流体濾過物品とその作製方法及び使用方法
複合不織繊維ウェブを含む流体濾過物品、並びに気体又は液体の濾過要素としてのそのような物品を作製、及び使用する方法。この物品は、第1層として形成され、少なくとも1マイクロメートル(μm)の集団メジアン径を有する粗大マイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細繊維の集団と、を含む。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。一実施例では、これら粗大マイクロ繊維及び微細繊維はポリマーであり、粗大マイクロ繊維は、少なくとも10μmの集団メジアン径を有し、微細繊維は、10μm未満の集団メジアン径を有する。別の実施例では、微細繊維の集団は、1μm未満の集団メジアン径を有する。必要に応じて、第1層及び第2層の一方又は両方は、微粒子を含んでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年12月31日に出願された米国特許仮出願第61/017,994号の利益を主張し、その開示内容の全体を参照することにより本明細書に援用する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、流体濾過物品並びにそのような物品の作製方法及び使用方法に関する。本開示は更に、サブマイクロメートル繊維及びマイクロ繊維のような微細繊維を含み、流体濾過物品に有用である複合不織繊維ウェブに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、家庭用の水濾過及び呼吸器に使用されるような、数多くの種類の流体濾過システムが市販されている。こうした流体濾過システムの濾過媒体として、不織繊維ウェブが頻繁に用いられる。そのような不織繊維ウェブは、2種類以上の繊維、例えば、それぞれが異なる平均直径を有する、2つの異なるマイクロ繊維の集団を含む場合があるため、そうした不織繊維ウェブは広範囲の寸法の粒子を濾過することができる。通常、繊維の異なる集団が単一層のウェブ内で相互に混合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
濾過媒体として有用な多層不織繊維ウェブの一実施例が米国特許出願公開第2004/0035095号(Healey)に記載されている。多層不織繊維ウェブの別の実施例が、スパンボンド繊維の層、メルトブローンマイクロ繊維の層、及び別のスパンボンド繊維の層を含む、いわゆるSMS(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド)ウェブにより提供されている。濾過媒体として有用ないくつかの不織繊維ウェブでは、活性炭のような収着剤微粒子をウェブ内部に組み込むことが有利であると認められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
小型の流体濾過システム、例えば、家庭用の水濾過システムの供給に対する要望は絶えることがない。流体濾過物品を形成する工程中に、濾過媒体として有用な不繊繊維ウェブの劣化又は損傷を最低限に抑えることが、更に望まれている。吸収剤及び/又は吸着剤微粒子のような活性微粒子を高い配合量で有しながら、水濾過システムを通じた圧力損失を増大させることのない、流体濾過物品を提供することも必要とされている。繊維マトリックス内に微粒子を効果的に保持することにより、透過流体への粒子の溶出を防止する、微粒子配合不織繊維ウェブを提供することも望まれている。加えて、改善された耐用期間及び濾過効力を有する流体濾過物品を供給することが引き続き必要とされている。
【0006】
一態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1マイクロメートル(μm)の集団メジアン径を有する粗大マイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細繊維の集団と、を含む、複合不織繊維ウェブの形態を取る物品に関する。これら繊維集団の少なくとも一方は配向されていてもよい。
【0007】
例示的な一実施形態では、粗大マイクロ繊維及び微細繊維はポリマーであり、この粗大マイクロ繊維の集団は少なくとも1μmの集団メジアン径を有し、微細繊維の集団は、10μm未満の集団メジアン径を有する。他の代表的な実施形態では、微細繊維の集団は、1μm未満の集団メジアン径を有する。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。特定の実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は、複数個の微粒子を含む。
【0008】
別の態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1μmのメジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満のメジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、を更に含む、複合不織繊維ウェブを含む、流体濾過媒体に関する。これら繊維集団の少なくとも一方は配向されていてもよい。特定の代表的な実施形態では、少なくとも第1層は、複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0009】
追加的な態様において、本開示は、上述の流体濾過媒体の使用方法に関し、この方法は、透過流体を第1層及び第2層に通過させことであって、透過流体は、第2層を通過する前に第1層を通過することを含む。他の代表的な実施形態では、第2層は、ひだが付けられており、透過流体は、第1層を通過する前に第2層を通過する。
【0010】
更なる態様において、本開示は、複合不織繊維ウェブを含む流体濾過媒体の作製方法に関し、この方法は、少なくとも1μmの集団メジアン繊維径を有する粗大ポリマーマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、10μm未満の集団メジアン繊維径を有する微細ポリマーマイクロ繊維の集団を含む、第2層を形成する工程と、第1層及び第2層の一方又は両方を配向させる工程と、第1層を第2層に結合させる工程と、を含む。いくつかの代表的な実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子を含む。
【0011】
更に別の態様において、本開示は、少なくとも1μmのメジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、第1層に衝突させて第2層を形成する工程であって、この第2層は、1μm未満のメジアン繊維径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む、工程と、を更に含む、複合不織繊維ウェブを含む流体濾過媒体の作製方法に関し、これら繊維集団の少なくとも1つは配向されていてもよい。特定の例示的な実施形態では、少なくとも第1層は、複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0012】
更なる態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、第1及び第2層を包囲する流体不透過性のハウジングと、を含み、このハウジングは、第1層と流体連通する少なくとも1つの流体入口及び第2層と流体連通する少なくとも1つの流体出口を含む、流体濾過物品に関する。いくつかの例示的な実施形態では、流体は液体、例えば水であってもよい。例示的な他の実施形態では、流体は気体、例えば空気であってもよい。
【0013】
本開示の例示的な実施形態の種々の態様及び利点の概要がまとめられてきた。上記の概要は、本発明の図解された各実施形態、又は本発明のあらゆる実施を記載するものではない。以下の図面及び「発明を実施するための形態」により、本明細書に開示される原理を利用した特定の好ましい実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の例示的な実施形態を以下の添付の図を参照して更に説明する。
【図1A】流体濾過媒体を製造するための、例示的な多孔質の複合不織繊維ウェブの略図。
【図1B】流体濾過媒体を製造するための、例示的な多孔質の、粒子配合された複合不織繊維ウェブの略図。
【図2】流体濾過媒体を製造するための、例示的な多孔質の複合不織繊維ウェブ積み重ね体の概略図。
【図3】例示的な流体濾過物品で使用される、図2の例示的な多孔質の複合不織繊維ウェブ積み重ね体の概略図。
【図4】例示的な流体濾過物品で有用である、例示的な円筒状に巻かれた多孔質のウェブ積み重ね体の断面図。
【図5】流体濾過物品の例示の一実施形態として使用するために構成された、図4による例示の円筒状に巻かれた多孔質のウェブ積み重ね体の断面端面図。
【図6】流体濾過物品の別の例示の実施形態として使用するために構成された、図4による例示的な円筒状に巻かれた多孔質のウェブ積み重ね体の断面端面図。
【図7】本開示による例示的な流体濾過物品での透過容積に応じた濁度を示すグラフ。
【図8】本開示による例示的な流体濾過物品での透過容積に応じた濁度を示す別のグラフ。
【図9】本開示による例示的な流体濾過物品での透過容積に応じた濁度を示す追加的なグラフ。
【図10】本開示による例示的な流体濾過物品内の1つの層の走査電子顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語
本明細書で使用する用語を以下に定義する。
【0016】
「マイクロ繊維」とは、少なくとも1マイクロメートル(μm)のメジアン径を有する繊維を意味する。
【0017】
「粗大マイクロ繊維」とは、少なくとも10μmのメジアン径を有するマイクロ繊維を意味する。
【0018】
「微細マイクロ繊維」とは、10μm未満のメジアン径を有するマイクロ繊維を意味する。
【0019】
「超微細マイクロ繊維」とは、2μm以下のメジアン径を有するマイクロ繊維を意味する。
【0020】
「サブマイクロメートル繊維」とは、1μm未満のメジアン径を有する繊維を意味する。
【0021】
本明細書中で特定の種類のマイクロ繊維のバッチ、群、アレイ等の表現を用いる場合、例えば、(サブマイクロメートル繊維のアレイ)、そのアレイにおけるマイクロ繊維の集団全体か、又は単一のバッチのマイクロ繊維の集団全体を意味し、そのアレイ又はバッチの、サブマイクロメートル寸法の部分のみを意味するものではない。
【0022】
「配向された連続マイクロ繊維」とは、ダイから出て、処理ステーションを通り、そこで繊維が恒久的に引き延ばされ、繊維内のポリマー分子の少なくとも一部が繊維の長手方向軸に対して整列するように恒久的に配向される本質的に連続な繊維を意味する(繊維に関して使用される「配向された」とは、繊維のポリマー分子の少なくとも一部が繊維の長手方向軸に沿って整列していることを意味する)。
【0023】
「メルトブロー繊維」とは、溶融状態の繊維形成材料をダイのオリフィスを通じて高速の気体流の中に押し出すことによって製造される繊維を意味し、その際、押し出された材料は先ず細径化され次いで繊維の塊として固化する。
【0024】
「分離して調製されたマイクロ繊維」とは、マイクロ繊維流が最初はより大きい寸法のマイクロ繊維流から空間的に分離している(例えば、約25mm(1インチ)以上の距離をあけて)が、そのマイクロ繊維流に飛翔中に合流して分散するように位置決めされたマイクロ繊維形成装置(例、ダイ)から製造されるマイクロ繊維の流れを意味する。
【0025】
「不織布ウェブ」とは、繊維が絡まり合ったり、点固着していることを特徴とする繊維のウェブを意味する。
【0026】
「自己支持性がある」とは、実質的に破けたり破損することがなく、覆いやすく、かつ取り扱いやすい、十分な粘調度及び強度を有するウェブを意味する。
【0027】
「ウェブ坪量」は、10cm×10cmのウェブ試料の重量から算出される。
【0028】
「ウェブ厚さ」は、10cm×10cmのウェブ試料上に、テスターフットを有する厚さ試験測定器を用いて、5cm×12.5cmの寸法で150Paの圧力を印加して測定する。
【0029】
「嵩密度」とは、文献からの引用で、ウェブを組成する嵩ポリマー又はポリマーブレンドの単位容積当たりの質量である。
【0030】
「有効繊維直径」とは、室温で1気圧の空気を特定の厚さ及び前面速度(通常、5.3cm/秒)でウェブ試料に通過させて、対応する圧力損失を計測する空気透過試験に基づく、繊維ウェブの繊維の視直径である。計測された圧力損失を基に、Davies,C.N.,The Separation of Airborne Dust and Particles,Institution of Mechanical Engineers,London Proceedings,1B(1952)に記載のとおり有効繊維直径が算出される。
【0031】
「分子的に同一のポリマー」とは、本質的に同じ繰り返し分子単位を有するが、分子量、製造方法、市販形態等が異なる場合があるポリマーを意味する。
【0032】
「メルトブロー」及び「メルトブローン加工」とは、フィラメントを形成するために繊維形成材料を複数のオリフィスを通して押し出す一方で、空気又はその他の細径化するための流体と接触させてそれらフィラメントを微細化して繊維にし、更にその後、細径化された繊維の層を回収することにより、不織布ウェブを形成する方法を意味する。
【0033】
「フィラメントを細径化して繊維にする」という用語は、フィラメントのセグメントを、より長く、より小さな直径のセグメントに変化させることを意味する。
【0034】
「スパンボンド」及び「スパンボンド加工」とは、低粘度の溶融物を複数のオリフィスを通して押し出すことによりフィラメントを形成し、そのフィラメントの少なくとも表面を凝固するためにフィラメントを空気又はその他の流体で急冷して、少なくとも部分的に凝固したフィラメントを空気又はその他の流体と接触させフィラメントを繊維までに細径化し、細径化した繊維層を回収し、必要に応じてカレンダー加工する工程とにより不織布ウェブを形成する方法を意味する。
【0035】
「スパンボンド繊維」とは、スパンボンド加工を用いて作られた繊維を意味する。このような繊維は一般的に連続であり、かつ十分に絡んでいる又は点固着しているので、1つのスパンボンド繊維を完全な形でこのような繊維の塊から取り除くことは通常可能ではない。
【0036】
「ダイ」とは、ポリマー溶融加工及び繊維押し出し加工において使用される処理アセンブリを意味し、それらの工程にはメルトブロー及びスパンボンド加工が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
「粒子」及び「微粒子」は、実質上互換的に使用される。通常、粒子又は微粒子とは、微粉砕形態の材料の識別可能な小片又は個別部位を意味する。しかし、微粒子は、微粉砕形態の個別粒子が共に関連又は集積した総体を含んでもよい。したがって、本開示の特定の例示的な実施形態で使用される個別粒子は、凝集、物理的噛み合い、静電結合、又は他の結び付き方により微粒子を形成してもよい。特定の例において、個別粒子の凝集体の形態を取る微粒子は、米国特許第5,332,426号(Tang et al.)に記載されるように意図的に形成することもできる。
【0038】
「粒子配合メルトブロー媒体」又は「複合不織繊維ウェブ」とは、開放構造の絡まり合った繊維の塊を有する不織布ウェブを意味し、この繊維は、例えば、サブマイクロメートル繊維及び場合によってはマイクロ繊維であって、繊維間に捕捉された粒子を含み、これら粒子は場合によっては吸収剤及び/又は吸着剤である。
【0039】
「捕捉される」とは、粒子がウェブの繊維中に分散されて物理的に保持されていることを意味する。通常は、繊維及び粒子に沿って点接触及び線接触しているので、粒子のほぼ全ての表面積が流体との相互作用に利用できる。
【0040】
「自己結合」とは、点固着又はカレンダー加工のように固体接触圧力を印加することがなくとも、オーブン内又はスルーエア結合機で得られるような高温での繊維間の結合を意味する。
【0041】
「カレンダー加工」とは、例えば、ポリマー吸収剤配合のウェブのような製品をローラーに通して圧縮材料を得る工程を意味する。ローラーは所望により、加熱してもよい。
【0042】
「高密度化」とは、フィルター巻き取り軸又はマンドレルの上に直接又は間接的に堆積した繊維を、堆積前又は堆積後に圧縮し、そして意図的であれ、形成中のフィルター又は形成されたフィルターを取り扱ういくつかの工程の人為的結果としてであれ、より多孔性の低い領域を全般的に又は局所的に形成するように製造する工程を意味する。高密度化はまた、ウェブのカレンダー加工法を含む。
【0043】
「流体処理ユニット」、「流体濾過物品」、又は「流体濾過システム」とは、多孔質の複合不織繊維ウェブのような流体濾過媒体を含む物品を意味する。これらの物品は一般的に、流体濾過媒体のためのフィルターハウジング、及び処理された流体をこのフィルターハウジングから適切な方法で排出するための出口を含む。「流体濾過システム」という用語はまた、未処理の気体又は液体のような、未加工の流体を、処理済の流体から分離するいずれの関連方法をも含む。
【0044】
「空隙容積」とは、フィルターのような多孔質本体内における無充填スペースの百分率又は少数値を意味し、フィルターの重量及び体積を測定した後に、このフィルターの重量と、体積の等しい同一の構成材料からなる固体塊の理論上の重量とを比較することにより算出される。
【0045】
「多孔性」とは、材料中の空隙スペースの1つの尺度を意味する。孔及び空隙の寸法、頻度、数、及び/又は相互接続性が、材料の多孔性に影響する。
【0046】
「層」とは、2つの主表面の間に形成された単一の階層を意味する。例えば、ウェブの厚みを画定する第1及び第2主表面を有する単一ウェブ内に多数の階層を伴って形成される単一の階層のように、1つの層が、単一のウェブ内部に存在する場合がある。層はまた、例えば、ウェブの厚みを画定する第1及び第2主表面を有する第1ウェブに単一の階層があり、そのウェブが、第2ウェブの厚みを画定する第1及び第2主表面を有する第2ウェブにより上又は下から重ねられ、この場合、第1及び第2ウェブのそれぞれが少なくとも1つの層を形成するように、多数のウェブを含む複合物品で存在する場合もある。加えて、層は単一のウェブ内部及び、そのウェブと他の1つ以上のウェブとの間に同時に存在し、それぞれのウェブが1つの層を形成する場合もある。
【0047】
特定の第1層に関して「隣接する」とは、別の第2層に接合又は結合し、第1層及び第2層のそれぞれが隣り合って(すなわち、隣接して)、互いに直接的に接触するか、又は直接的な接触ではなく(すなわち、第1層と第2層との間に介在する、1つ以上の追加的な層がある)互いに接在する位置にあることを意味する。
【0048】
「微粒子密度勾配」、「吸着剤密度勾配」、及び「繊維集団密度勾配」とは、特定の繊維集団内での微粒子、収着剤、又は繊維材料の含量(例えば、ウェブの指定領域上の単位容積当たりの所定の材料の数、重量、又は容積)が、複合不織繊維ウェブ全体にわたって均一である必要はなく、ウェブの特定領域にはより多く、他の領域にはより少なく材料を提供するように変動し得ることを意味する。
【0049】
本開示の種々の例示的な実施形態が特に図を参照して、ここに説明されるであろう。本発明の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更形態を取ることができる。それ故に、本発明の実施形態は次に記載される実施形態に限定されるべきではなく、請求項及びそのいずれかの等価物に記載される限定によって制御されるべきであることは理解される必要がある。
【0050】
A.複合不織繊維ウェブ(流体濾過媒体及び物品)
一態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1マイクロメートル(μm)の集団メジアン径を有するマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細繊維の集団と、を含む、複合不織繊維ウェブの形態を取る物品を提供する。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。
【0051】
例示的な一実施形態では、粗大マイクロ繊維及び微細繊維はポリマーで、このマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団は、少なくとも1μmの集団メジアン径を有し、微細繊維の集団は、10μm未満の集団メジアン径を有する。例示的な別の実施形態では、微細繊維の集団は、1μm未満の集団メジアン径を有する。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。特定の実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子を含む。
【0052】
別の態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1μmのメジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満のメジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、を更に含む、複合不織繊維ウェブの形態を取る流体濾過媒体を提供する。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。特定の例示的な実施形態では、少なくとも第1層は、複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0053】
配向された繊維とは、繊維内に分子配向が存在する繊維である。完全に配向されたポリマー繊維及び部分的に配向されたポリマー繊維は、既知であり市販されている。繊維の配向は、複屈折、熱収縮、X線散乱、及び弾性率を含む多くの方法で測定可能である(例えば、Principles of Polymer Processing,Zehev Tadmor and Costas Gogos,John Wiley and Sons,New York,1979,pp.77〜84を参照されたい)。結晶及び非晶質材料の両者とも結晶化とは無関係の分子配向を示すことがあり得るため、分子配向は結晶性と区別される点に注目することが重要である。したがって、メルトブロー又は電界紡糸法により作られた市販の既知のサブマイクロメートル繊維が配向されていないとしても、それらの工程を使用して作られた繊維に分子配向を付与する既知の方法が存在する。しかしながら、Torobinにより説明された工程(例えば、米国特許第4,536,361号を参照のこと)が分子配向された繊維を製造することは明らかにされていない。
【0054】
図1Aを参照して、本開示の例示的な実施形態による流体濾過媒体を製造するための例示的な複合不織繊維物品の概略を説明する。複合不織繊維ウェブ10は、この第1層の上に微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含み得る第2層14によって重ねられた、マイクロ繊維の集団12を含む第1層を含む。マイクロ繊維の集団12は粗大マイクロ繊維であってもよい。粗大から微細までの繊維集団メジアン径の勾配は、ウェブ10の厚さTにわたって示される。しかしながら、他の勾配(図示せず)、例えば、ウェブの厚みにわたって微細から粗大までの繊維集団メジアン径の勾配を使用してもよいことを理解されたい。更なる例示的な実施形態では、微粒子濃度及び/又は微粒子寸法の勾配が一方又は両方の層の厚みにわたって、あるいは一方又は両方の層の厚みを通じて作り出されてもよい。
【0055】
追加的な実施形態では、必要に応じた支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)も、例示的な他の実施形態において含まれてもよい。別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例、マイクロ繊維)は、第2層(例、微細繊維)に重なってもよい。
【0056】
図1Bは、本開示の例示的な実施形態による流体濾過媒体を製造するための別の例示的な複合不織繊維物品の概略図である。複合不織布繊維ウェブ10は、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含み得る第2層によって重ねられた、マイクロ繊維の集団12を含む第1層を含む。マイクロ繊維の集団12は粗大マイクロ繊維であってもよい。複数個の微粒子16が第1層のマイクロ繊維12の間に分散している。粗大から微細までの繊維集団メジアン径の勾配は、ウェブ10の厚さTにわたって示される。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例、マイクロ繊維)は、第2層(例、微細繊維)に重なってもよい。必要に応じた支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)が、例示的な他の実施形態において含まれてもよい。
【0057】
図2は、本開示の例示的な実施形態による流体濾過媒体又は要素を製造するための別の例示的な複合不織繊維物品の概略図である。複合不織繊維要素24は、2つの個別の層を形成するために重ねられた2つのウェブを含む。図示の実施形態では、マイクロ繊維の集団12を含む第1層20は、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団14を含み得る第2層10’によって重ねられている。マイクロ繊維の集団12は、粗大マイクロ繊維であってもよい。複数個の微粒子16は、第1層20のマイクロ繊維の集団12の間に分散している。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層20(例、マイクロ繊維)は、第2層10’(例、微細繊維)に重なってもよい。他の実施形態(図示せず)では、追加的な上重ね又は下重ねするウェブにより、又は複合不織布物品10’の厚さTにわたって、繊維集団メジアン径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量あたりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば、高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を形成することにより、追加的な層が形成されてもよい。
【0058】
更なる態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有する集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、第1及び第2層を包囲する不透過性のハウジングと、を含み、このハウジングは、第1層と流体連通する少なくとも1つの流体入口及び第2層と流体連通する少なくとも1つの流体出口を含む、流体濾過物品に関する。いくつかの例示的な実施形態において、流体は液体、例えば、水であってもよい。例示的な他の実施形態において、流体は気体、例えば、空気であってもよい。
【0059】
図3は、例示的な積み重ねられた流体濾過物品28で用いられる、図2の例示的な多層複合不織繊維ウェブの概略図であり、例えば、流体は空気のような気体である。図3は気体濾過の観点から説明されるが、他の流体、例えば、液体(例えば、水)を使用してもよいことを理解されたい。
【0060】
図3は、例えば、呼吸器として有用となり得る例示的な流体(例えば、気体)濾過物品28の断面図を示す。図3で例示されるように、例示的な流体(例えば、気体)濾過物品28は、図2に示される複合不織繊維要素24を積み重ねた配置で使用する。複合不織繊維要素24は、2つの個別の層を形成するために重ねられた2つのウェブを含む。
【0061】
図示の実施形態では、マイクロ繊維の集団(図2の12)を含む第1層20は、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団(図2の14)を含み得る第2層10’によって重ねられ、隣接されている。マイクロ繊維の集団(図2の12)は粗大マイクロ繊維であってもよい。複数個の微粒子16は、第1層20内に分散している。別の一実施形態(図示せず)では、第1層20(例、マイクロ繊維)は、第2層10’(例えば、微細繊維)に重なって、隣接してもよい。(例えば、微細繊維)に重なって、隣接してもよい。他の実施形態(図示せず)では、追加的な隣接して上重ね若しくは下重ねするウェブにより、又は複合不織繊維要素24の厚さTにわたって、繊維集団メジアン径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量あたりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を形成すること、により追加的な層が形成されてもよい。
【0062】
例示的な流体(例えば、気体)濾過物品28の内部は、少なくとも部分的に複合不織繊維要素24で充填することができる。ハウジング29は、穿孔カバー22を含み、複合不織繊維要素24を包囲する。ハウジング29は、第1層20と流体連通する少なくとも1つの流体入口23及び第2層10’と流体連通する少なくとも1つの流体出口25を含む。例えば、図3に示すように、流体(例えば、周囲空気)が、ハウジング29の穿孔カバー22の流体(例えば、気体)入口開孔23を通って濾過物品28に入り込み、複合不織繊維要素24を通過して(この際に、第1層20内に分散する微粒子16により、そのような流体中の潜在的有害物質の吸収及び/又は吸着が可能となる)、流体出口開孔25(例えば、ハウジング29の支持部26に取り付けられた気弁25)を通って流体(例えば、気体)濾過物品28から抜け出る。フランジ27により、流体(例えば、気体)濾過物品28を呼吸器(図示せず)のような流体(例えば、気体)濾過装置に交換可能に取り付けることができる。好適な呼吸器は、当業者の周知とするところである。
【0063】
図3に示すように、例示的な流体(例えば、気体)濾過物品28は、図2に示す複合不織繊維要素24を使用する。別の実施形態では、例えば、図1A及び図1Bの説明で例示又は説明したような他の複合不織繊維物品を使用してもよい。別の一実施形態(図示せず)では、第1層20(例えば、マイクロ繊維)は、第2層10’(例えば、微細繊維)に重なってもよい。他の実施形態(図示せず)では、図1A及び図1Bにおいて説明したように、追加的な上重ね又は下重ねするウェブにより、又は複合不織繊維要素10’の厚さTにわたって、繊維集団メジアン径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量当たりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば、高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を形成すること、により追加的な層が形成されてもよい。本明細書に記載されるように、追加的な層(図示せず)は追加支持体層(図示せず)を含んでもよい。
【0064】
