした場合の平均罫線間距離のデータが表されている。この罫線間距離を用いてノズル列間の紙幅方向のずれ量を算出することができる。例えば、ヘッド41AのKノズル列とヘッド42AのMノズルとのずれ量は、ΔLM1であり、ヘッド41BのCノズル列とヘッド42BのYノズル列とのずれ量は、(ΔLC3−ΔLY3)として算出することができる。
【0079】
(S105:Kノズル列の重複ノズル設定)
S104で算出されるノズル列間のずれ量の大きさに応じて重複ノズルの設定が行なわれる。はじめに、重複ノズル設定の概念について説明する。
図17は、ヘッド41AのKノズル列に対するヘッド42BのKノズル列の相対位置の説明図である。プリンター1のノズルピッチは360dpiなので、画像データ上のノズルピッチは、2880dpiの解像度で読み取られた画像データの場合8画素分に相当する。また、列領域の幅もノズルピッチと同じ360dpiになるので、列領域の幅も2880dpiの画像データ上では8画素分に相当する。
【0080】
ここで、ヘッド41Aのノズル列に対するヘッド41Bのノズル列が相対的にずれた場合について検討する。
4画素未満のずれ量でヘッド41Bのノズル列が図中の上側にずれた場合、ヘッド41Bのノズル♯1は第359列領域にドットを形成可能であり、ノズル♯2は第360列領域にドットを形成可能である。このように、2つのノズル列の相対的なずれ量が4画素未満の場合、重複ノズルの設定は、デフォルトのまま変更しなくて良い。言い換えると、2つのノズル列の相対的なずれ量の絶対値がノズルピッチの半分未満であれば、重複ノズルの設定は変更されない。
【0081】
しかし、4画素以上のずれ量でヘッド41Bのノズル列が図中の上側にずれた場合、ヘッド41Bのノズル♯1は第358列領域にドットを形成してしまい、ノズル♯2は第359列領域にドットを形成してしまう。この場合、重複ノズルの設定を変更するのが好ましい。具体的には、ヘッド41Aのノズル♯358とヘッド41Bのノズル♯1を組にして、ヘッド41Aのノズル♯359とヘッド41Bのノズル♯2を組にして、ヘッド41Aのノズル♯360とヘッド41Bのノズル♯3を組にして、重複ノズルの設定を行うのが好ましい。
【0082】
そこで、2つのノズル列の相対的なずれ量が4画素(ノズルピッチの半分)以上で12画素(ノズルピッチの1.5倍)未満の場合、コンピューター110は、重複ノズルの設定をデフォルトの状態から1個ずつ変更する。また、ずれの方向がマイナスの場合(図17において、ヘッド41Bのノズル列が上側にずれる場合)には、コンピューター110は、重複ノズルを増やすように設定を変更する。ずれの方向がプラスの場合(図17において、ヘッド41Bのノズル列が下側にずれる場合)には、コンピューター110は、重複ノズルを減らすように設定を変更する。
【0083】
Kノズル列の重複ノズル設定について、具体例を用いて説明する。図18は、第1実施形態における重複ノズルの設定について具体的に説明する図である。図18の左側に表される理想アライメントは、ヘッド41AのKノズルの位置を基準として、各ノズル列に取付誤差等が生じず、ノズル列の位置(ノズルの位置)が理想的な状態で配置されている場合を示している。説明の為、図18のように理想アライメントをIdA,IdB,IdCとしておく。図18の中央の図はKノズル列(ヘッド41)の実際の配置を、右側の図はMノズル列(ヘッド42)の実際の配置をそれぞれ表している。各ノズル列の丸印はノズル位置を表し、丸印内の数字はそのノズルが担当する列領域の番号を示している。また、丸印のうち着色されているものは重複ノズルを表している。
【0084】
上述のように、Kノズル列については「繋ぎ目基準」で重複ノズルの設定が行なわれる。すなわち、隣合う上下のヘッド間(例えば、ヘッド41Aとヘッド41Bとの間)での繋ぎ目のずれ量を基準として判断する。
【0085】
図18のヘッド41Aとヘッド41Bとの繋ぎ目ではKノズル列同士の相対ずれ量が+0.3ノズル分である。ずれ量の絶対値が0.5未満(|+0.3|<0.5)であるため、この繋ぎ目部分において重複ノズル数は変更されない。また、重複ノズル数が変更されないため、各ノズルが担当する列領域も変更されない。すなわち、ヘッド41Bの各ノズルのシフト量はゼロである。
【0086】
次に、図18のヘッド41Bとヘッド41Cとの繋ぎ目ではKノズル列同士の相対ずれ量が+0.6ノズル分である。ずれ量が0.5以上(0.5≦|+0.6|<1.5)であるため、重複ノズル数が1減少する。図18においては、ヘッド41Bの#359ノズル(下から2番目のノズル)が重複ノズルではなくなり、同様に、ヘッド41Cの#2ノズル(上から2番目のノズル)が重複ノズルではなくなる。
【0087】
