説明

浄化槽排水の浄化材及びその施工方法

【課題】微生物を埋め込んだ多孔質のカキ殻、炭、ウレタンを籠に収め浄化槽排水口に設置する事により、微生物の消化作用によって浄化槽排水が浄化され、もっとも自然に近い水質で放流先の水質浄化をする。
【解決手段】多孔質のカキ殻、炭を小さく砕き微生物を着生させ、多孔質のウレタンを小さなサイコロ状に裁断し微生物を着生させ、それぞれを籠4に収納し、前記籠を排水捕捉器浄化部に納め浄化槽排水口の底部に設置することを特長とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浄化槽から排水される水の浄化を行うための浄化材、及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年水質の汚濁が、湖水、河川等で問題になっている。その主たる原因が家庭から排出される生活排水とされている。この水質汚濁の原因は家庭排水から排出されるBOD有機物の指標となる、生物化学的酸素要求量の高い排水によって、引き起こされている。この富栄養化水の浄化手段として、富栄養化水を物理的、化学的、生物学的に処理する方法が、いくつか開発されている。ろ過フィルターを使用して富栄養化水をろ過する方法、吸着材を用いて富栄養化水を吸着する方法、微生物を用いた活性汚泥法がある。特開2005−40767号において、シリカ又はアルミナを主要成分とし、多数の気孔を有する多孔質の担体に骨成分又はリン酸カルシウムを備えた水質浄化材の記載があるが、本発明の微生物を利用するものとは技術的に相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−40767号公報(第3頁[0008]、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生活排水の浄化方法に於いては、一般的に下水道処理施設があり、その処理区域外に於いては浄化槽による処理がされている。浄化槽処理には、単独浄化槽処理と合併浄化槽処理がある。単独浄化槽の場合、生活雑排水は、未処理のまま河川に放流され、現在では法律により新規設置は出来ないが、既設置者数は多い。この単独浄化槽から合併処理浄化槽への切替えは今後の課題であるが、設置者の経済的負担も大きいし問題も多い。合併処理浄化槽については、ある程度浄化し放流されているが、各設置者宅の使用基準が異なるとか、維持管理の不徹底などによっての浄化槽の機能障害も指摘され、処理水の悪化等の問題も多い。その上、一般河川への浄化槽排水の放流許可基準が年々各自治体で厳しくなっている。本発明は、かかる従来の問題を解決する為に、なされたものであって、その目的とするところは微生物を埋め込んだ多孔質のカキ殻、炭を小さく砕き、それを籠に収容し、又、多孔質のウレタンを小さくサイコロ状に切り それを籠に入れ、それぞれ浄化材の籠を排水補捉器の浄化部に収容し、その補捉器を排水口の底部に設置するもので簡単な管理で、経済的負担も少ないという利点を含めながら、自然に近い水質での排水で水質浄化に貢献出来る浄化槽の排水の浄化材及びその施工方法を、提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成する手段として請求項1記載の排水の浄化材では、小さく砕いた多孔質のカキ殻に微生物を埋め込み、そのカキ殻多数を籠に収容した。砕いたカキ殻の大きさは5〜10mm角が望ましい。
【0006】
請求項2記載の排水の浄化材では多孔質の炭を小さく砕き、その炭に微生物を埋め込みその炭を多数個 籠に収容した。砕いた炭の大きさは5〜10mm角が望ましい。
【0007】
請求項3記載の排水の浄化材では多孔質のウレタンを小さくサイコロ状に切り、そのウレタンに微生物を埋め込み、そのウレタンを多数個 籠に収容した。裁断したウレタンの大きさは5〜10mm角が望ましい。
【0008】
請求項4記載の浄化材の施工方法では請求項1〜3いずれか記載の浄化材を排水補捉器を用いその浄化部に収容され、前記排水補捉器を浄化槽排水の排水口底部に設置する施工方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の浄化槽排水の浄化材及び施工方法に於いては多孔質のカキ殻、炭を小さく砕き多孔質のウレタンを小さなサイコロ状に切りそれぞれ籠に収容し、排水補促器浄化部に収めた。この様な排水補捉器を排水口に設置して、排水を浄化するものである。又維持管理も簡便となり大いに水質浄化に貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】排水捕捉器の斜視図である
【図2】排水捕捉器に浄化材を収めた状態にある平面図である
【図3】浄化材を入れる籠の斜視図である
【図4】排水口内に排水捕捉器を設置した状態の斜視図である