図4は、円筒状流体濾過媒体30で有用となる、例示的な円筒状に巻かれた多孔質ウェブの断面図である。図1Aの複合不織繊維ウェブ10が、中空コア35を有する円筒を形成するように巻かれており、この円筒は、マイクロ繊維の集団を含む第1マイクロ繊維層12が、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含み得る第2微細繊維層14により重ねられた外側半径層を形成するように巻かれたものである。マイクロ繊維の集団は粗大マイクロ繊維であってもよい。繊維集団メジアン径の粗大から微細までの勾配は、ウェブ10の厚さTにわたって、第1マイクロ繊維層12の外端から中空コア35の外端までの半径方向の移動で示される。他の実施形態(図4では示さず)では、第1マイクロ繊維層の外端から中空コアの外端への半径方向の移動における微細から粗大までの繊維集団メジアン径の勾配を用いてもよい。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。
【0065】
更なる実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子(図4では示さず)を含んでもよい。ウェブ10の半径方向の厚さTにわたって、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量当たりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば、高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を示すように、複数個の微粒子が第1マイクロ繊維層及び第2微細繊維層の一方又は両方に分散されていてもよい。追加支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)も、追加の例示的な実施形態において含まれてもよい。
【0066】
図5は、円筒状流体濾過媒体30の例示的一実施形態として使用するために構成された、図4により例示された構想による、円筒状に巻かれた多孔質ウェブの例示的な実施形態の断面端面図である。図2により例示され、図5により追加の微粒子(図2の16)無しで示された複合不織繊維ウェブ24が、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層14に隣接する中空コア35内部に配置された多孔質の円筒状メッシュ層36の周りで円筒状に巻かれて示されている。第1層12は、マイクロ繊維の集団を含み、第2層14により重ねられた外側半径層を形成する。マイクロ繊維の集団は、粗大マイクロ繊維であってもよい。繊維集団メジアン径の粗大から微細までの勾配は、ウェブ10の厚さTの半径方向にわたって示されている。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。他の実施形態(図5では示さず)では、第1マイクロ繊維層の外端から多孔質の円筒状メッシュ層の外端への半径方向の移動における微細から粗大までの繊維集団メジアン径の勾配を使用してもよい。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。
【0067】
更なる実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子(図5では示さず)を含んでもよい。ウェブ10の半径方向にわたって、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば繊維質量あたりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を示すように、複数個の微粒子が第1マイクロ繊維層及び第2微細繊維層の一方又は両方に分散されていてもよい(図5では示さず)。追加支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)も、追加の例示的な実施形態において含まれてもよい。
【0068】
図6は、円筒状流体濾過媒体30の別の例示的実施形態として使用するために構成された、図4による例示的な円筒状に巻かれた多孔質のウェブの断面端面図である。図1Aの複合不織繊維ウェブ10は、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層14に隣接する中空コア(図6では示さず)を充填するように位置決めされた多孔質の円筒状コア36’の周りで円筒状に巻かれて示されている。第1層12は、マイクロ繊維の集団を含み、第2層14により重ねられた外側半径層を形成する。マイクロ繊維の集団は、粗大マイクロ繊維であってもよい。繊維集団メジアン径の粗大から微細までの勾配は、ウェブ10の半径方向にわたって示されている。別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。他の実施形態(図6では示さず)では、第1マイクロ繊維層の外端から多孔質の円筒状コアの外端までの半径方向の移動における微細から粗大までの繊維集団メジアン径の勾配を使用してもよい。別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。
【0069】
更なる実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は、複数個の微粒子(図6では示さず)を含んでもよい。半径方向のウェブ10にわたって、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量当たりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば、高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を示すように、複数個の微粒子が第1マイクロ繊維層及び第2微細繊維層の一方又は両方に分散されていてもよい(図6では示さず)。追加支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)も、追加の例示的な実施形態において含まれてもよい。
【0070】
図4〜6により図示される例示的な円筒状流体濾過媒体30のそれぞれは、第1層及び第2層を包囲する流体不透過性のハウジング(図4〜6には図示せず)を含む流体濾過物品で使用することができ、このハウジングは、第1マイクロ繊維層(図4〜6の12)と流体連通する少なくとも1つの流体入口(図示せず)及び第2微細繊維層(図4〜6の14)と流体連通する少なくとも1つの流体出口(図示しないが、通常、図4〜5の中空コア35又は図6の多孔質の円筒状メッシュ層36に接続している)を含む。そのような流体不透過性のハウジングは、当業者の周知とするところである。特定の例示的な実施形態では、流体は液体、例えば、水が選択されてもよい。
【0071】
図では例示されない他の例示的な実施形態では、多層複合不織繊維ウェブは、支持体層(例えば、ウェブ)上に、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、又はサブマイクロメートル繊維の集団を含む下層上に粗大マイクロ繊維の上層を含む複合不織繊維ウェブを、少なくともそれら繊維の一部分が、支持体層に、単一層の複合不織繊維ウェブの主表面で接触するように重ねることにより形成され得る。
【0072】
図では例示されない追加の例示的な実施形態において、複合不織繊維ウェブは、繊維の非均質な混成物を支持体層上に形成するために、支持体層(例えば、ウェブ)上に、マイクロ繊維の集団と相互に混合されたサブマイクロメートル繊維の集団を重ねることにより形成され得る。更なる実施形態において、多層複合不織繊維ウェブは、支持体層上に単一層の複合ウェブを、単一層の複合不織繊維ウェブの主表面が支持体層に接触するように、重ねることにより形成され得る。更に、支持体層は、この支持体層と接触する単一層の複合ウェブの主表面とは反対側の支持体層に近接する又は隣接する追加層及び/又は成分(図示せず)を有してもよい。
【0073】
上述の複合不織繊維ウェブの実施形態のそれぞれにおいて、用語「上層」は、図2及び図3により実際に例示された実施形態を説明するものとすることが理解されるであろう。しかしながら、例示したいずれの複合不織繊維ウェブも、層と層の間の境界面を軸に180度反転させることにより、上層として説明されていたものが下層となり得るが、例示した実施形態へのそのような修正も本開示で扱うものとする。更に、「層」への言及は、少なくとも1つの層を意味するとされ、それゆえ多層複合不織繊維ウェブの例示されたそれぞれの実施形態は、本開示の範囲内で、1つ以上の追加的な層(図示せず)を含んでもよい。更に、「層」への言及は、1つ以上の追加的な層(図示せず)を少なくとも部分的に覆う層を説明するものとする。
【0074】
本開示による複合不織繊維ウェブのいずれの例示的な実施形態についても、単一層の複合不織繊維ウェブは、ウェブの特定の最終用途に応じて差が生じる場合がある坪量を示すであろう。一般的に、単一層の複合不織繊維ウェブの坪量は、1平方メートル当たり約1000グラム(gsm)未満である。いくつかの実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブの坪量は、約1.0gsm〜約500gsmである。他の実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブの坪量は、約10gsm〜約300gsmである。
【0075】
特定の追加的な実施形態では、複合不織繊維ウェブは、第1マイクロ繊維層並びに、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を少なくとも含む多層構造を含む。いくつかの実施形態では、第1マイクロ繊維層の坪量は、約1.0gsm〜約500gsm、より好ましくは、約10gsm〜約300gsmである。更なる実施形態では、第2層の坪量は、約0.1gsm〜約200gsm、より好ましくは、約0.5gsm〜約100gsmである。
【0076】
坪量と同様に、複合不織繊維ウェブは、ウェブの特定の最終用途に応じて差が生じる場合がある厚さを示すであろう。一般的に、単一層の複合不織繊維ウェブの厚さは、約300mm未満、より好ましくは、100mm以下である。いくつかの実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブは、約0.1mm〜約150mmの厚さを有する。追加的な実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブは、約0.2mm〜約100mmの厚さを有する。更なる実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブは、約0.5mm〜約75mmの厚さを有する。他の実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブは、約1.0mm〜約50mmの厚さを有する。
【0077】
本開示による例示的な複合不織繊維ウェブの種々の成分がここに説明される。
【0078】
B.複合不織繊維ウェブの成分
本開示の複合不織繊維ウェブは、以下の成分の1つ以上を含み得る。
【0079】
1.繊維成分
上述のように、本開示による例示的な複合不織繊維ウェブは、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細繊維の集団と、を含む。これら繊維集団の少なくとも一方は配向されていてもよい。特定の例示的な実施形態では、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維及び微細繊維はポリマーである。他の例示的な実施形態では、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維集団は、少なくとも3μm、少なくとも5μm、又は少なくとも10μmの集団メジアン径を有し、微細繊維集団は、10μm未満、5μm未満、3μm未満、又は1μm未満の集団メジアン径を有する。
【0080】
更なる例示的な実施形態では、少なくとも1つの繊維集団は、配向されたポリマー繊維を含む。配向された繊維とは、繊維内に分子配向が存在する繊維である。完全に配向されたポリマー繊維及び部分的に配向されたポリマー繊維は、既知であり市販されている。繊維の配向は、複屈折、熱収縮、X線散乱、及び弾性率を含む多くの方法で測定可能である(例えば、Principles of Polymer Processing,Zehev Tadmor and Costas Gogos,John Wiley and Sons,New York,1979,pp.77〜84を参照されたい)。
【0081】
結晶及び非晶質の両者とも結晶化とは無関係の分子配向を示すことがあり得るため、分子配向は結晶性とは異なるという点に注目することが重要である。したがって、メルトブロー又は電界紡糸法により作られた市販の既知のサブマイクロメートル繊維が配向されていないとしても、それらの工程を使用して作られた繊維に分子配向を付与する既知の方法が存在する。しかしながら、Torobinにより説明された工程(例えば、米国特許4,536,361号を参照のこと)が分子配向された繊維を製造することは明らかにされていない。
【0082】
a.マイクロ繊維
本開示の複合不織繊維ウェブは、マイクロ繊維成分のような、マイクロ繊維又は粗大繊維成分の層を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、好ましいマイクロ繊維又は粗大繊維成分は、少なくとも1μmの集団メジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む。他の実施形態では、好ましい粗大繊維成分は、少なくとも10μmの集団メジアン繊維径を有するマイクロ繊維(より好ましくはポリマーマイクロ繊維)の集団を含む。特定の他の例示的な実施形態では、マイクロ繊維成分は、約2μm〜約100μmの範囲の集団メジアン繊維径を有する繊維集団を含む。更なる例示的な実施形態では、マイクロ繊維成分は、約5μm〜約50μmの範囲のメジアン繊維径を有する繊維集団を含む。
【0083】
本開示において、所定のマイクロ繊維成分の中の繊維の「メジアン繊維径」は、例えば走査電子顕微鏡を用いることにより、繊維構造の画像を1つ以上作製する工程と、1つ以上の画像において明確に視認できる繊維の繊維直径を測定して繊維径の合計数、xを結果的に得る工程と、そのxの繊維直径の平均繊維径を算出する工程と、によって定められる。典型的に、xは約50超であり、そして望ましくは約50〜約200までの範囲である。しかしながら、場合によっては、xは30又は20の低さにまで選択されてもよい。これらxの低い値は、直径が大きい繊維、又は絡まり合いが激しい繊維に対し特に有効となる場合がある。
【0084】
いくつかの例示的な実施形態では、マイクロ繊維成分は、1つ以上のポリマー材料を含んでもよい。一般に、いずれの繊維形成ポリマー材料も、マイクロ繊維の調製に使用できるが、通常、繊維形成材料は半結晶性であるのが好ましい。繊維形成に一般に使用されるポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びウレタンが特に有用である。ウェブはまた非晶質ポリマー、例えばポリスチレンから調製されている。本明細書中に記載される特定のポリマーは単なる例であって、広範な種類の他のポリマー又は繊維形成材料が有用である。
【0085】
適切なポリマー材料としては、ポリブチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド(ナイロン−6及びナイロン−6,6)、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、流体結晶ポリマー、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン熱可塑性樹脂エラストマー、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
熱可塑性樹脂及び著しく伸張可能な熱可塑性樹脂を含む様々な合成の繊維形成ポリマー材料を用いることができ、それらは例えば、線状低密度ポリエチレン(例えば、商標名DOWLEXでDow Chemical Company、Midland、Michiganから入手可能)、熱可塑性樹脂ポリオレフィンエラストマー(TPE’s、例えば、商標名ENGAGEでDow Chemical Company、Midland、Michiganから、商標名VISTAMAXXでExxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)、エチレンα−オレフィンコポリマー(例えば、エチレンブテン、エチレンヘキセン、又はエチレンオクテンコポリマーであり、商標名EXACTでExxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから、商標名ENGAGEでDow Chemical Company、Midland、Michiganから入手可能)、エチレンビニルアセテートポリマー(例えば、商標名ELVAXでE.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington、Delawareから入手可能)、ポリブチレンエラストマー(例えば、商標名CRASTINでE.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington、Delawareから、商標名POLYBUTENE−1でBasell Polyolefins、Wilmington、Delawareから入手可能)、弾性スチレンブロックコポリマー(例えば、商標名KRATONでKraton Polymers、Houston、Texas、から、商標名SOLPRENEでDynasol Elastomers、Houston、Texasから入手可能)、及びポリエーテルブロックコポリマーエラストマー材(例えば、商標名PEBAXでArkema、Colombes、Franceから入手可能)がある。熱可塑性樹脂ポリオレフィンエラストマー(TPE’s)が特に好ましい。
【0087】
様々な天然の繊維形成材料もまた、本開示の例示的な実施形態による不織マイクロ繊維へと作製することができる。好ましい天然材料はビチューメン又はピッチ(例えば、カーボン繊維作製用)を含んでもよい。繊維形成材料は、溶融形態であるか、又は適切な溶剤中に存在していてもよい。反応性モノマーもまた採用可能であり、それらはダイへと向かう際、又は通過する際に互いに反応しあう。不織布ウェブは、繊維の混合物を単一層に含有するか(例えば、ダイ先端を共有するように密に配置した2つのダイキャビティを使用して作製される)、複数個の層に含有するか(例えば、積み重ね配列した複数個のダイキャビティを使用して作製される)、又は(米国特許第6,057,256号(Krueger et al.に記載のように)多成分繊維の1つ以上の層に含有してもよい。
【0088】
また繊維は、顔料や染料などの特定の添加剤がブレンドされた材料を含む、材料のブレンドから形成されてもよい。2成分マイクロ繊維、例えばコア−シース又は並列2成分繊維が調製されてもよく、これは2成分サブマイクロメートル繊維の場合も同様であろう(本明細書にて「2成分」とは、2つ以上の成分を有し、それぞれの成分が繊維の断面積の一部を占め、かつ繊維の実質的な長さにわたって伸張している繊維を含む)。しかしながら、本開示の例示的な実施形態は、1成分繊維(こうした繊維において繊維は断面全域で本質的に同じ組成を有するが、「1成分」は、実質的に均一な組成の連続相が断面全域、及び繊維の全長にわたって延伸しているブレンド又は添加剤含有材料を含む)に関して特に有用かつ有利である得る。他の利益のうち、単一成分繊維を使用可能であることが、製造複雑性を低減し、ウェブの使用における制限をほぼなくす。
【0089】
前述の繊維形成用材料に加えて、様々な添加物を繊維溶融物に添加し、押し出して、添加物を繊維に組み込んでもよい。一般的に、添加物の量は、繊維の総重量を基準にして、約25重量パーセント未満、望ましくは最大約5.0重量パーセントまでである。適切な添加物には、微粒子、安定剤、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、流動性調整剤、硬化速度遅延剤、接着促進剤(シラン、チタン酸塩など)、補助剤、衝撃改質剤、発泡性微小球、熱伝導性粒子、電気伝導性粒子、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズ又はバブル、酸化防止剤、蛍光増白剤、抗菌剤、界面活性剤、難燃剤、及びフロオロケミカルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
上述の添加物のうち1つ以上を用いて、得られる繊維及び層の重量及び/又はコストを軽減してもよく、粘度を調整してもよく、又は繊維の熱的特性を修正してもよく、あるいは電気特性、光学特性、密度に関する特性、流体バリア若しくは接着剤の粘着性に関する特性を含む添加物の物理特性の活量に由来する様々な物理特性を付与してもよい。
【0091】
b.微細繊維
本開示の複合不織繊維ウェブは、少なくとも1つ以上の微細繊維成分の層を含む。特定の例示的な実施形態では、微細繊維成分は、10μm未満の集団メジアン径を有する微細マイクロ繊維の集団を含む。他の例示的な実施形態では、微細繊維成分は、約2μm未満の集団メジアン径を有する超微細マイクロ繊維の集団を含む。特定の現状で好適な実施形態では、微細繊維成分は、1μm未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む。
【0092】
いくつかの例示的な実施形態では、サブマイクロメートル繊維成分は、約0.2μm〜約0.9μmの範囲の集団メジアン繊維径を有する繊維集団を含む。他の例示的な実施形態では、サブマイクロメートル繊維成分は、約0.5μm〜約0.7μmの範囲の集団メジアン繊維径を有する繊維集団を含む。
【0093】
本開示において、所定のサブマイクロメートル繊維成分の中の繊維の「メジアン繊維径」は、例えば、走査電子顕微鏡を用いることにより、繊維構造の画像を1つ以上作製する工程と、1つ以上の画像において明確に視認できる繊維の繊維直径を測定して繊維直径の合計数、xを結果的に得る工程と、そのxの繊維直径のメジアン繊維径を算出する工程と、によって定められる。典型的に、xは約50超であり、そして望ましくは約50〜約200までの範囲である。しかしながら、場合によっては、xは30又は20の低さにまで選択されてもよい。これらxの低い値は、絡まり合いが激しい繊維にとって特に有効となる場合がある。
【0094】
いくつかの例示的な実施形態では、サブマイクロ繊維成分は、1つ以上のポリマー材料を含んでもよい。適切なポリマー材料としては、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド(ナイロン−6及びナイロン−6,6)、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、流体結晶ポリマー、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン熱可塑性樹脂エラストマー、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
サブマイクロメートル繊維成分は、上述のポリマー又はコポリマーの任意の1つを含む1成分繊維を含んでもよい。この例示的な実施形態では、1成分繊維は、後述する添加物を含有してもよいが、上述のポリマー材料から選択される単一繊維形成材料を含む。更に、この例示的な実施形態では、1成分繊維は、一般的に、1つ以上の添加物を最大25重量%まで備える上述のポリマー材料のうちいずれか1つを少なくとも75重量%含む。望ましくは1成分繊維は、上述のポリマー材料のうちいずれか1つを少なくとも80重量%、より望ましくは、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、更に100重量%までも含み、ここで、重量はいずれも繊維の総重量を基準とする。
【0096】
サブマイクロメートル繊維成分はまた、(1)上述のポリマー材料のうち2つ以上と、(2)後述するような添加物の1つ以上とから形成される多成分繊維を含んでもよい。本明細書で使用される用語「多成分繊維」は、2つ以上のポリマー材料類から形成される繊維を指すために用いられる。適切な多成分繊維構成としては、シース−コア構成、並列、層状、又は分割されたパイ/くさび状の構成(例えば、米国特許第4,729,371号は、縞状繊維とも呼ばれる層状2成分メルトブロー繊維について説明しており、PCT特許公開第WO 2008/085545号は、分割されたパイ/くさび状繊維及び層状繊維を図1a〜1eで説明している。)、及び「海中島」構成(例えば、Kuraray Company,Ltd.,Okayama,Japanにより製造された繊維)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
多成分繊維から形成されるサブマイクロメートル繊維成分において、望ましくは、多成分繊維は、繊維の総重量を基準にして、(1)上述のポリマーのうち2つ以上を約75〜約99重量%、及び(2)1つ以上の追加の繊維形成材料を約25〜約1重量%含む。
【0098】
2.追加微粒子成分
上述のように、本開示による例示的な複合不織繊維ウェブは、必要に応じて複数個の微粒子を第1層及び第2層の一方又は両方に含む。任意の適切な微粒子材料が選択されてもよい。適切な微粒子は様々な物理的形態(例えば、固形粒子、多孔質粒子、中空泡、凝集粒子、不連続繊維、短繊維、フレーク、及びその他)、形状(例えば、球形、楕円形、多角形、針状、及びその他)、形状均一性(例えば、単分散、実質的に均一、不均一又は不規則、及びその他)、組成(無機微粒子、有機微粒子、又はそれらの組み合わせ)、及び寸法(例えば、サブマイクロメートル寸法、マイクロ寸法、及びその他)を有してもよい。
【0099】
特に微粒子寸法に関連して、いくつかの例示的な実施形態では、微粒子の集団の寸法を制御することが望ましい場合がある。特定の例示的な実施形態では、微粒子は繊維マトリックス内に物理的に混入又は捕捉されている。そのような実施形態では、微粒子は、好ましくは、少なくとも50μm、より好ましくは、少なくとも75μm、更により好ましくは、少なくとも100μmの集団のメジアン径を有するよう選択される。
【0100】
他の例示的な実施形態では、例えば、熱溶解型接着剤のような接着剤、及び/又は熱可塑性樹脂微粒子若しくは熱可塑性樹脂繊維の一方又は両方への加熱(すなわち、熱接着)を用いて繊維に接着結合される、より微細な微粒子を使用することが好ましい。そのような実施形態では、微粒子は、好ましくは、少なくとも25μm、より好ましくは、少なくとも30μm、最も好ましくは、少なくとも40μmのメジアン径を有することが通常は好ましい。
【0101】
しかしながら、接着剤及び熱接着の両方を使用して微粒子を繊維に接着するいくつかの例示的な実施形態では、それら微粒子が、1マイクロメートル(μm)未満、より好ましくは約0.9μm未満、更により好ましくは約0.5μm未満、最も好ましくは約0.25μmの集団メジアン径を有するサブマイクロメートル寸法の微粒子の集団を含んでもよい。そのようなサブマイクロメートル寸法の微粒子は、高表面積、及び/又は高吸収性及び/又は高吸着能力が望まれる用途において特に有用であり得る。更なる例示的な実施形態では、サブマイクロメートル寸法の微粒子の集団は、少なくとも0.001μm、より好ましくは、少なくとも約0.01μm、最も好ましくは、少なくとも約0.1μm、最も好ましくは、少なくとも約0.2μmの集団メジアン径を有する。
【0102】
更なる例示的な実施形態では、微粒子は、最大約2,000μm、より好ましくは、最大約1,000μm、最も好ましくは、最大約500μmの集団メジアン径を有するマイクロ寸法の微粒子の集団を含む。他の例示的な実施形態では、微粒子は、最大約10μm、より好ましくは、最大約5μm、更により好ましくは、最大約2μmの集団メジアン径を有するマイクロ寸法の微粒子の集団(例えば、超微細マイクロ繊維)を含む。
【0103】
単一の完成品ウェブ内に複数の種類の微粒子を使用することもできる。複数の種類の微粒子を使用することで、微粒子の種類の1つが同種の他の粒子と結合しない場合であっても、連続する微粒子ウェブが生産可能となる場合もある。この種のシステムの一例は、2種類の粒子が使用されるものであり、一方の粒子が、それら微粒子を互いに結合させ(例えば、不連続ポリマー繊維微粒子)、他方が、ウェブの所定の目的のための活性粒子として作用する(例えば、活性炭のような収着剤微粒子)ものであろう。そのような例示的な実施形態は、特に流体濾過の用途にとって有用であり得る。
【0104】
そのような特定の例示的な実施形態では、微粒子を互いに結合させて繊維成分にメッシュ又はマトリックスを形成するために、表面を接着性又は「粘着性」に作製可能な少なくとも1つの微粒子を使用することが有利であり得る。この点で、有用な微粒子は、ポリマー、例えば不連続繊維の形態であり得る熱可塑性樹脂ポリマーを含んでもよい。適切なポリマーにはポリオレフィン、特にTPE類(例えば、商標名VISTMAXXで、Exxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)が挙げられる。更なる例示的な実施形態では、TPE類は通常粘着性の傾向があり、複合不織繊維ウェブを形成するための繊維を加えるより前に、微粒子を互いに結合させて三次元網状組織を形成する助けとなり得るため、特に表面層又は表面コーティングとしてTPEを含む微粒子が好ましい場合がある。特定の例示的な実施形態では、商標名VISTMAXXのTPEを含む微粒子が、苛酷な化学的環境、特に低pH(例えば、pHが約3以下)及び高pH(例えば、pHが少なくとも9)の有機溶剤中において、耐性の改善をもたらし得る。
【0105】
追加の例示的な実施形態では、例えば、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせのような収着剤微粒子を少なくとも1つ使用することが有利となる場合がある。種々の収着剤粒子を採用することができる。望ましくは、収着剤粒子は、目的とする使用状況の下で存在が予想される気体、エアゾール、又は流体を吸収又は吸着する能力を持つであろう。
【0106】
収着剤粒子は、ビーズ、フレーク、顆粒、若しくは粒塊を含む、いかなる使用可能な形式を取ることもできる。好ましい収着剤粒子には、活性炭と、アルミナ及びその他の金属酸化物と、重炭酸ナトリウムと、吸着、化学反応、若しくは融合により構成要素を流体から取り除くことができる金属粒子(例えば、銀粒子)と、ホプカライト(一酸化炭素の酸化触媒作用することができる)などのような粒子状触媒剤と、酢酸などのような酸性溶液、若しくは水を含む水酸化ナトリウムなどのようなアルカリ性溶液で処理された粘土及びその他の鉱物類と、イオン交換樹脂と、分子ふるい及びその他のゼオライト類と、シリカと、殺生物剤と、殺真菌剤と、殺ウイルス剤とが含まれる。活性炭及びアルミナは、特に好ましい収着剤粒子である。例えば、気体の混合物を吸収するために、収着剤粒子の混合物を採用することもできるが、実際問題として、気体の混合物を取り扱うには、個々の層に別々の収着剤粒子を採用して、多層シート状物品を製作する方がよりよい場合がある。
【0107】
特定の例示的な実施形態では、流体濾過媒体は、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はそれらの組み合わせを含む。例示的な現状において好適な実施形態では、収着剤粒子は、活性炭、珪藻土、イオン交換樹脂、金属イオン交換収着剤、活性アルミナ、抗菌性化合物、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ化樹脂、又はこれらの組合わせを含む。現状における特定の好適な実施形態は、ウェブの収着剤粒子密度は約0.20〜約0.5g/ccの範囲であることを提供している。