また、重複ノズルが変更されたためヘッド41Cにおいてノズル位置がシフトされる。ヘッド41Cの各ノズルのシフト量は、(ヘッド41Bのシフト量)−(ヘッド41Cの重複ノズルの増減量)で表される。図18の場合、「ヘッド41Cのシフト量」=0−(−1)=+1となる。すなわち、ヘッド41Cの各ノズルが担当する列領域番号が+1ずつシフトされる。例えば、ヘッド41Cの#1ノズルが担当する列領域の番号が、717から718へとシフトされる。
【0088】
コンピューター110はこのようにして、繋ぎ目基準でKノズル列について重複ノズルの数を設定する。これにより、ヘッド間の継ぎ目部分における重複ノズルのずれを補正するデータが得られる。
【0089】
(S106:カラーインク(CMY)ノズル列の重複ノズル設定)
カラーインク(CMY)ノズル列については、Kノズル列の場合のような繋ぎ部分の相対ずれ量によって重複ノズル設定する(繋ぎ目基準)ではなく、列基準で重複ノズル設定する。すなわち、CMYノズル列のうちのあるノズル列と、そのノズル列の紙幅方向の基準位置を示すノズル列(基準ノズル列)との間の紙幅方向のずれ量を考慮して重複ノズルの設定が行なわれる。なお、第1実施形態では理想アライメントを基準ノズル列として各カラーノズル列の相対的なずれ量が求められる。
【0090】
具体的には、繋ぎ目を挟んだ上下のノズル列間(例えばヘッド42Aとヘッド42B)において、上側ノズル列と基準ノズル列とのずれ量、及び、下側ノズル列と基準ノズル列とのずれ量をそれぞれ算出する。算出されたそれぞれのずれ量から上側ノズル列のシフト量、下側ノズル列のシフト量が算出される。ここで、シフト量は、各ノズルが本来担当する列領域の位置からのずれ量を表す。本実施形態では、基準とするノズル列との相対ずれ量の絶対値が0.5ノズル分未満であればシフト量はゼロとなる。一方、基準とするノズル列との相対ずれ量の絶対値が0.5ノズル以上、1.5ノズル未満であれば、シフト量が1増減される。また、ずれの方向がマイナス側であるときにシフト量が減少され、ずれの方向がプラス側であるときにシフト量が増加される。
【0091】
上下のノズル列においてそれぞれシフト量が算出された後、上側ノズル列のシフト量から下側ノズル列のシフト量を減算することにより、当該2つのノズル列の繋ぎ目における重複ノズル数が算出される。
【0092】
ここでは、図18の例を用いてMノズル列の重複ノズル設定について具体的に説明する。
ヘッド42Aとヘッド42Bとの間の繋ぎ目ノズルの設定について説明する。まず、ヘッド42AのMノズル列と基準ノズル列IdAとの相対ずれ量を算出し、ヘッド42AのMノズル列のシフト量を求める。図18の場合、IdAのノズル列とヘッド42AのMノズル列との相対ずれ量は−0.3ノズルである。ずれ量の絶対値が0.5未満(|−0.3|<0.5)であるため、ヘッド42AのMノズル列について各ノズルが担当する列領域に変更は無い。すなわち、ヘッド42AのMノズル列のシフト量はゼロである。
【0093】
次に、ヘッド42BのMノズル列と、基準ノズル列IdBとのずれ量は−1.1ノズルである。ずれ量の絶対値が0.5以上(0.5≦|−1.1|<1.5)であるため、シフト量は1だけ増減する。図18の例では基準ノズル列(IdB)に対してヘッド42BのMノズル列がマイナス側にずれているため、シフト量は1減少する。すなわち、ヘッド42Bの各ノズルが担当する列領域番号が−1ずつシフトされる。例えば、ヘッド42Bの#1ノズルが担当する列領域の番号が、359から358へとシフトされる。
【0094】
この結果、ヘッド42AのMノズル列とヘッド42BのMノズル列との繋ぎ目の重複ノズル数は、(ヘッド42AのMノズル列のシフト量)−(ヘッド42BのMノズル列のシフト量)=(0)−(−1)=+1となる。つまり、重複ノズル数が1つ増加する。図18では、ヘッド42AのMノズル列の#358ノズル(下から3番目のノズル)が重複ノズルに追加され、同様に、ヘッド42BのMノズル列の#3ノズル(上から3番目のノズル)が重複ノズルに追加される。
【0095】
次に、ヘッド42Bとヘッド42Cとの間の繋ぎ目ノズルの設定についてについて説明する。ヘッド42Bのシフト量は上述の通り(−1)である。これに対して、ヘッド42CのMノズル列と基準ノズル列IdCとの相対ずれ量は−0.4ノズル分である。ずれ量の絶対値が0.5未満(|−0.4|<0.5)であるため、ヘッド42CのMノズル列について各ノズルが担当する列領域に変更は無い。すなわち、ヘッド42CのMノズル列のシフト量はゼロである。
【0096】
この結果、ヘッド42BのMノズル列とヘッド42CのMノズル列との繋ぎ目の重複ノズル数は、(ヘッド42BのMノズル列のシフト量)−(ヘッド42CのMノズル列のシフト量)=(−1)−(0)=−1となる。つまり、重複ノズル数が1つ減少する。図18では、ヘッド42BのMノズル列の#359ノズル(下から2番目のノズル)が重複ノズルではなくなり、同様に、ヘッド42CのMノズル列の#2ノズル(上から2番目のノズル)が重複ノズルではなくなる。
【0097】
