浄化ユニットおよび脱臭装置
【課題】光触媒反応が効率良く生じるように、光源から出射された光を光触媒膜へと導くことができる浄化ユニットおよび脱臭装置を提供する。
【解決手段】浄化ユニット100は、LED21a、22aと、反射板31、32と、浄化板11〜14と、を備える。浄化板11は、LED21aと反射板31との間に配置され、浄化板14は、LED22aと反射板32との間に配置される。LED21aから出射された光は、浄化板11を透過した後に反射板31によって反射されて、浄化板11〜14を順に透過する。LED22aから出射された光は、浄化板14を透過した後に反射板32によって反射されて、浄化板14、13、12、11を順に透過する。これにより、LED21a、22aから出射された光の利用効率が高められ、浄化板11〜14において光触媒反応が効率良く生じるようになる。
【解決手段】浄化ユニット100は、LED21a、22aと、反射板31、32と、浄化板11〜14と、を備える。浄化板11は、LED21aと反射板31との間に配置され、浄化板14は、LED22aと反射板32との間に配置される。LED21aから出射された光は、浄化板11を透過した後に反射板31によって反射されて、浄化板11〜14を順に透過する。LED22aから出射された光は、浄化板14を透過した後に反射板32によって反射されて、浄化板14、13、12、11を順に透過する。これにより、LED21a、22aから出射された光の利用効率が高められ、浄化板11〜14において光触媒反応が効率良く生じるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒構造体を用いて空気中に含まれる浄化対象物質を浄化する浄化ユニットおよび脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光触媒活性物質を含む光触媒構造体を用いて、大気浄化、脱臭、浄水、抗菌、防汚、水分解を行う光触媒装置の開発が進められている。光触媒構造体は、所定波長の光が照射されることにより膜面で酸化還元反応(光触媒反応)を起こし、膜面に付着した物質を浄化する。この種の光触媒構造体は、一般に、基板上に、酸化チタン(TiO2)等からなる光触媒膜が積層されることにより生成される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3809347
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記光触媒構造体を用いた浄化ユニットおよび脱臭装置では、装置周辺の空気を吸気口から取り込み、光源から出射される光を光触媒膜に照射させて、取り込まれた空気に含まれる浄化対象物質を光触媒膜で浄化する。このとき、光触媒膜において光触媒反応が効率良く生じるように、光源から出射された光を光触媒膜へと導くことが望まれている。
【0005】
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、光触媒反応が効率良く生じるように、光源から出射された光を光触媒膜へと導くことができる浄化ユニットおよび脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、光触媒反応により空気を浄化する浄化ユニットに関する。この態様に係る浄化ユニットは、光を出射する第1の光源と、前記第1の光源から出射された光を反射する第1の反射板と、前記第1の光源から出射された光が照射されることにより前記光触媒反応を起こす複数の浄化板と、を備える。ここで、前記第1の反射板と前記第1の光源との間には、前記複数の浄化板のうち少なくとも1つの前記浄化板が配置される。前記第1の光源から出射された光は、前記第1の反射板と前記第1の光源との間に配置された前記浄化板を透過した後に前記第1の反射板によって反射されて、前記複数の浄化板に照射される。
【0007】
本発明の第2の態様は、脱臭装置に関する。この態様に係る脱臭装置は、上記第1の態様に係る浄化ユニットと、脱臭装置内に空気を流すためのファンと、前記ファンおよび前記浄化ユニット内に配置された光源を制御するための制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光触媒反応が効率良く生じるように、光源から出射された光を光触媒膜へと導くことができる浄化ユニットおよび脱臭装置を提供することができる。
【0009】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】光が照射されることにより光触媒反応を起こす浄化板の構成例を説明する図および実施例に係る浄化板の構成を示す図である。
【図2】光が照射されることにより光触媒反応を起こす浄化板の構成例を説明する図である。
【図3】比較例に係る浄化板と光源の配置を示す模式図および実施例の配置原理に係る浄化板と光源の配置を示す模式図である。
【図4】実施例に係る浄化ユニットの分解斜視図である。
【図5】実施例に係る浄化ユニットの浄化板の構成を示す斜視図である。
【図6】実施例に係る浄化ユニットの断面図である。
【図7】実施例に係る浄化板の境界面で生じる反射を示す図および反射する光の割合(反射率)を示すシミュレーション結果である。
【図8】実施例に係る浄化ユニット内の空気の流れを示す図である。
【図9】パターン1に係る光源と反射板の位置を示す模式図およびこの場合の浄化板の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【図10】パターン2に係る光源と反射板の位置を示す模式図およびこの場合の浄化板の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【図11】パターン3に係る光源と反射板の位置を示す模式図およびこの場合の浄化板の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【図12】パターン4に係る光源と反射板の位置を示す模式図およびこの場合の浄化板の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【図13】実施例に係る脱臭装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0012】
<浄化板の構成例>
まず、図1(a)〜(c)と図2を参照して、光が照射されることにより光触媒反応を起こす浄化板の構成例について説明する。
【0013】
図1(a)は、浄化板C10の積層構造を示す図であり、図1(b)は、浄化板C10の基板C11の凹凸構造C11aを示す図であり、図1(c)は、凹凸構造C11aの二次電子写真像を示す図である。
【0014】
図1(a)を参照して、浄化板C10は、基板C11と、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14を有する。なお、図1(a)に示すz軸方向は、基板C11と、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14の積層方向を示している。
【0015】
基板C11は、後述する波長405nmの青色の光が80%以上透過するよう、ポリカーボネート等の透光性材料から形成されており、屈折率は1.6に設定されている。基板C11の透過膜C12側の面には、図1(b)、(c)に示す如く、縦横均等に一定ピッチにて円柱状の突起が並ぶようにして、凹凸構造C11aが形成されている。凹凸構造C11aのピッチ(円柱状突起の幅)は、縦横ともに250nmであり、円柱状突起の高さは、175nmとなっている。
【0016】
なお、図1(c)の写真像は、凹凸構造C11a上に合金膜をスパッタによって20nm形成した後、電子写真撮像のためにPt−Pdを10Å蒸着した状態で撮像を行ったときのものである。
【0017】
ここで、図2を参照して基板C11の形成手順について説明する。
【0018】
まず、シリコン原盤上にスピンコートによりレジストを塗布する(工程1)。次に、EB描画(電子ビームカッティング)にて、上記ピッチの凹凸構造を形成する(工程2)。この描画後、現像処理を行い(工程3)、RIE加工を行う(工程4)。さらに、酸素プラズマアッシングを行って、残存するレジストを除去する(工程5)。これにより、シリコン原盤上に凹凸構造が形成される(Si原基)。
【0019】
続いて、このSi原基に対し、Niメッキを行って(工程6)、Niを堆積させる。そして、堆積したNi層をSi原基から剥離して、スタンパを作製する(工程7)。このスタンパに対し、射出成形を行って(工程8)、基板C11を作製する(工程9)。これにより、凹凸構造が転写された基板C11が形成される。
【0020】
なお、基板C11の材料として、ポリカーボネート以外に、ポリオレフィンといった透光性材料を用いることもできる。特に、使用する波長において基板C11での光の吸収が少ない方がよく(基板C11での光の吸収はロスになる)、基板C11には不純物や紫外線吸収剤が添加されていないものがよい。また、ポリオレフィン以外に、ポリ乳酸等の生分解性材料を用いることもできる。生分解性材料を用いると、廃棄時に有害物質が発生せず、焼却等の処理のためにエネルギーを使うこともなく、環境負荷等を小さくすることができる。
【0021】
また、EB描画の替わりに、レーザビームカッティングを用いることもできる。この場合、シリコン原盤上には、フォトレジスト層が塗布される。また、カッティングビームとしては、波長400nm程度のレーザ光が用いられる。
【0022】
図1(a)に戻り、透過膜C12は、上記手順によって形成された基板C11の凹凸構造C11a上に、スパッタ法によって積層される。透過膜C12は、Al2O3からなり、屈折率は基板C11と略同じとなるよう1.6に設定されている。また、透過膜C12の上面と下面は、基板C11の凹凸構造C11aを反映して凹凸構造となっている。なお、透過膜C12は、非電解質な無機材料からなるため、後述する光触媒膜C13の光触媒反応により浸食されない。また、透過膜C12と基板C11の屈折率は略同じとしたため、屈折率差による界面での反射が生じ難いという利点がある。
【0023】
ここで、透過膜C12の膜厚およびRa(表面粗さ)は、基板C11が光触媒膜C13によって浸食されないように設定されている。また、透過膜C12の膜厚およびRaは、基板C11側から入射する光が光触媒膜C13に十分に届くように、且つ、光触媒膜C13側から入射する光が基板C11に十分に届くように設定されている。なお、透過膜C12のRaの制御は、スパッタ時のガス圧を調節することによって行われる。
【0024】
光触媒膜C13は、透過膜C12の上面にスパッタ法によって積層される。光触媒膜C13は、TiO2からなり、屈折率は2.5に設定されている。また、光触媒膜C13の上面と下面は、透過膜C12の上面に形成された凹凸構造を反映して凹凸構造となっている。これにより、基板C11の表面の凹凸構造C11aを反映した構造が、光触媒膜C13の上面(吸着膜C14側の面)に形成され、光触媒膜C13上面の表面積が大きくなり、浄化対象物質と光触媒膜C13との接触機会が増加することで、光触媒反応が起こりやすくなる。また、これら凹凸構造は、照射される光の波長よりも短いピッチにて構成されるため、界面での見かけ上の屈折率は徐々に変化することになり、反射が生じ難くなるという利点がある。これにより、光を効率よく光触媒膜C13の垂直方向へ透過させることができる。
【0025】
なお、成膜後の光触媒膜C13自体の表面は、積層される際にガス圧の調整によって多孔質状とすることができる。これにより、光触媒膜C13自体が多孔質状となるため、光触媒膜C13の表面積を大きくすることができ、さらに基板C11の凹凸構造C11aより光触媒膜C13の表面積を増やすことができる。光触媒膜C13の膜厚が小さすぎると、透過膜C12の上面は光触媒膜C13により完全に覆われなくなる。他方、光触媒膜C13の膜厚が大きいと、透過膜C12の上面に形成された凹凸構造が光触媒膜C13の上面(吸着膜C14側の面)に反映しなくなることに加えて、透過膜C12側および吸着膜C14側から入射する光が、光触媒膜C13による吸収により、それぞれ、光触媒膜C13の上面および下面まで透過し難くなる。これらを考慮して、透過膜C12の上面が十分に被覆され、且つ、光が光触媒膜C13を十分透過するように、光触媒膜C13の膜厚が設定される。つまり、光触媒膜C13の膜厚は、透過膜C12の表面を完全に覆う程度に薄く形成されることが望ましい。
【0026】
光触媒膜C13を形成するTiO2は、アナターゼ結晶微粒子を含んでいる。アナターゼ結晶は、バンドギャップから波長388nm以下の紫外光を吸収し、光触媒反応を起こす。また、アナターゼ結晶は、微粒子状で光触媒膜C13内に存在するため、基板C11の形状が複雑であっても基板C11に対して均一に分布する。これにより、光触媒膜C13上で広範囲に亘って効率的に光触媒反応が起き易くなる。
【0027】
また、TiO2は、アナターゼ結晶構造以外に、ルチル構造、アモルファス構造、ブルカイト構造を形成することが分かっており、構造により光触媒反応が異なる。すなわち、反応の活性や反応する波長が構造毎に異なっている。光触媒膜C13を形成するTiO2には、複数の構造が含まれている。具体的には、TiO2からなる光触媒膜C13は、アナターゼ結晶構造を持ち、アモルファス状のものおよびアナターゼ結晶欠陥や、スパッタ時に含まれる微量の窒素を含む微粒子、ルチル微粒子が含まれた複合膜である。これにより、光触媒膜C13の光触媒反応は、前述したアナターゼ結晶の反応波長である388nm以下だけでなく、400〜500nmの可視光領域の波長の光(青色の光)によっても促進されることとなる。