【0108】
望ましい収着剤粒子の粒径は大幅に変えることができ、これは通常目的とする使用条件にある程度基づいて選ばれる。一般的な指針として、収着剤粒子の寸法は、メジアン径が約0.001〜約3000μmまで変えてもよい。好ましくは、収着剤粒子は、約0.01〜約1500μmのメジアン径、より好ましくは、約0.02〜約750μmのメジアン径、最も好ましくは約0.05〜約300μmのメジアン径である。特定の例示的な実施形態では、収着剤粒子は、1μm未満の集団メジアン径を有するナノ微粒子を含んでもよい。多孔質ナノ微粒子は、流体媒体から汚染物質を収着(例えば、吸収及び/又は吸着)するための高表面積をもたらす利点を有することもある。超微細又はナノ微粒子を使用するそのような例示的な実施形態では、例えば、熱溶解型接着剤のような接着剤、及び/又は熱可塑性樹脂微粒子若しくは熱可塑性樹脂繊維の一方又は両方への加熱(すなわち、熱接着)を用いて、それら微粒子が繊維に接着結合されることが好ましい。
【0109】
異なる粒径範囲を有する収着剤粒子の混合物(例えば、二峰性混合物)を採用することもできるが、実際問題としては、上流側により大きい収着剤粒子を、下流側により小さい収着剤粒子を採用して多層シート状物品を組み立てる方がよりよい。少なくとも80重量%の収着剤粒子、より好ましくは少なくとも84重量%、更に最も好ましくは少なくとも90重量%の収着剤粒子はウェブの中に捕捉されている。ウェブの坪量に関して示すと、収着剤粒子配合濃度は、例えば、比較的微細な(例えば、サブマイクロメートル寸法)収着剤粒子では少なくとも約500gsmであり、比較的粗大な吸着剤粒子では少なくとも約2,000gsmである。
【0110】
3.追加支持体層
本開示の複合不織繊維ウェブは、追加支持体層(図示せず)を更に含んでもよい。現状における好適な特定の実施形態では、追加支持体層は多孔質である。存在する場合は、追加支持体層は、複合不織繊維物品の強度のほとんどをもたらし得る。いくつかの実施形態では、上述のサブマイクロメートル繊維成分は、強度が非常に低くなる傾向があり、通常の処理中に損傷する可能性がある。サブマイクロメートル繊維成分を支持体層に取り付けることで、サブマイクロメートル繊維成分に強度が与えられる一方、サブマイクロメートル繊維成分の高い多孔性、及びそれによる所望の吸収性が保持される。多層複合不織繊維ウェブ構造はまた、ロール形状へのウェブの巻き取り、ロールからのウェブの取り出し、成型、ひだ付け、折りたたみ、ステープル処理、織り込み、及びその他を含み得る以降の処理に対する十分な強度をもたらし得る。
【0111】
本開示では様々な支持体層類を利用してもよい。適切な支持体層としては、不織布、織布、編織物、発泡層、フィルム、紙の層、裏面接着剤層、金属箔、メッシュ、弾性布地(すなわち、弾性特性を有する任意の上述の織物、編織物又は不織布)、有孔ウェブ、裏面接着剤層、又はこれらいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つの例示的な実施形態では、多孔質支持体層は、ポリマー不織布を含む。適した不織ポリマー布地としては、スパンボンド布地、メルトブローン布地、短繊維長の繊維(すなわち、約100mm未満の繊維長を有する繊維)のカードウェブ、ニードルパンチ布地、スピリットフィルムウェブ、水流交絡ウェブ、エアレイド短繊維ウェブ、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の例示的な実施形態では、支持体層は結合短繊維のウェブを含む。以下で更に説明するように、結合は、例えば熱接着、接着剤結合、粉末結合接着、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを用いて効果的に得られる。
【0112】
支持体層は、複合不織繊維物品の特定の最終用途に応じた、坪量と厚さを有してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、複合不織繊維物品の全体の坪量及び/又は厚さは最小レベルで保持されるのが望ましい。別の実施形態では、全体の最小坪量及び/又は厚さが所定の用途において要求される場合がある。典型的に、支持体層の約150gsm未満の坪量を有する。いくつかの実施形態では、支持体層は、約5.0gsm〜約100gsmの坪量を有する。別の実施形態では、支持体層は約10gsm〜約75gsmの坪量を有する。
【0113】
坪量と同様に、支持体層はある厚さを有してよく、この厚さは、複合不織繊維物品の特定の最終用途に応じて変化する。一般的に、支持体層は、約150ミリメートル(mm)未満の、より好ましくは、100mm未満の、最も好ましくは50mm未満の厚さを有する。特定の実施形態では、支持体層は少なくとも約0.1mmの、より好ましくは、少なくとも0.5mmの、最も好ましくは、少なくとも1.0mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、支持体層は、約1.0mm〜約35mmの厚さを有する。別の実施形態では、支持体層は、約2.0mm〜約25mmの厚さを有する。
【0114】
特定の例示的な実施形態では、支持体層はマイクロ繊維成分、例えば、マイクロ繊維の集団を含んでもよい。そのような実施形態では、多層複合不織繊維ウェブを形成するため、上述のサブマイクロメートル繊維集団をマイクロ繊維支持体層上に直接的に堆積させることが好ましい場合がある。必要に応じて、マイクロ繊維支持体層上に、上述のマイクロ繊維集団を、サブマイクロメートル繊維集団と共に、又はその上から堆積させてもよい。特定の例示的な実施形態では、支持体層を含むマイクロ繊維の集団は、上層を形成するマイクロ繊維の集団と組成的に同一である。
【0115】
サブマイクロメートル繊維成分は、所定の支持体層に恒久的又は暫定的に結合されていてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、サブマイクロメートル繊維成分は、支持体層に恒久的に結合されている(すなわち、サブマイクロメートル繊維成分は、多孔質支持体層に恒久的に結合されているように意図されて取り付けられている)。
【0116】
本開示のいくつかの実施形態では、上述のサブマイクロメートル繊維成分は、剥離ライナーのような支持体層に暫定的に(すなわち、取り外し可能に)結合されていてもよい。そのような実施形態では、サブマイクロメートル繊維成分は、暫定支持体層上に所望の長さの時間、支持されてもよく、また所望により暫定支持体層上で更に加工され、その後に第2の支持体層へ恒久的に結合されてもよい。
【0117】
本開示の例示的な一実施形態では、支持体層は、ポリプロピレン繊維を含むスパンボンド布地を含む。本開示の更なる例示的な実施形態では、支持体層は、短繊維長の繊維のカードウェブを含み、この場合、短繊維長の繊維は、(i)低融点繊維又はバインダー繊維、及び(ii)高融点繊維又は構造繊維を含む。典型的に、バインダー繊維類の融点と構造繊維の融点との差は10℃超であってもよいが、バインダー繊維の融点は、構造繊維の融点よりも少なくとも10℃低い。適したバインダー繊維類としては、これらに限定されないが、上述のポリマー繊維のうちのいずれかが挙げられる。適した構造繊維類としては、これらに限定されないが、上述のポリマー繊維のうちのいずれか、並びにセラミック繊維類、ガラス繊維類、及び金属繊維類などの無機繊維類、及びセルロース繊維類などの有機繊維類が挙げられる。
【0118】
現状における好適な特定の実施形態では、支持体層は、短繊維長の繊維のカードウェブを含むが、ここで短繊維長の繊維は、1成分PETのブレンド、及び2成分短繊維PET/coPETを含む。例示的な一実施形態では、支持体層は、短繊維長の繊維のカードウェブを含むが、ここで短繊維長の繊維は、(i)約20重量パーセントの2成分バインダー繊維(例えば、商標名INVISTA T254繊維で、Invista、Inc.,Wichita、Kansasから入手可能)、12d×3.81cm(1.5”)、及び(ii)約80重量パーセントの構造繊維(例えば、商標名INVISTA T293PET繊維)、32d×7.62cm(3”)を含む。
【0119】
上述のように、支持体層は、1層以上の互いに組み合わせた層を含んでもよい。例示的な一実施形態では、支持体層は、不織布又はフィルムなどの第1層、及びサブマイクロメートル繊維成分とは反対側の第1層上の接着剤層を含む。この実施形態では、接着剤層は、第1層の外側表面の一部又は全体を覆っていてもよい。接着剤は、感圧接着剤類、熱活性化接着剤類などを包含するいかなる既知の接着剤を含んでもよい。接着剤層が感圧接着剤を含む場合、複合不織繊維物品は、感圧接着剤の一時的な保護を提供するために、剥離ライナーを更に含んでもよい。
【0120】
4.任意の追加的な層
本開示の複合不織繊維ウェブは、サブマイクロメートル繊維層、マイクロ繊維層追加支持体層、又は上記全て(図示せず)と組み合わせる追加的な層を含んでもよい。
【0121】
追加的な層として適切であるのは、これらに限定されないが、色保有層(例えば、印刷層)、上述の支持体層のうちいずれか、別個の平均繊維径及び/又は物理的組成物を有する1層以上の追加のサブマイクロメートル繊維成分、更なる絶縁性能のための1層以上の二次マイクロメートル繊維層(例えば、メルトブローンウェブ又はガラス繊維布地)、発泡体、粒子の層、金属箔層、フィルム、装飾的な布地層、膜(すなわち、制御された透過性を有するフィルム、例えば、透析膜、逆浸透性膜など)、網状織物、メッシュ、配線網状組織及び管状の網状組織(すなわち、電気搬送用のワイヤー層、又は加熱ブランケット用の配線網状組織、及び冷却ブランケットの中を流れる冷却剤用の管状の網状組織のような、様々な流体を搬送するための管/パイプ群の層)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0122】
5.追加接着剤
特定の例示的な実施形態では、本開示の複合不織繊維ウェブは、複合不織繊維物品を基材に取り付けることができるように、1つ以上の接着剤を更に含んでもよい。上述のように、接着剤は、複合不織繊維物品の層を取り付けるために使用してもよい。現状の好ましい接着剤としては、熱溶解型接着剤並びに、硬化接着剤、例えば、エポキシ、ウレタン及びアクリル接着剤のような熱及び放射線硬化接着剤を含む。接着剤に加えて、例えば、フック・ループ式ファスナー、テープ、クランプ等の、他の取り付け装置を使用してもよい。
【0123】
C.複合不織繊維ウェブの作製方法
本開示はまた、複合不織繊維ウェブの作製方法についても対象とする。更なる態様において、本開示は、少なくとも10μmの集団メジアン繊維径を有する粗大ポリマーマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、10μm未満の集団メジアン繊維径を有する微細ポリマー繊維の集団を含む第2層を形成する工程と、第1層及び第2層の一方又は両方を配向させる工程と、第1層を第2層に結合させる工程と、を含む複合不織繊維ウェブの作製方法を提供する。特定の例示的な実施形態において、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子を含む。
【0124】
別の態様において、本開示は、少なくとも1.0μmのメジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、第1層に衝突させて1μm未満のメジアン繊維径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を形成する工程と、を含み、これら繊維集団の少なくとも一方は配向されていてもよい、複合不織繊維ウェブの製造方法を提供する。特定の例示的な実施形態において、少なくとも第1層は複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0125】
1.繊維の形成
本開示の例示的な実施形態による複合不織繊維ウェブが作製される適切な繊維流れは、不織繊維を作り出す既知の方法の他にも、ウェブ形成工程中に形成される繊維流れに微粒子を組み合わせる機会を提供する他の方法も含む。特定の例示的な実施形態では、繊維流れはサブマイクロメートル繊維、超微細マイクロ繊維、微細マイクロ繊維、又はこれら1つ以上のブレンドを含む。
【0126】
数多くの工程が、サブマイクロメートル繊維流れを作り出すために使用されてもよく、それらはメルトブロー、溶融紡糸、電界紡糸、気体噴流繊維形成、又はこれら工程の組み合わせを含むが、それらに限定されない。特に適切な工程はとしては、米国特許第3,874,886号(Levecque et al.)、第4,363,646号(Torobin)、第4,536,361号(Torobin)、第5,227,107号(Dickenson et al.)、第6,183,670号(Torobin)、第6,269,513号(Torobin)、第6,315,806号(Torobin)、第6,743,273号(Chung et al.)、第6,800,226号(Gerking)、ドイツ特許第DE 19929709 C2(Gerking)、及び公開PCT出願第WO2007/001990 A2(Krause et al.)に記載の工程が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
サブマイクロメートル繊維を形成する適切な工程としては、例えば、米国特許第1,975,504号(Formhals)に記載の工程のような電界紡糸工程も含まれる。サブマイクロメートル繊維を形成する適切な他の工程が、米国特許第6,114,017号(Fabbricante et al.)、第6,382,526 B1号(Reneker et al.)、及び第6,861,025 B2号(Erickson et al.)に記載されている。
【0128】
数多くの工程が、マイクロ繊維流れを作り出すためにも使用されてもよく、それらはメルトブロー、溶融紡糸、フィラメント押し出し、集網フィラメント形成、スパンボンド、湿式紡糸、乾式紡糸、又はこれら工程の組み合わせを含むが、それらに限定されない。マイクロ繊維を形成する適切な工程が、米国特許第6,315,806号(Torobin)、第6,114,017号(Fabbricante et al.)、第6,382,526B1号(Reneker et al.)、及び第6,861,025 B2号(Erickson et al.)に記載されている。あるいはまた、米国特許第4,118,531号(Hauser)に記載の工程を使用して、マイクロ繊維の集団を短繊維に形成又は変化させ、サブマイクロメートル繊維の集団と組み合わせてもよい。
【0129】
いくつかの例示的な実施形態では、複合不織繊維ウェブの作製方法は、繊維流れの混合、水流交絡法、湿式形成、集網フィラメント形成、又はこれらの組み合わせにより、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団を微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維の集団又はサブマイクロメートル繊維の集団と組み合わせる工程を含む。マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団を微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団と組み合わせる工程では、一方又は両方の種類の繊維の複数の流れを使用してもよく、それらの流れは任意の順に組み合わされてもよい。この方法で、複合不織繊維ウェブは、様々な所望の密度勾配及び/又は層状構造を示すように形成することができる。
【0130】
例えば、特定の実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団を、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団と組み合わせて、繊維の不均一な混合物を形成してもよい。特定の例示的な実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の少なくとも一部は、マイクロ繊維の集団の少なくとも一部と相互に混合される。他の例示的な実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団は、マイクロ繊維の集団を含む下層の上の上層として形成されてもよい。特定の他の例示的な実施形態では、マイクロ繊維の集団は、微細、超微細又はサブマイクロ繊維の集団を含む下層の上の上層として形成されてもよい。
【0131】
他の特定の例示的な実施形態では、複合不織繊維ウェブは、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団を多孔質の支持体層上に堆積させることにより形成されてもよく、この支持体層は微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団を多孔質の支持体層上に形成するために、必要に応じてマイクロ繊維を含む。
【0132】
この方法は、必要に応じてポリマーマイクロ繊維を含む支持体層が、微細、超微細又はサブマイクロ繊維の繊維流れを通過する工程を含んでもよい。繊維流れの中を通過している間に、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維は、支持体層へ暫定的に又は恒久的に結合するように、支持体層に堆積し得る。これら繊維が支持体層上に堆積すると、場合によっては、繊維は互いに結合し、支持体層上にある間に更に硬化する。
【0133】
現状における好適な特定の実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団は、粗大マイクロ繊維集団の少なくとも一部を含む追加の多孔質の支持体層と組み合わされている。いくつかの例示的な実施形態では、多孔質支持体層を形成するマイクロ繊維は、第1層を形成するマイクロ繊維の集団と組成的に同一である。現状における好適な他の実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団は、追加の多孔質の支持体層と組み合わされ、引き続き粗大マイクロ繊維集団の少なくとも一部と組み合わされる。現状における好適な他の特定の実施形態では、多孔質の支持体層は、第1層とは反対側の第2層に隣接する。
【0134】
他の例示的な実施形態では、多孔質の支持体層は、不織布、織布、編織物、発泡層、スクリーン、多孔質フィルム、穿孔フィルム、フィラメントのアレイ、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの例示的な実施形態では、多孔質の支持体層は、熱可塑性樹脂メッシュを含む。
【0135】
2.追加微粒子の配合
多くの用途では、ウェブ全体にわたる実質的に均一な粒子分布が望ましい。不均一な分布が有利であり得る場合があってもよい。特定の例示的な実施形態では、微粒子密度勾配が、複合不織繊維ウェブ内部に作り出されることが有利な場合がある。例えば、ウェブの深さ方向の勾配は、深層濾過のために利用可能な孔径分布の変化をもたらす場合がある。粒子を配合した表面を有するウェブは、フィルターに形成でき、そこで流路の前半で粒子に流体を暴露し、残りのウェブが、粒子の脱落を防ぐ支持体構造及び手段を提供する。流路はまた、流体が粒子の活性表面に到達するよりも前に一部の汚染物質を除去するプレフィルターとしての役割をウェブがすることができるように、反転させることも可能である。
【0136】
微粒子流れを不織繊維流れに添加するための様々な方法が知られている。適切な方法は、米国特許第4,118,531号(Hauser)、同第6,872,311号(Koslow)、及び同第6,494,974号(Riddell)並びに米国特許出願公開第2005/0266760号(Chhabra and Isele)、同第2005/0287891号(Park)及び同第2006/0096911号(Brey et al.)に記載されている。
【0137】
他の例示的な実施形態において、追加微粒子は、繊維ウェブを気体流に乗せ、微粒子を繊維ウェブに添加し(例えばウェブを微粒子の流動床に通過させ)、必要に応じて微粒子配合されたウェブを後加熱して微粒子をウェブに結合させる工程により、不織繊維流れに添加することができるであろう。あるいはまた、予備形成されたウェブに、予備形成された、揮発性流体(例えば、有機溶剤又は水であってもよい)の微粒子分散液を噴霧することも可能であり、必要に応じて、微粒子配合されたウェブを後加熱して揮発性流体を除去し微粒子をウェブに結合させることもできる。
【0138】
3.追加結合工程
繊維の状態、並びにマイクロ繊維及びサブマイクロメートル繊維の相対比率によっては、いくつかの結合が、繊維と微粒子との間、及び繊維同士の間で、回収中に発生する場合がある。しかしながら、回収されたウェブにおける繊維と微粒子との間又は繊維同士で更に結合することは、所望の粘稠度のマトリックスを提供するために望ましい場合もあり、ウェブをより取り扱い易くして、マトリックス内に任意のサブマイクロメートル繊維をより良好に保持できるようにするであろう(繊維同士を「結合する」とは、繊維同士を堅く接着し、一般にウェブが通常の取り扱いに供される場合でも分離しないことを意味する)。
【0139】
特定の例示的な実施形態では、マイクロメートル繊維とサブマイクロメートル繊維のブレンドは互いに結合されてもよい。結合は、例えば、熱接着、接着剤結合、粉末結合接着、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを採用することにより達成されるであろう。点固着処理又は滑面カレンダーロールにより印加される熱及び圧力を用いる従来の結合技術を使用することができるが、そのような工程は、繊維の望ましくない変形又はウェブの過度の圧縮を引き起こす場合がある。繊維、特にマイクロ繊維の結合のためのより好ましい技術は、米国特許出願公開第2008/0038976 A1に記載の自己収縮結合方法である。
【0140】
4.任意の追加的な処理工程
複合不織繊維ウェブの作製及び追加結合の上述の方法に加えて、いったん形成されたウェブに対して、所望により、1つ以上の次の処理工程が実行されてもよく、それらは、
(1)複合不織繊維ウェブを、更なる加工作業に向けて加工経路に沿って送り出す工程、
(2)サブマイクロメートル繊維成分、マイクロメートル繊維成分、及び/又は、追加支持体層の外側表面に1つ以上の追加的な層を接触させる工程、
(3)複合不織繊維ウェブを、カレンダー加工する工程、
(4)複合不織繊維ウェブを、表面処理剤又は他の組成物(例えば、難燃剤組成物、接着剤組成物、又は印刷層)でコーティングする工程、
(5)複合不織繊維ウェブを、厚紙又はプラスチックの管に取り付ける工程、
(6)複合不織繊維ウェブを、ロール形状に巻き取る工程、
(7)複合不織繊維ウェブを、繊細化して2つ以上の繊細ロール及び/又は複数個の繊細シートを形成する工程
(8)複合不織繊維ウェブを金型内に置き、新しい形状に複合不織繊維ウェブを成型する工程、及び
(9)存在する場合には、露出した追加の感圧性接着剤の層の上に、剥離ライナーを貼り付ける工程、である。
【0141】
複合不織繊維ウェブを後成形カレンダー加工する加熱中での1つの潜在的な欠点は、ウェブの厚さが元の値の40〜60%まで減少し、このウェブを採用する流体濾過用途ではより大きな圧力損失につながる場合があるということであろう。
【0142】
5.流体濾過媒体及び物品の形成
更なる態様において、本開示は、複合不織繊維ウェブを含む流体濾過媒体の作製方法を提供する。この方法は、少なくとも1.0μm(より好ましくは、少なくとも3μm、5μm又は10μm)の集団メジアン繊維径を有するポリマーマイクロ繊維又は粗大ポリマーマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、10μm未満(より好ましくは、3μm、2μm、又は1μm未満)の集団メジアン繊維径を有する微細ポリマーマイクロ繊維の集団を含む第2層を形成する工程と、第1層を第2層に結合させる工程と、を含む。特定の例示的な実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は配向されていてよく、他の例示的な実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子を含んでいてもよい。
【0143】
更に他の態様において、本開示は、複合不織繊維ウェブを含む流体濾過媒体の作製方法を提供する。この方法は、少なくとも1μmのメジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、第1層に衝突させて1μm未満のメジアン繊維径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を形成する工程と、を含み、これら繊維集団の少なくとも1つは配向されていてもよい。特定の例示的な実施形態では、少なくとも第1層は複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0144】
例示的な一実施形態では、この方法は、第1の有効繊維直径(EFD)を有するポリマー繊維を含む第1の複数個の層と、第2のEFDを有するポリマー繊維を含む第2の複数個の層とを形成する工程を含む。別の実施形態は、その方法が、微粒子を第1の複数個の層の中に第1の密度で設け、第2の複数個の層の中に第2の密度で設ける工程を更に含むことを提示する。別の実施形態では、方法は、第1の収着剤を有する第1の複数の層と、第2の収着剤を有する第2の複数の層とを設ける工程を更に含む。
【0145】
本開示による例示的な複合不織繊維ウェブは、メルトブローン・フィラメント、配合微粒子、又はそれら両方を調整することにより達成される濃度勾配を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、メルトブローン・フィラメント気流を変えることで様々な効果がもたらされる。フィラメント集団平均寸法分布の融合は、異なる目標有効繊維直径で作動している2つ以上の分離したダイから生じる繊維気流を混合することによって、形成できる。
【0146】
同様の効果は、混成吹き込み成形手段の使用、又は米国特許出願公開第2008/0026659 A1号に記載されるような繊維ダイ先端部に交換することにより得られる。混成吹き込み成形手段はまた、ダイ前面にわたって様々な寸法の繊維又は繊維寸法の様々な勾配を有する領域を作り出すために使用することも可能である。こうすることで、フィルター層の構造を、例えば、デプスフィルターでの利用に合あわせて調整できる。粒子、微粒子、凝集体、他の規則的な、不規則若しくは中空の形状、又はこれらの混合物を、1つ以上のこれらフィラメントの流れに添加し、回転式マンドレル又は前進している回収マンドレル上で回収して流体濾過物品を形成することも可能である。
【0147】
他の例示的な実施形態では、2つ以上の繊維形成ダイが、混合フィラメント気流を形成するのではなく、分離した層を形成するように作動させてもよい。ダイはまた、並べて作動させることで、要素が回転式マンドレル上を横断するときに明確な層状効果を生み出すことも可能である。1つ以上のダイに様々なポリマー又は多成分繊維を用いることによって、更なる性能の変化が生じる可能性もある。
【0148】
勾配付き、又は層状の流体濾過物品も、前進する回収マンドレルを用い、粒子ローダーにウェブの対象領域へのみ微粒子を添加させることによって形成できる。このことは、狭い粒子ローダーを更に広幅のダイとあわせて用いることで、又は粒子ローダー内に模様付きフィードロールを用いることで、達成できる。フィードロールは機械加工された空洞部を用いて、ロールがドクターブレードと対向して回転するときに容積測定の供給量を制御する。フィードローラーの前面にわたる(又はその周囲の)空洞部の容積を変えることによって、微粒子の局所的な供給を制御することができ、その結果、得られるウェブ中における微粒子の局所添加重量を制御することもできる。
【0149】
別の方法は、粒子ローダー内で分割ホッパーを利用することである。微粒子は、フィーディングを施したい分割された領域にのみ添加される。この方法はまた、分割された領域内で様々な粒子の利用を可能にすることで2つの粒子寸法を利用できるようにするか、又は処理済みの収着剤若しくは特別な性能を有するものの追加を制御することもできる。複数の粒子ローダーを用いて、対象領域に添加される粒子の量若しくは種類を変えることもできる。
【0150】
更なる実施形態では、ウェブコレクターは、形成用フィルターカートリッジを回転式シャフトから実質上連続的に押し引きするように設計されたある種のフィルターカートリッジ抽出装置を装備している巻き取り用マンドレル又は回転式片持ちシャフトのいずれかの上に、個別のフィルターを形成させるように稼動する、カートリッジ巻き取り機構を含むことができる。
【0151】
これらの手段を用いることにより、複合不織繊維ウェブは、特定の用途に向けて調整されたものとして形成することができる。例えば、微細なポリプロピレン繊維の内側層は、マンドレルコアのすぐ近くに形成することができ、脱落や剥がれを軽減するのに役立つ。内側層の次には、第一次分離のために、粒子配合されたウェブの中間層を提供することができる。加えて、この中間層の上には、所望の機能を有する外側層を形成することができ、例えば、この外側層は、より大きな汚染物質を第一次分離層に達する前に除去するように更に大きな孔径を有する、及び/又は追加のプレフィルター層として働くようにより大きな直径の繊維を有することができる。利用可能な他の多くの配置も、当業者によって製造することが可能であり、本開示の範疇にあると見込まれる。
【0152】
d.流体濾過物品における流体濾過媒体の使用方法
他の態様において、本開示は流体濾過物品を作製するための流体濾過媒体又は要素の使用方法を提供する。例示的な実施例では、流体濾過要素は、第1層として形成され、少なくとも1μmのメジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満のメジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、含み、必要に応じこれら繊維集団の少なくとも一方が配向されている、複合不織繊維ウェブ(又はウェブ積み重ね体)である。必要に応じ、第1層及び第2層の少なくとも一方は、複数個の微粒子を更に含む。
【0153】
別の例示的な実施形態は、流体濾過物品が軸構成の収着剤密度勾配を有することを提供する。また別の例示的な実施形態は、流体濾過物品が放射状構成の収着剤密度勾配を有することを提供する。特定の一実施形態では、流体濾過要素は、収着剤粒子を実質的に含まない自己支持性のある不織ポリマー繊維の第2ウェブの複数の層を更に含む。
【0154】
別の態様において、本開示は、多孔質流体濾過物品を形成するために巻かれた2つ以上の多孔質層を含む流体濾過要素を提供し、これら多孔質層は、自己支持性のある不織ポリマー繊維及び、ウェブに捕捉された複数個の微粒子を含む。流体濾過物品はまた、多孔質物品を包囲する流体不透過性のハウジング、上層又は下層であり得る第1層(粗大繊維)と流体連通する入口、及び対応して下層又は上層になり得る第2層(微細繊維)と流体連通する出口25を含んでもよい。特定の例示的な実施例では、ハウジングは、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層と流体連通する少なくとも1つの流体入口、及び第1層に隣接し、1μm未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層と流体連通する少なくとも1つの流体出口を含んでもよい。例示的な一実施形態では、第1層及び第2層は互いに融合していてもよい。例示的な別の実施形態では、多孔質層は、分離した複合層である。
