説明

流体循環装置

【課題】 液体の自然対流に基づいて液体を循環させながら保持容器外に出た液体を加熱する方式の液体の加温器に搭載され、保持容器内の液体の温度上昇を高効率にする流体循環装置を提供することである。
【解決手段】 流体循環装置10は、保持容器11の壁17の内側に設置され、上方の孔を通じて保持容器11内に輸送される加熱された液体14を、下方の孔の近傍に移動させる。羽根24は、駆動部26によって回転される回転板22に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持容器内の流体を循環させる流体循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、第1の従来技術に係る浴水循環器1の斜視図である。第1の従来技術の流体循環装置として、浴槽内2の浴水を循環して濾過するための循環器用装置と、循環器用装置を制御するための制御装置と、容器とを備えて構成される浴水循環器1が知られている。第1の従来技術に係る浴槽循環装置1では、浴槽内の水は吸水管路3を通じて浴槽外に移動し、浴槽縁に載置された容器内の循環路を通過した後、吐出管路4を通じて浴槽内に戻る。
【0003】
図11は、第2の従来技術においてバスアダプタ5を適用した構成図である。第2の従来技術の流体循環装置として、浴槽内外を循環させる浴槽内外循環経路6に併設して、浴槽内を循環させるための循環経路を設けたバスアダプタ5が知られている。第2の従来技術に係るバスアダプタ5では、ノズル7から浴槽8内に送られる水の運動を利用して、水の循環を補助する装置である。
【0004】
【特許文献1】特開平10−15317号公報
【特許文献2】特開平11−287519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の従来技術に係る浴槽循環装置1では、ジェット流を噴出でき、吸入吐出ユニットから吐出される浴水を入浴者に対向して噴出させるけれども、浴槽内の水を、温度の高い位置から温度の低い位置へ選択的に移動させることはできない。したがって、第1の従来技術に係る浴槽循環装置1を、液体を保持する保持容器に搭載しても、保持容器内の液体の自然対流を利用することができず、液体の加温の効率化を図ることはできないという問題点がある。
【0006】
第2の従来技術に係るバスアダプタでは、排水口を単位時間に通過して浴槽内に送られる水の量は、多ければ多いほど、水を循環させることになる。しかし、水の自然対流に基づいて水を循環させながら、浴槽外に出た水を加熱する方式の風呂湯沸かし器に、第2の従来技術に係る装置を適用しても、液体の循環の効率を自然対流以上に高くすることはできないという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、液体の自然対流に基づいて液体を循環させながら保持容器外に出た液体を加熱する方式の液体の加温器に搭載され、保持容器内の液体の温度上昇を高効率にする流体循環装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、保持容器に保持される液体の液面よりも下方に、高さ方向に並ぶ複数の孔が保持容器の壁に形成され、
前記複数の孔のうちの下方の孔から保持容器外に取出された液体が加熱されて上方の孔から保持容器内に供給される保持容器に設けられる流体循環装置であって、
前記複数の孔が形成された保持容器の壁の内側に設置され、
前記上方の孔を通じて保持容器内に供給される加熱された液体を、前記下方の孔の近傍に移動させることを特徴とする流体循環装置である。
【0009】
また本発明は、前記壁の内面に垂直な方向に延びる回転軸線を中心に回転する回転板と、
回転板に固定され、回転板とともに回転し、回転によって前記上方の孔の近傍の液体を、前記下方の孔の近傍に移動させる羽根と、
回転板を回転させる駆動部とを含むことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、回転軸線は、前記2つの孔の軸線を含む仮想一平面から離れて設けられ、
回転板と羽根と駆動部とを収納する筐体をさらに含み、
前記回転軸線を中心とする半径方向外方から回転板と羽根と駆動部とを包囲する筐体の周壁のうち、回転軸線を含む鉛直仮想平面に関して前記2つの孔の位置から遠い側の部分は、羽根の回転に伴って、回転軸線から遠い位置の羽根の先端が描く軌跡近傍に形成され、
周壁のうち、前記鉛直仮想平面に関して前記2つの孔の位置に近い側の部分は、前記軌跡から離れて形成されることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記周壁のうちの上端部には、貫通孔が形成され、
前記2つの孔の位置に近い側の部分のうちの下端部には、筐体の内部空間から筐体の外部空間に開かれる開口が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、流体循環装置は、保持容器の壁の内側に設置され、上方の孔を通じて保持容器内に輸送される加熱された液体を、下方の孔の近傍に移動させる。これによって、加熱によって温度が上昇した液体を、再度下方の孔に送り込むことができ、2つの孔近傍の液体の温度を、流体循環装置を設置しない場合に比べて高くすることができる。これによって、2つの孔近傍の液体と、2つの孔から遠い位置の液体との温度差を大きくすることができる。したがって、保持容器内の自然対流の速さを速くすることができ、保持容器内の液体の温度上昇を速くすることができる。
【0013】
また加熱によって温度が上昇した液体が、液面付近に留まることを防止することができる。したがって、温度が上昇した液体の熱エネルギが液面から上方へ拡散することを防止することができる。これによって、保持容器内の液体の温度上昇の効率を高くすることができる。
【0014】
また本発明によれば、羽根は、駆動部によって回転される回転板に固定されるので、駆動部の駆動力によって回転する。これによって、上方の孔近傍の液体を、下方の孔の近傍に移動させることができる。したがって、水中モータによって液体を移動させる場合に比べて、液体の移動距離を一定に保つことが容易になる。したがって、上方の孔を通じて保持容器内に輸送される加熱された液体を、効率よく下方の孔に送り込むことができる。また液体内に発生した気泡が上方に移動することを許容することができるので、温度上昇によって発生した液体内の気泡が、下方の孔に送り込まれることを防止することができる。液体内の気泡が再び管内で加熱されることを防止できるので、液体内の気泡が下方の孔に送り込まれる場合に比べて、液体の加熱の効率を高くすることができる。
【0015】
また本発明によれば、筐体の周壁のうち、回転軸線を含む鉛直仮想平面に関して2つの孔の位置から遠い側の部分は、羽根の先端が描く軌跡近傍に形成され、周壁のうち、2つの孔の位置に近いの部分は、羽根の先端が描く軌跡から離れて形成される。これによって、羽根が、鉛直仮想平面に関して2つの孔の位置から遠い側を通過するときには、羽根の回転によって移動する液体を少なくし、羽根が、鉛直仮想平面に関して2つの孔の位置から近い側を通過するときには、羽根の回転によって移動する液体を多くすることができる。したがって、羽根の回転によって上方から下方へ移動する液体の量を、下方から上方へ移動する液体の量よりも多くすることができる。
【0016】
また本発明によれば、筐体の周壁のうちの上端部には貫通孔が形成される。これによって、温度上昇によって液体内に発生した気泡を筐体の外方へ排出することができる。また前記2つの孔の位置に近い側の部分のうちの下端部には、筐体の内部空間から筐体の外部空間に開かれる開口が形成される。これによって、筐体内の液体の一部を筐体の外方へ排出することができる。筐体の内部には、外方の液体が、周壁のうちの上端部に形成された貫通孔から流入することができるので、流体循環装置は、外方の液体を上方の貫通孔から下方の開口に通過させることができる。これによって、保持容器内の流体の対流を乱流にすることができる。したがって、保持容器内において温度の高い液体が上方で層を成し、温度の低い液体が下方で層を成すことを防止することができる。これによって、貫通孔が形成されない場合および開口が形成されない場合に比べて、温度が上昇した液体の熱エネルギが液面から上方へ拡散することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体循環装置10の断面図である。図1は、流体循環装置10のうち、保持容器11の内方に臨む筐体12の板状部材13を除去した残余の部分を、保持容器11の内部から見た断面図である。本発明の第1実施形態に係る流体循環装置10は、保持容器11内の液体14を保持容器11内で循環させ、液体14の温度上昇の効率を高くする装置である。
