説明

流体用バルブ

【課題】流体通路内の汚れや垢の影響を受けず、化学的腐食にも強い流体用バルブを提供する。
【解決手段】提供される流体用バルブは、少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とを有し、流体を通す流体通路を画成する管本体と、該管本体の前記流体通路内に挿入配置される少なくとも1つの中空弾性部材とを備え、該中空弾性部材は、中空部と、駆動流体を該中空部に流入させるための少なくとも1つの開口部とを有し、前記駆動流体は、前記開口部から前記中空部に流入して、当該中空部内を所定の駆動圧力に加減設定でき、該駆動圧力によって、前記中空弾性部材の体積を、下限値と上限値との間で変動させ、かつ、前記体積の下限値は、前記流体通路を最小閉塞状態とする作動条件に対応し、前記体積の上限値は、前記流体通路を最大閉塞状態とする作動条件に対応している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体用バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の圧力調節バルブは、周知のように、流体の通路(管路)を絞ることで、所定の水頭損失を流体に起こさせて、流体の圧力を調節する構成となっている。
【0003】
とりわけ、機械式圧力調節バルブは、周知のように、バルブ本体の内部に流体通路が設けられ、この流体通路内には、摺動可能なシャッタ(弁体)が、流体通路に沿って、様々な位置に変位して、流体通路に可変の閉塞状態を起こさせることで、流体の圧力を調整する仕組みになっている。一般に、シャッタ範囲は、展開方向に沿って、調節可能である。とりわけ、シャッタは、隔膜に作用する圧縮空気又は大気圧によって、一方の側に駆動される。主として、圧縮空気の圧力を調節することによって、シャッタの開度及び負荷流体の圧力の程度が定められる。シャッタは、他方の側で、圧縮空気又は大気圧と負荷圧力との差圧に比例する力を増幅できる平板状の隔膜に接続されていて、負荷圧力が不測的に変動する度に、負荷圧力を定常状態に戻す力が生成される構成となっている。ここで、シャッタの変位は、シャッタに接続されている予荷重ばねを圧縮することで、較正されることができる。
【0004】
上述の圧力調節バルブは、容器にラベルを貼り付けるラベル貼り機で特に用いられる。ラベル貼り機では、一巻きのラベルフィルムが、リールから巻きを解かれ、各種の吸引ローラの働きによって、順次、個々のラベルに裁断された後、容器に貼り付けられる構成となっている。この種の吸引ローラは、ラベルを吸引保持するために、複数の吸気導管に連通する多数の貫通孔が穿孔された回転円筒面を有している。各吸気導管の他端側は、一般に、単一のマニホールド構成となって、真空ポンプに接続されている。
【0005】
真空ポンプは、ラベルが吸着されているローラ上の角度位置に応じて、異なる強度で吸引する構成となっている。ラベル貼り機においては、通常は、2種類の吸引ローラが用いられる。1つは、裁断ローラで、もう1つは、転写ローラである。
裁断ローラは、リールから引き出されたラベルフィルムを適正寸法に裁断して個々のラベルを形成してゆき、裁断形成したラベルを保持して、転写ローラに渡す役割を担っている。転写ローラは、ラベルを接着剤塗布ローラのある接着剤塗布部に運び、該接着剤塗布部にてラベルに接着剤が塗布された後、ラベルを容器に転写する役割を担っている。接着剤塗布ローラは、接着剤が加熱されているか、常温であるかによって、接着剤をラベルに散点状に又は層状に塗布する。
【0006】
転写ローラには、ラベルを裁断ローラから緩やかに引き剥がして捕捉しなければならないという要求と、接着剤塗布ローラとの接触期間中はラベルを転写ローラにしっかりと保持しておかなければならない、という相反する要求に応えるため、転写ローラの回転円筒面は、真空度を異にする角度領域に区分されている。実際に、転写ローラのある角度領域では、ラベルを容器に転写させるように、ポンプによる吸引は遮断されなければならない。
【0007】
ところで、上記従来のバルブには、いくつかの重大な欠点がある。
まず、流体通路の内側の垢溜まりに起因してロック状態に陥り易い、という欠点がある。
第2に、上記従来のバルブでは、シャッタと流体通路との間の隙間が狭いため、清浄化するのが困難である、という欠点がある。
