流体用切替装置
【課題】1台の切替装置によって、複数の吸脱着器を吸着器と脱着器とに同時に切り替え可能で、アクチュエータ及び配管類の使用数を低減させることができ、かつエネルギー効率を向上できる流体用切替装置を提供すること。
【解決手段】流体用切替装置5は、駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部6と、回動中心軸部6を回動可能に配置する軸受本体部7とを備えている。回動中心軸部6の第1運転位置においては、冷却水流路61A,61Dを介して第1吸脱着器2Aの伝熱管21へ冷却水供給源41から冷却水Cを供給し、温水流路62A,62Cを介して第2吸脱着器2Bの伝熱管21へ温水供給源43から温水Hを供給する。回動中心軸部6の第2運転位置においては、冷却水流路を介して第2吸脱着器2Bの伝熱管21へ冷却水供給源41から冷却水Cを供給し、温水流路を介して第1吸脱着器2Aの伝熱管21へ温水供給源43から温水Hを供給する。
【解決手段】流体用切替装置5は、駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部6と、回動中心軸部6を回動可能に配置する軸受本体部7とを備えている。回動中心軸部6の第1運転位置においては、冷却水流路61A,61Dを介して第1吸脱着器2Aの伝熱管21へ冷却水供給源41から冷却水Cを供給し、温水流路62A,62Cを介して第2吸脱着器2Bの伝熱管21へ温水供給源43から温水Hを供給する。回動中心軸部6の第2運転位置においては、冷却水流路を介して第2吸脱着器2Bの伝熱管21へ冷却水供給源41から冷却水Cを供給し、温水流路を介して第1吸脱着器2Aの伝熱管21へ温水供給源43から温水Hを供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着式冷凍機において、複数の吸脱着器における伝熱管へ冷却水と温水とを交互に切り替えて流すための流体用切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着式冷凍機においては、複数の吸脱着器内に伝熱管を挿通させるとともに、各吸脱着器内においては、伝熱管の表面にシリカゲル等の固体吸着剤を配置している。また、各吸脱着器に対して蒸発器と凝縮器とを、ダンパの開閉を利用して個別に連通可能にしている。また、各吸脱着器、蒸発器及び凝縮器を真空状態にするとともに、これらの間に冷媒を流通可能にしている。そして、吸着式冷凍機は、伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる吸脱着器と、伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる吸脱着器とを、所定の時間間隔で交互に切り替えて運転を行っている。
【0003】
複数の吸脱着器における伝熱管へ流す冷却水と温水との切替は、例えば、特許文献1の吸着式冷凍システムの運転方法に開示されるように、多数のバルブを用いて行うものがある。この運転方法においては、複数基の吸着塔のうち、脱着工程から吸着工程へ移行する直前の吸着塔の伝熱管内に残留した吸着剤加熱用熱媒を、吸着工程から脱着工程へ移行する直前の吸着塔の伝熱管に供給し、この伝熱管内を残留熱媒の略全量が通過し、固体吸着剤の予熱が終了した時点で、吸脱着を切り替えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−58966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、複数の吸脱着器における伝熱管へ流す冷却水と温水との切替は、多数のバルブを個々に操作して行う必要がある。そのため、各バルブを操作する多数のアクチュエータが必要になるとともに、各バルブを接続する配管類も複雑になる。また、これに伴って、吸脱着の切替時に回収しなければならない熱量(配管、配管内の水における熱量)が多くなり、COP(エネルギー効率)を低下させる要因となる。さらに、吸着式冷凍システムが大型化し、製作工数、メンテナンス性等が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、1台の切替装置によって、複数の吸脱着器を吸着器と脱着器とに同時に切り替えることができるとともに、アクチュエータ及び配管類の使用数を低減させることができ、かつエネルギー効率を向上させることができる流体用切替装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる複数の吸脱着器と、該複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備えた吸着式冷凍機に用い、上記伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる上記吸脱着器とを逐次切り替える流体用切替装置であって、
駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部と、
該回動中心軸部を回動可能に配置する中空摺動穴を形成した軸受本体部と、を備えており、
上記回動中心軸部には、冷却水を流す冷却水流路と、温水を流す温水流路とが形成してあり、
上記軸受本体部には、冷却水入口と、冷却水出口と、温水入口と、温水出口と、上記複数の吸脱着器のうちのいずれかである第1吸脱着器における上記伝熱管の入口に繋がる一方側入口と、上記第1吸脱着器における上記伝熱管の出口に繋がる一方側出口と、上記複数の吸脱着器のうちの他のいずれかである第2吸脱着器における上記伝熱管の入口に繋がる他方側入口と、上記第2吸脱着器における上記伝熱管の出口に繋がる他方側出口とが、上記中空摺動穴に対する外側から該中空摺動穴の内周面に開口して形成してあり、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記冷却水出口とを接続して、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ冷却水供給源から冷却水を供給し、かつ、上記温水流路によって、上記温水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記温水出口とを接続して、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ温水供給源から温水を供給する第1運転位置と、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記冷却水出口とを接続して、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ上記冷却水供給源から冷却水を供給し、かつ、上記温水流路によって、上記温水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記温水出口とを接続して、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ上記温水供給源から温水を供給する第2運転位置とに、上記回動中心軸部を回動させるよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置にある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる複数の吸脱着器と、該複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備えた吸着式冷凍機に用い、上記伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる上記吸脱着器とを、逐次切り替える流体用切替装置であって、
駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部と、
該回動中心軸部を回動可能に配置する中空摺動穴を形成した軸受本体部と、を備えており、
上記回動中心軸部には、冷却水を流す冷却水流路と、温水を流す温水流路と、回収水としての冷却水又は温水を流す回収水流路とが形成してあり、
上記軸受本体部には、冷却水入口と、冷却水出口と、温水入口と、温水出口と、回収水入口と、回収水出口と、上記複数の吸脱着器における上記伝熱管の各入口にそれぞれ繋がる複数の供給入口と、上記複数の吸脱着器における上記伝熱管の各出口にそれぞれ繋がる複数の供給出口とが、上記中空摺動穴に対する外側から該中空摺動穴の内周面に開口して形成してあり、
上記供給入口と上記供給出口とは、上記中空摺動穴の軸方向に並んで形成してあるとともに、上記各吸脱着器ごとに上記供給入口と上記供給出口との組として、上記中空摺動穴の周方向の複数箇所に形成してあり、
上記回動中心軸部の回動位置は、上記複数の吸脱着器の数と同じ数だけ形成してあり、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口から、1つ又は複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記冷却水出口まで連通し、上記複数の吸脱着器のうち上記吸着器として機能させる1つ又は複数の第1吸脱着器における上記伝熱管へ、冷却水供給源から冷却水を供給する吸着動作と、
上記温水流路によって、上記温水入口から、1つ又は複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記温水出口まで連通し、上記複数の吸脱着器のうち上記脱着器として機能させる1つ又は複数の第2吸脱着器における上記伝熱管へ、温水供給源から温水を供給する脱着動作と、
上記回収水流路によって、上記回収水入口から、複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記回収水出口まで連通し、回収水供給源から供給される冷却水(又は温水)を、上記複数の吸脱着器のうち回収器として機能させる第3吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水(又は冷却水)を、他のいずれかの上記第3吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す回収動作とを、上記回動中心軸部の各回動位置において同時に行うよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置にある(請求項6)。
【発明の効果】
【0009】
(第1の発明)
第1の発明の流体用切替装置は、回動中心軸部を軸受本体部に対して回動させることにより、吸着式冷凍機における複数の吸脱着器を、吸着器と脱着器とに同時に切り替えることができるものである。つまり、この流体用切替装置によれば、1台の切替装置によって、複数の吸脱着器を吸着器と脱着器とに同時に切り替えることができる。また、回動中心軸部の回動によって、複数の吸脱着器について、吸着器と脱着器とに順次切り替えることができる。
【0010】
そして、1つの駆動装置によって回動中心軸部を回動させることができ、極めて少ないアクチュエータによって上記切替を行うことができる。また、回動中心軸部に冷却水流路及び温水流路を形成していることによって、上記切替を行うための配管類も極めて少なくすることができる。これにより、吸脱着の切替時に失われる熱量(配管、配管内の水における熱量)を少なくすることができ、COP(エネルギー効率)を向上させることができる。従って、第1の発明の流体用切替装置を用いることによって、吸着式冷凍機を小型化することができる。
【0011】
第1の発明の流体用切替装置は、次のようにして動作させることができる。
第1吸脱着器を吸着器として機能させ、第2吸脱着器を脱着器として機能させるときには、回動中心軸部を第1運転位置にする。このとき、回動中心軸部の冷却水流路によって、冷却水入口と一方側入口とが接続されるとともに一方側出口と冷却水出口とが接続され、冷却水供給源から第1吸脱着器における伝熱管へ冷却水を供給することができる。また、このとき、回動中心軸部の温水流路によって、温水入口と他方側入口とが接続されるとともに他方側出口と温水出口とが接続され、温水供給源から第2吸脱着器における伝熱管へ温水を供給することができる。
【0012】
また、第1吸脱着器を脱着器として機能させ、第2吸脱着器を吸着器として機能させるときには、回動中心軸部を第2運転位置にする。このとき、回動中心軸部の冷却水流路によって、冷却水入口と他方側入口とが接続されるとともに他方側出口と冷却水出口とが接続され、冷却水供給源から第2吸脱着器における伝熱管へ冷却水を供給することができる。また、このとき、回動中心軸部の温水流路によって、温水入口と一方側入口とが接続されるとともに一方側出口と温水出口とが接続され、温水供給源から第1吸脱着器における伝熱管へ温水を供給することができる。
【0013】
(第2の発明)
第2の発明の流体用切替装置は、吸着式冷凍機を構成する複数の吸脱着器において、吸着動作、脱着動作及び回収動作を同時に行う、回動中心軸部の回動位置を、複数の吸脱着器と同じ数だけ形成することができるものである。そして、回動中心軸部を、所定角度ごと回動させて各回動位置にすることにより、各吸脱着器において、吸着動作、脱着動作及び回収動作を順次繰り返し行うことができる。
【0014】
第2の発明の流体用切替装置によっても、1台の切替装置によって、吸着器、脱着器及び回収の切替を同時に行うことができる。そして、1つの駆動装置によって回動中心軸部を回動させることができ、極めて少ないアクチュエータによって上記切替を行うことができる。また、回動中心軸部に冷却水流路、温水流路及び回収水流路を形成していることによって、上記切替を行うための配管類も極めて少なくすることができる。従って、本発明の流体用切替装置を用いることによって、吸着式冷凍機を小型化することができる。
【0015】
さらに、第2の発明においては、回収動作として、回収水供給源から供給される冷却水(又は温水)を、いずれかの第3吸脱着器における伝熱管へ供給することによって、この伝熱管に残留する温水(又は冷却水)を、他のいずれかの第3吸脱着器における伝熱管へ押し出す。そして、回動中心軸部が次の回動位置に回動したときに、吸着器として機能する吸脱着器における伝熱管内を予め冷却水によって満たすとともに、脱着器として機能する吸脱着器における伝熱管内を予め温水によって満たしておくことができる。
これにより、各吸脱着器が、吸着器から脱着器に、あるいは脱着器から吸着器に切り替わるときに、各吸脱着器の伝熱管内において、冷却水が温水と混ざり合うこと、あるいは温水がそのままの温度を維持して冷却水と混ざり合うことを極力避けることができる。そのため、冷却水の温度変動及び温水の不必要な流出を極力抑えることができ、吸着式冷凍機のCOP(エネルギー効率)を高く維持することができる。
【0016】
以上、第1、第2の発明の流体用切替装置によれば、1台の切替装置によって、複数の吸脱着器を吸着器と脱着器とに同時に切り替えることができるとともに、アクチュエータ及び配管類の使用数を低減させることができ、かつエネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1にかかる、流体用切替装置を用い、第1吸脱着器を吸着器とするとともに第2吸脱着器を脱着器として運転する吸着式冷凍機を示す構成図。
【図2】実施例1にかかる、流体用切替装置を用い、第1吸脱着器を脱着器とするとともに第2吸脱着器を吸着器として運転する吸着式冷凍機を示す構成図。
【図3】実施例1にかかる、回動中心軸部が第1運転位置にある流体用切替装置を示す断面図。
【図4】実施例1にかかる、回動中心軸部が第1回収位置にある流体用切替装置を示す断面図。
【図5】実施例1にかかる、回動中心軸部が第2運転位置にある流体用切替装置を示す断面図。
【図6】実施例1にかかる、回動中心軸部が第2回収位置にある流体用切替装置を示す断面図。
【図7】実施例1にかかる、冷却水入口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるA矢視線断面図。
【図8】実施例1にかかる、温水入口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるB矢視線断面図。
【図9】実施例1にかかる、一方側入口及び他方側入口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるC矢視線断面図。
【図10】実施例1にかかる、一方側出口及び他方側出口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるD矢視線断面図。
【図11】実施例1にかかる、温水出口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるE矢視線断面図。
【図12】実施例1にかかる、冷却水出口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるF矢視線断面図。
【図13】実施例2にかかる、流体用切替装置を、回動中心軸部の冷却水流路における入口側と、温水流路における入口側との形成位置について示す断面図。
【図14】実施例2にかかる、流体用切替装置を、回動中心軸部の回収水流路の形成位置について示す断面図。
【図15】実施例2にかかる、軸受本体部における各供給入口の軸方向の形成位置の断面(図14におけるG矢視線断面)を下側に、軸受本体部における各供給出口の軸方向の形成位置の断面(図14におけるH矢視線断面)を上側に記載して、各吸脱着器の接続状態を示す説明図。
【図16】実施例2にかかる、図15の状態から回動中心軸部が45°回動したときの状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述した第1、第2の発明にかかる流体用切替装置における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記回動中心軸部は、上記第1運転位置から上記第2運転位置へ回動する前には、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記一方側入口とを接続し、かつ、上記一方側出口と上記冷却水出口とを接続し、一方、上記温水流路によって、上記温水入口と上記温水出口とを接続して、上記冷却水供給源から供給される冷却水を、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水を上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第1回収位置に回動し、上記回動中心軸部は、上記第2運転位置から上記第1運転位置へ回動する前には、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記他方側入口とを接続し、かつ、上記他方側出口と上記冷却水出口とを接続し、一方、上記温水流路によって、上記温水入口と上記温水出口とを接続して、上記冷却水供給源から供給される冷却水を、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水を上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第2回収位置に回動するよう構成してあることが好ましい(請求項2)。
【0019】
回動中心軸部が第1運転位置にあって、第1吸脱着器を吸着器とするとともに第2吸脱着器を脱着器として吸着式冷凍機の運転を行ったときには、第1吸脱着器における伝熱管には冷却水が残留する一方、第2吸脱着器における伝熱管には温水が残留する。そして、回動中心軸部を、第1運転位置から第2運転位置へ回動させる前に、一旦、第1回収位置にすることにより、第2吸脱着器における伝熱管内を、温水が残留する状態から、冷却水供給源から供給される冷却水によって満たす状態に置き換え、第1吸脱着器における伝熱管内を、冷却水が残留する状態から、第2吸脱着器における伝熱管から供給される温水によって満たす状態に置き換えることができる。
これにより、回動中心軸部を第2運転位置にして、第1吸脱着器を脱着器とするとともに第2吸脱着器を吸着器として吸着式冷凍機の運転を行うときには、第1吸脱着器における伝熱管内には温水が予め満たされ、第2吸脱着器における伝熱管内には冷却水が予め満たされた状態を形成しておくことができる。
【0020】
また、回動中心軸部が第2運転位置にあって、第1吸脱着器を脱着器とするとともに第2吸脱着器を吸着器として吸着式冷凍機の運転を行ったときには、第1吸脱着器における伝熱管には温水が残留する一方、第2吸脱着器における伝熱管には冷却水が残留する。そして、回動中心軸部を、第2運転位置から第1運転位置へ回動させる前に、一旦、第2回収位置にすることにより、第1吸脱着器における伝熱管内を、温水が残留する状態から、冷却水供給源から供給される冷却水によって満たす状態に置き換え、第2吸脱着器における伝熱管内を、冷却水が残留する状態から、第1吸脱着器における伝熱管から供給される温水によって満たす状態に置き換えることができる。
これにより、回動中心軸部を第1運転位置にして、第1吸脱着器を吸着器とするとともに第2吸脱着器を脱着器として吸着式冷凍機の運転を行うときには、第1吸脱着器における伝熱管内には冷却水が予め満たされ、第2吸脱着器における伝熱管内には温水が予め満たされた状態を形成しておくことができる。
