説明

浄水器アダプター

【課題】被処理水を収容したボトル容器と浄水器との間に取り付け、短時間で被処理水を浄水に変えることができる浄水器アダプターを提供する。
【解決手段】この浄水器アダプター1は、一端に被処理水を収容するボトル容器の注ぎ口を連結する容器連結部分41、他端に浄水器の水道連結口を連結する浄水器連結部分42、を有する管状の通水部4と、通水部4に空気を取入れることができる開閉可能な空気取入孔51を有して通水部4の側面に連設した管状の空気取入部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器に取り付ける浄水器アダプターに関し、特に、災害等の緊急時に、被処理水を収容したボトル容器を取り付けて浄水器により被処理水の浄化を行うのに好適な浄水器アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
災害等の緊急時において、飲用に適した水を手に入れることは最も重要なことの一つである。そのためには、例えば特許文献1、2に記載されているようなボトル容器を取り付けるタイプの浄水器を利用し、ペットボトルに浄水前の水を収容して取り付けて浄水を得ることが有効である。特許文献1の浄水器は、水を収容したボトル容器を結合する上部受け口と空ボトル容器を結合する下部受け口を濾過材の上下に配し、上部受け口、濾過材、下部受け口の中を通過して上下に伸長する通気用パイプが設けられ、空気が通気用パイプの中を上昇して上側のボトル容器の天井部に溜まることにより水の降下が助けられ、そして水が浄化されるとするものである。特許文献2の浄水器は、水を収容したボトル容器を結合するジョイントを濾過材の上に有し、ジョイントの壁面を貫通し、ジョイント内部で屈曲してボトル容器内部に延びる通気用パイプが設けられ、空気が通気用パイプの中を上昇してボトル容器の天井部に溜まることにより水の降下が助けられ、そして水が浄化されるとするものである。
【0003】
【特許文献1】特開2002−52382号公報
【特許文献2】国際公開WO01/040116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、ボトル容器を取り付けるタイプの浄水器は緊急時に飲用に適した水を手に入れるのに有効であるが、空気が通気用パイプの中を上昇してボトルの天井部に溜まることにより水が降下するので、短時間に所望の浄水を得るのには十分とは言い難い。また、広く用いられている浄水器は水道から蛇口等を通して供給される水を浄化するタイプであるから、緊急時にはこのような浄水器を流用できるのが望ましい。
【0005】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、被処理水を収容したボトル容器と浄水器との間に取り付け、短時間で被処理水を浄水に変えることができる浄水器アダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の浄水器アダプターは、一端に被処理水を収容するボトル容器の注ぎ口を連結する容器連結部分、他端に浄水器の水道連結口を連結する浄水器連結部分、を有する管状の通水部と、該通水部に空気を取入れることができる開閉可能な空気取入孔を有して通水部の側面に連設した管状の空気取入部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の浄水器アダプターは、請求項1に記載の浄水器アダプターにおいて、前記空気取入孔を開閉可能とする進退自在な蓋体を更に備え、該蓋体を進行させたとき空気取入孔を閉塞し、蓋体を退行させたとき空気取入孔を開放することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の浄水器アダプターは、請求項2に記載の浄水器アダプターにおいて、前記蓋体が第2の空気取入孔を有するとともに、空気を通過させるためのスリットを有して蓋体に重合する弾性部材を設け、第2の空気取入孔は該弾性部材に内部の被処理水の圧力がかかると閉塞することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の浄水器アダプターは、請求項1に記載の浄水器アダプターにおいて、空気を通過させるためのスリットを有して前記空気取入孔が形成された面に重合する弾性部材を設け、空気取入孔は該弾性部材に内部の被処理水の圧力がかかると閉塞することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の浄水器アダプターは、請求項3又は4に記載の浄水器アダプターにおいて、前記弾性部材には、前記第2の空気取入孔又は前記空気取入孔から空気取入部の外側に突出する突出部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の浄水器アダプターによれば、必要なときに空気取入部の空気取入口から空気を被処理水を収容したボトル容器に取入れることができるので、短時間で浄水器により被処理水を浄水に変えることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る浄水器アダプター1は、市販の浄水器2に取り付け、更に被処理水WAを収容したボトル容器3を取り付けて使用するものである。