【0028】
なお、光触媒膜C13は、光触媒膜C13に付着した物質に対して光触媒作用を及ぼす。光触媒作用を受ける物質として、アンモニア、アセトアルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタン、ホルムアルデヒド、酢酸、トルエン、菌、油分、などが挙げられる。これら物質は、光触媒作用を受けて二酸化炭素や水等に分解される。
【0029】
吸着膜C14は、光触媒膜C13の上面にスパッタ法によって積層される。吸着膜C14は、透光性のSiO2からなり、屈折率は、1.45である。SiO2は吸湿性があり、空気中の水分子や気相ガスを取り込み易い性質を有する。これにより、吸着膜C14の上面にある空気中の物質が、吸着膜C14に付着し易くなる。また、吸着膜C14に吸着した物質は、吸着膜C14上に留まり、光触媒膜C13による光触媒作用を受け易くなる。
【0030】
なお、吸着膜C14は、光触媒膜C13の上面を完全にコートしてしまわないよう、光触媒膜C13上に積層される。また、光触媒膜C13上の凹凸構造を反映する厚さで、吸着膜C14が構成されれば、吸着膜C14の凹凸構造が光の波長より短いピッチのため、屈折率が徐々に変化する。これにより、吸着膜C14での反射が生じ難くなるため、吸着膜C14も光が透過しやすくなる。また、光触媒膜C13上に凹凸構造が形成されれば、表面積増大効果による吸着率増加を見込むことができる。この場合、吸着膜C14がさらに多孔構造であればなお良い。すなわち、スパッタ時のガス圧を低くしたり(具体的には0.8〜1Pa以上)、スパッタレートを早くしたりする(70Å/min以上)ことにより、吸着膜C14に無数の微細孔が形成される。これにより、吸着膜C14の上面に付
着した物質が、微細孔を介して、光触媒膜C13と接するようになる。また、吸着膜C14に入射する光が、吸着膜C14を透過して、光触媒膜C13に透過し易くなる。吸着膜C14の膜厚は、吸着膜C14に付着した物質が光触媒膜C13と効率的に接し、光を透過し易い厚みに設定されるのが望ましい。
【0031】
このように構成された浄化板C10に対して、基板C11の下面または吸着膜C14の上面から、波長405nmの青色の光が照射されると、かかる青色の光は光触媒膜C13に到達する。これにより、吸着膜C14側から入って光触媒膜C13に接している物質が光触媒作用を受け得る。
【0032】
ここで、光触媒作用を生じさせる浄化板は、図1(d)に示す浄化板10のように構成されても良い。浄化板10は、浄化板C10の下面に、図1(a)と同様の透過膜C12、光触媒膜C13および吸着膜C14が積層されている。基板C11の厚さは0.4mm、透過膜C12の厚さは7nm、光触媒膜C13の厚さは15nm、吸着膜C14の厚さは7nmに設定される。このとき、浄化板10の上面または下面から入射した光の80%以上は、浄化板10を透過して反対側の面から出射される。
【0033】
このように浄化板10が構成されると、上面側と下面側の物質を浄化することができるようになるため、図1(a)の浄化板C10に比べて、さらに浄化能力を高めることができる。このとき浄化板10の透過率は重要であり、高ければ高い方がよく、好ましくは80%以上がよい。
【0034】
ここで、浄化板10が上下方向に複数枚並べられ、最上段の浄化板10の上側から下向きに光が出射される場合について考える。この場合、透過率が低くなると、べき乗で下段への光量が低下する。すなわち、浄化板10の透過率をT、浄化板の枚数をNとすると、最下段の浄化板10を下側に透過する光の割合(最終透過比率)は、以下の式(1)で表される。
【0035】
【数1】
【0036】
浄化板10の透過率は、上記式(1)の値が0.1以上となるよう設計するのが望ましい。こうすると、最下段の浄化板10を透過した後の光の光量が出射光量の10%となり、最下段の浄化板10においても最低限の光触媒反応が促進される。上記式(1)において、T=63%、N=5とすると、最下段の浄化板10を透過した後の光量が出射光量の10%程度となる。この場合、浄化板10の枚数を5より増やすと、最下段の浄化板10における光触媒反応の効率が非常に低くなってしまう。T=80%ならば、N=7でも、最下段の浄化板10を透過した後の光量は、出射光量の20%程度となる。この場合、最下段(7枚目)の浄化板10においても十分な光触媒反応が得られ、また、上記式(1)の値が0.1程度になるまで、浄化板10の枚数を増やすことも可能である。
【0037】
次に、浄化板10が上下方向に複数枚並べられ、最上段の浄化板10の上側に光を反射する反射板が配置され、最上段の浄化板10よりも下側から上向きに光が出射される場合について考える。この場合、反射板と光源の間の浄化板10の枚数をnとすると、最下段
の浄化板10を下側に透過する光の割合(最終透過比率)は、以下の式(2)で表される。
【0038】
【数2】
【0039】
この場合も、浄化板10の枚数と、反射板と光源の間の浄化板10の枚数と、透過率とは、最下段の浄化板10において最低限の光触媒反応が促進されるよう、すなわち、式(2)の値が0.1以上となるよう設計するのが好ましい。
【0040】
以下の実施例では、浄化板10を用いた浄化ユニットおよび脱臭装置が示されている。
【0041】
<浄化板と光源の配置原理>
次に、上記浄化板10と、浄化板10に光を照射させる光源の配置原理について説明する。
【0042】
図3(a)は、浄化板10と光源の配置(比較例)を示す模式図である。
【0043】
図3(a)の構成では、同じ大きさの面を有する4枚の浄化板10が配されており、浄化板10の各面は、z軸に対して垂直となるように配置される。浄化板10内の基板C11と、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14の積層方向は、図1(d)と同様、z軸方向となっている。4枚の浄化板10は、z軸方向に互いに隙間Sが設けられるよう配置されている。隙間Sは、上下に並ぶ2枚の浄化板10によって作られる空間のことである。より詳しくは、隙間Sは、上側の浄化板10の下面が含まれる平面と、下側の浄化板10の上面が含まれる平面との間に作られる空間のことである。
【0044】
x軸方向には、1つの光源が配置され、y軸方向には、浄化板10のy軸方向の幅に合わせて、複数の光源(図示せず)が配置される。最も上側(z軸正方向側)の浄化板10の上側には、曲面形状を有する反射板が配置される。反射板は、x−z平面内において放物線形状となっており、光源はこの放物線の焦点位置に配置されている。浄化対象物質を含む空気は、浄化板10の左側から、各浄化板10の隙間を通って、右方向(x軸正方向)に送られる。
【0045】
このように浄化板10と光源が設置されると、光源から出射された光は、4枚の浄化板10を透過しながら、4枚の浄化板10にそれぞれ入射する。これにより、各浄化板10の光触媒膜C13に接触している浄化対象物質が、光触媒反応により浄化される。
【0046】
しかしながら、図3(a)の構成では、反射板によって反射された光は、各浄化板10を上から下に向けて1回透過するだけであるため、光が浄化板10を透過する回数は合計で4回となり、光の利用効率はそれほど高くない。
【0047】
図3(b)は、図3(a)よりも光の利用効率が高められた浄化板10と光源の配置(実施例の配置原理)を示す模式図である。
【0048】
図3(b)の構成では、最も上側の浄化板10と、上から2番目の浄化板10によって作られる隙間に、光源が設置される。この場合の反射板も、x−z平面内において放物線形状となっており、光源はこの放物線の焦点位置に配置されている。
【0049】
このように浄化板10と光源が配置されると、光源から出射された光は、一番上の浄化板10の下側の面から入射して、この浄化板10を透過し、反射板によって反射される。反射板によって反射された光は、一番上の浄化板10を今度はz軸負方向に(上から下に)透過し、上から2番目の浄化板10に入射する。これにより、光が浄化板10を透過する回数は、合計で浄化板10が配置された枚数分よりも多い5回となり、図3(a)に比べて、光の利用効率が高められることになる。よって、4枚の浄化板10の浄化能力を向上させることができる。また、光源を反射板のx−z平面内における放物線の焦点位置に配置することで、反射板で反射する光は、浄化板10に垂直な方向に反射され、効率よく4枚の浄化板10を透過することができる。
【0050】
さらに、この場合、各浄化板10の隙間Sを通って空気が送られると共に、この隙間Sに光源が設置されているため、隙間Sに流入する空気によって光源が冷却される。これにより、光源の温度上昇が抑制されるため、光源から出射される光の波長を安定させることができる。特に、光源がLEDやレーザの場合、発光点では熱が発生し、光源の寿命が短くなる問題があるが、流入する空気によって光源が冷却されることにより、光源の長寿命化と出力の安定化が図られる。
【0051】
なお、図3(b)では、3つの隙間Sのうち最も上側の隙間Sに光源が配置されたが、これに限らず、他の隙間Sに光源が配置されても良い。この場合も、光源から出射された光は、光源と反射板との間にある浄化板を上向きに透過して、反射板によって反射される。よって、この場合も、図3(a)に比べて、光の利用効率が高められると共に、光源の温度上昇が抑制される。
【0052】
以下の浄化ユニットおよび脱臭装置の実施例では、図3(b)に示す配置原理に基づいて浄化板と光源が配置される。
【0053】
<浄化ユニットの実施例>
以下、浄化ユニットの実施例について説明する。
【0054】
図4は、本実施例の浄化ユニット100の分解斜視図である。
【0055】
浄化ユニット100は、浄化板11〜14と、発光ユニット21、22と、曲面形状を有する反射板31、32と、ベース40と、2枚の支持板50と、側面板61、62と、上板70と、蓋80とを備えている。なお、浄化板11〜14は、図1(d)に示す浄化板10と同様に構成されている。
【0056】
発光ユニット21、22は、それぞれ、Y軸方向に3個のLED21aと3つのLED22aを有している。発光ユニット21、22は、入力される制御信号に基づいて、それぞれ、LED21a、22aを発光させる。LED21a、22aは、それぞれ、反射板31、32に向けて波長405nmの光を出射する。発光ユニット21に設置された3つのLED21aの向きは同じであり、また、発光ユニット22に設置された3つのLED22aの向きは同じである。なお、発光ユニット21、22にはY軸方向に3個のLEDが配されたが、これに限らず、適宜、設置するLEDの数が調整されても良い。
【0057】
反射板31、32は、曲面形状のミラーである。反射板31は、LED21aから出射され浄化板11を透過した光を、浄化板11に向けて反射する。反射板32は、LED2
2aから出射され浄化板14を透過した光を、浄化板14に向けて反射する。反射板31、32は、LED21a、22aの出射波長の光(本実施例では405nm)を反射する反射膜が形成されている。具体的には、反射膜は、AgおよびAg+Alの合金類からなっており、反射率は80%以上である。また、光の利用効率を上げるために、反射率は高いほど良い。
【0058】
支持板50には、浄化板11〜14と、発光ユニット21、22と、反射板31、32を通すための孔50aと、浄化ユニット100内において支持板50により仕切られる領域間で、Y軸方向の空気の移動が可能となるよう5つの孔50bが形成されている。側面板61には、浄化板11〜14と反射板31、32のY軸正方向の端部をそれぞれ保持するよう窪みが形成されており、側面板62には、浄化板11〜14と反射板31、32のY軸負方向の端部をそれぞれ保持するよう窪みが形成されている。蓋80は、X−Y平面に平行な上面と、Y−Z平面に平行な前面部80aと背面部80bを有している。前面部80aのZ軸方向の長さは、背面部80bに比べて短くなっている。
【0059】
組み立て時には、浄化板11〜14と、発光ユニット21、22と、反射板31、32が、2枚の支持板50に形成された孔50aに通される。これにより、浄化板11〜14は、図3(b)の4枚の浄化板10と同様、隙間を開けて平行に並べられる。そして、浄化板11〜14と反射板31、32の端部が、それぞれ、側面板61、62の窪みに保持されるようにして、側面板61、62がベース40に設置される。そして、上板70が、2枚の支持板50と、側面板61、62の上端に設置され、蓋80が、上板70の上に設置される。こうして、浄化ユニット100が完成する。
【0060】
図5は、浄化ユニット100の構成を示す斜視図である。なお、側面板61、62と、上板70と、蓋80は、便宜上、図示が省略されている。
【0061】
発光ユニット21は、浄化板11と12によって作られる隙間に位置付けられており、発光ユニット22は、浄化板13と14によって作られる隙間に位置付けられている。
【0062】
図6は、浄化ユニット100をY軸負方向に見たときの断面図である。
【0063】