【0019】
第1実施形態に係る流体保持装置は、液体14の自然対流に基づいて液体14を循環させながら保持容器11外に出た液体14を加熱する方式の液体14の加温器16に搭載される。保持容器11は、液体14を保持する容器である。保持容器11の壁17には、複数の孔が形成される。複数の孔は、保持容器11に保持される液体14の液面18よりも下方に、高さ方向に並んで形成される。複数の孔のうちの下方の孔から保持容器外に取出された液体は、保持容器外において加熱され、加熱された後、上方の孔から保持容器内に供給される。
【0020】
複数のそれぞれの孔を規定するそれぞれの部分は、保持容器11の外部において管路19によって接続される。管路19は、保持容器11の内部空間と複数の孔によって連通させており、保持容器11に保持された液体14は、保持容器11の外部の管路19にも満たされる。以下、複数の孔が形成される保持容器11の壁17を、単に「壁」と称する。第1実施形態において複数の孔は、上方の孔と下方の孔とから成る2つの孔とする。
【0021】
加温器16は、液体14を保持する保持容器11と保持容器11に接続された管路19と、管路19を過熱する加熱部21とを含んで構成される。管路19内に満たされた液体14は、管路19外の加熱部21によって加熱される。加熱部21は、管路19を管路19の外方から加熱する部分であって、管路19を管路19の外方から加熱することによって管路19内の液体14の温度を上昇させる。保持容器11内および管路19内に保持される液体14は、温度上昇によって、体積が膨張する。したがって、温度が上昇すると液体14の密度は低くなる。温度が異なる液体14が接触すると、温度の高い液体14は温度の低い液体14から浮力を受けて、温度の低い液体14よりも相対的に上方に移動する。
【0022】
管路19に満たされた液体14は、管路19途中で加熱され、温度が上昇し、密度が低下するので、上方へ向かう。これによって前記2つの孔のうち、下方の孔から管路19内に液体14が進入し、管路19内の液体14は2つの孔のうちの上方の孔から、保持容器11内に輸送される。第1実施形態に係る流体循環装置10は、2つの孔が形成された保持容器11の壁17の内側に設置される。流体循環装置10は、上方の孔を通じて保持容器11内に輸送される加熱された液体14を、下方の孔の近傍に移動させる。
【0023】
流体保持装置は、回転板22と、羽根24と、駆動部26とを含んで構成される。回転板22は、壁17の内面に垂直な方向に延びる回転軸線L1を中心に回転する。羽根24は、回転板22に固定され、回転板22とともに回転し、回転によって上方の孔近傍の液体14を下方の孔近傍に移動させる。駆動部26は、回転板22を回転させる。
【0024】
回転軸線L1は、2つの孔の軸線を含む仮想一平面S2から離れて設けられ、流体保持装置は、筐体12をさらに含んで構成される。筐体12は、回転板22と羽根24と駆動部26とを収納する。筐体12は、板状部材13と周壁27とを含んで構成される。板状部材13は、回転板22、羽根24および駆動部26よりも保持容器11の内側に配置される。周壁27は、回転軸線L1を中心とする半径方向外方から、回転板22と羽根24と駆動部26とを包囲する。周壁27のうち、回転軸線L1を含む鉛直仮想平面S1に関して、2つの孔の位置から遠い側の部分は、羽根24の回転に伴って、回転軸線L1から遠い位置の羽根24の先端51が描く軌跡近傍に形成される。鉛直仮想平面S1に関して2つの孔の位置に近い側の部分は、回転軸線L1から遠い位置の羽根24の先端51が描く軌跡から離れて形成される。本発明において、回転軸線L1を含む鉛直な仮想平面を「鉛直仮想平面」と称する。
【0025】
周壁27のうちの上端部には、貫通孔28が形成される。また前記2つの孔の位置に近い側の部分のうちの下端部には開口32が形成される。開口32は、筐体12の内部空間から筐体12の外部空間に開かれて形成される。
【0026】
流体循環装置10は、保持容器11の壁17面の内側に設置され、上方の孔を通じて保持容器11内に輸送される加熱された液体14を、下方の孔の近傍に移動させる。加熱によって温度が上昇した液体14は、再度下方の孔から管路19に送り込まれ、2つの孔近傍の液体14の温度は、流体循環装置10を設置しない場合に比べて高くなる。これによって、2つの孔近傍の液体14と、保持容器11内の液体14のうち、2つの孔から遠い位置の液体14との温度差は大きくなる。したがって、保持容器11内の自然対流の速さは速くなり、保持容器11内の液体14の温度上昇は速くなる。
【0027】
また加熱によって温度が上昇した液体14が、液面18付近に留まることが防止される。したがって、温度が上昇した液体14の熱エネルギが液面18から上方へ拡散することが防止される。これによって、保持容器11内の液体14の温度上昇の効率が高くなる。
【0028】
羽根24は、駆動部26によって回転される回転板22に固定され、駆動部26の駆動力によって回転する。羽根24は回転によって、上方の孔近傍の液体14を、下方の孔の近傍に移動させる。羽根24の回転は、水中モータ39によって液体14を移動させる場合に比べて、液体14の移動距離を一定に保つことが容易である。したがって、上方の孔を通じて保持容器11内に輸送される加熱された液体14を、効率よく下方の孔に送り込む。また液体14内に発生した気泡が上方に移動することを許容し、温度上昇によって発生した液体14内の気泡が、下方の孔に送り込まれることを防止する。これによって、液体14内の気泡が再び管内で加熱されることを防止し、液体14内の気泡が下方の孔に送り込まれる場合に比べて、液体14の加熱の効率を高くする。
【0029】
筐体12の周壁27のうち、回転軸線L1を含む鉛直仮想平面S1に関して2つの孔の位置から遠い側の部分は、羽根24の先端51が描く軌跡近傍に形成され、2つの孔の位置に近いの部分は、羽根24の先端51が描く軌跡から離れて形成される。羽根24が、鉛直仮想平面S1に関して2つの孔の位置から遠い側を通過するときには、羽根24の回転によって移動する液体14は、少なくなり、羽根24が、鉛直仮想平面S1に関して2つの孔の位置から近い側を通過するときには、羽根24の回転によって移動する液体14は、多くなる。したがって、羽根24の回転によって上方から下方へ移動する液体14の量は、下方から上方へ移動する液体14の量よりも多くなる。
【0030】
筐体12の周壁27のうちの上端部には貫通孔28が形成される。温度上昇によって液体14内に発生した気泡は、貫通孔28から筐体12の外方へ排出される。また鉛直仮想平面S1に関して前記2つの孔の位置に近い側の部分のうちの下端部には、筐体12の内部空間から筐体12の外部空間に開かれる開口32が形成される。筐体12内の液体14の一部は、開口32から筐体12の外方へ排出される。外方の液体14は、周壁27のうちの上端部に形成された貫通孔28から筐体12の内部に流入する。
【0031】
筐体12内の加熱された液体が開口32を通過して筐体12外に移動すると、開口32を通過した液体14は、羽根24の回転力によって与えられた初速度をもって保持容器11内を移動すると同時に、温度が高く密度が低いことによって周囲の液体14から浮力を受けて上昇する。開口32を通過した液体14の温度と筐体外の液体14の温度との温度差が小さい場合に比べて、開口32を通過した液体14の温度と筐体外の液体14の温度との温度差が大きい場合には、開口32を通過した液体14は、筐体外の液体14に対して大きな自然対流の駆動力を与える。
【0032】
また周囲の液体14からの浮力とともに羽根24の回転力に基づく液体14の運動量が、開口32を通過した液体14の初速度を通じて筐体外の液体14にも伝達される。これによって、流体循環装置10は、保持容器11内の液体14の対流を乱流にする。したがって、保持容器11内において温度の高い液体14が上方で層を成し、温度の低い液体14が下方で層を成すことを防止する。これによって、貫通孔28が形成されない場合および開口32が形成されない場合に比べて、温度が上昇した液体14の熱エネルギが液面18から上方へ拡散することが防止される。