また、上記従来のバルブは、製造コストが高いという欠点もある。
加えて、上記従来のバルブが、とりわけ、ラベル貼り機の分野で用いられる場合には、空気の吸引に加えて、腐食作用のある接着剤等の吸引も避けがたいため、バルブが、腐食し易い、という欠点もある。
【0008】
流量調節用バルブもラベル貼り機の分野で利用可能である。公知の流量調整器は、可動ボールを内部に含む流体通路を備えている。可動ボールの様々の姿態により、流量が調節されるようになっている。別の公知の流量調整器は、流体通路の内壁に蝶番で取着されて回動可能なバタフライシャッタを備えている。これにより、流体通路が絞り込まれて、流量が調節されるようになっている。
【0009】
上記した各種流量調節用バルブは、バルブの下流側と上流側の圧力が実質的に一定である経路に挿入される。流量調節用バルブについても、シャッタと流体通路との間の隙間が狭いため、清掃するのが困難である、という欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、相対的回転運動又は相対的直線運動をするような機械部品を用いない圧力調節用又は流量調節用バルブを提供することを第1の目的としている。
また、この発明は、回転式封止材又は動的な封止材を用いずに、外部環境から隔離できる圧力調節用又は流量調節用バルブを提供することを第2の目的としている。
また、この発明は、垢の付着堆積による影響を受けない圧力調節用又は流量調節用バルブを提供することを第3の目的としている。
加えて、この発明は、化学的腐食に強い、すなわち、高い耐食性を有する圧力調節用又は流量調節用バルブを提供することを第4の目的としている。
さらに、この発明は、液状流体及びガス状流体の何れに対しても適用できる圧力調節用又は流量調節用バルブを提供することを第5の目的としている。
また、この発明は、構成が簡単で、安価な圧力調節用又は流量調節用バルブを提供することを第6の目的としている。
上記目的は、特許請求の範囲に記載した内容によって特徴付けられる、この発明の流体用バルブによって充分に達成される。
【0011】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とを有し、流体を通す流体通路を画成する管本体と、該管本体の前記流体通路内に挿入配置される少なくとも1つの中空弾性部材とを備え、該中空弾性部材は、中空部と、駆動流体を該中空部に流入させるための少なくとも1つの開口部とを有し、前記駆動流体は、前記開口部から前記中空部に流入して、当該中空部内を所定の駆動圧力に加減設定でき、該駆動圧力によって、前記中空弾性部材の体積を、下限値と上限値との間で変動させ、かつ、前記体積の下限値は、前記流体通路を最小閉塞状態とする作動条件に対応し、前記体積の上限値は、前記流体通路を最大閉塞状態とする作動条件に対応している流体用バルブに係り、前記流体通路が、少なくとも1つの湾曲状突出部を有する概略円形の断面形状に構成されていることを特徴としている。
【0012】
この発明の第2の構成は、少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とを有し、流体を通す流体通路を画成する管本体と、該管本体の前記流体通路内に挿入配置される少なくとも1つの中空弾性部材とを備え、該中空弾性部材は、中空部と、駆動流体を該中空部に流入させるための少なくとも1つの開口部とを有し、前記駆動流体は、前記開口部から前記中空部に流入して、当該中空部内を所定の駆動圧力に加減設定でき、該駆動圧力によって、前記中空弾性部材の体積を、下限値と上限値との間で変動させ、かつ、前記体積の下限値は、前記流体通路を最小閉塞状態とする作動条件に対応し、前記体積の上限値は、前記流体通路を最大閉塞状態とする作動条件に対応している流体用バルブに係り、前記流体通路が、概略矩形の断面形状に構成されていることを特徴としている。
【0013】