浄化板11〜14と、LED21aと、反射板31は、図3(b)の配置原理に基づいて配置されている。すなわち、LED21aは、浄化板11と12によって作られる隙間に配置されている。また、浄化板11〜14と、LED22aと、反射板32も、図3(b)の配置原理に基づいて配置されている。すなわち、LED22aは、浄化板13と14によって作られる隙間に配置されている。
【0064】
LED21a、22aから出射される光の広がり角は120度で、LED21a、22aは、それぞれ、反射板31、32に向けて光を照射する。発光ユニット21、22(LED21a、22a)は、X−Z平面内においてX軸に対して45度傾けて配置されている。また、発光ユニット22の下端とベース40の上面との間には、隙間が設けられている。浄化板11〜14は、X−Z平面内においてZ軸に対して20度傾けて配置されている。また、浄化板11〜14は、ベース40に対してZ軸方向にそれぞれ異なる位置に配置されている。具体的には、浄化板14の下端はベース40の上面に接地しており、浄化板13、12、11は、この順にベース40の上面から離れている。
【0065】
前面部80aとベース40との間には、外部の空気を浄化ユニット100内に取り込むための通気口100aが形成されている。また、背面部80bとベース40との間には、浄化ユニット100内の空気を外部に排気するための通気口100bが形成されている。なお、空気の流れについては、追って図7を参照して説明する。
【0066】
発光ユニット21のLED21aから出射された光は、浄化板11の左側(X軸正方向側)の面に入射する。浄化板11の左側の面に入射した光は、浄化板11を透過し、反射板31によって反射される。反射板31によって反射された光は、浄化板11の右側(X軸負方向側)の面に入射する。浄化板11の右側の面に入射した光は、浄化板11を透過し、浄化板12、13、14の順に透過する。
【0067】
発光ユニット22のLED22aから出射された光は、浄化板14の右側の面に入射する。浄化板14の右側の面に入射した光は、浄化板11を透過し、反射板32によって反射される。反射板32によって反射された光は、浄化板14の左側の面に入射する。浄化板11の左側の面に入射した光は、浄化板14を透過し、浄化板13、12、11の順に透過する。
【0068】
なお、本実施例の浄化ユニット100では、上記図3(b)の配置原理とは異なり、反射板31、32によって反射された光が、浄化板11〜14に対して垂直方向からややずれた方向に入射する。このように、浄化板11〜14が入射する光に対して傾けて配置されると、浄化板11〜14に入射する光の入射角によっては、浄化板11〜14によって反射される光の割合(損失割合)が増加することがある。このため、本実施例では、反射板31、32によって反射された光の浄化板11〜14に対する入射角は、損失割合が低く抑えられる範囲内に設定されている。
【0069】
本実施例では、上述したように浄化板10の各層の凹凸構造により、出来る限り反射を抑制して効率的に光を利用することができる。しかしながら、各層に対応する材質の屈折率を考慮すると、屈折率の異なる層間において反射が生じることになる。
【0070】
ここで、浄化板10の片側の面では、屈折率の異なる3つの層が想定される。すなわち、吸着膜C14に対応するL1層(屈折率1.45)と、光触媒膜C13に対応するL2層(屈折率2.5)と、透過膜C12と基板C11に対応するL3層(屈折率1.6)とが想定される。この場合、図7(a)に示すように、L1層側から入射角θで光が入射すると、L1層とL2層の境界面で反射1が生じ、L2層とL3層の境界面で反射2が生じる。
【0071】
図7(b)は、図7(a)の状態で、L1層側から入射する光に対する、反射1と反射2を合わせた光の割合(反射率)を示すシミュレーション結果である。図7(b)を参照すると、入射角が42度を超えると、反射率が20%を超えることが分かる。このため、42度より小さい角度で光が入射するようにする必要がある。理想的には0度(面に対して垂直)が好ましい。入射角が42度で反射率が20%となると、片面側(L1〜L3層)の透過率は80%となり、L1〜L3層は浄化板10の両面に配されているため、浄化板10を透過する光の割合は64%となる。この場合、5枚の浄化板10に対して光が出射されると、全ての浄化板10を透過した後の光の光量は、出射時の光量の10%程度となる。よって、入射角が42度を超えると、5枚目の浄化板10を透過した後の光の光量は、出射時の光量の10%以下となり、光触媒反応の効率が非常に悪くなる。
【0072】
図8は、浄化ユニット100内の空気の流れを示す図である。なお、図8は、図6と同様、浄化ユニット100をY軸負方向に見たときの断面図である。
【0073】
浄化ユニット100内の各部材(浄化板11〜14と、発光ユニット21、22と、反射板31、32)は、図6を参照して説明したように、浄化ユニット100内に配置されている。これら各部材によって、ベース40と、支持板50と、側面板61、62と、上板70と、蓋80によって囲まれる浄化ユニット100内の空間が仕切られることにより
、浄化ユニット100内に流路が形成されている。通気口100aから取り込まれた外部の空気は、かかる流路を通って、通気口100bから排気される。図8には、浄化ユニット100内の流路において、浄化ユニット100の外部から入った空気が、浄化ユニット100の外部へ出ていく流れが破線の矢印で示されている。
【0074】
通気口100aから浄化ユニット100内に取り込まれた空気は、浄化板11〜14と反射板31、32の間を通るように流れる。このとき、取り込まれた空気に含まれる浄化対象物質は浄化板11〜14の吸着膜C14に付着する。これにより、浄化板11〜14の近傍の空気中の浄化対象物質は、上述したように、吸着膜C14に留められ、光触媒膜C13と接することとなる。この状態で、発光ユニット21、22のLED21a、22aから出射された光が光触媒膜C13に照射されると、光触媒反応が起こり、光触媒膜C13と接している浄化対象物質が分解される。浄化対象物質が分解されて浄化された空気は、通気口100bから排気される。
【0075】
また、浄化板11〜14は、ベース40との距離が、図8に示すように、通気口100aから離れるに従って次第に小さくなるよう配置されており、浄化板14の下端はベース40の上面に接地している。これにより、図8に示すように、通気口100aから取り込まれた外部の空気の流れは、浄化板11〜14によって徐々に遮られ、浄化板14によって完全に遮蔽される。よって、通気口100aから取り込まれた外部の空気が、効率的に浄化板11〜14によって作られる隙間に分流される。なお、浄化板11〜14とベース40との距離は、通気口100aから取り込まれた外部の空気が、浄化板11〜14によって作られる隙間に略均等に分流されるように設定される。
【0076】
また、このように配置すれば、浄化ユニット100に取り込まれた空気を、浄化ユニット100に取り込まれる直前の空気の流れ(X軸正方向の流れ)と異なるように分流することが可能となる。これにより、浄化ユニット100のX軸方向の幅を小さくしても、取り込まれた空気が、流路内を長い時間かけて流れると共に、取り込まれた空気の通過距離が長くなる。よって、取り込まれた空気が流路上に設置された光触媒膜C13と接触する機会が増えて、浄化効率が向上する。
【0077】
また、発光ユニット22の右側から流れてきた空気は、発光ユニット22の下端とベース40の上面との間を通って、浄化板14の下端付近に流れる。そして、浄化板14の下端付近に流れてきた空気は、浄化板14の右側の面に沿って上向きに流れる。よって、浄化板14の下端においても、光触媒反応により浄化対象物質の分解を行うことができる。図8の破線で示すように、浄化板10によって分流された空気は浄化板10の近傍に沿って流れるため、光触媒による浄化には好適である。
【0078】
<配置に関するシミュレーション>
ここで、本件出願の発明者は、浄化ユニット100内において、上記のように浄化板11〜14が配置されたときに、浄化板11〜14上の光強度についてシミュレーションを行った。以下のシミュレーションにおいて、光源から出射される光の波長は、365nmであり、光源から出射される光の広がり角は、上記LED21a、22aと同様、120度である。また、何れのシミュレーションにおいても、光源はY軸方向に3つ並んでおり、各光源から出射される光の強度は同じである。また、Y軸方向に並ぶ3つの光源から出射される光の強度の合計は、何れのシミュレーションにおいても同じ(0.33×3ワット)である。
【0079】
図9(a)は、パターン1の場合の光源と反射板の位置を示す模式図である。図9(b)〜(e)は、それぞれ、この場合の浄化板14、13、12、11の右側(X軸負方向側)の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。なお、図9(b)〜(e
)は、カラーで示されていた図をグレースケールに変換したものである。
【0080】
パターン1では、図3(a)と同様、光源は浄化板11〜14によって作られる隙間の外側に配置されている。また、光源から出射される光を効率的に浄化板11〜14上に導くために、2枚の反射板が用いられている。これら2枚の反射板の形状は、X−Z平面内において、y=0.0042x2、y=0.0032x2と表される。
【0081】
この場合、図9(b)〜(e)に示すように、浄化板11〜14の右側の面上に光強度が分布する。浄化板14、13、12、11の右側の面上の光強度は、それぞれ、0.50ワット、0.42ワット、0.27ワット、0.12ワットとなり、これら光強度の総和は1.31ワットとなる。
【0082】
図10(a)は、パターン2の場合の光源と反射板の位置を示す模式図である。図10(b)〜(e)は、それぞれ、この場合の浄化板14、13、12、11の右側(X軸負方向側)の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【0083】
パターン2では、光源は浄化板12と13によって作られる隙間に配置されている。また、光源から出射される光を効率的に浄化板11〜14上に導くために、1枚の反射板が用いられている。この反射板の形状は、X−Z平面内において、y=0.005x2と表される。
【0084】
この場合、図10(b)〜(e)に示すように、浄化板11〜14の右側の面上に光強度が分布する。浄化板14、13、12、11の右側の面上の光強度は、それぞれ、0.43ワット、0.82ワット、0.13ワット、0.08ワットとなり、これら光強度の総和は、パターン1よりも大きい1.46ワットとなる。
【0085】
図11(a)は、パターン3の場合の光源と反射板の位置を示す模式図である。図11(b)〜(e)は、それぞれ、この場合の浄化板14、13、12、11の右側(X軸負方向側)の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【0086】
パターン3では、光源と反射板は、上記LED21aと、反射板31と同様に配置されている。この反射板の形状は、X−Z平面内において、y=0.013158x2と表される。
【0087】
この場合、図11(b)〜(e)に示すように、浄化板11〜14の右側の面上に光強度が分布する。浄化板14、13、12、11の右側の面上の光強度は、それぞれ、0.21ワット、0.30ワット、0.42ワット、1.25ワットとなり、これら光強度の総和は、パターン2よりも大きい2.18ワットとなる。
【0088】
図12(a)は、パターン4の場合の光源と反射板の位置を示す模式図である。図12(b)〜(e)は、それぞれ、この場合の浄化板14、13、12、11の右側(X軸負方向側)の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【0089】
パターン4では、光源と反射板は、上記LED22aと反射板32と同様に配置されている。この反射板の形状は、パターン3の反射板と同様、X−Z平面内において、y=0.013158x2と表される。
【0090】
この場合、図12(b)〜(e)に示すように、浄化板11〜14の右側の面上に光強度が分布する。浄化板14、13、12、11の右側の面上の光強度は、それぞれ、1.44ワット、0.31ワット、0.22ワット、0.16ワットとなり、これら光強度の
総和は、パターン3と略同じ2.13ワットとなる。
【0091】
よって、パターン1に示すように、浄化板11〜14によって作られる隙間の外側に光源が配置される場合よりも、パターン2〜4に示すように、浄化板11〜14によって作られる何れかの隙間に光源が配置される場合の方が、浄化板11〜14上に効率的に光を導くことができる。さらに、パターン2に示すように、浄化板12と13によって作られる隙間に光源が配置される場合よりも、パターン3、4に示すように、光源から出射された光が1回だけ浄化板を透過した後に反射板によって反射される場合の方が、浄化板11〜14上に効率的に光を導くことができる。
【0092】
