流体配管系統の流路遮断方法及び管内流路遮断装置
【課題】両連結フランジ部の接合面間での流路遮断作業を、管内流体の漏洩を回避しながら少ない労力で能率良く確実、容易に行う。
【解決手段】両連結フランジ部2A,3Aの接合面間にシール材4を介装した状態で締結具5にて締付け連結されている両管部2,3に、締結具5の緩み操作を許容する状態で両連結フランジ部2A,3Aの外周を密封状態で囲繞可能で、かつ、両管部2,3の流路Wを遮断可能な薄板状の仕切板弁8が抜き差し操作自在に設けられている遮断作業カバーBを装着し、この遮断作業カバーBの仕切板弁8を、締結具5の緩み操作によって発生した両連結フランジ部2A,3A間の隙間Sを通して流路遮断位置にまで差し入れることにより、両連結フランジ部2A,3A間において流路を遮断することを特徴とする。
【解決手段】両連結フランジ部2A,3Aの接合面間にシール材4を介装した状態で締結具5にて締付け連結されている両管部2,3に、締結具5の緩み操作を許容する状態で両連結フランジ部2A,3Aの外周を密封状態で囲繞可能で、かつ、両管部2,3の流路Wを遮断可能な薄板状の仕切板弁8が抜き差し操作自在に設けられている遮断作業カバーBを装着し、この遮断作業カバーBの仕切板弁8を、締結具5の緩み操作によって発生した両連結フランジ部2A,3A間の隙間Sを通して流路遮断位置にまで差し入れることにより、両連結フランジ部2A,3A間において流路を遮断することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道配管系統等の流体配管系統の構成部材のうち、両管部の連結フランジ部同士をそれらの接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結してあるフランジ接合箇所において、それよりも下流側に位置する補修弁、消火栓、空気弁等の交換のために流路を遮断する流路遮断方法及びそれに用いられる管内流路遮断装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体配管系統の流路遮断方法では、例えば、フランジ接合箇所の下流側管部に接続された又は下流側管部自体を構成する補修弁、消火栓等の劣化による漏水や故障等が発生して、新しい補修弁等に取り替える必要が生じたとき、図19、図20に示すように、上流側の管部2に、それの外周面に径方向外方から当て付け可能なステンレス鋼製の一対の挾持帯100と、両挾持帯100の端部同士を挾持側に引寄せ固定する引寄せボルト101・ナット102からなるバンド103を装着する。
【0003】
このバンド103の両引寄せボルト101の各々には、両管部2,3の流路を遮断可能な薄板状の仕切板弁(止水板)104の長手方向両端に切欠き形成された係合凹部104aに対して係合可能なナット105を螺合してある仮止めボルト106が起伏揺動自在に取付けられているとともに、仕切板弁104の下面には、上流側管部2の連結フランジ部2Aに対して径方向外方から係合するL字状の係止片107が固着されている。
【0004】
次に、両管部2,3の連結フランジ部2A,3A同士を締付け連結するための締結具108を構成する4組の締結ボルト109・ナット110のうち、仕切板弁104の差し込み移動経路中に位置する一方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を取外し、仕切板弁104の差し込み方向に対して直交する他方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を徐々に緩み操作しながら、上流側管部2の連結フランジ部2Aと接合面間に介装されているシール材の一例である板パッキン111との間に仕切板弁104を差し込んだのち、この差し込まれた仕切板弁104の両係合凹部104aにバンド103の両仮止めボルト106を係入し、それに螺合されているナット105を締付け側に螺合操作して、上流側管部2の連結フランジ部2Aに当て付け固定された仕切板弁104によって止水する。
【0005】
次に、他方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110も取外し、古い板パッキン111及び補修弁を撤去したのち、新しい板パッキン111及び補修弁を装着し、他方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を仮止め状態で取付けるとともに、仕切板弁104の両係合凹部104aから両仮止めボルト106を抜き出す。
【0006】
この状態で板パッキン111がずれないように調整しながら仕切板弁104を引き抜いた後、他方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を本締めするとともに、一方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を取付けて本締めする(非特許文献1参照)。
【0007】
【非特許文献1】第45回全国水道研究発表会 平成6年5月(5−34)不断水による消火栓の取替事例
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の流体配管系統の流路遮断方法では、不断水状態のまま補修弁等を取り替えることができるばかりでなく、両管部2,3の連結フランジ部2A,3A同士を締付け連結している締結ボルト109・ナット110のうち、仕切板弁104の差し込み経路内に位置する締結ボルト109・ナット110を取り外したのち、他の締結ボルト109・ナット110を緩み操作して、その緩み操作に連れて発生する両連結フランジ部2A,3A間の隙間を通して仕切板弁104を差し入れることにより、管内流路を遮断することができるので、施工コストの低廉化と施工期間の短縮化を図ることができる反面、締結ボルト109・ナット110を緩み操作した瞬間に、両連結フランジ部2A,3A間に形成された隙間を通して管内流体が外部に噴出するばかりでなく、噴出流体が仕切板弁104の差し入れ抵抗となり、しかも、両連結フランジ部2A,3A間の隙間を極力小さくする必要があるため、仕切板弁104の差し入れ操作に手間取り易い。
【0009】
特に、両連結フランジ部2A,3Aの接合面間に介装されている板パッキン111が波打つたり、或いは、両連結フランジ部2A,3Aの接合面間に亘って板パッキン111の一部が貼り付いている場合では、板パッキン111の一部を押し切りながら仕切板弁104を差し入れることになるため、管内流路が遮断されるまでの管内流体の総噴出量が増大する。
【0010】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、両連結フランジ部の接合面間の隙間から外部に噴出する流体の圧力に抗して蔽板弁を差し込み操作する従来方法に比して、両連結フランジ部の接合面間での流路遮断作業を、管内流体の漏洩を抑制しながら少ない労力で能率良く確実、容易に行うことのできる流体配管系統の流路遮断方法及び管内流路遮断装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による第1の特徴構成は、流体配管系統において、両連結フランジ部の接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結されている両管部に、締結具の緩み操作を許容する状態で両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞可能で、かつ、両管部の流路を遮断可能な薄板状の仕切板弁が抜き差し操作自在に設けられている遮断作業カバーを装着し、この遮断作業カバーの仕切板弁を、締結具の緩み操作によって発生した両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで差し入れることにより、両連結フランジ部間において流路を遮断する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、例えば、両管部のフランジ接合箇所の下流側管部に接続された又は下流側管部自体を構成する補修弁、消火栓等の劣化による漏水や故障等が発生して、新しい補修弁、消火栓等に取り替える必要が生じたとき、両管部に遮断作業カバーを装着して、両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞したのち、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作する。この緩み操作に連れて両連結フランジ部間の隙間から流出した流体は遮断作業カバー内に充満するものの、外部に漏洩することはない又は外部への流体の漏洩量を大幅に減少することができる。
それ故に、両連結フランジ部間の隙間を仕切板弁の板厚よりも十分に大きくすることが可能で、しかも、遮断作業カバー内に流体が充満した状態では管路内圧と略等しくなっているため、この遮断作業カバーに設けられている薄板状の仕切板弁を両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0013】
従って、従来方法のように両連結フランジ部の接合面間の隙間から外部に噴出する流体の圧力に抗して仕切板弁を差し込み操作する必要がなく、両連結フランジ部の接合面間での流路遮断作業を、管内流体の漏洩を抑制しながら少ない労力で能率良く確実、容易に行うことができる。
【0014】
本発明による第2の特徴構成は、前記遮断作業カバーに設けられた隙間形成手段によって、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げたのち、遮断作業カバーの仕切板弁を、両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで差し入れる点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作しても、両連結フランジ部間に緩み操作代に相当する隙間が形成されなかったり、或いは、フランジ接合箇所に存在する融通範囲内で下流側管部の連結フランジ部に対して上流側管部の連結フランジ部が傾動しても、遮断作業カバーに設けられている隙間形成手段によって、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を強制的に押し広げることにより、両連結フランジ部間に緩み操作代に相当する隙間を確実に形成することができるので、両管部に装着した遮断作業カバーによって両連結フランジ部の外周を密封状態に囲繞しながらも、遮断作業カバーに設けられている仕切板弁を両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0016】
本発明による第3の特徴構成は、両連結フランジ部の接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結されている両管部に対して、それらの両連結フランジ部の外周を密封する状態で装着自在な遮断作業カバーに、締結具の緩み操作によって発生した両連結フランジ部間の隙間を通して管内流路を遮断する位置にまで差込み移動自在な薄板状の仕切板弁と、この仕切板弁を密封状態で流路遮断位置と流路開放位置とに摺動案内する摺動ガイド手段が設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、例えば、両管部のフランジ接合箇所の下流側管部に接続された又は下流側管部自体を構成する補修弁、消火栓等の劣化による漏水や故障等が発生して、新しい補修弁、消火栓等に取り替える必要が生じたとき、両管部に遮断作業カバーを装着して、両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞したのち、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作する。この緩み操作に連れて両連結フランジ部間の隙間から流出した流体は遮断作業カバー内に充満するものの、外部に漏洩することはない又は外部への流体の漏洩量を大幅に減少することができる。
それ故に、両連結フランジ部間の隙間を仕切板弁の板厚よりも十分に大きくすることが可能で、しかも、遮断作業カバー内に流体が充満した状態では管路内圧と略等しくなっているため、この遮断作業カバーに設けられている薄板状の仕切板弁を、摺動ガイド手段によって摺動案内されながら両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0018】
