説明

流体攪拌装置及び方法

【課題】広範囲に亘って流体を攪拌することを可能にする。
【解決手段】流体攪拌装置10は、水槽1内の水中に設置され、水を吐出する可撓性のホース12を備え、ホース12を、水を吐出する勢いで振らせることにより水槽1内の水を攪拌することを特徴とする。ホース12は、ポンプ又は水道に接続されており、ポンプ又は水道から送出される水を吐出する。また、ホース12は、吐出口12Aから所定長さの位置でブロック16で固定され、固定点16Bから吐出口12Aまでの間は変形自在の自由長部12Cとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を攪拌する流体攪拌装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水底の沈殿物を攪拌する攪拌装置として、鉛直の軸に回転可能に支持された回転ノズルユニットを、噴流の反動で回転させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の攪拌装置では、ノズルが周方向及び斜め下方に向けられており、水底の沈殿物に向けて水を噴出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭58−24200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の攪拌装置では、ノズルが固定軸の周りに回転するのみであるため、回転ノズルユニットの近傍の沈殿物を攪拌することはできるものの、広範囲で流体を攪拌することはできない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広範囲に亘って流体を攪拌することができる流体攪拌装置及び方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る流体攪拌装置は、攪拌対象流体中に設置され、流体を吐出する可撓性のホースを備え、前記ホースを、流体を吐出する勢いで振らせることにより前記攪拌対象流体を攪拌することを特徴とする。
【0007】
前記流体攪拌装置において、前記ホースは、ポンプ又は水道に接続されてもよく、ポンプ又は水道から送出される水を吐出してもよい。
【0008】
前記流体攪拌装置において、前記ホースは、吐出口から所定長さの位置で固定され、該位置から前記吐出口までの間が変形自在の自由長部となっていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る流体攪拌方法は、攪拌対象流体中に可撓性のホースを設置し、該ホースから流体を吐出させ、該ホースを流体を吐出する勢いで振らせることにより前記攪拌対象流体を攪拌することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、広範囲に亘って流体を攪拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る流体攪拌装置を示す平面図である。
【図2】一実施形態に係る流体攪拌装置を示す立面図である。
【図3】流体攪拌装置の作用を示す平面図である。
【図4】流体攪拌装置の動作確認実験の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。図1は、一実施形態に係る流体攪拌装置10を示す平面図であり、図2は、当該流体攪拌装置10を示す立面図である。これらの図に示すように、流体攪拌装置10は、水中ボンプ用の可撓性のホース12と、ホース12に接続された水中ポンプ14と、可撓性のホース12の中間部を固定するブロック16とを備えている。
【0013】
ホース12、水中ポンプ14及びブロック16は、浅瀬(例えば40cm程度)で縦横の幅が10m程度の水槽1内に設置されており、水中ポンプ14は、水槽1内の水をホース12に送出し、ホース12は水槽1内で先端の吐出口12Aから吐出する。また、ブロック16は、水槽1の底部に配されており、ホース12の中間部を水槽1の底部に固定している。
【0014】
ホース12は、塩化ビニルやゴム等の弾性変形可能な管であり、ホース12の吐出口12からブロック16による固定点12Bまでは、所定長さ(例えば、2〜6m)の弾性変形自在の自由長部12Cとなっており、ホース12の固定点12Bから水中ポンプ14までは、両端を拘束された非自由長部12Dとなっている。
【0015】
図3は、流体攪拌装置10の作用を示す平面図である。この図に示すように、水中ポンプ14でホース12に送水してホース12の吐出口12Aから水を吐出させると、ホース12の自由長部12Cは、吐出された水の勢いで波状に変形しながら左右に振られる。このため、水槽1内の水は、波状に変形しながら左右に振られるホース12により攪拌され、また、ホース12の吐出口12Aから吐出される水流によっても攪拌される。これによって、水槽1内の水の温度を均一化させたり、水槽1内の溶液の濃度を均一化させたりすることができる。
