説明

流体工学界面システム

漏れの無い電気コネクタが、流体工学デバイスと、他の電気回路との間の流体バリアとして構成される。前記流体工学デバイスは、chemFETセンサを含み得る。前記流体工学デバイスは、1または複数の電気接点をさらに含む。前記1または複数のは、前記コネクタを通じて前記電気回路と関連付けられた1または複数の電気接点へと導電接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願シリアル番号第61/293,048号(出願日:1月7日、2010年、名称:「Fluidics Interface Systems」)および米国仮出願シリアル番号第61/374,602号(出願日:2010年8月17日、名称)「Fluidics Interface Systems」)の下の優先権を主張する。上記の出願双方全体を参考のため援用する。
【背景技術】
【0002】
生物分析物および化学分析物の測定を高速かつ正確に行うことは、多くの分野(例えば、診断、産業プロセス制御、環境監視、および科学研究)において重要である。電子化学信号生成プロセスと、このような信号の収集、処理および保存のための電子機器との間の界面を利用した、広範囲の化学センサおよび生体分子センサが開発されている(例えば、Ferrigno etal、Conf Proc.IEEE Eng.Med.Biol.Soc.、1:4144−4146(2009)(非特許文献1);Henry etal、Electrophoresis、30:3398−405(2009)(非特許文献2);Lingerfelt etal、Meth.Mol.Biol.、385:103−120(2007)(非特許文献3);Ackley etal、U.S.patent6、423、271;Ackley etal、U.S.patent7、241、419(非特許文献4)を参照)。化学的感受性の電界効果トランジスタ(詳細には、イオン感受性の電界効果トランジスタ)(それぞれ、「chemFET」および「ISFETs」)は、このような測定に用いられ得る(例えば、:Bergveld、Sensors and Actuators、88:1−20(2003)(非特許文献5);Yuqing etal、Biotechnology Advances、21:527−534(2003)(非特許文献6)を参照)。このようなセンサのアレイは、空間を空けて分布された多数の分析物の測定を単一のデバイスを用いて行うための集積回路技術を用いて作製され得る(例えば、Yeow etal、Sensors and ActuatorsB44:434−440(1997)(非特許文献7);Martinoia etal、Biosensors&Bioelectronics、16:1043−1050(2001)(非特許文献8);Milgrew etal、Sensors and ActuatorsB103:37−42(2004)(非特許文献9);Milgrew etal、Sensors and ActuatorsB、111−112:347−353(2005)(非特許文献10);Hizawa etal、Sensors and ActuatorsB、117:509−515(2006)(非特許文献11);Heer etal、Biosensors and Bioelectronics、22:2546−2553(2007)(非特許文献12)を参照)。このようなデバイスは、研究、医療、産業プロセス監視、および環境科学などの用途において用いられ得る。さらに、このようなデバイスは、多様な使い捨て型要素または消耗要素と共に動作するように構成され得る。しかし、このようなデバイスの場合、設計面において問題がある。すなわち、このようなデバイスは容易かつ簡便に利用できるべきであるが、頑丈かつ漏れの無い動作を可能にするべきでもあり、これにより、補助電子要素またはデバイスへの損害の可能性を発生させること無く、出力データまたは電気信号応答を提供するセンサによる液体サンプルの分析を行うことが可能となる。
【0003】
よって、頑丈かつ実質的に漏れの無い電気界面接続を確立するためのデバイスを提供することができれば、有利である。前記デバイスは、chemFETセンサまたはアレイならびに補助的電子要素または支援的電子要素と共に用いられ得る。また、耐食性でありかつ液体サンプルの存在下において動作することが可能であるchemFETセンサチップまたはアレイ内における使用に適した電気接続を提供することも、さらに望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ferrigno etal、Conf Proc.IEEE Eng.Med.Biol.Soc.、1:4144−4146(2009)
【非特許文献2】Henry etal、Electrophoresis、30:3398−405(2009)
【非特許文献3】Lingerfelt etal、Meth.Mol.Biol.、385:103−120(2007)
【非特許文献4】Ackley etal、U.S.patent6、423、271;Ackley etal、U.S.patent7、241、419
【非特許文献5】Bergveld、Sensors and Actuators、88:1−20(2003)
【非特許文献6】Yuqing etal、Biotechnology Advances、21:527−534(2003)
【非特許文献7】Yeow etal、Sensors and ActuatorsB44:434−440(1997)
【非特許文献8】Martinoia etal、Biosensors&Bioelectronics、16:1043−1050(2001)
【非特許文献9】Milgrew etal、Sensors and ActuatorsB103:37−42(2004)
【非特許文献10】Milgrew etal、Sensors and ActuatorsB、111−112:347−353(2005)
【非特許文献11】Hizawa etal、Sensors and ActuatorsB、117:509−515(2006)
【非特許文献12】Heer etal、Biosensors and Bioelectronics、22:2546−2553(2007)
【発明の概要】
【0005】
多様な実施形態において、本教示は、化学センサ間における実質的に漏れ防止型の電気接続を可能にするためのデバイスに関する。このようなセンサは、取り外し可能なまたは用途が限られたカートリッジを含み得る。前記カートリッジは、このようなセンサおよび他の補助電子機器(例えば、信号処理回路、ユーザーインターフェース回路など)を含むかまたはこのようなセンサおよび他の補助電子機器と関連付けられる。これらのセンサは、液体サンプル(例えば、対象分析物を含む水性サンプル)の存在下または前記サンプルの近隣において動作するようにさらに構成され得る。本教示は、複数の例示的インプレメンテーションおよび用途においてさらに例示される。このような例示的インプレメンテーションおよび用途のうちいくつかについて、以下において本明細書において概要を示す。
