説明

浮揚ミキサー及び方法

本発明は混合材料を例えば300℃から600℃の高温下で混合するためのミキサー及びミキサーを動作させる方法に関する。本発明の目的は高温下でもミキサーの動きに追従可能な複数の供給手段を備えたミキサーを提供することである。上記目的を達成するため本発明のミキサーは、混合用コンテナが設置面に対して固定され又は固定することができる領域を有し、当該領域の両側が供給手段のために提供される設置手段を備える。従来技術のミキサーの場合、水平ミキサーが一方の正面部においてのみ固定されるようになっていたため、供給手段はコンテナ端部壁面の近傍側から混合用コンテナに接続するしかなかった。しかしながら水平ミキサーを混合用コンテナの二つの正面の間に位置する一領域をミキサーの設置面に対して固定し又は固定できるように構成することにより、当該領域の両側において複数の供給手段を混合用コンテナと接続することができる。稼働中ミキサーは少なくとも300℃に加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合材料を例えば300℃から600℃の高温下で混合するためのミキサー及び該ミキサーを動作させる方法に関する。発行済み公報DE19800567Aに開示されているように、水平型のミキサー(horizontal mixer)により500℃やそれ以上の温度で処理される加熱混合材料が知られている。
【背景技術】
【0002】
ミキサーは、コンテナ(混合容器)と、一又は二以上のシャフト、及び当該シャフトに取り付けられた混合手段を備えて構成されている。また、加熱可能なミキサーでは、コンテナに加熱手段が備えられる。水平型のミキサー(水平ミキサー)とは、水平方向に支持される一又は二以上の回転可能なシャフトと当該シャフトに取り付けられる混合手段を備えたミキサーである。一般に、ミキサーのコンテナは直円筒形状を有している。シャフトは、円筒状容器の同軸上に延びるように配置される。一般的に、シャフトは混合用コンテナの端部の壁面に固定された駆動手段によって駆動される。シャフト用のベアリング(軸受部)は、通常、コンテナの端部壁面に直接的に接続されている。ミキサーがシャフトを一本のみ備えている場合、当該シャフトは、具体的には、円筒形状のコンテナのベース領域の中心を通って延設される。
【0003】
ミキサーが高温下で動作される場合、当該動作の開始にあたって最初に加熱が行われる。このような加熱による温度上昇はミキサーの膨張を引き起こす。また、例えば保守点検作業を実施するために、ミキサーが再び除熱・冷却されると、ミキサーは収縮する。この熱による膨張及び収縮の現象は、ミキサーの損傷を回避するために、ミキサーの設置及び稼働の際に考慮に入れる必要がある。
【0004】
直近の従来技術においては、加熱型のミキサーを一方の正面において堅固に固定すること、すなわち、ミキサーの対象となる脚部をスクリューにより設置床面にしっかりと固定し、ミキサーの反対側の正面においてミキサーにスライド部分(sliding blocks)を設けることが知られている。このように設置されたミキサーは、加熱及び冷却されると、スライド部分の位置がミキサーの熱膨張及び収縮によって移動する。これによって熱膨張及び収縮を補償・吸収することができる。
【0005】
しかしながら、ミキサーは数センチメートルまで膨張する可能性があり、それはミキサーの大きさや発生する温度差によって異なるという問題がある。従って、例えばミキサーに製品や混合材料を充填したり、あるいは、ミキサー内を加圧したり真空にするためにミキサーに接続される導管のようにミキサーに接続される供給手段は、そのような問題に沿って備えられなければならない。もし熱膨張及び収縮現象が過大である場合、導管等からなる供給手段は、そのような膨張・収縮による動きに対して追従するための十分な柔軟性は基本的に持ち得ない。十分な長さを有する金属製の導管であれば、わずかに数センチメートルの変化であれば追従が可能である。しかしながら、金属製の導管は、何センチメートルにもわたる動きを補償・吸収することはできない。また、重く、材料が充填されたミキサーを支持しているコンテナのスライド部分の移動は、比較的高い、好ましくない摩擦力を引き起こす結果となる。
【0006】
供給手段が混合用コンテナの移動に対して限られた範囲でしか追従することができないことから、供給手段は、設置面(地面)に対して固定されるコンテナの正面部に隣接して配置される。ミキサーの大きな移動に対して追従能力のない供給手段が、スライド部分が備えられるコンテナのもう一方の正面部に隣接して備えられることはない。しかしながら、スペースが不足するために、非常に少ない数の供給手段ではあるが、混合用コンテナの正面部に接して配置することはできる。