この発明の第3の構成は、少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とを有し、流体を通す流体通路を画成する管本体と、該管本体の前記流体通路内に挿入配置される少なくとも1つの中空弾性部材とを備え、該中空弾性部材は、中空部と、駆動流体を該中空部に流入させるための少なくとも1つの開口部とを有し、前記駆動流体は、前記開口部から前記中空部に流入して、当該中空部内を所定の駆動圧力に加減設定でき、該駆動圧力によって、前記中空弾性部材の体積を、下限値と上限値との間で変動させ、かつ、前記体積の下限値は、前記流体通路を最小閉塞状態とする作動条件に対応し、前記体積の上限値は、前記流体通路を最大閉塞状態とする作動条件に対応している流体用バルブに係り、前記流体通路が、概略楕円形の断面形状に構成されていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上記した特徴と利点は、この発明の好ましい実施態様の記載を添付図面と共に検討すれば、よりたやすく明白になる。なお、この発明は、次節で詳述する実施態様に限定されるものではないことは勿論である。
【図1】この発明による流体用バルブの内部構成を示す断面斜視図である。
【図2】図1の流体用バルブの内部構成を示す縦面図である。
【図3】図1の流体用バルブの内部構成を示す横断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
この発明の第1の実施形態による流体用バルブ1は、まず、管本体2を備えていて、該管本体2には、流体を通す流体通路3が画成されていて、該流体通路3の一端側には、該流体通路3への流入口4が設けられ、他端側には該流体通路3からの流出口5とが設けられている。さらに、流体用バルブ1は、中空部を有する中空弾性部材を有している。この実施形態では、好ましい中空弾性部材として、概略断面円形のチューブ状スリーブ6が用いられている。このチューブ状スリーブ6は、管本体6の流体通路3の内部に挿入されている。
【0016】
チューブ状スリーブ6の一端側には、駆動流体(作動流体)を中空部に流入させるための第1の開口端6aが設けられている。上記駆動流体は、第1の開口端6aからチューブ状スリーブ6の中空部に流入して、当該中空部を所定の圧力、いわゆる、駆動圧力(作動圧力)に加減でき、この駆動圧力によって、チューブ状スリーブ6の体積が、下限値と上限値との間で変動自在に設定される構成となっている。ここで、体積の下限値は、流体通路3を最小閉塞状態とする作動条件(つまり、流体を最大限に流れ易くする作動条件)に対応し、体積の上限値は、流体通路3を最大閉塞状態とする作動条件(つまり、流体を最大限に流れ難くする作動条件)に対応している。
【0017】
この図示例では、さらに、チューブ状スリーブ6の他端側には、第1の開口端6aとは反対側の流体用バブル1の部位から駆動流体の流入させるための第2の開口端6bが設けられている。ここで、流体用バルブ1が作動する際には、流体用バルブが適用されるシステムの構成態様に応じて、2つの開口端6a、6bのうち、どちらか一方だけが、作動するようになっている。この例では、チューブ状スリーブ6は、流体通路3と軸心を共通にする態様で配設されている。
【0018】
特に、図2に示すように、チューブ状スリーブ6は、その両端部が、一対の支持体7、8によって支持されることにより、流体通路3内に保持されている。各支持体7、8は、チューブ状スリーブ6の対応する開口端6a、6bに挿入される挿入部(第1の部分)7a、8aと、管本体2に接合される結合部(第2の部分)7b、8bとを有している。この例では、一対の横向きフランジ9、10が、管本体2の相対向する両端面に当接配置されていて、上記支持体7、8が、対応する横向きフランジ9、10を介して、例えば、フランジ9、10にねじ留め(不図示)されることで、管本体2に間接的に接合される構成となっている。
【0019】
この例では、各支持体7、8のうち、結合部(第2の部分)7b、8bは、図1及び図2に示すように、チューブ状スリーブ6の外に配置されていて、流体通路3に流入する際の流体の流れを妨害又は著しく撹乱しないように、概略尖頭形状に形成されている。
次に、各支持体7、8のうち、挿入部(第1の部分)7a、8aは、チューブ状スリーブ6の対応する開口端6a、6bに挿入されて、開口端6a、6bを閉塞して封止する。挿入部7a、8aの内部には、それぞれ、チャネル11が穿設されていて、駆動流体が、チャネル11を経由して、管本体6の流体通路3に導入されるようになっている。ここで、再び、強調しておきたいことは、流体用バルブ1の作動時には、2つの開口端6a、6bのチャネル11のうち、どちらか一方のチャネル11だけが、作動状態になることである。
