説明

浮体橋脚

【目的】 本発明は、大水深に対応できるテンションリグで固定した橋脚基礎を提供する事を目的としている。
【構成】 水底にアンカー(7)を着底させ、そのアンカー(7)と浮体(1)の橋脚基礎上部および下部とを斜めのテンションレグ(4)で連結し、浮体基礎(1)を固定している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海中における橋脚基礎に関する。
【0002】
【従来の技術】海中における橋脚基礎は、ケーソンを海底盤に設置して基礎とする設置ケーソン方式、多数の杭を施工して基礎とする多柱基礎方式、鋼管矢板で締切って基礎を構築する鋼管井筒方式などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水深が大となる場合、基礎は長大なものとなり施工が極めて困難となる。
【0004】また、大水深における構造物としてテンションレグ方式があるが、従来のテンションレグ方式では上下方向の動きに対しては制御できても、水平方向や捩じれ方向の動きに対しては制御できないという問題があり、この技術はそのままでは橋脚基礎として利用できない。
【0005】したがって、本発明は、大水深に対応できるテンションリグで固定した橋脚基礎を提供する事を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、水底にアンカーを着底させ、そのアンカーと浮体の橋脚基礎とを少なくとも3本以上組合わせた斜めのテンションレグで連結し、その浮体の橋脚基礎とアンカーとは浮体の橋脚基礎の上部と下部との2箇所でそれぞれ前記の組合わせテンションレグで連結し、上部と下部の少なくとも一方は3点以上の組合わせテンションリグで連結し浮体の橋脚基礎を固定している。
【0007】
【作用効果の説明】上記のように構成された浮体橋脚において、橋脚基礎である浮体は海底盤に着底しているアンカーに対して斜めのテンションリグを少なくとも3本以上組合わせたもので連結され、浮体の上部と下部の少なくとも一方は3点以上の組合わせテンションリグで固定されている。
【0008】したがって、浮体の浮力とテンションリグの長さを調整してテンションリグのプリテンションを所定値になるようにしておけばテンションリグは斜めに取付けられているので鉛直方向だけでなく水平方向の分力で水平方向および捩じり方向が固定され、上下動、水平動、および捩じりに対して制御可能な範囲になり固定され橋脚基礎として使用される。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。 図1において、海底盤Gには浮沈式のアンカー7が着底されており、そのアンカー7には全体を符号1で示す浮体基礎部がテンションリグ4および5で連結されている。また、その浮体基礎1は上部2と下部3とで構成され、下部3の上端部3aは橋脚主塔6が取り付けられ、海面W上に出るよう構成されている。
【0010】そして、図2をも参照して、アンカー7と浮体上部2とは4点の3本以上(図示の例では3本で4a、4b、4bでアンカーと連結)の組合わせテンションリグ4で連結されている。
【0011】また、浮体基礎下部3の下端部3bはテンションレグ5でアンカー7に連結され、浮体基礎1が傾斜するのを防止している。
【0012】以下、浮体基礎の設置について説明する。
【0013】まず、ドック10でアンカー7を製作し(図3参照)、そのアンカー7にウマ11を介して浮体基礎1を製作する(図4参照)。テンションリグ4、5を取付けて進水させ(図5参照)、現地まで曳航して浮体基礎1とアンカー7とを吊りワイヤ12で連結してアンカー7に徐々に注水して降下させる(図6参照)。
【0014】テンションリグが効いたところでアンカー7および浮体基礎1に注水しながらアンカー7を降下着底させ、浮力調整してテンションリグのプリテンションを調整し(図7参照)、浮体基礎1の設置を終わる。
【0015】したがって、図8を参照して、浮力Fがかかるとテンションレグには張力Tがかかる。そして、その水平分力をxとすると、そのxの反対方向に水平方向の力x1がかかった場合、その力x1がxより大きくなければ水平方向に安定である。また、このような固定点が3点以上あれば、その固定点を含む面は安定となる。
【0016】したがって、実施例のようにテンションレグにて固定された浮体基礎部1は鉛直、水平、捩じれに対して固定され、橋脚の基礎として使用できる。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、橋脚の基礎として浮体基礎を提供でき、大水深であっても従来技術に比して容易に施工できる。したがって、工期が短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す浮体基礎の構成を示す側面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1を施工する工程(1)を例示する側面図。
【図4】図1を施工する工程(2)を例示する側面図。
【図5】図1を施工する工程(3)を例示する側面図。
【図6】図1を施工する工程(4)を例示する側面図。
【図7】図1を施工する最終工程(5)を例示する側面図。
【図8】テンションレグにかかる力のバランスを示す図。
【符号の説明】
1…浮体基礎部
2…上部
3…下部
4、5…テンションレグ
6…橋脚主塔
7…アンカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水底にアンカーを着底させ、そのアンカーと浮体の橋脚基礎とを少なくとも3本以上組合わせた斜めのテンションレグで連結し、その浮体の橋脚基礎とアンカーとは浮体の橋脚基礎の上部と下部との2箇所でそれぞれ前記の組合わせテンションレグで連結し、上部と下部の少なくとも一方は3点以上の組合わせテンションリグで連結し浮体の橋脚基礎を固定した事を特徴とする浮体橋脚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開平7−158014
【公開日】平成7年(1995)6月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−310159
【出願日】平成5年(1993)12月10日
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)