以上、本実施例の浄化ユニット100によれば、通気口100aから浄化ユニット100内に取り込まれた空気は、浄化板11〜14の光触媒膜C13により浄化され、通気口100bから排気される。これにより、浄化ユニット100が、たとえば、空気を流すためのダクトの中に設置されると、ダクトの入口付近の空気に含まれる浄化対象物質は、浄化ユニット100により分解され、浄化された空気がダクトの出口へと送られる。このように浄化ユニット100が設置されたダクトの入口と出口が、たとえば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで商品を陳列するショーケースなどの空気循環経路の中に設置されることで、ショーケースの内部の空気を浄化することができる。この他、冷蔵庫内の空気循環など、ファンを使って空気を循環させているダクト内に設置すると有益である。
【0093】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、LED21aが、浄化板11と12によって作られる隙間に配置され、LED22aが、浄化板13と14によって作られる隙間に配置される。これにより、LED21a、22aが、図3(a)と図9(a)に示すように、浄化板11〜14の外側に配置される場合に比べて、浄化板11〜14上に効率的に光を照射させることができる。よって、浄化板11〜14において光触媒反応が効率良く生じるようになる。なお、本実施例によれば、LED21a、22aが、図10(a)に示すように、浄化板12と13によって作られる隙間に配置される場合と比べても、浄化板11〜14上に効率的に光を照射させることができる。
【0094】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、LED21a、22aが、それぞれ、浄化板11と12によって作られる隙間と、浄化板13と14によって作られる隙間に配置されている。また、これら隙間は、浄化ユニット100内に取り込まれた空気の流路となっている。これにより、LED21a、22aは空気によって冷却されるため、LED21a、22aの温度上昇が抑制される。よって、LED21a、22aは、安定して同じ波長の光を照射することが可能となり、また、浄化ユニット100の高温化が回避され得る。
【0095】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、図8に示すように浄化ユニット100内で空気が流れる。すなわち、通気口100aから取り込まれる空気の流れ方向と、浄化板11〜14によって作られる隙間の空気の流れ方向は異なっている。この場合、図3(b)のように、4枚の浄化板10の隙間の広がり方向(図3(b)の左右方向)に空気が流れる場合に比べて、浄化ユニット100内で空気が滞留し易くなる。これにより、通気口100aから取り込まれた空気に含まれる浄化対象物質が滞留し、浄化板11〜14に付着し易くなり、図3(b)のような構成に比べて、浄化作用がより促進される。
【0096】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、通気口100aから取り込まれた外部の空気の流れが、浄化板11〜14によって徐々に遮られ、浄化板14によって完全に遮蔽される。これにより、通気口100aから取り込まれた外部の空気が、浄化板11〜14に対して略等しく分流されるため、浄化板11〜14において、光触媒反応がさらに効
率良く生じるようになる。
【0097】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、LED21a、22aが、それぞれ、浄化板11と12によって作られる隙間と、浄化板13と14によって作られる隙間に配置されている。これにより、図3(b)と図9(a)に示すように、光源が浄化板11〜14の外側に配置される場合に比べて、浄化ユニット100のX軸方向の大きさを小さくすることができる。よって、浄化ユニット100を小型化することが可能となる。
【0098】
また、本実施例の浄化ユニット100では、浄化板11〜14の光触媒膜C13は、波長405nmの青色の光によって光触媒反応を生じるよう構成されている。LEDや半導体レーザ光源等の製造上のコストは、一般に、出射波長が短くなるに従って高くなり、出射波長が可視光帯域に近いほど低くなる。よって、本実施例の浄化ユニット100によれば、LED21a、22aの製造コストを低くすることができるため、浄化ユニット100にかかるコストを低減することができる。この場合の光触媒膜C13の材料として、特に波長が405nmの光で光触媒反応を示すものを用いればより効果的である。具体的には、TiO2にFe、Cuを含有担持させたもの、WO3およびこれらにPtを担持させたものが好適である。これらはルチル等よりも効果的に405nmの可視光を利用できる。
【0099】
<脱臭装置の実施例>
以下は、上記浄化ユニット100を脱臭装置に適用した例である。
【0100】
図13は、脱臭装置1の構成を示す図である。
【0101】
脱臭装置1は、浄化ユニット100と、送風経路110と、ファン121、122と、フィルター131、132と、臭気センサ140と、LED駆動回路150と、ファン駆動回路161、162と、制御回路170と、を備える。
【0102】
送風経路110は、中空の筒体からなっており、その中を空気がX軸正方向に流通できるよう構成されている。送風経路110の入口と出口には、それぞれ吸気口110aと排気口110bが形成されている。また、送風経路110の中心付近には、浄化ユニット100が配置されるための浄化領域110cが形成されている。
【0103】
浄化ユニット100は、上記浄化ユニット100である。浄化ユニット100の通気口100aは、吸気口110a側に向けられており、通気口100bは、排気口110b側に向けられている。なお、図13において、浄化ユニット100の内部に、発光ユニット21、22が概念的に示されており、浄化ユニット100の他の構成については、図示が省略されている。
【0104】
ファン121、122は、吸気口110aから排気口110bに向けて、空気を流通させる。これにより、吸気口110a付近にある空気は、ファン121によって吸気口110aから吸い込まれ、浄化領域110cを通り、ファン122によって排気口110bから送出される。
【0105】
フィルター131は、吸気口110aから吸い込まれた空気に含まれる大きな埃を取り除き、フィルター132は、フィルター131側から送出される空気に含まれる小さい埃を取り除く。臭気センサ140は、ファン121から浄化領域110cに向けて送出される空気に含まれる臭い成分を検出する。臭気センサ140の検出信号は、制御回路170に出力される。
【0106】
LED駆動回路150は、制御回路170からの指令に応じて、発光ユニット21、22に配されたLED21a、22aを駆動する。ファン駆動回路161、162は、制御回路170からの指令に応じて、それぞれ、ファン121、122を駆動する。制御回路170は、臭気センサ140の出力信号に基づき、LED駆動回路150と、ファン駆動回路161、162を制御する。制御回路170は、たとえば、臭気センサ140の検出信号が所定値を超えると、LED21a、22aの出射パワーが大きくなるようLED駆動回路150を制御する。
【0107】
このように脱臭装置1が構成されると、ファン121が駆動されることにより吸気口110aから取り込まれた空気が、フィルター131、132で埃を取り除かれ、浄化領域110cに送出される。浄化領域110cに送出された空気は、浄化ユニット100内に取り込まれ、上述したように、浄化ユニット100内の浄化板11〜14で浄化対象物質が分解される。
【0108】
浄化ユニット100内で浄化された空気は、通気口100bを通って浄化ユニット100から排気され、ファン122に向けて送られる。浄化領域110cの空気は、ファン121、122が駆動されることにより、排気口110bへ向けて送出され、排気口110bから送出される。こうして、脱臭装置1の近傍の空気中に含まれる空気が浄化される。
【0109】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0110】
たとえば、上記実施例の浄化板11〜14では、波長405nmの可視光により光触媒反応を生じさせる光触媒膜C13が用いられたが、これに替えて、紫外光(たとえば、波長375nmの光)により光触媒反応を生じさせる光触媒膜が用いられても良い。
【0111】
また、上記実施例の浄化板11〜14では、光触媒膜C13が、図1(d)に示すように一定の厚みを有するように構成されたが、これに限らず、図1(d)のX軸方向またはY軸方向において、異なる厚みを有するように構成されても良い。この場合、図6において、浄化板11〜14の光触媒膜C13の厚みが大きい端部が下方に位置付けられるよう、浄化板11〜14が設置される。こうすると、浄化対象物質をより多く含む空気が、光触媒膜C13の厚みが大きい端部に付着し易くなるため、浄化ユニット100の浄化能力が向上させることができる。
【0112】
また、上記実施例の浄化板11〜14では、図1(d)に示すように、基板C11の上面側と下面側の両方に、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14が積層された。しかしながら、これに限らず、図1(a)に示すように、基板C11の片面側のみに、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14が積層されても良い。
【0113】
また、上記実施例では、光触媒反応を起こさせる光源としてLED21a、22aが用いられたが、LED21a、22aの替わりに半導体レーザが用いられても良い。半導体レーザはコヒーレントな光源であり、特定の結晶面に対し有効である。
【0114】
また、上記実施例において、反射板31、32の曲面形状は、X−Z平面内において放物線によって表されたが、これに限らず、楕円など、他の曲線によって表されるようにしても良い。また、反射板31、32の曲面形状は、X−Z平面内において、それぞれ、複数の曲線によって表されるようにしても良い。この場合も、反射板31、32によって反射された光の浄化板11〜14に対する入射角は、浄化板11〜14によって反射される光の割合(損失割合)が低く抑えられる範囲内に設定される。
【0115】
また、上記実施例では、4枚の浄化板11〜14が用いられたが、浄化板の数はこれに制限されるものではなく、4枚以外の複数であっても良い。5枚以上の浄化板が用いられる場合には、端から2番目と3番目の浄化板の間等、全ての浄化板に対する光の照射効率が最も高くなる位置に発光ユニット21、22を配置すれば良い。また、浄化板間の間隔や発光ユニット21、22の出射パワーによっても、全ての浄化板に対する光の照射効率が最も高くなる位置は変わり得る。よって、浄化板の枚数や、浄化板間の間隔、発光ユニット21、22の出射パワーに応じて、どの浄化板間の隙間に発光ユニット21、22を配置するかを適宜設定すれば良い。
【0116】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 … 脱臭装置
11〜14 … 浄化板
21a、22a … LED(第1の光源、第2の光源、光源)
31、32 … 反射板(第1の反射板、第2の反射板)
100 … 浄化ユニット
100a … 通気口(取り込み口)
121、122 … ファン
170 … 制御回路(制御部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒構造体を用いて空気中に含まれる浄化対象物質を浄化する浄化ユニットおよび脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光触媒活性物質を含む光触媒構造体を用いて、大気浄化、脱臭、浄水、抗菌、防汚、水分解を行う光触媒装置の開発が進められている。光触媒構造体は、所定波長の光が照射されることにより膜面で酸化還元反応(光触媒反応)を起こし、膜面に付着した物質を浄化する。この種の光触媒構造体は、一般に、基板上に、酸化チタン(TiO2)等からなる光触媒膜が積層されることにより生成される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3809347
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記光触媒構造体を用いた浄化ユニットおよび脱臭装置では、装置周辺の空気を吸気口から取り込み、光源から出射される光を光触媒膜に照射させて、取り込まれた空気に含まれる浄化対象物質を光触媒膜で浄化する。このとき、光触媒膜において光触媒反応が効率良く生じるように、光源から出射された光を光触媒膜へと導くことが望まれている。
【0005】
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、光触媒反応が効率良く生じるように、光源から出射された光を光触媒膜へと導くことができる浄化ユニットおよび脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、光触媒反応により空気を浄化する浄化ユニットに関する。この態様に係る浄化ユニットは、光を出射する第1の光源と、前記第1の光源から出射された光を反射する第1の反射板と、前記第1の光源から出射された光が照射されることにより前記光触媒反応を起こす複数の浄化板と、を備える。ここで、前記第1の反射板と前記第1の光源との間には、前記複数の浄化板のうち少なくとも1つの前記浄化板が配置される。前記第1の光源から出射された光は、前記第1の反射板と前記第1の光源との間に配置された前記浄化板を透過した後に前記第1の反射板によって反射されて、前記複数の浄化板に照射される。