【0033】
図2は、本発明の第1実施形態に係る流体循環装置10を、図1に示した切断面線A−Aで切断して見た断面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る流体循環装置10を浴槽に設置したときの、浴槽および流体循環装置10の断面図である。図2において、羽根24の位置は図1における位置とは変更して示しており、羽根24のうちの1つは省略して示す。第1実施形態において流体循環装置10は、水の自然対流に基づいて水を循環させながら浴槽外に出た水を加熱する方式の風呂釜に搭載される。前記液体14は、第1実施形態において水であり、前記保持容器11は、浴槽である。浴槽の形状は、大略的に直方体であり、浴槽の1つの壁17には、高さ方向に並んで形成される2つの孔が形成される。以下、2つの孔のうち上方の孔を「上方孔」、下方の孔を「下方孔」と称する。
【0034】
加温器16は、加熱部21が一定時間稼動された後、加熱部21の稼動を停止させるタイマを含む。タイマは、1.5V以上5V以下の直流電源によって駆動し、時間計測を行う機能と、加熱部21が稼動しているか否かを検出する機能と、加熱部21の稼動を停止させる機能とを有し、加熱部21が稼動を開始してから一定時間稼動し続けると、加熱部21の稼動を停止させる。タイマが加熱部21の連続稼動を許容する前記一定時間は、加温器16の使用者がタイマを操作して設定する。第1実施形態においてタイマは、1.5Vの電源電圧で駆動するものとする。
【0035】
2つの孔が形成される壁17は、鉛直に形成され、上方孔33および下方孔34の軸線は、水平に設定される。上方孔33および下方孔34の内径D1は、いずれも60ミリメートル(millimeter, 略号「mm」)とし、上方孔33および下方孔34の軸線間の距離D2は、互いに120mm、鉛直に離れて設定される。上方孔33は、浴槽の縁、すなわち壁17の上端部よりも100mm以上、下方に離れて形成される。上方孔33および下方孔34の軸線は平行であり、上方孔33および下方孔34の軸線を両方含む1つの仮想平面を「仮想一平面」と称する。仮想一平面S2は、鉛直な平面である。
【0036】
第1実施形態に係る流体循環装置10は、筐体12と、回転板22と、羽根24と、回転駆動力伝達体36と、駆動部26と、取付け部材38とを含んで構成される。駆動部26は、水中モータ39を含んで構成され、水中モータ39の回転は、水中モータ39の回転軸42、ウォーム44を介して回転板22に伝えられる。水中モータ39の駆動によって水中モータ39の回転軸42は回転し、軸に取付けられたウォーム44が回転する。回転板22は、ウォーム44と嵌合してウォーム44の回転駆動力を伝えるウォーム44ホイールとしての機能を有する。ウォーム44の表面部には、ねじは右ねじが形成され、ウォーム44の表面部は、回転板22の外縁部と嵌合する。駆動部26は、鉛直仮想平面S1に関して、仮想一平面S2とは反対側に設置される。
【0037】
駆動部26は、筐体12に固定される。水中モータ39は、水中モータ39の回転軸42の方向が鉛直方向に向けて設置され、ウォーム44は、水中モータ39の鉛直下方に位置する。水中モータ39が駆動することによって、水中モータ39の回転軸42およびウォーム44は上方から下方に見て、時計回りに回転する。保持容器11、上方孔33および下方孔34に対する水中モータ39の相対位置は、固定される。水中モータ39は1.5ボルト(volts, 略号「V」)以上5V以下の直流電流で駆動する。第1実施形態において水中モータ39は、前記タイマの駆動に使用される電源を、電源として共用利用するものとし、水中モータ39の電源電圧は1.5Vとする。水中モータ39の駆動は、加熱部21の稼動に連動して駆動され、加熱部21の稼動が停止すると同時に水中モータ39の駆動は停止される。
【0038】
ウォーム44の直径は10mmとし、1分間あたりに1500回転する。水中モータ39に使用される電力は、保持部材の外方から配線を通じて供給される。配線は、防水性と耐熱性とを備える。配線には、異常時に発生する過剰電圧を除去するための接地用配線が含まれており、接地用配線は、基準電位部と同電位に保たれる。第1実施形態において基準電位部は大地の電位とし、接地用配線の一部は、大地と同電位の部材に接続される。
【0039】
回転板22は、板状部材13で、大略的に円形の形状をしている。回転板22は、その厚み方向に延びる回転軸線L1を中心に回転する。本発明において、回転板22の回転軸線L1を、単に「回転軸線」と称する。回転軸線L1は、壁17の保持容器11の内側の面に垂直に設定される。回転軸線L1の方向を「回転軸線方向」と称し、回転軸線方向Xの2つの向きのうち、壁17から保持容器11の内方に向かう向きを「回転軸線方向一方」と称し、保持容器11の内方から壁17に向かう向きを「回転軸線方向他方」と称する。1つの軸線に対し、この軸線に直交する全ての直線の方向を総称して、その軸線の「半径方向」と称する。回転板22の半径方向外方の外縁部は、ウォーム44と嵌合する歯が形成される。回転軸線方向Xに見て、ウォーム44と嵌合する歯も含めて回転板22を円に近似すると、回転板22の外径D3は、160mmに設定される。
【0040】
回転板22に形成される歯は、1.5mm毎に1つ、すなわち1.5mmのピッチで形成され、回転板22全体には335個ほどの歯が形成される。水中モータ39の回転軸42およびウォーム44は1分間に1500回ほど回転するので、回転板22および羽根24は1分間に4.5回ほど回転する。上方孔33から保持容器11内に輸送される温度の高い液体14には、気泡が含まれている。羽根24の回転が速ければ速いほど、気泡が筐体12上端部の孔から筐体12の外に排出されにくくなり、羽根24の回転が遅ければ遅いほど、温度の高い液体14を下方に移動させる効率は下がる。したがって、回転板22の回転の速度は、1分間当たりに1回以上20回以内が好ましく、1分間当たりに2回以上10回以内であることが、さらに好ましい。
【0041】
第1実施形態における流体循環装置10を保持容器11の内側から、回転軸線L1に沿って見ると、回転軸線L1は、仮想一平面S2よりも左側に配置される。保持容器11の内側から回転軸線L1に沿って見ると、水中モータ39が駆動され、ウォーム44が回転することによって、回転板22は時計回りに回転する。回転板22の回転軸46は、回転板22に対して固定され、回転板22が回転軸線L1を中心に回転すると、回転板22の回転軸46も回転板22とともに回転する。
【0042】
羽根24は、回転板22に4つ取り付けられ、回転板22に対し、回転駆動力伝達体36を介して固定される。羽根24は、回転板22よりも回転軸線方向他方X2に位置して設置される。4つの羽根24のそれぞれは、大略的に平板状の部材として形成され、回転板22の回転軸46から半径方向に延びて設置される。それぞれの羽根24の回転軸46近傍の端部を「基端部」と称し、半径方向外方の端部を「先端部」と称する。先端部49の半径方向外方の端を「先端」と称する。4つの羽根24は、回転軸線L1まわりに並び、回転軸線L1まわりの周方向に、隣り合う羽根24と互いに90度の角度を成して、設けられる。それぞれの羽根24の半径方向の長さは、回転板22の半径よりも長く設定される。それぞれの羽根24の厚み方向は、回転軸線L1まわりの周方向に一致する。
【0043】
羽根24の先端部49には、凹部が形成される。先端部49の、羽根24の厚み方向に垂直な2つの表面のうち、回転板22の回転に伴って液体14から受ける圧力が高くなる面には凹面として形成され、凹面と反対側の表面は凸面として形成される。換言すれば、羽根24の先端部49は、匙の窪みのような窪みが形成され、羽根24の窪みを規定する表面部は、羽根24の回転によって液体14をかく。羽根24の窪みを規定する表面部は、羽根24の回転に伴って、上方孔33近傍の保持容器11内の液体14を、下方孔34近傍に移動させる。回転軸線L1と上方孔33の軸線との距離は、回転板22の半径よりも長く設定され、回転軸線L1と下方孔34の軸線との距離も、回転板22の半径よりも長く設定される。