【0155】
現状で好ましい特定の実施形態では、流体濾過媒体は、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層、及び第1層に重なり、集団メジアン径が1μm未満のサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を含む。いくつかの例示的な実施例では、第1層は多孔質の支持体に隣接している。そのような流体濾過媒体は、マイクロ繊維の集団を含む第1層が、サブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層の前に透過流体に接触する深層濾過の用途では特に有用であろう。
【0156】
現状で好ましい他の実施形態では、第2層が多孔質の支持体に隣接している。そのような流体濾過媒体は、マイクロ繊維の集団を含む第1層が、サブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層に遅れて透過流体に接触する絶対濾過の用途では特に有用となる場合がある。
【0157】
流体濾過物品は、様々な形状及び形態を取ることができる。特定の例示的な実施例では、流体濾過物品は、三次元的幾何学形状の形状を取り、それらは、特定の例示的な実施例では、円筒形、円形ディスク、楕円形ディスク、又は多角形ディスクから選択できる。他の適切な形状及び形態は、当業者に周知である。
【0158】
更なる態様で、流体濾過物品の透過流体との接触を含む流体濾過の方法を提供する。特定の例示的な実施例では、流体濾過物品は、多孔質物品を形成するために巻かれた複数個の多孔質層を含む複合不織繊維ウェブ(又は、ウェブ積み重ね体)を含み、多孔質層は、上述のように自己支持性のある不織ポリマー繊維のウェブ、及び必要に応じて、ウェブに捕捉された複数個の収着剤微粒子、多孔質物品を包囲する流体不透過性のハウジング、第1表面と流体連通する入口、及び第2表面と流体連通する出口を含む。
【0159】
現状で好ましい特定の実施形態では、複合不織繊維ウェブ(又は、ウェブ積み重ね体)は、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層、及び第1層に重なり、1μm未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を含むいくつかの例示的な実施例では、第1層は多孔質の支持体に隣接している。
【0160】
ここで例示的に開示された流体濾過物品は、様々な方法で使用可能である。例示的な一実施形態では、透過流体は、第2層を通過する前に第1層を通過する。例示的な別の実施形態では、透過流体は、第1層を通過する前に第2層を通過する。更なる例示的な実施形態では、第2層は、ひだが付けられており、透過流体は、第1層を通過する前に第2層を通過する。
【0161】
いくつかの実施形態では、透過流体を、重力下で流体濾過物品に通過させてもよい。例示的な他の実施形態では、透過流体は液体又は気体であってもよく、例えば、液体ポンプ、送風機又は気体圧縮機を使用した加圧流体の流動条件下で流体濾過物品を通過させてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、ここで例示的に開示された実施形態による流体濾過物品は、加圧流体の流動条件下で、圧力損失の低減を示すであろう。
【実施例】
【0162】
本発明の例示的な実施形態をこれまで説明し、そして更に実施例として以下にも例示しているが、これらは、本発明の範囲を多少なりとも限定する意図はない。それとは逆に、本明細書中の説明を読むことによって、本開示の趣旨及び/又は添付の請求項の範囲を逸脱することなく当業者に示唆され得る様々な他の実施形態、修正、及びそれらの等価物に頼ることができることが明確に分かる。更に、本開示の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値にみられる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本来有している。最低限でも、また特許請求の範囲の範囲と等価物の原則の適用を制限しようとするものではないが、それぞれの数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して、通常の数値のまるめ方を適用することによって解釈されるべきである。
【0163】
複合不織繊維ウェブの製作
以下の実施例において、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維、及び微細繊維(微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維を含んでもよい)を使用して、多層流体濾過媒体を形成するために積み重ねられる複合不織繊維ウェブを形成する。これら繊維集団の少なくとも1つは、配向されていてもよい。特定の実施例では、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維は、複数個の微粒子を含む。
【0164】
マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維ウェブ(層)−準備的実施例
第1マイクロ繊維層の形成のために使用される以下のマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の準備的実施例が、前述の米国特許出願公開第2006/0096911号(Brey)に記載の粒子配合装置を備えたメルトブローン装置を使用して調製された。この装置の更なる詳細は、米国仮特許出願第61/017,230号において提供されている。
【0165】
この準備的実施例では、FINA 3960(メルトフローインデックスが350のポリプロピレンで、Total Petrochemicals,Houston,Texasから入手可能)、商標名VISTAMAXX 2125(メルトフローインデックスが80のメタロセンポリプロピレンで、Exxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)、EXXON 3746ポリプロピレン(Exxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)、並びにTOTAL 3860及び3960ポリプロピレン(Total Petrochemicals、Houston、Texasから入手可能)を基材樹脂として選択した。実施例のマイクロ繊維ウェブは、ウェブ内部に追加的な微粒子を配合して調製した。いくつかの実施例では、数種類の段階の粒子寸法(例えば、メッシュ寸法)のNC506(PICA、coconut shell)活性炭微粒子を使用した。
【0166】
幅が約25.4cm(約10インチ)の短ヤードの配合ロールが、以下に示す条件下で回収された。溶解温度は、様々な実施例に対して以下に記録される。ポリマーは、25.4cm(約10インチ)幅のドリル穴オリフィスを有するダイ(DOD)から、FINA 3960を基材とするウェブの場合は3.6kg/時(約8ポンド/時)、商標名VISTAMAXXを基材とするウェブの場合は3.0kg/時(約6.5ポンド/時)で押し出した。ダイからの回収までの距離(DCD)は、約30.48cm(約12インチ)であった。基本ウェブ(微粒子を配合していないもの)試料は、目標坪量で回収して、Davies、C.N.、The Separation of Airborne Dust and Particles、Institution of Mechanical Engineers、London Proceedings 1B、1952に記載の方法に従って有効繊維直径(EFD)を測定した。走査電子顕微鏡(SEM)を使用したメジアン径の測定で、2種類の異なるポリプロピレンホモポリマーのブレンドを使用した準備的実施例11では2峰性の繊維寸法分布が示された。空気の温度及び速度は、目標有効繊維直径が得られるように調節した。結果を表1に要約する。
【0167】
【表1】
【0168】
微細マイクロ繊維(層)−実施例
実施例1〜17では、奇数番号は比較実施例であり、厚さ0.44mm又は440μm(0.0175インチ)、坪量50.48gsm、及び3.62mmの水の圧力損失で計測されるメルトブローンウェブ(PP3546Gの堆積巻きで、DELSTAR Technologies、Inc.、Middleton、Delawareから入手可能)が、微細マイクロ繊維を含む第2層として使用された。圧力損失は、室温(約22℃)において1気圧の周囲気圧で、気流に対して5.3cm/秒の一定の前面速度を用いて測定した。有効繊維直径(EFD)6.1マイクロメートルが、この層の繊維集団メジアン径として前述のDaviesに記載の方法に従って算出され、長さ22.9cm(9インチ)のDELSTARメルトブローンウェブの試料が、以下のそれぞれの実施例の調製に使用された。
【0169】
実施例18〜26では、微細マイクロ繊維(実施例18〜20)及びサブマイクロメートル繊維(実施例21〜26)を含む追加的なウェブを使用して、上述の第1層の下に重ねる1つ以上の追加的な層を形成した。実施例18〜20では、準備的実施例10で指定されたウェブ、すなわちExxon 3746ポリプロピレン(Exxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)を4.54kg/時(10ポンド/時)、坪量50gsm、「回収装置までの距離」(DCD)17.78cm(7インチ)でメルトブローすることにより形成され、3.7μm(EFD)の集団メジアン繊維径を有する微細マイクロ繊維を含むウェブが、厚さ約850μm(34ミル)で巻き付け全長15.2cm(6インチ)を有する単一下層(実施例18)、巻き付け全長27.9cm(11インチ)を有する2重層(実施例19)、及び巻き付け全長43.2cm(17インチ)を有する3重層(実施例20)を形成する第2層として使用された。
【0170】
実施例21〜23では、ポリプロピレンのサブマイクロメートル吹き込み形成マイクロ繊維(BMF)の繊維(TOTAL 3960ポリプロピレンでTotal Petrochemical、Houston、Texasから入手可能)の、ポリプロピレンのスパンボンド繊維(TOTAL 3860ポリプロピレンで同じくTotal Petrochemical、Houston、Texasから入手可能)との相互混合物を含む、準備的実施例11で指定されたウェブが、これら混合繊維がウェブへと回収される前に、吹き込み形成されたこのマイクロ繊維を配向されたスパンボンド繊維へとメルトブロー加工することにより形成されて、厚さ約1150μm(45.2ミル)で巻き付け全長15.24cm(6インチ)の単一下層(実施例21)、巻き付け全長26.4cm(11インチ)の2重層(実施例22)、及び巻き付け全長43.2cm(17インチ)の3重層(実施例23)を形成するために使用された。
【0171】
実施例24では、0.6〜0.8μmの集団メジアン径を有するKuraray WJ05118−01P(エチレンビニルアルコール[EVOH]海中の100gsmの海中島ポリプロピレン繊維)を使用して、巻き付け全長15.24cm(6インチ)を有する単一下層を形成した。
【0172】
実施例25では、0.6〜0.8μmの集団メジアン径を有するKuraray NP060120−14H(EVOH海中の100gsmの海中島ポリプロピレン繊維)を使用して、厚さ約430μm(17ミル)で巻き付け全長15.24cm(6インチ)を有する単一下層を形成した。
【0173】
実施例26では、ポリプロピレンスパンボンド(坪量35gsm)の支持体ウェブが、0.5〜0.6μmの集団メジアン径を有するポリプロピレンサブマイクロメートル繊維(坪量27gsm)でコーティングされて、(Nanofiber Technology Inc(NTI)、Charlotte、North Carolina製の抄紙されたウェブとして得られる]巻き付け全長15.24cm(6インチ)を有する下層を形成するために使用された。
【0174】
流体濾過媒体の製作
上述の炭素配合されたマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維及び微細マイクロ繊維のウェブは、一般に以下の例示的方法を用いて流体濾過物品に組み込まれた。
【0175】
1.概略寸法が20.32cm×長さ30.48cm(幅約8インチ×12インチ)の小区域を切り出した。この試料の重量を測定し、約100グラムの媒体を含んだフィルターを得るために必要とされるウェブの長さを検出する計算を行った。
【0176】
2.InterNet(RN−2540)より入手した剛性のチューブを、概略寸法3.68cmOD×35.24cm(約1.45”の「外径」(OD)及び13.875”の長さ)で得た。このチューブは、チューブ全体に約0.381cm(約0.15”インチ)角の開口部を備えていた。
【0177】
3.微細繊維ウェブ層を、粗大繊維配合ウェブを(巻き付けると指定された試料に)巻き付ける前に、このInterNetチューブの周囲に巻き付けた。
【0178】
4.粒子配合された粗大繊維ウェブを、正確な長さで試料ロールから切り出した。約91.44〜121.92cm(約3〜4フィート長)の試料を、約20.32cm(約8インチ)にまで切り出して、約100グラムの微粒子配合を作り出した。
【0179】
5.巻き付け用のマイクロ繊維若しくは粗大マイクロ繊維ウェブ(比較実施例)又は巻き付け用の複合多層ウェブ(実施例)をチューブの外径に3M 3164ホットメルト接着剤(3M Company、St.Paul、Minnesotaから入手可能)を使用して接着した。
【0180】
6.ウェブを、チューブの周りに好適な長さにわたって巻き付けた。
【0181】
7.ウェブの外側縁部を、同じホットメルト接着剤を使用して、ウェブの内側層に接着した。
【0182】
8.チューブをのこぎりにかけて、一方の末端部を、良好な取り付けが視認できる箇所で切断した。もう一方の末端部を切断して、長さ約20.32cm(約8インチ)のフィルターを得た。
【0183】
9.フィルターの末端部を、3M 3164ホットメルト接着剤を使用して端部キャップに埋め込んだ。
【0184】
例示的な多層複合不織繊維流体濾過媒体を、表2に要約する。
【0185】
【表2】
【0186】
流体濾過媒体の試験
上記実施例1〜26により形成された特定の流体濾過物品を、初期排水濁度及び圧力損失を含む性能試験により検証した。
【0187】
初期排水濁度試験
流体濾過システムを給水設備に接続し、フィルターを通過する最初の水を採取した。この方法は、規定条件下での試料による光散乱強度と、同条件下での標準対照による光散乱強度との比較に基づいている。散乱した光の量が多いほど、水中での濁度レベルが高いことを示す。データは、通常、比濁計濁度単位あるいはNTUで報告される。<0.5NTUの値は、NSF/ANSI飲料水規格を満たす。
【0188】
実施例1〜26による流体濾過物品を、端部キャップのストロー末端部に取り付けるJohn Guest接合器具に合わせて改修したハウジングに挿入して、流体(例えば、水)入口が第1の(マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の)上層と流体連通し、流体(例えば、水)出口が第2の(微細繊維の)下層と流体連通するようにした。このハウジング/フィルター構造体を、Eagan、Minnesota都市水道システムからの水が流れ出る試験台に接続した。最初の1リットルは、排水流から採取した。濁度を測定して記録した。次に試料を2.92リットル/分(毎分約0.75ガロン(gpm))でそのまま流し、追加の試料を3.89、19.46、38.92、97.3、194.6、及び389リットル(それぞれ約、1、5、10、25、50及び100ガロン)の段階で採取した。濁度をそれぞれの段階の試料で測定した。実施例1〜16の結果を図7〜9にプロットする。
【0189】
実施例17〜26の結果を表3に要約する。表4に示すように、所定の流量において測定した濾過要素を備えた入口圧力と、同じ流量で測定した濾過要素を備えていない入口圧力(すなわち、表4に列記した対照圧力)との間の差として算出された実施例17〜26のフィルターの浄化圧力損失は低く、そのようなフィルターは家全体の水濾過用途に有利であろう。
【0190】
走査電子顕微鏡解析
準備的実施例8(堆積巻き付け無し)は最も微細な(80×325)炭素寸法を含んでおり、流体濾過用途で用いた場合に最も高い確率で粒子を脱落する。濁度試験の終了後に保持されていた最小の炭素粒子の寸法を観測するため、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して、この流体濾過物品を解析した。図10は、この解析から得られた顕微鏡写真の一例を示している。一連の顕微鏡写真の解析は、粒子配合された繊維マトリックスに保持された最小の炭素粒子(くず以外)が62×45μmであることを明らかにした。(US 230 Tylerのメッシュふるいが保持するのは63μm以上の粒子であると報告されている)。
【0191】
【表3】
【0192】
【表4】
【0193】
本明細書全体を通して言及する「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」は、用語「実施形態」に先行する用語「特定の」を含むかどうかを問わず、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の実施形態の少なくとも1つに含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」といった句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0194】
本明細書は、特定の例示的な実施形態を詳細に説明しているが、上述の事項を理解することにより、当業者がこれらの実施形態に対する変更、その変形、及びそれらの相当物を容易に想起できることは明らかである。したがって、本開示は、本明細書における上述の例示的な実施形態例に不当に限定されるものではないことを理解すべきである。特に、本明細書で使用されるように、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数を含むことが意図されている(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。加えて、本明細書で使用する全ての数字は、用語「約」により修正されることが想定されている。様々な例示的な実施形態が説明されてきた。これら及び他の実施形態は、下記の特許請求の範囲の範疇にある。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年12月31日に出願された米国特許仮出願第61/017,994号の利益を主張し、その開示内容の全体を参照することにより本明細書に援用する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、流体濾過物品並びにそのような物品の作製方法及び使用方法に関する。本開示は更に、サブマイクロメートル繊維及びマイクロ繊維のような微細繊維を含み、流体濾過物品に有用である複合不織繊維ウェブに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、家庭用の水濾過及び呼吸器に使用されるような、数多くの種類の流体濾過システムが市販されている。こうした流体濾過システムの濾過媒体として、不織繊維ウェブが頻繁に用いられる。そのような不織繊維ウェブは、2種類以上の繊維、例えば、それぞれが異なる平均直径を有する、2つの異なるマイクロ繊維の集団を含む場合があるため、そうした不織繊維ウェブは広範囲の寸法の粒子を濾過することができる。通常、繊維の異なる集団が単一層のウェブ内で相互に混合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
濾過媒体として有用な多層不織繊維ウェブの一実施例が米国特許出願公開第2004/0035095号(Healey)に記載されている。多層不織繊維ウェブの別の実施例が、スパンボンド繊維の層、メルトブローンマイクロ繊維の層、及び別のスパンボンド繊維の層を含む、いわゆるSMS(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド)ウェブにより提供されている。濾過媒体として有用ないくつかの不織繊維ウェブでは、活性炭のような収着剤微粒子をウェブ内部に組み込むことが有利であると認められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
小型の流体濾過システム、例えば、家庭用の水濾過システムの供給に対する要望は絶えることがない。流体濾過物品を形成する工程中に、濾過媒体として有用な不繊繊維ウェブの劣化又は損傷を最低限に抑えることが、更に望まれている。吸収剤及び/又は吸着剤微粒子のような活性微粒子を高い配合量で有しながら、水濾過システムを通じた圧力損失を増大させることのない、流体濾過物品を提供することも必要とされている。繊維マトリックス内に微粒子を効果的に保持することにより、透過流体への粒子の溶出を防止する、微粒子配合不織繊維ウェブを提供することも望まれている。加えて、改善された耐用期間及び濾過効力を有する流体濾過物品を供給することが引き続き必要とされている。
【0006】
一態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1マイクロメートル(μm)の集団メジアン径を有する粗大マイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細繊維の集団と、を含む、複合不織繊維ウェブの形態を取る物品に関する。これら繊維集団の少なくとも一方は配向されていてもよい。
【0007】
例示的な一実施形態では、粗大マイクロ繊維及び微細繊維はポリマーであり、この粗大マイクロ繊維の集団は少なくとも1μmの集団メジアン径を有し、微細繊維の集団は、10μm未満の集団メジアン径を有する。他の代表的な実施形態では、微細繊維の集団は、1μm未満の集団メジアン径を有する。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。特定の実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は、複数個の微粒子を含む。
【0008】
別の態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1μmのメジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満のメジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、を更に含む、複合不織繊維ウェブを含む、流体濾過媒体に関する。これら繊維集団の少なくとも一方は配向されていてもよい。特定の代表的な実施形態では、少なくとも第1層は、複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0009】
追加的な態様において、本開示は、上述の流体濾過媒体の使用方法に関し、この方法は、透過流体を第1層及び第2層に通過させことであって、透過流体は、第2層を通過する前に第1層を通過することを含む。他の代表的な実施形態では、第2層は、ひだが付けられており、透過流体は、第1層を通過する前に第2層を通過する。
【0010】
更なる態様において、本開示は、複合不織繊維ウェブを含む流体濾過媒体の作製方法に関し、この方法は、少なくとも1μmの集団メジアン繊維径を有する粗大ポリマーマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、10μm未満の集団メジアン繊維径を有する微細ポリマーマイクロ繊維の集団を含む、第2層を形成する工程と、第1層及び第2層の一方又は両方を配向させる工程と、第1層を第2層に結合させる工程と、を含む。いくつかの代表的な実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子を含む。
【0011】
更に別の態様において、本開示は、少なくとも1μmのメジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、第1層に衝突させて第2層を形成する工程であって、この第2層は、1μm未満のメジアン繊維径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む、工程と、を更に含む、複合不織繊維ウェブを含む流体濾過媒体の作製方法に関し、これら繊維集団の少なくとも1つは配向されていてもよい。特定の例示的な実施形態では、少なくとも第1層は、複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0012】
更なる態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、第1及び第2層を包囲する流体不透過性のハウジングと、を含み、このハウジングは、第1層と流体連通する少なくとも1つの流体入口及び第2層と流体連通する少なくとも1つの流体出口を含む、流体濾過物品に関する。いくつかの例示的な実施形態では、流体は液体、例えば水であってもよい。例示的な他の実施形態では、流体は気体、例えば空気であってもよい。
【0013】
本開示の例示的な実施形態の種々の態様及び利点の概要がまとめられてきた。上記の概要は、本発明の図解された各実施形態、又は本発明のあらゆる実施を記載するものではない。以下の図面及び「発明を実施するための形態」により、本明細書に開示される原理を利用した特定の好ましい実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の例示的な実施形態を以下の添付の図を参照して更に説明する。
【図1A】流体濾過媒体を製造するための、例示的な多孔質の複合不織繊維ウェブの略図。
【図1B】流体濾過媒体を製造するための、例示的な多孔質の、粒子配合された複合不織繊維ウェブの略図。
【図2】流体濾過媒体を製造するための、例示的な多孔質の複合不織繊維ウェブ積み重ね体の概略図。
【図3】例示的な流体濾過物品で使用される、図2の例示的な多孔質の複合不織繊維ウェブ積み重ね体の概略図。
【図4】例示的な流体濾過物品で有用である、例示的な円筒状に巻かれた多孔質のウェブ積み重ね体の断面図。
【図5】流体濾過物品の例示の一実施形態として使用するために構成された、図4による例示の円筒状に巻かれた多孔質のウェブ積み重ね体の断面端面図。
【図6】流体濾過物品の別の例示の実施形態として使用するために構成された、図4による例示的な円筒状に巻かれた多孔質のウェブ積み重ね体の断面端面図。
【図7】本開示による例示的な流体濾過物品での透過容積に応じた濁度を示すグラフ。
【図8】本開示による例示的な流体濾過物品での透過容積に応じた濁度を示す別のグラフ。
【図9】本開示による例示的な流体濾過物品での透過容積に応じた濁度を示す追加的なグラフ。
【図10】本開示による例示的な流体濾過物品内の1つの層の走査電子顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語
本明細書で使用する用語を以下に定義する。
【0016】
「マイクロ繊維」とは、少なくとも1マイクロメートル(μm)のメジアン径を有する繊維を意味する。
【0017】
「粗大マイクロ繊維」とは、少なくとも10μmのメジアン径を有するマイクロ繊維を意味する。
【0018】
「微細マイクロ繊維」とは、10μm未満のメジアン径を有するマイクロ繊維を意味する。
【0019】
「超微細マイクロ繊維」とは、2μm以下のメジアン径を有するマイクロ繊維を意味する。
【0020】
「サブマイクロメートル繊維」とは、1μm未満のメジアン径を有する繊維を意味する。
【0021】
本明細書中で特定の種類のマイクロ繊維のバッチ、群、アレイ等の表現を用いる場合、例えば、(サブマイクロメートル繊維のアレイ)、そのアレイにおけるマイクロ繊維の集団全体か、又は単一のバッチのマイクロ繊維の集団全体を意味し、そのアレイ又はバッチの、サブマイクロメートル寸法の部分のみを意味するものではない。
【0022】
「配向された連続マイクロ繊維」とは、ダイから出て、処理ステーションを通り、そこで繊維が恒久的に引き延ばされ、繊維内のポリマー分子の少なくとも一部が繊維の長手方向軸に対して整列するように恒久的に配向される本質的に連続な繊維を意味する(繊維に関して使用される「配向された」とは、繊維のポリマー分子の少なくとも一部が繊維の長手方向軸に沿って整列していることを意味する)。
【0023】
「メルトブロー繊維」とは、溶融状態の繊維形成材料をダイのオリフィスを通じて高速の気体流の中に押し出すことによって製造される繊維を意味し、その際、押し出された材料は先ず細径化され次いで繊維の塊として固化する。
【0024】
「分離して調製されたマイクロ繊維」とは、マイクロ繊維流が最初はより大きい寸法のマイクロ繊維流から空間的に分離している(例えば、約25mm(1インチ)以上の距離をあけて)が、そのマイクロ繊維流に飛翔中に合流して分散するように位置決めされたマイクロ繊維形成装置(例、ダイ)から製造されるマイクロ繊維の流れを意味する。
【0025】
「不織布ウェブ」とは、繊維が絡まり合ったり、点固着していることを特徴とする繊維のウェブを意味する。
【0026】
「自己支持性がある」とは、実質的に破けたり破損することがなく、覆いやすく、かつ取り扱いやすい、十分な粘調度及び強度を有するウェブを意味する。
【0027】
「ウェブ坪量」は、10cm×10cmのウェブ試料の重量から算出される。
【0028】
「ウェブ厚さ」は、10cm×10cmのウェブ試料上に、テスターフットを有する厚さ試験測定器を用いて、5cm×12.5cmの寸法で150Paの圧力を印加して測定する。
【0029】
「嵩密度」とは、文献からの引用で、ウェブを組成する嵩ポリマー又はポリマーブレンドの単位容積当たりの質量である。
【0030】
「有効繊維直径」とは、室温で1気圧の空気を特定の厚さ及び前面速度(通常、5.3cm/秒)でウェブ試料に通過させて、対応する圧力損失を計測する空気透過試験に基づく、繊維ウェブの繊維の視直径である。計測された圧力損失を基に、Davies,C.N.,The Separation of Airborne Dust and Particles,Institution of Mechanical Engineers,London Proceedings,1B(1952)に記載のとおり有効繊維直径が算出される。
【0031】
「分子的に同一のポリマー」とは、本質的に同じ繰り返し分子単位を有するが、分子量、製造方法、市販形態等が異なる場合があるポリマーを意味する。
【0032】
「メルトブロー」及び「メルトブローン加工」とは、フィラメントを形成するために繊維形成材料を複数のオリフィスを通して押し出す一方で、空気又はその他の細径化するための流体と接触させてそれらフィラメントを微細化して繊維にし、更にその後、細径化された繊維の層を回収することにより、不織布ウェブを形成する方法を意味する。
【0033】
「フィラメントを細径化して繊維にする」という用語は、フィラメントのセグメントを、より長く、より小さな直径のセグメントに変化させることを意味する。
【0034】
