説明

流体機器ユニット構造

【課題】複数の流体機器類を集積させて一体化した流体機器ユニット構造において、薬液などの滞留を抑制することができる流体機器ユニット構造を提供する。
【解決手段】流路43を介して接続される複数の流体機器類2,3と、複数の流体機器類2,3が集積して配置されるベース部材4と、ベース部材4の内部に配置された被締結部6と、少なくとも流体機器類3を貫通して被締結部6と締結されことにより、ベース部材4との間で流体機器類3を挟持する締結部材と、が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブや圧力スイッチ等の流体機器類を一体化した流体機器ユニット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬品等の流体を取り扱う装置においては、構成要素となる各種の流体機器類(バルブ類、レギュレータ、圧力センサ等の各種センサ類及び圧力スイッチ等の各種スイッチ類など)を配管で接続して一体化した構成とされている。
例えば、半導体製造装置のように複数の薬液用流体機器類を使用する場合、配管を用いることなく薬液用流体機器類どうしの連結を可能とする構造が提案されており、配管が不要になることから、装置全体のコンパクト化が可能とされている。
【0003】
さらに、近年においては、部品取付スペースが小さくなって装置の小型化に有効なフットプリント(平面視の投影面積)の低減、装置の信頼性やメンテナンスの簡略化に有効なリークポイントの削減、及び流体の有効使用を可能にするデッドボリュームの低減等を目的とし、複数の流体機器類を集積させて一体化した流体機器ユニット構造の開発が望まれている。
そこで、複数の流体機器類を集積させて一体化してフットプリントを低減した流体機器ユニット構造も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−263356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の発明では、各種の流体機器類は、流体機器類およびベース部材に形成された貫通孔に挿通されたボルトによりベース部材に固定されていたため、製造上または空間上の制約により、流体機器ユニット構造の内部に斜めに延びる流路が形成されていた。このような斜めの流路では内部を流れる薬液が滞留しやすく、いわゆる液溜りになるおそれがあるという問題があった。
例えば、スラリ状の薬液は滞留すると凝固しやすいため、上述の液溜りにおいて凝固するおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複数の流体機器類を集積させて一体化した流体機器ユニット構造において、薬液などの滞留を抑制することができる流体機器ユニット構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の流体機器ユニット構造は、流路を介して接続される複数の流体機器類と、該複数の流体機器類が集積して配置されるベース部材と、該ベース部材の内部に配置された被締結部と、少なくとも前記流体機器類を貫通して前記被締結部と締結されことにより、前記ベース部材との間で前記流体機器類を挟持する締結部材と、が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ベース部材の内部に配置された被締結部を用いて、流体機器類をベース部材に固定することにより、流体機器ユニット構造の内部に形成される流路の自由度が高くなり、流路内を流れる薬液等が滞留するおそれのある傾斜流路などの形成が抑制される。
【0009】
つまり、流体機器類およびベース部材に形成された貫通孔および貫通孔に挿通されるボルトを用いて流体機器類をベース部材に固定する方法では、貫通孔およびボルトが占める空間が広く、かつ、配置位置の制約が厳しいのに対して、被締結部を用いて流体機器類をベース部材に固定する方法では、締結部および被締結部が占める空間が狭く、かつ、配置位置の自由度が高い。そのため、複数の流体機器類を接続する流路の配置位置の自由度も高くなり、上述の薬液等が滞留するおそれのある傾斜流路などの形成を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の流体機器ユニット構造によれば、ベース部材の内部に配置された被締結部を用いて、流体機器類をベース部材に固定することにより、流体機器ユニット構造の内部に形成される流路の自由度が高くなるため、複数の流体機器類を集積させて一体化した流体機器ユニット構造において、薬液などの滞留を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る流体機器ユニットの構成の概略を説明する断面図である。