【0006】
一局面において、本教示は、実質的に漏れ防止型である電気コネクタに関する。前記電気コネクタにより、処理回路と、水性サンプルを含むセンサカートリッジとの間の接続性が得られる。特定の実施形態において、前記コネクタは、以下を含み得る:(a)開口部およびベースを有するソケットであって、前記ベース上には、密閉膜が架けわたされる。前記密閉膜は、流体バリアまたは液体バリアとして機能する。前記密閉膜は、エラストマーおよび/または圧力作動導電性膜をさらに含み得る。前記エラストマーおよび/または圧力作動導電性膜は、実質的に耐流体型シールを形成することができる。多様な実施形態において、前記ソケットは、センサカートリッジを所定の方向または選択された方向において位置決め、固定または保持するように適合され得る。前記センサカートリッジの方向は、前記センサカートリッジと関連付けられた電気接点のパターンまたは一連の電気接点の位置決めまたはアライメントをさらに容易化し得、その際、対応する接点パターンは、前記センサカートリッジとの電気接点を持つように設計された前記処理回路または他のデバイスと関連付けられる。多様な実施形態において、前記処理回路の接点は、前記センサカートリッジに対して、前記膜の対向する側部上に配置され得る。さらに、クランプアセンブリまたは他の固定デバイスが設けられ得る(例えば、センサカートリッジをソケット内に位置決めおよび固定するように前記ソケット上に配置された比較的精密に嵌合されたクランプ)。前記クランプアセンブリは、前記センサカートリッジの前記ソケットに対する固定圧力または付勢を提供するように、適合され得る。多様な実施形態において、前記クランプアセンブリを用いて、前記センサカートリッジの電気接点を前記膜内または前記膜の近隣に付勢または位置決めすることができ、これにより、前記導電性膜および前記処理回路の対応する接点を通じて、導電性経路が得られる。
【0007】
別の局面において、センサカートリッジと共に用いられるコネクタが設けられる。前記コネクタは、前記センサカートリッジの1または複数のセンサエレメントへと試薬を送達するためのフローセルを含む。前記フローセルは、1または複数の入口および1または複数の出口と共に構成され得る。クランプがさらに設けられる。前記クランプは、1または複数の流体コネクタを備えた部材を含む。前記1または複数の流体コネクタは、前記センサカートリッジまたは前記フローセルの一部と共に整列することができ、これにより、前記流体コネクタと、前記センサカートリッジまたは前記フローセルの一部との間に実質的に流体気密型のシールが形成される。多様な実施形態において、前記クランプを設けることで、前記クランプがクランプ位置または固定位置に来るたびに前記フローセルの入口および/または出口間において、実質的に流体気密型のシールを得ることが可能になる。
【0008】
さらに他の実施形態において、本教示により、電子センサ(例えば、chemFET)を含むカートリッジと、他の処理電子器具を含むデバイス、要素または電気器具との間に実質的に漏れ防止型電気接続が得られる。多様な局面において、前記実質的に漏れ防止型の電気接続は、前記デバイス、要素および電気器具を、流体流出、流体侵入および/または液体接触の可能性から保護する。さらに、前記接続は、耐食性をさらに提供し、かつ/または、電気短絡または他のこのような危険性の可能性を低減する。また、本教示により、第1の電気接点パターン(例えば、センサカートリッジと関連付けられたもの)と、対応する第2の接点パターン(例えば、処理回路または要素と関連付けられたもの)との間に電気接続を確立するための複数の技術が得られる。
【0009】
特定の実施形態において、エラストマーの適合型または圧力作動型の導電性膜が設けられ、前記膜は、多様な異常、不完全性または表面フィーチャを補償し得る。前記異常、不完全性または表面フィーチャは、前記センサカートリッジまたは処理回路と関連付けられた電気接点パターンのうちのいずれかの構造に起因して発生する。さらに他の実施形態において、前記処理回路と関連付けられたセンサパッド、センサカートリッジまたは電気接点の構造に起因する異常、不完全性または表面フィーチャを収容または補償するために、少なくとも部分的に可撓性の回路が用いられる。多様な局面において、前記処理回路の電気接点に対して再プレーティング動作を行うことで、その他の回路に対して、より突出した電気接点または頑丈な電気接点が得られる。本教示の他の実施形態において、導電性シリコンおよび非導電性シリコンの散在領域の使用について説明する。前記導電性シリコンおよび非導電性シリコンは、前記エラストマー、適合型または圧力作動の導電性膜と相補的な様態または類似する様態で用いることができる。本教示のさらに別の局面において、前記膜、センサカートリッジまたは処理回路内の電気コネクタの少なくとも一部は、電解腐食を含む腐食に対して耐性を有する材料と実質的に同じ材料またはこのような材料から作製することができる。本教示によるコネクタは、流体試薬送達システムに接続されたかまたは関連付けられたセンサアレイに合わせて適合され得る。本教示からの恩恵を受け得る1つの例示的システムについて、Rothbergらの米国特許公開第2009/0127589号において記載がある。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0010】
他の実施形態において、本教示において、流体耐性型電気コネクタについて記載する。前記流体耐性型電気コネクタは、以下を含む:流体工学デバイスと他の電気回路との間の流体バリアとして構成された適合型の導電性膜であって、前記流体工学デバイスは、1または複数の電気接点を含み、前記1または複数の電気接点は、前記膜を通じて前記電気回路と関連付けられた1または複数の電気接点へと導電接続され、前記流体工学デバイスの1または複数の電気接点は、前記膜内に形成された導電性経路を通じて前記電気回路と関連付けられた1または複数の対応する接点へと選択的に導電接続され、前記膜により、前記流体工学デバイス内に含まれる流体が前記電気回路と接触する事態が実質的に防がれる。
【0011】