【0007】
加熱用手段を使って水平ミキサーが外部から加熱されると、まずミキサーのハウジングのみが膨張する。水平ミキサーのシャフトは時間的に遅れて加熱され、その結果、ハウジングに対して時間的に遅れて膨張する。膨張態様のこのような差を補償・吸収できるようにするために、標準的な水平ミキサーにおけるシャフトは、ミキサーハウジングの一方の正面部にのみ固定されて、他方の側においてはスライド可能に支持されるようになっている。スライド可能なシャフトの支持は、例えば、スライドリングシールやグランドシールを用いてシャフトからハウジングへの移行部分を密封することにより実現される。
【0008】
シャフトに対してスライド不能な密封手段によってシャフトが密封される場合には、当該密封部は、ベローズ(蛇腹,縮管:bellows)の一端にしっかりと接続される。ベローズの他方の端部は、ミキサーのハウジングにしっかりと接続され、これによって水平ミキサーのハウジングに対するシャフトの移動が補償・吸収できるようになる。ミキサーのハウジングに対するシャフトの移動は±10mmまで可能になる。しかしながら、この移動が非常に大きくなる場合には、ベローズの使用は非常に不経済なものとなる。さらにベローズは、不都合なことに、混合材料が望ましくなく沈殿・堆積するデッドスペースが存在する。ベローズ内への沈殿・堆積は、ベローズの自由な移動を制約することになり、それ以後の操作の安全を脅かすことになる。
【0009】
ミキサーが加熱され又は冷却されると、混合用コンテナの長さだけでなく、その直径も変化する。そのため、混合用コンテナは、そのような直径の変化に追従できるような供給手段やその他の手段についてしか設計及び提供ができないことになる。
【0010】
また、ミキサーが、例えば二重胴式(double shell)のコンテナを通じて加熱流体によって加熱されると、そのコンテナは通常、均一には加熱されない。そのためコンテナは好ましくないバナナ形状になることがある。
二重胴式の手段により加熱されることで、高温下において種々の問題が発生する。その場合には、例えばラップアラウンド(wraparound)加熱システムからなる電気的な加熱システムの手段により加熱を行うことが好ましい。
【0011】
取り付けられた軸受部によって回転可能に支持される混合用コンテナを備えたミキサーが発行済み公報DE−OS2813773(特許文献1)に開示されている。混合用コンテナが回転可能に支持されることにより、当該発明における想定範囲内においては、コンテナは設置面に対して固定されないことになる。また、この公報DE2813773では、開示されている混合用コンテナが設置面に対して固定でき、又は固定されることを想定した開示もない。DE−OS2813773に開示された混合用コンテナは、単に給油口を備えるのみである。従って、この発明の想定範囲内において、固定された混合用コンテナの一領域の両側において、供給手段を備える混合用コンテナの領域が設けられる可能性は存在しない。
【0012】
発行済み公報DE19528018A1(特許文献2)及びDE19800567A1(特許文献3)は、混合用コンテナと、水平に支持されたシャフトと、当該シャフトに取り付けられた混合器具を備え、高温下で動作されるミキサーが開示されている。DE19800567A1に開示されたミキサーでは、コンタクトヒーターの手段によって500℃に加熱できるようになっている。
【0013】
発行済み公報DE−PS1146852(特許文献4)には、混合用コンテナが一方の正面において鎖によって吊り下げられるように構成された水平ミキサーが開示されている。従って、コンテナのこの正面部分は設置面に対して固定されていない。コンテナのもう一方の正面について、同様に、設置面に対して固定されないように吊り下げられるということは、発行済み公報DE−PS1146852には開示されていない。該公報に開示されている混合用コンテナが加熱されれば、熱膨張のために、もう一方の正面を除いて、混合用コンテナの全体が設置面に対して移動することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第2813773号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19528018号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19800567号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第1146852号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、高温下においてもミキサーの動きに追従可能な複数の供給手段を備えたミキサーを提供することである。
