説明

流体案内接続部を形成するための取付具

【課題】 操作上確実に長期間漏れない、プラスチック製容器の開口部との接続を可能とする取付具を提供する。
【解決手段】 プラスチック製の容器の壁の開口部における、流体案内接続部を形成するための取付具において、特に作動油などの流体を受容する、特にタンクなどの容器は、容器のプラスチック製壁の開口部の縁上に埋め込まれており、かつ容器の外部から操作可能である締付け手段を備えている接続手段を有し、締付け手段によって取付具の接続部が接続要素に取り付けられうる、接続要素を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に作動液などの流体を受容しているタンクなどのプラスチック製の容器の壁における開口上で流体案内接続部を形成するための取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製タンクは、作動液を含むように流体システムにおいて広く使用されている。プラスチックは、比較的に簡単な構成の可能性があり、重量が小さく、耐腐食性があることで、特に掘削機やホイール・ローダなどの機械の流体システムにおいて広く使用されている。
【0003】
上記タンクは、通常、公知の回転成形又はブロー成形によって製造されており、例えば、ポリエチレン又はポリアミドプラスチックが、作動液用タンクなどの比較的に大きな容器のために使用されている。
【0004】
しかしながら、耐腐食性、低重量、成形の容易さなどの利点は、プラスチック製タンクの場合には、容器又はタンクのプラスチック製壁の開口部上で流体案内接続部を製造するのが困難となるという不利な点によって相殺されてしまう。プラスチック材料の物理的特性により、シール力及び温度効果の結果、開口領域で変形し、この変形により、高価なシール要素が使用されていても、プラスチック製タンクと追加の要素の間で漏れが生じてしまうという危険がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当業界のこの状態に基づいて、本発明の目的は、操作上確実に長期間漏れない、プラスチック製容器の開口部との接続を可能とする取付具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的が請求項1全体に記載された特徴を有している取付具によって実現される、本発明が特許請求されている。
【0007】
それにより、本発明の取付具により、容器の開口部を包囲しておりかつ容器のプラスチック壁の中に埋め込まれている接続要素を通した、接続要素の取付けのための締付け手段を備えている強化要素が利用可能である。締付け力、シール力、力(振動)及び熱的効果などの、接続部に作用する負荷は、プラスチック材料製の容器壁に直接的に作用するのでなく、強化要素を形成している接続要素に作用する。考慮される作用負荷に対して適切に選択された材料、好ましくは高い疲労強度及び熱的安定性の金属又はジュロプラスチック(duroplastic)製である、接続要素を埋め込むことにより、プラスチック材料製の容器壁が変形しないように確実に保護し、操作時に信頼性がありかつ漏れない接続部が保証されている。
【0008】
接続要素は、有利的には、プラスチック製容器の回転成形時において、成形処理時に容器の壁に成形される、差込み要素の形態としうる。
【0009】
容器の開口部が丸い場合には、接続要素は、好ましくは、その環状開口部が容器の開口部を包囲しておりかつこの開口部と整列されている、金属製環状要素として構成されている。環状要素は、射出成形、押し出し成形などで製造されるアルミ合金製とすることができ、好ましくは、環状要素が容器の外部に関連した側面上の水平な環状面を有するように構成されている。環状要素は、開口部を包囲している容器の壁の外側と面一としうる。代わりに、環状要素は、それがわずかに容器壁内で凹んでいるように、容器壁内に成形されうる。
【0010】
環状要素の、容器の内面に面している側面が、複数のポーチ状の凹所を有している場合、環状要素とプラスチック製の容器壁との特にきつい接続が得られる。環状要素が容器の回転成形時に差込み要素として成形される場合、ポーチ状凹所に入るプラスチック材料は、環状要素の、容器壁との鋸歯を形成しており、これに対応して、負荷に対して環状要素を良好に留める。
【0011】
環状要素は、例えば、各閉鎖要素を締め付けるための、フランジを取り付けるための締付け手段としての留めねじ用ボアを有しうる。