【0021】
このように、この場合には、各吸脱着器が、吸着器から脱着器に、あるいは脱着器から吸着器に切り替わるときに、各吸脱着器の伝熱管内において、冷却水と温水とが混ざり合うことを極力避けることができる。そのため、冷却水及び温水の温度変動を極力抑えることができ、吸着式冷凍機のエネルギー効率を高く維持することができる。
【0022】
また、上記回動中心軸部は、上記第1運転位置から上記第2運転位置へ回動する前には、上記温水流路によって、上記温水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記他方側入口とを接続し、かつ、上記他方側出口と上記温水出口とを接続し、一方、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記冷却水出口とを接続して、上記温水供給源から供給される温水を、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する冷却水を上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第1回収位置に回動し、上記回動中心軸部は、上記第2運転位置から上記第1運転位置へ回動する前には、上記温水流路によって、上記温水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記一方側入口とを接続し、かつ、上記一方側出口と上記温水出口とを接続し、一方、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記冷却水出口とを接続して、上記温水供給源から供給される温水を、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する冷却水を上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第2回収位置に回動するよう構成してあることが好ましい(請求項3)。
【0023】
この場合は、温水供給源から供給される温水によって、冷却水供給源から供給される冷却水を用いる場合と同様に、各吸脱着器が、吸着器から脱着器に、あるいは脱着器から吸着器に切り替わるときに、各吸脱着器の伝熱管内において、冷却水と温水とが混ざり合うことを極力避けることができる。そのため、冷却水及び温水の温度変動を極力抑えることができ、吸着式冷凍機のエネルギー効率を高く維持することができる。
【0024】
また、上記冷却水入口と、上記冷却水出口と、上記温水入口と、上記温水出口と、上記一方側入口と、上記一方側出口とは、上記中空摺動穴の軸方向に異なる位置に形成してあり、上記他方側入口及び上記他方側出口は、上記一方側入口及び上記一方側出口に対して、上記中空摺動穴の周方向における反対側の位置に形成してあり、上記回動中心軸部における上記冷却水流路及び上記温水流路は、上記軸方向及び上記周方向の各位置に複数に分散して形成してあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、冷却水及び温水の各出入口の形成が適切であり、回動中心軸部における冷却水流路及び温水流路の形成を容易にすることができる。
【0025】
また、上記一方側入口及び上記一方側出口と上記他方側入口及び上記他方側出口とは、2つ1組で複数組の上記吸脱着器に対応して、上記中空摺動穴の周方向又は軸方向の複数箇所に形成してあり、上記回動中心軸部を上記第1運転位置に回動したときと上記第2運転位置に回動したときには、上記複数組の吸脱着器における上記伝熱管へ、上記冷却水の供給と上記温水の供給とを同時に行うよう構成してあることが好ましい(請求項5)。
この場合には、1台の流体用切替装置によって、複数組の吸脱着器において吸着及び脱着を同時に行うことができる。1台の流体用切替装置における回動中心軸部の回動操作によって、より冷却能力の高い大型の吸着式冷凍機の運転を行うことができる。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明の流体用切替装置にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の流体用切替装置5は、図1、図2に示すごとく、固体吸着剤211を表面に配置した伝熱管21を挿通させてなる2つの吸脱着器2A,2Bと、2つの吸脱着器2A,2Bに対して個別に連通可能な蒸発器31と、2つの吸脱着器2A,2Bに対して個別に連通可能な凝縮器32とを備えた吸着式冷凍機1に用いる。流体用切替装置5は、伝熱管21に冷却水Cを流して吸着器X1として機能させる吸脱着器2A(又は2B)と、伝熱管21に温水Hを流して脱着器X2として機能させる吸脱着器2B(又は2A)とを、逐次切り替えるよう構成されている。
【0027】
図3に示すごとく、流体用切替装置5は、駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部6と、回動中心軸部6を回動可能に配置する中空摺動穴71を形成した軸受本体部7とを備えている。
回動中心軸部6には、冷却水Cを流す冷却水流路61A〜61Eと、温水Hを流す温水流路62A〜62Cとが形成してある。軸受本体部7には、冷却水入口81Aと、冷却水出口81Bと、温水入口82Aと、温水出口82Bと、2つの吸脱着器2A,2Bの一方である第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21の入口に繋がる一方側入口83Aと、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21の出口に繋がる一方側出口83Bと、2つの吸脱着器2A,2Bのうちの他方である第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21の入口に繋がる他方側入口84Aと、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21の出口に繋がる他方側出口84Bとが、中空摺動穴71に対する外側から中空摺動穴71の内周面に開口して形成してある。
【0028】
流体用切替装置5は、図1、図3に示すごとく、第1吸脱着器2Aを吸着器X1として機能させるとともに第2吸脱着器2Bを脱着器X2として機能させる第1運転位置601と、図2、図5に示すごとく、第1吸脱着器2Aを脱着器X2として機能させるとともに第2吸脱着器2Bを吸着器X1として機能させる第2運転位置603とに、回動中心軸部6を回動させるよう構成してある。
【0029】
図3に示すごとく、第1運転位置601においては、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aと一方側入口83Aとを接続するとともに一方側出口83Bと冷却水出口81Bとを接続して、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ冷却水供給源(冷却塔)41から冷却水Cを供給し、かつ、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aと他方側入口84Aとを接続するとともに他方側出口84Bと温水出口82Bとを接続して、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ温水供給源(温水タンク)43から温水Hを供給する。
図5に示すごとく、第2運転位置603においては、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aと他方側入口84Aとを接続するとともに他方側出口84Bと冷却水出口81Bとを接続して、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ冷却水供給源41から冷却水Cを供給し、かつ、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aと一方側入口83Aとを接続するとともに一方側出口83Bと温水出口82Bとを接続して、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ温水供給源43から温水Hを供給する。
【0030】
以下に、本例の流体用切替装置5につき、図1〜図12を参照して詳説する。
まず、本例の吸着式冷凍機1について説明する。
ここで、図1、図2は、吸着式冷凍機1の構成を示す図であり、図2は、図1の状態から吸着器X1と脱着器X2とが入れ替わった状態を示す。各図においては、流体用切替装置5は、作図の便宜上、入口側部分と出口側部分とに分離して模式的に示す。
各図に示すごとく、本例の吸着式冷凍機1は、吸着器X1と脱着器X2とにおける固体吸着剤211への冷媒蒸気Aの吸着及び脱着を繰り返して、蒸発器31と凝縮器32とに冷媒Aを循環させ、蒸発器31内に挿通させた蒸発管311内に冷水Wを作り出すものである。
【0031】
各吸脱着器2A,2B、蒸発器31及び凝縮器32の内部には、冷媒A(冷媒蒸気Aと言うこともある。)が流通可能になっており、各吸脱着器2A,2B、蒸発器31及び凝縮器32の内部は、冷媒Aが蒸発し易いように真空状態になっている。蒸発器31の内部は、1/100気圧程度になっており、凝縮器32の内部は、1/20気圧程度になっている。本例の固体吸着剤211はシリカゲルであり、冷媒Aは水である。
各吸脱着器2A,2Bと蒸発器31との間、及び各吸脱着器2A,2Bと凝縮器32との間には、冷媒蒸気Aが通過する連通路33がそれぞれ形成されている。各連通路33には、自重及び冷媒蒸気Aの圧力によって開閉可能なダンパ34が配置されている。
【0032】
図1、図2に示すごとく、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21は、この伝熱管21へ送る冷却水Cと温水Hとの切替を行う流体用切替装置5の一方側入口83A、一方側出口83B、他方側入口84A及び他方側出口84Bまで配管されている。
蒸発器31内には、冷水Wを通過させる蒸発管311が挿通してあり、蒸発管311は、冷水タンク44に接続されている。蒸発管311は、冷水Wを供給して冷やすための被冷却対象としての冷凍設備45に接続してある。この冷凍設備45は、空調システム、冷蔵庫等とすることができる。蒸発管311は、蒸発器31内と冷水タンク44及び冷凍設備45とを循環して配管されている。
【0033】
凝縮器32内には、冷却水Cを通過させる凝縮管321が挿通してあり、凝縮管321は、冷却塔41に接続されている。冷却水Cは、冷却塔41から、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21及び流体用切替装置5の回動中心軸部6における冷却水流路61A〜61Eを通過した後、凝縮管321に供給され、凝縮管321から冷却塔41に循環されるようになっている。
凝縮器32内には、凝縮管321によって凝縮されて液体化した冷媒A(本例では水)を受ける受皿35が設けてある。受皿35と蒸発器31との間には、受皿35に溜まった冷媒Aを蒸発器31内の蒸発管311の表面へ供給するための循環配管36が配管してある。
【0034】
各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21に供給する温水Hは、熱を発生させる発熱設備42から出される排熱を利用して加熱されるものである。この発熱設備42は、太陽熱利用システム、ガスエンジンシステム、ボイラー、あるいは蒸気ドレンを出す設備等とすることができる。温水Hは、発熱設備42による排熱を利用して作られ、温水タンク43に貯留された後、流体用切替装置5の回動中心軸部6における温水流路62A〜62Cを経由して各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21の入口に供給されるようになっている。また、温水Hは、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21の出口から、流体用切替装置5の回動中心軸部6における温水流路62A〜62Cを経由して発熱設備42へ循環されるようになっている。
冷却水Cは、25〜35℃(約30℃)の水であり、温水Hは、70〜90℃(約80℃)に加熱された水である。また、蒸発器31の蒸発管311内の冷水Wは、9〜14℃(約11℃)に冷却される。
【0035】
吸着式冷凍機1は、伝熱管21に冷却水Cを流して吸着器X1として機能させる吸脱着器2A(又は2B)と、伝熱管21に温水Hを流して脱着器X2として機能させる吸脱着器2B(又は2A)とを、所定の時間間隔で交互に切り替えて運転し、蒸発器31内に挿通させた蒸発管311内の冷水Wを冷却するよう構成されている。これにより、吸着式冷凍機1は、作り出す冷水Wを冷水タンク44から冷凍設備45へ連続して供給する。
【0036】
吸着式冷凍機1の運転は、次のように行われる。
図1に示すごとく、第1吸脱着器2A内の伝熱管21に冷却水Cが供給されるときには、第1吸脱着器2Aは吸着器X1として機能する。このとき、第1吸脱着器2A内の伝熱管21の表面に配置された固体吸着剤211が冷却されて、この固体吸着剤211に吸着反応によって冷媒蒸気Aが吸着される。そして、第1吸脱着器2A内の圧力が低下することにより、第1吸脱着器2A内の圧力は、蒸発器31内の圧力及び凝縮器32内の圧力よりも低くなる。この圧力差により、第1吸脱着器2Aと蒸発器31との間の連通路33におけるダンパ34が開くとともに、第1吸脱着器2Aと凝縮器32との間の連通路33におけるダンパ34が閉じる。そして、蒸発器31内の冷媒蒸気Aが第1吸脱着器2A内へ流れ、蒸発器31内の蒸発管311の表面から気化熱としての熱が奪われ、蒸発管311内の冷水Wを冷却することができる。
【0037】
一方、同図に示すごとく、第1吸脱着器2A内の伝熱管21に冷却水Cが供給されるときには、第2吸脱着器2B内の伝熱管21には温水Hが供給される。第2吸脱着器2B内の伝熱管21に温水Hが供給されるときには、第2吸脱着器2Bは脱着器X2として機能する。このとき、第2吸脱着器2B内の伝熱管21の表面に配置された固体吸着剤211が加熱されて、この固体吸着剤211から脱着反応によって冷媒蒸気Aが脱着される。そして、第2吸脱着器2B内の圧力が上昇することにより、第2吸脱着器2B内の圧力は、蒸発器31内の圧力及び凝縮器32内の圧力よりも高くなる。この圧力差により、第2吸脱着器2Bと蒸発器31との間の連通路33におけるダンパ34が閉じるとともに、第2吸脱着器2Bと凝縮器32との間の連通路33におけるダンパ34が開く。そして、第2吸脱着器2B内の冷媒蒸気Aが凝縮器32内へ流れ、この冷媒蒸気Aが、凝縮器32内の凝縮管321を流れる冷却水Cによって凝縮される。そして、凝縮された冷媒蒸気Aは、循環配管36を通って蒸発器31内へ循環される。
【0038】
その後、吸着器X1として機能する第1吸脱着器2A内の固体吸着剤211に吸着された冷媒蒸気Aの量が飽和量に近づいたときには、図2に示すごとく、流体用切替装置5の回動中心軸部6を回動操作して、第1吸脱着器2A内の伝熱管21に温水Hを流すとともに第2吸脱着器2B内の伝熱管21に冷却水Cを流し、第1吸脱着器2Aを脱着器X2に切り替えるとともに第2吸脱着器2Bを吸着器X1に切り替える。そして、第2吸脱着器2Bを上記と同様に吸着器X1として機能させるとともに、第1吸脱着器2Aを上記と同様に脱着器X2として機能させる。
以降は、同様にして、第1吸脱着器2A内の伝熱管21と第2吸脱着器2B内の伝熱管21とに流す冷却水Cと温水Hとを交互に切り替える。これにより、2つの吸脱着器2A,2Bにおいて所定の時間間隔で吸着器X1と脱着器X2とを交互に切り替えて、蒸発管311内において作り出す冷水Wを、冷水タンク44を経由して冷凍設備45へ連続して供給することができる。
【0039】
次に、本例の流体用切替装置5について説明する。
本例の流体用切替装置5においては、吸着器X1と脱着器X2とを切り替える際に冷却水Cと温水Hとが混ざり合うことを防止するために、回動中心軸部6の第1運転位置601及び第2運転位置603を形成する以外にも、図4、図6に示すごとく、回動中心軸部6の第1回収位置602と第2回収位置604とを形成する。流体用切替装置5は、駆動装置によって回動中心軸部6を、第1運転位置601、第1回収位置602、第2運転位置603及び第2回収位置604に順次繰り返し回動させるよう構成されている。
【0040】
図4に示すごとく、回動中心軸部6は、第1運転位置601から第2運転位置603へ回動する前には、第1回収位置602に回動する。回動中心軸部6が第1回収位置602にあるときには、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aと他方側入口84Aとを接続するとともに他方側出口84Bと一方側入口83Aとを接続し、かつ、一方側出口83Bと冷却水出口81Bとを接続し、一方、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aと温水出口82Bとを接続する。そして、冷却水供給源41から供給される冷却水Cを、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する温水Hを第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ押し出す。
【0041】
回動中心軸部6が第1運転位置601にあって、第1吸脱着器2Aを吸着器X1とするとともに第2吸脱着器2Bを脱着器X2として吸着式冷凍機1の運転を行ったときには、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21には冷却水Cが残留する一方、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21には温水Hが残留する。そして、回動中心軸部6を、第1運転位置601から第2運転位置603へ回動させる前に、一旦、第1回収位置602にすることにより、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21内を、温水Hが残留する状態から、冷却水供給源41から供給される冷却水Cによって満たす状態に置き換え、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21内を、冷却水Cが残留する状態から、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21から供給される温水Hによって満たす状態に置き換えることができる。
これにより、図5に示すごとく、回動中心軸部6を第2運転位置603にして、第1吸脱着器2Aを脱着器X2とするとともに第2吸脱着器2Bを吸着器X1として吸着式冷凍機1の運転を行うときには、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21内には温水Hが予め満たされ、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21内には冷却水Cが予め満たされた状態を形成しておくことができる。
【0042】
図6に示すごとく、回動中心軸部6は、第2運転位置603から第1運転位置601へ回動する前には、第2回収位置604に回動する。回動中心軸部6が第2回収位置604にあるときには、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aと一方側入口83Aとを接続するとともに一方側出口83Bと他方側入口84Aとを接続し、かつ、他方側出口84Bと冷却水出口81Bとを接続し、一方、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aと温水出口82Bとを接続する。そして、冷却水供給源41から供給される冷却水Cを、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する温水Hを第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ押し出す。
【0043】
回動中心軸部6が第2運転位置603にあって、第1吸脱着器2Aを脱着器X2とするとともに第2吸脱着器2Bを吸着器X1として吸着式冷凍機1の運転を行ったときには、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21には温水Hが残留する一方、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21には冷却水Cが残留する。そして、回動中心軸部6を、第2運転位置603から第1運転位置601へ回動させる前に、一旦、第2回収位置604にすることにより、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21内を、温水Hが残留する状態から、冷却水供給源41から供給される冷却水Cによって満たす状態に置き換え、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21内を、冷却水Cが残留する状態から、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21から供給される温水Hによって満たす状態に置き換えることができる。
