流体試料分析装置用カートリッジ
カートリッジは流体からなる試料を分析する装置で使用され、分析のための流体を受け取る試料受取りセルを有する。セルは、ハウジングの2つの部品(120、200、300、102、202、302)の一方上の表面と、前記表面から離隔された電気機械的変換器(92、240、340)を備えたセンサーとを備える。センサーは接着性薄膜(100、246、346)によってハウジングの部品の一方に取り付けられ、薄膜は、ハウジングの部品の相対的な僅かな移動または屈曲によっても力が薄膜を介してセンサーに掛からないように、ハウジングの前記部品の一方だけに取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体からなる試料を分析する装置用のカートリッジ、特にその分析を実行し、電気機械的変換器を備えるセンサーを有するカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、印加された電気信号を変換器が変更する装置、特に、例えば石英水晶マイクロバランスシステムであってその共振周波数である周波数またはそれに近い周波数で振動する圧電変換器を有するシステムなどの装置に適用可能である。
【0003】
変換器は典型的には、受容体グループが不動化される活性表面を有する。そのグループは、検出または分析される物質に対して化学的親和性または反応性を有する。分析される物質は通常、水晶の活性表面と接触される流体内に存在する。
【0004】
表面上の受容体グループと物質との間の物理的、化学的、および生物化学的な相互作用は表面に付いた質量に(また活性表面の他の物理的特性に)変化を引き起こし、これらが水晶の振動特徴、特に共振周波数に影響を及ぼす。これらの影響に対する分析を使用して、物質の質的データおよび/または量的データを得ることができる。
【0005】
知られている装置の一部のタイプでは、石英水晶センサーはフローセルの一部として形成されており、これが試料送出/除去システムに連結されている。試料送出/除去システムは、分析される試料をセルに通して移動させて試料が水晶と接触するようにする。装置は、駆動測定回路を含む。駆動測定回路は水晶に連結されており、水晶を振動させ、水晶の振動特徴の変化を検出および/または測定するように作動可能である。
【0006】
変換器の交換は頻繁に必要であり、特にバイオセンサーの分野で、流体試料内の異なったいくつかの物質が分析される場合、あるいは水晶を覆った受容体が2回以上使用されることが可能でない場合にそうである。
【0007】
その点に関連して、装置の中に容易に挿入されかつそこから取り外され得る単一のカートリッジ内に、水晶およびフローセルを設けて、電気回路および試料送出/除去システムを実現することが知られている。したがって、使い捨て式でありながら測定装置に容易にかつしっかりと取り付けることが可能な、製造容易なフローセルが極めて望ましい。
【0008】
米国特許第6196059号明細書は、水晶が固着された環状リブを有した射出成形構成要素から形成されたカートリッジを示している。リブは水晶を対向面から離隔させてフローセルを画定し、射出成形構成要素は、水晶から離隔された位置で接触子用の凹所も含む。接触子は電気ワイヤによって水晶に連結され、水晶と適切な駆動/測定回路との間の連結手段を提供する。
【0009】
このようなカートリッジの構造は比較的複雑であり、したがって比較的高コストである。これは、特にカートリッジが使い捨てユニットとして使用されるためである。さらに、水晶と下表面との間の最少間隔、したがってフローセルの容積は、フローセルの高さの下限をもたらすリブによって限定される。このことは、フローセルが迅速な不動化時間を達成することを防止する可能性があり、これに相応して装置の反応速度と、測定されることが可能な運動学的パラメータとを制限する。さらに、カートリッジには、変換器の端末と器具類との間の手動の電気接続作業が必要であり、このことは操作に際して不都合である。
【0010】
生体力学的相互作用の分析では、分析物流体の利用可能な体積は制限されていることが多く、したがってフローセルの容積も小さくなるべきである。分析物受容体の相互作用の運動学的特性に対する測定は、変換器の表面への分析物の拡散によって制限される可能性があることも知られている。この移送の制限を最小限に抑え、好ましくはそれを完全に克服するために、変換器の表面に対して垂直方向のフローセルの寸法は最小限にされるべきである。
【0011】
石英水晶振動子などの電子機械的圧電変換器を、取り付けられた変換器が残留応力を受けず、確実な流体密の封止を形成するように取り付けることは、このようなセルの重要な設計目標である。国際公開第2128372号パンフレットおよび国際公開第0247246号パンフレットは、応力のない取付けを達成するための様々な手段を提案しているが、これらの場合では、漏れ防止構造を作り出すために比較的複雑な多部品の設計が生まれており、さらに前記の米国特許第6196059号明細書のように、このことは、小容積のフローセルを得ることが困難な状況をもたらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6196059号明細書
【特許文献2】国際公開第2128372号パンフレット
【特許文献3】国際公開第0247246号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明によると、流体からなる試料を分析する装置用のカートリッジであって、少なくとも2つの部品と前記部品の1つに表面を備えた試料受取りセルとを有したハウジングと、前記表面から離隔された電気機械的変換器を備えたセンサーと、センサーをハウジングの部品の1つに取り付けており、ハウジングの前記部品のうちの1つだけに取り付けられる接着薄膜とを備えたカートリッジが提供される。
【0014】
PCT特許出願第PCT/GB2006/001162号明細書は、フローセルが2部品のハウジングと、圧電素子などの、接着薄膜を通してハウジングの部品の1つに取り付けられたセンサーとを有したカートリッジを示している。本出願の優先日時点で、PCT特許出願は未だ公開されていないことに留意されたい。
【0015】
センサーとそれに関連したハウジングの部品との間に薄膜および接着剤の組み合わせを使用すると、フローセルが比較的簡単な構成要素から形成されること、したがって比較的低コストになることが可能になる。しかし、接着薄膜は、ハウジングの2つの部品を互いに接合する手段の一部も形成する。その結果、ハウジングの2つの部品に掛けられたいかなる相対せん断力も薄膜を介してセンサーに伝えられる可能性がある。このような力は、ドッキング機構の自然許容差とカートリッジの組み立てとの結果、カートリッジがドッキング機構の中に挿入されるときに生じる可能性があることが見出されている。カートリッジが組み立てられるとき、2つの部品の組み立て中の位置合わせ誤差によって、基部と上板部材との間で歪みに自然の変化が起こる。同様に、カートリッジの上半分と下半分を位置付けるドッキング機構の部品同士の間で少量の位置合わせ不良が起こる。
【0016】
ハウジングの部品同士の相対的な位置の僅かな差異によって、センサーの特徴がカセットごとに異なってしまう可能性がある。さらに、時間の経過とともに薄膜上の接着剤が弛緩することによって、時間の経過とともにセンサーの特徴(特に無負荷状態の共鳴周波数)に残留偏差が生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
しかし、本発明では、ハウジングの2つの部品はセンサーが取り付けられた接着薄膜によって結合されず、それら2つの部品に掛けられたいかなるせん断力も薄膜によってセンサーに伝えられないようにする。
【0018】
好ましくは、セルの一部を画定したハウジングの表面は、センサーが取り付けられたハウジングの部品上にあり、表面は前記薄膜によってセンサーから離隔されている。
【0019】
好ましくは、ハウジングの他方の部品はセルが位置付けられた凹所を含む。
【0020】
好ましくは、凹所はセルを取り囲んでいる。
【0021】
したがって、前記ハウジングの他方の部品も凹所を取り囲み、したがって、カートリッジがドッキング機構の中に挿入される際のカートリッジの屈曲を軽減または解消することが可能である。
【0022】
凹所と表面は、薄膜が全て中に含まれる空洞を好都合に画定することができる。
【0023】
好ましくは、ハウジングの部品同士は、ハウジングの他方の部品が、セルの一部を画定したハウジングの部品を支持する1つまたは複数の表面を提供するように、互いに接触し、かつセルの一部を画定したハウジングの部品が、技術用語で言う完全支持梁を形成するように、空洞の両側から1つの軸に沿って反対方向に延在する。
【0024】
2つの部品がこのように接触されるとき、1つまたは複数の接触表面は接触面積全体にわたって剛結合されたように互いに保持されて、1つまたは複数の表面がいかなる点でも離れることが可能でなくなる。表面に対して垂直方向に掛けられた湾曲力が存在する場合、これは、支持されていない領域内のセルの一部を画定したハウジングの部品の曲げ歪みを軽減し、したがってそれが取り付けられた変換器への曲げ応力を軽減する。これは、カートリッジがドッキングステーションの中に挿入されると水晶上の応力が軽減されることを意味している。
【0025】
より好ましくは、セルの一部を画定したハウジングの部品を支持する前記ハウジングの他方の部品の1つまたは複数の表面は、センサーが1つまたは複数の表面に対して垂直方向に取り付けられたハウジングの部品の曲げをさらに軽減するために、空洞のさらなる両側から第2の軸に沿って反対方向にも延在し、凹所は長方形である。
【0026】
好ましくは、ハウジングの部品同士は、第1の軸に沿った部品同士の相対的な移動を防止するようにハウジングの部品を互いに位置付けるように、互いに係合する。
【0027】
好ましくは、前記係合は、第1の軸に対して垂直方向の第2の軸に沿ったハウジングの2つの部品の相対的な移動も防止する。
【0028】
この目的のために、ハウジングの部品同士は互いにかみ合う(interlock)ことができる。
【0029】
さらにまたは代替方法として、ハウジングの部品の一方は他方に取り付けられ得る。
【0030】
好ましくは、ハウジングの部品同士は薄膜から離隔された領域で互いに結合される。
【0031】
好ましくは、ハウジングの部品同士は接着剤によって互いに結合される。
【0032】
接着剤は、有利に剛性であることができる。
【0033】
このことは、カートリッジがドッキング機構の中に挿入される際に屈曲する傾向をさらに軽減する。
【0034】
好ましくは、センサーが取り付けられたハウジングの部品は剛性であり、好ましくは94Gpa以上のヤング係数を有する。
【0035】
ハウジングの各部品は有利にそれぞれの板部材を備えることができる。
【0036】
このことは、比較的簡単で、コンパクトな、取扱い易いカートリッジの構築を生み出す。
【0037】
セルの一部を構成する表面を有したハウジングの部品は、好ましくは板部材を備え、ハウジングの他方の部品内の凹所用の挿入部材であり、前記挿入部材は、都合良く前記ハウジングの他方の部品よりも高剛性である。