【図2】図1の流体機器ユニットの構成を説明するA−A断面視図である。
【図3】図1および図2における配置部およびプレートの構成を説明するB−B断面視図である。
【図4】図3のボルトおよびプレートの構成を説明するC−C断面視図である。
【図5】図3のボルトおよびプレートの構成を説明するD−D断面視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る流体機器ユニットの全体構成を説明する側面視図である。
【図7】図6の流体機器ユニットの構成を説明する上面視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る流体機器ユニットの全体構成を説明する側面視図である。
【図9】図8の流体機器ユニットの構成を説明する上面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る流体機器ユニットついて図1から図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る流体機器ユニットの構成の概略を説明する断面図である。図2は、図1の流体機器ユニットの構成を説明するA−A断面視図である。
流体機器ユニット1は、図1および図2に示すように、空気圧操作弁(流体機器類)2および逆止弁(流体機器類)3をベース部材4に集積して一体化したものである。
【0013】
本実施形態では、流体機器ユニット1にそれぞれ一つの空気圧操作弁2および逆止弁3が集積された例に適用して説明するが、流体機器ユニット1に集積される空気圧操作弁2などの流体機器類の数は、本実施形態のように2つであってもよいし、それ以上であってもよく、特に限定するものではない。
さらに、本実施形態では、主要部が耐薬品性を有するフッ素樹脂などから形成されている例に適用して説明する。
【0014】
流体機器ユニット1には、図1および図2に示す空気圧操作弁2および逆止弁3が固定されるベース部材4およびベース5と、薬液などの流れを制御する空気圧操作弁2と、薬液などの流れを一方向に規制する逆止弁3と、ベース部材4の内部に配置されたプレート(被締結部)6と、図4および図5に示すプレート6とともに逆止弁3をベース部材4に固定するボルト(締結部)7と、が設けられている。
【0015】
ベース部材4は、ベース5とともに空気圧操作弁2や逆止弁3が集積される部材であって、耐薬品性を有するフッ素樹脂などから形成されたものである。
ベース部材4には、空気圧操作弁2が設置される第1設置面41と、逆止弁3が設置される第2設置面42と、第1設置面41および第2設置面42との間を繋ぐ接続流路(流路)43と、第1設置面41と流出部4Bとを繋ぐ流出流路44と、プレート6が配置される空間である配置部45と、が設けられている。
【0016】
第1設置面41は空気圧操作弁2が設置される部分であって、空気圧操作弁2とともに薬液などの流体機器ユニット1の通過を制御するものである。第1設置面41は、図1に示すように、ベース部材4の上面(図1の上側の面)を掘り下げるようにして形成された低い段の設置面である。
第1設置面41には、空気圧操作弁2の弁体22を収納する円柱状空間46が形成されている。円柱状空間46には、下方から接続流路43が接続され、斜め下方から流出流路44が接続されている。
【0017】
第2設置面42は逆止弁3が設置される部分であって、逆止弁3とともに流体機器ユニット1を通過する薬液などの流れの向きを一方向に規制するものである。第2設置面42は、図1および図2に示すように、ベース部材4の側面であって、流出部4Bが設けられた面と反対側の面(図1の左側の側面)を掘り下げるようにして形成された低い段の設置面である。
第2設置面42には、逆止弁3の弁体32およびスプリング33を収納する円柱状空間47が形成されている。円柱状空間47には、第1設置面41側から接続流路43が接続されている。
【0018】
接続流路43は、第1設置面41と第2設置面42とを接続する流路であって、逆止弁3を通過した薬液などを空気圧操作弁2に導く流路である。
接続流路43は、第2設置面42から第1設置面41に向かって略水平に延び、第1設置面41の下方において略垂直方向に向きを変えて延びる流路である。