これにより、図3に示すごとく、回動中心軸部6を第1運転位置601にして、第1吸脱着器2Aを吸着器X1とするとともに第2吸脱着器2Bを脱着器X2として吸着式冷凍機1の運転を行うときには、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21内には冷却水Cが予め満たされ、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21内には温水Hが予め満たされた状態を形成しておくことができる。
【0044】
図3に示すごとく、本例の軸受本体部7は、円筒形状を有しており、その軸方向Lの両側に蓋部72を取り付けてなる。回動中心軸部6は、その軸方向Lの両側に支持軸64を有しており、この各支持軸64を各蓋部72に設けた軸受部73に軸支してなる。
軸受本体部7に取り付けた一方の蓋部72には、駆動装置が連結してある。駆動装置は、電動、空気圧等によって動作するモータ、ロータリアクチュエータ、シリンダによって構成されている。駆動装置の出力軸部は、回動中心軸部6における一方の支持軸64に連結してある。
【0045】
また、本例の流体用切替装置5において、冷却水入口81Aと、冷却水出口81Bと、温水入口82Aと、温水出口82Bと、他方側入口84Aと、他方側出口84Bとは、中空摺動穴71の軸方向Lに並ぶ位置に形成してある。また、一方側入口83A及び一方側出口83Bは、他方側入口84A及び他方側出口84Bに対して、中空摺動穴71の周方向Sにおける反対側の位置に形成してある。回動中心軸部6における冷却水流路61A〜61E及び温水流路62A〜62Cは、軸方向L及び周方向Sの各位置に複数に分散して形成してある。
【0046】
本例の回動中心軸部6は、軸方向Lの中心部付近において、一方側入口83A及び一方側出口83Bと、他方側入口84A及び他方側出口84Bとを、互いに180°異なる位置に形成してなる。一方側入口83A及び他方側入口84Aは、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側部分に形成してあり、一方側出口83B及び他方側出口84Bは、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側部分に形成してある。他方側入口84Aに対する軸方向Lの一端側の位置には、軸方向Lの中心に近い位置から順に、温水入口82A、冷却水入口81Aが形成してある。他方側出口84Bに対する軸方向Lの他端側の位置には、軸方向Lの中心に近い位置から順に、温水出口82B、冷却水出口81Bが形成してある。
【0047】
図3〜図6は、回動中心軸部6が各位置601〜604に回動したときの流体用切替装置5の断面を示す。図3は、回動中心軸部6が第1運転位置601にあるとき、図4は、回動中心軸部6が第1回収位置602にあるとき、図5は、回動中心軸部6が第2運転位置603にあるとき、図6は、回動中心軸部6が第2回収位置604にあるときをそれぞれ示す。各図において、軸受本体部7の下側には、左側から順に、一方側入口83A、一方側出口83Bが形成してあり、軸受本体部7の上側には、左側から順に、冷却水入口81A、温水入口82A、他方側入口84A、他方側出口84B、温水出口82B、冷却水出口81Bが形成してある。
【0048】
図7〜図12は、回動中心軸部6及び軸受本体部7を軸方向Lの各位置における断面によって示す。図7は、冷却水入口81Aの軸方向Lの形成位置(図3におけるA矢視線断面)について、図8は、温水入口82Aの軸方向Lの形成位置(図3におけるB矢視線断面)について、図9は、一方側入口83A及び他方側入口84Aの軸方向Lの形成位置(図3におけるC矢視線断面)について、図10は、一方側出口83B及び他方側出口84Bの軸方向Lの形成位置(図3におけるD矢視線断面)について、図11は、温水出口82Bの軸方向Lの形成位置(図3におけるE矢視線断面)について、図12は、冷却水出口81Bの軸方向Lの形成位置(図3におけるF矢視線断面)についてそれぞれ示す。各図は、回動中心軸部6が第1運転位置601にある状態で示す。
以下の説明においては、上側位置を第1位置P1、左側位置を第2位置P2、下側位置を第3位置P3、右側位置を第4位置P4として、回動中心軸部6における冷却水流路61A〜61E及び温水流路62A〜62Cの形成状態を説明する。
【0049】
図3〜図6に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側においては、第1冷却水流路61A及び第2冷却水流路61Bと、第1温水流路62Aとが形成されている。また、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分においては、第3冷却水流路61Cが形成されている。また、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側から軸方向Lの他端側においては、第2温水流路62Bが形成されている。また、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側においては、第4冷却水流路61D及び第5冷却水流路61Eと、第3温水流路62Cとが形成されている。
【0050】
第1冷却水流路61Aは、図3に示すごとく、第1運転位置601においては、冷却水入口81Aから、第1位置P1、第4位置P4及び第3位置P3を経由して周方向Sの表面を通過し(図7参照)、第3位置P3において軸方向Lに通過した後(図8参照)、第3位置P3において一方側入口83Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。また、第1冷却水流路61Aは、図5に示すごとく、第2運転位置603においては、冷却水入口81Aから、第3位置P3において軸方向Lに通過した後(図7、図8参照)、第3位置P3において他方側入口84Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。
【0051】
さらに、第1冷却水流路61Aは、図6に示すごとく、第2回収位置604においては、第4位置P4、第1位置P1及び第2位置P2を経由して周方向Sの表面を通過し(図7参照)、第2位置P2において軸方向Lに通過した後(図8参照)、第2位置P2において一方側入口83Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。
また、第2冷却水流路61Bは、図4に示すごとく、第1回収位置602においては、冷却水入口81Aから、第2位置P2において軸方向Lに通過した後(図7、図8参照)、第2位置P2において他方側入口84Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。
【0052】
また、第3冷却水流路61Cは、図4に示すごとく、第1回収位置602においては、他方側出口84Bから、第2位置P2及び第4位置P4を経由して軸方向Lに斜めに通過した後、一方側入口83Aに繋がるよう形成されている(図9、図10参照)。また、第3冷却水流路61Cは、図6に示すごとく、第2回収位置604においては、一方側出口83Bから、第4位置P4及び第2位置P2を経由して軸方向Lに斜めに通過した後、他方側入口84Aに繋がるよう形成されている(図10、図9参照)。
【0053】
第4冷却水流路61Dは、図3に示すごとく、第1運転位置601においては、一方側出口83Bから、第3位置P3を軸方向Lに通過し(図10、図11参照)、第3位置P3、第2位置P2及び第1位置P1を経由して周方向Sの表面を通過した後(図12参照)、第1位置P1において冷却水出口81Bに繋がるよう形成されている(図12参照)。また、第4冷却水流路61Dは、図5に示すごとく、第2運転位置603においては、他方側出口84Bから、第3位置P3において軸方向Lに通過した後(図10、図11参照)、第3位置P3において冷却水出口81Bに繋がるよう形成されている(図12参照)。
【0054】
また、第5冷却水流路61Eは、図4に示すごとく、第1回収位置602においては、一方側出口83Bから、第4位置P4において軸方向Lに通過し(図10、図11参照)、第4位置P4、第1位置P1及び第2位置P2を経由して周方向Sの表面を通過した後(図12参照)、第2位置P2において冷却水出口81Bに繋がるよう形成されている(図12参照)。また、第5冷却水流路61Eは、図6に示すごとく、第2回収位置604においては、他方側出口84Bから、第4位置P4において軸方向Lに通過した後(図10、図11参照)、第4位置P4において冷却水出口81Bに繋がるよう形成されている(図12参照)。
【0055】
第1温水流路62Aは、図3に示すごとく、第1運転位置601においては、温水入口82Aから、第1位置P1において軸方向Lに通過した後(図8参照)、第1位置P1において他方側入口84Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。また、第1温水流路62Aは、図5に示すごとく、第2運転位置603においては、温水入口82Aから、第3位置P3及び第1位置P1を経由して軸方向Lに斜めに通過し(図8、図7参照)、第1位置P1において軸方向Lに通過した後(図7、図8参照)、第1位置P1において一方側入口83Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。
【0056】
第2温水流路62Bは、図4に示すごとく、第1回収位置602においては、温水入口82Aから、第2位置P2を経由し、第2位置P2と第3位置P3との間において軸方向Lに通過した後(図8〜図10参照)、第2位置P2において温水出口82Bに繋がるよう形成されている(図11参照)。また、第2温水流路62Bは、図6に示すごとく、第2回収位置604においては、温水入口82Aから、第4位置P4を経由して第2位置P2と第3位置P3との間において軸方向Lに通過し(図8〜図10参照)、第3位置P3、第4位置P4及び第1位置P1を経由して周方向Sの表面を通過した後、第1位置P1において温水出口82Bに繋がるよう形成されている(図11参照)。
このように、本例の流体用切替装置5においては、回動中心軸部6に第1〜第5冷却水流路61A〜61Eと第1〜第3温水流路62A〜62Cとを形成した構造によって、回動中心軸部6の第1、第2運転位置601,603及び第1、第2回収位置602,604を形成することができる。
【0057】
本例の流体用切替装置5は、次のようにして動作させることができる。
図1に示すごとく、第1吸脱着器2Aを吸着器X1として機能させ、第2吸脱着器2Bを脱着器X2として機能させるときには、図3に示すごとく、回動中心軸部6を第1運転位置601にする。このとき、回動中心軸部6の第1冷却水流路61Aによって、冷却水入口81Aと一方側入口83Aとが接続されるとともに、第4冷却水流路61Dによって、一方側出口83Bと冷却水出口81Bとが接続され、冷却水供給源41から第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ冷却水Cを供給することができる。また、このとき、回動中心軸部6の第1温水流路62Aによって、温水入口82Aと他方側入口84Aとが接続されるとともに、第2温水流路62Bによって、他方側出口84Bと温水出口82Bとが接続され、温水供給源43から第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ温水Hを供給することができる。
【0058】
また、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21に残留した温水Hを第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21に回収して利用するときには、図4に示すごとく、回動中心軸部6を第1回収位置602にする。このとき、回動中心軸部6の第2冷却水流路61Bによって、冷却水入口81Aと他方側入口84Aとが接続されるとともに、第3冷却水流路61Cによって、他方側出口84Bと一方側入口83Aとが接続され、かつ第5冷却水流路61Eによって、一方側出口83Bと冷却水出口81Bとが接続される。そして、冷却水供給源41から第2冷却水流路61Bを経由して第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ冷却水Cを供給することにより、この伝熱管21に残留した温水Hを第3冷却水流路61Cを経由して第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ押し出すことができる。
【0059】
また、図2に示すごとく、第1吸脱着器2Aを脱着器X2として機能させ、第2吸脱着器2Bを吸着器X1として機能させるときには、図5に示すごとく、回動中心軸部6を第2運転位置603にする。このとき、回動中心軸部6の第1冷却水流路61Aによって、冷却水入口81Aと他方側入口84Aとが接続されるとともに、第4冷却水流路61Dによって、他方側出口84Bと冷却水出口81Bとが接続され、冷却水供給源41から第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ冷却水Cを供給することができる。また、このとき、回動中心軸部6の第1温水流路62Aによって、温水入口82Aと一方側入口83Aとが接続されるとともに、第3温水流路62Cによって、一方側出口83Bと温水出口82Bとが接続され、温水供給源43から第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ温水Hを供給することができる。
【0060】
また、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21に残留した温水Hを第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21に回収して利用するときには、図6に示すごとく、回動中心軸部6を第2回収位置604にする。このとき、回動中心軸部6の第2冷却水流路61Bによって、冷却水入口81Aと一方側入口83Aとが接続されるとともに、第3冷却水流路61Cによって、一方側出口83Bと他方側入口84Aとが接続され、かつ第5冷却水流路61Eによって、他方側出口84Bと冷却水出口81Bとが接続される。そして、冷却水供給源41から第2冷却水流路61Bを経由して第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ冷却水Cを供給することにより、この伝熱管21に残留した温水Hを第3冷却水流路61Cを経由して第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ押し出すことができる。
【0061】
なお、回動中心軸部6を第1運転位置601及び第2運転位置603に維持する時間は、回動中心軸部6を第1回収位置602及び第2回収位置604に維持する時間よりも長くなる。回動中心軸部6を第1運転位置601及び第2運転位置603に維持する時間は、固体吸着剤211への冷媒蒸気Aの吸着を開始してから、固体吸着剤211に吸着される冷媒蒸気Aが飽和状態に近くなるまでの時間(例えば数分)として設定することができる。一方、回動中心軸部6を第1回収位置602及び第2回収位置604に維持する時間は、吸着器X1における伝熱管21中に残留した冷却水Cを脱着器X2における伝熱管21へ押し出すのに要する時間(例えば数秒)、及び脱着器X2における伝熱管21中に残留した温水Hを吸着器X1における伝熱管21へ押し出すのに要する時間(例えば数秒)として設定することができる。
【0062】
本例の流体用切替装置5は、回動中心軸部6を軸受本体部7に対して回動させることにより、吸着式冷凍機1における2つの吸脱着器2A,2Bを、吸着器X1と脱着器X2とに同時に切り替えることができるものである。つまり、この流体用切替装置5によれば、1台の切替装置によって、2つの吸脱着器2A,2Bを吸着器X1と脱着器X2とに同時に切り替えることができる。また、回動中心軸部6の回動によって、2つの吸脱着器2A,2Bについて、吸着器X1と脱着器X2とに順次切り替えることができる。
そして、1つの駆動装置によって回動中心軸部6を回動させることができ、極めて少ないアクチュエータによって上記切替を行うことができる。また、回動中心軸部6に第1〜第5冷却水流路61A〜61E及び第1〜第3温水流路62A〜62Cを形成していることによって、上記切替を行うための配管類も極めて少なくすることができる。従って、本例の流体用切替装置5を用いることによって、吸着式冷凍機1を小型化することができる。
【0063】
それ故、本例の流体用切替装置5によれば、1台の切替装置によって、2つの吸脱着器2A,2Bを吸着器X1と脱着器X2とに同時に切り替えることができるとともに、アクチュエータ及び配管類の使用数を低減させることができ、かつエネルギー効率(COP)を向上させることができる。
【0064】
図示は省略するが、流体用切替装置5においては、次の構成を採用して、冷却水入口81A及び冷却水出口81Bと温水入口82A及び温水出口82Bとを入れ替え、冷却水流路61A〜61Eを温水流路62A〜62Cとし、温水流路62A〜62Cを冷却水流路61A〜61Eとして運転を行うことができる。
そして、第1回収位置602においては、温水供給源43から供給される温水Hを、吸着器X1として機能させた第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する冷却水Cを第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ押し出し、第2回収位置604においては、温水供給源43から供給される温水Hを、吸着器X1として機能させた第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する冷却水Cを第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ押し出すことができる。
【0065】
また、流体用切替装置5において、一方側入口83A及び一方側出口83Bと他方側入口84A及び他方側出口84Bとは、2つ1組の吸脱着器2A,2Bに対応して、中空摺動穴71の周方向S又は軸方向Lの複数箇所に形成することができる。そして、回動中心軸部6を第1運転位置601に回動したときと第2運転位置603に回動したときには、複数組の吸脱着器2A,2Bにおける伝熱管21へ、冷却水Cの供給と温水Hの供給とを同時に行うことができる。
【0066】
(実施例2)
本例の流体用切替装置5は、図13〜図16に示すごとく、吸着式冷凍機1を構成する複数の吸脱着器2において、吸着動作、脱着動作及び回収動作を同時に行う、回動中心軸部6の回動位置を、複数(本例では8つ。)の吸脱着器2と同じ数だけ形成することができるものである。そして、回動中心軸部6を、所定角度ごと回動させて各回動位置にすることにより、各吸脱着器2において、吸着動作、脱着動作及び回収動作を順次繰り返し行うことができる。
【0067】
図13、図14に示すごとく、本例の流体用切替装置5の回動中心軸部6には、冷却水Cを流す冷却水流路61A〜61Eと、温水Hを流す温水流路62A〜62Cと、回収水Rとしての冷却水C又は温水Hを流す回収水流路63F〜63Hとが形成してある。
本例の軸受本体部7には、冷却水入口81Aと、冷却水出口81Bと、温水入口82Aと、温水出口82Bと、回収水入口85Aと、回収水出口85Bと、複数の吸脱着器2における伝熱管21の各入口にそれぞれ繋がる複数の供給入口86Aと、複数の吸脱着器2における伝熱管21の各出口にそれぞれ繋がる複数の供給出口86Bとが、中空摺動穴71に対する外側から中空摺動穴71の内周面に開口して形成してある。
供給入口86Aと供給出口86Bとは、中空摺動穴71の軸方向Lに並んで形成してあるとともに、各吸脱着器2ごとに供給入口86Aと供給出口86Bとの組として、中空摺動穴71の周方向Sの複数箇所(本例では8箇所。)に形成してある。
【0068】
図15、図16に示すごとく、本例の回動中心軸部6には、吸着動作、脱着動作及び回収動作を同時に行う回動位置が、複数の吸脱着器2と同じ数(本例では8つ。)だけ形成してある。
本例においては、互いに隣接する3つの吸脱着器2を吸着器X1として機能させるとともに、互いに隣接する3つの吸脱着器2を脱着器X2として機能させ、吸着器X1として機能させる吸脱着器2と脱着器X2として機能させる吸脱着器2との間に位置する2つの吸脱着器2を回収器X3として機能させる。
本例の流体用切替装置5においては、1つの駆動装置を駆動することにより、回動中心軸部6を所定時間間隔で45°ずつ回動させ、吸着器X1及び脱着器X2を2つの回収器X3に、2つの回収器X3を吸着器X1及び脱着器X2に、2つずつ切り替えていく。
【0069】