【0020】
横向きフランジ9、10の内部には、駆動流体を、挿入部(第1の部分)7a、8aに設けられたチャネル11を経由してチューブ状スリーブ6の流体通路3に導入させるために、チャネル11と連通するチャネル12が穿設されている。駆動流体は、好ましくは、公知の図示せぬポンプと同じく公知の図示せぬ自動圧力調整器とによって、チューブ状スリーブ6の流体通路3に給送される。
上記流体通路3は、図3に示すように、断面が概略円形の形状に構成され、この円形の形状には、断面の直径Dに沿う直線上に、相対向して配置された一対の湾曲状突出部(lobe)13、14が設けられている。
【0021】
変形例として、一対の湾曲状突出部13、14と円形部との接合部が、丸みのない角部や鋭い凹凸部とならないように、滑らかな形状に構成するのが好ましい。このように構成すれば、チューブ状スリーブ6の磨耗が減少して、耐久性の向上を図ることができる。
【0022】
この発明の第2の実施形態として、流体通路3を、断面円形の形状に代えて、図示せぬ断面概略矩形の形状に構成しても良い。なお、矩形の形状には、正方形も含まれる。
【0023】
この発明の第3の実施形態として、流体通路3を、図示せぬ断面概略矩形の形状に構成すると共に、断面概略矩形の形状に少なくとも1つの湾曲状突出部を付加するようにしても良い。
【0024】
この発明の第4の実施形態として、流体通路3を、断面円形の形状に代えて、図示せぬ断面概略楕円形の形状に構成しても良い。
【0025】
チューブ状スリーブ6等の中空弾性部材の好適な素材としては、例えば、ニトリルゴムやフッ素ゴムやクロロプレン(例えば、ネオプレン(登録商標))等を挙げることができる。また、管本体2は、流体用バルブ1の組立、なかんずく、チューブ状スリーブ6の挿入を容易にするために、例えば、ポリメチルメタクリレートやポリカーボネート等の透明性材料から構成されるのが好ましい。ここで、好適なポリメチルメタクリレートとしては、例えば、プレキシガラス(登録商標)を挙げることができる。加えて、管本体2が透明であれば、作業者が、流体通路3内の汚れや垢の溜まり(詰まり)具合を監視できるので好ましい。また、チューブ状スリーブ6を支持するための支持体7、8及び横向きのフランジ9、10の好適な素材としては、ステンレス鋼やPVC(ポリ塩化ビニール)等を挙げることができる。
【0026】
流体用バルブ1が、圧力調整バルブとして働く場合について、次に述べる。流体用バルブ1は、圧力調節の対象たる負荷流体(システム内を流れる流体の)上流側の管路に挿入される態様で、システムに組み込まれる。駆動流体、好適には、圧縮空気が、横向きフランジ9、10に穿孔されたチャネル12と支持体7、8の挿入部(第1の部分)7a、8aに穿孔されたチャネル11とを経由して、チューブ状スリーブ6に給送されて、チューブ状スリーブ6を膨脹させる。この膨脹は、駆動流体の流入によって、チューブ状スリーブ6の中空内に生じる圧力(駆動圧力)に比例する。
【0027】
ここで、流体用バルブ1のいずれか一方の側のチャネル対11、12のみが作動することを再三強調する。このとき、他方の側のチャネル対11、12は、圧縮空気がチューブ状スリーブ6からリークしないように閉塞される。駆動流体の流出入量の制御は、比例圧力調整器によって制御されるのが好ましい。この種の比例圧力調整器は、電気制御系から与えられる0−10Vの間の電圧信号、あるいは、4−20ミリアンペアの間の電流信号で駆動される。なお、上記圧力調整器は、良く知られているので、その詳細な説明及び図示を省略する。
【0028】
ここで、チューブ状スリーブ6内の内圧(駆動圧力)と流体通路3内の外圧とが、設定値に到達すると、チューブ状スリーブ6は変形し、設定体積に到達する。とりわけ、チューブ状スリーブ6内の内圧(駆動圧力)と流体通路3内の外圧との差圧を制御することで、チューブ状スリーブ6の断面外径の伸縮を制御できる。つまり、チューブ状スリーブ6の断面外径が伸張すると、管本体2の流体通路3を通過する流体の流れが減少するし、反対に、チューブ状スリーブ6の断面外径が収縮すると、管本体2の流体通路3を通過する流体の流れが増加するので、流体用バルブ1の下流側流体に、チューブ状スリーブ6の断面外径の伸縮に応じた所定の水頭損失が引き起こされることになる。