【0038】
これは、上で論じたカートリッジの屈曲の可能性をさらに軽減する。
【0039】
好ましくは、セルはフローセルであり、挿入部材内のアパーチャとして形成された流体入口と流体出口を有する。
【0040】
挿入部材は剛性材料で形成されることが可能であることから、アパーチャは、例えば、カートリッジの使用中またはその結果として変更される傾向のない、セルに対して精確に画定された位置で穴開けすることによって形成され得る。
【0041】
挿入部材は有利に十字形状であることができる。
【0042】
このような形状は、流体入口/出口が、前記ハウジングの他方の部品への取付けのための装着位置と共に、比較的小さな面積内に収容されることを可能にする。この結果、カートリッジは比較的小さな挿入部材を有することが可能である。これは、特に挿入部材がハウジングの他方の部品のように容易に所望の形状に形成されることが可能でない(その剛性または破砕性などのために)材料で製作される場合、カートリッジの構築を容易にする。
【0043】
好ましくは、センサーは圧電素子を備える。圧電素子は、横せん断モード共鳴器、例えばATカット石英水晶などであることができる。石英水晶は、電極パターンによって画定された1つまたは複数の感知領域を備えることができる。感知領域は、多数の切り抜き領域を有した単一の接着薄膜によって、フローセルに個別に関連付けられ得る。各切り抜き領域は、試料を水晶のそれぞれの感知領域に提供するそれぞれのセルを画定し、各セルは関連付けられた入口と出口を有する。ハウジングの他方の部品には、1つまたは複数の個別のセンサーおよびセルが取り付けられたハウジングの部品をそれぞれ位置付けるための多数の凹所が設けられ得る。
【0044】
カートリッジは、セルからの流体の任意の漏れに対して、ハウジングの部品の一方に1つまたは複数の排水溝、即ちチャネルまたは水路などを含むことができる。
【0045】
次に本発明が、単に一例として添付の図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】PCT特許出願第PCT/GB2006/001162号で記述されたカートリッジ(本発明によらない)の分解斜視図である。
【図2】カートリッジの断面図である。
【図3】図2の線XII−XIIに沿った横断面図である。
【図4】図2に対応する本発明によるカートリッジを示す図である。
【図5】図1に対応する本発明によるカートリッジの第2実施形態の分解斜視図である。
【図6】本発明によるカートリッジの第3実施形態の分解斜視図であり、図面の角度は、カートリッジの上側表面を示すようなものである。
【図7】第3実施形態の、カートリッジの下側が示される角度からの分解斜視図である。
【図8】図6および図7で示されたカートリッジの横断面図である。
【図9】図8の面と同じ面によるカートリッジの一部の拡大断面図である。
【図10】カートリッジの変更版の図8および図9と同じ面の断面図である。
【図11】カートリッジの第2変更版の図10に対応する図である。
【図12】フローセル内の試料内で定在波が設定される傾向を軽減または解消することを目的とした挿入部材に対する変更を示す断面図である。
【図13】フローセル内の試料内で定在波が設定される傾向を軽減または解消することを目的とした挿入部材に対する変更を示す断面図である。
【図14】本発明によるカートリッジの第4実施形態の図7に対応する分解等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図面に示されたカートリッジは、石英水晶マイクロバランス装置の一部として使用するものであり、カートリッジ内の2つのフローセルのそれぞれを流体送出/除去システムに連結し、石英水晶板部材92の形態の変換器を、水晶を振動させ水晶の振動特徴を測定する電気回路に連結するドッキングステーションを含む。このような装置は、本出願人の同時係属中の英国特許出願第0506711.1号明細書に記述されている。
【0048】
第1実施形態は多くの点でPCT/GB2006/001162号に示されたカートリッジに類似していることから、これについて最初に記述する。
【0049】
図1を参照すると、石英水晶板部材が参照符号92によって示されており、これは図面に示されたカートリッジの一部を形成している。板部材には、一方の面で1対の駆動電極98と98を画定するパターンで金が被覆されており、各電極は別個の2つのフローセルの一方とそれぞれ一致している。板部材の下側にも共通の接地電極を形成するように金が被覆されている。この電極から導電性トラック(図示せず)が板部材の縁部のまわりで板部材の上面まで延びて、板部材の上面に係合するコーダピンが接地電極に連結することを可能にする接触を実現している。
【0050】
変換器92は接着薄膜100の上面に接着され、接着薄膜100の下側は板部材102に接着されている。板部材102の上面は変換器92用の支持面を構成している。
【0051】
薄膜100は、全厚みが85ミクロンの3層構造であり、それぞれ約36.5ミクロンの厚みの2つの接着層の間に挟まれた、12ミクロンの厚みのポリエステルフィルムの担持層を備える。薄膜の適切な材料の一例として、FASTOUCHという商標で販売されている両面接着テープがある。薄膜100は、一般的にダイアモンド形状の2つのアパーチャ104と106を有する。
【0052】
アパーチャ104と106のそれぞれは、それぞれの電極98と96に、したがって石英結晶の活性領域に一致している。薄膜100は、石英水晶の前記活性領域2つのそれぞれと板部材102の上面との間に小さな隙間が存在するように、変換器92を板部材102の上面から離隔する。各隙間は、2つのアパーチャ104と106のそれぞれ1つの縁部によって境界を画されている。各隙間は、板部材102内の入口/出口通路109から112のそれぞれの対と連通するそれぞれのフローセルを構成している。各通路は、コネクタ114と116などの雌型コネクタの中に通じている。コネクタは一般的に円筒状であり、先細りの端部を有し、各コネクタは、装置の流体送出/除去システムのそれぞれのフェルールを受け取るように配置されている。代替方法として、フェルール型コネクタはカートリッジのアパーチャの中に前もって嵌め込まれ、流体送出/除去システムに設けられた雌型コネクタの中に嵌め込まれるように配置される。さらなる代替案として、フェルールは、同じ材料で、あるいは充分な封止特性を実現するようにより弾性度の高い材料で部品102と同時成形されることが可能である。
【0053】
カートリッジにフェルールを含めると、何度もドッキングを行う間の(一連のカートリッジで)流体送出/除去システムの流体コネクタの摩耗が小さくなることが見出されている。
【0054】
図1から分かるように、各フローセル用の入口と出口は、フローセルの両端域に位置付けられている。その結果、フローセルの入口の中に導入された試料は、フローセルの長手に沿って流れて出口に至り、その間、試料は水晶の活性表面と相互作用し、その相互作用の影響が測定される。
【0055】
図1から分かるように、フローセルは板部材102の一方端部に向けて位置付けられており、その他方端部に向けて薄膜100と同じ材料のパッチ118が設けられている。このパッチの目的は、上板部材120を下板部材102に接着する助けとなることである。上板部材120は、組み立てられたカートリッジ内で、センサー92を板部材20と接触しないように収容して取り囲む凹所122を含む。しかし薄膜100は、2つの板部材102と120をそれらの前方端部で互いに接着するように、凹所122の境界を超えて延在する。
【0056】
薄膜100は、変換器92を定位置に固定し、各フローセルを画定すると同様に、接着層によって流体がフローセルから漏れるのを防止する適切な封止を実現する。
【0057】
上板部材120は貫通穴124、125、および126を含み、使用中は、それらを通ってドッキングステーションの対応するコーダピンが延びて、電極96および98と変換器92の接地接触子との接触を行う。上板部材の切欠きHは、ドッキング機構内のカートリッジの初期位置をもたらす働きをする。
【0058】
2つの板部材102と120はまた大直径の貫通穴127から130を含み、板部材120内の穴127は板部材102内の穴130と合致し、穴128は穴129と合致して、カートリッジハウジング(板部材102と120によって画定される)内に2つの大きな穴の通路が存在するようになる。使用中、これらの通路は、カートリッジの正確な位置付けの助けとなるドッキング機構の横位置ピン(図示せず)を受け取る。これらのピンは、カートリッジがドッキングステーションによって係合されたとき、変換器および連結ピンを取り囲むファラデー箱の一部も形成する。
【0059】
カートリッジがドッキング機構の中に挿入された後、ドッキングステーションの流体送出/除去システムの流体マニホルド上のフェルールが、フェルールを変形させるのに充分な力で、雌型流体コネクタ114、116、またカートリッジの下板部材内の第2のフローセル105(図示せず)用の対応するコネクタの中にも圧入され、これによって流体封止を作り出す。
【0060】
次いで各コーダピンが、カートリッジの上板部材120のそれぞれのアパーチャ124、125、および126の中に延ばされて、駆動電極と、場合によっては変換器上の接地接触子と係合する。
【0061】
板部材102と120は、生物材料に対して不活性であるエンジニアリングプラスチック材料である。当分野で知られている数あるものの中で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリルポリマーが適切である。
【0062】
場合によっては、ポリマーは生物材料による汚れに耐える材料で被覆され得る。
【0063】
センサーの実施形態(図1から図3で示している)は、活性金層を両側に担持する石英の二重チャネル感知板部材92を有する。センサーの生物化学的活性側は金の連続コーティングで被覆され、接地される。電気的に駆動される側は、活性領域(96と98)が円形であるパターンを有し、隣接する長方形領域99と101が石英板部材の縁部まで延在する。これらの長方形領域は、活性電極とドッキング機構内のコーダピンとの間の4つの電気接触をもたらす。電気的活性側(即ち円形電極を担持する側)には、各被駆動円形領域のまわりにそれぞれのリングを形成して2つ以上の共振器の間の電気的相互干渉を抑制する働きをする「保護」接地電極97も設けられる。
【0064】
使用中、円形電極に加えられた(長方形の領域を通して)電気的駆動が石英板部材を共振させる。この共振は、電気的被駆動電極が接地平面電極に対抗するところで起こる。従来では、これによって、被駆動電極の円形領域下で横方向のせん断機械モードが設定されていた。
【0065】
本発明によるカートリッジの第1実施形態は、図1から図3で示したカートリッジとは2つの点で異なっているが、その他の点ではそのカートリッジと同様である。したがって、図1から図3の参照符号が図4でも使用されている。差異の第1の特徴は薄膜100の寸法に関する。薄膜の周囲は、図1から図3のカートリッジの場合と同様に長方形であり、長方形の長い方の辺がカートリッジの一方側から他方側にわたって延在し、短い方の縁部は前から後ろに延在する。