【0019】
流出流路44は、第1設置面41と流出部4Bとを接続する流路であって、空気圧操作弁2を通過した薬液などを流出部4Bに導く流路である。
【0020】
図3は、図1および図2における配置部およびプレートの構成を説明するB−B断面視図である。
配置部45は内部にプレート6が配置される空間であって、図1および図2に示すように、ベース部材4の中央部、より具体的には、ベース部材4における第1設置面41および第2設置面42の間に形成された空間である。
配置部45は、ベース部材4におけるベース5と対向する面に開口するとともに、接続流路43と直交方向に延びる溝状部48と、当該溝状部48の両端から第1設置面41側に延びる一対の穴部49と、から略U字状に構成されている。
【0021】
そのため、ベース部材4からベース5を取り外すと配置部45は、外部に開口した空間となり、配置部45の内部に容易にプレート6を配置することができる。一方、ベース部材4にベース5を取り付けると配置部45は、外部から隔離された空間とすることができる。さらに、溝状部48をコーキング材71で埋めることにより、配置部45をより確実に外部から隔離することができる。言い換えると、プレート6を外部雰囲気から確実に隔離することができる。
なお、コーキング材71としては、シリコンなどの耐薬品性を有するコーキング材を例示することができる。
【0022】
ベース5は、図1および図2に示すように、ベース部材4とともにベース部材4の内部に配置部45を形成する部材である。より具体的には、ベース5は、ベース部材4の下面(図1の下側の面)に取り付けられる板状の部材であって、ベース部材4に取り付けられることにより、配置部45の開口を塞ぐものである。
【0023】
空気圧操作弁2は、図1に示すように、ベース部材4に取り付けられ、第1設置面41とともに薬液などの流体機器ユニット1の通過を制御するものである。
空気圧操作弁2には、空気圧操作弁2の外形を構成するケーシング21と、円柱状空間46とともに薬液などの流れを制御する弁体22、ダイヤフラムDfおよびアクチュエータAcと、が設けられている。
【0024】
ケーシング21は、図1に示すように、第1設置面41に取り付けられるとともに、内部にアクチュエータAcを収納するものである。
【0025】
弁体22は円柱状空間46内に配置され、接続流路43から流出流路44に流入する薬液などの流れを制御する耐薬品性を有するフッ素樹脂などから形成された略円柱状の部材である。
さらに、弁体22は、その下端が接続流路43における円柱状空間46への開口部と当接離間可能に配置され、かつ、上端がアクチュエータAcと接続されている。
【0026】
ダイヤフラムDfは、図1に示すように、弁体22の側面から径方向外側に延びる耐薬品性を有するフッ素樹脂などから形成された円板状の部材であって、ケーシング21と第1設置面41との間に配置されるものである。ダイヤフラムDfをケーシング21と第1設置面41との間に配置することにより、円柱状空間46と外部とを隔離する(シールする)とともに、弁体22を移動可能とすることができる。
【0027】
アクチュエータAcは、図1に示すように、弁体22を駆動制御するものである。本実施形態では、外部から空気圧の供給を受けて駆動されるアクチュエータの例に適用して説明する。
【0028】
逆止弁3は、図1および図2に示すように、ベース部材4に取り付けられ、第2設置面42とともに流体機器ユニット1を通過する薬液などの流れの向きを一方向に規制するものである。
逆止弁3には、逆止弁3の外形を構成するケーシング31と、第2設置面42とともに流体機器ユニット1を通過する薬液などの流れの向きを一方向に規制する弁体32およびスプリング33と、が設けられている。
【0029】
ケーシング31は、図1および図2に示すように、第2設置面42に取り付けられるとともに、内部に弁体32を収納する耐薬品性を有するフッ素樹脂などから形成された円筒状の部材である。
ケーシング31には、薬液などが流入する流入部4Aと、流入部4Aと連通するとともに弁体32が収納される弁体収納部34と、弁体収納部34の側面に開口する流体出口35と、が設けられている。
【0030】
弁体32は、図1および図2に示すように、弁体収納部34および円柱状空間47の内部に配置され、流体機器ユニット1を通過する薬液などの流れの向きを一方向に規制する耐薬品性を有するフッ素樹脂などから形成された有底円筒状の部材である。
弁体32は、流入部4Aにおける弁体収納部34への開口部と当接離間可能に配置され、かつ、スプリング33により流入部4A側へ付勢されるものである。