図1は、浄水器アダプター1の具体的な使用方法の例を示す図である。浄水器2は、水道から蛇口等を通して供給される水を浄化するタイプのもの(例えば、蛇口直結型や据え置き型など)である。ボトル容器3は、手の圧力によりある程度変形できるものであり、現在広く入手できる点からペットボトルが望ましい。図1に示す使用方法の例の詳細については、後に説明する。
【0013】
図2は浄水器アダプター1の構造を示すものであり、(a)、(b)はそれぞれ、正面図、側面図である。図3は、側面断面図である。この浄水器アダプター1は、管状の通水部4とその側面から垂直方向に突出して連設した管状の空気取入部5と、を備えている。この実施形態では、通水部4と空気取入部5は、一体に形成されており、材質は例えばプラスチックである。また、空気取入部5は、後述のようにボトル容器3の形状復元時に被処理水WAが漏れないようにするためなどの点から、通水部4に対し垂直又は略垂直方向に突出するのが望ましいが、それには限定されない。
【0014】
通水部4は、一端に被処理水を収容するボトル容器3の注ぎ口31を連結する容器連結部分41、他端に浄水器2の水道連結口21を連結する浄水器連結部分42、を有する。容器連結部分41の内側は、ボトル容器3の注ぎ口31と良好に連結できるようボトル容器3用のキャップの内側の形状と実質的に同一な形状となっている。具体的には、ボトル容器3の注ぎ口31と螺合するように、雌ねじ41aが形成されている。
【0015】
浄水器連結部分42は、例えば一般的な水道蛇口の形状のように、水道に連結する通常の方法で浄水器2の水道連結口21が連結できるような形状である。
【0016】
空気取入部5は、先端が空気を内部に取入れることができるよう開口して空気取入孔51となっている。また、空気取入孔51を開閉可能とする進退自在な蓋体6が設けられ、蓋体6を進行させたとき空気取入孔51を閉塞し、蓋体6を退行させたとき空気取入孔51を開放する。具体的には、空気取入部5は、基端側に鍔部5bを突設し、先端から鍔部5bに至る外側面には雄ねじ5aを形成しており、また、蓋体6は、有底筒状をなし、その内側面には雄ねじ5aに対応して雌ねじ6aを形成しており、これにより空気取入部5に蓋体6が螺合するようになっている。また、空気取入部5の雄ねじ5aの最深部には、Oリングのようなパッキン部材52が嵌め込まれており、蓋体6を進行させてその底部が空気取入孔51を閉塞した状態で、蓋体6と鍔部5bによりパッキン部材52を弾性的に押圧して被処理水WAの漏出或いは空気の漏入がないようにしている。この状態から、蓋体6を回動させて退行させると、蓋体6の底部が空気取入部5の先端から離反して空気取入孔5が開放され、外部の空気は、雄ねじ5aと雌ねじ6aの隙間を通過して、空気取入孔51から浄水器アダプター1の内部及びボトル容器3の内部に取入れられる。
【0017】
次に、図1を参照して浄水器アダプター1の使用方法を説明する。先ず、浄水器アダプター1の浄水器連結部分42(図2参照)を浄水器2の水道連結口21に連結し、容器連結部分41(図2参照)に被処理水WAを収容したボトル容器3の注ぎ口31を連結する。浄水器2、浄水器アダプター1、ボトル容器3が順にほぼ鉛直状態になるように手で支持し、浄水器2の下方に浄水を受けるための水受け容器7を据える。そして、片手又は両手でボトル容器3に圧力を加えて被処理水WAを浄水器2に向かって押し出し、浄水器2から水受け容器7に浄水を供給する。このように、ボトル容器3に手で圧力を加えて被処理水WAを押し出し、できるだけ水道水の圧力に近づけることで、日常使用している浄化能力が高い浄水器2を用いて、特に緊急時であっても浄水を得ることが可能になる。
【0018】