【0066】
薄膜の周囲の長さと幅は、凹所122の長さと幅よりもそれぞれ短い。図4から分かるように、薄膜100の前縁部と後縁部は凹所122内に位置付けられ、凹所122の前縁部と後縁部(それぞれE1とE2)から離隔されている。同様に、長方形の薄膜100の短い縁部も凹所122内にあり、カートリッジの両側で凹所のそれぞれの縁部から離隔されている。薄膜100の全4辺は凹所122の対応する辺と平行に延び、薄膜100は全体が凹所122の縁部内に含まれ、それらによって取り囲まれている。
【0067】
したがって、接着薄膜100はもはや上板部材と下板部材(120と102)を互いに接合しない。そうではなく、それらの板部材はパッチ118と薄膜100からいずれも離隔されたさらなる2つの接着パッチA1およびA2とによって互いに保持されている。パッチA1は、実質的にカートリッジの幅にわたって延在する長方形のパッチであり、後縁部を凹所122の先行縁部と位置合わせして有する。パッチA2は任意選択による特徴であり、これも、凹所122の、パッチA1とは反対側のカートリッジの幅にわたって延在する。パッチA2の先縁部は凹所122の後方縁部に位置合わせされる。
【0068】
パッチ118、A1、およびA2の代替物として、カートリッジの上部部品と下部部品を結合するために剛性接着剤が使用され得る。このような接着剤は凹所122を全4辺で取り囲み、板部材120と102の全ての接合面を覆う。これは、カートリッジの剛性をさらに増大し、したがって、ドッキングステーションへのカートリッジの挿入によって生じることがある曲げ歪みを軽減する。例えば、剛性接着剤は、例えば光硬化樹脂などの硬化(架橋結合)アクリル樹脂であることができる。このような樹脂は、ロボットプラットフォームでコンピュータ制御の糊塗布機械を使用して小規模な構造物に精確に配置され得る。次いでカートリッジはピック&プレース機器によって組み立てられ得、接着剤は原位置で硬化される。代替方法として、部品同士はレーザ溶接によって結合されることもできる。
【0069】
図1から図3に示された第1実施形態とカートリッジとの間の差異の第2の特徴は、凹所122の形状に関する。図4から分かるように、凹所は、互いに平行な、板部材120の全幅にわたって延びる互いに反対側の2つのチャネルG1、G2を含む。したがって各チャネルは板部材122の両側の対向した2つの出口ポートも画定している。
【0070】
なんらかの理由で、薄膜100によってもたらされたフローセルの封止が、凹所122の中への液体の漏れを許してしまう場合、チャネルG1とG2はこの液体のための逃げ道を提供し、したがって、コーダピンが挿入されるにつれて液体が凹所122からアパーチャ124、125、または126を通って押し出されるのを防止することが可能であり、したがってセルから漏れた液体がドッキングステーションの電子回路に到達し、場合によってはそれを損傷することを防止する助けとなる。
【0071】
図5に示された実施形態は図4で示された実施形態と多くの点で同じであり、したがって先の図の参照符号は図5の実施形態でも保たれている。しかしこの場合では、板部材102と120は薄膜パッチ118によって互いに保持されている。図4のパッチA1およびA2の位置に対応した位置に、さらなるパッチが設けられ得る。他の差異は、カートリッジは、上板部材120内に2つの排出チャネルG1とG2を有するのではなく、下板部材102内にチャネルG3とG4を有するということである。排出チャネルは、フローセルから漏れるいかなる液体も受け取ることが可能となるように、板部材102の全幅にわたって延び、凹所122の下を通っている。このような液体は、チャネルG3とG4の端部によって画定されたサイドポートから排出されることが可能である。
【0072】
図6および図7を参照すると、カートリッジの第3実施形態は、第1および第2実施形態のハウジングと外部形状が類似したハウジングを有する。しかしこの場合では、ハウジングは第1の部品200と、第1の部品200内の対応した形状の凹所204内に収容される十字形挿入部材の形態の第2の部品202とから形成されている。
【0073】
ハウジングの部品200は射出成形された構成要素であり、ポリプロピレンまたはアクリルなどの比較的柔軟な材料から形成されることもできる。これは、ハウジングをドッキングステーションの中に挿入する際に追加の応力緩和をもたらし、以下で述べるように、挿入部材が剛性であり、アセンブリの固さの大部分をもたらす場合には特に有益である。
【0074】
ハウジングの部品200は中実体部分206を有する。中実体部分206は使用中、カートリッジを挿入しまたは取り外す使用者によって把持され、カートリッジの後半分、即ちカートリッジが挿入された後ドッキングステーションから突出したままとなる半分の中に位置付けられる。部品200は、使用者がカートリッジを握る助けとなる窪みのパターン208を含む。
【0075】
部品200は、比較的大きな2つの円形アパーチャ210および212を部品の長手軸上に、かつ構成物208とカートリッジの前端部(参照符号214)との間に配設して有する。アパーチャ210と212との間には小さなアパーチャ216、218、および220の横列が位置付けられている。
【0076】
アパーチャ210と212それぞれは、2対の長手方向配置の離隔されたフィンガ221から224それぞれの間の位置で、部品200の下側に通じており、フィンガ221と222は、十字形の凹所204がこれらのフィンガによって画定されるように、フィンガ223と224から離隔されている。
【0077】
2対のフィンガの間の、凹所204内の部品200の下側の部分は、部品200の幅にわたって延在するさらなる凹所226を含む。アパーチャ216、218、および220は凹所226に通じ、凹所226の端部は分岐されて対向した2つの脚部228と230を画定している。アパーチャ210は、カートリッジをドッキングステーション内に位置付ける助けとなる1対の横切欠きHの間に位置付けられている。
【0078】
ハウジングの部品202を構成した挿入部材は、部品200よりも剛性の大きい材料から製作されている。適切な材料の例には、ガラスと、シリコンと、PEEK、ABSなどの高性能エンジニアプラスチックと、高精度で機械加工またはエッチング処理されることが可能な他の材料とが挙げられる。挿入部材が、センサーの動作中の温度変化の結果として、挿入部材上に取り付けられた石英水晶共振素子上に実質的な張力または圧縮力を及ぼさないように、材料は、石英(ガラスなど)の熱膨張係数に近い、またはそれと同じ係数を有することが好ましい。
【0079】
挿入部材202は、挿入部材の上表面が(図6で見られる通り)、以下で述べられる2つのフローセルを有したセンサー用の基部としての機能を果たすサブアセンブリの一部を形成している。
【0080】
部品202の両側には比較的大きなアパーチャ232と234が設けられ、組み立てられたカートリッジでは、それぞれがアパーチャ212と210と位置合わせされる。これらの2つのアパーチャの間の挿入部材202の部品には、部品202を通って延在する4つの通路235から238が設けられ、それらはドッキングステーションの流体供給システムのフェルールを受け取るように配置されている。図6および図7から分かるように、通路235から238は大直径の外側端部、即ち下方端部を有するが、先細りして小直径の上方端部になっている。部材202の剛性によって、アパーチャ232および234と通路235から238とは、予め精確に決定された位置に形成されることが可能であって、挿入部材202がドッキングステーション内で正確に位置決めされた状態で、アパーチャおよび通路がステーションの協働要素に対して正確に位置決めされることを保証する。
【0081】
前記に明示したように、センサーは、凹所204内に含まれる石英水晶板部材240の形態の変換器を備える。板部材は一方の表面に、1対の駆動電極242と244を画定するパターンで、金で被覆されており、各電極は個別の2つのフローセルのそれぞれ1つと一致している。板部材の下側も共通の接地電極を形成するように金で被覆されている。この電極から導電性トラック(図示せず)が板部材の縁部のまわりで板部材の上面まで延びて、板部材の上面に係合するコーダピンが接地電極に連結することを可能にする接触を実現する。
【0082】
板部材240は接着薄膜246の上面(図6で見て)に接着され、薄膜246の下側は挿入部材202の上面に接着されている。したがって挿入部材202の上面は変換器の板部材240用の支持面を構成する。
【0083】
薄膜246は全厚み85ミクロンの3層構造であり、それぞれ厚み約36.5ミクロンの2つの接着層の間に挟まれた、12ミクロンの厚みのポリエステルフィルムの担持層を備える。薄膜の適切な材料の一例として、商標FASTOUCHで販売されている両面接着テープがある。薄膜246は、概ねダイアモンド形状の2つのアパーチャ248と250を有する。
【0084】
アパーチャ248と250それぞれは、それぞれの電極242と244に、したがって石英結晶の活性領域に一致している。薄膜246は、石英水晶の2つの前記活性領域のそれぞれと板部材202の上面との間に小さな隙間が存在するように、板部材240を挿入部材202の上面から離隔する。各隙間は、2つのアパーチャ248と250のそれぞれ1つの縁部によって境界を画されている。各隙間は、挿入部材202内の入口/出口通路235から238のそれぞれの対と連通するそれぞれのフローセルを構成している。
【0085】
各フローセル用の入口と出口は、フローセルの両端域に位置付けられている。その結果、フローセルの入口の中に導入された試料は、フローセルの長手に沿って流れて出口に至り、その間、試料は水晶の活性表面と相互作用し、その相互作用の影響が測定される。
【0086】
板部材240および薄膜246は、挿入部材202の最も広い部分にわたって存在するが、挿入部材の両側までは至らず、組み立てられたカートリッジ内で薄膜および板部材は脚部228と230との間の凹所226内の空間に位置するようになる。したがって、薄膜および板部材は、組み立てられたカートリッジ内で上部部品200と直接接触しない。
【0087】
挿入部材202は、例えば剛性結合または接着、圧入、あるいはフィンガ221と224上にクラッシュリブRを使用することなどによって、多様な方法で部品200の中に嵌め込まれることが可能である。
【0088】
さらにまたは代替方法として、ハウジングの一方または両方の部品は、挿入部材がハウジングの他方の部品の中に押し込まれたときに挿入部材を自動的に保持する掛金構成物を有することができる。いずれの場合も、ハウジングの他方の部品に嵌め込まれるとき、挿入部材202は脚部230および228と、凹所204の下側の凹所226の両側の部品とに当接して、カートリッジ内に脚部228と230の両側で側方開口部が画定されるようになる。挿入部材は、それが定位置内に堅固に固定され、薄膜の外側の表面237の領域がハウジングの部品200によって完全に支持されるように上部部品200と係合する。
【0089】