従って、従来方法のように両連結フランジ部の接合面間の隙間から外部に噴出する流体の圧力に抗して仕切板弁を差し込み操作する必要がなく、しかも、仕切板弁を密封状態で流路遮断位置と流路開放位置とにスムーズに摺動案内することができるので、両連結フランジ部の接合面間での流路遮断作業を、管内流体の漏洩を抑制しながら少ない労力で能率良く確実、容易に行うことができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記遮断作業カバーの周方向複数箇所に、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げる隙間形成手段が設けられている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作しても、両連結フランジ部間に緩み操作代に相当する隙間が形成されなかつたり、或いは、フランジ接合箇所に存在する融通範囲内で下流側管部の連結フランジ部に対して上流側管部の連結フランジ部が傾動しても、遮断作業カバーの周方向複数箇所に設けられている隙間形成手段によって、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を強制的に押し広げることにより、両連結フランジ部間に緩み操作代に相当する隙間を確実に形成することができるとともに、その隙間の周方向での開口幅の均等化を図ることができるので、両管部に装着した遮断作業カバーによって両連結フランジ部の外周を密封状態に囲繞しながらも、遮断作業カバーに設けられている仕切板弁を両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記遮断作業カバーが、各連結フランジ部の外周面に弾性力で圧接される環状のシール部を備えた環状弾性シール材と、この環状弾性シール材を径方向外方から締付け固定する分割構造の締付け輪とから構成されているとともに、環状弾性シール材及び締付け輪には、仕切板弁の差込み移動を許容する開口が形成されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、遮断作業カバーの一方の構成部材である環状弾性シール材を両管部に外装したとき、それの環状シール部が各連結フランジ部の外周面に圧接されるときの弾性力で両管部に仮保持させることができるので、環状弾性シール材自体の位置調整のみならず、環状弾性シール材に対する分割構造の締付け輪の装着作業も容易に行うことができる。それでいて、環状弾性シール材と分割構造の締付け輪とにより、両連結フランジ部の外周を密封状態で確実、強固に囲繞することができる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記環状弾性シール材の内周面に、両連結フランジ部の外周面の隣接間にわたって接触する環状の第2シール部が一体形成され、その第2シール部の一部に仕切板弁の差込み移動を許容する開口が形成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、環状弾性シール材の第2シール部により、仕切板弁の差込み移動箇所を除く両連結フランジ部の隣接間を予備的に閉塞することができるから、遮断作業カバーによる密封性を高めることができる。
【0025】
本発明による第7の特徴構成は、前記隙間形成手段が、遮断作業カバーの周方向複数箇所において、両連結フランジ部間の隙間に対して径方向外方から入り込み移動するテーパー面を備えた複数の分離ボルトから構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、遮断作業カバーの周方向複数箇所に設けた複数の分離ボルトを締め込み操作することにより、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げて、両連結フランジ部間の隙間の周方向での開口幅の均等化を図ることができる。
【0026】
本発明による第8の特徴構成は、前記隙間形成手段の分離ボルトは、それのボルト軸芯が仕切板弁の移動平面を通る平面上又はその近傍に位置する状態で締付け輪に取付けられている点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、遮断作業カバーの周方向複数箇所に設けた複数の分離ボルトを締め込み操作して、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げたとき、その押し広げられた隙間の中央位置又はその近傍に仕切板弁の移動平面が位置することになり、仕切板弁の差し込み操作をスムーズに行うことができる。
【0028】
本発明による第9の特徴構成は、前記締結具が、一方の連結フランジ部の外面との間を密封するためのOリングを頭部の当接面に設けてあるボルトと、他方の連結フランジ部の外面との間を密封するためのOリングを当接面に設けてある袋ナットから構成されている点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、例えば、両管部のフランジ接合箇所の下流側管部に接続された又は下流側管部自体を構成する補修弁、消火栓等の劣化による漏水や故障等が発生して、新しい補修弁、消火栓等に取り替える必要が生じたとき、両管部に遮断作業カバーを装着して、両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞したのち、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作する。この緩み操作に連れて両連結フランジ部間に隙間が発生しても、一方の連結フランジ部とボルトの頭部との当接、及び他方の連結フランジ部と袋ナットとの当接が維持されているので、それらの各当接面間に位置するOリングによって、連結フランジ部に貫通形成されているボルト挿通孔を通しての流体の漏洩を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
図1、図2は流体配管系統中の管接続構造を示し、流体管の一例である鋳鉄管製の水道管1の途中に一体的に突出形成された上流側管部としての分岐管部2の連結フランジ部2Aに、下流側管部としての連結管3の上流側連結フランジ部3Aが、それらの接合面間にシール材の一例であるシートパッキン4を介装した状態で複数組(当該実施形態では4組)のボルト5A・袋ナット5Bからなる第1締結具5にて密封状態で脱着自在に締付け連結されているとともに、この連結管3の下流側連結フランジ部3Bには、流体機器又は配管材の一例である補修弁6の上流側連結フランジ部6Aが、それらの接合面間にシール材の一例であるシートパッキン4を介装した状態で複数組のボルト7A・ナット7Bからなる第2締結具7にて密封状態で脱着自在に締付け連結され、更に、補修弁6の下流側連結フランジ部6Bには、必要に応じて流体機器又は配管材の一例である消火栓等が密封状態で脱着自在に締付け連結される。
【0031】
そして、前記分岐管部2と連結管3とにわたる部位には、水道管1内の上水の流れを維持した不断水状態のまま、劣化による漏水や故障等の理由で補修弁6を取り替える必要が発生したとき、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとの間において、水道管1の管軸芯X1に対して直交する分岐軸芯X2方向の管内流路Wを遮断する管内流路遮断装置Aが組付けられている。
【0032】
この管内流路遮断装置Aには、図1〜図9に示すように、分岐管部2と連結管3に対して、それらの両連結フランジ部2A,3Aの外周を密封する状態で脱着自在に装着可能な遮断作業カバーBと、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bの緩み操作によって発生した両連結フランジ部2A,3Aの接合面間の隙間Sを通して管内流路Wを遮断する位置にまで差込み移動自在な薄板状の仕切板弁8と、この仕切板弁8を密封状態で流路遮断位置と流路開放操作位置とに摺動案内する摺動ガイド手段Cが主要構成として備えられているとともに、前記遮断作業カバーBの周方向複数箇所(当該実施形態では周方向の三箇所)には、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bの緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3Aの接合面間を押し広げる隙間形成手段Dが設けられている。
【0033】
前記第1締結具5としては、通常仕様の複数組(当該実施形態では4組)のボルト5C,5Dと密封機能に優れた防水仕様の複数組(当該実施形態では4組)のボルト5A・袋ナット5Bからなり、補修弁6を取り替え工事の開始時には、通常仕様のボルト5C,5Dから防水仕様のボルト5A・袋ナット5Bに取り替え、更に、取り替え工事の終了時に防水仕様のボルト5A・袋ナット5Bから通常仕様のボルト5C,5Dに取り替える。
【0034】
前記遮断作業カバーBは、図1〜図6に示すように、各連結フランジ部2A,3Aの外周面に対して径方向外方から圧接可能な横断面視略半円形状の環状の第1シール部11a及び両連結フランジ部2A,3Aの外周面の隣接間に径方向外方に向かって開口形成されている環状凹部25に対して一部が入り込む状態で径方向外方から圧接可能な横断面視略半円形状の環状の第2シール部11bを備えた環状弾性シール材11と、この環状弾性シール材11を径方向外方から締付け固定する二分割構造の締付け輪12とから構成されている。
【0035】
前記環状弾性シール材11は、図6〜図9に示すように、接合面間に仕切板弁8を差し込み可能な設定最大隙間Sが形成されているときにおける両連結フランジ部2A,3Aの分岐軸芯X2方向での外面間隔と等しい又は略等しい幅で円環状に一体成形されているとともに、それの内周面のうち、両連結フランジ部2A,3Aの隣接間中央位置に対応する幅方向中央位置に一体形成される第2シール部11bの径方向内方への突出代が、各連結フランジ部2A,3Aの外周面に対応する幅方向両側位置に一体形成される第1シール部11aの径方向内方への突出代よりも大に構成され、更に、両第1シール部11aの最小内径及び第2シール部11bの最小内径が、連結フランジ部2A,3Aの外周面の外径よりも小に構成されている。
【0036】
また、前記環状弾性シール材11の第2シール部11bの一部には、仕切板弁8の差込み移動を許容する開口11cが形成され、この開口11cの周方向両側脇に位置する部位と開口11cに径方向で相対向する部位との合計三箇所には、隙間形成手段Dを構成する分離ボルト13の先端側が径方向外方から貫通する貫通孔11dが形成されている。
【0037】
前記締付け輪12は、図1〜図6に示すように、環状弾性シール材11の分岐軸芯X2方向幅よりも大きな分岐軸芯X2方向幅に構成された略半円弧状の一対の締付け分割輪12Aと、各締付け分割輪12Aの周方向両端部に固着された連結片12Bのうち、仕切板弁8の抜き差し方向で相対向する連結片12B同士を引寄せ固定するボルト12C・ナット12Dから構成されていて、ボルト12C・ナット12Dが設定トルクで締め付け操作されたとき、第1締結具5の緩み操作に伴う分岐管部2と連結管3との水圧による相対離脱移動を許容する状態で、環状弾性シール材11の両第1シール部11aが両連結フランジ部2A,3Aの外周面に設定圧接力で密封圧接されると同時に、環状弾性シール材11の第2シール部11bが両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に設定圧接力で密封圧接されるように構成されている。
【0038】
また、一方の締付け分割輪12Aのうち、環状弾性シール材11の開口11に径方向で相対向する周方向中央位置には、仕切板弁8の弁板8Aの横断面形状よりも若干大きな相似形で、かつ、仕切板弁8の抜き差し移動を摺動案内する機能を備えたスリット状の開口12aが貫通形成されているとともに、両締付け分割輪12Aにおける環状弾性シール材11の各貫通孔11dに径方向で相対向する周方向の三箇所には、隙間形成手段Dを構成する分離ボルト13が径方向外方から貫通する貫通孔12bが形成されている。
【0039】
前記仕切板弁8は、図3、図4に示すように、分岐管部2及び連結管3の外径よりも少し大なる幅を有し、かつ、先端縁8aが半円形状に形成された薄板状(当該実施形態では板厚が3.2mm)の弁板8Aと、この弁板8Aの後端縁の中央位置に固着された操作伝達軸8Bと、この操作伝達軸8Bの後端部に螺合固定された操作ハンドル8Cとから構成されている。
【0040】
また、前記弁板8Aの半円先端縁8aは、それの板厚方向中央位置に先鋭端が位置する状態で断面V字状に面取り加工されている。
【0041】
前記摺動ガイド手段Cを構成するに、図1〜図5に示すように、一方の締付け分割輪12Aに、仕切板弁8の半円弧状先端縁8aの一部がスリット状開口12aに対して摺動自在に入り込む状態で弁板8Aの大部分を収納可能な収納空間14を備えた弁ケース15が固着されているとともに、弁ケース15の後端部に形成された連結フランジ部15Aには、仕切板弁8の操作伝達軸8Bを仕切板弁8の抜き差し方向に移動自在に摺動案内する蓋体16がボルト17にて締付け固定され、更に、蓋体16には、仕切板弁8の操作伝達軸8Bの外周面との間を密封するOリング18が設けられている。
【0042】
前記隙間形成手段Dを構成するに、図2〜図5に示すように、両締付け分割輪12Aの外周面の各貫通孔12bに臨む部位には、分離ボルト13の雄ネジ部13aに螺合する雌ネジ部20aを備えたネジ筒体20が固着されているとともに、各分離ボルト13の先端部には、両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に対して径方向外方から進入することにより、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bの緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3Aの接合面間を押し広げるテーパー面13bが形成されている。
【0043】
更に、前記各分離ボルト13は、図6に示すように、それのボルト軸芯が仕切板弁8の弁体8Aの移動平面を通る平面上又はその近傍に位置する状態で締付け輪12の各締付け分割輪12Aに取付けられているとともに、各分離ボルト13の後端部には、ネジ筒体20の外部からレンチ等の操作具で螺合操作するための操作係合穴13cが形成され、更に、ネジ筒体20の内周面には、各分離ボルト13の外周面との間を密封するOリング21が設けられている。
【0044】