【0031】
スプリング33は、図1および図2に示すように、弁体32を流入部4A側に付勢する弾性部材である。スプリング33は弁体32の内部と円柱状空間47との間に形成された空間に配置され、一方の端部は円柱状空間47の端部に当接され、他方の端部は弁体32の内部の端面に当接されている。
なお、スプリング33は耐薬品性を有し、かつ、弾性を有する材料から形成されている。
【0032】
プレート6は、図1から図3に示すように、ボルト7とともに逆止弁3をベース部材4に固定する略U字状に形成された板状の部材である。
プレート6には、図3に示すように、ボルト7が噛み合わされる雌ネジ61が形成されている。本実施形態では、4箇所に雌ネジ61が形成されている例に適用して説明するが、雌ネジ61の数は、4箇所よりも多くてもよいし、少なくてもよく、特に限定するものではない。
【0033】
プレート6としては、例えばステンレス鋼をポリ4フッ化エチレン(テフロン(登録商標))でコーティングしたものを用いることができるが、特にこれに限定するものではない。
【0034】
図4は、図3のボルトおよびプレートの構成を説明するC−C断面視図である。図5は、図3のボルトおよびプレートの構成を説明するD−D断面視図である。
ボルト7は、プレート6とともに逆止弁3をベース部材4に固定するものである。具体的には、ボルト7は、逆止弁3のケーシング31およびベース部材4に形成された貫通孔に挿通され、プレート6の雌ネジ61と噛み合わされることにより、逆止弁3をベース部材4に固定するものである。
【0035】
次に、上記の構成からなる流体機器ユニット1における動作について説明する。
流体機器ユニット1では、図1に示すように、空気圧操作弁2により薬液などの流れが制御される。
具体的には、薬液などを流す場合には、空気圧操作弁2のアクチュエータAcにより弁体22が上方に駆動され、接続流路43と円柱状空間46とが連通される。
【0036】
これにより、薬液などは、流入部4Aから流入し、逆止弁3の弁体32をベース部材4側の押し退け流体出口35に流入する。流体出口35に流入した薬液などは、弁体首脳部34および円柱状空間47を介して、接続流路43、空気圧操作弁2の円柱状空間46、流出流路44の順に流れ、流出部4Bから流体機器ユニット1の外部へ流出する。
【0037】
一方、薬液などの流れを遮断する場合には、アクチュエータAcにより弁体22が下方に駆動され、接続流路43と円柱状空間46とが遮断される。これにより、流入部4Aから流出部4Bへの薬液などの流れが遮断される。
【0038】
次に、本実施形態の特徴である流体機器ユニット1の製造方法について説明する。
流体機器ユニット1を製造する場合には、まず、ベース部材4、空気圧操作弁2、および、逆止弁3などが別々に製造され、ベース部材4に空気圧操作弁2や逆止弁3などが取り付けられる。
【0039】
逆止弁3をベース部材4に取り付ける場合には、図1から図3に示すように、ベース部材4の配置部45にプレート6が挿入され、逆止弁3が第2設置面42に配置される。
本実施形態ではプレート6が、ベース部材4の下面から上方へ挿入される例に適用して説明しているが、プレート6を上側から下側に向けて挿入する例であってもよいし、プレート6を左右方向に挿入する例であってもよく、特に限定するものではない。
【0040】
その後、図4および図5に示すように、逆止弁3のケーシング31およびベース部材4の貫通孔にボルト7が挿通され、ボルト7の端部がプレート6の雌ネジ61に噛み合わされる。このボルト7を締め上げることにより、逆止弁3がベース部材4に確実に固定される。
【0041】
そして、配置部45の開口部(図3参照。)、および、ケーシング31におけるボルト7が挿通された貫通孔(図4および図5参照。)にコーキング材71が充填される。さらに、ベース部材4の下面にベース5が取り付けられる。
なお、空気圧操作弁2のベース部材4への取り付け方法は、従来の取り付け方法と同様であるため、その説明を省略する。
【0042】
上記の構成によれば、ベース部材4の内部に配置されたプレート6を用いて、逆止弁3をベース部材4に固定することにより、流体機器ユニット1の内部に形成される接続流路43などの自由度が高くなり、内部を流れる薬液等が滞留するおそれのある傾斜流路などの形成が抑制される。そのため、複数の流体機器類を集積させて一体化した流体機器ユニット1において、薬液などの滞留を抑制することができる。
【0043】