【0007】
本発明の第2の態様は、脱臭装置に関する。この態様に係る脱臭装置は、上記第1の態様に係る浄化ユニットと、脱臭装置内に空気を流すためのファンと、前記ファンおよび前記浄化ユニット内に配置された光源を制御するための制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光触媒反応が効率良く生じるように、光源から出射された光を光触媒膜へと導くことができる浄化ユニットおよび脱臭装置を提供することができる。
【0009】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】光が照射されることにより光触媒反応を起こす浄化板の構成例を説明する図および実施例に係る浄化板の構成を示す図である。
【図2】光が照射されることにより光触媒反応を起こす浄化板の構成例を説明する図である。
【図3】比較例に係る浄化板と光源の配置を示す模式図および実施例の配置原理に係る浄化板と光源の配置を示す模式図である。
【図4】実施例に係る浄化ユニットの分解斜視図である。
【図5】実施例に係る浄化ユニットの浄化板の構成を示す斜視図である。
【図6】実施例に係る浄化ユニットの断面図である。
【図7】実施例に係る浄化板の境界面で生じる反射を示す図および反射する光の割合(反射率)を示すシミュレーション結果である。
【図8】実施例に係る浄化ユニット内の空気の流れを示す図である。
【図9】パターン1に係る光源と反射板の位置を示す模式図およびこの場合の浄化板の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【図10】パターン2に係る光源と反射板の位置を示す模式図およびこの場合の浄化板の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【図11】パターン3に係る光源と反射板の位置を示す模式図およびこの場合の浄化板の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【図12】パターン4に係る光源と反射板の位置を示す模式図およびこの場合の浄化板の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【図13】実施例に係る脱臭装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0012】
<浄化板の構成例>
まず、図1(a)〜(c)と図2を参照して、光が照射されることにより光触媒反応を起こす浄化板の構成例について説明する。
【0013】
図1(a)は、浄化板C10の積層構造を示す図であり、図1(b)は、浄化板C10の基板C11の凹凸構造C11aを示す図であり、図1(c)は、凹凸構造C11aの二次電子写真像を示す図である。
【0014】
図1(a)を参照して、浄化板C10は、基板C11と、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14を有する。なお、図1(a)に示すz軸方向は、基板C11と、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14の積層方向を示している。
【0015】
基板C11は、後述する波長405nmの青色の光が80%以上透過するよう、ポリカーボネート等の透光性材料から形成されており、屈折率は1.6に設定されている。基板C11の透過膜C12側の面には、図1(b)、(c)に示す如く、縦横均等に一定ピッチにて円柱状の突起が並ぶようにして、凹凸構造C11aが形成されている。凹凸構造C11aのピッチ(円柱状突起の幅)は、縦横ともに250nmであり、円柱状突起の高さは、175nmとなっている。
【0016】
なお、図1(c)の写真像は、凹凸構造C11a上に合金膜をスパッタによって20nm形成した後、電子写真撮像のためにPt−Pdを10Å蒸着した状態で撮像を行ったときのものである。
【0017】
ここで、図2を参照して基板C11の形成手順について説明する。
【0018】
まず、シリコン原盤上にスピンコートによりレジストを塗布する(工程1)。次に、EB描画(電子ビームカッティング)にて、上記ピッチの凹凸構造を形成する(工程2)。この描画後、現像処理を行い(工程3)、RIE加工を行う(工程4)。さらに、酸素プラズマアッシングを行って、残存するレジストを除去する(工程5)。これにより、シリコン原盤上に凹凸構造が形成される(Si原基)。
【0019】
続いて、このSi原基に対し、Niメッキを行って(工程6)、Niを堆積させる。そして、堆積したNi層をSi原基から剥離して、スタンパを作製する(工程7)。このスタンパに対し、射出成形を行って(工程8)、基板C11を作製する(工程9)。これにより、凹凸構造が転写された基板C11が形成される。
【0020】
なお、基板C11の材料として、ポリカーボネート以外に、ポリオレフィンといった透光性材料を用いることもできる。特に、使用する波長において基板C11での光の吸収が少ない方がよく(基板C11での光の吸収はロスになる)、基板C11には不純物や紫外線吸収剤が添加されていないものがよい。また、ポリオレフィン以外に、ポリ乳酸等の生分解性材料を用いることもできる。生分解性材料を用いると、廃棄時に有害物質が発生せず、焼却等の処理のためにエネルギーを使うこともなく、環境負荷等を小さくすることができる。
【0021】
また、EB描画の替わりに、レーザビームカッティングを用いることもできる。この場合、シリコン原盤上には、フォトレジスト層が塗布される。また、カッティングビームとしては、波長400nm程度のレーザ光が用いられる。
【0022】
図1(a)に戻り、透過膜C12は、上記手順によって形成された基板C11の凹凸構造C11a上に、スパッタ法によって積層される。透過膜C12は、Al2O3からなり、屈折率は基板C11と略同じとなるよう1.6に設定されている。また、透過膜C12の上面と下面は、基板C11の凹凸構造C11aを反映して凹凸構造となっている。なお、透過膜C12は、非電解質な無機材料からなるため、後述する光触媒膜C13の光触媒反応により浸食されない。また、透過膜C12と基板C11の屈折率は略同じとしたため、屈折率差による界面での反射が生じ難いという利点がある。
【0023】
ここで、透過膜C12の膜厚およびRa(表面粗さ)は、基板C11が光触媒膜C13によって浸食されないように設定されている。また、透過膜C12の膜厚およびRaは、基板C11側から入射する光が光触媒膜C13に十分に届くように、且つ、光触媒膜C13側から入射する光が基板C11に十分に届くように設定されている。なお、透過膜C12のRaの制御は、スパッタ時のガス圧を調節することによって行われる。
【0024】
光触媒膜C13は、透過膜C12の上面にスパッタ法によって積層される。光触媒膜C13は、TiO2からなり、屈折率は2.5に設定されている。また、光触媒膜C13の上面と下面は、透過膜C12の上面に形成された凹凸構造を反映して凹凸構造となっている。これにより、基板C11の表面の凹凸構造C11aを反映した構造が、光触媒膜C13の上面(吸着膜C14側の面)に形成され、光触媒膜C13上面の表面積が大きくなり、浄化対象物質と光触媒膜C13との接触機会が増加することで、光触媒反応が起こりやすくなる。また、これら凹凸構造は、照射される光の波長よりも短いピッチにて構成されるため、界面での見かけ上の屈折率は徐々に変化することになり、反射が生じ難くなるという利点がある。これにより、光を効率よく光触媒膜C13の垂直方向へ透過させることができる。
【0025】
なお、成膜後の光触媒膜C13自体の表面は、積層される際にガス圧の調整によって多孔質状とすることができる。これにより、光触媒膜C13自体が多孔質状となるため、光触媒膜C13の表面積を大きくすることができ、さらに基板C11の凹凸構造C11aより光触媒膜C13の表面積を増やすことができる。光触媒膜C13の膜厚が小さすぎると、透過膜C12の上面は光触媒膜C13により完全に覆われなくなる。他方、光触媒膜C13の膜厚が大きいと、透過膜C12の上面に形成された凹凸構造が光触媒膜C13の上面(吸着膜C14側の面)に反映しなくなることに加えて、透過膜C12側および吸着膜C14側から入射する光が、光触媒膜C13による吸収により、それぞれ、光触媒膜C13の上面および下面まで透過し難くなる。これらを考慮して、透過膜C12の上面が十分に被覆され、且つ、光が光触媒膜C13を十分透過するように、光触媒膜C13の膜厚が設定される。つまり、光触媒膜C13の膜厚は、透過膜C12の表面を完全に覆う程度に薄く形成されることが望ましい。
【0026】
光触媒膜C13を形成するTiO2は、アナターゼ結晶微粒子を含んでいる。アナターゼ結晶は、バンドギャップから波長388nm以下の紫外光を吸収し、光触媒反応を起こす。また、アナターゼ結晶は、微粒子状で光触媒膜C13内に存在するため、基板C11の形状が複雑であっても基板C11に対して均一に分布する。これにより、光触媒膜C13上で広範囲に亘って効率的に光触媒反応が起き易くなる。
【0027】
また、TiO2は、アナターゼ結晶構造以外に、ルチル構造、アモルファス構造、ブルカイト構造を形成することが分かっており、構造により光触媒反応が異なる。すなわち、反応の活性や反応する波長が構造毎に異なっている。光触媒膜C13を形成するTiO2には、複数の構造が含まれている。具体的には、TiO2からなる光触媒膜C13は、アナターゼ結晶構造を持ち、アモルファス状のものおよびアナターゼ結晶欠陥や、スパッタ時に含まれる微量の窒素を含む微粒子、ルチル微粒子が含まれた複合膜である。これにより、光触媒膜C13の光触媒反応は、前述したアナターゼ結晶の反応波長である388nm以下だけでなく、400〜500nmの可視光領域の波長の光(青色の光)によっても促進されることとなる。
【0028】
なお、光触媒膜C13は、光触媒膜C13に付着した物質に対して光触媒作用を及ぼす。光触媒作用を受ける物質として、アンモニア、アセトアルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタン、ホルムアルデヒド、酢酸、トルエン、菌、油分、などが挙げられる。これら物質は、光触媒作用を受けて二酸化炭素や水等に分解される。
【0029】
吸着膜C14は、光触媒膜C13の上面にスパッタ法によって積層される。吸着膜C14は、透光性のSiO2からなり、屈折率は、1.45である。SiO2は吸湿性があり、空気中の水分子や気相ガスを取り込み易い性質を有する。これにより、吸着膜C14の上面にある空気中の物質が、吸着膜C14に付着し易くなる。また、吸着膜C14に吸着した物質は、吸着膜C14上に留まり、光触媒膜C13による光触媒作用を受け易くなる。
【0030】
なお、吸着膜C14は、光触媒膜C13の上面を完全にコートしてしまわないよう、光触媒膜C13上に積層される。また、光触媒膜C13上の凹凸構造を反映する厚さで、吸着膜C14が構成されれば、吸着膜C14の凹凸構造が光の波長より短いピッチのため、屈折率が徐々に変化する。これにより、吸着膜C14での反射が生じ難くなるため、吸着膜C14も光が透過しやすくなる。また、光触媒膜C13上に凹凸構造が形成されれば、表面積増大効果による吸着率増加を見込むことができる。この場合、吸着膜C14がさらに多孔構造であればなお良い。すなわち、スパッタ時のガス圧を低くしたり(具体的には0.8〜1Pa以上)、スパッタレートを早くしたりする(70Å/min以上)ことにより、吸着膜C14に無数の微細孔が形成される。これにより、吸着膜C14の上面に付
着した物質が、微細孔を介して、光触媒膜C13と接するようになる。また、吸着膜C14に入射する光が、吸着膜C14を透過して、光触媒膜C13に透過し易くなる。吸着膜C14の膜厚は、吸着膜C14に付着した物質が光触媒膜C13と効率的に接し、光を透過し易い厚みに設定されるのが望ましい。
【0031】
このように構成された浄化板C10に対して、基板C11の下面または吸着膜C14の上面から、波長405nmの青色の光が照射されると、かかる青色の光は光触媒膜C13に到達する。これにより、吸着膜C14側から入って光触媒膜C13に接している物質が光触媒作用を受け得る。
【0032】
ここで、光触媒作用を生じさせる浄化板は、図1(d)に示す浄化板10のように構成されても良い。浄化板10は、浄化板C10の下面に、図1(a)と同様の透過膜C12、光触媒膜C13および吸着膜C14が積層されている。基板C11の厚さは0.4mm、透過膜C12の厚さは7nm、光触媒膜C13の厚さは15nm、吸着膜C14の厚さは7nmに設定される。このとき、浄化板10の上面または下面から入射した光の80%以上は、浄化板10を透過して反対側の面から出射される。
【0033】
このように浄化板10が構成されると、上面側と下面側の物質を浄化することができるようになるため、図1(a)の浄化板C10に比べて、さらに浄化能力を高めることができる。このとき浄化板10の透過率は重要であり、高ければ高い方がよく、好ましくは80%以上がよい。
【0034】
ここで、浄化板10が上下方向に複数枚並べられ、最上段の浄化板10の上側から下向きに光が出射される場合について考える。この場合、透過率が低くなると、べき乗で下段への光量が低下する。すなわち、浄化板10の透過率をT、浄化板の枚数をNとすると、最下段の浄化板10を下側に透過する光の割合(最終透過比率)は、以下の式(1)で表される。