また、前記第1締結具5の防水仕様用のボルト5Aにおける頭部の当接面及び防水仕様用の袋ナット5Bの当接面の各々には、分岐管部2の連結フランジ部2Aの外面又は連結管3の上流側連結フランジ部3Aの外面との間を密封するOリング22,23が設けられている。
【0045】
そのため、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の連結フランジ部3Aとを締付け連結している第1締結具5の緩み操作に連れて両連結フランジ部2A,3A間に隙間Sが発生しても、一方の連結フランジ部3Aとボルト5Aの頭部との当接、及び他方の連結フランジ部2Aと袋ナット5Bとの当接が維持されているので、それらの各当接面間に位置するOリング22,23によって、連結フランジ部2A,3Aに貫通形成されているボルト挿通孔を通しての流体の漏洩を抑制することができる。
【0046】
次に、上述の如く構成された管内流路遮断装置Aを用いての流体配管系統の流路遮断方法について説明する。
先ず、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の連結フランジ部3Aとを締付け連結している第1締結具5の通常仕様の複数組のボルト5C,5D(図18参照)を、一組又は二組単位で防水仕様のボルト5A・袋ナット5Bに取り替える。
【0047】
図1、図2に示すように、遮断作業カバーBの環状弾性シール材11を弾性復元力に抗して拡径変形させた状態で補修弁6を経由して分岐管部2の連結フランジ部2Aの外周面と連結管3の上流側連結フランジ部3Aの外周面とにわたる部位に外装すると、この環状弾性シール材11の縮径側への弾性復帰により、環状弾性シール材11の両第1シール部11aが両連結フランジ部2A,3Aの外周面に設定圧接力よりも小さな弾性力で圧接されると同時に、環状弾性シール材11の第2シール部11bが両連結フランジ部2A,3Aの隣接間に形成されている環状凹部25に一部が入り込む状態で設定圧接力よりも小さな弾性力で圧接され、環状弾性シール材11が両連結フランジ部2A,3Aに弾性力で保持される。
【0048】
次に、前記環状弾性シール材11の外周面に遮断作業カバーBの一対の締付け分割輪12Aを当て付け、各締付け分割輪12Aの周方向両端部に固着された連結片12Bのうち、仕切板弁8の抜き差し方向で相対向する連結片12B同士を、ボルト12C・ナット12Dにて引寄せ固定し、第1締結具5の緩み操作に伴う分岐管部2と連結管3との水圧による相対離脱移動を許容する状態で、環状弾性シール材11の両第1シール部11aが両連結フランジ部2A,3Aの外周面に設定圧接力で密封圧接されると同時に、環状弾性シール材11の第2シール部11bが両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に設定圧接力で密封圧接される。
【0049】
このように遮断作業カバーBが分岐管部2及び連結管3に取付けられた状態では、仕切板弁8の薄板状弁板8Aの大部分が、摺動ガイド手段Cを構成する弁ケース15の収納空間14内に収納され、仕切板弁8の半円弧状先端縁8aの一部のみが締付け輪12のスリット状開口12aに摺動自在に入り込んでいる。
【0050】
また、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bの緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3Aの接合面間を押し広げるための隙間形成手段Dを構成する各分離ボルト13は、それのテーパー面13bが両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に臨むだけで、それ以外の大部分は両締付け分割輪12Aの外周面に固着されたネジ筒体20内に保持されている。
【0051】
次に、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bを設定隙間Sに相当する寸法分だけ緩み操作して、両連結フランジ部2A,3Aの接合面間に、仕切板弁8の薄板状弁板8Aが少し余裕をもって進入可能な隙間Sを現出する。このとき、各分離ボルト13の後端部(径方向外方側端部)に形成されている操作係合穴13cをレンチ等の操作具で回転操作して、両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に臨む各分離ボルト13のテーパー面13bを径方向内方側に螺合移動させ、第1締結具5の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3A間を強制的に押し広げる。
【0052】
それ故に、連結フランジ部2A,3Aを締付け連結している第1締結具5を緩み操作しても、両連結フランジ部2A,3A間に緩み操作代に相当する隙間Sが形成されなかったり、或いは、フランジ接合箇所に存在する融通範囲内で分岐管部2の連結フランジ部2Aに対して連結管3の上流側連結フランジ部3Aが傾動しても、遮断作業カバーBの周方向複数箇所に設けられている分離ボルト13によって、第1締結具5の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3A間を強制的に押し広げることにより、両連結フランジ部2A,3A間に緩み操作代に相当する設定隙間Sを確実に形成することができるとともに、その設定隙間Sの周方向での開口幅の均等化を図ることができるので、分岐管部2及び連結管3に装着した遮断作業カバーBによって両連結フランジ部2A,3Aの外周を密封状態に囲繞しながらも、遮断作業カバーBに設けられている仕切板弁8の薄板状弁板8Aを両連結フランジ部2A,3Aの接合面間の設定隙間Sを通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0053】
そして、図10に示すように、両連結フランジ部2A,3Aの接合面間の設定隙間Sを通して仕切板弁8の薄板状弁板8Aを流路遮断位置にまで差し込み操作すると、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとの間において、水道管1の管軸芯X1に対して直交する分岐軸芯X2方向の管内流路Wが遮断される。
【0054】
次に、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとの接合面間に介装されるシール材の一例であるシートパッキン4が、仕切板弁8の薄板状弁板8Aの流路遮断位置への差し込み操作によって損傷していない又は劣化していない場合には、図11に示すように、上述の管内流路Wの遮断状態において、連結管3の下流側連結フランジ部3Bと補修弁6の上流側連結フランジ部6Aとを締付け連結している第2締結具7のボルト7A・ナット7Bを取り外し、新たな補修弁6に取り替える。
【0055】
新たな補修弁6の取り替えが終了すると、流路遮断位置にある仕切板弁8の薄板状弁板8Aを流路開放位置にまで引き抜き操作するとともに、遮断作業カバーBの周方向複数箇所に設けられている分離ボルト13を隙間解除位置にまで緩み操作したのち、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bを締め付け操作して、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとを密封状態で締付け連結する。その後、分岐管部2及び連結管3から遮断作業カバーBを撤去したのち、第1締結具5の防水仕様のボルト5A・袋ナット5Bを、一組又は二組単位で通常仕様のボルト5C,5Dに取り替える。
【0056】
また、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとの接合面間に介装されるシール材の一例であるシートパッキン4が、仕切板弁8の薄板状弁板8Aの流路遮断位置への差し込み操作によって損傷するか、又は劣化していて、新しいシートパッキン4と取り替える必要が生じた場合には、補修弁6を取り外して作業用開閉弁52を取付け、この作業用開閉弁52に、下流側管部としての連結管3内の流路Wを通して上流側管部としての分岐管部2内の流路Wを遮断する流路遮断装置Eを取り付け、シートパッキン4及び補修弁6を取り替える方法を採ることになる。
【0057】
この方法に使用される流路遮断装置Eは、図12〜図17に示すように、作業用開閉弁52の下流側連結フランジ部52Bに対して密封状態で連結可能な連結フランジ部54Aを備えた有底筒状の蓋体54の底壁部54Bに、この底壁部54Bの中央部を密封状態で軸芯方向に摺動自在に貫通する筒状の第1操作軸55と、この第1操作軸55内を軸芯方向に摺動自在に貫通する第2操作軸56とが設けられ、この第1操作軸55及び第2操作軸56の内端側には、分岐管部2内の流路Wを遮断するための閉塞手段Fと、この閉塞手段Fによる遮蔽箇所よりも上流側の大径管壁部、つまり、水道管1の分岐流路開口周縁に対して係合可能な拡径姿勢に屈曲しながら張り出す係止リンク57,58対を備えた抜止め手段Gが設けられているとともに、閉塞手段F及び抜止め手段Gを外部から両操作軸55,56を介して操作する操作手段Hが設けられている。
【0058】
次に、前記閉塞手段Fについて説明する。
図16に示すように、第1操作軸55の内端部に、円環状の押圧面60A及び先端側に向かって同芯円で開口する中空部60Bを備えた第1押圧板60が外嵌固定され、第2操作軸56の内端側には、第1押圧板60の押圧面60Aと軸芯方向で相対向する円環状の押圧面61A及び第1押圧板60の中空部60Bに対して軸芯方向から摺動自在に内嵌する筒状部61Bを備えた第2押圧板61が、軸芯方向に摺動自在に外嵌されているとともに、第2操作軸56に対する第2押圧板61の上流側への最大移動位置を設定するストッパー用のナット62とロック用のナット63が、第2操作軸56の内端側に形成されたネジ軸部56aに螺合されている。
【0059】
前記第1押圧板60の外径及び第2押圧板61の外径は、蓋体54内の格納室54Cから作業用開閉弁52及び連結管3を通して水道管1の分岐管部2内に出し入れ操作することができるように、分岐管部2と連結管3の各内径及び作業用開閉弁52のボール弁体52Cにおける流路52Dの内径よりも小なる外径に形成されている。
【0060】
また、前記第2押圧板61の筒状部61Bには、非加圧状態(自然状態)で作業用開閉弁52のボール弁体52Cにおける流路52Dの内径よりも小なる外径に形成され、かつ、両押圧板60,61の押圧面60A,61Aによる軸芯方向からの挟圧により、分岐管部2の内周壁面に密着する拡径状態に弾性変形してその内周壁面と両押圧板60,61の外周部との間を遮蔽するゴム製の拡径用弾性体59が外装されている。
【0061】
前記拡径用弾性体59の軸芯方向中央部は、図12〜図14に示すように、軸芯方向両端部よりも大径に構成されているとともに、その大径中央部の外周面は、それの軸芯方向中央位置が最も外方に突出する部分球状面に形成されている。
【0062】
また、図16に示すように、前記第1押圧板60の押圧面60Aの外周側端面部分及び第2押圧板61の押圧面61Aの外周側端面部分の各々が、拡径用弾性体59の両端面における外周側環状傾斜面59aに対して軸芯方向から密着接当するように、半径方向外方ほど拡径用弾性体59の軸芯方向中央位置側に位置する環状傾斜押圧面に形成されているとともに、第1押圧板60の押圧面60Aの外周縁側及び第2押圧板61の押圧面61Aの外周縁には、拡径用弾性体59の軸芯方向両端部の外周面に接触状態で外嵌な環状押さえ部60C,61Cが形成されている。
【0063】
次に、前記抜止め手段Gについて説明する。
図16に示すように、第2押圧板61の上流側端面の周方向三箇所に、下流側の係止リンク58の端部が揺動自在に枢支連結される板状の連結部65が固着されているとともに、第2操作軸56の内端側ネジ軸部56aに摺動自在に外嵌された取付け筒体66の外周面の周方向三箇所には、上流側の係止リンク57の端部が揺動自在に枢支連結される板状の連結部67が固着され、更に、第2操作軸56に対する取付け筒体66の上流側への最大移動位置を設定するストッパー用のナット68が、第2操作軸56の内端側ネジ軸部56aの先端側に螺合されている。
【0064】
そして、第2押圧板61の連結部65と取付け筒体66の連結部67とのうち、軸芯方向で相対向する三組の連結部65,67に亘って夫々係止リンク57,58対が枢支連結されていて、図16に示すように、第1操作軸55に対する第2操作軸56の外端側への摺動に連動して、拡径用弾性体59による遮蔽箇所よりも上流側の内周壁面、つまり、水道管1の分岐流路開口周縁に対して係合可能な拡径姿勢に屈曲しながら張り出すように構成されているとともに、図12、図13に示すように、抜止め手段Jの係止リンク57,58対が縮径姿勢に伸展されたとき、係止リンク57,58対の屈曲枢支部P2が径方向外方に突出位置する外側腰折れ姿勢、つまり、係止リンク57,58対の屈曲枢支連結点P2が、取付け筒体66の連結部67に対する枢支連結点P1と第2押圧板61の連結部65に対する枢支連結点P3とを結ぶ線分よりも径方向外方に突出位置する外側腰折れ姿勢に接当規制する反転防止手段Jが設けられている。
【0065】
前記反転防止手段Jを構成するに、図16に示すように、取付け筒体66の下流側端部に、径方向内方に伸展揺動する三つの上流側係止リンク57の側辺に当接して、各上流側係止リンク57を最も線分に近接する設定限界の外側腰折れ姿勢で受止めるリング状の弾性矯正体71が装着されている。
【0066】
次に、前記操作手段Hについて説明する。