【0012】
好適には、複数のボアは、雌ねじ部を有している止まり穴として構成されており、かつ環状要素の周縁上で規則的な角距離で設けられている。
【0013】
本発明は、添付図面に示されている例示的実施例により以下に詳細に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、公知の回転成形処理(Schaab/Stoeckhert著「プラスチック機械操作者」第561〜564頁参照)による、比較的に大きな容器に適したプラスチック材料製のプラスチック製タンク1の形態の容器の上側の一部を示している。タンク開口は、回転成形処理で、上側面上に形成される。タンク上部フィルタの接続ヘッド7によって本実施例では示されている接続要素との漏れない流体案内のための取付具が、全体を参照番号5で示されており、かつプラスチック壁3の開口上にある。タンク上部フィルタのフィルタ要素9は、タンク1の内部に通じている開口を通して突出している。接続ヘッド7は、2つの留めねじ13によってタンク1上に取り付けられている締付フランジ11を有している。図1では2つの留めねじ13の1つのみが見えている。
【0015】
締付フランジ11を貫通している留めねじ13は、環状要素17として構成されている接続要素上に設けられている、雌ねじ部の付いた止まり穴15にねじ込まれる。環状要素17の詳細が図2〜6に示されている。本実施例ではアルミ合金製である環状要素17は、差込み要素としてタンク1の回転成形時に成形され、丸い環状開口19はタンクの開口を形成している。
【0016】
図2〜6において明瞭に見られるように、環状要素17は、タンク1のプラスチック壁3の外部と面一である、環状要素17の上側において、90°の角距離で離間されている4つの筒状ピン23のみによって遮断されている水平な環状面21を有している。これらのピンは、環状面21の上方に短い距離だけ突出しており、かつ周縁上に位置決めされており、これらピンは、また、環状要素17の周縁の上方に軸線方向に一定距離だけ突出している。図1に示すように、環状要素17上の4つの止まり穴15の中の2つのみが、留めねじ13との係合のために使用されている。
【0017】
図4〜6において最も明瞭に見られるように、ポーチ状の複数の凹所25は、環状要素17の下側において形成されている。これらの凹所25の全ては図5及び6において番号で識別されていない。各凹所25は、水平な底部27(図4参照)を有しており、環状要素17の、軸線方向に測定された厚さの4分の3より大きい一定深さを有している。図5において最もよく見られるように、これら凹所25は、環状要素の凹んでいない外縁部と環状要素の凹んでいる内縁部との間において、ほぼ中央において連続して位置決めされている。止まり穴15のピン23の領域内に位置する凹所の領域以外では、これら凹所25は、外形がほぼ三角形状であり、リブ29の形態である環状要素17の凹んでいない領域が隣接する凹所25間にあるように連続して配置されている。リブ29は、環状開口19と、環状要素17の周縁との間で延びており、連続したリブ29は、互いに対角に反対に延びている。
【0018】
環状要素17と接続要素との間でシールするために、環状要素17の環状開口19とピン23の間の領域における水平な環状面21は、例えば、軸線方向シールに隣接しているシール面として設けられている。図1に示されている例では、環状要素17と接続ヘッド7の締付フランジ11との間のシールは、締付フランジ11と環状要素17の環状開口19の内側との間における放射状シール(図示せず)によって行われる。
【0019】
図7に示されているように、環状要素17は、環状面21がタンク壁3の外側と面一であるようにタンク壁3内に成形される必要がない。環状要素17は、タンク壁3内に埋め込まれうる。図7に示すように、止まり穴15を有するピン13の上側は、タンク壁3の外側と面一となりうる。図7がさらに示すように、環状要素17の外側は、プラスチック材料製のタンク壁3内で全体的に包囲されており、このプラスチック材料は、さらに、凹所25を貫通している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】いわゆるタンク上部フィルタ用の接続部を形成している、本発明について特許請求された例示的実施例の取付具を有している、プラスチック製タンクの上側の一部分の、ダイヤグラムの形態の、分離されたやや簡略化された斜視図である。