さらなる実施形態において、本教示において、流体工学デバイスと、他の電気処理回路との間の電気接続を確立する方法が記載される。前記方法は、以下を含む:前記流体工学デバイスおよび前記他の電気処理回路の近隣において適合型の導電性膜を位置決めすることであって、前記適合型の導電性膜は、実質的に耐流体型バリアを形成することと、前記流体工学デバイスと関連付けられた電気接点と、前記他の電気処理回路と関連付けられた電気接点との間に電気伝導性を前記膜を通じて1または複数の導電性経路を介して提供することであって、前記1または複数の導電性経路は前記膜内に存在し、前記提供することは、前記流体工学デバイスと前記電気処理回路との間に前記膜が設けられた状態で前記流体工学デバイスおよび前記電気処理回路を相互に近隣において付勢することにより、行われ、前記流体工学デバイスの電気接点と、前記他の処理回路と関連付けられた電気接点との間において、前記膜内に存在する前記導電性経路を通じて接続性が確立されることと、前記他の電気処理回路と流体との接触を前記膜によって回避しつつ、前記流体工学デバイスから前記膜を通じて前記他の電気処理回路へと電気信号を送信すること。
【0012】
さらなる実施形態において、本教示において、流体工学デバイスのための電気コネクタが記載される。前記電気コネクタは、以下を含む:前記流体工学デバイスと、他の電気回路との間に流体バリアを形成する導電性膜であって、前記流体工学デバイスは、1または複数の接点を含み、前記1または複数の接点は、前記電気回路と関連付けられた1または複数の接点へと導電接続されるべきものであり、前記電気回路と関連付けられた前記1または複数の接点と、前記流体工学デバイスと関連付けられた前記1または複数の接点とは、前記膜の対向する側部上に配置され、前記膜を通じて導電性経路が形成され、前記膜は、前記流体工学デバイスと関連付けられた前記1または複数の接点に選択的に導電接続するように構成され、1または複数の対応する接点は前記電気回路と関連付けられ、これにより、1または複数の信号送信経路が提供される。前記1または複数の信号送信経路は、前記流体デバイス内に含まれる分析物に応答する信号を送信する。前記膜は、前記電気回路を保護するために、流体に対して実質的に不浸透性である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
当業者であれば、本明細書中に記載の図面はひとえに例示目的のためのものであることを理解する。これらの図面は、本教示の範囲をいかようにも限定するものではない。
【0014】
【図1A】本教示の流体界面システムの一実施形態を示す。この実施形態において、クランプアセンブリの一部は、センサカートリッジに対する流体工学接続を含む。
【図1B】例示的異方性導電性エラストマーの断面図である。
【図2A】chemFETアレイを含むセンサカートリッジを用いた核分析デバイスと共に用いられるように適合された本教示の実施形態を示す。前記クランプが開口位置にある様子が図示されている。前記開口位置において、前記センサカートリッジは、上部クランプ部材の流体工学コネクタと、前記センサカートリッジの位置決めのためのソケットとの間において、(例示目的のために)つり下げられている。
【図2B】図2Aの前記クランプが閉口位置にある様子を示す切り欠き図である。
【図2C】図2Aのクランプの異なる位置を示し、前記クランプの一実施形態の自動ロック式フィーチャを示す。
【図2D】図2Aのクランプの異なる位置を示し、前記クランプの一実施形態の自動ロック式フィーチャを示す。
【図2E】図2Aのクランプの異なる位置を示し、前記クランプの一実施形態の自動ロック式フィーチャを示す。
【図2F】図2Aのクランプの異なる位置を示し、前記クランプの一実施形態の自動ロック式フィーチャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本教示において、他に明記無き限り、当業者の知識内の従来の技術ならびに機械工学、電子工学、流体工学材料工学の記載が用いられ得る。このような従来の技術を非限定的に挙げると、流体工学およびマイクロ流体工学デバイスなどの設計および作製がある。本明細書中以下に記載する例を参照すれば、適切な技術の特定の例示が得られる。しかし、他の相当する従来の手順も用いられ得る。
【0016】
以下のいくつかの実施形態の記載は、ひとえに本質的に例示的なものであり、本教示、用途または使用を決して限定するものではないことが理解される。いくつかの実施形態において、本教示について流体分析および処理(例えば、化学的感受性のFETセンサまたはイオン感受性のFETセンサを用いた核酸配列)に関連するものとして説明するが、このような記載は、本教示をこのような用途のみに限定するものとしてみなされるべきではない。
【0017】
本明細書中用いられる見出しおよび小見出しは、ひとえに一般的な編成目的のためのものであり、記載の内容をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0018】
多様な実施形態において、本教示において記載される流体界面システムは、サンプル分析デバイスと共に用いられるように適合され得る。前記サンプル分析デバイスにより、対象分析物を含む液体サンプルの分析が1または複数の電子センサを用いて行われる。特定の局面において、前記電子センサは、1または複数の電気接点を含む。前記1または複数の電気接点は、前記センサを他の電子要素へと接続させる。前記電子センサの一部は、前記液体サンプルに対して露出され得、前記液体サンプルが確実に前記他の電子要素から隔離された状態にし、それと同時に、前記センサと、前記他の要素との間に電気接続性が得られることが望ましい。複数の化学的感受性センサまたは応答性センサを含むchemFETアレイを用いた例示的用途において、前記流体界面システムによって提供される機構により、前記chemFETアレイまたはセンサチップ上の接点と、対応する相互接続表面と関連付けられた接点との間の接続性が得られる。前記相互接続表面は、補助電子要素に対する電気接続性がさらに得られ、それと同時に、サンプル液体への露出またはサンプル液体の侵入の可能性から前記補助電子要素を隔離する。
【0019】
本教示の他の局面において、前記流体界面システムによって提供される機構は、センサアレイまたは前記対応する相互接続表面のいずれかの反り、表面異常または他の製造不完全性に対処しかつ/またはこれを解消する。特定の場合において、不完全性などに起因して、センサアレイまたは対応する相互接続表面の配置が不均等になるか、または、前記センサアレイと前記相互接続表面との間の接点が不均等になることに起因して、前記2つの要素間の接続性が部分的または不適切になる。
【0020】