図13、図15に示すごとく、流体用切替装置5の吸着動作においては、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aから、3つの供給入口86A及び3つの供給出口86Bを経由して、冷却水出口81Bまで連通し、8つの吸脱着器2のうち吸着器X1として機能させる3つの第1吸脱着器2における伝熱管21へ、冷却水供給源41から冷却水Cを供給する。
流体用切替装置5の脱着動作においては、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aから、3つの供給入口86A及び3つの供給出口86Bを経由して、温水出口82Bまで連通し、8つの吸脱着器2のうち脱着器X2として機能させる3つの第2吸脱着器2における伝熱管21へ、温水供給源43から温水Hを供給する。
【0070】
図14、図15に示すごとく、流体用切替装置5の回収動作においては、回収水流路63F〜63Hによって、回収水入口85Aから、3つの供給入口86A及び3つの供給出口86Bを経由して、回収水出口85Bまで連通し、回収水供給源46から供給される冷却水Cを、8つの吸脱着器2のうち回収器X3として機能させる第3吸脱着器2における伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する温水Hを、他のいずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ押し出す。
【0071】
図13は、流体用切替装置5を、回動中心軸部6の冷却水流路61A〜61Eにおける入口側と、温水流路62A〜62Cにおける入口側との形成位置の断面によって示す。図14は、流体用切替装置5を、回動中心軸部6の回収水流路63F〜63Hの形成位置の断面によって示す。
図15は、軸受本体部7における各供給入口86Aの軸方向Lの形成位置の断面(図14におけるG矢視線断面)を下側に、軸受本体部7における各供給出口86Bの軸方向Lの形成位置の断面(図14におけるH矢視線断面)を上側に記載して、各吸脱着器2の接続状態を示す。図16は、図15の状態から回動中心軸部6が45°回動したときの状態を示す。
【0072】
図15、図16においては、各吸脱着器2について、第1〜第8の吸脱着器を符号2A〜2Hによって示す。また、同図においては、各供給入口86A及び各供給出口86Bの周方向Sの形成位置を、符号1〜8によって示す。また、冷却水Cの入口部を符号C1によって示し、冷却水Cの出口部を符号C2によって示し、温水Hの入口部を符号H1によって示し、温水Hの出口部を符号H2によって示し、回収水Rの入口部を符号R1によって示し、回収水Rの出口部を符号R2によって示す。
【0073】
図14に示すごとく、本例の流体用切替装置5の軸受本体部7においては、軸方向Lの一端側に、冷却水入口81A、回収水入口85A、温水入口82Aが中空摺動穴71の軸方向Lに並んで形成してあり、軸方向Lの他端側に、冷却水出口81B、回収水出口85B、温水出口82Bが中空摺動穴71の軸方向Lに並んで形成してある。
また、図15に示すごとく、供給入口86A及び供給出口86Bは、軸受本体部7の軸方向Lに並ぶとともに、複数組(本例では8組)が軸受本体部7の周方向Sに並んで形成してある。複数組の供給入口86A及び供給出口86Bは、第1〜第8の供給入口86A及び第1〜第8の供給出口86Bとして、周方向Sに等間隔に並んで形成してある。
第1〜第8の供給入口86Aには、それぞれ吸脱着器2における伝熱管21の入口が接続してあり、第1〜第8の供給出口86Bには、それぞれ吸脱着器2における伝熱管21の出口が接続してある。
【0074】
本例の冷却水流路61F〜61Iは、図13に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側において、冷却水入口81Aから第2の供給入口86Aまで軸方向Lと径方向とに形成した第1冷却水流路部61Fと、図15に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第2の供給出口86Bから第3の供給入口86Aまで周方向Sの表面に周方向Sに沿って形成した第2冷却水流路部61Gと、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第3の供給出口86Bから第4の供給入口86Aまで周方向Sの表面に周方向Sに沿って形成した第3冷却水流路部61Hと、図13に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側において、第4の供給出口86Bから冷却水出口81Bまで軸方向Lと周方向Sの表面とに形成した第4冷却水流路部61Iとによって構成してある。
【0075】
本例の温水流路62F〜62Iは、図13に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側において、温水入口82Aから第6の供給入口86Aまで軸方向Lと径方向とに形成した第1温水流路部62Fと、図15に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第6の供給出口86Bから第7の供給入口86Aまで周方向Sの表面に周方向Sに沿って形成した第2温水流路部62Gと、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第7の供給出口86Bから第8の供給入口86Aまで周方向Sの表面に周方向Sに沿って形成した第3温水流路部62Hと、図13に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側において、第8の供給出口86Bから温水出口82Bまで軸方向Lと周方向Sの表面とに形成した第4温水流路部62Iとによって構成してある。
【0076】
本例の回収水流路63F〜63Hは、図14に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側において、回収水入口85Aから第1の供給入口86Aまで軸方向Lと径方向とに形成した第1回収水流路部63Fと、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第1の供給出口86Bから第5の供給入口86Aまで軸方向Lに斜めに形成した第2回収水流路部63Gと、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側において、第5の供給出口86Bから回収水出口85Bまで軸方向Lと周方向Sの表面とに形成した第3回収水流路部63Hとによって構成してある。
【0077】
本例の流体用切替装置5によっても、1台の切替装置によって、吸着動作、脱着動作及び回収動作の切替を同時に行うことができる。そして、1つの駆動装置によって回動中心軸部6を回動させることができ、極めて少ないアクチュエータによって上記切替を行うことができる。また、回動中心軸部6に冷却水流路61F〜61I、温水流路62F〜62I及び回収水流路63F〜63Hを形成していることによって、上記切替を行うための配管類も極めて少なくすることができる。従って、本例の流体用切替装置5を用いることによって、吸着式冷凍機1を小型化することができる。
【0078】
さらに、本例においては、回収動作として、回収水供給源46から供給される冷却水Cを、いずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する温水Hを、他のいずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ押し出す。そして、回動中心軸部6が次の回動位置に回動したときに、吸着器X1として機能する吸脱着器2における伝熱管21内を予め冷却水Cによって満たすとともに、脱着器X2として機能する吸脱着器2における伝熱管21内を予め温水Hによって満たしておくことができる。
【0079】
これにより、各吸脱着器2が、吸着器X1から脱着器X2に、あるいは脱着器X2から吸着器X1に切り替わるときに、各吸脱着器2の伝熱管21内において、冷却水Cが温水Hと混ざり合うこと、あるいは温水Hがそのままの温度を維持して冷却水Cと混ざり合うことを極力避けることができる。そのため、冷却水Cの温度変動及び温水Hの不必要な流出を極力抑えることができ、吸着式冷凍機1の冷凍性能、COP(エネルギー効率)を高く維持することができる。
【0080】
本例の流体用切替装置5においては、冷凍性能、エネルギー効率をさらに上昇させるために、吸着器X1及び脱着器X2を複数段(本例ではそれぞれ3段)に形成した。
吸着器X1と脱着器X2との切替が行われた時には、吸着器X1として機能する吸脱着器2における伝熱管21の入口へ入った冷却水Cは、伝熱管21の入口近傍の外周に設けた固体吸着剤211を冷却し始める。そして、この吸着器X1内の圧力が低下して、この吸着器X1内の圧力が蒸発器31内の圧力と同じになったときから、蒸発器31から吸着器X1へ冷媒蒸気Aが流れ込んで、この冷媒蒸気Aが固体吸着剤211に吸着され始める。
【0081】
このとき、この吸着器X1における伝熱管21の出口近傍の外周に設けた固体吸着剤211は、まだ冷却されていないため、冷媒蒸気Aを脱着する。そして、この脱着された冷媒蒸気Aが、同じ吸着器X1における伝熱管21の入口近傍の外周に設けた固体吸着剤211に吸着されてしまう。このことは、蒸発器31から吸着器X1へ流れ込む冷媒蒸気Aの吸着効率を低下させてしまう要因になる。
【0082】
これに対し、全体として同じ容量の吸着式冷凍機1を形成するときでも、本例のように吸着器X1及び脱着器X2を複数段に形成することにより、吸脱着器2の一区画の容量が小さくなる。これにより、吸脱着器2における伝熱管21の入口近傍と出口近傍との温度差が小さくなり、蒸発器31から吸着器X1へ流れ込む冷媒蒸気Aの吸着効率を向上させることができる。
このように、複数段の吸着器X1を用い、回動中心軸部6を回動させる時間間隔(サイクルタイム)を短縮することにより、蒸発器31内の蒸発管311に、さらに多くの冷水Wを作り出すことができる。
【0083】
また、回動中心軸部6を回動させる時間間隔は、回収動作を行う時間に合わせて設定することができる。また、この時間間隔は、回収水供給源46から流体用切替装置5へ回収水Rを送り出すポンプによる流体送り量を少なくする、又はこのポンプの動作を一旦停止させることによって、吸着器X1における固体吸着剤211に冷媒蒸気Aの吸着が行われる適切な時間間隔に設定することもできる。
【0084】
なお、回収水Rは、冷却水Cとする以外にも温水Hとすることができる。そして、回収動作として、回収水供給源46から供給される温水Hを、いずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する冷却水Cを、他のいずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ押し出すこともできる。
本例においても、吸着式冷凍機1及び流体用切替装置5のその他の構成は、上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 吸着式冷凍機
2A,2B 吸脱着器
21 伝熱管
211 固体吸着剤
31 蒸発器
311 蒸発管
32 凝縮器
321 凝縮管
41 冷却水供給源(冷却塔)
43 温水供給源(温水タンク)
5 流体用切替装置
6 回動中心軸部
601 第1運転位置
602 第1回収位置
603 第2運転位置
604 第2回収位置
61A〜61I 冷却水流路
62A〜62I 温水流路
63F〜63H 回収水流路
7 軸受本体部
71 中空摺動穴
81A 冷却水入口
81B 冷却水出口
82A 温水入口
82B 温水出口
83A 一方側入口
83B 一方側出口
84A 他方側入口
84B 他方側出口
85A 回収水入口
85B 回収水出口
86A 供給入口
86B 供給出口
A 冷媒
C 冷却水
H 温水
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着式冷凍機において、複数の吸脱着器における伝熱管へ冷却水と温水とを交互に切り替えて流すための流体用切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着式冷凍機においては、複数の吸脱着器内に伝熱管を挿通させるとともに、各吸脱着器内においては、伝熱管の表面にシリカゲル等の固体吸着剤を配置している。また、各吸脱着器に対して蒸発器と凝縮器とを、ダンパの開閉を利用して個別に連通可能にしている。また、各吸脱着器、蒸発器及び凝縮器を真空状態にするとともに、これらの間に冷媒を流通可能にしている。そして、吸着式冷凍機は、伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる吸脱着器と、伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる吸脱着器とを、所定の時間間隔で交互に切り替えて運転を行っている。
【0003】
複数の吸脱着器における伝熱管へ流す冷却水と温水との切替は、例えば、特許文献1の吸着式冷凍システムの運転方法に開示されるように、多数のバルブを用いて行うものがある。この運転方法においては、複数基の吸着塔のうち、脱着工程から吸着工程へ移行する直前の吸着塔の伝熱管内に残留した吸着剤加熱用熱媒を、吸着工程から脱着工程へ移行する直前の吸着塔の伝熱管に供給し、この伝熱管内を残留熱媒の略全量が通過し、固体吸着剤の予熱が終了した時点で、吸脱着を切り替えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−58966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、複数の吸脱着器における伝熱管へ流す冷却水と温水との切替は、多数のバルブを個々に操作して行う必要がある。そのため、各バルブを操作する多数のアクチュエータが必要になるとともに、各バルブを接続する配管類も複雑になる。また、これに伴って、吸脱着の切替時に回収しなければならない熱量(配管、配管内の水における熱量)が多くなり、COP(エネルギー効率)を低下させる要因となる。さらに、吸着式冷凍システムが大型化し、製作工数、メンテナンス性等が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、1台の切替装置によって、複数の吸脱着器を吸着器と脱着器とに同時に切り替えることができるとともに、アクチュエータ及び配管類の使用数を低減させることができ、かつエネルギー効率を向上させることができる流体用切替装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる複数の吸脱着器と、該複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備えた吸着式冷凍機に用い、上記伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる上記吸脱着器とを逐次切り替える流体用切替装置であって、
駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部と、
該回動中心軸部を回動可能に配置する中空摺動穴を形成した軸受本体部と、を備えており、
上記回動中心軸部には、冷却水を流す冷却水流路と、温水を流す温水流路とが形成してあり、
上記軸受本体部には、冷却水入口と、冷却水出口と、温水入口と、温水出口と、上記複数の吸脱着器のうちのいずれかである第1吸脱着器における上記伝熱管の入口に繋がる一方側入口と、上記第1吸脱着器における上記伝熱管の出口に繋がる一方側出口と、上記複数の吸脱着器のうちの他のいずれかである第2吸脱着器における上記伝熱管の入口に繋がる他方側入口と、上記第2吸脱着器における上記伝熱管の出口に繋がる他方側出口とが、上記中空摺動穴に対する外側から該中空摺動穴の内周面に開口して形成してあり、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記冷却水出口とを接続して、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ冷却水供給源から冷却水を供給し、かつ、上記温水流路によって、上記温水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記温水出口とを接続して、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ温水供給源から温水を供給する第1運転位置と、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記冷却水出口とを接続して、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ上記冷却水供給源から冷却水を供給し、かつ、上記温水流路によって、上記温水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記温水出口とを接続して、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ上記温水供給源から温水を供給する第2運転位置とに、上記回動中心軸部を回動させるよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置にある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる複数の吸脱着器と、該複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備えた吸着式冷凍機に用い、上記伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる上記吸脱着器とを、逐次切り替える流体用切替装置であって、
駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部と、
該回動中心軸部を回動可能に配置する中空摺動穴を形成した軸受本体部と、を備えており、
上記回動中心軸部には、冷却水を流す冷却水流路と、温水を流す温水流路と、回収水としての冷却水又は温水を流す回収水流路とが形成してあり、
上記軸受本体部には、冷却水入口と、冷却水出口と、温水入口と、温水出口と、回収水入口と、回収水出口と、上記複数の吸脱着器における上記伝熱管の各入口にそれぞれ繋がる複数の供給入口と、上記複数の吸脱着器における上記伝熱管の各出口にそれぞれ繋がる複数の供給出口とが、上記中空摺動穴に対する外側から該中空摺動穴の内周面に開口して形成してあり、
上記供給入口と上記供給出口とは、上記中空摺動穴の軸方向に並んで形成してあるとともに、上記各吸脱着器ごとに上記供給入口と上記供給出口との組として、上記中空摺動穴の周方向の複数箇所に形成してあり、
上記回動中心軸部の回動位置は、上記複数の吸脱着器の数と同じ数だけ形成してあり、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口から、1つ又は複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記冷却水出口まで連通し、上記複数の吸脱着器のうち上記吸着器として機能させる1つ又は複数の第1吸脱着器における上記伝熱管へ、冷却水供給源から冷却水を供給する吸着動作と、
上記温水流路によって、上記温水入口から、1つ又は複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記温水出口まで連通し、上記複数の吸脱着器のうち上記脱着器として機能させる1つ又は複数の第2吸脱着器における上記伝熱管へ、温水供給源から温水を供給する脱着動作と、
上記回収水流路によって、上記回収水入口から、複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記回収水出口まで連通し、回収水供給源から供給される冷却水(又は温水)を、上記複数の吸脱着器のうち回収器として機能させる第3吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水(又は冷却水)を、他のいずれかの上記第3吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す回収動作とを、上記回動中心軸部の各回動位置において同時に行うよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置にある(請求項6)。
【発明の効果】
【0009】
(第1の発明)
第1の発明の流体用切替装置は、回動中心軸部を軸受本体部に対して回動させることにより、吸着式冷凍機における複数の吸脱着器を、吸着器と脱着器とに同時に切り替えることができるものである。つまり、この流体用切替装置によれば、1台の切替装置によって、複数の吸脱着器を吸着器と脱着器とに同時に切り替えることができる。また、回動中心軸部の回動によって、複数の吸脱着器について、吸着器と脱着器とに順次切り替えることができる。
【0010】