図12〜図15に示すように、前記第1操作軸55は、第1押圧板60に対して軸芯方向から嵌合固定される長尺の操作本体筒軸55Aと、この操作本体筒軸55Aの外端側に嵌合固定される操作延長筒軸55Bとからなり、この操作延長筒軸55Bの内周面が正六角形の異径内周面に形成されている。
【0067】
前記第2操作軸56は、内端側ネジ軸部56aを備えた長尺の操作本体軸56Aと、この操作本体軸56Aの外端側に螺合固定される操作延長軸56Bとからなり、この操作延長軸56Bには、第1操作軸55の操作延長筒軸55Bの端部にスラストベアリング75を介して当接可能な操作ネジ部材76が螺合する外端側ネジ軸部56bと、第1操作軸55の操作延長筒軸55Bに相対回転不能な状態で軸芯方向にのみ摺動自在に嵌合する外周面が正六角形に形成された大径の角軸部56cが形成されている。
【0068】
そして、前記操作ネジ部材76を締付け側に螺合操作すると、図15に示すように、第2操作軸56に対して第1操作軸55が内端側に押込み摺動され、第2押圧板61に対する第1押圧板60の近接移動に伴う挟圧作用により、非圧縮状態にある拡径用弾性体59が分岐管部2の内周壁面に密着する拡径状態に弾性変形して、その分岐管部2内の流路Wを密封状態で遮蔽する。
【0069】
また、前記第1操作軸55の操作延長筒軸55Bには、一対の第1押え操作杆77が脱着自在に嵌合保持されているとともに、この両第1押え操作杆77には、第2操作軸56の操作延長軸56Bに脱着自在に嵌合保持された第2押え操作杆78に対して係脱操作自在で、係合状態では水圧に抗して第1操作軸55に対する第2操作軸56の外端側への摺動を阻止する第1係止リング79と、蓋体54の底壁部54Bに固着されたL型の一対の係止片80に対して係脱操作自在で、係合状態では水圧に抗して蓋体54に対する第1操作軸55の外端側への摺動を阻止する第2係止リング81が設けられている。
【0070】
次に、上述の如く構成された流路遮断装置Eを用いてのシートパッキン4及び補修弁6を取り替える方法を説明する。
[1]図11に示すように、前記連結管3の下流側連結フランジ部3Aと取り替え対象の補修弁6の上流側連結フランジ部6Aとを締付け連結している第2締結具7のボルト7A・ナット7Bを緩み操作して、取り替え対象の補修弁6を取り外したのち、連結管3の下流側連結フランジ部3Aに、作業用開閉弁52の上流側連結フランジ部52Aを第2締結具7のボルト7A・ナット7Bで締付け連結する。
【0071】
[2]図12に示すように、作業用開閉弁52のボール弁体52Cを閉じ操作し、流路遮断位置にある仕切板弁8の薄板状弁板8Aを流路開放位置にまで引き抜き操作したのち、作業用開閉弁52の下流側連結フランジ部52Bに、流路遮断装置Eの蓋体54の連結フランジ部54Aを第2締結具7のボルト7A・ナット7Bで締付け連結する。
【0072】
このとき、一対の第1係止リング79を第2押え操作杆78に係合させたまま、一対の第2係止リング81を蓋体54の両係止片80から取り外し、両操作軸55,56を蓋体54に対して上方に引き上げ移動させ、閉塞手段F及び抜止め手段Gを蓋体54の格納室54C内に格納する。
【0073】
また、両操作軸55,56の軸芯方向での位置関係は、両第1係止リング79によって規制されていて、その状態では両押圧板60,61の対向間隔が拡径用弾性体59を圧縮しない又はそれに近い間隔に設定されているため、拡径用弾性体59は縮径状態に維持されている。
【0074】
[3]図13に示すように、作業用開閉弁52を開き操作して、両操作軸55,56を蓋体54に対して下方に押し込み移動させ、一対の第2係止リング81を蓋体54の両係止片80に係合して、両操作軸55,56を押し込み操作位置に保持する。
このとき、抜止め手段Gは、分岐管部2内の流路Wよりも横断面積の大きな水道管1内に位置している。
【0075】
[4]次に、図14に示すように、一対の第1係止リング79を第2押え操作杆78から取り外すとともに、第2操作軸56の操作延長軸56Bから第2押え操作杆78を取り外すと、水道管1を流動する水道水の水圧又はこの水圧と人為的な引き上げ操作力とによって、第2操作軸56が第1操作軸55に対して外端側(図の上方側)に摺動し、これに連動して第2押圧板61の連結部65と取付け筒体66の連結部67とに亘って枢支連結された係止リンク57,58対が拡径姿勢に屈曲しながら張り出す。
【0076】
この状態で、図15に示すように、両第2係止リング81を蓋体54の両係止片80から取り外し、水道水の水圧又はこの水圧と人為的な引き上げ操作力とによって、両操作軸55,56を蓋体54に対して上方に摺動させると、拡径姿勢に屈曲した係止リンク57,58対が、拡径用弾性体59による流路遮蔽箇所よりも上流側の内周壁面、つまり、水道管1の分岐流路開口周縁に対して係合する。
【0077】
[5]図15、図16に示すように、操作ネジ部材76を人為的に締付け側に螺合操作すると、第2操作軸56に対して第1操作軸55が内端側(図の下方側)に押込み摺動され、第2押圧板61に対する第1押圧板60の近接移動に伴う挟圧作用により、縮径状態にある拡径用弾性体59が分岐管部2の内周壁面に密着する拡径状態に弾性変形して、その分岐管部2の内周壁面と両押圧板60,61の外周部との間が密封状態で遮蔽される。
【0078】
[6]次に、図15、図17に示すように、蓋体54の排水管82に接続した水栓83の開閉操作レバー83Aを開き操作して放水させ、その放水が止まることで止水を確認したのち、第1押え操作杆77、蓋体54を除去したのち、作業用開閉弁52及び連結管3を水道管1の分岐管部2から取り外す。
【0079】
その後、図18に示すように、分岐管部2の連結フランジ部2Aに、連結管3の上流側連結フランジ部3Aを、それらの接合面間に新しいシートパッキン4を介装した状態で複数組の通常仕様のボルト5C,5Dからなる第1締結具5にて密封状態で脱着自在に締付け連結したのち、この連結管3の下流側連結フランジ部3Bに、新しい補修弁6の上流側連結フランジ部6Aを、それらの接合面間に新しいシートパッキン4を介装した状態で複数組のボルト7A・ナット7Bからなる第2締結具7にて密封状態で脱着自在に締付け連結する。
【0080】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、水道管等の流体管1の途中に分岐管部2を一体形成してある流体配管系統について説明したが、流体管1に、それの周方向に沿って脱着自在に固定連結される複数の分割継手体を備え、かつ、一つの分割継手体に流体管1に形成された貫通孔に対して管径方向から連通する分岐管部2を突設してある管継手が装着されているとともに、管継手の分岐管部に開閉弁が取付けられている流体配管系統に本願発明の技術を適用してもよい。
【0081】
(2)上述の第1実施形態では、遮断作業カバーBの弾性シール材11を環状に一体形成したが、この弾性シール材11を周方向で複数に分割してもよい。
要するに、遮断作業カバーBとしては、両連結フランジ部2A,3Aの外周を密封する状態で両管部2,3に対して脱着自在に装着することのできるものであればよい。
【0082】
(3)上述の第1実施形態では、前記隙間形成手段Dを、遮断作業カバーBの周方向複数箇所において、両連結フランジ部2A,3A間の隙間Sに対して径方向外方から入り込み移動するテーパー面13bを備えた複数の分離ボルト13から構成したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、径方向内方に入り込み付勢された複数の楔部材を設けて実施してもよい。
要するに、前記隙間形成手段Dとしては、第1締結具5の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3Aの接合面間を強制的に押し広げることのできるものであれば、如何なる構造のものを採用してもよい。
【0083】
(4)上述の第1実施形態では、前記仕切板弁8を、分岐管部2及び連結管3の外径よりも少し大なる幅をする薄板状の弁板8Aと、この弁板8Aの後端縁に固着された操作伝達軸8Bと、この操作伝達軸8Bの後端部に螺合固定された操作ハンドル8Cとから構成したが、この仕切板弁8を、分岐管部2及び連結管3の外径よりも少し大なる幅をする薄板状の弁板8Aのみから構成してもよい。
要するに、前記仕切板弁8としては、第1締結具5の緩み操作によって発生した両連結フランジ部2A,3A間の隙間Sを通して管内流路Wを遮断する位置にまで差込み移動自在な薄板状のものであれば、如何なる形状のものを用いてもよい。
【0084】
(5)また、前記摺動ガイド手段Cとしては、仕切板弁8を密封状態で流路遮断位置と流路開放位置とにわたって摺動案内することのできるものであれば、如何なる構造のものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本願発明の流体配管系統の流路遮断方法を示し、管内流路遮断装置を装着したときの側面図
【図2】管内流路遮断装置を装着したときの一部切欠き側面図
【図3】管内流路遮断装置を装着したときの水平断面図
【図4】管内流路遮断装置の拡大断面側面図
【図5】両連結フランジ部と環状弾性シール材との関係を示す要部の拡大断面図
【図6】仕切弁体と分離ボルトとの関係を示す要部の拡大断面図
【図7】環状弾性シール材の斜視図
【図8】環状弾性シール材の断面図
【図9】環状弾性シール材の正面図
【図10】仕切弁体を流路遮断位置に差し込み操作したときの一部切欠き側面図
【図11】補修弁を作業用開閉弁に取り替えるときの一部切欠き側面図
【図12】作業用開閉弁に流路遮断装置を取付けたときの一部切欠き側面図
【図13】閉塞手段及び抜止め手段を水道管側に下降させたときの一部切欠き側面図
【図14】抜止め手段のリンク対を拡径姿勢に屈曲させたときの一部切欠き側面図
【図15】拡径用弾性体で流路を遮断したときの一部切欠き側面図
【図16】拡径用弾性体で流路を遮断したときの要部の拡大断面図
【図17】第1押え操作杆、蓋体を除去したのち、作業用開閉弁及び連結管を水道管の分岐管部から取り外したときの一部切欠き側面図
【図18】新しいシートパッキン及び新しい補修弁に取り替えたときの側面図
【図19】従来の流路遮断方法を示す要部の断面正面図
【図20】要部の断面平面図
【符号の説明】
【0086】
B 遮断作業カバー
C 摺動ガイド手段
D 隙間形成手段
S 隙間
W 管内流路
2 分岐管部(上流側管部)
2A 連結フランジ部
3 連結管(下流側管部)
3A 連結フランジ部(上流側連結フランジ部)
4 シール材(シートパッキン)
5 締結具(第1締結具)
5A ボルト
5B 袋ナット
8 仕切体弁
11 環状弾性シール材
11a 第1シール部
11b 第2シール部
11c 開口
12 締付け輪
13 分離ボルト
22 Oリング
23 Oリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道配管系統等の流体配管系統の構成部材のうち、両管部の連結フランジ部同士をそれらの接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結してあるフランジ接合箇所において、それよりも下流側に位置する補修弁、消火栓、空気弁等の交換のために流路を遮断する流路遮断方法及びそれに用いられる管内流路遮断装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体配管系統の流路遮断方法では、例えば、フランジ接合箇所の下流側管部に接続された又は下流側管部自体を構成する補修弁、消火栓等の劣化による漏水や故障等が発生して、新しい補修弁等に取り替える必要が生じたとき、図19、図20に示すように、上流側の管部2に、それの外周面に径方向外方から当て付け可能なステンレス鋼製の一対の挾持帯100と、両挾持帯100の端部同士を挾持側に引寄せ固定する引寄せボルト101・ナット102からなるバンド103を装着する。
【0003】
このバンド103の両引寄せボルト101の各々には、両管部2,3の流路を遮断可能な薄板状の仕切板弁(止水板)104の長手方向両端に切欠き形成された係合凹部104aに対して係合可能なナット105を螺合してある仮止めボルト106が起伏揺動自在に取付けられているとともに、仕切板弁104の下面には、上流側管部2の連結フランジ部2Aに対して径方向外方から係合するL字状の係止片107が固着されている。
【0004】
次に、両管部2,3の連結フランジ部2A,3A同士を締付け連結するための締結具108を構成する4組の締結ボルト109・ナット110のうち、仕切板弁104の差し込み移動経路中に位置する一方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を取外し、仕切板弁104の差し込み方向に対して直交する他方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を徐々に緩み操作しながら、上流側管部2の連結フランジ部2Aと接合面間に介装されているシール材の一例である板パッキン111との間に仕切板弁104を差し込んだのち、この差し込まれた仕切板弁104の両係合凹部104aにバンド103の両仮止めボルト106を係入し、それに螺合されているナット105を締付け側に螺合操作して、上流側管部2の連結フランジ部2Aに当て付け固定された仕切板弁104によって止水する。
【0005】
次に、他方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110も取外し、古い板パッキン111及び補修弁を撤去したのち、新しい板パッキン111及び補修弁を装着し、他方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を仮止め状態で取付けるとともに、仕切板弁104の両係合凹部104aから両仮止めボルト106を抜き出す。