本願発明による流体用バルブは、チューブ状スリーブ6の伸縮に応じて、流体通路が可変的に絞られ、これにより、流体の流れの中に水頭損失が引き起こされることを動作原理としている。
【0029】
駆動圧力が所定の圧力値、すなわち、閉塞圧力値に到達すると、(湾曲状突出部13、14が設けられていなければ、)チューブ状スリーブ6は、流体通路3の内壁に接触して、流体通路3の断面を完全に閉塞する。これに対して、実施形態1の構成のように、流体通路3の断面が、湾曲状突出部13、14を有していれば、チューブ状スリーブ6が流体通路3の内壁に接触しても、一対の湾曲状突出部13、14が、2つの小さな開口部として残るので、流体通路3は完全には閉塞されない。それゆえ、実施形態1の構成によれば、(チューブ状スリーブ6が流体通路3の内壁に接触した後では、湾曲状突出部13、14の(微)小開口部のみが流体の通路部となるので、)チューブ状スリーブ6は、微小な体積変動しかできず、それに伴い、流体の通路部断面積も微小変化となるので、流体用バルブ1の下流側の圧力を微調節することができる。それゆえ、流体用バルブ1の下流側の圧力変動は、微小となる。
【0030】
対照的に、湾曲状突出部13、14を有していなければ、チューブ状スリーブ6の体積が僅かに変動しても、それに伴い、流体通路3の断面は大きく変動するので、水頭損失も大きく変動することになる。それゆえ、圧力も微調節は困難である。
【0031】
なお、第2の実施形態のように、流体通路3が断面概略矩形の形状のものや、第4の実施形態のように、流体通路3が断面概略楕円形の形状のものであれば、湾曲状突出部13、14を有していなくても、圧力の微調節は可能である。
何故なら、流体通路3が断面概略矩形の形状であれば、チューブ状スリーブ6の断面が円形であるので、チューブ状スリーブ6が流体通路の内壁に接触しても、矩形の流体通路3の四隅が開口部として残るからである。矩形四隅の角部は丸めても良い。また、流体通路3が断面概略楕円形の形状であれば、チューブ状スリーブ6が流体通路の内壁に接触しても、円形に対する楕円の伸び率によって決定される非接触領域が、開口部として残るからである。
加えて、第3の実施形態のように、断面概略矩形の形状の流体通路3に、少なくとも1つの湾曲状突出部を付加するようにすれば、圧力の微調節を一段と改善することができる。
【0032】
上記構成の流体用バルブ1が、吸引ローラが備える吸気導管の負圧(減圧、真空度)を調節するための調節弁として、ラベル貼り機に適用される場合には、チューブ状スリーブ6の体積は、外部負圧(吸気導管内の負圧)の自然発生的な増加やチューブ状スリーブ6内の駆動圧力の強制的な増加に伴って、増加することとなる。
流体の圧力値は、圧力トランスデューサ(例えば、容量性セラミック圧力トランスデューサ)によって継続的に測定されるのが好ましい。この圧力トランスデューサは、圧力を電気信号に変換して、制御系に供給する。制御系は、入力される電気信号に基づいて、流体用バルブ1のチャネル11に接続される比例圧力調整器を駆動する。
【0033】
次に、流体用バルブ1が、流量調節バルブとして働くときも、圧力調整バルブとして働く場合の動作と実質上同一である。
唯一重要な相違点は、流体用バルブ1が流量調整バルブとして機能するときは、流体用バルブ1の下流側の制御量が、流量であって、圧力ではないという点である。
それゆえ、流量の設定(調節)も、流体用バルブ1が組み込まれているシステムが、流体用バルブ1の下流側の圧力値(その結果として、流体用バルブ1によって引き起こされる水頭損失)を決定することにより、達成されることになる。
【0034】
この発明の上記構成によれば、次のような効果を奏することができる。
まず、第1に、この発明による流体用バルブは、チューブ状スリーブ6が膨らんでいないときは、流体通路3の断面は、流体が充分に流れることができる程度に、充分に大きいので、汚れや垢の付着堆積が、支障をきたす虞はない。
第2に、この発明による流体用バルブは、メカニカルシャッタ式のバルブに起こりがちな焼付きや摩損等に起因する機械的故障は起こらない。
第3に、チューブ状スリーブ等の中空弾性部材は、モールドによって成形されるので、非常に安価に製造できるという利点もある。