なお、カラー(CMY)ノズル列についてはKノズル列のような繋ぎ目基準の補正は行わない。その結果、例えば、ヘッド42BのMノズル列とヘッド42CのMノズル列との間で繋ぎ目の濃淡(ムラ)が発生する可能性がある。しかし、ブラック(K)の繋ぎ目と比較してカラー(CMY)の繋ぎ目に多少のムラが発生したとしても、当該ムラは目立ちにくいため、本実施形態のようにカラーインク同士の混色や色ずれを補正する方が、印刷画像の画質を向上させる効果が大きい。
【0098】
この動作がCノズル、Yノズルについても同様にして行われる。コンピューター110はこのようにして、列基準でCMYノズル列について重複ノズルの数を設定する。
【0099】
(S107:設定データの記憶)
コンピューター110は、Kノズル列及びCMYノズル列についての設定データの決定後、設定データをプリンター1のメモリー63に記憶する。すなわち、このような設定データを記憶したプリンターが製造される。このようにメモリー63に設定データが記憶された状態で、プリンター1は梱包されて出荷される。
【0100】
その後、プリンターを購入したユーザーによって、印刷が行われる。ユーザーは、コンピューター110にプリンター1を接続するとともに、プリンタードライバー(プログラム)を記憶したCD−ROM(記憶媒体)をコンピューター110のCD−ROMドライブにセットし、プリンタードライバーをコンピューター110にインストールする。なお、ユーザーの下では、図2のようにスキャナー120はコンピューター110に接続されていなくても良い。
【0101】
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プリンター1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンターに出力する。アプリケーションプログラムからの画像データを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理・コマンド付加処理などを行う。各処理の詳細な説明については省略する。
【0102】
<第1実施形態の効果>
Kノズル列及び、CMYノズル列について重複ノズルが設定され、当該設定に応じてプリンター1から実際にインクが噴射されることにより、以下の効果を有する。
【0103】
プリンター1は、紙幅方向に配置される2つのKノズル列の繋ぎ目において濃淡の目立たない画像を印刷することができる。すなわち、繋ぎ目の目立ちにくい画像を印刷することができる。また、ブラック(K)インクを用いてバーコードを印刷する場合、該ヘッド間の繋ぎ目において、インクの噴射位置のずれ量小さくなるため、バーコードを構成するラインの太さや間隔が正確に印刷される。これにより、高品質なバーコードを作成することができる。例えば、市販のバーコードリーダー(例えば、NECインフロンティア社製「TWINPOS 3500」)を用いてバーコードの読み取り試験を行なう場合、通常のプリンターを用いて印刷されたバーコードでは誤認識が頻発することがある。しかし、プリンター1を用いて印刷されたバーコードでは誤認識が1%以下となり、非常に高精度なバーコードを印刷することができる。
【0104】
また、複数色のインクを用いたカラー印刷を行う際に、色ずれや混色、罫線のずれといった問題が生じにくくなる。例えば、通常のプリンターでブルーのベタ塗り印刷を行う場合、シアン(C)ノズル列とマゼンタ(M)ノズル列との間でインクドットの着弾位置のずれが生じると、その部分が紫や赤等の線として印刷されてしまう場合がある。また、ブルーの罫線を1本印刷したい場合にシアン(C)の罫線とマゼンタ(M)の罫線とが印刷されてしまう場合がある。これに対して、プリンター1で印刷された画像はカラーインク同士の着弾位置のずれが補正されるため、このような画質の劣化が目立ちにくくなる。例えば、一般人10人に対して肉眼で画質の劣化が確認できるか否かを試験した結果、通常のプリンターで印刷された画像では、4人の人が画質の劣化を感じた。これに対して、プリンター1を用いて同じ画像データに基づいて印刷された画像では、劣化を感じた人は1人だけであった。
【0105】
このように、本実施形態のプリンターでは、ブラック(K)インクを用いて印刷を行う際に、ノズル列間の繋ぎ目が目立ちにくく、また、品質の高いバーコードを印刷することが可能である。そして、カラー(CMY)インクを用いて印刷を行う際には、混色・色ずれが生じにくく、また、罫線ずれの少ない高画質なカラー画像を印刷することができる。
【0106】
===第2実施形態===
第2実施形態では、カラー(CMY)ノズル列に関して「列基準」で重複ノズルの設定を行なう際に、基準ノズル列を理想アライメントではなく、Kノズル列とする。これにより、Kノズル列と各色カラーノズル列との相対ずれ量が補正され、カラーインク同士の着弾位置ずれに加えて、カラーインクとブラックインクとの着弾位置ずれも抑制することができる。