【0006】
この状態で板パッキン111がずれないように調整しながら仕切板弁104を引き抜いた後、他方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を本締めするとともに、一方の中心線上の二組の締結ボルト109・ナット110を取付けて本締めする(非特許文献1参照)。
【0007】
【非特許文献1】第45回全国水道研究発表会 平成6年5月(5−34)不断水による消火栓の取替事例
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の流体配管系統の流路遮断方法では、不断水状態のまま補修弁等を取り替えることができるばかりでなく、両管部2,3の連結フランジ部2A,3A同士を締付け連結している締結ボルト109・ナット110のうち、仕切板弁104の差し込み経路内に位置する締結ボルト109・ナット110を取り外したのち、他の締結ボルト109・ナット110を緩み操作して、その緩み操作に連れて発生する両連結フランジ部2A,3A間の隙間を通して仕切板弁104を差し入れることにより、管内流路を遮断することができるので、施工コストの低廉化と施工期間の短縮化を図ることができる反面、締結ボルト109・ナット110を緩み操作した瞬間に、両連結フランジ部2A,3A間に形成された隙間を通して管内流体が外部に噴出するばかりでなく、噴出流体が仕切板弁104の差し入れ抵抗となり、しかも、両連結フランジ部2A,3A間の隙間を極力小さくする必要があるため、仕切板弁104の差し入れ操作に手間取り易い。
【0009】
特に、両連結フランジ部2A,3Aの接合面間に介装されている板パッキン111が波打つたり、或いは、両連結フランジ部2A,3Aの接合面間に亘って板パッキン111の一部が貼り付いている場合では、板パッキン111の一部を押し切りながら仕切板弁104を差し入れることになるため、管内流路が遮断されるまでの管内流体の総噴出量が増大する。
【0010】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、両連結フランジ部の接合面間の隙間から外部に噴出する流体の圧力に抗して蔽板弁を差し込み操作する従来方法に比して、両連結フランジ部の接合面間での流路遮断作業を、管内流体の漏洩を抑制しながら少ない労力で能率良く確実、容易に行うことのできる流体配管系統の流路遮断方法及び管内流路遮断装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による第1の特徴構成は、流体配管系統において、両連結フランジ部の接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結されている両管部に、締結具の緩み操作を許容する状態で両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞可能で、かつ、両管部の流路を遮断可能な薄板状の仕切板弁が抜き差し操作自在に設けられている遮断作業カバーを装着し、この遮断作業カバーの仕切板弁を、締結具の緩み操作によって発生した両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで差し入れることにより、両連結フランジ部間において流路を遮断する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、例えば、両管部のフランジ接合箇所の下流側管部に接続された又は下流側管部自体を構成する補修弁、消火栓等の劣化による漏水や故障等が発生して、新しい補修弁、消火栓等に取り替える必要が生じたとき、両管部に遮断作業カバーを装着して、両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞したのち、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作する。この緩み操作に連れて両連結フランジ部間の隙間から流出した流体は遮断作業カバー内に充満するものの、外部に漏洩することはない又は外部への流体の漏洩量を大幅に減少することができる。
それ故に、両連結フランジ部間の隙間を仕切板弁の板厚よりも十分に大きくすることが可能で、しかも、遮断作業カバー内に流体が充満した状態では管路内圧と略等しくなっているため、この遮断作業カバーに設けられている薄板状の仕切板弁を両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0013】
従って、従来方法のように両連結フランジ部の接合面間の隙間から外部に噴出する流体の圧力に抗して仕切板弁を差し込み操作する必要がなく、両連結フランジ部の接合面間での流路遮断作業を、管内流体の漏洩を抑制しながら少ない労力で能率良く確実、容易に行うことができる。
【0014】
本発明による第2の特徴構成は、前記遮断作業カバーに設けられた隙間形成手段によって、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げたのち、遮断作業カバーの仕切板弁を、両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで差し入れる点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作しても、両連結フランジ部間に緩み操作代に相当する隙間が形成されなかったり、或いは、フランジ接合箇所に存在する融通範囲内で下流側管部の連結フランジ部に対して上流側管部の連結フランジ部が傾動しても、遮断作業カバーに設けられている隙間形成手段によって、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を強制的に押し広げることにより、両連結フランジ部間に緩み操作代に相当する隙間を確実に形成することができるので、両管部に装着した遮断作業カバーによって両連結フランジ部の外周を密封状態に囲繞しながらも、遮断作業カバーに設けられている仕切板弁を両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0016】
本発明による第3の特徴構成は、両連結フランジ部の接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結されている両管部に対して、それらの両連結フランジ部の外周を密封する状態で装着自在な遮断作業カバーに、締結具の緩み操作によって発生した両連結フランジ部間の隙間を通して管内流路を遮断する位置にまで差込み移動自在な薄板状の仕切板弁と、この仕切板弁を密封状態で流路遮断位置と流路開放位置とに摺動案内する摺動ガイド手段が設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、例えば、両管部のフランジ接合箇所の下流側管部に接続された又は下流側管部自体を構成する補修弁、消火栓等の劣化による漏水や故障等が発生して、新しい補修弁、消火栓等に取り替える必要が生じたとき、両管部に遮断作業カバーを装着して、両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞したのち、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作する。この緩み操作に連れて両連結フランジ部間の隙間から流出した流体は遮断作業カバー内に充満するものの、外部に漏洩することはない又は外部への流体の漏洩量を大幅に減少することができる。
それ故に、両連結フランジ部間の隙間を仕切板弁の板厚よりも十分に大きくすることが可能で、しかも、遮断作業カバー内に流体が充満した状態では管路内圧と略等しくなっているため、この遮断作業カバーに設けられている薄板状の仕切板弁を、摺動ガイド手段によって摺動案内されながら両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0018】
従って、従来方法のように両連結フランジ部の接合面間の隙間から外部に噴出する流体の圧力に抗して仕切板弁を差し込み操作する必要がなく、しかも、仕切板弁を密封状態で流路遮断位置と流路開放位置とにスムーズに摺動案内することができるので、両連結フランジ部の接合面間での流路遮断作業を、管内流体の漏洩を抑制しながら少ない労力で能率良く確実、容易に行うことができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記遮断作業カバーの周方向複数箇所に、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げる隙間形成手段が設けられている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作しても、両連結フランジ部間に緩み操作代に相当する隙間が形成されなかつたり、或いは、フランジ接合箇所に存在する融通範囲内で下流側管部の連結フランジ部に対して上流側管部の連結フランジ部が傾動しても、遮断作業カバーの周方向複数箇所に設けられている隙間形成手段によって、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を強制的に押し広げることにより、両連結フランジ部間に緩み操作代に相当する隙間を確実に形成することができるとともに、その隙間の周方向での開口幅の均等化を図ることができるので、両管部に装着した遮断作業カバーによって両連結フランジ部の外周を密封状態に囲繞しながらも、遮断作業カバーに設けられている仕切板弁を両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記遮断作業カバーが、各連結フランジ部の外周面に弾性力で圧接される環状のシール部を備えた環状弾性シール材と、この環状弾性シール材を径方向外方から締付け固定する分割構造の締付け輪とから構成されているとともに、環状弾性シール材及び締付け輪には、仕切板弁の差込み移動を許容する開口が形成されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、遮断作業カバーの一方の構成部材である環状弾性シール材を両管部に外装したとき、それの環状シール部が各連結フランジ部の外周面に圧接されるときの弾性力で両管部に仮保持させることができるので、環状弾性シール材自体の位置調整のみならず、環状弾性シール材に対する分割構造の締付け輪の装着作業も容易に行うことができる。それでいて、環状弾性シール材と分割構造の締付け輪とにより、両連結フランジ部の外周を密封状態で確実、強固に囲繞することができる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記環状弾性シール材の内周面に、両連結フランジ部の外周面の隣接間にわたって接触する環状の第2シール部が一体形成され、その第2シール部の一部に仕切板弁の差込み移動を許容する開口が形成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、環状弾性シール材の第2シール部により、仕切板弁の差込み移動箇所を除く両連結フランジ部の隣接間を予備的に閉塞することができるから、遮断作業カバーによる密封性を高めることができる。
【0025】
本発明による第7の特徴構成は、前記隙間形成手段が、遮断作業カバーの周方向複数箇所において、両連結フランジ部間の隙間に対して径方向外方から入り込み移動するテーパー面を備えた複数の分離ボルトから構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、遮断作業カバーの周方向複数箇所に設けた複数の分離ボルトを締め込み操作することにより、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げて、両連結フランジ部間の隙間の周方向での開口幅の均等化を図ることができる。
【0026】
本発明による第8の特徴構成は、前記隙間形成手段の分離ボルトは、それのボルト軸芯が仕切板弁の移動平面を通る平面上又はその近傍に位置する状態で締付け輪に取付けられている点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、遮断作業カバーの周方向複数箇所に設けた複数の分離ボルトを締め込み操作して、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げたとき、その押し広げられた隙間の中央位置又はその近傍に仕切板弁の移動平面が位置することになり、仕切板弁の差し込み操作をスムーズに行うことができる。
【0028】
本発明による第9の特徴構成は、前記締結具が、一方の連結フランジ部の外面との間を密封するためのOリングを頭部の当接面に設けてあるボルトと、他方の連結フランジ部の外面との間を密封するためのOリングを当接面に設けてある袋ナットから構成されている点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、例えば、両管部のフランジ接合箇所の下流側管部に接続された又は下流側管部自体を構成する補修弁、消火栓等の劣化による漏水や故障等が発生して、新しい補修弁、消火栓等に取り替える必要が生じたとき、両管部に遮断作業カバーを装着して、両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞したのち、両管部の連結フランジ部を締付け連結している締結具を緩み操作する。この緩み操作に連れて両連結フランジ部間に隙間が発生しても、一方の連結フランジ部とボルトの頭部との当接、及び他方の連結フランジ部と袋ナットとの当接が維持されているので、それらの各当接面間に位置するOリングによって、連結フランジ部に貫通形成されているボルト挿通孔を通しての流体の漏洩を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