【図2】図1において示される、本発明について特許請求された例示的実施例の取付具の環状要素の上面図を示している。
【図3】図2における切断線III−IIIに対応する断面図を示している。
【図4】図2における切断線IV−IVに対応する断面図を示している。
【図5】図2に示す環状要素の底面図である。
【図6】やや比較的に小さな尺度で描かれている、図5に示す環状要素の底部への視線における斜視図を示している。
【図7】タンク壁内に凹んでいる成形された環状要素を有している、プラスチック製タンクの上側の一部分の分離された拡大断面図を示している。
【符号の説明】
【0021】
1 容器
3 壁
5 取付具
15 締付け手段
17 接続要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の容器(1)の壁(3)の開口部における、流体案内接続部を形成するための取付具(5)において、
特に作動油などの流体を受容する、特にタンクなどの容器(1)は、前記容器(1)の前記プラスチック製壁(3)の前記開口部の縁上に埋め込まれており、かつ前記容器(1)の外部から操作可能である締付け手段(15)を備えている接続手段(17)を有し、前記締付け手段(15)によって前記取付具(5)の接続部(11)が前記接続要素(17)に取り付けられうる、接続要素(17)を有している、取付具。
【請求項2】
前記接続要素(17)は、前記プラスチック製容器(1)の回転成形時において、成形処理時に成形された前記容器(1)の前記壁(3)内に成形される、差込み要素の形態である、請求項1に記載の取付具。
【請求項3】
前記接続要素は、金属製環状要素(17)として構成されており、前記金属製環状要素(17)の環状開口部(19)が、前記容器(1)の前記開口部を包囲しておりかつ前記開口部と整列している、請求項1又は2に記載の取付具。
【請求項4】
前記環状要素(17)は、前記容器の外部に関連した側において、水平な環状面(21)を有している、請求項3に記載の取付具。
【請求項5】
前記環状面(21)は、前記開口部を包囲している前記容器(1)の前記壁(3)と少なくともほぼ面一である、請求項4に記載の取付具。
【請求項6】
前記環状要素(17)の、前記容器(1)の内部に面している側面は、複数のポーチ状凹所(25)を有している、請求項3〜5のいずれか1項に記載の取付具。
【請求項7】
前記環状要素(17)の前記水平な環状面(21)の一部分が、好ましくは、前記接続部(11)と反対のシールを形成するための、シール要素の取付のためのシール面として構成されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の取付具。
【請求項8】
前記環状要素(17)は、前記接続部(11)の締付けフランジを取り付けるための締付け手段としての、複数の留めねじ(13)用ボア(15)を有している、請求項3〜7のいずれか1項に記載の取付具。
【請求項9】
前記複数のボアは、雌ねじ部の付いた止まり穴(15)として構成されており、かつ前記環状要素(17)の周縁にわたって規則的な角距離で分布している、請求項8に記載の取付具。
【請求項10】
前記止まり穴(15)は、前記環状要素(17)から軸線方向に突出している複数の筒状ピン(23)として構成されている、請求項9に記載の取付具。
【請求項11】
前記ポーチ状凹所(25)の深さは、前記環状要素の軸線方向厚さの少なくとも4分の3を構成している、請求項6〜10のいずれか1項に記載の取付具。
【請求項12】
前記ポーチ状凹所(25)の少なくとも比較的に大きい部分はほぼ三角形状であり、前記環状要素(17)上の複数の前記凹所(25)は、リブの形態である凹んでいない領域が前記環状要素(17)の隣接した領域の間に形成され、かつ連続した複数のリブ(29)が互いに関して対角方向に反対に延びているように、連続して位置決めされている、請求項11に記載の取付具。
【請求項13】
前記ポーチ状凹所(25)の前記領域は、前記環状要素(17)の凹んでいない外縁部と前記環状要素(17)の凹んでいない内縁部との間で中央に位置決めされている、請求項12に記載の取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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