第2実施形態では図11のCMYノズル列の重複ノズル設定(S106)の方法が第1実施形態とは異なる。それ以外の処理、及び、プリンター1の構成は第1実施形態とほぼ同様である。
【0107】
<第2実施形態におけるCMYノズル列の重複ノズル設定について>
本実施形態では、各色カラーノズル列の紙幅方向のずれ量を算出する際の基準となるノズル列を、理想アライメントではなく、Kノズル列とする。
【0108】
図19は、第2実施形態における重複ノズルの設定について具体的に説明する図である。図19では、図18の場合と同じ位置に配置されているノズル列について、Kノズル列を基準ノズル列としてMノズル列の重複ノズルを設定する例を表している。なお、Kノズル列についての重複ノズルの設定方法については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0109】
ヘッド42Aとヘッド42Bとの間の繋ぎ目ノズルの設定について説明する。まず、ヘッド42AのMノズル列と基準ノズル列との相対ずれ量を算出し、当該ノズル列のシフト量を求める。なお、本実施形態では、ヘッド42AのMノズル列と搬送方向の対応する位置にあるのはヘッド41AのKノズル列である。したがって、ヘッド41AのKノズル列がヘッド42AのMノズル列に対する基準ノズル列となる。同様に、ヘッド42BのMノズル列に対する基準ノズル列は、搬送方向の対応する位置にあるヘッド41BのKノズル列である。また、ヘッド42CのMノズル列に対する基準ノズル列は、搬送方向の対応する位置にあるヘッド41CのKノズル列である。
【0110】
図19の場合、ヘッド41AのKノズル列とヘッド42AのMノズル列との相対ずれ量は−0.3ノズルである。ずれ量の絶対値が0.5未満(|−0.3|<0.5)であるため、ヘッド42AのMノズル列について各ノズルが担当する列領域に変更は無い。すなわち、ヘッド42AのMノズル列のシフト量はゼロである。
【0111】
次に、ヘッド42BのMノズル列と、基準ノズル列であるヘッド41BのKノズル列とのずれ量は−1.4ノズルである。ずれ量の絶対値が0.5以上(0.5≦|−1.4|<1.5)であるため、シフト量は1だけ増減する。図19の例では基準ノズル列(ヘッド41BのKノズル列)に対してッド42BのMノズル列がマイナス側にずれているため、シフト量は1減少する。すなわち、ヘッド42Bの各ノズルが担当する列領域番号が−1ずつシフトされる。例えば、ヘッド42Bの#1ノズルが担当する列領域の番号が、359から358へとシフトされる。
【0112】
この結果、ヘッド42AのMノズル列とヘッド42BのMノズル列との繋ぎ目の重複ノズル数は、(ヘッド42AのMノズル列のシフト量)−(ヘッド42BのMノズル列のシフト量)=(0)−(−1)=+1となる。つまり、重複ノズル数が1つ増加する。図19では、ヘッド42AのMノズル列の#358ノズル(下から3番目のノズル)が重複ノズルに追加され、同様に、ヘッド42BのMノズル列の#3ノズル(上から3番目のノズル)が重複ノズルに追加される。
【0113】
次に、ヘッド42Bとヘッド42Cとの間の繋ぎ目ノズルの設定についてについて説明する。ヘッド42Bのシフト量は上述の通り(−1)である。これに対して、ヘッド42CのMノズル列と基準ノズル列であるヘッド41CのKノズル列との相対ずれ量は−1.3ノズル分である。ずれ量の絶対値が0.5以上(0.5≦|−1.3|<1.5)であるため、シフト量は1増減する。図19の例では基準ノズル列(ヘッド41CのKノズル列)に対してヘッド42CのMノズル列がマイナス側にずれているため、シフト量は1減少する。すなわち、ヘッド42Cの各ノズルが担当する列領域番号が−1ずつシフトされる。例えば、ヘッド42Cの#1ノズルが担当する列領域の番号が、717から716へとシフトされる。
【0114】
この結果、ヘッド42BのMノズル列とヘッド42CのMノズル列との繋ぎ目の重複ノズル数は、(ヘッド42BのMノズル列のシフト量)−(ヘッド42CのMノズル列のシフト量)=(−1)−(−1)=0となる。つまり、重複ノズル数は変更されない。
【0115】
このようにして、Kノズル列の位置を基準として、CMYの各ノズル列について重複ノズルの設定が行なわれる。
【0116】
図18と図19を比較すると、同じノズル配置であるにもかかわらず、ヘッド42CのMノズル列において、重複ノズルの数や、各ノズルのシフト量が変更されていることが分かる。第2実施形態ではKノズル列とMノズル列との色ずれを考慮して、当該ノズル列間における紙幅方向のずれを補正することを優先しているためである。
【0117】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、さらに、ブラック(K)インクドットとカラー(CMY)インクドットとの着弾位置のずれも補正することができる。すなわち、KとCMYとの間で生じる色ずれや混色についても抑制しやすくなり、より高画質な画像を印刷することができるようになる。