「スパンボンド」及び「スパンボンド加工」とは、低粘度の溶融物を複数のオリフィスを通して押し出すことによりフィラメントを形成し、そのフィラメントの少なくとも表面を凝固するためにフィラメントを空気又はその他の流体で急冷して、少なくとも部分的に凝固したフィラメントを空気又はその他の流体と接触させフィラメントを繊維までに細径化し、細径化した繊維層を回収し、必要に応じてカレンダー加工する工程とにより不織布ウェブを形成する方法を意味する。
【0035】
「スパンボンド繊維」とは、スパンボンド加工を用いて作られた繊維を意味する。このような繊維は一般的に連続であり、かつ十分に絡んでいる又は点固着しているので、1つのスパンボンド繊維を完全な形でこのような繊維の塊から取り除くことは通常可能ではない。
【0036】
「ダイ」とは、ポリマー溶融加工及び繊維押し出し加工において使用される処理アセンブリを意味し、それらの工程にはメルトブロー及びスパンボンド加工が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
「粒子」及び「微粒子」は、実質上互換的に使用される。通常、粒子又は微粒子とは、微粉砕形態の材料の識別可能な小片又は個別部位を意味する。しかし、微粒子は、微粉砕形態の個別粒子が共に関連又は集積した総体を含んでもよい。したがって、本開示の特定の例示的な実施形態で使用される個別粒子は、凝集、物理的噛み合い、静電結合、又は他の結び付き方により微粒子を形成してもよい。特定の例において、個別粒子の凝集体の形態を取る微粒子は、米国特許第5,332,426号(Tang et al.)に記載されるように意図的に形成することもできる。
【0038】
「粒子配合メルトブロー媒体」又は「複合不織繊維ウェブ」とは、開放構造の絡まり合った繊維の塊を有する不織布ウェブを意味し、この繊維は、例えば、サブマイクロメートル繊維及び場合によってはマイクロ繊維であって、繊維間に捕捉された粒子を含み、これら粒子は場合によっては吸収剤及び/又は吸着剤である。
【0039】
「捕捉される」とは、粒子がウェブの繊維中に分散されて物理的に保持されていることを意味する。通常は、繊維及び粒子に沿って点接触及び線接触しているので、粒子のほぼ全ての表面積が流体との相互作用に利用できる。
【0040】
「自己結合」とは、点固着又はカレンダー加工のように固体接触圧力を印加することがなくとも、オーブン内又はスルーエア結合機で得られるような高温での繊維間の結合を意味する。
【0041】
「カレンダー加工」とは、例えば、ポリマー吸収剤配合のウェブのような製品をローラーに通して圧縮材料を得る工程を意味する。ローラーは所望により、加熱してもよい。
【0042】
「高密度化」とは、フィルター巻き取り軸又はマンドレルの上に直接又は間接的に堆積した繊維を、堆積前又は堆積後に圧縮し、そして意図的であれ、形成中のフィルター又は形成されたフィルターを取り扱ういくつかの工程の人為的結果としてであれ、より多孔性の低い領域を全般的に又は局所的に形成するように製造する工程を意味する。高密度化はまた、ウェブのカレンダー加工法を含む。
【0043】
「流体処理ユニット」、「流体濾過物品」、又は「流体濾過システム」とは、多孔質の複合不織繊維ウェブのような流体濾過媒体を含む物品を意味する。これらの物品は一般的に、流体濾過媒体のためのフィルターハウジング、及び処理された流体をこのフィルターハウジングから適切な方法で排出するための出口を含む。「流体濾過システム」という用語はまた、未処理の気体又は液体のような、未加工の流体を、処理済の流体から分離するいずれの関連方法をも含む。
【0044】
「空隙容積」とは、フィルターのような多孔質本体内における無充填スペースの百分率又は少数値を意味し、フィルターの重量及び体積を測定した後に、このフィルターの重量と、体積の等しい同一の構成材料からなる固体塊の理論上の重量とを比較することにより算出される。
【0045】
「多孔性」とは、材料中の空隙スペースの1つの尺度を意味する。孔及び空隙の寸法、頻度、数、及び/又は相互接続性が、材料の多孔性に影響する。
【0046】
「層」とは、2つの主表面の間に形成された単一の階層を意味する。例えば、ウェブの厚みを画定する第1及び第2主表面を有する単一ウェブ内に多数の階層を伴って形成される単一の階層のように、1つの層が、単一のウェブ内部に存在する場合がある。層はまた、例えば、ウェブの厚みを画定する第1及び第2主表面を有する第1ウェブに単一の階層があり、そのウェブが、第2ウェブの厚みを画定する第1及び第2主表面を有する第2ウェブにより上又は下から重ねられ、この場合、第1及び第2ウェブのそれぞれが少なくとも1つの層を形成するように、多数のウェブを含む複合物品で存在する場合もある。加えて、層は単一のウェブ内部及び、そのウェブと他の1つ以上のウェブとの間に同時に存在し、それぞれのウェブが1つの層を形成する場合もある。
【0047】
特定の第1層に関して「隣接する」とは、別の第2層に接合又は結合し、第1層及び第2層のそれぞれが隣り合って(すなわち、隣接して)、互いに直接的に接触するか、又は直接的な接触ではなく(すなわち、第1層と第2層との間に介在する、1つ以上の追加的な層がある)互いに接在する位置にあることを意味する。
【0048】
「微粒子密度勾配」、「吸着剤密度勾配」、及び「繊維集団密度勾配」とは、特定の繊維集団内での微粒子、収着剤、又は繊維材料の含量(例えば、ウェブの指定領域上の単位容積当たりの所定の材料の数、重量、又は容積)が、複合不織繊維ウェブ全体にわたって均一である必要はなく、ウェブの特定領域にはより多く、他の領域にはより少なく材料を提供するように変動し得ることを意味する。
【0049】
本開示の種々の例示的な実施形態が特に図を参照して、ここに説明されるであろう。本発明の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更形態を取ることができる。それ故に、本発明の実施形態は次に記載される実施形態に限定されるべきではなく、請求項及びそのいずれかの等価物に記載される限定によって制御されるべきであることは理解される必要がある。
【0050】
A.複合不織繊維ウェブ(流体濾過媒体及び物品)
一態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1マイクロメートル(μm)の集団メジアン径を有するマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細繊維の集団と、を含む、複合不織繊維ウェブの形態を取る物品を提供する。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。
【0051】
例示的な一実施形態では、粗大マイクロ繊維及び微細繊維はポリマーで、このマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団は、少なくとも1μmの集団メジアン径を有し、微細繊維の集団は、10μm未満の集団メジアン径を有する。例示的な別の実施形態では、微細繊維の集団は、1μm未満の集団メジアン径を有する。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。特定の実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子を含む。
【0052】
別の態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1μmのメジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満のメジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、を更に含む、複合不織繊維ウェブの形態を取る流体濾過媒体を提供する。これら繊維集団の少なくとも一方は、配向されていてもよい。特定の例示的な実施形態では、少なくとも第1層は、複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0053】
配向された繊維とは、繊維内に分子配向が存在する繊維である。完全に配向されたポリマー繊維及び部分的に配向されたポリマー繊維は、既知であり市販されている。繊維の配向は、複屈折、熱収縮、X線散乱、及び弾性率を含む多くの方法で測定可能である(例えば、Principles of Polymer Processing,Zehev Tadmor and Costas Gogos,John Wiley and Sons,New York,1979,pp.77〜84を参照されたい)。結晶及び非晶質材料の両者とも結晶化とは無関係の分子配向を示すことがあり得るため、分子配向は結晶性と区別される点に注目することが重要である。したがって、メルトブロー又は電界紡糸法により作られた市販の既知のサブマイクロメートル繊維が配向されていないとしても、それらの工程を使用して作られた繊維に分子配向を付与する既知の方法が存在する。しかしながら、Torobinにより説明された工程(例えば、米国特許第4,536,361号を参照のこと)が分子配向された繊維を製造することは明らかにされていない。
【0054】
図1Aを参照して、本開示の例示的な実施形態による流体濾過媒体を製造するための例示的な複合不織繊維物品の概略を説明する。複合不織繊維ウェブ10は、この第1層の上に微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含み得る第2層14によって重ねられた、マイクロ繊維の集団12を含む第1層を含む。マイクロ繊維の集団12は粗大マイクロ繊維であってもよい。粗大から微細までの繊維集団メジアン径の勾配は、ウェブ10の厚さTにわたって示される。しかしながら、他の勾配(図示せず)、例えば、ウェブの厚みにわたって微細から粗大までの繊維集団メジアン径の勾配を使用してもよいことを理解されたい。更なる例示的な実施形態では、微粒子濃度及び/又は微粒子寸法の勾配が一方又は両方の層の厚みにわたって、あるいは一方又は両方の層の厚みを通じて作り出されてもよい。
【0055】
追加的な実施形態では、必要に応じた支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)も、例示的な他の実施形態において含まれてもよい。別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例、マイクロ繊維)は、第2層(例、微細繊維)に重なってもよい。
【0056】
図1Bは、本開示の例示的な実施形態による流体濾過媒体を製造するための別の例示的な複合不織繊維物品の概略図である。複合不織布繊維ウェブ10は、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含み得る第2層によって重ねられた、マイクロ繊維の集団12を含む第1層を含む。マイクロ繊維の集団12は粗大マイクロ繊維であってもよい。複数個の微粒子16が第1層のマイクロ繊維12の間に分散している。粗大から微細までの繊維集団メジアン径の勾配は、ウェブ10の厚さTにわたって示される。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例、マイクロ繊維)は、第2層(例、微細繊維)に重なってもよい。必要に応じた支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)が、例示的な他の実施形態において含まれてもよい。
【0057】
図2は、本開示の例示的な実施形態による流体濾過媒体又は要素を製造するための別の例示的な複合不織繊維物品の概略図である。複合不織繊維要素24は、2つの個別の層を形成するために重ねられた2つのウェブを含む。図示の実施形態では、マイクロ繊維の集団12を含む第1層20は、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団14を含み得る第2層10’によって重ねられている。マイクロ繊維の集団12は、粗大マイクロ繊維であってもよい。複数個の微粒子16は、第1層20のマイクロ繊維の集団12の間に分散している。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層20(例、マイクロ繊維)は、第2層10’(例、微細繊維)に重なってもよい。他の実施形態(図示せず)では、追加的な上重ね又は下重ねするウェブにより、又は複合不織布物品10’の厚さTにわたって、繊維集団メジアン径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量あたりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば、高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を形成することにより、追加的な層が形成されてもよい。
【0058】
更なる態様において、本開示は、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有する集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、第1及び第2層を包囲する不透過性のハウジングと、を含み、このハウジングは、第1層と流体連通する少なくとも1つの流体入口及び第2層と流体連通する少なくとも1つの流体出口を含む、流体濾過物品に関する。いくつかの例示的な実施形態において、流体は液体、例えば、水であってもよい。例示的な他の実施形態において、流体は気体、例えば、空気であってもよい。
【0059】
図3は、例示的な積み重ねられた流体濾過物品28で用いられる、図2の例示的な多層複合不織繊維ウェブの概略図であり、例えば、流体は空気のような気体である。図3は気体濾過の観点から説明されるが、他の流体、例えば、液体(例えば、水)を使用してもよいことを理解されたい。
【0060】
図3は、例えば、呼吸器として有用となり得る例示的な流体(例えば、気体)濾過物品28の断面図を示す。図3で例示されるように、例示的な流体(例えば、気体)濾過物品28は、図2に示される複合不織繊維要素24を積み重ねた配置で使用する。複合不織繊維要素24は、2つの個別の層を形成するために重ねられた2つのウェブを含む。
【0061】
図示の実施形態では、マイクロ繊維の集団(図2の12)を含む第1層20は、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団(図2の14)を含み得る第2層10’によって重ねられ、隣接されている。マイクロ繊維の集団(図2の12)は粗大マイクロ繊維であってもよい。複数個の微粒子16は、第1層20内に分散している。別の一実施形態(図示せず)では、第1層20(例、マイクロ繊維)は、第2層10’(例えば、微細繊維)に重なって、隣接してもよい。(例えば、微細繊維)に重なって、隣接してもよい。他の実施形態(図示せず)では、追加的な隣接して上重ね若しくは下重ねするウェブにより、又は複合不織繊維要素24の厚さTにわたって、繊維集団メジアン径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量あたりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を形成すること、により追加的な層が形成されてもよい。
【0062】
例示的な流体(例えば、気体)濾過物品28の内部は、少なくとも部分的に複合不織繊維要素24で充填することができる。ハウジング29は、穿孔カバー22を含み、複合不織繊維要素24を包囲する。ハウジング29は、第1層20と流体連通する少なくとも1つの流体入口23及び第2層10’と流体連通する少なくとも1つの流体出口25を含む。例えば、図3に示すように、流体(例えば、周囲空気)が、ハウジング29の穿孔カバー22の流体(例えば、気体)入口開孔23を通って濾過物品28に入り込み、複合不織繊維要素24を通過して(この際に、第1層20内に分散する微粒子16により、そのような流体中の潜在的有害物質の吸収及び/又は吸着が可能となる)、流体出口開孔25(例えば、ハウジング29の支持部26に取り付けられた気弁25)を通って流体(例えば、気体)濾過物品28から抜け出る。フランジ27により、流体(例えば、気体)濾過物品28を呼吸器(図示せず)のような流体(例えば、気体)濾過装置に交換可能に取り付けることができる。好適な呼吸器は、当業者の周知とするところである。
【0063】
図3に示すように、例示的な流体(例えば、気体)濾過物品28は、図2に示す複合不織繊維要素24を使用する。別の実施形態では、例えば、図1A及び図1Bの説明で例示又は説明したような他の複合不織繊維物品を使用してもよい。別の一実施形態(図示せず)では、第1層20(例えば、マイクロ繊維)は、第2層10’(例えば、微細繊維)に重なってもよい。他の実施形態(図示せず)では、図1A及び図1Bにおいて説明したように、追加的な上重ね又は下重ねするウェブにより、又は複合不織繊維要素10’の厚さTにわたって、繊維集団メジアン径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量当たりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば、高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を形成すること、により追加的な層が形成されてもよい。本明細書に記載されるように、追加的な層(図示せず)は追加支持体層(図示せず)を含んでもよい。
【0064】
図4は、円筒状流体濾過媒体30で有用となる、例示的な円筒状に巻かれた多孔質ウェブの断面図である。図1Aの複合不織繊維ウェブ10が、中空コア35を有する円筒を形成するように巻かれており、この円筒は、マイクロ繊維の集団を含む第1マイクロ繊維層12が、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含み得る第2微細繊維層14により重ねられた外側半径層を形成するように巻かれたものである。マイクロ繊維の集団は粗大マイクロ繊維であってもよい。繊維集団メジアン径の粗大から微細までの勾配は、ウェブ10の厚さTにわたって、第1マイクロ繊維層12の外端から中空コア35の外端までの半径方向の移動で示される。他の実施形態(図4では示さず)では、第1マイクロ繊維層の外端から中空コアの外端への半径方向の移動における微細から粗大までの繊維集団メジアン径の勾配を用いてもよい。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。
【0065】
更なる実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子(図4では示さず)を含んでもよい。ウェブ10の半径方向の厚さTにわたって、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量当たりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば、高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を示すように、複数個の微粒子が第1マイクロ繊維層及び第2微細繊維層の一方又は両方に分散されていてもよい。追加支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)も、追加の例示的な実施形態において含まれてもよい。
【0066】
図5は、円筒状流体濾過媒体30の例示的一実施形態として使用するために構成された、図4により例示された構想による、円筒状に巻かれた多孔質ウェブの例示的な実施形態の断面端面図である。図2により例示され、図5により追加の微粒子(図2の16)無しで示された複合不織繊維ウェブ24が、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層14に隣接する中空コア35内部に配置された多孔質の円筒状メッシュ層36の周りで円筒状に巻かれて示されている。第1層12は、マイクロ繊維の集団を含み、第2層14により重ねられた外側半径層を形成する。マイクロ繊維の集団は、粗大マイクロ繊維であってもよい。繊維集団メジアン径の粗大から微細までの勾配は、ウェブ10の厚さTの半径方向にわたって示されている。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。他の実施形態(図5では示さず)では、第1マイクロ繊維層の外端から多孔質の円筒状メッシュ層の外端への半径方向の移動における微細から粗大までの繊維集団メジアン径の勾配を使用してもよい。また別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。
【0067】
更なる実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子(図5では示さず)を含んでもよい。ウェブ10の半径方向にわたって、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば繊維質量あたりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を示すように、複数個の微粒子が第1マイクロ繊維層及び第2微細繊維層の一方又は両方に分散されていてもよい(図5では示さず)。追加支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)も、追加の例示的な実施形態において含まれてもよい。
【0068】
図6は、円筒状流体濾過媒体30の別の例示的実施形態として使用するために構成された、図4による例示的な円筒状に巻かれた多孔質のウェブの断面端面図である。図1Aの複合不織繊維ウェブ10は、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層14に隣接する中空コア(図6では示さず)を充填するように位置決めされた多孔質の円筒状コア36’の周りで円筒状に巻かれて示されている。第1層12は、マイクロ繊維の集団を含み、第2層14により重ねられた外側半径層を形成する。マイクロ繊維の集団は、粗大マイクロ繊維であってもよい。繊維集団メジアン径の粗大から微細までの勾配は、ウェブ10の半径方向にわたって示されている。別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。他の実施形態(図6では示さず)では、第1マイクロ繊維層の外端から多孔質の円筒状コアの外端までの半径方向の移動における微細から粗大までの繊維集団メジアン径の勾配を使用してもよい。別の一実施形態(図示せず)では、第1層(例えば、マイクロ繊維)は、第2層(例えば、微細繊維)に重なってもよい。
【0069】
更なる実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は、複数個の微粒子(図6では示さず)を含んでもよい。半径方向のウェブ10にわたって、微粒子集団平均径の勾配(例えば、粗大から微細、微細から粗大、及びその他)、及び/又は例えば、繊維質量当たりの微粒子質量として表される微粒子濃度の勾配(例えば、高濃度から低濃度、低濃度から高濃度、及びその他)を示すように、複数個の微粒子が第1マイクロ繊維層及び第2微細繊維層の一方又は両方に分散されていてもよい(図6では示さず)。追加支持体層(図示せず)を含む追加的な層(図示せず)も、追加の例示的な実施形態において含まれてもよい。
【0070】
図4〜6により図示される例示的な円筒状流体濾過媒体30のそれぞれは、第1層及び第2層を包囲する流体不透過性のハウジング(図4〜6には図示せず)を含む流体濾過物品で使用することができ、このハウジングは、第1マイクロ繊維層(図4〜6の12)と流体連通する少なくとも1つの流体入口(図示せず)及び第2微細繊維層(図4〜6の14)と流体連通する少なくとも1つの流体出口(図示しないが、通常、図4〜5の中空コア35又は図6の多孔質の円筒状メッシュ層36に接続している)を含む。そのような流体不透過性のハウジングは、当業者の周知とするところである。特定の例示的な実施形態では、流体は液体、例えば、水が選択されてもよい。
【0071】
図では例示されない他の例示的な実施形態では、多層複合不織繊維ウェブは、支持体層(例えば、ウェブ)上に、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、又はサブマイクロメートル繊維の集団を含む下層上に粗大マイクロ繊維の上層を含む複合不織繊維ウェブを、少なくともそれら繊維の一部分が、支持体層に、単一層の複合不織繊維ウェブの主表面で接触するように重ねることにより形成され得る。
【0072】
図では例示されない追加の例示的な実施形態において、複合不織繊維ウェブは、繊維の非均質な混成物を支持体層上に形成するために、支持体層(例えば、ウェブ)上に、マイクロ繊維の集団と相互に混合されたサブマイクロメートル繊維の集団を重ねることにより形成され得る。更なる実施形態において、多層複合不織繊維ウェブは、支持体層上に単一層の複合ウェブを、単一層の複合不織繊維ウェブの主表面が支持体層に接触するように、重ねることにより形成され得る。更に、支持体層は、この支持体層と接触する単一層の複合ウェブの主表面とは反対側の支持体層に近接する又は隣接する追加層及び/又は成分(図示せず)を有してもよい。
【0073】
上述の複合不織繊維ウェブの実施形態のそれぞれにおいて、用語「上層」は、図2及び図3により実際に例示された実施形態を説明するものとすることが理解されるであろう。しかしながら、例示したいずれの複合不織繊維ウェブも、層と層の間の境界面を軸に180度反転させることにより、上層として説明されていたものが下層となり得るが、例示した実施形態へのそのような修正も本開示で扱うものとする。更に、「層」への言及は、少なくとも1つの層を意味するとされ、それゆえ多層複合不織繊維ウェブの例示されたそれぞれの実施形態は、本開示の範囲内で、1つ以上の追加的な層(図示せず)を含んでもよい。更に、「層」への言及は、1つ以上の追加的な層(図示せず)を少なくとも部分的に覆う層を説明するものとする。
【0074】
本開示による複合不織繊維ウェブのいずれの例示的な実施形態についても、単一層の複合不織繊維ウェブは、ウェブの特定の最終用途に応じて差が生じる場合がある坪量を示すであろう。一般的に、単一層の複合不織繊維ウェブの坪量は、1平方メートル当たり約1000グラム(gsm)未満である。いくつかの実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブの坪量は、約1.0gsm〜約500gsmである。他の実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブの坪量は、約10gsm〜約300gsmである。
【0075】
特定の追加的な実施形態では、複合不織繊維ウェブは、第1マイクロ繊維層並びに、微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を少なくとも含む多層構造を含む。いくつかの実施形態では、第1マイクロ繊維層の坪量は、約1.0gsm〜約500gsm、より好ましくは、約10gsm〜約300gsmである。更なる実施形態では、第2層の坪量は、約0.1gsm〜約200gsm、より好ましくは、約0.5gsm〜約100gsmである。
【0076】
坪量と同様に、複合不織繊維ウェブは、ウェブの特定の最終用途に応じて差が生じる場合がある厚さを示すであろう。一般的に、単一層の複合不織繊維ウェブの厚さは、約300mm未満、より好ましくは、100mm以下である。いくつかの実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブは、約0.1mm〜約150mmの厚さを有する。追加的な実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブは、約0.2mm〜約100mmの厚さを有する。更なる実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブは、約0.5mm〜約75mmの厚さを有する。他の実施形態では、単一層の複合不織繊維ウェブは、約1.0mm〜約50mmの厚さを有する。
【0077】
本開示による例示的な複合不織繊維ウェブの種々の成分がここに説明される。
【0078】
B.複合不織繊維ウェブの成分
本開示の複合不織繊維ウェブは、以下の成分の1つ以上を含み得る。
【0079】
1.繊維成分
上述のように、本開示による例示的な複合不織繊維ウェブは、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細繊維の集団と、を含む。これら繊維集団の少なくとも一方は配向されていてもよい。特定の例示的な実施形態では、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維及び微細繊維はポリマーである。他の例示的な実施形態では、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維集団は、少なくとも3μm、少なくとも5μm、又は少なくとも10μmの集団メジアン径を有し、微細繊維集団は、10μm未満、5μm未満、3μm未満、又は1μm未満の集団メジアン径を有する。
【0080】
更なる例示的な実施形態では、少なくとも1つの繊維集団は、配向されたポリマー繊維を含む。配向された繊維とは、繊維内に分子配向が存在する繊維である。完全に配向されたポリマー繊維及び部分的に配向されたポリマー繊維は、既知であり市販されている。繊維の配向は、複屈折、熱収縮、X線散乱、及び弾性率を含む多くの方法で測定可能である(例えば、Principles of Polymer Processing,Zehev Tadmor and Costas Gogos,John Wiley and Sons,New York,1979,pp.77〜84を参照されたい)。
【0081】
結晶及び非晶質の両者とも結晶化とは無関係の分子配向を示すことがあり得るため、分子配向は結晶性とは異なるという点に注目することが重要である。したがって、メルトブロー又は電界紡糸法により作られた市販の既知のサブマイクロメートル繊維が配向されていないとしても、それらの工程を使用して作られた繊維に分子配向を付与する既知の方法が存在する。しかしながら、Torobinにより説明された工程(例えば、米国特許4,536,361号を参照のこと)が分子配向された繊維を製造することは明らかにされていない。
【0082】
a.マイクロ繊維
本開示の複合不織繊維ウェブは、マイクロ繊維成分のような、マイクロ繊維又は粗大繊維成分の層を少なくとも1つ含む。いくつかの実施形態では、好ましいマイクロ繊維又は粗大繊維成分は、少なくとも1μmの集団メジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む。他の実施形態では、好ましい粗大繊維成分は、少なくとも10μmの集団メジアン繊維径を有するマイクロ繊維(より好ましくはポリマーマイクロ繊維)の集団を含む。特定の他の例示的な実施形態では、マイクロ繊維成分は、約2μm〜約100μmの範囲の集団メジアン繊維径を有する繊維集団を含む。更なる例示的な実施形態では、マイクロ繊維成分は、約5μm〜約50μmの範囲のメジアン繊維径を有する繊維集団を含む。
【0083】
本開示において、所定のマイクロ繊維成分の中の繊維の「メジアン繊維径」は、例えば走査電子顕微鏡を用いることにより、繊維構造の画像を1つ以上作製する工程と、1つ以上の画像において明確に視認できる繊維の繊維直径を測定して繊維径の合計数、xを結果的に得る工程と、そのxの繊維直径の平均繊維径を算出する工程と、によって定められる。典型的に、xは約50超であり、そして望ましくは約50〜約200までの範囲である。しかしながら、場合によっては、xは30又は20の低さにまで選択されてもよい。これらxの低い値は、直径が大きい繊維、又は絡まり合いが激しい繊維に対し特に有効となる場合がある。