薄膜246は、板部材240を定位置内に固定し、各フローセルを画定すると同様に、接着層によって、流体がフローセルから漏れるのを防止する適切な封止を実現する。この方法によって液密セルの信頼のおける製造を得ることは、万一漏れが起こった場合にそれを安全に排出させる手段を実現することから、有利である。本発明は特にこのことに適している。薄膜と板部材ならびに薄膜とハウジングの部品の間の接着取付けは、この圧力下のセル内の液体存在下の一方または他方の界面における局所剥離に耐えるように充分な強度がなければならない。このことは、セルの境界と板部材の縁部との間に充分な幅の接着薄膜を設けることによって、また大きな接着力および結合力を有した接着剤を選択することによって達成されることが可能である。実際に、幅が狭くかつ/または接着特性が弱い場合、セル内の液体が接着層に欠陥を引き起こして開かせてしまい、これが、欠陥が外側縁部まで延在する場合には漏れを引き起こしてしまう可能性があることが見出されている。このプロセスは、流体が圧力下でセルを通してポンピングされるところでは加速化される場合がある。このような漏れは機器に対して損害を与え、発生率が低くとも許容不可能である。
【0090】
Fastouch接着テープを用いて低程度の漏れを達成するためには、2mm以下の最小薄膜幅で充分であることが見出されている。最小薄膜幅を軽減するために、または漏れの程度をさらに軽減するために、より大きな接着強度を有するテープが利用され得る。しかし、いかなる理論にも拘束されないで、テープの化学的組成ならびにその接着特性および結合特性は、漏れに対する抵抗力を決定する際に重要であると考えられている。この結果、大きな接着力および結合力を有したいくつかのテープの全てが等しく適切であるとは限らない。
【0091】
しかし、凹所226の中に漏れるいかなる流体も、脚部228と230の両側で開口部を通って逃げることが可能である。使用中、ドッキング機構の対応するコータピンがアパーチャ216、218、および220を通って延びて、板部材240の電極242および244と接地接触子とにそれぞれ接触する。上板部材の切欠きHは、ドッキング機構内のカートリッジの初期位置をもたらす働きをする。
【0092】
大直径のアパーチャ210、212、232、および234は、カートリッジハウジング(ハウジングの部品200と挿入部材202によって構成されている)内で2つの大きな穴通路を画定する。これらの通路は、使用中、カートリッジの正確な位置付けの助けとなるドッキング機構の横位置ピン(図示せず)を受け取る。これらのピンはまた、変換器および連結ピンを取り囲むファラデー箱の一部を形成する。
【0093】
カートリッジがドッキング機構の中に挿入された後、流体供給システム上のフェルールが、フェルールを変形させて流体封止を作り出すのに充分な力で、通路235から238の中に押し込められる。
【0094】
次いで各コーダピンが、それぞれのアパーチャ216、218、および220の中に延ばされて、駆動電極と、場合によっては板部材240上の接地接触子と係合する。
【0095】
上部部品200内のアパーチャは、ドッキングステーションの対応する部品との位置合わせをし易くするために過大に寸法決めされることが可能である。これは、センサーと流体通路との適正な位置決めが、純粋に、位置付けピンと挿入部材202との間の相互作用の位置によって達成されることによる。
【0096】
図10および図11に示されたカートリッジは、図6および図7の実施形態に多くの点で同じであり、したがって対応する構成要素は図6および図7で使用された参照符号によって示されている。
【0097】
したがって、最初のハウジングの上部部品は参照符号200によって示され、参照符号202は十字形の挿入部材を示す。図10の配置は図6および図7の実施形態とは3つの点で異なっている。
【0098】
最初に、脚部228と230は挿入部材202と一体的に形成され、凹所226内のハウジングの部品200に接着されて、脚部228と230の両側の横開口部を画定する。さらに、薄膜246は開口部を1つだけ有し、したがって円形状またはひし形形状のフローセルを1つだけ画定する。その結果、石英水晶板部材240は駆動電極を1つだけ担持し、コーダピンおよびフェルールへの連結用のアパーチャの数は相応に減る(即ち、コーダピン用のアパーチャが2つ、流体連結用の入口/出口アパーチャが1対だけ存在する)。
【0099】
図11に示されたセンサーは、図6に示されたものとは異なっている。即ち、水晶240と挿入部材202によって画定されたフローセルの面が凹所260の壁によって、また薄膜246によって分離されるように、挿入部材202が薄膜246にその周囲で交わる凹所260(円形形状またはひし形形状)を担持しているという点で異なっている。凹所260はフローセルの容量を増大させ、その球により多くの特徴物が収容されることを可能にする。さらに、凹所の使用は、水晶240を挿入部材202に取り付けるためにより薄い接着テープが使用されることを可能にする。
【0100】
図12および図13は、凹所260の面と板部材240との間の反射の結果として、フローセル内の試料内で定在波(いわゆる縦モード)が設定される傾向を軽減または解消することを目的とした挿入部材260に対する変更を示している。
【0101】
図12では、板部材240の反対側の凹所260の面は一連の窪みを担持しており、図13では、凹所260の高さが、先細りのフローセルを画定するように一方辺から他方辺へと徐々に変化している。傾斜角度は明確にするために誇張されている。実際には、角度は、変換器の動作時の周波数とフローセルの寸法とに応じて数度程度となる。
【0102】
図14で示されたカートリッジは、カートリッジの第3実施形態の特徴物と極めて類似した多くの特徴物を有する。したがって、これらの特徴は、図6および図7で使用された参照符号に100を足したものによって示されている。
【0103】
この特定の場合では、挿入部材302は長方形であり、フィンガ321から324の間隔および幾何形状は、挿入部材302がハウジングの部品300内に収容されることを可能にするようなものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体からなる試料を分析する装置用のカートリッジ、特にその分析を実行し、電気機械的変換器を備えるセンサーを有するカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、印加された電気信号を変換器が変更する装置、特に、例えば石英水晶マイクロバランスシステムであってその共振周波数である周波数またはそれに近い周波数で振動する圧電変換器を有するシステムなどの装置に適用可能である。
【0003】
変換器は典型的には、受容体グループが不動化される活性表面を有する。そのグループは、検出または分析される物質に対して化学的親和性または反応性を有する。分析される物質は通常、水晶の活性表面と接触される流体内に存在する。
【0004】
表面上の受容体グループと物質との間の物理的、化学的、および生物化学的な相互作用は表面に付いた質量に(また活性表面の他の物理的特性に)変化を引き起こし、これらが水晶の振動特徴、特に共振周波数に影響を及ぼす。これらの影響に対する分析を使用して、物質の質的データおよび/または量的データを得ることができる。
【0005】
知られている装置の一部のタイプでは、石英水晶センサーはフローセルの一部として形成されており、これが試料送出/除去システムに連結されている。試料送出/除去システムは、分析される試料をセルに通して移動させて試料が水晶と接触するようにする。装置は、駆動測定回路を含む。駆動測定回路は水晶に連結されており、水晶を振動させ、水晶の振動特徴の変化を検出および/または測定するように作動可能である。
【0006】
変換器の交換は頻繁に必要であり、特にバイオセンサーの分野で、流体試料内の異なったいくつかの物質が分析される場合、あるいは水晶を覆った受容体が2回以上使用されることが可能でない場合にそうである。
【0007】
その点に関連して、装置の中に容易に挿入されかつそこから取り外され得る単一のカートリッジ内に、水晶およびフローセルを設けて、電気回路および試料送出/除去システムを実現することが知られている。したがって、使い捨て式でありながら測定装置に容易にかつしっかりと取り付けることが可能な、製造容易なフローセルが極めて望ましい。
【0008】
米国特許第6196059号明細書は、水晶が固着された環状リブを有した射出成形構成要素から形成されたカートリッジを示している。リブは水晶を対向面から離隔させてフローセルを画定し、射出成形構成要素は、水晶から離隔された位置で接触子用の凹所も含む。接触子は電気ワイヤによって水晶に連結され、水晶と適切な駆動/測定回路との間の連結手段を提供する。
【0009】
このようなカートリッジの構造は比較的複雑であり、したがって比較的高コストである。これは、特にカートリッジが使い捨てユニットとして使用されるためである。さらに、水晶と下表面との間の最少間隔、したがってフローセルの容積は、フローセルの高さの下限をもたらすリブによって限定される。このことは、フローセルが迅速な不動化時間を達成することを防止する可能性があり、これに相応して装置の反応速度と、測定されることが可能な運動学的パラメータとを制限する。さらに、カートリッジには、変換器の端末と器具類との間の手動の電気接続作業が必要であり、このことは操作に際して不都合である。
【0010】
生体力学的相互作用の分析では、分析物流体の利用可能な体積は制限されていることが多く、したがってフローセルの容積も小さくなるべきである。分析物受容体の相互作用の運動学的特性に対する測定は、変換器の表面への分析物の拡散によって制限される可能性があることも知られている。この移送の制限を最小限に抑え、好ましくはそれを完全に克服するために、変換器の表面に対して垂直方向のフローセルの寸法は最小限にされるべきである。
【0011】
石英水晶振動子などの電子機械的圧電変換器を、取り付けられた変換器が残留応力を受けず、確実な流体密の封止を形成するように取り付けることは、このようなセルの重要な設計目標である。国際公開第2128372号パンフレットおよび国際公開第0247246号パンフレットは、応力のない取付けを達成するための様々な手段を提案しているが、これらの場合では、漏れ防止構造を作り出すために比較的複雑な多部品の設計が生まれており、さらに前記の米国特許第6196059号明細書のように、このことは、小容積のフローセルを得ることが困難な状況をもたらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6196059号明細書
【特許文献2】国際公開第2128372号パンフレット
【特許文献3】国際公開第0247246号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明によると、流体からなる試料を分析する装置用のカートリッジであって、少なくとも2つの部品と前記部品の1つに表面を備えた試料受取りセルとを有したハウジングと、前記表面から離隔された電気機械的変換器を備えたセンサーと、センサーをハウジングの部品の1つに取り付けており、ハウジングの前記部品のうちの1つだけに取り付けられる接着薄膜とを備えたカートリッジが提供される。
【0014】