【0118】
===第3実施形態===
第3実施形態では、カラー(CMY)ノズル列に関して「列基準」で重複ノズルの設定を行なう際に、他のカラーノズル列を基準ノズル列として重複ノズルの設定を行なう。例えば、Kノズル列を基準としてCノズル列の重複ノズルの設定を行い、次に、Cノズル列を基準としてMノズル列の重複ノズルの設定を行う。そして、Mノズル列を基準としてYノズル列の重複ノズルの設定を行う。
第3実施形態では図11のCMYノズル列の重複ノズル設定(S106)の方法が第2実施形態とは異なる。それ以外の処理、及び、プリンター1の構成は第2実施形態とほぼ同様である。
【0119】
図20は、第2実施形態における重複ノズルの設定について具体的に説明する図である。Kノズル列の重複ノズルを設定する方法、及び、Kノズル列を基準ノズル列としてCノズル列の重複ノズルを設定する方法については、第2実施形態で説明した方法と略同様であるため説明を省略する。
【0120】
ヘッド42AのMノズル列とヘッド42BのMノズル列との間の繋ぎ目ノズルの設定について説明する。まず、ヘッド42AのMノズル列と基準ノズル列との相対ずれ量を算出し、当該ノズル列のシフト量を求める。なお、本実施形態では、色ずれを抑制したいノズル列を基準ノズル列とする。例えば、シアン(C)とマゼンタ(M)との間の色ずれを抑制したい場合、搬送方向の対応する位置にあるヘッド41AのCノズル列がヘッド42AのMノズル列に対する基準ノズル列となる。同様に、ヘッド42BのMノズル列に対する基準ノズル列は、搬送方向の対応する位置にあるヘッド41BのCノズル列である。また、ヘッド42CのMノズル列に対する基準ノズル列は、搬送方向の対応する位置にあるヘッド41CのCノズル列である。
【0121】
図20の場合、ヘッド41AのCノズル列とヘッド42AのMノズル列との相対ずれ量は−0.3ノズルである。ずれ量の絶対値が0.5未満(|−0.3|<0.5)であるため、ヘッド42AのMノズル列について各ノズルが担当する列領域に変更は無い。すなわち、ヘッド42AのMノズル列のシフト量はゼロである。
【0122】
次に、ヘッド42BのMノズル列と、基準ノズル列であるヘッド41BのCノズル列とのずれ量は+0.9ノズルである。ずれ量の絶対値が0.5以上(0.5≦|+0.9|<1.5)であるため、シフト量は1だけ増減する。図20の例では基準ノズル列(ヘッド41BのCノズル列)に対してッド42BのMノズル列がプラス側にずれているため、シフト量は1増加する。すなわち、ヘッド42Bの各ノズルが担当する列領域番号が+1ずつシフトされる。例えば、ヘッド42Bの#1ノズルが担当する列領域の番号が、359から360へとシフトされる。
【0123】
この結果、ヘッド42AのMノズル列とヘッド42BのMノズル列との繋ぎ目の重複ノズル数は、(ヘッド42AのMノズル列のシフト量)−(ヘッド42BのMノズル列のシフト量)=(0)−(+1)=−1となる。つまり、重複ノズル数が1つ減少する。図20では、ヘッド42AのMノズル列の#359ノズル(下から2番目のノズル)が重複ノズルではなくなり、同様に、ヘッド42BのMノズル列の#2ノズル(上から2番目のノズル)が重複ノズルではなくなる。
【0124】
次に、ヘッド42Bとヘッド42Cとの間の繋ぎ目ノズルの設定についてについて説明する。ヘッド42Bのシフト量は上述の通り(+1)である。これに対して、ヘッド42CのMノズル列と基準ノズル列であるヘッド41CのCノズル列との相対ずれ量は−0.4ノズル分である。ずれ量の絶対値が0.5未満(|−0.4|<0.5)であるため、シフト量の増減は無い。すなわち、ヘッド42CのMノズル列のシフト量はゼロである。
【0125】
この結果、ヘッド42BのMノズル列とヘッド42CのMノズル列との繋ぎ目の重複ノズル数は、(ヘッド42BのMノズル列のシフト量)−(ヘッド42CのMノズル列のシフト量)=(+1)−(0)=+1となる。つまり、重複ノズル数が1つ増加する。図20では、ヘッド42BのMノズル列の#358ノズル(下から3番目のノズル)が重複ノズルに追加され、同様に、ヘッド42CのMノズル列の#3ノズル(上から3番目のノズル)が重複ノズルに追加される。
【0126】
このようにして、Kノズル列の位置を基準としてCノズル列の重複ノズルが設定され、Cノズル列の位置を基準としてMノズル列の重複ノズルが設定される。つまり、各色ノズル列の重複ノズルは、基準となる色のノズル列との相対ずれ量に応じて決定される。
【0127】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態では、第2実施形態の効果に加えて、さらに、カラーインクドット同士の
着弾位置のずれも補正することができる。例えば、シアン(C)インクドットとマゼンタ(M)インクドットとの着弾位置のずれも補正することができる。すなわち、CとM、MとY等の間で生じる色ずれや混色についてさらに抑制しやすくなり、より高画質な画像を印刷することができるようになる。