そして、1つの駆動装置によって回動中心軸部を回動させることができ、極めて少ないアクチュエータによって上記切替を行うことができる。また、回動中心軸部に冷却水流路及び温水流路を形成していることによって、上記切替を行うための配管類も極めて少なくすることができる。これにより、吸脱着の切替時に失われる熱量(配管、配管内の水における熱量)を少なくすることができ、COP(エネルギー効率)を向上させることができる。従って、第1の発明の流体用切替装置を用いることによって、吸着式冷凍機を小型化することができる。
【0011】
第1の発明の流体用切替装置は、次のようにして動作させることができる。
第1吸脱着器を吸着器として機能させ、第2吸脱着器を脱着器として機能させるときには、回動中心軸部を第1運転位置にする。このとき、回動中心軸部の冷却水流路によって、冷却水入口と一方側入口とが接続されるとともに一方側出口と冷却水出口とが接続され、冷却水供給源から第1吸脱着器における伝熱管へ冷却水を供給することができる。また、このとき、回動中心軸部の温水流路によって、温水入口と他方側入口とが接続されるとともに他方側出口と温水出口とが接続され、温水供給源から第2吸脱着器における伝熱管へ温水を供給することができる。
【0012】
また、第1吸脱着器を脱着器として機能させ、第2吸脱着器を吸着器として機能させるときには、回動中心軸部を第2運転位置にする。このとき、回動中心軸部の冷却水流路によって、冷却水入口と他方側入口とが接続されるとともに他方側出口と冷却水出口とが接続され、冷却水供給源から第2吸脱着器における伝熱管へ冷却水を供給することができる。また、このとき、回動中心軸部の温水流路によって、温水入口と一方側入口とが接続されるとともに一方側出口と温水出口とが接続され、温水供給源から第1吸脱着器における伝熱管へ温水を供給することができる。
【0013】
(第2の発明)
第2の発明の流体用切替装置は、吸着式冷凍機を構成する複数の吸脱着器において、吸着動作、脱着動作及び回収動作を同時に行う、回動中心軸部の回動位置を、複数の吸脱着器と同じ数だけ形成することができるものである。そして、回動中心軸部を、所定角度ごと回動させて各回動位置にすることにより、各吸脱着器において、吸着動作、脱着動作及び回収動作を順次繰り返し行うことができる。
【0014】
第2の発明の流体用切替装置によっても、1台の切替装置によって、吸着器、脱着器及び回収の切替を同時に行うことができる。そして、1つの駆動装置によって回動中心軸部を回動させることができ、極めて少ないアクチュエータによって上記切替を行うことができる。また、回動中心軸部に冷却水流路、温水流路及び回収水流路を形成していることによって、上記切替を行うための配管類も極めて少なくすることができる。従って、本発明の流体用切替装置を用いることによって、吸着式冷凍機を小型化することができる。
【0015】
さらに、第2の発明においては、回収動作として、回収水供給源から供給される冷却水(又は温水)を、いずれかの第3吸脱着器における伝熱管へ供給することによって、この伝熱管に残留する温水(又は冷却水)を、他のいずれかの第3吸脱着器における伝熱管へ押し出す。そして、回動中心軸部が次の回動位置に回動したときに、吸着器として機能する吸脱着器における伝熱管内を予め冷却水によって満たすとともに、脱着器として機能する吸脱着器における伝熱管内を予め温水によって満たしておくことができる。
これにより、各吸脱着器が、吸着器から脱着器に、あるいは脱着器から吸着器に切り替わるときに、各吸脱着器の伝熱管内において、冷却水が温水と混ざり合うこと、あるいは温水がそのままの温度を維持して冷却水と混ざり合うことを極力避けることができる。そのため、冷却水の温度変動及び温水の不必要な流出を極力抑えることができ、吸着式冷凍機のCOP(エネルギー効率)を高く維持することができる。
【0016】
以上、第1、第2の発明の流体用切替装置によれば、1台の切替装置によって、複数の吸脱着器を吸着器と脱着器とに同時に切り替えることができるとともに、アクチュエータ及び配管類の使用数を低減させることができ、かつエネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1にかかる、流体用切替装置を用い、第1吸脱着器を吸着器とするとともに第2吸脱着器を脱着器として運転する吸着式冷凍機を示す構成図。
【図2】実施例1にかかる、流体用切替装置を用い、第1吸脱着器を脱着器とするとともに第2吸脱着器を吸着器として運転する吸着式冷凍機を示す構成図。
【図3】実施例1にかかる、回動中心軸部が第1運転位置にある流体用切替装置を示す断面図。
【図4】実施例1にかかる、回動中心軸部が第1回収位置にある流体用切替装置を示す断面図。
【図5】実施例1にかかる、回動中心軸部が第2運転位置にある流体用切替装置を示す断面図。
【図6】実施例1にかかる、回動中心軸部が第2回収位置にある流体用切替装置を示す断面図。
【図7】実施例1にかかる、冷却水入口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるA矢視線断面図。
【図8】実施例1にかかる、温水入口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるB矢視線断面図。
【図9】実施例1にかかる、一方側入口及び他方側入口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるC矢視線断面図。
【図10】実施例1にかかる、一方側出口及び他方側出口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるD矢視線断面図。
【図11】実施例1にかかる、温水出口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるE矢視線断面図。
【図12】実施例1にかかる、冷却水出口の軸方向の形成位置についての回動中心軸部及び軸受本体部を示す図で、図3におけるF矢視線断面図。
【図13】実施例2にかかる、流体用切替装置を、回動中心軸部の冷却水流路における入口側と、温水流路における入口側との形成位置について示す断面図。
【図14】実施例2にかかる、流体用切替装置を、回動中心軸部の回収水流路の形成位置について示す断面図。
【図15】実施例2にかかる、軸受本体部における各供給入口の軸方向の形成位置の断面(図14におけるG矢視線断面)を下側に、軸受本体部における各供給出口の軸方向の形成位置の断面(図14におけるH矢視線断面)を上側に記載して、各吸脱着器の接続状態を示す説明図。
【図16】実施例2にかかる、図15の状態から回動中心軸部が45°回動したときの状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述した第1、第2の発明にかかる流体用切替装置における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記回動中心軸部は、上記第1運転位置から上記第2運転位置へ回動する前には、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記一方側入口とを接続し、かつ、上記一方側出口と上記冷却水出口とを接続し、一方、上記温水流路によって、上記温水入口と上記温水出口とを接続して、上記冷却水供給源から供給される冷却水を、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水を上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第1回収位置に回動し、上記回動中心軸部は、上記第2運転位置から上記第1運転位置へ回動する前には、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記他方側入口とを接続し、かつ、上記他方側出口と上記冷却水出口とを接続し、一方、上記温水流路によって、上記温水入口と上記温水出口とを接続して、上記冷却水供給源から供給される冷却水を、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水を上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第2回収位置に回動するよう構成してあることが好ましい(請求項2)。
【0019】
回動中心軸部が第1運転位置にあって、第1吸脱着器を吸着器とするとともに第2吸脱着器を脱着器として吸着式冷凍機の運転を行ったときには、第1吸脱着器における伝熱管には冷却水が残留する一方、第2吸脱着器における伝熱管には温水が残留する。そして、回動中心軸部を、第1運転位置から第2運転位置へ回動させる前に、一旦、第1回収位置にすることにより、第2吸脱着器における伝熱管内を、温水が残留する状態から、冷却水供給源から供給される冷却水によって満たす状態に置き換え、第1吸脱着器における伝熱管内を、冷却水が残留する状態から、第2吸脱着器における伝熱管から供給される温水によって満たす状態に置き換えることができる。
これにより、回動中心軸部を第2運転位置にして、第1吸脱着器を脱着器とするとともに第2吸脱着器を吸着器として吸着式冷凍機の運転を行うときには、第1吸脱着器における伝熱管内には温水が予め満たされ、第2吸脱着器における伝熱管内には冷却水が予め満たされた状態を形成しておくことができる。
【0020】
また、回動中心軸部が第2運転位置にあって、第1吸脱着器を脱着器とするとともに第2吸脱着器を吸着器として吸着式冷凍機の運転を行ったときには、第1吸脱着器における伝熱管には温水が残留する一方、第2吸脱着器における伝熱管には冷却水が残留する。そして、回動中心軸部を、第2運転位置から第1運転位置へ回動させる前に、一旦、第2回収位置にすることにより、第1吸脱着器における伝熱管内を、温水が残留する状態から、冷却水供給源から供給される冷却水によって満たす状態に置き換え、第2吸脱着器における伝熱管内を、冷却水が残留する状態から、第1吸脱着器における伝熱管から供給される温水によって満たす状態に置き換えることができる。
これにより、回動中心軸部を第1運転位置にして、第1吸脱着器を吸着器とするとともに第2吸脱着器を脱着器として吸着式冷凍機の運転を行うときには、第1吸脱着器における伝熱管内には冷却水が予め満たされ、第2吸脱着器における伝熱管内には温水が予め満たされた状態を形成しておくことができる。
【0021】
このように、この場合には、各吸脱着器が、吸着器から脱着器に、あるいは脱着器から吸着器に切り替わるときに、各吸脱着器の伝熱管内において、冷却水と温水とが混ざり合うことを極力避けることができる。そのため、冷却水及び温水の温度変動を極力抑えることができ、吸着式冷凍機のエネルギー効率を高く維持することができる。
【0022】
また、上記回動中心軸部は、上記第1運転位置から上記第2運転位置へ回動する前には、上記温水流路によって、上記温水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記他方側入口とを接続し、かつ、上記他方側出口と上記温水出口とを接続し、一方、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記冷却水出口とを接続して、上記温水供給源から供給される温水を、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する冷却水を上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第1回収位置に回動し、上記回動中心軸部は、上記第2運転位置から上記第1運転位置へ回動する前には、上記温水流路によって、上記温水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記一方側入口とを接続し、かつ、上記一方側出口と上記温水出口とを接続し、一方、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記冷却水出口とを接続して、上記温水供給源から供給される温水を、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する冷却水を上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第2回収位置に回動するよう構成してあることが好ましい(請求項3)。
【0023】
この場合は、温水供給源から供給される温水によって、冷却水供給源から供給される冷却水を用いる場合と同様に、各吸脱着器が、吸着器から脱着器に、あるいは脱着器から吸着器に切り替わるときに、各吸脱着器の伝熱管内において、冷却水と温水とが混ざり合うことを極力避けることができる。そのため、冷却水及び温水の温度変動を極力抑えることができ、吸着式冷凍機のエネルギー効率を高く維持することができる。
【0024】
また、上記冷却水入口と、上記冷却水出口と、上記温水入口と、上記温水出口と、上記一方側入口と、上記一方側出口とは、上記中空摺動穴の軸方向に異なる位置に形成してあり、上記他方側入口及び上記他方側出口は、上記一方側入口及び上記一方側出口に対して、上記中空摺動穴の周方向における反対側の位置に形成してあり、上記回動中心軸部における上記冷却水流路及び上記温水流路は、上記軸方向及び上記周方向の各位置に複数に分散して形成してあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、冷却水及び温水の各出入口の形成が適切であり、回動中心軸部における冷却水流路及び温水流路の形成を容易にすることができる。
【0025】
また、上記一方側入口及び上記一方側出口と上記他方側入口及び上記他方側出口とは、2つ1組で複数組の上記吸脱着器に対応して、上記中空摺動穴の周方向又は軸方向の複数箇所に形成してあり、上記回動中心軸部を上記第1運転位置に回動したときと上記第2運転位置に回動したときには、上記複数組の吸脱着器における上記伝熱管へ、上記冷却水の供給と上記温水の供給とを同時に行うよう構成してあることが好ましい(請求項5)。
この場合には、1台の流体用切替装置によって、複数組の吸脱着器において吸着及び脱着を同時に行うことができる。1台の流体用切替装置における回動中心軸部の回動操作によって、より冷却能力の高い大型の吸着式冷凍機の運転を行うことができる。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明の流体用切替装置にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の流体用切替装置5は、図1、図2に示すごとく、固体吸着剤211を表面に配置した伝熱管21を挿通させてなる2つの吸脱着器2A,2Bと、2つの吸脱着器2A,2Bに対して個別に連通可能な蒸発器31と、2つの吸脱着器2A,2Bに対して個別に連通可能な凝縮器32とを備えた吸着式冷凍機1に用いる。流体用切替装置5は、伝熱管21に冷却水Cを流して吸着器X1として機能させる吸脱着器2A(又は2B)と、伝熱管21に温水Hを流して脱着器X2として機能させる吸脱着器2B(又は2A)とを、逐次切り替えるよう構成されている。
【0027】
図3に示すごとく、流体用切替装置5は、駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部6と、回動中心軸部6を回動可能に配置する中空摺動穴71を形成した軸受本体部7とを備えている。
回動中心軸部6には、冷却水Cを流す冷却水流路61A〜61Eと、温水Hを流す温水流路62A〜62Cとが形成してある。軸受本体部7には、冷却水入口81Aと、冷却水出口81Bと、温水入口82Aと、温水出口82Bと、2つの吸脱着器2A,2Bの一方である第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21の入口に繋がる一方側入口83Aと、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21の出口に繋がる一方側出口83Bと、2つの吸脱着器2A,2Bのうちの他方である第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21の入口に繋がる他方側入口84Aと、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21の出口に繋がる他方側出口84Bとが、中空摺動穴71に対する外側から中空摺動穴71の内周面に開口して形成してある。
【0028】
流体用切替装置5は、図1、図3に示すごとく、第1吸脱着器2Aを吸着器X1として機能させるとともに第2吸脱着器2Bを脱着器X2として機能させる第1運転位置601と、図2、図5に示すごとく、第1吸脱着器2Aを脱着器X2として機能させるとともに第2吸脱着器2Bを吸着器X1として機能させる第2運転位置603とに、回動中心軸部6を回動させるよう構成してある。
【0029】
図3に示すごとく、第1運転位置601においては、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aと一方側入口83Aとを接続するとともに一方側出口83Bと冷却水出口81Bとを接続して、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ冷却水供給源(冷却塔)41から冷却水Cを供給し、かつ、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aと他方側入口84Aとを接続するとともに他方側出口84Bと温水出口82Bとを接続して、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ温水供給源(温水タンク)43から温水Hを供給する。
図5に示すごとく、第2運転位置603においては、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aと他方側入口84Aとを接続するとともに他方側出口84Bと冷却水出口81Bとを接続して、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ冷却水供給源41から冷却水Cを供給し、かつ、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aと一方側入口83Aとを接続するとともに一方側出口83Bと温水出口82Bとを接続して、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ温水供給源43から温水Hを供給する。
【0030】
以下に、本例の流体用切替装置5につき、図1〜図12を参照して詳説する。
まず、本例の吸着式冷凍機1について説明する。
ここで、図1、図2は、吸着式冷凍機1の構成を示す図であり、図2は、図1の状態から吸着器X1と脱着器X2とが入れ替わった状態を示す。各図においては、流体用切替装置5は、作図の便宜上、入口側部分と出口側部分とに分離して模式的に示す。
各図に示すごとく、本例の吸着式冷凍機1は、吸着器X1と脱着器X2とにおける固体吸着剤211への冷媒蒸気Aの吸着及び脱着を繰り返して、蒸発器31と凝縮器32とに冷媒Aを循環させ、蒸発器31内に挿通させた蒸発管311内に冷水Wを作り出すものである。
【0031】
各吸脱着器2A,2B、蒸発器31及び凝縮器32の内部には、冷媒A(冷媒蒸気Aと言うこともある。)が流通可能になっており、各吸脱着器2A,2B、蒸発器31及び凝縮器32の内部は、冷媒Aが蒸発し易いように真空状態になっている。蒸発器31の内部は、1/100気圧程度になっており、凝縮器32の内部は、1/20気圧程度になっている。本例の固体吸着剤211はシリカゲルであり、冷媒Aは水である。
各吸脱着器2A,2Bと蒸発器31との間、及び各吸脱着器2A,2Bと凝縮器32との間には、冷媒蒸気Aが通過する連通路33がそれぞれ形成されている。各連通路33には、自重及び冷媒蒸気Aの圧力によって開閉可能なダンパ34が配置されている。
【0032】
図1、図2に示すごとく、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21は、この伝熱管21へ送る冷却水Cと温水Hとの切替を行う流体用切替装置5の一方側入口83A、一方側出口83B、他方側入口84A及び他方側出口84Bまで配管されている。
蒸発器31内には、冷水Wを通過させる蒸発管311が挿通してあり、蒸発管311は、冷水タンク44に接続されている。蒸発管311は、冷水Wを供給して冷やすための被冷却対象としての冷凍設備45に接続してある。この冷凍設備45は、空調システム、冷蔵庫等とすることができる。蒸発管311は、蒸発器31内と冷水タンク44及び冷凍設備45とを循環して配管されている。
【0033】
凝縮器32内には、冷却水Cを通過させる凝縮管321が挿通してあり、凝縮管321は、冷却塔41に接続されている。冷却水Cは、冷却塔41から、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21及び流体用切替装置5の回動中心軸部6における冷却水流路61A〜61Eを通過した後、凝縮管321に供給され、凝縮管321から冷却塔41に循環されるようになっている。
凝縮器32内には、凝縮管321によって凝縮されて液体化した冷媒A(本例では水)を受ける受皿35が設けてある。受皿35と蒸発器31との間には、受皿35に溜まった冷媒Aを蒸発器31内の蒸発管311の表面へ供給するための循環配管36が配管してある。