【0044】
回転駆動力伝達体36は、回転板22の回転駆動力を羽根24に伝達する部材である。回転駆動力伝達体36は回転軸線方向Xに延びる直線を軸線とする円柱状の形状をしており、回転駆動力伝達体36の外径は、回転板22の外径よりも小さい。回転駆動力伝達体36の回転軸線方向一方X1の端面は、回転板22に対して固定され、回転軸線方向他方X2の端面には、羽根24の基端部48が固定される。
【0045】
回転板22の回転軸46の軸受78は、筐体12に設けられる。筐体12は、板状部材13と、周壁27と、網目部材52とを含んで構成され、駆動部26、回転板22および羽根24を収納する。板状部材13は、駆動部26、回転板22および羽根24よりも回転軸線方向一方X1に配置される部分であり、周壁27は、駆動部26、回転板22および羽根24よりも回転軸線L1の半径方向外方に配置される部分である。網目部材52は、駆動部26、回転板22および羽根24よりも回転軸線方向他方X2に配置される部分である。駆動部26は、板状部材13によって支持され、回転板22の回転軸46は、板状部材13および網目部材52によって支持される。板状部材13および網目部材52はそれぞれ、回転板22の回転軸46の軸受78を含んで構成される。
【0046】
周壁27は、軸線方向に同じ長さを有する板状の部材として形成される。周壁27のうち、鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2から遠い側の部分は、およそ回転軸線L1から等距離に形成され、円筒の一部を成す。鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2から遠い側の部分の外径D4は、280mmとする。周壁27のうち、鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2に近い側の周壁27においては、回転軸線L1から周壁27各部までの距離が、周壁27の上端部から下端部に向かうにつれて次第に長くなる。回転軸線L1から周壁27各部までの距離は、仮想一平面S2が周壁27と交わる部分のうち下方に位置する部分において、最も長くなる。周壁27部分の上端部付近において、回転軸線L1から周壁27各部までの距離は、鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2に遠い側の周壁27と鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2に近い側の周壁27とでは、連続的に変化するけれども、周壁27下端部付近において回転軸線L1から周壁27各部までの距離は、不連続的に変化する。
【0047】
回転軸線L1からの距離が最も長くなる、仮想一平面S2が周壁27の下端部と交わる部分を、以下「周壁最下端部」と称し、周壁最下端部54よりも鉛直仮想平面S1側の部分を「円筒状周壁端部」と称する。周壁最下端部54と円筒状周壁端部56とでは、回転軸線L1からの距離が異なる。周壁最下端部54と円筒状周壁端部56との間には、開口32が形成される。開口32は、網58で塞がれており、筐体12の外部からの手指の挿入を阻止する。周壁最下端部54と円筒状周壁端部56との距離D5は、75mmに設定される。網58の目は、筐体12内の内部空間と筐体12の外部空間とを連通する。回転軸線方向Xに見て開口32の形状は、周壁最下端部54と円筒状周壁端部56とを直径の両端とする半円の形に形成される。開口32は、筐体12の外部空間に凸の形状に形成される。
【0048】
周壁27のうち、鉛直仮想平面S1と回転軸線L1よりも上方で交わる部分を、以下「周壁最上端部」と称する。周壁最上端部57には、貫通孔28が形成され、貫通孔28には網58が設けられ、網58の目は筐体12内の内部空間と筐体12の外部空間とを連通する。周壁最上端部57に設けられた網58の目を通して、筐体12内部の気泡は筐体12の外に排出される。周壁最上端部57の網58は、筐体12の外部からの手指の挿入を阻止する機能も有し、網58の目は、手指を挿入を阻止する程度に小さく設定される。第1実施形態において流体循環装置10は、保持容器11の内方に、回転軸線方向一方X1へ10mm以上25mm以内で壁17から突出して形成される。
【0049】
図4は、本発明の第1実施形態における板状部材13の平面図である。図5は、本発明の第1実施形態における板状部材13を図4に示す切断面線B−Bで切断して見た断面図である。板状部材13は、大略的に平板状の部材として形成される。板状部材13は、周壁27と、開口32および貫通孔28に設けられる網58と、周壁27とによって規定される内部空間に対して、回転軸線方向一方X1に設けられる。板状部材13には、複数の切起こし部62が形成される。平板状の部材の一部を線状に切断し、線状の切口で分割される両側の部分のうち、切口近傍の一方の部分を平板状の部材の厚み方向に変位させると、切口は開かれて開口部61が形成される。このように形成された開口部61およびその近傍を「切起こし部」と称する。切起こし部62の形成に伴って厚み方向に変位した部分は、板状部材13に対して回転軸線方向他方X2に変位される。切起こし部62に形成される切口は、回転軸線L1を中心とする同心円の一部の形状を成す円弧状に形成される。
【0050】
筐体12内外の液体14は、切起こし部62に形成された開口部61を通過して移動可能である。これによって、筐体12の外の液体14に比べて温度の高い筐体12内の液体14と、筐体12の外の液体14とが混合される。切起こし部62に形成された開口部61は、手指を挿入を阻止する程度に小さく設定される。羽根24の回転によって筐体12内の液体14中では、圧力の比較的高い部分と比較的低い部分が生じるけれども、切起こし部62が形成されることによって、羽根24の回転によって生じる圧力差が緩和される。切起こし部62に形成された開口部61を通過して、筐体12の内部空間と外部空間との間を単位時間当たりに移動する液体14の量が多ければ多いほど、羽根24による上方孔33近傍から下方孔34近傍への液体14の移動効率が低下し、単位時間当たりに開口部61を通過する液体14の量が少なければ少ないほど、筐体12内の液体14が有する熱エネルギの拡散が阻止される。したがって、切起こし部62に形成される開口部61の大きさと板状部材13に形成される切起こし部62の個数は、予め定められる。
【0051】
板状部材13には、駆動部26が取付けられる。駆動部26のうちの水中モータ39の部分が、板状部材13の回転軸46方向他方から、固定部材63によって取付けられる。固定部材63は、水中モータ39の周囲に固着され、板状部材13にねじ部品64によって取付けられる。
【0052】
図6は、本発明の第1実施形態における網目部材52の平面図である。網目部材52は、板状部材13、周壁27および周壁27に設けられる複数の網58とともに、筐体12内の内部空間を規定する。網目部材52は、周壁27と、開口32および貫通孔28に設けられる網58と、周壁27とによって規定される内部空間に対して、回転軸線方向他方X2に設けられる。網目部材52は、回転板22の回転軸46近傍を除いて、網の目が形成された平坦な部材として形成される。網目部材52は、網の目が回転軸線方向一方X1の空間と回転軸線方向他方X2の空間とを連通する姿勢で、上方孔33を規定する部分および下方孔34を規定する部分に、取付け部材38を介して取付けられる。回転軸線方向Xに見て網目部材52の形状は、板状部材13を回転軸線方向Xに見たときの、板状部材13の形状と同じ形状に形成される。上方孔33から保持容器11内に輸送される加熱された液体14と、下方孔34から管内に移動する液体14とは、網目部材52の網の目を回転軸線方向Xに通過して、筐体12の内部空間に出入りする。
【0053】
図7は、本発明の第1実施形態における取付け部材38の断面図および斜視図である。第1実施形態における取付け部材38は、分岐部材65、雌ねじ部材66および雄ねじ部材67を含んで構成される。図7(a)は、分岐部材65の断面図であり、図7(b)は、雌ねじ部材66の断面図であり、図7(c)は、雄ねじ部材67の斜視図である。分岐部材65は、回転軸線方向Xに延びる軸線を有する円筒状の円筒部68と、円筒部68から回転軸線方向他方X2に突出して延びる突出部69とを含んで構成される。