【0035】
【数1】
【0036】
浄化板10の透過率は、上記式(1)の値が0.1以上となるよう設計するのが望ましい。こうすると、最下段の浄化板10を透過した後の光の光量が出射光量の10%となり、最下段の浄化板10においても最低限の光触媒反応が促進される。上記式(1)において、T=63%、N=5とすると、最下段の浄化板10を透過した後の光量が出射光量の10%程度となる。この場合、浄化板10の枚数を5より増やすと、最下段の浄化板10における光触媒反応の効率が非常に低くなってしまう。T=80%ならば、N=7でも、最下段の浄化板10を透過した後の光量は、出射光量の20%程度となる。この場合、最下段(7枚目)の浄化板10においても十分な光触媒反応が得られ、また、上記式(1)の値が0.1程度になるまで、浄化板10の枚数を増やすことも可能である。
【0037】
次に、浄化板10が上下方向に複数枚並べられ、最上段の浄化板10の上側に光を反射する反射板が配置され、最上段の浄化板10よりも下側から上向きに光が出射される場合について考える。この場合、反射板と光源の間の浄化板10の枚数をnとすると、最下段
の浄化板10を下側に透過する光の割合(最終透過比率)は、以下の式(2)で表される。
【0038】
【数2】
【0039】
この場合も、浄化板10の枚数と、反射板と光源の間の浄化板10の枚数と、透過率とは、最下段の浄化板10において最低限の光触媒反応が促進されるよう、すなわち、式(2)の値が0.1以上となるよう設計するのが好ましい。
【0040】
以下の実施例では、浄化板10を用いた浄化ユニットおよび脱臭装置が示されている。
【0041】
<浄化板と光源の配置原理>
次に、上記浄化板10と、浄化板10に光を照射させる光源の配置原理について説明する。
【0042】
図3(a)は、浄化板10と光源の配置(比較例)を示す模式図である。
【0043】
図3(a)の構成では、同じ大きさの面を有する4枚の浄化板10が配されており、浄化板10の各面は、z軸に対して垂直となるように配置される。浄化板10内の基板C11と、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14の積層方向は、図1(d)と同様、z軸方向となっている。4枚の浄化板10は、z軸方向に互いに隙間Sが設けられるよう配置されている。隙間Sは、上下に並ぶ2枚の浄化板10によって作られる空間のことである。より詳しくは、隙間Sは、上側の浄化板10の下面が含まれる平面と、下側の浄化板10の上面が含まれる平面との間に作られる空間のことである。
【0044】
x軸方向には、1つの光源が配置され、y軸方向には、浄化板10のy軸方向の幅に合わせて、複数の光源(図示せず)が配置される。最も上側(z軸正方向側)の浄化板10の上側には、曲面形状を有する反射板が配置される。反射板は、x−z平面内において放物線形状となっており、光源はこの放物線の焦点位置に配置されている。浄化対象物質を含む空気は、浄化板10の左側から、各浄化板10の隙間を通って、右方向(x軸正方向)に送られる。
【0045】
このように浄化板10と光源が設置されると、光源から出射された光は、4枚の浄化板10を透過しながら、4枚の浄化板10にそれぞれ入射する。これにより、各浄化板10の光触媒膜C13に接触している浄化対象物質が、光触媒反応により浄化される。
【0046】
しかしながら、図3(a)の構成では、反射板によって反射された光は、各浄化板10を上から下に向けて1回透過するだけであるため、光が浄化板10を透過する回数は合計で4回となり、光の利用効率はそれほど高くない。
【0047】
図3(b)は、図3(a)よりも光の利用効率が高められた浄化板10と光源の配置(実施例の配置原理)を示す模式図である。
【0048】
図3(b)の構成では、最も上側の浄化板10と、上から2番目の浄化板10によって作られる隙間に、光源が設置される。この場合の反射板も、x−z平面内において放物線形状となっており、光源はこの放物線の焦点位置に配置されている。
【0049】
このように浄化板10と光源が配置されると、光源から出射された光は、一番上の浄化板10の下側の面から入射して、この浄化板10を透過し、反射板によって反射される。反射板によって反射された光は、一番上の浄化板10を今度はz軸負方向に(上から下に)透過し、上から2番目の浄化板10に入射する。これにより、光が浄化板10を透過する回数は、合計で浄化板10が配置された枚数分よりも多い5回となり、図3(a)に比べて、光の利用効率が高められることになる。よって、4枚の浄化板10の浄化能力を向上させることができる。また、光源を反射板のx−z平面内における放物線の焦点位置に配置することで、反射板で反射する光は、浄化板10に垂直な方向に反射され、効率よく4枚の浄化板10を透過することができる。
【0050】
さらに、この場合、各浄化板10の隙間Sを通って空気が送られると共に、この隙間Sに光源が設置されているため、隙間Sに流入する空気によって光源が冷却される。これにより、光源の温度上昇が抑制されるため、光源から出射される光の波長を安定させることができる。特に、光源がLEDやレーザの場合、発光点では熱が発生し、光源の寿命が短くなる問題があるが、流入する空気によって光源が冷却されることにより、光源の長寿命化と出力の安定化が図られる。
【0051】
なお、図3(b)では、3つの隙間Sのうち最も上側の隙間Sに光源が配置されたが、これに限らず、他の隙間Sに光源が配置されても良い。この場合も、光源から出射された光は、光源と反射板との間にある浄化板を上向きに透過して、反射板によって反射される。よって、この場合も、図3(a)に比べて、光の利用効率が高められると共に、光源の温度上昇が抑制される。
【0052】
以下の浄化ユニットおよび脱臭装置の実施例では、図3(b)に示す配置原理に基づいて浄化板と光源が配置される。
【0053】
<浄化ユニットの実施例>
以下、浄化ユニットの実施例について説明する。
【0054】
図4は、本実施例の浄化ユニット100の分解斜視図である。
【0055】
浄化ユニット100は、浄化板11〜14と、発光ユニット21、22と、曲面形状を有する反射板31、32と、ベース40と、2枚の支持板50と、側面板61、62と、上板70と、蓋80とを備えている。なお、浄化板11〜14は、図1(d)に示す浄化板10と同様に構成されている。
【0056】
発光ユニット21、22は、それぞれ、Y軸方向に3個のLED21aと3つのLED22aを有している。発光ユニット21、22は、入力される制御信号に基づいて、それぞれ、LED21a、22aを発光させる。LED21a、22aは、それぞれ、反射板31、32に向けて波長405nmの光を出射する。発光ユニット21に設置された3つのLED21aの向きは同じであり、また、発光ユニット22に設置された3つのLED22aの向きは同じである。なお、発光ユニット21、22にはY軸方向に3個のLEDが配されたが、これに限らず、適宜、設置するLEDの数が調整されても良い。
【0057】
反射板31、32は、曲面形状のミラーである。反射板31は、LED21aから出射され浄化板11を透過した光を、浄化板11に向けて反射する。反射板32は、LED2
2aから出射され浄化板14を透過した光を、浄化板14に向けて反射する。反射板31、32は、LED21a、22aの出射波長の光(本実施例では405nm)を反射する反射膜が形成されている。具体的には、反射膜は、AgおよびAg+Alの合金類からなっており、反射率は80%以上である。また、光の利用効率を上げるために、反射率は高いほど良い。
【0058】
支持板50には、浄化板11〜14と、発光ユニット21、22と、反射板31、32を通すための孔50aと、浄化ユニット100内において支持板50により仕切られる領域間で、Y軸方向の空気の移動が可能となるよう5つの孔50bが形成されている。側面板61には、浄化板11〜14と反射板31、32のY軸正方向の端部をそれぞれ保持するよう窪みが形成されており、側面板62には、浄化板11〜14と反射板31、32のY軸負方向の端部をそれぞれ保持するよう窪みが形成されている。蓋80は、X−Y平面に平行な上面と、Y−Z平面に平行な前面部80aと背面部80bを有している。前面部80aのZ軸方向の長さは、背面部80bに比べて短くなっている。
【0059】
組み立て時には、浄化板11〜14と、発光ユニット21、22と、反射板31、32が、2枚の支持板50に形成された孔50aに通される。これにより、浄化板11〜14は、図3(b)の4枚の浄化板10と同様、隙間を開けて平行に並べられる。そして、浄化板11〜14と反射板31、32の端部が、それぞれ、側面板61、62の窪みに保持されるようにして、側面板61、62がベース40に設置される。そして、上板70が、2枚の支持板50と、側面板61、62の上端に設置され、蓋80が、上板70の上に設置される。こうして、浄化ユニット100が完成する。
【0060】
図5は、浄化ユニット100の構成を示す斜視図である。なお、側面板61、62と、上板70と、蓋80は、便宜上、図示が省略されている。
【0061】
発光ユニット21は、浄化板11と12によって作られる隙間に位置付けられており、発光ユニット22は、浄化板13と14によって作られる隙間に位置付けられている。
【0062】
図6は、浄化ユニット100をY軸負方向に見たときの断面図である。
【0063】
浄化板11〜14と、LED21aと、反射板31は、図3(b)の配置原理に基づいて配置されている。すなわち、LED21aは、浄化板11と12によって作られる隙間に配置されている。また、浄化板11〜14と、LED22aと、反射板32も、図3(b)の配置原理に基づいて配置されている。すなわち、LED22aは、浄化板13と14によって作られる隙間に配置されている。
【0064】
LED21a、22aから出射される光の広がり角は120度で、LED21a、22aは、それぞれ、反射板31、32に向けて光を照射する。発光ユニット21、22(LED21a、22a)は、X−Z平面内においてX軸に対して45度傾けて配置されている。また、発光ユニット22の下端とベース40の上面との間には、隙間が設けられている。浄化板11〜14は、X−Z平面内においてZ軸に対して20度傾けて配置されている。また、浄化板11〜14は、ベース40に対してZ軸方向にそれぞれ異なる位置に配置されている。具体的には、浄化板14の下端はベース40の上面に接地しており、浄化板13、12、11は、この順にベース40の上面から離れている。
【0065】
前面部80aとベース40との間には、外部の空気を浄化ユニット100内に取り込むための通気口100aが形成されている。また、背面部80bとベース40との間には、浄化ユニット100内の空気を外部に排気するための通気口100bが形成されている。なお、空気の流れについては、追って図7を参照して説明する。
【0066】
発光ユニット21のLED21aから出射された光は、浄化板11の左側(X軸正方向側)の面に入射する。浄化板11の左側の面に入射した光は、浄化板11を透過し、反射板31によって反射される。反射板31によって反射された光は、浄化板11の右側(X軸負方向側)の面に入射する。浄化板11の右側の面に入射した光は、浄化板11を透過し、浄化板12、13、14の順に透過する。
【0067】
発光ユニット22のLED22aから出射された光は、浄化板14の右側の面に入射する。浄化板14の右側の面に入射した光は、浄化板11を透過し、反射板32によって反射される。反射板32によって反射された光は、浄化板14の左側の面に入射する。浄化板11の左側の面に入射した光は、浄化板14を透過し、浄化板13、12、11の順に透過する。
【0068】
なお、本実施例の浄化ユニット100では、上記図3(b)の配置原理とは異なり、反射板31、32によって反射された光が、浄化板11〜14に対して垂直方向からややずれた方向に入射する。このように、浄化板11〜14が入射する光に対して傾けて配置されると、浄化板11〜14に入射する光の入射角によっては、浄化板11〜14によって反射される光の割合(損失割合)が増加することがある。このため、本実施例では、反射板31、32によって反射された光の浄化板11〜14に対する入射角は、損失割合が低く抑えられる範囲内に設定されている。
【0069】
本実施例では、上述したように浄化板10の各層の凹凸構造により、出来る限り反射を抑制して効率的に光を利用することができる。しかしながら、各層に対応する材質の屈折率を考慮すると、屈折率の異なる層間において反射が生じることになる。
【0070】
ここで、浄化板10の片側の面では、屈折率の異なる3つの層が想定される。すなわち、吸着膜C14に対応するL1層(屈折率1.45)と、光触媒膜C13に対応するL2層(屈折率2.5)と、透過膜C12と基板C11に対応するL3層(屈折率1.6)とが想定される。この場合、図7(a)に示すように、L1層側から入射角θで光が入射すると、L1層とL2層の境界面で反射1が生じ、L2層とL3層の境界面で反射2が生じる。
【0071】