【0128】
===その他の実施形態===
<プリンターについて>
前述の実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンターが説明されている。但し、液体噴射装置はインクジェットプリンターに限られるものではなく、インク以外の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような液状体も含む)や液体以外の流体(流体として噴射できる固体、例えば粉体)を噴射する流体噴射装置にも適用可能である。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる液状の色剤や電極材などを噴射する噴射装置や、バイオチップ製造に用いられる液状の生体有機物を噴射する噴射装置に、前述の実施形態を適用しても良い。
【0129】
<使用するインクについて>
前述の実施形態では、CMYKの4色のインクを使用して印刷する例が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト、クリア等、CMYK以外の色のインクを用いて印刷を行ってもよい。また、インクは水性でも良いし、油性でも良い。
【0130】
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子(ピエゾ素子)を駆動させることによってノズルからインクを吐出する例について説明されていた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【0131】
<ノズル列の配置について>
ヘッド部のノズル列は搬送方向に沿ってKCMYの順で並んでいたが、これに限られるものではない。例えば、Kノズル列とCノズル列との順番が入れ替わっていてもよい。
【0132】
<媒体について>
前述の実施形態では、ノズルから流体が噴射される媒体は、紙であった。しかし、媒体は紙に限られるものではない。例えば、布や、OHPシートや、液晶基板、半導体ウェハーなどでも良い。
【0133】
<プリンタードライバーについて>
プリンタードライバーの処理はプリンター側で行ってもよい。その場合、プリンターとドライバーをインストールしたコンピューターとで印刷装置が構成される。
【符号の説明】
【0134】
1 プリンター
20 搬送ユニット、22A 上流側ローラー、22B 下流側ローラー、
24 ベルト、
40 ヘッドユニット、41,42 ヘッド、
50 検出器群、51 ロータリーエンコーダー、52 原点センサー
60 コントローラー、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリー、
64 ユニット制御回路、
110 コンピューター、
120 スキャナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第1の流体を噴射する複数のノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、
(B)前記第1の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された第2ノズル列と、
(C)前記第1の流体とは異なる第2の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第3ノズル列と、
(D)前記第2の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並ぶ前記第3ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された第4ノズル列と、
(E)前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の前記所定方向におけるずれ量から決定される第1のデータであって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第1のデータと、
前記第3ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第1基準ノズル列と前記第3ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、及び、前記第4ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第2基準ノズル列と前記第4ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、から決定される第2のデータであって、前記第3ノズル列及び前記第4ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第2のデータと、