【0034】
各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21に供給する温水Hは、熱を発生させる発熱設備42から出される排熱を利用して加熱されるものである。この発熱設備42は、太陽熱利用システム、ガスエンジンシステム、ボイラー、あるいは蒸気ドレンを出す設備等とすることができる。温水Hは、発熱設備42による排熱を利用して作られ、温水タンク43に貯留された後、流体用切替装置5の回動中心軸部6における温水流路62A〜62Cを経由して各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21の入口に供給されるようになっている。また、温水Hは、各吸脱着器2A,2Bの伝熱管21の出口から、流体用切替装置5の回動中心軸部6における温水流路62A〜62Cを経由して発熱設備42へ循環されるようになっている。
冷却水Cは、25〜35℃(約30℃)の水であり、温水Hは、70〜90℃(約80℃)に加熱された水である。また、蒸発器31の蒸発管311内の冷水Wは、9〜14℃(約11℃)に冷却される。
【0035】
吸着式冷凍機1は、伝熱管21に冷却水Cを流して吸着器X1として機能させる吸脱着器2A(又は2B)と、伝熱管21に温水Hを流して脱着器X2として機能させる吸脱着器2B(又は2A)とを、所定の時間間隔で交互に切り替えて運転し、蒸発器31内に挿通させた蒸発管311内の冷水Wを冷却するよう構成されている。これにより、吸着式冷凍機1は、作り出す冷水Wを冷水タンク44から冷凍設備45へ連続して供給する。
【0036】
吸着式冷凍機1の運転は、次のように行われる。
図1に示すごとく、第1吸脱着器2A内の伝熱管21に冷却水Cが供給されるときには、第1吸脱着器2Aは吸着器X1として機能する。このとき、第1吸脱着器2A内の伝熱管21の表面に配置された固体吸着剤211が冷却されて、この固体吸着剤211に吸着反応によって冷媒蒸気Aが吸着される。そして、第1吸脱着器2A内の圧力が低下することにより、第1吸脱着器2A内の圧力は、蒸発器31内の圧力及び凝縮器32内の圧力よりも低くなる。この圧力差により、第1吸脱着器2Aと蒸発器31との間の連通路33におけるダンパ34が開くとともに、第1吸脱着器2Aと凝縮器32との間の連通路33におけるダンパ34が閉じる。そして、蒸発器31内の冷媒蒸気Aが第1吸脱着器2A内へ流れ、蒸発器31内の蒸発管311の表面から気化熱としての熱が奪われ、蒸発管311内の冷水Wを冷却することができる。
【0037】
一方、同図に示すごとく、第1吸脱着器2A内の伝熱管21に冷却水Cが供給されるときには、第2吸脱着器2B内の伝熱管21には温水Hが供給される。第2吸脱着器2B内の伝熱管21に温水Hが供給されるときには、第2吸脱着器2Bは脱着器X2として機能する。このとき、第2吸脱着器2B内の伝熱管21の表面に配置された固体吸着剤211が加熱されて、この固体吸着剤211から脱着反応によって冷媒蒸気Aが脱着される。そして、第2吸脱着器2B内の圧力が上昇することにより、第2吸脱着器2B内の圧力は、蒸発器31内の圧力及び凝縮器32内の圧力よりも高くなる。この圧力差により、第2吸脱着器2Bと蒸発器31との間の連通路33におけるダンパ34が閉じるとともに、第2吸脱着器2Bと凝縮器32との間の連通路33におけるダンパ34が開く。そして、第2吸脱着器2B内の冷媒蒸気Aが凝縮器32内へ流れ、この冷媒蒸気Aが、凝縮器32内の凝縮管321を流れる冷却水Cによって凝縮される。そして、凝縮された冷媒蒸気Aは、循環配管36を通って蒸発器31内へ循環される。
【0038】
その後、吸着器X1として機能する第1吸脱着器2A内の固体吸着剤211に吸着された冷媒蒸気Aの量が飽和量に近づいたときには、図2に示すごとく、流体用切替装置5の回動中心軸部6を回動操作して、第1吸脱着器2A内の伝熱管21に温水Hを流すとともに第2吸脱着器2B内の伝熱管21に冷却水Cを流し、第1吸脱着器2Aを脱着器X2に切り替えるとともに第2吸脱着器2Bを吸着器X1に切り替える。そして、第2吸脱着器2Bを上記と同様に吸着器X1として機能させるとともに、第1吸脱着器2Aを上記と同様に脱着器X2として機能させる。
以降は、同様にして、第1吸脱着器2A内の伝熱管21と第2吸脱着器2B内の伝熱管21とに流す冷却水Cと温水Hとを交互に切り替える。これにより、2つの吸脱着器2A,2Bにおいて所定の時間間隔で吸着器X1と脱着器X2とを交互に切り替えて、蒸発管311内において作り出す冷水Wを、冷水タンク44を経由して冷凍設備45へ連続して供給することができる。
【0039】
次に、本例の流体用切替装置5について説明する。
本例の流体用切替装置5においては、吸着器X1と脱着器X2とを切り替える際に冷却水Cと温水Hとが混ざり合うことを防止するために、回動中心軸部6の第1運転位置601及び第2運転位置603を形成する以外にも、図4、図6に示すごとく、回動中心軸部6の第1回収位置602と第2回収位置604とを形成する。流体用切替装置5は、駆動装置によって回動中心軸部6を、第1運転位置601、第1回収位置602、第2運転位置603及び第2回収位置604に順次繰り返し回動させるよう構成されている。
【0040】
図4に示すごとく、回動中心軸部6は、第1運転位置601から第2運転位置603へ回動する前には、第1回収位置602に回動する。回動中心軸部6が第1回収位置602にあるときには、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aと他方側入口84Aとを接続するとともに他方側出口84Bと一方側入口83Aとを接続し、かつ、一方側出口83Bと冷却水出口81Bとを接続し、一方、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aと温水出口82Bとを接続する。そして、冷却水供給源41から供給される冷却水Cを、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する温水Hを第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ押し出す。
【0041】
回動中心軸部6が第1運転位置601にあって、第1吸脱着器2Aを吸着器X1とするとともに第2吸脱着器2Bを脱着器X2として吸着式冷凍機1の運転を行ったときには、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21には冷却水Cが残留する一方、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21には温水Hが残留する。そして、回動中心軸部6を、第1運転位置601から第2運転位置603へ回動させる前に、一旦、第1回収位置602にすることにより、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21内を、温水Hが残留する状態から、冷却水供給源41から供給される冷却水Cによって満たす状態に置き換え、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21内を、冷却水Cが残留する状態から、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21から供給される温水Hによって満たす状態に置き換えることができる。
これにより、図5に示すごとく、回動中心軸部6を第2運転位置603にして、第1吸脱着器2Aを脱着器X2とするとともに第2吸脱着器2Bを吸着器X1として吸着式冷凍機1の運転を行うときには、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21内には温水Hが予め満たされ、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21内には冷却水Cが予め満たされた状態を形成しておくことができる。
【0042】
図6に示すごとく、回動中心軸部6は、第2運転位置603から第1運転位置601へ回動する前には、第2回収位置604に回動する。回動中心軸部6が第2回収位置604にあるときには、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aと一方側入口83Aとを接続するとともに一方側出口83Bと他方側入口84Aとを接続し、かつ、他方側出口84Bと冷却水出口81Bとを接続し、一方、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aと温水出口82Bとを接続する。そして、冷却水供給源41から供給される冷却水Cを、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する温水Hを第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ押し出す。
【0043】
回動中心軸部6が第2運転位置603にあって、第1吸脱着器2Aを脱着器X2とするとともに第2吸脱着器2Bを吸着器X1として吸着式冷凍機1の運転を行ったときには、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21には温水Hが残留する一方、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21には冷却水Cが残留する。そして、回動中心軸部6を、第2運転位置603から第1運転位置601へ回動させる前に、一旦、第2回収位置604にすることにより、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21内を、温水Hが残留する状態から、冷却水供給源41から供給される冷却水Cによって満たす状態に置き換え、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21内を、冷却水Cが残留する状態から、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21から供給される温水Hによって満たす状態に置き換えることができる。
これにより、図3に示すごとく、回動中心軸部6を第1運転位置601にして、第1吸脱着器2Aを吸着器X1とするとともに第2吸脱着器2Bを脱着器X2として吸着式冷凍機1の運転を行うときには、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21内には冷却水Cが予め満たされ、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21内には温水Hが予め満たされた状態を形成しておくことができる。
【0044】
図3に示すごとく、本例の軸受本体部7は、円筒形状を有しており、その軸方向Lの両側に蓋部72を取り付けてなる。回動中心軸部6は、その軸方向Lの両側に支持軸64を有しており、この各支持軸64を各蓋部72に設けた軸受部73に軸支してなる。
軸受本体部7に取り付けた一方の蓋部72には、駆動装置が連結してある。駆動装置は、電動、空気圧等によって動作するモータ、ロータリアクチュエータ、シリンダによって構成されている。駆動装置の出力軸部は、回動中心軸部6における一方の支持軸64に連結してある。
【0045】
また、本例の流体用切替装置5において、冷却水入口81Aと、冷却水出口81Bと、温水入口82Aと、温水出口82Bと、他方側入口84Aと、他方側出口84Bとは、中空摺動穴71の軸方向Lに並ぶ位置に形成してある。また、一方側入口83A及び一方側出口83Bは、他方側入口84A及び他方側出口84Bに対して、中空摺動穴71の周方向Sにおける反対側の位置に形成してある。回動中心軸部6における冷却水流路61A〜61E及び温水流路62A〜62Cは、軸方向L及び周方向Sの各位置に複数に分散して形成してある。
【0046】
本例の回動中心軸部6は、軸方向Lの中心部付近において、一方側入口83A及び一方側出口83Bと、他方側入口84A及び他方側出口84Bとを、互いに180°異なる位置に形成してなる。一方側入口83A及び他方側入口84Aは、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側部分に形成してあり、一方側出口83B及び他方側出口84Bは、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側部分に形成してある。他方側入口84Aに対する軸方向Lの一端側の位置には、軸方向Lの中心に近い位置から順に、温水入口82A、冷却水入口81Aが形成してある。他方側出口84Bに対する軸方向Lの他端側の位置には、軸方向Lの中心に近い位置から順に、温水出口82B、冷却水出口81Bが形成してある。
【0047】
図3〜図6は、回動中心軸部6が各位置601〜604に回動したときの流体用切替装置5の断面を示す。図3は、回動中心軸部6が第1運転位置601にあるとき、図4は、回動中心軸部6が第1回収位置602にあるとき、図5は、回動中心軸部6が第2運転位置603にあるとき、図6は、回動中心軸部6が第2回収位置604にあるときをそれぞれ示す。各図において、軸受本体部7の下側には、左側から順に、一方側入口83A、一方側出口83Bが形成してあり、軸受本体部7の上側には、左側から順に、冷却水入口81A、温水入口82A、他方側入口84A、他方側出口84B、温水出口82B、冷却水出口81Bが形成してある。
【0048】
図7〜図12は、回動中心軸部6及び軸受本体部7を軸方向Lの各位置における断面によって示す。図7は、冷却水入口81Aの軸方向Lの形成位置(図3におけるA矢視線断面)について、図8は、温水入口82Aの軸方向Lの形成位置(図3におけるB矢視線断面)について、図9は、一方側入口83A及び他方側入口84Aの軸方向Lの形成位置(図3におけるC矢視線断面)について、図10は、一方側出口83B及び他方側出口84Bの軸方向Lの形成位置(図3におけるD矢視線断面)について、図11は、温水出口82Bの軸方向Lの形成位置(図3におけるE矢視線断面)について、図12は、冷却水出口81Bの軸方向Lの形成位置(図3におけるF矢視線断面)についてそれぞれ示す。各図は、回動中心軸部6が第1運転位置601にある状態で示す。
以下の説明においては、上側位置を第1位置P1、左側位置を第2位置P2、下側位置を第3位置P3、右側位置を第4位置P4として、回動中心軸部6における冷却水流路61A〜61E及び温水流路62A〜62Cの形成状態を説明する。
【0049】
図3〜図6に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側においては、第1冷却水流路61A及び第2冷却水流路61Bと、第1温水流路62Aとが形成されている。また、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分においては、第3冷却水流路61Cが形成されている。また、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側から軸方向Lの他端側においては、第2温水流路62Bが形成されている。また、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側においては、第4冷却水流路61D及び第5冷却水流路61Eと、第3温水流路62Cとが形成されている。
【0050】
第1冷却水流路61Aは、図3に示すごとく、第1運転位置601においては、冷却水入口81Aから、第1位置P1、第4位置P4及び第3位置P3を経由して周方向Sの表面を通過し(図7参照)、第3位置P3において軸方向Lに通過した後(図8参照)、第3位置P3において一方側入口83Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。また、第1冷却水流路61Aは、図5に示すごとく、第2運転位置603においては、冷却水入口81Aから、第3位置P3において軸方向Lに通過した後(図7、図8参照)、第3位置P3において他方側入口84Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。
【0051】
さらに、第1冷却水流路61Aは、図6に示すごとく、第2回収位置604においては、第4位置P4、第1位置P1及び第2位置P2を経由して周方向Sの表面を通過し(図7参照)、第2位置P2において軸方向Lに通過した後(図8参照)、第2位置P2において一方側入口83Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。
また、第2冷却水流路61Bは、図4に示すごとく、第1回収位置602においては、冷却水入口81Aから、第2位置P2において軸方向Lに通過した後(図7、図8参照)、第2位置P2において他方側入口84Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。
【0052】
また、第3冷却水流路61Cは、図4に示すごとく、第1回収位置602においては、他方側出口84Bから、第2位置P2及び第4位置P4を経由して軸方向Lに斜めに通過した後、一方側入口83Aに繋がるよう形成されている(図9、図10参照)。また、第3冷却水流路61Cは、図6に示すごとく、第2回収位置604においては、一方側出口83Bから、第4位置P4及び第2位置P2を経由して軸方向Lに斜めに通過した後、他方側入口84Aに繋がるよう形成されている(図10、図9参照)。
【0053】
第4冷却水流路61Dは、図3に示すごとく、第1運転位置601においては、一方側出口83Bから、第3位置P3を軸方向Lに通過し(図10、図11参照)、第3位置P3、第2位置P2及び第1位置P1を経由して周方向Sの表面を通過した後(図12参照)、第1位置P1において冷却水出口81Bに繋がるよう形成されている(図12参照)。また、第4冷却水流路61Dは、図5に示すごとく、第2運転位置603においては、他方側出口84Bから、第3位置P3において軸方向Lに通過した後(図10、図11参照)、第3位置P3において冷却水出口81Bに繋がるよう形成されている(図12参照)。
【0054】
また、第5冷却水流路61Eは、図4に示すごとく、第1回収位置602においては、一方側出口83Bから、第4位置P4において軸方向Lに通過し(図10、図11参照)、第4位置P4、第1位置P1及び第2位置P2を経由して周方向Sの表面を通過した後(図12参照)、第2位置P2において冷却水出口81Bに繋がるよう形成されている(図12参照)。また、第5冷却水流路61Eは、図6に示すごとく、第2回収位置604においては、他方側出口84Bから、第4位置P4において軸方向Lに通過した後(図10、図11参照)、第4位置P4において冷却水出口81Bに繋がるよう形成されている(図12参照)。
【0055】
第1温水流路62Aは、図3に示すごとく、第1運転位置601においては、温水入口82Aから、第1位置P1において軸方向Lに通過した後(図8参照)、第1位置P1において他方側入口84Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。また、第1温水流路62Aは、図5に示すごとく、第2運転位置603においては、温水入口82Aから、第3位置P3及び第1位置P1を経由して軸方向Lに斜めに通過し(図8、図7参照)、第1位置P1において軸方向Lに通過した後(図7、図8参照)、第1位置P1において一方側入口83Aに繋がるよう形成されている(図9参照)。
【0056】
第2温水流路62Bは、図4に示すごとく、第1回収位置602においては、温水入口82Aから、第2位置P2を経由し、第2位置P2と第3位置P3との間において軸方向Lに通過した後(図8〜図10参照)、第2位置P2において温水出口82Bに繋がるよう形成されている(図11参照)。また、第2温水流路62Bは、図6に示すごとく、第2回収位置604においては、温水入口82Aから、第4位置P4を経由して第2位置P2と第3位置P3との間において軸方向Lに通過し(図8〜図10参照)、第3位置P3、第4位置P4及び第1位置P1を経由して周方向Sの表面を通過した後、第1位置P1において温水出口82Bに繋がるよう形成されている(図11参照)。
このように、本例の流体用切替装置5においては、回動中心軸部6に第1〜第5冷却水流路61A〜61Eと第1〜第3温水流路62A〜62Cとを形成した構造によって、回動中心軸部6の第1、第2運転位置601,603及び第1、第2回収位置602,604を形成することができる。
【0057】
本例の流体用切替装置5は、次のようにして動作させることができる。
図1に示すごとく、第1吸脱着器2Aを吸着器X1として機能させ、第2吸脱着器2Bを脱着器X2として機能させるときには、図3に示すごとく、回動中心軸部6を第1運転位置601にする。このとき、回動中心軸部6の第1冷却水流路61Aによって、冷却水入口81Aと一方側入口83Aとが接続されるとともに、第4冷却水流路61Dによって、一方側出口83Bと冷却水出口81Bとが接続され、冷却水供給源41から第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ冷却水Cを供給することができる。また、このとき、回動中心軸部6の第1温水流路62Aによって、温水入口82Aと他方側入口84Aとが接続されるとともに、第2温水流路62Bによって、他方側出口84Bと温水出口82Bとが接続され、温水供給源43から第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ温水Hを供給することができる。