図7(b)は、図7(a)の状態で、L1層側から入射する光に対する、反射1と反射2を合わせた光の割合(反射率)を示すシミュレーション結果である。図7(b)を参照すると、入射角が42度を超えると、反射率が20%を超えることが分かる。このため、42度より小さい角度で光が入射するようにする必要がある。理想的には0度(面に対して垂直)が好ましい。入射角が42度で反射率が20%となると、片面側(L1〜L3層)の透過率は80%となり、L1〜L3層は浄化板10の両面に配されているため、浄化板10を透過する光の割合は64%となる。この場合、5枚の浄化板10に対して光が出射されると、全ての浄化板10を透過した後の光の光量は、出射時の光量の10%程度となる。よって、入射角が42度を超えると、5枚目の浄化板10を透過した後の光の光量は、出射時の光量の10%以下となり、光触媒反応の効率が非常に悪くなる。
【0072】
図8は、浄化ユニット100内の空気の流れを示す図である。なお、図8は、図6と同様、浄化ユニット100をY軸負方向に見たときの断面図である。
【0073】
浄化ユニット100内の各部材(浄化板11〜14と、発光ユニット21、22と、反射板31、32)は、図6を参照して説明したように、浄化ユニット100内に配置されている。これら各部材によって、ベース40と、支持板50と、側面板61、62と、上板70と、蓋80によって囲まれる浄化ユニット100内の空間が仕切られることにより
、浄化ユニット100内に流路が形成されている。通気口100aから取り込まれた外部の空気は、かかる流路を通って、通気口100bから排気される。図8には、浄化ユニット100内の流路において、浄化ユニット100の外部から入った空気が、浄化ユニット100の外部へ出ていく流れが破線の矢印で示されている。
【0074】
通気口100aから浄化ユニット100内に取り込まれた空気は、浄化板11〜14と反射板31、32の間を通るように流れる。このとき、取り込まれた空気に含まれる浄化対象物質は浄化板11〜14の吸着膜C14に付着する。これにより、浄化板11〜14の近傍の空気中の浄化対象物質は、上述したように、吸着膜C14に留められ、光触媒膜C13と接することとなる。この状態で、発光ユニット21、22のLED21a、22aから出射された光が光触媒膜C13に照射されると、光触媒反応が起こり、光触媒膜C13と接している浄化対象物質が分解される。浄化対象物質が分解されて浄化された空気は、通気口100bから排気される。
【0075】
また、浄化板11〜14は、ベース40との距離が、図8に示すように、通気口100aから離れるに従って次第に小さくなるよう配置されており、浄化板14の下端はベース40の上面に接地している。これにより、図8に示すように、通気口100aから取り込まれた外部の空気の流れは、浄化板11〜14によって徐々に遮られ、浄化板14によって完全に遮蔽される。よって、通気口100aから取り込まれた外部の空気が、効率的に浄化板11〜14によって作られる隙間に分流される。なお、浄化板11〜14とベース40との距離は、通気口100aから取り込まれた外部の空気が、浄化板11〜14によって作られる隙間に略均等に分流されるように設定される。
【0076】
また、このように配置すれば、浄化ユニット100に取り込まれた空気を、浄化ユニット100に取り込まれる直前の空気の流れ(X軸正方向の流れ)と異なるように分流することが可能となる。これにより、浄化ユニット100のX軸方向の幅を小さくしても、取り込まれた空気が、流路内を長い時間かけて流れると共に、取り込まれた空気の通過距離が長くなる。よって、取り込まれた空気が流路上に設置された光触媒膜C13と接触する機会が増えて、浄化効率が向上する。
【0077】
また、発光ユニット22の右側から流れてきた空気は、発光ユニット22の下端とベース40の上面との間を通って、浄化板14の下端付近に流れる。そして、浄化板14の下端付近に流れてきた空気は、浄化板14の右側の面に沿って上向きに流れる。よって、浄化板14の下端においても、光触媒反応により浄化対象物質の分解を行うことができる。図8の破線で示すように、浄化板10によって分流された空気は浄化板10の近傍に沿って流れるため、光触媒による浄化には好適である。
【0078】
<配置に関するシミュレーション>
ここで、本件出願の発明者は、浄化ユニット100内において、上記のように浄化板11〜14が配置されたときに、浄化板11〜14上の光強度についてシミュレーションを行った。以下のシミュレーションにおいて、光源から出射される光の波長は、365nmであり、光源から出射される光の広がり角は、上記LED21a、22aと同様、120度である。また、何れのシミュレーションにおいても、光源はY軸方向に3つ並んでおり、各光源から出射される光の強度は同じである。また、Y軸方向に並ぶ3つの光源から出射される光の強度の合計は、何れのシミュレーションにおいても同じ(0.33×3ワット)である。
【0079】
図9(a)は、パターン1の場合の光源と反射板の位置を示す模式図である。図9(b)〜(e)は、それぞれ、この場合の浄化板14、13、12、11の右側(X軸負方向側)の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。なお、図9(b)〜(e
)は、カラーで示されていた図をグレースケールに変換したものである。
【0080】
パターン1では、図3(a)と同様、光源は浄化板11〜14によって作られる隙間の外側に配置されている。また、光源から出射される光を効率的に浄化板11〜14上に導くために、2枚の反射板が用いられている。これら2枚の反射板の形状は、X−Z平面内において、y=0.0042x2、y=0.0032x2と表される。
【0081】
この場合、図9(b)〜(e)に示すように、浄化板11〜14の右側の面上に光強度が分布する。浄化板14、13、12、11の右側の面上の光強度は、それぞれ、0.50ワット、0.42ワット、0.27ワット、0.12ワットとなり、これら光強度の総和は1.31ワットとなる。
【0082】
図10(a)は、パターン2の場合の光源と反射板の位置を示す模式図である。図10(b)〜(e)は、それぞれ、この場合の浄化板14、13、12、11の右側(X軸負方向側)の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【0083】
パターン2では、光源は浄化板12と13によって作られる隙間に配置されている。また、光源から出射される光を効率的に浄化板11〜14上に導くために、1枚の反射板が用いられている。この反射板の形状は、X−Z平面内において、y=0.005x2と表される。
【0084】
この場合、図10(b)〜(e)に示すように、浄化板11〜14の右側の面上に光強度が分布する。浄化板14、13、12、11の右側の面上の光強度は、それぞれ、0.43ワット、0.82ワット、0.13ワット、0.08ワットとなり、これら光強度の総和は、パターン1よりも大きい1.46ワットとなる。
【0085】
図11(a)は、パターン3の場合の光源と反射板の位置を示す模式図である。図11(b)〜(e)は、それぞれ、この場合の浄化板14、13、12、11の右側(X軸負方向側)の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【0086】
パターン3では、光源と反射板は、上記LED21aと、反射板31と同様に配置されている。この反射板の形状は、X−Z平面内において、y=0.013158x2と表される。
【0087】
この場合、図11(b)〜(e)に示すように、浄化板11〜14の右側の面上に光強度が分布する。浄化板14、13、12、11の右側の面上の光強度は、それぞれ、0.21ワット、0.30ワット、0.42ワット、1.25ワットとなり、これら光強度の総和は、パターン2よりも大きい2.18ワットとなる。
【0088】
図12(a)は、パターン4の場合の光源と反射板の位置を示す模式図である。図12(b)〜(e)は、それぞれ、この場合の浄化板14、13、12、11の右側(X軸負方向側)の面上の光の強度分布を示すシミュレーション結果である。
【0089】
パターン4では、光源と反射板は、上記LED22aと反射板32と同様に配置されている。この反射板の形状は、パターン3の反射板と同様、X−Z平面内において、y=0.013158x2と表される。
【0090】
この場合、図12(b)〜(e)に示すように、浄化板11〜14の右側の面上に光強度が分布する。浄化板14、13、12、11の右側の面上の光強度は、それぞれ、1.44ワット、0.31ワット、0.22ワット、0.16ワットとなり、これら光強度の
総和は、パターン3と略同じ2.13ワットとなる。
【0091】
よって、パターン1に示すように、浄化板11〜14によって作られる隙間の外側に光源が配置される場合よりも、パターン2〜4に示すように、浄化板11〜14によって作られる何れかの隙間に光源が配置される場合の方が、浄化板11〜14上に効率的に光を導くことができる。さらに、パターン2に示すように、浄化板12と13によって作られる隙間に光源が配置される場合よりも、パターン3、4に示すように、光源から出射された光が1回だけ浄化板を透過した後に反射板によって反射される場合の方が、浄化板11〜14上に効率的に光を導くことができる。
【0092】
以上、本実施例の浄化ユニット100によれば、通気口100aから浄化ユニット100内に取り込まれた空気は、浄化板11〜14の光触媒膜C13により浄化され、通気口100bから排気される。これにより、浄化ユニット100が、たとえば、空気を流すためのダクトの中に設置されると、ダクトの入口付近の空気に含まれる浄化対象物質は、浄化ユニット100により分解され、浄化された空気がダクトの出口へと送られる。このように浄化ユニット100が設置されたダクトの入口と出口が、たとえば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで商品を陳列するショーケースなどの空気循環経路の中に設置されることで、ショーケースの内部の空気を浄化することができる。この他、冷蔵庫内の空気循環など、ファンを使って空気を循環させているダクト内に設置すると有益である。
【0093】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、LED21aが、浄化板11と12によって作られる隙間に配置され、LED22aが、浄化板13と14によって作られる隙間に配置される。これにより、LED21a、22aが、図3(a)と図9(a)に示すように、浄化板11〜14の外側に配置される場合に比べて、浄化板11〜14上に効率的に光を照射させることができる。よって、浄化板11〜14において光触媒反応が効率良く生じるようになる。なお、本実施例によれば、LED21a、22aが、図10(a)に示すように、浄化板12と13によって作られる隙間に配置される場合と比べても、浄化板11〜14上に効率的に光を照射させることができる。
【0094】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、LED21a、22aが、それぞれ、浄化板11と12によって作られる隙間と、浄化板13と14によって作られる隙間に配置されている。また、これら隙間は、浄化ユニット100内に取り込まれた空気の流路となっている。これにより、LED21a、22aは空気によって冷却されるため、LED21a、22aの温度上昇が抑制される。よって、LED21a、22aは、安定して同じ波長の光を照射することが可能となり、また、浄化ユニット100の高温化が回避され得る。
【0095】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、図8に示すように浄化ユニット100内で空気が流れる。すなわち、通気口100aから取り込まれる空気の流れ方向と、浄化板11〜14によって作られる隙間の空気の流れ方向は異なっている。この場合、図3(b)のように、4枚の浄化板10の隙間の広がり方向(図3(b)の左右方向)に空気が流れる場合に比べて、浄化ユニット100内で空気が滞留し易くなる。これにより、通気口100aから取り込まれた空気に含まれる浄化対象物質が滞留し、浄化板11〜14に付着し易くなり、図3(b)のような構成に比べて、浄化作用がより促進される。
【0096】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、通気口100aから取り込まれた外部の空気の流れが、浄化板11〜14によって徐々に遮られ、浄化板14によって完全に遮蔽される。これにより、通気口100aから取り込まれた外部の空気が、浄化板11〜14に対して略等しく分流されるため、浄化板11〜14において、光触媒反応がさらに効
率良く生じるようになる。
【0097】
また、本実施例の浄化ユニット100によれば、LED21a、22aが、それぞれ、浄化板11と12によって作られる隙間と、浄化板13と14によって作られる隙間に配置されている。これにより、図3(b)と図9(a)に示すように、光源が浄化板11〜14の外側に配置される場合に比べて、浄化ユニット100のX軸方向の大きさを小さくすることができる。よって、浄化ユニット100を小型化することが可能となる。
【0098】