【0016】
図4は、流体攪拌装置10の動作確認実験の結果を示す表である。この表に示すように、本実験では、ホース12を散水用ゴムホーム(外径φ20mm、内径φ15mm)とし、水道でホース12に送水する装置Aと、ホース12を水中ポンプ用フレキシブルホース(外径φ60mm、内径φ50mm)とし、水中ポンプ(200V)でホース12に送水する装置Bとを使用した。
【0017】
また、装置Bでは、浮きを取付けたホース12と、浮きを取付けないホース12とについて実験した。また、装置Aでは、水の吐出量を25.9リットル/分(流速v=2.46m/s)、23.8リットル/分(流速v=2.34m/s)として実験し、装置Bでは、水の吐出量を359.9リットル/分(流速v=3.01m/s)として実験した。なお、装置Aについて実験した時の水温は21.9℃であり、装置Bについて実験した時の水温は21.2℃であった。
【0018】
実験の結果、装置Aでは、水の吐出量が25.9リットル/分の場合、ホース12の長さが2m以上であれば、ホース12が左右に振られ、水の吐出量が23.8リットル/分の場合、ホース12の長さが3m以上であれば、ホース12が左右に振られて水槽1内の水を攪拌することが判った。また、装置Bでは、ホース12に浮きを取り付けた場合と取り付けなかった場合との双方で、ホース12の長さが3m以上であれば、ホース12が左右に振られて水槽1内の水を攪拌することが判った。
【0019】
即ち、1,2mのホース12は、短すぎて撓むことができないことにより、振られずに水槽1内の水を攪拌できないが、3m以上のホース12は、十分に撓むことができることにより、左右に振られて水槽1内の水を攪拌できることが判った。また、ホース12の長さが大きいほど、ホース12が広範囲に振れることが判った。
【0020】
また、ホース12は、浮きを取り付けて浮力を与えなくても、左右に振られて水槽1内の水を攪拌できることが判った。また、上記の散水用ゴムホースのように、上記の水中ポンプ用フレキシブルホースに比して細いことにより可撓性の高いホースほど、少ない吐出量で振らせることができることも判った。
【0021】
以上説明したように、本実施形態に係る流体攪拌装置10では、攪拌対象の流体中で、可撓性のホース12を吐出する流体の勢いで降らせることにより、攪拌対象の流体を攪拌する。この際、ホース12を波状に変形させながら左右に振らせることができ、広範囲に移動させることができるため、広範囲で群なく流体を攪拌できる。
【0022】
また、水中ポンプ14や水道に可撓性のホース12を接続するだけという安価な装置で流体を攪拌することができる。また、ホース12の自由長部12Cの長さを調整することにより、攪拌する範囲や振れる速度等を調整することができる。
【0023】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0024】
例えば、上記実施の形態では、浅瀬の水槽1内でホース12を左右に振らせて水槽1内の水を攪拌したが、それよりも深い槽内や海等でホース12を上下左右に振らせて槽内の水や海水等を攪拌してもよい。また、上記実施の形態では、水中ポンプ14でホース12に送水したが、動作確認実験での装置Aのようにホース12を水道に接続して水道からホース12に送水してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 水槽、10 流体攪拌装置、12 ホース、12A 吐出口、12B 固定点、12C 自由長部、12D 非自由長部、14 水中ポンプ、16 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌対象流体中に設置され、流体を吐出する可撓性のホースを備え、
前記ホースを、流体を吐出する勢いで振らせることにより前記攪拌対象流体を攪拌することを特徴とする流体攪拌装置。
【請求項2】
前記ホースは、ポンプ又は水道に接続されており、ポンプ又は水道から送出される水を吐出することを特徴とする請求項1に記載の流体攪拌装置。
【請求項3】
前記ホースは、吐出口から所定長さの位置で固定され、該位置から前記吐出口までの間が変形自在の自由長部となっている請求項1又は請求項2に記載の流体攪拌装置。
【請求項4】
攪拌対象流体中に可撓性のホースを設置し、該ホースから流体を吐出させ、該ホースを流体を吐出する勢いで振らせることにより前記攪拌対象流体を攪拌することを特徴とする流体攪拌方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−66854(P2013−66854A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207706(P2011−207706)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】