本教示の流体界面システムのさらなる特徴として、デバイスは、液体サンプルに対する露出に起因する腐食に耐えるように構成され得る。前記露出を挙げると、例えば、chemFETセンサアレイと、アレイを受容または前記アレイと相互作用するように適合された電子処理デバイスとの間において発生し得る電解腐食の可能性がある。腐食に対する感受性を対応する相互接続表面上の電気接点においても軽減することができ、これにより、例えば、電気接点の界面における1つの金属が、chemFETセンサの電気接点または対応する表面の電気接点とは異なる種類の金属から作製され得る。
【0021】
本明細書中以下においてより詳細に説明するように、本教示の用途は、chemFETセンサチップと補助電子要素との間に流体バリアおよび/または漏れ防止型電気界面を確立することが可能な要素を提供する際に有用である。多様な実施形態において、前記界面を用いて、chemFETセンサチップ上の接点と、(補助電子要素へと電気的に接続する)対応する表面上の接点との間の電気接続を確立することができる。このような要素は、電解腐食を低減または排除するようにさらに構成され得る。このような電解腐食は、前記デバイスと、前記chemFETセンサチップまたは対応する表面上の電気接点との間の間において通常発生し得る。
【0022】
本教示の一実施形態を図1A中に示す。コネクタ(100)の要素を挙げると、クランプ部材(102)と、異方性導電性膜(108)を含むソケット(106)と、処理電子機器への電気接点(113)を含む表面(110)と、クランプ作用を提供する強制エレメント(114)とがある。強制エレメント(114)または連結エレメント(114)により、クランプ部材(102)がセンサカートリッジ(104)に対して付勢され、その結果、センサカートリッジ(104)が異方性導電性膜(108)に対して付勢され、その結果、異方性導電性膜(108)により、センサカートリッジ(104)の下部上の接点(115)と、表面(110)上の処理電子機器の対応する接点(113)との間に1または複数の導電性経路が得られる。強制エレメント(114)または連結エレメント(114)は、(以下に説明するように)単独的にまたは部分的に機械的なものであってもよいし、ソレノイド、モータ、油圧を介して電気的に作動させてもよいし、あるいは、当業者が理解するように他の様態で手作業および自動的に作動してもよい。多様な実施形態において、強制エレメント(114)または連結エレメント(114)によりセンサカートリッジ(104)上に力または圧力を均等に付加することで、膜(108)を通じた電気接点間の1または複数の導電性経路が実質的に均等に係合することが好ましい。さらに、膜(108)に起因して局所化した摩耗または圧縮が経時的または反復使用によって発生しないように、均等な付勢力を付加することが望ましい。
【0023】
異方性導電性膜またはエラストマー(108)の一例を図1B中に示す。多様な実施形態において、市販の材料を用いて、このような適合型膜またはエラストマー膜(例えば、PariPoser相互接続システムなどの製造元であるParicon TechnologiesCorp.(FallRiver、MA))を作製することができる。多様な実施形態において、このような膜(150)は、エラストマー材料(152)を含み得る。エラストマー材料(152)内において、導電性粒子(154)の列(156)が、膜面に対して実質的に垂直に整列される。電気接点が前記膜の対向する側部と接触するこのような構成において、導電性経路が両者間において確立される。これらの電気接点は、他の位置において前記膜と接触する他の接点からさらに相互に隔離され得、前記膜の構成および方向に基づいて、複数の独立した電気接点のための接続性をさらに提供し得る。本教示の多様な実施形態によれば、前記膜は、実質的に不浸透性でありかつ/またはその内部に含まれる流体および化学要素(特に、水性流体およびサンプル分析と関連付けられた試薬)に対して非反応性である材料から作製され得る。
【0024】
前記膜の形成に用いられる材料は、本明細書中以下により詳細に説明する複数の異なる材料から選択され得ることが理解される。さらに、前記膜の寸法および厚さは、特定の用途または器具選択に合わせて調整することができる。同様に、膜内接続性がビード以外の導電性材料によって得られ得、図1B中に例示される方向以外の方向において存在し得る。例えば、前記膜を通じた電気接続性は、前記膜の受容面または接触面上の電気接点と整列された可撓性ワイヤまたはトレースから得られ得る。このような場合、前記膜の適合性により、前記センサカートリッジおよび/または前記処理電子機器と係合した際に前記膜の一部が変形することが可能となる。電気伝導性がさらに保持される。なぜならば、前記膜内伝導性フィーチャは、前記膜の変形に対しても耐性を有するため、前記膜表面間の導電性経路を保持し得るからである。
【0025】
上述したように、前記膜により、前記要素の電気接点または表面フィーチャが完全に整合していない場合でも、所望の要素間(例えば、センサチップと処理電子機器との間)の電気接続性を有利に得ることが可能となる。例えば、センサカートリッジ(105)または表面(110)の構造が不完全である場合、センサカートリッジ(104)の接点(115)および表面(110)上の処理電子機器の対応する接点(113)のうちのいくつかが前記接点のうち少なくとも一部の部分的接触またはミスアライメントに起因して相互に近隣に配置された場合、良好な電気伝導性または接続性を維持することができなくなり得る。さらに、所望の接点それぞれを導電接合するための比較的高い付勢力を必要するのではなく接点間のより均等な接続性の提供を支援し得る膜の利用により、連結エレメント(114)によって提供される必要な付勢力が低減され得る。このような必要な付勢力の低減により、システム内の要素の損傷または破壊の危険性がさらに低下する。このような損傷または破壊は、要素間の電気接続経路を確立する際に通常発生し得る。このような損傷は、所望の接点間の接続性を確実にするために付加される力に起因して発生し得るか、または、複数のセンサの反復使用または反復動作を通じて発生し得る。特定の場合において、センサカートリッジの反りまたは変形または処理電子機器の対応する接点に起因して、前記センサカートリッジまたは表面(110)の接点のうちいずれかが実質的に二次元面の外部に来る状況において、前記膜を用いることができる。その結果、前記膜が無い場合、センサカートリッジ(115)と表面(113)との間のいくつかの接点は、所望の方向において実質的に相互に隣接している場合、容易に電気的に接続することができない。
【0026】