図1、図2は流体配管系統中の管接続構造を示し、流体管の一例である鋳鉄管製の水道管1の途中に一体的に突出形成された上流側管部としての分岐管部2の連結フランジ部2Aに、下流側管部としての連結管3の上流側連結フランジ部3Aが、それらの接合面間にシール材の一例であるシートパッキン4を介装した状態で複数組(当該実施形態では4組)のボルト5A・袋ナット5Bからなる第1締結具5にて密封状態で脱着自在に締付け連結されているとともに、この連結管3の下流側連結フランジ部3Bには、流体機器又は配管材の一例である補修弁6の上流側連結フランジ部6Aが、それらの接合面間にシール材の一例であるシートパッキン4を介装した状態で複数組のボルト7A・ナット7Bからなる第2締結具7にて密封状態で脱着自在に締付け連結され、更に、補修弁6の下流側連結フランジ部6Bには、必要に応じて流体機器又は配管材の一例である消火栓等が密封状態で脱着自在に締付け連結される。
【0031】
そして、前記分岐管部2と連結管3とにわたる部位には、水道管1内の上水の流れを維持した不断水状態のまま、劣化による漏水や故障等の理由で補修弁6を取り替える必要が発生したとき、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとの間において、水道管1の管軸芯X1に対して直交する分岐軸芯X2方向の管内流路Wを遮断する管内流路遮断装置Aが組付けられている。
【0032】
この管内流路遮断装置Aには、図1〜図9に示すように、分岐管部2と連結管3に対して、それらの両連結フランジ部2A,3Aの外周を密封する状態で脱着自在に装着可能な遮断作業カバーBと、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bの緩み操作によって発生した両連結フランジ部2A,3Aの接合面間の隙間Sを通して管内流路Wを遮断する位置にまで差込み移動自在な薄板状の仕切板弁8と、この仕切板弁8を密封状態で流路遮断位置と流路開放操作位置とに摺動案内する摺動ガイド手段Cが主要構成として備えられているとともに、前記遮断作業カバーBの周方向複数箇所(当該実施形態では周方向の三箇所)には、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bの緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3Aの接合面間を押し広げる隙間形成手段Dが設けられている。
【0033】
前記第1締結具5としては、通常仕様の複数組(当該実施形態では4組)のボルト5C,5Dと密封機能に優れた防水仕様の複数組(当該実施形態では4組)のボルト5A・袋ナット5Bからなり、補修弁6を取り替え工事の開始時には、通常仕様のボルト5C,5Dから防水仕様のボルト5A・袋ナット5Bに取り替え、更に、取り替え工事の終了時に防水仕様のボルト5A・袋ナット5Bから通常仕様のボルト5C,5Dに取り替える。
【0034】
前記遮断作業カバーBは、図1〜図6に示すように、各連結フランジ部2A,3Aの外周面に対して径方向外方から圧接可能な横断面視略半円形状の環状の第1シール部11a及び両連結フランジ部2A,3Aの外周面の隣接間に径方向外方に向かって開口形成されている環状凹部25に対して一部が入り込む状態で径方向外方から圧接可能な横断面視略半円形状の環状の第2シール部11bを備えた環状弾性シール材11と、この環状弾性シール材11を径方向外方から締付け固定する二分割構造の締付け輪12とから構成されている。
【0035】
前記環状弾性シール材11は、図6〜図9に示すように、接合面間に仕切板弁8を差し込み可能な設定最大隙間Sが形成されているときにおける両連結フランジ部2A,3Aの分岐軸芯X2方向での外面間隔と等しい又は略等しい幅で円環状に一体成形されているとともに、それの内周面のうち、両連結フランジ部2A,3Aの隣接間中央位置に対応する幅方向中央位置に一体形成される第2シール部11bの径方向内方への突出代が、各連結フランジ部2A,3Aの外周面に対応する幅方向両側位置に一体形成される第1シール部11aの径方向内方への突出代よりも大に構成され、更に、両第1シール部11aの最小内径及び第2シール部11bの最小内径が、連結フランジ部2A,3Aの外周面の外径よりも小に構成されている。
【0036】
また、前記環状弾性シール材11の第2シール部11bの一部には、仕切板弁8の差込み移動を許容する開口11cが形成され、この開口11cの周方向両側脇に位置する部位と開口11cに径方向で相対向する部位との合計三箇所には、隙間形成手段Dを構成する分離ボルト13の先端側が径方向外方から貫通する貫通孔11dが形成されている。
【0037】
前記締付け輪12は、図1〜図6に示すように、環状弾性シール材11の分岐軸芯X2方向幅よりも大きな分岐軸芯X2方向幅に構成された略半円弧状の一対の締付け分割輪12Aと、各締付け分割輪12Aの周方向両端部に固着された連結片12Bのうち、仕切板弁8の抜き差し方向で相対向する連結片12B同士を引寄せ固定するボルト12C・ナット12Dから構成されていて、ボルト12C・ナット12Dが設定トルクで締め付け操作されたとき、第1締結具5の緩み操作に伴う分岐管部2と連結管3との水圧による相対離脱移動を許容する状態で、環状弾性シール材11の両第1シール部11aが両連結フランジ部2A,3Aの外周面に設定圧接力で密封圧接されると同時に、環状弾性シール材11の第2シール部11bが両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に設定圧接力で密封圧接されるように構成されている。
【0038】
また、一方の締付け分割輪12Aのうち、環状弾性シール材11の開口11に径方向で相対向する周方向中央位置には、仕切板弁8の弁板8Aの横断面形状よりも若干大きな相似形で、かつ、仕切板弁8の抜き差し移動を摺動案内する機能を備えたスリット状の開口12aが貫通形成されているとともに、両締付け分割輪12Aにおける環状弾性シール材11の各貫通孔11dに径方向で相対向する周方向の三箇所には、隙間形成手段Dを構成する分離ボルト13が径方向外方から貫通する貫通孔12bが形成されている。
【0039】
前記仕切板弁8は、図3、図4に示すように、分岐管部2及び連結管3の外径よりも少し大なる幅を有し、かつ、先端縁8aが半円形状に形成された薄板状(当該実施形態では板厚が3.2mm)の弁板8Aと、この弁板8Aの後端縁の中央位置に固着された操作伝達軸8Bと、この操作伝達軸8Bの後端部に螺合固定された操作ハンドル8Cとから構成されている。
【0040】
また、前記弁板8Aの半円先端縁8aは、それの板厚方向中央位置に先鋭端が位置する状態で断面V字状に面取り加工されている。
【0041】
前記摺動ガイド手段Cを構成するに、図1〜図5に示すように、一方の締付け分割輪12Aに、仕切板弁8の半円弧状先端縁8aの一部がスリット状開口12aに対して摺動自在に入り込む状態で弁板8Aの大部分を収納可能な収納空間14を備えた弁ケース15が固着されているとともに、弁ケース15の後端部に形成された連結フランジ部15Aには、仕切板弁8の操作伝達軸8Bを仕切板弁8の抜き差し方向に移動自在に摺動案内する蓋体16がボルト17にて締付け固定され、更に、蓋体16には、仕切板弁8の操作伝達軸8Bの外周面との間を密封するOリング18が設けられている。
【0042】
前記隙間形成手段Dを構成するに、図2〜図5に示すように、両締付け分割輪12Aの外周面の各貫通孔12bに臨む部位には、分離ボルト13の雄ネジ部13aに螺合する雌ネジ部20aを備えたネジ筒体20が固着されているとともに、各分離ボルト13の先端部には、両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に対して径方向外方から進入することにより、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bの緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3Aの接合面間を押し広げるテーパー面13bが形成されている。
【0043】
更に、前記各分離ボルト13は、図6に示すように、それのボルト軸芯が仕切板弁8の弁体8Aの移動平面を通る平面上又はその近傍に位置する状態で締付け輪12の各締付け分割輪12Aに取付けられているとともに、各分離ボルト13の後端部には、ネジ筒体20の外部からレンチ等の操作具で螺合操作するための操作係合穴13cが形成され、更に、ネジ筒体20の内周面には、各分離ボルト13の外周面との間を密封するOリング21が設けられている。
【0044】
また、前記第1締結具5の防水仕様用のボルト5Aにおける頭部の当接面及び防水仕様用の袋ナット5Bの当接面の各々には、分岐管部2の連結フランジ部2Aの外面又は連結管3の上流側連結フランジ部3Aの外面との間を密封するOリング22,23が設けられている。
【0045】
そのため、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の連結フランジ部3Aとを締付け連結している第1締結具5の緩み操作に連れて両連結フランジ部2A,3A間に隙間Sが発生しても、一方の連結フランジ部3Aとボルト5Aの頭部との当接、及び他方の連結フランジ部2Aと袋ナット5Bとの当接が維持されているので、それらの各当接面間に位置するOリング22,23によって、連結フランジ部2A,3Aに貫通形成されているボルト挿通孔を通しての流体の漏洩を抑制することができる。
【0046】
次に、上述の如く構成された管内流路遮断装置Aを用いての流体配管系統の流路遮断方法について説明する。
先ず、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の連結フランジ部3Aとを締付け連結している第1締結具5の通常仕様の複数組のボルト5C,5D(図18参照)を、一組又は二組単位で防水仕様のボルト5A・袋ナット5Bに取り替える。
【0047】
図1、図2に示すように、遮断作業カバーBの環状弾性シール材11を弾性復元力に抗して拡径変形させた状態で補修弁6を経由して分岐管部2の連結フランジ部2Aの外周面と連結管3の上流側連結フランジ部3Aの外周面とにわたる部位に外装すると、この環状弾性シール材11の縮径側への弾性復帰により、環状弾性シール材11の両第1シール部11aが両連結フランジ部2A,3Aの外周面に設定圧接力よりも小さな弾性力で圧接されると同時に、環状弾性シール材11の第2シール部11bが両連結フランジ部2A,3Aの隣接間に形成されている環状凹部25に一部が入り込む状態で設定圧接力よりも小さな弾性力で圧接され、環状弾性シール材11が両連結フランジ部2A,3Aに弾性力で保持される。
【0048】
次に、前記環状弾性シール材11の外周面に遮断作業カバーBの一対の締付け分割輪12Aを当て付け、各締付け分割輪12Aの周方向両端部に固着された連結片12Bのうち、仕切板弁8の抜き差し方向で相対向する連結片12B同士を、ボルト12C・ナット12Dにて引寄せ固定し、第1締結具5の緩み操作に伴う分岐管部2と連結管3との水圧による相対離脱移動を許容する状態で、環状弾性シール材11の両第1シール部11aが両連結フランジ部2A,3Aの外周面に設定圧接力で密封圧接されると同時に、環状弾性シール材11の第2シール部11bが両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に設定圧接力で密封圧接される。
【0049】
このように遮断作業カバーBが分岐管部2及び連結管3に取付けられた状態では、仕切板弁8の薄板状弁板8Aの大部分が、摺動ガイド手段Cを構成する弁ケース15の収納空間14内に収納され、仕切板弁8の半円弧状先端縁8aの一部のみが締付け輪12のスリット状開口12aに摺動自在に入り込んでいる。
【0050】
また、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bの緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3Aの接合面間を押し広げるための隙間形成手段Dを構成する各分離ボルト13は、それのテーパー面13bが両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に臨むだけで、それ以外の大部分は両締付け分割輪12Aの外周面に固着されたネジ筒体20内に保持されている。
【0051】
次に、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bを設定隙間Sに相当する寸法分だけ緩み操作して、両連結フランジ部2A,3Aの接合面間に、仕切板弁8の薄板状弁板8Aが少し余裕をもって進入可能な隙間Sを現出する。このとき、各分離ボルト13の後端部(径方向外方側端部)に形成されている操作係合穴13cをレンチ等の操作具で回転操作して、両連結フランジ部2A,3Aの隣接間の環状凹部25に臨む各分離ボルト13のテーパー面13bを径方向内方側に螺合移動させ、第1締結具5の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3A間を強制的に押し広げる。