ボトル容器3は、ある程度までは変形するものの限界があり、手で圧力を加えて処理を続けると、浄水器に必要な水圧が段々と得られなくなってくる。この場合、ボトル容器3を変形前の形状に一旦可能な限り復元させる必要がある。そのため、空気取入孔51を開放しても被処理水WAが漏れないよう空気取入部5を上側にして浄水器2、浄水器アダプター1、ボトル容器3をほぼ水平状態とし、蓋体6を回動して退行させて空気取入孔51を開放し、ボトル容器3の数箇所に軽く手で圧力をかけてボトル容器3の応力を導き、形状を復元させる。そうすると、ボトル容器3及び浄水器アダプター1の内部の空気圧の減少により、外部の空気は空気取入孔51から浄水器アダプター1及びボトル容器3の内部に取入れられ、更に復元を補助する。そして、蓋体6を逆方向に回動して進行させて空気取入孔51を閉塞し、浄水器2、浄水器アダプター1、復元したボトル容器3をほぼ鉛直状態とし、再度ボトル容器3に手で圧力を加えて残りの被処理水WAを押し出して浄水処理を行う。このように、空気取入孔51から空気を必要なときにボトル容器に取入れることができるので、緊急時の浄水処理を連続して行い、短時間に多量の浄水を得ることが可能になる。
【0019】
次に、本発明の他の実施形態である浄水器アダプター1Aについて説明する。図4は浄水器アダプター1Aの構造を示すものであり、(a)、(b)はそれぞれ、正面図、側面図である。図5は、側面断面図である。この浄水器アダプター1Aは、空気取入部5Aの構造が浄水器アダプター1の空気取入部5の構造と異なる。
【0020】
空気取入部5Aは、先端に空気取入面50Aを有し、その中央に空気取入孔51Aが形成されている。本実施形態の空気取入孔51Aは、空気取入面50Aの厚みの途中から頭裁円錐形状(例えば、外側の直径約3mm、内側の直径約7mm)を成して内側に広がっている。空気取入面50Aには、次に説明する弾性部材である弁体8(例えばゴム製)が重合して設けられ、周縁部が接着している。
【0021】
図6は弁体8の構造を示すものであり、(a)、(b)はそれぞれ、平面図、側面図である。弁体8は、円盤状(例えば、直径約14mm、高さ約2mm)の基部の片面に、空気取入孔51Aに嵌合する頭裁円錐状の可動突起(例えば、底面の直径約7mm、上面の直径約3mm、高さ約2mm)8aが形成されている。そして、可動突起8aを可動とし、かつ空気を弁体8を通過させるために、可動突起8aの周囲には、所定長の円弧状のスリット(例えば、半径約5mmの円周の約3/4の長さで幅約0.5mm)8bが形成されている。
【0022】
浄水器アダプター1Aの使用方法は、空気取入の操作以外は浄水器アダプター1と同様である。浄水器2、浄水器アダプター1A、ボトル容器3をほぼ鉛直状態にして浄水を得ているときには、弁体8の可動突起8aには内側から水圧がかかり、外側に向かって押さえ付けられる。従って、可動突起8aは空気取入孔51Aを塞ぐように嵌合するので、空気取入孔51Aは閉塞され、被処理水WAは漏れなくなる。空気取入孔51Aを開放するには、空気取入部5Aを上側にして浄水器2、浄水器アダプター1A、ボトル容器3をほぼ水平状態とし、ボトル容器3の数箇所に軽く手で圧力をかけてボトル容器3の応力を導き、形状を復元させる。そうすると、可動突起8aには水圧がかからず、可動突起8a自体の重さにより更にはボトル容器3及び浄水器アダプター1Aの内部の空気圧の減少により、可動突起8aが空気取入孔51Aから離反して隙間が生じる。外部の空気がこの空気取入孔51Aからスリット8bを介して内部に流れ込み、その圧力により空気取入孔51Aが更に開くことになる。このように、浄水器アダプター1Aは、空気を必要なときに自動的に取入れることができるので、緊急時の浄水処理を更に効率的にすることが可能になる。
【0023】
図7は、浄水器アダプター1Aの変形例である浄水器アダプター1A’を示す側面断面図である。この浄水器アダプター1A’の弁体8’には、空気取入孔51Aから空気取入面50Aの外側に突出する突出部8cが形成されている。浄水器アダプター1Aの基本的な作用は浄水器アダプター1Aと同様であるが、このように突出部8cを設けると、空気取入孔51Aを開放する際に、突出部8cを押すことにより可動突起8aを空気取入孔51Aから離反させ易くすることができる。なお、この変形は、後述の浄水器アダプター1Bにも適用可能である。
【0024】
次に、本発明の更に他の実施形態である浄水器アダプター1Bについて説明する。図8は浄水器アダプター1Bの構造を示すものであり、(a)、(b)はそれぞれ、正面図、側面図である。図9は、側面断面図である。この浄水器アダプター1Bは蓋体6Bを備え、蓋体6Bの構造が浄水器アダプター1の蓋体6の構造と異なる。
【0025】