本教示の一実施形態において、膜(150)のエラストマー材料(152)は、エラストマー材料(152)が強制エレメント(114)と共に個々の要素の構造における不完全性を全て補償するように、設計され、これにより、センサカートリッジ(104)上の所望の接点(115)と、表面(110)上の処理電子機器の対応する接点(113)との間に電気接続が確立される。別の実施形態において、前記処理電子機器の接点(113)を含む表面(110)または接点(115)を含むセンサカートリッジ(104)のいずれかを、フレックス回路技術を用いて製造することができる。多様な実施形態において、フレックス回路は、少なくとも部分的に可撓性の基板(例えば、可撓性のポリマー、プラスチック、またはナイロン表面)上に電子デバイスまたは要素を取り付けることによって電子回路の組み立てを行う技術に関連する。
【0027】
本教示の別の実施形態において、センサカートリッジ(104)上の接点(115)または表面(110)上の処理電子機器の接点(113)は、製造時において選択的に再プレートされる。表面(110)に対して、接点(113)のうち一部またはその実質的全体に対して再プレーティング動作を行うことで、要素間の接続性の向上のために、所望の接点の物理的ジオメトリを変更することができる。多様な実施形態において、前記再プレーティング動作は、接点(113)をより肉厚またはより長尺にすること、前記接点をキャップすること、前記接点をより肉薄または再度サイズ決めすること、または前記接点のうち少なくとも一部に対して他の変更を行うことで、電気接続のための所望の高さおよび/またはプロファイルを得ることとを含む。上記した再プレーティング動作をさらに異方性導電性膜(108)と共に用いることで、表面(110)上の処理電子機器の接点(113)と共に、正方向のまたは均等な接続性の接点(115)をセンサカートリッジ(104)の下部上に確立することが可能となる。多様な実施形態において、前記再プレーティング動作に起因して、表面(110)上の接点(113)に加えて、接点(113)の元々の高さ、プロファイルおよび/または厚さを実質的に保持するための他の領域が得られる。
【0028】
例示的な回路基板の実施形態において、前記回路基板のうち再プレートすべきではない少なくとも一部をマスキングし、その後前記回路基板をプレーティングプロセスに送ることで、マスクされた接点または表面の表面フィーチャまたは輪郭を保持することにより、選択的な再プレーティングを達成することができる。本教示の別の実施形態において、導電性膜(108)は、導電性材料および非導電性材料(例えば、ポリマー、プラスチック、ナイロン、シリコーン、ガラスまたは他の材料)の散在領域を含み得る。前記導電性膜は、導電性材料(例えば、センサカートリッジ(104)の下部上の接点(115)および表面(110)上の処理電子機器の対応する接点(113)と接触、接合または噛合する選択された領域内における、金属を含浸するかまたは導電性に改質されたポリマー、ナイロン、シリコーンまたは他の適切な材料またはこれらの混合物)の1または複数の列をさらに含み得る。多様な実施形態において、前記列は、前記膜面に対して実質的に垂直であり得る。前記導電性列により、導電性粒子(154)の列(156)と同様に、膜(108)の上部から下部において、所望の電気接続または均等な電気接続が生成または確立され得る。導電性膜(108)は、センサカートリッジ(104)の下部上の異なる接点(115)間において、非導電性または絶縁性材料(例えば、ポリマー、ナイロン、シリコーン、ガラス、または他の適切な材料またはこれらの混合物)の部分をさらに含み得、これにより、センサカートリッジ(104)の下部上の接点(115)間の不要なクロストーク、または伝導性が低減または排除される。本教示によれば、前記膜は、流体(特に、前記膜と接触し得る水性流体および試薬/化学物質)に対して不浸透性でありかつ/または回復性であるように、製造され得る。
【0029】
多様な実施形態において、前記システム内の選択された要素の酸化または電解腐食を防ぐことが望ましい場合がある。このような酸化または電解腐食は、例えば、センサカートリッジ(104)の下部上の電気接点(115)と、表面(110)上の処理電子機器の異方性導電性膜(108)または電気接点(113)および異方性導電性膜(108)との間において発生し得る。特定の実施形態において、異方性導電性膜(108)、センサカートリッジ(104)の下部上の接点(115)、および表面(110)上の処理電子機器の接点(113)は、実質的に同じまたは類似する金属で作製またはコーティングしてもよいし、あるいは、酸化または電解腐食に適合しかつ/または耐性を持つ組成の導電性表面が得られるように形成してもよい。1つのこのような実施形態において、センサカートリッジ(104)の下部上の接点(115)と、表面(110)上の処理電子機器の対応する接点(113)とは、金メッキされている異方性導電性膜(108)内の導電性粒子(154)の列(156)で金メッキされ得る。このような場合、異方性導電性膜(108)内の導電性粒子(154)の列(156)を金メッキすることで、膜(108)とセンサカートリッジ(104)の下部上の接点(115)との間または膜(108)と表面(110)上の処理電子機器の接点(113)との間に通常発生し得る酸化または電解腐食の低減の支援が可能となる。金メッキ以外にも、酸化または腐食に対する所望の耐性を付与するための他のコーティングまたは材料も利用可能であることが理解される。よって、所望の酸化および/または耐食特性を付与するために、他の金属または導体も利用可能である。特定の実施形態において、前記導体の形成に用いられる既存の材料を別の材料でコーティングする代わりに、前記既存の材料を直接化学的に変更または改変することが可能である。
【0030】
図1Aを参照して、クランプ部材(102)は、導管(122および124)および通路(図示せず)を含み得る。導管(122および124)および通路(図示せず)は、クランプ閉鎖構成時おいて、流体コネクタ(図示の例示的エレメント128)を通じて流体を入口(116)および出口(118)を通じてセンサカートリッジ(104)の内外へと送るために用いられる。流体接続の提供に加えて、このような構成または位置にある際、センサカートリッジ(104)は、センサーカートリッジ(104)の下部上の接点(115)と、表面(110)上の対応する処理電子機器接点(113)との間の導電性経路を確立、生成または維持するように、導電性膜(108)上へと強制移動または付勢され得る。
【0031】