第4に、組立が容易であるという利点もある。とくに、管本体を透明性材料から構成するようにすれば、作業者が管本体に挿入されるチューブ状スリーブ等の中空弾性部材を視認できるので、組立作業が一段と簡単容易となる。
第5に、この発明による流体用バルブは、相対的回転運動又は相対的直線運動をするような機械部品を用いないので、回転式封止材又は動的な封止材を用いずに、外部環境から隔離できる。
加えて、中空弾性部材及び管本体を、化学的腐食に強い、すなわち、高い耐食性を有する素材を用いて製造することができるので、化学的腐食に強い流体用バルブを得ることができる。
さらに、この発明による流体用バルブは、液状流体及びガス状流体の何れに対しても適用できる。
【0035】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述の第1の実施形態では、中空弾性部材が、中空部と、駆動流体を該中空部に流入させるための一対の開口部を備えるようにしたが、これに限らず、少なくとも1つの開口部を備えるようにしても良い。
同様に、上述の第1の実施形態では、流体通路が、互いに相対向する2つの湾曲状突出部を備えるようにしたが、これに限らず、少なくとも1つの湾曲状突出部を有するようにしても良い。また、上述の第1の実施形態では、一対の支持体を設けるようにしたが、これに限らず、少なくとも1つの支持体を設けるようにしても良い。支持体の前記第1の部分は、少なくとも1つのチャネルを設けるようにしても良い。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とを有し、流体を通す流体通路を画成する管本体と、該管本体の前記流体通路内に挿入配置される少なくとも1つの中空弾性部材とを備え、
該中空弾性部材は、中空部と、駆動流体を該中空部に流入させるための少なくとも1つの開口部とを有し、
前記駆動流体は、前記開口部から前記中空部に流入して、当該中空部内を所定の駆動圧力に加減設定でき、該駆動圧力によって、前記中空弾性部材の体積を、下限値と上限値との間で変動させ、かつ、前記体積の下限値は、前記流体通路を最小閉塞状態とする作動条件に対応し、前記体積の上限値は、前記流体通路を最大閉塞状態とする作動条件に対応している流体用バルブであって
前記流体通路は、少なくとも1つの湾曲状突出部を有する概略円形の断面形状に構成されていることを特徴とする流体用バルブ。
【請求項2】
少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とを有し、流体を通す流体通路を画成する管本体と、該管本体の前記流体通路内に挿入配置される少なくとも1つの中空弾性部材とを備え、
該中空弾性部材は、中空部と、駆動流体を該中空部に流入させるための少なくとも1つの開口部とを有し、
前記駆動流体は、前記開口部から前記中空部に流入して、当該中空部内を所定の駆動圧力に加減設定でき、該駆動圧力によって、前記中空弾性部材の体積を、下限値と上限値との間で変動させ、かつ、前記体積の下限値は、前記流体通路を最小閉塞状態とする作動条件に対応し、前記体積の上限値は、前記流体通路を最大閉塞状態とする作動条件に対応している流体用バルブであって
前記流体通路は、概略矩形の断面形状に構成されていることを特徴とする流体用バルブ。
【請求項3】
少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの流出口とを有し、流体を通す流体通路を画成する管本体と、該管本体の前記流体通路内に挿入配置される少なくとも1つの中空弾性部材とを備え、
該中空弾性部材は、中空部と、駆動流体を該中空部に流入させるための少なくとも1つの開口部とを有し、
前記駆動流体は、前記開口部から前記中空部に流入して、当該中空部内を所定の駆動圧力に加減設定でき、該駆動圧力によって、前記中空弾性部材の体積を、下限値と上限値との間で変動させ、かつ、前記体積の下限値は、前記流体通路を最小閉塞状態とする作動条件に対応し、前記体積の上限値は、前記流体通路を最大閉塞状態とする作動条件に対応している流体用バルブであって
前記流体通路は、概略楕円形の断面形状に構成されていることを特徴とする流体用バルブ。
【請求項4】