【0052】
それ故に、連結フランジ部2A,3Aを締付け連結している第1締結具5を緩み操作しても、両連結フランジ部2A,3A間に緩み操作代に相当する隙間Sが形成されなかったり、或いは、フランジ接合箇所に存在する融通範囲内で分岐管部2の連結フランジ部2Aに対して連結管3の上流側連結フランジ部3Aが傾動しても、遮断作業カバーBの周方向複数箇所に設けられている分離ボルト13によって、第1締結具5の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3A間を強制的に押し広げることにより、両連結フランジ部2A,3A間に緩み操作代に相当する設定隙間Sを確実に形成することができるとともに、その設定隙間Sの周方向での開口幅の均等化を図ることができるので、分岐管部2及び連結管3に装着した遮断作業カバーBによって両連結フランジ部2A,3Aの外周を密封状態に囲繞しながらも、遮断作業カバーBに設けられている仕切板弁8の薄板状弁板8Aを両連結フランジ部2A,3Aの接合面間の設定隙間Sを通して流路遮断位置にまで確実、スムーズに差し込み操作することができる。
【0053】
そして、図10に示すように、両連結フランジ部2A,3Aの接合面間の設定隙間Sを通して仕切板弁8の薄板状弁板8Aを流路遮断位置にまで差し込み操作すると、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとの間において、水道管1の管軸芯X1に対して直交する分岐軸芯X2方向の管内流路Wが遮断される。
【0054】
次に、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとの接合面間に介装されるシール材の一例であるシートパッキン4が、仕切板弁8の薄板状弁板8Aの流路遮断位置への差し込み操作によって損傷していない又は劣化していない場合には、図11に示すように、上述の管内流路Wの遮断状態において、連結管3の下流側連結フランジ部3Bと補修弁6の上流側連結フランジ部6Aとを締付け連結している第2締結具7のボルト7A・ナット7Bを取り外し、新たな補修弁6に取り替える。
【0055】
新たな補修弁6の取り替えが終了すると、流路遮断位置にある仕切板弁8の薄板状弁板8Aを流路開放位置にまで引き抜き操作するとともに、遮断作業カバーBの周方向複数箇所に設けられている分離ボルト13を隙間解除位置にまで緩み操作したのち、第1締結具5のボルト5A・袋ナット5Bを締め付け操作して、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとを密封状態で締付け連結する。その後、分岐管部2及び連結管3から遮断作業カバーBを撤去したのち、第1締結具5の防水仕様のボルト5A・袋ナット5Bを、一組又は二組単位で通常仕様のボルト5C,5Dに取り替える。
【0056】
また、分岐管部2の連結フランジ部2Aと連結管3の上流側連結フランジ部3Aとの接合面間に介装されるシール材の一例であるシートパッキン4が、仕切板弁8の薄板状弁板8Aの流路遮断位置への差し込み操作によって損傷するか、又は劣化していて、新しいシートパッキン4と取り替える必要が生じた場合には、補修弁6を取り外して作業用開閉弁52を取付け、この作業用開閉弁52に、下流側管部としての連結管3内の流路Wを通して上流側管部としての分岐管部2内の流路Wを遮断する流路遮断装置Eを取り付け、シートパッキン4及び補修弁6を取り替える方法を採ることになる。
【0057】
この方法に使用される流路遮断装置Eは、図12〜図17に示すように、作業用開閉弁52の下流側連結フランジ部52Bに対して密封状態で連結可能な連結フランジ部54Aを備えた有底筒状の蓋体54の底壁部54Bに、この底壁部54Bの中央部を密封状態で軸芯方向に摺動自在に貫通する筒状の第1操作軸55と、この第1操作軸55内を軸芯方向に摺動自在に貫通する第2操作軸56とが設けられ、この第1操作軸55及び第2操作軸56の内端側には、分岐管部2内の流路Wを遮断するための閉塞手段Fと、この閉塞手段Fによる遮蔽箇所よりも上流側の大径管壁部、つまり、水道管1の分岐流路開口周縁に対して係合可能な拡径姿勢に屈曲しながら張り出す係止リンク57,58対を備えた抜止め手段Gが設けられているとともに、閉塞手段F及び抜止め手段Gを外部から両操作軸55,56を介して操作する操作手段Hが設けられている。
【0058】
次に、前記閉塞手段Fについて説明する。
図16に示すように、第1操作軸55の内端部に、円環状の押圧面60A及び先端側に向かって同芯円で開口する中空部60Bを備えた第1押圧板60が外嵌固定され、第2操作軸56の内端側には、第1押圧板60の押圧面60Aと軸芯方向で相対向する円環状の押圧面61A及び第1押圧板60の中空部60Bに対して軸芯方向から摺動自在に内嵌する筒状部61Bを備えた第2押圧板61が、軸芯方向に摺動自在に外嵌されているとともに、第2操作軸56に対する第2押圧板61の上流側への最大移動位置を設定するストッパー用のナット62とロック用のナット63が、第2操作軸56の内端側に形成されたネジ軸部56aに螺合されている。
【0059】
前記第1押圧板60の外径及び第2押圧板61の外径は、蓋体54内の格納室54Cから作業用開閉弁52及び連結管3を通して水道管1の分岐管部2内に出し入れ操作することができるように、分岐管部2と連結管3の各内径及び作業用開閉弁52のボール弁体52Cにおける流路52Dの内径よりも小なる外径に形成されている。
【0060】
また、前記第2押圧板61の筒状部61Bには、非加圧状態(自然状態)で作業用開閉弁52のボール弁体52Cにおける流路52Dの内径よりも小なる外径に形成され、かつ、両押圧板60,61の押圧面60A,61Aによる軸芯方向からの挟圧により、分岐管部2の内周壁面に密着する拡径状態に弾性変形してその内周壁面と両押圧板60,61の外周部との間を遮蔽するゴム製の拡径用弾性体59が外装されている。
【0061】
前記拡径用弾性体59の軸芯方向中央部は、図12〜図14に示すように、軸芯方向両端部よりも大径に構成されているとともに、その大径中央部の外周面は、それの軸芯方向中央位置が最も外方に突出する部分球状面に形成されている。
【0062】
また、図16に示すように、前記第1押圧板60の押圧面60Aの外周側端面部分及び第2押圧板61の押圧面61Aの外周側端面部分の各々が、拡径用弾性体59の両端面における外周側環状傾斜面59aに対して軸芯方向から密着接当するように、半径方向外方ほど拡径用弾性体59の軸芯方向中央位置側に位置する環状傾斜押圧面に形成されているとともに、第1押圧板60の押圧面60Aの外周縁側及び第2押圧板61の押圧面61Aの外周縁には、拡径用弾性体59の軸芯方向両端部の外周面に接触状態で外嵌な環状押さえ部60C,61Cが形成されている。
【0063】
次に、前記抜止め手段Gについて説明する。
図16に示すように、第2押圧板61の上流側端面の周方向三箇所に、下流側の係止リンク58の端部が揺動自在に枢支連結される板状の連結部65が固着されているとともに、第2操作軸56の内端側ネジ軸部56aに摺動自在に外嵌された取付け筒体66の外周面の周方向三箇所には、上流側の係止リンク57の端部が揺動自在に枢支連結される板状の連結部67が固着され、更に、第2操作軸56に対する取付け筒体66の上流側への最大移動位置を設定するストッパー用のナット68が、第2操作軸56の内端側ネジ軸部56aの先端側に螺合されている。
【0064】
そして、第2押圧板61の連結部65と取付け筒体66の連結部67とのうち、軸芯方向で相対向する三組の連結部65,67に亘って夫々係止リンク57,58対が枢支連結されていて、図16に示すように、第1操作軸55に対する第2操作軸56の外端側への摺動に連動して、拡径用弾性体59による遮蔽箇所よりも上流側の内周壁面、つまり、水道管1の分岐流路開口周縁に対して係合可能な拡径姿勢に屈曲しながら張り出すように構成されているとともに、図12、図13に示すように、抜止め手段Jの係止リンク57,58対が縮径姿勢に伸展されたとき、係止リンク57,58対の屈曲枢支部P2が径方向外方に突出位置する外側腰折れ姿勢、つまり、係止リンク57,58対の屈曲枢支連結点P2が、取付け筒体66の連結部67に対する枢支連結点P1と第2押圧板61の連結部65に対する枢支連結点P3とを結ぶ線分よりも径方向外方に突出位置する外側腰折れ姿勢に接当規制する反転防止手段Jが設けられている。
【0065】
前記反転防止手段Jを構成するに、図16に示すように、取付け筒体66の下流側端部に、径方向内方に伸展揺動する三つの上流側係止リンク57の側辺に当接して、各上流側係止リンク57を最も線分に近接する設定限界の外側腰折れ姿勢で受止めるリング状の弾性矯正体71が装着されている。
【0066】
次に、前記操作手段Hについて説明する。
図12〜図15に示すように、前記第1操作軸55は、第1押圧板60に対して軸芯方向から嵌合固定される長尺の操作本体筒軸55Aと、この操作本体筒軸55Aの外端側に嵌合固定される操作延長筒軸55Bとからなり、この操作延長筒軸55Bの内周面が正六角形の異径内周面に形成されている。
【0067】
前記第2操作軸56は、内端側ネジ軸部56aを備えた長尺の操作本体軸56Aと、この操作本体軸56Aの外端側に螺合固定される操作延長軸56Bとからなり、この操作延長軸56Bには、第1操作軸55の操作延長筒軸55Bの端部にスラストベアリング75を介して当接可能な操作ネジ部材76が螺合する外端側ネジ軸部56bと、第1操作軸55の操作延長筒軸55Bに相対回転不能な状態で軸芯方向にのみ摺動自在に嵌合する外周面が正六角形に形成された大径の角軸部56cが形成されている。
【0068】
そして、前記操作ネジ部材76を締付け側に螺合操作すると、図15に示すように、第2操作軸56に対して第1操作軸55が内端側に押込み摺動され、第2押圧板61に対する第1押圧板60の近接移動に伴う挟圧作用により、非圧縮状態にある拡径用弾性体59が分岐管部2の内周壁面に密着する拡径状態に弾性変形して、その分岐管部2内の流路Wを密封状態で遮蔽する。
【0069】
また、前記第1操作軸55の操作延長筒軸55Bには、一対の第1押え操作杆77が脱着自在に嵌合保持されているとともに、この両第1押え操作杆77には、第2操作軸56の操作延長軸56Bに脱着自在に嵌合保持された第2押え操作杆78に対して係脱操作自在で、係合状態では水圧に抗して第1操作軸55に対する第2操作軸56の外端側への摺動を阻止する第1係止リング79と、蓋体54の底壁部54Bに固着されたL型の一対の係止片80に対して係脱操作自在で、係合状態では水圧に抗して蓋体54に対する第1操作軸55の外端側への摺動を阻止する第2係止リング81が設けられている。
【0070】
次に、上述の如く構成された流路遮断装置Eを用いてのシートパッキン4及び補修弁6を取り替える方法を説明する。
[1]図11に示すように、前記連結管3の下流側連結フランジ部3Aと取り替え対象の補修弁6の上流側連結フランジ部6Aとを締付け連結している第2締結具7のボルト7A・ナット7Bを緩み操作して、取り替え対象の補修弁6を取り外したのち、連結管3の下流側連結フランジ部3Aに、作業用開閉弁52の上流側連結フランジ部52Aを第2締結具7のボルト7A・ナット7Bで締付け連結する。
【0071】
[2]図12に示すように、作業用開閉弁52のボール弁体52Cを閉じ操作し、流路遮断位置にある仕切板弁8の薄板状弁板8Aを流路開放位置にまで引き抜き操作したのち、作業用開閉弁52の下流側連結フランジ部52Bに、流路遮断装置Eの蓋体54の連結フランジ部54Aを第2締結具7のボルト7A・ナット7Bで締付け連結する。
【0072】
このとき、一対の第1係止リング79を第2押え操作杆78に係合させたまま、一対の第2係止リング81を蓋体54の両係止片80から取り外し、両操作軸55,56を蓋体54に対して上方に引き上げ移動させ、閉塞手段F及び抜止め手段Gを蓋体54の格納室54C内に格納する。
【0073】
また、両操作軸55,56の軸芯方向での位置関係は、両第1係止リング79によって規制されていて、その状態では両押圧板60,61の対向間隔が拡径用弾性体59を圧縮しない又はそれに近い間隔に設定されているため、拡径用弾性体59は縮径状態に維持されている。
【0074】
[3]図13に示すように、作業用開閉弁52を開き操作して、両操作軸55,56を蓋体54に対して下方に押し込み移動させ、一対の第2係止リング81を蓋体54の両係止片80に係合して、両操作軸55,56を押し込み操作位置に保持する。
このとき、抜止め手段Gは、分岐管部2内の流路Wよりも横断面積の大きな水道管1内に位置している。
【0075】
[4]次に、図14に示すように、一対の第1係止リング79を第2押え操作杆78から取り外すとともに、第2操作軸56の操作延長軸56Bから第2押え操作杆78を取り外すと、水道管1を流動する水道水の水圧又はこの水圧と人為的な引き上げ操作力とによって、第2操作軸56が第1操作軸55に対して外端側(図の上方側)に摺動し、これに連動して第2押圧板61の連結部65と取付け筒体66の連結部67とに亘って枢支連結された係止リンク57,58対が拡径姿勢に屈曲しながら張り出す。
【0076】
この状態で、図15に示すように、両第2係止リング81を蓋体54の両係止片80から取り外し、水道水の水圧又はこの水圧と人為的な引き上げ操作力とによって、両操作軸55,56を蓋体54に対して上方に摺動させると、拡径姿勢に屈曲した係止リンク57,58対が、拡径用弾性体59による流路遮蔽箇所よりも上流側の内周壁面、つまり、水道管1の分岐流路開口周縁に対して係合する。
【0077】