【0054】
突出部69は、円筒部68の軸線まわりの周方向に互いに等しい間隔をあけて並ぶ。円筒部68および突出部69の外径は、上方孔33および下方孔34の内径にほぼ等しく、円筒部68および突出部69の半径方向外方の表面は、上方孔33または下方孔34に対し、上方孔33または下方孔34の軸線に関して半径方向内方から接する。突出部69の半径方向の厚みは、回転軸線方向他方X2に向かうにつれて増大する。換言すれば、回転軸線方向Xに垂直の平面内の、突出部69の半径方向内方に接する円の直径は、回転軸線方向他方X2に向かうにつれて小さくなる。
【0055】
突出部69は、半径方向に弾性変形可能に形成され、突出部69に雌ねじ部材66が半径方向内方から接触し、半径方向外方に押圧することによって、弾性変形する。雌ねじ部材66は、大略的に円筒形状に形成され、円筒の軸線を回転軸線方向Xに向けて配置される。雌ねじ部材66の回転軸線方向一方X1側のおよそ半分の部分の外径は、分岐部材65の円筒部68の内径にほぼ等しく、分岐部材65の円筒部68に対し、円筒部68の軸線に関して半径方向内方から接する。雌ねじ部材66の回転軸線方向他方X2側のおよそ半分の部分の外径は、回転軸線方向他方X2に向かうにつれて小さくなり、先細の形状になっている。以下、雌ねじ部材66の回転軸線方向他方X2側のおよそ半分の、先細の形状になった部分を「テーパ部」と称する。
【0056】
雌ねじ部材66が回転軸線方向一方X1から分岐部材65の分岐部材65の内方に挿入されると、雌ねじ部材66は、分岐部材65の半径方向内方から接する。雌ねじ部材66のテーパ部72の半径方向外方の表面が分岐部材65の突出部69の半径方向内方の表面に接触すると、雌ねじ部材66の回転軸線方向他方X2への進行は、突出部69によって妨げられるけれども、分岐部材65に対して雌ねじ部材66がさらに回転軸線方向他方X2に進行すると、テーパ部72の半径方向外方の表面は、突出部69を半径方向外方に押し広げる。突出部69は弾性変形し、半径方向外方に変位する。分岐部材65の突出部69を回転軸線方向他方X2に向けた状態で、上方孔33または下方孔34に分岐部材65を挿入し、雌ねじ部材66のテーパ部72を回転軸線方向他方X2に向けた状態で、すでに挿入された分岐部材65に雌ねじ部材66を挿入すると、突出部69が半径方向外方に変位することによって、分岐部材65および雌ねじ部材66は、上方孔33または下方孔34を規定する部分に固定される。
【0057】
雌ねじ部材66の半径方向内方には、回転軸線方向Xに延びる直線を軸線とする雌ねじが形成される。雌ねじは、雌ねじ部材66の回転軸線方向一方X1側のおよそ半分に形成される。雌ねじ部材66に形成される雌ねじは、雄ねじ部材67に形成される雄ねじに螺合する。
【0058】
雄ねじ部材67は、雌ねじ部材66に挿入される部材である。雄ねじ部材67の回転軸線方向一方X1には、回転軸線方向Xに垂直に広がるフランジ部74が形成される。雄ねじ部材67のうちフランジ部74を除く残余の部分は、フランジ部74を除いて大略的に円筒形状に形成され、円筒の軸線を回転軸線方向Xに向け、フランジ部74を回転軸線方向一方X1に向けて雌ねじ部材66の内部に挿入される。以下、雄ねじ部材67のうちフランジ部74を除く残余の部分を「螺合部」と称する。
【0059】
フランジ部74の回転軸線方向一方X1の端面は回転軸線L1に垂直に形成され、フランジ部74を回転軸線方向Xに見た外形は、円形に形成される。フランジ部74の外径は、円筒形状の部分の外形よりも大きく形成され、フランジ部74には、回転軸線方向Xに延びるビス孔77が形成される。第1実施形態においてフランジ部74の外径は、80mmである。フランジ部74は、円筒部68および突出部69と軸線を同じくして形成され、円筒部68および突出部69の軸線まわりの全周にわたって、円筒部68および突出部69よりも、これらの軸線を中心とする半径方向外方に10mm広く延びて形成される。ビス孔77は複数形成されるものとし、第1実施形態においてビス孔77は、1つの雄ねじ部材67に対して3つ形成される。それぞれのビス孔77には、ねじ部品64が螺合する。
【0060】
雄ねじ部材67の円筒形状の部分の半径方向外方の表面部には、雄ねじが形成される。螺合部76は、雌ねじ部材66に対して回転して雌ねじ部材66に挿入され、雌ねじ部材66に対して螺合する。上方孔33または下方孔34に対して固定された分岐部材65および雌ねじ部材66に対して、雄ねじ部材67が挿入されることによって、雄ねじ部材67は間接的に上方孔33または下方孔34に固定される。雄ねじ部材67の半径方向内方の表面は、回転軸線方向Xに延びる直線を軸線とする円筒形に形成され、雄ねじ部材67の内径は、回転軸線方向Xの位置に関して一様である。
【0061】
雄ねじ部材67のフランジ部74には、網目部材52が取付けられる。網目部材52はねじ部品64によって雄ねじ部材67のフランジ部74に固定される。ねじ部品64の頭は、すりわり付きの丸頭、なべ頭またはトラス頭として形成され、ねじ部品64の頭の座面は、平らな一平面を成す。
【0062】
分岐部材65、雌ねじ部材66および雄ねじ部材67は、それぞれ2つずつ設けられ、上方孔33および下方孔34のそれぞれに1つずつ設置される。上方孔33を規定する部分および下方孔34を規定する部分に分岐部材65、雌ねじ部材66および雄ねじ部材67を取付けた状態で、網目部材52は雄ねじ部材67のフランジ部74に固定される。網目部材52をフランジ部74に固定するねじ部品64は、網目部材52の網の目に挿入され、ねじ部品64の頭は、網目部材52を回転軸線方向一方X1から回転軸線方向他方X2に向けて押圧する。これによって、網目部材52は保持容器11に対して固定される。流体循環装置10を保持容器11に取付ける作業は、ねじ部品64に対応するドライバおよび手指によって可能である。ドライバ以外の他の工具を必要としない。
【0063】
回転板22の回転軸46は、筐体12のうちの板状部材13と網目部材52に設けられる軸受78によって支持される。回転軸線方向Xに見て板状部材13の中央部には、回転板22の回転軸46が嵌合するための嵌合孔81が形成される。嵌合孔81の内径は回転板22の回転軸46の外形にほぼ一致し、嵌合孔81に挿入された回転板22の回転軸46は、嵌合孔81を規定する部分に対して摺動可能である。回転軸線方向Xに見て網目部材52の中央部に、回転板22の回転軸46が嵌合するための嵌合孔81が形成され、嵌合孔81を規定する軸受78が形成される。嵌合孔81の内径は回転板22の回転軸46の外形にほぼ一致し、嵌合孔81に挿入された回転板22の回転軸46は、嵌合孔81を規定する部分に対して摺動可能である。回転板22の回転軸線方向一方X1および回転軸線方向他方X2において回転軸46は、軸受78に摺動しながら周方向に回転する。
【0064】
網目部材52には、周壁27がさらに固定され、板状部材13は周壁27に固定される。筐体12は、筐体12内部に収納される駆動部26、回転板22および羽根24を支持する。網目部材52、周壁27、板状部材13、回転板22および羽根24はステンレススチールから形成され、分岐部材65、雌ねじ部材66および雄ねじ部材67は、耐熱性を有する樹脂から形成される。分岐部材65は、ゴム弾性を有する樹脂から形成されることが好ましく、たとえばシリコンゴムから形成される。雌ねじ部材66および雄ねじ部材67は、たとえばポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミドから形成される。ねじ部品64は、ステンレススチールから形成される。
【0065】
第1実施形態によれば、流体循環装置10は、保持容器11の壁17の内側に設置され、上方孔33を通じて保持容器11内に輸送される加熱された液体14を、下方孔34の近傍に移動させる。これによって、加熱によって温度が上昇した液体14を、再度下方孔34から管路19に送り込むことができ、2つの孔近傍の液体14の温度を、流体循環装置10を設置しない場合に比べて高くすることができる。これによって、2つの孔近傍の液体14と、保持容器11内の液体14のうちの、2つの孔から遠い位置の液体14との温度差を大きくすることができる。したがって、保持容器11内の自然対流の速さを速くすることができ、保持容器11内の液体14の温度上昇を速くすることができる。