前記中空弾性部材は、前記駆動流体を前記中空部に流入させるための少なくとも1つの前記開口部とを有するチューブ状スリーブからなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の流体用バルブ。
【請求項5】
前記チューブ状スリーブは、前記流体通路と軸心を共通にする態様で挿入配置されていることを特徴とする請求項4記載の流体用バルブ。
【請求項6】
前記管本体の前記流体通路内の前記チューブ状スリーブを保持するための少なくとも1つの支持体が付加されていて、該支持体は、前記チューブ状スリーブの前記開口部に挿入される第1の部分と、前記管本体に接合される第2の部分とからなることを特徴とする請求項4又は5記載の流体用バルブ。
【請求項7】
前記支持体の前記第2の部分は、概略尖頭形状に構成されていることを特徴とする請求項6記載の流体用バルブ。
【請求項8】
前記支持体の前記第1の部分は、前記チューブ状スリーブの前記開口部を閉塞して封止することを特徴とする請求項6又は7記載の流体用バルブ。
【請求項9】
前記支持体の前記第1の部分は、前記駆動流体を前記中空弾性部材に導入するための少なくとも1つのチャネルを有していることを特徴とする請求項6、7又は8記載の流体用バルブ。
【請求項10】
前記流体通路は、前記概略円形の断面形状の直径Dに沿う直線上に、相対向して配置された一対の前記湾曲状突出部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の流体用バルブ。
【請求項11】
前記流体通路は、前記概略矩形の断面形状には、少なくとも1つの湾曲状突出部が付加されていることを特徴とする請求項2記載の流体用バルブ。
【請求項12】
前記中空弾性部材が、ニトリルゴムからなることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1つに記載の流体用バルブ。
【請求項13】
前記中空弾性部材が、フッ素ゴムからなることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1つに記載の流体用バルブ。
【請求項14】
前記中空弾性部材が、クロロプレンからなることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1つに記載の流体用バルブ。
【請求項15】
前記管本体が、透明性材料からなることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1つに記載の流体用バルブ。
【請求項16】
前記管本体が、ポリカーボネートからなることを特徴とする請求項15記載の流体用バルブ。
【請求項17】
前記管本体が、ポリメチルメタクリレートからなることを特徴とする請求項15記載の流体用バルブ。
【請求項18】
ラベル貼り機の吸引ローラと協働して、作動流体の圧力を調節するために用いられる請求項1乃至17の何れか1つに記載の流体用バルブ。
【請求項19】
ラベルを処理する少なくとも1つの吸引ローラと、該吸引ローラと協働して、作動流体の圧力を調節する少なくとも1つの請求項18記載の流体用バルブとを備えてなることを特徴とするラベル貼り機。
【請求項20】
ラベル貼り機の吸引ローラと協働して、作動流体の流量を調節するために用いられる請求項1乃至17の何れか1つに記載の流体用バルブ。
【請求項21】
ラベルを処理する少なくとも1つの吸引ローラと、該吸引ローラと協働して、前記作動流体の流量を調節する少なくとも1つの請求項20記載の流体用バルブとを備えてなることを特徴とするラベル貼り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−534868(P2008−534868A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502523(P2008−502523)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050383
【国際公開番号】WO2006/100611
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507204246)
【Fターム(参考)】