PCT特許出願第PCT/GB2006/001162号明細書は、フローセルが2部品のハウジングと、圧電素子などの、接着薄膜を通してハウジングの部品の1つに取り付けられたセンサーとを有したカートリッジを示している。本出願の優先日時点で、PCT特許出願は未だ公開されていないことに留意されたい。
【0015】
センサーとそれに関連したハウジングの部品との間に薄膜および接着剤の組み合わせを使用すると、フローセルが比較的簡単な構成要素から形成されること、したがって比較的低コストになることが可能になる。しかし、接着薄膜は、ハウジングの2つの部品を互いに接合する手段の一部も形成する。その結果、ハウジングの2つの部品に掛けられたいかなる相対せん断力も薄膜を介してセンサーに伝えられる可能性がある。このような力は、ドッキング機構の自然許容差とカートリッジの組み立てとの結果、カートリッジがドッキング機構の中に挿入されるときに生じる可能性があることが見出されている。カートリッジが組み立てられるとき、2つの部品の組み立て中の位置合わせ誤差によって、基部と上板部材との間で歪みに自然の変化が起こる。同様に、カートリッジの上半分と下半分を位置付けるドッキング機構の部品同士の間で少量の位置合わせ不良が起こる。
【0016】
ハウジングの部品同士の相対的な位置の僅かな差異によって、センサーの特徴がカセットごとに異なってしまう可能性がある。さらに、時間の経過とともに薄膜上の接着剤が弛緩することによって、時間の経過とともにセンサーの特徴(特に無負荷状態の共鳴周波数)に残留偏差が生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
しかし、本発明では、ハウジングの2つの部品はセンサーが取り付けられた接着薄膜によって結合されず、それら2つの部品に掛けられたいかなるせん断力も薄膜によってセンサーに伝えられないようにする。
【0018】
好ましくは、セルの一部を画定したハウジングの表面は、センサーが取り付けられたハウジングの部品上にあり、表面は前記薄膜によってセンサーから離隔されている。
【0019】
好ましくは、ハウジングの他方の部品はセルが位置付けられた凹所を含む。
【0020】
好ましくは、凹所はセルを取り囲んでいる。
【0021】
したがって、前記ハウジングの他方の部品も凹所を取り囲み、したがって、カートリッジがドッキング機構の中に挿入される際のカートリッジの屈曲を軽減または解消することが可能である。
【0022】
凹所と表面は、薄膜が全て中に含まれる空洞を好都合に画定することができる。
【0023】
好ましくは、ハウジングの部品同士は、ハウジングの他方の部品が、セルの一部を画定したハウジングの部品を支持する1つまたは複数の表面を提供するように、互いに接触し、かつセルの一部を画定したハウジングの部品が、技術用語で言う完全支持梁を形成するように、空洞の両側から1つの軸に沿って反対方向に延在する。
【0024】
2つの部品がこのように接触されるとき、1つまたは複数の接触表面は接触面積全体にわたって剛結合されたように互いに保持されて、1つまたは複数の表面がいかなる点でも離れることが可能でなくなる。表面に対して垂直方向に掛けられた湾曲力が存在する場合、これは、支持されていない領域内のセルの一部を画定したハウジングの部品の曲げ歪みを軽減し、したがってそれが取り付けられた変換器への曲げ応力を軽減する。これは、カートリッジがドッキングステーションの中に挿入されると水晶上の応力が軽減されることを意味している。
【0025】
より好ましくは、セルの一部を画定したハウジングの部品を支持する前記ハウジングの他方の部品の1つまたは複数の表面は、センサーが1つまたは複数の表面に対して垂直方向に取り付けられたハウジングの部品の曲げをさらに軽減するために、空洞のさらなる両側から第2の軸に沿って反対方向にも延在し、凹所は長方形である。
【0026】
好ましくは、ハウジングの部品同士は、第1の軸に沿った部品同士の相対的な移動を防止するようにハウジングの部品を互いに位置付けるように、互いに係合する。
【0027】
好ましくは、前記係合は、第1の軸に対して垂直方向の第2の軸に沿ったハウジングの2つの部品の相対的な移動も防止する。
【0028】
この目的のために、ハウジングの部品同士は互いにかみ合う(interlock)ことができる。
【0029】
さらにまたは代替方法として、ハウジングの部品の一方は他方に取り付けられ得る。
【0030】
好ましくは、ハウジングの部品同士は薄膜から離隔された領域で互いに結合される。
【0031】
好ましくは、ハウジングの部品同士は接着剤によって互いに結合される。
【0032】
接着剤は、有利に剛性であることができる。
【0033】
このことは、カートリッジがドッキング機構の中に挿入される際に屈曲する傾向をさらに軽減する。
【0034】
好ましくは、センサーが取り付けられたハウジングの部品は剛性であり、好ましくは94Gpa以上のヤング係数を有する。
【0035】
ハウジングの各部品は有利にそれぞれの板部材を備えることができる。
【0036】
このことは、比較的簡単で、コンパクトな、取扱い易いカートリッジの構築を生み出す。
【0037】
セルの一部を構成する表面を有したハウジングの部品は、好ましくは板部材を備え、ハウジングの他方の部品内の凹所用の挿入部材であり、前記挿入部材は、都合良く前記ハウジングの他方の部品よりも高剛性である。
【0038】
これは、上で論じたカートリッジの屈曲の可能性をさらに軽減する。
【0039】
好ましくは、セルはフローセルであり、挿入部材内のアパーチャとして形成された流体入口と流体出口を有する。
【0040】
挿入部材は剛性材料で形成されることが可能であることから、アパーチャは、例えば、カートリッジの使用中またはその結果として変更される傾向のない、セルに対して精確に画定された位置で穴開けすることによって形成され得る。
【0041】
挿入部材は有利に十字形状であることができる。
【0042】
このような形状は、流体入口/出口が、前記ハウジングの他方の部品への取付けのための装着位置と共に、比較的小さな面積内に収容されることを可能にする。この結果、カートリッジは比較的小さな挿入部材を有することが可能である。これは、特に挿入部材がハウジングの他方の部品のように容易に所望の形状に形成されることが可能でない(その剛性または破砕性などのために)材料で製作される場合、カートリッジの構築を容易にする。
【0043】
好ましくは、センサーは圧電素子を備える。圧電素子は、横せん断モード共鳴器、例えばATカット石英水晶などであることができる。石英水晶は、電極パターンによって画定された1つまたは複数の感知領域を備えることができる。感知領域は、多数の切り抜き領域を有した単一の接着薄膜によって、フローセルに個別に関連付けられ得る。各切り抜き領域は、試料を水晶のそれぞれの感知領域に提供するそれぞれのセルを画定し、各セルは関連付けられた入口と出口を有する。ハウジングの他方の部品には、1つまたは複数の個別のセンサーおよびセルが取り付けられたハウジングの部品をそれぞれ位置付けるための多数の凹所が設けられ得る。
【0044】
カートリッジは、セルからの流体の任意の漏れに対して、ハウジングの部品の一方に1つまたは複数の排水溝、即ちチャネルまたは水路などを含むことができる。
【0045】
次に本発明が、単に一例として添付の図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】PCT特許出願第PCT/GB2006/001162号で記述されたカートリッジ(本発明によらない)の分解斜視図である。
【図2】カートリッジの断面図である。
【図3】図2の線XII−XIIに沿った横断面図である。
【図4】図2に対応する本発明によるカートリッジを示す図である。
【図5】図1に対応する本発明によるカートリッジの第2実施形態の分解斜視図である。
【図6】本発明によるカートリッジの第3実施形態の分解斜視図であり、図面の角度は、カートリッジの上側表面を示すようなものである。
【図7】第3実施形態の、カートリッジの下側が示される角度からの分解斜視図である。
【図8】図6および図7で示されたカートリッジの横断面図である。
【図9】図8の面と同じ面によるカートリッジの一部の拡大断面図である。
【図10】カートリッジの変更版の図8および図9と同じ面の断面図である。
【図11】カートリッジの第2変更版の図10に対応する図である。
【図12】フローセル内の試料内で定在波が設定される傾向を軽減または解消することを目的とした挿入部材に対する変更を示す断面図である。
【図13】フローセル内の試料内で定在波が設定される傾向を軽減または解消することを目的とした挿入部材に対する変更を示す断面図である。
【図14】本発明によるカートリッジの第4実施形態の図7に対応する分解等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図面に示されたカートリッジは、石英水晶マイクロバランス装置の一部として使用するものであり、カートリッジ内の2つのフローセルのそれぞれを流体送出/除去システムに連結し、石英水晶板部材92の形態の変換器を、水晶を振動させ水晶の振動特徴を測定する電気回路に連結するドッキングステーションを含む。このような装置は、本出願人の同時係属中の英国特許出願第0506711.1号明細書に記述されている。
【0048】
第1実施形態は多くの点でPCT/GB2006/001162号に示されたカートリッジに類似していることから、これについて最初に記述する。
【0049】
図1を参照すると、石英水晶板部材が参照符号92によって示されており、これは図面に示されたカートリッジの一部を形成している。板部材には、一方の面で1対の駆動電極98と98を画定するパターンで金が被覆されており、各電極は別個の2つのフローセルの一方とそれぞれ一致している。板部材の下側にも共通の接地電極を形成するように金が被覆されている。この電極から導電性トラック(図示せず)が板部材の縁部のまわりで板部材の上面まで延びて、板部材の上面に係合するコーダピンが接地電極に連結することを可能にする接触を実現している。
【0050】
変換器92は接着薄膜100の上面に接着され、接着薄膜100の下側は板部材102に接着されている。板部材102の上面は変換器92用の支持面を構成している。
【0051】
薄膜100は、全厚みが85ミクロンの3層構造であり、それぞれ約36.5ミクロンの厚みの2つの接着層の間に挟まれた、12ミクロンの厚みのポリエステルフィルムの担持層を備える。薄膜の適切な材料の一例として、FASTOUCHという商標で販売されている両面接着テープがある。薄膜100は、一般的にダイアモンド形状の2つのアパーチャ104と106を有する。
【0052】
アパーチャ104と106のそれぞれは、それぞれの電極98と96に、したがって石英結晶の活性領域に一致している。薄膜100は、石英水晶の前記活性領域2つのそれぞれと板部材102の上面との間に小さな隙間が存在するように、変換器92を板部材102の上面から離隔する。各隙間は、2つのアパーチャ104と106のそれぞれ1つの縁部によって境界を画されている。各隙間は、板部材102内の入口/出口通路109から112のそれぞれの対と連通するそれぞれのフローセルを構成している。各通路は、コネクタ114と116などの雌型コネクタの中に通じている。コネクタは一般的に円筒状であり、先細りの端部を有し、各コネクタは、装置の流体送出/除去システムのそれぞれのフェルールを受け取るように配置されている。代替方法として、フェルール型コネクタはカートリッジのアパーチャの中に前もって嵌め込まれ、流体送出/除去システムに設けられた雌型コネクタの中に嵌め込まれるように配置される。さらなる代替案として、フェルールは、同じ材料で、あるいは充分な封止特性を実現するようにより弾性度の高い材料で部品102と同時成形されることが可能である。