をそれぞれ記憶するメモリーと、
(F)前記第1のデータに基づいて定められる前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させ、
前記第2のデータに基づいて定められる前記第3ノズル列と前記第4ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させる制御部と、
(G)を備える流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記第3ノズル列は、前記所定方向と交差する交差方向において前記第1ノズル列と対応する位置に配置され、
前記第4ノズル列は、前記所定方向と交差する交差方向において前記第2ノズル列と対応する位置に配置され、
前記第1基準ノズル列が前記第1ノズル列であり、
前記第2基準ノズル列が前記第2ノズル列である、ことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体噴射装置であって、
前記第1の流体及び前記第2の流体とは異なる第3の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する交差方向において前記第3ノズル列と対応する位置に配置される第5ノズル列と、
前記第3の流体を噴射する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する交差方向において前記第4ノズル列と対応する位置に配置される第6ノズル列と、
を備え、
前記第3ノズル列と前記第5ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、及び、前記第4ノズル列と前記第6ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、から決定される第3のデータであって、前記第5ノズル列及び前記第6ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第3のデータが前記メモリーに記憶され、
前記制御部は、前記第3のデータに基づいて決定された前記第5ノズル列と前記第6ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させる、ことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項4】
(A)複数のノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列から第1の流体を噴射することと、
(B)前記第1ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列から、前記第1の流体を噴射することと、
(C)複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第3ノズル列から、前記第1の流体とは異なる第2の流体を噴射することと、
(D)前記第3ノズル列に対して前記所定方向に一部が重複するように配置された複数のノズルが前記所定方向に並ぶ第4ノズル列から、前記第2の流体を噴射することと、
(E)前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の前記所定方向におけるずれ量から決定される第1のデータであって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第1のデータ、に基づいて定められる前記第1ノズル列と前記第2ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させることと、
(F)前記第3ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第1基準ノズル列と前記第3ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、及び、前記第4ノズル列の前記所定方向の基準位置を示す第2基準ノズル列と前記第4ノズル列の前記所定方向におけるずれ量、から決定される第2のデータであって、前記第3ノズル列及び前記第4ノズル列の複数のノズルの中から前記所定方向に重複するノズルを定める第2のデータ、に基づいて定められる前記第3ノズル列と前記第4ノズル列の重複するノズルによって、前記所定方向と交差する方向に複数のドットが並ぶドット列を形成させることと、
(G)を備える流体噴射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図10】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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