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の浄化槽排水の浄化材は、3〜5mm角程度に砕いたカキ殻又は炭の多孔質の担体に微生物を着生させ、樹脂製で6面を網目状の平板で構成された籠4に埋めたものであり、籠4は排水補捉器の浄化部2に収容されるものであり、籠4の大きさは任意であるが、縦5cm、横5cm、高さ5cm程度のものが望ましい。 又浄化材は多孔質のウレタンを3〜5mm角程度のサイコロ状に切り、 その担体に微生物を着生させ、樹脂製で6面を網目状の平板で構成された籠に収容したものであり、排水補捉器の浄化部2に収容される。籠の大きさは任意であるが、縦5cm、横5cm、高さ5cm程度のものが望ましい。 図3は浄化材を入れる籠の斜視図である。
【0012】
前記浄化材としては多孔質のカキ殻、炭、ウレタンが好ましく、そのカキ殻、炭、ウレタンの微細な孔に微生物を着生させている。カキ殻、炭、ウレタンに微生物を着生させる方法としては微生物を培養した水溶液に、一定期間侵漬して養生し、カキ殻、炭、ウレタンの内部に微生物を着生させる方法、あるいは、その孔に微生物チップを埋め込む方法等によって行う。
前記微生物としては放線菌、乳酸菌、光合成菌、酵母菌等の微生物を使用し、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、バチルス(Bacillus)属、ニトロバクター(Nitrobacter)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾープス(Rhizopus)属等が使用可能である。
このように微生物を着生させたカキ殻、炭、ウレタンをそれぞれ籠に収容し、排水補捉器の浄化部に収め、排水口に設置することにより微生物の消化作用で排水の浄化が行われる。
【0013】
次に実施の形態にかかる排水の排水補捉器を説明する。
実施の形態に係る排水補捉器は耐腐食性の塩化ビニール樹脂で作られ、それぞれ微生物を着生させたカキ殻、炭、ウレタンを籠4に収容した浄化材を、排水浄化部2にそれぞれに収容している。浄化槽の排水口に設置される排水捕捉器においては、排水導入部1では排水管内を流れてくる排水を効率よく補捉し浄化部にて浄化されるものである。図1は排水捕捉器の斜視図であり、図2は排水捕捉器に浄化材を収めた状態にある平面図である。
【0014】
次に排水捕捉器の施工方法を説明する。排水捕捉器は浄化槽排水の放流部の排水口内に設置する。 浄化材を収容した排水補捉器を排水口に設置することにより、浄化材に着生した微生物が排水を浄化する。本発明の施工方法においては浄化材が汚れて、浄化能力が低下すると、籠毎に簡単に交換が可能である。浄化材を交換するだけであるため安価であり、維持管理も容易である。図4は排水口内に排水捕捉器を設置した状態の斜視図である。
【0015】
以上 本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、籠内にカキ殻、炭、ウレタンと共に炭素繊維、ヘチマ等を収容して浄化することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の浄化槽排水の浄化材は工業生産が可能であり、その施工方法は浄化槽設置及び管理業者により施工が可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 排水導入部
2 浄化部
3 生物膜付着部
4 籠
5 排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砕いたカキ殻の孔部に微生物を着生させ、前記カキ殻を複数個籠に収容した事を特徴とする浄化槽排水の浄化材。
【請求項2】
砕いた炭の孔部に微生物を着生させ、前記炭を複数個籠に収納した事を特徴とする浄化槽排水の浄化材。
【請求項3】
サイコロ状に裁断した多孔質のウレタンの孔部に微生物を着生させ、前記ウレタンを複数個籠に収容した事を特徴とする浄化槽排水の浄化材。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の浄化材を収納した籠を排水補捉器に収納し、前記排水補捉器を浄化槽排水口底部に設置する事を特徴とする浄化槽排水の浄化材の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−167662(P2011−167662A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35909(P2010−35909)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(309038269)
【Fターム(参考)】