【0066】
また加熱によって温度が上昇した液体14が、液面18付近に留まることを防止することができる。したがって、温度が上昇した液体14の熱エネルギが液面18から上方へ拡散することを防止することができる。加熱されて上方孔33から保持容器11内に輸送される液体14が、上方へ移動すれば、加熱された液体14の熱が液面18から上方へ拡散するけれども、流体循環装置10によって加熱された液体14を下方に移動させることによって、液面18から上方へ拡散する熱量を小さくすることができる。したがって、液面18から上方への拡散が防がれた熱量を、保持容器11内の液体14の温度上昇に利用することができる。これによって、保持容器11内の液体14の温度上昇の効率を高くすることができる。
【0067】
開口32を通過した液体14は、羽根24の回転力によって与えられた初速度をもって保持容器11内を移動すると同時に、温度が高く密度が低いことによって周囲の液体14から浮力を受けて上昇する。開口32を通過した液体14の温度と筐体外の液体14の温度との温度差が小さい場合に比べて、開口32を通過した液体14の温度と筐体外の液体14の温度との温度差が大きい場合に、開口32を通過した液体14は、筐体外の液体14に対して大きな自然対流の駆動力を与える。
【0068】
また周囲の液体14からの浮力とともに羽根24の回転力に基づく液体14の運動量が、開口32を通過した液体14の初速度を通じて筐体外の液体14にも伝達される。これによって、流体循環装置10は、保持容器11内の液体14を攪拌することができる。したがって、温度の高い液体14が保持容器11内の一部分に偏る場合に比べて、液体14に隣接する気体または部材への熱の拡散を防止し、液体14の温度上昇の効率を高くすることができる。
【0069】
また第1実施形態によれば、羽根24は、駆動部26によって回転される回転板22に固定されるので、駆動部26の駆動力によって回転する。これによって、上方の孔近傍の液体14を、下方の孔の近傍に移動させることができる。したがって、水中モータ39によって液体14を移動させる場合に比べて、液体14の移動距離を一定に保つことが容易になる。したがって、上方の孔を通じて保持容器11内に輸送される加熱された液体14を、効率よく下方の孔に送り込むことができる。また液体14内に発生した気泡が上方に移動することを許容することができるので、温度上昇によって発生した液体14内の気泡が、下方の孔に送り込まれることを防止することができる。液体14内の気泡が再び管内で加熱されることを防止できるので、液体14内の気泡が下方の孔に送り込まれる場合に比べて、液体14の加熱の効率を高くすることができる。
【0070】
また第1実施形態によれば、筐体12の周壁27のうち、回転軸線L1を含む鉛直仮想平面S1に関して2つの孔の位置から遠い側の部分は、羽根24の先端51が描く軌跡近傍に形成され、周壁27のうち、2つの孔の位置に近いの部分は、羽根24の先端51が描く軌跡から離れて形成される。これによって、羽根24が、鉛直仮想平面S1に関して2つの孔の位置から遠い側を通過するときには、羽根24の回転によって移動する液体14を少なくし、羽根24が、鉛直仮想平面S1に関して2つの孔の位置から近い側を通過するときには、羽根24の回転によって移動する液体14を多くすることができる。したがって、羽根24の回転によって上方から下方へ移動する液体14の量を、下方から上方へ移動する液体14の量よりも多くすることができる。
【0071】
また第1実施形態によれば、筐体12の周壁27のうちの上端部には貫通孔28が形成される。これによって、温度上昇によって液体14内に発生した気泡を筐体12の外方へ排出することができる。また周壁最下端部54と円筒状周壁端部56との間には、筐体12の内部空間から筐体12の外部空間に開かれる開口32が形成される。これによって、筐体12内の液体14の一部を筐体12の外方へ排出することができる。筐体12の内部には、外方の液体14が、周壁27のうちの上端部に形成された貫通孔28から流入することができるので、流体循環装置10は、外方の液体14を上方の貫通孔28から下方の開口32に通過させることができる。これによって、保持容器11内の流体の対流を乱流にすることができる。したがって、保持容器11内において温度の高い液体14が上方で層を成し、温度の低い液体14が下方で層を成すことを防止することができる。これによって、貫通孔28が形成されない場合および開口32が形成されない場合に比べて、温度が上昇した液体14の熱エネルギが液面18から上方へ拡散することを防止することができる。
【0072】
板状部材13には、切起こし部62が形成される。これによって、筐体12内外の液体14は、筐体12の内部空間と外部空間とを移動することができる。したがって、筐体12内部の比較的温度の高い液体14と筐体12外部の比較的温度の低い液体14とが混合され、筐体12内部の液体14の温度が高くなりすぎることを防止することができる。これによって、流体循環装置10の熱変形および劣化を防ぐことができる。また切起こし部62を形成することによって、切起こし部62が形成されない場合に比べて、板状部材13の機械的強度を高くすることができる。これによって板状部材13に外力が付与されたときの板状部材13の変形を抑制することができる。したがって、回転部材および羽根24が安定に回転することができる。
【0073】
また、切起こし部62に形成された開口部61は、回転軸線方向Xに開口32せず、回転軸線L1の半径方向に開口32する。これによって、板状部材13に回転軸線方向Xに貫通する孔が形成される場合に比べて、筐体12内に手指が進入することを防ぐことができる。また周方向に回転する筐体12内部の液体14が、開口部61を通じて筐体12内外に移動することを容易にすることができる。
【0074】
駆動部26の水中モータ39は、鉛直仮想平面S1に関して、仮想一平面S2とは反対側に設置される。これによって、上方孔33から保持容器11内に輸送される温度の高い液体14が、攪拌される以前に駆動部26に接触することを防止することができる。したがって、駆動部26を上方孔33近傍または下方孔34近傍に配置する場合に比べて、駆動部26の温度上昇を抑制することができる。また上方孔33近傍の空間と下方孔34近傍の空間との間の空間を、駆動部26が占めることがない。したがって、駆動部26が上方孔33近傍または下方孔34近傍に配置される場合に比べて、羽根24による攪拌によって、上方孔33近傍の液体14が容易に下方孔34近傍に移動することができる。
【0075】
第1実施形態において流体循環装置10は、取付け部材38によって、上方孔33および下方孔34に取付けられる。これによって、流体循環装置10は、すでに設置されている保持容器11を変形または切断することなく、保持容器11に対して設置することができる。取付けに必要な工具はドライバであるので、複数の種類の工具を用いて保持容器11を加工して流体循環装置10を取付ける場合に比べて、ドライバと手指によって容易に取付けることができる。
【0076】
図8は、第2実施形態における板状部材13の断面図である。第2実施形態に係る流体循環装置10は、筐体12と、回転板22と、羽根24と、回転駆動伝達体と、駆動部26と、取付け部材38とを含んで構成される。第2実施形態における筐体12は、板状部材13と、周壁27と、網目部材52とを含んで構成され、駆動部26、回転板22および羽根24を収納する。板状部材13は、駆動部26、回転板22および羽根24よりも回転軸線方向一方X1に配置される部分である。
【0077】
板状部材13は、周壁27は、駆動部26、回転板22および羽根24よりも回転軸線L1の半径方向外方に配置される部分である。第2実施形態において板状部材13は、2つの層を含む板状の部材から形成される。2つの層は回転軸線方向Xを厚み方向として設置され、2つの層のうち、回転軸線方向一方X1の層82は樹脂によって形成され、回転軸線方向他方X2の層84はステンレススチールから形成される。
【0078】