[5]図15、図16に示すように、操作ネジ部材76を人為的に締付け側に螺合操作すると、第2操作軸56に対して第1操作軸55が内端側(図の下方側)に押込み摺動され、第2押圧板61に対する第1押圧板60の近接移動に伴う挟圧作用により、縮径状態にある拡径用弾性体59が分岐管部2の内周壁面に密着する拡径状態に弾性変形して、その分岐管部2の内周壁面と両押圧板60,61の外周部との間が密封状態で遮蔽される。
【0078】
[6]次に、図15、図17に示すように、蓋体54の排水管82に接続した水栓83の開閉操作レバー83Aを開き操作して放水させ、その放水が止まることで止水を確認したのち、第1押え操作杆77、蓋体54を除去したのち、作業用開閉弁52及び連結管3を水道管1の分岐管部2から取り外す。
【0079】
その後、図18に示すように、分岐管部2の連結フランジ部2Aに、連結管3の上流側連結フランジ部3Aを、それらの接合面間に新しいシートパッキン4を介装した状態で複数組の通常仕様のボルト5C,5Dからなる第1締結具5にて密封状態で脱着自在に締付け連結したのち、この連結管3の下流側連結フランジ部3Bに、新しい補修弁6の上流側連結フランジ部6Aを、それらの接合面間に新しいシートパッキン4を介装した状態で複数組のボルト7A・ナット7Bからなる第2締結具7にて密封状態で脱着自在に締付け連結する。
【0080】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、水道管等の流体管1の途中に分岐管部2を一体形成してある流体配管系統について説明したが、流体管1に、それの周方向に沿って脱着自在に固定連結される複数の分割継手体を備え、かつ、一つの分割継手体に流体管1に形成された貫通孔に対して管径方向から連通する分岐管部2を突設してある管継手が装着されているとともに、管継手の分岐管部に開閉弁が取付けられている流体配管系統に本願発明の技術を適用してもよい。
【0081】
(2)上述の第1実施形態では、遮断作業カバーBの弾性シール材11を環状に一体形成したが、この弾性シール材11を周方向で複数に分割してもよい。
要するに、遮断作業カバーBとしては、両連結フランジ部2A,3Aの外周を密封する状態で両管部2,3に対して脱着自在に装着することのできるものであればよい。
【0082】
(3)上述の第1実施形態では、前記隙間形成手段Dを、遮断作業カバーBの周方向複数箇所において、両連結フランジ部2A,3A間の隙間Sに対して径方向外方から入り込み移動するテーパー面13bを備えた複数の分離ボルト13から構成したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、径方向内方に入り込み付勢された複数の楔部材を設けて実施してもよい。
要するに、前記隙間形成手段Dとしては、第1締結具5の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部2A,3Aの接合面間を強制的に押し広げることのできるものであれば、如何なる構造のものを採用してもよい。
【0083】
(4)上述の第1実施形態では、前記仕切板弁8を、分岐管部2及び連結管3の外径よりも少し大なる幅をする薄板状の弁板8Aと、この弁板8Aの後端縁に固着された操作伝達軸8Bと、この操作伝達軸8Bの後端部に螺合固定された操作ハンドル8Cとから構成したが、この仕切板弁8を、分岐管部2及び連結管3の外径よりも少し大なる幅をする薄板状の弁板8Aのみから構成してもよい。
要するに、前記仕切板弁8としては、第1締結具5の緩み操作によって発生した両連結フランジ部2A,3A間の隙間Sを通して管内流路Wを遮断する位置にまで差込み移動自在な薄板状のものであれば、如何なる形状のものを用いてもよい。
【0084】
(5)また、前記摺動ガイド手段Cとしては、仕切板弁8を密封状態で流路遮断位置と流路開放位置とにわたって摺動案内することのできるものであれば、如何なる構造のものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本願発明の流体配管系統の流路遮断方法を示し、管内流路遮断装置を装着したときの側面図
【図2】管内流路遮断装置を装着したときの一部切欠き側面図
【図3】管内流路遮断装置を装着したときの水平断面図
【図4】管内流路遮断装置の拡大断面側面図
【図5】両連結フランジ部と環状弾性シール材との関係を示す要部の拡大断面図
【図6】仕切弁体と分離ボルトとの関係を示す要部の拡大断面図
【図7】環状弾性シール材の斜視図
【図8】環状弾性シール材の断面図
【図9】環状弾性シール材の正面図
【図10】仕切弁体を流路遮断位置に差し込み操作したときの一部切欠き側面図
【図11】補修弁を作業用開閉弁に取り替えるときの一部切欠き側面図
【図12】作業用開閉弁に流路遮断装置を取付けたときの一部切欠き側面図
【図13】閉塞手段及び抜止め手段を水道管側に下降させたときの一部切欠き側面図
【図14】抜止め手段のリンク対を拡径姿勢に屈曲させたときの一部切欠き側面図
【図15】拡径用弾性体で流路を遮断したときの一部切欠き側面図
【図16】拡径用弾性体で流路を遮断したときの要部の拡大断面図
【図17】第1押え操作杆、蓋体を除去したのち、作業用開閉弁及び連結管を水道管の分岐管部から取り外したときの一部切欠き側面図
【図18】新しいシートパッキン及び新しい補修弁に取り替えたときの側面図
【図19】従来の流路遮断方法を示す要部の断面正面図
【図20】要部の断面平面図
【符号の説明】
【0086】
B 遮断作業カバー
C 摺動ガイド手段
D 隙間形成手段
S 隙間
W 管内流路
2 分岐管部(上流側管部)
2A 連結フランジ部
3 連結管(下流側管部)
3A 連結フランジ部(上流側連結フランジ部)
4 シール材(シートパッキン)
5 締結具(第1締結具)
5A ボルト
5B 袋ナット
8 仕切体弁
11 環状弾性シール材
11a 第1シール部
11b 第2シール部
11c 開口
12 締付け輪
13 分離ボルト
22 Oリング
23 Oリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体配管系統において、両連結フランジ部の接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結されている両管部に、締結具の緩み操作を許容する状態で両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞可能で、かつ、両管部の流路を遮断可能な薄板状の仕切板弁が抜き差し操作自在に設けられている遮断作業カバーを装着し、この遮断作業カバーの仕切板弁を、締結具の緩み操作によって発生した両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで差し入れることにより、両連結フランジ部間において流路を遮断することを特徴とする流体配管系統の流路遮断方法。
【請求項2】
前記遮断作業カバーに設けられた隙間形成手段によって、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げたのち、遮断作業カバーの仕切板弁を、両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで差し入れることを特徴とする請求項1記載の流体配管系統の流路遮断方法。
【請求項3】
両連結フランジ部の接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結されている両管部に対して、それらの両連結フランジ部の外周を密封する状態で装着自在な遮断作業カバーに、締結具の緩み操作によって発生した両連結フランジ部間の隙間を通して管内流路を遮断する位置にまで差込み移動自在な薄板状の仕切板弁と、この仕切板弁を密封状態で流路遮断位置と流路開放位置とに摺動案内する摺動ガイド手段が設けられている管内流路遮断装置。
【請求項4】
前記遮断作業カバーの周方向複数箇所には、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げる隙間形成手段が設けられている請求項3記載の管内流路遮断装置。
【請求項5】
前記遮断作業カバーは、各連結フランジ部の外周面に弾性力で圧接される環状のシール部を備えた環状弾性シール材と、この環状弾性シール材を径方向外方から締付け固定する分割構造の締付け輪とから構成されているとともに、環状弾性シール材及び締付け輪には、仕切板弁の差込み移動を許容する開口が形成されている請求項3又は4記載の管内流路遮断装置。
【請求項6】
前記環状弾性シール材の内周面に、両連結フランジ部の外周面の隣接間にわたって接触する環状の第2シール部が一体形成され、その第2シール部の一部に仕切板弁の差込み移動を許容する開口が形成されている請求項5記載の管内流路遮断装置。
【請求項7】
前記隙間形成手段が、遮断作業カバーの周方向複数箇所において、両連結フランジ部間の隙間に対して径方向外方から入り込み移動するテーパー面を備えた複数の分離ボルトから構成されている請求項4記載の管内流路遮断装置。
【請求項8】
前記隙間形成手段の分離ボルトは、それのボルト軸芯が仕切板弁の移動平面を通る平面上又はその近傍に位置する状態で締付け輪に取付けられている請求項7記載の管内流路遮断装置。
【請求項9】
前記締結具が、一方の連結フランジ部の外面との間を密封するためのOリングを頭部の当接面に設けてあるボルトと、他方の連結フランジ部の外面との間を密封するためのOリングを当接面に設けてある袋ナットから構成されている請求項3〜8のいずれか1項に記載の管内流路遮断装置。
【請求項1】
流体配管系統において、両連結フランジ部の接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結されている両管部に、締結具の緩み操作を許容する状態で両連結フランジ部の外周を密封状態で囲繞可能で、かつ、両管部の流路を遮断可能な薄板状の仕切板弁が抜き差し操作自在に設けられている遮断作業カバーを装着し、この遮断作業カバーの仕切板弁を、締結具の緩み操作によって発生した両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで差し入れることにより、両連結フランジ部間において流路を遮断することを特徴とする流体配管系統の流路遮断方法。
【請求項2】
前記遮断作業カバーに設けられた隙間形成手段によって、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げたのち、遮断作業カバーの仕切板弁を、両連結フランジ部間の隙間を通して流路遮断位置にまで差し入れることを特徴とする請求項1記載の流体配管系統の流路遮断方法。
【請求項3】
両連結フランジ部の接合面間にシール材を介装した状態で締結具にて締付け連結されている両管部に対して、それらの両連結フランジ部の外周を密封する状態で装着自在な遮断作業カバーに、締結具の緩み操作によって発生した両連結フランジ部間の隙間を通して管内流路を遮断する位置にまで差込み移動自在な薄板状の仕切板弁と、この仕切板弁を密封状態で流路遮断位置と流路開放位置とに摺動案内する摺動ガイド手段が設けられている管内流路遮断装置。
【請求項4】
前記遮断作業カバーの周方向複数箇所には、締結具の緩み操作代の範囲内で両連結フランジ部間を押し広げる隙間形成手段が設けられている請求項3記載の管内流路遮断装置。
【請求項5】
前記遮断作業カバーは、各連結フランジ部の外周面に弾性力で圧接される環状のシール部を備えた環状弾性シール材と、この環状弾性シール材を径方向外方から締付け固定する分割構造の締付け輪とから構成されているとともに、環状弾性シール材及び締付け輪には、仕切板弁の差込み移動を許容する開口が形成されている請求項3又は4記載の管内流路遮断装置。
【請求項6】
前記環状弾性シール材の内周面に、両連結フランジ部の外周面の隣接間にわたって接触する環状の第2シール部が一体形成され、その第2シール部の一部に仕切板弁の差込み移動を許容する開口が形成されている請求項5記載の管内流路遮断装置。
【請求項7】
前記隙間形成手段が、遮断作業カバーの周方向複数箇所において、両連結フランジ部間の隙間に対して径方向外方から入り込み移動するテーパー面を備えた複数の分離ボルトから構成されている請求項4記載の管内流路遮断装置。
【請求項8】
前記隙間形成手段の分離ボルトは、それのボルト軸芯が仕切板弁の移動平面を通る平面上又はその近傍に位置する状態で締付け輪に取付けられている請求項7記載の管内流路遮断装置。
【請求項9】
前記締結具が、一方の連結フランジ部の外面との間を密封するためのOリングを頭部の当接面に設けてあるボルトと、他方の連結フランジ部の外面との間を密封するためのOリングを当接面に設けてある袋ナットから構成されている請求項3〜8のいずれか1項に記載の管内流路遮断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−144824(P2006−144824A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331801(P2004−331801)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(396020361)株式会社水道技術開発機構 (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(396020361)株式会社水道技術開発機構 (113)
【Fターム(参考)】
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