【0053】
カートリッジにフェルールを含めると、何度もドッキングを行う間の(一連のカートリッジで)流体送出/除去システムの流体コネクタの摩耗が小さくなることが見出されている。
【0054】
図1から分かるように、各フローセル用の入口と出口は、フローセルの両端域に位置付けられている。その結果、フローセルの入口の中に導入された試料は、フローセルの長手に沿って流れて出口に至り、その間、試料は水晶の活性表面と相互作用し、その相互作用の影響が測定される。
【0055】
図1から分かるように、フローセルは板部材102の一方端部に向けて位置付けられており、その他方端部に向けて薄膜100と同じ材料のパッチ118が設けられている。このパッチの目的は、上板部材120を下板部材102に接着する助けとなることである。上板部材120は、組み立てられたカートリッジ内で、センサー92を板部材20と接触しないように収容して取り囲む凹所122を含む。しかし薄膜100は、2つの板部材102と120をそれらの前方端部で互いに接着するように、凹所122の境界を超えて延在する。
【0056】
薄膜100は、変換器92を定位置に固定し、各フローセルを画定すると同様に、接着層によって流体がフローセルから漏れるのを防止する適切な封止を実現する。
【0057】
上板部材120は貫通穴124、125、および126を含み、使用中は、それらを通ってドッキングステーションの対応するコーダピンが延びて、電極96および98と変換器92の接地接触子との接触を行う。上板部材の切欠きHは、ドッキング機構内のカートリッジの初期位置をもたらす働きをする。
【0058】
2つの板部材102と120はまた大直径の貫通穴127から130を含み、板部材120内の穴127は板部材102内の穴130と合致し、穴128は穴129と合致して、カートリッジハウジング(板部材102と120によって画定される)内に2つの大きな穴の通路が存在するようになる。使用中、これらの通路は、カートリッジの正確な位置付けの助けとなるドッキング機構の横位置ピン(図示せず)を受け取る。これらのピンは、カートリッジがドッキングステーションによって係合されたとき、変換器および連結ピンを取り囲むファラデー箱の一部も形成する。
【0059】
カートリッジがドッキング機構の中に挿入された後、ドッキングステーションの流体送出/除去システムの流体マニホルド上のフェルールが、フェルールを変形させるのに充分な力で、雌型流体コネクタ114、116、またカートリッジの下板部材内の第2のフローセル105(図示せず)用の対応するコネクタの中にも圧入され、これによって流体封止を作り出す。
【0060】
次いで各コーダピンが、カートリッジの上板部材120のそれぞれのアパーチャ124、125、および126の中に延ばされて、駆動電極と、場合によっては変換器上の接地接触子と係合する。
【0061】
板部材102と120は、生物材料に対して不活性であるエンジニアリングプラスチック材料である。当分野で知られている数あるものの中で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリルポリマーが適切である。
【0062】
場合によっては、ポリマーは生物材料による汚れに耐える材料で被覆され得る。
【0063】
センサーの実施形態(図1から図3で示している)は、活性金層を両側に担持する石英の二重チャネル感知板部材92を有する。センサーの生物化学的活性側は金の連続コーティングで被覆され、接地される。電気的に駆動される側は、活性領域(96と98)が円形であるパターンを有し、隣接する長方形領域99と101が石英板部材の縁部まで延在する。これらの長方形領域は、活性電極とドッキング機構内のコーダピンとの間の4つの電気接触をもたらす。電気的活性側(即ち円形電極を担持する側)には、各被駆動円形領域のまわりにそれぞれのリングを形成して2つ以上の共振器の間の電気的相互干渉を抑制する働きをする「保護」接地電極97も設けられる。
【0064】
使用中、円形電極に加えられた(長方形の領域を通して)電気的駆動が石英板部材を共振させる。この共振は、電気的被駆動電極が接地平面電極に対抗するところで起こる。従来では、これによって、被駆動電極の円形領域下で横方向のせん断機械モードが設定されていた。
【0065】
本発明によるカートリッジの第1実施形態は、図1から図3で示したカートリッジとは2つの点で異なっているが、その他の点ではそのカートリッジと同様である。したがって、図1から図3の参照符号が図4でも使用されている。差異の第1の特徴は薄膜100の寸法に関する。薄膜の周囲は、図1から図3のカートリッジの場合と同様に長方形であり、長方形の長い方の辺がカートリッジの一方側から他方側にわたって延在し、短い方の縁部は前から後ろに延在する。
【0066】
薄膜の周囲の長さと幅は、凹所122の長さと幅よりもそれぞれ短い。図4から分かるように、薄膜100の前縁部と後縁部は凹所122内に位置付けられ、凹所122の前縁部と後縁部(それぞれE1とE2)から離隔されている。同様に、長方形の薄膜100の短い縁部も凹所122内にあり、カートリッジの両側で凹所のそれぞれの縁部から離隔されている。薄膜100の全4辺は凹所122の対応する辺と平行に延び、薄膜100は全体が凹所122の縁部内に含まれ、それらによって取り囲まれている。
【0067】
したがって、接着薄膜100はもはや上板部材と下板部材(120と102)を互いに接合しない。そうではなく、それらの板部材はパッチ118と薄膜100からいずれも離隔されたさらなる2つの接着パッチA1およびA2とによって互いに保持されている。パッチA1は、実質的にカートリッジの幅にわたって延在する長方形のパッチであり、後縁部を凹所122の先行縁部と位置合わせして有する。パッチA2は任意選択による特徴であり、これも、凹所122の、パッチA1とは反対側のカートリッジの幅にわたって延在する。パッチA2の先縁部は凹所122の後方縁部に位置合わせされる。
【0068】
パッチ118、A1、およびA2の代替物として、カートリッジの上部部品と下部部品を結合するために剛性接着剤が使用され得る。このような接着剤は凹所122を全4辺で取り囲み、板部材120と102の全ての接合面を覆う。これは、カートリッジの剛性をさらに増大し、したがって、ドッキングステーションへのカートリッジの挿入によって生じることがある曲げ歪みを軽減する。例えば、剛性接着剤は、例えば光硬化樹脂などの硬化(架橋結合)アクリル樹脂であることができる。このような樹脂は、ロボットプラットフォームでコンピュータ制御の糊塗布機械を使用して小規模な構造物に精確に配置され得る。次いでカートリッジはピック&プレース機器によって組み立てられ得、接着剤は原位置で硬化される。代替方法として、部品同士はレーザ溶接によって結合されることもできる。
【0069】
図1から図3に示された第1実施形態とカートリッジとの間の差異の第2の特徴は、凹所122の形状に関する。図4から分かるように、凹所は、互いに平行な、板部材120の全幅にわたって延びる互いに反対側の2つのチャネルG1、G2を含む。したがって各チャネルは板部材122の両側の対向した2つの出口ポートも画定している。
【0070】
なんらかの理由で、薄膜100によってもたらされたフローセルの封止が、凹所122の中への液体の漏れを許してしまう場合、チャネルG1とG2はこの液体のための逃げ道を提供し、したがって、コーダピンが挿入されるにつれて液体が凹所122からアパーチャ124、125、または126を通って押し出されるのを防止することが可能であり、したがってセルから漏れた液体がドッキングステーションの電子回路に到達し、場合によってはそれを損傷することを防止する助けとなる。
【0071】
図5に示された実施形態は図4で示された実施形態と多くの点で同じであり、したがって先の図の参照符号は図5の実施形態でも保たれている。しかしこの場合では、板部材102と120は薄膜パッチ118によって互いに保持されている。図4のパッチA1およびA2の位置に対応した位置に、さらなるパッチが設けられ得る。他の差異は、カートリッジは、上板部材120内に2つの排出チャネルG1とG2を有するのではなく、下板部材102内にチャネルG3とG4を有するということである。排出チャネルは、フローセルから漏れるいかなる液体も受け取ることが可能となるように、板部材102の全幅にわたって延び、凹所122の下を通っている。このような液体は、チャネルG3とG4の端部によって画定されたサイドポートから排出されることが可能である。
【0072】
図6および図7を参照すると、カートリッジの第3実施形態は、第1および第2実施形態のハウジングと外部形状が類似したハウジングを有する。しかしこの場合では、ハウジングは第1の部品200と、第1の部品200内の対応した形状の凹所204内に収容される十字形挿入部材の形態の第2の部品202とから形成されている。
【0073】
ハウジングの部品200は射出成形された構成要素であり、ポリプロピレンまたはアクリルなどの比較的柔軟な材料から形成されることもできる。これは、ハウジングをドッキングステーションの中に挿入する際に追加の応力緩和をもたらし、以下で述べるように、挿入部材が剛性であり、アセンブリの固さの大部分をもたらす場合には特に有益である。
【0074】
ハウジングの部品200は中実体部分206を有する。中実体部分206は使用中、カートリッジを挿入しまたは取り外す使用者によって把持され、カートリッジの後半分、即ちカートリッジが挿入された後ドッキングステーションから突出したままとなる半分の中に位置付けられる。部品200は、使用者がカートリッジを握る助けとなる窪みのパターン208を含む。
【0075】
部品200は、比較的大きな2つの円形アパーチャ210および212を部品の長手軸上に、かつ構成物208とカートリッジの前端部(参照符号214)との間に配設して有する。アパーチャ210と212との間には小さなアパーチャ216、218、および220の横列が位置付けられている。
【0076】
アパーチャ210と212それぞれは、2対の長手方向配置の離隔されたフィンガ221から224それぞれの間の位置で、部品200の下側に通じており、フィンガ221と222は、十字形の凹所204がこれらのフィンガによって画定されるように、フィンガ223と224から離隔されている。
【0077】
2対のフィンガの間の、凹所204内の部品200の下側の部分は、部品200の幅にわたって延在するさらなる凹所226を含む。アパーチャ216、218、および220は凹所226に通じ、凹所226の端部は分岐されて対向した2つの脚部228と230を画定している。アパーチャ210は、カートリッジをドッキングステーション内に位置付ける助けとなる1対の横切欠きHの間に位置付けられている。
【0078】
