説明

浮き袋付き一輪車

【課題】従来リハビリはつらいものだとか、がまんしなければとか、バランスをくずして転倒する危険など、精神的・肉体的な苦痛を伴っていたが、水中(温水中)であるから水に支えられるため、重力への身体的負担がより少なく、転倒への抗力が大きく、しかも全身運動に寄与する浮き袋付き一輪車を提供する。
【解決手段】本発明の一輪車は、水中において陸上と同様に脚力を用いてペダルをこいで移動する一輪車であり、サドルおよびその周辺部に浮力作用を取り入れ、水中の静止状態で自立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮き袋付き一輪車に関し、特に、水中で稼働する一輪車で、陸上と同じように人力によって走行し、バランスを確保し、楽しみながらリハビリやスポーツを行なうための移動機具に関する。また、水中で、浮力を利用して静止状態で水中に自立する輪車である。
【背景技術】
【0002】
従来から水上自転車、水陸両用自転車が存在する。水上自転車は舟台上でペダルをこぎプロペラを回して移動する(たとえば、特開2001−219896号)。また、水陸両用自転車は、自転車サイドに浮体を取り付け、車輪の下部が沈んだ状態でペダルをこぎ、連結したひれ機構を水鳥のごとく動かして進む(たとえば、特開2000−043527号、特開平11−170829号)。しかし、いずれも自転車車軸部、チェーンなどは水没しない構造で、本発明とは使用状況が全く異なる。
【0003】
また、水中リハビリ装置に足台がベルト・ローラー式のものがあるが、移動体ではない(特開2001−137383号)。
【特許文献1】特開2001−219896号
【特許文献2】特開2000−043527号
【特許文献3】特開平11−170829号
【特許文献4】特開2001−137383号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高齢者、障害者等が水中でリハビリとか脚運動をする場合には、従来プールサイドやプール内に設置した手すりにつかまってぐるぐる歩くことが主体であり、水中遊びといえば、水泳か脚による水中遊歩しかなかった。
【0005】
本発明は、水抵抗に抗して移動車を足でこぐこと、車輪の倒れに抗してバランスをとることなどにより、より積極的に動的に足腰とバランス機能を同時に訓練するリハビリ用の一輪車であり、このようなリハビリ用の一輪車はこれまでになかった。
【0006】
本発明の一輪車は、高齢者、障害者にとって新しい競技、遊び、身体運動の機会を広げ、もっと水に親しみ、楽しみと元気度を向上するものである。
【0007】
したがって、本発明は、従来リハビリはつらいものだとか、がまんしなければとか、バランスをくずして転倒する危険など、精神的・肉体的な苦痛を伴っていたが、水中(温水中)であるから水に支えられるため、重力への身体的負担がより少なく、転倒への抗力が大きく、しかも全身運動に寄与する浮き袋付き一輪車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一輪車は(もちろん、一輪車でなく多輪車でもよいが)、その上部サドル部を浮き袋に付け、または成形し、またはサドル周縁下部とか前後に多様な形状の浮き袋を設置し、一輪車は水中で自立するようにし、高齢者・障害者はいつでもそれをとらえ、乗車できるようにしたものである。
【0009】
浮力の助けにより、水中でより安定なバランスを保ちつつ、ゆっくり楽しく運動できる。また、バランス時間や移動速度・移動距離などのゲームを楽しむことができる。
【0010】
万一、倒れたときには、自身は水中に浮遊することになるが、輪車はそのサドル部の浮力により自立してくるので、またそのまま乗車することができる。いわゆる起き上がりこぼしの原理で、それが本発明のエッセンスである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
(1) 水中で立ち歩きや、水泳だけでなく、本発明の移動車を用いれば自然に全身運動を促し、かつ楽しくリハビリやバランス訓練が実現できる。体重負担が軽減されるだけ関節の動きが楽になる。
(2) 人の助けを借りずに、自ら運動するということで元気老人として自立性が高まる。
(3) 温水プール、温泉などを利用することで、高齢者のレクレーションが楽しみとなる。
(4) 健常若者間では新しい水中スポーツが芽生える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一輪車は、耐食耐水性の高いアルミ合金、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)を用いてフレーム、回転軸・軸受、クランク、ローラーなどの部品を製作する。回転軸受などの摺動部を有する機構には自己潤滑性を有する材料を用い、潤滑油を用いない。それらの機構によって、水を汚すことなく長期にわたって稼働できる。
【0013】
また、本発明の一輪車は、水中で人が載った場合に一輪車が自立できるような浮力を与える構成をとるものである。すなわち、一輪車の重心より上方に浮力の中心がくるような位置に浮き袋を取付けたり、浮力を持つものを形成し、人が載った場合でも沈まずに自立する大きさの浮力を与えるものである。
【実施例】