また、本実施例の浄化ユニット100では、浄化板11〜14の光触媒膜C13は、波長405nmの青色の光によって光触媒反応を生じるよう構成されている。LEDや半導体レーザ光源等の製造上のコストは、一般に、出射波長が短くなるに従って高くなり、出射波長が可視光帯域に近いほど低くなる。よって、本実施例の浄化ユニット100によれば、LED21a、22aの製造コストを低くすることができるため、浄化ユニット100にかかるコストを低減することができる。この場合の光触媒膜C13の材料として、特に波長が405nmの光で光触媒反応を示すものを用いればより効果的である。具体的には、TiO2にFe、Cuを含有担持させたもの、WO3およびこれらにPtを担持させたものが好適である。これらはルチル等よりも効果的に405nmの可視光を利用できる。
【0099】
<脱臭装置の実施例>
以下は、上記浄化ユニット100を脱臭装置に適用した例である。
【0100】
図13は、脱臭装置1の構成を示す図である。
【0101】
脱臭装置1は、浄化ユニット100と、送風経路110と、ファン121、122と、フィルター131、132と、臭気センサ140と、LED駆動回路150と、ファン駆動回路161、162と、制御回路170と、を備える。
【0102】
送風経路110は、中空の筒体からなっており、その中を空気がX軸正方向に流通できるよう構成されている。送風経路110の入口と出口には、それぞれ吸気口110aと排気口110bが形成されている。また、送風経路110の中心付近には、浄化ユニット100が配置されるための浄化領域110cが形成されている。
【0103】
浄化ユニット100は、上記浄化ユニット100である。浄化ユニット100の通気口100aは、吸気口110a側に向けられており、通気口100bは、排気口110b側に向けられている。なお、図13において、浄化ユニット100の内部に、発光ユニット21、22が概念的に示されており、浄化ユニット100の他の構成については、図示が省略されている。
【0104】
ファン121、122は、吸気口110aから排気口110bに向けて、空気を流通させる。これにより、吸気口110a付近にある空気は、ファン121によって吸気口110aから吸い込まれ、浄化領域110cを通り、ファン122によって排気口110bから送出される。
【0105】
フィルター131は、吸気口110aから吸い込まれた空気に含まれる大きな埃を取り除き、フィルター132は、フィルター131側から送出される空気に含まれる小さい埃を取り除く。臭気センサ140は、ファン121から浄化領域110cに向けて送出される空気に含まれる臭い成分を検出する。臭気センサ140の検出信号は、制御回路170に出力される。
【0106】
LED駆動回路150は、制御回路170からの指令に応じて、発光ユニット21、22に配されたLED21a、22aを駆動する。ファン駆動回路161、162は、制御回路170からの指令に応じて、それぞれ、ファン121、122を駆動する。制御回路170は、臭気センサ140の出力信号に基づき、LED駆動回路150と、ファン駆動回路161、162を制御する。制御回路170は、たとえば、臭気センサ140の検出信号が所定値を超えると、LED21a、22aの出射パワーが大きくなるようLED駆動回路150を制御する。
【0107】
このように脱臭装置1が構成されると、ファン121が駆動されることにより吸気口110aから取り込まれた空気が、フィルター131、132で埃を取り除かれ、浄化領域110cに送出される。浄化領域110cに送出された空気は、浄化ユニット100内に取り込まれ、上述したように、浄化ユニット100内の浄化板11〜14で浄化対象物質が分解される。
【0108】
浄化ユニット100内で浄化された空気は、通気口100bを通って浄化ユニット100から排気され、ファン122に向けて送られる。浄化領域110cの空気は、ファン121、122が駆動されることにより、排気口110bへ向けて送出され、排気口110bから送出される。こうして、脱臭装置1の近傍の空気中に含まれる空気が浄化される。
【0109】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0110】
たとえば、上記実施例の浄化板11〜14では、波長405nmの可視光により光触媒反応を生じさせる光触媒膜C13が用いられたが、これに替えて、紫外光(たとえば、波長375nmの光)により光触媒反応を生じさせる光触媒膜が用いられても良い。
【0111】
また、上記実施例の浄化板11〜14では、光触媒膜C13が、図1(d)に示すように一定の厚みを有するように構成されたが、これに限らず、図1(d)のX軸方向またはY軸方向において、異なる厚みを有するように構成されても良い。この場合、図6において、浄化板11〜14の光触媒膜C13の厚みが大きい端部が下方に位置付けられるよう、浄化板11〜14が設置される。こうすると、浄化対象物質をより多く含む空気が、光触媒膜C13の厚みが大きい端部に付着し易くなるため、浄化ユニット100の浄化能力が向上させることができる。
【0112】
また、上記実施例の浄化板11〜14では、図1(d)に示すように、基板C11の上面側と下面側の両方に、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14が積層された。しかしながら、これに限らず、図1(a)に示すように、基板C11の片面側のみに、透過膜C12と、光触媒膜C13と、吸着膜C14が積層されても良い。
【0113】
また、上記実施例では、光触媒反応を起こさせる光源としてLED21a、22aが用いられたが、LED21a、22aの替わりに半導体レーザが用いられても良い。半導体レーザはコヒーレントな光源であり、特定の結晶面に対し有効である。
【0114】
また、上記実施例において、反射板31、32の曲面形状は、X−Z平面内において放物線によって表されたが、これに限らず、楕円など、他の曲線によって表されるようにしても良い。また、反射板31、32の曲面形状は、X−Z平面内において、それぞれ、複数の曲線によって表されるようにしても良い。この場合も、反射板31、32によって反射された光の浄化板11〜14に対する入射角は、浄化板11〜14によって反射される光の割合(損失割合)が低く抑えられる範囲内に設定される。
【0115】
また、上記実施例では、4枚の浄化板11〜14が用いられたが、浄化板の数はこれに制限されるものではなく、4枚以外の複数であっても良い。5枚以上の浄化板が用いられる場合には、端から2番目と3番目の浄化板の間等、全ての浄化板に対する光の照射効率が最も高くなる位置に発光ユニット21、22を配置すれば良い。また、浄化板間の間隔や発光ユニット21、22の出射パワーによっても、全ての浄化板に対する光の照射効率が最も高くなる位置は変わり得る。よって、浄化板の枚数や、浄化板間の間隔、発光ユニット21、22の出射パワーに応じて、どの浄化板間の隙間に発光ユニット21、22を配置するかを適宜設定すれば良い。
【0116】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 … 脱臭装置
11〜14 … 浄化板
21a、22a … LED(第1の光源、第2の光源、光源)
31、32 … 反射板(第1の反射板、第2の反射板)
100 … 浄化ユニット
100a … 通気口(取り込み口)
121、122 … ファン
170 … 制御回路(制御部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒反応により空気を浄化する浄化ユニットにおいて、
光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源から出射された光を反射する第1の反射板と、
前記第1の光源から出射された光が照射されることにより前記光触媒反応を起こす複数の浄化板と、を備え、
前記第1の反射板と前記第1の光源との間には、前記複数の浄化板のうち少なくとも1つの前記浄化板が配置され、
前記第1の光源から出射された光は、前記第1の反射板と前記第1の光源との間に配置された前記浄化板を透過した後に前記第1の反射板によって反射されて、前記複数の浄化板に照射される、
ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化ユニットにおいて、
前記第1の反射板と前記第1の光源との間には、前記複数の浄化板のうち1つの前記浄化板が配置される、
ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浄化ユニットにおいて、
前記複数の浄化板に対して前記第1の反射板と反対側に配置された第2の反射板と、
前記第1の光源が出射する光と同じ波長の光を出射する第2の光源と、をさらに備え、
前記第2の反射板と前記第2の光源との間には、前記複数の浄化板のうち少なくとも1つの前記浄化板が配置され、
前記第2の光源から出射された光は、前記第2の反射板と前記第2の光源との間に配置された前記浄化板を透過した後に前記第2の反射板によって反射されて、前記複数の浄化板に照射される、
ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の浄化ユニットにおいて、
前記浄化ユニット内の流路は、前記複数の浄化板によって作られる隙間における空気の流れ方向が、前記浄化ユニットに取り込まれる空気の流れ方向と異なるよう構成される、ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の浄化ユニットにおいて、
前記複数の浄化板は、前記浄化ユニットの空気の取り込み口から取り込まれた空気の流れを徐々に遮るように配置され、前記取り込み口から最も離れた前記浄化板が、前記取り込み口から取り込まれた空気の流れを完全に遮蔽する、
ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の浄化ユニットと、
脱臭装置内に空気を流すためのファンと、
前記ファンおよび前記浄化ユニット内に配置された光源を制御するための制御部と、を備える、
ことを特徴とする脱臭装置。
【請求項1】
光触媒反応により空気を浄化する浄化ユニットにおいて、
光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源から出射された光を反射する第1の反射板と、
前記第1の光源から出射された光が照射されることにより前記光触媒反応を起こす複数の浄化板と、を備え、
前記第1の反射板と前記第1の光源との間には、前記複数の浄化板のうち少なくとも1つの前記浄化板が配置され、
前記第1の光源から出射された光は、前記第1の反射板と前記第1の光源との間に配置された前記浄化板を透過した後に前記第1の反射板によって反射されて、前記複数の浄化板に照射される、
ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化ユニットにおいて、
前記第1の反射板と前記第1の光源との間には、前記複数の浄化板のうち1つの前記浄化板が配置される、
ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浄化ユニットにおいて、
前記複数の浄化板に対して前記第1の反射板と反対側に配置された第2の反射板と、
前記第1の光源が出射する光と同じ波長の光を出射する第2の光源と、をさらに備え、
前記第2の反射板と前記第2の光源との間には、前記複数の浄化板のうち少なくとも1つの前記浄化板が配置され、
前記第2の光源から出射された光は、前記第2の反射板と前記第2の光源との間に配置された前記浄化板を透過した後に前記第2の反射板によって反射されて、前記複数の浄化板に照射される、
ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の浄化ユニットにおいて、
前記浄化ユニット内の流路は、前記複数の浄化板によって作られる隙間における空気の流れ方向が、前記浄化ユニットに取り込まれる空気の流れ方向と異なるよう構成される、ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の浄化ユニットにおいて、
前記複数の浄化板は、前記浄化ユニットの空気の取り込み口から取り込まれた空気の流れを徐々に遮るように配置され、前記取り込み口から最も離れた前記浄化板が、前記取り込み口から取り込まれた空気の流れを完全に遮蔽する、
ことを特徴とする浄化ユニット。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の浄化ユニットと、
脱臭装置内に空気を流すためのファンと、
前記ファンおよび前記浄化ユニット内に配置された光源を制御するための制御部と、を備える、
ことを特徴とする脱臭装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図13】
【図1】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図13】
【図1】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−27665(P2013−27665A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167544(P2011−167544)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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