この本発明の目的は、第一請求項に記載された特徴を有するミキサーにより達成される。有利な実施形態については従属請求項の記載から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のミキサーは、設置面に対して固定され又は固定することができる混合用コンテナの一領域を有し、当該領域が供給手段のために提供される設置及び固定手段を備える。従来技術に係るミキサーの場合には、水平ミキサーが一方の正面部においてのみ固定されるようになっていたため、供給手段はコンテナ端部壁面の近傍側から混合用コンテナに接続するしかなかった。しかしながら、水平ミキサーを、混合用コンテナの二つの正面の間に位置する一領域をミキサーの設置面に対して固定し又は固定できるように構成することによって、当該領域の両側において複数の供給手段を混合用コンテナと接続することができる。この固定される領域は、設置面に対する位置は変わらない。隣接する領域は、設置面に対してはわずかに移動するのみである。小さな移動にのみ追従可能な供給手段は、従来技術とは大きく異なり、本発明ではコンテナの固定領域の両側に接続可能であり、そのような供給手段の数を、直近の従来技術と比較して増加させることができ、具体的には概ね二倍にすることができる。混合用ハウジングの中央領域が設置面に対して固定されれば、設置可能な供給手段は具体的に二倍にすることが可能である。混合用コンテナの中央領域としては、具体的には、水平ミキサーのコンテナの二つの正面の間の中央3分の1とすることができる。
【0017】
混合用コンテナの中央領域を固定するために、コンテナ両端面は固定されないようにし、また、特に水平ミキサーの二つの正面にスライド部分を設けることができる。しかしながら、ミキサーは吊り下げられることが好ましく、これによって、スライド部分の移動によって発生する摩擦力が生成されることを排除することができる。従って、コンテナの固定により強い力が作用することを回避することができる。同様の理由から、直近の従来技術においても、スライド部分を吊り下げ構造に置き換えることができ、これによって、とりわけ過大な力が作用することになる加熱可能な水平ミキサーの正面が固定されることを回避することができる。
【0018】
本発明の一実施形態においては、直近の従来技術とは大きく異なり、コンテナの一部分又は一領域を固定するための手段は、当該コンテナを設置するためのものではない。コンテナの設置手段は、コンテナの取り付け・調整を含むコンテナの重量を単独で支持するものである。コンテナの固定手段は、設置面に対してコンテナの一部分を固定することを確保するだけのものである。
【0019】
好適な態様によりミキサーの端部を吊り下げることができるようにするために、本発明の一実施形態では、一方の端部がフレームワークやフレームに回転可能に取り付けられ、他方の端部が混合用コンテナの固定手段に取り付けられる、コンテナの端面又は正面に配設される支持用ロッド(支持棒:supporting rod)を備えている。また、水平ミキサーの場合には、支持用ロッドを回転可能とする水平方向に延びる回転軸又はスリーブが、ミキサーのシャフトの回転軸と直交するように延設される。支持用ロッドは、混合用コンテナを吊り下げると同時に、いかなる問題も生じさせることなく当該コンテナが長手方向に膨張することを可能にする。さらに、鎖による吊り下げとは大きく異なり、支持用ロッドは横方向には限られた範囲内でのみ揺動するため、混合用コンテナの位置は好ましい状態で安定する。従って、この実施形態においては、ミキサーの設置手段は、フレーム又はフレームワークと、支持用ロッド、及び混合用コンテナに取り付けられる固定手段により構成される。
【0020】
支持用ロッドは、長さ調整を容易にするために、外周にネジ山を有するロッド及び内周にロッドのネジ山と螺合するネジ山を備えたパイプにより構成することができる。ネジ山を有するロッドを回転させてパイプから進退・出し入れすることで、支持用ロッドは所望の長さに設定又は調整することができる。好ましくは、支持用ロッドは、ネジ孔に螺合するネジ山を外周に備えた右手側及び左手側の二つの接合頭部(joint head)と、これら接合頭部が螺合する右手側及び左手側のネジ山を内周に有する一本のロッドにより構成することができる。これによって、ロッドを内周のネジ山により右手方向又は左手方向に回転させることで、支持用ロッドは所望の長さに設定することができる。
【0021】