蓋体6Bは、その底面の中央に、第2の空気取入孔51Bが形成されている。また、蓋体6Bの底面に重合して弁体8Bが設けられている。第2の空気取入孔51B及び弁体8Bの構造や作用は、浄水器アダプター1Aの空気取入孔51A及び弁体8と同様である。この浄水器アダプター1Bは、空気取入の操作を浄水器アダプター1Aと同様に自動的に行うことができ、また、浄水器アダプター1と同様に蓋体6Bを退行させることによっても行うことができる。このようにすると、仮に弁体8Bが適正に動作しなくなったとしても簡単に補えるし、弁体8Bの交換も容易である。なお、このような利点はなくなるが、空気取入部5と蓋体6Bに雄ねじや雌ねじを形成せずにそれらの間を接着剤で接着することも可能である。この場合は、空気取入孔51は閉塞されたままになり、第2の空気取入孔51Bだけが開閉可能な空気取入孔として働くことになるので、つまりは浄水器アダプター1Aの形状を変更したものに相当する。
【0026】
以上、本発明の実施形態に係る浄水器について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、空気取入部の先端に空気取入孔をが形成するのではなく、空気取入部の側面に形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る浄水器アダプターの使用方法の例を示す図である。
【図2】同上の浄水器アダプターであり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】同上の浄水器アダプターの側面断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る浄水器アダプターであり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】同上の浄水器アダプターの側面断面図である。
【図6】同上の弁体であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図7】同上の浄水器アダプターの変形例の側面断面図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係る浄水器アダプターであり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】同上の浄水器アダプターの側面断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1、1A、1A’、1B 浄水器アダプター
2 浄水器
21 水道連結口
3 ボトル容器
31 注ぎ口
4 通水部
41 容器連結部分
42 浄水器連結部分
5、5A 空気取入部
51、51A、51B 空気取入孔
6、6B 蓋体
8、8’、8B 弁体(弾性部材)
WA 被処理水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に被処理水を収容するボトル容器の注ぎ口を連結する容器連結部分、他端に浄水器の水道連結口を連結する浄水器連結部分、を有する管状の通水部と、
該通水部に空気を取入れることができる開閉可能な空気取入孔を有して通水部の側面に連設した管状の空気取入部と、を備えることを特徴とする浄水器アダプター。
【請求項2】
請求項1に記載の浄水器アダプターにおいて、
前記空気取入孔を開閉可能とする進退自在な蓋体を更に備え、
該蓋体を進行させたとき空気取入孔を閉塞し、蓋体を退行させたとき空気取入孔を開放することを特徴とする浄水器アダプター。
【請求項3】
請求項2に記載の浄水器アダプターにおいて、
前記蓋体が第2の空気取入孔を有するとともに、空気を通過させるためのスリットを有して蓋体に重合する弾性部材を設け、第2の空気取入孔は該弾性部材に内部の被処理水の圧力がかかると閉塞することを特徴とする浄水器アダプター。
【請求項4】
請求項1に記載の浄水器アダプターにおいて、
空気を通過させるためのスリットを有して前記空気取入孔が形成された面に重合する弾性部材を設け、空気取入孔は該弾性部材に内部の被処理水の圧力がかかると閉塞することを特徴とする浄水器アダプター。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の浄水器アダプターにおいて、
前記弾性部材には、前記第2の空気取入孔又は前記空気取入孔から空気取入部の外側に突出する突出部が形成されていることを特徴とする浄水器アダプター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−307462(P2008−307462A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156909(P2007−156909)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(396015208)ベーシック株式会社 (4)
【出願人】(507195704)
【Fターム(参考)】