ハウジングの部品202を構成した挿入部材は、部品200よりも剛性の大きい材料から製作されている。適切な材料の例には、ガラスと、シリコンと、PEEK、ABSなどの高性能エンジニアプラスチックと、高精度で機械加工またはエッチング処理されることが可能な他の材料とが挙げられる。挿入部材が、センサーの動作中の温度変化の結果として、挿入部材上に取り付けられた石英水晶共振素子上に実質的な張力または圧縮力を及ぼさないように、材料は、石英(ガラスなど)の熱膨張係数に近い、またはそれと同じ係数を有することが好ましい。
【0079】
挿入部材202は、挿入部材の上表面が(図6で見られる通り)、以下で述べられる2つのフローセルを有したセンサー用の基部としての機能を果たすサブアセンブリの一部を形成している。
【0080】
部品202の両側には比較的大きなアパーチャ232と234が設けられ、組み立てられたカートリッジでは、それぞれがアパーチャ212と210と位置合わせされる。これらの2つのアパーチャの間の挿入部材202の部品には、部品202を通って延在する4つの通路235から238が設けられ、それらはドッキングステーションの流体供給システムのフェルールを受け取るように配置されている。図6および図7から分かるように、通路235から238は大直径の外側端部、即ち下方端部を有するが、先細りして小直径の上方端部になっている。部材202の剛性によって、アパーチャ232および234と通路235から238とは、予め精確に決定された位置に形成されることが可能であって、挿入部材202がドッキングステーション内で正確に位置決めされた状態で、アパーチャおよび通路がステーションの協働要素に対して正確に位置決めされることを保証する。
【0081】
前記に明示したように、センサーは、凹所204内に含まれる石英水晶板部材240の形態の変換器を備える。板部材は一方の表面に、1対の駆動電極242と244を画定するパターンで、金で被覆されており、各電極は個別の2つのフローセルのそれぞれ1つと一致している。板部材の下側も共通の接地電極を形成するように金で被覆されている。この電極から導電性トラック(図示せず)が板部材の縁部のまわりで板部材の上面まで延びて、板部材の上面に係合するコーダピンが接地電極に連結することを可能にする接触を実現する。
【0082】
板部材240は接着薄膜246の上面(図6で見て)に接着され、薄膜246の下側は挿入部材202の上面に接着されている。したがって挿入部材202の上面は変換器の板部材240用の支持面を構成する。
【0083】
薄膜246は全厚み85ミクロンの3層構造であり、それぞれ厚み約36.5ミクロンの2つの接着層の間に挟まれた、12ミクロンの厚みのポリエステルフィルムの担持層を備える。薄膜の適切な材料の一例として、商標FASTOUCHで販売されている両面接着テープがある。薄膜246は、概ねダイアモンド形状の2つのアパーチャ248と250を有する。
【0084】
アパーチャ248と250それぞれは、それぞれの電極242と244に、したがって石英結晶の活性領域に一致している。薄膜246は、石英水晶の2つの前記活性領域のそれぞれと板部材202の上面との間に小さな隙間が存在するように、板部材240を挿入部材202の上面から離隔する。各隙間は、2つのアパーチャ248と250のそれぞれ1つの縁部によって境界を画されている。各隙間は、挿入部材202内の入口/出口通路235から238のそれぞれの対と連通するそれぞれのフローセルを構成している。
【0085】
各フローセル用の入口と出口は、フローセルの両端域に位置付けられている。その結果、フローセルの入口の中に導入された試料は、フローセルの長手に沿って流れて出口に至り、その間、試料は水晶の活性表面と相互作用し、その相互作用の影響が測定される。
【0086】
板部材240および薄膜246は、挿入部材202の最も広い部分にわたって存在するが、挿入部材の両側までは至らず、組み立てられたカートリッジ内で薄膜および板部材は脚部228と230との間の凹所226内の空間に位置するようになる。したがって、薄膜および板部材は、組み立てられたカートリッジ内で上部部品200と直接接触しない。
【0087】
挿入部材202は、例えば剛性結合または接着、圧入、あるいはフィンガ221と224上にクラッシュリブRを使用することなどによって、多様な方法で部品200の中に嵌め込まれることが可能である。
【0088】
さらにまたは代替方法として、ハウジングの一方または両方の部品は、挿入部材がハウジングの他方の部品の中に押し込まれたときに挿入部材を自動的に保持する掛金構成物を有することができる。いずれの場合も、ハウジングの他方の部品に嵌め込まれるとき、挿入部材202は脚部230および228と、凹所204の下側の凹所226の両側の部品とに当接して、カートリッジ内に脚部228と230の両側で側方開口部が画定されるようになる。挿入部材は、それが定位置内に堅固に固定され、薄膜の外側の表面237の領域がハウジングの部品200によって完全に支持されるように上部部品200と係合する。
【0089】
薄膜246は、板部材240を定位置内に固定し、各フローセルを画定すると同様に、接着層によって、流体がフローセルから漏れるのを防止する適切な封止を実現する。この方法によって液密セルの信頼のおける製造を得ることは、万一漏れが起こった場合にそれを安全に排出させる手段を実現することから、有利である。本発明は特にこのことに適している。薄膜と板部材ならびに薄膜とハウジングの部品の間の接着取付けは、この圧力下のセル内の液体存在下の一方または他方の界面における局所剥離に耐えるように充分な強度がなければならない。このことは、セルの境界と板部材の縁部との間に充分な幅の接着薄膜を設けることによって、また大きな接着力および結合力を有した接着剤を選択することによって達成されることが可能である。実際に、幅が狭くかつ/または接着特性が弱い場合、セル内の液体が接着層に欠陥を引き起こして開かせてしまい、これが、欠陥が外側縁部まで延在する場合には漏れを引き起こしてしまう可能性があることが見出されている。このプロセスは、流体が圧力下でセルを通してポンピングされるところでは加速化される場合がある。このような漏れは機器に対して損害を与え、発生率が低くとも許容不可能である。
【0090】
Fastouch接着テープを用いて低程度の漏れを達成するためには、2mm以下の最小薄膜幅で充分であることが見出されている。最小薄膜幅を軽減するために、または漏れの程度をさらに軽減するために、より大きな接着強度を有するテープが利用され得る。しかし、いかなる理論にも拘束されないで、テープの化学的組成ならびにその接着特性および結合特性は、漏れに対する抵抗力を決定する際に重要であると考えられている。この結果、大きな接着力および結合力を有したいくつかのテープの全てが等しく適切であるとは限らない。
【0091】
しかし、凹所226の中に漏れるいかなる流体も、脚部228と230の両側で開口部を通って逃げることが可能である。使用中、ドッキング機構の対応するコータピンがアパーチャ216、218、および220を通って延びて、板部材240の電極242および244と接地接触子とにそれぞれ接触する。上板部材の切欠きHは、ドッキング機構内のカートリッジの初期位置をもたらす働きをする。
【0092】
大直径のアパーチャ210、212、232、および234は、カートリッジハウジング(ハウジングの部品200と挿入部材202によって構成されている)内で2つの大きな穴通路を画定する。これらの通路は、使用中、カートリッジの正確な位置付けの助けとなるドッキング機構の横位置ピン(図示せず)を受け取る。これらのピンはまた、変換器および連結ピンを取り囲むファラデー箱の一部を形成する。
【0093】
カートリッジがドッキング機構の中に挿入された後、流体供給システム上のフェルールが、フェルールを変形させて流体封止を作り出すのに充分な力で、通路235から238の中に押し込められる。
【0094】
次いで各コーダピンが、それぞれのアパーチャ216、218、および220の中に延ばされて、駆動電極と、場合によっては板部材240上の接地接触子と係合する。
【0095】
上部部品200内のアパーチャは、ドッキングステーションの対応する部品との位置合わせをし易くするために過大に寸法決めされることが可能である。これは、センサーと流体通路との適正な位置決めが、純粋に、位置付けピンと挿入部材202との間の相互作用の位置によって達成されることによる。
【0096】
図10および図11に示されたカートリッジは、図6および図7の実施形態に多くの点で同じであり、したがって対応する構成要素は図6および図7で使用された参照符号によって示されている。
【0097】
したがって、最初のハウジングの上部部品は参照符号200によって示され、参照符号202は十字形の挿入部材を示す。図10の配置は図6および図7の実施形態とは3つの点で異なっている。
【0098】
最初に、脚部228と230は挿入部材202と一体的に形成され、凹所226内のハウジングの部品200に接着されて、脚部228と230の両側の横開口部を画定する。さらに、薄膜246は開口部を1つだけ有し、したがって円形状またはひし形形状のフローセルを1つだけ画定する。その結果、石英水晶板部材240は駆動電極を1つだけ担持し、コーダピンおよびフェルールへの連結用のアパーチャの数は相応に減る(即ち、コーダピン用のアパーチャが2つ、流体連結用の入口/出口アパーチャが1対だけ存在する)。
【0099】
図11に示されたセンサーは、図6に示されたものとは異なっている。即ち、水晶240と挿入部材202によって画定されたフローセルの面が凹所260の壁によって、また薄膜246によって分離されるように、挿入部材202が薄膜246にその周囲で交わる凹所260(円形形状またはひし形形状)を担持しているという点で異なっている。凹所260はフローセルの容量を増大させ、その球により多くの特徴物が収容されることを可能にする。さらに、凹所の使用は、水晶240を挿入部材202に取り付けるためにより薄い接着テープが使用されることを可能にする。
【0100】
図12および図13は、凹所260の面と板部材240との間の反射の結果として、フローセル内の試料内で定在波(いわゆる縦モード)が設定される傾向を軽減または解消することを目的とした挿入部材260に対する変更を示している。
【0101】
図12では、板部材240の反対側の凹所260の面は一連の窪みを担持しており、図13では、凹所260の高さが、先細りのフローセルを画定するように一方辺から他方辺へと徐々に変化している。傾斜角度は明確にするために誇張されている。実際には、角度は、変換器の動作時の周波数とフローセルの寸法とに応じて数度程度となる。
【0102】
図14で示されたカートリッジは、カートリッジの第3実施形態の特徴物と極めて類似した多くの特徴物を有する。したがって、これらの特徴は、図6および図7で使用された参照符号に100を足したものによって示されている。
【0103】