混合用コンテナの対向する二つの端部には、例えば板状部材や棒状部材を、横方向から溶接等することにより取り付けられる。取り付けられた板状部材又は棒状部材の端部は、支持用ロッドに対して回転可能に接続され、これによって、混合用コンテナの対応する端部を吊り下げることができる。
【0022】
混合用コンテナが垂直方向に回転することを防止するための改良として、本発明の一実施形態においては、例えば、水平方向に配置された複数の固定用ロッド(固定棒:fastening rod)をミキサーの設置部(地面)又は設置部表面と平行に配設することができる。このような固定用ロッドは、例えば混合用コンテナの各正面に接続され、さらに、例えばミキサーを吊り下げた状態で保持しているフレームに対して接続される。この固定用ロッドの構成及び取り付けについては、上述した支持用ロッドの構成及び取り付けに対応させることが好ましい。但し、固定用ロッドとなる軸部材やブッシング(軸受筒:bushing)は、コンテナの正面側に取り付けられる場合には、ミキサーのシャフトと平行に延びる方向に回転させることができる。
【0023】
本発明は、典型的には、バッチ・ミキサー、すなわち、不連続的に稼働されるミキサーに適用される。バッチ・ミキサーは、コンテナに取り付けられた供給装置を介して混合材料が充填されるもので、供給装置は、通常はコンテナの上部に配置される。混合された材料は、一般に排出手段によってコンテナから排出される。本発明の一実施形態においては、ミキサーのシャフトの駆動部(drive)は、ミキサーのコンテナから分離して外部に設置されるようになっている。その場合、シャフトの駆動部とコンテナとの間を直接接続するものは存在しない。従って、両者は間接的に接続するしかなく、その接続はシャフト及びフレームワークを経由したり、設置面及び設置手段を介したもので、主に限定されたものである。この点は、駆動部が、ミキサーのコンテナとともに想定外に過熱され、それによって損傷するという危険性を低下させることになる。
【0024】
同様の観点から、シャフトの重量を支持している軸受(bearing:ベアリング)部は、ミキサーのコンテナから分離して外部に備えられることが好ましく、これによって、軸受部が過熱されることが防止される。この場合、シャフトの軸受部は、コンテナ上やコンテナ内には直接的には接続されない。いずれにしても、この実施形態によれば、ミキサーが適切に設置されることにより、シャフトが熱の影響によって上方向,下方又は横方向に移動しないことを確実ならしめることが容易に実現できる。
【0025】
シャフトが直径の変化に起因して空間的な変動を生じ、また、外部に設置される駆動部及び軸受部がそのような変動に追従することを防止するために、本発明の一実施形態に係る混合用コンテナは、シャフトと同じ高さに取り付けられ、特に、シャフトと同じ高さに吊り下げられる。混合用コンテナの直径が変動しても、それによってシャフトの空間的な変動は引き起こされない。この実施形態においては、混合用コンテナの外部に設置される駆動部や、混合用コンテナの外部に設置されるシャフト用の軸受部について、熱の影響により再調整を行わなければならないようなことは不要となる。シャフトは、同時に混合用コンテナを移動させることなく当該シャフトの軸方向に移動可能であり、シャフトは混合用コンテナを通ってガイドされ、それによって、外部に設置されたシャフト用の駆動部は、温度変化によるシャフトの長さの変動を補償・吸収する必要がなくなる。
【0026】
シャフトは、混合用コンテナに対してのみ密封されている。駆動部に接続されるシャフトの端部のみが、設置面に対して固定され続ける。本願で「シャフト」という場合、ミキサーに複数のシャフトが備えられ、各シャフトに混合用器具が取り付けられる場合を除外するものではない。但し、本発明は、ミキサーが単一のシャフトを備える場合に適用されることが好ましい。
シャフトの軸受部及び/又はシャフトの駆動部は、一実施形態においては、特に垂直方向に調整可能であることが好ましく、これによって、温度変化とその変化に関連したあらゆる場合にも対応が可能となる。
【0027】
本発明の一実施形態では、一端が軸受部によって保持されたシャフトは移動が可能であり、具体的には一端側においてのみ、軸受部はコンテナの外部に配置され、コンテナには直接取り付けられないようになっている。この軸受部はボールベアリングによって構成することができる。この軸受部によるシャフトの保持部分は、当該軸受部によって押圧が可能である。シャフトは、例えばルーズベアリング(loose bearing)からなる軸受部によって移動可能に保持されることにより、シャフトが膨張又は収縮しても、いかなる問題も発生しない。