【0058】
また、第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21に残留した温水Hを第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21に回収して利用するときには、図4に示すごとく、回動中心軸部6を第1回収位置602にする。このとき、回動中心軸部6の第2冷却水流路61Bによって、冷却水入口81Aと他方側入口84Aとが接続されるとともに、第3冷却水流路61Cによって、他方側出口84Bと一方側入口83Aとが接続され、かつ第5冷却水流路61Eによって、一方側出口83Bと冷却水出口81Bとが接続される。そして、冷却水供給源41から第2冷却水流路61Bを経由して第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ冷却水Cを供給することにより、この伝熱管21に残留した温水Hを第3冷却水流路61Cを経由して第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ押し出すことができる。
【0059】
また、図2に示すごとく、第1吸脱着器2Aを脱着器X2として機能させ、第2吸脱着器2Bを吸着器X1として機能させるときには、図5に示すごとく、回動中心軸部6を第2運転位置603にする。このとき、回動中心軸部6の第1冷却水流路61Aによって、冷却水入口81Aと他方側入口84Aとが接続されるとともに、第4冷却水流路61Dによって、他方側出口84Bと冷却水出口81Bとが接続され、冷却水供給源41から第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ冷却水Cを供給することができる。また、このとき、回動中心軸部6の第1温水流路62Aによって、温水入口82Aと一方側入口83Aとが接続されるとともに、第3温水流路62Cによって、一方側出口83Bと温水出口82Bとが接続され、温水供給源43から第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ温水Hを供給することができる。
【0060】
また、第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21に残留した温水Hを第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21に回収して利用するときには、図6に示すごとく、回動中心軸部6を第2回収位置604にする。このとき、回動中心軸部6の第2冷却水流路61Bによって、冷却水入口81Aと一方側入口83Aとが接続されるとともに、第3冷却水流路61Cによって、一方側出口83Bと他方側入口84Aとが接続され、かつ第5冷却水流路61Eによって、他方側出口84Bと冷却水出口81Bとが接続される。そして、冷却水供給源41から第2冷却水流路61Bを経由して第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ冷却水Cを供給することにより、この伝熱管21に残留した温水Hを第3冷却水流路61Cを経由して第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ押し出すことができる。
【0061】
なお、回動中心軸部6を第1運転位置601及び第2運転位置603に維持する時間は、回動中心軸部6を第1回収位置602及び第2回収位置604に維持する時間よりも長くなる。回動中心軸部6を第1運転位置601及び第2運転位置603に維持する時間は、固体吸着剤211への冷媒蒸気Aの吸着を開始してから、固体吸着剤211に吸着される冷媒蒸気Aが飽和状態に近くなるまでの時間(例えば数分)として設定することができる。一方、回動中心軸部6を第1回収位置602及び第2回収位置604に維持する時間は、吸着器X1における伝熱管21中に残留した冷却水Cを脱着器X2における伝熱管21へ押し出すのに要する時間(例えば数秒)、及び脱着器X2における伝熱管21中に残留した温水Hを吸着器X1における伝熱管21へ押し出すのに要する時間(例えば数秒)として設定することができる。
【0062】
本例の流体用切替装置5は、回動中心軸部6を軸受本体部7に対して回動させることにより、吸着式冷凍機1における2つの吸脱着器2A,2Bを、吸着器X1と脱着器X2とに同時に切り替えることができるものである。つまり、この流体用切替装置5によれば、1台の切替装置によって、2つの吸脱着器2A,2Bを吸着器X1と脱着器X2とに同時に切り替えることができる。また、回動中心軸部6の回動によって、2つの吸脱着器2A,2Bについて、吸着器X1と脱着器X2とに順次切り替えることができる。
そして、1つの駆動装置によって回動中心軸部6を回動させることができ、極めて少ないアクチュエータによって上記切替を行うことができる。また、回動中心軸部6に第1〜第5冷却水流路61A〜61E及び第1〜第3温水流路62A〜62Cを形成していることによって、上記切替を行うための配管類も極めて少なくすることができる。従って、本例の流体用切替装置5を用いることによって、吸着式冷凍機1を小型化することができる。
【0063】
それ故、本例の流体用切替装置5によれば、1台の切替装置によって、2つの吸脱着器2A,2Bを吸着器X1と脱着器X2とに同時に切り替えることができるとともに、アクチュエータ及び配管類の使用数を低減させることができ、かつエネルギー効率(COP)を向上させることができる。
【0064】
図示は省略するが、流体用切替装置5においては、次の構成を採用して、冷却水入口81A及び冷却水出口81Bと温水入口82A及び温水出口82Bとを入れ替え、冷却水流路61A〜61Eを温水流路62A〜62Cとし、温水流路62A〜62Cを冷却水流路61A〜61Eとして運転を行うことができる。
そして、第1回収位置602においては、温水供給源43から供給される温水Hを、吸着器X1として機能させた第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する冷却水Cを第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ押し出し、第2回収位置604においては、温水供給源43から供給される温水Hを、吸着器X1として機能させた第1吸脱着器2Aにおける伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する冷却水Cを第2吸脱着器2Bにおける伝熱管21へ押し出すことができる。
【0065】
また、流体用切替装置5において、一方側入口83A及び一方側出口83Bと他方側入口84A及び他方側出口84Bとは、2つ1組の吸脱着器2A,2Bに対応して、中空摺動穴71の周方向S又は軸方向Lの複数箇所に形成することができる。そして、回動中心軸部6を第1運転位置601に回動したときと第2運転位置603に回動したときには、複数組の吸脱着器2A,2Bにおける伝熱管21へ、冷却水Cの供給と温水Hの供給とを同時に行うことができる。
【0066】
(実施例2)
本例の流体用切替装置5は、図13〜図16に示すごとく、吸着式冷凍機1を構成する複数の吸脱着器2において、吸着動作、脱着動作及び回収動作を同時に行う、回動中心軸部6の回動位置を、複数(本例では8つ。)の吸脱着器2と同じ数だけ形成することができるものである。そして、回動中心軸部6を、所定角度ごと回動させて各回動位置にすることにより、各吸脱着器2において、吸着動作、脱着動作及び回収動作を順次繰り返し行うことができる。
【0067】
図13、図14に示すごとく、本例の流体用切替装置5の回動中心軸部6には、冷却水Cを流す冷却水流路61A〜61Eと、温水Hを流す温水流路62A〜62Cと、回収水Rとしての冷却水C又は温水Hを流す回収水流路63F〜63Hとが形成してある。
本例の軸受本体部7には、冷却水入口81Aと、冷却水出口81Bと、温水入口82Aと、温水出口82Bと、回収水入口85Aと、回収水出口85Bと、複数の吸脱着器2における伝熱管21の各入口にそれぞれ繋がる複数の供給入口86Aと、複数の吸脱着器2における伝熱管21の各出口にそれぞれ繋がる複数の供給出口86Bとが、中空摺動穴71に対する外側から中空摺動穴71の内周面に開口して形成してある。
供給入口86Aと供給出口86Bとは、中空摺動穴71の軸方向Lに並んで形成してあるとともに、各吸脱着器2ごとに供給入口86Aと供給出口86Bとの組として、中空摺動穴71の周方向Sの複数箇所(本例では8箇所。)に形成してある。
【0068】
図15、図16に示すごとく、本例の回動中心軸部6には、吸着動作、脱着動作及び回収動作を同時に行う回動位置が、複数の吸脱着器2と同じ数(本例では8つ。)だけ形成してある。
本例においては、互いに隣接する3つの吸脱着器2を吸着器X1として機能させるとともに、互いに隣接する3つの吸脱着器2を脱着器X2として機能させ、吸着器X1として機能させる吸脱着器2と脱着器X2として機能させる吸脱着器2との間に位置する2つの吸脱着器2を回収器X3として機能させる。
本例の流体用切替装置5においては、1つの駆動装置を駆動することにより、回動中心軸部6を所定時間間隔で45°ずつ回動させ、吸着器X1及び脱着器X2を2つの回収器X3に、2つの回収器X3を吸着器X1及び脱着器X2に、2つずつ切り替えていく。
【0069】
図13、図15に示すごとく、流体用切替装置5の吸着動作においては、冷却水流路61A〜61Eによって、冷却水入口81Aから、3つの供給入口86A及び3つの供給出口86Bを経由して、冷却水出口81Bまで連通し、8つの吸脱着器2のうち吸着器X1として機能させる3つの第1吸脱着器2における伝熱管21へ、冷却水供給源41から冷却水Cを供給する。
流体用切替装置5の脱着動作においては、温水流路62A〜62Cによって、温水入口82Aから、3つの供給入口86A及び3つの供給出口86Bを経由して、温水出口82Bまで連通し、8つの吸脱着器2のうち脱着器X2として機能させる3つの第2吸脱着器2における伝熱管21へ、温水供給源43から温水Hを供給する。
【0070】
図14、図15に示すごとく、流体用切替装置5の回収動作においては、回収水流路63F〜63Hによって、回収水入口85Aから、3つの供給入口86A及び3つの供給出口86Bを経由して、回収水出口85Bまで連通し、回収水供給源46から供給される冷却水Cを、8つの吸脱着器2のうち回収器X3として機能させる第3吸脱着器2における伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する温水Hを、他のいずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ押し出す。
【0071】
図13は、流体用切替装置5を、回動中心軸部6の冷却水流路61A〜61Eにおける入口側と、温水流路62A〜62Cにおける入口側との形成位置の断面によって示す。図14は、流体用切替装置5を、回動中心軸部6の回収水流路63F〜63Hの形成位置の断面によって示す。
図15は、軸受本体部7における各供給入口86Aの軸方向Lの形成位置の断面(図14におけるG矢視線断面)を下側に、軸受本体部7における各供給出口86Bの軸方向Lの形成位置の断面(図14におけるH矢視線断面)を上側に記載して、各吸脱着器2の接続状態を示す。図16は、図15の状態から回動中心軸部6が45°回動したときの状態を示す。
【0072】
図15、図16においては、各吸脱着器2について、第1〜第8の吸脱着器を符号2A〜2Hによって示す。また、同図においては、各供給入口86A及び各供給出口86Bの周方向Sの形成位置を、符号1〜8によって示す。また、冷却水Cの入口部を符号C1によって示し、冷却水Cの出口部を符号C2によって示し、温水Hの入口部を符号H1によって示し、温水Hの出口部を符号H2によって示し、回収水Rの入口部を符号R1によって示し、回収水Rの出口部を符号R2によって示す。
【0073】
図14に示すごとく、本例の流体用切替装置5の軸受本体部7においては、軸方向Lの一端側に、冷却水入口81A、回収水入口85A、温水入口82Aが中空摺動穴71の軸方向Lに並んで形成してあり、軸方向Lの他端側に、冷却水出口81B、回収水出口85B、温水出口82Bが中空摺動穴71の軸方向Lに並んで形成してある。
また、図15に示すごとく、供給入口86A及び供給出口86Bは、軸受本体部7の軸方向Lに並ぶとともに、複数組(本例では8組)が軸受本体部7の周方向Sに並んで形成してある。複数組の供給入口86A及び供給出口86Bは、第1〜第8の供給入口86A及び第1〜第8の供給出口86Bとして、周方向Sに等間隔に並んで形成してある。
第1〜第8の供給入口86Aには、それぞれ吸脱着器2における伝熱管21の入口が接続してあり、第1〜第8の供給出口86Bには、それぞれ吸脱着器2における伝熱管21の出口が接続してある。
【0074】
本例の冷却水流路61F〜61Iは、図13に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側において、冷却水入口81Aから第2の供給入口86Aまで軸方向Lと径方向とに形成した第1冷却水流路部61Fと、図15に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第2の供給出口86Bから第3の供給入口86Aまで周方向Sの表面に周方向Sに沿って形成した第2冷却水流路部61Gと、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第3の供給出口86Bから第4の供給入口86Aまで周方向Sの表面に周方向Sに沿って形成した第3冷却水流路部61Hと、図13に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側において、第4の供給出口86Bから冷却水出口81Bまで軸方向Lと周方向Sの表面とに形成した第4冷却水流路部61Iとによって構成してある。
【0075】
本例の温水流路62F〜62Iは、図13に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側において、温水入口82Aから第6の供給入口86Aまで軸方向Lと径方向とに形成した第1温水流路部62Fと、図15に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第6の供給出口86Bから第7の供給入口86Aまで周方向Sの表面に周方向Sに沿って形成した第2温水流路部62Gと、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第7の供給出口86Bから第8の供給入口86Aまで周方向Sの表面に周方向Sに沿って形成した第3温水流路部62Hと、図13に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側において、第8の供給出口86Bから温水出口82Bまで軸方向Lと周方向Sの表面とに形成した第4温水流路部62Iとによって構成してある。
【0076】
本例の回収水流路63F〜63Hは、図14に示すごとく、回動中心軸部6の軸方向Lの一端側において、回収水入口85Aから第1の供給入口86Aまで軸方向Lと径方向とに形成した第1回収水流路部63Fと、回動中心軸部6の軸方向Lの中心部分において、第1の供給出口86Bから第5の供給入口86Aまで軸方向Lに斜めに形成した第2回収水流路部63Gと、回動中心軸部6の軸方向Lの他端側において、第5の供給出口86Bから回収水出口85Bまで軸方向Lと周方向Sの表面とに形成した第3回収水流路部63Hとによって構成してある。
【0077】
本例の流体用切替装置5によっても、1台の切替装置によって、吸着動作、脱着動作及び回収動作の切替を同時に行うことができる。そして、1つの駆動装置によって回動中心軸部6を回動させることができ、極めて少ないアクチュエータによって上記切替を行うことができる。また、回動中心軸部6に冷却水流路61F〜61I、温水流路62F〜62I及び回収水流路63F〜63Hを形成していることによって、上記切替を行うための配管類も極めて少なくすることができる。従って、本例の流体用切替装置5を用いることによって、吸着式冷凍機1を小型化することができる。
【0078】
さらに、本例においては、回収動作として、回収水供給源46から供給される冷却水Cを、いずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する温水Hを、他のいずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ押し出す。そして、回動中心軸部6が次の回動位置に回動したときに、吸着器X1として機能する吸脱着器2における伝熱管21内を予め冷却水Cによって満たすとともに、脱着器X2として機能する吸脱着器2における伝熱管21内を予め温水Hによって満たしておくことができる。
【0079】
これにより、各吸脱着器2が、吸着器X1から脱着器X2に、あるいは脱着器X2から吸着器X1に切り替わるときに、各吸脱着器2の伝熱管21内において、冷却水Cが温水Hと混ざり合うこと、あるいは温水Hがそのままの温度を維持して冷却水Cと混ざり合うことを極力避けることができる。そのため、冷却水Cの温度変動及び温水Hの不必要な流出を極力抑えることができ、吸着式冷凍機1の冷凍性能、COP(エネルギー効率)を高く維持することができる。
【0080】
本例の流体用切替装置5においては、冷凍性能、エネルギー効率をさらに上昇させるために、吸着器X1及び脱着器X2を複数段(本例ではそれぞれ3段)に形成した。
吸着器X1と脱着器X2との切替が行われた時には、吸着器X1として機能する吸脱着器2における伝熱管21の入口へ入った冷却水Cは、伝熱管21の入口近傍の外周に設けた固体吸着剤211を冷却し始める。そして、この吸着器X1内の圧力が低下して、この吸着器X1内の圧力が蒸発器31内の圧力と同じになったときから、蒸発器31から吸着器X1へ冷媒蒸気Aが流れ込んで、この冷媒蒸気Aが固体吸着剤211に吸着され始める。
【0081】
このとき、この吸着器X1における伝熱管21の出口近傍の外周に設けた固体吸着剤211は、まだ冷却されていないため、冷媒蒸気Aを脱着する。そして、この脱着された冷媒蒸気Aが、同じ吸着器X1における伝熱管21の入口近傍の外周に設けた固体吸着剤211に吸着されてしまう。このことは、蒸発器31から吸着器X1へ流れ込む冷媒蒸気Aの吸着効率を低下させてしまう要因になる。
【0082】
これに対し、全体として同じ容量の吸着式冷凍機1を形成するときでも、本例のように吸着器X1及び脱着器X2を複数段に形成することにより、吸脱着器2の一区画の容量が小さくなる。これにより、吸脱着器2における伝熱管21の入口近傍と出口近傍との温度差が小さくなり、蒸発器31から吸着器X1へ流れ込む冷媒蒸気Aの吸着効率を向上させることができる。
このように、複数段の吸着器X1を用い、回動中心軸部6を回動させる時間間隔(サイクルタイム)を短縮することにより、蒸発器31内の蒸発管311に、さらに多くの冷水Wを作り出すことができる。
【0083】
また、回動中心軸部6を回動させる時間間隔は、回収動作を行う時間に合わせて設定することができる。また、この時間間隔は、回収水供給源46から流体用切替装置5へ回収水Rを送り出すポンプによる流体送り量を少なくする、又はこのポンプの動作を一旦停止させることによって、吸着器X1における固体吸着剤211に冷媒蒸気Aの吸着が行われる適切な時間間隔に設定することもできる。
【0084】
なお、回収水Rは、冷却水Cとする以外にも温水Hとすることができる。そして、回収動作として、回収水供給源46から供給される温水Hを、いずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ供給することによって、この伝熱管21に残留する冷却水Cを、他のいずれかの第3吸脱着器2における伝熱管21へ押し出すこともできる。
本例においても、吸着式冷凍機1及び流体用切替装置5のその他の構成は、上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 吸着式冷凍機
2A,2B 吸脱着器
21 伝熱管
211 固体吸着剤
31 蒸発器
311 蒸発管
32 凝縮器
321 凝縮管
41 冷却水供給源(冷却塔)
43 温水供給源(温水タンク)
5 流体用切替装置
6 回動中心軸部
601 第1運転位置
602 第1回収位置
603 第2運転位置
604 第2回収位置
61A〜61I 冷却水流路
62A〜62I 温水流路
63F〜63H 回収水流路
7 軸受本体部
71 中空摺動穴
81A 冷却水入口
81B 冷却水出口
82A 温水入口
82B 温水出口
83A 一方側入口
83B 一方側出口
84A 他方側入口
84B 他方側出口