板状部材13には、複数の切起こし部62が形成される。2つの層のうちの一方に形成される切起こし部62と、他方に形成される切起こし部62とは、半径方向および周方向に同じ位置に形成され、回転軸線方向Xに互いに重ねて形成される。切起こし部62の形成に伴って厚み方向に変位した部分は、板状部材13に対して回転軸線方向他方X2に変位される。切起こし部62に形成される切口は、回転軸線L1を中心とする同心円の一部の形状を成す円弧状に形成される。筐体12内外の液体14は、切起こし部62に形成された開口部61を通過して移動可能である。切起こし部62に形成された開口部61は、手指を挿入を阻止する程度に小さく設定される。
【0079】
第2実施形態において回転板22の回転軸46は、板状部材13および網目部材52に固定される。回転板22および回転駆動力伝達体36はそれぞれ、回転軸46の軸受78を含んで構成される。羽根24は、回転板22に固定される回転駆動力伝達体36に固定され、回転軸46に対しては固定されていない。回転板22および回転駆動力伝達体36と回転軸46とは、周方向に摺動することによって、相対的に変位し、回転板22および羽根24は周方向に回転する。
【0080】
図9は、本発明の第2実施形態における取付け部材38の断面図である。第2実施形態における取付け部材38は、分岐部材65および内接部材86を含んで構成される。図9(a)は、分岐部材65の断面図であり、図9(b)は、内接部材86の一部を切り欠いて示した断面図である。分岐部材65は、第1実施形態における分岐部材65と同様である。内接部材86は、分岐部材65の半径方向内方の空間に挿入されて、分岐部材65を上方孔33または下方孔34に押付け固定する。また内接部材86は、網目部材52に対して固定されることによって、網目部材52を保持容器11に対して固定する。
【0081】
内接部材86の回転軸線方向一方X1には、回転軸線方向Xに垂直に広がるフランジ部74が形成される。内接部材86は、フランジ部74を除いて大略的に円筒形状に形成され、円筒の軸線を回転軸線方向Xに向け、フランジ部74を回転軸線方向一方X1に向けて分岐部材65の内部に挿入される。フランジ部74の回転軸線方向一方X1の端面は、回転軸46に垂直に形成され、フランジ部74を回転軸線方向Xに見た外形は、円形に形成される。フランジ部74の外径は、円筒形状の部分の外径よりも大きく形成され、フランジ部74には、回転軸線方向Xに延びるビス孔77が形成される。ビス孔77は、複数形成されるものとし、第2実施形態におけるビス孔77は、1つの内接部材86に対して3つ形成される。それぞれのビス孔77には、ねじ部品64が螺合する。
【0082】
フランジ部74を除いて、内接部材86の回転軸線方向一方X1側のおよそ半分の部分の外径は、分岐部材65の円筒部68の内径にほぼ等しく形成される。雌ねじ部材66の回転軸線方向他方X2側のおよそ半分の部分の外径は、回転軸線方向他方X2に向かうにつれて小さくなり、先細の形状になっている。以下、内接部材86の回転軸線方向他方X2側のおよそ半分の、先細の形状になった部分を、雌ねじ部材66の場合と同様に「テーパ部」と称する。
【0083】
内接部材86が回転軸線方向一方X1から分岐部材65の分岐部材65の内方に挿入されると、内接部材86は、分岐部材65の半径方向内方から接する。内接部材86のテーパ部72の半径方向外方の表面が分岐部材65の突出部69の半径方向内方の表面に接触すると、内接部材86の回転軸線方向他方X2への進行は、突出部69によって妨げられるけれども、分岐部材65に対して内接部材86がさらに回転軸線方向他方X2に進行すると、テーパ部72の半径方向外方の表面は、突出部69を半径方向外方に押し広げる。突出部69は弾性変形し、半径方向外方に変位する。分岐部材65の突出部69を回転軸線方向他方X2に向けた状態で、上方孔33または下方孔34に分岐部材65を挿入し、内接部材86のテーパ部72を回転軸線方向他方X2に向けた状態で、すでに挿入された分岐部材65に内接部材86を挿入すると、突出部69が半径方向外方に変位することによって、分岐部材65および内接部材86は、上方孔33または下方孔34を規定する部分に固定される。
【0084】
分岐部材65および内接部材86は、それぞれ2つずつ設けられ、上方孔33および下方孔34のそれぞれに1つずつ設置される。上方孔33を規定する部分および下方孔34を規定する部分に分岐部材65および内接部材86を取付けた状態で、網目部材52は内接部材86のフランジ部74に固定される。網目部材52をフランジ部74に固定するねじ部品64は、網目部材52の網の目に挿入され、ねじ部品64の頭は、網目部材52を回転軸線方向一方X1から回転軸線方向他方X2に向けて押圧する。これによって、網目部材52は保持容器11に対して固定される。
【0085】
第1および第2実施形態における流体循環装置10を保持容器11の内側から、回転軸線L1に沿って見ると、回転軸線L1は、仮想一平面S2よりも左側に配置されるけれども、他の実施形態において流体循環装置は、鉛直な平面に関して、第1および第2実施形態と面対称な構成であってもよい。またさらに他の実施形態においては、流体循環装置を保持容器の内側から、回転軸線に沿って見ると、回転軸線は、仮想一平面よりも右側に配置される。水中モータおよび水中モータの回転軸は、鉛直仮想平面に関して仮想一平面と反対側に位置し、水中モータの回転の向きは同じであるとする。この状態において、ウォームに形成されるねじを左ねじとすることによって、羽根が上方孔近傍から下方孔近傍に液体を移動させる構成としてもよい。
【0086】
第1および第2実施形態において、羽根24は、4枚形成されるものとしたけれども、羽根24の個数は、規定しない。たとえば他の実施形態において羽根の個数は、2つ以上であっても、3つ以上であっても、5つ以上であってもよい。
【0087】
第1および第2実施形態において、周壁27のうち鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2から遠い側の部分の外径D4は、280mmとしたけれども、本発明において、周壁27のうち鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2から遠い側の部分の外径D4については、規定しない。周壁27のうち、鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2から遠い側の部分が円筒の一部を成し、鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2に近い側の周壁27において回転軸線L1から周壁27各部までの距離が、周壁27の上端部から下端部に向かうにつれて次第に長くなる形状であれば、足りる。たとえば他の実施形態において周壁27のうち鉛直仮想平面S1よりも仮想一平面S2から遠い側の部分の外径D4は、280mmよりも大きくてもよく、また280mm未満であってもよい。
【0088】
第1および第2実施形態において壁17の内面は、鉛直な平面であるものとしたけれども、他の実施形態において流体循環装置が設置される壁は、鉛直でなくてもよい。回転軸線は壁の内面に垂直であるものとし、回転軸線方向一方に向かうにつれて高さが高くなる場合に、流体循環装置を壁の内面に設置してもよい。また回転軸線方向一方に向かうにつれて、高さが低くなる場合に、流体循環装置を壁の内面に設置してもよい。この2つの場合において、壁の内面が鉛直な平面に対して成す角度は、45度以内が好ましい。流体循環装置によって移動される液体が、保持容器内の液体全体を攪拌するためには、壁の内面が鉛直な平面に対して成す角度は、小さければ小さいほど好ましい。
【0089】
第1および第2実施形態において、回転軸46と軸受78とは摺動することによって、互いの周方向の相対位置を変化させるとしたけれども、他の実施形態において回転軸と軸受とは、ボールベアリングを介して接続されてもよい。
【0090】
第1および第2実施形態において周壁27はステンレススチールから形成されるものとしたけれども、他の実施形態において周壁は、2層の板状の部材から形成されるものとし、半径方向外方の層は樹脂製とし、半径方向内方の層はステンレススチールから形成されるものとしてもよい。また板状部材と周壁とは、1つの部材として一体に形成されてもよく、樹脂から成る1つの板状の部材から形成されるものとしてもよい。
【0091】
第1および第2実施形態において、網目部材52をフランジ部74に固定するねじ部品64は、網目部材52の網の目に挿入されるものとしたけれども、他の実施形態において網目部材には、ねじ部品の頭の外形よりも小さくねじ部品のねじ基本の外形よりも大きな穴が形成される板状の部材が取り付けられ、この板状の部材をフランジ部に固定することによって、網目部材が保持容器に固定されてもよい。