【0028】
本発明の一実施形態では、様々な異なる温度領域によって好ましからざるバナナ形状が発生することを防止するために、電気的な加熱システムを使用することができ、これによって、コンテナ・シェルの異なる領域を、制御された状態で異なる態様で加熱することができる。種々の適切な加熱態様によって、コンテナ・ハウジングについて好ましくないバナナ形状の発生を成功裏に相殺,中和することができる。従って、例えば低温の混合材料が加熱されたミキサー内に充填され、そして、それによってコンテナ底部が部分的に冷却されることによって、バナナ形状の兆候が発生した場合には、そのコンテナ底部をやや集中的に加熱することで、コンテナ・ハウジングの一側が冷却されることを防止し、それによってバナナ形状が発生することを防止することができる。このため、加熱可能領域を独立して設けることで、温度差を中和・相殺することが可能となり、それによってコンテナの変形・歪みを防止することができる。
【0029】
本発明に係るミキサーによれば、ミキサー内に大きな温度差が発生したとしても、供給装置の水平ミキサーの端壁からの距離を調整することは容易に行える。材料供給がミキサーの正面部において行われると、混合器具を備えたシャフトは、当該正面部から混合材料が離れるように移送するために、直ちに駆動を開始する必要がある。もし混合材料をコンテナの正面から充填することができれば、材料を円錐状に形成できる広い空間が確保できため、このような問題は低減することになる。
【0030】
混合材料の混合中に発生するガスや霧を排出させるには、発生した霧やガスが排出される、大径管状に形成された比較的大きな無風領域が必要となる。本発明によれば、少ない移動量にしか対応できない場合であっても、このような無風領域についても比較的容易に対応が可能となる。
除去する場合の密封の問題を回避するために、コンテナの設置面近傍に固定される領域に除去用の開口部を設けることが好ましい。
ミキサー用の供給手段は、特に真空連結部やコンテナ内に超過圧力を生成させるための接続部を備えることができる。この供給手段は、コンテナの設置面に対して固定される領域に設けることが好ましい。
【0031】
この場合、補助的な装置・機器が供給手段の組み立て部に続いて配置される。液体供給部、特殊な供給部、マンホール等々が、横方向に沿ってコンテナの設置面に対して固定される領域に設けられることが好ましい。液体供給部は、複数の長い導管により設けることが可能で、それらは移動に追従可能であることが望ましい。マンホールは、例えば、保守管理のためにミキサー内部に人が入れるようにするために設けられる。手作業により小さな部品を追加する場合には、適切な特殊な接続部を設けることができ、それによっていくつかの問題について調べることができる。
【0032】
本発明の一実施形態においては、シャフトのシール部及びベアリング部の温度が過度に高くなることを防止するために、シャフトを内部から冷却することができる。このために、シャフトは、例えば内部に中空部29を形成し、好ましくはコンテナとの繋ぎ部分をシールするシール部まで形成する。中空部には外部から冷却用媒体が流され、これによって、シャフトのシール部までの領域を冷却することができる。従って、改良された態様により、トラブルのない稼働を保証することができる。中空部がシャフトのシール部までしか形成されない場合には、その結果、適切に低温が保たれるべき当該領域のみを冷却することができる。
【0033】
本発明の一実施形態に係るミキサーは、ミキサーを支持する支持用フレーム,フレームワーク、又はミキサーを浮揚状態に吊り下げるフレームを備える点で従来技術と相違する。
ミキサーを構成する各部、例えば、設置手段,固定手段,ベアリング,シャフト,コンテナ,駆動部,及び/又は混合器具などは、全てが、あるいは、ほとんどの部分が鋼鉄製であることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、高温下においてもミキサーの動きに追従可能な複数の供給手段を備えたミキサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るミキサーの概略を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るミキサーの概略を示す断面図である。
【図3】水平ミキサーのコンテナの端壁に対向するシャフトのシール部の構造を示す断面図である。
【図4】水平ミキサーのフレームワークやフレームに回転可能に取り付けられる混合用コンテナの支持用ロッドの概略を模式的に示す図である。