この特定の場合では、挿入部材302は長方形であり、フィンガ321から324の間隔および幾何形状は、挿入部材302がハウジングの部品300内に収容されることを可能にするようなものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体からなる試料を分析する装置用のカートリッジであって、少なくとも2つの部品と前記部品の1つに表面を備えた試料受取りセルとを有したハウジングと、前記表面から離隔された電気機械的変換器を備えたセンサーと、センサーをハウジングの部品の1つに取り付けており、ハウジングの前記部品のうちの1つだけに取り付けられた接着薄膜とを備える、カートリッジ。
【請求項2】
セルの一部を画定するハウジングの表面が、センサーが取り付けられたハウジングの部品上にあり、表面が前記薄膜によってセンサーから離隔されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
ハウジングの他方の部品が、セルが位置付けられた凹所を含む、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
凹所がセルを取り囲んでいる、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
凹所と表面が薄膜の全体が含まれる空洞を画定している、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
ハウジングの部品が、ハウジングの部品を第1の軸に沿った部品同士の相対的なせん断運動を防止するように互いに位置付けるように互いに係合している、請求項1から5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記係合が、第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿ったハウジングの2つの部品の相対的なせん断運動も防止する、請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
ハウジングの部品が互いにかみ合っている、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
ハウジングの部品の一方が他方に取り付けられている、請求項7または8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
ハウジングの部品が薄膜から離隔された領域で互いに結合されている、請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
ハウジングの部品が接着剤によって互いに結合されている、請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
接着剤が剛性である、請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
センサーが取り付けられたハウジングの部品が剛性であり、95Gpa以上のヤング係数を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
ハウジングの各部品がそれぞれの板部材を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
セルの一部を構成した表面を有したハウジングの部品が、板部材を備え、ハウジングの他方の部品内の凹所用の挿入部材であり、前記挿入部材が前記ハウジングの他方の部品よりも高剛性である、請求項1から14のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項16】
セルがフローセルであり、挿入部材内のアパーチャとして形成された流体入口と流体出口を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項17】
挿入部材が十字形状である、請求項15に記載のカートリッジ。
【請求項18】
カートリッジが、セルからの流体の任意の漏れに対して1つまたは複数の排水溝を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項19】
1つまたは複数の排水溝がハウジングの部品の一方にチャネルまたは水路を備える、請求項18に記載のカートリッジ。
【請求項20】
変換器が多数の感知領域を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項21】
変換器が横せん断モード圧電共鳴器を備える、請求項17に記載のカートリッジ。
【請求項22】
変換器が石英水晶を備える、請求項17または21に記載のカートリッジ。
【請求項23】
ハウジングの部品同士は、ハウジングの他方の部品が、セルの一部を画定したハウジングの部品を支持する1つまたは複数の表面を提供するように、互いに接触し、かつセルの一部を画定したハウジングの部品が、完全支持梁を形成するように、空洞の両側から1つの軸に沿って反対方向に延在する、請求項1から22のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項24】
前記係合が、第1の軸および第2の軸に対して垂直の第3の軸に沿った、互いに向かう、または離れる部品の相対的な動きも防止する、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項1】
流体からなる試料を分析する装置用のカートリッジであって、少なくとも2つの部品と前記部品の1つに表面を備えた試料受取りセルとを有したハウジングと、前記表面から離隔された電気機械的変換器を備えたセンサーと、センサーをハウジングの部品の1つに取り付けており、ハウジングの前記部品のうちの1つだけに取り付けられた接着薄膜とを備える、カートリッジ。
【請求項2】
セルの一部を画定するハウジングの表面が、センサーが取り付けられたハウジングの部品上にあり、表面が前記薄膜によってセンサーから離隔されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
ハウジングの他方の部品が、セルが位置付けられた凹所を含む、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
凹所がセルを取り囲んでいる、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
凹所と表面が薄膜の全体が含まれる空洞を画定している、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
ハウジングの部品が、ハウジングの部品を第1の軸に沿った部品同士の相対的なせん断運動を防止するように互いに位置付けるように互いに係合している、請求項1から5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記係合が、第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿ったハウジングの2つの部品の相対的なせん断運動も防止する、請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
ハウジングの部品が互いにかみ合っている、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
ハウジングの部品の一方が他方に取り付けられている、請求項7または8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
ハウジングの部品が薄膜から離隔された領域で互いに結合されている、請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
ハウジングの部品が接着剤によって互いに結合されている、請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
接着剤が剛性である、請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
センサーが取り付けられたハウジングの部品が剛性であり、95Gpa以上のヤング係数を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
ハウジングの各部品がそれぞれの板部材を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
セルの一部を構成した表面を有したハウジングの部品が、板部材を備え、ハウジングの他方の部品内の凹所用の挿入部材であり、前記挿入部材が前記ハウジングの他方の部品よりも高剛性である、請求項1から14のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項16】
セルがフローセルであり、挿入部材内のアパーチャとして形成された流体入口と流体出口を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項17】
挿入部材が十字形状である、請求項15に記載のカートリッジ。
【請求項18】
カートリッジが、セルからの流体の任意の漏れに対して1つまたは複数の排水溝を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項19】
1つまたは複数の排水溝がハウジングの部品の一方にチャネルまたは水路を備える、請求項18に記載のカートリッジ。
【請求項20】
変換器が多数の感知領域を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項21】
変換器が横せん断モード圧電共鳴器を備える、請求項17に記載のカートリッジ。
【請求項22】
変換器が石英水晶を備える、請求項17または21に記載のカートリッジ。
【請求項23】
ハウジングの部品同士は、ハウジングの他方の部品が、セルの一部を画定したハウジングの部品を支持する1つまたは複数の表面を提供するように、互いに接触し、かつセルの一部を画定したハウジングの部品が、完全支持梁を形成するように、空洞の両側から1つの軸に沿って反対方向に延在する、請求項1から22のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項24】
前記係合が、第1の軸および第2の軸に対して垂直の第3の軸に沿った、互いに向かう、または離れる部品の相対的な動きも防止する、請求項7に記載のカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−505106(P2010−505106A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529757(P2009−529757)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003659
【国際公開番号】WO2008/037989
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003659
【国際公開番号】WO2008/037989
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
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