本教示の他の実施形態を図2A〜図2Fに示す。選択された実施形態は、以下のような機能を含み得る:すなわち、クランプ(200)と関連付けられた実質的に同じ作用および/または力により、チップ(202)に対する電気接続性および流体ポート密閉双方が得られる。前記クランプ設計は、前記システム内の下側の電子要素も保護し得る(例えば、処理電子機器を流体流出および/または試薬/液体汚染から保護するためのPC基板)。さらに、レバーまたはアクチュエータ(208)に対して実質的に高い機械的利点および/または保持機能を付与することで、センサチップ(202)をクランプ位置および固定位置において係合させることが可能になる。さらに、クランプ機構と関連して圧力バネ機構を設けることで、必要なクランプエネルギーを少なくとも部分的に低下させるか、または、多様な要素を共に付勢することが容易になる。センサチップ(202)との流体係合を促進するために、テーパー状の流体ポートボスおよび/またはレシーバを用いることで、流体ポートとの係合が促進され、流体接続の自己整合機能が提供され得る。これらの流体ポートは、エラストマーシールまたはガスケット(図2C中に例示する)をさらに含み得、これにより、前記システムの密閉および/または漏れ耐性をさらに向上させることが可能になる。
【0032】
多様な実施形態において、機械的に浮遊する流体マニホルドが設けられ得る。前記流体マニホルドは、例えばX方向およびY方向において少なくとも部分的に自己整合する。多様な実施形態において、前記マニホルドは、角度フロートを所有するように構成され得、これにより、前記流体シールまたはポートそれぞれに対して、実質的に均等な力を付加することが可能となる。特定の構成により、実質的に横方向の流路を提供または方向付ける流体シールも得られ、これにより、多様なサイズ、プロファイルまたは構成のセンサまたはフローセルの収容が可能となる。さらに、前記クランプ機構は、その可動または旋回方向により、所望の要素へのアクセス可能性も提供し得る。例えば、前記クランプ機構は、十分に旋回することによって開口するように構成され得、これにより、前記センサまたはフローセルの上部へのアクセスが得られ、これにより、所望の動作(例えば、流体/試薬の導入または除去)が可能となる(図2A〜図2Fに示すクランプ機構の例示的位置決めを参照)。これらの動作は、手動操作を含み得る(例えば、前記クランプ機構が開口位置にある際にユーザによるアクセスが可能となるフローセルポート内へのピペット操作)。さらに、前記センサまたはフローセルポートは、標準的寸法(例えば、外径1mmのテーパー状ピペット先端)を有する要素を受容、噛み合いおよび/または密閉するように、設計され得る。
【0033】
図2A中に例示するように、クランプ部材(200)は、実質的に開口位置に配置することができ、これにより、器具(201)内におけるセンサまたはフローセル(202)の位置決めまたは器具(201)からのセンサまたはフローセル(202)の取り外しが可能となる。同様に、クランプ部材(200)が実質的に開口位置内に存在する際について上述したように、さらなる動作(例えば、手動流体動作)をセンサまたはフローセル(202)に対して行うことが可能となる。クランプ部材(200)は、機械的強制エレメントと動作的にさらに関連付けられ得る。前記機械的強制エレメントは、レバー(208)によって操作されるバネ作動型の自動ロック式機構を含む。このような機構の一実施形態を図2A〜図2F中に示す。図2A〜図2Fにおいて、アクチュエータ(208)は、圧力バネアセンブリ(222)と関連して動作し、これにより、閉口位置において、前記アセンブリを所定位置に「ロック」することで、正方向の流体接続性および/または電気接続性が保証される。他の実施形態において、前記機械的強制エレメントは、自動的または電気的に作動される要素を含み得る(例えば、クランプ部材(200)を所望に作動および位置決めするための適切な力を付加するためのサーボ駆動型のアクチュエータ)。クランプ部材(200)はまた、流体工学コネクタ(203)を含み得る。流体工学コネクタ(203)は、試薬をセンサカートリッジ(202)へと送達するために用いられる。前記図において、前記センサカートリッジがクランプ部材(200)の下側およびソケット(204)の上方においてつり下げられている様子が図示されており、これらの要素の相互の例示的な相対的位置決めが図示されている。図示の実施形態において、異方性導電性膜(206)がソケット(204)のベースに設けられている様子が図示されており、異方性導電性膜(206)により、上述したように、センサカートリッジ(202)および器具(201)間の所望のアライメントおよび接続性が得られる。膜(206)は、多数の様態で位置決めすることが可能であり(例えば、センサカートリッジ(202)の表面と一体化するかまたはセンサカートリッジ(202)の表面に取りつけられた様態)、また図示のものに必ずしも限定されないことが理解される。
【0034】
図2Bは、図2Aのデバイスの切り欠き図である。図2Bにおいて、図示のクランプ部材は、実質的に閉口位置にある。クランプ部材(200)は、センサカートリッジ(202)(「フローセルおよび/またはチップアセンブリ」とも呼ぶ)を保持しかつカートリッジ(202)を異方性導電性膜(206)(「シリコーンボールワイヤインターポーザー」とも呼ぶ)に対して堅固に付勢するように、構成され得る。クランプ部材(200)は、バネ作動型の機構(222)(「圧縮可能なバネアセンブリ」とも呼ぶ)と動作的に関連付けられ得、これにより、実質的に均等に分散した下方への力がクランプ部材(200)上へと接点センサカートリッジ(202)を通じて発生する。クランプ部材(200)は、導管(224)および他の導管(図示せず)を通じてセンサカートリッジ(202)の内外へと試薬を送達するための流体マニホルドとしてさらに機能する。
【0035】
図2C〜図2Fは、例示的手動アクチュエータアセンブリを用いた本教示の動作実施形態をさらに示す。この手動アクチュエータアセンブリは、付勢力および位置決め力を器具アセンブリへと付与する。前記器具アセンブリは、センサアレイまたはフローセル(202)を保持する。上述したように、本教示の範囲から逸脱することなく例えば自動アクチュエータアセンブリと手動アクチュエータとの間の関係を用いることで、フローセル(202)を保持する要素の構成、フローセル構成そのもの、およびフローセル(202)に対する付与位置または固定力の様態は、所望に改変することが可能である。同様に、単一のフローセルを前記図中に図示しているが、前記システムは、複数のフローセルを所望に含むように設計され得る。図2Cに示すように、チップクランプ(200)は、前記アクチュエータアセンブリまたはレバー(208)の利用を通じて開口位置に位置決めすることができ、これにより、流体マニホルド(250)と、関連付けられた流体移動ポート(205)とがフローセル(202)から係合解除される。流体移動ポート(205)は、エラストマーシールを付勢する。前記エラストマーシールは、(図2Aに示すような)フローセル上の1または複数の噛み合いポートまたは相補的ポートと係合するように位置決めされ、これにより、前記チップクランプが閉口位置に来た際に、実質的に流体気密型のシールまたは漏れ防止型シールが得られる。さらに、前記システム(例えば、補強材(251)および/または受け板(253))内に多様な構造的向上を設けることで、前記機構の構造的完全性が向上する。多様な実施形態において、このような機能を用いることで、フローセル(202)と係合する実質的に硬質の表面が得られ、これにより、フローセル(202)の所望の位置またはプロファイルの維持が支援される。