【図5】混合用コンテナが垂直方向に回転することを防止するための固定用ロッドの態様を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に円筒形のコンテナ2を有する水平ミキサー1を示す。シャフト3は、コンテナ内で混合器具が取り付けられ、コンテナの二つの正面(front face)の中心を通って延設されている。ガイド手段4は、二つの各側面それぞれに1つの突出端5を有しており、コンテナの二つの正面の中間において、混合コンテナ2の下側に取り付けられる。各突出端5は、二つのガイド顎(guiding jaw)6の間に配置されている。ガイド顎6は、設置面(地面:ground surface)7に取り付けられており、設置面7に対して移動しないようなっている。本発明では、上記ガイド手段及びガイド顎によってコンテナが設置面に対して固定される。従って、突出端を有するガイド手段及びガイド顎が、本発明における固定手段を構成する。
【0037】
合計4つの固定手段8又は吊り下げ用の手段が、混合コンテナの二つの正面上の、シャフト3と同じ高さでシャフトの横方向に隣接して取り付けられている。混合コンテナはこれら4つの固定手段により吊り下げられ、浮揚した状態で支持される。
【0038】
ガイド顎6が突出端5の水平移動を規制していることにより、二つの正面の間に位置する混合コンテナの中心は、設置面に対して平行移動ができないようになっている。従って、例えばコンテナ3が加熱されると、吊り下げられているコンテナの正面9は、設置面に対しては移動するが、ガイド手段4上にあるコンテナの中間部分又は領域は移動しない。この領域は、コンテナ2の平行移動にのみわずかに追従できる供給手段10,11,12をコンテナに取り付けるために用いられる。
【0039】
コンテナ2は吊り下げられるため、コンテナの直径は、いかなる問題を生じさせることなく温度変化によって変動することができる。例えば、コンテナが加熱された場合、その直径は問題なく拡張することが可能である。これは、一方ではコンテナが吊り下げられていることにより、また、他方では突出端5が下向き方向に移動可能であることにより実現される。
【0040】
固定手段8はシャフトと同じ高さに取り付けられているため、コンテナの直径が変化してもシャフト3の空間的位置は変動しない。また、コンテナの平行移動を防止する固定手段4,5,6も、シャフト3の空間的位置を安定させるために機能している。
【0041】
シャフトはコンテナの直径の変化によってその位置が変動することがないことから、その概要が本発明の一実施形態の断面を示す図2に示されているが、シャフト3は駆動部13に接続されるようになっており、この駆動部は設置面に対して移動不能となっており、コンテナ2の外部に配置されて、コンテナ2から分離して設置されるようになっている。駆動部13は、シャフトを保持するベアリング(軸受部)を備えるか、又はベアリング27が隣接して配置されるようになっており、シャフトがベアリング27に対してシャフトの軸方向に沿って移動不能になるように構成されることが好ましい。また、ベアリング27は、コンテナから分離してコンテナの外部に設置されるようになっており、これによってベアリングが加熱されることが防止される。シャフトの反対側は、コンテナ外部においてコンテナと分離した第二のベアリング14によって保持されている。この第二のベアリングに対しては、シャフトはシャフトの軸方向に沿って移動が可能となっている。コンテナ正面の端壁9とシャフト3のつなぎ目の間のみがシールにより密封される。従って、シャフトはコンテナの正面端壁に対して軸方向に沿って移動することができるようになる。なお、図2には、シャフトに取り付けられる混合器具15の概略が示されている。
【0042】
図3は、水平ミキサーのコンテナの端壁に対向するシャフトのシール部の構造を示す断面図である。シャフトのシーリング(密封)はパッキン部材16等の手段により実現され、具体的には、図3に示す実施形態においては、合計4つのパッキン部材によってシールされている。本実施形態に係るパッキン部材16は、例えば、グラファイト材料が充填された横断面正方形の紐状部材(コード:cord)によって構成される。このような紐状部材はシャフトの周囲やシャフトが押し込まれたスリーブ22の周囲に環状に巻装される。スリーブ22は、摩耗・摩滅した場合には、比較的安価に交換が可能であり、従って、シャフトのシール部及び/又はベアリングの部分にはスリーブを設けることが望ましい。パッキン部材16の端部は、隣接するパッキン部材16の端部に対してオフセットされて配置される。従って、各パッキン部材16は、パッキン部材16を支持台18に向かって押圧する移動可能コンポーネント17によって、互いに押圧するように配置される。パッキン部材は、引き寄せられるように作用し、それによって、一方の側ではシャフト又はスリーブ22を押圧し、もう一方の側では境界部材(boundary)19の端壁を押圧する。移動可能コンポーネント17は、バイアス・スプリング20によって弾性をもってパッキン部材16を押圧しており、これによってパッキン部材に対する接触圧力を維持している。このような組立構造は、コンテナの端壁に対してシャフトを密封する場合にのみ好適である。過大な重量がかかるために、シール部がダメージを受けることなくシール部によってシャフトを支持することはできない。