【0084】
いくつかの例示的な実施形態では、マイクロ繊維成分は、1つ以上のポリマー材料を含んでもよい。一般に、いずれの繊維形成ポリマー材料も、マイクロ繊維の調製に使用できるが、通常、繊維形成材料は半結晶性であるのが好ましい。繊維形成に一般に使用されるポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びウレタンが特に有用である。ウェブはまた非晶質ポリマー、例えばポリスチレンから調製されている。本明細書中に記載される特定のポリマーは単なる例であって、広範な種類の他のポリマー又は繊維形成材料が有用である。
【0085】
適切なポリマー材料としては、ポリブチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド(ナイロン−6及びナイロン−6,6)、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、流体結晶ポリマー、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン熱可塑性樹脂エラストマー、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
熱可塑性樹脂及び著しく伸張可能な熱可塑性樹脂を含む様々な合成の繊維形成ポリマー材料を用いることができ、それらは例えば、線状低密度ポリエチレン(例えば、商標名DOWLEXでDow Chemical Company、Midland、Michiganから入手可能)、熱可塑性樹脂ポリオレフィンエラストマー(TPE’s、例えば、商標名ENGAGEでDow Chemical Company、Midland、Michiganから、商標名VISTAMAXXでExxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)、エチレンα−オレフィンコポリマー(例えば、エチレンブテン、エチレンヘキセン、又はエチレンオクテンコポリマーであり、商標名EXACTでExxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから、商標名ENGAGEでDow Chemical Company、Midland、Michiganから入手可能)、エチレンビニルアセテートポリマー(例えば、商標名ELVAXでE.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington、Delawareから入手可能)、ポリブチレンエラストマー(例えば、商標名CRASTINでE.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington、Delawareから、商標名POLYBUTENE−1でBasell Polyolefins、Wilmington、Delawareから入手可能)、弾性スチレンブロックコポリマー(例えば、商標名KRATONでKraton Polymers、Houston、Texas、から、商標名SOLPRENEでDynasol Elastomers、Houston、Texasから入手可能)、及びポリエーテルブロックコポリマーエラストマー材(例えば、商標名PEBAXでArkema、Colombes、Franceから入手可能)がある。熱可塑性樹脂ポリオレフィンエラストマー(TPE’s)が特に好ましい。
【0087】
様々な天然の繊維形成材料もまた、本開示の例示的な実施形態による不織マイクロ繊維へと作製することができる。好ましい天然材料はビチューメン又はピッチ(例えば、カーボン繊維作製用)を含んでもよい。繊維形成材料は、溶融形態であるか、又は適切な溶剤中に存在していてもよい。反応性モノマーもまた採用可能であり、それらはダイへと向かう際、又は通過する際に互いに反応しあう。不織布ウェブは、繊維の混合物を単一層に含有するか(例えば、ダイ先端を共有するように密に配置した2つのダイキャビティを使用して作製される)、複数個の層に含有するか(例えば、積み重ね配列した複数個のダイキャビティを使用して作製される)、又は(米国特許第6,057,256号(Krueger et al.に記載のように)多成分繊維の1つ以上の層に含有してもよい。
【0088】
また繊維は、顔料や染料などの特定の添加剤がブレンドされた材料を含む、材料のブレンドから形成されてもよい。2成分マイクロ繊維、例えばコア−シース又は並列2成分繊維が調製されてもよく、これは2成分サブマイクロメートル繊維の場合も同様であろう(本明細書にて「2成分」とは、2つ以上の成分を有し、それぞれの成分が繊維の断面積の一部を占め、かつ繊維の実質的な長さにわたって伸張している繊維を含む)。しかしながら、本開示の例示的な実施形態は、1成分繊維(こうした繊維において繊維は断面全域で本質的に同じ組成を有するが、「1成分」は、実質的に均一な組成の連続相が断面全域、及び繊維の全長にわたって延伸しているブレンド又は添加剤含有材料を含む)に関して特に有用かつ有利である得る。他の利益のうち、単一成分繊維を使用可能であることが、製造複雑性を低減し、ウェブの使用における制限をほぼなくす。
【0089】
前述の繊維形成用材料に加えて、様々な添加物を繊維溶融物に添加し、押し出して、添加物を繊維に組み込んでもよい。一般的に、添加物の量は、繊維の総重量を基準にして、約25重量パーセント未満、望ましくは最大約5.0重量パーセントまでである。適切な添加物には、微粒子、安定剤、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、流動性調整剤、硬化速度遅延剤、接着促進剤(シラン、チタン酸塩など)、補助剤、衝撃改質剤、発泡性微小球、熱伝導性粒子、電気伝導性粒子、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズ又はバブル、酸化防止剤、蛍光増白剤、抗菌剤、界面活性剤、難燃剤、及びフロオロケミカルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
上述の添加物のうち1つ以上を用いて、得られる繊維及び層の重量及び/又はコストを軽減してもよく、粘度を調整してもよく、又は繊維の熱的特性を修正してもよく、あるいは電気特性、光学特性、密度に関する特性、流体バリア若しくは接着剤の粘着性に関する特性を含む添加物の物理特性の活量に由来する様々な物理特性を付与してもよい。
【0091】
b.微細繊維
本開示の複合不織繊維ウェブは、少なくとも1つ以上の微細繊維成分の層を含む。特定の例示的な実施形態では、微細繊維成分は、10μm未満の集団メジアン径を有する微細マイクロ繊維の集団を含む。他の例示的な実施形態では、微細繊維成分は、約2μm未満の集団メジアン径を有する超微細マイクロ繊維の集団を含む。特定の現状で好適な実施形態では、微細繊維成分は、1μm未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む。
【0092】
いくつかの例示的な実施形態では、サブマイクロメートル繊維成分は、約0.2μm〜約0.9μmの範囲の集団メジアン繊維径を有する繊維集団を含む。他の例示的な実施形態では、サブマイクロメートル繊維成分は、約0.5μm〜約0.7μmの範囲の集団メジアン繊維径を有する繊維集団を含む。
【0093】
本開示において、所定のサブマイクロメートル繊維成分の中の繊維の「メジアン繊維径」は、例えば、走査電子顕微鏡を用いることにより、繊維構造の画像を1つ以上作製する工程と、1つ以上の画像において明確に視認できる繊維の繊維直径を測定して繊維直径の合計数、xを結果的に得る工程と、そのxの繊維直径のメジアン繊維径を算出する工程と、によって定められる。典型的に、xは約50超であり、そして望ましくは約50〜約200までの範囲である。しかしながら、場合によっては、xは30又は20の低さにまで選択されてもよい。これらxの低い値は、絡まり合いが激しい繊維にとって特に有効となる場合がある。
【0094】
いくつかの例示的な実施形態では、サブマイクロ繊維成分は、1つ以上のポリマー材料を含んでもよい。適切なポリマー材料としては、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド(ナイロン−6及びナイロン−6,6)、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、流体結晶ポリマー、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン熱可塑性樹脂エラストマー、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
サブマイクロメートル繊維成分は、上述のポリマー又はコポリマーの任意の1つを含む1成分繊維を含んでもよい。この例示的な実施形態では、1成分繊維は、後述する添加物を含有してもよいが、上述のポリマー材料から選択される単一繊維形成材料を含む。更に、この例示的な実施形態では、1成分繊維は、一般的に、1つ以上の添加物を最大25重量%まで備える上述のポリマー材料のうちいずれか1つを少なくとも75重量%含む。望ましくは1成分繊維は、上述のポリマー材料のうちいずれか1つを少なくとも80重量%、より望ましくは、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、更に100重量%までも含み、ここで、重量はいずれも繊維の総重量を基準とする。
【0096】
サブマイクロメートル繊維成分はまた、(1)上述のポリマー材料のうち2つ以上と、(2)後述するような添加物の1つ以上とから形成される多成分繊維を含んでもよい。本明細書で使用される用語「多成分繊維」は、2つ以上のポリマー材料類から形成される繊維を指すために用いられる。適切な多成分繊維構成としては、シース−コア構成、並列、層状、又は分割されたパイ/くさび状の構成(例えば、米国特許第4,729,371号は、縞状繊維とも呼ばれる層状2成分メルトブロー繊維について説明しており、PCT特許公開第WO 2008/085545号は、分割されたパイ/くさび状繊維及び層状繊維を図1a〜1eで説明している。)、及び「海中島」構成(例えば、Kuraray Company,Ltd.,Okayama,Japanにより製造された繊維)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
多成分繊維から形成されるサブマイクロメートル繊維成分において、望ましくは、多成分繊維は、繊維の総重量を基準にして、(1)上述のポリマーのうち2つ以上を約75〜約99重量%、及び(2)1つ以上の追加の繊維形成材料を約25〜約1重量%含む。
【0098】
2.追加微粒子成分
上述のように、本開示による例示的な複合不織繊維ウェブは、必要に応じて複数個の微粒子を第1層及び第2層の一方又は両方に含む。任意の適切な微粒子材料が選択されてもよい。適切な微粒子は様々な物理的形態(例えば、固形粒子、多孔質粒子、中空泡、凝集粒子、不連続繊維、短繊維、フレーク、及びその他)、形状(例えば、球形、楕円形、多角形、針状、及びその他)、形状均一性(例えば、単分散、実質的に均一、不均一又は不規則、及びその他)、組成(無機微粒子、有機微粒子、又はそれらの組み合わせ)、及び寸法(例えば、サブマイクロメートル寸法、マイクロ寸法、及びその他)を有してもよい。
【0099】
特に微粒子寸法に関連して、いくつかの例示的な実施形態では、微粒子の集団の寸法を制御することが望ましい場合がある。特定の例示的な実施形態では、微粒子は繊維マトリックス内に物理的に混入又は捕捉されている。そのような実施形態では、微粒子は、好ましくは、少なくとも50μm、より好ましくは、少なくとも75μm、更により好ましくは、少なくとも100μmの集団のメジアン径を有するよう選択される。
【0100】
他の例示的な実施形態では、例えば、熱溶解型接着剤のような接着剤、及び/又は熱可塑性樹脂微粒子若しくは熱可塑性樹脂繊維の一方又は両方への加熱(すなわち、熱接着)を用いて繊維に接着結合される、より微細な微粒子を使用することが好ましい。そのような実施形態では、微粒子は、好ましくは、少なくとも25μm、より好ましくは、少なくとも30μm、最も好ましくは、少なくとも40μmのメジアン径を有することが通常は好ましい。
【0101】
しかしながら、接着剤及び熱接着の両方を使用して微粒子を繊維に接着するいくつかの例示的な実施形態では、それら微粒子が、1マイクロメートル(μm)未満、より好ましくは約0.9μm未満、更により好ましくは約0.5μm未満、最も好ましくは約0.25μmの集団メジアン径を有するサブマイクロメートル寸法の微粒子の集団を含んでもよい。そのようなサブマイクロメートル寸法の微粒子は、高表面積、及び/又は高吸収性及び/又は高吸着能力が望まれる用途において特に有用であり得る。更なる例示的な実施形態では、サブマイクロメートル寸法の微粒子の集団は、少なくとも0.001μm、より好ましくは、少なくとも約0.01μm、最も好ましくは、少なくとも約0.1μm、最も好ましくは、少なくとも約0.2μmの集団メジアン径を有する。
【0102】
更なる例示的な実施形態では、微粒子は、最大約2,000μm、より好ましくは、最大約1,000μm、最も好ましくは、最大約500μmの集団メジアン径を有するマイクロ寸法の微粒子の集団を含む。他の例示的な実施形態では、微粒子は、最大約10μm、より好ましくは、最大約5μm、更により好ましくは、最大約2μmの集団メジアン径を有するマイクロ寸法の微粒子の集団(例えば、超微細マイクロ繊維)を含む。
【0103】
単一の完成品ウェブ内に複数の種類の微粒子を使用することもできる。複数の種類の微粒子を使用することで、微粒子の種類の1つが同種の他の粒子と結合しない場合であっても、連続する微粒子ウェブが生産可能となる場合もある。この種のシステムの一例は、2種類の粒子が使用されるものであり、一方の粒子が、それら微粒子を互いに結合させ(例えば、不連続ポリマー繊維微粒子)、他方が、ウェブの所定の目的のための活性粒子として作用する(例えば、活性炭のような収着剤微粒子)ものであろう。そのような例示的な実施形態は、特に流体濾過の用途にとって有用であり得る。
【0104】
そのような特定の例示的な実施形態では、微粒子を互いに結合させて繊維成分にメッシュ又はマトリックスを形成するために、表面を接着性又は「粘着性」に作製可能な少なくとも1つの微粒子を使用することが有利であり得る。この点で、有用な微粒子は、ポリマー、例えば不連続繊維の形態であり得る熱可塑性樹脂ポリマーを含んでもよい。適切なポリマーにはポリオレフィン、特にTPE類(例えば、商標名VISTMAXXで、Exxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)が挙げられる。更なる例示的な実施形態では、TPE類は通常粘着性の傾向があり、複合不織繊維ウェブを形成するための繊維を加えるより前に、微粒子を互いに結合させて三次元網状組織を形成する助けとなり得るため、特に表面層又は表面コーティングとしてTPEを含む微粒子が好ましい場合がある。特定の例示的な実施形態では、商標名VISTMAXXのTPEを含む微粒子が、苛酷な化学的環境、特に低pH(例えば、pHが約3以下)及び高pH(例えば、pHが少なくとも9)の有機溶剤中において、耐性の改善をもたらし得る。
【0105】
追加の例示的な実施形態では、例えば、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせのような収着剤微粒子を少なくとも1つ使用することが有利となる場合がある。種々の収着剤粒子を採用することができる。望ましくは、収着剤粒子は、目的とする使用状況の下で存在が予想される気体、エアゾール、又は流体を吸収又は吸着する能力を持つであろう。
【0106】
収着剤粒子は、ビーズ、フレーク、顆粒、若しくは粒塊を含む、いかなる使用可能な形式を取ることもできる。好ましい収着剤粒子には、活性炭と、アルミナ及びその他の金属酸化物と、重炭酸ナトリウムと、吸着、化学反応、若しくは融合により構成要素を流体から取り除くことができる金属粒子(例えば、銀粒子)と、ホプカライト(一酸化炭素の酸化触媒作用することができる)などのような粒子状触媒剤と、酢酸などのような酸性溶液、若しくは水を含む水酸化ナトリウムなどのようなアルカリ性溶液で処理された粘土及びその他の鉱物類と、イオン交換樹脂と、分子ふるい及びその他のゼオライト類と、シリカと、殺生物剤と、殺真菌剤と、殺ウイルス剤とが含まれる。活性炭及びアルミナは、特に好ましい収着剤粒子である。例えば、気体の混合物を吸収するために、収着剤粒子の混合物を採用することもできるが、実際問題として、気体の混合物を取り扱うには、個々の層に別々の収着剤粒子を採用して、多層シート状物品を製作する方がよりよい場合がある。
【0107】
特定の例示的な実施形態では、流体濾過媒体は、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はそれらの組み合わせを含む。例示的な現状において好適な実施形態では、収着剤粒子は、活性炭、珪藻土、イオン交換樹脂、金属イオン交換収着剤、活性アルミナ、抗菌性化合物、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ化樹脂、又はこれらの組合わせを含む。現状における特定の好適な実施形態は、ウェブの収着剤粒子密度は約0.20〜約0.5g/ccの範囲であることを提供している。
【0108】
望ましい収着剤粒子の粒径は大幅に変えることができ、これは通常目的とする使用条件にある程度基づいて選ばれる。一般的な指針として、収着剤粒子の寸法は、メジアン径が約0.001〜約3000μmまで変えてもよい。好ましくは、収着剤粒子は、約0.01〜約1500μmのメジアン径、より好ましくは、約0.02〜約750μmのメジアン径、最も好ましくは約0.05〜約300μmのメジアン径である。特定の例示的な実施形態では、収着剤粒子は、1μm未満の集団メジアン径を有するナノ微粒子を含んでもよい。多孔質ナノ微粒子は、流体媒体から汚染物質を収着(例えば、吸収及び/又は吸着)するための高表面積をもたらす利点を有することもある。超微細又はナノ微粒子を使用するそのような例示的な実施形態では、例えば、熱溶解型接着剤のような接着剤、及び/又は熱可塑性樹脂微粒子若しくは熱可塑性樹脂繊維の一方又は両方への加熱(すなわち、熱接着)を用いて、それら微粒子が繊維に接着結合されることが好ましい。
【0109】
異なる粒径範囲を有する収着剤粒子の混合物(例えば、二峰性混合物)を採用することもできるが、実際問題としては、上流側により大きい収着剤粒子を、下流側により小さい収着剤粒子を採用して多層シート状物品を組み立てる方がよりよい。少なくとも80重量%の収着剤粒子、より好ましくは少なくとも84重量%、更に最も好ましくは少なくとも90重量%の収着剤粒子はウェブの中に捕捉されている。ウェブの坪量に関して示すと、収着剤粒子配合濃度は、例えば、比較的微細な(例えば、サブマイクロメートル寸法)収着剤粒子では少なくとも約500gsmであり、比較的粗大な吸着剤粒子では少なくとも約2,000gsmである。
【0110】
3.追加支持体層
本開示の複合不織繊維ウェブは、追加支持体層(図示せず)を更に含んでもよい。現状における好適な特定の実施形態では、追加支持体層は多孔質である。存在する場合は、追加支持体層は、複合不織繊維物品の強度のほとんどをもたらし得る。いくつかの実施形態では、上述のサブマイクロメートル繊維成分は、強度が非常に低くなる傾向があり、通常の処理中に損傷する可能性がある。サブマイクロメートル繊維成分を支持体層に取り付けることで、サブマイクロメートル繊維成分に強度が与えられる一方、サブマイクロメートル繊維成分の高い多孔性、及びそれによる所望の吸収性が保持される。多層複合不織繊維ウェブ構造はまた、ロール形状へのウェブの巻き取り、ロールからのウェブの取り出し、成型、ひだ付け、折りたたみ、ステープル処理、織り込み、及びその他を含み得る以降の処理に対する十分な強度をもたらし得る。
【0111】
本開示では様々な支持体層類を利用してもよい。適切な支持体層としては、不織布、織布、編織物、発泡層、フィルム、紙の層、裏面接着剤層、金属箔、メッシュ、弾性布地(すなわち、弾性特性を有する任意の上述の織物、編織物又は不織布)、有孔ウェブ、裏面接着剤層、又はこれらいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つの例示的な実施形態では、多孔質支持体層は、ポリマー不織布を含む。適した不織ポリマー布地としては、スパンボンド布地、メルトブローン布地、短繊維長の繊維(すなわち、約100mm未満の繊維長を有する繊維)のカードウェブ、ニードルパンチ布地、スピリットフィルムウェブ、水流交絡ウェブ、エアレイド短繊維ウェブ、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の例示的な実施形態では、支持体層は結合短繊維のウェブを含む。以下で更に説明するように、結合は、例えば熱接着、接着剤結合、粉末結合接着、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを用いて効果的に得られる。
【0112】
支持体層は、複合不織繊維物品の特定の最終用途に応じた、坪量と厚さを有してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、複合不織繊維物品の全体の坪量及び/又は厚さは最小レベルで保持されるのが望ましい。別の実施形態では、全体の最小坪量及び/又は厚さが所定の用途において要求される場合がある。典型的に、支持体層の約150gsm未満の坪量を有する。いくつかの実施形態では、支持体層は、約5.0gsm〜約100gsmの坪量を有する。別の実施形態では、支持体層は約10gsm〜約75gsmの坪量を有する。
【0113】
坪量と同様に、支持体層はある厚さを有してよく、この厚さは、複合不織繊維物品の特定の最終用途に応じて変化する。一般的に、支持体層は、約150ミリメートル(mm)未満の、より好ましくは、100mm未満の、最も好ましくは50mm未満の厚さを有する。特定の実施形態では、支持体層は少なくとも約0.1mmの、より好ましくは、少なくとも0.5mmの、最も好ましくは、少なくとも1.0mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、支持体層は、約1.0mm〜約35mmの厚さを有する。別の実施形態では、支持体層は、約2.0mm〜約25mmの厚さを有する。
【0114】
特定の例示的な実施形態では、支持体層はマイクロ繊維成分、例えば、マイクロ繊維の集団を含んでもよい。そのような実施形態では、多層複合不織繊維ウェブを形成するため、上述のサブマイクロメートル繊維集団をマイクロ繊維支持体層上に直接的に堆積させることが好ましい場合がある。必要に応じて、マイクロ繊維支持体層上に、上述のマイクロ繊維集団を、サブマイクロメートル繊維集団と共に、又はその上から堆積させてもよい。特定の例示的な実施形態では、支持体層を含むマイクロ繊維の集団は、上層を形成するマイクロ繊維の集団と組成的に同一である。
【0115】
サブマイクロメートル繊維成分は、所定の支持体層に恒久的又は暫定的に結合されていてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、サブマイクロメートル繊維成分は、支持体層に恒久的に結合されている(すなわち、サブマイクロメートル繊維成分は、多孔質支持体層に恒久的に結合されているように意図されて取り付けられている)。
【0116】
本開示のいくつかの実施形態では、上述のサブマイクロメートル繊維成分は、剥離ライナーのような支持体層に暫定的に(すなわち、取り外し可能に)結合されていてもよい。そのような実施形態では、サブマイクロメートル繊維成分は、暫定支持体層上に所望の長さの時間、支持されてもよく、また所望により暫定支持体層上で更に加工され、その後に第2の支持体層へ恒久的に結合されてもよい。
【0117】
本開示の例示的な一実施形態では、支持体層は、ポリプロピレン繊維を含むスパンボンド布地を含む。本開示の更なる例示的な実施形態では、支持体層は、短繊維長の繊維のカードウェブを含み、この場合、短繊維長の繊維は、(i)低融点繊維又はバインダー繊維、及び(ii)高融点繊維又は構造繊維を含む。典型的に、バインダー繊維類の融点と構造繊維の融点との差は10℃超であってもよいが、バインダー繊維の融点は、構造繊維の融点よりも少なくとも10℃低い。適したバインダー繊維類としては、これらに限定されないが、上述のポリマー繊維のうちのいずれかが挙げられる。適した構造繊維類としては、これらに限定されないが、上述のポリマー繊維のうちのいずれか、並びにセラミック繊維類、ガラス繊維類、及び金属繊維類などの無機繊維類、及びセルロース繊維類などの有機繊維類が挙げられる。
【0118】
現状における好適な特定の実施形態では、支持体層は、短繊維長の繊維のカードウェブを含むが、ここで短繊維長の繊維は、1成分PETのブレンド、及び2成分短繊維PET/coPETを含む。例示的な一実施形態では、支持体層は、短繊維長の繊維のカードウェブを含むが、ここで短繊維長の繊維は、(i)約20重量パーセントの2成分バインダー繊維(例えば、商標名INVISTA T254繊維で、Invista、Inc.,Wichita、Kansasから入手可能)、12d×3.81cm(1.5”)、及び(ii)約80重量パーセントの構造繊維(例えば、商標名INVISTA T293PET繊維)、32d×7.62cm(3”)を含む。
【0119】
上述のように、支持体層は、1層以上の互いに組み合わせた層を含んでもよい。例示的な一実施形態では、支持体層は、不織布又はフィルムなどの第1層、及びサブマイクロメートル繊維成分とは反対側の第1層上の接着剤層を含む。この実施形態では、接着剤層は、第1層の外側表面の一部又は全体を覆っていてもよい。接着剤は、感圧接着剤類、熱活性化接着剤類などを包含するいかなる既知の接着剤を含んでもよい。接着剤層が感圧接着剤を含む場合、複合不織繊維物品は、感圧接着剤の一時的な保護を提供するために、剥離ライナーを更に含んでもよい。
【0120】
4.任意の追加的な層
本開示の複合不織繊維ウェブは、サブマイクロメートル繊維層、マイクロ繊維層追加支持体層、又は上記全て(図示せず)と組み合わせる追加的な層を含んでもよい。
【0121】
追加的な層として適切であるのは、これらに限定されないが、色保有層(例えば、印刷層)、上述の支持体層のうちいずれか、別個の平均繊維径及び/又は物理的組成物を有する1層以上の追加のサブマイクロメートル繊維成分、更なる絶縁性能のための1層以上の二次マイクロメートル繊維層(例えば、メルトブローンウェブ又はガラス繊維布地)、発泡体、粒子の層、金属箔層、フィルム、装飾的な布地層、膜(すなわち、制御された透過性を有するフィルム、例えば、透析膜、逆浸透性膜など)、網状織物、メッシュ、配線網状組織及び管状の網状組織(すなわち、電気搬送用のワイヤー層、又は加熱ブランケット用の配線網状組織、及び冷却ブランケットの中を流れる冷却剤用の管状の網状組織のような、様々な流体を搬送するための管/パイプ群の層)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0122】
5.追加接着剤
特定の例示的な実施形態では、本開示の複合不織繊維ウェブは、複合不織繊維物品を基材に取り付けることができるように、1つ以上の接着剤を更に含んでもよい。上述のように、接着剤は、複合不織繊維物品の層を取り付けるために使用してもよい。現状の好ましい接着剤としては、熱溶解型接着剤並びに、硬化接着剤、例えば、エポキシ、ウレタン及びアクリル接着剤のような熱及び放射線硬化接着剤を含む。接着剤に加えて、例えば、フック・ループ式ファスナー、テープ、クランプ等の、他の取り付け装置を使用してもよい。
【0123】
C.複合不織繊維ウェブの作製方法
本開示はまた、複合不織繊維ウェブの作製方法についても対象とする。更なる態様において、本開示は、少なくとも10μmの集団メジアン繊維径を有する粗大ポリマーマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、10μm未満の集団メジアン繊維径を有する微細ポリマー繊維の集団を含む第2層を形成する工程と、第1層及び第2層の一方又は両方を配向させる工程と、第1層を第2層に結合させる工程と、を含む複合不織繊維ウェブの作製方法を提供する。特定の例示的な実施形態において、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子を含む。
【0124】
別の態様において、本開示は、少なくとも1.0μmのメジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、第1層に衝突させて1μm未満のメジアン繊維径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を形成する工程と、を含み、これら繊維集団の少なくとも一方は配向されていてもよい、複合不織繊維ウェブの製造方法を提供する。特定の例示的な実施形態において、少なくとも第1層は複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0125】
1.繊維の形成
本開示の例示的な実施形態による複合不織繊維ウェブが作製される適切な繊維流れは、不織繊維を作り出す既知の方法の他にも、ウェブ形成工程中に形成される繊維流れに微粒子を組み合わせる機会を提供する他の方法も含む。特定の例示的な実施形態では、繊維流れはサブマイクロメートル繊維、超微細マイクロ繊維、微細マイクロ繊維、又はこれら1つ以上のブレンドを含む。
【0126】
数多くの工程が、サブマイクロメートル繊維流れを作り出すために使用されてもよく、それらはメルトブロー、溶融紡糸、電界紡糸、気体噴流繊維形成、又はこれら工程の組み合わせを含むが、それらに限定されない。特に適切な工程はとしては、米国特許第3,874,886号(Levecque et al.)、第4,363,646号(Torobin)、第4,536,361号(Torobin)、第5,227,107号(Dickenson et al.)、第6,183,670号(Torobin)、第6,269,513号(Torobin)、第6,315,806号(Torobin)、第6,743,273号(Chung et al.)、第6,800,226号(Gerking)、ドイツ特許第DE 19929709 C2(Gerking)、及び公開PCT出願第WO2007/001990 A2(Krause et al.)に記載の工程が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
サブマイクロメートル繊維を形成する適切な工程としては、例えば、米国特許第1,975,504号(Formhals)に記載の工程のような電界紡糸工程も含まれる。サブマイクロメートル繊維を形成する適切な他の工程が、米国特許第6,114,017号(Fabbricante et al.)、第6,382,526 B1号(Reneker et al.)、及び第6,861,025 B2号(Erickson et al.)に記載されている。
【0128】