【0036】
図2C〜図2Fに示す多様な要素の段階的動作および位置決めは、フローセルの固定と、流体要素および電子要素の係合とを行うための1つの可能な動作実施形態を示す。図示するような構成および要素により、「自動ロック式」の機能が得られ、これにより、適切な電気接点および接続ならびに流体接点および接続を付勢するための十分な力により、フローセル(202)を選択された位置において保持することが可能になり、これにより、実質的に漏れの無いシステムを良好な電気接続性と共に得ることが可能となる。前記システムの選好または要求に基づいて、他の構成を利用または適合させることも可能であることが理解される。例えば、上述したように、バネ作動型のクランプ(222)の動作は、本教示の範囲から逸脱することなく、レバー(208)または自動アクチュエータアセンブリ(例えば、モータまたはサーボ駆動型の機構)によって制御することができる。
【0037】
本教示について、いくつかの特定の例示的実施形態を参照しつつ説明してきたが、当業者であれば、本教示の意図および範囲から逸脱することなく、これらの実施形態において多数の変更が可能であることを認識する。本教示は、上述したものに加え、多様なセンサインプレメンテーションおよび他の内容に適用することが可能である。上述した適合型導電性膜構成は、導電性の流体耐性型接続/または連結が望ましいフローセル以外の他の様子と共に用いられるように適合させることが可能であることが理解される。さらに、連結すべき別個の電気接点の数は、わずか1〜数百、数千、数百万またはそれ以上の範囲において、広範に異なり得る。他の構成の膜接続も確立することが可能である(例えば、所望の要素を2つ以上の膜間に「サンドイッチ」するか、または、前記膜内または前記膜の周囲において所望の要素を部分的にまたは完全に収容または封入することで、所望の位置決め効果、連結効果または接続効果を達成することができる)。同様に、前記膜は、所望の要素の一体型部材として形成しかつ/または実質的に平坦または平面状の膜以外の形状または構造で形成することができ、これにより、所望の位置決め、連結または接続性を達成することが可能となる。
【0038】
本明細書中用いられるように、「マイクロ流体工学」デバイスまたは要素、「流体工学」デバイスまたは要素、「流体移動」デバイスまたは要素は、1または複数のチャンバ、ポートおよび/またはチャンネルを有する一体型システムを付勢する。前記1または複数のチャンバ、ポートおよび/またはチャンネルは、前記システム内の多様な他の要素と相互接続されかつ/または流体連通され得る。これらの要素は、1または複数の分析反応またはプロセスを単独で、または、さらなる支援機能(例えば、サンプル導入、流体および/または試薬駆動または送達機能、温度制御機構、サンプルおよび/または分析物検出システム、データ収集、データ処理および/またはデータ統合システムなど)を提供する電気器具または器具と協働で収容、移動または実行するように、さらに設計され得る。上記したデバイスは、弁、ポンプ、導管および他の流体移動要素または流体封じ込め要素を、機能性コーティングまたは処理(例えば、サンプル要素または反応物の吸収の実質的低減または回避、電気浸透による試薬移動の促進、または他の所望の効果または特性の付与のための内壁上の特殊コーティング)と共にさらに含み得る。このようなデバイスは、固定基板または形成基板内にまたは前記基板として作製され得る。前記基板は、例えば、ガラス、プラスチック、または他のポリマー材料であり得、少なくとも部分的に平面状の形式または表面を持ち得、これにより、サンプルおよび試薬移動(特に、光学方向または電子化学方法を介したもの)の検出および/または監視が促進される。
【0039】
上記したデバイスの機能の断面寸法は、数百平方マイクロメートル未満であり得、通路は、毛細寸法を持ち得る(例えば、約500μm〜約0.1μmの断面寸法)。しかし、他の寸法も容易に利用することが可能である。マイクロ流体工学デバイスの容積容量は、約1μL〜数nL(例えば、10〜100nL)の範囲内であり得る。しかし、他の容積も容易に利用することが可能である。以下の参照文献に例示するようなマイクロ流体工学デバイスの作製および動作を、参考のため援用する(Ramsey、米国特許第6,001,229号、第5,858,195号、第6,010,607号、第6,033,546号、Soane etal、米国特許第5,126,022号および第6,054,034号、Nelson etal、米国特許第6,613,525号、Maher etal、米国特許第6,399,952号、Ricco etal、国際特許公開WO02/24322、Bjornson etal、国際特許公開WO99/19717、Wilding etal、米国特許第5,587,128号、第5,498,392号、Sia etal、Electrophoresis、24:3563−3576(2003)、Unger etal、Science、288:113−116(2000)、Enzelberger etal、米国特許第6,960,437号)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体工学デバイスと、他の電気回路との間の流体バリアとして構成された適合型の導電性膜を含む、流体耐性型電気コネクタであって、
該流体工学デバイスは、1または複数の電気接点を含み、該1または複数の電気接点は、該膜を通じて該電気回路と関連付けられた1または複数の電気接点へと導電接続され、
該流体工学デバイスの該1または複数の電気接点が、1または複数の対応する接点へと選択的に導電接続され、該1または複数の対応する接点が、該膜内に形成された導電性経路を通じて該電気回路と関連付けられ、該膜により、該流体工学デバイス内に含まれる流体が該電気回路と接触する事態が実質的に回避される、
前記流体耐性型電気コネクタ。
【請求項2】
前記流体工学デバイスおよび前記電気回路が実質的に相互に接触しないように、前記膜が前記流体工学デバイスと前記電気回路との間に挿入される、請求項1に記載の流体耐性型電気コネクタ。
【請求項3】
クランプ部材をさらに含み、該クランプ部材が、前記流体工学デバイスと前記電気回路との間に前記膜が配置された状態で、前記電気回路の近隣において前記流体工学デバイスを付勢するように構成され、これにより、前記電気回路の流体との接触を回避しつつ、前記流体工学デバイスと前記電気回路との間に電気接触が確立される、請求項1に記載の流体耐性型電気コネクタ。