85A 回収水入口
85B 回収水出口
86A 供給入口
86B 供給出口
A 冷媒
C 冷却水
H 温水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる複数の吸脱着器と、該複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備えた吸着式冷凍機に用い、上記伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる上記吸脱着器とを逐次切り替える流体用切替装置であって、
駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部と、
該回動中心軸部を回動可能に配置する中空摺動穴を形成した軸受本体部と、を備えており、
上記回動中心軸部には、冷却水を流す冷却水流路と、温水を流す温水流路とが形成してあり、
上記軸受本体部には、冷却水入口と、冷却水出口と、温水入口と、温水出口と、上記複数の吸脱着器のうちのいずれかである第1吸脱着器における上記伝熱管の入口に繋がる一方側入口と、上記第1吸脱着器における上記伝熱管の出口に繋がる一方側出口と、上記複数の吸脱着器のうちの他のいずれかである第2吸脱着器における上記伝熱管の入口に繋がる他方側入口と、上記第2吸脱着器における上記伝熱管の出口に繋がる他方側出口とが、上記中空摺動穴に対する外側から該中空摺動穴の内周面に開口して形成してあり、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記冷却水出口とを接続して、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ冷却水供給源から冷却水を供給し、かつ、上記温水流路によって、上記温水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記温水出口とを接続して、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ温水供給源から温水を供給する第1運転位置と、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記冷却水出口とを接続して、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ上記冷却水供給源から冷却水を供給し、かつ、上記温水流路によって、上記温水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記温水出口とを接続して、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ上記温水供給源から温水を供給する第2運転位置とに、上記回動中心軸部を回動させるよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体用切替装置において、上記回動中心軸部は、上記第1運転位置から上記第2運転位置へ回動する前には、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記一方側入口とを接続し、かつ、上記一方側出口と上記冷却水出口とを接続し、一方、上記温水流路によって、上記温水入口と上記温水出口とを接続して、上記冷却水供給源から供給される冷却水を、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水を上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第1回収位置に回動し、
上記回動中心軸部は、上記第2運転位置から上記第1運転位置へ回動する前には、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記他方側入口とを接続し、かつ、上記他方側出口と上記冷却水出口とを接続し、一方、上記温水流路によって、上記温水入口と上記温水出口とを接続して、上記冷却水供給源から供給される冷却水を、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水を上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第2回収位置に回動するよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体用切替装置において、上記回動中心軸部は、上記第1運転位置から上記第2運転位置へ回動する前には、上記温水流路によって、上記温水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記他方側入口とを接続し、かつ、上記他方側出口と上記温水出口とを接続し、一方、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記冷却水出口とを接続して、上記温水供給源から供給される温水を、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する冷却水を上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第1回収位置に回動し、
上記回動中心軸部は、上記第2運転位置から上記第1運転位置へ回動する前には、上記温水流路によって、上記温水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記一方側入口とを接続し、かつ、上記一方側出口と上記温水出口とを接続し、一方、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記冷却水出口とを接続して、上記温水供給源から供給される温水を、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する冷却水を上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第2回収位置に回動するよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体用切替装置において、上記冷却水入口と、上記冷却水出口と、上記温水入口と、上記温水出口と、上記一方側入口と、上記一方側出口とは、上記中空摺動穴の軸方向に異なる位置に形成してあり、
上記他方側入口及び上記他方側出口は、上記一方側入口及び上記一方側出口に対して、上記中空摺動穴の周方向における反対側の位置に形成してあり、
上記回動中心軸部における上記冷却水流路及び上記温水流路は、上記軸方向及び上記周方向の各位置に複数に分散して形成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体用切替装置において、上記一方側入口及び上記一方側出口と上記他方側入口及び上記他方側出口とは、2つ1組で複数組の上記吸脱着器に対応して、上記中空摺動穴の周方向又は軸方向の複数箇所に形成してあり、
上記回動中心軸部を上記第1運転位置に回動したときと上記第2運転位置に回動したときには、上記複数組の吸脱着器における上記伝熱管へ、上記冷却水の供給と上記温水の供給とを同時に行うよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項6】
固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる複数の吸脱着器と、該複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備えた吸着式冷凍機に用い、上記伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる上記吸脱着器とを、逐次切り替える流体用切替装置であって、
駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部と、
該回動中心軸部を回動可能に配置する中空摺動穴を形成した軸受本体部と、を備えており、
上記回動中心軸部には、冷却水を流す冷却水流路と、温水を流す温水流路と、回収水としての冷却水又は温水を流す回収水流路とが形成してあり、
上記軸受本体部には、冷却水入口と、冷却水出口と、温水入口と、温水出口と、回収水入口と、回収水出口と、上記複数の吸脱着器における上記伝熱管の各入口にそれぞれ繋がる複数の供給入口と、上記複数の吸脱着器における上記伝熱管の各出口にそれぞれ繋がる複数の供給出口とが、上記中空摺動穴に対する外側から該中空摺動穴の内周面に開口して形成してあり、
上記供給入口と上記供給出口とは、上記中空摺動穴の軸方向に並んで形成してあるとともに、上記各吸脱着器ごとに上記供給入口と上記供給出口との組として、上記中空摺動穴の周方向の複数箇所に形成してあり、
上記回動中心軸部の回動位置は、上記複数の吸脱着器の数と同じ数だけ形成してあり、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口から、1つ又は複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記冷却水出口まで連通し、上記複数の吸脱着器のうち上記吸着器として機能させる1つ又は複数の第1吸脱着器における上記伝熱管へ、冷却水供給源から冷却水を供給する吸着動作と、
上記温水流路によって、上記温水入口から、1つ又は複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記温水出口まで連通し、上記複数の吸脱着器のうち上記脱着器として機能させる1つ又は複数の第2吸脱着器における上記伝熱管へ、温水供給源から温水を供給する脱着動作と、
上記回収水流路によって、上記回収水入口から、複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記回収水出口まで連通し、回収水供給源から供給される冷却水(又は温水)を、上記複数の吸脱着器のうち回収器として機能させる第3吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水(又は冷却水)を、他のいずれかの上記第3吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す回収動作とを、上記回動中心軸部の各回動位置において同時に行うよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項1】
固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる複数の吸脱着器と、該複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備えた吸着式冷凍機に用い、上記伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる上記吸脱着器とを逐次切り替える流体用切替装置であって、
駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部と、
該回動中心軸部を回動可能に配置する中空摺動穴を形成した軸受本体部と、を備えており、
上記回動中心軸部には、冷却水を流す冷却水流路と、温水を流す温水流路とが形成してあり、
上記軸受本体部には、冷却水入口と、冷却水出口と、温水入口と、温水出口と、上記複数の吸脱着器のうちのいずれかである第1吸脱着器における上記伝熱管の入口に繋がる一方側入口と、上記第1吸脱着器における上記伝熱管の出口に繋がる一方側出口と、上記複数の吸脱着器のうちの他のいずれかである第2吸脱着器における上記伝熱管の入口に繋がる他方側入口と、上記第2吸脱着器における上記伝熱管の出口に繋がる他方側出口とが、上記中空摺動穴に対する外側から該中空摺動穴の内周面に開口して形成してあり、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記冷却水出口とを接続して、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ冷却水供給源から冷却水を供給し、かつ、上記温水流路によって、上記温水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記温水出口とを接続して、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ温水供給源から温水を供給する第1運転位置と、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記冷却水出口とを接続して、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ上記冷却水供給源から冷却水を供給し、かつ、上記温水流路によって、上記温水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記温水出口とを接続して、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ上記温水供給源から温水を供給する第2運転位置とに、上記回動中心軸部を回動させるよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体用切替装置において、上記回動中心軸部は、上記第1運転位置から上記第2運転位置へ回動する前には、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記一方側入口とを接続し、かつ、上記一方側出口と上記冷却水出口とを接続し、一方、上記温水流路によって、上記温水入口と上記温水出口とを接続して、上記冷却水供給源から供給される冷却水を、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水を上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第1回収位置に回動し、
上記回動中心軸部は、上記第2運転位置から上記第1運転位置へ回動する前には、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記他方側入口とを接続し、かつ、上記他方側出口と上記冷却水出口とを接続し、一方、上記温水流路によって、上記温水入口と上記温水出口とを接続して、上記冷却水供給源から供給される冷却水を、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水を上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第2回収位置に回動するよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体用切替装置において、上記回動中心軸部は、上記第1運転位置から上記第2運転位置へ回動する前には、上記温水流路によって、上記温水入口と上記一方側入口とを接続するとともに上記一方側出口と上記他方側入口とを接続し、かつ、上記他方側出口と上記温水出口とを接続し、一方、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記冷却水出口とを接続して、上記温水供給源から供給される温水を、上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する冷却水を上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第1回収位置に回動し、
上記回動中心軸部は、上記第2運転位置から上記第1運転位置へ回動する前には、上記温水流路によって、上記温水入口と上記他方側入口とを接続するとともに上記他方側出口と上記一方側入口とを接続し、かつ、上記一方側出口と上記温水出口とを接続し、一方、上記冷却水流路によって、上記冷却水入口と上記冷却水出口とを接続して、上記温水供給源から供給される温水を、上記第1吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する冷却水を上記第2吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す第2回収位置に回動するよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体用切替装置において、上記冷却水入口と、上記冷却水出口と、上記温水入口と、上記温水出口と、上記一方側入口と、上記一方側出口とは、上記中空摺動穴の軸方向に異なる位置に形成してあり、
上記他方側入口及び上記他方側出口は、上記一方側入口及び上記一方側出口に対して、上記中空摺動穴の周方向における反対側の位置に形成してあり、
上記回動中心軸部における上記冷却水流路及び上記温水流路は、上記軸方向及び上記周方向の各位置に複数に分散して形成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体用切替装置において、上記一方側入口及び上記一方側出口と上記他方側入口及び上記他方側出口とは、2つ1組で複数組の上記吸脱着器に対応して、上記中空摺動穴の周方向又は軸方向の複数箇所に形成してあり、
上記回動中心軸部を上記第1運転位置に回動したときと上記第2運転位置に回動したときには、上記複数組の吸脱着器における上記伝熱管へ、上記冷却水の供給と上記温水の供給とを同時に行うよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【請求項6】
固体吸着剤を表面に配置した伝熱管を挿通させてなる複数の吸脱着器と、該複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な蒸発器と、上記複数の吸脱着器に対して個別に連通可能な凝縮器と、を備えた吸着式冷凍機に用い、上記伝熱管に冷却水を流して吸着器として機能させる上記吸脱着器と、上記伝熱管に温水を流して脱着器として機能させる上記吸脱着器とを、逐次切り替える流体用切替装置であって、
駆動装置によって所定角度ごと回動する回動中心軸部と、
該回動中心軸部を回動可能に配置する中空摺動穴を形成した軸受本体部と、を備えており、
上記回動中心軸部には、冷却水を流す冷却水流路と、温水を流す温水流路と、回収水としての冷却水又は温水を流す回収水流路とが形成してあり、
上記軸受本体部には、冷却水入口と、冷却水出口と、温水入口と、温水出口と、回収水入口と、回収水出口と、上記複数の吸脱着器における上記伝熱管の各入口にそれぞれ繋がる複数の供給入口と、上記複数の吸脱着器における上記伝熱管の各出口にそれぞれ繋がる複数の供給出口とが、上記中空摺動穴に対する外側から該中空摺動穴の内周面に開口して形成してあり、
上記供給入口と上記供給出口とは、上記中空摺動穴の軸方向に並んで形成してあるとともに、上記各吸脱着器ごとに上記供給入口と上記供給出口との組として、上記中空摺動穴の周方向の複数箇所に形成してあり、
上記回動中心軸部の回動位置は、上記複数の吸脱着器の数と同じ数だけ形成してあり、
上記冷却水流路によって、上記冷却水入口から、1つ又は複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記冷却水出口まで連通し、上記複数の吸脱着器のうち上記吸着器として機能させる1つ又は複数の第1吸脱着器における上記伝熱管へ、冷却水供給源から冷却水を供給する吸着動作と、
上記温水流路によって、上記温水入口から、1つ又は複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記温水出口まで連通し、上記複数の吸脱着器のうち上記脱着器として機能させる1つ又は複数の第2吸脱着器における上記伝熱管へ、温水供給源から温水を供給する脱着動作と、
上記回収水流路によって、上記回収水入口から、複数の上記供給入口及び上記供給出口を経由して、上記回収水出口まで連通し、回収水供給源から供給される冷却水(又は温水)を、上記複数の吸脱着器のうち回収器として機能させる第3吸脱着器における上記伝熱管へ供給することによって、該伝熱管に残留する温水(又は冷却水)を、他のいずれかの上記第3吸脱着器における上記伝熱管へ押し出す回収動作とを、上記回動中心軸部の各回動位置において同時に行うよう構成してあることを特徴とする流体用切替装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−237505(P2012−237505A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106778(P2011−106778)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(393007444)ユニオン産業株式会社 (6)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(393007444)ユニオン産業株式会社 (6)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
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