【0043】
一又は好適な複数の環状のキャビティ21は、冷却媒体により冷却可能であり、パッキン部材の周囲に環状に配設される。これによって、シール部が冷却され、稼働時間を長くすることが可能になる。組立及び製造上の観点から、複数のキャビティを設けることが好ましい。
【0044】
外側から見てパッキン部材16の前方には、例えば窒素などの気体により圧力をかけられた一又は二以上のキャビティ23が備えられており、キャビティ内は過圧状態となっている。移動可能コンポーネント17がシャフト密封リング30によって外方に対して密封されているので、キャビティ内のガスや窒素は基本的にパッキン部材16とシャフトのスリーブ22の間から流出する以外にはない。このガスや窒素は、一方でバリア媒体として機能し、また他方で、パッキンにリーク(漏れ:leak)が発生したことのインジケーター(indicator)となる。ガスや窒素の消耗が通常の場合よりもしばしばあれば、それはパッキンやパッキン部材を締め直したり交換する必要があることを示している。
【0045】
図4には、フレームワークやフレームのボルト25に回転可能に取り付けられる支持用ロッド24が示されており、支持用ロッドの他側には、水平ミキサーの正面端壁9のシャフト3と同じ高さに溶接されたボルト26が備えられている。本発明の一実施形態では、このような支持用ロッド4本によって、水平ミキサーが浮揚状態で吊り下げられるようになっている。回転軸又はボルト25,26によって、支持用ロッド24は、シャフト3の回転軸に対して直交するように延設されて回転できるようになっている。
【0046】
図5は、混合用コンテナが垂直方向に回転することを防止するための手段となる、水平方向に配置される固定用ロッド28の態様を模式的に示している。図示された固定用ロッド28は、コンテナの正面9に回転可能に接続され、また、例えばフレームワークやフレームに対して回転可能に接続される。回転軸又はボルト31,32によって、水平方向に配設された固定用ロッド28は、シャフト3の回転軸に対して平行に延設されて回転できるようになる。
ミキサーからみて、支持用ロッド24は構造的に下向き方向又は上向き方向に延設することができ、これによってミキサーを吊り下げ又は引っ掛けることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 水平ミキサー
2 混合用コンテナ(コンテナ)
3 シャフト
4 ガイド手段
5 突出端
6 ガイド顎
7 設置面(地面)
8 固定手段
9 コンテナ正面(正面端壁)
10,11,12 供給手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサーを設置及び固定するための手段を備えたミキサー(1)であって、
前記設置及び固定手段は、設置面(7)に対して固定され又は固定することができるコンテナ(2)の一領域を有し、当該領域に供給手段(10,11,12)が備えられることを特徴とするミキサー。
【請求項2】
混合用コンテナ(2)の中央領域の、水平ミキサーのコンテナの二つの正面の間の中央3分の1が、設置面に固定され又は固定することができる請求項1記載のミキサー。
【請求項3】
前記水平ミキサーのコンテナの二つの正面(9)が吊り下げ手段(24,25,26)によって支持され、当該正面は前記設置面に対して固定されない請求項1又は2記載のミキサー。
【請求項4】
前記ミキサーが、前記コンテナ(2)に回転可能に接続されるとともに、ミキサーのフレーム又はフレームワークに回転可能に接続される4本の支持用ロッド(24)によって吊り下げられる請求項1乃至3のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項5】
前記ミキサー(1)が水平ミキサーからなり、そのコンテナ(2)が、当該コンテナ(2)の正面(9)において吊り下げられる請求項1乃至4のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項6】