数多くの工程が、マイクロ繊維流れを作り出すためにも使用されてもよく、それらはメルトブロー、溶融紡糸、フィラメント押し出し、集網フィラメント形成、スパンボンド、湿式紡糸、乾式紡糸、又はこれら工程の組み合わせを含むが、それらに限定されない。マイクロ繊維を形成する適切な工程が、米国特許第6,315,806号(Torobin)、第6,114,017号(Fabbricante et al.)、第6,382,526B1号(Reneker et al.)、及び第6,861,025 B2号(Erickson et al.)に記載されている。あるいはまた、米国特許第4,118,531号(Hauser)に記載の工程を使用して、マイクロ繊維の集団を短繊維に形成又は変化させ、サブマイクロメートル繊維の集団と組み合わせてもよい。
【0129】
いくつかの例示的な実施形態では、複合不織繊維ウェブの作製方法は、繊維流れの混合、水流交絡法、湿式形成、集網フィラメント形成、又はこれらの組み合わせにより、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団を微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維の集団又はサブマイクロメートル繊維の集団と組み合わせる工程を含む。マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団を微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団と組み合わせる工程では、一方又は両方の種類の繊維の複数の流れを使用してもよく、それらの流れは任意の順に組み合わされてもよい。この方法で、複合不織繊維ウェブは、様々な所望の密度勾配及び/又は層状構造を示すように形成することができる。
【0130】
例えば、特定の実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団を、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の集団と組み合わせて、繊維の不均一な混合物を形成してもよい。特定の例示的な実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の少なくとも一部は、マイクロ繊維の集団の少なくとも一部と相互に混合される。他の例示的な実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団は、マイクロ繊維の集団を含む下層の上の上層として形成されてもよい。特定の他の例示的な実施形態では、マイクロ繊維の集団は、微細、超微細又はサブマイクロ繊維の集団を含む下層の上の上層として形成されてもよい。
【0131】
他の特定の例示的な実施形態では、複合不織繊維ウェブは、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団を多孔質の支持体層上に堆積させることにより形成されてもよく、この支持体層は微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団を多孔質の支持体層上に形成するために、必要に応じてマイクロ繊維を含む。
【0132】
この方法は、必要に応じてポリマーマイクロ繊維を含む支持体層が、微細、超微細又はサブマイクロ繊維の繊維流れを通過する工程を含んでもよい。繊維流れの中を通過している間に、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維は、支持体層へ暫定的に又は恒久的に結合するように、支持体層に堆積し得る。これら繊維が支持体層上に堆積すると、場合によっては、繊維は互いに結合し、支持体層上にある間に更に硬化する。
【0133】
現状における好適な特定の実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団は、粗大マイクロ繊維集団の少なくとも一部を含む追加の多孔質の支持体層と組み合わされている。いくつかの例示的な実施形態では、多孔質支持体層を形成するマイクロ繊維は、第1層を形成するマイクロ繊維の集団と組成的に同一である。現状における好適な他の実施形態では、微細、超微細又はサブマイクロメートル繊維の集団は、追加の多孔質の支持体層と組み合わされ、引き続き粗大マイクロ繊維集団の少なくとも一部と組み合わされる。現状における好適な他の特定の実施形態では、多孔質の支持体層は、第1層とは反対側の第2層に隣接する。
【0134】
他の例示的な実施形態では、多孔質の支持体層は、不織布、織布、編織物、発泡層、スクリーン、多孔質フィルム、穿孔フィルム、フィラメントのアレイ、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの例示的な実施形態では、多孔質の支持体層は、熱可塑性樹脂メッシュを含む。
【0135】
2.追加微粒子の配合
多くの用途では、ウェブ全体にわたる実質的に均一な粒子分布が望ましい。不均一な分布が有利であり得る場合があってもよい。特定の例示的な実施形態では、微粒子密度勾配が、複合不織繊維ウェブ内部に作り出されることが有利な場合がある。例えば、ウェブの深さ方向の勾配は、深層濾過のために利用可能な孔径分布の変化をもたらす場合がある。粒子を配合した表面を有するウェブは、フィルターに形成でき、そこで流路の前半で粒子に流体を暴露し、残りのウェブが、粒子の脱落を防ぐ支持体構造及び手段を提供する。流路はまた、流体が粒子の活性表面に到達するよりも前に一部の汚染物質を除去するプレフィルターとしての役割をウェブがすることができるように、反転させることも可能である。
【0136】
微粒子流れを不織繊維流れに添加するための様々な方法が知られている。適切な方法は、米国特許第4,118,531号(Hauser)、同第6,872,311号(Koslow)、及び同第6,494,974号(Riddell)並びに米国特許出願公開第2005/0266760号(Chhabra and Isele)、同第2005/0287891号(Park)及び同第2006/0096911号(Brey et al.)に記載されている。
【0137】
他の例示的な実施形態において、追加微粒子は、繊維ウェブを気体流に乗せ、微粒子を繊維ウェブに添加し(例えばウェブを微粒子の流動床に通過させ)、必要に応じて微粒子配合されたウェブを後加熱して微粒子をウェブに結合させる工程により、不織繊維流れに添加することができるであろう。あるいはまた、予備形成されたウェブに、予備形成された、揮発性流体(例えば、有機溶剤又は水であってもよい)の微粒子分散液を噴霧することも可能であり、必要に応じて、微粒子配合されたウェブを後加熱して揮発性流体を除去し微粒子をウェブに結合させることもできる。
【0138】
3.追加結合工程
繊維の状態、並びにマイクロ繊維及びサブマイクロメートル繊維の相対比率によっては、いくつかの結合が、繊維と微粒子との間、及び繊維同士の間で、回収中に発生する場合がある。しかしながら、回収されたウェブにおける繊維と微粒子との間又は繊維同士で更に結合することは、所望の粘稠度のマトリックスを提供するために望ましい場合もあり、ウェブをより取り扱い易くして、マトリックス内に任意のサブマイクロメートル繊維をより良好に保持できるようにするであろう(繊維同士を「結合する」とは、繊維同士を堅く接着し、一般にウェブが通常の取り扱いに供される場合でも分離しないことを意味する)。
【0139】
特定の例示的な実施形態では、マイクロメートル繊維とサブマイクロメートル繊維のブレンドは互いに結合されてもよい。結合は、例えば、熱接着、接着剤結合、粉末結合接着、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを採用することにより達成されるであろう。点固着処理又は滑面カレンダーロールにより印加される熱及び圧力を用いる従来の結合技術を使用することができるが、そのような工程は、繊維の望ましくない変形又はウェブの過度の圧縮を引き起こす場合がある。繊維、特にマイクロ繊維の結合のためのより好ましい技術は、米国特許出願公開第2008/0038976 A1に記載の自己収縮結合方法である。
【0140】
4.任意の追加的な処理工程
複合不織繊維ウェブの作製及び追加結合の上述の方法に加えて、いったん形成されたウェブに対して、所望により、1つ以上の次の処理工程が実行されてもよく、それらは、
(1)複合不織繊維ウェブを、更なる加工作業に向けて加工経路に沿って送り出す工程、
(2)サブマイクロメートル繊維成分、マイクロメートル繊維成分、及び/又は、追加支持体層の外側表面に1つ以上の追加的な層を接触させる工程、
(3)複合不織繊維ウェブを、カレンダー加工する工程、
(4)複合不織繊維ウェブを、表面処理剤又は他の組成物(例えば、難燃剤組成物、接着剤組成物、又は印刷層)でコーティングする工程、
(5)複合不織繊維ウェブを、厚紙又はプラスチックの管に取り付ける工程、
(6)複合不織繊維ウェブを、ロール形状に巻き取る工程、
(7)複合不織繊維ウェブを、繊細化して2つ以上の繊細ロール及び/又は複数個の繊細シートを形成する工程
(8)複合不織繊維ウェブを金型内に置き、新しい形状に複合不織繊維ウェブを成型する工程、及び
(9)存在する場合には、露出した追加の感圧性接着剤の層の上に、剥離ライナーを貼り付ける工程、である。
【0141】
複合不織繊維ウェブを後成形カレンダー加工する加熱中での1つの潜在的な欠点は、ウェブの厚さが元の値の40〜60%まで減少し、このウェブを採用する流体濾過用途ではより大きな圧力損失につながる場合があるということであろう。
【0142】
5.流体濾過媒体及び物品の形成
更なる態様において、本開示は、複合不織繊維ウェブを含む流体濾過媒体の作製方法を提供する。この方法は、少なくとも1.0μm(より好ましくは、少なくとも3μm、5μm又は10μm)の集団メジアン繊維径を有するポリマーマイクロ繊維又は粗大ポリマーマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、10μm未満(より好ましくは、3μm、2μm、又は1μm未満)の集団メジアン繊維径を有する微細ポリマーマイクロ繊維の集団を含む第2層を形成する工程と、第1層を第2層に結合させる工程と、を含む。特定の例示的な実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は配向されていてよく、他の例示的な実施形態では、第1層及び第2層の一方又は両方は複数個の微粒子を含んでいてもよい。
【0143】
更に他の態様において、本開示は、複合不織繊維ウェブを含む流体濾過媒体の作製方法を提供する。この方法は、少なくとも1μmのメジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、第1層に衝突させて1μm未満のメジアン繊維径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を形成する工程と、を含み、これら繊維集団の少なくとも1つは配向されていてもよい。特定の例示的な実施形態では、少なくとも第1層は複数個の微粒子を含み、それら微粒子は収着剤微粒子であってもよい。
【0144】
例示的な一実施形態では、この方法は、第1の有効繊維直径(EFD)を有するポリマー繊維を含む第1の複数個の層と、第2のEFDを有するポリマー繊維を含む第2の複数個の層とを形成する工程を含む。別の実施形態は、その方法が、微粒子を第1の複数個の層の中に第1の密度で設け、第2の複数個の層の中に第2の密度で設ける工程を更に含むことを提示する。別の実施形態では、方法は、第1の収着剤を有する第1の複数の層と、第2の収着剤を有する第2の複数の層とを設ける工程を更に含む。
【0145】
本開示による例示的な複合不織繊維ウェブは、メルトブローン・フィラメント、配合微粒子、又はそれら両方を調整することにより達成される濃度勾配を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、メルトブローン・フィラメント気流を変えることで様々な効果がもたらされる。フィラメント集団平均寸法分布の融合は、異なる目標有効繊維直径で作動している2つ以上の分離したダイから生じる繊維気流を混合することによって、形成できる。
【0146】
同様の効果は、混成吹き込み成形手段の使用、又は米国特許出願公開第2008/0026659 A1号に記載されるような繊維ダイ先端部に交換することにより得られる。混成吹き込み成形手段はまた、ダイ前面にわたって様々な寸法の繊維又は繊維寸法の様々な勾配を有する領域を作り出すために使用することも可能である。こうすることで、フィルター層の構造を、例えば、デプスフィルターでの利用に合あわせて調整できる。粒子、微粒子、凝集体、他の規則的な、不規則若しくは中空の形状、又はこれらの混合物を、1つ以上のこれらフィラメントの流れに添加し、回転式マンドレル又は前進している回収マンドレル上で回収して流体濾過物品を形成することも可能である。
【0147】
他の例示的な実施形態では、2つ以上の繊維形成ダイが、混合フィラメント気流を形成するのではなく、分離した層を形成するように作動させてもよい。ダイはまた、並べて作動させることで、要素が回転式マンドレル上を横断するときに明確な層状効果を生み出すことも可能である。1つ以上のダイに様々なポリマー又は多成分繊維を用いることによって、更なる性能の変化が生じる可能性もある。
【0148】
勾配付き、又は層状の流体濾過物品も、前進する回収マンドレルを用い、粒子ローダーにウェブの対象領域へのみ微粒子を添加させることによって形成できる。このことは、狭い粒子ローダーを更に広幅のダイとあわせて用いることで、又は粒子ローダー内に模様付きフィードロールを用いることで、達成できる。フィードロールは機械加工された空洞部を用いて、ロールがドクターブレードと対向して回転するときに容積測定の供給量を制御する。フィードローラーの前面にわたる(又はその周囲の)空洞部の容積を変えることによって、微粒子の局所的な供給を制御することができ、その結果、得られるウェブ中における微粒子の局所添加重量を制御することもできる。
【0149】
別の方法は、粒子ローダー内で分割ホッパーを利用することである。微粒子は、フィーディングを施したい分割された領域にのみ添加される。この方法はまた、分割された領域内で様々な粒子の利用を可能にすることで2つの粒子寸法を利用できるようにするか、又は処理済みの収着剤若しくは特別な性能を有するものの追加を制御することもできる。複数の粒子ローダーを用いて、対象領域に添加される粒子の量若しくは種類を変えることもできる。
【0150】
更なる実施形態では、ウェブコレクターは、形成用フィルターカートリッジを回転式シャフトから実質上連続的に押し引きするように設計されたある種のフィルターカートリッジ抽出装置を装備している巻き取り用マンドレル又は回転式片持ちシャフトのいずれかの上に、個別のフィルターを形成させるように稼動する、カートリッジ巻き取り機構を含むことができる。
【0151】
これらの手段を用いることにより、複合不織繊維ウェブは、特定の用途に向けて調整されたものとして形成することができる。例えば、微細なポリプロピレン繊維の内側層は、マンドレルコアのすぐ近くに形成することができ、脱落や剥がれを軽減するのに役立つ。内側層の次には、第一次分離のために、粒子配合されたウェブの中間層を提供することができる。加えて、この中間層の上には、所望の機能を有する外側層を形成することができ、例えば、この外側層は、より大きな汚染物質を第一次分離層に達する前に除去するように更に大きな孔径を有する、及び/又は追加のプレフィルター層として働くようにより大きな直径の繊維を有することができる。利用可能な他の多くの配置も、当業者によって製造することが可能であり、本開示の範疇にあると見込まれる。
【0152】
d.流体濾過物品における流体濾過媒体の使用方法
他の態様において、本開示は流体濾過物品を作製するための流体濾過媒体又は要素の使用方法を提供する。例示的な実施例では、流体濾過要素は、第1層として形成され、少なくとも1μmのメジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満のメジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、含み、必要に応じこれら繊維集団の少なくとも一方が配向されている、複合不織繊維ウェブ(又はウェブ積み重ね体)である。必要に応じ、第1層及び第2層の少なくとも一方は、複数個の微粒子を更に含む。
【0153】
別の例示的な実施形態は、流体濾過物品が軸構成の収着剤密度勾配を有することを提供する。また別の例示的な実施形態は、流体濾過物品が放射状構成の収着剤密度勾配を有することを提供する。特定の一実施形態では、流体濾過要素は、収着剤粒子を実質的に含まない自己支持性のある不織ポリマー繊維の第2ウェブの複数の層を更に含む。
【0154】
別の態様において、本開示は、多孔質流体濾過物品を形成するために巻かれた2つ以上の多孔質層を含む流体濾過要素を提供し、これら多孔質層は、自己支持性のある不織ポリマー繊維及び、ウェブに捕捉された複数個の微粒子を含む。流体濾過物品はまた、多孔質物品を包囲する流体不透過性のハウジング、上層又は下層であり得る第1層(粗大繊維)と流体連通する入口、及び対応して下層又は上層になり得る第2層(微細繊維)と流体連通する出口25を含んでもよい。特定の例示的な実施例では、ハウジングは、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層と流体連通する少なくとも1つの流体入口、及び第1層に隣接し、1μm未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層と流体連通する少なくとも1つの流体出口を含んでもよい。例示的な一実施形態では、第1層及び第2層は互いに融合していてもよい。例示的な別の実施形態では、多孔質層は、分離した複合層である。
【0155】
現状で好ましい特定の実施形態では、流体濾過媒体は、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層、及び第1層に重なり、集団メジアン径が1μm未満のサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を含む。いくつかの例示的な実施例では、第1層は多孔質の支持体に隣接している。そのような流体濾過媒体は、マイクロ繊維の集団を含む第1層が、サブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層の前に透過流体に接触する深層濾過の用途では特に有用であろう。
【0156】
現状で好ましい他の実施形態では、第2層が多孔質の支持体に隣接している。そのような流体濾過媒体は、マイクロ繊維の集団を含む第1層が、サブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層に遅れて透過流体に接触する絶対濾過の用途では特に有用となる場合がある。
【0157】
流体濾過物品は、様々な形状及び形態を取ることができる。特定の例示的な実施例では、流体濾過物品は、三次元的幾何学形状の形状を取り、それらは、特定の例示的な実施例では、円筒形、円形ディスク、楕円形ディスク、又は多角形ディスクから選択できる。他の適切な形状及び形態は、当業者に周知である。
【0158】
更なる態様で、流体濾過物品の透過流体との接触を含む流体濾過の方法を提供する。特定の例示的な実施例では、流体濾過物品は、多孔質物品を形成するために巻かれた複数個の多孔質層を含む複合不織繊維ウェブ(又は、ウェブ積み重ね体)を含み、多孔質層は、上述のように自己支持性のある不織ポリマー繊維のウェブ、及び必要に応じて、ウェブに捕捉された複数個の収着剤微粒子、多孔質物品を包囲する流体不透過性のハウジング、第1表面と流体連通する入口、及び第2表面と流体連通する出口を含む。
【0159】
現状で好ましい特定の実施形態では、複合不織繊維ウェブ(又は、ウェブ積み重ね体)は、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層、及び第1層に重なり、1μm未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む第2層を含むいくつかの例示的な実施例では、第1層は多孔質の支持体に隣接している。
【0160】
ここで例示的に開示された流体濾過物品は、様々な方法で使用可能である。例示的な一実施形態では、透過流体は、第2層を通過する前に第1層を通過する。例示的な別の実施形態では、透過流体は、第1層を通過する前に第2層を通過する。更なる例示的な実施形態では、第2層は、ひだが付けられており、透過流体は、第1層を通過する前に第2層を通過する。
【0161】
いくつかの実施形態では、透過流体を、重力下で流体濾過物品に通過させてもよい。例示的な他の実施形態では、透過流体は液体又は気体であってもよく、例えば、液体ポンプ、送風機又は気体圧縮機を使用した加圧流体の流動条件下で流体濾過物品を通過させてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、ここで例示的に開示された実施形態による流体濾過物品は、加圧流体の流動条件下で、圧力損失の低減を示すであろう。
【実施例】
【0162】
本発明の例示的な実施形態をこれまで説明し、そして更に実施例として以下にも例示しているが、これらは、本発明の範囲を多少なりとも限定する意図はない。それとは逆に、本明細書中の説明を読むことによって、本開示の趣旨及び/又は添付の請求項の範囲を逸脱することなく当業者に示唆され得る様々な他の実施形態、修正、及びそれらの等価物に頼ることができることが明確に分かる。更に、本開示の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値にみられる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本来有している。最低限でも、また特許請求の範囲の範囲と等価物の原則の適用を制限しようとするものではないが、それぞれの数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して、通常の数値のまるめ方を適用することによって解釈されるべきである。
【0163】
複合不織繊維ウェブの製作
以下の実施例において、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維、及び微細繊維(微細マイクロ繊維、超微細マイクロ繊維、及び/又はサブマイクロメートル繊維を含んでもよい)を使用して、多層流体濾過媒体を形成するために積み重ねられる複合不織繊維ウェブを形成する。これら繊維集団の少なくとも1つは、配向されていてもよい。特定の実施例では、マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維は、複数個の微粒子を含む。
【0164】
マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維ウェブ(層)−準備的実施例
第1マイクロ繊維層の形成のために使用される以下のマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の準備的実施例が、前述の米国特許出願公開第2006/0096911号(Brey)に記載の粒子配合装置を備えたメルトブローン装置を使用して調製された。この装置の更なる詳細は、米国仮特許出願第61/017,230号において提供されている。
【0165】
この準備的実施例では、FINA 3960(メルトフローインデックスが350のポリプロピレンで、Total Petrochemicals,Houston,Texasから入手可能)、商標名VISTAMAXX 2125(メルトフローインデックスが80のメタロセンポリプロピレンで、Exxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)、EXXON 3746ポリプロピレン(Exxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)、並びにTOTAL 3860及び3960ポリプロピレン(Total Petrochemicals、Houston、Texasから入手可能)を基材樹脂として選択した。実施例のマイクロ繊維ウェブは、ウェブ内部に追加的な微粒子を配合して調製した。いくつかの実施例では、数種類の段階の粒子寸法(例えば、メッシュ寸法)のNC506(PICA、coconut shell)活性炭微粒子を使用した。
【0166】
幅が約25.4cm(約10インチ)の短ヤードの配合ロールが、以下に示す条件下で回収された。溶解温度は、様々な実施例に対して以下に記録される。ポリマーは、25.4cm(約10インチ)幅のドリル穴オリフィスを有するダイ(DOD)から、FINA 3960を基材とするウェブの場合は3.6kg/時(約8ポンド/時)、商標名VISTAMAXXを基材とするウェブの場合は3.0kg/時(約6.5ポンド/時)で押し出した。ダイからの回収までの距離(DCD)は、約30.48cm(約12インチ)であった。基本ウェブ(微粒子を配合していないもの)試料は、目標坪量で回収して、Davies、C.N.、The Separation of Airborne Dust and Particles、Institution of Mechanical Engineers、London Proceedings 1B、1952に記載の方法に従って有効繊維直径(EFD)を測定した。走査電子顕微鏡(SEM)を使用したメジアン径の測定で、2種類の異なるポリプロピレンホモポリマーのブレンドを使用した準備的実施例11では2峰性の繊維寸法分布が示された。空気の温度及び速度は、目標有効繊維直径が得られるように調節した。結果を表1に要約する。
【0167】
【表1】
【0168】
微細マイクロ繊維(層)−実施例
実施例1〜17では、奇数番号は比較実施例であり、厚さ0.44mm又は440μm(0.0175インチ)、坪量50.48gsm、及び3.62mmの水の圧力損失で計測されるメルトブローンウェブ(PP3546Gの堆積巻きで、DELSTAR Technologies、Inc.、Middleton、Delawareから入手可能)が、微細マイクロ繊維を含む第2層として使用された。圧力損失は、室温(約22℃)において1気圧の周囲気圧で、気流に対して5.3cm/秒の一定の前面速度を用いて測定した。有効繊維直径(EFD)6.1マイクロメートルが、この層の繊維集団メジアン径として前述のDaviesに記載の方法に従って算出され、長さ22.9cm(9インチ)のDELSTARメルトブローンウェブの試料が、以下のそれぞれの実施例の調製に使用された。
【0169】
実施例18〜26では、微細マイクロ繊維(実施例18〜20)及びサブマイクロメートル繊維(実施例21〜26)を含む追加的なウェブを使用して、上述の第1層の下に重ねる1つ以上の追加的な層を形成した。実施例18〜20では、準備的実施例10で指定されたウェブ、すなわちExxon 3746ポリプロピレン(Exxon−Mobil Chemical Company、Houston、Texasから入手可能)を4.54kg/時(10ポンド/時)、坪量50gsm、「回収装置までの距離」(DCD)17.78cm(7インチ)でメルトブローすることにより形成され、3.7μm(EFD)の集団メジアン繊維径を有する微細マイクロ繊維を含むウェブが、厚さ約850μm(34ミル)で巻き付け全長15.2cm(6インチ)を有する単一下層(実施例18)、巻き付け全長27.9cm(11インチ)を有する2重層(実施例19)、及び巻き付け全長43.2cm(17インチ)を有する3重層(実施例20)を形成する第2層として使用された。
【0170】
実施例21〜23では、ポリプロピレンのサブマイクロメートル吹き込み形成マイクロ繊維(BMF)の繊維(TOTAL 3960ポリプロピレンでTotal Petrochemical、Houston、Texasから入手可能)の、ポリプロピレンのスパンボンド繊維(TOTAL 3860ポリプロピレンで同じくTotal Petrochemical、Houston、Texasから入手可能)との相互混合物を含む、準備的実施例11で指定されたウェブが、これら混合繊維がウェブへと回収される前に、吹き込み形成されたこのマイクロ繊維を配向されたスパンボンド繊維へとメルトブロー加工することにより形成されて、厚さ約1150μm(45.2ミル)で巻き付け全長15.24cm(6インチ)の単一下層(実施例21)、巻き付け全長26.4cm(11インチ)の2重層(実施例22)、及び巻き付け全長43.2cm(17インチ)の3重層(実施例23)を形成するために使用された。
【0171】
実施例24では、0.6〜0.8μmの集団メジアン径を有するKuraray WJ05118−01P(エチレンビニルアルコール[EVOH]海中の100gsmの海中島ポリプロピレン繊維)を使用して、巻き付け全長15.24cm(6インチ)を有する単一下層を形成した。
【0172】
実施例25では、0.6〜0.8μmの集団メジアン径を有するKuraray NP060120−14H(EVOH海中の100gsmの海中島ポリプロピレン繊維)を使用して、厚さ約430μm(17ミル)で巻き付け全長15.24cm(6インチ)を有する単一下層を形成した。
【0173】
実施例26では、ポリプロピレンスパンボンド(坪量35gsm)の支持体ウェブが、0.5〜0.6μmの集団メジアン径を有するポリプロピレンサブマイクロメートル繊維(坪量27gsm)でコーティングされて、(Nanofiber Technology Inc(NTI)、Charlotte、North Carolina製の抄紙されたウェブとして得られる]巻き付け全長15.24cm(6インチ)を有する下層を形成するために使用された。
【0174】
流体濾過媒体の製作
上述の炭素配合されたマイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維及び微細マイクロ繊維のウェブは、一般に以下の例示的方法を用いて流体濾過物品に組み込まれた。
【0175】
1.概略寸法が20.32cm×長さ30.48cm(幅約8インチ×12インチ)の小区域を切り出した。この試料の重量を測定し、約100グラムの媒体を含んだフィルターを得るために必要とされるウェブの長さを検出する計算を行った。
【0176】
2.InterNet(RN−2540)より入手した剛性のチューブを、概略寸法3.68cmOD×35.24cm(約1.45”の「外径」(OD)及び13.875”の長さ)で得た。このチューブは、チューブ全体に約0.381cm(約0.15”インチ)角の開口部を備えていた。
【0177】
3.微細繊維ウェブ層を、粗大繊維配合ウェブを(巻き付けると指定された試料に)巻き付ける前に、このInterNetチューブの周囲に巻き付けた。
【0178】
4.粒子配合された粗大繊維ウェブを、正確な長さで試料ロールから切り出した。約91.44〜121.92cm(約3〜4フィート長)の試料を、約20.32cm(約8インチ)にまで切り出して、約100グラムの微粒子配合を作り出した。
【0179】
5.巻き付け用のマイクロ繊維若しくは粗大マイクロ繊維ウェブ(比較実施例)又は巻き付け用の複合多層ウェブ(実施例)をチューブの外径に3M 3164ホットメルト接着剤(3M Company、St.Paul、Minnesotaから入手可能)を使用して接着した。
【0180】
6.ウェブを、チューブの周りに好適な長さにわたって巻き付けた。
【0181】
7.ウェブの外側縁部を、同じホットメルト接着剤を使用して、ウェブの内側層に接着した。
【0182】
8.チューブをのこぎりにかけて、一方の末端部を、良好な取り付けが視認できる箇所で切断した。もう一方の末端部を切断して、長さ約20.32cm(約8インチ)のフィルターを得た。
【0183】
9.フィルターの末端部を、3M 3164ホットメルト接着剤を使用して端部キャップに埋め込んだ。
【0184】
例示的な多層複合不織繊維流体濾過媒体を、表2に要約する。