【0014】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の各実施例にほぼ共通な全体を示す側面図である。図1において、一輪車10は、サドル部12(各実施例で構成が異なるので、点線で示す)と、サドル12と車輪部を連結するフレーム14と、車輪部としてのハブ16、スポーク18、タイヤ20、ペダル22、バルブ24とから成る。
【0015】
図2は、実施例1のサドル部を示し、図2aは概略側面図であり、図2bは概略垂直断面図である。図2において、一輪車は、フレーム14に連結されたサドル台30にクッションとしての浮き袋34を柔軟なリブ36を介して固定し、さらに浮き袋34の上に人が載るための尻板32を固定したものである。
(実施例2)
図3は、実施例2のサドル部を示し、図3aは概略側面図であり、図3bは浮き輪だけを示す斜視図である。図3において、浮き輪38がサドル台32の下で、フレーム14の周囲に止め具40で固定されている。
(実施例3)
図4は、実施例3のサドル部を示す斜視図である。図4において、フレーム14に梁となるサブフレーム42を前後方向となるように固定し、サブフレーム42に浮き袋34を固定するものである。
(実施例4)
図5は、実施例4のサドル部を含む一輪車の全体を示す図であり、図5aはその概略側面図であり、図5bは概略正面図である。図5において、サドル台44と、フレームの一部46が中空に形成されて浮きを構成している。もちろん、いずれか一方だけを浮きとして構成してもよい。
(実施例5)
図6は、実施例5のサドル部を示す概略側面図である。図6において、フレーム14に
前方向きのサブフレーム48が固定され、その上端にハンドルとしての浮き輪50が設けられている。
(その他の実施例)
実施例1〜5について説明してきたが、本発明では、これらの実施例を任意に組み合わせて一輪車を構成してもよい。また、転倒を防止するため、車輪の左右に複数の補助輪を併設してもよい。さらにまた、高度なバランス機能を訓練するため、車輪の回転軌跡が円形でないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の各実施例にほぼ共通な全体を示す側面図である。
【図2】図2は、実施例1のサドル部を示し、図2aは概略側面図であり、図2bは概略垂直断面図である。
【図3】実施例2のサドル部を示し、図3aは概略側面図であり、図3bは浮き輪だけを示す斜視図である。
【図4】実施例3のサドル部を示す斜視図である。
【図5】図5は、実施例4のサドル部を含む一輪車の全体を示す図であり、図5aはその概略側面図であり、図5bは概略正面図である。
【図6】実施例5のサドル部を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 一輪車
12 サドル部
14 フレーム
30 サドル台
34 浮き袋
38 浮き輪
44 中空サドル台
46 中空フレーム
50 浮き輪ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中において陸上と同様に脚力を用いてペダルをこいで移動する一輪車であり、サドルおよびその周辺部に浮力作用を取り入れ、水中の静止状態で自立することを特徴とする一輪車。
【請求項2】
サドルの機能をもった浮き袋を形成し、その浮力により一輪車を水中で自立できるようにし、かつ、該浮き袋にまたがって腰掛け乗車を可能にしたことを特徴とする一輪車。
【請求項3】
サドルの周縁下部において、サドル部周縁に沿って、柔軟な浮き袋でくるみ、その浮力により一輪車を水中で自立できるようにし、かつ、該浮き袋をまたいで腰掛け乗車を可能にしたことを特徴とする一輪車。
【請求項4】
サドル下部の支柱から前後に梁を張り出し、その前後の端部に浮き袋を結合し、その浮力により一輪車を水中で自立できるようにし、かつ、サドルにまたがって乗車できることを特徴とする一輪車。
【請求項5】
サドルの下部支柱から前方に梁を張り出し、それに浮き袋を取り付け、それをハンドルのごとく把握しつつ、または、体の周辺に接触させつつ乗車できることを特徴とする一輪車。
【請求項6】
輪車の上部の浮力を助けるため、車輪からサドルまでの支柱を軽量空洞材料とし、内部は真空または空気等を満たし、閉塞して浮子支柱としたことを特徴とする一輪車。
【請求項7】
請求項2〜5のいずれか1つに記載の一輪車において、転倒を防止するため、車輪の左右に複数の補助輪を併設したことを特徴とする一輪車。
【請求項8】
耐水耐食性材料からなるフレーム、車輪、タイヤ、ペダル、回転軸をもち、請求項2〜5のサドルと浮子を設備したことを特徴とする一輪車。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1つに記載の一輪車において、高度なバランス機能を訓練するため、車輪の回転軌跡が円形でないことを特徴とする一輪車。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−335085(P2006−335085A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158562(P2005−158562)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(502265297)