つまり、逆止弁3およびベース部材4に形成された貫通孔および貫通孔に挿通されるボルト7を用いて逆止弁3をベース部材4に固定する方法では、貫通孔およびボルト7が占める空間が広く、かつ、配置位置の制約が厳しいのに対して、プレート6を用いて逆止弁3をベース部材4に固定する方法では、ボルト7およびプレート6が占める空間が狭く、かつ、配置位置の自由度が高い。そのため、逆止弁3などの複数の流体機器類を接続する流路の配置位置の自由度も高くなり、上述の薬液等が滞留するおそれのある傾斜流路などの形成を抑制することができる。
【0044】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図6および図7を参照して説明する。
本実施形態の流体機器ユニットの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、空気圧操作弁および逆止弁の配置位置が異なっている。よって、本実施形態においては、図6および図7を用いて逆止弁の周辺構成を説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る流体機器ユニットの全体構成を説明する側面視図である。図7は、図6の流体機器ユニットの構成を説明する上面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
本実施形態の流体機器ユニット101は、図6および図7に示すように、ベース部材104における薬液などが流入する上流側に空気圧操作弁2を、薬液などが流出する下流側に逆止弁103を集積して一体化したものである。
【0046】
ベース部材104には、空気圧操作弁2および逆止弁103との間を繋ぐ接続流路43と、プレート6が配置される空間である配置部45と、逆止弁103の弁体32が収納される弁体収納部34と、弁体収納部34の側面に開口する流体出口35と、が設けられている。
逆止弁103には、逆止弁103の外形を構成するケーシング131と、流体機器ユニット1を通過する薬液などの流れの向きを一方向に規制する弁体32およびスプリング33と、が設けられている。
【0047】
ケーシング131は、図6および図7に示すように、内部に弁体32を収納する耐薬品性を有するフッ素樹脂などから形成された円筒状の部材である。
ケーシング131には、薬液などが流出する流出部4Bと、流出部4Bと連通するとともに弁体32が収納される弁体収納部(図示せず)と、が設けられている。
【0048】
次に、本実施形態の特徴である流体機器ユニット101の製造方法について説明する。
流体機器ユニット101を製造する場合には、第1の実施形態と同様に、ベース部材104、空気圧操作弁2、および、逆止弁103などが別々に製造され、ベース部材104に空気圧操作弁2や逆止弁103などが取り付けられる。
【0049】
逆止弁103をベース部材4に取り付ける場合には、図6および図7に示すように、ベース部材104の配置部45にプレート6が挿入され、逆止弁103がベース部材104に配置される。
【0050】
具体的には、逆止弁103の弁体32が、ベース部材104の弁体収納部34に収納され、弁体32とケーシング131との間にスプリング33が配置される。その後、ボルト7をプレート6に噛み合わせることにより(図4および図5参照。)ケーシング131がベース部材104に固定される。
【0051】
上記の構成によれば、本実施形態の流体機器ユニット101のように、薬液などの流出側に逆止弁103が配置される構成であっても、プレート6を用いて逆止弁103をベース部材104に取り付けることができる。そのため、流体機器ユニット101の内部に形成される接続流路43などの自由度が高くなり、複数の流体機器類を集積させて一体化した流体機器ユニット101において、薬液などの滞留を抑制することができる。
【0052】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図8および図9を参照して説明する。
本実施形態の流体機器ユニットの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、集積されている空気圧操作弁の数、および、圧力センサが設けられている点が異なっている。よって、本実施形態においては、図8および図9を用いて空気圧操作弁および圧力センサ周辺の構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図8は、本実施形態に係る流体機器ユニットの全体構成を説明する側面視図である。図9は、図8の流体機器ユニットの構成を説明する上面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