【0092】
第1および第2実施形態において、水中モータ39の回転軸42は鉛直方向に設置されるものとしたけれども、本発明において駆動部の水中モータは、鉛直仮想平面に関して仮想一平面よりも反対側に設置されれば、足りる。たとえば他の実施形態において水中モータの回転軸は、鉛直方向に対して角度を成して設置されてもよい。
【0093】
第1および第2実施形態において流体循環装置10は、浴槽に設置され、浴槽内の水の温度上昇の効率を高くすることに適用されたけれども、本発明に係る流体循環装置は、液体の自然対流に基づいて液体を循環させながら保持容器外に出た液体を加熱する方式の保持容器に設置されるならば、足りる。たとえば他の実施形態において流体循環装置は、ガラス製品の洗浄を行う洗浄タンクに設置されてもよい。またさらに他の実施形態において流体循環装置は、半導体材料または金属材料の溶湯を保持する保持容器に設置されてもよい。
【0094】
第1および第2実施形態において駆動部26は、筐体12に内包されるものとしたけれども、他の実施形態において、駆動部26の水中モータの39の一部分は、筐体12の外部に位置していてもよい。
【0095】
第1および第2実施形態において保持容器に形成される孔は2つであるものとし、上方の孔および下方の孔はそれぞれ1つずつであるものとしたけれども、本発明において保持容器に形成される孔は複数であれば、足りる。たとえば他の実施形態において保持容器に形成される複数の孔は、単数または複数の上方の孔と、単数または複数の下方の孔とから成る3つ以上、または4つ以上の孔であってもよい。さらに他の実施形態において上方の孔および下方の孔は、それぞれ3つずつ形成されてもよい。自然対流によって、保持容器内から保持容器外に向けて保持容器内の液体が通過する孔を下方の孔とし、加熱されて温度が上昇した液体が、保持容器外から保持容器内に輸送されるときに通過する孔を上方の孔とする。
【0096】
第1および第2実施形態において流体循環装置10は、保持容器11の内方に、回転軸線方向一方X1へ10mm以上25mm以内で壁17から突出して形成されるものとしたけれども、他の実施形態において流体循環装置は、壁に埋没して形成されてもよい。すでに設置されている加温器に対して流体循環装置を設置するのではなく、流体循環装置を備えた状態で加温器を形成する場合には、回転軸線方向の流体循環装置の長さと同じ深さの溝を、保持容器の壁に対して回転軸線方向に形成し、壁に形成された溝内に、流体循環装置を設置する。壁のうちの溝の周囲の部分と、流体循環装置の板状部材とは、回転軸線方向一方に向かう面が面一状に形成されるものとする。
【0097】
この場合開口部よりも筐体の外方に、傾斜板を設けることが好ましい。傾斜板は、開口部の高さ方向の高さと同じ高さで、羽根の回転軸の下方に設置される。傾斜板は、開口部から離れる向きに向かうにつれて、回転軸線方向一方に向かう平板状の部材である。傾斜板を設けることによって、開口部から筐体の外方に出た液体は、進行方向が変えられ、保持容器の内方に向かう。これによって、流体循環装置を壁に埋没させて形成した場合にも、筐体から外方にでた加熱された液体が保持容器内の液体を攪拌する。したがって、保持容器内の液体の温度上昇を、高効率にすることができる。
【0098】
保持容器内の液体に浸されるべき物体を、保持容器内に保持する場合には、流体循環装置を壁に埋没させ、壁のうちの溝の周囲の部分と、流体循環装置の板状部材とを、面一状に形成することによって、物体を保持容器に出し入れするときに、物体の出し入れが流体循環装置によって阻止されることを防止することができる。
【0099】
保持容器が浴槽である場合には、流体循環装置を壁に埋没させ、壁のうちの溝の周囲の部分と、流体循環装置の板状部材とを、面一状に形成することによって、入浴する人が溝の周囲の壁の部分にも寄りかかることを可能にする。したがって、流体循環装置が壁から回転方向一方に突出して設けられる場合に比べて、入浴を快適にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1実施形態に係る流体循環装置10の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る流体循環装置10を、図1に示した切断面線A−Aで切断して見た断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る流体循環装置10を浴槽に設置したときの、浴槽および流体循環装置10の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における板状部材13の平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態における板状部材13を図4に示す切断面線B−Bで切断して見た断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態における網目部材52の平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態における取付け部材38の断面図および斜視図である。
【図8】第2実施形態における板状部材13の断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態における取付け部材38の断面図である。
【図10】第1の従来技術に係る浴水循環器1の斜視図である。
【図11】第2の従来技術においてバスアダプタ5を適用した構成図である。
【符号の説明】
【0101】
10 流体循環装置
11 保持容器
12 筐体
13 板状部材
14 液体
16 加温器
17 壁
18 液面
19 管路
21 加熱部
22 回転板
24 羽根
26 駆動部
27 周壁
28 貫通孔
32 開口
33 上方孔
34 下方孔
39 水中モータ
46 回転軸
48 基端部
49 先端部
51 先端
52 網目部材
61 開口部
62 切起こし部
65 分岐部材
66 雌ねじ部材
67 雄ねじ部材
78 軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持容器に保持される液体の液面よりも下方に、高さ方向に並ぶ複数の孔が保持容器の壁に形成され、
前記複数の孔のうちの下方の孔から保持容器外に取出された液体が加熱されて上方の孔から保持容器内に供給される保持容器に設けられる流体循環装置であって、
前記複数の孔が形成された保持容器の壁の内側に設置され、
前記上方の孔を通じて保持容器内に供給される加熱された液体を、前記下方の孔の近傍に移動させることを特徴とする流体循環装置。
【請求項2】
前記壁の内面に垂直な方向に延びる回転軸線を中心に回転する回転板と、
回転板に固定され、回転板とともに回転し、回転によって前記上方の孔の近傍の液体を、前記下方の孔の近傍に移動させる羽根と、
回転板を回転させる駆動部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の流体循環装置。
【請求項3】
回転軸線は、前記2つの孔の軸線を含む仮想一平面から離れて設けられ、
回転板と羽根と駆動部とを収納する筐体をさらに含み、
前記回転軸線を中心とする半径方向外方から回転板と羽根と駆動部とを包囲する筐体の周壁のうち、回転軸線を含む鉛直仮想平面に関して前記2つの孔の位置から遠い側の部分は、羽根の回転に伴って、回転軸線から遠い位置の羽根の先端が描く軌跡近傍に形成され、
周壁のうち、前記鉛直仮想平面に関して前記2つの孔の位置に近い側の部分は、前記軌跡から離れて形成されることを特徴とする請求項2に記載の流体循環装置。
【請求項4】
前記周壁のうちの上端部には、貫通孔が形成され、
前記2つの孔の位置に近い側の部分のうちの下端部には、筐体の内部空間から筐体の外部空間に開かれる開口が形成されることを特徴とする請求項3に記載の流体循環装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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