前記コンテナが、外周にネジ山を有するロッドと、内周にネジ山を有する管又はロッドからなる支持用ロッド(24)によって吊り下げられる請求項1乃至5のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項7】
前記コンテナが、水平方向に支持されるシャフト(3)と同じ高さに配設されるコンテナ吊り下げ用の手段(8,26)を備える請求項1乃至6のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項8】
地面又は設置面に対して少なくとも平行に配設され、前記コンテナに対して回転可能に接続された、水平方向に配設される固定用ロッド(28)を備える請求項1乃至7のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項9】
前記ミキサーが(1)がバッチ・ミキサーからなる請求項1乃至8のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項10】
前記ミキサーのシャフトの駆動部(13)及び/又は前記ミキサーのシャフト(3)を支持するベアリング部(14,27)が、前記コンテナの外部に当該コンテナ(2)と分離して備えられる請求項1乃至9のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項11】
前記シャフト(3)が、前記ミキサーのコンテナ(2)に対して移動可能である請求項1乃至10のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項12】
前記シャフト(3)が、ベアリング部(14)によって移動不能に保持される請求項1乃至11のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項13】
前記ミキサーが、複数の各領域を独立して加熱可能な電気的加熱システムからなる加熱手段を備える請求項1乃至12のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項14】
前記シャフト(3)が、当該シャフト(3)の少なくとも両端の一方に少なくとも一の中空部(29)が形成されてなる冷却手段を備える請求項1乃至13のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項15】
前記コンテナ(2)のハウジングに対してシャフト(3)をシールするシール部(16)を備える請求項1乃至14のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項16】
前記シール部(16)の冷却手段(21)を備える請求項15記載のミキサー。
【請求項17】
水平方向に指示されるシャフト(3)と、当該シャフトに取り付けられる混合用器具を備える請求項1乃至16のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項18】
前記設置面に対して固定される領域が、ガイド顎(6)及びガイド手段(4,5)によってガイドされる請求項1乃至17のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項19】
前記ミキサーのコンテナを支持するためのフレームワーク又はフレームを備える請求項1乃至18のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項20】
窒素が充填されたキャビティ(23)を備え、前記窒素がバリア媒体として機能する請求項1乃至19のいずれか一項記載のミキサー。
【請求項21】
前記ミキサーが少なくとも300℃で加熱される請求項1乃至12のいずれか一項記載のミキサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−529386(P2011−529386A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520406(P2011−520406)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057288
【国際公開番号】WO2010/012539
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511025363)ゲブリューダ レドゥルゲ マシーネンバウ−ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフツング (1)
【Fターム(参考)】