【0185】
【表2】
【0186】
流体濾過媒体の試験
上記実施例1〜26により形成された特定の流体濾過物品を、初期排水濁度及び圧力損失を含む性能試験により検証した。
【0187】
初期排水濁度試験
流体濾過システムを給水設備に接続し、フィルターを通過する最初の水を採取した。この方法は、規定条件下での試料による光散乱強度と、同条件下での標準対照による光散乱強度との比較に基づいている。散乱した光の量が多いほど、水中での濁度レベルが高いことを示す。データは、通常、比濁計濁度単位あるいはNTUで報告される。<0.5NTUの値は、NSF/ANSI飲料水規格を満たす。
【0188】
実施例1〜26による流体濾過物品を、端部キャップのストロー末端部に取り付けるJohn Guest接合器具に合わせて改修したハウジングに挿入して、流体(例えば、水)入口が第1の(マイクロ繊維又は粗大マイクロ繊維の)上層と流体連通し、流体(例えば、水)出口が第2の(微細繊維の)下層と流体連通するようにした。このハウジング/フィルター構造体を、Eagan、Minnesota都市水道システムからの水が流れ出る試験台に接続した。最初の1リットルは、排水流から採取した。濁度を測定して記録した。次に試料を2.92リットル/分(毎分約0.75ガロン(gpm))でそのまま流し、追加の試料を3.89、19.46、38.92、97.3、194.6、及び389リットル(それぞれ約、1、5、10、25、50及び100ガロン)の段階で採取した。濁度をそれぞれの段階の試料で測定した。実施例1〜16の結果を図7〜9にプロットする。
【0189】
実施例17〜26の結果を表3に要約する。表4に示すように、所定の流量において測定した濾過要素を備えた入口圧力と、同じ流量で測定した濾過要素を備えていない入口圧力(すなわち、表4に列記した対照圧力)との間の差として算出された実施例17〜26のフィルターの浄化圧力損失は低く、そのようなフィルターは家全体の水濾過用途に有利であろう。
【0190】
走査電子顕微鏡解析
準備的実施例8(堆積巻き付け無し)は最も微細な(80×325)炭素寸法を含んでおり、流体濾過用途で用いた場合に最も高い確率で粒子を脱落する。濁度試験の終了後に保持されていた最小の炭素粒子の寸法を観測するため、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して、この流体濾過物品を解析した。図10は、この解析から得られた顕微鏡写真の一例を示している。一連の顕微鏡写真の解析は、粒子配合された繊維マトリックスに保持された最小の炭素粒子(くず以外)が62×45μmであることを明らかにした。(US 230 Tylerのメッシュふるいが保持するのは63μm以上の粒子であると報告されている)。
【0191】
【表3】
【0192】
【表4】
【0193】
本明細書全体を通して言及する「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」は、用語「実施形態」に先行する用語「特定の」を含むかどうかを問わず、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の実施形態の少なくとも1つに含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」といった句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0194】
本明細書は、特定の例示的な実施形態を詳細に説明しているが、上述の事項を理解することにより、当業者がこれらの実施形態に対する変更、その変形、及びそれらの相当物を容易に想起できることは明らかである。したがって、本開示は、本明細書における上述の例示的な実施形態例に不当に限定されるものではないことを理解すべきである。特に、本明細書で使用されるように、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数を含むことが意図されている(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。加えて、本明細書で使用する全ての数字は、用語「約」により修正されることが想定されている。様々な例示的な実施形態が説明されてきた。これら及び他の実施形態は、下記の特許請求の範囲の範疇にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体濾過媒体において、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、
前記第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、を含み、
前記繊維集団の少なくとも一方が配向されている、流体濾過媒体。
【請求項2】
マイクロ繊維の前記集団が、約2μm〜約100μmの範囲である集団メジアン繊維径を有する、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項3】
サブマイクロメートル繊維の前記集団が、約0.2μm〜約0.9μmの範囲である集団メジアン繊維径を有する、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項4】
サブマイクロメートル繊維の前記集団及びマイクロ繊維の前記集団の少なくとも一方が、ポリマー繊維を含む、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項5】
前記ポリマー繊維が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、流体結晶ポリマー、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー、又はこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の流体濾過媒体。
【請求項6】
前記ポリマー繊維が、ポリオレフィン繊維を含む、請求項4に記載の流体濾過媒体。
【請求項7】
前記第1層が、前記第2層に重なる、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項8】
前記第2層は、ひだが付けられている、請求項7に記載の流体濾過媒体。
【請求項9】
多孔質の支持体層を更に含む、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項10】
前記多孔質の支持体層が、前記第1層とは反対側の前記第2層に隣接する、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項11】
前記多孔質の支持体層が、前記第2層とは反対側の前記第1層に隣接する、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項12】
前記多孔質の支持体層が、不織布、織布、編織物、発泡層、スクリーン、多孔質フィルム、穿孔フィルム、フィラメントのアレイ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項13】
前記多孔質の支持体層が、熱可塑性樹脂メッシュを含む、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項14】
前記多孔質の支持体層が、結合された短繊維のウェブを含み、更に前記多孔質の支持体層が、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを用いて結合される、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項15】
前記多孔質の支持体層が、マイクロ繊維を含む、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項16】
前記多孔質の支持体層を形成する前記マイクロ繊維が、前記第1層を形成するマイクロ繊維の前記集団と組成的に同一である、請求項15に記載の流体濾過媒体。
【請求項17】
前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方が、複数の微粒子を更に含む、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項18】
前記複数の微粒子が、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の流体濾過媒体。
【請求項19】
前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方が、繊維集団メジアン径の勾配、微粒子集団平均径の勾配、微粒子濃度の勾配、又はこれらの組み合わせを示す、請求項17に記載の流体濾過媒体。
【請求項20】
前記第1層及び前記第2層が、多角形の積み重ね体、積み重ねられた円形ディスク、又は円筒状に巻かれた積み重ね体の形状に配置される、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項21】
前記第1層及び前記第2層が、多孔質の支持体上で積み重ね体に配置され、更に前記第1層が前記多孔質の支持体に隣接する、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項22】
前記第1層及び前記第2層が、中空コアを有する三次元的幾何学形状に巻かれ、前記第2層が前記中空コアに近接する内側層を形成し、前記第1層が前記中空コアから遠位の外側層を形成する、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項23】
前記三次元的幾何学形状が、円筒形、円形ディスク、楕円形ディスク、又は多角形ディスクから選択される、請求項22に記載の流体濾過媒体。
【請求項24】
前記中空コア内に位置決めされたメッシュを更に含む、請求項22に記載の流体濾過媒体。
【請求項25】
透過流体を前記流体濾過媒体に通過させる工程を含み、前記透過流体は、前記第2層を通過する前に前記第1層を通過する、請求項22に記載の流体濾過媒体の使用方法。
【請求項26】
透過流体を前記流体濾過媒体に通過させる工程を含み、前記透過流体は、前記第1層を通過する前に前記第2層を通過する、請求項22に記載の流体濾過媒体の使用方法。
【請求項27】
透過流体を前記流体濾過媒体に通過させる工程を含み、前記透過流体は、前記第2層を通過する前に前記第1層を通過する、請求項1に記載の流体濾過媒体の使用方法。
【請求項28】
透過流体を前記流体濾過媒体に通過させる工程を含み、前記第2層は、ひだが付けられており、前記透過流体は、前記第1層を通過する前に前記第2層を通過する、請求項1に記載の流体濾過媒体の使用方法。
【請求項29】
流体濾過媒体の作製方法において、
a.少なくとも1μmの集団メジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、
b.前記第1層に衝突する第2層を形成する工程であって、前記第2層は、1μm未満の集団メジアン繊維径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む、工程と、を含み、
前記繊維集団の少なくとも一方が配向されている、流体濾過媒体の作製方法。
【請求項30】
前記第1層と前記第2層との間の領域を形成する工程を更に含み、その領域でマイクロ繊維の前記集団の少なくとも一部分は、サブマイクロメートル繊維の前記集団の少なくとも一部分と相互に混合される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2層が、前記第1層上に重ねられる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第1層とは反対側の前記第2層に隣接する多孔質の支持体層を追加する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記多孔質の支持体層が、結合された短繊維のウェブを含み、前記多孔質の支持体層が、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを用いて結合される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記多孔質の支持体層が、マイクロ繊維を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記多孔質の支持体層を形成する前記マイクロ繊維が、前記第1層を形成するマイクロ繊維の前記集団と組成的に同一である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方が、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記第1層及び前記第2層が、中空コアを有する三次元的幾何学形状に巻かれ、前記第2層が前記中空コアに近接する内側層を形成し、前記第1層が前記中空コアから遠位の外側層を形成する、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
1μm未満のメジアン繊維径を有するサブマイクロ繊維の集団を形成する工程が、メルトブロー、溶融紡糸、電界紡糸、集網フィラメント形成、気体噴流繊維形成、又はこれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1μm未満のメジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を形成する工程が、メルトブロー、溶融紡糸、フィラメント押し出し、集網フィラメント形成、又はこれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記サブマイクロメートル及びマイクロ繊維を組み合わせる工程が、繊維流れの混合、水流交絡法、湿式形成、集網フィラメント形成、又はこれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
複合不織繊維物品において、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有する粗大ポリマーマイクロ繊維の集団と、
前記第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細ポリマーマイクロ繊維の集団と、を含み、
前記繊維集団の少なくとも一方が配向されている、複合不織繊維物品。
【請求項42】
微細マイクロ繊維の前記集団が、1μm未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む、請求項41に記載の物品。
【請求項43】
前記第1層が、複数の微粒子を更に含む、請求項41に記載の物品。
【請求項44】
前記複数の微粒子が、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項43に記載の物品。
【請求項45】
前記複数個の微粒子が、1μm未満の集団メジアン径を有する微粒子の集団を含む、請求項43に記載の物品。
【請求項46】
前記複数個の微粒子が、少なくとも1μmの集団メジアン径を有する微粒子の集団を含む、請求項43に記載の物品。
【請求項47】
前記第2層が、前記第1層に重なる、請求項41に記載の物品。
【請求項48】
前記第2層は、ひだが付けられている、請求項47に記載の物品。
【請求項49】
多孔質の支持体層を更に含む、請求項41に記載の物品。
【請求項50】
前記多孔質の支持体層が、前記第1層とは反対側の前記第2層に隣接する、請求項49に記載の物品。
【請求項51】
前記多孔質の支持体層が、前記第2層とは反対側の前記第1層に隣接する、請求項49に記載の物品。
【請求項52】
前記第1層及び前記第2層が、中空コアを有する三次元的幾何学形状に巻かれ、前記第2層が前記中空コアに近接する内側層を形成し、前記第1層が前記中空コアから遠位の外側層を形成する、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記中空コア内に位置決めされ、前記第2層の少なくとも一部分に接触するメッシュを更に含む、請求項52に記載の物品。
【請求項54】
請求項41に記載の物品の作製方法において、
a.少なくとも1μmの集団メジアン繊維径を有する粗大ポリマーマイクロ繊維の前記集団を含む前記第1層を形成する工程と、
b.10μm未満の集団メジアン繊維径を有する微細ポリマーマイクロ繊維の前記集団を含む前記第2層を形成する工程と、
c.前記第1及び第2層の一方又は両方を配向させる工程と、を含む作製方法であって、
d.さらに、前記第1層を前記第2層に結合させる工程を含むか、または含まない、作製方法。
【請求項55】
透過流体を前記第1及び第2層に通過させる工程を含み、前記透過流体は、前記第2層を通過する前に前記第1層を通過する、請求項41に記載の物品の使用方法。
【請求項56】
第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、
前記第1層に隣接する第2層として形成され、2μm未満の集団メジアン径を有する超微細マイクロ繊維の集団と、
前記第1及び第2層を包囲する流体不透過性のハウジングと、を含み、前記ハウジングが、前記第1層と流体連通する少なくとも1つの流体入口及び前記第2層と流体連通する少なくとも1つの流体出口を含む、流体濾過物品。
【請求項57】
超微細マイクロ繊維の前記集団が、1μm未満の集団メジアン径を有する、請求項56に記載の流体濾過物品。
【請求項58】
前記流体が液体である、請求項56に記載の流体濾過物品。
【請求項1】
流体濾過媒体において、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、
前記第1層に隣接する第2層として形成され、1マイクロメートル(μm)未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団と、を含み、
前記繊維集団の少なくとも一方が配向されている、流体濾過媒体。
【請求項2】
マイクロ繊維の前記集団が、約2μm〜約100μmの範囲である集団メジアン繊維径を有する、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項3】
サブマイクロメートル繊維の前記集団が、約0.2μm〜約0.9μmの範囲である集団メジアン繊維径を有する、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項4】
サブマイクロメートル繊維の前記集団及びマイクロ繊維の前記集団の少なくとも一方が、ポリマー繊維を含む、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項5】
前記ポリマー繊維が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、流体結晶ポリマー、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー、又はこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の流体濾過媒体。
【請求項6】
前記ポリマー繊維が、ポリオレフィン繊維を含む、請求項4に記載の流体濾過媒体。
【請求項7】
前記第1層が、前記第2層に重なる、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項8】
前記第2層は、ひだが付けられている、請求項7に記載の流体濾過媒体。
【請求項9】
多孔質の支持体層を更に含む、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項10】
前記多孔質の支持体層が、前記第1層とは反対側の前記第2層に隣接する、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項11】
前記多孔質の支持体層が、前記第2層とは反対側の前記第1層に隣接する、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項12】
前記多孔質の支持体層が、不織布、織布、編織物、発泡層、スクリーン、多孔質フィルム、穿孔フィルム、フィラメントのアレイ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項13】
前記多孔質の支持体層が、熱可塑性樹脂メッシュを含む、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項14】
前記多孔質の支持体層が、結合された短繊維のウェブを含み、更に前記多孔質の支持体層が、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを用いて結合される、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項15】
前記多孔質の支持体層が、マイクロ繊維を含む、請求項9に記載の流体濾過媒体。
【請求項16】
前記多孔質の支持体層を形成する前記マイクロ繊維が、前記第1層を形成するマイクロ繊維の前記集団と組成的に同一である、請求項15に記載の流体濾過媒体。
【請求項17】
前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方が、複数の微粒子を更に含む、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項18】
前記複数の微粒子が、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の流体濾過媒体。
【請求項19】
前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方が、繊維集団メジアン径の勾配、微粒子集団平均径の勾配、微粒子濃度の勾配、又はこれらの組み合わせを示す、請求項17に記載の流体濾過媒体。
【請求項20】
前記第1層及び前記第2層が、多角形の積み重ね体、積み重ねられた円形ディスク、又は円筒状に巻かれた積み重ね体の形状に配置される、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項21】
前記第1層及び前記第2層が、多孔質の支持体上で積み重ね体に配置され、更に前記第1層が前記多孔質の支持体に隣接する、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項22】
前記第1層及び前記第2層が、中空コアを有する三次元的幾何学形状に巻かれ、前記第2層が前記中空コアに近接する内側層を形成し、前記第1層が前記中空コアから遠位の外側層を形成する、請求項1に記載の流体濾過媒体。
【請求項23】
前記三次元的幾何学形状が、円筒形、円形ディスク、楕円形ディスク、又は多角形ディスクから選択される、請求項22に記載の流体濾過媒体。
【請求項24】
前記中空コア内に位置決めされたメッシュを更に含む、請求項22に記載の流体濾過媒体。
【請求項25】
透過流体を前記流体濾過媒体に通過させる工程を含み、前記透過流体は、前記第2層を通過する前に前記第1層を通過する、請求項22に記載の流体濾過媒体の使用方法。
【請求項26】
透過流体を前記流体濾過媒体に通過させる工程を含み、前記透過流体は、前記第1層を通過する前に前記第2層を通過する、請求項22に記載の流体濾過媒体の使用方法。
【請求項27】
透過流体を前記流体濾過媒体に通過させる工程を含み、前記透過流体は、前記第2層を通過する前に前記第1層を通過する、請求項1に記載の流体濾過媒体の使用方法。
【請求項28】
透過流体を前記流体濾過媒体に通過させる工程を含み、前記第2層は、ひだが付けられており、前記透過流体は、前記第1層を通過する前に前記第2層を通過する、請求項1に記載の流体濾過媒体の使用方法。
【請求項29】
流体濾過媒体の作製方法において、
a.少なくとも1μmの集団メジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を含む第1層を形成する工程と、
b.前記第1層に衝突する第2層を形成する工程であって、前記第2層は、1μm未満の集団メジアン繊維径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む、工程と、を含み、
前記繊維集団の少なくとも一方が配向されている、流体濾過媒体の作製方法。
【請求項30】
前記第1層と前記第2層との間の領域を形成する工程を更に含み、その領域でマイクロ繊維の前記集団の少なくとも一部分は、サブマイクロメートル繊維の前記集団の少なくとも一部分と相互に混合される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2層が、前記第1層上に重ねられる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第1層とは反対側の前記第2層に隣接する多孔質の支持体層を追加する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記多孔質の支持体層が、結合された短繊維のウェブを含み、前記多孔質の支持体層が、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを用いて結合される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記多孔質の支持体層が、マイクロ繊維を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記多孔質の支持体層を形成する前記マイクロ繊維が、前記第1層を形成するマイクロ繊維の前記集団と組成的に同一である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方が、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記第1層及び前記第2層が、中空コアを有する三次元的幾何学形状に巻かれ、前記第2層が前記中空コアに近接する内側層を形成し、前記第1層が前記中空コアから遠位の外側層を形成する、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
1μm未満のメジアン繊維径を有するサブマイクロ繊維の集団を形成する工程が、メルトブロー、溶融紡糸、電界紡糸、集網フィラメント形成、気体噴流繊維形成、又はこれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1μm未満のメジアン繊維径を有するマイクロ繊維の集団を形成する工程が、メルトブロー、溶融紡糸、フィラメント押し出し、集網フィラメント形成、又はこれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記サブマイクロメートル及びマイクロ繊維を組み合わせる工程が、繊維流れの混合、水流交絡法、湿式形成、集網フィラメント形成、又はこれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
複合不織繊維物品において、第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有する粗大ポリマーマイクロ繊維の集団と、
前記第1層に隣接する第2層として形成され、10μm未満の集団メジアン径を有する微細ポリマーマイクロ繊維の集団と、を含み、
前記繊維集団の少なくとも一方が配向されている、複合不織繊維物品。
【請求項42】
微細マイクロ繊維の前記集団が、1μm未満の集団メジアン径を有するサブマイクロメートル繊維の集団を含む、請求項41に記載の物品。
【請求項43】
前記第1層が、複数の微粒子を更に含む、請求項41に記載の物品。
【請求項44】
前記複数の微粒子が、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項43に記載の物品。
【請求項45】
前記複数個の微粒子が、1μm未満の集団メジアン径を有する微粒子の集団を含む、請求項43に記載の物品。
【請求項46】
前記複数個の微粒子が、少なくとも1μmの集団メジアン径を有する微粒子の集団を含む、請求項43に記載の物品。
【請求項47】
前記第2層が、前記第1層に重なる、請求項41に記載の物品。
【請求項48】
前記第2層は、ひだが付けられている、請求項47に記載の物品。
【請求項49】
多孔質の支持体層を更に含む、請求項41に記載の物品。
【請求項50】
前記多孔質の支持体層が、前記第1層とは反対側の前記第2層に隣接する、請求項49に記載の物品。
【請求項51】
前記多孔質の支持体層が、前記第2層とは反対側の前記第1層に隣接する、請求項49に記載の物品。
【請求項52】
前記第1層及び前記第2層が、中空コアを有する三次元的幾何学形状に巻かれ、前記第2層が前記中空コアに近接する内側層を形成し、前記第1層が前記中空コアから遠位の外側層を形成する、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記中空コア内に位置決めされ、前記第2層の少なくとも一部分に接触するメッシュを更に含む、請求項52に記載の物品。
【請求項54】
請求項41に記載の物品の作製方法において、
a.少なくとも1μmの集団メジアン繊維径を有する粗大ポリマーマイクロ繊維の前記集団を含む前記第1層を形成する工程と、
b.10μm未満の集団メジアン繊維径を有する微細ポリマーマイクロ繊維の前記集団を含む前記第2層を形成する工程と、
c.前記第1及び第2層の一方又は両方を配向させる工程と、を含む作製方法であって、
d.さらに、前記第1層を前記第2層に結合させる工程を含むか、または含まない、作製方法。
【請求項55】
透過流体を前記第1及び第2層に通過させる工程を含み、前記透過流体は、前記第2層を通過する前に前記第1層を通過する、請求項41に記載の物品の使用方法。
【請求項56】
第1層として形成され、少なくとも1μmの集団メジアン径を有するマイクロ繊維の集団と、
前記第1層に隣接する第2層として形成され、2μm未満の集団メジアン径を有する超微細マイクロ繊維の集団と、
前記第1及び第2層を包囲する流体不透過性のハウジングと、を含み、前記ハウジングが、前記第1層と流体連通する少なくとも1つの流体入口及び前記第2層と流体連通する少なくとも1つの流体出口を含む、流体濾過物品。
【請求項57】
超微細マイクロ繊維の前記集団が、1μm未満の集団メジアン径を有する、請求項56に記載の流体濾過物品。
【請求項58】
前記流体が液体である、請求項56に記載の流体濾過物品。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−508665(P2011−508665A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540770(P2010−540770)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/086766
【国際公開番号】WO2009/088647
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/086766
【国際公開番号】WO2009/088647
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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