【請求項4】
前記膜の適合特性が、前記流体工学デバイスの接点と前記電気回路との間に電気伝導性を確立しつつ、前記流体工学デバイス上に存在する表面凹凸に適合する、請求項1に記載の流体耐性型電気コネクタ。
【請求項5】
前記膜の適合特性が、前記流体工学デバイスの接点と前記電気回路との間に電気伝導性を確立しつつ、少なくとも前記流体工学デバイスの部分的変形に対応する、請求項1に記載の流体耐性型電気コネクタ。
【請求項6】
前記流体工学デバイスの接点および前記電気回路の接点が、電解腐食に対する耐性を有する材料を含む、請求項1に記載の流体耐性型電気コネクタ。
【請求項7】
前記流体工学デバイスは、1または複数の流体移動ポートを備えたフローセルをさらに含み、前記1または複数の流体移動ポートは、流体を前記フローセルへと送達し、該フローセルは、前記流体内に含まれる分析物を検出する電気要素をさらに含む、請求項1に記載の流体耐性型電気コネクタ。
【請求項8】
前記電気要素は、1または複数のchemFETセンサを含む、請求項7に記載の流体耐性型電気コネクタ。
【請求項9】
流体工学デバイスと他の電気処理回路との間に電気接続を確立する方法であって、
該流体工学デバイスおよび該他の電気処理回路の近隣において適合型の導電性膜を位置決めすることで、実質的に耐流体型のバリアを形成することと、
該膜を通じて該膜中に存在する1または複数の導電性経路を介して、該流体工学デバイスと関連付けられた電気接点と、該他の電気処理回路と関連付けられた電気接点との間に電気伝導性を提供することであって、該提供が該膜が該流体工学デバイスと該電気処理回路との間に配置された状態で、該流体工学デバイスおよび該電気処理回路を近隣において相互に付勢することによって行われ、該膜中に存在する該導電性経路を通じて、該流体工学デバイスの電気接点と該他の処理回路と関連付けられた電気接点との間に接続性が確立される、前記提供することと、
前記他の電気処理回路の流体との接触を前記膜によって回避しつつ、電気信号を前記流体工学デバイスから前記膜を通じて前記他の電気処理回路へと送ることと、
を含む、前記電気接続を確立する方法。
【請求項10】
前記流体工学デバイスおよび前記電気回路が実質的に相互に直接接触しないように、前記流体工学デバイスと前記電気回路との間に前記膜が設けられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記流体工学デバイスと前記電気回路との間に前記膜が設けられた状態で、前記流体工学デバイスが前記電気回路の近隣において付勢され、該付勢が、前記電気回路の流体との接触を実質的に回避するクランプ力により行われ、これにより、前記流体工学デバイスと前記電気回路との間に電気接点が確立される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記膜の適合特性は、前記流体工学デバイスの接点と前記電気回路との間に電気伝導性を確立しつつ、前記流体工学デバイス上に存在する表面凹凸に適合する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記膜の適合特性は、前記流体工学デバイスの接点と前記電気回路との間に電気伝導性を確立しつつ、少なくとも前記流体工学デバイスの部分的変形に適合する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記流体工学デバイスの接点および前記電気回路の接点は、電解腐食に対する耐性を有する材料を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記流体工学デバイスが、1または複数の流体移動ポートを備えたフローセルをさらに含み、該1または複数の流体移動ポートは、流体を該フローセルへと送達し、該フローセルが、該流体内に含まれる分析物を検出する電気要素をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記フローセルの電気要素は、前記流体中の分析物を検出するように構成された1または複数のchemFETセンサを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
流体工学デバイスのための電気コネクタであって:
流体工学デバイスと他の電気回路との間に流体バリアを形成する導電性膜であって、
該流体工学デバイスが、1または複数の接点を含み、該1または複数の接点が、該電気回路と関連付けられた1または複数の接点へと導電接続され、
該電気回路と関連付けられた前記1または複数の接点と、該流体工学デバイスと関連付けられた該1または複数の接点とは、該膜の対向する側部上に配置される、前記導電性膜と、
該流体工学デバイスと関連付けられた該1または複数の接点と、該電気回路と関連付けられた1または複数の対応する接点とを選択的に導電接続するように構成された該膜を通じて形成された導電性経路であって、
該選択的導電接続により、該電気回路を保護するために該膜が流体に対して実質的に不浸透性である状態のまま、該流体デバイス内に含まれる分析物に応答して信号を送る1または複数の信号送信経路が得られる、前記導電性経路と
を含む、前記電気コネクタ。
【請求項18】
前記流体工学デバイスが、前記流体工学デバイス中に含まれる流体中の分析物を検出するように構成されたchemFETセンサを含み、前記電気コネクタを通じて前記電気回路へと送られた前記分析物に応答して信号を生成する、請求項17に記載の電気コネクタ。
【請求項19】
前記電気コネクタは、前記流体工学デバイスの接点と前記電気回路との間に伝導性を確立しつつ、前記流体工学デバイス上に存在する表面凹凸に適合する適合特性を備える、請求項17に記載の電気コネクタ。
【請求項20】
前記流体工学デバイスの接点および前記電気回路の接点は、電解腐食に対する耐性を有する材料を含む、請求項17に記載の電気コネクタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【公表番号】特表2013−516630(P2013−516630A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548186(P2012−548186)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020590
【国際公開番号】WO2011/085258
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)