本実施形態の流体機器ユニット201は、図8および図9に示すように、ベース部材204における薬液などが流入する上流側に薬液などの圧力を計測する圧力センサ(流体機器類)203と、圧力センサ203の下流側に配置された空気圧操作弁(流体機器類)202Aおよび空気圧操作弁(流体機器類)202Bを集積して一体化したものである。
【0054】
ベース部材204は、略L字状に形成された部材であって、一方の端部に流入部4Aが形成され、他方の端部に流出部4Bが形成された部材である。
ベース部材204における一方の端部の上面(図8の上側の面)には圧力センサ203が取り付けられ、他方の端部の上面には空気圧操作弁202Bが取り付けられている。一方で、ベース部材204における圧力センサ203と空気圧操作弁202Bとの間の側面(図8の左側の側面)には、空気圧操作弁202Aが取り付けられている。
【0055】
ベース部材204の内部には、圧力センサ203と空気圧操作弁202Aとの間を繋ぐ接続流路43Aと、空気圧操作弁202Aと空気圧操作弁202Bとの間を繋ぐ接続流路43Bと、プレート6が配置される空間である配置部45と、空気圧操作弁202Aの弁体22Aが収納される円柱状空間46Aと、空気圧操作弁202Bの弁体(図示せず)が収納される円柱状空間(図示せず)と、が設けられている。
【0056】
配置部45は、図8および図9に示すように、ベース部材204における空気圧操作弁202Aと空気圧操作弁202Bとの間に形成された空間である。
圧力センサ203は、流体機器ユニット201に流入した薬液などの圧力を測定するセンサであって、公知のセンサを用いることができる。
【0057】
次に、本実施形態の特徴である流体機器ユニット201の製造方法について説明する。
流体機器ユニット201を製造する場合には、第1の実施形態と同様に、ベース部材204、空気圧操作弁202A,202B、および、圧力センサ203などが別々に製造され、ベース部材204に空気圧操作弁202A,202Bや圧力センサ203などが取り付けられる。
【0058】
空気圧操作弁202Bをベース部材204に取り付ける場合には、図8および図9に示すように、ベース部材204の配置部45にプレート6が挿入され、空気圧操作弁202Bがベース部材204に配置される。
具体的には、ボルト7をプレート6に噛み合わせることにより(図4および図5参照。)空気圧操作弁202Bがベース部材204に固定される。
【0059】
上記の構成によれば、本実施形態の流体機器ユニット201のように、圧力センサ203と空気圧操作弁202Bとの間に空気圧操作弁202Aが配置される場合であっても、プレート6を用いて空気圧操作弁202Aをベース部材204に取り付けることができる。そのため、流体機器ユニット201の内部に形成される接続流路43などの自由度が高くなり、複数の流体機器類を集積させて一体化した流体機器ユニット201において、薬液などの滞留を抑制することができる。
【0060】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,101,201 流体機器ユニット
2 空気圧操作弁(流体機器類)
3,103 逆止弁(流体機器類)
4,104,204 ベース部材
6 プレート(被締結部)
7 ボルト(締結部)
43,43A,43B 接続流路(流路)
203 圧力センサ(流体機器類)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を介して接続される複数の流体機器類と、
該複数の流体機器類が集積して配置されるベース部材と、
該ベース部材の内部に配置された被締結部と、
少なくとも前記流体機器類を貫通して前記被締結部と締結されことにより、前記ベース部材との間で前記流体機器類を挟持する締結部材と、
が設けられていることを特徴とする流体機器ユニット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−97879(P2012−97879A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248390(P2010−248390)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】